JP6987798B2 - 癌の治療に変異体idh1阻害剤として有用なチアゾール誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、癌の治療に変異体IDH1阻害剤として有用なチアゾール誘導体に関する。
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/353,298号の優先権を主張し、その全開示内容を本願明細書に援用する。
イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1、タンパク質登録番号NP_005887.2)は、イソシトレートをα−ケトグルタレートに変換する機能を通常有する酵素である。この酵素の変異型(最も一般にはIDH1(R132H)、すなわちアルギニン132がヒスチジンに変異したもの)は、神経膠腫、胆管癌、軟骨肉腫及びAMLなどの様々な癌において共通に存在する。IDH1(R132H、R132C、R132S)変異及び類似のIDH1変異は、機能獲得変異であり、その結果、該酵素はNADPH依存的なα−ケトグルタル酸のR−2−ヒドロキシグルタル酸エステル(2HG)への還元を触媒する能力を獲得する。高い2HGのレベルは、ヒトの脳腫瘍のリスクを高めることが示されている。2HGは腫瘍代謝産物と言われ、提唱された作用様式は、過剰なヒストンのメチル化、及び細胞分化の抑制を引き起こすこと、及び癌細胞の分化である。
変異体IDH1は、抗癌治療のための魅力的な標的である。変異体IDH1の阻害は、2HGのレベルを低減する。低い2HGレベルは、未分化の癌細胞の形成を低減すると考えられる。さらに、非癌細胞は、典型的な細胞毒性抗癌剤の毒性を低下させてしまうIDH1変異を発現しないため、変異IDH1の阻害は、これらの細胞にはほとんど影響を及ぼさないと考えられる。
これらの理由により、変異体IDH1阻害剤は、抗癌治療において必要とされている。本開示は、変異体IDH1阻害剤を提供するものであり、以下の詳細な説明に記載される更なる利点を有するものである。
本開示は、式IIの化合物
Figure 0006987798
又は、その薬学的に許容される塩を包含し、式中、
CyNは、窒素原子を介して結合される環式のアミン基であり、独立して、ハロゲン、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから選択される1つ以上の置換基によって、任意に置換されてもよく、
Xは、C又はNであり、
及びRは、各々独立して、ハロゲン、CN、CF、CHF、CHF、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、ジ(C−Cアルキル)アミノ基であり、
及びnは、各々独立して、1、2又は3であり、及び
Figure 0006987798
は、単結合又は二重結合を表し、
但し、3−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−1−(2−エチル−5−メトキシフェニル)−6−(2−メチルプロプ−1−エン−1−イル)−5−(ピペラジン−1−カルボニル)ピリジン−2(1H)−オンアトロプ異性体のラセミ混合物は除く。
また、薬学的に許容される担体と共に式IIの化合物又は塩を含む医薬組成物も開示される。
また、IDH1変異の存在を特徴とする癌の治療方法であって、該IDH1変異が、患者においてNADPH依存的なα−ケトグルタレートのR(−)−2−ヒドロキシグルタレートへの還元を触媒する酵素の新規な能力をもたらし、該方法を必要とする患者に、式IIの化合物又はその塩を、投与するステップを含む方法も開示される。
幾つかの実施形態では、IDH1変異は、IDH1 R132H又はIDH1 R132C変異である。
また、IDH1変異の存在を特徴とする癌の治療方法であって、該癌が、例えば膠腫(グリア芽細胞腫)、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、脊髄形成異常/骨髄増殖性新生物、肉腫、慢性骨髄単球性白血病、非ホジキンリンパ腫、星細胞腫、黒色腫、非小細胞性肺癌、胆管癌、軟骨肉腫又は大腸癌であり、かかる治療を必要とする患者に対し、本開示に係る化合物又は塩を、治療上有効量で投与することを含む方法も開示される。本開示はまた、Ollier病及びMafucci症候群を治療する方法を包含し、該方法は、かかる治療を必要とする患者に対し、本開示に係る化合物を、治療上有効量で投与することを含む。
[用語]
化合物は、標準的な命名法を使用して記載される。別段定義されない限り、本願明細書において使用する全ての専門的及び科学用語は、一般に本発明が帰属する当業者により理解されているのと同じ意味を有する。
用語「a」及び「an」は、量の限定を意味せず、参照された項目の少なくとも1つの存在をむしろ意味する。用語「又は」は「及び/又は」を意味する。用語「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」は、オープンエンドな用語として解釈されるものとする(すなわち「含むがこれに限定されるものではない」ことを意味する)。
数値範囲の記載は、本願明細書において別段示されない限り、個々に範囲の中に含まれる各々の値に関連する略記方法として用いることを単に意図するのみであり、またあたかもそれらが本願明細書において個々に記載されるかのように、各々の数値は明細書に組み込まれる。全ての範囲のエンドポイントは範囲の中に含まれて、またそれぞれに組み合わせ可能である。
本願明細書において記載される全ての方法は、特に明記しない限り、又は、文脈により明らかに否定されうる限り、本願明細書において、いかなる適切な順序においても実施することができる。特許請求されない限り、全ての例又は例示的語法(例えば「例えば」)の使用は、説明を目的とするものであり、開示の範囲に対する限定を加えるものではない。明細書の用語はいずれも、本発明の実施に対する本質的事項としての特許請求されない要素を示すものとして解釈されてはならない。別段定義されない限り、本願明細書において使用する技術的及び科学的用語は、一般にこの開示の当業者により理解されているのと同じ意味を有する。
更に、本開示は、全ての変動、組合せ、順列を包含し、列記された1つ以上の請求項からの1つ以上の限定、要素、用語、及び説明的用語は、他の請求項にも導入されうる。例えば、他の請求項に依存するいかなる請求項も、同じ基礎となる請求項に依存する他のいかなる請求項に存在する1つ以上の限定を含むよう修飾されうる。要素がリストとして示される場合、例えばマーカッシュ形式による場合、要素の各サブグループも開示され、いかなる要素もその群から除去されうる。
全ての化合物は、化合物に存在する原子の全ての考えられる同位元素を含むものとして理解される。同位元素は、異なる質量数を有する以外、同じ原子番号を有する原子を包含する。一般的な例としては、限定されないが、水素の同位元素にはトリチウム及びジュウテリウムが含まれ、炭素の同位元素には11C、13C及び14Cが含まれる。
式Iには、式Iの全ての薬学的に許容される塩が包含される。
式IIには、式II及び全ての下位式(例えば式II−A及びII−B)の全ての薬学的に許容される塩が包含される。
オープンエンドな用語「含む」は、「基本的に〜からなる」及び「〜からなる」という、中間的及びクローズドエンドな用語を包含する。
用語「置換される」とは、指定された原子上の1つ以上の任意の水素又は基が、示される基から選択されるもので置き換えられることを意味するが、ただし指定された原子の通常の原子価を越えることはない。置換基がオキソ基(すなわち=O)であるとき、原子上の2つの水素が置換される。芳香族部分がオキソ基により置換されるとき、芳香環は対応する部分的に不飽和な環で置き換えられる。例えば、オキソにより置換されたピリジル基はピリドンである。かかる組合せが安定な化合物又は有用な合成中間体をもたらす場合にのみ、置換基及び/又は可変部の組合せは許容できる。安定化合物又は安定構造は、反応混合物からの単離及び有効な治療薬への更なる製剤化において保持されるのに十分な程の頑強な化合物を意味するものとする。
2つの文字又は記号の間で用いるのではないダッシュ(「−」)は、置換基の結合位置を示すために用いる。
「アルキル」は、指定された炭素原子数を有する、分岐状及び直鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を包含し、一般には1〜8つ程度の炭素原子を含む。本明細書で用いられる用語C−Cアルキルは、1、2、3、4、5又は6つの炭素原子を有するアルキル基を示す。他の実施形態は、1〜8つの炭素原子、1〜4つの炭素原子、又は1つもしくは2つの炭素原子を有するアルキル基(例えばC−Cアルキル、C−Cアルキル及びC−Cアルキル)を包含する。C−Cアルキルが他の基、例えば−C−Cアルキル(フェニル)に関連して本願明細書において使用されるとき、示される基、この場合フェニル基は、単一の共有結合(Cアルキル)によって直接結合されこともあり、又は、指定された炭素原子数(この場合1、2、3又は4炭素原子)を有するアルキル鎖が結合する。アルキルはまた、例えば−O−C−Cアルキル(C−Cシクロアルキル)のように、ヘテロ原子などの他の基を介して結合することもある。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、3−メチルブチル、t−ブチル、n−ペンチル、及びsec−ペンチルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルケニル」は、指定された炭素原子数を有する鎖に沿っていかなる安定な位置で生じてもよい、1つ以上の炭素−炭素間二重結合を有する分岐状又は直鎖状脂肪族炭化水素基である。アルケニルの例には、限定されないが、エテニル及びプロペニルが包含される。
