本発明は、作成が容易であり、かつ、包括的であるマイクロ流体装置を提供することを目的とする。
基本的なマイクロ流体装置
本発明によれば、マイクロ流体装置が提供され、当該マイクロ流体装置は:基板と;第1の流体と;第1の流体と不混和性である第2の流体とを有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって覆われるように配置されており;かつ、ここで、第1の流体は、基板の表面上に所定の形状で配置されており、かかる形状は、第1の流体と第2の流体との間の界面張力によって少なくとも部分的に規定されている。
第1の流体と第2の流体との間の界面張力を利用して基板の表面上に(第1の流体の)所定の形状を規定することによって、非常に簡素であり、素早く作成でき、かつ安価なマイクロ流体装置が、構造壁または追加の表面パターンの使用に頼ることなく提供され得る。さらに、非混和性の第2の流体は、例えば、蒸発からマイクロ流体装置を保護するために作用し得る。
従前、エッチングされたマイクロ流体チップは、流体相互作用を「ハードウェアにより実現していた(hardwired;物理的に組み込んでいた)」が、本発明は、マイクロ流体装置が、必要に応じて/必要な時に、かつ実験中でさえも、エンドユーザーによって設計され、作られ、かつ再配置されることを有効に許容する。さらに、マイクロ流体装置への修正は簡素化され得、そのことによって、成長/発見過程を加速させる。
マイクロ流体装置は、流体を操作するためのもの、例えば、流体の流れを引き起こす、流体を所望の条件(物理的および/もしくは化学的)に曝露する、流体を観察する、流体を分離する、流体を混合する、ならびに/または、流体を貯蔵するためのものであってもよい。流体の例は、液体、ガスおよびそれらの組み合わせ;液体またはガスを含む固体;ならびに粉体のような流動性の固体を含む。
基板の表面は、(第1の流体および第2の流体の配置によること以外は)非パターン化され(unpatterned)ていてもよい。基板の表面は、化学的表面パターニング、物理的機能付与(例えば、埋め込まれた磁石もしくは電界発生装置を用いる)および/または表面トポグラフィーによって、非パターン化されていてもよい。第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって、所定の形状に制限されていてもよい。基板の表面は、均一であってもよい。基板の表面は、均一な表面化学、均一な物理的特性および/または均一な表面トポグラフィーを有していてもよい。均一な表面トポグラフィーは、平坦であってもよく、および/または、表面に規定された隆起部、台、低地、くぼみもしくはチャネルを有していなくてもよい。
第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって所定の形状に保持されていてもよい。第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって所定の形状に制限されていてもよい。制限/保持は、少なくとも部分的であってもよい。界面張力が、第1の流体を所定の形状に制限してもよい。
界面の流動性を理由に、流体容量の変化は、基板と流体との間の接触角を変更することによって、基板上の第1の流体の足跡(footprint;フットプリント・占める面積)を変更することなく、対応され得る。界面の流動性を理由に、界面は形状を変え得る。形状の変化は、条件の変化、例えば、流体の追加もしくは除去または流体の流れの変化または流体の異なる部分の間の圧力差に依存して発生し得る。界面が流動性であるので、第1の流体と第2の流体との間の界面の面積は、変化し得る。流体界面が変化するので、基板上の第1の流体の足跡の面積は、増大してもよく、または減少してもよく、または不変のままであってもよい。
第1の流体は、表面上に流体滴として配置されていてもよく、そのことによって流体チャンバーを提供する。流体滴は、頭の切られた球形(truncated sphere)または平坦な頭の切られた球形として成形されてもよい。
マイクロ流体装置は、滴のアレイであってもよい。マイクロ流体装置は、マイクロ流体回路であってもよい。マイクロ流体回路は、少なくとも1つの滴および/または少なくとも1つの導管を有していてもよい。
少なくとも2つの流体滴が、表面上に、好ましくは間隔を置いた配置で提供されていてもよい。好ましくは、各流体滴は、1ミリリットルより少ない容量を有し;より好ましくは、各流体滴は、少なくとも最初は、10マイクロリットルと10ナノリットルとの間の容量を有する。少なくとも2つの流体滴は、異なる容量を有していてもよい。
第1の流体は、(少なくとも1つの流体滴と流体連通している)少なくとも1つの流体導管を提供するために、表面上に(さらに)配置されていてもよい。第1の流体は、一直線に表面上に配置されていてもよい。
好ましくは、少なくとも1つの流体導管は、5cmより狭く、好ましくは10mmより狭く、好ましくは1mmより狭く、かつ、好ましくは約10と700または500μmとの間の幅を有する。好ましくは、少なくとも1つの流体導管は、1mmより低く、かつ、好ましくは約10と100μmとの間である高さを有する。少なくとも1つの流体導管は、実質的に直線状であってもよい。例えば、実質的に円形(もしくは「輪状」)のチャネル、円弧状のチャネルまたは「急角度で曲がった(dog−leg)」形状のチャネルのような、多くの他の構成がもちろん可能である。
少なくとも2つの流体導管が表面上に提供されていてもよく、好ましくはここで、少なくとも2つの流体導管は、少なくとも2つの流体滴を流体的に接続する。少なくとも2つの流体導管は、少なくとも部分的に、実質的に平行であってもよい。
第1の流体は、表面上に少なくとも3つの流体滴として配置されていてもよく、ここで、少なくとも2つの流体導管は、少なくとも3つの流体滴を直列に相互接続する。
第1の流体は、表面上に少なくとも3つの流体滴として配置されていてもよく、ここで、少なくとも2つの流体導管は、第1および第2の流体滴を第3の流体滴と流体的に接続させるように配置されている。代替的には、少なくとも2つの流体導管は、少なくとも1つの他の流体滴を介して、第1および第2の流体滴を第3の流体滴と流体的に接続させるように配置されていてもよい。少なくとも2つの流体導管は、異なる長さを有していてもよい。少なくとも2つの流体導管は、異なる幅を有していてもよい。
好ましくは、表面は、表面と第1の流体との間の界面張力が、表面上の第1の流体の配置を実質的に維持するように配置されている。表面は親水性であってもよく、また、それは疎水性であってもよい。基板、第1の流体および第2の流体は、第1の流体と基板との間の大きい前進接触角(advancing contact angle)のために選択されていてもよい。このことは、基板上の第1の流体の足跡を変更することなく、所定の形状の範囲内で第1の流体の容量を増大させる良好な能力を提供し得る。基板は親水性であってもよく、第1の流体は極性(親水性)の流体であってもよく、かつ、第2の流体は非極性(疎水性)の流体であってもよい。第1の流体は水性の流体であってもよく、かつ、第2の流体は、ガス;油;およびフッ化炭素のうちの1つであってもよい。フッ化炭素は、パーフルオロトリ−n−ブチルアミンおよび/またはパーフルオロ−n−ジブチルメチルアミンを含んでいてもよい。フッ化炭素は、3M Fluorinert商標 FC−40のようなパーフルオロ−n−ジブチルメチルアミンおよび/または3M Fluorinert商標 FC−40とも呼ばれるようなパーフルオロ化合物C5−18との、(1:1)パーフルオロトリ−n−ブチルアミン混合物であってもよい。
第1の流体は、所定の形状で配置されてもよく、特徴の断面積が(1:1)またはこれより小さい(高さ:幅)アスペクト比を有するようになっている。アスペクト比は、(1:2)もしくはこれより小さくてもよく、(1:4)もしくはこれより小さくてもよく、(1:20)もしくはこれより小さくてもよく、(1:50)もしくはこれより小さくてもよく、(1:100)もしくはこれより小さくてもよく、または(1:50)と(1:500)との間であってもよい。相対的に平坦な特徴を提供することによって、基板上の第1の流体の足跡を変更することなく、所定の形状の範囲内で第1の流体の容量を増大させる良好な能力が、可能となり得る。特徴は滴であってもよい。特徴はリザーバーであってもよい。
第1の流体は、所定の形状に配置されていてもよく、接触角が、基板上にあり、かつ、第2の流体で覆われた第1の流体についての前進接触角より小さくなるようになっている。相対的に平坦な特徴を提供することによって、基板上の第1の流体の足跡を変更することなく、所定の形状の範囲内で第1の流体の容量を増大させる良好な能力が、可能となり得る。接触角は、前進接触角の50%より小さくてもよく、かつ、前進接触角の25%より小さくてもよいか、または、前進接触角の10%より小さくてもよい。接触角は、前進接触角の1%と100%との間であってもよく、または、前進接触角の5%と50%との間であってもよい。
好ましくは、表面の少なくとも一領域は、実質的に平坦であり、ここで、第1の流体は、前記領域に配置されている。表面は、周状に包囲されていてもよい。
第1の流体は、第2の流体によって覆われるように配置されていてもよく、第2の流体と接触する第1の流体の表面積が、表面と接触する第1の流体の表面積より大きくなるようになっている。
マイクロ流体装置は、所定の形状にある第1の流体の任意の部分への、第1の流体と混和性であるさらなる流体の追加に適してしてもよい。追加は、分注ティップ(tip;先端部)によって直接的であってもよく、または、流体的に接続している回路におけるその他の場所にある他のリザーバーもしくは分注ティップのいずれかから導管を通して間接的であってもよい。マイクロ流体装置は、所定の形状にある第1の流体の任意の部分からの流体の除去に適していてもよい。所定の形状の足跡は、所定の形状にある第1の流体への流体の追加または所定の形状にある第1の流体からの流体の除去の際、不変のままであってもよい。第1の流体と第2の流体との間の界面の流動性を理由に、第1の流体の容量の変化は、基板上の第1の流体の足跡を変更することなく、対応され得る。
滴の容量は、特徴の足跡を変更することなく、100倍またはそれより少なく、かつ任意には1000倍またはそれより少なく増大してもよい。滴の容量は、10から50倍または1から50倍または0.01から100倍または2から100倍または2から50倍または5から100倍増大してもよい。滴の容量は、特徴の足跡を変更することなく、100倍またはそれより少なく、かつ任意には1000倍またはそれより少なく減少してもよい。滴の容量は、特徴の足跡を変更することなく、増加または減少してもよい。マイクロ流体装置の特徴の容量は、特徴の足跡を変更することなく、1から50倍増大してもよい。容量が足跡を変更することなく増加し得るので、特徴は、例えば、リザーバー/チャンバー/ウェルの間の固体壁なしの疑似「流体」ウェルプレートを作成するために用いられ得る。
好ましくは、第1および第2の流体は、異なる密度を有する。例えば、第1の流体は水溶液であってもよく、かつ、第2の流体はフッ化炭素であってもよく、第2の流体が第1の流体よりも高密度であるようになっている。代替的には、第1の流体は水溶液であってもよく、かつ、第2の流体は例えばガスであってもよく、第1の流体が第2の流体よりも高密度であるようになっている。第2の流体は、第1の流体よりも高密度であってもよい。
非混和性の第2の流体が表面上に提供される第1の流体よりも高密度であれば、表面と第1の流体とは、表面と第1の流体との間の界面張力が、十分に強い吸引性の結合を提供し、より高密度な第2の流体内のより軽い第1の流体の浮力効果に抵抗するように配置されるべきである。
第1の流体は、試薬を含んでいてもよく、好ましくはここで、試薬は、少なくとも1つの流体滴内に(少なくとも最初は)含まれる。第1の流体に含まれる試薬の容量は、流体滴のサイズと必要とされる相互作用に基づいて、他の量の試薬ももちろん可能であるが、好ましくは100ナノリットルと100マイクロリットルとの間である。
複数の流体滴は、表面上のアレイに配置されていてもよい。複数の流体滴は、異なる濃度の試薬を含んでいてもよい。試薬は、少なくとも1つの流体導管を介して少なくとも2つの流体滴の間を輸送されてもよい。
流体滴および/または特徴は、円形の足跡、正方形の足跡、六角形の足跡または任意の規則的もしくは不規則な形状の足跡を有していてもよい。特定の足跡の形状の選択は、滴の容量を増大させる能力のために、滴の密詰め(dense packing)、滴の大きい表面積のカバーおよび有利なピン止め(pinning)の動作を可能にし得る。
マイクロ流体装置は、導管を有していてもよく、該導管は、導管の長さに沿って1−500%の高度変動を有する。マイクロ流体装置は、導管を有していてもよく、該導管は、導管の長さに沿って10−20%もしくはこれより大きく、かつ/または10μmまたはこれより大きい高度変動を有する。第1の流体と第2の流体との間の界面の流動性を理由に、導管の長さに沿う圧力の差は、導管の長さに沿う導管の高さに影響を与え得る。このことは、導管のより高い部分における流速と比べて、導管の相対的に低い部分において、より速い流体の流速を可能にし得る。マイクロ流体装置は、導管を有していてもよく、該導管は、導管の幅の1%と50%との間である導管の長さに沿った高度変動を有する。マイクロ流体装置は、導管を有していてもよく、該導管は、10−20%もしくはこれより大きく;および/または1μmまたはこれより大きい(かつ、好ましくは10μmまたはこれより大きい)、異なる時間における高度変動を有する。
第2の流体は、第2の流体と不混和性である第3の流体によって覆われていてもよい。
流体滴が、最初、実質的に同一の容量および/または圧力を有していれば、表面が実質的に水平な配向に維持される時、少なくとも1つの相互接続流体導管を介して、少なくとも2つの流体滴の間に拡散が起きるかも知れない。この装置では、導管は均一の高さを有していてもよい。
表面が水平に対して傾いていれば、流体は、流体に作用する重力を利用して、少なくとも1つの流体導管を介して、上げられた流体滴からより低い流体滴へと輸送されてもよい。表面が水平に対して傾いていれば、流体は、流体に作用する重力を利用して、少なくとも1つの流体導管を介して、より低い流体滴から上げられた流体滴へと輸送されてもよい。輸送の方向は、第1の流体の密度に対する第2の流体の密度を選択することによって選択されてもよい。第2の流体は、上げられた滴に向かう輸送のために、第1の流体よりも高密度であってもよい。第1の流体は、より低い滴に向かう輸送のために、第2の流体よりも高密度であってもよい。
流体滴が、最初、実質的に異なる容量を有していれば、流体滴の間のラプラス圧力の差は、流体が、少なくとも1つの相互接続流体導管を介して流体滴の間を輸送されることを引き起こすかも知れない。流体滴が、最初、実質的に異なる界面張力を有していれば、流体滴の間のラプラス圧力の差は、流体が、少なくとも1つの相互接続流体導管を介して流体滴の間を輸送されることを引き起こすかも知れない。流体滴が、最初、実質的に異なる曲率半径を有していれば、流体滴の間のラプラス圧力の差は、流体が、少なくとも1つの相互接続流体導管を介して流体滴の間を輸送されることを引き起こすかも知れない。ラプラス圧力の差は、曲率半径で割った界面張力に比例し、したがって、例えば同一の容量の異なる形状の滴の間または同一の形状を有する異なる流体滴の間に生じ得る。
流体滴が、最初、実質的に同一の容量を有すが異なる足跡を有していれば、流体滴の間のラプラス圧力の差は、流体が、少なくとも1つの相互接続流体導管を介して流体滴の間を輸送されることを引き起こすかも知れない。異なる滴は、異なる足跡の形状および/または足跡の面積を有していてもよい。
第1の流体滴は流体の第1の容量を有していてもよく、かつ、第2の流体滴は流体の第2の容量を有していてもよく、ここで、第1の流体滴と第2の流体滴とは同一の足跡を有する。異なる容量の流体は、第1および第2の滴の異なる曲率半径を引き起こし、結果的に2つの滴の間にラプラス圧力の差が生じ、かつ、一方の滴から他方への流体の流れが発生し得る。
第1の流体滴と第2の流体滴とは、異なる足跡を有していてもよい。第1の滴と第2の滴とは、同一の容量を有していてもよい。例えば、足跡は、異なる面積および/または異なる形状を有していてもよい。異なる足跡(しかし任意には同一の容量)を有する滴は、異なる曲率半径を有する滴を形成し得る。このことは、二つの滴の間にラプラス圧力の差を引き起こし、結果的に、一方の滴から他方への流体の流れを引き起こす。
流体滴が、最初、実質的に異なる容量を有していれば、2つの滴の間のラプラス圧力および/または静液圧(hydrostatic pressure)の差(例えば、滴の上面を越える第2の流体の高度レベルの差によって引き起こされる)は、表面が水平から傾いている時、流体が重力の方向に反して少なくとも1つの相互接続流体導管を介して流体滴の間を流れることを引き起こすかも知れない。
第1の流体のさらなる部分が、基板の表面から独立して立つ(freestanding)(すなわち、支持体の表面によって直接支持されていない)、さらなる所定の形状に配置されていてもよい。さらなる部分は、さらなる基板の表面上に所定の形状で配置されていてもよい。さらなる基板は、前記基板に近接して配置されていてもよい。第2の流体は、基板とさらなる基板との間に配置されていてもよい。同様に、流体は、平らな基板の両側に配置され得、前記基板内に貫通孔を有する重複(over−lapping)導管を作成し、基板の両側にある回路間の交換を許容する。また、基板の片側にある滴を反対にすることは、第2の流体によって引き起こされる静液圧に起因して、曲率が大きい滴(第2の流体におけるより低い表面上にある)から曲率がより小さい滴へのポンピングを可能にし得る。
マイクロ流体装置はさらに、固体構造体を有していてもよく、該固体構造体は、流体の一部を保持し、かつ、構造体内の流体が第1の流体と接続することを可能にするためのアパーチャ(aperture;開口)を有するためのものである。基板は、第1の流体が、基板を通して例えば基板の別の表面上の流体のさらなる部分に接続することを可能にするためのアパーチャを有していてもよい。
第1の流体の部分は、化学的に独立していてもよく、かつ、互いに混和していてもよい。例では、1つの滴は水性食塩水を含み、第2の滴はエタノールのような溶剤を含み、かつ、第3の滴はアセトンのようなさらなる溶剤を含み、かつ、第4の滴は生体サンプルを含む水溶液を含む。
第1の流体は、液体の蒸発後に表面上にある残留物または堆積物の形成に適していてもよい。第1の流体は、表面の化学変成に適していてもよい。第1の流体は剪断減粘流体(shear thinning fluid)であってもよく、または、それは剪断増粘流体(shear thickening fluid)であってもよい。第1の流体は、ゲル前駆体であってもよい。第1の流体は、ゲルであってもよい。第2の流体は、水溶液であってもよい。第1の流体は、水溶液であってもよい。第2の流体は、ゲル前駆体またはゲルであってもよい。第1の流体は、トレハロース;細胞培養培地;血清;リン酸緩衝食塩水;および糖のうちの1つ以上を含む溶液(水性、またはそうではない)であってもよい。溶液は、5重量%またはこれより低く、好ましくは1重量%またはこれより低く、かつ、さらに好ましくは0.5重量%またはこれより低い溶質の低濃度溶液であってもよい。
第1の流体は、基板上に前記の形状の固体を形成するために、凍結されていてもよい。
表面は、例えばガラスの表面またはポリスチレンの表面であってもよい。基板は、例えばガラスのスライドまたはポリスチレンのペトリ皿であってもよい。
本発明の別の態様によれば、流体を操作するためのマイクロ流体装置が提供され、当該マイクロ流体装置は:基板と;第1の流体と;第1の流体と不混和性である第2の流体とを有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって少なくとも部分的に覆われるように配置されており;かつ、ここで、第1の流体は、基板の非パターン化された表面上に所望の形状で配置されており、第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって前記の形状に保持されている。マイクロ流体装置は、上述の、および/または、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。
アレイ
本発明の別の態様によれば、滴のアレイを有するマイクロ流体装置が提供され、当該マイクロ流体装置は:基板と;第1の流体と;第1の流体と不混和性である第2の流体とを有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって覆われるように配置されており;かつ、ここで、第1の流体は、基板の表面上の滴の所定のアレイに配置されており、かかる滴(の形状)は、第1の流体と第2の流体との間の界面張力によって少なくとも部分的に規定されており、任意には、ここで、滴の容量は、滴の足跡を変更することなく、100倍まで増大可能であるか、または、100分の1まで減少可能である。
基板の表面は、非パターン化されていてもよい(明らかに、第1の流体および第2の流体の配置以外)。基板の表面は、化学的表面パターニング、物理的機能付与および/または表面トポグラフィーによって、非パターン化されていてもよい。第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって、滴内に制限されていてもよい。基板の表面は、均一であってもよい。基板の表面は、均一な表面化学、均一な物理的特性および/または均一な表面トポグラフィーを有していてもよい。表面の少なくとも一領域は、実質的に平坦であってもよく、ここで、第1の流体は、前記領域に配置されている。表面は、周状に包囲されていてもよい。
第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって滴内に保持されていてもよい。界面の流動性を理由に、流体容量の変化は、基板上の第1の流体の足跡を変更することなく、対応され得る。
表面は、表面と第1の流体との間の界面張力が、表面上の第1の流体の配置を実質的に維持するように配置されていてもよい。表面は親水性であってもよく、また、それは疎水性であってもよい。基板、第1の流体および第2の流体は、第1の流体と基板との間の大きい接触角(好ましくは前進接触角)のために選択されていてもよい。基板は親水性であってもよく、第1の流体は極性(親水性)の流体であってもよく、かつ、第2の流体は非極性(疎水性)の流体であってもよい。第1の流体は水性の流体であってもよく、かつ、第2の流体は、ガス;油;およびフッ化炭素のうちの1つであってもよい。フッ化炭素は、パーフルオロトリ−n−ブチルアミンおよび/またはパーフルオロ−n−ジブチルメチルアミンを含んでいてもよい。フッ化炭素は、3M Fluorinert商標 FC−40のようなパーフルオロ−n−ジブチルメチルアミンおよび/または3M Fluorinert商標 FC−40とも呼ばれるようなパーフルオロ化合物C5−18との、(1:1)パーフルオロトリ−n−ブチルアミン混合物であってもよい。このことは、特に高い生物的適合性を可能にし得る。
第1の流体は、滴内に配置されていてもよく、滴の断面積が(1:1)またはこれより小さい(高さ:幅)アスペクト比を有するようになっている。アスペクト比は、(1:2)もしくはこれより小さくてもよく、(1:4)もしくはこれより小さくてもよく、(1:20)もしくはこれより小さくてもよく、(1:50)もしくはこれより小さくてもよく、(1:100)もしくはこれより小さくてもよく、または(1:50)と(1:500)との間であってもよい。相対的に平坦な滴を提供することによって、滴の足跡を変更することなく、滴内の第1の流体の容量を増大させる良好な能力が、可能となり得る。
第1の流体は、滴内に配置されていてもよく、滴の接触角が、基板上にあり、かつ、第2の流体で覆われた第1の流体についての前進接触角より小さくなるようになっている。相対的に平坦な滴を提供することによって、基板上の第1の流体の足跡を変更することなく、滴内の第1の流体の容量を増大させる良好な能力が、可能となり得る。接触角は、前進接触角の1%と100%との間であってもよく、または、前進接触角の5%と50%との間であってもよい。
滴は、滴の足跡を変更することのない、第1の流体と混和性であるさらなる流体の追加に適していてもよい。滴は、滴の足跡を変更することのない、滴からの流体の除去に適していてもよい。第1の流体と第2の流体との間の界面の流動性を理由に、第1の流体の容量の変化は、基板上の第1の流体の足跡を変更することなく対応され得る。ピン止めは、滴の足跡を変更することのない、滴の容量の変化を容認する。
第2の流体は、第1の流体よりも高密度であってもよい。例えば、第1の流体は、水溶液であり、かつ、第2の流体は、より高密度のフッ化炭素である。より高密度の第2の流体の使用は、ピン止めの動作を促進し得、滴の容量の変化が、滴の足跡を変更することなく対応され得るようになっている。代替的には、第2の流体は、第1の流体よりも低密度であってもよい。
滴は、間隔を置いた配置で表面上に配置されていてもよい。アレイ中に96、384、1536、3456または9600の滴があってもよい。従来のマイクロイウェル搬送ロボットとの統合のために、滴は、好ましくは、標準的なウェルプレートによる間隔を有して配置される。滴は、複数の列で表面上に配置されていてもよい。列は、互いにオフセットされていてもよい。
角流体滴は、1ミリリットルより少ない容量を有していてもよい;各流体滴は、少なくとも最初は、10マイクロリットルと10ナノリットルとの間の容量を有していてもよい。異なる滴は、異なる容量を有していてもよい。滴の容量は、10ナノリットルと100マイクロリットルとの間であってもよい。滴の容量は、10から50倍または1から50倍または0.01から100倍増大してもよい。滴の容量は、100倍またはこれより少なく、かつ任意には1000倍またはこれより少なく減少してもよい。他の滴の容量と容量の増加とが、滴のサイズを含む要素に基づいて可能である。
滴は、頭の切られた球形として、または、平坦な頭の切られた球形として成形されてもよい。流体滴は、円形の足跡、正方形の足跡、六角形の足跡または任意の規則的もしくは不規則な形状の足跡を有していてもよい。特定の足跡の形状の選択は、滴の足跡の面積を変更することなく、滴の容量を増大させる能力のために、滴の密詰め、滴の大きい表面積のカバーおよび有利なピン止めの動作を可能にし得る。
アレイ中の異なる滴は、異なる足跡の面積および/または異なる足跡の形状を有していてもよい。
アレイ中の各滴は、異なる化学的組成を含んでいてもよい。アレイ中の各滴は、同一の化学的組成を含んでいてもよい。アレイ中のいくつかの滴は、同一の化学的組成を含んでいてもよく、かつ、その他は異なる化学的組成を含んでいてもよい。アレイ中の滴のいくつかは、アレイ中の他の滴と不混和性であってもよい。
第2の流体は、滴を部分的にのみ覆っていてもよい。例えば、第2の流体は、1mmの高さの第1の流体滴の周りで0.5mmの深さであってもよく、第1の流体は部分的に曝露されている。別の例では、第2の流体は、第1の流体滴より深くないが、第2の流体の一部が滴の上に薄いフィルムを形成し、第2の流体が滴を覆うようになっている。かかる第2の流体の薄いフィルムは、第1の流体の蒸発を防止するのに適しているかも知れない。流体の界面張力は、第1の流体の上の第2の流体の薄いフィルムの形成を促すか、または止めさせるために選択されてもよい。第3の流体は、滴を部分的に覆っていてもよい。第3の流体は、第2の流体を覆っていてもよい。
第1の流体の部分は、化学的に独立していてもよい。例では、1つの滴は水性食塩水を含み、第2の滴はエタノールのような溶剤を含み、かつ、第3の滴はアセトンのようなさらなる溶剤を含み、かつ、第4の滴は生体サンプルを含む水溶液を含む。
本発明の別の態様によれば、滴のアレイを有するマイクロ流体装置が提供され、当該マイクロ流体装置は:基板と;第1の流体と;第1の流体と不混和性である第2の流体とを有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって少なくとも部分的に覆われるように配置されており;かつ、ここで、第1の流体は、基板の非パターン化された表面上の滴の所定のアレイに配置されており、各滴の断面積は、(1:2)またはこれより小さい(高さ:幅)アスペクト比を有する。マイクロ流体装置は、上述の、および/または、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。
乾燥パターン
本発明の別の態様によれば、前記のようなマイクロ流体装置用の基板が提供され、当該基板は、表面を有し、該表面上にマイクロ流体装置の乾燥したパターンが配置され、そのことによって、マイクロ流体装置は、表面上のパターンへの第1の流体の導入によって再水和されてもよい。基板は、好ましくはペトリ皿である。再水和は、脱水前の元々のマイクロ流体装置と同一の足跡を表面上に有する新たなマイクロ流体装置を製造してもよい。
乾燥したパターンは、蒸発した(乾燥した)溶液の残留物を有していてもよい。乾燥したパターンは、基板上に手触りの粗い(textured)表面または残留物または堆積物を形成してもよい。残留物または乾燥したパターンを形成し得る溶液の例は、トレハロース;細胞培養培地;血清;リン酸緩衝食塩水;および糖のうちの1つ以上を含む溶液(水性、またはそうではない)を含む。溶液は、5重量%またはこれより低く、好ましくは1重量%またはこれより低く、かつ、さらに好ましくは0.5重量%またはこれより低い溶質の低濃度溶液であってもよい。溶液は、アセトンまたはエタノールのような水以外の溶剤を(水に代えて、または水に加えて)有していてもよい。
乾燥したパターンは、表面上への(溶剤の不存在化での)固体の堆積によって、または、溶液の堆積およびそれに続く溶剤の除去(例えば乾燥による)によって、形成されてもよい。物体(固体であれ液体であれ)が、表面上に堆積し、例えば、出口からの流れ、表面上での再配置、インクジェットプリンティング、ピエゾ電気性の滴の分注、ノズルからの射出、スタンピング、スクリーンプリンティング、レーザープリンティング、静電プリンティングまたはゼログラフィープリンティングを含む種々の手段によって、パターンを形成してもよい。固体は任意のパターンで堆積してもよく、その後、固体を所望の形状に再配置することによって所望のパターンが形成されてもよい。
上記のような第2の流体は、乾燥したパターンを覆うように配置されていてもよい。第2の流体は、好ましくは、乾燥したパターンについての溶剤ではない。
本発明の別の態様によれば、上記のマイクロ流体装置の乾燥したパターンを再水和する方法が提供される。
再水和することは、乾燥したパターンの一領域に第1の流体の一部を堆積させるステップを含んでいてもよく、第1の流体は、乾燥したパターンの他の領域に自発的に流れ込む。自発的な流れは、ウィッキング(wicking;毛管作用で運ぶこと)によるものであってもよい。再水和することは、ウィッキングを開始する、蒸発した(乾燥した)溶液の残留物を含んでいてもよい。
再水和することは、第1の流体(好ましくは、ガスの形態および/または分散した液体の小滴の形態である)を有するガスに乾燥したパターンを曝露するステップを含んでいてもよく、第1の流体は、乾燥したパターン上に自発的に凝縮する。ガスは、50−95%飽和においてガス形態にある第1の流体を有していてもよい。ガスは、ほぼ飽和(例えば90−95%飽和)においてガス形態にある第1の流体を有していてもよい。自発的な凝縮は、第2の流体に溶解する第1の流体を利用して発生してもよい。乾燥した表面の残留物は、第2の流体に溶解した第1の流体についての浸透吸着を作成してもよい。
本発明の別の態様によれば、流体を操作するためのマイクロ流体装置が提供され、当該マイクロ流体装置は、表面を有する基板と、表面上にある残留物とを有し、ここで、残留物は、所望の形状に配置された乾燥した流体に由来する。マイクロ流体装置は、上述の、および/または、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。
本発明の別の態様によれば、流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法が提供され、当該方法は:所望の形状で、基板の非パターン化された表面上に第1の流体を配置することを有し;少なくとも部分的に第1の流体を覆うように、第1の流体と不混和性である第2の流体を配置することを有し、ここで、第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって前記形状に保持され;かつ、基板上に前記形状にある残留物を形成するために第1の流体を乾燥させることを有する。マイクロ流体装置は、上述の、および/または、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。方法は、上述の、および/または、以下のステップの1つ以上を有していてもよい。
本発明の別の態様によれば、上記のマイクロ流体装置を再水和する方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、上記のマイクロ流体装置用の基板が提供され、当該基板は表面を有し、該表面上にはマイクロ流体装置の凍結したパターンが配置され、そのことによって、マイクロ流体装置は、解凍によって再形成されてもよい。凍結したパターンは取扱いおよび輸送に適しているが、一旦解凍されると、マイクロ流体装置は再び機能的となり、かつ、その意図された使用の準備ができる。
本発明の別の態様によれば、流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法が提供され、当該方法は:所望の形状で、基板の非パターン化された表面上に第1の流体を配置し、基板上に前記形状にある残留物を形成することを有する。
パターニングの方法
本発明の別の態様によれば、マイクロ流体装置を作成する方法が提供され、当該方法は、基板を提供することを有し;第1の流体を提供することを有し;第1の流体と不混和性である第2の流体を提供することを有し;第1の流体を、それが第2の流体によって覆われるように配置することを有し;かつ、基板の表面上に所定の形状で第1の流体を配置することを有し、かかる形状は、第1の流体と第2の流体との間の界面張力によって少なくとも部分的に規定されている。第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって所定の形状に制限されていてもよい。
基板の表面は、(第1の流体および第2の流体の配置によること以外は)非パターン化されていてもよい。基板の表面は、そうでなければ、化学的表面パターニング、物理的機能付与(例えば、埋め込まれた磁石もしくは電界発生装置を用いる)および/または表面トポグラフィーによって、非パターン化されていてもよい。第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって、所定の形状に制限されていてもよい。基板の表面は、均一であってもよい。基板の表面は、均一な表面化学、均一な物理的特性および/または均一な表面トポグラフィーを有していてもよい。
好ましくは、第1の流体は、表面上に直接配置され、表面と第1の流体との間の界面張力が、表面上の第1の流体の配置を維持するようになっている。第1の流体を配置することは、表面上に少なくとも1つの流体滴を堆積させることを有していてもよい。第1の流体を配置することは、表面上に少なくとも1つの第1の流体の連続した跡を堆積させ、そのことによって、(少なくとも1つの流体滴への)流体導管を提供することを(さらに)有していてもよい。
まず、第1の流体が表面上に配置されてもよく、その後、第2の流体が、第1の流体を覆うように配置されてもよい。第2の流体は、第1の流体を部分的のみ覆っていてもよい。第3の流体が、第1の流体を部分的に覆っていてもよい。まず、第2の流体が表面上に配置されてもよく、その後、第1の流体が第2の流体の下に配置されてもよい。
第1の流体を堆積させることは、表面を横切って、好ましくは第1の流体によって湿っている物体(プローブのような)を引き、少なくとも1つの第1の流体の連続した跡を提供し、そのことによって、流体導管を提供することを有していてもよい。流体導管は、表面上に配置された少なくとも2つの流体滴の間に提供されてもよい。物体は、表面と接触していてもよく、または表面に近接しているが接触していなくてもよく、または表面から距離を置いていてもよい。第1の流体と物体との接触角は、90°より小さくてもよく、かつ、より好ましくは80°より小さくてもよい。このことは、第1の流体がある程度物体に付着し、かつ、物体によって引きずられることを可能にする。
第1の流体を堆積させることは、所定の形状で任意の位置へ第1の流体の一部を追加することを有していてもよい。第1の流体を配置することは、所定の形状で任意の位置から第1の流体の一部を除去することを有していてもよい。流体界面が所定の形状で第1の流体を制限するので、流体界面の制限は容易に適合され得;このことは、流体が適切なポートにおいてのみ追加または除去され得る従来のマイクロ流体装置における場合とは異なり、所定の形状での任意の所望の位置における流体の追加または除去を容認する。
第1の流体を配置して表面上に所定の形状を提供することは、第1の流体の一部の移動が、第1の流体の異なる部分の間の接続を妨げることを引き起こすことをさらに有していてもよい。移動は、第1の流体の一部を横切って、物体を引くことを有していてもよい。物体は、表面と接触していてもよく、または表面に近接しているが接触していなくてもよく、または表面から距離を置いていてもよい。物体は、ティップまたは針であってもよい。物体は、第1の流体が水性であれば、疎水性であってもよい。物体は、第1の流体との濡れ性が低くてもよい。第1の流体は、物体との大きい接触角を有していてもよい。
第1の流体を配置して表面上に所定の形状を提供することは、第1の流体の一部の移動が、第1の流体の異なる部分の間の接続を形成することを引き起こすことをさらに有していてもよい。移動は、第1の流体の一部を横切って、物体を引くことを有していてもよい。物体は、表面と接触していてもよく、または表面に近接しているが接触していなくてもよく、または表面から距離を置いていてもよい。物体は、ティップまたは針であってもよい。物体は、第1の流体が水性であれば、疎水性であってもよい。物体は、第1の流体との濡れ性が高くてもよい。第1の流体は、物体との小さい接触角を有していてもよい。表面を横切って物体を引くことによる流体の移動は、局所的に導管を分離かつ結合することを許容し得、かつ、導管における流れを停止または開始することを可能にし得る。
第1の流体を配置して表面上に所定の形状を提供することは、さらに:チューブを提供することを有していてもよく、該チューブ内には流体が引かれ得;チューブを第2の流体で満たすことを有していてもよく、そのことによって、第2の流体がチューブの内壁を湿らせ;少なくとも1つの第1の流体滴をチューブ内に引くことを有していてもよく、ここで、少なくとも1つの滴は、第2の流体に包まれ;かつ、表面上にあるチューブを空にし、表面と直接接触する少なくとも1つの第1の流体の流体滴を提供することを有していてもよく、ここで、第1の流体は、第2の流体によって覆われている。
複数の第1の流体滴が、(送達)チューブ内に引かれ、滴の連続を作成してもよく、該滴は、第2の流体に包まれ、かつ、第2の流体によって分離される。チューブは、表面上で空にされ、複数の流体滴を提供してもよい。
試薬が、第1の流体に導入されてもよい。好ましくは、試薬は、少なくとも1つの流体滴に導入される。試薬は複数の流体滴に導入されてもよく、好ましくはここで、試薬の濃度は、少なくとも2つの流体滴において異なる。
第2の流体は、第2の流体と不混和性である第3の流体で覆われていてもよい。
