JP6990825B2 - 空間殺菌装置 - Google Patents

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室内を代表とする対象空間の除菌を行う空間殺菌装置に関するものである。
従来、この種の空間殺菌装置は、(超音波を含む)噴霧式の装置とは異なり、ミストを使用しないことでミストによって直接壁や床を濡らしてしまう可能性がないことや、気体として次亜塩素酸を発生させるので、送風によって対象空間のすみずみまで揮発した次亜塩素酸成分を行き渡らせることを特徴としていた。その一方で、この種の空間殺菌装置は湿度が低い状態であると揮発した次亜塩素酸は乾燥した付着菌に対して殺菌効果が弱まることが懸念されていた。
特開2016―27849号公報
このような従来の空間殺菌装置においては、室内の初期湿度を考慮した運転がなされていなかったために、安定して高い除菌効果を得ることができていなかった。
そこで本発明は、上記従来課題を解決するものであり、揮発した次亜塩素酸による除菌効果を向上させ、従来よりも短時間での除菌効果を提供することを目的としている。
そして、この目標を達成するために、過酸化水素や次亜塩素酸などを放出する除菌装置において空間内が高湿度になる程、除菌効果が大きくなることに着眼して、研鑽を重ねた結果、対象空間の湿度を80%以上とした後に次亜塩素酸を放出することで除菌効果を向上させることができることを見出した。
すなわち、次亜塩素酸水に含まれる非解離型の次亜塩素酸を揮発させて対象空間に拡散し、次亜塩素酸で対象空間の殺菌することを特徴とする空間殺菌装置において、次亜塩素酸を含有する水素イオン濃度が、3.0以上、8.5以下の次亜塩素酸水を保持するトレイと、次亜塩素酸を揮発させるための通風揮発部と、揮発させた次亜塩素酸を送風するための送風機と、次亜塩素酸を電気分解で生成するための電解部と、運転制御を行う制御部と、レイへ水を給水する給水部と、トレイ内の次亜塩素酸含有の水を排水する排水部と、を備え、制御部は、運転初期に給水部からトレイに給水された水を用いて対象空間の相対湿度を80%以上にする加湿する加湿工程を行い、その後に、トレイ内水の電気分解を含む殺菌工程に移行する運転制御アルゴリズムを備えたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
以上のように本発明は、殺菌工程の前に、殺菌工程開始時の殺菌対象空間の相対湿度を80%以上とする加湿工程を有することで、除菌効果を向上させ、従来よりも短時間での殺菌工程で除菌効果を実現する空間殺菌装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1の空間殺菌装置の外観図 同実施の形態1の空間殺菌装置の内部構成図 同実施の形態1の空間殺菌装置の構成を示すブロック図 同実施の形態1の空間殺菌装置の動作を示すタイムチャート 同実施の形態1の効果を説明する図((a)殺菌性能を示す図、(b)相対湿度40%のときの次亜塩素酸ガスの挙動を説明する図、(c)相対湿度80%のときの次亜塩素酸ガスの挙動を説明する図) 同実施の形態2の空間殺菌装置の内部構成図 同実施の形態2の空間殺菌装置の構成を示すブロック図 加湿工程におけるトレイ内の水への影響を説明する図 同実施の形態3の空間殺菌装置の外観図 同実施の形態3の給水手段を説明する図((a)トレイ内へ給水がされる前の状態を示す図、(b)給水手段にとってトレイ内へ水が給水された状態を示す図)
本発明係る空間殺菌装置は、次亜塩素酸水に含まれる非解離型の次亜塩素酸を揮発させて対象空間に拡散し、次亜塩素酸で対象空間の殺菌することを特徴とする空間殺菌装置であって、次亜塩素酸を含有する水素イオン濃度が、3.0以上、8.5以下の次亜塩素酸水を保持するトレイと、次亜塩素酸を揮発させるための通風揮発部揮発させた次亜塩素酸を送風するための送風機と、次亜塩素酸を電気分解で生成するための電解部と、運転制御を行う制御部と、前記トレイへ水を給水する給水部と、レイ内の次亜塩素酸含有の水を排水する排水部とを備え、御部は、運転初期に象空間の相対湿度を80%以上にする加湿する加湿工程を行い、その後に、レイ内水の電気分解を含む殺菌工程に移行する運転制御アルゴリズムを備えたものである。