「アルキニル」は、指定された炭素原子数を有する鎖に沿っていかなる安定な位置で生じてもよい、1つ以上の二重の炭素−炭素間三重結合を有する分岐状又は直鎖状脂肪族炭化水素基である。
「アルコキシ」は、酸素架橋(−O−)を介してそれが置換する基に共有結合する、示された炭素原子数を有する上記のアルキル基である。アルコキシの例には、限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、新ペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ及び3−メチルペントキシが包含される。同様に、「アルキルチオ」又は「チオアルキル」基は、硫黄架橋(−S−)を介してそれが置換する基に共有結合する、示された炭素原子数を有する上記のアルキル基である。
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素モ又はヨウ素を意味する。
「環状アミン」(CyN)は、窒素含有ヘテロ環であり、それは示された数の環原子を有する、飽和、不飽和又は芳香族環基であり、N、O及びSから選択される1〜約3個の更なるヘテロ原子と、炭素である残りが環原子と、を含むものである。環状アミン基には、架橋された環状アミン基(例えば3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン)が包含される。環状アミン基の例には、ピペラジン、ピペリジン、チアゾール、及び架橋された環状アミン基(例えば3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン基)が包含される。
「医薬組成物」は、少なくとも1つの活性薬剤(例えば式(I)の化合物又は塩)と、少なくとも1つの他の物質(例えば担体)と、を含む組成物を意味する。医薬組成物は、米国FDAによるヒト又はヒト以外の薬剤のためのGMP(優良製造規範)基準を満たす。
「担体」は、活性体の投与に伴い投与される希釈剤、賦形剤又はビヒクルを意味する。「薬学的に許容される担体」は、一般的に安全で、無毒性で、生物学的にもそれ以外においても望ましくないものではない医薬組成物を調製する際に有用な物質(例えば賦形剤、希釈液又はビヒクル)を意味し、ヒト用の医薬のみならず獣医学的な使用においても許容できる担体が含まれる。「薬学的に許容される担体」には、かかる1つ以上の担体が含まれる。
「患者」とは、医療的処置を必要とするヒト又はヒト以外の動物を意味する。医療的処置には、既存の症状条件(例えば疾患又は障害)の治療、又は診断的処置が含まれうる。幾つかの実施形態では、患者はヒト患者である。
「提供する」とは、与え、投与し、販売し、分配し、(利益又はその他を)移転し、製造し、化合させ、又は配布することを意味する。
「治療」又は「治療すること」とは、いずれかの癌症状を測定可能に低下させ、癌の進行を遅延させ、癌を後退させるのに十分な量の活性化合物を患者に提供することを意味する。特定の実施形態において、患者が疾患の症状を提示する前に、癌の治療を開始してもよい。
医薬組成物の「治療上有効量」は、患者に投与したときに、症状を改善し、癌の進行を低減し、又は癌を後退させるなどの治療的利益を提供するのに有効な量を意味する。
顕著な変化とは、統計的有意差(例えばStudentのT検定におけるp<0.05)の標準的なパラメトリック検定において、統計的に有意であるいかなる検出可能な変化であってもよい。
[化学構造の説明]
式I又は式IIの化合物は、1つ以上の非対称要素(例えば立体中心)、対称軸等(例えば不斉炭素原子)を含むことがあり、その結果、該化合物は異なる立体異性体形で存在しうる。これらの化合物は、例えばラセミ化合物又は光学活性形でありうる。2以上の非対称要素を有する化合物の場合、これらの化合物は更にジアステレオマ混合物でありえる。不斉中心を有する化合物の場合、純粋形態及びそれらの混合物を含む全ての光学異性体が包含される。これらの状況では、単一のエナンチオマ(すなわち光学活性形)は、不斉合成(光学的に純粋な前駆体からの合成)によって、又は、ラセミ化合物の光学分割によって得ることができる。ラセミ化合物の光学分割は、例えば分割剤の存在下での結晶化、又は(例えばキラルHPLCカラムによる)クロマトグラフィなどの従来法によって実施できる。それらを得るために用いる方法に関係なく、全ての形が本願明細書において包含される。
活性薬剤の全ての形(例えば溶媒和化合物、光学異性体、鏡像異性体、互変異性体、多形体、フリー体化合物及び塩)は、単独又は組み合わせで使用できる。
用語「キラル」は、重ね合わせることができない特性を有する鏡像パートナーの分子を指す。
用語「アトロプ異性体」は、分子の他の部分との立体的な相互作用の結果として、分子の単結合についての回転が非常に遅くなるか、又は妨害されるときに発生し、単結合の両端の置換基が非対称である(すなわち、それらは立体中心を必要としない)、立体配座における異性体を意味する。単結合についての回転障害が十分に大きく、またコンフォメーション間の相互転換が十分に遅い場合には、異性体種の分離及び単離が可能になることもある。アトロプ異性体は、単一の不斉原子のないエナンチオマであってもよい。
本明細書において、対応するエナンチオマが「実質的にない」アトロプ異性体とは、組成物が、1つのアトロプ異性体を少なくとも90重量%含み、またその立体異性アトロプ異性体を10重量%以下で含むことを意味する。いくつかの実施形態では、前記組成物は、1つのアトロプ異性体を少なくとも95重量%含み、またその立体異性体を5重量%以下で含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、1つのアトロプ異性体を少なくとも98重量%含み、またその立体異性体を2重量%以下で含む。あるいは、優勢な異性体と少数のエナンチオマとの相対量は、少なくとも9:1、又は少なくとも19:1、又は少なくとも98:2である。いくつかの実施形態では、前記組成物は、1つのアトロプ異性体を少なくとも99重量%含み、またその立体異性体を1重量%以下で含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、1つのアトロプ異性体を少なくとも99.5重量%含み、またその立体異性体を0.5重量%以下で含む。
アトロプ異性体がその対応するエナンチオマよりも「過剰に」存在する、又は「エナンチオ強化混合物」とは、アトロプ異性体がそのエナンチオマより多量に存在し、アトロプ異性体混合物を光学活性にしていることを意味する。これは典型的には、「過剰に」存在する化合物が、そのエナンチオマに対して少なくとも60/40の比率で優勢であることを意味する。
アトロプ異性体の熱ラセミ化に対するエネルギー障壁は、キラル軸を形成する1つ以上の結合の自由回転における立体障害により測定できる。特定のビアリール化合物では、C2対称性を欠く環間結合の周囲の回転が制限されたアトロプ異性体状態を示す。異性化(エナンチオマ化)のための自由エネルギー障壁は、回転に関する環間結合の安定性の度合いを表す。光学的及び熱的励起は、電子的及び立体化学的要因に依存し、かかる異性体のラセミ化を促進しうる。
2つの芳香環又は偽芳香環を含むオルト置換化合物は、この種の立体配座的回転異性化を示し得る。かかる化合物は、sp−sp炭素−炭素の環間結合、又はsp−sp炭素−窒素の環間結合の自由回転を妨害するのに十分な高いエネルギー障壁を有するため、鏡像異性的、キラルアトロプ異性体であり、その部位において、芳香環又は偽芳香環のオルト置換基により分子が非対称となる。
異なる環のオルト置換基間の立体相互作用は、平面の構造エネルギーを最大化するのに十分大きい。2つの非平面的な軸方向にキラルなエナンチオマは、それらの相互変換が十分に遅いときにはアトロプ異性体として存在し、他のものが無い状態で単離されうる。1つの定義では、異性体が少なくとも1,000秒の半減期(t1/2)であり、300Kにおいて22.3kcal/モルの自由エネルギー障壁である(93.3KJ/モル)とき、アトロプ異性体状態が存在すると定義される(Oki,M.”Recent Advances in Atropisomerism,”Topics in Stereochemistry(1983)14:1)。上記の図の太線及び点線は、それらの部分又は分子の部分を示し、それは回転エネルギー障壁のため立体的に制限される。太字の部分は、ページの面より上に直交して存在し、破線の部分は、ページの面の下に直交して存在する。分子の「平坦な」部分は、ページの平面上に存在する。
本発明では、アトロプ異性体は好ましくは、相当な熱的相互変換なしに保存安定性を有し、また安定に使用される。典型的には、アトロプ異性体は、室温で、固体の状態において1週間超の半減期を有する。
用語「立体異性体」は、同一の化学構造を有するが、原子又は基の空間配置に関して異なる化合物を指す。