流体の一部が、流体を固めるために、加熱および/または照射されてもよい。第1の流体の一部が、先に第1の流体の第1の部分が堆積した上に堆積してもよい。第1の流体の第2の層は、先に第1の流体の第1の層が堆積した上に堆積してもよい。このことは、第1の流体の複雑なトポグラフィーの形成を可能にし得る。
ポンプが、表面上にあるチューブを満たす、および/または、空にするために用いられてもよく、好ましくはシリンジポンプである。チューブは、流体送達装置の一部であってもよい。好ましくは、チューブは、表面が実質的に水平である時、表面上で空にされる。他の能動的または受動的な流体発動機が、シリンジポンプの代わりにポンプとして採用され得た。
表面は、少なくとも局所的には、好ましくは平坦であり、かつ、理想的には、マイクロ流体装置またはその一部の作成中、水平である。表面は、好ましくは堅固であり、かつ/または、均質である。表面は、例えば、ガラスの表面またはポリスチレンの表面であってもよい。基板は、例えば、ガラスのスライドまたはポリスチレンのペトリ皿であってもよい。基板は、好ましくは、細胞との生物的適合性のための細胞培養ポリスチレンを有する。好ましくは、表面は、周状に包囲されている。
上述のように、第1の流体は、表面上に直接堆積していてもよく、表面と第1の流体との間の界面張力が、表面上の第1の流体を保持するようになっている。第1の流体を堆積させるために、チューブ(上記のような)を有する送達装置(「ペン」)は、表面の近傍に置かれてもよく、第1の流体がペンから出る時、それが基板との直の接触を形成するようになっている。
第1の流体で満たされたチューブを有する流体送達装置(「ペン」)は、表面を横切って第1の流体の連続した跡を引き、2つの流体滴を接続するために用いられてもよい。代替的には、乾燥した物体(「プローブ」)のティップが、1つの流体滴から1つ以上の追加の流体滴へと表面を横切って引かれ(引っ張られ)、追加の流体を必要とすることなく、流体の小滴の間に、流体導管として作用する連続した相互接続する流体の跡を作成してもよい。
表面の少なくとも一領域が、少なくともその領域において、第1の流体との適切な界面張力を提供するために処理されていてもよい。
好ましくは、流体滴はそれぞれ、ざっと10または100ナノリットルと10または100マイクロリットルとの間の容量を有するが、任意の容量であり得、しかしながら、好ましくは、1ミリリットルより少ない。
表面上にある流体導管の幅は、ほぼ流体の跡を作成するために用いられるペンまたはプローブの直径であってもよく、かつ、流体導管の高さは、界面接触角および/または用いられる流体によって決定されてもよい;しかしながら、幅は、好ましくは、流体の跡の直径の半分より狭い。流体導管の高さは、好ましくは、流体の跡の直径の半分より低く、かつ/または、流体導管の幅の半分より低い。流体滴は、異なる容量を有していてもよい。表面上にあるさらなる流体導管は、異なる長さを有していてもよい。さらなる流体導管は、異なる幅を有していてもよい。1つ以上の流体導管が、任意の2つの滴を接続してもよい。流体導管は、集合点(node)(または「合流点(junction)」)において1つ以上の支流に分かれていてもよく、かつ、2つの流体滴を接続する流体導管は、1つ以上の集合点を含んでいてもよい。
表面上に配置される所定の形状は、パターン化した表面を残すために乾燥することが許容されてもよく、そのことによって、マイクロ流体装置は、表面上にあるパターンに大量の第1の流体を追加することによって後に再水和されてもよい。表面は、例えば上述のようにペトリ皿の一部であってもよく、その後、予め形成された(かつ乾燥した)チャネルとともに提供され得た。
表面上に配置された所定の形状は、表面上に固体回路を残すために凍結されてもよく、そのことによって、マイクロ流体装置は、後に解凍されてもよい。方法は、表面上に所定の形状で第1の流体を凍結させることを有していてもよく、かつ任意には、続いて、凍結した第1の流体を解凍してマイクロ流体装置を再形成することを有していてもよい。表面は、例えば上述のようにペトリ皿の一部であってもよく、その後、予め形成されかつ凍結した回路とともに提供され得た。
本発明の別の態様によれば、流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法が提供され、当該方法は:所望の形状で基板の非パターン化された表面上に第1の流体を配置することを有し;第1の流体を少なくとも部分的に覆うように、第1の流体と不混和性である第2の流体を配置することを有し、ここで、第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって前記形状に保持され;かつ、基板上に前記形状で固体を形成するために、第1の流体を凍結させることを有する。マイクロ流体装置は、上述の、および/または、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。方法は、上述の、および/または、以下のステップの1つ以上を有していてもよい。
プリンティング
本発明の別の態様によれば、マイクロ流体装置(好ましくは、前記のような)を製造するためのプリンターのような装置が提供され、当該装置は:出口と連通する液体リザーバーと;基板に関して出口を移動させ位置決めするように適合された位置決め装置(positioning arrangement)と;出口からの流体の流れを引き起こすように適合されたポンピング装置と;所望の流体形状に関する情報を位置決め装置についての運動指令に変換し、かつ、ポンピング装置を駆動させるように適合された制御装置とを有し、マイクロ流体装置の形成を引き起こし、かつ/または、所望の形状で基板上への第1の流体の堆積を引き起こし、第1の流体は、流体界面によって前記形状に保持される。
マイクロ流体装置は、基板の表面上に所定の形状で配置された流体を有していてもよい。マイクロ流体装置は、滴のうちの1つであってもよく、滴のアレイであってもよい。マイクロ流体装置は、マイクロ流体回路であってもよい。マイクロ流体回路は、少なくとも1つの滴および/または少なくとも1つの導管を有していてもよい。流体滴は、1ミリリットルより少ない容量を有していてもよい。流体滴は、10マイクロリットルと10ナノリットルとの間の容量を有していてもよい。流体滴は、異なる表面積および/または形状を覆うためにプリントされてもよい。流体導管は、2mmより狭い幅を有していてもよい。流体導管は、1mmより狭い幅を有していてもよい。流体導管は、約10と800μmとの間の幅を有していてもよい。流体導管は、1mmより低い高さを有していてもよい。流体導管は、約5と100μmとの間の高さを有していてもよい。基板の表面は、非パターン化されていてもよい。
制御装置は、出口からの流体の連続した流れを引き起こすように適合されていてもよい。
出口は、親水性であってもよい。出口は、内面が親水性であってもよい。出口は、外面が疎水性であってもよい。出口は、管状成形品を有していてもよい。管状成形品は、親水性であってもよい。出口は、管状成形品を覆うシースを有していてもよい。シースは、疎水性であってもよい。これらの装置は、例えば水溶液または別の極性(親水性)の流体を堆積させるために、特に利益がある。非極性(疎水性)の流体の堆積については、出口(および/または、その管状成形体)は、疎水性であってもよい。
制御装置は、出口と基板との間の液体ブリッジ(または他の形態の液体連通)の形成を引き起こすように適合されていてもよい。
制御装置は、基板と出口との間の距離を較正するように適合されていてもよい。制御装置は、出口が、出口と表面との間の既知の距離を示す信号が受け取られるまで表面に近付くことを引き起こすように適合されていてもよい。信号は、ユーザーから提供されてもよい。信号は、カメラデータに基づいていてもよい。信号は、近接センサーからのデータに基づいていてもよい。信号は、運動抵抗検出器からのデータに基づいていてもよい。信号は、電気的接触またはLVT(直線電圧変換器)に基づいていてもよい。
制御装置は、表面上のマイクロ流体装置の形成のために、出口が、表面から、出口の直径の0.1と2倍との間に位置決めされることを引き起こすように適合されていてもよい。制御装置は、出口が、表面から、出口の直径の0.2と1倍との間に位置決めされることを引き起こすように適合されていてもよい。制御装置は、出口が、表面から、出口の直径のほぼ0.5倍(かつ任意には、出口の直径のほぼ0.5倍より小さい)のところに位置決めされることを引き起こすように適合されていてもよい。制御装置は、出口が、表面から少なくとも10μm、好ましくは表面から少なくとも20μmのところに位置決めされることを引き起こすように適合されていてもよい。制御装置は、出口が、表面からほぼ10から200μmのところに位置決めされることを引き起こすように適合されていてもよい。制御装置は、出口が、表面からほぼ20から150μmのところに位置決めされることを引き起こすように適合されていてもよい。出口と表面との間の大きい距離は、表面上のより幅の広い特徴の形成を引き起こし得る。放出された液体は、基板の表面に到達する前に、不混和性の液体層のようなバリアを通って移動してもよい。このことは、放出された液体(バリアを通って移動した後)の、基板の表面上に既に存在する液体の一部との融合を可能にするかも知れない。
ポンピング装置は、出口からの液体の流れを引き起こすために、出口において静液圧を提供するように適合されていてもよい。ポンピング装置は、(好ましくは、出口と基板との間に液体ブリッジが形成されない時に、)出口において、出口において形成された滴におけるラプラス圧力より小さいか、または、これに等しい静液圧を提供するように適合されていてもよい。このことは、出口において形成された滴を表面と接触させる際の流体の駆動と、出口と表面との間の液体ブリッジを妨害するために表面から十分離れたところまで出口を回収することによる流体の妨害とを可能にするかも知れない。
制御装置は、表面に向かう重力加速度下での流体滴の解放のために、出口が、表面から、出口の直径の3と10倍との間に位置決めされることを引き起こすように適合されていてもよい。滴の重力加速度は、滴が、基板の表面に到達する前に、液体フィルムのようなバリアを通って移動することを可能にするかも知れない。このことは、放出された液体(バリアを通って移動した後)の、基板の表面上に既に存在する液体の一部との融合を可能にするかも知れない。出口は、少なくとも、表面からの分注出口によって支持され得る最大の滴の高さで位置決めされることが引き起こされてもよい。出口によって支持され得る最大の滴の高さは、自重により落下する前に形成され得る滴のサイズに対応し、かつ、滴の界面張力と流体の密度とに基づく。滴の重力加速度は、滴が、基板の表面に到達する前に、液体フィルムのようなバリアを通って移動することを可能にするかも知れない。このことは、基板の表面上に既に存在する液体の一部との融合(バリアを通って移動した後)を可能にするかも知れない。代替案では、出口は、表面の上に位置決めされることが引き起こされ、かつ、流体滴は、出口から吊るされて形成されることが引き起こされ、その後、出口は、滴が表面または表面上にある流体と接触するまで表面に向かって動かされることが引き起こされる。
液体は、水溶液であってもよい。液体は剪断減粘流体であってもよく、または、それは剪断増粘流体であってもよい。液体は、ゲル前駆体であってもよい。液体は、ゲルであってもよい。
液体は、液体の蒸発後に表面上にある堆積物の形成に適していてもよい。液体は、表面の化学変成に適していてもよい。
マイクロ流体装置は、基板の表面から独立して立つ部分を有していてもよい。
装置またはプリンターはさらに、それぞれの1つ以上のさらなる出口と連通する、1つ以上のさらなる液体リザーバーを有していてもよい。1つ以上のさらなる位置決め装置が、基板に関して1つ以上のさらなる出口を移動させ位置決めするために提供されてもよい。1つ以上のさらなるポンピング装置が、1つ以上のさらなる出口からの液体の流れを引き起こすために提供されてもよい。制御装置は、さらなる流体の所望の堆積に関する情報を(さらなる)位置決め装置についての運動指令に変換し、かつ、(さらなる)ポンピング装置を駆動させるように適合されており、さらなる流体の堆積を引き起こす。このことは、例えば、異なる組成を有する滴のアレイの形成、または、不混和性のさらなる流体によって覆われるべきマイクロ流体装置の形成を可能にし得る。
装置はさらに、流体の一部を加熱するために配置された加熱器を有していてもよい。流体の一部を加熱することは、流体からのゲル(または別の固体)の形成、および/または、流体の堆積のための固体の溶融を可能にし得る。このことは、マイクロ流体装置およびより複雑なマイクロ流体装置を形成するための、より範囲の広い材料の使用を容認し得る。装置はさらに、流体の一部を照射するために配置された光源を有していてもよい。流体の一部を照射することは、架橋結合を開始することによって、流体からのゲル(または他の固体)の形成を可能にし得る。光源は、紫外光源であってもよい。ゲル(または他の固体)の形成を可能にすることによって、より複雑な3D層状流体ネットワークを製造するために、層が重ねて形成され得る。
第2の流体の密度は、第1の流体の密度と実質的に同一であってもよい。このことは、第1の流体の部分が、3D流体ネットワークの形成のために、第2の流体内に支持されたままであるか、または、吊るされたままであることを可能にし得る。
装置はさらに、先に第1の流体の第1の部分が堆積した場所の上に、第1の流体(または第1の流体と混和する流体)の一部を堆積させるように適合されていてもよい。このことは、複雑なトポグラフィーを有する3D流体ネットワークの形成を可能にし得る。このことはまた、チャンバーの容量が第1の流体と基板との間の接触角によって限定されないので、(所定のチャンバーの足跡について)相対的に大きい容量を有するチャンバーの形成を可能にし得る。装置は、先に堆積した第1の流体の部分と比べて基板からより距離を置いて、第1の流体の一部を堆積させるように適合されていてもよい。装置は、先に第1の流体の第1の層が堆積した場所の上に、第1の流体(または第1の流体と混和する流体)の第2の層を堆積させるように適合されていてもよい。このことは、層状の3D流体ネットワークの形成を可能にし得る。
本発明の別の態様によれば、上記のような装置を用いてマイクロ流体装置(好ましくは上記のような)を製造する方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、マイクロ流体装置(好ましくは上記のような)を製造する方法が提供され、当該方法は、所望の流体形状に関する情報を、流体出口を位置決めするための運動指令に変換することを有し、かつ、ポンピング装置を駆動させることを有し、基板上に出口からの流体の流れを引き起こす。
マイクロ流体装置は、基板の表面上に所定の形状で配置された流体を有していてもよい。マイクロ流体装置は、滴のアレイであってもよい。マイクロ流体装置は、マイクロ流体回路であってもよい。マイクロ流体回路は、少なくとも1つの滴および/または少なくとも1つの導管を有していてもよい。流体滴は、1ミリリットルより少ない容量を有していてもよい。流体滴は、10マイクロリットルと10ナノリットルとの間の容量を有していてもよい。流体導管は、1mmより狭い幅を有していてもよい。流体導管は、約10と500μmとの間の幅を有していてもよい。流体導管は、1mmより低い高さを有していてもよい。流体導管は、約10と100μmとの間の高さを有していてもよい。基板の表面は、非パターン化されていてもよい。
出口からの流体の流れは、連続的であってもよい。出口からの流体の流れは、一定の期間、連続的であってもよい。出口からの流体の流れは、マイクロ流体装置の複数の特徴の形成中、連続的であってもよい。出口からの流体の流れは、滴のアレイにおける複数の滴の形成中、連続的であってもよい。
液体ブリッジ(または他の形態の液体連通)が、出口と基板との間に形成されていてもよい。基板と出口との間の距離は、較正されてもよい。基板と出口との間の距離は、出口と表面との間の接触が発生するまで出口を表面に近付けることによって、較正されてもよい。出口は、表面上のマイクロ流体装置の形成のために、表面から表面から少なくとも10μm(任意には、少なくとも20μm)のところに位置決めされてもよい。出口は、表面上のマイクロ流体装置の形成のために、表面から出口の直径のほぼ半分のところに位置決めされてもよい(かつ、任意には出口の直径のほぼ半分より小さい)。出口は、表面上のマイクロ流体装置の形成のために、表面から出口の直径のほぼ1つ分のところに位置決めされてもよい(かつ、任意には出口の直径のほぼ1つ分より小さい)。
出口と基板と流体との適切な配置によって、静液圧が、出口からの液体の流れを引き起こすために、出口において提供されてもよい。出口における静液圧は、出口において形成された滴におけるラプラス圧力より小さいか、または、これに等しい(好ましくは、出口と基板との間に液体ブリッジが形成されない時)。このことは、出口において形成された滴を表面と接触させる際の流体の駆動と、出口と表面との間の液体ブリッジを妨害するために表面から十分離れたところまで出口を回収することによる流体の妨害とを可能にするかも知れない。この配置は、出口が表面に近接して配置された時にのみ出口からの流体の流れを引き起こすために、受動的なオン/オフ反応(passive on/off)ポンピング機構を提供し得る。
マイクロ流体装置の形成は、ガス環境において起こってもよい。さらなる不混和性の流体が、マイクロ流体装置を覆うために配置されてもよい。マイクロ流体装置の形成は、不混和性のさらなる液体の環境において起こってもよい。
出口は、表面に向かう重力加速度下での流体滴の解放のために、表面から、出口の直径の3と10倍との間に位置決めされていてもよい。出口は、少なくとも、表面から、分注出口によって支持され得る最大の滴の高さで位置決めされてもよい。出口によって支持され得る最大の滴の高さは、自重により落下する前に形成され得る滴のサイズに対応し、かつ、滴の界面張力と流体の密度とに基づく。滴の重力加速度は、滴が、基板の表面に到達する前に、液体フィルムのようなバリアを通って移動することを可能にするかも知れない。このことは、基板の表面上に既に存在する液体の一部との融合(バリアを通って移動した後)を可能にするかも知れない。代替案では、出口は、表面の上に位置決めされ、かつ、流体滴は、出口から吊るされて形成されることが引き起こされ、その後、出口は、滴が表面または表面上にある流体と接触するまで表面に向かって移動することが引き起こされる。
液体は、水溶液であってもよい。液体は剪断減粘流体であってもよく、または、それは剪断増粘流体であってもよい。液体は、ゲル前駆体であってもよい。液体は、ゲルであってもよい。
液体は、液体の蒸発後に表面上にある堆積物の形成に適していてもよい。液体は、表面の化学変成に適していてもよい。
マイクロ流体装置は、基板の表面から独立して立つ部分を有していてもよい。
反転プリンティング
本発明の別の態様によれば、流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法が提供され、当該方法は:所定の形状で基板の非パターン化された表面上に第1の流体を配置することと;第1の流体を少なくとも部分的に覆うように、第1の流体と不混和性の第2の流体を配置することとを有し、ここで、第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって前記形状に保持される。
所望の形状で第1の流体を配置することは、表面上に任意の形状で第1の流体を配置し、かつ、第1の流体を所望の形状へと再配置することを有していてもよい。第1の流体は、薄いフィルムに配置されてもよい。第1の流体は、表面を湿らせてもよい。第1の流体は、例えば、厚さが1mmもしくはこれより薄い、または、100μmもしくはこれより薄い、または、10μmもしくはこれより薄い、または、1μmもしくはこれより薄いフィルムを形成してもよい。再配置することは、従来のパターニングにおけるスグラッフィート(sgraffitto)の技術に類似していてもよい。
第1の流体を再配置することは、第1の流体の一部を移動させるために、表面を横切って物体を引くことを有していてもよい。引くことは、特に有効な第1の流体の移動を可能にし得る。物体は、表面と接触していてもよく、または表面に近接しているが接触していなくてもよく、または表面から距離を置いていてもよい。物体は、ティップ、針またはチューブであってもよい。物体は、流体を再配置するために、表面と接触していてもよく、または表面に近接しているが接触していなくてもよく、または表面から距離を置いていてもよい。
第1の流体と物体との間の接触角は、好ましくは90°より大きい。このことは、特に有効な第1の流体の移動を補助し得る。第2の流体と物体との間の接触角は、好ましくは90°より小さく、かつ、より好ましくは80°より小さい。このことは、物体が移動するにつれて、第1の流体に取って代わるために、第2の流体が引かれることを補助し得、したがって、再配置することを安定させることを補助し得る。
第1の流体が水性であれば、その時、物体は、特に有効な移動のために、好ましくは疎水性である。第2の流体がフッ化炭素であれば、その時、物体は好ましくは親フルオロ性である。このことは、第2の流体が、第1の流体に取って代わり、したがって移動を促すことを可能にし得る。物体は、疎水性かつ親フルオロ性の特性のために、ポリテトラフルオロエチレン(テフロンまたはPTFEとも呼ばれる)を有していてもよい。
引くことは、第1の流体の1つ以上の導管を形成するために、多数のほぼ平行な線を引くことを含んでいてもよい。このことは、特に有効な導管の形成を可能にし得る。引くことは、1つ以上のチャンバー(好ましくは、長方形または正方形のチャンバー)を形成するために、第1の方向に多数のほぼ平行な線を引くことと、第2の方向(好ましくは、第1の方向にほぼ直交する)に多数のほぼ平行な線を引くこととを含んでいてもよい。このことは、特に有効なチャンバーのアレイの形成を可能にし得る。
引くことは、第1の流体の1つ以上のストリップ(strip;片)を形成するために、第1の方向に多数のほぼ平行な線を引くことと;その後、1つ以上のストリップに1つ以上の流体の部分を追加することと;その後、1つ以上のチャンバーを形成するために、第2の方向に多数のほぼ平行な線を引くこととを有していてもよい。このことは、流体の、マイクロ流体装置への有効な追加を可能にし得る。
規則上、引くことは、2つの流体の部分を形成することを有していてもよく、該2つの流体の部分は、両方とも同一の足跡の周囲長を有する。引くことは、流体の部分を、その流体の部分の足跡の対称中心線に沿って半分に分けることを有していてもよい。
第1の流体を再配置することは、第1の流体の一部を移動させるために、物体で表面をスタンピングすることを有していてもよい。スタンピングすることは、特に素早い複雑なパターンの形成を可能にし得る。スタンピングするために、物体は、所望の形状に対応するパターンで形成される面を有していてもよい。第1の流体が水性であれば、物体は好ましくは疎水性であり、かつ/または、第2の流体がフッ化炭素であれば、物体は好ましくは親フルオロ性であり;好ましくは、物体は、ポリテトラフルオロエチレンを有する。
方法は、まず、表面上に任意の形状で第1の流体を配置することと;その後、少なくとも部分的に第1の流体を覆うように、第2の流体を配置することと;その後、第1の流体を所望の形状へと再配置することとを有していてもよい。第1の流体を再配置する前の第2の流体の存在に起因して、第2の流体は、第1の流体に取って代わり得、したがって、第1の流体が再配置された配置に留まることを促し得る。
さらなる流体は、形成工程中いつでも第1の流体に追加され得る。例では、第1の再配置するステップの後には、第2のさらなる流体の追加のステップが続き、その後、第3の再配置するステップが続く。このことは、例えば、さらなる流体の、複数のより小さい成形体ではなく大きい成形体への追加を可能にし得る。
プリンターゼロイング(ZEROING)
本発明の別の態様によれば、マイクロ流体装置を製造するための装置(プリンターのような)をゼロイングする方法が提供され、当該方法は:基板に向かってホルダー部を移動させることを有し、該ホルダー部は出口部を保持し、かつ出口部は基板に面するティップを有し、まずティップを基板と接触させ、その後、ホルダー部が基板に向かって移動し続けるので、出口部がホルダー部に関して移動するようになっており;ホルダー部を停止させることを有し;かつ、出口部がホルダー部に関して移動することなく、基板から所望の距離を置いてホルダー部を移動させることを有する。
出口部がホルダーに関して移動し得るので、出口部は、衝撃の際の損傷のリスクなく基板に近付くように作成され得る。このことは、ティップが、たいした精度もなく基板に近付くことを容認し、簡潔性と省コスト性を可能にするが、ティップが表面と接触するという結果とともに、高精度のゼロイングを可能にする。このことは、基板から所望の距離離れて出口部を正確に位置決めすることを可能にし得る。
簡潔性のため、出口部は、ホルダー部に関して摺動してもよい。摺動することは、運動を容認する一方で、安定性を提供し得る。摺動に関連する摩擦は、力が加えられる時は部品が互いに関して移動することを容認するが、力が加えられない時は部品が相対的運動もなく結合したままであることを容認するための機構を提供し得る。
簡潔性のため、ホルダー部は、それが基板に向かって所定の距離を移動した後で、止められてもよい。このことは、複雑な検知装置を避けることを可能にし得る。
信頼性のため、ホルダー部は、ティップと基板との間の接触が検知された後で止められてもよい。このことは、ティップと基板とが確かに接触するのを確実にするのを助け得、また、出口部が問題を引き起こすほどホルダー部に関して遠くに移動するのを避けることを助け得る。ティップと基板との間の接触は、光学的検知、ユーザーの入力および/または電気的検知によって検知されてもよい。
方法はさらに、ホルダー部を基板から所望の距離移動させる前に、ホルダー部に関して出口部を固定するステップを有していてもよい。このことは、部品が相対的運動なくロバストに結合したままであることを確実にし得る。
本発明の別の態様によれば、マイクロ流体装置を製造するためのプリンター用の出口アセンブリーが提供され、当該出口アセンブリーは、ティップを有する出口部を保持するホルダー部を有し、ティップに力が加えられる時、出口部がホルダー部に関して移動するようになっており、かつ、ティップに力が加えられない時、出口部がホルダー部に関して所定の構成のままであるようになっている。
出口部がホルダーに関して移動し得るので、出口部は、出口が取り付けられる出口アセンブリーまたはプリンターへの損傷のリスクなく、力に曝露されて作られ得る。このことは、簡潔性、省コスト性および精度を有する上記のような装置をゼロイングする方法を容認する。ゼロイングすることは、基板から所望の距離離れて出口部を正確に位置決めすることを可能にし得る。
ホルダー部は、出口部を支えるための低摩擦表面を有していてもよい。このことは、部品が、相対的に小さい力が加えられる時のみ互いに関して移動することを容認し、出口アセンブリーの弾性変形が最小限であり、かつ、ホルダー部の引き込みの際、出口部が遅れないようになっている。ホルダー部と出口部との間の静摩擦係数は、0.01と0.5との間であってもよく、好ましくは0.01と0.1との間であってもよく、かつ、より好ましくは0.04と0.08との間であってもよい。
ホルダー部は、ポリテトラフルオロエチレンのスリーブを有していてもよい。ポリテトラフルオロ−エチレンのスリーブは、出口部を支えるための特に便宜な低摩擦表面を提供し得る。
出口は、金属チューブ、好ましくは鋼チューブを有していてもよい。金属チューブは、弾性変形のほとんどない、特に剛性である出口部を提供し得、ホルダー部の引き込みの際、出口部が遅れないようになっている。鋼チューブは、特に安価かつ適合性であり得る。
ホルダー部は、ゴムのスリーブ、好ましくはシリコーンゴムを有していてもよい。ゴムのスリーブは、プリンターによる出口アセンブリーの特にロバストなグリップを可能にし得る。
出口アセンブリーは、プリンターのような装置への取付のためのホルダー部としてのゴムのスリーブと、ゴムのスリーブ内に配置された出口部としての金属チューブと、ゴムのスリーブと金属チューブとの間に配置されたポリテトラフルオロエチレンのスリーブとを有していてもよい。この配置は、剛性と、摺動の容易性と、グリップ性との、特に好ましい組み合わせを提供し得る。ゴムのスリーブと金属チューブとが互いに関して移動するので、ポリテトラフルオロエチレンのスリーブは、ゴムのスリーブおよび/または金属チューブに関して移動してもよい。スリーブ装置は、相対的な構成の範囲内で、異なる部品の良好な支持を可能にし得る。
輸送−ラプラス圧力と静液圧
本発明の別の態様によれば、上記のマイクロ流体装置を通して流体を輸送する方法が提供され、当該方法は:第1の流体滴を、流体的に接続された第2の流体よりも大きい容量を有するように配置することを有し、そのことによって、2つの滴の間のラプラス圧力および/または静液圧の差は、流体が2つの流体滴の間を流れることを引き起こす。
能動的なポンピングもまた利用され得、ここでは、流体滴の間のラプラス圧力および/または静液圧の差を作成し、そのことによって、方向と大きさの両方において流量を変更するために、流体滴の容量が増大/減少してもよい。言い換えれば、連続的であっても断続的であっても、任意の流体滴からの流体を追加/除去することが可能であり、このことは、次に、相互接続された流体滴の間の流量を変更するであろう。
輸送する方法は、第1の流体滴に流体の第1の容量を追加することと、第2の滴に流体の第2の容量を追加することとを有し、ここで、第1の流体滴と第2の流体滴とは、同一の足跡、好ましくは、同一の足跡の面積および形状を有する。第1の流体滴および第2の流体滴における圧力が、流体の追加前は平衡であり、かつ、第1の流体滴と第2の流体滴とが、異なる容量の流体を受け取れば、流体の追加は、2つの滴の間のラプラス圧力の差を引き起こし、結果として、一方の滴から他方への流体の流れを引き起こす。
輸送する方法は、第1の流体滴および第2の流体滴の両方に流体の第1の容量を追加することを有していてもよく、ここでは、第1の流体滴と第2の流体滴とは、異なる足跡を有する。例えば、足跡は、異なる面積および/または異なる形状を有していてもよい。第1の流体滴と第2の流体滴とが、流体の追加前は釣り合っており、かつ、第1の流体滴と第2の流体滴とがそれぞれ、同一の容量の流体を受け取れば、流体の追加は、2つの滴の間のラプラス圧力の差を引き起こし、結果として、一方の滴から他方への流体の流れを引き起こす。
輸送−重力
本発明の別の態様によれば、上記のようなマイクロ流体装置を通して流体を輸送する方法が提供され、当該方法は:重力を利用するために、第1の流体滴を、流体接続した第2の流体滴より高く上げ、流体が、上げられた滴からより低い滴へ流れることを引き起こすことを有する。第2の流体は、第1の流体より低密度であってもよい。第2の流体は、空気またはガスであってもよい。
輸送−重力(被覆(OVERLAY))
本発明の別の態様によれば、上記のようなマイクロ流体装置を通して流体を輸送する方法が提供され、当該方法は:第1の流体滴を、流体接続した第2の流体滴より高く上げることを有し、第2の流体滴より上の第2の流体の高さが、第1の流体滴より上の第2の流体の高さと比べて実質的に高くなるようになっており、そのことによって、流体が、第2の流体滴から第1の流体滴へと流れることを引き起こし、ここで、第2の流体は液体である。この方法は、流体滴より上にある第2の流体(液体)のそれぞれの量(高さ)によって作成される、それらにかかる異なる静液圧の効果を利用する。表面が水平に対して傾いていれば、流体は、流体に作用する重力を利用して、少なくとも1つの流体導管を介して、より低い流体滴から上げられた流体滴へと輸送されてもよい。上げられた滴に向かう輸送のために、第2の流体は、第1の流体より高密度であってもよい。より低い滴への輸送のために、第1の流体は、第2の流体より高密度であってもよい。第2の流体が第1の流体より低密度であれば、その時は、滴の間の流れは、高所から低所であってもよい;第2の流体が第1の流体より高密度であれば、その時は、流れは、低所から高所であってもよい。第1の流体と第2の流体とが実質的に同一の密度のものであれば、流体は、滴の間のラプラス圧力の差によって駆動されてもよく、かつ、上げることは、相対的に重要でなくなるかも知れない。
表面を平坦で水平な配向から離れるように傾けることによって、第1の流体の少なくとも2つの流体滴の間に作成される高度差は、流体が、それぞれの滴の上にある第2の流体の異なる高さに起因して、2つの流体滴の間を流れることを引き起こし得る。言い換えれば、異なる静液圧は、少なくとも2つの流体滴の上にある第2の流体によって発揮され、流体が、上げられた流体に奏されるものよりも、第2の流体によってより低い流体滴に奏されているより大きい静液圧に起因して、重力に反して、マイクロ流体装置を通って「上向きに(uphill)」流れてもよいようになっている。
上述の方法を用いて流体が流れることを引き起こすことは、「受動的ポンピング(passive pumping)」と呼ばれてもよい。受動的ポンピングの割合は、第1の流体滴と第2の流体滴との間の高度差を調節することによって制御されていてもよい。第1の流体滴は、表面を水平から離れるように傾けることによって、第2の流体より高く上げられてもよい。受動的ポンピングはまた、第1の流体滴が、そうではなくて水平の基板上にある時でさえ第2の流体滴より高い場合に達成されてもよい。流体滴のうちの一方は、他方の流体滴と比べてより多い容量(したがってより高い高さ)を有するように配置されていてもよく、そのことによって、滴の間の静液圧の差は、マイクロ流体装置が実質的に水平である時に流体が流れることを引き起こし得る。
流体滴のうちの一方は、他方の流体滴と比べてより多い容量(したがってより大きい曲率半径)を有するように配置されていてもよく、そのことによって、滴の間のラプラス圧力の差は、マイクロ流体装置が実質的に水平である時に流体が流れることを引き起こし得る。この流れは、各滴内の圧力が同一である時に止まるであろう。滴の曲率半径は、接触角、滴の容量、湿った面積および流体の間の密度差の両方に関連する;それはまた、界面張力にも依存する。第1の流体滴と第2の流体滴とは、等しい界面張力を有していてもよい。静液圧の差は、2つの滴の間のラプラス圧力の差を無効にし得る。
したがって、本発明はまた、相互接続流体導管を通した、1つの液体の滴から別の液体の滴への液体または溶質の制御された輸送のための方法を提供し、当該方法は、高いスループット用途(high−throughput application)、例えば薬剤のスクリーニングに実装され得た。
第2の流体が第1の流体より低密度であれば、その時は、滴の間の流れは、高所から低所であってもよい;第2の流体が第1の流体より高密度であれば、その時は、流れは、低所から高所であってもよい。第1の流体と第2の流体とが実質的に同一の密度のものであれば、流体は、滴の間のラプラス圧力の差によって駆動されてもよく、かつ、上げることは、相対的に重要でなくなるかも知れない。
界面張力の変化の研究
別の態様によれば、第1の流体と第2の流体との間の界面張力を判定する方法が提供され、当該方法は、マイクロ流体装置(任意には、前記のような)を化学品(界面活性剤のような)に曝すことと、界面張力の変化を示すものを判定するために、結果として生じるマイクロ流体装置の特徴の形状の変化を評価することとを有する。特徴は、滴であってもよい。
マイクロ流体装置が用いられるので、化学品への動的曝露(dynamic exposure)が可能であり、したがって、界面張力への動的変化が観察かつ研究され得る。マイクロ流体装置が用いられるので、少量の化学品のみが必要とされる。
不混和性のさらなる液体が、滴(またはマイクロ流体装置)を覆うように配置されていてもよい。
曝露前の滴の形状は、平衡接触角(equilibrium contact angle)を有する平衡滴(equilibrium drop)の形状であってもよい。曝露後の滴の形状は、釣鐘状であってもよい。滴の形状は、界面張力が減少すれば、経時的に変形してもよく、一般的には(しかし排他的ではなく)、釣鐘状の滴を提供する。界面張力のさらなる減少は、滴の形状がさらに変化し、かつ、滴の一部が滴の上部から離脱する(break away)ことを引き起こすかも知れない。界面張力の評価は、滴の形状の側面にある変曲点(inflection point)を判定することを有していてもよい。界面張力の評価は、変曲点における曲率半径を判定することを有してしてもよい。界面張力の評価は、滴の上面と変曲点との間の垂直距離を判定することを有していてもよい。界面張力の評価は、垂直距離に基づいて静液圧差を計算することを有していてもよい。滴のサイズは、界面張力測定範囲の精度に適合するために/界面張力測定範囲の精度を改善するために、変化してもよい。
滴の表面に沿う界面張力の分配についてのさらなる情報のために、評価は、滴の表面に沿う至る所における角度/曲率と静液圧とを判定することを有していてもよい。評価は、平衡接触角を変曲点における角度と比較することを有していてもよい。
曝露は、マイクロ流体滴を覆うように配置された不混和性のさらなる流体に界面活性剤を追加することを有していてもよい。流体は、より高密度の流体に浸されていてもよい。流体は、フッ化炭素に浸された水溶液であってもよい。
さらなる態様によれば、流体の一部をマイクロ流体装置(任意は前記のような)から切り離す方法が提供され、当該方法は、第1の流体と第2の流体との間の界面張力の変化を引き起こすために、マイクロ流体装置を化学品(界面活性剤のような)に曝露することを有する。特徴は、滴であってもよい。滴または他のマイクロ流体的な特徴における界面張力の減少は、滴の形状が変化することを引き起こすかも知れず、かつ、滴の一部が、典型的には滴の上部から離脱するかも知れない。曝露は、マイクロ流体滴を覆うように配置された不混和性のさらなる流体に界面活性剤を追加することを有していてもよい。流体は、より高密度の流体に浸されていてもよい。流体は、フッ化炭素に浸された水溶液であってもよい。
全体的な特徴
別の態様によれば、マイクロ流体装置および/またはマイクロ流体装置を製造する方法が提供され、当該マイクロ流体装置は:基板を有し;第1の流体を有し;第1の流体と不混和性である第2の流体を有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって少なくとも部分的に覆われるように配置され;かつ、ここで、第1の流体は、基板の表面上に所定の形状で配置される。次の特徴が、単独で、または、組み合わせで提供されてもよい:
・ 形状は、界面張力によって、少なくとも部分的に規定されていてもよく;
・ 第1の流体は、界面張力によって所定の形状で保持されていてもよく;
・ 基板の表面は、非パターン化されていてもよく(例えば、化学的表面パターニング、物理的機能付与および/または表面トポグラフィーによって);基板の表面は、均一であってもよく(例えば、均一な表面化学、均一な物理的特性および/または均一な表面トポグラフィーを有する);
・ 壁/界面/境界は、流体であってもよく(固体ではない);マイクロ流体装置を形成する壁/界面/境界は、流体であってもよく;表面上に所定の形状を形成する壁/界面/境界は、流体であってもよく;
・ 第1の流体と表面との間の界面の面積は、第1の流体と第2の流体との間の界面の面積より小さくてもよく;
・ 第2の流体と接触する第1の流体の表面積は、表面と接触する第1の流体の表面積より大きくてもよく;
・ 装置からの第1の流体の追加または除去は、第1の流体と第2の流体との間の界面の面積を変化させてもよく;
・ 第2の流体は、第1の流体より高密度であってもよく;または、第1の流体は、第2の流体より高密度であってもよく;または、第2の流体の密度は、第1の流体の密度と実質的に同一であってもよく;