これにより、加湿工程において殺菌対象空間の湿度を80%以上にしてから殺菌工程で除菌を行うこととなるので、短時間で殺菌効果を得ることができ、電極への負荷を減らすこともできる。
また、本発明に係る空間殺菌装置は、制御部は、電解量調整部を有し、湿工程の運転時間から前記トレイ内の水に溶け込んだ空気中成分によって消費される次亜塩素酸量を算出し、電解部の電解量を増大させるものである。
これにより、電解量調整部が次亜塩素酸量を算出し、電解部の電解量を増大させるので、
加湿工程の際にトレイ内の水に溶け込む空気中成分の量に関わらず、一定以上の次亜塩素酸を発生させることができ、殺菌対象空間の清浄度によらず、次亜塩素酸を安定して生成することができる。
また、本発明に係る空間殺菌装置は、制御部は、運転初期に一定時間、レイに水を給水せずに送風する集塵工程を備え、塵工程の実施後にトレイに給水し加湿運転を行う加湿工程と、湿工程後に電気分解と次亜塩素酸の揮発を行う殺菌工程にそれぞれ移行する運転制御アルゴリズムを備えたものである。
これにより、集塵工程によって空気中の粉塵が除去され、加湿工程でトレイ内水に溶け込む空気中の成分を減少させることができるので、次亜塩素酸を効率よく生成することができ、安定して高い殺菌効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1において、空間殺菌装置1の外観を示す。
空間殺菌装置1は、本体ケース2を備えている。
本体ケース2は、側面に比べて天面の面積が小さな箱体であり、対向する側面にそれぞれ吸込口3を備え、天面に吹出口4を備えている。つまり、空間殺菌装置1は、除菌を対象とする対象空間(殺菌対象空間)である室内に設置する箱体の本体ケース2を備えている。また、本体ケース2の天面には、空間殺菌装置1の操作をする操作スイッチ15を備えている。
図2に示すように、本体ケース2の内部には吸込口3と吹出口4を連通する空気風路5が設けられている。
空気風路5内には、吸込口3から吹出口4に向けて空気を流す送風機6と、空気風路5を遮るようにして配置した通風揮発部7が設けられている。本実施の形態における通風揮発部7は回転可能な筒形状のフィルタであり、電解質を浸み込ませて通過する空気に電解質を接触させることができるものである。
送風機6は、本体ケース2の上部に設けられ、モータとモータにより回転する羽根車とそれらを囲むケースとから構成されるいわゆるシロッコファンとして形成されている。
また、本体ケース2下部には水を貯水した給水タンク8と給水タンク8から水が供給されるトレイ10が設けられており、これらは本体ケース2から取り外すことが可能である。
給水タンク8は、トレイ10に装着した状態で下端に位置する面が蓋を備えた開口となっている。蓋には、上下方向に開口した蓋開口と、蓋開口を開閉する開閉弁部とを備えている。開閉弁部は、蓋開口に設けられた弁支持部によって可動自在に支持される。タンク部の蓋をトレイに装着すると開閉弁部が蓋開口を開き、蓋開口から給水タンク8内の水が、トレイ10へ貯水される構成である。蓋開口がトレイ10内の水に埋没すると給水タンク8内へ空気が入らなくなり、給水タンク8内の水の重力によって開閉弁部が閉じて給水タンク8内の水はトレイ10へ供給されなくなるものである。
トレイ10内には電極11を有する電解部12と通風揮発部7と給水検知手段9が設けられている。またトレイ10には、電解補助剤38(図示せず)を投入できるようにしたものである。
