JP6988536B2 - ラジエータ及びエンジン冷却システム - Google Patents

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Description

本開示は、ラジエータ及びエンジン冷却システムに関する。
従来、相対的に温度の低い冷媒である低温冷媒と相対的に温度の高い冷媒である高温冷媒とによって、エンジンを冷却するエンジン冷却システムが知られている(例えば特許文献1参照)。具体的には、このようなエンジン冷却システムは、エンジンを冷却後の低温冷媒を空気との熱交換によって冷却する低温冷媒用ラジエータと、エンジンを冷却後の高温冷媒を空気との熱交換によって冷却する高温冷媒用ラジエータと、を備えている。
実開昭50−10940号公報
上記のようなエンジン冷却システムの場合、低温冷媒が空気との熱交換で冷却されているため、低温冷媒を効率的に冷却できているとはいえなかった。
本開示は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、低温冷媒を効率的に冷却することができるラジエータ及びエンジン冷却システムを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の態様に係るラジエータは、相対的に温度の低い冷媒である低温冷媒と相対的に温度の高い冷媒である高温冷媒とによってエンジンを冷却するエンジン冷却システムに適用されたラジエータであって、前記エンジンを冷却した後の前記低温冷媒が通過する内部低温冷媒通路と、前記内部低温冷媒通路の周囲に設けられた内部空間部と、を内部に有するラジエータ本体部と、前記エンジンを冷却した後の前記高温冷媒を前記内部空間部に向けて噴出させることで前記高温冷媒を膨張させて蒸気にする高温冷媒噴出部と、を備えることを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の態様に係るエンジン冷却システムは、相対的に温度の低い冷媒である低温冷媒と相対的に温度の高い冷媒である高温冷媒とによってエンジンを冷却するエンジン冷却システムであって、上記のラジエータと、前記低温冷媒を前記エンジンと前記ラジエータとの間で循環させる低温冷媒循環通路と、前記高温冷媒を前記エンジンと前記ラジエータとの間で循環させる高温冷媒循環通路と、前記高温冷媒循環通路における前記ラジエータよりも下流側且つ前記エンジンよりも上流側の箇所に配置されて、前記ラジエータから排出された前記高温冷媒を加圧して前記エンジンに向けて圧送する加圧装置と、を備えることを特徴とする。
上記のラジエータ及びエンジン冷却システムによれば、高温冷媒が高温冷媒噴出部からラジエータ本体部の内部空間部に向けて噴出されることで膨張して蒸気になる際の蒸発潜熱を利用して、内部低温冷媒通路の低温冷媒を効率的に冷却することができる。
実施形態に係る車両の模式的構成図である。 実施形態に係るラジエータの詳細を説明するための模式的断面図である。
以下、本実施形態に係るラジエータ20及びこれを備えるエンジン冷却システム10について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るエンジン冷却システム10が適用された車両1の構成を模式的に示す模式的構成図である。具体的には図1は、車両1のエンジンルーム内におけるエンジン2の近傍領域の構成を上方側から視認した様子を模式的に図示している。この車両1の具体的な種類は特に限定されるものではなく、小型商用車や、大型商用車、乗用車等の種々の車両を用いることができる。なお、図1において、車両1の進行方向(前方)は図1の左方向である。
エンジン2は、シリンダ(気筒)が形成されたシリンダブロック、シリンダブロックの上部に配置されたシリンダヘッド、シリンダ内に配置されたピストン、ピストンにコンロッドを介して接続されたクランクシャフト等を備えている。エンジン2の種類は特に限定されるものではなく、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の種々のエンジンを用いることができる。本実施形態においては、エンジン2の一例として、ディーゼルエンジンを用いている。