用語「ジアステレオマ」は、2以上のキラリティー中心を有し、分子が互いに鏡像でない立体異性体を指す。ジアステレオマは、異なる物性(例えば融点、沸点、分光特性及び反応性)を有する。ジアステレオマの混合物は、高分解能解析手順(例えば電気泳動)、分解剤の存在下での結晶化、又はクロマトグラフィ(例えばキラルHPLCカラムの使用)により分離できる。
用語「エナンチオマ」は、互いに重ね合わせることができない鏡像関係である、2つの化合物の立体異性体を指す。エナンチオマの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ化合物と呼ばれ、化学反応又はプロセスの立体選択性又は立体特異性がない場合に生じうる。
本願明細書において使用する立体化学的定義及び慣例は、S.P.Parker,Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York、及び、Eliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物は光学活性形で存在し、すなわちそれらは平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を記載する際、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心に対する分子の絶対配置を示すために用いる。接頭辞d及びl、又は(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の方向を示すために使用し、(−)又はlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞を有する化合物は右旋性である。
「ラセミ混合物」又は「ラセミ化合物」とは、2つの鏡像異性的種の等モル(又は50:50)混合物である、光学活性を欠くものである。化学反応又はプロセスの立体選択性又は立体特異性がない場合、ラセミ混合物は生じうる。
「互変異性体」又は「互変異性型」とは、通常、単結合及び二重結合のスイッチと連動した水素原子の移動により容易に転換する構造異性体である。
「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、無機及び有機の、非中毒性の、酸又は塩基付加塩を形成することにより修飾された、本開示に係る化合物の誘導体を包含する。本発明の化合物の塩は、従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成できる。一般に、かかる塩は、これらの遊離の酸性型の化合物と、化学当量の適切な塩基(例えばNa、Ca、Mg又は水酸化カリウム、炭酸塩、重炭酸塩等)との反応により、又は、これらの化合物の遊離の塩基型の化合物と、化学当量の適切な酸との反応により調製できる。かかる反応は典型的には、水中で、又は有機溶媒中で、又はそれら2つの混合液中で実施される。通常、使用可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルなどの非水性溶媒が使用される。本発明の化合物の塩には更に、該化合物及び該化合物の塩の溶媒和化合物が包含される。
薬学的に許容される塩の例には、限定されないが、アミンなどの塩基性残基の無機又は有機酸塩、カルボキシル酸などの酸性残基のアルカリ又は有機塩が包含される。薬学的に許容される塩には、従来公知の無毒性塩、及び、例えば無毒性の無機又は有機酸から形成される親化合物の第四級アンモニウム塩が包含される。例えば、従来公知の無毒性の酸塩には、塩酸、臭素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩、ならびに、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、nが0〜4であるHOOC−(CH)n−COOH、などの有機酸に由来する塩が包含される。更なる適切な塩のリストは、例えば、G.Steffen Paulekuhn,et al.,Journal of Medicinal Chemistry 2007,50,6665、及びHandbook of Pharmaceutically Acceptable Salts: Properties,Selection and Use,P.Heinrich Stahl and Camille G.Wermuth Editors,Wiley−VCH,2002に記載されている。
[化学構造の説明]
本願明細書において、変異体IDH1を阻害する分子を開示する。
発明の概要に示す式I、式IIの化合物に加えて、本開示にはまた、可変部分(例えばA、B、X、X、Y、Z、R〜R26)が以下のとおり定義される化合物が包含される。安定化合物が得られる限り、本開示はこれらの定義の全ての組合せを包含する。本開示は、式(I)の以下の具体実施形態を包含する。
Figure 0006987798
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は式(IA)の化合物である。
Figure 0006987798
は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、−(C−Cアルキル)C−Cシクロアルキル、−O−(C−Cアルキル)C−Cシクロアルキル、−(C−Cアルキル)フェニル、−O−(C−Cアルキル)フェニル、−(C−Cアルキル)CO、−(C−Cアルキル)C(O)NR、−(C−Cアルキル)OR、−(C−Cアルキル)NR、及び−(C−Cアルキル)NRC(O)Rから独立に選択される0〜3個の置換基により置換されるフェニル又はピリジルである。
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル又は−(C−Cアルキル)シクロアルキルである。
は、C(O)NRである。
は、水素又はC−Cアルキルである。
Aは、独立にN、O及びSから選択される1〜4つの環原子を有する5員又は6員の単環のヘテロアリールであり、Aは、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル及びC−Cハロアルコキシ、−(C−Cアルキル)シクロアルキル、−O(C−Cアルキル)シクロアルキル、−(C−Cアルキル)CO及び−(C−Cアルキル)C(O)NRから独立に選択される0〜2個の置換基により置換される。
Bは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、−(C−Cアルキル)シクロアルキル、−O−(C−Cアルキル)シクロアルキル、−(C−Cアルキル)フェニル、−O−(C−Cアルキル)フェニル、−(C−Cアルキル)シクロアルキル、−O(C−Cアルキル)シクロアルキル、−(C−Cアルキル)CO、−(C−Cアルキル)C(O)NR10、−(C−Cアルキル)NR10及び−(C−Cアルキル)ORから独立に選択される0〜3個の置換基により置換されるフェニル又はピリジルである。
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は、式(II)の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
Figure 0006987798
CyNは、窒素原子を介して結合される環式のアミン基であり、独立して、ハロゲン、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから選択される1つ以上の置換基によって、任意に置換されてもよい。特定の実施形態において、CyNは非置換である。特定の実施形態において、CyNは1つのメチル基により置換される。
Xは、C又はNである。
及びRは、各々独立して、ハロゲン、CN、CF、CHF、CHF、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、ジ(C−Cアルキル)アミノ基である。
m及びnは、各々独立して、1、2又は3である。
Figure 0006987798
は、単結合又は二重結合を表す。
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は、式II−Aのアトロプ異性体である。
Figure 0006987798
式II−Aにおいて、少なくとも1つのR基は、オルト置換基である。
式II−Aのアトロプ異性体は、その対応するエナンチオマが過剰に存在する。
一部の他の実施形態において、式Iの化合物は、式II−Bのアトロプ異性体である。
Figure 0006987798
式II−Bにおいて、少なくとも1つのR基は、オルト置換基である。
式II−Bのアトロプ異性体は、その対応するエナンチオマが過剰に存在する。
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は、式II−Cのアトロプ異性体である。
Figure 0006987798
式II−Cのアトロプ異性体は、その対応するエナンチオマが過剰に存在する。
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は、式II−Dのアトロプ異性体である。
Figure 0006987798
式II−Dのアトロプ異性体は、その対応するエナンチオマが過剰に存在する。
式II−AからII−Dのアトロプ異性体化合物又は塩は、実質的に対応するエナンチオマを含まない。
式II及びII−A〜II−Dにおいて、mは1であり、Rは4−置換基である。
は、4−Cl、4−CF、4−CHF、4−CHO又は4−CNである。
