実施の形態1.
以下、本発明に係る空気調和機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機100を示す回路図である。図1に示すように、空気調和機100は、室内空間の空気を調整する装置であり、室外機22と、室内機21とを備えている。室外機22には、圧縮機1、流路切替装置2、室外熱交換器3、室外送風機6a、室外膨張部14、圧力容器13が設けられている。また、室外機22には、2個の静止弁4,5、高圧圧力センサ11、低圧圧力センサ12、外気温度センサ8、液管温度センサ9、切替スイッチ23及び制御装置20が設けられている。室内機21には、2個の室内熱交換器30,40、2個の室内膨張部31,41、6個の温度センサ32,33,34,42,43,44が設けられている。本実施の形態1では、1台の室外機22が設けられている場合について例示しているが、複数の室外機22が設けられてもよい。また、本実施の形態1では、2台の室内機21が設けられている場合について例示したが、室内機21の数は1台でもよいし3台以上でもよい。
圧縮機1、流路切替装置2、室外熱交換器3、室外膨張部14、静止弁4、室内膨張部31,41、室内熱交換器30,40及び静止弁5が配管により接続されて冷媒回路が構成されている。圧縮機1は、低温且つ低圧の状態の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して高温且つ高圧の状態の冷媒にして吐出するものである。圧力容器13は、大気圧と異なる一定の圧力で気体又は液体を貯留する。なお、圧力容器13等の機能部品は適宜省略することができる。流路切替装置2は、冷媒回路において冷媒が流れる方向を切り替えるものであり、例えば四方弁である。室外熱交換器3は、例えば室外空気と冷媒との間で熱交換するものであり、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する。室外送風機6aは、室外熱交換器3に空気を送るファン6と、ファン6を駆動するファンモータ7とを有する。
室外膨張部14は、冷媒を減圧して膨張する減圧弁又は膨張弁であり、例えば開度が調整される電子式膨張弁である。室内膨張部31,41は、冷媒を減圧して膨張する減圧弁又は膨張弁であり、例えば開度が調整される電子式膨張弁である。本実施の形態1では、室外膨張部14と室内膨張部31,41とが設けられている場合について例示しているが、1個の膨張部としてもよい。以下、室外膨張部14と室内膨張部31,41とを含めたものを膨張部と呼称する。室内熱交換器30,40は、室内空気と冷媒との間で熱交換するものであり、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する。ここで、2個の室内熱交換器30,40及び室内膨張部31,41は、互いに並列に接続されている。静止弁4,5は、室外機22の配管と室内機21の配管とを接続するものである。
高圧圧力センサ11は、圧縮機1の吐出側に設けられ、圧縮機1から吐出された冷媒の圧力を検出する。低圧圧力センサ12は、圧縮機1の吸入側に設けられ、圧縮機1に吸入される冷媒の圧力を検出する。外気温度センサ8は、室外空気の温度を検出する。液管温度センサ9は、室外熱交換器3に流れる冷媒の温度を検出する。温度センサ33,43は、室内機21に吸入される室内空気の温度を検出する。温度センサ32,34,42,44は、室内熱交換器30,40に流れる冷媒の温度を検出する。なお、各圧力センサ及び温度センサは、適宜省略してもよい。飽和圧力を温度センサの検出値から計算してもよく、圧力センサの検出値としてもよい。切替スイッチ23は、後述する相対過冷却度制御モード及び相対過熱度制御モードと、過冷却制御モード及び過熱度制御モードとを切り替える。
配管の内部に流れる冷媒として、R410A、R32、水又はCO2等の熱の運搬を実施する液体、気体又は固体等が採用される。なお、冷媒としてCO2が採用される場合、室外熱交換器3又は室内熱交換器30,40は凝縮器ではなく放熱器として作用するが、本発明の凝縮器は放熱器の概念を含んだ状態で説明する。
(運転モード、冷房運転)
次に、空気調和機100の運転モードについて説明する。先ず、冷房運転について説明する。冷房運転時、室外熱交換器3は凝縮器として作用し、室内熱交換器30,40は蒸発器として作用する。冷房運転において、圧縮機1に吸入された冷媒は、圧縮機1によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。圧縮機1から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置2を通過して、凝縮器として作用する室外熱交換器3に流入し、室外熱交換器3において、室外送風機6aによって送られる室外空気と熱交換されて凝縮して液化する。凝縮された液状態の冷媒は、室外膨張部14に流入し静止弁4を通った後分岐して、それぞれの室内膨張部31,41に流入する。室外膨張部14及び室内膨張部31,41において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、それぞれ蒸発器として作用する室内熱交換器30,40に流入し、室内熱交換器30,40において、室内空気と熱交換されて蒸発してガス化する。このとき、室内空気が冷やされ、室内において冷房が実施される。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、合流した後静止弁5及び流路切替装置2を通過して、圧縮機1に吸入される。
(運転モード、暖房運転)
次に、暖房運転について説明する。暖房運転時、室内熱交換器30,40は凝縮器として作用し、室外熱交換器3は蒸発器として作用する。暖房運転において、圧縮機1に吸入された冷媒は、圧縮機1によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。圧縮機1から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置2及び静止弁5を通過した後分岐して、それぞれ凝縮器として作用する室内熱交換器30,40に流入し、室内熱交換器30,40において、室内空気と熱交換されて凝縮して液化する。このとき、室内空気が暖められ、室内において暖房が実施される。凝縮された液状態の冷媒は、それぞれ室内膨張部31,41に流入した後合流して、静止弁4を通って室外膨張部14に流入する。室内膨張部31,41及び室外膨張部14において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する室外熱交換器3に流入し、室外熱交換器3において、室外空気と熱交換されて蒸発してガス化する。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置2を通過して、圧縮機1に吸入される。
制御装置20は、各アクチェータの動作を制御するものであり、例えばマイコンからなる。制御装置20は、圧力温度測定手段28と、計算手段24と、補正手段25と、開度調整手段26と、間隔変更手段27とを有する。圧力温度測定手段28は、高圧圧力センサ11及び低圧圧力センサ12によって検出された圧力を測定し、計算手段24に送信する。計算手段24は、過冷却度に基づいて相対過冷却度を求める。ここで、過冷却度は、室外熱交換器3及び室内熱交換器30,40のうち凝縮器として作用する方の出口側の冷媒の温度と、その凝縮器における冷媒の凝縮温度との差である。相対過冷却度の求め方については、後述する。
