JP6985206B2 - 放射線位置検出器 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、放射線の入射位置を検出する放射線位置検出器に関する。
放射線位置検出器は、例えば加速器施設において、調べたい試料に放射線である中性子を照射し、その中性子の散乱を検出することで、試料の特性を調べる用途等に用いられている。
中性子等の放射線の入射位置を検出する放射線位置検出器は、陰極となる管状の外容器を備え、この外容器内の中心に軸方向に沿って陽極が配置されているとともに、外容器内にガスが封入されている。
このような放射線位置検出器は、外容器の形状が細長いため、外容器が歪みやすい性質がある。このため、放射線位置検出器は、支持機構を備えたユニット等に組み込んで外容器の直線性を保持するようにしているが、動作電圧が非常に高いことから、外容器のわずかな歪みでも、外容器と陽極との間での耐電圧が維持できなくなり、外容器と陽極との間での放電によって陽極が断線に至ることがある。
あるいは、外容器と陽極との間に動作電圧を印加すると、外容器と陽極との間に生じる電界によって、陽極の軸方向中間部と外容器の内面とが引寄せ合って、陽極が外容器の中心位置からずれて外容器の内面に近付く。動作電圧が高い場合、陽極の軸方向中間部と外容器の内面との間での引寄せ力が強く、外容器と陽極の軸方向中間部との間の距離が縮まりやすいため、外容器と陽極との間での耐電圧が維持できなくなり、外容器と陽極との間での放電によって陽極が断線に至ることがある。
このように放射線位置検出器の陽極が断線した場合、外容器内のガスを電離することができなくなるため、放射線位置検出器としての機能が停止することになる。また、破断した陽極が外容器とショートする破断モードが発生した場合、測定システムの電子機器に損傷を与える虞がある。
特開2003−167062号公報
本発明が解決しようとする課題は、外容器と陽極との間での放電による陽極の断線を防止できる放射線位置検出器を提供することである。
本実施形態の放射線位置検出器は、陰極となる管状の外容器と、外容器内に封入されたガスと、外容器内に軸方向に沿って配置されるように両端部が外容器の両端側に支持された陽極と、外容器内の軸方向の中間位置で外容器の内面に固定され、外容器の内面と陽極との間に配置された絶縁体とを備える。
一実施形態を示す放射線位置検出器の構成図である。 同上放射線位置検出器の径方向から見た一部の拡大断面図である。 同上放射線位置検出器の軸方向から見た拡大断面図である。 同上放射線位置検出器において放射線の入射からガスの電離までの動作を(a)(b)(c)の順に説明する説明図である。 同上放射線位置検出器において発生する電荷の位置と密度との関係を示すグラフである。 本実施形態の放射線位置検出装置の特性と比較例の特性を示す表である。 3HeガスおよびCF4ガスの分圧と、陽子および三重水素のガス中での飛程の合計との関係を示すグラフである。 3HeガスおよびCF4ガスの分圧と、陽子および三重水素のガス中での飛程の合計と、2〜5pCの出力電荷が得られる動作電圧との関係を示すグラフである。
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、放射線位置検出装置10は、放射線位置検出器11、高圧電源12、および処理回路13を備えている。処理回路13は、プリアンプ14a,14b、AD変換器15、および演算器16等を備えている。
そして、放射線位置検出器11は、例えば、放射線として中性子を検出する一次元位置敏感型の中性子検出用比例計数管(PSD)である。この放射線位置検出器11は、陰極となる管状の外容器20、この外容器20の中心域に軸方向に沿って配置される陽極21、外容器20の両端に設けられた端子部22a,22b、外容器20内に封入されたガス23、および外容器20の軸方向の中間位置で外容器20の内面と陽極21との間に配置された絶縁体24を備えている。