・ 基板と、第1の流体と、第2の流体とは、第1の流体と基板との間の大きい接触角(好ましくは前進接触角)のために選択されてもよく;
・ 基板は親水性であってもよく、第1の流体は極性(親水性)の流体であってもよく、かつ、第2の流体は非極性(疎水性)の流体であってもよく;
・ 第1の流体は水性であってもよく、かつ、第2の流体は油;フッ化炭素;空気;FC40のうちの1つであってもよく;
・ 装置のマイクロ流体的な特徴の断面積は、(1:1)もしくはこれより小さい;または、(1:2)もしくはこれより小さい;または、(1:4)もしくはこれより小さい;または、(1:20)もしくはこれより小さい;または、(1:50)もしくはこれより小さい;または、(1:100)もしくはこれより小さい;または、(1:50)と(1:500)との間である(高さ:幅)アスペクト比を有していてもよく;特徴は、滴(またはリザーバー)であってもよく;
・ 第1の流体の基板との接触角は、前進接触角より小さくてもよく;接触角は、前進接触角の50%より小さくてもよく、25%より小さくてもよく、または10%より小さくてもよく;接触角は、前進接触角の1%と100%との間であってもよく;
・ マイクロ流体装置は、第1の流体の任意の部分へのさらなる(混和性の)流体の追加および/または第1の流体の任意の部分からの流体の除去に適していてもよく;
・ マイクロ流体装置は、基板上の第1の流体の足跡を変更することのない、第1の流体へのさらなる(混和性の)流体の追加および/または第1の流体からの流体の除去に適していてもよく;
・ 装置は、滴のアレイおよび/または回路を有していてもよく;回路は、少なくとも1つのリザーバーと少なくとも1つの導管とを有していてもよく;
・ 滴(チャンバー)の足跡は、非円形(例えば、正方形または六角形または不規則)であってもよく;
・ 導管の高さは、導管に沿って有意に変化してもよく;高さは、圧力に依存して変化してもよく;
・ 異なる滴は、同一の容量を有すが異なる足跡を有してしてもよく;
・ 異なる滴は、同一の足跡を有すが異なる容量を有していてもよく;
・ 導管は、基板の表面から独立して立っていてもよく;
・ 固体構造体が、流体の一部を保持するために、かつ、前記のようなマイクロ流体装置を有する構造体内の流体の接続を可能にするためのアパーチャを有するために提供されてもよく;
・ マイクロ流体装置の流体的な特徴(導管のような)は、特徴から流体の一部を移すことによって妨げられてもよく;
・ マイクロ流体装置は、乾燥していてもよく;乾燥したマイクロ流体装置は、再構成されてもよく;
・ マイクロ流体装置は、凍結していてもよく;凍結したマイクロ流体装置は、解凍されてもよく;かつ、
・ マイクロ流体装置の特徴(滴またはリサーバーのような)の容量は、経時的に変化してもよい。
別の態様によれば、マイクロ流体装置および/またはマイクロ流体装置を製造する方法が提供され、当該マイクロ流体装置は:非パターン化された基板を有し;第1の流体を有し;第1の流体と不混和性である第2の流体を有し;かつ、次の特徴のうちの1つ以上を単独で、または組み合わせて有する:
・ 基板は、平面状であり;
・ 第1の流体と基板との間の界面の面積は、第1の流体と第2の流体との間の流体壁の界面のものより狭く;
・ 第1の流体は、非パターン化された基板上にある少なくとも1つの第1の流体の導管によって接続された、少なくとも2つの液体リザーバーを提供するように配置されており;
・ 第1の流体は、基板上に少なくとも1つの液体リザーバーを提供するように配置されており;
・ 第1の流体は、第1の流体と第2の流体と基板との間の液体−液体−固体界面によって、固定された足跡の形状で保持されており;
・ 第1の流体と混和性であるさらなる流体が、マイクロ流体装置の特徴の形状または容量を変化させ、そのことによってマイクロ流体装置を通る流れを誘導するために(受動的ポンピング)、第1の流体へと追加され/第1の流体から除去され;
・ 流体が導管内を流れている時、流体壁は変形し、導管の流れ方向における鉛直高さと断面積との変化をもたらすが、基板上の第1の流体の接触面積は一定のままであり;
・ 導管の長さに沿う平均速度の変化があり;
・ 流体装置内の圧力の均等化に起因してマイクロ流体装置中に流体の流れがなければ、導管の断面積は、チャネルの長さに沿って大部分は等しく;
・ 第1の流体と混和性であるさらなる流体が、マイクロ流体装置と同一の平面で第1の流体に追加され/第1の流体から除去され;
・ 第1の流体と混和性であるさらなる流体が、流体装置内の任意の位置で第1の流体に追加され/第1の流体から除去され;
・ 第1の流体と混和性であるさらなる流体が、第1の流体に追加され/第1の流体から除去され、導管の断面積および/または高さおよび/または形状が(結果として生じる流れに起因して)変化することを引き起こし;
・ 第1の流体と混和性であるさらなる流体が、第1の流体に追加され/第1の流体から除去されるが、基板上の第1の流体との接触面積は一定のままであり;
・ 第1の流体と混和性であるさらなる流体が、前進接触角を越えるか、または接触角がゼロになるまで下がるのに必要とされるよりも少ない容量で、第1の流体に追加され/第1の流体から除去され;
・ 任意の数の導管とリザーバーとが、流体装置を構成し;
・ マイクロ流体装置中にリザーバーがなく、かつ、それが少なくとも1つの導管のみからなり;
・ マイクロ流体装置中に導管がなく、かつ、それが少なくとも1つのリザーバーのみからなり;
・ マイクロ流体装置中に、単一のリザーバーに接続された少なくとも1つ以上の導管の装置があり;
・ 少なくとも1つのリザーバーと少なくとも1つの導管との装置があり;
・ 基板は、処理された、もしくは未処理の、細胞培養皿またはガラスであり;
・ 第1の流体は水性であり、かつ、第2の流体はフッ化炭素、好ましくはFC40であり;
・ 第2の流体が、第1の流体の蒸発を防止するために、マイクロ流体装置が作成された後で第1の流体の上に加えられ;
・ 第1の流体は、蒸発することが許容され;
・ 第1の流体は蒸発(乾燥)することが許容され、第1の流体の残留物から生じる、手触りの粗いパターン化された表面を提供し(第1の流体および/またはそこに溶解した分子の組成の選択に基づく);
・ 蒸発した(乾燥した)流体リザーバーまたは複数の乾燥した流体リザーバーは、第2の流体(好ましくは液体、好ましくはフッ化炭素)で覆われ;
・ マイクロ流体装置は、乾燥したマイクロ流体装置への流体の追加によって再水和され;
・ マイクロ流体装置は、多湿細胞インキュベーションチャンバーのような多湿環境で、かつ、好ましくは乾燥した表面上への第2の流体を通した流体の輸送に起因して、再水和され;
・ 複数のリザーバーの間には連通がなく;
・ 第2の流体は、液体であり;
・ 第2の流体は、第1の流体が基板上に配置される前に、基板表面を覆うように配置され;
・ ここで、表面上に第1の流体を配置する工程は、第1の流体の蒸発を最小限にするために、第2の流体と基板との間で起こり;
・ 流体リザーバーの出口における液体ブリッジ(または他の形態の液体連通)を通してマイクロ流体装置の任意の部分と連通する液体リザーバーからなる、能動的ポンピング機構;
・ 受動的ポンピングを用いたより良好な制御のために、能動的ポンプ(シリンジポンプのような)を配置し、マイクロ流体装置に流体を供給すること;
・ 親フルオロ性の装置を用いてマイクロ流体装置内の任意の位置でマイクロ流体装置を切断し(または、その特徴を切り離し)、そのことによって流れを止め、かつ、基板上により小さい第1の流体の特徴を作成すること;
・ 親水性の装置を用いて、ティップを、最初は連通していないマイクロ流体装置の2つの特徴と接触させることによって、または、親水性のティップを、最初は連通していないマイクロ流体装置の2つの特徴の間に引くことによって、マイクロ流体装置の特徴を結合し、マイクロ流体装置の特徴の間に連通路を作成すること;
・ 複数の切断と結合とが、経時的に複数の位置で起こり;
・ 第2の流体は、湿った表面の蒸発を防止するために第1の流体の上に追加され;
・ 第1の流体と混和性である流体が、第1の流体の元々のリザーバーと同一の足跡を維持する(かつ、好ましくは、元々のリザーバーと同一の足跡を維持する)一方で、乾燥した第1の流体のリザーバーのうちの少なくとも1つに、好ましくはリザーバーの前進接触角を越えるのに必要とされるより少ない容量で、好ましくは第2の流体を通して、好ましくは蒸発した流体リザーバーと同一の平面で、追加され;
・ リザーバーと基板との間の接触角を維持するが、流体壁の形状は変形させる一方で、現在の流体リザーバーにさらなる流体のアリコートを追加すること、および/または、現在の流体リザーバーからさらなる流体のアリコートを除去すること;
・ リザーバーと基板との間の界面の面積は、流体リザーバーと第2の流体との間の流体界面のものより小さく;
・ 第1の流体のリザーバーの完全な蒸発の前に追加される、第1の流体と不混和性である第2の流体;
・ 流体が、チューブのティップで滴を作成し、その後、滴を表面上にあるリザーバーと接触させることによってリザーバーに追加され;1つ以上の滴が、表面上のリザーバーのピン止め線の位置が前進しない限り、追加されてもよく;
・ 流体が、前進接触角まで上に、かつ、容積がゼロになるまで下に、連続した流れを送達/抽出するために、ティップを第1の流体のリザーバー内に持ってくることと、ポンピング装置を用いることとによって、追加または除去され;
・ 第1の流体(任意には、基板上に複数のリザーバーを作成するために用いられるもの)は、低濃度(例えば、<0.5%)のトレハロースもしくはリン酸緩衝食塩水(PBS)もしくは細胞培地単独またはそれらの組み合わせであり、その後、蒸発し、表面上にパターン化された構造体を残すことが許容され;
・ パターン化されたアレイは、蒸発することが許容され、かつ、乾燥したリザーバーへの第1の流体と混和性である流体の追加による、後日における第1の流体の追加によって再水和されてもよく;
・ 混和性の流体が、異なる形状もしくは容量のリザーバー(滴)を形成し、そのことによってマイクロ流体装置内に流れ(受動的ポンピング)を誘導するために、追加または除去され;
・ 流体装置は、流体のうちの少なくとも1つをその氷点より下に持ってくることによって凍結され;
・ 凍結したマイクロ流体装置は解凍され、かつ、表面上でその形状を保持し、かつ、機能的なマイクロ流体装置となり(かつ任意には、マイクロ流体装置は、マイクロ流体装置の任意の位置で混和性の流体を受け取ることが可能であり、かつ任意には、マイクロ流体装置は、第1の流体と基板との間の湿った面積と形状とを維持する一方で、流体/流体界面を変形させることが可能であり);
・ 親フルオロ性のティップが、それが基板に接触するまで第2の流体と第1の流体とを通して下げられ、かつ、基板の表面に沿って動かされ、そのことによって基板上の水性流体を通過し、該水性流体は、正面における表面から動かされ、かつ、ティップの背面においてフッ化炭素によって再配置され、表面上に第1の流体の変化した流体装置をもたらし;
・ 第1の流体の複数のパターンが、表面上で切り離され;
・ 平行する複数の親フルオロ性または親水性のティップが、類似の形状のパターンのアレイを作成し;
・ ティップは、まず第1の流体を任意の厚さの導管へと切断し、その後、分離した流体リザーバーのアレイを作成するために直交方向に切断し;
・ 切断の間隔は、平面上に流体ウェルプレートを提供するために、標準的なウェルプレートにおけるものと等しく;
・ 第1の流体は細胞培地含有細胞であり、かつ、結果として生じる表面上の流体装置は、ほぼ均等に分布した細胞数を含み;
・ 第1の切断後、異なる細胞のタイプまたは流体が、直交的な切断の前に各導管に追加され、親フルオロ性のティップが、流体ウェルプレート上にある隣接するリザーバーが異なる細胞のタイプを含むアレイを生成し;
・ 親水性のティップが、第1の流体のリザーバーの間の距離の少なくとも半分の直径を有し、かかるリザーバーの間に連通路を作成し;
・ 親フルオロ性のティップが、第1の流体を移動させ、表面上の第1の流体にパターンをもたらし、そのことによって、より小さい特徴を有するマイクロ流体装置を提供し;かつ、
・ 水性層は不混和性の流体で覆われないが、ティップは、不混和性の流体、好ましくはFC40によって湿っている。
別の態様によれば、マイクロ流体装置(任意には前記のような)を製造するためのプリンターのような装置および/またはプリンターのような装置を有するマイクロ流体装置(任意には前記のような)を製造する方法が提供され、任意には次の特徴のうちの1つ以上を単独で、または組み合わせて有する:
・ 好ましくは液体リザーバーからの流体出口と流体/基板との間に形成される、液体ブリッジ(または他の形態の液体連通)を通して基板と連通する液体リザーバー;
・ 基板に関して出口を移動させ、かつ、位置決めするように適合された位置決め装置;
・ 出口からの液体の流れが表面上の流体の跡の堆積をもたらすことを引き起こし、液体マイクロ流体装置を形成するように適合されたポンピング装置;
・ 所望の流体形状に関する情報を位置決め装置についての運動指令に変換し、かつ、ポンピング装置を駆動させ、マイクロ流体装置の形成を引き起こすように適合された制御装置;
・ プリンターは、紙の上に液体をプリントするのに用いられるような標準的なプリンター装置であり;かつ、
・ 印刷面は非吸収面であり、かつ任意には流体の表面である。
別の態様によれば、マイクロ流体装置(任意には前記のような)を製造するためのスタンピング装置および/またはスタンピング装置を有するマイクロ流体装置(任意には前記のような)を製造する方法が提供され、任意には次の特徴のうちの1つ以上を単独で、または組み合わせて有する:
・ スタンピング装置は親水性材料製であり、かつ/または、親水性表面もしくは表面部分を有し;
・ スタンピング装置は吸収剤(スポンジのような)であり、かつ/または、吸収性表面もしくは表面部分を有し;
・ マイクロ流体装置の所望の形状は、基板と接触するスタンピング装置の外形を形成し、ここで、前記装置は流体で湿っており;かつ、
・ スタンプは、基板上にパターンを残すために、基板と接触させるのに適している(任意にはここで、基板は、最初は非パターン化されている)。
本明細書に記載のすべての実施形態において、表面と第1の流体とが両方とも親水性であるか、または、表面と第1の流体とが両方とも疎水性であるかのいずれかであり、表面と第1の流体との間の適切な界面張力が、表面上の第1の流体によって規定される形状を保持するようになっている。重要なことに、第1の流体と第2の流体とは不混和性でなければならず、それらの間の界面張力が、所定の形状、例えば1つ以上の流体滴および/または流体導管を規定するようになっている。
流体導管は、マイクロスケールの高さ(例えば、約1−100または5−100または10−100μm)のものであってもよく、かつ好ましくは、それを作成するのに用いられる物体の幅とほぼ等しい幅を有していてもよい。より幅の広いチャネルは、2つのチャネルを近接して形成し、かつ、それらが結合し1つのより大きいチャネルを形成することを許容することによって作成され得る。
上記の不混和性の「第2の流体」は、ガス/空気または液体であってもよく、2つの流体の不混和性に起因して「第1の流体」とは異なる「相」を有するものとして説明されてもよい。好ましい実施形態では、周囲空気が第2の流体を提供し、ここで、第1の流体は好ましくは液体である。当業者は、表面上に所定の形状を規定するように配置された第1の相(例えば水溶液)の所定の形状が、第1の流体を「能動的に」覆う必要なく、不混和性の流体である周囲空気(すなわちガス)によって覆われるであろうことを認識するであろう。この配置は、例えば12時間より短いもののような短期間の実験にとって好ましいかも知れない。
本明細書において言及される時、用語「ラプラス圧力」は、好ましくは、湾曲した表面の内側と外側との間の圧力差と、一対の湾曲した表面の間のラプラス圧力の差とを含む。圧力差は、滴の曲率半径および/または2つの異なる流体の間の界面の界面張力によって引き起こされる。
本明細書において言及される時、用語「流体導管」は、流体を運搬するための流体通路(またはチャネル)を含む。用語「チャネル」は、用語「導管」と同義的に用いられてもよい(かつ、いずれの場合も好ましくは、平坦な表面部分の上にあり、かつ、くぼみに含まれていない流体通路を意味する)。本明細書において言及される時、用語「流体導管」は、好ましくは、互いに流体連通している多数の特徴、例えばリザーバーおよび導管を含む。用語「ネットワーク」は、用語「回路」と同義的に用いられてもよい。用語「滴」は、用語「チャンバー」または用語「リザーバー」と同義的に用いられてもよい。
本明細書において言及される時、用語「チューブ」は、流体を保持もしくは輸送するのに適した中空の円柱または任意の断面形状を有する中空の構造体(例えば、金属、プラスチック、ガラスなどの)を含み、かつ、パイプまたは流体チャンバーを含む(しかし、これに限定されない)。本明細書において言及される時、用語「針」は、好ましくは、中空針(例えば、皮下針またはその他のもの)を含み、かつ、チューブと同義的に用いられてもよい。
本明細書に記載の任意の装置の特徴はまた、方法の特徴として提供されてもよく、その逆も同様である。さらに、本発明の特定の態様における任意の特徴は、単独で提供されてもよく、かつ/または、任意の適切な組み合わせで本発明の他の態様に適用されてもよい。
図1は、単純なマイクロ流体装置100を示し、ここでは2つの流体滴102,104が流体導管106によって流体接続されており、これらはすべてプラスチックのペトリ皿のような表面108上に所定の形状で配置された第1の流体110で形成されている。この例では周囲空気である不混和性の第2の流体112が、第1の流体110を覆う。界面張力によって作成された、2つの不混和性の流体110,112の間の流体界面114が、流体110が表面108上に配置される形状を規定する。
表面108と流体110とは、好ましくは、十分な界面張力がそれらの間に存在し、表面108上で流体110の所定の形状を維持することを確実にするように選択される。このことは、流体110と表面108とが両方とも親水性であることによって達成され得る。代替的には、流体と表面とは、両方とも疎水性でもあり得た。
図2Aと図2Bとは、マイクロ流体装置200を示しており、ここでは、2つの流体滴202,204は、先に説明されたものと同様に、流体導管206によって接続されているが、ここでは、表面208上に配置された第1の流体210は、この例では液体である不混和性の流体212で覆われている。例えば、第1の流体210は水溶液であってもよく、かつ、第2の不混和性の流体212はフッ化炭素(例えば、3M Fluorinert商標 FC−40のような単一化合物パーフルオロトリ−n−ブチルアミン、および/または、3M Fluorinert商標 FC−40とパーフルオロ−n−ジブチルメチルアミン;1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロ−N,N−bis(ノナフルオロブチル) ブタン−1−アミン−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロ−N−(ノナフルオロブチル)−N−(トリフルオロメチル) ブタン−1−アミン(1:1)、C21F48N2、CAS登録番号 51142−49−5とのようなパーフルオロトリ−n−ブチルアミン混合物、および/または、3M Fluorinert商標 FC−77、パーフルオロトリ−n−ブチルアミン、CAS番号 86508−42−1、および/または、3M Fluorinert商標 FC−40、パーフルオロトリ−n−ブチルアミン、CAS番号 86508−42−1、以下ではまとめてFC−40という)であってもよい。流体212の被覆は、長方形のペトリ皿の縁の周りの固体壁によって維持される。
流体は、理想的には、「能動的な」ポンピング方法(例えば、シリンジポンプを用いる)よりはむしろ、「受動的な」ポンピング方法(例えば、静液圧差および/またはラプラス圧力の差による)を用いて、本明細書に記載のマイクロ流体装置を通して輸送される。図2Aに示されるマイクロ流体装置200では、2つの滴202,204は実質的に等しい高さであり、かつ、表面208は実質的に水平であり、ここでは重力は鉛直方向に作用している。共通の界面張力および曲率に起因して、滴202,204は同一のラプラス圧力を有し、したがって、相互接続流体チャネル206を介した滴202,204の間の流体連通は、拡散によって受動的に起こるのみであろう。
実質的に水平な表面については、受動的ポンピングは、滴202,204に見られるラプラス圧力の差を作成することによって起動され得る。このことは、滴202,204の容量を、したがってそれらの曲率半径を変えることによって達成され得る。滴202,204の間にラプラス圧力の差がある時、流れは、より高圧の滴からより低圧の滴へと起動されるであろう。例えば、同一の実質的に水平な表面上に配置されるが、流体チャネルによって接続された異なる容量を有する同一の水溶液の2つの滴について、流れは、より小さい滴からより大きい滴へとなるであろう。滴202,204の間のラプラス圧力の差はまた、滴の界面張力を変えることによって達成されてもよい。
受動的ポンピングを起動させる別の方法は、その上にマイクロ流体装置が配置された表面を、水平から離れるように傾けることである。図3Aと図3Bとは、図2Aのものと実質的に同一である(同様に番号付けされた特徴を有する)マイクロ流体装置300を示している。図3Aでは、しかしながら、マイクロ流体装置300は、滴304が滴302より上に上げられるように配向されており、ここでは、滴302,304は両方とも不混和性の流体312によって覆われたままである。各滴302,304の上にある不混和性の流体312の量は、ここでは異なり、したがって、不混和性の流体312が表面308上に配置された流体310より高密度であれば、静液圧(各流体滴302または304の上に第2の流体312によってそれぞれ奏されるPAまたはPB)は異なる。
図3Aでは、表面の傾けは、PA>PBとなる静液圧差を引き起こし、該静液圧差は、流体310が、より上げられた流体滴304に奏されるよりも、第2の流体312によってより低い流体滴302に奏されているより大きい静液圧に起因して、重力に反して、より低い滴302からより上げられた滴304へと「上向きに」流れることを引き起こす。流れは、表面308を反対に傾けることによって逆行させ得ることが理解されるであろうし、流体滴302が流体滴304より上に上げられ、したがって、より低い流体滴304より上にある不混和性の流体312の静液圧がより大きくなり、流れが上げられた滴302へと向かうことを引き起こすようになっている。
逆に、図3Bに示されるように、不混和性の流体312が流体滴302,304よりも低い濃度を有せば(例えば、滴が水性であれば、炭化水素またはガス)、その時は、流れは、上げられた滴302における流体への引力の影響に起因して、上げられた滴302からより低い滴304へと「下向きに(downhill)」起こるであろう。上記したものと同様に、流れは、表面を反対に傾けることによって逆行され得ることが理解されるであろう。
流量は、不混和性の流体312の(流体310に対する)相対密度および/または水平に関する流体滴302,304(それぞれ)の相対高度差hA,hBおよび/または相互接続流体導管306の長さおよび/または相互接続流体導管306の断面積を介して制御され得る。したがって、相互接続流体導管306を通る流体滴302,304の間の流れ方向は、流体滴302,304の内容とは無関係に制御され得る。
異なるサイズの流体滴について、ラプラス圧力の差が流体滴の間の所望の流れの方向に対抗するのであれば、流体接続した流体滴の間の高度差hA,hBは、これらの差を克服するのに十分でなければならない。流れは、表面308を水平位置に戻すことによっても、いつでも妨げられ得る。
親水性プローブ(流体210,310が親水性であれば)のような物体が、流体導管を通る流れを妨げるため、または、再開させるために用いられ得る。例えば、流れは、相互接続流体導管206,306を提供する流体の連続した跡を横切るようにプローブを引き、そのことによって流体導管206,306を「切断する」ことによって、流体滴202,204;302,304の間で妨げられ得る。流体滴202,204;302,304の間の流れは、電気回路基板上の点の間のはんだ付けと同様の方法で、流体の妨げられた跡に沿って(すなわち、流体導管206,306の切断点の間の隙間を横切るように)親水性プローブを引き、もう1度流体の連続した跡を提供することによって再建されてもよい。
原理証明実験(図示せず)では、2つの水性の滴(2−10マイクロ−リットル)が、水平に配置されたペトリ皿の親水性の表面の上に(空気を通して)堆積された。水性の滴のうちの一方は染料を含んでいた;他方は染料を含んでいなかった。乾燥した親水性プローブが、おおよそ5−100μmの高さを有する相互接続流体導管を作成するために、染料を含まない滴から染料を含む滴まで引っ張られた。次に、フッ化炭素、FC40の形態の不混和性の流体が皿に注がれ、マイクロ流体装置を変更することなく、2つの相互接続した滴を覆う隔離バリアを形成し、かつ、水溶液の蒸発を妨げた。一定の期間にわたって、染料は、相互接続流体導管を通して一方の滴から他方へと拡散すること(またはポンピングされること)ができた。
別の実験では、ペトリ皿の親水性の表面上に提供され、かつ、流体導管によって接続された2つの水性の滴を再び用いて、生物的適合性が示されたが、ここでは、マイクロ流体装置は、フッ化炭素、FC40の形態にある不混和性の流体によって覆われていた。この実験では、図3Aと図3Bとを参照して上記した流体輸送方法と同様に、一方の滴から他方の滴まで、成長培地に薬剤を含む流体滴から成長培地中のペトリ皿の表面上で成長する細胞を含む流体滴まで、薬剤(1つの例では、腫瘍壊死因子アルファであるサイトカイン)を輸送するのに、重力が用いられた。この例では、細胞は、サイトカインでの処理後に発現する(緑色)蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含み、したがって、流体の輸送が明確に証明された。
実験中、ペトリ皿は、図3Aのように薬剤を含む流体滴の上のFC40の鉛直高さを増大させるために上げられていた。このことは、薬剤を追加された培地の、その流体滴から細胞を含む上げられた流体滴への「上方向の」流れをもたらした。次に、ペトリ皿は、細胞がサイトカインに反応し、かつ、(緑色蛍光)タンパク質を発現するのを許容するために、従来のインキュベーターに配置された。上記のように、流れの方向は、皿の他の側面を上げることによって逆行され得、かつ、流量は、不混和性の流体の相対密度および/または水平に関する滴の間の高度差および/または滴の間の距離および/または接続流体チャネルの長さもしくは幅を介して制御され得る。
図4Aと図4Bとは、異なる試薬を含む2つの流体滴402,416(赤および緑の染料を用いてそれぞれ示され、図4Bにおける写真では、明るい滴402および暗い滴416として現れる)を混合し、その後それらを第3の滴404に送達し、したがってポリジメチルシロキサン(PDMS)において通常製造される通常のマイクロ流体装置を複製する基本的な機能についてのマイクロ流体装置400の使用を示している。ここでは、層流は、滴の間のラプラス圧力の差および静液圧の差によって駆動される。
図4Aは、図4Bに示される実験ではFC40で覆われている、このわずかにより複雑なマイクロ流体装置400の上面図を示している。上(上面)および側面(底面)からの図において図4Bに示される(作動の3時間後に撮られた)マイクロ流体装置400の平面図および側面図では、どのように明るい滴402および暗い滴416からの染料が、合流点(または「交差点(intersection)」)430で出会い、かつ、一時的に制御された方法で第3の流体滴404へと一緒に流れる前に、それらの分岐流体導管418,420から別々に流れるのかが明確に見られ得る。図4Bにおける拡大図は、流体導管418および420の合流点430を示す。プラスチック基板の底面からの反射は、図4Bにおける側面からの図に見られる導管の二重像を生ぜしめる。
明るい滴402用の流体導管418の分岐部分の長さを、暗い滴416用の流体導管420の分岐部分のものの約半分となるように都合することは(それらが合流点430で出会う前に)、流体導管418,420を通る流れが層状であることに起因して、流体導管418,420が同様の断面のものであると仮定すると、暗い滴416からの染料と比べて約2倍の明るい滴402からの染料の流量をもたらす。したがって、異なる試薬の流量、したがって結果として生じる第3の滴404における相対濃度は、合流点430の前の流体導管418,420の長さを変えることによって制御され得る。
図5(i)から図5(v)は、ペトリ皿上に提供され、かつ、不混和性の流体(フッ化炭素、FC40)で覆われた、より複雑なマイクロ流体装置(1つの大きい滴から第2の単一の滴(「ノード」)へ、かつ、その後、3つの滴に分割する)を通る、染料で着色された水溶液の、静液圧的に(重力)駆動された輸送を示している。マイクロ流体装置は、一定の期間にわたって上から撮られた図(i)から図(v)の順番で示されており、ここでは、3つの滴が上げられており、かつ、流体は、そのことによって、それより上にあるフッ化炭素のより大きい高さによって引き起こされるより大きい滴にかかるより大きい静液圧に起因して、14時間かけて大きい滴から3つの滴まで(第2の滴を介して)輸送された。図5(i)から図5(v)に示されるマイクロ流体回路は、リザーバーとして表面上に多数の滴を堆積させ、その後、滴を接続する導管を形成するために、表面を横切るようにティップを手動で引くことによって製造された。再び、プラスチック基板の底面からの反射は、回路の二重像を生ぜしめる。
上記の実施形態では、流体導管は、第1の流体で満たされた適切な流体送達装置(「ペン」)を用いて表面上に配置されてもよい。ペンが表面を横切るように引かれるにつれて、それは流体の跡を堆積させ、そのことによって、不混和性の第2の流体で覆われる時、表面上に流体導管を提供する。
流体は、例えば、流体滴におけるラプラス圧力を変化させるため、したがって流れを誘導するために、例えばピペット(もしくは他の適切な流体送達手段)を用いて、工程中いつでも、流体滴のいずれかへ追加され得、または、流体滴のいずれかから抽出され得る。このことは、図6Aから図6Cに示される例に示されている。図6Aでは、マイクロ流体装置600は、流体導管606によって相互接続された2つの流体滴602,604を有して提供されている。図6Bでは、流体(例えば、RPMI細胞培地)624で充填されたピペット622が、マイクロ流体装置600の右側側面にある(第2の)滴604に流体を追加するために用いられる。図6Cでは、別の流体(例えば、着色された染料)626が、再びピペット622を用いて、マイクロ流体装置600の左側側面にある他の(第1の)滴602に追加される。
上記のように、着色された染料626を含む第1の滴602からの流体の制御された流れは、2つの流体滴602,604の異なるラプラス圧力および静液圧の結果として、マイクロ流体装置600が実質的に水平である時に起きるであろう。可変の流量は、マイクロ流体装置600を、それが滴の間の静液圧の差を用いるために傾くように傾けることによって達成され得る。例えば、より多量の流体を含む(第2の)滴604が他の(第1の)滴602より上に上げられれば、第1の滴602の上の不混和性の流体のより大きい高さは、流体が第2の滴604へと「上向きに」(すなわち、重力に反して)流れることを引き起こすであろう。流量は、傾きの角度を変えることによって変更され得る。流体チャンバー602,604と流体導管606とを提供する流体を覆う不混和性の流体として(ガスよりはむしろ)液体を用いることは、最良の流量制御を提供するかも知れない。
別の実施形態では、第1の流体滴は表面上に堆積され、流体はその後、流体の跡を作成するために、同一の流体で湿ったプローブ(または「ペン」)のティップを用いて表面上を横切るように滴から引き出される。この工程は、図5において導管を作成するために用いられた。流体の跡は、好ましくは、流体滴を、表面上に堆積した別の流体滴に接続する流体導管を提供する。この方法は、流体導管を作成するために、いかなる追加の流体をも必要としないことから利益を得る。
さらに別の実施形態では、第1の流体は、表面を既に覆っている不混和性の第2の流体を通して表面上に堆積され得る。理想的には、流体は、不混和性の液体を通して導入され、それが表面と直接接触するようになっており、このことは、流体が不混和性の流体より高密度であれば、不可避的に発生する。なぜなら、流体は、表面まで不混和性の流体を通って下に沈むであろうからである。もちろん、第2の流体は周囲空気であってもよい。
しかしながら、流体が水溶液であり、かつ、不混和性の流体がフッ化炭素(例えばFC40)である場合のように、不混和性の流体が流体より高密度であれば、流体は、親水性(この例では)の表面の上に直接、不混和性の流体を通して堆積されなければならない。このことは、水溶液と表面との間の界面張力が、水溶液を不混和性の流体の下であり、かつ、表面に付いたまま維持するために、2つの滴の間の浮力の差の効果に反作用し得るようになっている。
別の実施形態(図示せず)では、1つ以上の流体導管が、流体滴なしで、表面上に提供されていてもよい。流体滴は、その時、流体導管のいずれかの端部において表面上に流体滴を堆積させるために、ピペットまたは同様の流体送達装置を用いて、後の段階で追加され得る。
別の実施形態では、非常に小さい接触角を有する1つ以上の流体滴(または他の特徴)が、表面上に提供される。小さい接触角に起因して、滴は、滴の足跡に影響を与えることなく、追加の流体を受け取り得る。このことは、規定されたピン止め線、したがって明確に規定されたラプラス圧力と高さとを有する、流体のより容易な配置を可能にし得る。
いっそうさらなる実施形態では、マイクロ流体装置は、テフロン登録商標(本明細書では、ポリテトラフルオロエチレンまたはPTFEともいう)チューブ(または、同様の装置)を不混和性の流体内に包み込まれた連続する流体滴で予め充填することによって作成されてもよい。1つ以上の滴は、その後、表面上に、それを覆う不混和性の流体とほぼ同時に堆積され得る。このことは、例えばチューブをシリンジポンプに取り付け、かつ、引くためにペンを用いるのと同一の方法で、表面上に第1の流体の所望の形状を引き出すためにチューブのティップを用いることによって達成され得る。
例えば、滴が水溶液であれば、チューブはまず、フッ化炭素(例えば、FC40)のような不混和性の流体で充填される。ポンプはその後、チューブの端部が例えば96−ウェルプレートにおける異なるウェルに含まれる水溶液に連続的に入れられ(「回収(withdrawal)」モード中)、かつ、すくい上げられる(「停止」モード中)ので、「回収」モードと「停止」モードを繰り返す。
交互浸漬工程は、チューブを、チューブの壁を「湿らせる」、不混和性の流体内に包み込まれた水溶液の連続した滴で充填し、水溶液の滴(および、それらの中の任意の水溶性試薬)がチューブの壁に触れることがないようになっている。チューブはしたがって、(充填中、異なる水溶液を含む異なるウェルに入れられれば)一連の異なる滴で充填され得;水溶液の各滴は、不混和性の液体によって次の滴から分離される。
一旦このように充填されると、チューブに取り付けられたポンプは、表面上に不混和性の液体中に包み込まれた水溶液の滴を射出するために用いられ得、ここでは、流体と表面との間の界面張力が、マイクロ流体装置のパターンを、それが表面上に堆積された形状で維持する。
いっそうさらなる実施形態では、マイクロ流体装置は、流体を、所望されない領域からそれを取り除くために再配置するために、疎水性ティップを用いることによって作成されていてもよく、残りの流体が所望のマイクロ流体装置を形成するようになっている。例では、水性の流体の層が基板上に堆積される。水性の流体はこの段階で非パターン化され、かつ、表面上に薄いフィルムを形成するのみである。その後、ティップが表面に沿って引っ張られ、このことは、特定の領域における水性の流体を移動させ、かつ、他の領域におけるそれを残し、所望の形状を形成する。例えば、正方形のチャンバーのアレイの形成のために、線の格子が引かれる。より複雑な形状が、等しく可能である。水性の流体が再配置され、かつ、フッ化炭素のような(ガスと比較して)相対的に高密度である別の流体と置換される場合、移動は特に有効である。フッ化炭素は、パターニングの前に水性フィルムの上に便宜に重ねられる。例えば、親フルオロ性で疎水性のティップ(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ティップ)は、被覆に浸され、その後、水性フィルムを通して表面まで浸される。水性フィルムは、動かされ、かつ、フッ化炭素と置換される。ティップが親フルオロ性であるので、それは、それとともにフッ化炭素を引きずり、かつ、移動した水溶液を置換するのを補助する。このことは、図53を参照して、下記でより詳細に説明される。
図7は、実験的なマイクロ流体装置における、相互接続した流体滴の間の流体の、形成および静液圧的に駆動される輸送の例を示している。複数の流体チャネルが、接着細胞株に適したポリスチレン細胞培養皿(表面を提供する)に形成され、かつ、フッ化炭素で覆われた。実験は、次のように実行された:
(i)水平の配向で、RPMI培地の1μlの滴10個が、理想的には基板表面の真上に配置された、刃先の鈍い(blunt)ステンレス鋼の針を通して培地を注ぐことによって形成された長さ20mmの流体チャネル10個によって接続され;針はその後、ロボットを用いて、予め規定された順番で移動した。有効なことに、液体「ブリッジ」は、針(「ペン」)と親水性の表面との間に形成され、水性の流体が、表面に関する針の運動によって表面上に任意のパターンを形成することを許容する。流体チャネルを作成するために、シリンジポンプは、10mm/sの移動速度で300nl/sの流体を堆積するよう設定された。結果として生じる流体導管の幅は、40のランダムな位置で測定され、かつ、平均の4%より小さい標準偏差を有する484μmであることが見出された。回路はその後、FC40で覆われた。
(ii)4μlの(赤色)染料溶液が1μlの流体滴の一番上の行に追加され、かつ、写真が染料の追加後〜1時間撮られ、水平配向で維持されている間は、流体導管を通る(赤色)染料の流れがなかったことを示した。
(iii)異なる相対高度における流体滴を有する流れ。培養皿(表面)が、水平に関して7°の角度で傾けられ(すなわち、着色された(赤色の)滴が、(透明な)培地の滴より下に動かされ)、図7の下部に示される赤い流体滴の行からチャネルを通ってより高い滴に向かう流れをもたらし(すなわち、流れが「上向き」であり);画像が皿の角度を変更した直後〜60秒撮られ、種々のチャネルにおける流れの繰り返し性を示した。ここおよび次のパネルで見られるより明るい流体滴は、皿の底面からの最初の流体の反射であり、かつ、それらは、皿の傾斜に起因して、最初の滴の間に現れる。
(iv)(透明な)培地の滴は、流体チャネルを通して供給される(赤色)染料の追加に起因して、より大きく成長し始め、この画像は、皿を傾け、流れが開始した後400秒撮られた。
(v)典型的な流体回路の側面図は、2つの滴がやがては同一のサイズを有するに至ること、および、赤色染料が一方から他方へ輸送されたことを示す。
図8は、滴の間のラプラス圧力の差と静液圧差の組み合わせによって駆動される層流を用いる、濃度勾配「デバイス」の例を示している。流体導管は、外径0.61mmの(ステンレス鋼の)針(図示せず)を用いて、600nl/秒の一定の注入速度で形成された。(表面より上にある)針の移動時間を変えることが、それらの位置における流体滴の形成を可能にした。中間にある合流位置の後のより大きい流体導管の幅は、作成時、合流点の後で各流体導管の位置を0.5mmオフセットすることによって取得される。かかるデボイスは、典型的には水平な表面上で作動し、かつ、(ピペットティップを用いて)流体滴内に堆積される最初の容量は、源となる流体滴(左)については10μlであり、かつ、シンク(sink)(右)の流体滴については20μlであった。流体導管は、高さ4mmのフッ化炭素で覆われている。
