JP6987109B2 - 非水系電池外装用積層体 - Google Patents
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Description
電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池を収納する外装用容器としては、小型化および軽量化を図るため、金属箔と樹脂層を積層した電池外装用積層体からなる容器が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
電池外装用積層体を、凹部を有するトレー状となるように絞り成形などにより成形し、容器本体とする。この容器本体の凹部に、電池を収納する。次いで、電池外装用積層体からなる蓋材を前記容器本体の上に重ね、前記容器本体のフランジ部と蓋材の側縁部をヒートシールすることによって、外装用容器に電池が収納された2次電池を得る。
このため、電池外装用積層体の機械的強度を高めると共に、絞り成形時の不良発生を低減し、非水系電池の製造歩留まりを高めることが要望されていた。
前記コーティング層は、無彩色又は有彩色の着色剤により着色されていることが好ましい。
前記基材層と、前記SUS箔とは、ウレタン系接着剤からなる第1の接着剤層を介して接着されていることが好ましい。
一般に、SUS箔は、アルミニウム箔などの他の金属箔に比べて加工性に劣るため、深い絞り成形を行う場合の条件設定は難しく、また、隣接する層からの剥離も起こりやすい。
これに対し、本発明では、樹脂のコーティング層は基材層に強固に接合されるため、剥離を防ぐことができる。また、樹脂のコーティング層によって機械的強度および滑り性が高められるため、絞り成形によって凹部を形成する際に、電池外装用積層体の破損(破れ等)および変形を低減することができる。
よって、深い絞り成形を行う場合でも、電池外装用容器の成形不良による電池の生産効率の低下を防ぐことができる。また、電池外装用積層体の破損等が起こりにくいため、電解液の漏れや水分の浸入を原因とする電池性能の低下や発火を防ぐことができる。
本発明では、樹脂のコーティング層の形成により、外部からの力により電池外装用積層体の表面が傷つくのを防止できる。また、電池外装用積層体が電解液に触れた場合でも、外観の変化(変色等)を防止することができる。
コーティング層は塗布により形成されるため、接着剤を介して樹脂フィルムを積層する場合に比べ、電池外装用積層体を薄く形成することができる。よって、電池外装用容器の薄型化が可能であり、電池の容積効率の向上を図ることができる。
電池外装用容器20は、本発明の電池外装用積層体の第1実施形態である電池外装用積層体10からなる容器本体30と、電池外装用積層体10からなる蓋材33とを重ね、周縁部29をヒートシールすることにより形成されている。符号28は、リチウムイオン電池27の正極および負極に接続された電極リードである。
本明細書において、SUS箔とは、ステンレス鋼からなる金属箔をいう。
基材層11のSUS箔12側(図1の下面側)には、印刷層15(第2のコーティング層)が形成されている。
SUS箔12のシーラント層13側(図1の下面側)および基材層11側(図1の上面側)には、それぞれ表面被覆層17,18が形成されている。
なお、この電池外装用積層体10は印刷層15を有するが、印刷層15は、なくてもよい。
基材層11は、十分な機械的強度を有していれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂;ナイロン(Ny)等のポリアミド樹脂;延伸ポリプロピレン(OPP)等のポリオレフィン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等からなる合成樹脂フィルムが使用できる。
基材層11の厚さは、例えば、3〜25μmとすることができる。
このような耐熱性樹脂フィルムを使用することにより、電池外装用積層体10の耐熱性を高め、2次電池40の耐久性を向上させることができる。
SUS箔12は、アルミニウム箔などの他の金属箔に比べて引張強度などの機械的強度が高いため、絞り成形により凹部を形成する際にピンホールの発生を低減し、電池の液漏れを起こりにくくできる。また、SUS箔12は、他の金属箔に比べて耐腐食性に優れるため、腐食による劣化が起こりにくい。
SUS箔12の厚さを、5μm以上とすることによって、電池外装用積層体10に十分な強度(突き刺し強度など)を与え、2次電池40の耐久性を高めることができる。また、SUS箔12の厚さを、50μm以下とすることによって、電池外装用積層体10に十分な絞り加工性を与えることができる。
表面被覆層17,18の厚さは、1.0μm以下(好ましくは0.5μm以下)とされる。表面被覆層17,18の厚さを1.0μm以下とすることで、SUS箔12とシーラント層13との接着強度を高めるとともに、材料コストを抑制することができる。
表面被覆層17,18の厚さは、好ましくは0.2μmを越え、0.5μm以下の範囲とするのがよい。
ポリビニルアルコール系樹脂とは、ポリビニルアルコール樹脂、及び変性ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂のことである。
ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーの重合体又はその共重合体をケン化することで製造することができる。
ビニルエステル系モノマーの重合体又はその共重合体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルや、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等のビニルエステル系モノマーの単独重合体又は共重合体、及びこれと共重合可能な他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、アルキルビニルエーテル等のエーテル基含有モノマー、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセト酢酸アリル、アセト酢酸エステル等のカルボニル基(ケトン基)含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸類、塩化ビニルや塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、及び不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常90〜100モル%が好ましく、95モル%以上がより好ましい。
一般に入手可能な、ポリビニルアルコール系樹脂の市販品としては、例えば、日本酢ビ・ポパール(株)製のJ−ポバールDF−20(商品名)、日本カーバイド工業(株)製のクロスマーHシリーズ(商品名)などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、1種又は2種以上の混合物を用いてもよい。
これらのポリビニルエーテル系樹脂は、ビニルエーテルモノマーが樹脂の製造(重合)工程に利用可能であることから、ビニルエステル系ポリマーを経由して製造されるポリビニルアルコール系樹脂とは異なり、ケン化処理を経ることなく、製造可能である。また、ビニルエステル系モノマーとビニルエーテル系モノマーを含む共重合体、又はこれをケン化して得られる、ビニルアルコール−ビニルエーテル共重合体を用いることもできる。ポリビニルエーテル系樹脂以外のポリビニルアルコール系樹脂と、ポリビニルエーテル系樹脂の混合物を用いることもできる。
フッ化金属化合物の具体例としては、例えば、フッ化クロム、フッ化鉄、フッ化ジルコニウム、フッ化チタン、フッ化ハフニウム、チタンフッ化水素酸、およびそれらの塩、等が挙げられる。
フッ化金属化合物は、耐電解液性能を向上させる作用を有する。すなわち、SUS箔12の表面を不動態化し、電解液に対する耐腐食性を高めることができる。フッ化金属化合物には、前記水溶性樹脂を架橋させる作用もある。
有機キレート剤は、フッ化金属化合物に由来の金属化合物(酸化クロム等)と、前記水溶性樹脂とを結合させて、表面被覆層17,18の圧縮強度を高めるため、表面被覆層17,18の厚みが、例えば0.2μmを越え、1.0μm以下である場合でも、表面被覆層が脆化して割れや剥離が生じることはない。このため、SUS箔12とシーラント層13との間の接着強度、および、SUS箔12とその上層側の層との間の接着強度を高めることができる。
また、有機キレート剤は、水溶性樹脂またはフッ化金属化合物と化学反応することにより、水溶性樹脂を耐水化する作用を有する。
アミノカルボン酸系キレート剤としては、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、1,2−プロパンジアミン四酢酸(1、2−PDTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(1、3−PDTA)、1、4−ブタンジアミン四酢酸(1、4−BDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸(EDHPA)、SS−エチレンジアミンジコハク酸(SS−EDDS)、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、β−アラニン二酢酸(ADA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、L−グルタミン酸−N,N−二酢酸(GLDA)、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸(HBEDDA)が挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、例えば、N,N,N−トリメチレンホスホン酸(NTMP)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)が挙げられる。
オキシカルボン酸系キレート剤としては、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸などがある。
(ポリ)リン酸系キレート剤としては、メタリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸及びこれらの塩などがある。
一般に入手可能な有機キレート剤の市販品としては、例えば、キレスト(株)製のキレストPD−4H(商品名)(PDTA)、キレストPH−540(商品名)(EDTMP)などがある。
水溶性樹脂の添加量を0.1質量%以上とすることによって、SUS箔12とシーラント層13との接着強度を高めることができる。また、水溶性樹脂の添加量を1質量%以下とすることによって、SUS箔12とシーラント層13との接着強度を高めることができる。
フッ化金属化合物の添加量を0.1質量%以上とすることによって、電解液に対するSUS箔12の耐腐食性を高めることができる。また、フッ化金属化合物の添加量を2.5質量%以下とすることによって、水溶性塗料に沈殿が生じるのを回避し、塗膜のムラを抑えることができる。
フッ化金属化合物の添加量を0.1質量%以上とすることによって、表面被覆層17,18の圧縮強度を高め、表面被覆層17,18の割れや剥離を抑制することができる。また、有機キレート剤の添加量を1質量%以下とすることによって、表面被覆層17,18に十分な強度を与えることができる。
第1の接着剤層14は、例えばドライラミネートにより形成することができる。
第1の接着剤層14の厚さは、例えば、1〜10μmとすることができる。厚さをこの範囲とすることによって、基材層11とSUS箔12とを十分に高い接着力で接着させ、層間剥離を防ぐことができる。
コーティング層16には、前記樹脂群を構成する樹脂のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
コーティング層16は、耐熱性に優れた材料で構成されていることが好ましい。
コーティング層16の形成により、電池外装用積層体10の絶縁性を高めるとともに、電池外装用積層体10の表面の傷つきを防止できる。また、電池外装用積層体10が、電解液に触れた場合でも、外観の変化(変色等)を防止することができる。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、トリデカン、テトラデカンなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、DIBK(ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、DAA(ジアセトンアルコール)などのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのアルコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。有機溶剤は、これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤型塗料には、乾燥剤、安定剤等の添加剤を添加してもよい。
コーティング層16の色は、任意に選択できる。コーティング層16は、全領域(または一部領域)にわたって一様に着色されていてもよいし、複数領域がそれぞれ互いに異なる色(または互いに同じ色)に着色されていてもよい。
コーティング層16は、文字、図形、画像、模様などを表示するように着色することもできる。これら文字等は、例えば、商品名、製造元などを表すものであってよい。
コーティング層16を着色することによって、電池外装用積層体10の意匠性を高めることができる。
顔料としては、例えば、キナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、モノアゾ系、不溶性アゾ系、ナフトール系、フラバンスロン系、アンスラピリミジン系、キノフタロン系、ピランスロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、アンスアンスロン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、インダンスロン系等の有機顔料;ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体;酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物;硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩;カーボンブラック、アルミニウム、雲母等の無機顔料等が挙げられる。
染料としては、アゾ系、キノリン系、スチルベン系、チアゾール系、インジゴイド系、アントラキノン系、オキサジン系等が挙げられる。
コーティング層16は、インキを含む溶剤型塗料を使用することで着色してもよい。インキは、例えば、ウレタン系、アクリル系などのインキバインダー樹脂に前記着色剤を添加して調製されたものである。
コーティング層16の厚みを2μm以上とすることによって、絶縁性を高めるとともに、電池外装用積層体10の表面の傷つきを防止する効果を高めることができる。また、電池外装用積層体10が電解液に触れた場合でも、外観の変化(変色等)を確実に防止することができる。