補正手段25は、冷媒回路の運転状態に基づいて、計算手段24によって求められた相対過冷却度を補正して目標相対過冷却度を取得する。ここで、冷媒回路の運転状態とは、例えば、室外熱交換器3又は室内熱交換器30,40の熱交換能力である。更に、冷媒回路の運転状態とは、室内機21の運転台数、室外送風機6a又は室内送風機(図示せず)の風量及び室内機21に吸い込まれる空気の温度のうち少なくとも1つである。なお、目標相対過冷却度の求め方については、後述する。開度調整手段26は、相対過冷却度が補正手段25によって取得された目標相対過冷却度となるように、膨張部の開度を調整する。
一方、計算手段24は、過熱度に基づいて相対過熱度を求める。ここで、過熱度は、室外熱交換器3及び室内熱交換器30,40のうち蒸発器として作用する方の出口側の冷媒の温度と、その蒸発器における冷媒の蒸発温度との差である。相対過熱度の求め方については、後述する。補正手段25は、冷媒回路の運転状態に基づいて、相対過熱度が計算手段24によって求められた相対過熱度を補正して目標相対過熱度を取得する。目標相対過冷却度の求め方については、後述する。開度調整手段26は、相対過熱度が補正手段25によって取得された目標相対過熱度となるように、膨張部の開度を調整する。
また、間隔変更手段27は、目標相対過冷却度又は目標相対過熱度に基づいて、膨張部の開度を調整する間隔を変更する。膨張部の開度を調整する間隔の変更方法について後述する。なお、間隔変更手段27は、例えば、室内機21の起動時又は運転台数の変化時に、膨張部の開度を調整する間隔を変更する。
(相対過冷却度制御モード)
本実施の形態1では、相対過冷却制御モード及び相対過熱度制御モードを有している。先ず、相対過冷却制御モードについて説明する。以後、過冷却度を、SC(サブクール)と呼称することがある。制御式(1)として、相対SCを設ける。相対SCは、凝縮器の出口SCの値を、凝縮器を通過する冷媒の飽和温度CTから、凝縮器を通過する空気の温度である吸入温度Tinを際し引いた値で除算した値である。凝縮器の冷媒の出口温度をTr_outとする。この制御式(1)にて、凝縮器の制御を行う。
[数1]
ε1=SC/(CT−Tin),{SC=CT−Tr_out}・・・(1)
図2は、本発明の実施の形態1に係る過冷却度の付きやすさを示すグラフである。上記のように、冷媒の温度と吸い込み温度とを用いた無次元数である温度効率にて制御を行うことによって、熱交換器のポテンシャルに応じた制御を実施することが可能となる。例えば、図2に示すように、室内機21の温度によって、SCの付きやすさは変化する。従来のようにSCの目標値が、吸い込み温度及び飽和温度によらず一定値である場合、室温が高くSCが付きにくい室内機21では、SCを目標値に近づけるために、制御装置20は膨張部を徐々に閉じる。一方、室温が低くSCの付きやすい室内機21では、制御装置20は膨張部を過度に開き、適切な冷媒の流量を流すことができなくなる。そこで、本実施の形態1では、制御式(1)に示すように、吸い込み温度及び飽和温度によって、各室内機21にとって最適なSCを目標値にするために、ε1の値に応じて最適な目標値を設定する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る制御装置20の動作のイメージを示すブロック図である。制御式(1)での制御時の目標値である目標相対SCをF()という関数で定義する。即ち、F()=ε1mである。ε1mは、制御時の目標相対SCを意味する。ここで、ΔF=F−ε1とすると、ΔFが予め定められた安定領域よりも大きい場合、相対SCが必要量よりも不足しているので、制御装置20は相対SCを増やす。例えば、制御装置20が膨張部を絞ることによって、安定領域に近づけることができる。一方、ΔFが安定領域よりも小さい場合、相対SCが過多に付いているので、制御装置20は相対SCを減らす。例えば、制御装置20が膨張部を開くことによって、安定領域に近づけることができる。図3に示すように、安定領域におけるε1を0.66〜0.75とすると、ε1が0.66未満の場合、制御装置20は膨張部を絞る。一方、ε1が0.75を超える場合、制御装置20は膨張部を開く。
図4は、本発明の実施の形態1に係る過冷却度の収束を示すグラフである。目標相対SCであるF()は、上記のとおり、各室内機21の運転環境及び冷凍サイクルの状態に応じた最適な関数とする。例えば、F(ε1)とする。図4に示すように、各室内機21にてε1の目標値を設定する。目標値は、理論的、経験的又は実験的に決定される。例えば、CT=40℃、Tin1=27℃、Tin2=20℃、各室内機21の目標値をF()=0.7とした場合、SC1_target=9.1℃、SC2_target=14℃である。10分後、Tin1=28℃、Tin2=28℃と室温が変化していれば、SC1_target=SC2_target=8.4℃というように、室内機21の運転する環境及び状況に応じて、目標値を時間経過と共に変更することができる。例えば、A及びBを定数とすると、F(ε1)=A×ε1+Bである。
ここで、F(ε1)=A×ε1+Bの場合について補足する。ΔT=CT−Tin、目標のSCをSCmとする。この場合、F(ε1)=A*SCm/ΔT+Bとなる。よって、SCm=(F(ε1)−B)/A*ΔTとなる。このように目標値は、(F()−B)/A=0.7と定数とした場合に、SCm∝ΔTとなる。
上記の制御において、更にSCの付きやすさを目標値に反映させることによって、バランス性の改善が可能である。温度効率であるε1がある一定値を超えると、急激にSCが大きくなりにくくなる。そこで、この特性に合うように、目標値の関数を設定する。上記のようにA、Bを定数としても、A、Bをε1の関数としても、バランス性の改善が可能である。また、例えばF(ε1)=Alog(C*ε1+D)+Bのように、目標値を設定することによって、理論式に沿った目標値が各室内機21に設定される。ここで、A、B、C、Dは、定数でもよいしε1の関数でもよい。図3及び図4に制御実施時にε1が収束していく過程を示す。
ここで、飽和温度と吸い込み温度との温度差が大きい場合に、理論上、SCは付きやすくなる。ただ、実際には、凝縮器の大きさは有限であるため、温度差とSCとの大きさは必ずしも比例しない。これを解消するために、後述するように、F(CT−Tin,ε1)という関数を設ける。例えば、ΔT=CT−Tinとする。具体的には、F()=EXP(C*ΔT)(Aε1+B)又は(1−ΔT*C)*(Aε1+B)といった式が挙げられる。ここで、A、B、Cは定数でもよいし、ε1又はCT−Tinといった関数でもよい。
ここで、各室内機21の能力をqiとし、運転している合計の室内機21の能力をQとし、封入冷媒量をMとする。F(ε1,qi)、F(ε1,qi,Q)、F(ε1,qi,M)又はF(ε1,Q)のように、各室内機21が有するポテンシャルと相対SCとの関数として、目標相対SCを設定する。これにより、更に均等に冷媒を分配することができる。また、安定性を向上することができる。更に、運転している室内機21の合計能力、接続台数、接続された室内機21の熱交換器容積、パス数、封入冷媒量を、目標値に反映することによって、冷媒不足になり制御不能となることを防止することができる。具体的に、F(ε1,qi,Q)の場合について例示する。合計運転台数ごとに、各室内機21の能力と相対SCの大きさとに応じて、目標値を決定するテーブルを設けることによって、目標値を設定することができる。これにより、必要な冷媒の量が不足してしまうことを防止できる。
