JP6990061B2 - 直流漏電検出器及び直流漏電検出方法 - Google Patents
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Description
尚、前記飽和検出レベル設定回路は、-側の起電力の最大値の絶対値の半分の値を飽和検出レベルに設定することが望ましい。
さらに記憶装置を有し、前記漏電電流検出回路は、前記計測した時間を、前記記憶装置に予め記憶した閾値と比較することにより漏電電流を検出することが望ましい。
さらに記憶装置を有し、前記漏電電流検出回路は、前記計測した時間から、前記記憶装置に予め記憶した計測時間と直流電流値との関係を示すルックアップテーブルを参照することにより漏電電流値を推定することが望ましい。
尚、前記起電力の飽和検出レベルとして、-側の起電力の最大値の絶対値よりも小さい絶対値を飽和検出レベルに設定するステップにおいて、-側の起電力の最大値の絶対値の半分の値を飽和検出レベルに設定することが望ましい。
また、前記直流零相変流器の起電力の波形からコアが飽和に達する時間を計測し、該計測した時間に基づき前記往復直流線に流れる漏電電流を検出するステップにおいて、前記計測した時間を、記憶装置に予め記憶した閾値と比較することにより漏電電流を検出することが望ましい。
また、前記直流零相変流器の起電力の波形からコアが飽和に達する時間を計測し、該計測した時間に基づき前記往復直流線に流れる漏電電流を検出するステップにおいて、前記計測した時間から、記憶装置に予め記憶した計測時間と直流電流値との関係を示すルックアップテーブルを参照することにより漏電電流値を推定することが望ましい。
図1は、本発明の実施形態に係る直流漏電検出器の全体構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る直流漏電検出器1は、零相変流器10と漏電電流検出回路20とを備えてなる。
即ち、CPU30がROM31に記憶されたコンピュータプログラムをRAM32に読み出し実行することにより所定の動作を行う。
例えば、CPU30は、制御IC21に内蔵された時間計測タイマ37を使用して後述するTsat+及びTsat-を計測して漏電電流を求め、検出対象の直流電路の漏電の有無を判断する処理を行う。
図2に示すように駆動信号発生回路22は、駆動波形同期信号をコントロール信号として出力信号を切り替えるアナログスイッチ41と、前記駆動波形同期信号に基づき、入力を反転または非反転して増幅出力するオペアンプ(OPアンプ)42と、オペアンプ42の出力波形を平滑化する波形平滑フィルタ43と、波形平滑フィルタ43の出力を増幅する駆動アンプ44とを有する。
前記駆動アンプ44から出力された駆動波形(VS)は、図1に示すように抵抗Rsを介して零相変流器10に駆動電圧Vsとして印加される。
コイルの駆動電圧VSは、零相変流器10のコア11を飽和させるまで駆動する。このとき、零相変流器10のコア11における磁界Hと磁束密度Bの変化曲線は、図5(a)の通りである。
一方、磁界Hを-方向に減少させると、磁束密度Bは、d点からe点まで緩やかに減少した後、e点からf点まで急激に減少する。そして、f点から再び緩やかにa点まで磁界が減少する。a点において、「-側にコア11の磁束密度Bは飽和している」という。図示するようにf点からa点の期間は、-側にコア11(の磁束密度B)は、略飽和している状態と言える。
即ち、磁界Hと磁束密度Bとの関係がa点からb点に変化するとき、起電力VLは+側において0Vから緩やかに増加し、駆動電流ILは急激に増加する。
磁界Hと磁束密度Bとの関係がb点からc点に変化するとき、起電力VLは+側において急激に増加し、駆動電流ILは緩やかに増加する。
さらに磁界Hと磁束密度Bとの関係がc点からd点に変化するとき、起電力VLは+側において急激に減少し、駆動電流ILは急激に増加する。
そして、起電力VLが0Vになるとき(d点)、駆動電流ILが+側の最大値となる。このとき、コア11が+側に完全に飽和している状態である。
磁界Hと磁束密度Bの関係がe点からf点に変化するとき、起電力VLは-側において急激に減少し、駆動電流ILは緩やかに減少する。
そして、磁界Hと磁束密度Bの関係がf点からa点に変化するとき、起電力VLは-側において急激に増加し、駆動電流ILは急激に減少する。