XはCであり、Rは4−Cl、4−CF、4−CHF又は4−NCである。
XはNであり、Rは4−CF、4−CHF又は4−CHOである。
nは2であり、Rは2,2−Cであるか、又は2−C、5−CHOであるか、又は2−C、5−Clであるか、又は2−Cl、5−(CHNであるか、又は2−CO、5−COであるか、又は2−CO、5−Clであるか、又は3−CO、5−NCであるか、又はジ−2,6−Cである。
CyN−は、以下の通りである。
Figure 0006987798
式II−Aのアトロプ異性体は、以下の化合物の1つである。
Figure 0006987798
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Figure 0006987798
Figure 0006987798
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式II−Bのアトロプ異性体は、以下の化合物の1つである。
Figure 0006987798
Figure 0006987798
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Figure 0006987798
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Figure 0006987798
Figure 0006987798
式II−Cのアトロプ異性体は、以下の化合物の1つである。
Figure 0006987798
Figure 0006987798
Figure 0006987798
式II−Dのアトロプ異性体は、以下の化合物の1つである。
Figure 0006987798
Figure 0006987798
Figure 0006987798
本開示は、表1に示される構造を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を包含する。
[治療方法]
式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物、又はそれらの塩、ならびに該化合物を含む医薬組成物は、インビボで腫瘍を後退させることを含む、癌の治療において有用である。癌を治療して、又は腫瘍を後退させる方法は、患者に対し式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物を有効量で提供することを含む。一実施形態では、前記患者は、哺乳動物、より具体的にはヒトである。本開示はまた、ヒト以外の患者(例えばネコ、イヌ及び家畜などのコンパニオンアニマル)を治療する方法を提供する。医薬組成物の有効量は、癌又は癌腫の進行を阻害するか、又は、癌又は癌腫の後退を引き起こすのに十分な量であってもよい。
本願明細書に記載される化合物又は医薬組成物の有効量はまた、患者に投与されたとき、式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物を十分な濃度で提供する。十分な濃度とは、障害と戦うのに必要な、患者体内での前記化合物の濃度である。かかる量は、例えば化合物の血中濃度のアッセイによって、又は理論的にバイオアベイラビリティを算出することによって、実験的に確認することができる。
治療方法は、式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物の特定の投与量を患者に提供すること含む。約0.1mg〜約140mg/kg体重/日(1患者あたり1日約0.5mg〜約7g)の各化合物の投与量レベルは、上記で示した症状条件の治療において有用である。担体物質との組み合わせで単一投与形態を製造できる前記化合物の量は、治療を受ける宿主や特定の投与方法に依存し変化すると考えられる。薬剤の単位投与形態は一般に、活性化合物を約1mg〜約500mgの範囲で含有すると考えられる。特定の実施形態では、25mg〜500mg、又は25mg〜200mgの式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物が、患者に毎日提供される。使用する化合物及び治療される具体的疾患に応じて、投与の頻度は変化しうる。しかしながら、ほとんどの疾患及び障害の治療のためには、1日4回以下の投与計画を採用でき、特定の実施形態では、1日1回又は2回の投与計画が採用される。
式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物は、癌の治療、及び癌腫を含む腫瘍の後退に使用しうる。ある種の実施形態では、患者は、細胞増殖障害又は疾患に罹患している。細胞増殖障害は、癌、腫瘍(悪性又は良性)、新生物、血管新生又は黒色腫でありえる。治療を受ける癌には、固形癌及び播種性癌が包含される。本願明細書において提供される方法により治療できる例示的な固形癌(腫瘍)としては、例えば肺癌、前立腺癌、胸部癌、肝臓癌、大腸癌、乳癌、腎臓癌、膵臓癌、脳癌、悪性黒色腫を含む皮膚癌、及びカポシ肉腫、精巣又は卵巣癌、腫瘍、腎臓癌(腎細胞)及び肉腫が挙げられる。式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物で治療できる癌にはまた、膀胱癌、乳癌、大腸癌、子宮内膜癌、肺癌、気管支癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、血液癌、膵癌、前立腺癌、甲状腺癌、脳又は脊髄癌及び白血病が含まれる。典型的な播種性癌としては、白血病又はホジキン病を含むリンパ腫、多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、T細胞白血病、多発性骨髄腫及びバーキットリンパ腫が挙げられる。特に、癌が固形腫瘍又は播種性癌である患者に対して、式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物を提供することによる癌の治療方法が、本発明に包含される。
更に、患者に対して式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物を提供することによる癌の治療方法が包含され、該癌は、膠腫(グリア芽細胞腫)、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、脊髄形成異常/骨髄増殖性の新生物、肉腫、慢性骨髄単球性白血病、非ホジキンリンパ腫、星細胞腫、黒色腫、非小細胞性肺癌、胆管癌、軟骨肉腫又は大腸癌から選択される。
本開示に係る化合物はまた、内軟骨腫(例えばOllier’s病及びMaffucci症候群)を引き起こす障害の治療にも有用である。
しかしながら、いかなる特定の患者のための特定の投与レベルはまた、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬剤の組合せ、及び治療を受ける特定の疾患の重症度などの様々な要因に依存すると理解される。
式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物は、疾患及び症状(例えば望ましくない細胞増殖、癌、及び/又は腫瘍増殖)を治療するために、単独で(すなわちレジメンにおける唯一の治療薬として)投与してもよく、又は、他の活性薬剤との組合せで投与してもよい。式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物の1つ以上を、抗悪性腫瘍剤、例えばアルキル化剤(例えばメクロロエタミン、クロランブシル、シクロホスファミド、メルファラン又はイホスファミド)、抗代謝剤(例えばメトトレキサートなどの葉酸アンタゴニスト)、プリンアンタゴニスト(例えば6−メルカプトプリン)、又はピリミジンアンタゴニスト(例えば5−フルオロウラシル)などの、他の1つ以上の化学療法剤のレジメンとの組合せで投与してもよい。その他、限定されないが、式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物の1つ以上と組合わせて使用しうる化学療法剤の例としては、タキサン及びトポイソメラーゼ阻害剤が包含される。加えて、他の活性治療剤の非限定的な例としては、癌と関連するシグナル伝達経路の受容体又はリガンドに特異的に結合することによりそれらの治療効果を奏する、例えばモノクローナル抗体又はIgGキメラ分子などの生物学的薬剤(例えばCD20に対しては例えばリツキシマブ、又はVEGFに対しては例えばベバシズマブなどの治療用抗体)が包含される。
本願明細書において提供される治療方法はまた、ヒト以外の哺乳動物の(獣医学用途を含む)治療、例えばウマ及び家畜(例えば牛、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ等)ならびにペット(例えばイヌ及びネコなどのコンパニオンアニマル)の治療においても有用である。
診断又は研究用途においては、齧歯動物(例えばマウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類及びブタ(例えば近交系のブタ)等を含む多様な哺乳動物が適切な被験者であると考えられる。さらに、例えばインヴィトロ診断及び研究などのインヴィトロ用途においては、上記の被験者の体液(例えば血液、血漿、血清、細胞間質液、唾液、排泄物及び尿)ならびに細胞及び組織サンプルが使用に適する。