更に、SCの付きやすさを目標値に反映させるために、室内機21の風量Qair_inを目標値の関数に設定する。即ち、F(ε1,qi,Qair_in)、F(ε1,Qair_in)又はF(ε1,qi,Q,Qair_in)等といった式が挙げられる。また、上記の考えを用いて、実際の室内機21の循環量Grと室内ファン(図示せず)の風量とに基づいて、室内機21の熱交換能力を示す指標であるAK値を算出する。そして、算出したAK値とε1とを用いて目標値を決定することによって、安定性を向上できる。即ち、F(ε1、AK)、F(ε1、Gr)、F(AK)又はF(Gr)のように目標値を決定する。更に、室外機22に設けられた外気温度センサ8が検出する外気温度Toutdoorに応じて目標値を決定することによって、能力負荷に応じた目標値設定が可能になる。即ち、F(Toutdoor)、F(ε1、Toutdoor)というように目標値を決定する。
上記例のように、冷凍サイクルのアクチュエータの状態、各種センサの検知値又は演算値を制御の目標値に反映することによって、更なる精度向上を図ることができる。上記のとおり、目標値を関数だけでなく各パラメーターによるテーブルを理論的、経験的又は実験的に設定してもよい。本制御を実施するに当たり、CT−Tinの値が小さくなるに従って、相対的にSCの絶対値も小さくなり、信頼性の低下や性能の悪化を招くことが懸念される。そこで、SCに下限値を設けることによって、制御が発散することを防ぐことができる。また、CT−Tinの値が大きくなるに従って、相対的にSCの絶対値も大きくなり、冷媒不足等の信頼性の低下及び性能の悪化を招くことが懸念される。そこで、SCに上限値を設けることによって、制御が発散することを防ぐことができる。このとき、上限値及び下限値は冷凍サイクルの状態によって必要とされる値とすることによって信頼性を向上できると共に、発散を防止することができる役割を担う。例えば、外気温度又は冷媒の循環量に応じて、閾値を変更する。
本実施の形態1は、室内機21において目標値を補正することによって、精度を向上することができる。これは、室内機21毎に、室温を検知するセンサの位置が異なるため、実際の室内機21の出口SCと検知値から算出したSCとが異なることがあるためである。そこで、検知差を制御に反映することによって、安定性を向上でき、接続する室内機21のラインナップを増やすことができる。なお、SCがマイナス、即ち、SCが付いていない場合は、その値を計算式に適応してもよい。また、SC=0と補完して計算してもよい。また、SCの値を大きくすることによって、膨張部の絞り量が大きくなるようにしてもよい。室内機21の接続状態は、各設置環境によって大きく異なる。このため、室外機22から室内機21までの配管長が、室内機21によって大きく異なる。そこで、配管長さ分の補正を行うことによって、分配性を向上できる。具体的に、飽和温度を、室内機21又は室内機21の入り口、出口付近に設置されたセンサを用いて算出することにより、実施可能である。これは、位置情報を取得することにより実現することができる。
図6は、本発明の実施の形態1に係る目標過冷却度及び目標過熱度を示すグラフである。図5は、従来の制御であり、図6は、本実施の形態1の制御であり、図7は、温度差が大きくなるほど目標値を小さくする場合の制御である。図5に示すように、従来、CT−Tinに依らず目標SCは一定であるため、相対SC=SC/(CT−Tin)が大きくなるほど目標SCは下降する。これに対し、図6に示すように、本願発明は、CT−Tinが大きくなるほど目標F()が上昇するため、相対SC=SC/(CT−Tin)に依らず目標F()は一定である。なお、図7に示すように、CT−Tinが大きくなるほど対数関数的に目標F()が変化する場合、相対SC=SC/(CT−Tin)が大きくなるほど目標F()が緩やかに下降する。
上記の制御は、起動時又は台数変化等の過渡時においても、常時適応することができる。起動時では、室内機21によって室内の温度が異なっている場合、既に他の室内機21が運転しており、室内の温度が大きく異なる場合、吸入温度が設定温度に達して室内機21が停止する場合等によって、圧力が大きく変動し、冷媒の分配が大きく変化する。従来のようにSCを目標にする場合、過渡時の圧力変動の影響を受け、現在の実測SCが大きくハンチングし、膨張部及びその他のアクチュエータが大きくハンチングする。そこで、本実施の形態1のように膨張部の制御を行うことにより、目標値が圧力の関数になっているため、従来の制御に比べて、ハンチングが抑制でき、安定性を向上でき、直ちに安定状態に達することができる。また、起動時にて、CT=30℃→CT=28℃→CT=40℃→CT=45℃と変化した場合について説明する。Tin=20℃の室内機21にて、F()=0.7とすると、目標のSCは、7℃→5.6℃→14℃→17.5℃と変化する。飽和温度と吸入温度との差が大きくなるほど、目標のSCが大きくなり、安定性が向上する。これは、SCの大きさと温度差とに相関性があるためである。
従来は、飽和温度と吸い込み温度との差に対して考慮がされていないため、安定性が悪化する。例えば、SCの目標値が12℃等の一定値とされた場合、膨張部は、温度差が小さい場合に常時絞ることになり、安定に時間を要する。ここで、目標のSCの大きさを、飽和温度と吸い込み温度との差の関数として与える場合について説明する。ΔT=CT−Tinとして、F()=(1−0.01*ΔT)*0.7とする。CT=30℃→CT=28℃→CT=40℃→CT=45℃と変化した場合、Tin=20℃の室内機21にて、目標のSCは、6.3℃→5.2℃→11.2℃→13.1℃と温度差が大きくなるほど、熱効率が低下することを反映できるように変化する。
更に、本実施の形態1は、室内機21に対応していない膨張部又は弁等と連動して、制御を実施してもよい。この際、電磁弁が動作した場合に、目標値を連動させることによって、分配性を向上させてもよい。例えば、高低圧バイパス弁が設けられていた場合、高低圧バイパス弁を開けることで高低圧差が減少する。制御式(1)を適応すれば、目標式は下がることになる。しかし、室内機21を通過する冷媒の流量が減少するため、電磁弁を開く前と後とで目標値を変更することによって、より適切な制御を実施することができる。これは、上記F(Gr)の応用例である。
収束性を向上させるために、下記のように目標値と現在の値との差、目標値と将来の値とを予測して、フィードバック制御を実施してもよい。例えば、ΔF=F()−ε1であり、ΔF=F()−ε1*(予測値)である。予測値の求め方として、周波数の変動又は膨張部の変動に応じて、線形補完等の補完、理論的、実験的、経験的又は冷凍サイクルの状態により決定することによって、より収束性を向上させることができる。更に、ΔFが大きいほど、膨張部の制御量を大きくすることによって、収束性が良好となる。
