以下、この発明の実施の形態に係る流量測定装置について、図面を用いて説明する。ここで、各図において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。各実施の形態に記載された流量測定装置は、あくまでも例示であり、各実施の形態に記載された流量測定装置に本発明が限定されない。各図において、各構成部材の寸法、形状などは、実際の寸法、形状などと異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る流量測定装置が配管に取り付けられた状態を示す正面図である。図において、矢印は、配管1を流れる被測定流体であるガスの流れの方向を示している。配管1を流れるガスに偏流および時間的変化が発生していない場合のガスの主流方向を前後方向D1とする。前後方向D1のうちで上流側を向く方向を前方向とする。前後方向のうちで下流側を向く方向を後方向とする。上流とは、ガスの流れについての上流であり、下流とは、ガスの流れについての下流である。前後方向D1は、配管1が延びる方向である第2方向に一致する。
配管1の壁には、装置接続孔11が形成されている。流量測定装置100は、装置接続孔11を通って配管1の内部に挿入される。流量測定装置100は、配管1に接続される配管接続部2と、配管接続部2が配管1に接続された場合に、配管1の内側に配置される本体部3と、本体部3の内部に設けられ、ガスの流量を測定する測定素子4とを備えている。本体部3は、装置接続孔11を通って配管1の内側に配置される。
配管接続部2は、装置接続孔11に挿入される。配管接続部2が装置接続孔11に挿入された状態で、配管接続部2が配管1に固定される。配管接続部2が配管1に固定されることによって、流量測定装置100が配管1に対して固定される。配管1と配管接続部2との間の固定方法としては、フランジ接続、ねじ接続などが挙げられる。
流量測定装置100が装置接続孔11に対して挿入および引抜される方向を上下方向D2とする。図1において、上下方向D2は、前後方向D1に対して直交している。上下方向D2のうちで本体部3から配管接続部2に向かう方向を上方向とする。上下方向D2のうちで配管接続部2から本体部3に向かう方向を下方向とする。上下方向D2は、本体部3の高さ方向である第1方向に一致する。
本体部3は、配管接続部2に支持された支持部31と、支持部31に支持された流量測定部32とを備えている。支持部31は、上下方向D2について流量測定部32よりも配管接続部2の近くに配置されている。
流量測定部32には、配管1を流れるガスの一部が流れる内部流路33が形成されている。内部流路33は、前後方向D1について流量測定部32を貫通する主流路34を備えている。主流路34は、ガスが流入する流入口341が形成された上流側主流路342と、ガスが流出する流出口343が形成された下流側主流路344と、前後方向D1について上流側主流路342と下流側主流路344との間に設けられた縮流路345とを有している。
上流側主流路342、縮流路345および下流側主流路344は、後方向に向かって並べて配置されている。縮流路345の流路断面積は、上流側主流路342および下流側主流路344のそれぞれの流路断面積よりも小さい。
上流側主流路342における下流側部分であって上方向側の面には、分岐口346が形成されている。下流側主流路344における上流側部分であって上方向側の面には、合流口347が形成されている。
内部流路33は、一端部が分岐口346に繋がり、他端部が合流口347に繋がる測定素子流路35を備えている。測定素子流路35は、縮流路345を挟むように主流路34に繋がっている。測定素子流路35は、上下方向D2について主流路34よりも配管接続部2の近くに配置されている。測定素子流路35には、測定素子4が配置されている。
流量測定部32は、主流路34が形成された主流路部である主流路カバー36と、主流路カバー36に設けられた測定素子流路部である素子カバー37と、主流路カバー36に設けられた構造部である上下対称構造体38とを備えている。
素子カバー37は、上下方向D2について主流路カバー36よりも配管接続部2の近くに配置される。主流路カバー36は、上下方向D2について素子カバー37と上下対称構造体38との間に配置されている。
流量測定装置100は、測定素子4に電気的に接続された素子配線5と、素子配線5を介して測定素子4に電気的に接続された制御回路6と、配管1の外側に設けられ、図示しない外部装置との間で信号の授受を行うコネクタ部7とを備えている。制御回路6とコネクタ部7とは、互いに電気的に接続されている。測定素子4の測定結果を示す信号は、制御回路6において演算処理される。制御回路6において演算処理された信号は、コネクタ部7を介して外部装置に流量信号として伝送される。
流量測定装置100の外形は、コネクタ部7、配管接続部2、支持部31、素子カバー37、主流路カバー36および上下対称構造体38のそれぞれの外形から構成される。コネクタ部7、配管接続部2、支持部31、素子カバー37、主流路カバー36および上下対称構造体38は、この順に下方向に並べられている。
配管接続部2の内部には、制御回路6が収納されている。支持部31の内部には、素子配線5が収納されている。素子カバー37の内部には、測定素子4が収納されている。測定素子流路35は、主流路カバー36の一部および素子カバー37に渡って形成されている。主流路34は、主流路カバー36に形成されている。
図2は、図1の流量測定装置100および配管1を前後方向D1に視た図である。図2において、上下方向D2に直交する方向を左右方向D3とする。左右方向D3は、本体部3における幅方向である第3方向に一致する。主流路34の流入口341は、配管1の径方向中心に配置されている。
支持部31、素子カバー37、主流路カバー36および上下対称構造体38のそれぞれの外形は、本体部3の中心を通り左右方向D3に対して垂直な面について、面対称となっている。言い換えれば、支持部31、素子カバー37、主流路カバー36および上下対称構造体38のそれぞれの外形は、配管1の径方向中心を通り左右方向D3に対して垂直な面について、面対称となっている。
上下対称構造体38の外形は、主流路カバー36の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について、素子カバー37の外形に対して面対称となっている。言い換えれば、上下対称構造体38の外形は、配管1の径方向中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について、素子カバー37の外形に対して面対称となっている。
主流路カバー36の外形は、主流路カバー36の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について、面対称となっている。言い換えれば、主流路カバー36の外形は、配管1の径方向中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について、面対称となっている。
また、主流路カバー36の外形は、配管1の径方向中心を通り前後方向D1に延びる直線を回転軸として90°回転した主流路カバー36の外形と同一となっている。
また、上下方向D2についての主流路カバー36の寸法は、前後方向D1について主流路カバー36の中央から離れるにつれて小さくなっている。
図3は、図1の本体部3を示す斜視図である。支持部31の外形は、配管1を流れるガスの主流方向についての支持部31の流体抵抗が小さくなるように形成されている。具体的には、左右方向D3についての支持部31の寸法が前後方向D1についての支持部31の寸法よりも小さくなるように、支持部31の断面形状は、楕円形または流線形に形成されている。