エンジン冷却システム10は、相対的に温度の低い冷媒である低温冷媒(これは高温冷媒よりも温度の低い冷媒である)と、相対的に温度の高い冷媒である高温冷媒(これは低温冷媒よりも温度の高い冷媒である)とによってエンジンを冷却する冷却システムである。換言すると、エンジン冷却システム10は、低温冷媒がエンジン2の第1の箇所を冷却し、高温冷媒がエンジン2の第2の箇所を冷却する二系統の冷却システムである。
具体的には、本実施形態に係るエンジン冷却システム10は、ラジエータ20と、ラジエータファン30と、低温冷媒循環通路40と、高温冷媒循環通路50と、加圧装置60とを備えている。ラジエータ20は、エンジン2を冷却した後の低温冷媒及び高温冷媒を冷却する装置である。本実施形態に係るラジエータ20は、エンジンルーム内において、エンジン2との間に所定の距離(すなわち空間)を有するようにして、エンジン2よりも前方側に配置されている。このラジエータ20の詳細は、後述する。
ラジエータファン30は、ラジエータ20に冷却風を送風するための装置である。本実施形態に係るラジエータファン30は、一例として、ラジエータ20よりも後方側、且つ、エンジン2よりも前方側に配置されており、エンジン2によって駆動されることで回転する。ラジエータファン30が回転すると、エンジンルームの前方面に設けられたラジエータグリル(これは、フロントグリルと称される場合もある)から空気がエンジンルーム内に流入し、この流入した空気が冷却風となって、ラジエータ20の周囲を通過する。
低温冷媒循環通路40は、低温冷媒をエンジン2とラジエータ20との間で循環させるための通路(配管)である。高温冷媒循環通路50は、高温冷媒をエンジン2とラジエータ20との間で循環させるための通路(配管)である。
なお、低温冷媒が冷却するエンジン2の箇所(第1の箇所)は特に限定されるものではないが、本実施形態では、エンジン2のシリンダヘッドの部分である。また、高温冷媒が冷却するエンジン2の箇所(第2の箇所)も特に限定されるものではないが、本実施形態では、エンジン2のシリンダブロックの部分である。また、低温冷媒及び高温冷媒としては、エンジン2を冷却できるものであればよく、その具体的な種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では、それぞれ冷却水を用いている。
また、車両1がEGR(Exhaust Gas Recirculation)ガス
を冷却するEGRクーラを備えている場合には、低温冷媒は、さらに、このEGRクーラを通過することでEGRガスを冷却してもよい。具体的には、この場合、このEGRクーラは低温冷媒循環通路40の途中部分に配置されており、これにより、冷温冷媒は、エンジン2及びラジエータ20に加えてEGRクーラをさらに通過する。また、車両1が水冷式のターボチャージャを備えている場合、高温冷媒は、さらに、このターボチャージャを通過することでターボチャージャを冷却してもよい。具体的には、この場合、このターボチャージャは高温冷媒循環通路50の途中部分に配置されており、これにより、高温冷媒は、エンジン2及びラジエータ20に加えてターボチャージャをさらに通過する。
加圧装置60は、高温冷媒循環通路50におけるラジエータ20よりも下流側且つエンジン2よりも上流側の箇所に配置されている。加圧装置60は、ラジエータ20から排出された高温冷媒を加圧してエンジン2に向けて圧送する。本実施形態においては、この加圧装置60の一例として、加圧ポンプを用いている。なお、この加圧ポンプの駆動方式は特に限定されるものではなく、エンジン2によって駆動される駆動方式であってもよく、あるいは電動モータ等によって駆動される駆動方式であってもよい。
この加圧装置60によって、ラジエータ20から排出された高温冷媒が加圧されることで、ラジエータ20から排出された高温冷媒中の蒸気成分が液化される。このため、加圧装置60を経由後の高温冷媒は液体の状態でエンジン2に戻される。また、加圧装置60によって高温冷媒が加圧されることで、加圧後の高温冷媒の沸点を100℃よりも高い値に上昇させることができる。この結果、高温冷媒がエンジン2の内部において沸騰することを抑制することができる。このため、エンジン2から排出された高温冷媒は、液体の状態でラジエータ20に導入される。