一実施形態では、本発明は、癌障害の治療が必要と診断された患者の、該障害の治療方法を提供し、該方法は、該患者に式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物を有効量で提供することを含む。本発明において提供される式I、式II又は式II−A及びII−Bの化合物、ならびにそれらの塩は、単独で、又は1つ以上の他の活性薬剤との組合せで投与することができる。
一実施形態では、治療される前記癌は、変異したIDH1の対立遺伝子を有することを特徴とし、すなわちIDH1の変異の結果、被験者においてα−ケトグルタレートのR(−)−2−ヒドロキシグルタレートへのNADPH依存的な還元反応を触媒する新たな酵素能力を備えるに至ったものである。この実施形態の一態様において、変異体IDH1は、R132X変異を有する。この実施形態の一態様において、R132X変異は、R132H、R132C、R132L、R132V、R132S及びR132Gから選択される。別の態様においては、R132X変異は、R132H又はR132Cである。さらに他の態様では、R132X変異は、R132Hである。
この実施形態の一態様において、癌治療の有効性を、被験者の2HGのレベルを測定することによりモニターする。典型的には、2HGのレベルを治療前に測定し、高いレベルは、式Iの化合物を使用して癌を治療する必要性を表す。高いレベルであると確認した後、治療の途中及び/又は終了後に2HGのレベルを測定し、有効性を確認する。ある種の実施形態では、2HGのレベルを、治療の途中及び/又は終了後にのみ測定する。治療の途中及び治療後における2HGレベルの低減は効果があったことを表す。同様に、2HGレベルが治療の途中又はその後に上昇しないという測定結果もまた、効果的であったことを表す。典型的には、これらの2HG測定は、例えば、腫瘍及び/又は他の癌関連の病変の数及びサイズの低減、被験者の一般的な健康状態の改善、及び癌治療有効性に関連する他のバイオマーカーの変動など、癌治療の有効性を測定するための他の公知の方法と共に利用される。異なる実施形態において、2HGは、サンプル中で直接測定することによって、又は、例えば高速液体クロマトグラフィ法により誘導体又は代謝産物を測定することによって検出することができる。
[略語]
BSA ウシ血清アルブミン
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
LCMS 液体クロマトグラフィ/質量スペクトロメトリー
NADPH ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型
NMR 核磁気共鳴法
RPMI Roswell Park記念研究所培地(細胞培地)
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
[一般的方法]
全ての空気又は水分感受性の反応を、オーブン乾燥ガラス容器における窒素の陽圧下で実施した。無水溶媒又は試薬(例えばジクロロメタン、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、メタノール及びトリエチルアミン)は、Sigma−Aldrich社から購入した。調製的精製は、Waters半調製的HPLCシステムにて実施した。カラムはPhenomenex Luna C18(5ミクロン、30×75mm)を45mL/分の流速で使用した。アセトニトリル及び水(各々0.1%のトリフルオロ酢酸を含む)からなる溶液を移動相とした。精製の間、8分にわたる10%〜50%のアセトニトリル勾配を使用した。フラクション回収は、UV検出(220nM)により起動させた。サンプルの分析は、Agilent LC/MS(Agilent Technologies社、Santa Clara、CA)で実施した。純度分析は、1mL/分の流速で、4%〜100%アセトニトリル勾配(0.025%のトリフルオロ酢酸を含む)で7分間のラン、及び水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)で8分間のラン、により測定した。Agilent Diode Array Detectorを用い、50℃の温度で、Phenomenex Luna C18カラム(3ミクロン、3×75mm)を用いた。質量測定は、ポジティブモードにて、エレクトロスプレーイオン化に基づき、Agilent 6130質量分析装置を用いて実施した。1H NMRスペクトルは、Varian 400 MHzの分光測定装置に記録した。異性体シフトは、DMSO−d6溶液の場合、内標準として非重水素化溶媒(2.50ppmのDMSO−h6)を用い、ppmにて示す。バイオアッセイにおいて試験した全てのアナログは、LCMS分析に基づき純度95%超を有する。高分解能質量分析は、Agilent 6210 Time−of−flight LC/MSシステムに記録した。1mL/分の流速、4.5分間のラン時間で、4%〜100%のアセトニトリル勾配(0.025%のトリフルオロ酢酸を含む)及び水(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)を用いた。Agilent Diode Array Detectorを用い、50℃の温度で、Agilent Extend−C18カラム(3.5ミクロン、4.6×100mm)を用いた。分子式の確認は、Agilent Masshunterソフトウェア(バージョンB.02)を用い、ポジティブモードのエレクトロスプレーイオン化に基づき行った。
<実施例1:選択された化合物の合成>
Figure 0006987798
方法1−ニトリル1(nitrile 1)
2−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)エタノン(2.33 g、10mmol)のエタノール(25mL)溶液に、2−シアノエタンチオアミド(1g、10mmol)を添加した。反応混合物を15.5時間還流加熱した。反応混合物を0℃に冷却した。生じた沈殿物を濾過により除去し、ヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥させた。生産物(2−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)アセトニトリル(ニトリルN1)は褐色の粉末である。LCMS:m/z(M+H)+=235.0、m/z (M+H)+= 235.0; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.88 - 7.77 (m, 2H), 7.48 (s, 1H), 7.44 - 7.35 (m, 2H), 4.17 (s, 2H)
Figure 0006987798
ニトリル7(nitrile 7)
開始材料として2−ブロモ−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エタノンで置き換え、方法1により合成した。反応後、混合物をシリカゲルクロマトグラフィ(0〜40%のEtOAc/ヘキサン)により濃縮し、精製した。LCMS:m/z(M+H)+=269.0。
Figure 0006987798
ニトリル24(nitrile 24)
開始材料として2−ブロモ−1−(4−(ジフルオロメチル)フェニル)エタノンで置き換え、方法1により合成した。LCMS:m/z(M+H)+=251.0。
Figure 0006987798
ニトリル25(nitrile 25)
開始材料として2−ブロモ−1−(6−(ジフルオロメチル)ピリジン−3−イル)エタノンで置き換え、方法1により合成した。LCMS:m/z(M+H)+=252.0
Figure 0006987798
ニトリル26(nitrile 26)
開始材料として2−ブロモ−1−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)エタノンで置き換え、方法1により合成した。LCMS:m/z(M+H)+=270.0
Figure 0006987798
ニトリル37
開始材料として4−(2−ブロモアセチル)ベンゾニトリルで置き換え、方法1により合成した。LCMS:m/z(M+H)+=226.0
Figure 0006987798
ニトリル38
2−(4−ブロモチアゾール−2−イル)アセトニトリル(1.47g、7.24mmol)及び(6−メトキシピリジン−3−イル)ボロン酸(2.214g、14.48mmol)のDMF(体積:20ml)の混合物を、炭酸ナトリウム(10.86ml、21.72mmol)2M溶液及びPd(PhP)(0.418g、0.362mmol)で処理した。混合物を4時間125℃でシールしたチューブにおいて加熱し、室温に冷却し、次に酢酸エチルでセライト濾過した。濃縮した濾液をクロマトグラフィ(ヘキサン〜10:90のEA/ヘキサン)で精製し、90%の収率(1.51g)でニトリル38を得た。LCMS:m/z(M+H)+=232.0
Figure 0006987798
Figure 0006987798
アニリン2(aniline 2)
ステップ1
5mlの55%硫酸及び4−エチル−3−ニトロアニリン(1.2g、7.22mmol)の混合物を懸濁し、次に0℃で2mlの20%の亜硝酸ナトリウムによりジアゾ化した。次にこのジアゾニウム塩溶液を、沸騰している25mlの55%硫酸溶液に徐々に添加した。添加終了後、混合物を30分間沸騰させ、冷却し、次にエーテルにより抽出した。エーテル溶液を水で洗浄し、希釈した水酸化ナトリウム溶液により抽出し、酸性化し、フェノール化合物を得た。これをエーテルにより抽出し、エーテル溶液を硫酸ナトリウム上で脱水し、蒸留した。