そして、起電力VLが0Vになるとき(a点)、駆動電流ILが-側の最小値となる。このとき、コア11が-側に完全に飽和している状態である。
したがって、飽和状態を示す飽和検出レベル設定信号Vsatの値を決める場合には、前記c点からd点、またはf点からa点の期間における起電力VLの範囲から決めればよい。しかしながら、d点またはa点に近づく、即ち起電力VLが0Vに近づくほど、略完全な飽和状態となるため、0V付近の所定値をVsatとすることが望ましい。
そのように決定されたVsatであれば、所定のタイミング期間において、起電力VLの絶対値がVsat以下になった場合には、必ず磁束密度がd点に近い点、或いはa点に近い点にある、即ち、略完全に飽和している状態と推定することができる。
このため、図6(b)の波形グラフに示すように、最大漏電電流(IDC_max)を+側に印加したとき、+VL、-VLの絶対値は最小となる。
そこで、最大漏電電流(IDC_max)を+側に印加したときの+側の最大値を+VL(IDC_max)とし、-側の最大値を-VL(IDC_max)とすると、-VL(IDC_max)の絶対値は+VL(IDC_max)の絶対値より小さくなる。-Vsat>-VL(IDC_max)とするために、-VL(IDC_max)の絶対値よりもVsatは小さくする必要がある。
本実施の形態においては、最大漏電電流(IDC_max)を+側に印加したとき、-VL(IDC_max)を、VL監視入力アンプ26からA/Dコンバータ36を介してCPU30にて測定する。そして、-VL(IDC_max)の絶対値よりも小さい値(本実施形態では前記絶対値の半分の値)をVsatとする。
尚、決定されたVsatの値は、ROM31に記録され、CPU30が実行するコンピュータプログラムによって読み出され、Vsatの出力がなされる。
一方、ノイズ除去フィルタ24は、零相変流器10の起電力VLにおけるノイズ成分を取り除き、その出力は、前記コンパレータ25a、25bにそれぞれ入力される。
また、コンパレータ25bには、前記のように-Vsatと零相変流器10の起電力VLとが入力され、図7(c)に示すように、起電力VLが-Vsatを上回った場合(飽和した場合)に、それを検出する(図7(e)参照、検出時出力は1→0)。
また、制御IC21内の時間計測タイマ37は、駆動信号VSが-から+に変化してから(図7(b)参照)、起電力VLが+Vsatを下回るまで(図7(c)参照)をTsat+として計測する。また、駆動信号VSが+から-に変化してから(図7(b)参照)、起電力VLが-Vsatを上回るまで(図7(c)参照)をTsat-として計測する。
制御IC21から出力された駆動波形同期信号および駆動波形生成信号に基づき、駆動信号発生回路22により正弦波形が形成され、直列抵抗Rsを介して駆動電圧VSが零相変流器10に印加される。
これにより零相変流器10を駆動すると、起電力VLが生じ、その波形は図8(a)に示す通りとなる。図8(a)の波形は、零相変流器10を貫通する往復直流線13A及び13Bに直流(DC)電流が印加されていない状態を示している。
一方、-側に直流電流が印加された場合には、図8(c)に示すように起電力VLの波形はゆがみ、-側の飽和(即ち起電力VLが0Vになる)に達する時間が短くなる(時間Tsat-が短くなる)。
また、コンパレータ25a、25bでは、それぞれ飽和検出レベル+Vsat、-Vsatと起電力VLとを比較し、その演算結果を制御IC21の時間制御タイマ37に出力する。
前記時間Tsat+は、図8(a)~(c)に示すように、駆動電圧VSが-から+に変化してからVLが+Vsatを下回るまでの時間(+側において飽和に達するまでの時間)である。また、時間Tsat-は、VSが+から-に変化してからVLが-Vsatを上回るまでの時間(-側において飽和に達するまでの時間)である。
まず、準備工程を実施する。準備工程においては、最初に直流印加電流を0としてTsat+及びTsat-を計測する(図9のステップS1)。
即ち、計測したTsat+(0)、Tsat-(0)をRAM32に保持しておく(図9のステップS2)。
ステップS2でのTsat+に変化が生じると、Tsat+の計測を実施し(図9のステップS4)、その値をTsat+(op)としてRAM32に保持しておく(図9のステップS5)。