より詳細には、図8は次のことを示している:
(i)2つの「入口」を有するデバイス(two−‘inlet’ device)を用いて作成される濃度勾配。(分岐)入口を提供する流体導管は幅が600μmであり、かつ、勾配流体導管(交差点/合流点の後)は幅が1030μmである。源となる流体滴からの流れは、流れと直角をなし、かつ、流れ方向にある濃度勾配をもたらす。
(ii)接続流体導管の高さを示す、(i)における「デバイス」の側面図。また注目すべきは、混合溶液をもたらす「シンク」の流体滴であり、したがって、デバイスはまた、ミキサーとしても役立つ。
(iii)3つの入口を有する勾配生成器(gradient generator)、入口流体導管は幅が600μmであり、かつ、勾配流体導管(合流点の後)は幅が1550μmである。滴は、最初は1μlの容量である。流れを始動させるために、10μmの培地と、10μlの赤い染料と、10μlの青い染料と、20μlの培地とが、左側の滴とシンクとにそれぞれ、手でピペットを用いて移された。挿入画像は、形成後および作動中の両方の合流点を示しており、ここでは、より明るい(赤い)流体の流れは、合流点の後で狭くなり、3つの流体の流れの中心において、より高い速度と高さとに起因して「流れを集中させる(flow−focussing)」。
(iv)流体導管および滴の高さを示す、(iii)における「デバイス」の側面図。
図9は、図8で形成されたものに類似する(かつ、滴の間のラプラス圧力の差によって駆動される層流もまた有する)マイクロ流体装置を示しており、ここで:
(i)マイクロ流体装置は、流体滴内への溶液の堆積の前に形成されることが示されている。拡大「挿入」図は、作動中の流体導管の間の合流点を示している(位相差・明視野画像)。
(ii)左側の源となる滴において(赤色)染料および細胞培地の流体が逆流している、図8iiiにおけるものと同一の装置を示す。拡大「挿入」図は、作動中の流体導管の間の合流点を示している(位相差・明視野画像)。
(iii)濃度勾配を作成するための5つの入口を有する「デバイス」または潅流システムが示されており、ここでは、細胞は、5つの異なる溶液に同時に曝露される一方で、より幅の広い流体導管における表面上で成長するかも知れない。
[流れは、各画像において左から右である]
いくつかの応用では、長期間の間、層状の流れを通る一定の流れを維持することが所望される。例は、導管内の1つの位置において成長する接着細胞を、一定の濃度の薬剤(青い染料によって図8および図9に示される例で示される)に曝露し、かつ、異なる位置における細胞を、異なる(が一定である)濃度の同一の薬剤に曝露する応用である。図8および図9に示されるY形状(かつ三叉形状(trident−shaped)、かつ重送(multi−feed)入口)の回路は、これをするために用いられ得;図8(i)および図9(i)に示されるような簡単なY形状の回路の適切なプロトコルは、ここでより詳細に説明される。まず、いくぶんの培地が、左側(左上および左下)において各滴から除去され、その後、少量の青い染料が、左上において滴に追加され、かつ、等しい容量の培地が、左下において滴に導入される。ここで、左側にある両方の滴は、右側にあるものよりも大きい曲率を有し、したがって、ラプラス圧力の差は、左から右へと培地を駆動させる。合流点(細胞が導管内で成長している)の後、2つの流れは並んで流れる(図8(i)および図9(i)においてより下にある挿入図は、合流点後の層流を示している)。かかる層流の間、青色の染料は、上の流れから下のものへと拡散し;結果的に、より低い流れにおける青色の染料の濃度は、導管の長さに沿って次第に増大し、したがって、この導管内の任意の点における細胞は、流れが同じ量で続く限り、一定の薬物濃度に曝露される。
経時的に、左側および右側にある滴の間のラプラス圧力の差は小さくなり、かつ、流れは、流体が、左側にあるより小さい滴から右側にあるより大きいものへと輸送されるにつれて減少する。したがって、ラプラス圧力の適切な差を維持する一方で、左側にある滴においてできるだけ大きい容量を有することが有用である。このことは、4つの導管(または6つの導管など)の合流点を作成するために、左側にある入力の滴および導管の数を2倍にすること(もしくは3倍にすること、または、より一般的には増加させること)によって達成され得る。流れは圧力差(かつ、圧力は曲率、したがって滴の半径に基づく)と、半径の3倍である源となる滴の容量のスケールとに正比例するので、源となる容量は、増大し得る。したがって、30Paのラプラス圧力を有する1つの左側の滴は、それぞれ15Paのラプラス圧力を有する2つの滴によって(同一の容量を維持するために)置換され得、容量の8倍の増大を達成する。
図10は、図9に示されるものと同様の「デバイス」を示しているが、層流が重力によって駆動されており、かつ、ここでは、流体滴のマイクロ流体装置と相互接続導管とは、表面上の配置を規定する不混和性の流体としての(周囲、大気)空気によって覆われた流体で形成されている。この「デバイス」は、表面を傾けること、および、重力を利用することによって作動する。表面の角度とラプラス圧力の差とは、流量を決定する。多湿環境でこの「デバイス」を用いる時、流体導管のサイズの注目すべき変化が5時間後見られなかったことが見出された。
図11は、濃度勾配を作成するための、または、潅流実験用の流体「デバイス」を提供する、マイクロ流体装置の例示的なアレイを示している。12個の個別のマイクロ流体装置のツーバイシックス(2 by 6)のアレイが見られ、各回路は、より大きい導管を形成するために接合点において結合し、その後、シンクの滴に至る3つの入口の滴を有する三叉形状を有する。
図12は、水平な表面上の3つの接続した滴の間の流体輸送を示しており、該流体輸送は、滴の間のラプラス圧力の差によって駆動される。流れは、青色の染料を、左側にある最も小さい滴から右側にあるより大きい滴へと駆動させる。より詳細には:
(i)30分の作動後、(青色)染料は、異なる曲率(と、滴より上にあるより高密度である第2の流体の異なる高さによって引き起こされた液圧と)によって引き起こされたラプラス圧力の差に起因して、真ん中の滴へと移動し始めた。
(ii)12時間の作動後、第1の滴はほぼ空であり、かつ、その流体は真ん中の滴へと移動しており、かつ、真ん中の滴からの流体は右側の滴へと輸送された。
図13は、「希釈液生成器(dilution generator)デバイス」を提供するために用いられる、より複雑なマイクロ流体装置を示すものである。上面における長方形のリザーバーは、異なる長さの3つの導管に接続されている。
図14は、時が経つにつれて、0.66mmの幅の流体導管を介して、18μlの容量を有する水平な表面上にある流体滴と、20μlの容量を有する流体滴との間をポンピングされた流体の流量(単位は1秒毎のマイクロリットル)を示すグラフである。ポンピングは、ラプラス圧力の差と静液圧差との組み合わせによって達成される。経時的に、滴の間の圧力差が減少し、かつ、流量が減少する。
第1の流体は、マイクロ流体装置を規定するために表面上に堆積されてもよいこともまた見出されており、該マイクロ流体装置は、乾燥することが許容され、かつ、その後、表面上の同一の位置へのより多くの第1の流体の追加によって後に再構成され得る。例えば、流体回路は空気中に形成されてもよく、かつ、液体は蒸発することが許容され;その後、乾燥した溶質が、図15Aに示されるように表面上に回路のパターンを残すために、表面上に残される。乾燥した回路は、その後、回路の各端部に大量の親水性の流体を追加することによって、後に再水和されてもよい。図15Bは、流体が、乾燥した導管を満たすために、各端部から中央に向かってウィッキングされている(流れている)ことを示している。一旦乾燥した流体導管が完全に再び湿らされると、図15Cに示されるように、マイクロ流体装置(図15Aから図15Cに示される例では、両端に円形の滴を有する直線状の導管)は、その後、従来の方法で用いられてもよい。
図16Aは、乾燥することが許容された、マイクロ流体装置(三叉形状の回路)のより複雑なパターンを示している。図16Bでは、流体導管は、右側にある円形のリザーバーのそれぞれに大量の親水性の流体を追加することによって再水和された(流体はまず、下部のリザーバーに、最後に上部のリザーバーに追加された)。図16Cは、もう一度完全に湿らされ、使用の準備ができたマイクロ流体装置を示している。
図17は、(i)空気および(ii)フッ化炭素(FC40)において形成された流体導管の異なる幅を示している。先に説明されたのと同一の方法を用いて、流体導管が、(i)大気空気に開かれた細胞培養皿および(ii)フッ化炭素を含む細胞培養皿の清潔な表面の上に形成された。フッ化炭素において作成された流体導管は、空気において作成された流体導管と比較して20%低減した幅を有したことが見出された。両方の画像は、明視野光源を用いるコントラスト顕微鏡法(contrast microscopy)を用いて撮られた。
図18は、流体導管によって接続されていない個別の反応チャンバーを提供するために配置された、流体滴1802(または「反応チャンバー」)のアレイを示している。流体滴1802のアレイは、第2の流体と不混和性である第3の流体によって覆われていてもよい。流体のアリコートが、必要であれば、変化する濃度において、流体滴1802のそれぞれに追加または除去され得る。さらなる流体のアリコートが、例えば、流体滴内の反応を完成させるために流体滴1802に追加されてもよい。
流体滴および/または導管を形成する方法が、次の例を利用して、ここで説明されるであろう。
外径0.49mmの刃先の鈍い針が、直径220μmのPTFEチュービングを介して、Harvard Ultraシリーズのシリンジポンプによって制御された、RPMI培地で予め充填されたシリンジに接続された。針は、3D横行(travese)システム(Z−400、CNC Step、ドイツ)に取り付けられた。予めプログラミングされたシステムを用いて、針のティップが、水平の配向にある一方で、ペトリ皿の基部に近付けられた。
2つの流体滴を接続する単一の流体導管を含む1つの回路を形成するために、シリンジポンプは、針が、滴が基板上に形成された固定位置に留まったままである一方で、300−2000nl/秒の量で注入するよう設定された。針は、その後、流体導管を形成するために、シリンジポンプからの固定注入量(300−2000nl/秒)で、固定速度(2−20mm/s)で表面に沿って横切った。一旦針が必要とされる流体導管の長さを横切ると、横断が停止され、かつ、第2の流体滴が、第1のものと同一のシリンジポンプ注入条件を用いて形成された。針は、その後、基板表面から引き込まれ、かつ、同じ順序が、任意の数の追加の流体導管を形成するために繰り返された。
堆積した流体の蒸発を妨げるために、フッ化炭素(不混和性の流体)が、その後、流体導管と滴とを覆うために用いられた。代替的には、流体チャネルと滴とは、予め充填されたフッ化炭素のリザーバー内に形成され得たが、この代替的な方法は、数百の流体導管を引くことのように、形成工程に非常に時間がかかるかも知れない時に有用である。平行な流体導管は、同一のシリンジポンプに10個までのシリンジを単純に追加すること、したがって回路形成量を一桁違いで増大させることによって容易に製造し得た。
図19(i)−図19(v)は、例示的な多チャネル「放射状ミキサー」マイクロ流体装置を説明する一連の画像を示している。図19(i)は、表面(6cmのポリスチレンペトリ皿)上にある、いかなる染料もないマイクロ流体装置を示している。図19(ii)では、染料が各滴に追加されたが、該染料は、図19(iii)に示されるように、中心に接続した流体滴に向かって各流体導管に沿って徐々に運搬される。図19(iv)は、分離した流体が、それらが中央の滴に到達するとすぐ一緒に混合し始めることを示しており、かつ、図(v)では、マイクロ流体の縁の周りで各滴から分離した流体は、中央の流体滴において一緒に混合されることが示されている。流れは、周囲の滴と中央の滴との間のラプラス圧力の差によって駆動される。
図20から図23は、本明細書に記載の方法を用いて作成され得る、いくつかのさらなる例示的なマイクロ流体装置を示している。
図20は、「希釈系列生成器(dilution series generator)」装置を示しており、ここでは、第1のステップにおいて、オレンジ色のリザーバーの滴(左下)からの流れが確立され、かつ、第2のステップにおいて、青色のリザーバーの滴(右上)からの流れが確立され、変化する量のオレンジ色および青色の染料が、10個の分岐の滴において堆積されるようになっている。両方のステップにおいて、流れは、滴の間のラプラス圧力の差によって駆動される。
図21は、図20に示された例に類似する、代替的な「希釈系列生成器」装置を示しているが、分岐の滴は、異なる長さの供給導管を有している(5つが短く、4つがより長い供給導管)。上の画像は、(上面における導管の左側の端部への)オレンジ色の染料の追加後であるが、青色の染料の追加前の回路を示しており;かつ、より下の画像は、(上面における右側の端部への)青色の染料の追加後の回路を示している。
流体の流れを引き起こす方法が、次の例を利用して、ここで説明される。ノズル、例えば刃先の鈍い針が、充填されたチューブによって、周囲と同一の圧力において、流体のリザーバーに接続される。ここで、ノズルのティップがリザーバーの水平面の真下に下げられる時、結果として生じる小さい静液圧的である水頭圧(hydrostatic head of pressure)が、ノズルのティップからの流れを駆動させる。システム内の圧力低下は、ティップにおける滴が半球体を形成する時に最も大きくなる。ノズルのティップ上にある滴の界面にわたるラプラス圧力は、静液圧的である水頭圧が不十分であれば、流れを止めるであろう。ノズルのティップにおける液体がここで表面と接触すれば、ノズルと表面との間の液体ブリッジが生じる。このことは、ノズルのティップにおける液体の曲率、したがってラプラス圧力を低減する。結果的に、流体は、今や静液圧的である水頭圧に比例する流量で、ティップから流れる。ティップが表面から引き込まれる時、流れは、ノズルのティップにおける増大したラプラス圧力に起因して止む。これが、どのように図21に示された回路を通る最初のオレンジ色の染料の溶液およびその後の青い染料の溶液の流れが制御されたかである。この配置はまた、表面に沿ってノズルを移動させることによって回路を引くために用いられ得る。
図22は、「8つのチャネルを有するミキサー(eight−channel mixer)」装置を示している。右上の角の挿入図は、合流点における層流を示している。図23は、「8つのチャネルを有するスプリッター(eight−channel splitter)」装置を示しており;両方とも、流れを駆動させるために、滴の間のラプラス圧力の差を用いる。
Nunclon「delta」表面の直径60mmの細胞培養皿が、例えば、マイクロ流体を形成するために基板として用いられてもよい(1つは図23および多数の他の図示された例で用いられた)。いくつかの細胞培養皿は、細胞培養のためにプラズマ処理されており;このことはまた、マイクロ流体回路を形成するための有用な表面特性を提供するかも知れない。
従来のマイクロ流体回路は、固体(典型的にはプラスチック)に埋め込まれており、かつ、回路内の流体は、固体壁によって制限されている。本明細書に記載の回路は、均一で平坦な非パターン化された表面上に形成され、かつ、それらは、流体(例えば、空気、油、FC40)によって−かつ固体壁によってではなく、表面の特定の領域に制限される。固体壁によって含まれていない従来の開放型のマイクロ流体回路は、回路のトポグラフィーを規定するために平坦な表面に溝を形成すること、または、代替的には、回路のトポグラフィーを規定するためにはっきりした疎水性の領域と親水性の領域とを規定するために表面を化学的に修正すること(機能付与すること)のいずれかによって製造されていた。対照的に、本明細書に記載のマイクロ流体装置は、平坦であり、かつ、均一な表面化学を有する非パターン化された表面上に形成される。
マイクロ流体装置のいくつかの重要な態様は:
・ 流体(固体ではない)の壁を有し;
・ 流体1と表面との間の界面の面積は、流体1と流体2との間のものより小さく;
・ 流体が、既存の導管に即して流体を追加することによって、および/または、リザーバーに流体を追加することによって、ネットワークを通してポンピングされてもよく;
・ 導管が、変形してもよく、かつ、流れ方向に断面積/形状/高さのバリエーションを有していてもよく(このことは、次に曲率半径が変動することを引き起こす圧力勾配の発生から生じ);流れがなければ、導管は、その長さに沿う均一な形状と高さとを有し(導管の足跡がその長さに沿って均一であることが条件);
・ 回路/アレイからの流体の追加または除去が、不混和性の流体の間の界面の面積を変えてもよく;
・ 回路/アレイの特徴の断面形状と断面積とが、変形/変化してもよく
・ 導管の高さが、流体がその導管を通って流れている時、または、流体が滴もしくは回路に追加される時、導管の長さに沿って変化してもよく(マイクロ流体装置の足跡が変わらないことが条件);
・ 例えば、表面におけるくぼみによって形成されたチャネル内ではなく、平坦な、および/または、非パターン化された表面の上に形成され;
・ 流体が、回路または滴における任意の点に追加(または、任意の点から除去)され得(すべての点が、表面上のすべての方向から容易にアクセス可能であるので);かつ、
・ 流体がシステムにおいてポンピングしており、かつ、チャネルが水平な平面上にある時、リザーバーは、(それらは、幾何学的に類似の足跡を有するが)入口と出口において異なる形状を有するであろう。
本発明のマイクロ流体装置の種々の特徴と、本発明のマイクロ流体装置(滴の回路およびアレイの両方)を設計するための選択肢とが、ここでより深く説明される。
滴の形状
単離された滴の形状−および、とりわけそれらの足跡−は、
(i)平坦な表面上の高密度のアレイ内にできるだけ多くの滴を包むこと、
(ii)隣接する滴が合流しないことを確実にすること、および、
(iii)足跡を変更することなく、滴への流体の追加/滴からの流体の除去を可能にすること(このことは、平坦な表面上の滴のアレイがマイクロタイタープレートに置き換わることを許容するであろう)
のために重要である。
空気において表面上に円形の足跡を有する単離された水滴を考慮せよ(FC40で覆われた円形である水性の滴のアレイの図18に示される配置に類似する)。接触角(滴が固体に出会う角度)は、(固体/水)、(水/空気)および(空気/固体)の間の界面張力によって決定される。接触角ヒステリシス(contact angle hysteresis)に起因して、前進(最大)接触角が、平衡接触角よりも大きくなるように形成され得、かつ、後退(最小)接触角が、平衡接触角よりも小さくなるように形成され得る。特定の量の追加の水が、円形の足跡を変更することなく、滴に追加され(または、滴から除去され)得;足跡の限界を規定する接触線は「ピン止めされ」、かつ、接触角は、前進最大接触角(または後退もしくは最小接触角)の限界まで増大(または減少)する。しかしながら、水がこれらの限界を超えて接触角を変えるために追加(または除去)されれば、足跡の表面積は増大(または減少)する。流体が所定の表面上にうまくピン止めされない場合、流体への親水性分子の追加は、接触角の減少およびピン止めの促進を助け得る。
ここで、空気におけるポリスチレン表面上のおおよそ半球形の水滴の形状を、FC40下の同一容量の水滴と比較せよ;平衡状態で、空気下の円形の足跡は、FC40下のものより大きい直径を有する(FC40下の接触角がより高いので)。ここで、空気において作成された水滴の形状の上にFC40被覆を追加する効果を考慮せよ;「ピン止め」は、足跡の直径が不変のままであることを確実にする。さらに、より多くの水が、足跡の面積を変えることなく追加(または除去)され得る。例えば、培養処理されたポリスチレン基板の上の空気において〜50度である平衡接触角を有する細胞培地の滴は、FC40で覆われた時、〜70度である平衡接触角を有し、そのことによって、球体のキャップ(cap of a sphere)によって示される形状を維持する一方で、湿った足跡の面積を変えることなく〜60%の追加の流体の追加を許容する。実際、前進接触角が平衡接触角より大きいので、さらにより多い容量が追加され得る。さらに、滴が浮力効果が重要になるほど十分大きい時、さらにより多い流体が、最初の滴のサイズに追加され得る。
上記のピン止め効果の結果を示すために、いくつかの例が続く。第1の例では、〜0.27マイクロリットルの水滴が、空気においてポリスチレン表面上に引かれ、円形の足跡は、直径3mmであり;滴は、〜5度の接触角(これは、湿った面積に関して容量が非常に少ないので、平衡接触角より小さい)と、ほぼ0.075mmの最大高さとを有する。この滴の(高さ:幅)アスペクト比は、ほぼ(1:40)である。「ピン止め」の失敗に起因して足跡が増大する前に、2.5マイクロリットルまでこの滴に追加され得る。水滴が空気ではなくFC40下であれば、足跡が増大する前に、4.32マイクロリットルが追加され得る。第2の例では、〜0.27マイクロリットルの水滴が、直径4mmの足跡と、〜2度の接触角とを有する。この例では、滴はほぼ0.04mmの高さを有する。この滴の(高さ:幅)アスペクト比は、ほぼ(1:100)である。足跡の増大なく、滴は、空気において6.3マイクロリットルまで、かつ、FC40下では10.2マイクロリットルまで含み得る。したがって、滴中の多くの複数の流体が、足跡を変えることなく追加され得る。任意の他の直径の滴によって含まれ得る流体の容量を判定することは、直径の3乗の割合であり−したがって、1mmの直径を有する滴は、4mmの直径のものの(1/4)3の容量を保持する(かつ、空気では〜100nl、かつ、FC40では〜156nl)。
より大きい水滴を用いると、FC40被覆は、より多くの水が、足跡を変えることなく、ポリスチレン表面上にある予め存在する水滴に追加されることを許容する別の効果を有する。より大きい滴を用いると、重力がより重要になり;それは、(より高密度である)FC40と水との間の浮遊密度の差を通して作用し、「ピン止め」に連結される。FC40下での「ピン止めされた」水滴へのより多くの水の追加は、足跡の面積を増大させることなく、滴の鉛直高さを最初は増大させる(水は、上方向に浮くためにFC40を通って上がる傾向にあるので)。このことは、よりいっそう多くの水が、足跡を増大させることなく、滴に追加され得ることを意味し(すなわち、滴が、柱形状または釣鐘形状を有して、より背が高くなる)−かつ、このことは、上記の利点を有する、滴のより狭い間隔を許容し得る。
上記のように表面上に流体を「引く」方法を用いることは、滴が、非円形の足跡(例えば、円形の代わりに、正方形、六角形または星形)を有するように作成されることを許容する。例えば、正方形の滴を作成するためには、多数の流体の直線(等しい長さ)が並んで引かれ、隣接する導管が正方形を形成するために合流するようになっている。正方形の足跡を有する滴のアレイの場合、足跡は、基板の面積のより大きい部分を占め得る(このことは、−例えば−各滴内で成長する接着細胞の数を最大化することが有益であれば、有利であり得る)。このようにプリントされる正方形の足跡を有する滴における流体の高さは、等しい容量を有し、かつ、円形の足跡を有し、かつ、表面上の1つの点において空気において堆積された滴における流体の高さより非常に低くなり得る。
例では、組織培養皿の表面上にある滴における接着ヒト細胞の均一な分散が所望される。1つの例では、細胞成長培地の滴が、空気において表面上に堆積され、その後、浮遊状態の細胞が、(ピン止めなしで)滴に追加され;滴の円形の足跡の半径がその平衡条件までゆっくり増大する一方で、細胞は表面まで素早く落下する傾向にある。このことは、足跡の中心への細胞の集中をもたらし得、周辺にはより少ない細胞しかない。ここで、より大きい足跡とより平坦なプロファイルとを有する滴を形成するために、同一の容量の成長培地をプリントすることを考慮せよ。。接着細胞を含む培地が、ここで、足跡を増大させることなく、この滴に追加され得る。さらに、流体の流れが、流体/細胞が滴全体に素早く広がり、それらがその後足跡で全体にわたるより均一な分布をもって表面上に堆積するようになることを確実にする。均一な分布を取得するために、まず、平衡接触角より小さい接触角を有する滴を表面上に形成し(相対的に「平坦な」滴を提供する)、その後、滴の足跡を変えることなく滴にさらなる流体を追加することが好ましく、新たに追加される成分が、滴全体に等しく分配されるようになっている。続いて追加される流体は滴のほとんどにわたって広がるので、追加の流体との混合は、より均一かつ急速である。
異なる滴は、回路を通る流れを制御するために用いられてもよい異なる内圧を有し得る。このことは、以下でより詳細に説明される。
導管の形状
導管は、滴について説明されたのと同一の一般原則を用いて成形される。導管の幅は、円形のノズルから、より多くの流体、もしくは、より少ない流体を射出することによって、または、異なるサイズおよび形状のノズルを用いることによって、または、基板とノズルのティップとの間の距離を変えることによって、または、図17(以下でより詳細に説明される)のような被覆流体の選択によって、制御され得る。さらに、複数の流体の導管が近接してプリントされ得、それらが合流して1つのより幅の広い導管を形成するようになっている。並んでおり、かつ、合流することが容認された複数の導管は、任意の幅の導管を形成し得る。このことは、導管が保持し得る流体の量を制御する;例えば、6mmの幅の導管は、同一の接触角を有する3mmの導管のほぼ8倍多くの流体を保持する。導管の高さと断面プロファイルとは、異なる不混和性の流体(例えば、空気、油、FC40)を用いて制御され得る。導管の高さはまた、導管の幅に沿って変化し得る;流量(時間単位の質量移行)は導管に沿って不変であるので、変化する導管の高さは、局所速度に重大な影響を有し−かつ、ラプラス圧力の項目において以下でより詳細に説明される。変化する導管の断面プロファイルおよび長さは、その時、導管を通る流れを制御するために用いられ得る。導管に沿った異なる位置における変化する局所速度は、導管に沿って成長する細胞上の剪断の効果を評価するために用いられ得る(例えば、心臓/循環器系の病理学において興味深い)。合流点において(例えば、T形合流点または導管が滴と結合する場所において)、導管の形状および方向は、滴への層流の最初の方向と量とを制御するために用いられ得る。
図17に示されるように、被覆流体は、パターン化された流体の幾何学に影響する;例では、FC下で引かれた導管は、空気において引かれた同一の導管と比べて幅が〜20%狭い。
回路中の流れを操作すること
導管を通る流れは、導管の断面積/プロファイルおよび長さならびに流体粘性に正比例する。ここでの説明のために、我々は概して、(逆のことが言及されない限り、)例として、ポリスチレン皿における単純な回路を用い、該回路は、球形の足跡を有する等しい容量の2つの水性の滴(滴Aおよび滴B)からなり、該滴は、滴を結合する直線状の水性の導管によって接続されている;回路はFC40で覆われており、かつ、皿は水平である(図2Aおよび図2Bに見られるように)。
1 能動的方法。
(i)外部ポンプ。例えば、水で満たされ、かつ、シリンジポンプに接続されたチューブのティップは、滴Aの表面の下に挿入され、かつ、水で満たされた別のチューブのティップは、滴Bの表面の下に挿入される(他端は、廃棄物リザーバー(waste reservoir)に接続される)。水がBから出て廃棄物リザーバーへと流れるので、シリンジポンプは、その時、滴Aに水を注入し得る。変形では、滴Aおよび滴Bは省略される;代わりに、シリンジポンプに接続されたティップが、表面上にある流体導管に直接挿入され、かつ、廃棄物リザーバーに接続されたティップが、流体回路における適切な下流の位置において同様に挿入される。シリンジポンプは、その後、導管に水を注入し得、かつ、水は、導管を通り、廃棄物リザーバーへと離れるように流れる。例は、外部ポンプによって駆動される流れについての両方の変形を示すために、図40−図45を参照して以下で説明される。
(ii)電界。電極が、滴Aおよび滴Bに挿入され、かつ、電界が、その後、一方または他方の電極に向かってアニオン、カチオンおよび荷電粒子を駆動させ得る。
(iii)磁界。磁気ビーズまたは粒子が滴Aに追加され、磁石が滴Aの近くに位置決めされ、かつ、磁石は滴Bへと横方向に引きずられる;結果的に、ビーズ/粒子は、AからBへと輸送される。
2 受動的方法。
(i)重力。FC40で満たされていない皿が、水平から傾けられ、したがって、水が、回路を通って下向きに流れる。
(ii)界面張力と組み合された重力が、図21を参照して上記したように、ノズルを通る流体の流れを開始し、かつ、制御するために用いられる。簡潔に言えば、ノズルは、満たされたチューブによって、ノズルと同じ高さで、満たされた流体のリザーバーに接続される;結果的に、システムを通って流れる流体はない。ノズルのティップがここで下げられれば、流体がノズルから出て流れ、半球体(ノズルの内径によって規定される直径を有する)を形成するまで成長する滴を形成する。ノズルのティップ上にある滴の界面にわたるラプラス圧力は、静液圧的である水頭圧が不十分であれば、流れを止める。ノズルのティップにおける液体が表面と接触すれば、ノズルと表面との間に液体ブリッジが形成される。このことは、ノズルのティップにおける液体の曲率を、したがってラプラス圧力を減少させる。結果的に、流体がティップから流れる。ティップが表面から引き込まれる時、流れは、ノズルのティップにおける増大したラプラス圧力に起因して再び止む。この種のアプローチは、多くのシリンジポンプを用いることが法外に高価になる高いスループット用途について、特に魅力的かも知れない。それはまた、シリンジに含まれ得る少量よりはむしろ、リザーバー内の多量の流体がプリンティングティップに供給され得るので、より速いかも知れない。
(iii)静液圧を通して作用する重力。FC40で満たされた皿が、滴Bが滴Aより高くなるように傾けられる;結果的に、滴Aの上のFC40の深さは、滴Bの上のものより高く、かつ、滴Aに作用するFC40のより高い「静液」圧は、水を、滴Bへと上方向に駆動させる(図3Aおよび図3Bに示されるように)。静液圧を通して作用する重力の特別な場合は、図2Aのもののような水性の回路が少量のFC40で覆われており、相互接続導管が覆われているが(蒸発を限定するため)、2つの滴のうちのいずれも完全には覆われていないようになっている場合である。流体がここで左側の滴に追加されれば、その滴における水の静液圧は、流体を左から右へと駆動させ得る(2つの滴の間のラプラス圧力の差を克服するのに十分であれば)。代替的には、チュービングが、より高所またはより低所にある一方の滴を別のものに接続するために用いられ得た。
(iv)拡散。NaClのような溶質が、滴Aに追加される;ナトリウムイオンまたは塩素イオンが、導管を通って滴Bまで拡散する。
(v)拡散泳動。2つの現象が、拡散泳動に貢献する;化学泳動(化学ポテンシャルの差に起因する、および電気泳動(アニオンとカチオンとの異なる拡散率に起因する)である。[滴に挿入される電極がないことに注目せよ。]ここで、滴Bは存在せず、したがって、行き止まりの導管(dead−end conduit)が、滴A(コロイド粒子もまた含む)に接続される。導管内により高濃度の溶質があれば、拡散泳動は、コロイド粒子を、導管内かつ行き止まりに向かって駆動させる;輸送量は、純粋な拡散に起因するものよりも大きい桁であり得る。この輸送は、導管において循環する流れおよび粒子の集束(異なるサイズの粒子の分離を駆動させ得る)と関連付けられる。粒子の流れはまた、システムにおけるモル浸透圧濃度が一定である条件下で、滴中のKClと導管中のNaCl(逆の場合も同様である)を電気泳動的に用いて駆動され得る。類似の現象が、導管の縁において発生する(拡散泳動におけるように、粒子の表面においても同様に);したがって、マランゴニ応力が、表面に沿って粒子を運搬し得る。
(vi)流体の流れが、密度駆動現象、自己拡散泳動、泡推進力、自己電気泳動、自己電気浸透、酵素作用によって引き起こされる場合を含む、化学的に動力を供給されたポンプ;電気流体力学ポンプ、電気浸透ポンプおよび磁気流体力学ポンプを含む、電気運動ポンプならびに磁気運動ポンプ;
(vii)ラプラス圧力の差(湾曲した表面の内側と外側との間の圧力の差)。滴におけるラプラス圧力は、曲率半径と界面張力とに基づく。ラプラス圧力の差は、ここでは、異なるサイズおよび/または形状の滴(異なる曲率半径をもたらす)を用いて最も容易に達成される。例えば、両方の滴が皿上に円形の足跡を有し、かつ、滴Bの足跡の半径が滴Aのものより大きく(すなわち、容量が滴A<滴B)、かつ、滴Aの曲率が滴Bより大きければ、その時は、AはBより大きいラプラス圧力を有し、かつ、流体はAからBへと流れる。この例では、ラプラス圧力の差が、より小さい(水)滴Aからより大きい滴Bに向かう流れを駆動させ得る−このことは、より大きい滴におけるより高い水の高さを通って作用する重力が、流れを他の方向に駆動させるであろうという直観による知識に反する。さらに、回路がFC40で覆われていれば、より小さい水性の滴Aより上にあるFC40(より高密度)のより高い高さが、2つの滴の間のラプラス圧力の差の効果を増大させ、かつ、流れをより大きい滴Bに向かって駆動させるために、さらなる静液圧を与え得る。
流体回路の例が、ここで、図58を参照して考慮されるが、ここでは、単純なマイクロ流体装置の概略が、種々の寸法で示されている。滴および導管の足跡(すなわち、導管の幅)は、ピン止め線によって固定される。滴の形状は、球体のキャップに近似し、かつ、界面にわたるラプラス圧力の差は、
式中、γ、RおよびPは、界面張力、曲率半径および圧力である。その時、より小さい滴は、その界面にわたって、より大きいものと比べて、より大きい圧力差を有する。滴が異なる高さ(h1,h4)のFC40(密度、ρ=1,850kg/m3)で覆われるので、滴の基部における圧力は、静液圧およびラプラス圧力の両方に由来する:
流れを右側に駆動させる2つの滴の基部における圧力差は、
静液圧とラプラス圧力との間の相互作用は、源となる滴の容量の低下が、相対的に直線的に起こり得る理由を説明する。したがって、容量が減るにつれて、曲率半径は増大し、かつ、ラプラス圧力は低下し、かつ、この減少は、(水より高密度であるFC40に起因する静液圧の増大によってバランスがとられる。
図59は、源の容量の変化への、ラプラス圧力および静液圧の影響の間の相互作用を示すためのグラフを示す。圧力(P)比および容量(V)比は、次のように規定される
赤い点線は、源の滴および被覆における流体が同一の濃度を有する時の、圧力比の変化を示す;その時、ラプラス圧力の変化が、圧力比の減少を駆動させる唯一のものであり、かつ、源の滴の容量(および、したがって流量)は、次第に低下する。この低下は、被覆が水より低密度であれば、よりいっそう急速であったであろう。緑の破線および黒の実線は、5または18μlの源の滴がより高密度のFC40で覆われている時の変化を示す。5μlの滴については、〜8%の圧力比の減少が、容量を〜25%減少させる。18μlの滴については、圧力比は、容量が〜25%低下するまで、実質的に一定である(<1%のバリエーション)。したがって、より大きい滴は、これらの元の容量のより大きい割合について、一定の圧力比(および上述の安定した流量)を維持し得る。同様の考慮は、容量の変化が無視できなくなるシンクの滴にも適用される。
下記の表は、接触角、界面張力およびFC40の深さが、それぞれ70°、40mN/mおよび3mmであると仮定した、図58に示されるような回路における滴についての圧力の数値例を与える。滴の容量は、手で信頼性高くピペットで移され得る大きさである。幾何学量は、目盛(scaling)を与える
ラプラス圧力の差によって引き起こされる流れの別の例では、滴Aが円形の足跡を有し、かつ、滴Bが同一面積の正方形の足跡を有する。2つの滴が等しい容量を有せば、滴Bは、より大きいラプラス圧力を有し、かつ、流れは滴Bから滴Aへと流れる。足跡の形状および面積の適切な選択によって、任意の容量の流体が、適切な滴の曲率を達成することを利用して、圧力シンクまたは高圧源を作成するために用いられ得る。2つの滴が容量の異なる同一の足跡の面積を有する場合と同一の効果が達成され得る。特定の流体界面張力を有する、キャップの付いた球体(capped sphere)のような形状をした単一の滴の場合については、達成可能な滴の曲率は、平衡接触角の結果として、表面を有する滴が形成する自然幾何学に関連する。
導管によって接続された2つの滴の間のラプラス圧力の差は、導管の高さ(したがって導管を通る流れ)に重大な影響を有する。導管の高さは、流れの方向における圧力の低下に起因して変化し得、かつ、流体導管の制限壁の形状は、導管の曲率に由来するラプラス圧力のバランスを満たす高さをとるために変形する。説明のために、導管によって接続された2つの同一の滴AおよびBを有する基本的な回路を考慮せよ;2つの滴におけるラプラス圧力は同一であり、かつ、導管の高さは、その長さ全体にわたって一定である(図6Aに示されるように)。水がここで滴の容量を増大させるために滴Bに追加されれば(かつ、水−FC40の界面における曲率を減少させれば−図6Bに示されるように)、滴Bにおけるラプラス圧力は、滴Aにおけるものより小さい。このことは、導管の下の圧力差をもたらす(滴Aの近くでは高く、かつ、滴Bの近くでは低い;導管の高さ(滴Aの近くでは高く、かつ、滴Bの近くでは低い)および導管を通る(AからBへの)流速(Aの近くでは流速が低く、かつ、Bの近くでは流速が高い)に重大な影響がある)。滴Aの内容物と圧力とを制御すること、および、これとは独立して滴Bの内容物と圧力とを制御することは、可変である導管の幾何学の制御を可能にする。この導管の高さのバリエーションは、状況によって、無視し得るかも知れないし、重大であるかも知れない。導管の幾何学のバリエーションは、局所流速のバリエーションを引き起こす;この発生は、導管に沿う異なる位置において成長する細胞上の剪断の効果を評価するために用いられ得る(例えば、心臓/循環器系の病理学において興味深い)。
図58に示される概略的なマイクロ流体装置では、導管の高さは、右側より左側が高く、かつ、導管の高さは、滴がサイズ/容量を変えるにつれて変化する。
導管に沿った任意の点における断面は、円の弓形に近似する;曲率半径が1つしかないので、界面にわたるラプラス圧力は、
高さがh6である点における入口の曲率半径(Rconduit)は、滴の基部における圧力と入口における圧力とが等しいと仮定することによって取得されてもよい。導管の界面にわたる圧力低下は、導管の高さを無視できると仮定すると、次の式によって与えられる
一旦導管の曲率半径が分かると、断面の幾何学は計算されてもよい。下記の表は、接触角、界面張力およびFC40の深さが、それぞれ70°、40mN/mおよび3mmであると仮定した、図58に示されるような回路における滴についての圧力の数値例を与える。
これらのデータは、次の目盛を提供する
式中、CAは接触角であり、Linterfaceは界面の長さであり、かつ、CSAは導管の断面積である。
図58に示される回路における流れは、滴の間の圧力差によって駆動される。平均流速は、局所圧力に応答する導管の高さの変化に起因して、導管の長さに沿って変化する。例えば、5μlの滴と10μlの滴とを用いると、導管の長さにわたって22Paの圧力差があり、かつ、最大の導管の高さは、〜30から〜17.5μmまで減少する;結果的に、平均速度は、入口から出口まで〜70%増大する。図58に示される概略的な回路は、導管の高さが入口から出口まで均一に低下するという簡略化を含む;実際は、速度と圧力の低下との間の関係は直線的ではなく、かつ、直線状の高さの変化からの偏差が発生する。
