以下、本発明に係る駅舎補助電源装置の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1.
図1に示すように、駅舎1に備えられた駅舎補助電源装置2は、制御装置3、インバータ(第1の電力変換部)4、及び、電圧センサ5等を備えている。この駅舎補助電源装置2は、架線6から供給された第1の電力(例えばDC1500V)を変換して駅舎1内の各種の負荷7(7ー1~7-n)が使用する第2の電力を生成できるように構成されている。但し、駅舎補助電源装置2のインバータ4は、第1の電力を第2の電力に変換する変換動作を常に行うのではなく、鉄道システム内の各電気車8で発電された回生電力を電気車8間で消費しきれるかどうか(すなわち、回生ブレーキを使用して減速している電気車8で発電された電力よりも他の電気車8(力行中の電気車8など)で消費される電力の方が大きいかどうか)を判定し、消費しきれない場合に変換動作を実施する。
負荷7には、変電所100で生成された交流系統200から供給される電力(例えばAC6600V)を変圧器9が変換して得られた電力(例えばAC210V)も供給されており、変圧器9から供給された電力を使用する。負荷7は、例えば、照明装置、空調装置、表示装置、エレベータ、エスカレーター、及び、ホームドア等の各種電気設備である。架線6は変電所100に接続され、例えばDC1500Vの電力を電気車8などに供給する。また、駅舎1内には、各種の負荷7が動作する際に消費する電力の総和を示す負荷電力を検出するための電力検出部10が設けられている。本実施の形態では、電力検出部10は、例えば、電力計であって、駅舎1内に設けられる全ての負荷7で消費している電力の総和を負荷電力として検出している。
駅舎補助電源装置2の制御装置3は、運用中の電気車8で発電された回生電力を架線6経由で受け取って負荷7への供給電力に変換する必要があるか否かを架線電圧に基づいて判定し、必要と判断した場合にはインバータ4を制御して変換動作を実施させる。インバータ4は、スイッチング素子を含んで構成され、制御装置3からの指示に従って各スイッチング素子をオン/オフさせることにより、架線6から供給された第1の電力を負荷7へ供給するための第2の電力に変換する。電圧センサ5は、架線電圧を測定する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2の制御装置3の構成の一例を示す図である。制御装置3は、インターフェース部31、動作開始決定部32、記憶部33、電圧指令値算出部34、及び、PWM信号生成部35を備える。
インターフェース部31は、例えば、電圧センサ5から出力された架線電圧測定値(以下、「架線電圧」という)を周期的に(例えば、20ms毎に)取得し、架線電圧をA/D(Analog to Digital)変換する。また、インターフェース部31は、負荷7の動作状態を示す負荷状態情報を取得する。本実施の形態では、インターフェース部31は、負荷状態情報として、例えば、電力検出部10から出力された各種の負荷7が動作する際に消費している電力の総和である負荷電力を示す負荷電力情報を周期的に(例えば、20ms毎に)取得し、電力値をA/D(Analog to Digital)変換する。
動作開始決定部32は、インターフェース部31で取得した負荷状態情報に基づいて、架線6から供給される第1の電力である直流電力を負荷7で使用可能な第2の電力である交流電力に変換するために、インバータ4に変換動作を実施させるか否かを決定する。また、動作開始決定部32は、インターフェース部31で取得した架線電圧に基づいて、インバータ4に変換動作を実施させるか否かを決定する。動作開始決定部32は、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを決定した場合は、インバータ4に変換動作を実施させることを示す信号を生成して電圧指令値算出部34へ出力する。
記憶部33は、例えば、動作開始決定部32がインバータ4に電力変換動作させる否かを判定するために用いる第1の閾値及び第2の閾値を記憶している。第1の閾値は、電力検出部10から出力される負荷電力情報が示す負荷電力との比較に用いられるものである。第1の閾値は、例えば、交流系統から供給される高圧の交流電力を低圧の交流電力に変換して各種の負荷7に電力を供給するための変圧器9の容量に基づいて、予め設定されている。第1の閾値は、少なくとも変圧器9の容量以下の値に設定される。第2の閾値は、電圧センサ5から出力される架線電圧との比較に用いられるものである。第2の閾値は、電気車8から架線6に戻された回生電力を消費する負荷としての他の電気車8が少ない又は存在しない場合に、余剰となった余剰回生電力を駅舎1内の各種の負荷7に供給するために、インバータ4に変換動作を実施させるか否かの判定を行うための基準となる閾値である。
電圧指令値算出部34は、例えば、動作開始決定部32からインバータ4に変換動作を実施させることを示す信号が入力された場合に、その信号に応じた電圧指令値を算出する。電圧指令値算出部34は、算出した電圧指令値をPWM信号生成部35へ出力する。PWM信号生成部35は、電圧指令値算出部34から入力された電圧指令値に基づいて、インバータ4を制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2の動作開始決定部32による処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2の動作開始決定部32による処理の流れの一例について、図3のフローチャートを用いながら説明する。
図3に示すように、ステップS101において、動作開始決定部32は、インターフェース部31からデジタル信号に変換された架線電圧、及び、各種の負荷7が動作する際に消費している電力の合計を示す負荷電力の情報を取得する。次に、ステップS102において、動作開始決定部32は、ステップS101で取得した負荷電力が記憶部33に記憶されている第1の閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS102において、動作開始決定部32は、負荷電力が第1の閾値以上である(Yes)と判定した場合は、ステップS103において、インバータ4に変換動作を実施させることに決定する。そして、ステップS104において、動作開始決定部32は、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、及び、負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報を含む第1の信号を生成する。ステップS105において、動作開始決定部32は、生成した第1の信号を電圧指令値算出部34に出力する。