素子カバー37の外形は、配管1を流れるガスの主流方向についての流体抵抗が小さくなるように形成されている。また、素子カバー37の外形は、素子カバー37の内部に測定素子流路35が形成され、かつ、測定素子流路35に測定素子4が収納された状態で、素子カバー37の強度が十分に保たれるような形状に形成されている。具体的には、左右方向D3についての素子カバー37の寸法が前後方向D1についての素子カバー37の寸法よりも小さくなるように、素子カバー37の断面形状は、楕円形、流線形または長方形に形成されている。素子カバー37の断面形状が長方形に形成されている場合には、素子カバー37の断面形状は、長方形における各頂点が滑らかな丸みを有するように形成される。上下対称構造体38の外形は、素子カバー37の外形と同様である。
主流路カバー36は、装置接続孔11を通って配管1の内側に配置される。したがって、左右方向D3についての主流路カバー36の寸法は、左右方向D3についての装置接続孔11の寸法よりも小さく、かつ、前後方向D1についての主流路カバー36の寸法は、前後方向D1についての装置接続孔11の寸法よりも小さい。左右方向D3についての主流路カバー36の寸法は、左右方向D3についての素子カバー37の寸法よりも大きく、かつ、前後方向D1についての主流路カバー36の寸法は、前後方向D1についての素子カバー37の寸法よりも大きい。上下方向D2についての主流路カバー36の寸法は、左右方向D3についての主流路カバー36の寸法と同一である。
図4は、図1の支持部31、素子カバー37および主流路カバー36を示す平面図である。主流方向に流れるガスに対する支持部31の流体抵抗は、主流方向に流れるガスに対する素子カバー37の流体抵抗よりも小さい。主流方向に流れるガスに対する素子カバー37の流体抵抗は、主流方向に流れるガスに対する主流路カバー36の流体抵抗よりも小さい。つまり、ガスの主流方向についての流体抵抗は、主流路カバー36、素子カバー37、支持部31の順に小さくなっている。
左右方向D3についての支持部31の寸法をw31とし、前後方向D1についての支持部31の寸法をl31とする。左右方向D3についての素子カバー37の寸法をw37とし、前後方向D1についての素子カバー37の寸法をl37とする。左右方向D3についての主流路カバー36の寸法をw36とし、前後方向D1についての主流路カバー36の寸法をl36とする。支持部31、素子カバー37および主流路カバー36のそれぞれの外形は、w31/l31<w37/l37<w36/l36の関係が満たされるように形成されている。したがって、w31/l31は、w37/l37およびw36/l36よりも小さい。
ガスの主流方向と一致する前後方向D1についての寸法l31に対して、左右方向D3についての寸法w31が小さくなると、上下方向D2に垂直な支持部31の断面において、ガスの主流方向に延びる線に対する支持部31における下流側部分の外形を示す線の勾配が緩くなる。これにより、支持部31の周囲にあるガスの流れが、支持部31の表面付近から剥離することが抑制される。その結果、主流方向に流れるガスに対する支持部31の流体抵抗が小さくなる。主流方向に流れるガスに対する素子カバー37および主流路カバー36のそれぞれの流体抵抗についても、支持部31の流体抵抗と同様である。
主流方向に流れるガスに対する支持部31の流体抵抗を小さくするために、左右方向D3についての寸法w31を小さくしても、前後方向D1についての寸法l31を大きくすることによって、支持部31は、流量測定部32を支持するのに十分な強度を確保することができる。
左右方向D3についての上下対称構造体38の寸法は、左右方向D3についての素子カバー37の寸法w31と同一である。前後方向D1についての上下対称構造体38寸法は、前後方向D1についての素子カバー37の寸法l31と同一である。したがって、主流方向に流れるガスに対する上下対称構造体38の流体抵抗は、主流方向に流れるガスに対する素子カバー37の流体抵抗と同一である。
図5は、図1の内部流路33を示す斜視図である。図において、矢印は、ガスの流れを示している。左右方向D3についての上流側主流路342の寸法w1は、前後方向D1について一定となっている。上下方向D2についての上流側主流路342の寸法h1は、前後方向D1について一定となっている。寸法w1は、寸法h1と同一である。したがって、上流側主流路342の外形は、上流側主流路342の中心を通り前後方向D1に延びる中心を回転軸として90°回転した上流側主流路342の外形と一致する。前後方向D1についての流入口341から分岐口346までの寸法l1は、寸法w1および寸法h1よりも大きくなっている。
左右方向D3についての下流側主流路344の寸法w2は、前後方向D1について一定となっている。上下方向D2についての下流側主流路344の寸法h2は、前後方向D1について一定となっている。寸法w2は、寸法h2と同一である。したがって、下流側主流路344の外形は、下流側主流路344の中心を通り前後方向D1に延びる中心を回転軸として90°回転した下流側主流路344の外形と一致する。前後方向D1についての流出口343から合流口347までの寸法l2は、寸法w2および寸法h2よりも大きくなっている。
上下方向D2についての縮流路345の寸法は、上下方向D2についての上流側主流路342の寸法h1および上下方向D2についての下流側主流路344の寸法h2よりも小さくなっている。左右方向D3についての縮流路345の寸法は、左右方向D3についての上流側主流路342の寸法w1および左右方向D3についての下流側主流路344の寸法w2と同一となっている。つまり、縮流路345は、主流路34を流れるガスを上下方向D2に縮流させる。
内部流路33の形状は、本体部3の中心を通り前後方向D1に対して垂直な面について、面対称となっている。
主流路34は、主流路34の中心を通り左右方向D3に対して垂直な面について、面対称となっている。測定素子4としては、例えば、熱線式の流速センサが挙げられる。
本体部3の外形は、本体部3の中心を通り前後方向D1に対して垂直な面について、面対称となっている。内燃機関の配管1に流量測定装置100を取り付ける場合に、配管1の内部にガスの脈動が発生する場合がある。これにより、配管1を流れるガスの主流方向に対して反対方向にガスが流れる。
測定素子4および制御回路6にガスの逆流を検知するシステムが備えられている。配管1を流れるガスの流量に対する測定素子4が測定するガスの流速の特性が、逆流時も正流時も同じである場合には、制御回路6が測定素子4から出力された信号の演算処理が容易となる。これにより、流量測定誤差が低減される。
流出口343は、配管1の径方向中心に配置されている。これにより、上下方向D2について対称的な偏流が発生する場合において、流出口343から流出されるガスの流れが対称的となる。これにより、上下方向D2について対称的な偏流が発生する場合に、主流路34に流れる流量の差が減少する。また、左右方向D3について対称的な偏流が発生する場合において、流出口343から流出されるガスの流れが対称的となる。これにより、左右方向D3について対称的な偏流が発生する場合に、主流路34に流れる流量の差が減少する。
次に、配管1および流量測定装置100にガスが流れる様子と、ガスが流量測定装置100に流れてから流量測定装置100が外部装置へ流量信号を送信するまで動作とについて説明する。図1に示すように、配管1を流れるガスの一部は、流量測定装置100の流入口341から主流路34の中に流入する。