更に、間隔変更手段27において、ΔFが大きいほど制御間隔を小さくし、ΔFが小さいほど制御間隔を大きくすることによって、安定性を向上させることができる。なお、各システムにおいて、膨張部のハンチング及び圧縮機1等のアクチュエータのハンチングが小さくなるように、目標値又は制御間隔を学習及び調整できるようにしてもよい。例えば、何度もハンチングを繰り返す場合に、膨張部の絞り量を小さくし、制御間隔を変更する等を実施して対応できるようにしてもよい。また、過渡時と安定時とにおいて、制御間隔又は制御ゲインの値を使い分けることによって、過渡から安定に要する時間を早くすることができ、安定時のハンチング量を小さくすることができる。過渡と安定との切り分け方の例として、高圧、低圧、高低差圧の変動量等の冷凍サイクルの状態から実験的に設定する方法を採用してもよい。また、SC、SH、ε1及びε2の大きさにより実験的に設定する方法を採用してもよいし、運転時間によって設定する方法を採用してもよい。
室内機21が複数台設けられており、全ての室内機21の目標値と現在の値との差であるΔFの符号が同じである場合、目標値の大きさを変更することによって、安定性を向上させることができる。例えば、2台の室内機21ともに、ΔFがマイナス又はプラスである場合が挙げられる。室内機21が複数台運転している場合は、制御のタイミングをずらすことによって、安定性を向上させることができる。停止している室内機21がある場合、停止している室内機21の室温差によって、膨張部の位置に応じては室内機21に溜まりこむ冷媒量が変動する。そこで、本実施の形態1では、停止している室内機21も含めて上記制御を実施することによって、室内機21に冷媒量が過多に溜まりこむことを防ぐことができる。これにより、封入冷媒量の削減及び信頼性の向上を図ることができる。このとき、室温の検出が困難な場合、センサ等によって検知した室温に基づいて制御を実施することによって、封入冷媒量の削減及び信頼性の向上の効果を高めることができる。
なお、本実施の形態1において、圧縮機1の運転可能範囲になるように目標値を変更する。また、吐出SHが低下した際に目標値を大きくするために、全体の弁を絞ることによって、吐出SHを向上させる。更に、全体の弁を絞ることによって、液バック量を減少させる。これにより、幅広い範囲にて適応することができる。即ち、目標値を設定する上で、高低圧の大きさ、高低圧の差の大きさ、運転周波数、吐出SH、吸入SH、飽和温度による補正量を加えることによって、空気調和機100を停止させることなく連続運転が可能になる。これにより、従来よりも高低差圧が小さくなること、吐出SHが小さくなること、液バック量が増加すること等により、圧縮機1の信頼性が悪化する懸念点が払拭される。
図8は、本発明の実施の形態1に係る制御装置20の動作を示すフローチャートである。次に、相対過冷却度制御モードの動作について説明する。図8に示すように、室内膨張部31,41の制御が開始される(ステップS1)と、各室内機21にてSCが計算され、ε1が計算される。そして、運転状態に基づいて目標値F()が算出される(ステップS2)。その後、ΔF=F()−ε1が算出され、制御値及び制御間隔が決定される(ステップS3)。ΔFが安定領域であるかが判定され(ステップS4)、ΔFが安定領域でない場合、ΔFが安定領域より大きいかが判定される(ステップS5)。ΔFが安定領域以下の場合、SCが下限値より大きいかが判定される(ステップS6)。SCが下限値より大きい場合、膨張部が開かれる(ステップS7)。一方、ΔFが安定領域より大きい場合、SCが上限値より小さいかが判定される(ステップS10)。SCが上限値より小さい場合、膨張部が絞られる(ステップS11)。ΔFが安定領域である場合、SCが下限値以下の場合、SCが上限値以上の場合、運転中であるかが判定される(ステップS8)。運転中でない場合、室内膨張部31,41の制御が終了し(ステップS9)、運転中である場合、ステップS2に戻る。
(相対過熱度制御モード)
次に、相対過熱度制御モードについて説明する。以後、過熱度をSH(スーパーヒート)と呼称することがある。制御式(2)として、相対SHを設ける。相対SHは、蒸発器の出口SHの値を、蒸発器を通過する空気の温度である吸入温度Tinから蒸発器を通過する冷媒の飽和温度ETを際し引いた値で除算した値である。蒸発器の冷媒の出口温度をTr_outとする。この制御式(2)にて、蒸発器の制御を行う。
[数2]
ε2=SH/(Tin−ET),{SC=Tr_out−ET}・・・(2)
図9は、本発明の実施の形態1に係る過熱度の付きやすさを示すグラフである。上記のように、冷媒の温度と吸い込み温度とを用いた無次元数である温度効率にて制御を行うことによって、熱交換器のポテンシャルに応じた制御を実施することが可能になる。例えば、図9に示すように、室内機21の温度によって、SHの付きやすさは変化する。従来のようにSHの目標値が、吸い込み温度及び飽和温度によらず一定値である場合、室温が高くSHが付きやすい室内機21では、SHを目標値に近づけるために、制御装置20は膨張弁を徐々に閉じる。一方、室温が低くSHが付きにくい室内機21では、制御装置20は膨張部を過度に開き、適切な冷媒の流量を流すことができなくなる。そこで、本実施の形態1では、制御式(2)に示すように、吸い込み温度及び飽和温度によって、各室内機21にとって最適なSHを目標値にするために、ε2の値に応じて最適な目標値を設定する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る制御装置20の動作のイメージを示すブロック図である。制御式(2)の値を基に、対応する制御時の目標値をG()という関数で定義する。即ち、G()=ε2mである。ε2mは、制御時の目標相対SHを意味する。ΔG=G−ε2とすると、ΔGが予め定められた安定領域よりも大きい場合、相対SHが必要量よりも不足しているので、制御装置20は相対SHを増やす。例えば、制御装置20が膨張部を絞ることによって、安定領域に近づけることができる。一方、ΔGが安定領域よりも小さい場合、相対SHが過多についているので、制御装置20は相対SHを減らす。例えば、制御装置20が膨張部を開くことによって、安定領域に近づけることができる。図10に示すように、安定領域におけるε2を−0.1〜0.3とすると、ε2が−0.1未満の場合、制御装置20は膨張部を絞る。一方、ε2が0.3を超える場合、制御装置20は膨張部を開く。
目標相対SHであるG()は、上記のとおり、各室内機21の運転環境及び冷凍サイクルの状態に応じた最適な関数とする。例えば、G(ε2)とする。各室内機21にてε2の目標値を設定する。目標値は、経験的、理論的又は実験的に決定される。例えば、ET=10℃、Tin1=20℃、Tin2=30℃、各室内機21の目標値をG()=0.2とした場合、SH1_target=12℃、SH2_target=14℃である。10分後、Tin1=20℃、Tin2=20℃と室温が変化していれば、SH1_target=SH2_target=12℃というように、室内機21の運転する環境及び状況に応じて、目標値を時間経過と共に変更することができる。例えば、A及びBを定数とすると、G(ε2)=A×ε2+Bである。
ここで、G(ε2)=A×ε1+Bの場合について補足する。ΔT=Tin−ET、目標のSHをSHmとする。この場合、G(ε2)=A*SHm/ΔT+Bとなる。よって、SHm=(F(ε2)−B)/A*ΔTとなる。このように目標値は、(G()−B)/A=0.2と定数とした場合に、SHm∝ΔTとなる。
上記の制御において、更にSHの付きやすさを目標値に反映させることによって、バランス性の改善が可能である。温度効率であるε2がある一定値を超えると、急激にSHが大きくなりにくくなる。そこで、この特性に合うように目標値の関数を設定する。上記のようにA、Bを定数としても、A、Bをε2の関数としても、バランス性の改善が可能である。また、例えばG(ε2)=Alog(C*ε2+D)+Bのように、目標値を設定することによって、理論式に沿った目標値が各室内機21に設定される。ここで、A、B、C、Dは、定数でもよいしε2の関数でもよい。