局所流速を変化させるための変化する導管幾何学を有する装置の例が、ここで説明される。5マイクロリットルの水性の滴(滴A)が、空気のみによって覆われた平坦で水平な表面上にある10マイクロリットルの水性の滴(滴B)に、流体導管によって接続される。遅れず同時に、両方の滴が、50度の接触角を有し、かつ、水性の滴と周囲の空気との間の界面張力が、例えば0.04mN/mで至る所で一定であり、滴Aについて0.86mmおよび滴Bについて1.1mmの滴の高さを与える。このことは、滴Aにおいて〜33Paおよび滴Bにおいて〜26Paの空気/滴の界面にわたるラプラス圧力の差を提供する。2つの滴の間の高さの差はまた、2つの滴の間の静液圧差を提供する。静液圧差は、滴の間の高さの差を乗じた重力を乗じた、水性の流体と空気との間の密度差に等しい。この例では、第2の流体は空気であり、かつ、その密度は水と比べると無視できるものである。この例では、静液圧差は〜2.4Paである。この圧力差はラプラス圧力の差に対抗するので、滴の間の正味の圧力差は4.5Paであり、導管を通して滴Aから滴Bまで流れをポンピングする。導管の高さはまた、圧力が減少するにつれて、その長さに沿って変化し、かつ、この変化は、局所的に導管の界面にわたるラプラス圧力に関連する。例えば、33Paの入口圧力および28.5Paの出口圧力(ラプラスおよび静液)を有する500μmの幅のチャネルは、チャネルの長さに沿った、26μmから21μmまでの高さのバリエーションをもたらすであろう。この高さの変化は、滴の間で直線状ではない。
変形では、滴Aは2マイクロリットルの容量(5マイクロリットルの代わりに)を有し、他はすべて上記の例と同一である;ここでは、チャネルの入口の高さは〜40μmであり、チャネルの出口の高さは21μmに非常に近いままである(これは、出口リザーバーの滴Bによって制御されるので)。この例では、導管を通る流量(および局所流速もまた)は、先の例と比べて増大する。圧力が出口から入口まで次第に等しくなるので、チャネルの高さは、滴から離れた領域において有意に均一になるために、時間および間隔において変化する。
変形では、被覆流体(無視できない密度を有する)が、滴と導管とを取り囲む空気に置き換わる;ここでは、静液圧が、上記の例のようにラプラス圧力の差に対抗するのではなく、それに加えられ得、滴Aと滴Bとの間の圧力差の増大をもたらす。被覆流体の密度が水性の流体の密度より大きければ、その時は、滴Aと滴Bとの間の静液圧は、ラプラス圧力の差を補助するために作用する。導管の界面にわたるラプラス圧力が、その位置における被覆流体からの静液圧より小さい場合であっても同様かも知れない;この場合、導管が圧迫され、かつ、やがては中断されるので、導管の高さはゼロまで減少し得る;その時、流れは止む。このことは、導管の界面にわたるラプラス圧力が最も小さい、導管の出口付近で発生したであろう。この習性は、出口リザーバーから流体を追加/除去することによって出口における導管の高さを変化させることによって導管を通る流量を制御する方法において用いられ得る。
回路における流れのタイプ
(i)層流。例では、2つの源の導管から1つの共通の導管への、Y形の構造体における流体の流れが考慮される(図8(i)に示され、かつ、上記でより深く説明されたように)。2つの流れが合流する点の後、層流は、溶質が2つの流れの間を拡散し得るが、ほとんど混合がないことを確実にする。2つの流れが、1つの導管を通って異なる量で流れ得ることに注目せよ。別の例では、三叉の3つのアームから導入されれば、3つの層流が1つの導管を通って流れ得る(図8(iii)に示されるように)。別の例では、複数の入口を有する回路の5つのアームから導入されれば、5つの層流が1つの導管を通って流れ得る(図9(iii)に示されるように)。
(ii)滴における渦巻き(vortice)。例では、流れがAから導管を通って到達するので(おそらくラプラス圧力によって駆動されて)、滴B内の流れが考慮される。層流が滴Bに入るにつれて、渦流(whirlpool)(渦巻き)が形成される。渦流の形状は、導管/滴の合流点の幾何学の影響を受ける。横から見る場合、これらの渦流は、滴の底面にある傾向がある。上から見る場合であって、かつ、入口点が球形の滴の足跡の中心径に垂直であれば、主たる流れは、入口点から足跡の中心線を通って滴の背面までである;流れはここで分割し、足跡の縁の周りを移動し、各側面に渦流を与える。入口点が滴の中心線からオフセットされれば、流れは再び入口点から滴の背面までであるが、ここでは、主たる流れは、一方にあるより大きい容量に向かって転換される。かかる渦巻き/渦流は、滴における混合を改善し得る。
(iii)毛管流。直線状の導管によって接続された2つの滴(AおよびB)を有する実例的な回路を考慮せよ;回路は、細胞培養培地またはその希釈物(または、例えば水の蒸発後に皿の表面上に残留物を残すあらゆる他の分子)を含む。ここで回路は乾燥することが許容される。滴Bへの水の追加およびその後の滴Aへの水の追加が、乾燥した導管の各端部から中心に向かう(毛管現象によって駆動される)水のウィッキングをもたらす(このことはまた、図15A、図15Bおよび図15Cを参照して上記されている)。ウィッキングは、表面の堆積物のパターンから機能的な回路を生成する。乾燥した回路は、便宜に貯蔵かつ輸送され、かつ、使用前に再水和され得る。このことは、洗練された回路の集中製造を可能にし得、かつ、高圧蒸気滅菌を促進し得る。
回路を再水和する代替的な方法は、以下を含む:
(a)ポリスチレンの培養皿上の乾燥した回路をFC40で覆い、皿を従来の(多湿)細胞培養インキュベーター(37度C、5%のCO2、約95−100%の相対湿度)内に置くと、回路は、一晩で自発的に再水和される(多湿環境における水がFC40に溶解し、かつ、回路を再水和する)。再水和した滴の足跡は、対応する元の滴のものである(相対的に少しの水しかFC40を通って輸送されないので)。このことは、多量の追加の流体が、その後、足跡の形状またはサイズを増大させることなく滴に追加され得るという重要な結果を有する(このことは、多くのかかる滴または回路をプレート上にあるアレイに詰めるために重要である)。
(b)上記のようなインキュベーターの多湿雰囲気に乾燥したプレートを配置し(回路が再水和される時)、その後、再水和に続いてFC40で覆うこと。
(c)多湿雰囲気で乾燥したプレートを冷却し、したがって回路が再水和され、その後、FC40で覆うこと。
(d)FC40で覆う前に、再水和を開始させるために湿度を増大させること。
(e)皿の蓋の上に水滴を置き、局所的に湿度を増大させ、再水和を許容し、その後、FC40で覆うこと。
(iv)バルブ。疎水性のプローブが導管を遮るために用いられ得るか、または、親水性のプローブが導管を通る流れを回復させるために用いられ得る。例えば、流れは、導管を横切って疎水性のプローブを引き、それを「切断する」ことによって、滴Aと滴Bとの間で遮られ得る。流れは、ここで、一方の切り口から他方まで親水性のプローブを引くことによって再確立され得る。かかる切断および再結合は、バルブを作成する。代替的には、固体が、一方の切り口から他方まで延びるように配置され得る;流体は固体を湿らせ、かつ、毛管力によって補助されて、流体は固体に沿って引かれ、かつ、導管の切り口の間に結合点(join)を形成する。固体については、細長い親水性材料(例えば、ステンレス鋼の針)が、特に適している。例として、導管が、0.5mmのPTFEチューブで切断されてもよい。導管は、その後、切断された領域に0.5mmまたはこれより大きい直径のステンレス鋼の針を配置することによって、連続する導管へと再形成されてもよい。導管を切断するために小さい物体を用いることは、幅の狭い切り口または隙間を生成し、かつ、大きい物体を用いることは、大きい切り口または隙間を生成する。
ここで、本明細書に記載の方法を用いて作成されるマイクロ流体装置の、多数のさらなる例が提示される。
図24Aおよび図24Bは、どのように変化する滴のサイズ(および、したがってラプラス圧力の差)が流量を制御し得るかを示す、単純なマイクロ流体回路を示す。図24Aは、6cmのポリスチレンの細胞培養皿上にプリントされた、細胞培養培地を含む6つの同一の回路を示す。回路における各滴の間の中心から中心までの距離は、30mmである。図24Bは、各回路において10μlの培地(ピンク)が右側の滴にピペットを用いて移され、かつ、種々の異なる量の赤い染料が各回路の左側の滴にピペットを用いて移され、下の滴には10μl、その後、上の滴まで8μl、6μl、4μl、2μlかつ最終的には0μlが追加された、図24Aの回路を示す。ラプラス圧力の差は、赤い染料を、導管を通して左から右へと駆動させる。左側の滴は、最初は同一の接触角を有するが、より小さい滴の形状はより小さい球形を形成し、したがって曲率はより小さく、滴の界面にわたってより大きいラプラス圧力の差を与える。画像は、上部における赤い染料の最後の追加後、数分、収集された。赤い染料は、まず下方の回路に追加されたが、染料は導管にほとんど入らなかった。上から2番目の回路では、赤い染料は最後に追加された;しかしながら、いくぶんかは既に右側の滴に入っていた。このことは、ラプラス圧力の差が、流れを有効に駆動させ得ることを示す。
導管の幅を変更することもまた、マイクロ流体回路における流量の精度の高い制御を許容する。図57は、経時的なチャンバーの容量の低下のグラフを示す。マイクロ流体装置では、18μlの滴が、長さ11mmであり、かつ、異なる幅(590μm、670μm、880μmおよび1730μmの導管の幅)を有する導管によって、20μlの滴に接続される。源となる滴の容量は減少し、容量減少の速度(流れを示す)は、より幅の広い導管を通るものが最も速い。ここで、流量は、導管の幅が3倍しか変化しないのに対し、〜8nl/sから〜80pl/sまで変化する。幅の狭い導管を用いれば、流れは、何時間も一定のままであり得る。
マイクロ流体装置は、再利用され得る。例えば、流体を滴から除去し、かつ、流体を滴に追加することによって、滴の内容物は、新たなタスクを実行するために変更され得る。
図25Aおよび図25Bは、濃度勾配を作成するためのマイクロ流体回路を示す。図25Cは、かかる濃度勾配の異なる位置における細胞の成長を示し、どのようにそれが薬剤のスクリーンに用いられ得るかを示す。
図25Aは、染料の追加前のマイクロ流体回路を示す。1つのY形回路と、4つの同一の直線状回路とが、6cmのポリスチレンの細胞培養皿上にプリントされ、かつ、FC40で覆われる;すべてが細胞培養培地を含む。白紙にプリントされた回路図が皿の下に配置され、かつ、寸法をmmで示す。
図25Bは、3μlの赤もしくは青の染料(薬剤を示す)または培地(3μl)の入口ポートへの追加後の、図25Aのマイクロ流体回路を示す。これら5つの回路は、ここでより詳細に説明される。
図25B、赤の染料および青の染料の両方を有する、最も上部の回路:染料が、左側の円形の滴に追加される。円形の滴と長方形との間の圧力差が、両方の染料を長方形へと駆動させる;経時的に、拡散が、左から右へ長方形を横切る両方の染料の濃度勾配を作成する(両方の染料は、左側に高濃度で存在し、かつ、右側に低濃度で存在する)。
図25B、青い染料のみを有する、上から2番目の回路:培地が左側の滴に追加され、かつ、青い染料が右側のものに追加される。円形の滴と長方形との間の圧力差が、青い染料を長方形へと駆動させる;経時的に、拡散が、右から左へ長方形を横切る青い染料の濃度勾配を作成する(右側で高濃度、かつ、左側で低濃度)。
図25B、両方の染料を有する、上から3番目および4番目の回路(2つの同一の回路):赤い染料が左側の滴に追加され、かつ、青い染料が右側のものに追加される。円形の滴と長方形との間の圧力差が、染料を長方形へと駆動させる;経時的に、拡散が、右から左へ長方形を横切る青および赤の染料の(対抗する)濃度勾配を作成する(左側で赤い染料が高濃度、かつ、右側で青い染料が高濃度)。
図25B、赤い染料のみを有する、下部の回路:赤い染料が左側の滴に追加され、かつ、培地が右側のものに追加される。円形の滴と長方形との間の圧力差が、赤い染料を長方形へと駆動させる;経時的に、拡散が、右から左へ長方形を横切る赤の染料の濃度勾配を作成する(左側で高濃度、かつ、右側で低濃度)。
図25Cは、図25Aおよび図25Bの上から3番目および5番目のような回路における中央の長方形の異なる位置(左から右)における細胞成長の明視野画像を示す。薬剤のスクリーンのために、細胞が中央の長方形に追加され、24時間成長し、薬剤が追加され、細胞が、明視野顕微鏡を用いる撮像前に、24時間再成長する。ここで、TNFαが赤い染料に置き換わり、かつ、MG132が青い染料に置き換わった。下の列における画像は、TNFαが細胞への顕著な影響をほとんど有さないことを示す(すべての3つの中央のパネルにおける細胞は、同様に見える);上の列における画像は、高濃度のMG132(この回路における長方形の右に見出される)が細胞死(右側を示すパネルにおける多くの屈折した円形細胞の存在によって示される)を誘導することを示す。
図26は、試薬の希釈系列を作成するための回路を示す。この種の勾配についての考え得る応用が、生存する細胞(示されない)への2つの薬剤(赤および青の染料で示される)の組み合わせの効果を検査することにある。マイクロリットルを下回る容量の染料/薬剤のみが、各濃度について試験するのに必要とされる。回路(細胞培養培地を含む)は、6cmのポリスチレンの細胞培養皿上に空気において引かれ(0.5mmのノズル;流量250nl/秒;ノズル速度20mm/s)、その後、FC40で覆われる。ノズルが表面上に流体をプリントすることなく1つの点から別の点へと横切るようにZ軸において上げられた回数は、最小化された。
各チャンバーが、まず皿上にその足跡を引き、その後、それに続いてチャンバーを満たすことによって作成された。この2ステップの工程は、それが足跡の正確なプリンティングを許容するので重要であり、この場合、すべての同一のチャンバーが同一の足跡(および、したがってラプラス圧力)を有し;その後、一旦流れが始まると、すべての同一のチャンバーが、まったく同一の量で空/いっぱいになるようになっている。
上方および下方の「主たる」導管(〜1mmの幅)は、0.4mmオフセットされた2つの平行な経路に沿ってノズルを走らせることによって作成される。それぞれの主たる導管の端部において、円形の足跡(直径2.9mm)を有する大きいチャンバーは、それぞれ隣から0.5mmオフセットされた3つの同心円を引くことによって作成された;直線状の線もまた、最も大きい円の直径に沿って走り、かつ、円の間を、最も小さいものの直径を横切って走る3つの短い線からなった。8つの「フィーダー(feeder)」導管(ノズルによって単回通過(single pass)で引かれた)が、それぞれの主たる導管を、直径2.5mmである円形の足跡(1組の2つの同心円として引かれ、各同心円は隣から0.4mmオフセットされ、かつ、各同心円は、円の間を、最も小さいものの直径を横切って走る2つの短い線からなる直径に沿う直線を有する)を有する8つのより小さくかつ同一のチャンバーに接続する。したがって、これらのチャンバーはすべて、ノズルが継続的に移動するにつれて、作成される(かつ、固定的なノズルを用いない)。
導管を通る流れは、導管の長さおよび断面、ならびにチャンバーに作用する静液圧/ラプラス圧力によって決定される;ここで、すべての8つの小さいチャンバーは、ほぼ等しい容量と足跡とを有することが重要である。次に、5μlの赤い染料(第1の薬剤を示す)が左側の大きいチャンバーに追加され、かつ、5μlの青い染料(第2の薬剤を示す)が右側の大きいものに追加される。これら2つの今や満たされたチャンバーの曲率および高さは、8つのより小さいもののものより大きいので、染料は、圧力差が等しくなり、かつ、流れが止む、大きい滴から小さい滴へと流れる;その時、すべての8つのチャンバーは、同一の容量を有する(小さいチャンバーと大きいチャンバーにおける圧力が等しいと仮定して計算され得る)。最も左側の小さいチャンバーは赤い染料のみを含み、かつ、最も右側のものは青い染料のみを含む;間に挟まれたものは、濃度が減少(または増加)した赤(または青)の染料を含む。平衡状態である各チャンバー内の流体の容量は、より小さい滴における圧力がより大きい滴における圧力と等しくなる時を判定すること(ラプラス圧力と静液圧とのバランスを用いて)によって計算され得る。
薬剤スクリーニング用途のために、細胞が回路の至る所に追加され得る。例えば、小さいチャンバーだけが細胞を含んでいてもよく、または、細胞が回路全体に分配されてもよい。細胞は回路が引かれる時にノズルを通して細胞培養培地とともに追加されてもよく、または、細胞は足跡が規定された後で追加されてもよい。変形では、チャンバーは、円形の足跡の代わりに正方形の足跡を有する。
図27は、8つのより小さい滴の代わりに11個のより小さい滴を有する、図26の回路の変形を示す;これは、連続するチャンバーの間のより小さい濃度のステップを許容する。
図28は、図27において用いられたのと同一の回路を示すが、写真は、赤および青の染料が未だ完全に中央のチャンバーを満たしていない、より早い段階で撮られた。例えば、11のうちのチャンバー6(左から数えて)において、青い染料が上から入っており、かつ、赤い染料が下から入る。
図29は、両方のより大きい滴(青い染料のリザーバーおよび赤い染料のリザーバーについて)が主たる導管の左端に配置された、図27の回路の変形を示す。この配置によって、左側にある(すなわち、大きい滴に最も近い)小さい中央のチャンバーは、最も高濃度の赤および青の両方の染料を含み、かつ、大きい滴から最も遠い小さいチャンバーは、最も低濃度の両方の染料を含む。
図30は、「フィーダー」導管の代替的な配置を有する、図29の回路の変形を示す。ここで、フィードライン(feed line)が、図27における直角とは反対に、チャンバーとの接線を形成する導管によってより小さい滴に接続される。かかる配置は、異なる導管を介して追加される試薬のより良好な混合を促進する可能性を有する。
図31および図32は、単一の薬剤および薬剤の混合物の両方の希釈勾配を作成するために用いられる回路の変形を示す。
図31に示される回路は、組織培養培地(ピンク)を用いて空気においてプリントされる。流体回路は2つの主たる導管(より幅の広い導管を形成するために合流する2本の隣接する線を引くことによって作成された)を含み、それぞれは、大きい左側のチャンバーまたは「入口ポート」(直径2.9mm)および8つの小さいチャンバーまたは「希釈チャンバー」(直径2.1mm)を有する。フィーダー導管(単一通過を用いて作成された)が、中心における9つのチャンバー(2.3mmの直径)を、2つの主たる導管に接続する。すべてのチャンバーは、中央を通る線を有する同心円を用いて引かれる。回路はFC40で覆われる。培養培地(10μl)が各入口ポートに追加される。培養培地は、システム全体にわたって平衡であることが容認され、したがって、すべてのチャンバーは同一の圧力を有する;この流体は、追加された染料(薬剤を示す)の系列希釈に用いられる希釈流体となる。10μlの赤および青の染料(薬剤を示す)が、各入口ポートにピペットを用いて移され、かつ、流体はシステムを通って自発的にポンピングされる。それは主たる導管に沿って各チャンバーに入るので、赤または青の染料は系列希釈される(左側のチャンバーにおいて高濃度、かつ、右側のチャンバーにおいて低濃度)。赤(および青)の染料がまた、フィーダー導管の下(および上)を、2つの染料が混合する中央における中間サイズのチャンバーへと流れる。結果的に、この回路は、単独または組み合わせの両方において、2つの薬剤の系列希釈を生成し得る。混合物においては、2つの薬剤は、異なる希釈液において同一の比率で存在する。
図32に示される回路は、6cmのポリスチレンの細胞培養皿上に細胞培養培地を用いて空気において引かれ(0.5mmのノズル;流量250nl/秒;ノズル速度20mm/s))、その後、3mlのFC40で覆われる。2つの主たる導管のそれぞれは、左側に入口ポート(直径2.9mmの足跡を有する)を含む。8つの「希釈」チャンバー(直径2.1mmの足跡を有する)が、2つの主たる導管の真上または真下にある(それらの足跡の中心は、主たる導管の中心線から0.5mmオフセットされる)。フィーダー導管が、主たる導管を、細胞を含むことが意図される中央の「細胞」チャンバー(直径2.3mmの足跡を有する)に接続する。培地(10μl)がまず、各入口ポートに追加される;このことは、すべてのチャンバーを同一の圧力で満たし、かつ、それは、染料/薬剤を希釈して濃度勾配を作成するために用いられる流体になる。一旦平衡状態になると、10μlの青または赤の染料が入口ポートに追加され、かつ、この流体は、システムを通ってポンピングされる。それが主たる導管に隣接する各希釈チャンバーに入るので、それは希釈される;このことは、それぞれの主たる導管の下に赤または青の染料の濃度勾配を作成する。流体はまた、フィーダー導管を通って細胞チャンバーへと流れる。各細胞チャンバーは、したがって、赤または青の染料を異なる濃度で含む(しかし、赤:青の染料の比は、すべての細胞チャンバーにおいて同一である)。さらなる薬剤/培地が細胞に追加される必要があれば、追加の流体が入口ポートに追加されてもよい。一旦平衡状態に到達すると、回路は、24時間以上、チャンバーにおける濃度のバリエーションなく安定したままであるために観察される。
図33は、図26、図27および図28を参照して説明したものと同様であるが、2列のより小さい勾配の混合チャンバー(1列ではない)を有する濃度勾配のアレイを作成するための、マイクロ流体装置の左端を示す。ここでは、各端部に入口ポートを有する3つの主たる導管がある(赤い染料が、右側の2つの入口ポートに追加されたが、これらは図の外である)。2列のより小さいチャンバーは、それぞれ同一の濃度勾配を作成する。単一の列の配置(図26、図27および図28)におけるものと同一の濃度勾配を取得するために、単一のフィード導管(single−feed conduit)(青)についてのパラメーターは、例えばチャンバーの足跡および追加される容量の選択によって、二重のフィード導管(double−feed conduit)(赤)のいずれかの2倍の流量を生成するように適合される必要がある。
図34および図35は、チャンバーのアレイに新たな流体を追加するために用いられ得るマイクロ流体装置を示す。
図34および図35に示される回路は、0.5mmの針および350nl/秒の流量を用いて、細胞培養培地で空気において引かれる。右側の回路の一部は図の外にあり、かつ、図中の領域のみが説明される。左側の5つの大きい入口ポートは直径〜3.4mmの足跡を有し、かつ、それらに接続される5つの主たる導管は〜1.1mmの幅である。40個の小さいチャンバー(直径2.8mmの足跡を有する)は、より小さいフィーダー導管(幅〜0.6mm)を通して主たる導管に接続される。小さいチャンバーは直径2.8mmの足跡を有し、かつ、4.5mm間隔を置いて離れている(384ウェルプレートにおけるように)。一旦作成されると、回路は蒸発を防止するために6mlのFC40で覆われる。その後、赤または青の染料が追加された10μlの培地が、各入口ポートに追加される。〜40分の期間にわたって、すべての細胞チャンバーが流体で満たされるので、システムは平衡状態になる(流体の高さは、足跡の直径の変更なく増大する)。図34および図35は、流体の流れを示すために追加される染料の追加後の2つの時点におけるシステムを示す。平衡状態では、3.3μlが各入口チャンバーから失われ、かつ、40個の小さい細胞チャンバーのそれぞれは、その容量を〜840nl増大させる。
この回路は、入口ポート(両画像における左側の5つの大きいチャンバー)から一揃いの小さいチャンバー(ここでは、右側の40個の小さいチャンバー−しかし、もっと多いこともあり得た)への流体の供給を許容する方法を提供する。この方法は、例えば新たな培地を単一の細胞に提供するために用いられ得た。なぜなら、それがより大きいアレイのそれぞれの小さいチャンバーにおいてコロニーへと成長するからである。システムは、新たな培地が、それぞれの小さいチャンバーに、その足跡の変化なく、かつ、1つの小さいチャンバーから別のチャンバーへと流れるいかなる流体もなく、追加されることを許容する。このことは使用に便宜である。なぜなら、ユーザーは5つの入口チャンバーに培地をピペットを用いて移す必要があるのみであり、かつ、それはここでは40個のより小さいチャンバーへと自律的に流れ、40個の小さいチャンバーすべてが同一の組成を有するようになっているからである。このことは、例えば、経時的な細胞への新たな培養培地の供給を容認する:例えば、ユーザーは、3日毎に5つのリザーバーに新たな培養培地を追加し得、かつ、新たな培養培地は、チャンバーへと均一に流れる。5つのリザーバーは、さらにより少ないピペットを用いて移すステップを許容する、単一のより大きいリザーバーによって置換され得たが、このことは、試薬がピペットを用いて移される滴に残る未使用の試薬の容量の増加をもたらす。
図36および図37は、試薬の組み合わせを研究するためのマイクロ流体回路を示す。
図36は、生存している細胞(示されない)への4つの薬剤(赤および青の染料によって示される)の組み合わせの効果を検査するために用いられ得る回路を示す。回路(細胞培養培地を含む)は、6cmのポリスチレンの細胞培養皿上に空気において引かれる(0.5mmのノズル;流量250nl/秒;ノズル速度20mm/s)。4つのより低いチャンバーは、それぞれ直径2.7mmの足跡を有し、かつ、中心から中心までの距離は4mmである。次の2つの列は、それぞれが2.3mmの足跡を有するチャンバーを有する;これらのチャンバーは細胞を含み得る。一旦プリントされると、回路は3mlのFC40で覆われる。5マイクロリットルの各染料が、下にある入口チャンバーに追加される。この染料はその後より小さいリザーバーへと流れ、かつ、流れは合流点において合流する。一番上の滴は、システムを通る流れを維持するために、より低圧の滴として用いられる。平衡状態では、すべての滴は同一の圧力を有し、したがって、等しい直径の滴は同一の流体の容量を有するであろう。
図37は、生存している細胞(ここでは示されない)への8つの薬剤(赤および青の染料によって示される)の異なる組み合わせの効果を検査するために用いられ得る回路を示す。回路(細胞培養培地を含む)は、6cmのポリスチレンの細胞培養皿上に空気において引かれ(0.5mmのノズル;流量250nl/秒;ノズル速度20mm/s)、その後、3mlのFC40で覆われる。5μlの赤または青の染料が、下にある8つの入口チャンバー(4.5mmの間隔を置いて離れている−間隔は384ウェルのマイクロタイタープレートにおいて見られるものである)のそれぞれに追加される。一番上のチャンバー(最初は最も低圧である)を除いて、すべての他のチャンバーはより小さく、かつ、薬剤スクリーンにおいて細胞を含み得る。各入口チャンバーからの染料(または薬剤)が、下から2列目のより小さいチャンバーへと上向きに運搬される(細胞へのその1つの薬剤の効果を評価するために用いられる)。下から3列目、4列目および5列目のチャンバーは、2つ、4つおよび8つの入力チャンバーに由来する染料/薬剤の混合物を含む。一旦システム内の圧力が等しくなると、すべての滴は同一の圧力を有し、かつ、等しい足跡を有する滴は同一の容量の流体を含む。一旦均等化が達成されると、濃度分布は、少なくとも12時間の間は安定し、かつ、不変のままである。
図38は、流れを結合し、かつ、分割するためのマイクロ流体回路を示す。ここで、2つの流れ(赤と青)が、2つの大きい入力ポート(右側の、青または赤の染料を含む)から4つのチャンバー(左側の、最初は染料を含まない)へと流れる。入力ポートからの流れが、合流点において結合し、互いに近くにある層流に続き、その後、合流点において分割され、その後、再び分割される。結合した層流部分では、拡散が2つの流れの間で発生する(しかし、このことは、無視できる質量移行のみをもたらすかも知れない)。
図39は、左下に導管の格子と2つの入力チャンバーを有するマイクロ流体装置を示す。図に示した例では、まず、一定の量の青い染料が入力チャンバーのうちの一方に充填され、かつ、格子へと流れることを容認される。その後、一定の量の赤い染料が他方のフィードチャンバーに充填され、かつ、格子へと流れることを容認される。結果は、格子における2つの染料の分配である。
図40は、他の例で説明される受動的方法よりはむしろ、流れを駆動させるために外部ポンプを有するマイクロ流体装置を示す。この例では、外部ポンプが、何時間にもわたって固定流量で回路を通るよう培地を駆動するように配置される。正面の2つの「入口」ポート(滴)(直径2.6mm、中心は14mm離れている)は、それぞれ、幅の狭いチャネル(幅0.6mm)によって幅の広い長方形チャネル(長さ20mmかつ幅1.6mm)に接続され、該幅の広い長方形チャネルは、次に、短い4mmのチャネル(幅1mm)によって背面の大きい「シンク」の滴(直径5.6mm)に接続される。回路は、それが10%の血清が追加された細胞培地を射出したので(流量300nl/s)、20mm/sで横切る0.5mmの針のティップを用いて、60mmのポリスチレンの培養皿で空気において引かれ、その後、4mlのFC40で覆われた。赤と青の染料が、各入口ポートへと0.5mmの刃先の鈍い針(これらは、PTFE製のプラスチックチューブで置き換えられてもよい)を通してポンピングされている(10nl/秒)。写真は1時間後に撮られる。
図41は、図40に示される装置と類似する、流れを駆動させるために外部ポンプを有するマイクロ流体装置を示す。図40に示される例とは異なり、「入口」の滴は提供されない;代わりに、流体は導管へと直接ポンピングされる。2つのステンレス鋼の針のティップ(正面;直径0.5mm;ティップは14mm離れている)は、入力チャネル(幅1.1mm)に挿入される。針は、流れを100nl/秒の一定量で駆動させる1つのシリンジポンプによって駆動される2つのシリンジに接続される。青と赤の染料が、入力チャネルから幅の広い中央チャネル(20mm×1.6mm)へと流れ、短い4mmのチャネル(幅1mm)を通って背面の大きい「シンク」の滴(直径5.6mm)へと流れる。写真は〜5分後に撮られる。先の例のように、回路は、それが10%の血清が追加された細胞培地を射出したので(流量300nl/s)、20mm/sで横切る0.5mmの針のティップを用いて、60mmのポリスチレンの培養皿で空気において引かれ、その後、4mlのFC40で覆われた。100nl/sより少ない1nl/sの流量において、流れは、相当量の赤と青の染料が中央チャネルにおける層流の間を拡散可能であるように十分ゆっくりである(背面において紫を与える);より多い1000nl/sの流量では、流れが非常に速いので、拡散的移行はほとんど発生しない。12時間後、中央チャネルにおける染料の分布は、12時間ずっと同様のままであるが、シンクにおける容量は、相当増加する。
外部ポンプが流れを駆動させる場合、本発明のマイクロ流体的特徴(流体界面によって所定の形状に保持される)は、特に便宜である。外部ポンプへの接続は、導管に針(またはチューブ)を単純に挿入することによって達成される。導管の界面が流体であるので、マイクロ流体装置への損傷は発生しない。針は、マイクロ流体装置を損傷することなく、引き込まれ得、かつ/または、再配置され得る。結果的に、入口/出口ポートを提供するために特別な設計は必要とされず、設計の簡略化という利点を有する。また、特別なコネクターは必要ではないので、漏出性コネクターの問題が回避され得る。
図42から図44は、流体を駆動させるために外部ポンプを有するマイクロ流体装置を示すが、ここでは、流体は、図41に示される装置と同様に、導管へと直接ポンピングされる。図42から図44は、2つから4つの安定的な層流を有するマイクロ流体回路を示す。図42は、共通の導管(ここでは、2つの入力の流れが、層流において互いに近くに続く)へと結合される2つの入力導管を有するY形のマイクロ流体回路を示す。図43は、共通の導管(ここでは、3つの入力の流れが、層流において互いに近くに続く)へと結合される3つの入力導管を有する三叉形状のマイクロ流体回路を示す。図44は、共通の導管(ここでは、4つの入力の流れが、層流において互いに近くに続く)へと段階的に結合される4つの入力導管を有する「ツープラスツー(two−plus−two」のマイクロ流体回路を示す。3つの例すべてにおいて、入力導管は約500μmの幅であり、かつ、共通の導管は約500μmの幅であり、かつ、廃棄物の滴(waste drop)は、直径6mmの円形の足跡を有する。これら3つの例における回路は、ティップ速度が15mm/sである0.5mmの刃先の鈍い針と、流量300nl/sである細胞培養培地とを用いてプリントされた。針(外径0.6mm;概略図において黒い円で印がつけられている)は、シリンジポンプに接続される;針は、上からの流体を、廃棄物の滴から遠い入力導管の端部領域に堆積させるように配置される。概略図における灰色の矢印は、流れの方向を示す。
図42(i)は、Y形回路の概略図を示す。図42(ii)から図42(iv)は、1時間に1マイクロリットル(図42(ii));1時間に10マイクロリットル(図42(iii));および1時間に100マイクロリットル(図42(iv))の流量で赤と青の染料が供給された、Y形回路の明視野顕微鏡画像を示す。共通の導管における層流の間の染料の相当な拡散が、1時間に1マイクロリットルの流量において観察される。1時間に10マイクロリットル以上の流量においては、染料の拡散はほとんど観察されない。
図43(i)は、三叉形状の回路の概略図を示す。図43(ii)は、異なる着色された流体が供給された三叉形状の回路の明視野顕微鏡画像を示す;共通の導管では、赤い層流が、透明な中央の流れの側面に位置する。
図44(i)は、4つの入口を有する回路の概略図を示す。図44(ii)は、異なる着色された流体が供給された4つの入口を有する回路の明視野顕微鏡画像を示す;共通の導管では、4つの層流が観察され得る。
図45Aから図45Dは、流れを駆動させるために外部ポンプを有するマイクロ流体装置を示すが、ここでは、流れは、前記の例と同様、導管に直接ポンピングされる。この例におけるマイクロ流体回路は、流れを集中させるためのものである;上記の三叉形状の回路は、共通の導管における中央の流れを狭く集中した流れへと制限するために用いられる。画像は、流れの開始後30分収集された。図45Aは、3mlのFC40で覆われた6cmのポリスチレンの細胞培養皿におけるマイクロ流体回路の写真を示す。3つの入口導管は、共通の導管へと結合され、該共通の導管は、円形の足跡を有する廃棄物リザーバーへと流れ込む。マイクロ流体回路は、流量300nl/sの細胞培養培地で、15mm/sのティップ速度である0.5mmの刃先の鈍い針を用いてプリントされた。入力導管は500μmの幅であり、かつ、共通の導管もまた500μmの幅である。3つの中空の針(外径0.6mm)が、流体を三叉の入力導管の3つのティップへと送達するために、シリンジポンプ(図示せず)に接続される。赤と青の染料が、三叉の外側のアームを通って流れ(16μl/h)、蛍光ビーズ(直径2μm)が、中央のアームを通って流れる(4μl/h)。流れの期間の後、三叉に流れ込む線と廃棄物リザーバーとは、流れを止めるために導管を通る表面に沿って引っ張られる親フルオロ性(疎水性)のティップを用いて、離ればなれにされる。
図45Bは、導管が切断され、したがって流れが止められた後の合流領域の明視野顕微鏡画像である。図45Cは、同一の領域の蛍光顕微鏡画像を示す。図45Dは、共通の導管における層流の拡大した蛍光顕微鏡画像を示す。ビーズを含む水性の流れが隣接する染料を有する流れによって圧迫され、表面上に狭い幅のビーズを残すことが観察される。ビーズは、流れが止められた後、〜40μmの幅の流れへと制限される。
図46は、他の例で説明したポリスチレン基板ではなく、ガラス基板の上にあるマイクロ流体装置を示す。この例では、マイクロ流体回路が、ガラスのスライド上に1.5mmにわたる拡散勾配を生成する。一定の入力濃度が安定した流体の流れによって維持されるので、濃度勾配は、質量流体移行(還流)よりはむしろ、拡散に由来する。回路が、それが10%の血清が追加された細胞培地を射出したので(流量300nl/s)、20mm/sで横切る0.5mmの針のティップを用いて、ガラスのスライド上に空気において引かれ、その後、4mlのFC40で覆われた。入口の滴1および2(左)の足跡は3.3mmの直径を有し、かつ、「シンク」の滴(右)は直径6.5mmの足跡を有する。入口の滴およびシンクの滴が、幅0.7mmの薄いチャネルまたは幅1mmの厚いチャネルによって直接接続される。幅1mmおよび長さ1.5mmである「細胞チャンバー」(挿入図)が、2つの幅の広い流れを接続する。最初は、6.5マイクロリットルの培地が、ピペットを用いて各入口ポートへと移された;流体が、入口ポートからシンクへと最短ルートに沿って流れる;この流れは、均一の濃度の青(または赤)の染料が、細胞チャンバーの上(または下)端に見出されることを確実にする。経時的な検査が、赤い染料が上向きに通過するのと同時に、いくぶんかの青い染料が細胞チャンバーを下に向かって(すなわち、上方の幅の広いチャネルから下方の幅の広いチャネルへ)通過することを示す。このことは、染料の移行が拡散に由来し、還流は一方向であるので還流には由来しないことを示す。
いくつかの状況においては、多量の液体を含むためのリザーバーのような固体の構造部品を含むことが所望されるかも知れない。例えば、リザーバーについては、固体壁構造体がリザーバーの輪郭線の周りに提供されてもよい。リザーバーは、上面において開放されたままであってもよい。出口が、例えば基板に隣接する壁の下端において、城壁における門のように、リザーバーの壁に提供されてもよい。表面張力が、リザーバーの流体を壁の外面に接続する導管が基板上に引かれるまで、リザーバー内に流体を保持し得、かつ、それが出口を通過することを防止し得る。
いくつかの状況においては、流体連通を可能にすることなく、1つの導管が別の導管と交差することを許容することが所望されるかも知れない。時々、1つの水性の導管(FC40の壁を有する)が別の導管(同様の壁を有する)の上を通過する必要性がある。空気におけるポリスチレンの表面上の一対の同一の回路を考慮せよ;各回路は、直線状の水性の導管によって接続された2つの水性の滴を有する。一方の回路が、ここでFC40で覆われる。次に、他方の回路が反転し(表面張力が反転した回路の形状を維持する)、かつ、第1のものの上に配置され、導管が平行でない角度で交わるようになっている。最後に、第2の回路は、滴の上部と下部とが他の表面に触れるまで、第1のものの上に下げられる。結果は、高架道路(flyover)/アンダーパスである。いくつかの状況下では、ベース基板からの高さが異なる、異なる層に多数の回路を生成することが可能である。
代替的には、回路は、単一の基板であって、その両側を接続する貫通穴を有する前記基板の両側に形成されてもよい。かかる貫通穴は、流れ実験用の液体または拡散実験用のゲルで満たされ得た。
図47は、流体オーバーパス/アンダーパスを有する回路を示す。小さい穴を有するガラスのスライドが、FC40で満たされた長方形のマイクロタイタープレートにおける2つの台(黒)の上にある。FC40が、ガラスのスライドの両表面に作用する界面力によって保持された水性の回路(ピンク)を完全に覆う。水が、スライドの下面にある滴(正面左)から小さい穴を通って上面へと継続的に広がり、その後、接続導管に沿って別の滴(右上)へと広がる。この構造は、種々の方法で、流体オーバーパスまたはアンダーパスとして用いられ得る(例えば、スライドの下側に張り付き、かつ、上面にあるものに対して直角である別の導管を用いて)。また、構造体全体がFC40で覆われるので、下の滴にかかる圧力は、静液圧に起因して、上面における滴にかかる圧力よりも大きく、したがって、この方法は、長期間、下の大きい滴からリザーバーに供給するために用いられ得る。
