以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成システム100の一例を示す正面断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システム100は、画像形成装置10と、筋付け装置60と、折り処理装置110と、を備えている。画像形成装置10は、記録媒体としてのシート部材Pに画像を形成する。筋付け装置60は、シート部材Pに折り筋を付ける。折り処理装置110は、折り筋が付けられたシート部材Pに折り目を付ける処理を行う。
なお、本実施形態では、装置幅方向(水平方向)をX方向とし、装置上下方向(鉛直方向)をY方向とし、装置奥行方向(水平方向)をZ方向とする。本実施形態においては、X方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交するものとする。
これらの画像形成装置10、筋付け装置60、及び折り処理装置110は、図1に示す順で、X方向の一方(図中左方)から他方(図中右方)へ並んでいる。
図2は、第1の実施形態に係る画像形成装置10の構成の一例を示す正面断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10には、供給部14と、搬送部16と、画像形成部20と、画像読取部58と、がこの順で備えられている。供給部14は、Y方向の下方から上方へ向けて、シート部材Pを供給する。搬送部16は、供給部14によって供給されるシート部材Pを搬送する。画像形成部20は、搬送部16によって搬送されるシート部材Pにトナー画像を形成する。画像読取部58は、原稿Gの画像を読み取る。なお、画像読取部58は、読取部の一例である。さらに、画像形成装置10には、トナー画像が形成されたシート部材Pを加熱、加圧してトナー画像を記録媒体に定着する定着部50が備えられている。
供給部14には、画像形成装置10の装置本体10AからZ方向の手前側に引き出し可能な収容部材26が複数備えられており、この収容部材26にシート部材Pが夫々積載されている。さらに、夫々の収容部材26には、収容部材26に積載されたシート部材Pを、搬送部16を構成する搬送経路28に送り出す送出ロール30が備えられている。
搬送部16には、搬送経路28に沿ってシート部材Pを搬送する複数の搬送ロール32が備えられている。
画像読取部58には、原稿Gが載せられるプラテンガラス55と、プラテンガラス55に載せられた原稿Gの画像を読み取る読取ユニット56と、が備えられている。読取ユニット56には、CCD(Charge Coupled Device)56Aと、レンズ56Bと、ランプ56Cと、が備えられている。ランプ56Cから原稿Gに照射された光の反射光がレンズ56Bを介してCCD56Aで受光される。これにより原稿Gの画像が読み取られ画像データを得る。
画像形成部20には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4つの画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが備えられている。なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略して記載することがある。また、画像形成部20には、読取ユニット56によって読み取られた画像データに基づいて、画像形成ユニット18に備えられた像保持体36(像保持体36Yのみ図示)に露光光を照射する各色の露光装置42が備えられている。
各色の画像形成ユニット18は、装置本体10Aに対して夫々着脱可能とされている。そして、各色の画像形成ユニット18には、像保持体36と、像保持体36の表面を帯電する帯電部材38とが備えられている。さらに、各色の画像形成ユニット18には、帯電した像保持体36に露光装置42が露光光を照射することで形成された静電潜像を現像してトナー画像として可視化する現像装置40(現像装置40Yのみ図示)が備えられている。
また、画像形成部20には、図中矢印A方向に周回する無端状の転写ベルト22と、各色の画像形成ユニット18によって形成されたトナー画像を転写ベルト22に転写する一次転写ロール44(一次転写ロール44Yのみ図示)とが備えられている。さらに、画像形成部20には、転写ベルト22に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール46が備えられている。
本実施形態に係る画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