コーティング層16の厚さは、例えば、20μm以下とすることができる。コーティング層16の厚みを2〜20μmの範囲とすることによって、電池外装用積層体10の全体厚みを抑制できる。
静摩擦係数をこの範囲にすることによって、絞り成形の際の電池外装用積層体10の破損および変形を低減し、絞り成形を容易にすることができる。
印刷層15は、コーティング層16に使用可能な材料として例示した材料(前記樹脂群より選択された少なくとも1種の樹脂)より形成されている。印刷層15の構成材料は、コーティング層16の構成材料と同じでもよいし、コーティング層16の構成材料と異なる材料であってもよい。
印刷層15及び第1の接着剤層14は、コーティング層16と同様に、前記樹脂を有機溶剤に溶解して調製された溶剤型塗料を塗布・乾燥させて形成された薄膜硬化層であることが好ましい。
印刷層15及び第1の接着剤層14は、コーティング層16と同様に、前記着色剤を前記溶剤型塗料に添加することで着色することができる。印刷層15の色は任意に選択できる。印刷層15及び第1の接着剤層14は、全領域(または一部領域)にわたって一様に着色されていてもよいし、複数領域がそれぞれ互いに異なる色(または互いに同じ色)に着色されていてもよい。
印刷層15及び第1の接着剤層14は、文字、図形、画像、模様などを表示するように着色することもできる。これら文字等は、例えば商品名、製造元などを表すものであってよい。
印刷層15及び第1の接着剤層14を着色することによって、電池外装用積層体10の意匠性を高めることができる。
印刷層15の好ましい厚さは、例えば0.1μm〜10μmである。
印刷層15は、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの公知の印刷方法にて形成される。
シーラント層13を最内側とするのは、ポリオレフィン系樹脂がリチウムイオン電池の電解液に対する耐性に優れ、かつヒートシール性が良好であるためである。ここで、ヒートシール性とは、高温におけるシールの安定性のことである。
シーラント層13を構成するポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂のいずれかを主として含むことが好ましい。
シーラント層13の、SUS箔12との界面側の面は、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(第1ポリオレフィン樹脂)、エポキシ基を有する樹脂とポリオレフィン樹脂とのアロイ材(第2ポリオレフィン樹脂)、及び、オキサゾリン基を有する樹脂とポリオレフィン樹脂とのアロイ材(第3ポリオレフィン樹脂)からなる樹脂群から選択された1種以上を含有する、熱接着性ポリオレフィン樹脂からなることが好ましい。
シーラント層13が単層である場合には、シーラント層13は、前記熱接着性ポリオレフィン樹脂からなることが好ましい。
シーラント層13が多層構造を有する場合には、シーラント層13は、SUS箔12との界面側に、前記熱接着性ポリオレフィン樹脂からなる層を有することが好ましい。
前述の第1〜第3ポリオレフィン樹脂は、表面被覆層17に含まれる水溶性樹脂に強固に結合するため、シーラント層13と表面被覆層17との接合強度を高めることができる。
前述の第1〜第3ポリオレフィン樹脂のうち2種以上を用いる場合には、更にこれらのポリオレフィン樹脂を混練し、アロイ化するのが好ましい。
一般に入手できる無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の市販品としては、三井化学(株)製の商品名アドマー(酸変性ポリエチレンとして、例えば、SF600、SF700、NE060、酸変性ポリプロピレンとして、例えば、QF551)、三菱化学(株)製の商品名モディック(酸変性ポリエチレンとして、例えば、M545,酸変性ポリプロピレンとして、例えば、P555)などが挙げられる。
本発明に使用できるエポキシ化合物として好適な市販品としては、例えば三菱化学製「エピコート1001」などがある。
また、エポキシ基を有する樹脂としては、日油製「モディパ−A4100」などがある。
本発明に使用できるオキサゾリン化合物としては、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなどがある。オキサゾリン化合物として好適な市販品としては、例えば日本触媒社製「エポクロスWS−500」などがある。
また、シーラント層13の厚さをこの範囲とすることで、電池外装用積層体10の全体厚さを抑制し、2次電池40の薄型化を図ることができる。
シーラント層13とSUS箔12との接着強度は、JIS C6471に規定された測定方法B(180度剥離)により測定し、5N/15mm以上であることが好ましい。
引張破断伸度がこの範囲であると、絞り成形により凹部を形成する際に、コーナー部が十分に引き伸ばされるため、破断することがない。
引張破断伸度は、JIS K7127に準拠し、引張速度50mm/分で測定した際に求められる。
まず、図3(a)に示すように、電池外装用積層体10を、凹部31を有するトレー状となるように、絞り成形などにより成形し、容器本体30を得る。凹部31の深さは、例えば、2mm以上とすることができる。