ここで、飽和温度と吸い込み温度との温度差が大きい場合に、理論上、SHは付きやすくなる。ただ、実際には、蒸発器の大きさは有限であるため、温度差とSHとの大きさは必ずしも比例しない。これを解消するために、後述するように、G(Tin−ET,ε2)という関数を設ける。例えば、ΔT=Tin−ETとする。具体的には、G()=EXP(C*ΔT)(Aε2+B)又は(1−ΔT*C)*(Aε2+B)といった式が挙げられる。ここで、A、B、Cは定数でもよいし、ε1又はTin−ETといった関数でもよい。
ここで、各室内機21の能力をqiとし、運転している合計の室内機21の能力をQとし、封入冷媒量をMとする。G(ε2,qi)、G(ε2,qi,Q)、G(ε2,qi,M)又はG(ε2,Q)のように、各室内機21が有するポテンシャルと相対SHとの関数として目標相対SHを設定する。これにより、更に均等に冷媒を分配することができる。また、安定性を向上することができる。更に、運転している室内機21の合計能力、接続台数、接続された室内機21の熱交換器容積、パス数、封入冷媒量を、目標値に反映することによって、冷媒不足になり制御不能となることを防止することができる。具体的に、G(ε2,qi,Q)の場合について例示する。合計運転台数ごとに、各室内機21の能力と相対SHの大きさとに応じて、目標値を決定するテーブルを設けることによって、目標値を設定することができる。これにより、必要な冷媒の量が不足してしまうことを防止できる。
更に、SHの付きやすさを目標値に反映させるために、室内機21の風量Qair_inを目標値の関数に設定する。即ち、G(ε2,qi,Qair_in)、G(ε2,Qair_in)又はG(ε2,qi,Q,Qair_in)等といった式が挙げられる。また、上記の考えを用いて、実際の室内機21の循環量Grと室内ファン(図示せず)の風量とに基づいて、室内機21の熱交換能力を示す指標であるAU値を算出する。そして、算出したAU値とε2とを用いて目標値を決定することによって、安定性を向上できる。即ち、G(ε2、AU)、G(ε2、Gr)、G(AU)又はG(Gr)のように目標値を決定する。更に、室外機22に設けられた外気温度センサ8が検出する外気温度Toutdoorに応じて目標値を決定することによって、能力負荷に応じた目標値設計が可能になる。即ち、G(Toutdoor)、G(ε2、Toutdoor)というように目標値を決定する。
上記例のように、冷凍サイクルのアクチュエータの状態、各種センサの検知値又は演算値を制御の目標値に反映することによって、更なる精度向上を図ることができる。上記のとおり、目標値を関数だけでなく各パラメーターによるテーブルを理論的、経験的又は実験的に設定してもよい。本制御を実施するに当たり、Tin−ETの値が小さくなるに従って、相対的にSHの絶対値も小さくなり、信頼性の低下及び性能の悪化を招くことが懸念される。そこで、SHに下限値を設けることによって、制御が発散することを防ぐことができる。また、Tin−ETの値が大きくなるに従って、相対的にSHの絶対値も大きくなり、冷媒不足等の信頼性の低下及び性能の悪化を招くことが懸念される。そこで、SHに上限値を設けることによって、制御が発散することを防ぐことができる。このとき、上限値及び下限値は冷凍サイクルの状態によって必要とされる値とすることによって信頼性を向上できると共に、発散を防止することができる役割を担う。例えば、外気温又は冷媒の循環量に応じて、閾値を変更する。
本実施の形態1は、室内機21において目標値を補正することによって、精度を向上することができる。これは、室内機21毎に、室温を検知するセンサの位置が異なるため、実際の室内機21の出口SHと検知値から算出したSHとが異なることがあるためである。そこで、検知差を制御に反映することによって、安定性を向上でき、接続する室内機21のラインナップを増やすことができる。室内機21の接続状態は、各設置環境によって大きく異なる。このため、室外機22から室内機21までの配管長が、室内機21によって大きく異なる。そこで、配管長さ分の補正を行うことによって、分配性を向上できる。具体的に、飽和温度を、室内機21又は室内機21の入り口、出口付近に設置されたセンサを用いて算出することにより、実施可能である。これは、位置情報を与えることにより実現することができる。
図6は、本発明の実施の形態1に係る目標過冷却度及び目標過熱度を示すグラフである。図5は、従来の制御であり、図6は、本実施の形態1の制御であり、図7は、温度差が大きくなるほど目標値を小さくする場合の制御である。図5に示すように、従来、Tin−ETに依らず目標SHは一定であるため、相対SH=SH/(Tin−ET)が大きくなるほど目標SHは下降する。これに対し、図6に示すように、本願発明は、Tin−ETが大きくなるほど目標G()が上昇するため、相対SH=SH/(Tin−ET)に依らず目標G()は一定である。なお、図7に示すように、Tin−ETが大きくなるほど対数関数的に目標G()が変化する場合、相対SH=SH/(Tin−ET)が大きくなるほど目標G()が緩やかに下降する。
上記の制御は、起動時又は台数変化等の過渡時においても、常時適応することができる。起動時では、室内機21によって室内の温度が異なっている場合、既に他の室内機21が運転しており、室内の温度が大きく異なる場合、吸入温度が設定温度に達して室内機21が停止する場合等によって、圧力が大きく変動し、冷媒の分配が大きく変化する。従来のようにSCを目標にする場合、過渡時の圧力変動の影響を受け、現在の実測SHが大きくハンチングし、膨張部及びその他アクチュエータが大きくハンチングする。そこで、本実施の形態1のように膨張部の制御を行うことにより、目標値が圧力の関数になっているため、従来の制御に比べて、ハンチングが抑制でき、安定性を向上でき、直ちに安定状態に達することができる。例えば、起動時にて、ET=20℃→ET=0℃→ET=−15℃→ET=15℃と変化した場合について説明する。Tin=20℃の室内機21にて、G()=0.2とすると、目標のSHは、0℃→4℃→7℃→1℃と変化する。飽和温度と吸入温度との差が大きくなるほど、目標のSHが大きくなり、安定性が向上する。これは、SHの大きさと温度差とに相関性があるためである。
従来は、飽和温度と吸い込み温度との差に対して考慮がされていないため、安定性が悪化する。例えば、SHの目標値が4℃等の一定値とされた場合、膨張部は、温度差が小さい場合に常時絞ることになり、安定に時間を要する。ここで、目標のSHの大きさを、飽和温度と吸い込み温度との差の関数として与える場合について説明する。ΔT=Tin−ETとして、G()=(1−0.01*ΔT)*0.2とする。ET=20℃→ET=0℃→ET=−15℃→ET=15℃と変化した場合、Tin=20℃の室内機21にて、目標のSHは、0℃→3.2℃→4.6℃→1℃と温度差が大きくなるほど、熱効率が低下することを反映できるように変化する。