図5に示すように、流入口341から主流路34の中に入ったガスは、上流側主流路342を通り、分岐口346において、測定素子流路35を流れるガスと、縮流路345を流れるガスとに分かれる。測定素子流路35を流れるガスは、測定素子4を通過する。測定素子4を通過したガスは、合流口347において、縮流路345を通過したガスと合流する。合流したガスは、下流側主流路344を通り、流出口343から主流路34の外へ流出する。主流路34の外へ流出したガスは、配管1における流量測定装置100よりも下流側の部分を流れる。
測定素子4は、測定素子流路35を流れるガスの流速を測定する。測定素子4は、測定結果を信号として素子配線5を介して制御回路6に送信する。制御回路6は、測定素子4から送信された信号を演算処理する。制御回路6は、演算結果を流量信号としてコネクタ部7を介して外部装置へ送信する。制御回路6では、配管1を流れるガスの流量に対する測定素子4で測定された測定素子流路35を流れるガスの流速の特性に基づいて、測定素子4から送信された信号を演算処理する。
次に、流量測定装置100と比較するための比較例の流量測定装置の課題について説明する。比較例の流量測定装置では、実施の形態1に係る流量測定装置100と同様に、内部流路が主流路と測定素子流路とを備え、測定素子が測定素子流路に配置されている。内部流路の中に流入したガス、水滴などの異物は、主流路を流れて、測定素子流路には流れないようになっている。これにより、測定素子に異物が付着することが抑制される。その結果、流量測定装置の測定精度の悪化が抑制される。
配管を流れるガスの流量に対する主流路を流れるガスの流量の特性と、主流路を流れるガスの流量に対する測定素子流路を流れるガスの流量の特性とが、簡単かつ不変な傾向を有している場合には、測定素子によって測定された流速の信号が制御回路において補正される。これにより、配管を流れるガスの流量が高精度に測定される。
しかしながら、実際には、配管の内部において、ガスの偏流が発生する場合がある。この場合に、配管を流れるガスの流量に対する主流路を流れるガスの流量の特性と、主流路を流れるガスの流量に対する測定素子流路を流れるガスの流量の特性とが変化する。これにより、流量測定装置の測定精度が低下する。
配管の内部に発生するガスの偏流としては、使用開始時から存在する偏流と、使用している過程で生じる偏流とがある。使用開始時から存在する偏流としては、流量測定装置よりも上流側に配管の曲がりがあることによって、配管の内部に発生する偏流が挙げられる。使用している過程で生じる偏流としては、流量測定装置よりも上流側にフィルターが設けられ、フィルターに目詰まりが発生することによって、配管の内部に発生する偏流が挙げられる。使用開始時から偏流が存在する場合には、偏流がある状態で制御回路の補正量をチューニングすることによって、偏流による測定精度の低下に対する対策が可能である。しかしながら、複数の配管のそれぞれに流量測定装置が配置され、流量測定装置よりも上流側にある配管の形状が、それぞれの配管によって異なる場合には、それぞれの配管に対応させて、制御回路の補正量をチューニングする必要がある。
ガスの流れ方向について流量測定装置の直前に整流機構が設けられる場合がある。整流機構は、配管を流れるガスを整流する。これによりに、配管を流れるガスの偏流の発生が抑制される。しかしながら、様々な方向に流れるガスの偏流のそれぞれを抑制するためには、配管の断面の全体をカバーするように、配管の壁に整流機構を設ける必要がある。したがって、配管への整流機構の取り付けおよび配管からの整流機構の取り外しを行う場合に、配管本体への配管の一部の取り付けおよび配管本体からの配管の一部の取り外しを行う必要がある。
図6は、比較例の流量測定装置を示す側面図である。図7は、比較例の流量測定装置を示す側面図である。図6および図7では、比較例の流量測定装置100Aが配管1に取り付けられた状態を示している。また、図6および図7では、配管1を流れるガスに偏流が発生している状態を示している。図6では、配管1における上方向側の部分に流れるガスの流速が配管1の下方向側の部分を流れるガスの流速よりも速い状態を示している。図7では、配管1の下方向側の部分に流れるガスの流速が配管1の上方向側の部分を流れるガスの流速よりも速い状態を示している。
配管1における上方向側の部分を配管上部12とする。配管1における下方向側の部分を配管下部13とする。
比較例の流量測定装置100Aでは、前後方向D1に視た場合に、本体部3Aにおける幅方向の寸法は、本体部3Aにおける配管接続部2A側の端部と本体部3Aにおける内部流路33Aが形成された部分との間において、一定となっている。
図6に示すように、配管上部12に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、流量測定装置100Aにおける配管上部12に配置された部分に高速流のガスが当たる。これにより、高速流のガスに対する流量測定装置100Aの流量抵抗が大きくなる。この場合に、流量測定装置100Aよりも下流側に強い後流渦8が発生する。
流量測定装置100Aを避けた高速流のガスの一部は、流入口341Aから内部流路33Aの中に流入し、内部流路33Aを流れて、流出口343Aから内部流路33Aの外に流出する。後流渦8が発生している領域は、配管1における他の領域よりも低圧となっている。したがって、流出口343A付近を流れるガスは、後流渦8が発生している領域に向かって引き込まれる。これにより、内部流路33Aを流れるガスの流量が増加する。
一方、図7に示すように、配管下部13に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、高速流のガスは、流量測定装置100Aを避けて、配管下部13を流れる。これにより、内部流路33Aを流れるガスの流量が減少する。このように、高速流のガスが配管上部12を流れる偏流が発生する場合と、高速流のガスが配管下部13を流れる偏流が発生する場合との間で、内部流路33Aを流れるガスの流量に差が発生する。したがって、比較例の流量測定装置100Aでは、偏流が発生する場合の測定精度が低下する。
次に、実施の形態1に係る流量測定装置100が取り付けられた配管1を流れるガスに偏流が発生する場合のガスの流れについて説明する。図8は、図1の流量測定装置100が配管1に取り付けられた状態を示す側面図である。図9は、図1の流量測定装置100が配管1に取り付けられた状態を示す側面図である。図8および図9では、配管1を流れるガスに偏流が生じている状態を示している。図8では、配管上部12に高速流のガスが流れる偏流が発生した状態を示している。図9では、配管下部13に高速流のガスが流れる偏流が発生した状態を示している。
左右方向D3についての支持部31の寸法が前後方向D1についての支持部31の寸法よりも小さい。したがって、支持部31は、主流方向に流れるガスに対する流体抵抗が小さい形状となっている。これにより、図8に示すように、配管上部12を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、流量測定装置100よりも下流側に発生する後流渦8が弱くなる。また、配管上部12を流れる高速流のガスは、支持部31を左右方向D3に避けて、支持部31の下流側に流れる。したがって、配管上部12を流れる高速流のガスが下方向に移動して流入口341から主流路34の中に流入することが抑制される。これにより、流出口343付近を流れるガスが後流渦8に引き込まれる量が減少する。したがって、配管上部12を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に、主流路34を流れるガスの流量の増加が抑制される。