ステップ2
4−エチル−3−ニトロフェノール(460mg、2.75mmol)をアセトン(25ml)に溶解させ、KCO(1141mg、8.26mmol)及びMeI(0.344ml、5.50mmol)を添加し、12時間還流し、溶媒を濃縮し、4−メトキシ−1−エチル−2−ニトロベンゼンを更に精製せずに次のステップに用いた。
ステップ3
4−メトキシ−1−エチル−2−ニトロベンゼンのTHF(体積:10ml)及び水(体積:3.33ml)中の懸濁液に、塩化アンモニウム(294mg、5.50mmol)、続いて鉄(768mg、13.76mmol)を添加した。混合物を一晩80℃で撹拌した。冷却後、EtOAcを添加し、反応混合物をセライトで濾過した。有機層を乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィにより精製し、アニリン2(3ステップで20%)を得た。
Figure 0006987798
アニリン4(aniline 4)
ステップ1
4−エチルアニリン(1.8ml、14.5mmol)を、0℃で徐々に硫酸(11ml)に添加した。材料を凝集させ、濃い褐色混合物を形成させた。これを超音波で破壊し、大部分を溶解させた。混合物を0℃に維持し、そこに硝酸(0.7ml)更に硫酸(1.75ml)を添加した。反応液を15分間撹拌し、超音波で破壊し材料の残りを溶解させた。混合物を0℃で1時間撹拌し、氷上にその後注入し、茶色の沈殿物を形成させた。沈殿物を濾過により除去し、少量の水により洗浄した。固体を再懸濁し、水酸化アンモニウム溶液により中和した。固体を濾過し、乾燥させた。一部の生成物を水酸化アンモニウムに溶解させ、この層を最初の沈殿物の洗浄液(酸性)と混合し、続いて水酸化ナトリウムペレットで塩基性化した。固体をこの水溶液中で再融解させた。混合した水層をDCM(4×)により抽出し、硫酸マグネシウム(次に濾過)により脱水し、濃縮し、茶色の油状物(4−エチル−3−ニトロアニリン)を得た。それを更に精製せずに次の工程において用いた(2.14g、89%)。LCMS:m/z(M+H)+=167.1
ステップ2
4−エチル−3−ニトロアニリン(1g、6mmol)を、濃HCl(20ml)に溶解させた。化合物は最初に凝固していたが、大部分の材料を最終的に溶解させた。0℃に混合物を冷却した。亜硝酸ナトリウム(0.57g、8.3mmol)の水溶液(2.3ml)を添加し、ガスを発生させた。混合物を超音波で破壊し、更に材料を溶解させた(**この材料は起爆性であるため、再現してはならない!)。混合物を1時間この温度で撹拌した。ジアゾニウム中間体が視認された(LCMS:m/z(M)+=178.0)。塩化銅(I)(1g、10.5mmol)を混合物に添加し、大量のガスを発生させた。反応混合物が濃緑色に変化した。ガス発生が3分以内に終了したが、撹拌を1.5時間室温で継続させた。混合物をDCM(3x)/水により抽出し、硫酸マグネシウム(次に濾過)により脱水し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィ(0〜20%のEtOAc勾配/ヘキサン)によりその後精製し、淡黄色の油状物(4−クロロ−1−エチル−2−ニトロベンゼン(0.9g、81%)を得た。
ステップ3
4−クロロ−1−エチル−2−ニトロベンゼン(2g、10.78mmol)のTHF(15mL)及び水(5mL)中の混合物に、塩化アンモニウム(1.729g、32.3mmol)、続いて鉄(1.729g、32.3mmol)を添加した。反応混合物を12時間80℃で加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcを添加し、反応混合物をセライトで濾過した。有機層を水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(10:90のEA/ヘキサン〜100%のEA)で精製し、茶色の油状の生成物として5−クロロ−2−エチルアニリンを得た。LCMS:m/z(M+H)+=156.0。収率〜90%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.86 (dd, J = 8.0, 0.7 Hz, 1H), 6.59 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.44 (dd, J = 8.0, 2.2 Hz, 1H), 5.11 (s, 2H), 2.43 - 2.31 (m, 2H), 1.06 (t, J = 7.5 Hz, 3H)
Figure 0006987798
アニリン5(aniline 5)
工程2の開始材料として4−エチル−3−ニトロアニリンで置き換え、アニリン2と同様の方法を用いて合成した(2ステップで90%の収率)。
Figure 0006987798
アニリン10(aniline 10)
ステップ1
臭化エチル(109mg、1.2mmol)及び3−クロロ−2−ニトロフェノール(173mg、1mmol)のアセトニトリル(4:1、体積:2.5ml)中の混合物を炭酸カリウム(276mg、2mmol)で処理した。混合物を2時間室温で撹拌した。反応液を水によりクエンチし、水層を酢酸エチルにより抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で脱水し、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィ(ヘキサン〜10:90のEA/ヘキサン)で精製し、生成物を得た。
ステップ2
アニリン1の合成におけるステップ2と同様の操作を行い、油状物としてアニリン10を得た(2ステップで15%)。
Figure 0006987798
アニリン14(aniline 14)
ステップ1の開始材料として4−クロロ−3−ニトロフェノールで置き換え、アニリン10と同様の方法を用いて合成した(2ステップで30%の収率)。
Figure 0006987798
アニリン18(aniline 18)
ステップ1の開始材料として臭化エチルで置き換え、アニリン10と同様の方法を用いて合成した(2ステップで87%の収率)。
Figure 0006987798
アニリン19(aniline 19)
ステップ1の開始材料としてヨードエタンで置き換え、アニリン2と同様の方法を用いて合成した(2ステップで90%の収率)。
Figure 0006987798
アニリン20(aniline 20)
ステップ1の開始材料としてヨードエタンで置き換え、アニリン2と同様の方法を用いて合成した(2ステップで75%の収率)。
Figure 0006987798
アニリン21(aniline 21)
ステップ1の開始材料として臭化エチルで置き換え、アニリン10と同様の方法を用いて合成した(2ステップで80%の収率)。
Figure 0006987798
方法S(Method S)−化合物268
ステップ1
バイアルにおいて、メチル3−オキソブタノエート(0.385mL、3.57mmol)及びDMF−DMA(0.474mL、3.57mmol)を15分間混合し、約100℃で加熱した。反応混合物が赤色の油状物となった。
ステップ2
混合物に、i−PrOH(40mL)、2−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)アセトニトリル(837mg、3.57mmol)及びカリウムtert−ブトキシド(400mg、3.57mmol)を添加した。反応液を2時間室温で撹拌し、次に溶媒を除去した。
ステップ3
得られた残余物に、酢酸(30mL)及び2,6−ジメチルアニリン(646μL、3.9mmol)を添加した。反応液を15分間撹拌し、混合物を水で希釈し、抽出した(EtOAc×2)。有機層を混合し(硫酸マグネシウムにより脱水せず)、濃縮した。残余物をDMF(40mL)に添加し、1.5時間125℃で加熱した。反応混合物を水及びEtOAcで希釈し、抽出し(2×)、有機層を混合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィ(0〜25%のEtOAc/ヘキサン)(ドライロード)により精製し、メチル5−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−1−(2,6−ジエチルフェニル)−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(化合物268、1.05g、60%)を得た。LCMS:m/z(M+H)+=493.0
Figure 0006987798
方法U(Method U)−化合物265
5−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−1−(2,6−ジエチルフェニル)−2−メチル6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3カルボン酸酸(40mg、0.084mmol)及びシクロパンアミン(0.009mL、0.125mmol)のDMF(1.3mL)中の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(0.044mL、0.25mmol)及びHATU(38mg、0.10mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間15分攪拌し、気流により部分的に濃縮した。残余物をDMSOに添加し、次に逆相クロマトグラフィにより精製し、化合物265を得た。