更に、本実施の形態1は、室内機21に対応していない膨張部又は弁等と連動して、制御を実施してもよい。この際、電磁弁が動作した場合に、目標値を連動させることによって、分配性を向上させてもよい。例えば、高低圧バイパス弁が設けられていた場合、高低圧バイパス弁を開けることで高低圧差が減少する。制御式(2)を適応すれば、目標式は下がることになる。しかし、室内機21を通過する冷媒の流量が減少するため、電磁弁を開く前と後とで目標値を変更することによって、より最適な制御を実施することができる。これは、上記G(Gr)の応用例である。
収束性を向上させるために、下記のように目標値と現在の値との差、目標値と将来の値とを予測して、フィードバック制御を実施してもよい。例えば、ΔG=G()−ε2であり、ΔG=G()−ε2*(予測値)である。予測値の求め方として、周波数の変動又は膨張部の変動に応じて、線形補完等の補完、理論的、実験的、経験的又は冷凍サイクルの状態により決定することによって、より収束性を向上させることができる。更に、ΔGが大きいほど、膨張部の制御量を大きくすることによって、収束性が良好となる。
更に、間隔変更手段27において、ΔGが大きいほど制御間隔を小さくし、ΔGが小さいほど制御間隔を大きくすることによって、安定性を向上させることができる。なお、各システムにおいて、膨張部のハンチング及び圧縮機1等のアクチュエータのハンチングが小さくなるように、目標値又は制御間隔を学習及び調整できるようにしてもよい。例えば、何度もハンチングを繰り返す場合に、膨張部の絞り量を小さくし、制御間隔を変更する等を実施して対応できるようにしてもよい。また、過渡時と安定時とにおいて、制御間隔又は制御ゲインの値を使い分けることによって、過渡から安定に要する時間を早くすることができ、安定時のハンチング量を小さくすることができる。過渡と安定との切り分け方の例として、高圧、低圧、高低差圧の変動量等の冷凍サイクルの状態から実験的に設定する方法を採用してもよい。また、SC、SH、ε1及びε2の大きさにより実験的に設定する方法を採用してもよいし、運転時間によって設定する方法を採用してもよい。
室内機21が複数台設けられており、全ての室内機21の目標値と現時の値との差であるΔGの符号が同じである場合、目標値の大きさを変更することによって、安定性を向上させることができる。例えば、2台の室内機21ともに、ΔGがマイナス又はプラスである場合が挙げられる。室内機21が複数台運転している場合は、制御のタイミングをずらす事によって、安定性を向上させることができる。停止している室内機21がある場合、停止している室内機21の室温差によって、膨張部の位置に応じては室内機21に溜まりこむ冷媒量が変動する。そこで、本実施の形態1では、停止している室内機21も含めて上記制御を実施することによって、室内機21に冷媒量が過多に溜まりこむことを防ぐことができる。これにより、封入冷媒量の削減及び信頼性の向上を図ることができる。このとき、室温の検出が困難な場合、センサ等によって検知した室温に基づいて制御を実施することによって、封入冷媒量の削減及び信頼性の向上の効果を高めることができる。
なお、本実施の形態1において、圧縮機1の運転可能範囲になるように目標値を変更する。また、吐出SHが低下した際に目標値を大きくするために、全体の弁を絞ることによって、吐出SHを向上させる。更に、全体の弁を絞ることによって、液バック量を減少させる。これにより、幅広い範囲にて適応することができる。即ち、目標値を設定する上で、高低圧の大きさ、高低圧の差の大きさ、運転周波数、吐出SH、吸入SH、飽和温度による補正量を加えることによって、空気調和機100を停止させることなく連続運転が可能になる。これにより、従来よりも高低差圧が小さくなること、吐出SHが小さくなること、液バック量が増加すること等により、圧縮機1の信頼性が悪化する懸念点が払拭される。
図11は、本発明の実施の形態1に係る制御装置20の動作を示すフローチャートである。次に、相対過熱度制御モードの動作について説明する。図11に示すように、室内膨張部31,41の制御が開始される(ステップS20)と、各室内機21にてSHが計算され、ε2が計算される。そして、運転状態に基づいて目標値G()が算出される(ステップS21)。その後、ΔG=G()−ε2が算出され、制御値及び制御間隔が決定される(ステップS22)。ΔGが安定領域であるかが判定され(ステップS23)、ΔGが安定領域でない場合、ΔGが安定領域より大きいかが判定される(ステップS24)。ΔGが安定領域以下の場合、SHが下限値より大きいかが判定される(ステップS25)。SHが下限値より大きい場合、膨張部が開かれる(ステップS26)。一方、ΔGが安定領域より大きい場合、SHが上限値より小さいかが判定される(ステップS29)。SHが上限値より小さい場合、膨張部が絞られる(ステップS30)。ΔGが安定領域である場合、SHが下限値以下の場合、SHが上限値以上の場合、運転中であるかが判定される(ステップS27)。運転中でない場合、室内膨張部31,41の制御が終了し(ステップS28)、運転中である場合、ステップS21に戻る。
(相対過熱度制御モードの応用例)
上記の制御を、室内機21が複数台設けられており、全ての室内機21にて同時に実行する場合、室外機22出口のε1又はSCが大きくハンチングしてしまい安定性が大きく低下する懸念がある。そこで、本制御の優勢順位を変更することによって、冷凍サイクルの安定性を向上させる。室外機22出口ε1又はSCの制御を実施するために、室内機21の合計の膨張部のCv値を用いて制御する。このとき、室内機21のCv値を分配する際に、均等に分配できない場合、室内機21出口にて過多にSHが付く室内機21又は冷媒が二相状態のまま流出する室内機21が生じ、アンバランスの状態が発生する。この結果、入力が増加する。そこで、ε1又はSCが安定した後に、本制御を実施する場合、SCの値が大きくハンチングしないように、室内機21間で膨張部の開度の補正を実施する。例えば、4台の室内機21の運転を実施している場合について説明する。
2台の室内機21にて、ε2又はSHの値が大きくなり各膨張部の開度を絞る場合、ε1又はSCの値が大きくハンチングしないようにする。そこで、合計のCv値が同じになるように残りの2台の室内機21の膨張部の開度を開くことによって、安定性を向上させることができる。本制御は、過渡時等のようにε1又はSCの値が安定していない場合、全ての室内機21出口にてSHがついている場合等には成立しなくなるため、実施しない。また、室内機21に開度を分け与える量を決定する際に、均等に分配してもよいが、室内機21の能力、飽和温度と吸い込み温度との温度差、ε2の大きさ又はSHの大きさによって、分配比率を決定することによって、よりハンチング量を減らすことが可能になる。
図12は、本発明の実施の形態1の応用例に係る制御装置20の動作を示すフローチャートである。次に、応用例の動作について説明する。図12に示すように、室内膨張部31,41の制御が開始されると(ステップS40)と、各室内機21にてε1及びε2を用いた制御が実施される(ステップS41)。そして、ε1/SCが安定領域であるかが判定され(ステップS42)、安定領域である場合、全ての室内機21の出口側のε2/SHが閾値下限以上であるかが判定される(ステップS43)。ε2/SHが閾値下限以上の場合、室内機21の出口乾き度補正が実施される(ステップS44)。その後、運転中であるかが判定され(ステップS45)、運転中でない場合、室内膨張部31,41の制御が終了し(ステップS46)、運転中である場合、ステップS41に戻る。なお、ε1/SCが安定領域でない場合、全ての室内機21の出口側のε2/SHが閾値下限以上でない場合、ステップS41に戻る。