一方、図9に示すように、配管下部13を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、主流方向に流れるガスに対する支持部31の流体抵抗が小さい。また、素子カバー37および主流路カバー36を合わせた外形は、主流路カバー36の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について、主流路カバー36および上下対称構造体38を合わせた外形に対して、面対称となっている。これにより、主流路カバー36の周囲にあるガスの流れは、主流路カバー36の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について、配管上部12を高速流のガスが流れる場合の主流路カバー36の周囲のガスの流れに対して、面対称となる。
左右方向D3についての支持部31の寸法は、前後方向D1についての支持部31の寸法よりも小さくなっている。これにより、主流方向に流れるガスに対する支持部31の流体抵抗が小さい。したがって、支持部31の周囲にあるガスの流れは、支持部31が無い場合のガスの流れに対して、似た流れとなる。
仮に、支持部31が無い場合には、本体部3の外形は、配管1の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面に対して面対称となる。これにより、配管上部12を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合の本体部3の周囲にあるガスの流れは、配管下部13を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合の本体部3の周囲にあるガスの流れに対して、配管1の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面に対して面対称となる。したがって、配管上部12を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に主流路34に流れるガスの流量は、配管下部13を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に主流路34に流れるガスの流量に対して、同量となる。
左右方向D3について、素子カバー37の寸法は、支持部31の寸法よりも大きくなっている。これにより、本体部3における測定素子流路35が形成された部分の強度を十分に確保することができる。また、主流方向に流れるガスに対する素子カバー37の流体抵抗は、主流方向に流れるガスに対する支持部31の流体抵抗よりも大きくなる。これにより、素子カバー37による本体部3の周囲にあるガスの流れへの影響は、支持部31による本体部3の周囲にあるガスの流れへの影響よりも大きくなる。素子カバー37および上下対称構造体38は、配管1の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面に対して互いに面対称となる偏流に対して、互いに似た影響を与える。したがって、配管上部12を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合と配管下部13を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合とにおいて、主流路34を流れるガスの流量の差が減少する。
素子カバー37および上下対称構造体38は、支持部31と同様に、主流方向に流れるガスに対する流体抵抗が小さい構造となっている。これにより、左右方向D3について偏流が発生する場合の本体部3の周囲にあるガスの流れは、上下方向D2について偏流が発生する場合の本体部3の周囲にあるガスの流れと同様となる。したがって、配管1における右方向側の部分を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合と配管1における左方向側の部分を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合とにおいて、主流路34を流れるガスの流量の差異が減少する。
図2に示すように、左右方向D3についての主流路カバー36の寸法を大きくすることによって、主流路カバー36に向かって流れるガスは、主流路カバー36の周囲において、流れの向きが変わる。
図8および図9に示すように、主流路カバー36の周囲であって上流側を流れるガスの一部は、主流路カバー36に当たり、流入口341から内部流路33に入る。一方、主流路カバー36の周囲であって下流側では、主流路カバー36の壁面付近から発生するガスの流れの剥離による負圧領域が発生する。負圧領域の周囲にあるガスの主流方向への流れによって、内部流路33を出たガスの流れには、せん断力が働く。これにより、流出口343付近を流れるガスは、負圧領域に引き込まれる。その結果、内部流路33を流れるガスの流量が増加する。
偏流が発生する場合に、配管1を流れる高速流のガスの一部は、内部流路33を流れる流量の増加を促進させる。一方、偏流が発生する場合に、配管1を流れる低速流のガスの一部は、内部流路33を流れる流量の増加を抑制する。したがって、上下方向D2および左右方向D3についての主流路カバー36の寸法を大きくすることによって、配管1における高速流のガスが流れる高速領域と配管1における低速流のガスが流れる低速領域とのどちらも、内部流路33を流れるガスの流量に影響する。その結果、偏流が発生する場合に主流路34を流れるガスの流量は、偏流が発生しない場合に主流路34を流れるガスの流量に対して、近くなる。
支持部31、素子カバー37および上下対称構造体38のそれぞれは、主流方向に流れるガスに対する流体抵抗が小さくなっている。これにより、主流路カバー36は、支持部31、素子カバー37および上下対称構造体38のそれぞれと比較して、配管1を流れるガスへの影響が相対的に大きくなる。上下方向D2および左右方向D3について主流路カバー36の寸法が大きくなっている。したがって、上下方向D2について偏流が発生する場合に主流路34を流れるガスの流量と左右方向D3について偏流が発生する場合に主流路34を流れるガスの流量との間の差が減少する。
図10は、図8の内部流路33および流量測定部32の周囲にあるガスの流れを示す図である。図11は、図9の内部流路33および流量測定部32の周囲にあるガスの流れを示す図である。配管1にガスの偏流が発生する場合に、主流路34における流入口341側の部分に偏流が発生する。図10に示すように、配管上部12に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、流入口341よりも上方向から主流路34の中に流入するガスの流量が多くなる。下方向に流れるガスの流れの方向が主流路34を流れるガスの主流方向に変わる。これにより、流入口341を通過した直後に主流路34を通るガスの流れは、主流路34における上方向壁面から剥離する。主流路34の上方向壁面とは、主流路34における上方向側にある壁面である。
寸法l1が十分大きい場合には、流入口341を通過した直後の主流路34を流れるガスの流れは、流入口341と分岐口346との間における主流路34の上方向壁面の部分に再付着する。寸法l1が小さく、分岐口346に対してガスの流れが剥離している場合には、周囲よりも圧力が低い剥離領域から測定素子流路35の中にガスが流入することになる。これにより、測定素子流路35の中にガスが流入し難くなる。その結果、測定素子流路35を流れるガスの流量が減少する。