先ず、電圧が印加された各色の帯電部材38(帯電部材38Yのみ図示)は、各色の像保持体36の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、読取ユニット56によって読み取られた画像データに基づいて露光装置42は、帯電した各色の像保持体36の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。
これにより、画像データに対応した静電潜像が各色の像保持体36の表面に形成される。さらに、各色の現像装置40は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、各色の像保持体36の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール44によって転写ベルト22に転写される。
そこで、収容部材26から送出ロール30によって搬送経路28へ送り出されたシート部材Pは、転写ベルト22と二次転写ロール46とが接触する転写位置Tへ送り出される。転写位置Tでは、シート部材Pが転写ベルト22と二次転写ロール46との間で搬送されることで、転写ベルト22の表面のトナー画像は、シート部材Pに転写される。
シート部材Pに転写されたトナー画像は、定着部50によってシート部材Pに定着される。そして、トナー画像が定着されたシート部材Pは、装置本体10Aの外部へ排出される。
次に、定着部50、筋付け装置60、及び折り処理装置110について説明する。
本実施形態に係る定着部50は、図2に示すように、シート部材Pの搬送方向において、二次転写ロール46の下流側に配置されている。そして、定着部50は、ステッピングモータ(図示省略)から回転力が伝達されて回転駆動する加熱ロール52を備えている。加熱ロール52の内部にはハロゲンヒータ52Aが配置されている。また、定着部50は、搬送されるシート部材Pを加熱ロール52側に加圧すると共に回転可能に支持される加圧ロール54を備えている。
この構成において、定着部50は、トナー画像が転写されたシート部材Pを加熱ロール52と加圧ロール54とで挟み込んで搬送することで、シート部材Pを加熱、加圧してトナー画像をシート部材Pに定着させる。
本実施形態に係る筋付け装置60は、図1に示すように、画像形成装置10から排出されたシート部材Pを搬送する搬送部62と、搬送部62によって搬送されるシート部材Pに折り筋を付ける(筋付けする)筋付けユニット80と、を備えている。
搬送部62は、シート部材Pが搬送される搬送経路64に沿ってシート部材Pを搬送する複数の搬送ロール66を備えている。
また、搬送経路64においてシート部材Pの搬送方向の後半部分は、シート部材PをX方向に搬送する水平搬送経路64Aとされている。そして、筋付けユニット80は、この水平搬送経路64Aに配置されている。
さらに、シート部材Pの搬送方向において筋付けユニット80の上流側、及び下流側には、搬送されるシート部材Pをガイドするガイド部材68A、及びガイド部材68Bが配置されている。
そして、ガイド部材68Aを挟んで筋付けユニット80の反対側には、搬送ロール66Aが配置され、ガイド部材68Bを挟んで筋付けユニット80の反対側には、搬送ロール66Bが配置されている。なお、搬送ロール66A及び搬送ロール66Bは、複数の搬送ロール66の一部を構成している。
図3(A)、図3(B)、図3(C)、図3(D)、及び図3(E)は、第1の実施形態に係る筋付け装置60の要部構成の一例を示す正面断面図である。
以下、図1、及び図3(A)〜図3(E)を参照して、本実施形態に係る筋付け装置60について説明する。
搬送部62は、搬送ロール66Aに回転力を伝達するステッピングモータ70Aと、搬送ロール66Bに回転力を伝達するステッピングモータ70Bと、を備えている。さらに、搬送部62は、ガイド部材68Aと筋付けユニット80との間に配置され、搬送されるシート部材Pを非接触で検知するセンサ72を備えている。
筋付けユニット80は、水平搬送経路64Aの上方に配置されている筋付け刃82と、水平搬送経路64Aを挟んで筋付け刃82の反対側に配置されている受け台84と、筋付け刃82を受け台84に向けて加圧する加圧部材86と、を備えている。
この構成において、筋付け刃82と受け台84との間にシート部材Pが停止している際に、加圧部材86が受け台84に向けて筋付け刃82を加圧することで、シート部材Pには、Z方向に延びる折り筋が付けられる。さらに、搬送ロール66Bは、折り筋が付けられたシート部材Pを筋付け装置60から排出する。ここで、加圧部材86による筋付け刃82を加圧する加圧力は、シート部材Pに折り筋を付ける際の筋付力と同義である。
