JP6991904B2 - 振動低減材及びそれを備えた振動低減構造 - Google Patents
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更には、1次モードと2次モードの固有振動数を離間して、互いのモードが干渉し合うことを抑制することで、低周波領域(1次モード側)の吸音効果を向上できる吸音材及びそれを用いた吸音構造の提供を目的とする。
即ち、本発明の第1の態様に係る振動低減材は、弾性を有するシート状とされたベース材と、前記ベース材の平面方向に互いに離間して配置された複数の質量部材と、を備える振動低減材であって、前記質量部材は、前記ベース材と比較して剛性及び比重が大きいことを特徴とする。
また、複数の質量部材をシート状のベース材に配置するという簡便な構造であるため、シート材のような取り扱いが可能であり施工性が良好である。これにより、広範囲に亘る振動発生部に対しても容易に振動低減材を配置することができる。
複数の質量部材の配置としては、例えば、正方格子状、千鳥格子状などが挙げられる。
また、同じ固有振動数おいて、中央部の単位面積当たりの質量を大きくする場合としない場合とでは、中央部の単位面積当たりの質量を大きくした方が、中央部の単位面積当たりの質量を大きくしない場合と比較して、膜部の面積を小さくすることができる。膜部に圧力が作用する条件下では、圧力を受ける面積を小さくすることになる。即ち、膜部の面積が減少した分、膜部に対して平面的に作用する力が抑えられ、中央部の単位面積当たりの質量が大きくない場合に比べて、強度上有利に作用する。
更に、本発明に係る吸音材によれば、1次モードと2次モードの固有振動数を離間して、互いのモードが干渉し合うことを抑制することで、低周波領域(1次モード側)の吸音効果を向上できる。
図1及び2を参照して、本実施形態に係る振動低減材10の構成を説明する。
図1及び2に示すように、本実施形態に係る振動低減材10は、ゴムなどの弾性体とされるシート状のベース材12の平面上に、立方体形状の金属とされる複数の質量部材14を備える。また、図2に示すように、複数の質量部材14は、ベース材12の平面方向に例えば100mmピッチ程度の正方格子状に離間されて配置される。このベース材12と複数の質量部材14が一体となって、シート状の振動低減材10を形成する。
図3に示すように、シート状の振動低減材10は、構造体24(ここでは板状の構造体24とする)に貼設される。ここで、構造体24の図3で示す左側には、特定の周波数で振動する振動発生部20(図示せず)が設置された設置部22(図示せず)が接続されている。振動発生部20からの振動は、振動低減材10の左側から右側に向かって伝搬する。構造体24の左側から入射した振動は、やがて振動低減材10が貼設された構造体24に伝搬する。
弾性を有するシート状のベース材12に対して、ベース材12と比較して剛性及び比重が大きい質量部材14が配置される。これによれば、この簡便な構造によって良好な施工性を実現し、コスト低減を実現しながらも、特定の周波数に対して大幅な振動低減効果を得られる。なお、対象とする振動が1次モード、2次モード・・・と、複数の振動から混成されている場合、各モードに対応する複数種類の質量部材14を同一のベース材12に配置することで、複数の振動に対応可能な1つの振動低減材10とすることもできる。また、振動低減材10が複数の質量部材14をシート状のベース材12に配置するという簡便な構造であるため、シート材のような取り扱いが可能であり施工性が良好である。これにより、広範囲に亘る構造体24に対しても容易に振動低減材10を配置することができる。
更に、質量部材14の間隔を入射する振動波長の0.5倍以下とした。これによれば、大幅な振動低減効果を得られる質量部材14の配置についての目安が示され、設計が容易になる。
次に、図7を参照して、本実施形態に係る振動低減構造について、船舶を例に用いて説明する。
第1実施形態で記載した振動低減材10を振動発生部20が設置される設置部22に直接取り付ける、又は/及び、設置部22に接続された構造体24に取り付けることとした。これにより、簡便な構造の振動低減材10を用いた振動低減構造において、振動発生部20から発生する特定の周波数に対して大幅な振動低減効果を得られる。なお、振動低減材10の固有振動数は、振動発生部20にて生じている振動周波数に対応している。また、例示した船舶のエンジン30に限らず、振動発生部20の周波数に対応するように振動低減材10の固有振動数を調整すれば、簡便にあらゆる周波数に対応した振動低減効果を得られる。
図8乃至13を参照して、本実施形態に係る吸音材の構成を説明する。
図8に示すように、吸音材50(図13参照)を構成するセル60は、正六角形の筒形状となるように側壁部62を備えている。また、セル60は、図9に示すように、側壁部62によって形成される筒形状の一端側の開口を閉塞するように、膜状の膜部64を備えている。側壁部62は、例えば、金属や樹脂とされ、膜部64は、例えば、金属や樹脂、ゴム等の弾性体とされる。
例えば、図13に示す吸音材50の膜部64側の外部に騒音などの空気振動があった場合、膜部64の固有振動数を、音の周波数に合わせた固有振動数に設定することで、膜部64が音に共鳴して面外方向に振動(共振)する。このとき、音のエネルギが膜部64の振動に変換され、結果として、音は膜部64(膜部64を備えた吸音材50)によって吸音される。
吸音材50が備える多角形の筒形状とされた複数のセル60が有する膜部64のうち、中央部分に相当する中央部64aは、周囲部64bに比べて、単位面積当たりの質量が大きい。これによれば、膜部64の振動を考えたとき、1次モード(低周波領域)と2次モード(高周波領域)の固有振動数を離間させることができる。1次モードと2次モードの固有振動数が近接した位置にある場合、互いのモードが干渉し合い、低周波領域(1次モード側)の吸音率が低下してしまう。しかし、本実施形態にかかる吸音材50のように、1次モードと2次モードの固有振動数を離間させることができれば、互いのモードが干渉し合うことがないので、低周波領域(1次モード側)の吸音率を向上させることができる。また、吸音したい音の周波数に合わせて、膜部64の1次モードの固有振動数を設計することで、低周波領域の騒音に対してより一層の吸音効果を奏する。