ガスの流れが再付着する主流路34の上方向壁面の部分に分岐口346が配置されている場合には、主流路34の上方向壁面に向かうガスの動圧によって、測定素子流路35の中にガスが流入しやすくなる。これにより、測定素子流路35を流れるガスの流量が増加する。
図11に示すように、配管下部13に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、流入口341よりも下方向から主流路34の中に流入するガスの流量が多くなる。上方向に流れるガスの流れの方向が主流路34を流れるガスの主流方向に変わる。これにより、流入口341を通過した直後に主流路34を通るガスの流れは、主流路34における下方向壁面から剥離する。主流路34の下方向壁面とは、主流路34における下方向側にある壁面である。
寸法l1が十分大きい場合には、流入口341を通過した直後の主流路34を流れるガスの流れは、流入口341と分岐口346との間の主流路34における下方向壁面に再付着する。寸法l1が小さく、分岐口346が流入口341の直後に配置されている場合には、主流路34の上方向壁面に向かうガスの動圧によって、測定素子流路35にガスが流入しやすくなる。これにより、測定素子流路35を流れるガスの流量が増加する。
ガスの流れが剥離している主流路34の下方向壁面の部分に対して対向する主流路34の上方向壁面の部分に分岐口346が配置されている場合には、ガスが主流路34の下方向壁面に向かうガスの動圧が発生する。これにより、分岐口346の周囲の静圧が低くなる。静圧が低くなった分岐口346の周囲から測定素子流路35の中にガスが流入する。その結果、測定素子流路35を流れるガスの流量が減少する。
ガスの流れが再付着する主流路34の下方向壁面の部分に対して対向する主流路34の上方向壁面の部分に分岐口346が配置されている場合には、ガスが主流路34の下方向壁面に向かうガスの流れは、せん断力によって、分岐口346において測定素子流路35からガスの流れを引き寄せる。これにより、測定素子流路35の中にガスが流入しにくくなる。その結果、測定素子流路35を流れるガスの流量が減少する。
寸法l1が十分大きい場合には、配管上部12に高速流のガスが流れる偏流および配管下部13に高速流のガスが流れる偏流の何れが発生する場合であっても、ガスの流れが主流路34の壁面に再付着し、ガスの流れが一様に近づいた後に、分岐口346から測定素子流路35の中にガスが流入する。
分岐口346よりも下流側の主流路34におけるガスの流れが同一である場合には、測定素子流路35を流れるガスの流量は変わらない。これにより、寸法l1が十分に大きい場合には、偏流が発生する場合に測定素子流路35を流れるガスの流量と、偏流が発生しない場合に測定素子流路35を流れるガスの流量との間の差が減少する。寸法l1が寸法w1および寸法h1よりも大きくなっている。これにより、分岐口346は、剥離領域よりも下流側に配置される。その結果、偏流が発生する場合に測定素子流路35を流れるガスの流量と、偏流が発生しない場合に測定素子流路35を流れるガスの流量との間の差が減少する。
左右方向D3について偏流が発生する場合には、流入口341から主流路34に流入して左方向壁面または右方向壁面からガスの流れが剥離する。しかしながら、寸法l1が十分大きい場合には、左右方向D3について偏流が発生する場合に測定素子流路35を流れるガスの流量と、上下方向D2について偏流が発生する場合に測定素子流路35を流れるガスの流量との間の差が減少する。
図10および図11に示すように、配管上部12に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合および配管下部13に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、主流路34における縮流路345よりも下流側の部分において、ガスの流れに差が発生する。測定素子流路35を通過したガスは、主流路34において、縮流路345を通過しガスと合流する。測定素子流路35を通過したガスは、主流路34を主流方向に流れるガスの流れを変える。これにより、合流口347よりも下流側における主流路34の上方向壁面付近には、ガスの流れの剥離が発生する。
図10に示すように、配管上部12に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、主流路34を流れるガスは、縮流路345で加速された後、合流口347において測定素子流路35を通過したガスと合流して、流出口343から主流路34の外に出る。主流路34の外に出たガスの流れは、主流路カバー36よりも下流側の領域であって上部にある渦および配管上部12を流れる高速流のガスによって引き込まれる。これにより、主流路34の外に出たガスの流れは、配管上部12に向かう。
縮流路345を通過したガスは、配管上部12に向かうガスの流れに引きずられて、主流路34の内部において、上方向壁面に向かって流れる。これにより、合流口347よりも下流側において主流路34の上方向壁面から剥離したガスの流れは、すぐに主流路34の上方向壁面に再付着する。
一方、図11に示すように、配管下部13に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合には、主流路34を流れるガスは、縮流路345で加速された後、合流口347において測定素子流路35を通過したガスと合流して、流出口343から主流路34の外に出る。主流路34の外に出たガスの流れは、主流路カバー36よりも下流側の領域であって下部にある渦および配管下部13を流れる高速流のガスによって引き込まれる。これにより、主流路34の外に出たガスの流れは、配管下部13に向かう。
縮流路345を通過したガスは、配管下部13に向かうガスの流れに引きずられて、主流路34の内部において、下方向壁面に向かって流れる。これにより、合流口347よりも下流側において主流路34の下方向壁面から剥離したガスの流れは、主流路34の下方向壁面に再付着しにくくなる。
その結果、寸法l2が小さい構成では、配管下部13に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に、合流口347よりも下流側で主流路34の上方向壁面から剥離したガスの流れが上方向壁面に再付着する前に、流出口343から主流路34の外に出ることになる。
この場合、主流路34における流出口343の近くの下方向壁面の周囲にあるガスの流れが高速流となる。これにより、流出口343から高速流のガスが流出することによる動圧損失が大きくなる。その結果、主流路34をガスが流れにくくなる。
一方、寸法l2が寸法w2および寸法h2よりも大きい構成では、配管下部13を高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に、主流路34を流れるガスは、合流口347よりも下流側で主流路34の上方向壁面から剥離したガスの流れが上方向壁面に再付着した後に、流出口343から主流路34の外に出る。これにより、主流路34を流れるガスの流量の減少が抑制される。
したがって、偏流が発生する場合であっても、主流路34を流れるガスの流量の変動および測定素子流路35を流れるガスの流量の変動が抑制される。これにより、測定素子4で測定される流速値と、配管1を流れるガスの流量とが一定の関係に保たれる。その結果、流量測定装置100の測定結果が向上する。