Figure 0006987798
方法V(Method V)−化合物154
ステップ(step)1〜3
6,6−ジメチルジヒドロ−2H−ピラン−2,4(3H)−ジオン(0.530g、3.73mmol)及び1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(0.495ml、3.73mmol)の混合物を室温で15分間撹拌した。混合物をIPA(体積:10ml)で希釈し、2−(2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−5−イル)アセトニトリル(1.0g、3.73mmol)及びKtOBu(0.837g、7.46mmol)を添加した。混合物を3時間50℃で撹拌した。溶媒を除去した。残余物に、2,6−ジエチルアニリン(0.665ml、4.10mmol)及び酢酸(10.7mL、186mmol)を添加した。混合物を2時間70℃で撹拌し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層を脱水し、濃縮し、カラムクロマトグラフィにより精製した。生成物、1−(2,6−ジエチルフェニル)−7,7−ジメチル−3−(2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−1H−ピラノ[4,3−b]ピリジン−2,5−ジオンを得た。LCMS:m/z(M+H)+=553.0
ステップ4
1−(2,6−ジエチルフェニル)−7,7−ジメチル−3−(2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−1H−ピラノ[4,3−b]ピリジン−2,5−ジオン(1g、1.810mmol)のTHF(10ml)及びMeOH(10ml)中の溶液に水酸化リチウム(0.303g、12.67mmol)を添加し、混合物が黄色に変化した。70℃で1時間撹拌した。気流により濃縮し、DCMで希釈した。水層のpHを1N HClを用いてpH7に調整し、2×25mLのDCMで抽出し、硫酸マグネシウム上で有機層を脱水し、濃縮した。生成物1−(2,6−ジエチルフェニル)−2−(2−メチルプロプ−1−エン−1−イル)−6−オキソ−5−(2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−4−イル)−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸を得た。LCMS:m/z(M+H)+=553.0。粗製の油状物を更に精製せずに次のステップにおいて用いた。
ステップ5及び6
1−(2,6−ジエチルフェニル)−2−(2−メチルプロプ−1−エン−1−イル)−6−オキソ−5−(4−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−2−イル)−1,6−ジヒドロピリジン−3カルボン酸酸(1.0g、1.810mmol)のDMF(体積:5ml)溶液に、2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロンイウムヘキサフルオロホスフェイト(V)(1.376g、3.62mmol)及びN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(0.740ml、4.52mmol)及びtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(0.674g、3.62mmol)の混合物を添加し、黄色に変色させ、反応混合物を室温で2時間撹拌し、水で希釈し、3×10mLのDCMで抽出し、塩水で洗浄した。有機層を脱水し、濃縮した。粗製の油状物を更に精製せずに次のステップにおいて用いた。粗製の油状物をDCM(5ml)で希釈し、2,2,2−トリフルオロ酢酸(1.4mL、18.10mmol)で処理し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィにより精製した。生成物1−(2,6−ジエチルフェニル)−6−(2−メチルプロプ−1−エン−1−イル)−5−(ピペラジン−1−カルボニル)−3−(4−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(化合物154)を得た。LCMS:m/z(M+H)+=621.0
Figure 0006987798
<実施例2:酵素アッセイ>
9μLの最終アッセイ体積で、1536ウェルの黒色底プレートにおいてアッセイを実施した。変異体IDH1酵素による補因子NADPHの減少を、第2の酵素ジアフォラーゼ及びその対応する基質レサズリンにカップリングさせた。
具体的には、IDH1 R132Hの場合、3μLの酵素(4mMのβ−ME、0.0005mg/mLのIDH1 R132H、150mMのNaCl、20mMのトリス(pH7.5)、10mMのMgCl、0.05%のBSA)をプレートに添加し、続いて23nLのDMSO中の試験化合物を添加した。プレートの蓋を閉じ、30分間室温でインキュベートし、3μLの基質(0.016mMのNADPH、2mMのα−KG、150mMのNaCl、20mMのトリス(pH7.5)、10mMのMgCl、0.05%のBSA)を添加した。この反応液を60分間室温でインキュベートし、検出用混合液(0.06mg/mLのジアフォラーゼ、0.036mMのレサズリン、150mMのNaCl、20mMのトリス(pH7.5)、10mMのMgCl、0.05%のBSA)を添加した。5分間のインキュベートの後、レサズリンのレゾルフィンへの転換により発生する蛍光を検出した(励起544nm、放出590nm)。
IDH1 R132Cの場合、3μLの酵素(0.00032mg/mLのIDH1 R132H、10%のグリセリン、50mMのリン酸カリウム(pH6.5)、5mMのMgCl、0.03%のBSA)をプレートに添加し、続いて23nLのDMSO中の試験化合物を添加した。プレートの蓋を閉じ、30分間室温でインキュベートし、3μLの基質(0.012mMのNADPH、0.6mMのα−KG、10%のグリセリン、50mMのリン酸カリウム(pH6.5)、5mMのMgCl、0.03%のBSA)を添加した。この反応液を105分間室温でインキュベートし、検出用混合液(0.03mg/mLのジアフォラーゼ、0.03mMのレサズリン、10%のグリセリン、50mMのリン酸カリウム(pH6.5)、5mMのMgCl、0.03%のBSA)を添加した。5分間のインキュベートの後、レサズリンのレゾルフィンへの転換により発生する蛍光を検出した(励起544nm、放出590nm)。
<実施例3:細胞ベースのアッセイ>
細胞ベースの2HG定量アッセイを、100μLの最終アッセイ体積で、96ウェルの透明なプレートにおいて実施した。培養細胞の2HGレベルを、LC/MSベースの検出を用いて測定した。
簡潔には、4,000個細胞/ウェル(変異体R132H IDH1を発現する遺伝子導入U87細胞、又はR132C変異体IDH1を内因的に発現するHT1080細胞)で、96ウェルの透明な細胞培養プレートにプレーティングし、37℃で一晩接着させた。次に覆っている培地を除去し、滴定量の化合物を含む100μLの新しいRPMI(10%のFBS、フェノールレッドなし)と置き換え、37℃で48時間インキュベートした。インキュベート後、覆っている75μLの培地を除去して2HG解析に供するため、ドライアイスで瞬間凍結させた。
サンプルを解凍し、2倍量の100%アセトニトリルと混合し、4℃で15分間、4,000rmpで遠心分離した。得られた上清を回収し、RF−MSシステムにおける2−ヒドロキシグルタレートレベルの評価に供した。API4000質量分析装置(AB Sciex社、Foster City、CA)と連結したRapidFire RF200システム(Agilent社、Santa Clara、CA)でRF型−MSシステムを構成した。標準的なマイクロタイタープレートの操作用にZymark Twisterロボットアームが装着されている。全システムはRapidFireソフトウェアにより、一方RF200システム及び質量分析装置はAnalystソフトウェアにより、それぞれ作動する。移動相を、100%アセトニトリル(溶媒A)中の0.1%ギ酸、及び水(溶媒B)中の0.1%ギ酸から構成した。サンプルを384ウェルプレートから直接10μLサンプルループに吸引し、1秒間、1.5mL/分の流速で、溶媒Aにより、グラファイトカーボンカートリッジ(Agilent社)を備えるインライン精製SPEシステムで濾過した。脱塩ステップの後、カートリッジに保持された検体を、8秒間、0.4mL/分の流速で、溶媒Bにより、質量分析装置へ溶出させた。0.5秒間、1.5mL/分の流速で、溶媒Aにより再度カートリッジを平衡化した。全体で、全てのサンプリングサイクルは1ウェルあたり10秒間であった。各代謝産物は、注入された代謝産物の標準溶液に関して最適化されたMSパラメータに基づき、複数の反応モニタリングモード(MRM)で操作されるAPI4000 3重項−4重項質量分析における、ネガティブエレクトロスプレーイオン化によりモニターできる。代謝産物は、既知濃度の純粋な代謝産物スタンダードとのピーク面積の比較により定量化できる。