トレイ10は、給水タンク8から供給された水に通風揮発部7の下部を浸漬させることができるものである。給水検知手段9は磁気を利用したフロートセンサーを使用している。給水検知手段9は、トレイ10内が渇水となったことを検知するものである。
電解補助剤38は、タブレット状の塩化ナトリウムであり、装置とは別にボトルに保存されている。使用者がトレイ10内へ投入することで、給水タンクから給水されたトレイ10内で溶解し、塩化ナトリウム水溶液となる。
また、図3に空間殺菌装置1の構成をブロック図に示している。空間殺菌装置1の動作を行う制御部14は運転制御アルゴリズム23として、加湿工程16と殺菌工程17を備えている。制御部14には、操作スイッチ15、加湿工程終了検知手段13、給水検知手段9を入力装置として接続され、通風揮発部7、送風機6、電極11を出力装置として接続している。
加湿工程終了検知手段13は、湿度センサーであり、殺菌対象空間の相対湿度が80%以上となると制御部14に信号を発信する。
制御部14は、加湿工程終了検知手段13の信号により、空間殺菌装置1の動作を加湿工程16から殺菌工程17へ切り替えるものである。
加湿工程16は、空間殺菌装置1の運転開始時にトレイ10内に供給した給水タンク8の水を通風揮発部7に浸み込ませ、送風機6により送風をして、通風揮発部7を介して水に接触した空気を吹出口4から吹き出すものである。
また、殺菌工程17は、加湿工程16に続いて、トレイ10内の水を電解部12によって電気分解をし、通風揮発部7に電解水を浸み込ませ、その後、送風機6により送風をして、通風揮発部7を介して電解水に接触した空気を吹出口4から吹き出すものである。
上記構成において、まず、給水タンクをセットすると前記トレイ10内が常に定水位となるように給水タンク8からトレイ10へと水が給水される。給水検知手段9であるフロートセンサーによってトレイ10内が渇水でないことを確認する。
その後、使用者が電解補助剤38をトレイ10内に追加し、操作スイッチ15を操作することによって空間殺菌装置1運転を開始することができる。図4に示すように、制御部14は、初めに加湿工程16を開始させる。
加湿工程16では、通風揮発部7がトレイ10内の水と接触しながら回転し、常に通風揮発部7はトレイ10内の水が含水された状態となる。また運転開始と同時に送風機6が運転を開始することで含水した通風揮発部7内を空気が通過し、空気の加湿が行われる。続いて加湿工程終了検知手段13が対象空間の相対湿度が80%以上であることを検知すると、制御部14に信号を発信し、加湿工程16が終了する。
制御部14は、加湿工程16が終了させ、送風機6を停止し、殺菌工程17に移行する。菌工程17は、まず、電極11への通電を行いトレイ10内の水に対して一定時間の電気分解を行う。電気分解によって、トレイ10内に次亜塩素酸水が生成される。電気分解が終了すると再び送風機6の運転を開始し、通風揮発部7に含浸した次亜塩素酸水が空気との接触することとなる。これにより次亜塩素酸水は揮発して、空気風路5のさらに下流側の吹出口4から対象空間へ放出される。そして対象空間の殺菌を行うことができる。殺菌は一定時間で行うものであるが、1回の殺菌工程17の終了後、トレイ10内が渇水でない場合には、続けて2回目以降の殺菌工程17を繰り返してもよい。この場合、図4に示すように電極11への通電とその後の送風機6の運転を一つのサイクルとして繰り返すことができる。本実施の形態では、電解補助剤の水溶液すなわち塩化ナトリウム水溶液の電気分解において次亜塩素酸を生成しているが、2回目以降の殺菌工程17を行う場合は1回の殺菌工程17の電気分解で消費される塩化物イオンの濃度が全体の10%以下となるように塩化ナトリウムを添加しておけばよい。
以上のように本実施の形態では、加湿工程16によって、対象空間の湿度を80%以上としたのちに殺菌工程17を実施することで、短時間での殺菌効果を得ることができる。
図5(a)、(b)、(c)に本実施の形態における湿度を80%以上とした理由について示す。