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る流量測定装置100によれば、左右方向D3についての支持部31の寸法は、左右方向D3についての流量測定部32の寸法よりも小さい。これにより、支持部31の流量抵抗を流量測定部32の流量抵抗よりも小さくすることができる。したがって、配管1に偏流が発生する場合に、内部流路33に流れるガスの流量の変化を抑制することができる。その結果、流量測定装置100の測定精度を向上させることができる。また、装置接続孔11を通って流量測定装置100を配管に自由に取り付けることができる。
また、左右方向D3についての素子カバー37の寸法および上下対称構造体38の寸法は、左右方向D3についての主流路カバー36の寸法よりも小さい。これにより、素子カバー37の流体抵抗および上下対称構造体38の流体抵抗のそれぞれを小さくすることができる。その結果、流量測定装置100の測定精度を向上させることができる。
また、上下対称構造体38の外形は、主流路カバー36の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について、素子カバー37の外形に対して面対称となっている。これにより、上下対称構造体38の流体抵抗を素子カバー37の流体抵抗と同一にすることができる。その結果、流量測定装置100の測定精度を向上させることができる。
また、前後方向D1についての支持部31の寸法に対する左右方向D3についての支持部31の寸法の比は、前後方向D1についての主流路カバー36の寸法に対する左右方向D3についての主流路カバー36の寸法の比よりも小さい。また、前後方向D1についての支持部31の寸法に対する左右方向D3についての支持部31の寸法の比は、前後方向D1についての素子カバー37の寸法に対する左右方向D3についての素子カバー37の寸法の比よりも小さい。これにより、支持部31の流体抵抗を素子カバー37の流体抵抗および主流路カバー36の流体抵抗よりも小さくすることができる。その結果、流量測定装置100の測定精度を向上させることができる。また、素子カバー37および主流路カバー36の強度を十分に確保することができる。
また、上下方向D2についての主流路カバー36の寸法は、前後方向D1について主流路カバー36の中央から離れるにつれて小さくなっている。これにより、主流路カバー36の上面および下面からガスの流れが剥離することを抑制することができる。したがって、本体部3の流量抵抗を小さくすることができる。その結果、配管1を流れるガスの流量の減少を抑制することができる。
また、前後方向D1についての流入口341と分岐口346との間の寸法l1は、上下方向D2についての主流路34の寸法h1および左右方向D3についての主流路34の寸法w1よりも大きい。これにより、配管1を流れるガスに偏流が発生する場合および配管1を流れるガスに脈動が発生する場合に、流量測定装置100の測定精度の低下を抑制することができる。
また、縮流路345の流路断面積は、分岐口346が形成された主流路34の部分の流路断面積および合流口347が形成された主流路34の部分の流路断面積よりも小さい。これにより、ガスに含まれる異物をガスから分離するとともに、測定素子流路35を流れるガスの流量を大きくすることができる。また、測定素子流路35を流れるガスの流量を調節することによって、流量測定のゲインを任意に調整することができる。
また、本体部3の外形および内部流路33の形状のそれぞれは、本体部3の中心を通り前後方向D1に対して垂直な面について、面対称となっている。これにより、配管1を流れるガスに偏流または脈動が発生する場合に、流量測定装置100の測定精度が低下することを抑制することができる。
実施の形態2.
図12は、この発明の実施の形態2に係る流量測定装置の本体部を示す斜視図である。本体部3は、配管1を流れるガスが流量測定装置100を通過する時に発生する圧力損失がある程度許容される場合に用いられる。本体部3の主流路カバー36は、矩形形状に形成されている。主流路カバー36は、主流路カバー36の中心を通り上下方向D2に垂直な面について面対称となっている。また、主流路カバー36は、主流路カバー36の中心を通り左右方向D3に垂直な面について面対称となっている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
支持部31、素子カバー37および上下対称構造体38のそれぞれの流体抵抗と比較して、主流路カバー36の流体抵抗が大きく、両者の間に十分な差がある。これにより、配管1を流れるガスに上下方向D2および左右方向D3について偏流が発生する場合に、配管1を流れるガスに対して主流路カバー36が与える影響が大きい。したがって、偏流が発生する場合に主流路34を流れるガスの流量の差が減少する。その結果、流量測定装置100の測定精度が向上する。
なお、配管1を流れるガスが流量測定装置100を通過する時に発生する圧力損失を小さくする場合には、図3に示すように、主流路カバー36の表面を滑らかなカーブを描くように形成してもよい。この場合、主流路カバー36の流体抵抗が小さくなる代わりに、主流路カバー36の周囲にあるガスの流れを主流路カバー36の表面に沿って大きく変えて、配管1を流れるガスの流れに対して大きな影響を与える構成にする。
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る流量測定装置100によれば、主流路カバー36は、矩形形状に形成されている。これにより、偏流が発生した場合に主流路34を流れるガスの流量の差を減少させることができる。その結果、流量測定装置100の測定精度を向上させることができる。
実施の形態3.
図13は、この発明の実施の形態3に係る流量測定装置の本体部を示す斜視図である。主流路カバー36の外形は、主流路カバー36の中心を通り前後方向D1に延びる直線を中心軸として回転させた回転体の外形となっている。言い換えれば、主流路カバー36の外形は、配管1の中心を通り前後方向D1に延びる直線を中心軸として回転させた回転体の外形となっている。
具体的には、主流路カバー36の外形は、円柱形状となっている。なお、主流路カバー36の外形は、円柱形状に限らず、例えば、球状、楕円球状、流線形の卵形状などであってもよい。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る流量測定装置100によれば、主流路カバー36の外形は、主流路カバー36の中心を通り前後方向D1に延びる直線を中心軸として回転させた回転体の外形となっている。これにより、上下方向D2および左右方向D3以外の方向について配管1を流れるガスに偏流が発生する場合であっても、主流路34に流れるガスの流量の差を低減させることができる。
一般的に、流量測定装置100が取り付けられる配管1を備える装置または設備では、設置スペース、製造性、施工性などの関係で、上下方向D2および左右方向D3について90°間隔で、複数回、曲げられた配管1が用いられる場合が多い。この場合、流量測定装置100は、配管1が延びる方向に対応させて配管1に取り付けられる。
したがって、流量測定装置100よりも上流側の配管1の部分の曲がりによる偏流および流量測定装置100よりも上流側の配管1の部分に設けられたフィルターの汚損による偏流は、流量測定装置100に対して上下方向D2および左右方向D3の何れかである場合が多い。
この場合に、図3および図5に示すように、配管1の上下方向D2および左右方向D3についての偏流に対して、流量測定装置100の測定精度の誤差を低減させることができる。しかしながら、上下方向D2および左右方向D3以外の方向について、配管1を流れるガスに偏流が発生する場合がある。この場合に、主流路カバー36の外形を回転体の外形とすることによって、流量測定装置100の測定精度を向上させることができる。
実施の形態4.