なお、本実施形態に係る低温冷媒循環通路40の低温冷媒は、基本的には、エンジン2の側とラジエータ20の側との間の温度差による対流を利用して、エンジン2とラジエータ20との間を循環しているが、この構成に限定されるものではない。他の一例を挙げると、エンジン冷却システム10は、低温冷媒を圧送するポンプ(例えばエンジン2の動力によって駆動されて低温冷媒を圧送するウォータポンプ)を備えており、低温冷媒は、このポンプによって圧送されることでエンジン2とラジエータ20との間を循環する構成とすることもできる。この構成によれば、低温冷媒を効率的に循環させることができる。なお、このポンプの具体的な配置箇所は特に限定されるものではなく、例えば、低温冷媒循環通路40における低温冷媒の入口部分(これは、エンジン2内部からの低温冷媒の出口部分に相当する)や、低温冷媒循環通路40における低温冷媒の出口部分(これは、エンジン2内部への低温冷媒の入口部分に相当する)等に配置されていればよい。
図2はラジエータ20の詳細を説明するための模式的断面図である。ラジエータ20は、ラジエータ本体部21と、高温冷媒噴出部22とを備えている。
本実施形態に係るラジエータ本体部21は、一例として、その前方側に開口部を有する箱型形状を呈している。そして、この開口部に高温冷媒噴出部22が配置されることで、開口部は閉塞されており、これにより、ラジエータ本体部21の内部領域は密閉されている。ラジエータ本体部21は、その内部に、内部低温冷媒通路23と、内部空間部24とを有している。なお、ラジエータ本体部21の外表面には、複数個のフィン(図示せず)が設けられていることが好ましい。これにより、ラジエータ本体部21と冷却風との熱交換を促進させることができるからである。
内部低温冷媒通路23には、エンジン2を冷却した後の低温冷媒が導入される。内部低温冷媒通路23は、この低温冷媒が通過する内部通路(内部配管)である。具体的には、本実施形態に係る内部低温冷媒通路23は、一例として、蛇行流路となっている。より具
体的には、内部低温冷媒通路23は、エンジン2を冷却後の低温冷媒が車両進行方向で左右方向に複数回(3回)蛇行しながら、車両前方側から車両後方側に流動するように、蛇行している。そして、内部低温冷媒通路23の上流側端部に、低温冷媒循環通路40におけるエンジン2からラジエータ20までの部分の下流側端部が接続しており、内部低温冷媒通路23の下流側端部に、低温冷媒循環通路40におけるラジエータ20からエンジン2までの部分の上流側端部が接続している。なお、本実施形態に係る低温冷媒は、エンジン2から排出されてからエンジン2に戻るまでの間、液体の状態となっている。このため、内部低温冷媒通路23内においても、冷媒は液体の状態のままである。
内部空間部24は、ラジエータ本体部21の内部領域のうち、内部低温冷媒通路23の周囲の部分に存在する空間部である。この内部空間部24には、後述する高温冷媒噴出部22から噴出された高温冷媒の蒸気が供給される。また、内部空間部24の壁部(図2では、一例として、車両進行方向で左側に存在する壁部)には、高温冷媒(蒸気)を内部空間部24から外部へ排出するための排出孔25が設けられている。この排出孔25には、高温冷媒循環通路50におけるラジエータ20からエンジン2までの部分の上流側端部が接続している。
高温冷媒噴出部22には、エンジン2を冷却した後の高温冷媒が導入される。なお、本実施形態において、このエンジン2を冷却した後の高温冷媒は、液体の状態で高温冷媒噴出部22に導入される。高温冷媒噴出部22は、この導入された高温冷媒を内部空間部24に向けて噴出させることで高温冷媒を膨張させて蒸気にする機能を有している。
具体的には、高温冷媒噴出部22は、内部高温冷媒通路26及び噴出孔27を有している。本実施形態に係る内部高温冷媒通路26は、一例として、車両進行方向で左右方向に延在している。そして、この内部高温冷媒通路26の上流側端部には、高温冷媒循環通路50におけるエンジン2からラジエータ20までの部分の下流側端部が接続している。
本実施形態に係る噴出孔27は、内部高温冷媒通路26の管壁面と内部空間部24とを連通するようにして、複数個設けられている。内部高温冷媒通路26に導入された高温冷媒は、この内部高温冷媒通路26を流動しながら噴出孔27を通過して、内部空間部24に向けて噴出される。内部空間部24の内圧は内部高温冷媒通路26における高温冷媒の圧力よりも低いため、噴出孔27から噴出された高温冷媒は減圧されることで膨張して、蒸気になる。