ステップS6でのTsat-に変化が生じると、Tsat-の計測を実施し(図9のステップS7)、その値をTsat-(op)としてRAM32に保持し(図9のステップS8)、Tsat+(op)とともにROM31に記憶する(図9のステップS9)。即ち、Tsat+(op)はプラス側電流の漏電を検出するための時間の閾値となり、Tsat-(op)はマイナス側電流の漏電を検出するための時間の閾値となる。
Tsat+がTsat+(op)より小さい場合、即ち+側で漏電検出電流Iopのときより早く飽和した場合、漏電検出電流Iopを超える直流電流が印加されたものと判定する(図9のステップS12)。
Tsat+がTsat+(op)より大きい場合(図9のステップS11)、漏電検出電流Iopを超える直流電流は印加されていないものと判定し、ステップS13に移行する。
Tsat-がTsat-(op)より小さい場合、即ち-側で漏電検出電流Iopのときより早く飽和した場合、漏電検出電流Iopを超える直流電流が印加されたものと判定する(図9のステップS14)。
Tsat-がTsat-(op)より大きい場合(図9のステップS13)、漏電検出電流Iopを超える直流電流は印加されていないものと判定し、ステップS10に移行する(監視を継続する)。
先ず、準備工程を実施する。準備工程においては、最初に直流印加電流を0としてTsat+及びTsat-を計測する(図10のステップSP1)。
即ち、計測したTsat+(0)、Tsat-(0)をRAM32に保持しておく(図10のステップSP2)。
そして、+側に直流電流I(i+1)を印加し、Tsat+に変化が生じるか否か(Tsat+<Tsat+(i)-Δとなるか)を判定する(図10のステップSP4)。尚、Δは、Tsat+が変化したことを検出するための最小変動分である。
ステップSP4でのTsat+に変化が生じると、Tsat+の計測を実施し(図10のステップSP5)、計測したTsat+をTsat+(i+1)としてRAM32に記憶する(図10のステップSP6)。
即ち、RAM32には、+側における直流印加電流の値の変化と、それに対応するTsat+の値とが記憶される。
i=nに達すると(図10のステップSP8)、i=0にリセットされる(図10のステップSP9)。
ステップSP10でのTsat-に変化が生じると、Tsat-の計測を実施し(図10のステップSP11)、計測したTsat-をTsat-(i+1)としてRAM32に記憶する(図10のステップSP12)。
即ち、RAM32には、-側における直流印加電流の値の変化と、それに対応するTsat-の値とが記憶される。
また、図11(b)に示すように、Tsat-(0)-Tsat-(n)をX軸、印加電流0及びI1~InをY軸としたTsat-折れ線近似グラフを作成し、それを制御IC21のROM31にルックアップテーブルとして記憶する(図10のステップSP15)。これにより準備工程が完了する。
Tsat+がTsat+(0)-Δよりも小さい場合、Tsat+がTsat+(n)以下であるか判定される(図12のステップSP22)。
ここで、ΔI=I(i+1)-I(i)、ΔT=Tsat+(i)-Tsat+(i+1)、ΔTsat=Tsat+(i)-Tsat+が、ROM31に記録されたルックアップテーブル(図11(a)のグラフ)から求められる(図12のステップSP25)。
尚、ステップSP22の判定において、Tsat+がTsat+(n)より大きい場合、+側でI(n)より大きい電流の漏電検出がなされたと判定される(図12のステップSP23)。
Tsat-≦Tsat-(n)の場合、Tsat-(i+1)<Tsat-≦Tsat-(i)となるiを求める(図12のステップSP30)。
ここで、ΔI=I(i+1)-I(i)、ΔT=Tsat-(i)-Tsat-(i+1)、ΔTsat=Tsat-(i)-Tsat-が、ROM31に記録されたルックアップテーブル(図11(b)のグラフ)から求められる(図12のステップSP31)。
そして、-側で漏電検出判定され、且つ漏電電流は、I(i)+ΔTsat×ΔI/ΔT)により算出され(図12のステップSP32)、ステップSP20の処理へ戻る。
また、ステップSP27の判定において、計測したTsat-がTsat-(0)-Δ以上であった場合には、漏電は未検出と判定される(図12のステップSP33)。
尚、漏電電流が検出されず、監視を継続する場合(図12のステップSP33)、図12のステップSP20に戻って定期的にTsat+、Tsat-の計測を行う。