本実施の形態では、湿度の影響に着目し、いくつかの初期湿度条件で殺菌試験を行った。
殺菌試験とは、50分の1に希釈したブイヨン培地に溶解した黄色ブドウ球菌40μLをシャーレ上で乾燥させた後、揮発した次亜塩素酸に曝露し、一定時間経過後に黄色ブドウ球菌を回収し、標準寒天培地を用いて混釈法によって培養、評価するものである。
図5(a)のグラフ縦軸は殺菌試験によって殺菌された菌の個数を対数値で表しており、横軸は曝露濃度Cと曝露時間Tの積であるCT値を表している。
つまり、殺菌試験における評価基準は、CTがより低い条件において、殺菌性能が高い値となることである。
その結果、図5(a)に示すように初期湿度80%で顕著な殺菌性能を得られることが確認された。CT値15ppm・minで殺菌性能6(対数減少値)以上の殺菌性能を実現するこができた。
図5(a)における殺菌メカニズムについては、図5(b)、(c)に示すように、湿度が高くなる程、対象の菌の近傍に水分が存在するため、揮発した次亜塩素酸がそれらの水分に溶け込むことでより強い効果を発揮していると考察した。
一方、初期湿度は80%よりさらに高いほうが殺菌性能を高める可能性があるが、殺菌工程は通風揮発部に次亜塩素酸を含浸させることから、常に加湿を続ける工程にもなる。長時間加湿を続けることで、殺菌対象空間が結露する可能性を抑えるために、加湿工程での加湿は殺菌性能を十分に得ることができる80%とした。
本実施の形態において、送風機6はシロッコファンを用いているが、送風を行える機構であればその他の手段を用いてもよく、その構成を制限するものではない。加えて通風揮発部7は回転可能な筒形状のフィルタを使用しているが、次亜塩素酸と気流を接触させることができればよく、その構成を制限するものではない。本実施の形態における電解補助剤38はタブレット状の塩化ナトリウムを使用しているが、その成分を制限するものではなく、塩化物イオンを供給できるものであれば、塩酸等を用いることもでき、またpHの調整を目的にして、りん酸等の緩衝剤を混合してもよい。加えて、タブレット状以外にも、液体での保存や給水タンクに直接追加することも可能であり、その構成を制限するものではない。また、本実施の形態では装置外のボトルとしているが、本体との直結や、取り外し可能な状態で本体に備え付けてもよく、その構成を制限するものではない。
本実施の形態における加湿工程16の終了には湿度センサーによる検知を用いているが、加湿工程の終了については湿度が80%以上であれば、いつ終了しても構わず、例えば湿度センサーによる検知に代えて、タイマ制御によって十分な時間加湿をするなどの方法で加湿工程を行っても良い。
なお、本実施の形態において、塩水を用いた加湿を行うものであるが濃度が低いので問題はないと考える。
(実施の形態2)
実施の形態1では、短時間での殺菌効果を得ることができる空間殺菌装置1の実施形態を説明した。加湿工程16では、本体ケース2内へ吸い込んだ対象空間の空気は通風揮発部7を通して加湿をするため、吸い込んだ空気の汚れがトレイ10内の水に吸収されてしまうことがある。そのため、殺菌工程17で電気分解によって生成する次亜塩素酸の量が不安定になることが予測させる。
そこで、本実施の形態では、加湿工程の際にトレイ内の水に溶け込む空気中の汚れ成分の量の影響を受けずに、一定以上量の次亜塩素酸を発生させることができる空間殺菌装置について説明をする。
図6に実施の形態2の空間殺菌装置の概略図を示す。なお、理解を容易にするために本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の空間殺菌装置25は、電解量調節部26と負荷検知手段27を有する。
また、実施の形態1の運転制御アルゴリズム23に代えて運転制御アルゴリズム28を備えたものである。運転制御アルゴリズム28は、加湿工程16と、電解負荷検知工程29と電解調整工程30を備えた殺菌工程31とを備えている。そして、加湿工程16、電解負荷検知工程29、電解調整工程30、殺菌工程31の順番に実行される。