また、同じ固有振動数おいて、中央部64aの単位面積当たりの質量を大きくする場合としない場合とでは、中央部64aの単位面積当たりの質量を大きくした方が、中央部64aの単位面積当たりの質量を大きくしない場合と比較して、膜部64の面積を小さくすることができる。即ち、膜部64の面積が減少した分、膜部64に対して平面的に作用する力が抑えられ、中央部64aの単位面積当たりの質量が大きくない場合に比べて、強度上有利に作用する。
更に、吸音材50を耐熱性のある材料で構成することで、高温下においても吸音材50を使用することができる。
図16乃至及び17を参照して、本実施形態に係る吸音材の構成を説明する。
本実施形態は、上述した第1参考実施形態に対して膜部64の形態が異なり、その他の点では同様である。したがって、第1参考実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態のセル60Bが備える膜部64Bは、積層構造(図16では3層)とされている。膜部64Bを積層構造とすることで、膜部64Bの減衰率を増加させることができる。
膜部64Bの減衰率を高めることで、図17に示すように、膜部64Bにおける吸音率を高めることができ、吸音材50としての吸音効果を増加させることができる。
図18を参照して、本実施形態に係る吸音材の構成を説明する。
本実施形態は、上述した第1参考実施形態及び第2参考実施形態に対してセル60の形態が異なり、その他の点では同様である。したがって、第1参考実施形態及び第2参考実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態のセル60Cは、筒形状の側壁部62の内部において、多孔質材66bが膜部64の全面に亘って接触するように設けられている。これにより、膜部64の減衰率を増加させることができる。
膜部64の減衰率を高めることで、膜部64における吸音率を高めることができ、吸音材50としての吸音効果を高めることができる。なお、多孔質材66bの換わりに流体を充填しても良く、膜部64の減衰率を増加させる物体であれば足りる。
本実施形態は、上述した第1参考実施形態乃至第3参考実施形態に対して膜部64の形態が異なり、その他の点では同様である。したがって、第1参考実施形態乃至第3参考実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
本実施形態のセル60が備える膜部64は、その材質を制振合金とされている。これにより、膜部64の減衰率を増加させることができる。
膜部64の減衰率を高めることで、膜部64における吸音率を高めることができ、吸音材50としての吸音効果を高めることができる。
図19を参照して、本実施形態に係る吸音材の構成を説明する。
本実施形態は、上述した第1参考実施形態乃至第4参考実施形態に対してセル60の形態が異なり、その他の点では同様である。したがって、第1参考実施形態乃至第4参考実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
本実施形態のセル60Eは、図19に示すように、筒形状の側壁部62の内部において、制振塗料が膜部64の表面に塗布され、塗布層66cを形成している。これにより、膜部64の減衰率を増加させることができる。
膜部64の減衰率を高めることで、膜部64における吸音率を高めることができ、吸音材50としての吸音効果を高めることができる。
次に、図20を参照して、本実施形態に係る吸音構造について、排気ダクトを例に用いて説明する。
上述した吸音材50の用途として、例えば、高温の排気ガスが流通するダクト70aの騒音低減が考えられる。
ダクト70aなど、内部の空気の振動よって騒音が発生する条件下でも、吸音材50によって騒音が低減される。なお、ダクト70aの内部で発生している騒音の周波数に合わせて吸音材50が備える膜部64の1次モード側の固有振動数が設定されている。これにより、ダクト70aの内部で発生している騒音のうち、低周波領域の騒音を効率的に吸音することができる。
12 ベース材
14 質量部材
20 振動発生部
22 設置部
24 構造体
30 エンジン
32 架台
34 タンクトップ
36 タンク
38 補強材
40 側外板
42 底外板
50 吸音材
60(60B,60C,60E) セル
62 側壁部
64(64B) 膜部
64a 中央部
64b 周囲部
66a 質量材
66b 多孔質材
66c 塗布層
70 吸音構造
70a ダクト
Claims (4)
- 弾性を有するシート状とされたベース材と、
前記ベース材の平面方向に互いに離間して配置された複数の質量部材と、
を備え、
前記質量部材は、前記ベース材と比較して剛性及び比重が大きく、
隣り合う前記質量部材の間隔は、入射する振動波長の0.5倍以下とされていることを特徴とする振動低減材。 - 前記質量部材は、前記ベース材の表面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の振動低減材。
- 前記質量部材は、前記ベース材の表面よりも内部に埋没して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の振動低減材。
- 振動発生部が設置される設置部と、
前記設置部に対して直接取り付けられ、又は/及び、前記設置部に接続された構造体に取り付けられた請求項1乃至3のいずれかに記載の振動低減材と、備えていることを特徴とする振動低減構造。
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JP2018049231A JP6991904B2 (ja) | 2018-03-16 | 2018-03-16 | 振動低減材及びそれを備えた振動低減構造 |
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JP2018049231A JP6991904B2 (ja) | 2018-03-16 | 2018-03-16 | 振動低減材及びそれを備えた振動低減構造 |
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