例えば、前記実施の形態において、記憶装置は制御IC21内に含まれるものとしたが、その構成に限定されるものではなく、制御IC21の外に設けてもよい。
10 零相変流器
11 コア
12 巻線
13A,13B 往復直流線
20 漏電電流検出回路
21 制御IC
22 駆動信号発生回路
23 飽和検出レベル発生回路
24 ノイズ除去フィルタ
25a,25b コンパレータ
26 VL監視入力アンプ
30 CPU
31 ROM(記憶装置)
32 RAM(記憶装置)
33 同期信号生成タイマ
34 D/Aコンバータ
35 D/Aコンバータ
36 A/Dコンバータ
37 時間計測タイマ
Claims (8)
- 直流電路の漏電を検出する直流漏電検出器であって、
前記直流電路に接続する往復直流線を貫通せしめた貫通型の直流零相変流器と、
前記直流電路に流れる漏電電流を検出する漏電電流検出回路と、
正弦波交流電圧で駆動した前記直流零相変流器の起電力の飽和検出レベルを設定する飽和検出レベル設定回路と、
を有し、
前記飽和検出レベル設定回路は、-側の起電力の最大値の絶対値よりも小さい絶対値を飽和検出レベルに設定し、
前記飽和検出レベルをVsatとすると、
前記漏電電流検出回路は、前記直流零相変流器の駆動電圧が-から+に変わってから前記起電力が+Vsatを下回るまでの時間、又は前記駆動電圧が+から-に変わってから前記起電力が-Vsatを上回るまでの時間を計測し、該時間に基づき前記漏電電流を検出することを特徴とする直流漏電検出器。 - 前記飽和検出レベル設定回路は、-側の起電力の最大値の絶対値の半分の値を飽和検出レベルに設定することを特徴とする請求項1に記載された直流漏電検出器。
- さらに記憶装置を有し、前記漏電電流検出回路は、前記計測した時間を、前記記憶装置に予め記憶した閾値と比較することにより漏電電流を検出することを特徴とする請求項1に記載の直流漏電検出器。
- さらに記憶装置を有し、前記漏電電流検出回路は、前記計測した時間から、前記記憶装置に予め記憶した計測時間と直流電流値との関係を示すルックアップテーブルを参照することにより漏電電流値を推定することを特徴とする請求項1に記載の直流漏電検出器。
- 直流電路に接続する往復直流線を貫通せしめた貫通型の直流零相変流器を用い、前記直流電路に流れる漏電電流を検出する直流漏電検出方法であって、
正弦波交流電圧を駆動電圧とし、前記直流零相変流器を前記駆動電圧で駆動するステップと、
前記直流零相変流器の起電力の波形からコアが飽和に達する時間を計測し、該計測した時間に基づき前記往復直流線に流れる漏電電流を検出するステップと、
を備え、
前記直流零相変流器の起電力の波形からコアが飽和に達する時間を計測し、該計測した時間に基づき前記往復直流線に流れる漏電電流を検出するステップにおいて、
前記起電力の飽和検出レベルとして、-側の起電力の最大値の絶対値よりも小さい絶対値を飽和検出レベルに設定するステップと、
前記飽和検出レベルをVsatとすると、
前記駆動電圧が-から+に変わってから前記起電力が+Vsatを下回るまでの時間、または前記駆動電圧が-Vsatを上回るまでの時間を計測するステップと、
前記計測した時間に基づき前記漏電電流を検出するステップと、
を含むことを特徴とする直流漏電検出方法。 - 前記起電力の飽和検出レベルとして、-側の起電力の最大値の絶対値よりも小さい絶対値を飽和検出レベルに設定するステップにおいて、
-側の起電力の最大値の絶対値の半分の値を飽和検出レベルに設定することを特徴とする請求項5に記載された直流漏電検出方法。 - 前記直流零相変流器の起電力の波形からコアが飽和に達する時間を計測し、該計測した時間に基づき前記往復直流線に流れる漏電電流を検出するステップにおいて、
前記計測した時間を、記憶装置に予め記憶した閾値と比較することにより漏電電流を検出することを特徴とする請求項5に記載の直流漏電検出方法。 - 前記直流零相変流器の起電力の波形からコアが飽和に達する時間を計測し、該計測した時間に基づき前記往復直流線に流れる漏電電流を検出するステップにおいて、
前記計測した時間から、記憶装置に予め記憶した計測時間と直流電流値との関係を示すルックアップテーブルを参照することにより漏電電流値を推定することを特徴とする請求項5に記載の直流漏電検出方法。
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