次に2HG代謝産物レベルを測定し、2HG標準曲線を使用して定量化し、2HG生成の%阻害を、ビヒクル処理群及び培地のみのコントロール群を使用して算出した。
<実施例4:更なる化合物>
表1は、実施例1の化合物を生物学的データ及び他のデータとともに示し、また実施例1に示す方法により調製した更なる化合物を示す。回転障害及び溶媒ピーク(DMSO及び水)はいずれも、NMRシグナルを複雑にし、多くのスペクトルにおいて一部の陽子共鳴が障害を受ける。表2は、実施例1に示す方法により調製できる更なる化合物を示す。開始材料及び反応条件の、当業者にとり明らかなルーチン的変更を適宜行い、表1に開示する具体的な化合物を調製した。「A」は、0.3μM未満のIC50を有する化合物を意味し、「B」は、0.3μM〜1.0μMの間のIC50を有する化合物を示し、「C」は、1.0μM〜5.0μMの間のIC50を有する化合物を意味し、「D」は、5.0μM〜20μMの間のIC50を有する化合物を意味し、「E」は、20μM超のIC50を有する化合物を意味する。標準的な酵素阻害アッセイ(例えば実施例2のアッセイ)を用い、化合物のIC50を測定した。
Figure 0006987798
Figure 0006987798
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Figure 0006987798
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Claims (18)

  1. 式II−Aの化合物、
    Figure 0006987798
    (II−A
    又はその薬学的に許容される塩
    (式中、CyNは、窒素原子を介して結合される環式のアミン基であり、独立して、ハロゲン、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから選択される1つ以上の置換基によって、任意に置換されてもよく、
    Xは、C又はNであり、
    及びRは、各々独立して、ハロゲン、CN、CF、CHF、CHF、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、ジ(C−Cアルキル)アミノ基であり、
    及びnは、各々独立して、1、2又は3であり、及び
    少なくとも1つのR 基がオルト置換基であり、式II−Aのアトロプ異性体が、その対応するエナンチオマより過剰に存在する)。
  2. II−Bの化合物
    Figure 0006987798
    (II−B)
    又はその薬学的に許容される塩
    (式中、CyNは、窒素原子を介して結合される環式のアミン基であり、独立して、ハロゲン、C −C アルキル及びC −C アルコキシから選択される1つ以上の置換基によって、任意に置換されてもよく、
    Xは、C又はNであり、
    及びR は、各々独立して、ハロゲン、CN、CF 、CHF 、CH F、C −C 10 アルキル基、C −C 10 アルコキシ基、ジ(C −C アルキル)アミノ基であり、
    m及びnは、各々独立して、1、2又は3であり、及び
    少なくとも1つのR基がオルト置換基であり、式II−Bのアトロプ異性体が、その対応するエナンチオマより過剰に存在する
  3. II−Cの化合物
    Figure 0006987798
    (II−C)
    又はその薬学的に許容される塩
    (式中、CyNは、窒素原子を介して結合される環式のアミン基であり、独立して、ハロゲン、C −C アルキル及びC −C アルコキシから選択される1つ以上の置換基によって、任意に置換されてもよく、
    Xは、C又はNであり、
    及びR は、各々独立して、ハロゲン、CN、CF 、CHF 、CH F、C −C 10 アルキル基、C −C 10 アルコキシ基、ジ(C −C アルキル)アミノ基であり、
    m及びnは、各々独立して、1、2又は3であり、及び
    少なくとも1つのR基がオルト置換基であり、式II−Cのアトロプ異性体が、その対応するエナンチオマより過剰に存在する
  4. II−Dの化合物
    Figure 0006987798
    (II−D)
    又はその薬学的に許容される塩
    (式中、CyNは、窒素原子を介して結合される環式のアミン基であり、独立して、ハロゲン、C −C アルキル及びC −C アルコキシから選択される1つ以上の置換基によって、任意に置換されてもよく、
    Xは、C又はNであり、
    及びR は、各々独立して、ハロゲン、CN、CF 、CHF 、CH F、C −C 10 アルキル基、C −C 10 アルコキシ基、ジ(C −C アルキル)アミノ基であり、
    m及びnは、各々独立して、1、2又は3であり、及び
    少なくとも1つのR基がオルト置換基であり、式II−Dのアトロプ異性体が、その対応するエナンチオマより過剰に存在する
  5. 前記アトロプ異性体が、実質的に対応するエナンチオマを含まない、請求項からのいずれか一項に記載のアトロプ異性体化合物又は塩。
  6. mが1であり、Rが4−置換基である、または、
    が4−Cl、4−CF、4−CHF、4−CHOもしくは4−CNである、または、
    XがCであり、Rが4−Cl、4−CF、4−CHFもしくは4−NCである、または、
    XがNであり、Rが4−CF、4−CHFもしくは4−CHOである、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物又は塩。
  7. nが2であり、R が2−C、5−CHOであるか、又は2−C、5−Clであるか、又は2−Cl、5−(CHNであるか、又は2−CO、5−COであるか、又は2−CO、5−Clであるか、又は3−CO、5−NCであるか、又はジ−2,6−Cである、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物又は塩。
  8. CyN−が以下の通り
    Figure 0006987798
    である、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物又は塩。
  9. 前記アトロプ異性体化合物が、以下の化合物:
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798

    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    または
    Figure 0006987798
    の1つである、請求項に記載のアトロプ異性体化合物又はその塩。
  10. 前記アトロプ異性体化合物が、以下の化合物
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    または
    Figure 0006987798
    の1つである、請求項に記載のアトロプ異性体化合物又はその塩。
  11. 前記アトロプ異性体化合物が、以下の化合物
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    の1つである、請求項に記載のアトロプ異性体化合物又はその塩。
  12. 前記アトロプ異性体化合物が、以下の化合物
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    Figure 0006987798
    の1つである、請求項に記載のアトロプ異性体化合物又はその塩。
  13. 請求項1〜12のいずれか1つの化合物又は塩を、薬学的に許容される担体と共に含む、医薬組成物。
  14. IDH1変異の存在を特徴とする癌の治療のための医薬組成物であって、該IDH1変異が、患者においてNADPH依存的なα−ケトグルタレートのR(−)−2−ヒドロキシグルタレートへの還元を触媒する酵素の新規な能力をもたらし、前記医薬組成物が請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物又は塩を含む、医薬組成物。
  15. 前記IDH1変異が、IDH1 R132H又はIDH1 R132C変異である、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. 前記癌が、膠腫(グリア芽細胞腫)、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、脊髄形成異常/骨髄増殖性の新生物、肉腫、慢性骨髄単球性白血病、非ホジキンリンパ腫、星細胞腫、黒色腫、非小細胞性肺癌、胆管癌、軟骨肉腫又は大腸癌から選択される、請求項14に記載の医薬組成物。
  17. Ollier病またはMafucci症候群の治療のための医薬組成物であって、前記医薬組成物が請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む、医薬組成物。
  18. 1つ以上の更なる治療剤を更に含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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