ステップS102において、動作開始決定部32は、負荷電力が第1の閾値以上ではない(No)と判定した場合は、ステップS106において、ステップS101で取得した架線電圧が記憶部33に記憶されている第2の閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS106において、動作開始決定部32は、架線電圧が第2の閾値以上である(Yes)と判定した場合は、ステップS107において、インバータ4に変換動作を実施させることに決定する。そして、ステップS108において、動作開始決定部32は、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、及び、余剰回生電力が発生していることを示す余剰回生電力発生情報を含む第2の信号を生成する。ステップS109において、動作開始決定部32は、生成した第2の信号を電圧指令値算出部34に出力する。
ステップS106において、動作開始決定部32は、架線電圧が第2の閾値以上ではない(No)と判定した場合は、ステップS110において、インバータ4が変換動作を実施中であるか否かを判定する。ステップ110において、動作開始決定部32は、インバータ4が変換動作を実施中である(Yes)と判定した場合は、ステップS111において、インバータ4の変換動作を停止することを決定する。ステップS112において、動作開始決定部32は、インバータ4が変更動作を実施していた時は、第1の信号及び第2の信号の生成及び出力を停止する。
ステップS110において、動作開始決定部32は、インバータ4が変換動作を実施中でない(No)と判定した場合は、ステップS113において、インバータ4に変換動作を実施させないことを決定する。尚、動作開始決定部32では、例えば、架線電圧及び負荷電力を取得する毎にステップS102以降の処理を繰り返し行う。
図4は、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2の電圧指令値算出部34による処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2の電圧指令値算出部34による処理の流れの一例について、図4のフローチャートを用いながら説明する。
図4に示すように、ステップS201において、電圧指令値算出部34は、動作開始決定部32から第1の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS201において、電圧指令値算出部34は、第1の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、例えば、ステップS202において、第1の信号に含まれる負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報に基づいて、電圧指令値を算出する。つまり、駅舎1内の負荷7側で第1の閾値に対して、どのくらい電力が不足しているかを考慮した電圧指令値を算出する。そして、ステップS203において、電圧指令値算出部34は、ステップS202で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35へ出力する。
また、ステップS201において、電圧指令値算出部34は、第1の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、S204において、動作開始決定部32から第2の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS204において、電圧指令値算出部34は、第2の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、S205において、第2の信号に含まれる余剰回生電力発生情報に基づいて、余剰回生電力が発生していることを認識し、例えば、予め設定されている余剰回生電力発生時に駅舎補助電源装置2で吸収する設定電力値に基づいて、電圧指令値を算出する。そして、ステップS203において、電圧指令値算出部34は、ステップS205で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35へ出力する。また、ステップS204において、電圧指令値算出部34は、第2の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、ステップS201以降の処理を繰り返し行う。
図5は、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2のPWM信号生成部35による処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2のPWM信号生成部35による処理の流れの一例について、図5のフローチャートを用いながら説明する。
図5に示すように、ステップS301において、PWM信号生成部35は、電圧指令値算出部34から電圧指令値が入力される。ステップS302において、PWM信号生成部35は、ステップS301で入力された電圧指令値に基づいて、インバータ4の変換動作を制御するPWM信号を生成する。そして、ステップS303において、PWM信号生成部35は、ステップS302で生成したPWM信号をインバータ4へ出力する。インバータ4は、PWM信号生成部35から入力されたPWM信号に基づいて、変換動作を実施する。
尚、本発明の実施形態1に係る駅舎補助電源装置2の動作開始決定部32では、駅舎1内に設けられる全ての負荷7で消費している電力の総和である負荷電力と第1の閾値を比較して、インバータ4に変換動作を実行させるか否かを決定する例を示している。しかしながら、駅舎補助電源装置2では、動作開始決定部32による処理の際に、駅舎1内に設けられる全ての負荷7で消費している電力の総和である負荷電力を必ずしも用いる必要はなく、予め設定されている特定の複数の負荷7で消費している電力の総和である負荷電力、又は、予め設定されている特定の1つの負荷7で消費している負荷電力を用いるようにしても良い。例えば、駅舎補助電源装置2では、ほぼ常時動作している照明装置及び空調装置等の負荷7以外を特定の負荷7として予め設定しておき、動作開始決定部32では、照明装置及び空調装置等の負荷7以外の特定の負荷7で消費している電力の総和である負荷電力を予め設定している閾値と比較するようにしても良い。尚、特定の複数の負荷7で消費している電力の総和である負荷電力、又は、特定の1つの負荷7で消費している負荷電力と比較を行う閾値は、特定の負荷7の種類等に応じて適宜設定すれば良く、特に限定されるものではない。但し、特定の複数の負荷7で消費している電力の総和である負荷電力、及び、特定の1つの負荷7で消費している負荷電力は、全ての負荷7で消費している電力の総和である負荷電力よりは低くなることが予想される。そのため、特定の複数の負荷7で消費している電力の総和である負荷電力と比較を行う閾値、及び、特定の1つの負荷7で消費している負荷電力と比較を行う閾値は、全ての負荷7で消費している電力の総和である負荷電力と比較を行う第1の閾値よりもそれぞれ低く設定されることが好ましい。
また、本発明の実施形態1に係る駅舎補助電源装置2では、負荷状態情報として、電力検出部10から出力された各種の負荷7が動作する際に消費している電力の総和である負荷電力を示す負荷電力情報を取得している例を示している。しかしながら、駅舎補助電源装置2では、負荷電力情報を、必ずしも電力検出部10を用いて取得する必要はなく、例えば、負荷7が動作することを示す起動情報、及び、負荷7の動作に必要となる電力を示す負荷電力情報を含めた情報を負荷状態情報として、各種の負荷7から制御装置3が取得するようにしても良い。その場合、制御装置3の動作開始決定部32は、例えば、各種の負荷7から取得した負荷状態情報に含まれるそれぞれの負荷電力情報が示すそれぞれの負荷電力を積算処理し、第1の閾値と比較する。