外容器20は、例えばステンレス等の金属製で、導電性を有している。外容器20は、円管状で、軸方向に長く、両端が端子部22a,22bによって閉塞されている。外容器20の内部には、密閉空間25が設けられている。そして、外容器20は、例えば、直径(外径)Dが6.4〜25.4mm程度、全長Lが最大で3000mm程度、厚さtが0.5mm以下となっている。外囲器20は、直径Dに対する全長Lの比が50倍以上に、細長く形成されている。
外容器20は、図2に示すように、一端側の第1外容器部26と、他端側の第2外容器部27と、これら第1外容器部26と第2外容器部27との間に接合される中間の第3外容器部28とを備えている。第1外容器部26と第2外容器部27とは同一構成であり、第3外容器部28は外容器20の軸方向の中央位置に配置されている。
第3外容器部28は、円管状で、その軸方向に2分割された一対の分割部材29a,29bを備えている。これら一対の分割部材29a,29bは、互いに組み合わされるとともに例えばろう付けによって接合され、第3外容器部28として一体化されている。第3外容器部28は、外径が第1外容器部26および第2外容器部27の外径と同一で、内径が第1外容器部26および第2外容器部27よりも小さく、両端(各分割部材29a,29bの外端)の内周側から第1外容器部26の内側および第2外容器部27の内側に嵌り込む嵌合部30,31が突設されている。そして、第1外容器部26および第2外容器部27と第3外容器部28との間が組み合わされるとともに例えばろう付けによって接合され、1本の外容器20として一体化されている。第3外容器部28の内周には絶縁体24を固定する固定溝32が設けられている。固定溝32は、一対の分割部材29a,29bの対向面側に設けられている。そして、一対の分割部材29a,29bを接合して固定する際に、一対の分割部材29a,29bの固定溝32間に絶縁体24の外周部を挟み込むことにより、絶縁体24が第3外容器部28の内面側に固定配置されている。
また、陽極21は、単位長さあたりに一定の電気抵抗値を有する抵抗性芯線である。陽極21の直径dは、例えば10〜50μm程度となっている。陽極21は、外容器20内の中心域に軸方向に沿って配置されるように、両端部が外容器20の両端側である端子部22a,22bに支持されている。陽極21には、軸方向に所定の張力が付与されている。陽極21の両端部は端子部22a,22bに電気的に接続されている。
また、端子部22a,22bは、外容器20に対して絶縁状態で、外容器20の両端部に固定されている。端子部22a,22bの中心には、陽極21の両端部が連結されるとともに電気的に接続されている。
また、ガス23は、外容器20の密閉空間25に封入されている。ガス23には、3Heガスおよび添加ガスが含まれている。3Heガスの分圧は、中性子の検出効率の仕様に応じて任意に設定されるもので、概ね5〜20atmの範囲に設定されている。添加ガスはCF4ガス、CO2ガス、CH4ガス等が使用されている。一般的に比例計数管ではクエンチングガスとして分子性のガスが添加されるが、本実施形態では、中性子と3Heガスの核反応により生じる陽子と三重水素のガス23中での飛程が短くなるように、添加ガスの分圧を従来製品よりも高くしている。そして、ガス23の組成は、陽子と三重水素のガス23中での飛程の合計が2.0〜2.7mmの範囲となるように、3Heガスの分圧および添加ガスの分圧が設定されている。
また、図2および図3に示すように、絶縁体24は、絶縁材料によって形成されている。絶縁材料としては、例えばセラミック等が用いられている。絶縁体24は、円環状に形成されている。絶縁体24の中央には、陽極21が貫通する円形の開口部33が形成されている。絶縁体24の内周部には、開口部33に臨んで円環状の内縁部34が設けられている。内縁部34の内周面は、外容器20の軸方向に対応して曲面状に形成されている。そして、絶縁体24の外周部は、第3外容器部28の固定溝32に固定されている。絶縁体24の開口部33の中心(絶縁体24の環状の内縁部34の中心)は、外容器20の中心と一致されている。