なお、シート部材Pに折り筋を付けない場合に、筋付けユニット80の筋付け刃82は、受け台84と離間する初期位置に配置され、加圧部材86は、受け台84に向けて筋付け刃82を加圧しない構成とされる。
本実施形態に係る折り処理装置110は、図1に示すように、筋付け装置60から排出されたシート部材Pを搬送する搬送部112と、折り処理が行われるシート部材Pが載せられる積載台116と、折りロール120と、折りプレート124と、を備えている。
搬送部112は、シート部材Pが搬送される搬送経路128に沿ってシート部材Pを搬送する複数の搬送ロール130を備えている。
この搬送経路128は、シート部材Pに折り処理を行うことなくシート部材Pを装置の外部に排出するための搬送経路128Aと、シート部材Pに折り処理を行ってからシート部材Pを装置の外部に排出するための搬送経路128Bと、から構成されている。搬送経路128Aは、筋付け装置60から排出されたシート部材PをX方向(水平方向)に搬送する経路であり、搬送経路128Bは、筋付け装置60から排出されたシート部材Pを下方へ向けて搬送した後、シート部材Pを折り返して搬送する経路である。
また、搬送部112は、シート部材Pを搬送経路128A又は搬送経路128Bに振り分ける振分部材132と、搬送経路128Bでシート部材Pの搬送方向を折り返すようにシート部材Pを案内する案内部材136と、を備えている。
積載台116は、搬送経路128Bの終端側に配置されている。そして、積載台116は、板金を折り曲げて形成され、載せられたシート部材Pのシート面を支持する支持板116Aと、支持板116Aの下端から突出して載せられたシート部材Pの下端を支持する支持板116Bと、を有している。
さらに、積載台116の支持板116Aには、載せられたシート部材Pの厚さ方向から見て、積載台116に載せられたシート部材Pの折り筋と重なる貫通孔116CがZ方向に延びて形成されている。
図4(A)、図4(B)、図4(C)、図5(A)、図5(B)、及び図5(C)は、第1の実施形態に係る折り処理装置110の動作の説明に供する正面断面図である。
以下、図1、図4(A)〜図4(C)、及び図5(A)〜図5(C)を参照して、本実施形態に係る折り処理装置110について説明する。
折りプレート124は、Z方向に延び、図示せぬ駆動部材の駆動力を受けて、先端124Aが積載台116の貫通孔116Cと対向する対向位置(図5(A)参照)と、先端124Aが貫通孔116Cを貫通する貫通位置(図5(B)参照)との間を移動する。
この構成において、対向位置に配置された折りプレート124は、移動して貫通位置に配置されることで、先端124Aで積載台116に載せられたシート部材Pの折り筋を押圧してシート部材Pを折り、シート部材Pに折り目を付ける。
折りロール120は、Z方向から見て、積載台116の支持板116Aを挟んで折りプレート124の反対側に配置されている。
この構成において、折りロール120は、図5(B)及び図5(C)に示すように、折りプレート124によって折られたシート部材Pを挟み込んで装置の外部まで搬送する。
なお、図3(A)〜図3(E)、図4(A)〜図4(C)、及び図5(A)〜図5(C)に示すシート部材Pの厚さは、シート部材Pが容易に分かるように誇張して示されている。
次に、画像形成装置10の定着部50、筋付け装置60、及び折り処理装置110の動作について説明する。この動作については、シート部材Pに対して折り処理を行う情報が入力されなかった場合と、シート部材Pに対して折り処理を行う情報が入力された場合とに分けて説明する。
なお、シート部材Pに対して折り処理が行われる場合だけ、シート部材Pに折り筋が付けられる。
また、画像形成動作が開始される場合に、筋付けユニット80の筋付け刃82は、受け台84と離間する初期位置に配置され、折りプレート124は、先端124Aが積載台116の貫通孔116Cと対向する対向位置に配置されている。
(シート部材に対して折り処理を行う情報が入力されなかった場合)
定着部50は、トナー画像が転写されたシート部材Pを加熱ロール52と加圧ロール54とで挟み込んで搬送することで、シート部材Pを加熱、加圧してトナー画像をシート部材Pに定着する(図1参照)。そして、搬送ロール32は、トナー画像が定着されたシート部材Pを画像形成装置10から排出する。
画像形成装置10から排出されたシート部材Pは、筋付け装置60に供給される。そして、筋付け装置60内で、搬送ロール66は、シート部材Pを搬送経路64に沿って搬送し、筋付け刃82と受け台84との間を通過する。さらに、搬送ロール66Bは、シート部材Pを筋付け装置60から排出する。