以上のようなエンジン冷却システム10及びラジエータ20による冷媒冷却作用について、まとめて説明すると次のようになる。まず、エンジン2を冷却後の低温冷媒は、低温冷媒循環通路40を通過して内部低温冷媒通路23に導入される。一方、エンジン2を冷却後の高温冷媒は、高温冷媒循環通路50を通過して高温冷媒噴出部22の内部高温冷媒通路26に導入され、この内部高温冷媒通路26を通過しつつ噴出孔27から内部空間部24に向けて噴出されることで膨張して蒸気になる。この高温冷媒が膨張して蒸気になる際の蒸発潜熱を利用して、内部低温冷媒通路23の低温冷媒が効率的に冷却される。
内部空間部24に向けて噴射された高温冷媒は、膨張する際にその温度が低下するとともに、ラジエータ本体部21の外部の空気(具体的にはラジエータ本体部21の外表面に沿って流動する冷却風)との熱交換によっても冷却されて、その温度が低下する。
内部高温冷媒通路26を通過する間に冷却された低温冷媒は、内部低温冷媒通路23から排出された後に低温冷媒循環通路40を通過して、エンジン2に戻る。
一方、内部空間部24に存在する高温冷媒は、排出孔25から排出された後に高温冷媒
循環通路50を通過して加圧装置60に導入される。ここで、高温冷媒循環通路50におけるラジエータ20から加圧装置60までの部分に存在する高温冷媒は、気体状態(蒸気の状態)と液体状態との気液二相状態となっている。この高温冷媒が加圧装置60によって加圧されることで、高温冷媒中の蒸気成分は液化される。この加圧装置60によって圧送された高温冷媒(液体)はエンジン2に戻る。
以上説明したような本実施形態によれば、高温冷媒が高温冷媒噴出部22から内部空間部24に向けて噴出されることで膨張して蒸気になる際の蒸発潜熱を利用して、内部低温冷媒通路23の低温冷媒を効率的に冷却することができる。
また、本実施形態によれば、エンジン冷却システム10が加圧装置60を備えているので、高温冷媒の蒸気成分を効果的に液化させて、エンジン2に戻すことができる。
また、本実施形態によれば、1つのラジエータ20によって、低温冷媒及び高温冷媒を冷却しているので、2種類のラジエータ(低温冷媒用ラジエータ及び高温冷媒用ラジエータ)を備える場合に比較して、エンジンルーム内におけるラジエータ20の配置レイアウトの自由度を高めることができる。また、エンジンルーム内におけるラジエータ20とエンジン2との間の空間(エンジン2の前方側の空間)を広く確保することも容易になり、この結果、この空間の利用性を高めることもできる。
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 車両
2 エンジン
10 エンジン冷却システム
20 ラジエータ
21 ラジエータ本体部
22 高温冷媒噴出部
23 内部低温冷媒通路
24 内部空間部
26 内部高温冷媒通路
27 噴出孔
30 ラジエータファン
40 低温冷媒循環通路
50 高温冷媒循環通路
60 加圧装置

Claims (2)

  1. 相対的に温度の低い冷媒である低温冷媒と相対的に温度の高い冷媒である高温冷媒とによってエンジンを冷却するエンジン冷却システムに適用されたラジエータであって、
    前記エンジンを冷却した後の前記低温冷媒が通過する内部低温冷媒通路と、前記内部低温冷媒通路の周囲に設けられた内部空間部と、を内部に有するラジエータ本体部と、
    前記エンジンを冷却した後の前記高温冷媒を前記内部空間部に向けて噴出させることで前記高温冷媒を膨張させて蒸気にする高温冷媒噴出部と、を備えることを特徴とするラジエータ。
  2. 相対的に温度の低い冷媒である低温冷媒と相対的に温度の高い冷媒である高温冷媒とによってエンジンを冷却するエンジン冷却システムであって、
    請求項1記載のラジエータと、
    前記低温冷媒を前記エンジンと前記ラジエータとの間で循環させる低温冷媒循環通路と、
    前記高温冷媒を前記エンジンと前記ラジエータとの間で循環させる高温冷媒循環通路と、
    前記高温冷媒循環通路における前記ラジエータよりも下流側且つ前記エンジンよりも上流側の箇所に配置されて、前記ラジエータから排出された前記高温冷媒を加圧して前記エンジンに向けて圧送する加圧装置と、を備えることを特徴とするエンジン冷却システム。
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