図13は、本発明の実施の形態1に係る過熱度の収束を示すグラフである。次に、本制御を、1台運転時、SCの補正を実施せずにε2又は室内機21出口SHを基に補正を行う制御を実施した場合について説明する。圧損の補正をしない場合、上記のように、室内機21出口にて冷媒が二相の場合又は圧損により室内機21出口飽和温度が低下した場合、ε2又は室内機21出口SHはマイナスになる。マイナスであることは、冷媒循環量が過多であることを意味する。この量が多くなると、圧縮機1に冷媒が二相のまま吸入されることによって、圧縮機1の故障を引き起こす可能性がある。上記でも述べたように、本実施の形態1の制御を用いて、図13に示すように、SHを安定領域の上下にて挟み込むことによって、最適な冷凍サイクルの状態を実現することができる。このように、補正手段25は、凝縮器又は蒸発器における圧力損失に基づいて、相対過冷却度又は相対過熱度を補正してもよい。
本実施の形態1によれば、冷媒回路の運転状態に基づいて、相対過冷却度を補正して目標相対過冷却度を取得する。このため、実際の熱交換効率を反映した目標相対過冷却度を得ることができる。従って、室内熱交換器30及び室外熱交換器3のサイズや各室内機21の室温などの負荷等の設置環境の影響によらず、運転の安定性を損なわない。SC及びSHの付きやすさを閾値に反映して、相対SC及び相対SHによる制御を実施することによって、室内機21及び室外機22の熱交換器を最大限有効に使用できるよう、膨張弁などの流量調整弁の制御を行う。従来、運転する室内機21の温度が異なる場合又は風量など運転状態が異なる場合にて、同じ目標値のまま制御を実施している。このため、制御が発散する。本実施の形態1では、各室内機21にて最適な目標値を設定できるようにするため、安定性が向上する。これにより、省エネ性及び安定性を向上でき、安定までに要する時間を短くし、短時間で各室内機21にて冷風又は温風を供給でき快適性を向上できる。更に、目標値だけでなく、収束方法及び制御時定数等にも、冷凍サイクルのパラメーターを反映させることによって、安定性が向上する。この制御により、起動から安定、安定から停止まで、理想的な運転が実現できる。特に、室内機21及び室外機22が複数台設けられた場合、設置環境及びシステムが多種多様であるものの、多様性に対応することができる。同時に、圧縮機1の液バック防止や室内機21の渇きを最適に制御できるので、信頼性の向上が可能になる。
実施の形態2.
図14は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機200を示す回路図である。本実施の形態2は、バイパス回路53を有している点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態2では、実施の形態1と同一の部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図14に示すように、空気調和機100は、バイパス回路53と、バイパス膨張部15と、バイパス熱交換器50と、温度センサ51,52を有している。バイパス回路53は、室外膨張部14と室内膨張部31,41との間と、圧縮機1の吸入側とを接続する。バイパス膨張部15は、バイパス回路53に設けられ、冷媒を減圧して膨張する減圧弁又は膨張弁であり、例えば開度が調整される電子式膨張弁である。バイパス熱交換器50は、室外膨張部14と室内膨張部31,41との間に流れる冷媒と、バイパス回路53においてバイパス膨張部15の下流に流れる冷媒とを熱交換する例えば二重管である。このように、本実施の形態2では、二重管を用いた高低圧の熱交換を実施する回路について説明する。バイパス熱交換器50を通過した後のSCをHICSCとし、バイパス熱交換器50を通過した後のSHをHICSHとすると、制御モードとして、相対HICSC制御モードと相対HICSH制御モードとがある。
(相対HICSC制御モード、対向流)
先ず、相対HICSC制御モードについて説明する。実施の形態1では、相対SCに関する制御について説明している。現在、空調機の効率化のために、高圧、中圧、低圧等の熱交換、冷媒の分布の調整などの制御を実施している。この制御を実施するに当たり、SCの大きさの影響を考慮する必要がある。そこで、実施の形態1で得られる効果を最大限に発揮するように、目標値に関して説明する。冷房運転時について説明をする。温度センサは、必要に応じて使用する。バイパス膨張部15は、室外膨張部14及び室内膨張部31,41の制御又は圧損によって、SCが付いた冷媒で、室外機22出口を流れ室内機21に流れていく冷媒の一部を、バイパス膨張部15を通してバイパスさせ、室外機22に戻す役割を担っている。
この際、高圧側、即ちバイパス膨張部15を通過する前の冷媒と低圧側、即ちバイパス膨張部15を通過し圧力が低下した冷媒との間で熱交換することによって、室内機21に流れていく冷媒の温度を低下させる。これにより、比エンタルピーを低下させることができる。その結果、室内機21の前後での比エンタルピー差が大きくなるので、能力を増加させることができる。図14に示す回路では、冷房時にバイパス熱交換器50内では対向流になっている。
しかし、バイパス膨張部15を通過する冷媒の量が必要以上に増加した場合、室内機21に流れる冷媒量が少なくなってしまうため、能力が低下してしまう。このため、最適な冷媒の流量を流す必要がある。前述の如く、バイパス熱交換器50を通過した後のSCをHICSCと定義する。上記と同様に相対HICSCを利用して、バイパス量を制御することによって最適な冷凍サイクルの状態を作成する。相対HICSCをη1又はη2として定義する。そして、SCをバイパス熱交換器50の入口のSC又は室外機22出口でのSC、CTを高圧の飽和温度、ETを低圧の飽和温度と定義する。このときの目標値である目標相対HICSCをH()とする。η1及びη2は、それぞれ制御式(3)及び制御式(4)として定義する。HIC出口のメイン回路側の冷媒温度をTr_out_hicとする。
[数3]
η1=HICSC/(CT−ET−HICSC),{HICSC=Tr_out_hic−CT}・・・(3)
[数4]
η2=(HICSC−SC)/(CT−ET−HICSC+SC),{HICSC=Tr_out_hic−CT}・・・(4)
ΔH=H−η1又はΔH=H−η2と定める。ΔHが予め定められた安定領域よりも大きい場合、HICSCが必要量よりも不足しているので、制御装置20はバイパスする冷媒の量を増やす。例えば、制御装置20がバイパス膨張部15を開くことによって、安定領域に近づけることができる。一方、ΔHが安定領域よりも小さい場合、HICSCが過多に付いているので、制御装置20はバイパスする冷媒の量を減らす。例えば、制御装置20がバイパス膨張部15を絞ることによって、安定領域に近づけることができる。
ここで、目標値であるH()は、実施の形態1で説明した制御式(1)及び制御式(2)と同様に決定することができる。各パラメーターは、経験的、実験的又は理論的に決定することで制御の効率を向上することができる。例えば、H()=0.3とした場合、各HICSCの目標値HICSCmは以下のようになる。(CT,ET,SC)=(20,15,1)の場合、(HICSCm(η1),HICSCm(η2))=(1.2,2.2)となる。(CT,ET,SC)=(25,10,3)の場合、(HICSCm(η1),HICSCm(η2))=(3.5,6.5)となる。(CT,ET,SC)=(40,−10,5)の場合、(HICSCm(η1),HICSCm(η2))=(11.5,16.5)となる。このように、目標値がそれぞれ変化する。上記は、目標値を定数とした場合であり、F()又はG()で説明した考えと同様に目標値を決定してもよい。同様に、F()又はG()で説明した考えと同様に、目標値に上下限値を設けてもよい。このときに、上限値及び下限値は冷凍サイクルの状態によって必要とされる値を設けることによって、信頼性を向上できると共に、制御の発散を防止できる役割を担う。例えば、外気温又は冷媒の循環量に応じて、閾値を変更することが挙げられる。