筋付け装置60から排出されたシート部材Pは、折り処理装置110に供給される。そして、折り処理装置110内で、振分部材132は、シート部材Pを搬送経路128Aに振り分ける。さらに、搬送ロール130は、シート部材Pを搬送経路128Aに沿って搬送して折り処理装置110から排出する。これにより、一連の動作が完了する。
(シート部材に対して折り処理を行う情報が入力された場合)
定着部50は、トナー画像が転写されたシート部材Pを加熱ロール52と加圧ロール54とで挟み込んで搬送することで、シート部材Pを加熱、加圧してトナー画像をシート部材Pに定着させる(図1参照)。ここで、後述の図6に示す制御部140は、定着部50のハロゲンヒータ52Aを制御して、シート部材Pに対して折り処理を行わない場合(シート部材Pに折り筋を付けない場合)と比して、シート部材Pに加える熱量を大きくする。一例として、ハロゲンヒータ52Aの温度を10[℃]程度上げる。これにより、トナー画像をシート部材Pに定着する際にシート部材Pに加える熱量が同じ場合と比して、シート部材Pに折り筋を付ける際に生じる画像剥がれが抑制される。
そして、搬送ロール32は、トナー画像が定着されたシート部材Pを画像形成装置10から排出する。画像形成装置10から排出されたシート部材Pは、筋付け装置60に供給される。さらに、筋付け装置60内で、搬送ロール66は、シート部材Pを搬送経路64に沿って搬送する。
ここで、センサ72がシート部材Pを検出すると、制御部140は、ステッピングモータ70A、70Bを制御し、図3(A)及び図3(B)に示すように、搬送ロール66A、66Bの回転を中断する。これにより、シート部材Pの筋付け位置が筋付け刃82と対向する位置でシート部材Pは停止する。
シート部材Pが停止すると、制御部140は、加圧部材86を制御し、図3(C)及び図3(D)に示すように、筋付け刃82を受け台84に向けて加圧する。さらに、制御部140は、加圧部材86を制御し、筋付け刃82を受け台84から離間させて初期位置に復帰させる。これにより、シート部材PにZ方向に延びる折り筋が付けられる。
シート部材Pに折り筋が付けられると、制御部140は、ステッピングモータ70A、70Bを制御し、図3(D)及び図3(E)に示すように、搬送ロール66A、66Bの回転を再開する。そして、搬送ロール66Bは、折り筋が付けられたシート部材Pを筋付け装置60から排出する。
筋付け装置60から排出されたシート部材P(以下説明の便宜上「シート部材P1」という。)は、折り処理装置110に供給される。そして、図4(A)に示すように、折り処理装置110内で、振分部材132は、シート部材P1を搬送経路128Bに振り分ける。さらに、搬送ロール130は、シート部材P1を搬送経路128Bに沿って下方へ向けて搬送する。また、案内部材136は、下方へ向けて搬送されたシート部材P1の搬送方向を折り返す。そして、搬送方向が折り返されたシート部材P1は、図4(B)に示すように、積載台116に載せられる。
続いて、画像形成装置10から供給され、筋付け装置60で折り筋が付けられた2枚目のシート部材P(以下説明の便宜上「シート部材P2」という。)が、折り処理装置110に供給される。そして、図4(C)に示すように、折り処理装置110内で、振分部材132は、シート部材P2を搬送経路128Bに振り分ける。さらに、搬送ロール130は、シート部材P2を搬送経路128Bに沿って下方へ向けて搬送する。また、案内部材136は、下方へ向けて搬送されたシート部材P2の搬送方向を折り返す。そして、搬送方向が折り返されたシート部材P2は、図5(A)に示すように、積載台116に載せられ、シート部材P1に重ねられる。
シート部材P1とシート部材P2とが重ねられると、対向位置に配置された折りプレート124は、図5(A)及び図5(B)に示すように、貫通位置に移動される。これにより、折りプレート124は、先端124Aで積載台116に載せられたシート部材P1、P2の折り筋を押圧してシート部材Pを折って折り目を付ける。
さらに、折りロール120は、図5(B)及び図5(C)に示されるように、折りプレート124によって折られたシート部材Pを挟み込んで搬送して折り処理装置110から排出する。このようにして、シート部材P1、P2に対して折り目を付ける折り処理が行われる。これにより、一連の動作が完了する。
図6は、第1の実施形態に係る画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、上述の画像形成部20及び画像読取部58と共に、制御部140と、記憶部142と、表示部144と、操作部146と、を含んで構成されている。