図48は、流体オーバーパス/アンダーパスを有する別の回路を示す。ここでは、ガラスのスライド上のリザーバーを有する2つの導管が、導管が互いに対面するように配置され、かつ、ガラスのスライドは、導管が交差の領域において合流するように配置される。この配置は、それぞれのガラスのスライド上の導管の間に連通がある場合に作成される複雑な3Dタイプの構造体を提供し得る。再び、リザーバーは、FC40で満たされる。
より洗練された3D構造体の別の例では、第1の流体および第2の流体の密度は調和がとれており、第1の流体の一部が第2の流体内に支持または懸濁されたままであり得るようになっている。このことは、基板上にある第1の流体のより精巧なトポグラフィーの形成を可能にし得る。チャンバーの場合、所定のチャンバーの足跡について、チャンバーの容量は、第1の流体と基板との間の接触角によって限定されない。第1の流体が第2の流体内に適切に位置決めされれば、その時、チャンバーは、相対的に背の高い構造体を構成し得る。
より洗練された3D構造体の別の例では、第1の流体の層が、配置され、かつ、固められ(例えば、熱またはUV光への曝露によって)、その後、第1の流体のさらなる層が、第1の層の上に配置される。このことは、より精巧なトポグラフィーの形成を可能にし得る。
典型的には、本明細書に記載の例では、2つまたは3つの異なる流体(例えば、空気、水およびFC40)のみが用いられるが、任意の数の流体が組み合され得た。例えば、第1の水性の流体回路が引かれ、第2のエタノール系回路が引かれ、FC40の被覆が追加され、かつ、空気系回路が基板の表面においてFC40の被覆の下に引かれる。
ここで、本明細書に記載のマイクロ流体装置のいくつかの一般的な技術が要約される。出発点は、表面上に引かれた所定の足跡を有し、場合によっては、蒸発を防止するための追加の被覆(FC40)を有する滴のマイクロ流体回路またはアレイである。
流体の追加
・ ノズルが、滴の表面の下から流体を追加し、ノズルはマイクロ流体回路と接触している。
・ ノズルが、滴の表面の上から流体を追加し、ノズルとマイクロ流体回路との間の直接接触はない。
・ ノズルが、連続的または不連続的に流体を射出する。
・ 上記の乾燥した滴の再水和。
・ 覆っている不混和性の液体/流体(例えばFC40)を通る材料(例えば、ガス様の二酸化炭素または流体様の水)の移行。
流体の除去
・ ノズルが、滴の表面の下から、または、マイクロ流体回路における任意の位置において、流体を除去する。
・ 覆っている不混和性の液体/流体(例えばFC40)を通る材料(例えば、ガス様の二酸化炭素または流体様の水)に移行。
滴からの特定の内容物の選択
・ 固体表面への付着(例えば、ポリスチレン培養皿への接着ヒト細胞の付着、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)における表面への抗体/タンパク質の付着)によって。
・ 2つの流体の間(例えば、親油性試薬を除去するために用いられてもよい、水と油の間)の界面への付着によって。
・ 磁石によって所定の位置に保持された磁性粒子への付着によって。
次の操作技術は、マイクロ流体回路に特有のものである。流量と発生のタイミングとは、目的に合わせた結果のために、厳密に制御され得る。種々の操作が、洗練された機能性を生成するために組み合され得る。
追加/合流
・ 1つの導管における層流(同一の、または、異なった、その長さに沿った断面積および形状を有していてもよい)の間
・ 1つの合流点における2つ以上の導管の間
・ 滴またはチャンバーにおける混合を通して
・ 回路を清潔にするために
希釈
・ 1つの長い導管(同一の、または、異なった、その長さに沿った断面積および形状を有していてもよい)の下への通過中
・ 連続する導管(ここでも、同一の、または、異なった、その長さに沿った断面積を有していてもよい)を通る通過中
・ 1つの長い導管に沿って配置された1つ以上の滴/チャンバーを通る通過中
分割
・ 合流点において
濃度勾配を作成すること
・ 拡散によって導管を下向きに(正味の流体の流れなし)
・ 1つの流れから別の流れへの拡散によって(それらが1つの導管を下向きに流れるので)
・ 2つの流れが、1つの正方形/長方形/六角形のチャンバーの中央において出会う、(直線状の)界面を横切る拡散によって
分子を分離すること
・ フィルター粒子とは異なる断面を有する導管を用いて。
・ 行き止まりの導管における拡散泳動を通して。
・ 導管における粒子上の「慣性リフト(inertial lift)」を通して。このことは、粒子表面上の非対称の圧力および粘性応力に由来し、かつ、それは、粒子サイズ、導管幾何学および流れに依存する(後の2つは、本システムにおいて容易に操作され得る)。
ここで、本明細書に記載のマイクロ流体装置のいくつかの一般的な特徴が、より詳細に説明される。
導管を制限する堅固な壁の不在に起因して、例えば導管における流体の圧力を増大させることによって、導管の高さを変えることが可能である。ピン止めに起因して、導管の足跡は、不変のままであり得る。導管の高さ(および、したがって接触角)が閾値を超えれば、その時は、導管は幅が広くなる。導管の高さは、3桁の範囲内で変更され得る;例えば、最初は1μmの高さであった導管の高さは、同一の導管の足跡を保持しながら、100μmまたは1000μmまででさえ増大し得る。上記のように、導管に沿った圧力勾配がある場合、その長さに沿った異なる位置における導管の高さのバリエーションもある。
チャンバーを制限する堅固な壁の不在に起因して、チャンバーの容量を変えることが可能である。ピン止めに起因して所定の足跡が同一のままであり得ることを認識することによって、特定の容量を除去/追加することによって、かつ、足跡を変えることなく、滴(チャンバー)の曲率半径を減少または増大させることが可能になる。このことは、滴におけるラプラス圧力と静液圧、および、したがって回路における流れの選択ならびに制御を容認する。最大ピン止め角は、3つの材料(基板および2つの流体)に依存することもまた、注目されるべきである;材料の組み合わせの適切な選択によって、相対的に大きい最大ピン止め角が達成され得、かつ、滴の足跡に影響を与えることなく滴の容量を変えるための相対的に高い能力が提供され得る。
図19−図21および図26−図35に示される例では、チャンバーおよび導管を規定する固体壁のないシステムの使用が特に関連する。なぜなら、これらの設計は、入口を有するが出口を有さない「行き止まり」のチャンバーを含むからである。本マイクロ流体装置では、流体が(より大きい「リザーバー」チャンバーに)追加され、流体が(より大きい「リザーバー」チャンバーから)流出し、かつ、流体が(より小さい「反応」チャンバーに)流入するにつれて、チャンバーの容量は変化する。固定されたチャンバーの容量を用いると、このことは不可能であったであろうし、かつ、チャンバーへの流れについては、チャンバーからのバランスをとる流れがなければならなかったであろう。この従来の固体壁を提供するために、マイクロ流体は、概して各チャンバーへの出口を必要とし、それは、マイクロ流体システムからのマイクロ流体チャネルまたはポートである。本マイクロ流体装置においては、チャンバーの容量が変化し得るので、装置全体がより単純であり得る。
最初の回路が、特徴が相対的に平坦である(すなわち、それらが、基板より上の高さを相対的にほとんど有さず、かつ、例えば1°から10°である小さい接触角を有する)ように引かれ、または、プリントされれば、利益がある;その時、それらは、追加の流体を受け入れるための有意な能力を有する。このことは、所望の位置における後に続く試薬および流体の追加を可能にし、かつ、回路における所望の流体の流れの原因となることを可能にする、必要最小限の(skeleton)回路レイアウトの規定を許容する。必要最小限の回路は、集中的に製造され得(場合によっては、ユーザーが指定した設計にしたがって)、かつ、所望の使用のためにユーザーに輸送され得る(任意には、乾燥または凍結した状態で)。ユーザーは、その後、とりわけ、追加されるべき容量(回路におけるラプラス圧力および流れに影響を与える)、被覆(回路の浮力に影響を与える)および基板の傾き(回路における静液圧に影響を与える)のような多数のさらなるパラメーターを選択し得る。
本マイクロ流体装置のさらなる便利な点は、流れが、シリンジポンプのような外部の能動的ポンピング装置を必要とすることなく達成され得ることである。代わりに、静液圧およびラプラス圧力が、回路における所望の流れを達成するために制御され得る。かかる受動的ポンピングは、固体でない壁のおかげで可変の容量を有するチャンバーによって可能となる。外部の能動ポンピング装置の不在は、利点をもたらし、該利点は、サンプル不足の場合には特に重要であり得る、無駄な容量がなく、かつ、サンプルの廃棄物がないといったものであるが、また、システムの簡潔性ならびに高価な設備および既存の設備への実装/統合からの独立のようなものでもある。
予め湿った回路の足跡を予め規定するマイクロ流体装置を引く際には、自動的に引くシステム(automated drawing system)が、特徴の精度を達成するために上記されている。手で引くこと(hand drawing)は、特に上記のように特徴を切断するためには、完全に適しているかも知れない。手で引くことが所望されるが、良好な制度を達成することが困難であれば、その時は、ステンシルが、所望されるように配置され得る導管およびチャンバーのような予め規定された特徴を提供し得る。適切な回路の設計は、任意の従来用いられていたマイクロ流体レイアウトを含む。追加的には、上記のような「行き止まり」のチャンバーを有する設計が可能である。
上記のように、本マイクロ流体装置の利点の1つは、ユーザーが、所定のマイクロ流体レイアウトを変更する際に相当な自由を有することである。単純な例では、4つのリザーバーが提供され、各リザーバーは異なる試薬を有し、かつ、反応チャンバーが提供される。ユーザーは、まず、反応チャンバーを第1の試薬に接続し、特定の時間の後でさらに反応チャンバーを第2の試薬に接続し、さらなる時間の後で第1および第2の試薬を切断し、かつ、反応チャンバーを第3の試薬に接続し、その後も同様に続け得る。実際、レイアウトは、ユーザーが中断していない接続導管を形成するために容易に再び結合し得る、チャンバーの間の中断した接続導管を含んでいてもよい。導管を切断するためには、疎水性の針が用いられ得、かつ、中断した導管を結合するためには、親水性の針が適しているかも知れない。マイクロ流体回路の構成を素早く変更する能力は、ハードウェア要件をほとんど有さない実験にわたる、高度なユーザー制御を容認する。
記載される例は、マイクロ流体回路のための水溶液に基づく。なぜなら、記載される例は生物化学的実験に関し、かつ、生物学的システムは、概して水系だからである。水以外の流体が、本明細書に記載のマイクロ流体装置を形成するためには、等しく適切である。例えば、油系回路が、液晶ディスプレイ用の液晶を形成するために選択されてもよい。別の例では、他の溶剤および試薬が、量子点を形成するために用いられる。
本明細書における例の多くは、水性のマイクロ流体装置の蒸発を最小限にするために、FC40被覆を記載する。FC40は水と不混和性であり、かつ、それは多くの従来用いられている油よりも良好な生物的適合性を有するので特に好ましい。FC40はまた、油よりも扱いやすく、かつ、多くの油よりも水と調和する屈折率を有する。FC40は、概して、従来のシステムにおける使用に適していない。なぜなら、それは水よりも高濃度であり、かつ、水がFC40の上に浮き得るからである。例えば、従来のマイクロウェルアレイでは、FC40は使用されない。なぜなら、それは、ウェルにおける多量の水性の容量に起因してウェルの底に沈み、したがって、水性相を覆うことができないからである。本マイクロ流体装置は、表面張力に基づいており、したがって、高密度の被覆は、転相なく安定的に水性相を覆い得る。高密度の被覆は、それが上記のような傾斜の下で顕著な静液圧差をもたらすので、有利でさえある。25℃における〜20mPa.sの粘性と、水とほぼ同一の密度とを有するSigma−AldrichからのAR20(ポリフェニル−メチルシロキサン)のようなシリコーン油が、FC40の代わりに用いられ得る。
ここで、界面張力の変化の研究のための応用が、図49を参照して説明される。図49(上)は、FC40における2つの水性の滴を示す。図49(下)は、特定の期間の界面活性剤への曝露後の、FC40における同一の2つの水性の滴を示す。界面活性剤が滴の表面に吸着するので、滴の形状は、球形から釣鐘状に変化する。ピン止めが、滴の足跡が不変のままであることを引き起こす。結果として生じる複雑な滴の形状は、静液圧と界面張力とによって判定される;釣鐘状曲線における変曲点は、界面張力の指標を提供するために分析され得る。従来、界面活性剤の追加に伴う界面張力の変化は、チューブからぶら下がった滴の変化する形状を観察することによって研究される。本明細書に記載の方法は、界面張力の動力学的研究を容認し、かつ、少量の試薬のみを必要とする。
滴の表面において、界面にわたる静液圧と界面にわたるラプラス圧力とは、互いにバランスをとる。滴の表面の曲線に沿った変曲点においては、1つの平面においてのみ曲率がある(対照的に、滴の表面に沿った他の位置ならどこでも、概して2つの曲率半径があり、ラプラス圧力の評価をより複雑にする)。変曲点における単一の曲率半径を考慮すると、界面にわたるラプラス圧力は、簡略化された関係式を用いて判定されてもよい:
界面にわたるラプラス圧力=界面張力/曲率半径。
曲率半径は、変曲点の水平面における滴の直径を測定することによって、容易に判定可能である。2つの流体の間の濃度差を考慮すると、変曲点における界面にわたる静液圧は、滴の上面と変曲点との間の垂直距離の測定によって判定されてもよい。したがって、界面張力(静的および動的の両方)は、関係式を用いて容易に判定され得る:
界面張力=曲率半径*界面にわたる静液圧。
滴のサイズは、界面張力測定範囲の精度に適合する/界面張力測定範囲の精度を改善するために変更されてもよい。
アレイ
ここで、図18を参照して説明されるような、個別の滴のアレイに適用された本マイクロ流体装置が、より詳細に説明される。
少量の試薬(ナノリットル単位からマイクロリットル単位)を小さいチャンバーへと追加/除去する能力は、産業において多くの応用を有する。しばしば、小さい容量が、マイクロピペットによってマイクロウェルへと分注される。マイクロアレイに適用された本マイクロ流体装置は、単純かつ安価な、マイクロウェルの使用の代案を提供する;この代案は、高いスループット用途に容易に組み込まれ得る。マイクロアレイに適用された本マイクロ流体装置は、数ナノリットルから数マイクロリットルまでの容量を有するチャンバーに追加されるべき、または、該チャンバーから除去されるべき特定の濃度の試薬を必要とする用途において特に有用である。
これまでよりも少量の材料を検知する能力は、年々改善されてきており、かつ、このことは、数が増え続けるこれまでよりも小さい容量を扱うより良好な方法の追求を駆り立てる。「マイクロプレート」(「マイクロタイター」または「マイクロウェル」プレートとしても知られる)は、分析的または診断的研究室における高いスループットの液体取扱い中に広く用いられる。マイクロプレートは、127.76×85.48×14.22mm(長さ×幅×高さ)という公認された標準サイズ(ANSI/SLAS標準)を有する;96個、384個および1,536個のウェル/プレートを有するものは、大まかにはそれぞれ100−500、15−150および3−10マイクロリットルの作業容量を有し、かつ、ウェルは通常<1つのウェルの直径離れて間隔を置いている。各ウェルの内容物は、他のものから切り離される。異なるウェルの間での物質の交換は発生せず、かつ、無菌のウェルは、培養されたウェルに隣接している時でさえ無菌のままである。壁を通して失われる流体はなく、かつ、表面からの蒸発は、ウェルを密封することによって限定され得る(例えば、プラスチックフィルムで、または、油のような不混和性の液体で覆うことで)。
マイクロアレイに適用された本マイクロ流体装置は、従来の「マイクロプレート」の、上述の標準サイズを有し得る平坦で非パターン化された(均一な表面化学を有する)表面(例えば、ポリスチレンまたはガラス製の)による置換を許容する(したがって、それは、既存のロボット液体取扱いシステムとともに用いられ得る)。滴のアレイがこの表面上に「プリント」され、かつ、各滴は、その後、「マイクロプレート」におけるウェルと同等になる。流体が、ここで、現在使用されているロボットシステムまたは以下でより深く説明される「プリンター」を用いて、このアレイにおける滴へと追加され得る/このアレイにおける滴から除去され得る。同一の一般的な考慮は、非標準サイズの表面上にあるアレイ、非円形の足跡(例えば、正方形形または六角形)を有する滴のアレイおよび滴がその中により密に詰められたアレイ(例えば、1列および1行おきにオフセットすることによって)に適用されることに注目せよ。マイクロ流体回路を参照して上記された特徴および考慮は、本明細書に記載の滴のマイクロアレイに等しく適用される。
マイクロアレイに適用された本マイクロ流体装置の例では、水性の滴が、平坦で非パターン化されたポリスチレン表面上に形成される(適切な界面張力を生み出す他の液体/表面が用いられ得る)。まず、水性の滴が、ノズル/「ペン」から水を射出することによって、平坦で非パターン化された表面上に「プリント」される。空気:水(すなわち、流体:流体)の界面が、滴を取り囲む。滴は、それが界面張力によって堆積した表面上の局所領域に制限される。表面の周りの固体制限壁は存在しない;同様に、表面機能性付与が滴を特定の領域に促すことはない。次に、滴は、それをその周囲から分離し、かつ、蒸発を防止するために、不混和性の流体で覆われる;流体:流体の界面が、まだ滴を取り囲んでいる。不混和性の流体は、水に浮く油であってもよく、または、水より高密度であるFC40のようなフッ化炭素であってもよい(滴が十分に小さければ、表面張力は、水が、より高密度である被覆流体にもかかわらず、それが堆積した表面にくっついたままであることを確実にする程に十分強い)。最後に、水が、同一または別のノズルを用いて、覆っている不混和性の流体を通して、滴に追加され得る/滴から除去され得る。その時、界面張力が、プレート上の滴の足跡および位置が、大部分は不変であることを確実にする(このことは、後に続くロボットの液体取扱いを容易にする。なぜなら、ロボットは同一のX,Y,Z座標へと戻るように容易にプログラミングされ得るからである)。これらの工程は、平坦で非パターン化された表面上に切り離された滴(幾何学において、大まかには球体のキャップ)のアレイを生成するために用いられ得る。
図50は、滴のアレイを示す。この例では、標準マイクロタイタープレートに青い染料を有する水滴のアレイが示される(挿入図は拡大図を示す)。ここでは、FC40で覆われた、600nl(容量は1,000nlまで拡張可能)の1,536個の滴のアレイがある。
かかるアレイの使用は、ここでより深く説明される、いくつかの相互に関連する利点を有する。
(i)プリントされた滴のアレイは、各滴における流体が、その後、液体取扱いに適したままであるという意味で「機能性」を保持する。例えば、流体は、従来のロボット的に駆動されるピペットを通して、そのピペットを滴の表面の下に挿入することによって、容易に滴に追加され得、または、それから除去され得る。従来の「マイクロプレート」と同様に、滴の間の流体の移行−したがって汚染−を最小限にするために、異なる滴から液体を追加/除去する時は、異なるピペットが用いられる。しかしながら、流体はまた、特注の流体プリンター(以下でより詳細に説明されるプリンティングシステムのような)を用いて、滴に追加され得る。この場合、ノズルは、滴の表面より上に位置決めされ得、流体は、ノズルから出て、かつ、アレイに予め存在する滴の上へと流れる。このことは、予め存在する滴における流体によるノズルにおける流体の汚染を最小限にする。結果的に、同一のノズルが、アレイにおける異なる滴に同一の試薬を追加するために用いられ得る。
(ii)高いスループット用途については、単位面積当たりの流体チャンバー(ウェル/滴)の密度を最大限にし、かつ、各ウェル/滴内の水性の容量を最小限にすることは、(試薬がしばしば高価であるので)通常利点がある。ウェルが典型的には推奨される〜5マイクロリットルの作業容量を有する、従来の384ウェルプレートを考慮せよ。1マイクロリットルのみを含むわずかにより多く(少なくとも384)の水性の(球形の)滴が、非パターン化された表面上の同一の領域に整列され得る(たとえ、より大きい滴の間の1つの滴の直径分の「空いた(dead)」間隔を考慮したとしても)。かかる比較における差は、ウェル/滴が小さくなるにつれて増大する。したがって、従来の1,536ウェルプレート(推奨される最小作業容量は〜3マイクロリットル)が、非パターン化された表面上の同一の領域に整列され得る0.1マイクロリットルのみ含む〜1,855個の水性の滴に匹敵する(再び、より大きい滴の間の1つの滴の直径分の「空いた」間隔を想定する)。さらに、〜8,475個の滴(容量は0.01マイクロリットル)が、典型的な「マイクロプレート」の作業領域に整列され得る。現代の広く用いられているロボットは、かかる小さい滴を、ピペットを用いて移すことができる。結果的に、マイクロアレイに適用された本マイクロ流体装置は、より多くの、より小容量のチャンバーが標準的な「マイクロプレート」の作業領域に詰められることを許容し、このことは、用いられる容量の節約をもたらすはずである。滴は、より密に詰められ得る(例えば、1列および1行おきにオフセットすることによって)。
(iii)従来の「マイクロプレート」において小容量を用いることは、有意な「エッジ」効果をもたらし、かつ、このことは、下流の分析を複雑にし得る。例えば、標準的な1,536ウェル「マイクロプレート」の1つのウェル(半径0.86mm)における3マイクロリットルの水性の滴の容量の〜11%は、周辺メニスカス(peripheral meniscus)にある(すなわち、中間の高さより上にある)。その時、ウェルにおける関心のある内容物(おそらく、底で成長しているヒト細胞)は、顕微鏡を用いて辛うじて撮像され得るのみであり、その顕微鏡が上から直接ウェルを「見る」のみである時は特にそうである。しかしながら、成長している細胞を含む平坦な表面上にある多くの滴は、1つの視点から容易かつ同時に撮像され得る。
(iv)アレイにおいて成長する哺乳類細胞への効果について、薬剤をスクリーンすることは魅力的である。かかる細胞は、ポリスチレン上で日常的に成長する。チューブがFC40で包まれた血清含有培地の滴を含む2相系で満たされれば、その時は、流れが、滴のラギング端部(lagging end)において血清タンパク質/リポタンパク質のベシクルおよび凝集物の形成を誘導することが、観察される。かかるベシクル/凝集物の存在は、後に続く顕微鏡分析を複雑にし得る(ベシクルが、細胞、核または細胞小器官によく似ているので)。培地の滴(細胞を含んでいるかも知れない)がまず、下記のプリンティングシステムを用いて、単相のみを含む源/チューブから空気を通して表面上へと堆積され、その後、フッ化炭素であるFC40で覆われる時は、かかるベシクル/凝集物が見られないこともまた観察される。チューブにおける単相または多相の流れを用いた、この予め形成された滴への後に続く流体の追加は、滴におけるベシクル(他の非水性相に起因する)を、仮にあったしても、ほとんどもたらさない。
(v)アレイにおける滴は、非円形の足跡−例えば、正方形または六角形を有し得る。アレイにおける例えば正方形の滴の足跡は、アレイを保持する基板の面積のより大きい部分を占め得る。このことは、例えば、より大きい感度について、各滴において成長する接着細胞の数を最大化することに利益があれば、有利であり得る。
マイクロアレイへの本マイクロ流体装置の適用は、広く用いられている現行の工程(例えば、細胞アッセイ用)と適合する方法で、高いスループットの小容量の液体取扱い(チャンバーへの流体の追加/チャンバーからの流体の除去)を実行するために用いられ得る。多くのウェルを有する標準的な「マイクロプレート」が、平坦な非構造化された表面(従来のマイクロプレートと同様の寸法を有していてもよい)によって置換される。表面上の滴のアレイが、標準的な「マイクロプレート」におけるウェルのアレイの代わりをする。本システムでは、平坦な表面の縁の周りには、固体壁のみがある;これらの壁は、蒸発を防止し、かつ、アレイにおける個別の滴を別の滴から切り離すために続いて追加されてもよい(不混和性の)流体(例えば、油またはFC40のようなフッ化炭素)の任意の被覆層を制限する。蒸発を最小限にすることは、滴のサイズが減少するにつれて、ますます重要になる。
本アレイを製造するための方法の例が、ここで説明される。流体で満たされ、かつ、ポンプに接続されたチューブを用いて、単一の水性の滴が形成される。ポンプは、能動的ポンピング(例えば、シリンジポンプ)または受動的ポンピング(重力駆動サイフォン)のいずれかを用いて、チューブを通る流体の流れを駆動させる。ロボットが、チューブのティップ(「ノズル」)を保持し、かつ、それを(親水性の)表面の真上の所定の位置へと移動させる。ポンプを始動することが流体を射出し、したがって、滴が、それがやがては表面に触れるまで、固定ノズルにおいて成長する;その後、流体が、急速かつ無秩序に再配置され、チューブからノズルを通って表面まで連続的に広がる(未だに流れている)水の切れ目のないブリッジを作成する。この流体ブリッジと表面上のその足跡とは、界面張力(水と固体表面およびノズルの両方との間、ならびに、水と取り囲んでいる流体−今説明されている例では空気であるが、他の例では油またはFC40のような不混和性の流体であってもよい−との間)、ノズル寸法および流量によって成形される。流れが続くにつれて、ノズルは、表面上の滴の足跡を任意の所望される形状へと変えるために(例えば、正方形、六角形または星のような形状をした足跡を与えるために)、X方向および/またはY方向に動かされ得る。流れが続くにつれて(またはそうでなくても)、ノズルは、ブリッジを破壊し、かつ、表面上に滴を残すために上げられ得る。このここでプリントされた滴の形状は、種々の界面張力、流量、発進ノズル(departing nozzle)の形状およびそのノズルの発進速度(speed of departure)によって決定される。この工程は、滴のアレイを作成するために繰り返され得る。なぜなら、ポンプは、それが表面より上にある1つの位置から別の位置へと横切る時でも、流体を射出し続けるからである(このことは、急速プリンティングを許容する)。もちろん、ポンプはまた、かかる横断中に流れを止め得る。
一旦作成されると、滴のアレイは、マイクロウェルアレイにおいて従来用いられている油被覆と同様に、水より軽い油で覆われ得る。おそらく驚くべきことに、水より高密度であるFC40のようなフッ化炭素もまた、用いられ得る(界面張力が、密度差に関わらず、表面上に数マイクロリットルより少量である水性の滴を維持するのに十分であるので)。
水が、ロボット駆動のピペットをアレイにおける滴に浸すという従来のアプローチを用いて、かかるアレイにおいて、滴に追加され得、かつ、滴から除去され得る。相互汚染を防止するために、典型的には新しいピペットが各滴とともに用いられる。ロボット的に動かされるノズルを有する上記のプリンターシステムはまた、異なる方法で、予め存在する滴または回路(油またはフッ化炭素で覆われていてもよい)に水を追加(かつ除去)し得る。流体を追加する時、ノズルは、予め存在する滴の表面に近付けられ(好ましくは、それに触れることなく)、かつ、ポンプが始動される(それがまだ稼働していなければ)。その後、滴が、ノズルにおいて成長し、表面上に予め存在する滴とやがて合体する(前のように)。このことは、流体がその滴へとポンピングされる前に、ピペットのティップがマイクロタイタープレートのウェルにおける流体の表面の下に挿入される従来のアプローチとは異なる。円形の足跡を有する滴の場合、混合が、おそらくより効果的である。なぜなら、2つの効果が貢献するからである−連続した流れは、2つの滴の合体によって誘導された無秩序な流れによって増大された、同等のポンピング誘導混合(pumping−induced mixing)を提供する。正方形の足跡を有する滴の場合、流れは、円形の足跡を有する滴における場合と比べて、よりいっそう無秩序である。ここで、連続する流れはまた、アレイにおける1つの滴から次の滴への流体の持ち越しを最小限にし、したがって、異なる試薬を含む滴の間の相互汚染が最小限になり得る。前のように、界面張力、流量、ノズルと表面との間の垂直距離、ノズル寸法およびノズルの垂直移動の速度はすべて、ノズルから表面上にある滴への所望される水の移行を確実にするために、水のブリッジが適切に作成/破壊されることを確実にするために選択される。アレイにおいて予め存在する滴から流体を除去するためには、従来の方法が用いられ得る(例えば、ポンプが止められることで、ノズルが滴へと従来のピペットのティップのように挿入され得、その後ポンプが逆に始動されるか、または、滴が十分なサイズのものであれば、標準的なピペット/ロボットが用いられ得る)。
上記のように、アレイは、水がノズルから継続的に流れるにつれて作成され得る。言い換えれば、プリンターが最初に滴のアレイを作成するために表面にわたってあちこち移動するので、流れが継続する。一旦アレイが作成されると、より多くの水がアレイにおける選択された滴に追加されるので、水はまた継続的に流れ得る。このことは、アレイを速く生成すること、および/または、それに続く速い液体取扱いを可能にする。上記のように、同一のノズルが、相互汚染のほとんどない領域において、アレイを作成するため、かつ/または、選択された滴に水を追加するために用いられ得る。このことは、各滴用の新しいピペットのティップの必要性を除去する(したがって費用を削減する)。
我々は、ここで、FC40の被覆に起因する滴の形状に対する効果を考慮する。少量の水が、ポリスチレン表面上にある水滴に、ポリスチレン上の足跡を変えることなく追加され得る(または、ポリスチレン表面上にある水滴から、ポリスチレン上の足跡を変えることなく除去され得る);足跡の限界を規定する接触線は、「ピン止め」され、かつ、接触角は、前進最大接触角(または、後退もしくは最小接触角)の限界まで増大(または減少)する。しかしながら、足跡の表面積は、これらの限界を超えて接触角を変える水が追加(または除去)されれば、増大(または減少)する。FC40で覆われる時、最大接触角は増大し、かつ、「ピン止め」は、より多くの水が足跡の面積を変えることなく追加(または除去)され得ることを確実にする。このことは、隣接する滴の合流を回避しながらの、アレイにおける滴の高密度の詰め込みにとって、特に好ましい。
より大きい水滴を用いれば、FC40被覆は、より多くの水がポリスチレン表面上の予め存在する水滴に追加されることを許容する別の効果を有する。より大きい滴を用いれば、重力がより重要になる;それは、「ピン止め」に連結された、(より高密度の)FC40と水との間の浮遊密度差を通して作用する。FC40下での「ピン止め」された水滴へのより多くの水の追加は、最初は、足跡の面積を増大させることなく、滴の鉛直高さを増大させる。なぜなら、水は、FC40を通って上がり、その表面上に浮く傾向にあるからである。
上記のように、アレイにおける滴は、増大したピン止め、より良好な混合およびより大きい基板領域のカバーのために、非円形の足跡を有し得る。
滴の足跡は、特定の目的を満たすために選択され得る。1つの例では、等しい容量の2つの水滴が、空気においてポリスチレン皿上にプリントされる;第1の滴は円形の足跡を有し、かつ、他方は正方形の足跡を有する。円形の足跡を有する滴は、最も高い曲率(および、したがってラプラス圧力)を有し、かつ、この圧力差は、種々の方法で使用され得る(例えば、流体導管を通してそれらを接続した後で一方から他方へ流体を移行するために、または、異なる速度での表面からの蒸発を許容するために)。別の例では、等しい容量の3つの滴(前のように、ポリスチレン上に空気においてプリントされる)がすべて円形の足跡を有するが、直径が異なる。滴のうちの1つは半球形であり;別の滴は相対的に大きい足跡の直径を有し、かつ、相対的に平坦であり;かつ、第3の滴は、相対的に小さい足跡の直径を有し、かつ、相対的に高く;半球形の滴は、最も高い曲率(およびラプラス圧力)を有する。先の例のように、この圧力差は、種々の方法で使用され得る(例えば、流体導管を通してそれらを接続した後で一方から他方へ流体を移行するために、または、異なる速度での表面からの蒸発を許容するために)。
マイクロ流体回路について上記したように、最初の滴のアレイが相対的に平坦な滴(例えば1°から10°である小さい接触角と、滴の直径に基づく最初の滴の容量とを有する)で引かれ、または、プリントされ、滴が追加の流体を受け入れるための有意な能力を有する(滴の足跡が不変のままであるようなピン止めに起因して)ようになっていれば、利益がある。このことは、必要最小限の滴のアレイの規定と、所望の位置における試薬および流体の後に続く追加とを許容する。
図51および図52は、流体が滴へと追加され、かつ、滴から除去される例を示す。図51(i)では、水滴が、分注ティップにおける表面張力によって保持される。図51(ii)では、滴が、 :空気における前進接触角を有して、基板上に形成される。図51(iii)では、より多くの水を追加することが、足跡を増大させる。図51(iv)では、水を除去することが、足跡を不変のままとする(縁は「ピン止め」される)が、接触角は、< である。ここで、水が、足跡を変えることなく、この「平らにされた」滴へと追加され得る(接触角が まで増大するので)。図51(v)では、FC40における接触角が> であるので、図51(iii)の構造体をFC40で覆うことが、さらなる水が足跡を変えることなく追加されることを許容する。
図52(i)では、図51(iv)における滴と類似するが、追加のFC40被覆を有する、基板上にプリントされた「平坦な」滴を「プリントする」ことが見られる。図52(ii)では、水が滴に追加され、より大きい容量(例では、14倍増大した)を有し、かつ、滴の足跡へのいかなる変更も有さない図52(iii)に示される滴をもたらす。
上記のように、滴のアレイは、脱水され得(上記のように、取扱いおよび発送の便宜のために)、かつ、使用のために再水和される(上記で詳細に説明したように)。例では、表面が、滴で予めパターン化され、個別の滴が異なる試薬(例えば、siRNAのスクリーンに用いられる異なるsiRNA)を含むようになっている。水は滴から蒸発し、プレートは梱包され、かつ、ユーザーに発送され、該ユーザーは、その後、滴を再水和させ、かつ、アッセイを開始するためにサンプルを追加し得る。代替的には、アレイは冷凍され、発送され、その後で解凍され得る。
ここで、細胞培養物用のアレイの例が、より詳細に議論される。細胞培養物は、生物学的工程に見通しを与えるために、従来はマイクロアレイプレート上で成長する。マイクロアレイプレート上のウェルが概して湾曲した壁を有するので、かかるウェルにおける細胞の撮像は、問題を含み得る。滴を保持する平坦で非パターン化された表面を用いれば、撮像は改善され得る。また、上記のように、平坦で非パターン化された表面上に堆積された滴を用いれば、より大きい梱包、密度および表面のカバーが達成され得る。典型的なマイクロウェルは、〜30μlである最少のサンプル容量を必要とする一方で、同一の足跡を有する滴では、容量は300nlと3μlとの間であり得る。より少ない容量は、滴を満たすことをより安価にし、かつ、薬剤ライブラリーのような希少材料の無駄をより少なくする。ピン止め行動に起因して、大量の流体が、足跡を変えることなく滴に追加され得る。例えば、滴の規定のために、200nlの流体が表面上に堆積される(相対的に平坦で薄い滴に);続いて、さらに2000nlまでの追加が可能である。従来のマイクロアレイでは、かかる容量の10倍の増大は、ウェルの足跡を増大させることなしには、典型的には不可能である。マイクロアレイの保存および輸送のためには、表面上に予めパターン化されたアレイを使用し、それらを再水和させ、その後、使用のために細胞を追加することが、しばしば好ましい;この点、パターニングの後に相対的に大きい容量を追加する能力は、特に好ましい。滴の足跡が、より多くの流体および細胞の追加後に面積を増大させないので、結果は、足跡が増大し、かつ、相対的に少量の細胞が周囲への道を見出した場合よりも、より高密度でより均一な細胞の分布である。高密度で均一な細胞分布は、撮像の点で好ましい。最後に、FC40は、上記のように、特に生物的適合性の点で油よりも優れた特性を示すが、ウェルにおける使用には不適切である:相対的に大きい水の容量に起因して、浮力が、ウェルにおけるFC40の上に水を浮かせるほど大きい。
上記の滴のアレイのさらなる可能性は、次の事項を含む:
・ まず水性の滴を形成し、その後、不混和性の流体で覆う、2つのノズルからの連続的堆積。
・ 上記の方法では、被覆が、水性の滴を堆積させた後で追加される;代替的な方法では、水性の滴が、被覆のフィルムの下に堆積される。水性の滴が、ノズルから予め存在する油またはフッ化炭素の層へと、および、予め存在する油またはフッ化炭素の層を通って表面上へと射出される;ここで、水性の滴は、それが常に単離する油またはフッ化炭素によって取り囲まれているので、空気と接触することはない。この代替案では、滴の、被覆流体とのいくぶんの汚染があるかも知れない。
・ 上記の方法では、滴が、流体がノズルから出るにつれて形成される;代替的な方法では、チューブは、油に包まれた水滴で予め満たされる(したがって、ノズルから射出される時、水性の滴が既に存在する)。水性の滴が、油またはフッ化炭素によって取り囲まれた水性の小滴で予め満たされたチューブ、または、次にフッ化炭素によって取り囲まれる油滴内の水滴で予め満たされたチューブから表面上へと射出される。
・ 上記の方法では、被覆は、それが滴を覆うだけであるか(最大の滴の容量/高さまで)、または、滴を縁で覆うように選択される。変形では、被覆は、滴を部分的にのみ覆っていてもよい。例えば、覆っている第2の流体が、1mmの高さである第1の流体滴の周りで、0.5mmの深さであってもよい(いくぶんかの第2の流体が、第1の流体の蒸発を防止するために、第1の流体滴の上にまだ薄いフィルムを形成してもよい)。第3の流体が、滴を部分的に覆っていてもよい。第3の流体が、第2の流体を覆っていてもよい。
・ 被覆が追加されず、かつ、滴は空気内に残ったままである。
・ 滴が、パターン化された表面上に堆積される。
・ 滴が、駆動ピストンとしてチューブ内の気泡を用いて調製されてもよい。
・ チューブが、平坦な表面上に形成された滴から充填されてもよい。
上記の例は、ポリスチレンのような親水性の表面上の水性の滴に関する。代替案では、同一の方法および考慮が、疎水性の表面上に油滴のアレイを形成するために用いられる。さらなる油が、上記の水性の滴と同様に、かかる油滴へと追加され、かつ、かかる油滴から除去され得る。表面および流体の適切な選択によって、広範囲の流体および基板を用いた本明細書に記載の滴のマイクロアレイを可能にするために、適切な界面張力が提供され得る。
プリンティング
ここで、上記のマイクロ流体装置を製造するためのプリンターシステムが、より詳細に説明される。
プリンターシステムは、上記のような2Dおよび3D回路を構成するために、表面上に、液滴の機能的なアレイおよび/またはマイクロ流体回路(チャンバーおよび/または滴および/または導管のネットワーク)をプリントする。例では、装置は3つの部品を含む:ロボット的に駆動されるノズル/ペン/スタイラスと、シリンジポンプ(PTFEチューブを通してノズルに接続された)と、ロボットとシリンジポンプとを駆動させる関連コンピューター/ソフトウェア。プリンターシステムはまた、特定の量の試薬を、数ナノリットルからマイクロリットルの容量を有するチャンバーへと追加し、または、数ナノリットルからマイクロリットルの容量を有するチャンバーから除去し得る。少量の試薬(ナノリットルからマイクロリットル)を小さいチャンバーに追加および除去する能力は、産業において多くの応用を有する。最も一般的には、少ない容量は、ピペットによって試験管またはマイクロタイタープレートにおけるウェルへと分注される。プリンターシステムは、単純で安価であり、かつ、高いスループット工程に組み込まれ得る。