図14は、この発明の実施の形態4に係る流量測定装置の内部流路を示す斜視図である。図15は、この発明の実施の形態4に係る流量測定装置の本体部を前後方向に視た図である。図15では、破線は、本体部3の内部に配置された構成要素を示している。
配管1を流れるガスに左右方向D3についての偏流が発生する場合には、主流路34の中心を通り左右方向D3に垂直な面に対して主流路34を面対称にする方がよい。実施の形態4では、測定素子流路35は、分岐口346に繋がる部分および合流口347に繋がる部分を除いて、主流路34の中心を通り左右方向D3に垂直な面に対して、非対称となっている。左右方向D3について支持部31の寸法を小さくし、素子配線5を支持部31における左右方向D3の中央に配置する場合には、測定素子4は、素子カバー37における左右方向D3の中央に配置される。これにより、素子配線5と測定素子4との電気的な接続が容易となる。
測定素子4の表面を流れるガスの流速を測定素子4が測定する場合には、測定素子4の測定面は、本体部3の左右方向D3の中央からずれた位置となる。したがって、測定素子4が配置される測定素子流路35の部分は、本体部3の左右方向D3の中央からずれた位置に配置される。
分岐口346および合流口347が左右方向D3についての本体部3の中央に配置されていれば、配管1を流れるガスの左右方向D3について対称的な偏流が発生する場合に、測定素子流路35に対してガスが左右方向D3について対称に流出入する。これにより、縮流路345を流れるガスに与える影響が小さくなる。
したがって、測定素子流路35は、分岐口346に繋がる部分および合流口347に繋がる部分を除いて、主流路34の中心を通り左右方向D3に垂直な面に対して、非対称となっても、配管1に流れるガスに偏流が発生する場合に流量測定装置100の測定精度が低下しない。また、この場合に、左右方向D3について支持部31の寸法が小さくなる。その他の構成は、実施の形態1から実施の形態3までと同様である。
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る流量測定装置100によれば、測定素子流路35は、分岐口346に繋がる部分および合流口347に繋がる部分を除いて、主流路34の中心を通り左右方向D3に垂直な面に対して、非対称となっている。これにより、配管1に流れるガスに偏流が発生する場合に流量測定装置100の測定精度が低下することなく、左右方向D3についての支持部31の寸法を小さくすることができる。その結果、流量測定装置100の測定精度を向上させることができる。
実施の形態5.
図16は、この発明の実施の形態5に係る流量測定装置の本体部を示す斜視図である。流量測定部32は、主流路カバー36に設けられた一対の左右対称部39を備えている。左右対称部39の外形は、素子カバー37の外形または上下対称構造体38の外形を、主流路カバー36の中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として90°回転させた形状と一致する。言い換えれば、左右対称部39の外形は、素子カバー37の外形または上下対称構造体38の外形を、配管1の径方向中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として90°回転させた形状と一致する。
左右方向D3についての左右対称部39の寸法は、左右方向D3および前後方向D1についての本体部3の寸法が左右方向D3および前後方向D1についての配管接続部2の寸法よりも小さくなるようになっている。
左右方向D3についての左右対称部39の寸法は、上下方向D2についての素子カバー37の寸法および上下方向D2についての上下対称構造体38の寸法と一致する。素子カバー37には、測定素子流路35が形成されている。素子カバー37の内部には、測定素子4が収納されている。その他の構成は、実施の形態1から実施の形態4までと同様である。
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係る流量測定装置によれば、素子カバー37、上下対称構造体38および左右対称部39を含む本体部3の外形は、本体部3の中心を通り上下方向D2に対して垂直な面について面対称となっている。また、素子カバー37、上下対称構造体38および左右対称部39を含む本体部3の外形は、本体部3の中心を通り左右方向D3に対して垂直な面について面対称となっている。また、素子カバー37、上下対称構造体38および左右対称部39を含む本体部3の外形は、配管1の中心を通り前後方向D1に延びる直線を回転軸として90°の間隔で回転させた本体部3の外形と一致する。これにより、本体部3は、ガスの流れに対して、上下方向D2および左右方向D3について対称な影響を与える。また、本体部3は、ガスの流れに対して、配管1の中心を通り前後方向D1に延びる直線を回転軸として90°の間隔で回転させた本体部3と対称な影響を与える。したがって、配管1を流れるガスに上下方向D2および左右方向D3の偏流が発生する場合に、主流路34を流れるガスの流量に差が発生することが低減される。その結果、流量測定装置100の測定誤差をさらに低減させることができる。
実施の形態6.
図17は、この発明の実施の形態6に係る流量測定装置の本体部を示す斜視図である。流量測定部32は、主流路カバー36に設けられた4個の左右対称部39を備えている。4個の左右対称部39の外形は、素子カバー37の外形または上下対称構造体38の外形を、主流路カバー36の中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として60°の倍数の角度だけ回転させた形状と一致する。言い換えれば、左右対称部39の外形は、素子カバー37の外形または上下対称構造体38の外形を、配管1の中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として60°回転させた形状と一致する。その他の構成は、実施の形態5と同様である。
以上説明したように、この発明の実施の形態6に係る流量測定装置によれば、主流路カバー36に設けられた4個の左右対称部39を備えている。4個の左右対称部39の外形は、素子カバー37の外形または上下対称構造体38の外形を、主流路カバー36の中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として60°の倍数の角度だけ回転させた形状と一致する。これにより、配管1の中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として60°の倍数の角度だけ回転させて流量測定装置100を設置することができる。
なお、上記実施の形態6では、左右対称部39の外形は、素子カバー37の外形または上下対称構造体38の外形を、配管1の中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として60°回転させた形状と一致する構成について説明した。これに限らず、左右対称部39の外形は、素子カバー37の外形または上下対称構造体38の外形を、配管1の中心を通り前後方向D1を向く直線を回転軸として、例えば、45°または30°の倍数の角度だけ回転させた形状と一致する構成であってもよい。言い換えれば、流量測定装置100が回転して設置される場合に、左右対称部39が主流路カバー36に対して左右方向D3に隣り合うように、左右対称部39が主流路カバー36に配置された構成であってもよい。
実施の形態7.