制御部140は、CPU(Central Processing Unit)140A、ROM(Read Only Memory)140B、RAM(Random Access Memory)140C、及び入出力インターフェース(I/O)140Dを備えており、これら各部がバスを介して各々接続されている。
I/O140Dには、記憶部142と、表示部144と、操作部146と、画像形成部20と、画像読取部58と、が各々接続されている。これらの各部は、I/O140Dを介して、CPU140Aと相互に通信可能とされる。なお、I/O140Dは、筋付け装置60及び折り処理装置110の各々とも接続されており、CPU140Aは、I/O140Dを介して、これらの筋付け装置60及び折り処理装置110の各々の動作を制御する。
制御部140の各ブロックの一部又は全部には、例えば、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路又はIC(Integrated Circuit)チップセットが用いられる。上記各ブロックに個別の回路を用いてもよいし、一部又は全部を集積した回路を用いてもよい。上記各ブロック同士が一体として設けられてもよいし、一部のブロックが別に設けられてもよい。また、上記各ブロックのそれぞれにおいて、その一部が別に設けられてもよい。制御部140の集積化には、LSIに限らず、専用回路又は汎用プロセッサを用いてもよい。
記憶部142としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部142には、本実施形態に係る折り筋と折り目とのずれを判定する処理を実行するためのプログラム142Aが記憶される。なお、このプログラム142Aは、ROM140Bに記憶されていてもよい。
プログラム142Aは、例えば、画像形成装置10に予めインストールされていてもよい。プログラム142Aは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、画像形成装置10に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
表示部144には、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。表示部144は、タッチパネルを一体的に有している。操作部146には、テンキーやスタートキー等の各種の操作キーが設けられている。表示部144及び操作部146は、画像形成装置10のユーザから各種の指示を受け付ける。この各種の指示には、例えば、原稿の読み取りを開始させる指示や、原稿のコピーを開始させる指示等が含まれる。表示部144は、ユーザから受け付けた指示に応じて実行された処理の結果や、処理に対する通知等の各種の情報を表示する。
本実施形態に係る画像形成装置10のCPU140Aは、記憶部142に記憶されているプログラム142AをRAM140Cに書き込んで実行することにより、図7に示す各部として機能する。
図7は、第1の実施形態に係る画像形成装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU140Aは、検出部150、判定部152、及び出力部154として機能する。
なお、本実施形態に係る原稿Gには、少なくとも折り筋及び折り目に対応する部分及びその周辺部分が黒色で印刷されたテスト用紙が適用される。ここでいう黒色とは、黒及び濃度が高い色も含む。また、本実施形態に係るシート部材Pには、このテスト用紙である原稿Gを読み取って得られた画像データに応じた画像が形成される。そして、本実施形態に係るシート部材P1は、当該画像が形成されたシート部材Pに筋付け装置60及び折り処理装置110により折り筋及び折り目が付けられたシート部材とされる。シート部材P1は、折り筋及び折り目が付けられた記録媒体の一例である。本実施形態に係るシート部材P1は、折り筋及び用紙を折って付けられる折り目が付けられた谷側の面が黒色に印刷されているものとする。なお、シート部材P2も同様であるが、以下ではシート部材P1を代表例として説明する。
本実施形態においては、上記テスト用紙である原稿Gを用いて、折り筋と折り目とのずれ(以下、単に「折りずれ」ともいう。)の有無を判定するテストを実施する場合について説明する。この場合、ユーザが折り処理装置110によって2つ折りとされたシート部材P1を開き、開いたシート部材P1をプラテンガラス55の所定の位置に載せて、画像読取部58による読取動作の実行を指示する。
本実施形態に係る検出部150は、上記実行の指示に応じて、画像読取部58によりシート部材P1を読み取って得られた画像データから、シート部材P1に付けられた折り筋及び折り目からなる折り幅を検出する。なお、ここでいう折り筋とは、筋付け装置60により付けられた折り筋を意味し、折り目とは、折り処理装置110により付けられた折り目を意味する。一般的に、折り筋の幅は、折り目の幅よりも広い。