また、駅舎補助電源装置2は、例えば、記憶部33に予め各種の負荷7が動作する際に必要となる負荷電力を示す負荷電力情報を記憶しておき、負荷7を動作させるための起動情報を負荷状態情報として各種の負荷7から取得するようにしても良い。その場合、制御装置3の動作開始決定部32は、取得した各種の起動情報に該当するそれぞれの負荷7の負荷電力情報を記憶部33から抽出して、それぞれの負荷電力情報が示すそれぞれの負荷電力を積算処理し、第1の閾値と比較する。
また、本発明の実施形態1に係る駅舎補助電源装置2では、動作開始決定部32は、負荷電力が第1の閾値以上であると判定した場合に、第1の閾値との差を示す不足電力情報を含む第1の信号を生成し、電圧指令値算出部34に出力している。また、電圧指令値算出部34は、動作開始決定部32から第1の信号が入力された場合は、第1の信号に含まれる第1の閾値との差す不足電力情報に基づいて、電圧指令値を算出している。しかしながら、動作開始決定部32は、必ずしも、第1の閾値との差を示す不足電力情報を第1の信号に含める必要はなく、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報のみを第1の信号に含めるようにしても良い。その場合、電圧指令値算出部34は、例えば、予め設定されている駅舎補助電源装置2で吸収する設定電力値に基づいて、電圧指令値を算出すれば良い。
本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2によれば、架線6から供給される第1の電力を駅舎1内に設けられる負荷7で使用可能な第2の電力に変換する第1の電力変換部であるインバータ4と、負荷7の動作状態を示す負荷状態情報に基づいて、インバータ4に変換動作を実施させるか否かを決定する動作開始決定部32と、を備えているので、余剰回生電力の有無にかかわらず、駅舎内の負荷7への電力の供給を補うことができる。
本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2によれば、負荷状態情報は、負荷7が消費する負荷電力を示す負荷電力情報を含み、動作開始決定部32は、負荷電力情報が示す負荷電力が予め設定されている第1の閾値を超えた場合は、第1の電力変換部に変換動作を実施させることを決定するので、負荷電力が第1の閾値を超えた場合は、余剰回生電力の有無にかかわらず、駅舎1内の負荷7への電力の供給を補うことができる。
本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2によれば、負荷電力情報は、駅舎1内に設けられる複数の負荷7が消費する負荷電力の総和を示す情報であるので、複数の負荷7が消費する負荷電力の総和が第1の閾値を超えた場合は、余剰回生電力の有無にかかわらず、駅舎1内の負荷7への電力の供給を補うことができる。
本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2によれば、負荷電力情報が示す負荷電力が第1の閾値を超えた場合に、負荷電力情報が示す負荷電力と第1の閾値との差に基づいて、電圧指令値を算出する電圧指令値算出部34と、電圧指令値に基づいて、第1の電力変換部であるインバータ4に変換動作を実施させる制御信号を生成する制御信号生成部であるPWM信号生成部35と、を備えているので、駅舎1内の負荷7側で不足する分の電力を効率的に供給することができる。
本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2によれば、第1の閾値は、交流系統から供給される高圧の交流電力を低圧の交流電力に変換して駅舎1内の負荷7に電力を供給するための変圧器9の容量以下に設定されているので、駅舎1内の負荷7側の電力が不足して負荷7の動作に支障をきたす前に、駅舎1内の負荷7へ電力を供給することができる。
本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2によれば、動作開始決定部32は、負荷電力情報が示す負荷電力が第1の閾値を超えていない場合は、架線6の電圧が予め設定されている第2の閾値を超えているか否かを判定し、架線6の電圧が第2の閾値を超えている場合は、第1の電力変換部に変換動作を実施させることを決定するので、余剰回生電力も有効に駅舎1内の負荷7に供給することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aについて説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aを含む鉄道システムの構成の一例を示す図である。尚、本発明の実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2と同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6に示すように、実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aでは、予め設定されている特定の負荷7から負荷状態情報が入力される。特定の負荷7としては、例えば、駅舎1内のホームに設けられる複数のホームドア等が設定される。複数のホームドアは、動作時にそれぞれに設けられるモータが同時に動作するため、消費電力が一時的に急増する。そのため、他の駅舎1内の負荷7に比べて、電力変動が大きいため、一時的に駅舎1内の負荷7側の電力が不足する場合が考えられる。尚、特定の負荷7は、ホームドアに限定されるものではなく、例えば、駅舎1内に新たに設置された電気設備を特定の負荷7として設定するようにしても良い。また、特定の負荷7は、1種類の負荷7に限定されるものではなく、複数の種類の負荷7を特定の負荷7として設定しても良い。また、負荷状態情報としては、例えば、特定の負荷7が動作することを示す起動情報等が用いられる。
図7は、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aの制御装置3aの構成の一例を示す図である。図7に示すように、制御装置3aは、インターフェース部31a、動作開始決定部32a、記憶部33a、電圧指令値算出部34a、及び、PWM信号生成部35aを備えている。
インターフェース部31aは、例えば、電圧センサ5から出力された架線電圧測定値(以下、「架線電圧」という)を周期的に(例えば、20ms毎に)取得し、架線電圧をA/D(Analog to Digital)変換する。
動作開始決定部32aは、特定の負荷7から取得した負荷状態情報に基づいて、架線6から供給される第1の電力である直流電力を負荷7で使用可能な第2の電力である交流電力に変換するために、インバータ4に変換動作を実施させるか否かを決定する。また、動作開始決定部32aは、インターフェース部31aで取得した電圧に基づいて、インバータ4に変換動作を実施させるか否かを決定する。動作開始決定部32aは、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを決定した場合は、インバータ4に変換動作を実施させることを示す信号を生成して電圧指令値算出部34aへ出力する。