負荷検知手段27は、トレイ10内に設けられた電気伝導度測定装置32である。電解負荷検知工程29において、負荷検知手段27が検出した電気伝導度によってトレイ10内水の汚れを検出する工程である。
電解量調節部26は、電解調整工程30において、電気分解時の電解量を調整するものである。電解量調節部26によって、電極11への印加電圧または、電圧の印加時間の少なくとも一方を調整することで電解量を調整することができる。
上記構成において、空間殺菌装置25の動作について説明する。実施の形態1と同様に給水タンク8をトレイ10内へセットするとトレイ10内が常に定水位となるように給水タンク8からトレイ10へと水が給水される。給水検知手段9であるフロートセンサーにトレイ10内が渇水でないことが確認される。その後、空間殺菌装置25の運転を開始することで初めに加湿工程16が開始される。加湿工程16では通風揮発部7がトレイ10内の水と接触しながら回転し、常に通風揮発部7は含水された状態となる。同時に送風機6が運転を開始することで含水した通風揮発部7内を空気が通過し、吹出口4から吹き出す空気の加湿が行われる。
この際、図8(a)、(b)に示すように送風機6によって本体ケース2内に取り込まれた空気中の成分は、含水した通風揮発部7に接触することによりトレイ10内の水へと溶解する。これらの気中成分の溶け込みは、殺菌工程17での電気分解の阻害や次亜塩素酸の消費をしてしまう。そのため実施の形態1の殺菌工程17では、所定濃度の次亜塩素酸が生成されない場合が生じる。
そこで、加湿工程16に続けて、電解負荷検知工程29において、負荷検知手段27がトレイ10内水の汚れを検出することが重要である。負荷検知手段27は電気伝導度によって加湿工程16後のトレイ内の水の汚れ、あるいは空気中の汚れ等を検知し、その負荷に応じた電気分解を行うことが可能となる。ここで負荷の判断は清浄状態の電気伝導度を参照とすることで、電気伝導度の低下を水の汚れとして判定している。
そして、電解負荷検知工程29に続けて、殺菌工程31を実行することとなる。
殺菌工程31では、まず、電解負荷検知工程29で検出したトレイ10内の水の汚れから、電解調整工程30において、汚れ度合によって消費される次亜塩素酸量を算出し、電気分解時の電解量を調整することができる。電解量調節部26は制御部14から受け取った信号をもとに、電解時間、あるいは電解強度を変更することで、電解量を増大させ、一定以上の次亜塩素酸を発生させる。電気分解が終了すると、実施の形態1と同様に、再び送風機6の運転を開始し、通風揮発部7に含浸した次亜塩素酸水が空気との接触することとなる。これにより次亜塩素酸水は揮発して、空気風路5のさらに下流側の吹出口4から対象空間へ放出される。そして対象空間の殺菌を行うことができる。
以上により、本実施の形態における空間殺菌装置25は、殺菌対象空間の清浄度によらず、次亜塩素酸を安定して生成することができる。これにより、安定して高い殺菌効果を得ることができる。
なお本実施の形態における負荷検知手段27は、トレイ10内水の電気伝導度による検知を用いているが、例えば、空気の汚染状態からトレイ10内水への汚れの溶け込みを推定する手段としてホコリセンサー、PM2.5センサー(パナソニックフォト・ライティング株式会社が提供する微細粒子検出センサー)、TOC(全有機炭素、粒子センサー(ほこりセンサー、デジタル粉塵計、パーティクルカウンタ)やトレイ10内の水の汚れを検知する手段として濁度センサー、TOCセンサー(GE アナリティカル・インストルメンツ社が 提供する新. 型ポータブル/オンライン全有機炭素(TOC)センサー)、電極センサー(電極式の水位センサー)、もしくは運転時間による検知などを単体あるいは複数用いてもよく、その構成を制限するものではない。
(実施の形態3)