本実施形態に係る判定部152は、検出部150により検出された折り幅が閾値以上、又は、閾値より大きい場合に、折り筋と折り目とがずれていると判定する。一方、検出部150により検出された折り幅が上記閾値未満、又は、上記閾値以下である場合、折り筋と折り目とはずれていないと判定する。なお、ここでいう折り幅とは、折り目が折り筋に完全に重なる場合、折り筋の両端部間の距離に相当する。ここでいう端部とは、折り筋のZ方向に沿う端部である。一方、折り目が折り筋に部分的に重なる場合、折り筋の端部と折り目の端部との遠い側同士の距離に相当する。
本実施形態に係る出力部154は、判定部152による判定結果を出力する。具体的には、出力部154は、判定部152による判定結果を示すメッセージを表示部144に出力する。例えば、表示部144は、「折り筋と折り目とが許容範囲を超えてずれています。調整をお勧めします。」や、「折り筋と折り目とのずれは許容範囲内です。調整の必要はありません。」等のメッセージを表示する。なお、判定結果を出力してユーザに通知する方法は、メッセージの表示に限らず、警告ランプの点滅回数を変えて通知する、警告ランプの色を変えて通知する、警告ブザーの音のパターンを変えて通知する、音声によるメッセージで通知する、等の各種の方法が適用される。
次に、図8を参照して、検出部150の具体的な動作について説明する。
図8は、第1の実施形態に係る折り筋及び折り目を検出する処理の一例を説明するための模式図である。
図8の左図は、画像読取部58により折り目無しの原稿Gを読み取った状態を示し、図8の右図は、画像読取部58により折り目有りのシート部材P1を読み取った状態を示す。なお、ここでは、説明を簡単にするために、折り目の有無についてのみ示している。
図8の左図に示すように、折り目の無い原稿Gがプラテンガラス55に載せられた状態で、原稿Gに対して画像読取部58のランプ56Cから光が照射される。この光の照射に応じた原稿Gからの反射光は、正反射光と拡散反射光とに分かれるが、正反射光はCCD56A(図2参照)でほとんど受光されない。
これに対して、図8の右図では、折り目の有るシート部材P1がプラテンガラス55に載せられた状態で、シート部材P1に対して画像読取部58のランプ56Cから光が照射される。この光の照射に応じたシート部材P1からの反射光は、原稿Gの場合と同様に、正反射光と拡散反射光とに分かれるが、折り目によって光の反射角度が変化し、CCD56Aでは、拡散反射光のみならず、正反射光も受光し、読み取る。
上記正反射光の読み取りの影響により、シート部材P1を読み取って得られた画像データでは、折り目に対応する部分の輝度がその他の黒色部分の輝度と比較して高くなる(つまり、折り目に対応する部分が白くなる)。この輝度の差を利用することで、画像データから折り目に対応する部分の検出が可能となる。ここで、上述の折り幅とは、この折り目に対応する部分のX方向における幅に相当する。
一方、画像データにおいて折り目に対応する部分の輝度が高くなることの他の原因として、折り目を付けたことに起因するトナーの剥がれが挙げられる。シート部材P1を2つ折りにした場合、折り目の部分のトナーが剥がれてしまう場合がある。つまり、折り目の部分のトナーが剥がれた状態のシート部材P1を読み取るため、シート部材P1を読み取って得られた画像データでは、上記と同様に、折り目に対応する部分の輝度がその他の黒色部分の輝度と比較して高くなる。この場合においても、画像データから折り目に対応する部分の検出が可能となる。実際には、図8に示す折り目に加えて折り筋が加わった状態での検出となるが、折り目と折り筋とを区別する必要はなく、輝度の変化があったX方向の幅を折り幅と見なしてもよい。
次に、図9〜図11を参照して、判定部152の具体的な動作について説明する。なお、以下に説明する図9〜図11に示すシート部材P1の側面図では、折り筋及び折り目の状態が容易に理解できるように模式的に示したものである。
図9は、第1の実施形態に係る折り幅の閾値を算出する処理の一例を説明するための模式図であり、上図が側面図で、下図が平面図である。
図9に示すように、本実施形態に係る判定部152は、シート部材P1について予め検出部150が取得した折り幅の値に基づいて、閾値Wthを算出する。なお、この折り幅の値に、シート部材P1の種類に応じた係数を乗じることにより、閾値Wthを算出してもよい。検出部150が取得した折り幅の値とは、シート部材P1について実際に検出して得られた値であり、この値を折り幅の設定値Wsとする。この折り幅の設定値Wsは、記憶部142に予め記憶されている。