単一の滴、滴のアレイまたはより複雑な流体回路が、表面、典型的には(必ずしもそうではないが)平坦で水平かつ非パターン化された表面の上に「プリント」される;それらは、表面張力によって所定の位置に保持され、かつ、流体界面によって制限され、かつ/または、分離される。任意の想像可能なマイクロ流体ネットワークが、(平坦で水平な)親水性の表面を横切って水で満たされた「ペン」を引き、流体の跡を残すことによって作成され得る。一旦作成されると、堆積した流体は、それをフッ化炭素のような不混和性の流体(特に蒸発を防止する)で覆うことによって保存され、かつ、単離され得る。続いて、水性の流体または溶質が、ネットワークを通して受動的(例えば、拡散によって、または、ネットワーク全体に賢明に設置される滴におけるラプラス圧力の差を用いて)または能動的(例えば、ポンプを用いて)に移行され得る。界面張力の知識が、ネットワークを作成し、かつ、それらを通る流体の流れを操作する時に用いられる。結果として生じるアレイは、従来のマイクロウェルのように用いられ得(例えば、細胞アッセイにおいて、薬剤スクリーニングにおいて、または、流体を必要とするほぼあらゆるアッセイにおいて)、回路は、従来のマイクロ流体チップのように用いられ得る(例えば、試薬を追加および除去するため)。
プリンターシステムは、3つの必須の部品を有する:(i)流れを「ペン」または「ノズル」へと駆動させる機構(例えば、シリンジポンプまたは重力駆動サイフォン)、(ii)ペン/ノズルを保持し、かつ、それを基板に関して移動させるためのロボット(例えば、x、yおよびZにおける〜10μmの精度を有する;例えば、ロボットは、ペンをZ方向に移動させ、かつ、基板を保持するためのステージをX方向およびY方向に移動させてもよい)、および(iii)ユーザーが計算機器上に所望の回路を引き、その回路の下にある座標を、ポンプとロボットを駆動させ、したがって表面上に滴のアレイまたは回路を作成するコードへと変換することを許容するソフトウェア/コンピューター。
本プリンティング工程の多数の例が、上記されている。水で満たされ、かつ、流体の流れを駆動させ得るポンプに接続されたチューブを用いて−ポリスチレン表面上に単一の水滴を(空気において)プリントするためのプリンティング動作のさらなる例が、ここで説明される。ロボットが、チューブのティップ(「ノズル」)を保持し、かつ、それを(親水性の)表面の真上の3D空間における所定の位置へと運ぶ。ポンプは流体を射出し、したがって、滴が、それが表面に触れるまで固定ノズルにおいて成長する;その後、流体が再配置され、チューブからノズルを通って表面まで連続的に広がる(おそらく未だに流れている)水の切れ目のないブリッジを作成する。流体ブリッジの形状およびサイズならびに表面上のその足跡は、ノズル寸法、流量、ならびに、水と固体表面およびノズルの両方の間ならびに水と取り囲んでいる流体との間の界面張力によって決定される。流れが続くにつれて、ノズルはやがて、ブリッジを壊し、かつ、表面上に滴を残すために上げられる。このここでプリントされた滴の形状は、種々の界面張力、流量、発進ノズルの形状およびノズルがなぞる経路によって決定される。この工程は、滴のアレイを作成するために繰り返され得る。なぜなら、ポンプは、それが表面より上にある1つの位置から別の位置へと横切る時でさえも、流体を射出し続けるからである(このことは、急速プリンティングを許容する)。変形では、ポンプは、かかる横断中に流れを止める(このことは、流体の堆積に遅れを引き起こし得るが)。
より複雑な流体回路のために、一旦ノズルがその位置まで下げられ、かつ、最初の滴が表面上に堆積されると−流れが続くので−任意の所望の2D形状を有する流体的に取り付けられた導管を作成するために、単純にノズルを横方向(z軸における変化のない、x寸法および/またはy寸法における)に移動させることによって、導管がその滴に追加され得る。延長線上で考えると、追加の滴および接続導管が、ノズルを横方向に移動させることによって、z軸における変化なく、かつ、ポンプを止めることなく、かかる回路に追加され得る(素早いプリンティングのために)。変形では、ポンプは、かかる横断中に流れを止める。その回路へのさらなる流体の追加は、ノズルが流体ブリッジを壊すために上げられる時、および/または、ポンプが停止する時に止む。ノズルは、追加の流体を追加するために、先に形成された滴または回路へと戻されてもよい。ノズルは、先に形成された回路の特徴に戻されてもよく、かつ、さらなる接続された回路の特徴を追加してもよい。流量およびノズルと表面との間の垂直距離、ノズル寸法、界面張力ならびに横方向および垂直方向の移動はすべて、流体ブリッジが適切に作成/破壊されて、表面上に流体の所望のパターンおよび容量を与えることを確実にするために選択される。
上記の例では、流体は表面上に堆積され、取り囲む流体は空気である。他の例では、流体は、表面上に堆積される一方で、油またはFC40のような異なる不混和性の流体によって取り囲まれる。1つのかかる例では、水性の流体が、最初に表面を覆うフッ化炭素を通して注入され、このようにして表面上に堆積される。
上記の例では、流体は、所望のパターンで表面上に堆積される。別の例では、流体は、所望のパターンを形成するために表面上で再配置される。この工程は、スグラッフィートとして知られる技術に類似する。図53−図56は、再配置によるプリンティングをより詳細に示す。
図53は、再配置によるプリンティングの概略図を示す。マイクロタイタープレートのような基板480が、FC40のようなフッ化炭素の不混和性の層484で覆われた薄い水性のフィルム482をその表面上に有する。PTFEチューブのような疎水性かつ親フルオロ性のティップ486が、水性のフィルム482およびフッ化炭素層484を通して挿入され、かつ、基板480の表面に沿って引かれる。ティップ486の疎水性の性質は、水性のフィルム482の移動を補助し、かつ、ティップの親フルオロ性の性質に起因して、フッ化炭素484が、先に水溶液によって占められていた空間の再充填を補助する。この方法では、パターンが、図示された例では、線488として形成され得る。例えば、多数の直線を引くことによって、水性の流体の「島」が製造され得る。水性の流体の他のより複雑なパターンが、同様に製造され得る。
図54(i)から図54(iii)は、流体を再配置することによって製造されたマイクロ流体装置を示す。図54(i)は、多数の平行なマイクロ流体導管を示す。図54(ii)および図54(iii)は、正方形のチャンバーのアレイを示す。表面上の所望の位置にチャンバーのアレイをプリントする代わりに、図示されたパターンは、水溶液をそれが所望されない位置から移動させることによって引かれる。プリンティングティップは、水溶液が動かされるべき、したがって所望の導管の間および所望のチャンバーの間の表面を横切って動かされる。この例では、プラスチック基板の表面は、水性の流体で湿っている。過剰な水性の流体は、最低限の厚さより厚いフィルムの形成を回避するために除去されるが、十分な水性の流体が残され、表面を湿ったままにする。1mlのFC40が水性のフィルム上に覆われ、不混和性の層を形成する。32G PTFEチューブ(0.23mmの内径を有する)が、FC40および水性の流体を通して、それが表面に接触し、かつ、プレートを横切って直線状に引っ張られる(15mm/sで)まで下げられる;PTFEティップは、水性のフィルムを通過するので、水は、正面における表面から動かされ、かつ、背面においてFC40によって置き換えられ、そのことによって、水性のフィルムが規定された形状へと再配置される。
図54(i)では、水溶液が、線形に動かされる。線の端部で、PTFEティップは出発地点へと戻され、かつ、平行線の連続を形成する距離でオフセットされる;それぞれの新たな線は、最後の線から374から600μmでオフセットされる。明視野画像は、FC40の線(PTFEティップが移動している方向に対して垂直である表面と接触するティップの幅によって決定される一定の厚さを有する)によって分離された異なる厚さを有する、いくつかの結果として生じる水性の線(青)を示す。図54(ii)では、水溶液が、格子形状に動かされる。図54(i)に見られるパターンから出発して、多数のさらなる線がその後で最初の線のセットに対して直角に引かれ、格子を作成する(均一なオフセットを用いて)。このことは、〜100−400μmの辺および数ナノリットルまで下がる容量を有する正方形または長方形の水性のチャンバーのアレイを製造する。チャンバーは、このようにして標準的なプレート中に作成され得る。チャンバーを形成する水溶液が薄いフィルムの形状であり、かつ、相対的に平坦であるので、チャンバーの総容量が、チャンバーの界面の接触角がそれらの特定の材料の前進接触角より小さいようになっていることを条件に、チャンバーは、足跡を変えることなく、その最初の容量の倍もの容量で満たされ得る。図54(iii)は、54(ii)に示されるものと同一のアレイの蛍光画像を示す。
図55は、上記のように流体を再配置することによって製造される、20−110μmの幅を有する多数の平行なマイクロ流体導管を示す。導管を製造するためには、最初の線が、45度で表面に触れている32G PTFEチューブで形成されたティップで引かれる;このことは、約130μmの幅であるFC40で満たされた線を製造する。その後、ティップは、表面から離れるように動かされ、かつ、最初の線の同一の水平な出発地点に戻るよう横切るようにされるが、240μmの距離で負の垂直方向にオフセットされる。ティップは、その後、表面上に戻され、平行な線(表面上のFC40の導管)が引かれる。これら2本の線は、各側面がFC40に隣接する、110μmの幅を有する水性の導管を製造する。この工程は、それぞれ、60、50、40、30、20μmの水性のチャネルの幅を生み出す、190、180、170、160、150μmの垂直方向のオフセットを用いて繰り返される。
図56Aから図56Dは、流体を再配置することによって製造される正方形のチャンバーのアレイを示す。多数の等しく間隔を置いた水性の導管が、図55を参照して説明されたものと同様に製造される。ここで、線は、図55におけるものとは異なり、等しいオフセットで引かれる。等しく間隔を置いた線のさらなるセットが、最初のセットと直角に引かれ、水性のチャンバーの格子を形成し、該格子においては、それぞれの正方形の水性のチャンバーは、FC40で覆われ、かつ、FC40によってその隣のものから分離される。チャンバーの間隔とチャンバーの数とは、1,536個のウェルを含む標準的なマイクロタイタープレートにおけるものと同等であり得る(図56A);標準的なマイクロタイタープレートの全体寸法の範囲内の6144個のウェル(図56B)、24576のウェル(図56C)または98304個のウェル(図56D)を有するより高密度のアレイもまた、作成され得る。各チャンバーは、ほぼ3000から4500nl(図56A)、ほぼ300から450nl(図56B)、ほぼ30から45nl(図56C)、または、ほぼ3から4.5nlを保持することが可能である。
流体を再配置することによってプリントするために、上記のプリンターシステムは、流れを「ペン」または「ノズル」へと駆動させる機構(例えば、シリンジポンプまたは重力駆動サイフォン)を必要とせず、ペン/ノズルを保持し、かつ、それをあちこち移動させるためのロボット(例えば、x、yおよびZにおける〜10μmの精度を有する)と;ユーザーが計算機器上に所望の回路を引き、その回路の下にある座標を、ロボットを駆動させ、したがって表面上に滴のアレイまたは回路を作成するコードへと変換することを許容するソフトウェア/コンピューターを必要とするのみである。
いくつかの例では、移動によって第1のパターンを調製し、その後で1つ以上の異なる流体をパターンの異なる部分に追加し、それに続いて流体を再配置して第2のパターンを形成することが便宜であるかも知れない。例えば、大きい領域が、多数のストリップへと分離される(例えば、図54iに示されるパターンと同様に)。その後、各ストリップに、特定の流体の組成または量が追加される。続いて、移動によるさらなるパターニングが、第2のパターンを製造する(例えば、図54iiに示される長方形のチャンバーのアレイと同様に)。このことが有用であるかも知れない例は、細胞培養用のチャンバーのアレイを調製するための工程を含む。相対的に薄い最初の流体のフィルムは、それが容易に動かされ得るので好ましい。しかしながら、十分に多量な培養培地を提供するためには、最少容量より多い容量を有するチャンバーを提供することが好ましい。チャンバーへの分離前のストリップへの培養培地の追加は、それぞれの個別のチャンバーへの一回の追加に対して、一ストリップあたり一回の追加で十分であるので、作業数を減らす。別の例では、チャンバーの組成のバリエーションが所望される;各ストリップは、個別のチャンバーに異なる補足を追加するよりむしろ、異なる組成で補足され、その後、チャンバーへと細分化され得る。
均一の容量を有するチャンバーを提供するためには、特徴領域を同一の足跡の周囲長を有する2つの部分へと分離するパターニングの工程が好ましい。このことは、エッジ効果に起因する非均一さを回避することを助け得る。対称的な特徴については、このことは、特徴領域を対称中心線に沿って半分に分けることによって達成される。実例では、流体のストリップが32mmの長さに形成される。第1の切断が16mmにおいてなされ、そのことによって、ストリップの面積を半分に分け、かつ、2つの同一のコンパートメントを形成する。第2の切断が、8mmおよび24mmにおいてなされ、そのことによって、さらにコンパートメントを半分に分け、その後も同様に続く。各ステップにおけるこの工程によって、最適に同様なコンパートメントが形成され、かつ、結果は最適に均一なチャンバーである。
上記のようなプリンティングシステムからプリントされる出力(パターンの形成が、流体の堆積によるか、または、流体の再配置によるかに関わらず)は、滴のアレイまたは従来知られたマイクロ流体回路設計を含む広範囲のパターンのうちの任意のものであり得る。回路は、異なる機能(例えば、サンプルの希釈、分割、合流/混合)を実行し得る。異なる機能(例えば、サンプルの希釈、分割、合流/混合)を有する回路が、表面上に完全な試験所を生成するために異なる方法で一緒に追加され得る。
プリンティングシステムおよび方法のいくつかの注目すべき特徴ならびに選択肢は、次の通りである:
(i)特徴についての境界としての流体界面の使用は、境界が、それらが界面力によって決定されるので、正確かつ再製造可能に形成されるという利点を有する。固体壁構造を有する従来のマイクロ流体およびマイクロプレートにおけるものとは異なり、流体的な特徴の境界は、くぼみまたはチャネルが固体物体内に形成され得る精度に依存しない。
(ii)流体が流体的境界(固体壁ではない)によって制限されるので、滴または回路のあらゆる場所における流体は、液体取扱いに適したままである(例えば、流体は、滴または回路における任意の点へと続いて容易に追加または除去され得る)。
(iii)滴が第2の流体によって覆われるので、汚染の可能性が最小化される。
(iv)流体回路の場合、異なる形状および位置を有する流体の境界が異なる局所圧力を作成するために用いられ得るので、液体は、追加のポンプを用いることなくシステムを通して容易に駆動され得る(外部ポンプの使用は可能ではあるが)。流体は、予め決定された方法で回路を通して輸送され得、かつ、流れは、必要とされる時に開始および停止され得る。プリントされた滴のアレイの場合、異なる幾何学を有する滴がプリントされ得、かつ、これらの滴は、異なる挙動を有し得る。
(v)既存のインクジェットプリンターが、滴のアレイを作成し得る;滴(プラトー−レイリー不安定性またはピエゾ電気結晶を用いて形成された)が、オリフィスから発射され、かつ、空気を通って飛び、表面に着地−かつ、表面に接着−する。かかる場合、滴は、同時に分注装置および表面の両方と接触することがない;分離した滴がノズルにおいて作成され、したがって、流体の流れは断続的であり、かつ、回路は、点描画法(Pointillist)またはデジタル的な方法で引かれる。上記のプリンターを用いれば、アレイ(および/または回路)は、類似のアプローチを用いて、筆記体の流儀で(cursively)引かれる;ノズルからの流れは連続的であり得、かつ、流体は、ノズルと表面との間に切れ目のないブリッジを形成し得る。
(vi)プリントされている流体は、堆積後も流体のままであり、かつ、相転移を経験せず、または、固まらない。従来の3Dプリンターは、ノズルと表面との間にプラスチック(過渡的に液体状である)の連続体を形成し得るが、この液体は、堆積の前後の両方で固い。
(vii)プリンターの機能は、ノズル/ティップの特性、寸法、構成および配置の適切な選択に依存する。例えば、堆積によるプリンティングのためには、ノズルと表面との間の距離、したがって、表面より上にあるZ軸における適切な最初のノズルの位置が関連する。ノズルおよび表面の相対的な位置は、次の工程を用いてゼロイングされ得る。ロボットが、ノズル部分(PTEFチューブまたは刃先の鈍い針のティップ)を緩く「把持」し、かつ、そのノズル部分を表面上へとゆっくり下げる。一旦ノズルが表面に接触すると、ノズル部分はロボットの把持を通して摺動し、かつ、ロボットは停止される。ノズル部分の摺動は、例えば、目によって容易に検知され得る。ノズル部分上のロボットのグリップは、固定される。その後、ロボットは、所望される距離で正確にノズルを表面より上に上げる。ノズル部分はロボットに取り付けられ得、非常に小さい力のみが、ロボットに関してノズル部分を移動させるのに十分であるようになっている。ノズル部分は、ロボットに取り付けられ得、無視できる運動ヒステリシスが、表面とノズル部分とロボットとの間の相互作用中に発生するようになっている。例えば、ノズル部分は、相対的に剛性であるように選択され得る。このことは、ゼロイングにおける正確さを容認し得る。変形では、ロボットは、スリーブをしっかりと把持し、かつ、針が、スリーブ内に取り付けられ、力がかけられればそれが移動し得るが、力が不存在であれば、針がスリーブ内に固定されたままであるようになっている。このことは、ロボットのグリップを固定するステップの回避を容認し得、また、剛性と摺動の容易さとグリップ性との好ましい組み合わせを可能にし得る。特に好ましいノズル部分は、ロボットによって掴まれ得るシリコーンゴムチューブを有し;摺動の容易さのために、シリコーンゴムチューブ内にPFTEチューブを有し;かつ、剛性のために、PTFEチューブ内に鋼の針を有し、該鋼の針は、PTFEチューブおよびシリコーンチューブから突き出ている。変形では、ノズルは、ノズルが表面に接触したと推定され得る(実際の観察は任意)まで、設定された距離を表面に向かって動かされる(ノズル部分がロボットに関してどの程度遠く摺動されたかを判定する必要はない)。このことは、未だ表面に関するノズルの正確なゼロイングを可能にしながら、検知の必要性を除去し得る。
ゼロイングの別の方法では、基板表面は、既知の厚さの流体の層で覆われており、かつ、ノズルが下げられる;一旦ノズルのティップが流体の層に触れると、それは、2つの間に固体−液体ブリッジを形成し、かつ、このことは、容易に検知され得る(例えば、目によって)。ノズルは停止され、かつ、表面に対するノズルの距離は、流体の層の既知の厚さへと較正され得る。このことは、表面に関するノズルの高さの単純なゼロイングと、それに続く表面より上の所望の距離におけるノズルの正確な位置決めを許容する。さらなる代替案は、ノズルのティップから滴を押し出し、その後でノズルと未だにくっついている滴とを液体の表面に向かって下に下げることである;ここで、液体−液体ブリッジ(これもまた、目で容易に検知される)が生じ、表面からの距離は前と同様に決定され得る。もちろん、任意の他の方法、例えば、近接センサー、電気的接触/センサーを関係させることもまた、表面より上のノズルの高さを較正するために用いられ得た。
(viii)いくつかの流体(例えば、血清が豊富な成長培地)が、ノズル(例えば、ステンレス鋼の針)から表面(例えば、ポリスチレン培養皿)へと送達される時、いくぶんかの流体は、表面上を流れる、または、表面に向かって流れる代わりに、針の外側を上に流れ、その表面上に不正確な量の流体の堆積をもたらす。このことは、針の周りの(疎水性の)スリーブとしてPTFEチューブを用い、ステンレス鋼のティップの小さい部分のみが培地に曝露されたままにすることによって、最小限にされ得る。代替的には、PTFEスリーブは、下に降ろされ得、したがって、それは、針のティップの上に突き出るだけである。このプリンティング装置は、2つの異なる幅を有する導管が、ネットワークをプリントする時に、針またはPTFEスリーブがティップにあるか否かに基づいて引かれることを許容する。
(ix)上記のプリンターは、予め存在する滴または回路(油またはフッ化炭素で覆われていてもよい)へと流体を追加(および/または除去)し得る。流体を追加する時、ノズルは、また、予め存在する滴(または、延長線上で考えると、回路)の表面へと近づけられるが、好ましくはそれに触れない。ポンプはここで始動してもよく、または、それは連続的に動いていることもあり得た。その後、滴がノズルにおいて成長し、表面上に予め存在する滴とやがて合体する(前と同様)。このことは、ピペットのティップが予め存在する滴(または、試験管もしくはマイクロタイタープレートにおけるウェル中の流体)の表面の下に、流体がその滴にポンピングされる前に挿入される従来のアプローチとは異なる。我々の場合では、2つの効果が貢献するので、混合がより効果的である−連続的な流れは、2つの滴の合体によって誘導された無秩序な流れによって増大した同等のポンピング誘導混合を提供する。ここで、連続的な流れはまた、アレイにおける1つの滴から次の滴への流体の持ち越しを最小限にし、したがって、異なる試薬を含む滴の間の相互汚染を最小限にする。前と同様、界面張力、流量、ノズルと表面との間の垂直距離、ノズル寸法ならびにノズルの横方向および垂直方向の移動の速度はすべて、流体ブリッジが適切に作成/破壊され、表面上に流体の所望のパターンを与えることを確実にするために選択される。予め存在する滴または回路から流体を除去するために、従来の方法が用いられてもよい(例えば、ポンプが停止し、ノズルが従来のピペットのティップのように滴または回路へと挿入され、その後、ポンプが逆方向に始動する)。
(x)上記のプリンターは、能動的ポンプを用いることなく、流体が流れることを容認し得る;ここでは、界面張力と組み合された重力が、ノズルを通る流体の流れを駆動させ、かつ、制御するために用いられる。この種のアプローチは、多くのシリンジポンプを用いることが法外に高価になるかも知れない高いスループット用途にとって魅力的である。それはまた、シリンジ内に含まれ得る少量ではなくむしろ、リザーバーにおける多量の流体がプリンティングティップに送り込まれ得るので、より速いかも知れない。ノズル、例えば刃先の鈍い針は、満たされたチューブによって、同じ高さにある満たされた流体のリザーバーに接続される;結果的に、システムを通って流れる流体はない。ノズルのティップがわずかに下げられれば、流体はノズルから流れて、半球形(ノズルの内径によって規定される直径を有する)を形成するまで成長する滴を形成する。ノズルのティップ上の滴の界面にわたるラプラス圧力は、静液圧的な水頭圧が不十分であれば、流れを止める。ノズルのティップにおける液体がその後で表面と接触すれば、ノズルと表面との間の液体ブリッジが生じる。このことは、ノズルのティップにおける液体の曲率、したがってラプラス圧力を減少させる。結果的に、流体はティップから流れ、かつ、任意の回路が、ここでは静液圧的な水頭圧に比例している流量で引かれてもよい。ティップが表面から引き込まれる時、流れは、ノズルのティップにおける増大したラプラス圧力に起因して再び止む。
(xi)これまで、例は、非パターン化された表面上に滴/回路を堆積させることを説明している。変形では、滴/回路が、パターン化された表面上に堆積される(例えば、マイクロウェルを有するもの、または疎水性もしくは親水性が異なってもよい局所パッチを有するもの)。その時、ノズルは、ティップによって置換されてもよく、該ティップは、パターンを表面へと切断するか、または、表面の疎水性もしくは親水性を変える試薬を送達する。結果として生じるパターンは、その後、滴および/または導管用の「ピン止め」部位になってもよく、したがって、接触角が増大(または減少)することを許容し、したがって、前記の滴/導管は、平坦で非パターン化された表面上に直接プリントされる時よりも多い(または少ない)流体を保持し得る。
(xii)上記の多数の例は、表面に近いノズルから水滴を堆積させることを説明している。いくつかの例では、水を含み、かつ、FC40で覆われた既存の滴または回路により多くの水を追加することが所望されるかも知れない。このことは、水滴(より重くするために、それ自体がFC40によって取り囲まれていてもよい)がノズルから、そのノズルが標的の滴または回路より上に十分高く配置された時に落下することを許容し、水滴が十分な速度で落下し、覆っているFC40を通って移動し、かつ、標的の滴または回路と融合し得るようにすることによって達成され得る。おそらく注目すべきことに、2つの水滴の融合は、追加のより小さい小滴の作成なしで、かつ、受け手の水滴の足跡の中心点の位置の変更なしで発生し得る。したがって、空気と追加の流体のフィルムを通した標的の滴との融合を引き起こすために、重力エネルギーが採用される。
(xiii)プリンティング中の静電気の高まりを最小化するための備えが含められてもよい。例えば、イオン化した気流が提供されてもよく(イオン化エアガンに類似する)、または、脱イオン装置が適切な位置に提供されてもよい。
(xiv)3D構造体が、z軸を変動させ、かつ、すぐに固まる流体(ゼリーもしくはアガロースのようなヒドロゲルを含む)もしくは取り囲んでいる流体(FC40もしくはシリコーン油であってもよい)と同一の密度を有する流体をプリントすること、または、粘度が剪断応力下にある時に変化する流体を用いて剪断減粘/増粘の条件下でプリントすることによって作成され得る。例では、液体金属のような相対的に高密度の材料(または別の材料)が、表面からの異なる高さにおいて、FC40の層の中に堆積される。別の例では、剪断減粘性(チキソトロピック)または剪断増粘性(レオペクチック)の流体(剪断応力下に置かれる時に粘度が変化する)が、表面から異なる高さで堆積される。プリンティング中、流れ剪断(flow shear)は、流体が低い粘度を有して行動し、かつ、自由に流れることを引き起こす。堆積後、流れ(および剪断)が止み、かつ、流体は高い粘度を有して行動する。適切な流体は、独立して立つ構造体または適切に調和した密度の流体内のものでさえ容認し得た。
当業者によって認識されるであろうが、本発明は、相互に接続した滴の複雑なマイクロ流体装置を作成するため、および、制御された方法でそれを通して流体および/または溶質を輸送するために用いられ得る。有利なことに、本発明は、数ナノリットルからマイクロリットルの容量を有する滴への(かつ、滴からの)流体または溶質の制御された輸送を必要とする応用に用いられてもよい。
本開示の態様は、次の番号が付けられた項目によって追加的に説明されるかも知れない:
1.滴のアレイを有するマイクロ流体装置であって、当該マイクロ流体装置は:基板と;第1の流体と;第1の流体と不混和性である第2の流体とを有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって少なくとも部分的に覆われるように配置されており;かつ、ここで、第1の流体は、基板の非パターン化された表面上の滴の所定のアレイに配置されており、各滴の断面は、(1:2)またはこれより小さい(高さ:幅)アスペクト比を有する、前記マイクロ流体装置。
2.基板の表面が、化学的表面パターニング、物理的機能付与および/または表面トポグラフィーによって非パターン化される、項目1に記載のマイクロ流体装置。
3.アスペクト比が、(1:4)またはこれより小さく、好ましくは(1:20)またはこれより小さく、より好ましくは(1:50)またはこれより小さく、より好ましくは(1:100)またはこれより小さい、項目1または2に記載のマイクロ流体装置。
4.アスペクト比が、(1:50)と(1:500)との間である、項目1または2に記載のマイクロ流体装置。
5.第1の流体が、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって滴中に保持される、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
6.滴と表面との間の接触角が、基板上にあり、かつ、第2の流体によって覆われている第1の流体についての前進接触角より小さい、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
7.接触角が、前進接触角の50%より小さく、かつ、好ましくは前進接触角の25%より小さく、かつ、より好ましくは前進接触角の10%より小さい、項目6に記載のマイクロ流体装置。
8.接触角が、前進接触角の1%と50%との間である、項目6に記載のマイクロ流体装置。
9.第1の流体と混和性であるさらなる流体の追加が、滴の足跡を変えない、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
10.滴の容量が、100倍またはこれより少なく、かつ、任意には1000倍またはこれより少なく増大する、項目9に記載のマイクロ流体装置。
11.滴からの流体の除去が、滴の足跡を変えない、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
12.滴の容量が、100倍またはこれより少なく、かつ、任意には1000倍またはこれより少なく減少する、項目11に記載のマイクロ流体装置。
13.第2の流体が、第1の流体より高密度である、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
14.基板が親水性であり、第1の流体が極性であり、かつ、第2の流体が非極性である、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
15.第1の流体が水性の流体であり、かつ、第2の流体がガス;油;およびフッ化炭素のうちの1つである、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
16.第2の流体が、パーフルオロトリ−n−ブチルアミンおよび/またはパーフルオロ−n−ジブチルメチルアミンを含む、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
17.滴が、好ましくはアレイ中に96個、384個または1536個の滴を有する、規則的に間隔を置いた配置で表面上に配置される、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
18.滴が、複数の列で表面上に配置され、任意には、列が互いにオフセットされている、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
19.1つ以上の滴が、非円形の足跡、好ましくは正方形の足跡または六角形の足跡を有する、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置。
本開示の態様は、次の番号が付けられた項目によって追加的に説明されるかも知れない:
1.流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法であって、当該方法は:第1の流体を基板の非パターン化された表面上に所望の形状で配置することを有し;第1の流体と不混和性である第2の流体を、少なくとも部分的に第1の流体を覆うように配置することを有し、ここで、第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって前記形状に保持され;かつ、第1の流体を乾燥させて、基板上に前記形状の残留物を形成することを有する、前記方法。
2.基板の表面が、化学的表面パターニング、物理的機能付与および/または表面トポグラフィーによって非パターン化される、項目1に記載の方法。
3.マイクロ流体装置が、滴のアレイおよび/またはマイクロ流体回路を有する、項目1または2に記載の方法。
4.第1の流体が、第2の流体によって覆われるように配置され、第2の流体と接触する第1の流体の表面積が、表面と接触する第1の流体の表面積より大きくなるようになっている、いずれかの先行する項目に記載の方法。
5.基板が親水性であり、第1の流体が極性であり、かつ、第2の流体が非極性である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
6.第1の流体が水性の流体であり、かつ、第2の流体がガス;油;およびフッ化炭素のうちの1つである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
7.第1の流体が、トレハロース;細胞培養培地;血清;リン酸緩衝食塩水;および糖のうちの1つ以上を含む溶液である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
8.溶液が、5重量%またはそれより低く、好ましくは1重量%またはそれより低く、かつ、より好ましくは0.5重量%またはそれより低い溶質の低濃度溶液である、項目7に記載の方法。
9.項目1から8に記載の方法によって製造されたマイクロ流体装置。
10.流体を操作するためのマイクロ流体装置であって、当該マイクロ流体装置は、表面を有する基板と表面上の残留物とを有し、ここで、残留物は、所望の形状で配置された乾燥した流体に由来する、前記マイクロ流体装置。
11.第1の流体の残留物への導入が、マイクロ流体装置を再水和させ、第1の流体が前記形状に配置されるようになっている、項目10に記載のマイクロ流体装置。
12.残留物の一領域に第1の流体の一部を堆積させることを有する、項目9から11のいずれかに記載のマイクロ流体装置を再水和させる方法。
13.第1の流体が、残留物の他の領域へと自発的に流れる、項目12に記載の方法。
14.第1の流体が、残留物の他の領域へと自発的にウィッキングされる、項目12または13に記載の方法。
15.堆積することが、第1の液体を有するガスに曝露することを有する、項目12から14のいずれかに記載の方法。
16.第1の流体が、残留物上で自発的に凝縮する、項目15に記載の方法。
17.ガスが、50−95%飽和、かつ、好ましくは90−95%飽和においてガス形態にある第1の液体を有する、項目15または16に記載の方法。
本開示の態様は、次の番号が付けられた項目によって追加的に説明されるかも知れない:
1.流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法であって、当該方法は:第1の流体を基板の非パターン化された表面上に所望の形状で配置することと;第1の流体と不混和性である第2の流体を、少なくとも部分的に第1の流体を覆うように配置することとを有し、ここで、第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって前記形状に保持される、前記方法。
2.第1の流体を所望の形状に配置することが、第1の流体を表面上に任意の形状で配置することと、第1の流体を所望の形状へと再配置することとを有する、項目1に記載の方法。
3.第1の流体を再配置することが、表面を横切って物体を引き、第1の流体の一部を移動させることを有する、項目2に記載の方法。
4.物体が、ティップ、針またはチューブである、項目3に記載の方法。
5.第1の流体が水性であり、かつ、物体が疎水性である、項目3または4に記載の方法。
6.第2の流体がフッ化炭素であり、かつ、物体が親フルオロ性である、項目3から5のいずれかに記載の方法。
7.物体がポリテトラフルオロエチレンを有する、項目3から6のいずれかに記載の方法。
8.引くことが、多数のほぼ平行な線を引いて第1の流体の1つ以上の導管を形成することを有する、項目3から7のいずれかに記載の方法。
9.引くことが、多数のほぼ平行な線を第1の方向に引き、かつ、多数のほぼ平行な線を第2の方向(好ましくは、第1の方向とほぼ直交する)に引いて1つ以上の(好ましくは長方形または正方形の)チャンバーを形成することを有する、項目3から7のいずれかに記載の方法。
10.引くことが:多数のほぼ平行な線を第1の方向に引いて第1の流体の1つ以上のストリップを形成することと;その後、流体の1つ以上の部分を、1つ以上のストリップに追加することと;その後、多数のほぼ平行な線を第2の方向に引いて1つ以上のチャンバーを形成することとを有する、項目3から7のいずれかに記載の方法。
11.引くことが、両方が同一の足跡の周囲長を有する2つの流体部分を形成することを有する、項目3から9のいずれかに記載の方法。
12.引くことが、流体部分をその流体部分の足跡の対称中心線に沿って半分に分けることを有する、項目11に記載の方法。
13.第1の流体を再配置することが、物体で表面をスタンピングして第1の流体の一部を移動させることを有する、項目2に記載の方法。
14.物体が、所望の形状に対応するパターンで形成される面を有する、項目13に記載の方法。
15.第1の流体と物体との間の接触角が90°より大きい、項目2から14のいずれかに記載の方法。
16.第2の流体と物体との間の接触角が80°より小さい、項目2から15のいずれかに記載の方法。
17.第1の流体が水性であり、かつ、物体が疎水性であり、かつ/または、第2の流体がフッ化炭素であり、かつ、物体が親フルオロ性であり、かつ、好ましくは、ここで、物体がポリテトラフルオロエチレンを有する、項目2から16のいずれかに記載の方法。
18.当該方法が:まず、第1の流体を任意の形状で表面上に配置することと;その後、第2の流体を、少なくとも部分的に第1の流体を覆うように配置することと;その後、第1の流体を所望の形状へと再配置することとを有する、項目2から17のいずれかに記載の方法。
19.第1の流体を所望の形状に配置することが、第1の流体を所望の形状で表面上に堆積させることを有する、項目1に記載の方法。
20.マイクロ流体装置が、滴のアレイおよび/またはマイクロ流体回路を有する、いずれかの先行する項目に記載の方法。
21.第1の流体が前記形状で配置され、マイクロ流体装置の特徴の断面積が、(1:2)またはこれより小さい(高さ:幅)アスペクト比を有するようになっており、かつ、好ましくは、アスペクト比が(1:4)またはこれより小さく、より好ましくは(1:20)またはこれより小さく、かつ、よりいっそう好ましくは(1:50)またはこれより小さく、かつ、よりいっそう好ましくは(1:100)またはこれより小さく、かつ、よりいっそう好ましくは(1:50)と(1:500)との間である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
22.第1の流体が前記形状で配置され、接触角が、基板上にあり、かつ、第2の流体で覆われている第1の流体についての前進接触角より小さくなるようになっており、かつ、好ましくは、接触角が前進接触角の50%より小さく、かつ、より好ましくは前進接触角の25%より小さく、かつ、よりいっそう好ましくは前進接触角の10%より小さく、かつ、よりいっそう好ましくは前進接触角の1%と50%との間である、いずれかの先行する項目に記載の方法。
23.第1の流体が第2の流体によって覆われるように配置され、第2の流体と接触する第1の流体の表面積が、表面と接触する第1の流体の表面積より大きくなるようになっている、いずれかの先行する項目に記載の方法。
24.第1の流体が水性の流体であり、かつ、第2の流体がガス;油;およびフッ化炭素のうちの1つである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