記憶部33aは、例えば、特定の負荷7が動作する際に必要となる負荷電力を示す負荷電力情報、及び、動作開始決定部32aがインバータ4に電力変換動作させる否かを判定するために用いる架線電圧閾値情報等を記憶している。架線電圧閾値は、第1の実施形態に係る駅舎補助電源装置2の記憶部33aに記憶されている第2の閾値と同様に、電気車8から架線6に戻された回生電力を消費する負荷としての他の電気車8が少ない又は存在しない場合に、余剰となった余剰回生電力を駅舎1内の各種の負荷7に供給するために、インバータ4に変換動作を実施させるか否かの判定を行うための基準となる閾値である。
電圧指令値算出部34aは、例えば、動作開始決定部32aからインバータ4に変換動作を実施させることを示す信号が入力された場合に、その信号に応じた電圧指令値を算出する。電圧指令値算出部34aは、算出した電圧指令値をPWM信号生成部35aへ出力する。PWM信号生成部35aは、電圧指令値算出部34aから入力された電圧指令値に基づいて、インバータ4を制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aの動作開始決定部32aによる処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aの動作開始決定部32aによる処理の流れの一例について、図8のフローチャートを用いながら説明する。
図8に示すように、ステップS401において、動作開始決定部32aは、特定の負荷7から負荷状態情報として起動情報を取得したか否かを判定する。ステップS401において、動作開始決定部32aは、特定の負荷7から起動情報を取得した(Yes)と判定した場合は、ステップS402において、インバータ4に変換動作を実施させることに決定する。
ステップS403において、動作開始決定部32aは、第3の信号を生成する。動作開始決定部32aは、例えば、ステップS401で取得した負荷状態情報である特定の負荷7の起動情報に基づいて、記憶部33aに記憶されている特定の負荷7の負荷電力情報を取得する。そして、動作開始決定部32aは、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、及び、記憶部33aから取得した特定の負荷7の負荷電力情報を含む第3の信号を生成する。ステップS404において、動作開始決定部32aは、生成した第3の信号を電圧指令値算出部34aに出力する。
ステップS401において、動作開始決定部32aは、特定の負荷7から起動情報を取得していない(No)と判定した場合は、ステップS405において、インターフェース部31aからデジタル信号に変換された架線電圧を取得する。次に、ステップS406において、動作開始決定部32aは、ステップS405で取得した架線電圧が記憶部33aに記憶されている架線電圧閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS406において、動作開始決定部32aは、架線電圧が架線電圧閾値以上である(Yes)と判定した場合は、ステップS407において、インバータ4に変換動作を実施させることに決定する。そして、ステップS408において、動作開始決定部32aは、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、及び、余剰回生電力が発生していることを示す余剰回生電力発生情報を含む第4の信号を生成する。ステップS409において、動作開始決定部32aは、生成した第4の信号を電圧指令値算出部34aに出力する。
ステップS406において、動作開始決定部32aは、架線電圧が架線電圧閾値以上ではない(No)と判定した場合は、ステップS410において、インバータ4が変換動作を実施中であるか否かを判定する。ステップ410において、動作開始決定部32aは、インバータ4が変換動作を実施中である(Yes)と判定した場合は、ステップS411において、インバータ4の変換動作を停止することを決定する。ステップS412において、動作開始決定部32aは、インバータ4が変更動作を実施していた時は、第3の信号及び第4の信号の生成及び出力を停止する。
ステップS410において、動作開始決定部32aは、インバータ4が変換動作を実施中でない(No)と判定した場合は、ステップS413において、インバータ4に変換動作を実施させないことを決定する。尚、動作開始決定部32aでは、周期的にステップS401からの処理を繰り返し行う。
図9は、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aの電圧指令値算出部34aによる処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aの電圧指令値算出部34aによる処理の流れの一例について、図9のフローチャートを用いながら説明する。
図9に示すように、ステップS501において、電圧指令値算出部34aは、動作開始決定部32aから第3の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS501において、電圧指令値算出部34aは、第3の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、例えば、ステップS502において、第3の信号に含まれる特定の負荷7の負荷電力情報に基づいて、電圧指令値を算出する。つまり、電圧指令値算出部34aは、特定の負荷7が動作する際に必要となる負荷電力を考慮した電圧指令値を算出する。そして、ステップS503において、電圧指令値算出部34aは、ステップS502で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35aへ出力する。
また、ステップS501において、電圧指令値算出部34aは、第3の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、S504において、動作開始決定部32aから第4の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS504において、電圧指令値算出部34aは、第4の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、S505において、第4の信号に含まれる余剰回生電力発生情報に基づいて、余剰回生電力が発生していることを認識し、例えば、予め設定されている余剰回生電力発生時に駅舎補助電源装置2aで吸収する設定電力値に基づいて、電圧指令値を算出する。そして、ステップS503において、電圧指令値算出部34aは、ステップS505で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35aへ出力する。また、ステップS504において、電圧指令値算出部34aは、第4の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、ステップS501以降の処理を繰り返し行う。尚、実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aのPWM信号生成部35aによる処理は、図5に示す実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2のPWM信号生成部35による処理と同様であるので、詳細な説明については省略する。