図9、図10(a)、(b)に空間殺菌装置の概略図を示す。本実施の形態の空間殺菌装置33は、集塵フィルタ34と給水手段35と集塵工程36を備えている。本実施の形態の動作について説明する。
まず始めに給水タンク8をセットするが、この時点ではトレイ10への給水は行われない。
操作スイッチ15を操作することによって空間殺菌装置33の運転を開始することができる。
まず、集塵工程36において、運転開始時にはトレイ10内に水を保持しない状態で送風機6の運転を開始する。この間に集塵フィルタ34を通過した空気の汚れが取り除かれ、対象空間がより清浄となる。一定時間終了後、加湿工程16へ移行することとなる。その前に、給水手段35の作動によって給水タンク8の一部が開口することで給水を開始し、続いてトレイ10内へ電解補助剤38が投入される。電解補助剤38の投入後に運転制御アルゴリズムによって加湿工程16へと移行し、以降実施の形態1と同様に加湿工程16と殺菌工程17へとそれぞれ移行する。
以上により、本実施の形態における空間殺菌装置33は、殺菌対象空間を集塵工程36でより清浄にすることで、加湿工程16後のトレイ内水の汚れを減らし、次亜塩素酸を安定して生成することができる。
なお本実施の形態における給水手段は、予め閉じていた給水タンクの一部を開口することで給水を開始する機構であるが、例えば給水ポンプを使用し給水するなどの手段でもよく、その他の給水手段を使用してもよい。
本発明に係る空気殺菌装置は、室内の空気浄化手段等として有用である。
1 空間殺菌装置
2 本体ケース
3 吸込口
4 吹出口
5 空気風路
6 送風機
7 通風揮発部
8 給水タンク
9 給水検知手段
10 トレイ
11 電極
12 電解部
13 加湿工程終了検知手段
14 制御部
15 操作スイッチ
16 加湿工程
17 殺菌工程
23 運転制御アルゴリズム
25 空間殺菌装置
26 電解量調節部
27 負荷検知手段
28 運転制御アルゴリズム
29 電解負荷検知工程
30 電解調整工程
31 殺菌工程
32 電気伝導度測定装置
33 空間殺菌装置
34 集塵フィルタ
35 給水手段
36 集塵工程
38 電解補助剤

Claims (3)

  1. 次亜塩素酸水に含まれる非解離型の次亜塩素酸を揮発させて対象空間に拡散し、前記対象空間の殺菌する空間殺菌装置であって、
    次亜塩素酸を含有する水素イオン濃度が、3.0以上、8.5以下の次亜塩素酸水を保持するトレイと、
    次亜塩素酸を揮発させるための通風揮発部と、
    揮発させた次亜塩素酸を送風するための送風機と、
    次亜塩素酸を電気分解で生成するための電解部と、
    運転制御を行う制御部と、
    前記トレイへ水を給水する給水部と、
    前記トレイ内の次亜塩素酸含有の水を排水する排水部と、
    を備え、
    前記制御部は、運転初期に前記給水部から前記トレイに給水された水を用いて前記対象空間の相対湿度を80%以上にする加湿する加湿工程を行い、その後に、前記トレイ内水の電気分解を含む殺菌工程に移行する運転制御アルゴリズムを備えたことを特徴とする空間殺菌装置。
  2. 前記制御部は、前記加湿工程の運転時間から前記トレイ内の水に溶け込んだ空気中成分によって消費される次亜塩素酸量を算出し、前記電解部の電解量を増大させることを特徴とする請求項1に記載の空間殺菌装置。
  3. 前記制御部は、運転初期に一定時間、前記トレイに水を給水せずに送風する集塵工程を行い、前記集塵工程の実施後に前記トレイに給水し加湿運転を行う前記加湿工程と、前記加湿工程後に電気分解と次亜塩素酸の揮発を行う前記殺菌工程にそれぞれ移行する運転制御アルゴリズムをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の空間殺菌装置。
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