制御間隔及び制御実施のタイミングについて説明する。本制御は、実施の形態1で説明した相対SC制御及び相対SH制御、従来のSC制御及びSH制御等と組み合わせて実施することによっても、効果を発揮する。更に効果を発揮するために、制御の実施間隔及び制御実施のタイミングを、経験的、実験的又は理論的に決定することできる。例えば、過渡期にて、相対SC制御と相対HICSC制御とを実施した場合、相対SCが目標よりも小さく、相対HICSCが目標値よりも小さい場合に、互いに相反する動きを実施することになる。そこで、本制御を実施するタイミングを、相対SC又はSCが所定の閾値を越えた場合に実施すること、相対SC又はSCの変動が小さくなった場合にて実施することとする。相対SC又はSCが閾値以下になった場合、バイパス膨張部15の制御を中止すること、及びバイパス膨張部15を絞ることによって早く安定状態に達成することが可能になる。バイパス膨張部15の制御間隔は、室内膨張部31,41の制御間隔とずらすことによって、安定させやすくすることが可能になると考えられる。制御間隔は、経験的、実験的及び理論的に決定することで、制御の効率を向上することができる。
また、上記の制御式(3)及び制御式(4)は、温度センサの測定位置又は制御性の良さによって決定することができる。また、この2式を組み合わせて使用することも可能である。HICSCの検知は、例えば、温度センサ、液管温度センサ9又は室外機22の飽和温度等に基づいて計算することができる。SC又はHICSCがマイナスのとき、即ちSC又はHICSCが付いていない場合は、その値を計算式に適応してもよい。また、SC=0又はHICSC=0と補完して計算してもよい。また、SC又はHICSCの値を大きくすることによって、絞り量が大きくなるようにしてもよい。上記のような制御方法は、パワーレシーバーを用いた回路、レシーバーを用いた回路、インジェクション圧縮機を用いたバイパス回路53等といった様々なバイパス回路53でも適応できる。その場合の制御式は、冷凍サイクルにおいて付けられる最大のSCの値を分母にすることによって、閾値及び目標値を決定することができる。この際、流れの向きなどに留意することで精度を向上させることができる。
(相対HICSH制御モード、対向流)
更に、図14にて、バイパス熱交換器50の出口のSHが検知できる場合にも、本実施の形態2を適応させることができる。以下、相対HICSH制御モードについて説明する。バイパス熱交換器50の出口のSHをHICSHと定義する。上記と同様に相対HICSHを利用して、バイパス量を制御することによって、最適な冷凍サイクルの状態を作成する。相対HICSHをη1又はη2として定義する。そして、SHをバイパス熱交換器50の入口のSH又は室外機22出口でのSC、CTを高圧の飽和温度、ETを低圧の飽和温度と定義する。このときの目標値である目標相対HICSHをI()とする。η3及びη4は、それぞれ制御式(5)および制御式(6)として定義する。HIC出口のバイパス回路53側の冷媒温度をTr_out_hic_byとする。
[数5]
η3=HICSH/(CT−ET−HICSH),{HICSH=Tr_out_hic−ET_by}・・・(5)
[数6]
η4=(HICSH−SH)/(CT−ET−HICSH+SH),{HICSH=Tr_out_hic−ET_by}・・・(6)
ΔI=I−η3又はΔI=I−η4と定める。ΔIが予め定められた安定領域よりも大きい場合、HICSHが必要量よりも不足しているので、制御装置20はバイパスする冷媒の量を増やす。例えば、制御装置20がバイパス膨張部15を開くことによって、安定領域に近づけることができる。一方、ΔIが安定領域よりも小さい場合、HICSHが過多に付いているので、制御装置20はバイパスする冷媒の量を減らす。例えば、制御装置20がバイパス膨張部15を絞ることによって、安定領域に近づけることができる。
相対HICSCのときとは異なり、バイパス熱交換器50出口側の冷媒が二相状態であるとき、乾き度が検知できないので、閾値の決定の際には上記を踏まえて決定する。バイパス熱交換器50出口側の冷媒が常時乾くように制御することによって、液バックを防止することができ、信頼性を向上できる。上記に記載した相対HICSC制御及び相対HICSH制御は、従来の制御と組み合わせて使用することも可能である。
なお、本実施の形態2において、圧縮機1の運転可能範囲になるように目標値を変更する。また、吐出SHが低下した際に目標値を大きくするために、全体の弁を絞ることによって、吐出SHを向上させる。更に、全体の弁を絞ることによって、液バック量を減少させる。これにより、幅広い範囲にて適応することができる。即ち、目標値を設定する上で、高低圧の大きさ、高低圧の差の大きさ、運転周波数、吐出SH、吸入SH、飽和温度による補正量を加えることによって、空気調和機100を停止させることなく連続運転が可能になる。これにより、従来よりも高低差圧が小さくなること、吐出SHが小さくなること、液バック量が増加すること等により、圧縮機1の信頼性が悪化する懸念点が払拭される。
(相対HICSC制御モード、並行流)
本実施の形態2は、暖房時にも適応が可能である。図14に示す回路では、暖房時にバイパス熱交換器50内では並行流になっている。これを考慮して、制御目標値を決定する。バイパス前の冷媒の温度をTinとする。下記の様に、制御式(7)、(8)、(9)、(10)を作成することができる。
[数7]
η5=HICSC/(Tin−HICSC−HICSH)・・・(7)
[数8]
η6=(HICSC−SC)/(Tin−HICSC−HICSH+SC)・・・(8)
[数9]
η7=HICSH/(Tin−HICSC−HICSH)・・・(9)
[数10]
η8=HICSH/(Tin−HICSC−HICSH+SC)・・・(10)
上記において、センサの数が不足している等で検知できない場合は、他の値から算出する等して値を求めてもよい。また、HICSH等が検知できない場合は、HICSHを0と仮定して計算してもよい。
本実施の形態2の切替スイッチ23は、相対SC制御、相対SH制御、相対HICSC制御、相対HICSH制御、従来のSC制御、SH制御、HICSC制御、HICSH制御を切り替えることができる。
本実施の形態2によれば、相対HICSC及び相対HICSHを用いて、バイパス回路53を制御することによって、各室内機21及び室外機22の熱交換器を最大限有効に使用できるように、膨張部等の流量調整弁の制御を実施する。通常、目標のSC及びSHが変動するため、HICSC及びHICSHにもその影響が及ぶものの、本実施の形態2では、バイパス回路53があるシステムにおいても、ハンチングを防止でき、安定性を向上できる。本実施の形態2では、二重管を用いる場合について例示しているが、アキュームレータ、インジェクション回路、パワーレシーバー等が使用された様々な回路にも応用でき、汎用性が高い制御である。