尚、本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aでは、負荷状態情報として、特定の負荷7から起動情報が入力される例を示している。しかしながら、負荷状態情報は、これに限定されるものではなく、例えば、特定の負荷7がホームドアの場合には、ホームドアが設けられている駅舎1内に進入して停止する電気車8の位置情報を負荷状態情報として取得しても良い。その場合、動作開始決定部32aは、例えば、電気車8の位置情報に基づいて、電気車8が予め設定されている特定の位置に到達したことを検出した場合に、第3の信号を生成する。尚、特定の位置は、電気車の停止位置よりも手前に設定される。ホームドアは、電気車8が駅舎1内の停止位置に停止した後に開閉動作を開始する。そのため、駅舎補助電源装置2aは、電気車8の停止位置よりも手前の特定の位置に電気車8が到達した時点で、インバータ4に変換動作を実施することで、電気車8が停止してホームドアの開閉動作が実施される前に駅舎1内の負荷7側に電力の供給を行うことができるので、一時的に駅舎1内の負荷7側で電力が不足することを確実に防止することができる。
尚、駅舎補助電源装置2aが電気車8の位置情報を取得する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、電気車8に設けられる車上制御装置で生成される電気車8の位置情報を無線通信により、駅舎補助電源装置2aが直接受信するようにしても良い。また、駅舎補助電源装置2aは、電気車8の位置情報を、車上制御装置から無線通信により地上制御装置へ送信された後に、有線又は無線により受信するようにしても良い。また、駅舎補助電源装置2aは、電気車8の位置情報ではなく、電気車8が特定の位置に到達したことを示す情報を受信するようにしても良い。駅舎補助電源装置2aは、例えば、電気車8の停止位置よりも手前に設けられる地上子の位置を特定の位置に設定し、電気車8が地上子に到達した際に、地上子から電気車8が特定の位置に到達したことを示す情報を取得するようにしても良い。その場合は、動作開始決定部32aは、電気車8の位置情報に基づいて、電気車8が予め設定されている特定の位置に到達したことを検出する必要はなく、電気車8が特定の位置に到達したことを示す情報を取得した時点で、第3の信号を生成すれば良い。
また、特定の負荷7としては、例えば、エレベータ又はエスカレーターであっても良い。特定の負荷7がエレベータの場合には、例えば、利用者によって操作ボタンが押されたことによって動作を開始することを示す起動情報を負荷状態情報としても良い。特定の負荷7がエスカレーターの場合には、例えば、エスカレーターが待機状態の場合から、人感センサが利用者を検知して動作を開始することを示す起動情報を負荷状態情報としても良い。
また、実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aは、実施形態1に係る駅舎補助電源装置2と組み合わせることも可能である。例えば、駅舎補助電源装置2aも実施の形態1に係る駅舎補助電源装置2と同様に電力検出部10から各種の負荷7が消費している電力の総和を示す負荷電力を取得しするようにしても良い。その場合、駅舎補助電源装置2aの動作開始決定部32aでは、例えば、図8に示すステップS401における特定の負荷7の負荷状態情報として起動情報を取得したか否かの判定とは、別に図3に示すステップS102における負荷電力が第1の閾値以上である否かの判定も含めるようにする。つまり、動作開始決定部32aは、特定の負荷7の起動情報を取得してない場合でも、負荷電力が第1の閾値以上であれば、図3のステップS103~S105に示すように、インバータ4に変換動作を実施させることを決定し、第1の信号を生成して出力する。また、動作開始決定部32aは、負荷電力が第1の閾値未満の場合でも、特定の負荷7の起動情報を取得した場合は、図8のステップS402~S404に示すように、インバータ4に変換動作を実施させることを決定し、第3の信号を生成して出力する。また、動作開始決定部32aは、特定の負荷7の起動情報を取得しており、且つ、負荷電力が第1の閾値以上である場合で、電圧検出部10が検出する負荷電力に特定の負荷7の負荷電力も含まれている場合は、第1の信号を生成して出力すれば良い。また、動作開始決定部32aは、例えば、特定の負荷7の起動情報を取得しており、且つ、負荷電力が第1の閾値以上である場合で、電圧検出部10が検出する負荷電力に特定の負荷7の負荷電力が含まれていない場合は、記憶部33aから取得した特定の負荷7の負荷電力情報、及び、負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報を含む信号を生成するようにしても良い。その場合、電圧指令値算出部34aは、特定の負荷7の負荷電力情報、及び、負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報に基づいて、電圧指令値を算出する。
本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電装置2aによれば、動作開始決定部32aは、予め設定されている特定の負荷7の負荷状態情報が入力された場合に第1の電力変換部であるインバータ4に変換動作を実施させることを決定するので、余剰回生電力の有無にかかわらず、駅舎1の負荷7側への電力の供給を行うことができ、駅舎1内の特定の負荷7の動作に伴って電力が不足することを防止できる。
本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電装置2aによれば、特定の負荷7は、駅舎1内に設けられるホームドアであるので、ホームドアの動作時に、消費電力が一時的に急増した場合にも、余剰回生電力の有無にかかわらず、駅舎1の負荷7側への電力の供給を行うことができ、ホームドアの動作に伴って電力が不足することを防止できる。
本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電装置2aによれば、負荷状態情報は、ホームドアが設けられている駅舎1内に進入して停止する電気車8の位置情報であって、動作開始決定部32aは、位置情報に基づいて、第1の電力変換部であるインバータ4に変換動作を実施させることを決定するので、電気車8が停止してホームドアの開閉動作が行われる前に、インバータ4に変換動作を実施させることができる。これにより、駅舎補助電装置2aでは、ホームドアの開閉動作が行われる前に駅舎1内の負荷7側に電力の供給を行うことができるので、ホームドアの開閉動作に伴って一時的に駅舎1内の負荷7側で電力が不足することを確実に防止できる。