25.前記の形状の足跡が、前記形状である第1の流体への流体の追加、または、前記形状である第1の流体からの流体の除去の際に不変のままである、いずれかの先行する項目に記載の方法。
26.マイクロ流体装置の特徴の容量が、特徴の足跡を変えることなく、100倍もしくはこれより少なく、かつ、任意には1000倍もしくはこれより少なく増加可能および/または減少可能である、先行する項目に記載の方法。
27.流体を固めるために、流体の一部を加熱すること、および/または、流体の一部を照射することをさらに有する、先行する項目に記載の方法。
28.先に第1の流体の第1の部分が堆積した場所の上に、第1の流体の一部を堆積させることをさらに有する、先行する項目に記載の方法。
29.先に第1の流体の第1の層が堆積した場所の上に、第1の流体の第2の層を堆積させることをさらに有する、項目28に記載の方法。
30.流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造するための装置であって、当該装置は:出口と連通する液体リザーバーを有し;位置決め装置を有し、該位置決め装置は、基板に関して出口を移動させ、かつ、位置決めするように適合されており;ポンピング装置を有し、該ポンピング装置は、出口からの液体の流れを引き起こすように適合されており;かつ、制御装置を有し、該制御装置は、所望の流体形状に関する情報を位置決め装置についての運動指令に変換し、かつ、ポンピング装置を駆動させるように適合されており、所望の形状での基板上への第1の流体の堆積を引き起こし、第1の流体は流体界面によって前記形状で保持される、前記装置。
31.マイクロ流体装置が、滴のアレイおよび/またはマイクロ流体回路を有する、項目30に記載の装置。
32.制御装置が、出口からの流体の連続的な流れを引き起こすように適合されている、項目30または31に記載の装置。
33.制御装置が、出口と基板との間の液体ブリッジの形成を引き起こすように適合されている、項目30から32のいずれかに記載の装置。
34.流体が、堆積中は周囲温度にある、項目30から33のいずれかに記載の装置。
35.制御装置が、基板と出口との間の距離を較正するように適合されている、項目30から34のいずれかに記載の装置。
36.制御装置が、出口と表面との間の接触を示す信号が受け取られるまで、出口が表面に近付くことを引き起こすように適合されている、項目35に記載の装置。
37.制御装置が、基板上への第1の流体の堆積のために、表面から少なくとも10μm、および/または、ほぼ1つの出口の直径もしくはこれより短い距離に位置決めされることを引き起こすように適合されている、項目30から36のいずれかに記載の装置。
38.ポンピング装置が、出口からの流体の流れを引き起こすために、出口において静液圧を提供するように適合されている、項目30から37のいずれかに記載の装置。
39.ポンピング装置が、好ましくは液体ブリッジが出口と基板との間に形成されない時に、出口において形成された滴(任意には、半球形の滴)におけるラプラス圧力より小さいか、または、これに等しい静液圧を出口において提供するように適合されている、項目38に記載の装置。
40.制御装置が、流れを駆動させるために、出口において形成された滴が、表面に接触することを引き起こすように適合されている、項目30から39のいずれかに記載の装置。
41.制御装置が、流れを妨げるために、表面から十分遠い出口の回収が、出口と表面との間の液体ブリッジを妨げることを引き起こすように適合されている、項目30から40のいずれかに記載の装置。
42.制御装置が、表面に向かう重力加速度下での滴または流体の流れの解放のために、出口が、表面から出口の直径の3と10倍との間に位置決めされることを引き起こすように適合されている、項目30から41のいずれかに記載の装置。
43.流体が剪断減粘流体である、項目30から42のいずれかに記載の装置。
44.それぞれの1つ以上のさらなる出口と連通する1つ以上のさらなる液体リザーバー;任意には、基板に関して1つ以上のさらなる出口を移動させ、かつ、位置決めするための、1つ以上のさらなる位置決め装置、および/または、1つ以上のさらなる出口からの液体の流れを引き起こすための、1つ以上のさらなるポンピング装置をさらに有する、項目30から43のいずれかに記載の装置。
45.制御装置が、さらなる流体の堆積を引き起こすために、さらなる流体の所望の堆積に関する情報を(さらなる)位置決め装置についての運動指令に変換し、かつ、(さらなる)ポンピング装置を駆動させるように適合されている、項目44に記載の装置。
46.流体の一部を加熱するために配置された加熱器、および/または、流体の一部を照射するために配置された光源をさらに有する、項目30から45のいずれかに記載の装置。
47.先に第1の流体の第1の部分が堆積した場所の上に、第1の流体の一部を堆積させるようにさらに適合されている、項目30から46のいずれかに記載の装置。
48.先に第1の流体の第1の層が堆積した場所の上に、第1の流体の第2の層を堆積させるようにさらに適合されている、項目47に記載の装置。
本開示の態様は、次の番号が付けられた項目によって追加的に説明されるかも知れない:
1.マイクロ流体装置を製造するためのプリンターであって、当該プリンターは:出口と連通する液体リザーバーと;基板に関して出口を移動させ、かつ、位置決めするように適合された位置決め装置と;出口からの液体の流れを引き起こすように適合されたポンピング装置と;所望の流体形状に関する情報を位置決め装置についての運動指令に変換し、かつ、ポンピング装置を駆動させるように適合された制御装置とを有し、マイクロ流体装置の形成を引き起こす、前記プリンター。
2.マイクロ流体装置が、基板の表面上に所定の形状で配置された流体を有する、項目1に記載のプリンター。
3.マイクロ流体装置が、滴のアレイおよび/またはマイクロ流体回路を有する、項目1または2に記載のプリンター。
4.制御装置が、出口からの流体の連続的な流れを引き起こすように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
5.制御装置が、出口と基板との間の液体ブリッジの形成を引き起こすように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
6.制御装置が、基板と出口との間の距離を較正するように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
7.制御装置が、出口と表面との間の接触を示す信号が受け取られるまで、出口が表面に近付くことを引き起こすように適合されている、項目6に記載のプリンター。
8.制御装置が、表面上のマイクロ流体装置の形成のために、出口が表面から少なくとも10μmにおいて位置決めされることを引き起こすように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
9.制御装置が、表面上のマイクロ流体装置の形成のために、出口が、表面から出口の直径のほぼ半分またはこれより短い位置において位置決めされることを引き起こすように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
10.ポンピング装置が、出口からの流体の流れを引き起こすために、出口において静液圧を提供するように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
11.ポンピング装置が、好ましくは液体ブリッジが出口と基板との間に形成されない時に、出口において形成された滴(任意には、半球形の滴)におけるラプラス圧力より小さいか、または、これに等しい静液圧を出口において提供するように適合されている、項目10に記載のプリンター。
12.制御装置が、流れを駆動させるために、出口において形成された滴が、表面に接触することを引き起こすように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
13.制御装置が、流れを妨げるために、表面から十分遠い出口の回収が、出口と表面との間の液体ブリッジを妨げることを引き起こすように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
14.制御装置が、表面に向かう重力加速度下での滴または流体の流れの解放のために、出口が、表面から出口の直径の3と10倍との間に位置決めされることを引き起こすように適合されている、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
15.流体が剪断減粘流体である、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
16.それぞれの1つ以上のさらなる出口と連通する1つ以上のさらなる液体リザーバー;任意には、基板に関して1つ以上のさらなる出口を移動させ、かつ、位置決めするための、1つ以上のさらなる位置決め装置、および/または、1つ以上のさらなる出口からの液体の流れを引き起こすための、1つ以上のさらなるポンピング装置をさらに有する、いずれかの先行する項目に記載のプリンター。
17.制御装置が、さらなる流体の堆積を引き起こすために、さらなる流体の所望の堆積に関する情報を(さらなる)位置決め装置についての運動指令に変換し、かつ、(さらなる)ポンピング装置を駆動させるように適合されている、項目16に記載のプリンター。
18.マイクロ流体装置を製造する方法であって、当該方法は、所望の流体形状に関する情報を流体出口の位置決めをするための運動指令に変換することと、ポンピング装置を駆動させることとを有し、基板上への出口からの流体の流れを引き起こす、前記方法。
19.マイクロ流体装置が、基板の表面上に所定の形状で配置された流体を有する、項目18に記載の方法。
20.マイクロ流体装置が、滴のアレイおよび/またはマイクロ流体回路を有する、項目18または19に記載の方法。
21.出口からの流体の流れが連続的である、項目18から20のいずれかに記載の方法。
22.出口からの流体の流れが、マイクロ流体装置の複数の特徴の形成中は連続的である、項目21に記載の方法。
23.液体ブリッジが、出口と基板との間に形成される、項目18から22のいずれかに記載の方法。
24.基板と出口との間の距離を較正することをさらに有する、項目18から23のいずれかに記載の方法。
25.較正することが、出口と表面との間の接触が起こるまで、出口を表面に近付けることを有する、項目24に記載の方法。
26.表面上のマイクロ流体装置の形成のために、表面から少なくとも10μm、および/または、出口の直径のほぼ半分もしくはこれより短い位置に出口を位置決めすることをさらに有する、項目18から25のいずれかに記載の方法。
27.好ましくは液体ブリッジが出口と基板との間に形成されない時に、出口における静液圧が、出口において形成された滴(任意には、半球形の滴)におけるラプラス圧力より小さいか、または、これに等しくなるように、出口、基板および流体の静液圧を配置することをさらに有する、項目18から26のいずれかに記載の方法。
28.流れの駆動のために、出口において形成された滴を表面と接触させること、および/または、流れの妨害のために、出口を表面から十分遠く回収して出口と表面との間の液体ブリッジを妨げることをさらに有する、項目18から27のいずれかに記載の方法。
29.マイクロ流体の形成が、ガス環境または不混和性のさらなる液体の環境で起きてもよい、項目18から28のいずれかに記載の方法。
30.表面に向かう重力加速度下での流体滴の解放のために、表面から出口の直径の3と10倍との間に出口を位置決めすることをさらに有する、項目18から29に記載の方法。
31.マイクロ流体装置であって、当該マイクロ流体装置は:基板と;第1の流体と;第1の流体と不混和性である第2の流体とを有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって覆われるように配置されており;かつ、ここで、第1の流体は、基板の表面上に所定の形状で配置されており、かかる形状は、第1の流体と第2の流体との間の界面張力によって少なくとも部分的に規定されている、前記マイクロ流体装置。
32.基板の表面が非パターン化されている、項目31に記載のマイクロ流体装置。
33.基板の表面が、化学的表面パターニング、物理的機能付与および/または表面トポグラフィーによって非パターン化される、項目31または32に記載のマイクロ流体装置。
34.第1の流体が、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって所定の形状で保持される、項目31から33のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
35.第1の流体が流体の滴として表面上に配置され、そのことによって流体チャンバーを提供する、項目31から34のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
36.少なくとも2つの流体滴が、好ましくは間隔を置いた配置で、表面上に提供される、項目35に記載のマイクロ流体装置。
37.少なくとも2つの流体滴が、異なる容量を有する、項目36に記載のマイクロ流体装置。
38.各流体滴が、1ミリリットルより少ない容量を有する、項目35から37のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
39.第1の流体が表面上にさらに配置され、少なくとも1つの流体滴と流体連通する少なくとも1つの流体導管を提供する、項目35から38のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
40.第1の流体が表面上に配置され、少なくとも1つの流体導管を提供し、好ましくはここで、第1の流体が表面上に一直線に配置される、項目31から39のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
41.少なくとも1つの流体導管が、5cmより狭く、好ましくは1cmより狭く、好ましくは1mmより狭く、かつ、好ましくは約10と700μmとの間である幅を有する、項目39または40に記載のマイクロ流体装置。
42.少なくとも1つの流体導管が、1mmより低く、かつ、好ましくは約10と100μmとの間である高さを有する、項目39から41のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
43.表面上に配置された少なくとも2つの流体導管をさらに有する、項目39から42のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
44.少なくとも2つの流体導管が、少なくとも2つの流体滴を流体的に接続する、項目43に記載のマイクロ流体装置。
45.少なくとも2つの流体導管が、少なくとも部分的に、実質的に平行である、項目43または44に記載のマイクロ流体装置。
46.第1の流体が、表面上に少なくとも3つの流体滴を提供するように配置され、かつ、少なくとも2つの流体導管が、少なくとも3つの流体滴を連続的に流体的に接続する、項目43から45のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
47.第1の流体が、表面上に少なくとも3つの流体滴を提供するように配置され、かつ、少なくとも2つの流体導管が、第1の流体滴と第2の流体滴とを第3の流体滴と流体的に接続するように配置される、項目43から46のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
48.少なくとも2つの流体導管が、第1の流体滴と第2の流体滴とを少なくとも1つの他の流体滴を介して第3の流体滴と流体的に接続するように配置される、項目47に記載のマイクロ流体装置。
49.少なくとも2つの流体導管が、異なる長さを有する、項目43から48のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
50.少なくとも2つの流体導管が、異なる幅を有する、項目43から49のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
51.表面と第1の流体との間の界面張力が、表面上の第1の流体の配置を実質的に維持するように表面が配置される、項目31から50のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
52.基板、第1の流体および第2の流体が、第1の流体と基板との間の大きい平衡接触角のために選択される、項目31から51のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
53.基板が親水性であり、第1の流体が極性であり、かつ、第2の流体が非極性である、項目31から52のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
54.第1の流体が水性の流体であり、かつ、第2の流体がガス;油;およびフッ化炭素のうちの1つである、項目31から53のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
55.第2の流体が、パーフルオロトリ−n−ブチルアミンおよび/またはパーフルオロ−n−ジブチルメチルアミンを含む、項目31から54のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
56.第1の流体が所定の形状で配置され、マイクロ流体装置の特徴の断面積が、(1:2)またはこれより小さい(高さ:幅)アスペクト比を有するようになっており、かつ、好ましくは、アスペクト比が(1:4)またはこれより小さく、かつ、より好ましくは(1:20)またはこれより小さく、かつ、よりいっそう好ましくは(1:50)またはこれより小さく、かつ、よりいっそう好ましくは(1:100)またはこれより小さく、かつ、よりいっそう好ましくは(1:50)と(1:500)との間である、項目31から55のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
57.第1の流体が所定の形状で配置され、接触角が、基板上にあり、かつ、第2の流体で覆われている第1の流体についての前進接触角より小さくなるようになっており、かつ、好ましくは、接触角が前進接触角の50%より小さく、かつ、より好ましくは前進接触角の25%より小さく、かつ、よりいっそう好ましくは前進接触角の10%より小さく、かつ、よりいっそう好ましくは前進接触角の1%と50%との間である、項目31から56のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
58.少なくとも表面の一領域が実質的に平坦であり、かつ、第1の流体が前記領域に配置される、項目31から57のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
59.表面が周状に包囲されている、項目31から58のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
60.第1の流体が、第2の流体によって覆われるように配置され、第2の流体と接触する第1の流体の表面積が、表面と接触する第1の流体の表面積より大きくなるようになっている、項目31から59のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
61.マイクロ流体装置が、所定の形状にある第1の流体の任意の部分への、第1の流体と混和性であるさらなる流体の追加に適している、項目31から60のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
62.マイクロ流体装置が、所定の形状にある第1の流体の任意の部分からの流体の除去に適している、項目31から61のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
63.所定の形状の足跡が、所定の形状である第1の流体への流体の追加、または、所定の形状である第1の流体からの流体の除去の際に不変のままである、項目31から62のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
64.マイクロ流体装置の特徴の容量が、特徴の足跡を変えることなく、100倍またはこれより少なく、かつ、任意には1000倍またはこれより少なく増加可能である、項目31から63のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
65.マイクロ流体装置の特徴の容量が、特徴の足跡を変えることなく、100倍またはこれより少なく、かつ、任意には1000倍またはこれより少なく減少可能である、項目31から64のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
66.第1の流体の密度が、第2の流体の密度より高い、項目31から65のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
67.第2の流体の密度が、第1の流体の密度より高い、項目31から66のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
68.第1の流体中に試薬をさらに有する、項目31から67のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
69.試薬が、少なくとも最初は、少なくとも1つの流体滴の中に含まれている、項目68に記載のマイクロ流体装置。
70.表面上のアレイに配置された複数の流体滴を有する、項目31から69のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
71.複数の流体滴が、異なる濃度の試薬を含む、項目70に記載のマイクロ流体装置。
72.非円形の足跡、好ましくは正方形の足跡または六角形の足跡を有する流体滴を有する、項目31から71のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
73.導管の長さに沿う高さのバリエーションが10−20%またはこれより大きい導管を有する、項目31から72のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
74.導管の長さに沿う高さのバリエーションが10μmまたはこれより大きい導管を有する、項目31から73のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
75.異なる時間における高さのバリエーションが10−20%もしくはこれより大きく、かつ/または、1μmもしくはこれより大きい導管を有する、項目31から74のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
76.流体の第1の容量を有する第1の流体滴と、流体の第2の容量を有する第2の流体滴とを有し、ここで、第1の流体滴と第2の流体滴とは、同一の足跡を有する、項目31から75のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
77.両方ともが流体の第1の容量を有する第1の流体滴と第2の流体滴とを有し、ここで、第1の流体滴と第2の流体滴とは、異なる足跡を有する、項目31から76のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
78.異なる足跡が、異なる面積および/または異なる形状を有する、項目77に記載のマイクロ流体装置。
79.第2の流体が、第2の流体と不混和性である第3の流体によって覆われている、項目31から78のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
80.第1の流体のさらなる部分が、基板の表面から独立して立つさらなる所定の形状で配置される、項目31から79のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
81.流体の一部を保持するための固体構造体をさらに有し、かつ、構造体内の流体の、第1の流体との接続を可能にするためのアパーチャを有する、項目31から80のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
82.第1の流体が:液体の蒸発後の表面上への堆積物の形成に適している;表面の化学変成に適している;剪断減粘流体である;剪断増粘流体である;ゲル前駆体である;および、ゲルである;のうちの少なくとも1つである、項目31から81のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
83.表面が、ガラス表面またはポリスチレン表面である、項目31から82のいずれかに記載のマイクロ流体装置。
84.滴のアレイを有するマイクロ流体装置であって、当該マイクロ流体装置は:基板と;第1の流体と;第1の流体と不混和性である第2の流体とを有し;ここで、第1の流体は、第2の流体によって覆われるように配置されており;かつ、ここで、第1の流体は、基板の表面上の滴の所定のアレイに配置され、かかる滴は、第1の流体と第2の流体との間の界面張力によって少なくとも部分的に規定されており、任意にはここで、滴の容量は、滴の足跡を変えることなく、100倍まで増加可能であり、または、100分の1まで減少可能である、前記マイクロ流体装置。
85.項目31から84のいずれかに記載のマイクロ流体装置用の基板であって、当該基板は表面を有し、該表面上にはマイクロ流体装置の乾燥したパターンが配置され、そのことによって、マイクロ流体が、第1の流体の、表面上のパターンへの導入によって再水和されてもよい、前記基板。
86.乾燥したパターンを覆うように配置された項目31から84のいずれかに記載の第2の流体を有する、項目85に記載の基板。
87.項目85または86に記載の基板上の乾燥したパターンを再水和させる方法。
88.再水和させることが、乾燥したパターンの一領域に、項目31から84のいずれかに記載の第1の流体の一部を堆積させるステップを含む、項目87に記載の方法。
89.再水和させることが、乾燥したパターンを、項目31から84のいずれかに記載の第1の流体を含むガスに曝露するステップを含む、項目87に記載の方法。
90.ガスが、ほぼ飽和したガス形態にある第1の流体を有する、項目89に記載の方法。
91.項目31から84のいずれかに記載のマイクロ流体装置用の基板であって、当該基板は表面を有し、該表面上にはマイクロ流体装置の凍結したパターンが配置され、そのことによって、マイクロ流体が、解凍することによって再形成されてもよい、前記基板。
92.マイクロ流体装置を作成する方法であって、当該方法は:基板を提供することと;第1の流体を提供することと;第1の流体と不混和性である第2の流体を提供することと;第1の流体を、それが第2の流体によって覆われるように配置することと;基板の表面上に所定の形状で第1の流体を配置することとを有し、かかる形状は、第1の流体と第2の流体との間の界面張力によって少なくとも部分的に規定される、前記方法。
93.第1の流体が、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって所定の形状に制限される、項目92に記載の方法。
94.基板の表面が非パターン化されている、項目92または93に記載の方法。
95.表面上に直接第1の流体を配置することをさらに有し、表面と第1の流体との間の界面張力が、表面上の第1の流体の配置を維持するようになっている、項目92から94のいずれかに記載の方法。
96.第1の流体を配置することが、表面上に流体の少なくとも1つの滴を堆積させることを有する、項目92から95のいずれかに記載の方法。
97.第1の流体を配置することが、表面上に第1の流体の少なくとも1つの連続した跡を堆積させることをさらに有し、そのことによって、少なくとも1つの流体滴に流体導管を提供する、項目96に記載の方法。
98.第1の流体を配置することが、表面上に第1の流体の少なくとも1つの連続した跡を堆積させることを有し、そのことによって、流体導管を提供する、項目92から97のいずれかに記載の方法。
99.まず、第1の流体が表面上に配置され、その後、第2の流体が第1の流体を覆うように配置される、項目92から98のいずれかに記載の方法。
100.第2の流体が、部分的にのみ第1の流体を覆う、項目92から99のいずれかに記載の方法。
101.まず、第2の流体が表面上に配置され、その後、第1の流体が第2の流体の下に配置される、項目92から100のいずれかに記載の方法。
102.第1の流体を堆積させることが、好ましくは第1の流体で湿った物体を、表面を横切って引き、表面上に第1の流体の少なくとも1つの連続した跡を提供することを有し、そのことによって、流体導管を提供する、項目92から101のいずれかに記載の方法。
103.表面上に配置された少なくとも2つの流体滴の間に流体導管を提供することをさらに有する、項目92から102のいずれかに記載の方法。
104.第1の流体を堆積させることが、第1の流体の一部を所定の形状における任意の位置に追加することを有する、項目92から103のいずれかに記載の方法。
105.第1の流体を配置することが、第1の流体の一部を所定の形状における任意の位置から除去することを有する、項目92から103のいずれかに記載の方法。
106.表面上に所定の形状を提供するために第1の流体を配置することが、第1の流体の一部の移動が、第1の流体の異なる部分の間の接続を妨げるか、または、形成することを引き起こすことを有する、項目92から105に記載の方法。
107.移動が、物体を、第1の流体の一部を横切って引くことを有する、項目106に記載の方法。
108.物体が、ティップまたは針である、項目107に記載の方法。
109.物体の、第1の流体との濡れ性が低い、項目108に記載の方法。
110.表面上に所定の形状を提供するために第1の流体を配置することが、さらに:チューブを提供することを有し、該チューブの中には流体が引かれ得;チューブを第2の流体で満たすことを有し、そのことによって、第2の流体がチューブの内壁を湿らせ;チューブの中に第1の流体の少なくとも1つの滴を引くことを有し、ここで、少なくとも1つの滴は第2の流体に包まれ;かつ、表面上でチューブを空にして表面と直接接触する第1の流体の少なくとも1つの流体滴を提供することを有し、ここで、第1の流体は第2の流体によって覆われている、項目92から項目109のいずれかに記載の方法。
111.チューブの中に第1の流体の複数の滴を引き、第2の流体に包まれ、かつ、第2の流体によって分離された、滴の連続体を作成することをさらに有する、項目110に記載の方法。
112.チューブを空にして表面上に複数の流体滴を提供することを有する、項目110または111に記載の方法。
113.第1の流体に試薬を導入することをさらに有する、項目110から112のいずれかに記載の方法。
114.試薬が少なくとも1つの流体滴に導入される、項目113に記載の方法。
115.試薬を複数の流体滴に導入することをさらに有し、好ましくはここで、試薬の濃度は少なくとも2つの流体滴において異なる、項目112から114のいずれかに記載の方法。
116.第2の流体を、第2の流体と不混和性である第3の流体で覆うことをさらに有する、項目110から115のいずれかに記載の方法。
117.項目92から116のいずれかに記載のマイクロ流体装置を作成する方法であって、当該方法は、表面上に配置された所定の形状が、乾燥してパターン化された表面を残すことを許容することをさらに有し、そのことによって、マイクロ流体装置は、表面上のパターンに大量の第1の流体を追加することによって、後で再水和されてもよい、前記方法。
118.項目92から116のいずれかに記載のマイクロ流体装置を作成する方法であって、当該方法はさらに、表面上で所定の形状にある第1の流体を凍結させることを有し、かつ、任意には、続いて凍結した第1の流体を解凍してマイクロ流体装置を再形成することを有する、前記方法。
119.いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置を通して流体を輸送する方法であって、当該方法は:第1の流体滴を、流体的に接続された第2の流体滴よりも大きい容量を有するように配置することを有し、そのことによって、2つの滴の間のラプラス圧力の差が、流体が2つの流体滴の間を流れることを引き起こすように作用する、前記方法。
120.流体の第1の容量を第1の流体滴に追加または除去することと、流体の第2の容量を第2の滴に追加することとをさらに有し、ここで、第1の流体滴と第2の流体滴とは、同一の足跡を有する、項目119に記載の方法。
121.流体の第1の容量を、第1の流体滴および第2の滴の両方に追加することをさらに有し、ここで、第1の流体滴と第2の流体滴とは、異なる足跡を有する、項目120に記載の方法。
122.第1の流体滴と第2の流体滴との間の高度差を調節することによって、流体の流れの速度を制御することをさらに有する、項目119から121に記載の方法。
123.いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置を通して流体を輸送する方法であって、当該方法は:重力を利用するために、第1の流体滴を、流体的に接続した第2の流体滴より上に上げ、流体が、上げられた滴からより低い滴へと流れることを引き起こすことを有し、ここで、第2の流体は、空気またはガスである、前記方法。
124.いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置を通して流体を輸送する方法であって、当該方法は:第1の流体滴を、流体的に接続した第2の流体滴より上に上げることを有し、第2の流体滴より上の第2の流体の高さが、第1の流体滴より上の第2の流体の高さより実質的に高くなるようになっており、そのことによって、流体が、第2の流体滴から第1の流体滴へと流れることを引き起こし、ここで、第2の流体は、液体である、前記方法。
125.いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置における流れを制御する方法であって、当該方法は、好ましくは第1の流体で湿った物体を用いて流体導管を通る流体の流れを制御することを有し、そのことによって、流れは、流体導管を提供する第1の流体の連続を妨げるように表面を横切って物体を引くことによって妨げられ得、かつ、そのことによって、流れは、妨げられた流体導管における第1の流体の連続を再確立するように表面を横切って湿った物体を引くことによって再開され得る、前記方法。
126.第1の流体と第2の流体の間の界面張力の変化を判定する方法であって、当該方法は、いずれかの先行する項目に記載のマイクロ流体装置を化学品に曝露することと、結果として生じるマイクロ流体装置の特徴の形状の変化を評価して界面張力の変化の指標を判定することとを有する、前記方法。
127.評価が、特徴の釣鐘形状、または、曲率半径が1つの平面に限定される任意の形状の側面上の変曲点を判定することを含む、項目126に記載の方法。
128.評価が、変曲点における曲率半径を判定することを有する、項目127に記載の方法。
129.評価が、滴の上面と変曲点との間の垂直距離を判定することを有する、項目128に記載の方法。
130.評価が、垂直距離に基づいて静液圧差を計算することを有する、項目129に記載の方法。
131.マイクロ流体装置から流体の一部を切り離す方法であって、当該方法は、マイクロ流体装置を化学品に曝露して、第1の流体と第2の流体との間の界面張力の変化を引き起こすことを有する、前記方法。
132.流体が、より高密度の流体に浸されている、項目126から131のいずれか1つに記載の方法。
133.マイクロ流体装置を製造するためのプリンターをゼロイングする方法であって、当該方法は:ホルダー部を基板に向かって移動させることを有し、ホルダー部は出口部を保持し、出口部は基板と面するティップを有し、ホルダー部が基板に向かって移動し続けるにつれて、まず、ティップが基板と接触し、その後、出口部がホルダー部に関して移動するようになっており;ホルダー部を止めることを有し;かつ、出口部がホルダー部に関して移動することなく、ホルダー部を基板から所望の距離移動させることを有する、前記方法。
134.出口部が、ホルダー部に関して摺動する、項目133に記載の方法。
135.ホルダー部が、それが基板に向かって所定の距離移動した後で止められる、項目133または134に記載に方法。
136.ホルダー部が、ティップと基板との間の接触が検知された後で止められる、項目133または134に記載に方法。
137.ティップと基板との間の接触が、光学的検知、ユーザーの入力および/または電気的検知によって検知される、項目136に記載の方法。
138.ホルダー部を基板から所望の距離移動させる前に、出口部をホルダー部に関して固定するステップをさらに有する、項目133から137のいずれかに記載の方法。
139.マイクロ流体装置を製造するためのプリンター用の出口アセンブリーであって、当該出口アセンブリーは、ホルダー部を有し、該ホルダー部は出口部を保持し、該出口部はティップを有し、ティップに力がかけられる時は、出口部がホルダー部に関して移動するようになっており、かつ、ティップに力がかけられない時は、出口部がホルダー部に関して所定の構成のままであるようになっている、前記出口アセンブリー。
140.ホルダー部が、出口部を支えるための低摩擦表面を有する、項目139に記載の出口アセンブリー。
141.ホルダー部と出口部との間の静摩擦係数が、0.01と0.5との間であり、好ましくは0.01と0.1との間であり、かつ、より好ましくは0.04と0.08の間である、項目139または140に記載の出口アセンブリー。
142.ホルダー部が、ポリテトラフルオロエチレンのスリーブを有する、項目139から141のいずれかに記載に出口アセンブリー。
143.出口部が、金属チューブ、好ましくは鋼チューブを有する、項目139から142のいずれかに記載の出口アセンブリー。
144.ホルダー部が、ゴムのスリーブ、好ましくはシリコーンゴムを有する、項目139から143のいずれかに記載の出口アセンブリー。
145.プリンターへの取付のためのホルダー部としてのゴムのスリーブと、ゴムのスリーブ内に配置された出口部としての金属チューブと、ゴムのスリーブと金属チューブとの間に配置されたポリテトラフルオロエチレンのスリーブとを有する、項目139から144のいずれかに記載の出口アセンブリー。
146.流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法であって、当該方法は、第1の固体を基板の非パターン化された表面上に所望の形状で配置して、基板上に前記形状の残留物を形成することを含む、前記方法。
147.流体を操作するためのマイクロ流体装置を製造する方法であって、当該方法は:第1の流体を基板の非パターン化された表面上に所望の形状で配置することを有し;第1の流体と不混和性である第2の流体を、第1の流体を少なくとも部分的に覆うように配置することを有し、ここで、第1の流体は、第1の流体と第2の流体との間の流体界面によって前記形状に保持され;かつ、第1の流体を凍結させて、基板上に前記形状の固体を形成することを有する、前記方法。
148.基板上の固体を解凍して、マイクロ流体装置を再形成することをさらに有する、項目147に記載の方法。
本発明が純粋に例として上記され、かつ、詳細の修正が本発明の範囲内でなされ得ることは理解されるであろう。
本発明につながった作業は、REA助成金契約番号第333848号の下、欧州連合の第7次フレームワークプログラム(FP7/2007−2013)の人材プログラム(マリーキュリーアクション)から資金を得ていた。