容器本体30の凹部31に、リチウムイオン電池(図2のリチウムイオン電池27)を収納する。
次いで、図3(b)に示すように、電池外装用積層体10からなる蓋材33を容器本体30の上に重ね、容器本体30のフランジ部32と蓋材33の周縁部34をヒートシールすることによって、図2に示す2次電池40を得る。
一般に、SUS箔は、アルミニウム箔などの他の金属箔に比べて絞り加工性に劣るため、深い絞り成形を行う場合の条件設定は難しい。また、隣接する層からの剥離も起こりやすい。
これに対し、本発明に係る電池外装用積層体10では、コーティング層16は基材層11に強固に接合されるため、剥離を防ぐことができる。また、コーティング層16によって機械的強度および滑り性が高められるため、絞り成形によって凹部を形成する際に、電池外装用積層体10の破損(破れ等)および変形を防止することができる。
よって、深い絞り成形を行う場合でも、電池外装用容器20の成形不良による2次電池40の生産効率の低下を防ぐことができる。また、電池外装用積層体10の破損等が起こりにくいため、電解液の漏れや水分の浸入を原因とする電池性能の低下や発火を防ぐことができる。
コーティング層16は塗布により形成されるため、接着剤を介して樹脂フィルムを積層する場合に比べ、電池外装用積層体10を薄く形成することができる。よって、電池外装用容器20の薄型化が可能である。
また、機械的強度が高いSUS箔12を用いるため、2次電池40の輸送や実装の際に、2次電池40を保護するための構造(カバーケースなど)が、不要となり、または簡略化できる。そのため、梱包コストの削減および梱包装置の小型化を図ることができる。また、機械的強度が高いSUS箔を用いるため、電池外装用積層体の厚みを薄くして内容積を増加でき、電池の容積効率の向上を図ることができる。
さらに、表面被覆層17が形成されたSUS箔12を用いるため、電池外装用容器20内部に浸入した水分により電解液が分解して酸が発生した場合でも腐食による劣化が起こりにくい。よって、金属箔の腐食を原因とする電解液の漏洩が防止され、電池性能の低下や発火を防ぐことができる。
このため、絞り成形により凹部を形成する際に、電池外装用積層体10の破れを防ぐと共に、シーラント層13とSUS箔12との剥離を回避できる。そのため、電池外装用容器20の成形の際の不良発生を減少させ、2次電池40の製造歩留まりを改善し、生産効率を向上させることができる。
また、電池外装用積層体10では、シーラント層13とSUS箔12との接着強度を高めることによって、外部から電池外装用容器20の内部への水分の浸入を防ぐことができる。よって、電解液の経時劣化を抑制し、2次電池40の製品寿命を長くすることができる。
電池外装用積層体50は、SUS箔12とシーラント層13との間に、エポキシ基又はオキサゾリン基を有する樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂からなる第2の接着剤層19が設けられている。電池外装用積層体50は、この第2の接着剤層19によってSUS箔12とシーラント層13とが接着されている点で、図1に示す電池外装用積層体10と異なる。
電池外装用積層体50では、第2の接着剤層19によって、SUS箔12とシーラント層13との接着強度を高めることができる。
Claims (2)
- 基材層と、SUS箔と、表面被覆層と、シーラント層とが順に積層され、
前記基材層は、融点が200℃以上の耐熱性樹脂フィルムからなり、
前記基材層の、少なくとも前記SUS箔側とは反対の面側に、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアリールエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる樹脂群より選択された少なくとも1種の樹脂より形成されたコーティング層を有してなり、
前記コーティング層が、有機溶剤に前記樹脂を溶解して調製された溶剤型塗料を塗布・乾燥させて形成された薄膜硬化層であり、
前記SUS箔と前記シーラント層との接着強度を高めるための前記表面被覆層が、水溶性樹脂と、フッ化金属化合物と、有機キレート剤または(ポリ)リン酸系キレート剤とを含有する水溶性塗料を乾燥・硬化させた、厚みが0.05μm〜1.0μmの層であり、
前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂とポリビニルエーテル系樹脂とからなる群から選択した少なくとも1種であり、
前記フッ化金属化合物が、前記水溶性樹脂を架橋させる作用を有してなり、
前記有機キレート剤または(ポリ)リン酸系キレート剤が、前記水溶性樹脂または前記フッ化金属化合物と化学反応することにより、前記水溶性樹脂を耐水化する作用を有してなることを特徴とする非水系電池外装用積層体。 - 前記基材層と、前記SUS箔とは、ウレタン系接着剤からなる第1の接着剤層を介して接着されていることを特徴とする請求項1に記載の非水系電池外装用積層体。
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