本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電装置2aによれば、特定の負荷7が動作する際に必要となる負荷電力を示す負荷電力情報を記憶する記憶部33aを備え、動作開始決定部32aが、第1の電力変換部であるインバータ4に変換動作を実施させることを決定した場合に、負荷電力情報に基づいて、電圧指令値を算出する電圧指令値算出部34aと、電圧指令値に基づいて、インバータ4に変換動作を実施させる制御信号を生成する制御信号生成部であるPWM信号生成部35aと、を備えているので、特定の負荷7の動作に伴って駅舎1内の負荷7側で不足する虞のある分の電力を効率的に供給することができる。
本発明の実施の形態2に係る駅舎補助電装置2aによれば、動作開始決定部32aは、特定の負荷7の負荷状態情報が入力されていない場合は、架線6の電圧が予め設定されている架線電圧閾値を超えているか否かを判定し、架線6の電圧が架線電圧閾値を超えている場合は、第1の電力変換部であるインバータ4に変換動作を実施させることを決定するので、余剰回生電力も有効に駅舎1内の負荷7に供給することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bについて説明する。図10は、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bを含む鉄道システムの構成の一例を示す図である。尚、本発明の実施の形態1または2に係る駅舎補助電源装置2、2aと同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10に示すように、実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2bでは、実施の形態1に係る駅舎補助電源装置1の構成に加えて、架線6から供給される余剰回生電力を貯蔵する蓄電部11と、架線6と蓄電部11との間に設けられ、余剰回生電力を電力変換して蓄電部11に供給するコンバータ(第2の電力変換部)12と、蓄電部11の充電量を検出する充電量検出部13とを更に備えている。
図11は、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bの制御装置3bの構成の一例を示す図である。図11に示すように、制御装置3bは、インターフェース部31b、動作開始決定部32b、記憶部33b、電圧指令値算出部34b、及び、PWM信号生成部35bを備えている。
インターフェース部31bは、例えば、電圧センサ5から出力された架線電圧測定値(以下、「架線電圧」という)を周期的に(例えば、20ms毎に)取得し、架線電圧をA/D(Analog to Digital)変換する。また、インターフェース部31bは、負荷7の動作状態を示す負荷状態情報を取得する。本実施の形態では、インターフェース部31bは、負荷状態情報として、例えば、電力検出部10から出力された各種の負荷7が動作する際に消費している電力の総和である負荷電力を示す負荷電力情報を周期的に(例えば、20ms毎に)取得し、電力値をA/D(Analog to Digital)変換する。また、インターフェース部31bは、充電量検出部13から蓄電部11に充電されている充電量を示す充電量情報を取得する。
動作開始決定部32bは、例えば、インターフェース部31bで取得した負荷状態情報及び充電量情報に基づいて、架線6から供給される第1の電力である直流電力を負荷7で使用可能な第2の電力である交流電力に変換する、又は、蓄電部11に貯蔵されている充電電力を負荷7で使用可能な交流電力に変換するために、インバータ4に変換動作を実施させるか否かを決定する。また、動作開始決定部32bは、インターフェース部31bで取得した架線電圧及び充電量情報に基づいて、インバータ4又はコンバータ12に変換動作を実施させるか否かを決定する。動作開始決定部32bは、例えば、インバータ4又はコンバータ12に変換動作を実施させることを決定した場合は、インバータ4又はコンバータ12に変換動作を実施させることを示す信号を生成して電圧指令値算出部34bへ出力する。
記憶部33bは、例えば、動作開始決定部32bがインバータ4又はコンバータ12に変換動作させる否かを判定するために用いる第1の閾値、第2の閾値、及び、充電量閾値を記憶している。第1の閾値は、電力検出部10から出力される負荷電力情報が示す負荷電力との比較に用いられるものである。充電量閾値は、蓄電部11の容量等に応じて予め設定されており、充電量検出部13から出力される蓄電部11の充電量との比較に用いられるものである。
電圧指令値算出部34bは、例えば、動作開始決定部32bからインバータ4又はコンバータ12に変換動作を実施させることを示す信号が入力された場合に、その信号に応じた電圧指令値を算出する。電圧指令値算出部34bは、算出した電圧指令値をPWM信号生成部35bへ出力する。PWM信号生成部35bは、例えば、電圧指令値算出部34bから入力された電圧指令値に基づいて、インバータ4又はコンバータ12を制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。
図12及び図13は、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bの動作開始決定部32bによる処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bの動作開始決定部32bによる処理の流れの一例について、図12及び図13のフローチャートを用いながら説明する。
図12に示すように、ステップS601において、動作開始決定部32bは、インターフェース部31aからデジタル信号に変換された架線電圧、各種の負荷7が動作する際に消費している電力の合計を示す負荷電力情報、及び、蓄電部11に充電されている充電量を示す充電量情報を取得する。次に、ステップS602において、動作開始決定部32bは、ステップS601で取得した負荷電力が記憶部33bに記憶されている第1の閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS602において、動作開始決定部32bは、負荷電力が第1の閾値以上である(Yes)と判定した場合は、ステップS603において、充電量が記憶部33bに記憶されている充電閾値以上であるか否かを判定する。ステップ603において、動作開始決定部32bは、充電量が充電閾値以上である(Yes)と判定した場合は、S604において、蓄電部11から駅舎1内の負荷7側に電力を供給するようにインバータ4に変換動作を実施させることに決定する。そして、ステップS605において、動作開始決定部32bは、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、蓄電部11から電力を供給することを示す情報、及び、負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報を含む第5の信号を生成する。ステップS606において、動作開始決定部32bは、生成した第5の信号を電圧指令値算出部34bに出力する。