図18は、この発明の実施の形態7に係る流量測定装置の本体部を示す斜視図である。図19は、図18の流量測定部の内部流路および流量測定部の周囲におけるガスの流れを示す図である。図19では、配管上部12に高速流のガスが流れる偏流が発生する状態を示している。上流側主流路342は、下流に向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる流入口部342aと、流入口部342aよりも下流側で流入口部342aに繋がる主流路本体342bとを備えている。流入口341は、流入口部342aにおける最も上流側の部分である。
主流路本体342bにおける流入口部342a側の端部を主流路本体上流側端部342cとする。主流路本体上流側端部342cと分岐口346との間において、上下方向D2についての主流路本体342bの寸法および左右方向D3についての主流路本体342bの寸法は、一定となっている。前後方向D1についての主流路本体上流側端部342cと分岐口346との間の寸法l1は、上下方向D2についての主流路本体342bの寸法h1および左右方向D3についての主流路本体342bの寸法w1よりも小さい。つまり、l1>w1=h1の関係が満たされている。
下流側主流路344は、上流に向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる流出口部344aと、流出口部344aよりも上流側で流出口部344aに繋がる主流路本体344bとを備えている。流出口343は、流出口部344aにおける最も下流側の部分である。
主流路本体344bにおける流出口部344a側の端部を主流路本体下流側端部344cとする。主流路本体下流側端部344cと分岐口346との間において、上下方向D2についての主流路本体344bの寸法および左右方向D3についての主流路本体344bの寸法は、一定となっている。前後方向D1についての主流路本体下流側端部344cと分岐口346との間の寸法l1は、上下方向D2についての主流路本体344bの寸法h1および左右方向D3についての主流路本体344bの寸法w1よりも小さい。つまり、l2>w2=h2の関係が満たされている。その他の構成は、実施の形態1から実施の形態6までと同様である。
以上説明したように、この発明の実施の形態7に係る流量測定装置100によれば、主流路34は、下流に向かうにつれて流路断面積が小さくなる流入口部342aを備えている。これにより、配管1を流れるガスに上下方向D2および左右方向D3についての偏流が発生する場合に、主流路カバー36に衝突したガスを多く主流路34に取り込むことができる。流入口部342aの流路断面積は、下流に向かうにつれて徐々に小さくなっている。これにより、流入口341から主流路34にガスが流入する時に、ガスの流れが緩やかに変わる。したがって、ガスが主流路34に流入した直後に主流路34の壁面からガスの流れが剥離することが抑制される。これにより、主流路34に流れるガスに偏流が発生することが抑制される。したがって、測定素子流路35に流れるガスの流量が変化することが抑制される。その結果、配管1に流れるガスに偏流が発生する場合に、流量測定装置100の測定誤差をさらに低減させることができる。
また、前後方向D1についての主流路本体上流側端部342cと分岐口346との間の寸法l1は、上下方向D2についての主流路本体342bの寸法h1および左右方向D3についての主流路本体342bの寸法w1よりも大きい。これにより、配管1を流れるガスに偏流が発生する場合および配管1を流れるガスに脈動が発生する場合に、流量測定装置100の測定精度の低下を抑制することができる。
実施の形態8.
図20は、この発明の実施の形態8に係る流量測定装置の内部流路を示す斜視図である。図21は、この発明の実施の形態8に係る流量測定装置の流量測定部の周囲および流量測定部の内部流路におけるガスの流れを示す図である。図21では、配管下部に高速流のガスが流れる偏流が発生する状態を示している。
左右方向D3についての縮流路345の寸法は、左右方向D3についての上流側主流路342の寸法および左右方向D3についての下流側主流路344の寸法よりも小さい。言い換えれば、左右方向D3についての縮流路345の寸法は、分岐口346が形成された主流路34の部分における左右方向D3についての寸法および合流口347が形成された主流路34の部分における左右方向D3についての寸法よりも小さい。上下方向D2についての縮流路345の寸法は、上下方向D2についての上流側主流路342の寸法h1および上下方向D2についての下流側主流路344の寸法h2と同一となっている。その他の構成は、実施の形態1から実施の形態7までと同様である。
図11に示すように、縮流路345においてガスが上下方向D2に縮流される構成では、配管下部に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に、左右方向D3が上下方向D2よりも長辺となる長方形状の噴流が縮流路345の直後に発生する。縮流路345から噴出した長方形状の高速流のガスの大部分は、合流口347よりも下流側の主流路34の上方向壁面付近に発生するガスの流れの剥離によって、主流路34における下方向部分を流れる。これにより、流出口343から主流路34の外に流出したガスは、配管下部に流れる高速流のガスに引き込まれる。
一方、図21に示すように、縮流路345においてガスが左右方向D3に縮流される構成では、配管下部に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に、上下方向D2が左右方向D3よりも長辺となる長方形状の噴流が縮流路345の直後に発生する。縮流路345から噴出した長方形状の高速流のガスの上方向側の一部は、合流口347の下流側の主流路34の上方向壁面付近に発生するガスの流れの剥離によって、主流路34の上下方向D2の中央部分に流れる。これにより、流出口343から主流路34の外に流出したガスは、配管下部に流れる高速流のガスに引き込まれる。つまり、縮流路345から噴出した長方形状の高速流のガスの下方向部分が流出口343から主流路34の外において、配管下部に流れる高速流のガスに引き込まれる。
言い換えれば、縮流路345におけるガスの縮流方向が上下方向D2の場合、縮流路345において発生した高速流のガスの全体が主流路34の外で下方向に流れる。一方、縮流路345におけるガスの縮流方向が左右方向D3の場合、縮流路345において発生した高速流のガスの下方向部分のみが主流路34の外で下方向に流れる。
以上説明したように、この発明の実施の形態8に係る流量測定装置100によれば、縮流路345におけるガスの縮流方向が左右方向D3となっている。これにより、流出口343から主流路34の外に流出したガスの流速に偏りが少なくなる。したがって、動圧損失が減少する。その結果、配管1の上下方向D2についての偏流および左右方向で3についての偏流が発生する場合に、主流路34を流れるガスの流量に差が発生することが抑制される。したがって、流量測定装置100の測定誤差をさらに低減させることができる。
実施の形態9.
図22は、この発明の実施の形態9に係る流量測定装置の内部流路を示す斜視図である。縮流路345は、左右方向D3について分割された複数の小流路345aを有している。この例では、小流路345aの数は、2個となっている。これにより、主流路カバー36は、上下方向D2に延びる図示しない柱を有している。柱は、縮流路345を分割する。その他の構成は、実施の形態8と同様である。
分岐口346よりも下流側の主流路34を流れるガスは、縮流路345において左右方向D3に分かれて縮流路345から噴出する。これにより、縮流路345よりも下流側の主流路34では、左右方向D3の壁面の付近を高速流のガスが流れる。
一方、測定素子流路35を通過したガスは、合流口347から主流路34の上部であって左右方向D3について中央部分に流れる。主流路34の上方向壁面付近に発生するガスの流れの剥離は、主流路34の上部であって左右方向D3について中央部分に発生する。したがって、縮流路345を通過したガスと測定素子流路35を通過したガスとが、互いに干渉し合うことが抑制される。これにより、配管下部に高速流のガスが流れる偏流が発生する場合に、主流路34における合流口347よりも下流側で上方向壁面付近に発生するガスの流れの剥離によって縮流路345から噴出した高速流のガスの流れが下方向に流れるよう作用することが抑制される。また、流出口343における動圧損失の増加が抑制される。
以上説明したように、この発明の実施の形態9に係る流量測定装置によれば、縮流路345は、左右方向D3について分割された複数の小流路345aを有している。これにより、配管1に偏流が発生する場合に、流量測定装置100の測定誤差をさらに低減させることができる。