一方、上記の係数も、シート部材P1の種類に応じて記憶部142に予め記憶されている。すなわち、シート部材P1の種類毎に、厚み及び坪量が異なっている場合がある。このため、シート部材P1の種類毎に、シート部材P1の厚みを対応付けて上記係数を記憶部142に記憶しておく。シート部材P1の厚みが変化すると、シート部材P1の搬送速度に変化が生じて折り筋又は折り目を付けるタイミングがずれる可能性が高くなる。従って、本実施形態では、シート部材P1の厚みが厚いほど、閾値Wthを大きな値に変更する。具体的には、例えば、判定部152は、シート部材P1の厚みが厚いほど、上記係数を大きくして閾値Wthの値を変更する。なお、シート部材P1の種類毎に、シート部材P1の坪量を対応付けて上記係数を記憶部142に記憶しておいてもよい。この場合、シート部材P1の坪量が多いほど、閾値Wthを大きな値に変更する。例えば、判定部152は、シート部材P1の坪量が多いほど、上記係数を大きくして閾値Wthの値を変更する。
本実施形態に係る判定部152には、シート部材P1の種類を特定する情報が入力される。そして、判定部152は、入力された情報に従って、記憶部142から、シート部材P1の種類に応じた設定値Ws及び係数を取得し、取得した設定値Wsに上述した係数を乗じて閾値Wthを算出する。
図10は、第1の実施形態に係る折り筋と折り目とがずれていないと判定する場合の処理の一例を説明するための模式図であり、上図が側面図で、下図が平面図である。
本実施形態に係る判定部152は、検出部150により検出された折り筋及び折り目により定まる折り幅を導出する。なお、折り幅の導出値Wは、シート部材P1を読み取って得られた画像データから検出される折り目に対応する高輝度部分のX方向における幅に相当する。
そして、判定部152は、上記の導出値Wと閾値Wthとを比較する処理を行う。図10に示す例では、導出値Wが閾値Wth未満であるため、折り筋と折り目とはずれていないと判定される。なお、閾値Wthについては、図9を参照して説明したように、判定部152により算出される。
図11は、第1の実施形態に係る折り筋と折り目とがずれていると判定する場合の処理の一例を説明するための模式図であり、上図が側面図で、下図が平面図である。
本実施形態に係る判定部152は、上記と同様に、検出部150により検出された折り筋及び折り目により定まる折り幅の導出値Wを得る。
そして、判定部152は、上記の導出値Wと閾値Wthとを比較する処理を行う。図11に示す例では、導出値Wが閾値Wth以上であるため、折り筋と折り目とがずれていると判定される。
ここで、具体的な数値例として、シート部材P1を普通紙とし、係数を1.5、折り幅の設定値Wsを1.3[mm]とする。この場合、閾値Wthは1.95[mm](=1.3×1.5)と算出される。シート部材P1の導出値Wが例えば1.7[mm](<1.95[mm])であれば、折り筋と折り目とはずれていないと判定される。一方、シート部材P1の導出値Wが例えば2.3[mm](≧1.95[mm])であれば、折り筋と折り目とはずれていると判定される。
次に、図12を参照して、第1の実施形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図12は、第1の実施形態に係るプログラム142Aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザが折り処理装置110により2つ折りとされたシート部材P1を開き、開いたシート部材P1をプラテンガラス55の所定の位置に載せる。そして、一例として、ユーザがメニュー画面(図示省略)の「折りずれ判定処理」の項目を押圧操作すると、プログラム142Aの実行が開始され、以下の各ステップを実行する。
図12のステップ200では、検出部150が、画像読取部58によりシート部材P1を読み取って得られた画像データを取得する。
ステップ202では、検出部150が、図8を参照して説明したように、ステップ200で取得した画像データから、シート部材P1の折り幅を検出する。
ステップ204では、判定部152が、ステップ202で検出したシート部材P1の折り幅の導出値Wを得る。
ステップ206では、判定部152が、シート部材P1の種類を特定する情報に基づいて、記憶部142から、シート部材P1の種類に応じた折り幅の設定値Ws及び係数を読み出す。
ステップ208では、判定部152が、ステップ206で読み出した折り幅の設定値Wsに係数を乗じることにより、閾値Wthを算出する。