ステップ603において、動作開始決定部32bは、充電量が充電閾値以上ではない(No)と判定した場合は、S607において、架線6から駅舎1内の負荷7側に電力を供給するようにインバータ4に変換動作を実施させることを決定する。そして、ステップS608において、動作開始決定部32bは、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、架線6から電力を供給することを示す情報、及び、負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報を含む第6の信号を生成する。ステップS609において、動作開始決定部32bは、生成した第6の信号を電圧指令値算出部34bに出力する。
ステップS602において、動作開始決定部32bは、負荷電力が第1の閾値以上ではない(No)と判定した場合は、ステップS610において、架線電圧が記憶部33bに記憶されている第2の閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS610において、動作開始決定部32bは、架線電圧が第2の閾値以上である(Yes)と判定した場合は、ステップS611において、架線6からの余剰回生電力を用いて、蓄電部11を充電すると共に、駅舎1内の負荷7側に電力を供給するように、インバータ4及びコンバータ12に変換動作を実施させることに決定する。そして、ステップS612において、動作開始決定部32bは、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、コンバータ12に変換動作を実施させることを示す情報、及び、余剰回生電力が発生していることを示す余剰回生電力発生情報を含む第7の信号を生成する。ステップS613において、動作開始決定部32bは、生成した第7の信号を電圧指令値算出部34bに出力する。尚、ステップS611では、蓄電部11の充電量が満充電の状態になった場合は、蓄電部11への充電は行わずに、駅舎1内の負荷7側に電力を供給するようにインバータ4に変換動作を実施させることを決定する。
ステップS610において、動作開始決定部32bは、架線電圧が第2の閾値以上ではない(No)と判定した場合は、図13に示すステップS614において、蓄電部11の充電量が記憶部33bに記憶されている充電閾値以上であるか否かを判定する。尚、図13は、図12のステップS610の処理において、動作開始決定部32bが、架線電圧は第2の閾値以上ではない(No)と判定した後の処理Aの詳細を示すものである。
ステップS614において、動作開始決定部32bは、蓄電部11の充電量が充電閾値以上である(Yes)と判定した場合は、S615において、蓄電部11から駅舎1内の負荷7側に電力を供給するようにインバータ4に変換動作を実施させることに決定する。そして、ステップS616において、動作開始決定部32bは、例えば、インバータ4に変換動作を実施させることを示す情報、及び、蓄電部11から電力を供給することを示す情報を含む第8の信号を生成する。ステップS617において、動作開始決定部32bは、生成した第8の信号を電圧指令値算出部34bに出力する。
ステップS614において、動作開始決定部32bは、蓄電部11の充電量が充電閾値以上ではない(No)と判定した場合は、S618において、インバータ4又はコンバータ12が変換動作を実施中であるか否かを判定する。ステップS618において、動作開始決定部32bは、インバータ4及びコンバータ12の少なくともいずれかが変換動作を実施中である(Yes)と判定した場合は、ステップS619において、インバータ4及びコンバータ12の変換動作を停止することを決定する。ステップS620において、動作開始決定部32bは、インバータ4及びコンバータ12の少なくともいずれかが変換動作を実施していた時は、第5~第8の信号の生成及び出力を停止する。
ステップS618において、動作開始決定部32bは、インバータ4及びコンバータ12いずれも変換動作を実施していない(No)と判定した場合は、インバータ4及びコンバータ12に変換動作を実施させないことを決定する。尚、動作開始決定部32bでは、例えば、架線電圧及び負荷電力を取得する毎にステップS602以降の処理を繰り返し行う。また、充電量検出部13からの充電量情報の取得は、図12に示すステップS602とS603の間、及び、ステップS610と図13に示すステップS614の間に行うようにしても良い。また、ステップS603及びステップS614の判定では、同じ充電閾値を用いているが、異なる充電閾値をそれぞれ用いて判定を行うようにしても良い。
図14は、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bの電圧指令値算出部34bによる処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bの電圧指令値算出部34bによる処理の流れの一例について、図14のフローチャートを用いながら説明する。
図14に示すように、ステップS701において、電圧指令値算出部34bは、動作開始決定部32bから第5の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS701において、電圧指令値算出部34bは、第5の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、例えば、ステップS702において、第5の信号に基づいて、電圧指令値を算出する。第5の信号に基づく電圧指令値は、蓄電部11から駅舎1内の負荷7側へ電力を供給するようにインバータ4の変換動作を実施させるためのものであって、負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報に基づいて、算出される。そして、ステップS703において、電圧指令値算出部34bは、ステップS702で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35bへ出力する。
ステップS701において、電圧指令値算出部34bは、第5の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、S704において、動作開始決定部32bから第6の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS704において、電圧指令値算出部34bは、第6の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、S705において、第6の信号に基づいて、電圧指令値を算出する。第6の信号に基づく電圧指令値は、架線6から駅舎1内の負荷7側へ電力を供給するようにインバータ4の変換動作を実施させるためのものであって、負荷電力と第1の閾値との差を示す不足電力情報に基づいて、算出される。そして、ステップS703において、電圧指令値算出部34bは、ステップS705で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35bへ出力する。