ステップ210では、判定部152が、折り幅の導出値Wが閾値Wth以上か否かを判定する。折り幅の導出値Wが閾値Wth以上であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ212に移行し、折り幅の導出値Wが閾値Wth未満であると判定した場合(否定判定の場合)、ステップ214に移行する。
ステップ212では、判定部152が、折り筋と折り目とがずれていると判定する。
ステップ214では、判定部152が、折り筋と折り目とはずれていないと判定する。
ステップ216では、出力部154が、ステップ212又はステップ214での判定結果を出力する。一例として、出力部154は、判定結果を示すメッセージを表示部144に出力する。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、折り筋と折り目とのずれの有無を判定したが、本実施形態では、更に、折り筋と折り目とのずれ量に基づいて、折り筋と折り目とのずれを補正する処理を行う。
図13は、第2の実施形態に係る画像形成装置11の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図13に示すように、本実施形態に係る画像形成装置11は、検出部150、判定部152、出力部154、及び補正部156を備えている。なお、同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
本実施形態に係る補正部156は、判定部152により折り筋と折り目とがずれていると判定された場合、折り筋と折り目とのずれ量に基づいて、折り筋と折り目とのずれを補正する。
次に、図14及び図15を参照して、補正部156の具体的な動作について説明する。
図14は、第2の実施形態に係る折り幅が基準値未満である場合に折り筋と折り目とのずれ量を算出する処理の一例を説明するための模式図であり、上図が側面図で、下図が平面図である。
本実施形態に係る補正部156は、判定部152により折り筋と折り目とがずれていると判定され、かつ、折り幅の導出値Wが基準値Wrf未満である場合に、折り幅の導出値Wからずれ量を算出する。なお、ここでいう基準値Wrfは、記憶部142に予め記憶されている。この基準値Wrfとしては、一例として、折り筋の幅に係数(例えば、1より大で2以下の値等)を乗じた値を設定する。この場合、折り幅の導出値Wを基準として予め定められた割合をずれ量として算出する。具体的には、折り幅の導出値Wの例えば20%以上80%以下の範囲で割合を決定し、ずれ量を算出する。
このように図14に示す例の場合、折り筋と折り目とのずれ量が比較的小さいため、不要な演算処理の実行が抑制される。
図15は、第2の実施形態に係る折り幅が基準値以上である場合に折り筋と折り目とのずれ量を算出する処理の一例を説明するための模式図であり、上図が側面図で、下図が平面図である。
本実施形態に係る補正部156は、判定部152により折り筋と折り目とがずれていると判定され、かつ、折り幅の導出値Wが基準値Wrf以上である場合に、折り幅に相当する部分の画像の読み取りによって得られた濃度分布を示すヒストグラムが最大となる位置からずれ量を算出する。なお、読取画像から濃度分布を示すヒストグラムを導出する方法には、従来公知の方法が用いられる。
このように図15に示す例の場合、折り筋と折り目とのずれ量が比較的大きいため、不要な演算処理の実行の抑制よりも、高精度にずれ量を算出することを優先させる。
本実施形態に係る補正部156は、上記のいずれかの方法を用いて算出したずれ量に基づいて、折り筋と折り目とのずれを補正する。具体的には、補正部156は、上記のずれ量に基づいて、筋付け装置60により折り筋を付けるタイミング、及び、折り処理装置110により折り目を付けるタイミングのいずれか一方を調整する。そして、タイミングを調整した後に、再度、画像形成装置10、筋付け装置60、及び折り処理装置110を用いて、折り筋及び折り目を付けたシート部材P1を作成し、作成したシート部材P1に対して折りずれ判定処理を行う。そして、折りずれが無いと判定された場合、補正処理を終了し、折りずれが有ると判定された場合、折りずれが無いと判定されるまで補正処理を繰り返し実行する。
以上、実施形態として画像形成装置及び画像形成システムを例示して説明した。実施形態は、画像形成装置が備える各部の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、このプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の形態としてもよい。
その他、上記実施形態で説明した画像形成装置及び画像形成システムの構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。