ステップS704において、電圧指令値算出部34bは、第6の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、S706において、動作開始決定部32bから第7の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS706において、電圧指令値算出部34bは、第7の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、S707において、第7の信号に基づいて、電圧指令値を算出する。第7の信号に基づく電圧指令値は、余剰回生電力を蓄電部11に充電すると共に、駅舎1内の負荷7側へ電力を供給するようにインバータ4及びコンバータ12の変換動作を実施させるためのものであって、例えば、予め設定されている余剰回生電力発生時に駅舎補助電源装置2bで吸収する設定電力値に基づいて、算出される。そして、ステップS703において、電圧指令値算出部34bは、ステップS707で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35bへ出力する。
ステップS706において、電圧指令値算出部34bは、第7の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、S708において、動作開始決定部32bから第8の信号が入力されたか否かを判定する。ステップS708において、電圧指令値算出部34bは、第8の信号が入力された(Yes)と判定した場合は、S709において、第8の信号に基づいて、電圧指令値を算出する。第8の信号に基づく電圧指令値は、蓄電部11から駅舎1内の負荷7側へ電力を供給するようにインバータ4の変換動作を実施させるためのものであって、例えば、予め設定されている設定電力値に基づいて、算出される。そして、ステップS703において、電圧指令値算出部34bは、ステップS709で算出した電圧指令値をPWM信号生成部35bへ出力する。また、ステップS708において、電圧指令値算出部34は、第8の信号が入力されていない(No)と判定した場合は、ステップS701以降の処理を繰り返し行う。
図15は、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bのPWM信号生成部35bによる処理の一例を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bのPWM信号生成部35bによる処理の流れの一例について、図15のフローチャートを用いながら説明する。
図15に示すように、ステップS801において、PWM信号生成部35bは、電圧指令値算出部34bから電圧指令値が入力される。ステップS802において、PWM信号生成部35bは、ステップS801で入力された電圧指令値に基づいて、インバータ4又はコンバータ12の変換動作を制御するPWM信号を生成する。そして、ステップS303において、PWM信号生成部35bは、ステップS302で生成したPWM信号をインバータ4又はコンバータ12へ出力する。インバータ4及びコンバータは、PWM信号生成部35bから入力されたPWM信号に基づいて、変換動作を実施する。
尚、本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電源装置2bのように架線6から供給される余剰回生電力を貯蔵する蓄電部11と、架線6と蓄電部11との間に設けられ、余剰回生電力を電力変換して蓄電部11に供給するコンバータ(第2の電力変換部)12と、蓄電部11の充電量を検出する充電量検出部13とを備える構成は、実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aにも適用可能である。その場合、実施の形態2に係る駅舎補助電源装置2aの記憶部33aには、動作開始決定部31aが充電量検出部13から出力される充電量との比較に用いるための充電量閾値を記憶しておく。
また、動作開始決定部31aは、例えば、図8に示すステップS401とステップS402との間で、蓄電量が充電量閾値以上か否かであるかを判定するようにすれば良い。そして、動作開始決定部31aは、特定の負荷7から負荷状態情報を取得した場合で、且つ、充電量が充電量閾値以上の場合は、蓄電部11から駅舎1内の負荷7側に電力を供給するようにインバータ4の変換動作を実施させることを決定する。動作開始決定部31aは、特定の負荷7から負荷状態情報を取得した場合で、且つ、充電量が充電量閾値未満の場合は、架線6から駅舎1内の負荷7側に電力を供給するようにインバータの変換動作を実施させることを決定する。これにより、駅舎補助電源装置2bでは、蓄電部11の充電量が充電量閾値以上の場合は、余剰回生電力が発生していない場合でも、架線6側の電力を使用することなく、駅舎1内の負荷7への電力の供給を補うことができる。
本発明の実施の形態3に係る駅舎補助電装置2bによれば、架線6から供給される余剰回生電力を貯蔵する蓄電部11と、架線6と蓄電部11との間に設けられ、架線6の電圧が第2の閾値を超えている場合に、余剰回生電力を電力変換して蓄電部11に供給する第2の電力変換部であるコンバータ12と、蓄電部11の充電量を検出する充電量検出部13と、を備え、動作開始決定部31bは、負荷電力情報が示す負荷電力が第1の閾値を超えた場合は、充電量検出部13によって検出された充電量が予め設定されている充電量閾値以上か否かを判定し、充電量が充電量閾値以上の場合は、蓄電部11から負荷7に電力を供給するようにインバータ4に変換動作を実施させることを決定し、充電量が充電量閾値未満の場合は、架線6から負荷7に電力を供給するようにインバータ4に変換動作を実施させることを決定するので、余剰回生電力の有無にかかわらず、駅舎1内の負荷7への電力の供給を補うことができる。また、蓄電部11の充電量が充電量閾値以上の場合は、余剰回生電力が発生していない場合でも、架線6側の電力を使用することなく、駅舎1内の負荷7への電力の供給を補うことができる。
尚、本発明の実施の形態1~3に係る駅舎補助電源装置2~2bの制御装置3~3bは、例えば、プロセッサとメモリを備え、各部の動作はソフトウエアによって実現することができる。図16は、本発明の実施の形態1~3に係る駅舎補助電源装置2~2bの制御装置3~3bを実現するハードウエア構成の一例を示す図である。図16に示すように、本発明の実施の形態1~3に係る駅舎補助電源装置2~2bの制御装置3~3bは、プロセッサ91及びメモリ92を備えており、プロセッサ91及びメモリ92は、システムバス93により接続されている。プロセッサ91は、入力されたデータを用いてソフトウエアによる演算及び制御を行い、メモリ92は入力されたデータまたはプロセッサ91が演算及び制御を行うために必要なデータやプログラムの記憶を行う。尚、プロセッサ91及びメモリ92は、それぞれ複数設けられていても良い。
また、本発明の実施の形態1~3に係る駅舎補助電源装置2~2bでは、直流架線6からの電力を駅舎1内の負荷7側に供給する例を示しているが、直流架線6に限定されるものではなく、本発明は、交流架線にも適用可能である。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲において、各実施の形態を適宜変更、省略したりすることができる。