外容器20の内面(第3外容器部28の内面)から絶縁体24の内縁部34までの距離aは、ガス23の組成や外容器20と陽極21との間に印加される動作電圧等に応じて変わるが、陽極21が絶縁体24の内縁部34に接する位置に移動しても、外容器20と陽極21との間の耐電圧を維持可能であって、外容器20と陽極21との間で放電が生じるのを防止可能な距離に設定されている。また、絶縁体24の厚みbは、中性子検出への影響を少なくするために、絶縁体24の強度を確保可能な範囲で薄いことが好ましい。また、絶縁体24の開口部33の開口径cは、外容器20の外径や距離aに応じて適宜設定される。そして、陽極21が外容器20内の中心域に位置する状態では、陽極21と絶縁体24は離反され、陽極21と絶縁体24の間に空間が存在している。
また、高圧電源12は、陰極である外容器20と陽極21との間に動作電圧を印加する。動作電圧は、陽極21からの出力電荷が従来製品よりも高い2〜5pCとなるように設定されている。従来製品では、出力電荷が約1pCとなるように、動作電圧が1.3〜1.8kVに設定されているが、本実施形態では、前述の通り、添加ガスの分圧が従来製品よりも高く設定されること、および出力電荷が高くなるように動作電圧が設定されることから、動作電圧が2.0〜2.5kVの範囲に設定されている。
また、処理回路13のプリアンプ14a,14bは、放射線位置検出器11の両端(以下、検出器両端という)からの出力電荷をそれぞれ電気信号に変換して出力する。プリアンプ14a,14bは、放射線位置検出器11に印加されている高電圧成分をカットするカップリングコンデンサ35a,35b、および高電圧成分がカットされた出力電荷を所定の電気信号に変換するオペアンプ36a,36b等を備えている。
また、AD変換器15は、プリアンプ14a,14bから出力される検出器両端の電気信号(アナログ信号)をデジタル信号(波形信号)にそれぞれ変換する。AD変換器15には、分解能が14bit以上の素子が用いられる。例えば、AD変換器15には、分解能が16bitの素子を用いてもよい。
また、演算器16は、AD変換器15でデジタル化された検出器両端の電気信号の波形データから波高をそれぞれ求め、これら波高の比に基づいて、放射線位置検出器11の軸方向における中性子の入射位置を演算する。
そして、放射線位置検出装置10の動作を説明する。
高圧電源12によって、陰極である外容器20と陽極21との間に動作電圧を印加する。
そして、図4(a)(b)に示すように、中性子nが外容器20内に入射すると、中性子nと3Heガスとが核反応を起こし、陽子pと三重水素Tが発生する。なお、図4(b)に示すAは、核反応が起きた位置であるとともに、陽子pおよび三重水素Tが発生した位置である。
図4(c)に示すように、陽子pは約574keVのエネルギを持ち、三重水素Tは191keVのエネルギを持ち、これら陽子pおよび三重水素Tが互いに反対方向へ向けてガス23中に飛び出し、周囲のガス23の原子・分子との衝突で徐々にエネルギを失って停止する。陽子pおよび三重水素Tとガス23とが衝突する際、陽子pおよび三重水素Tのエネルギの一部をガス23に与えて電離させ、電荷eを発生させる。
発生した電荷eは、陰極である外容器20と陽極21との間に形成される電場によって陽極21に収集される。これにより、陽極21の両端部からは、陽極21における電荷eの収集位置から陽極21の両端部までの各距離に応じた比の出力電荷がそれぞれ出力される。なお、電荷eが陽極21に再結合する際に、放射線位置検出器11の動作に悪影響を及ぼす紫外線を発生するが、添加ガスによって紫外線を吸収し、放射線位置検出器11の動作を安定させる。
検出器両端(陽極21の両端部)からの出力電荷をプリアンプ14a,14bで電気信号に変換し、プリアンプ14a,14bから出力される検出器両端の電気信号をAD変換器15でデジタル信号(波形信号)に変換する。
演算器16では、AD変換器15でデジタル化された検出器両端の電気信号の波形データから波高をそれぞれ求め、これら波高の比に基づいて、放射線位置検出器11の軸方向における中性子の入射位置を演算する。
そして、放射線位置検出装置10では位置分解能の向上が望まれている。なお、位置分解能は、放射線位置検出器11の1点に多数の中性子が入射したとして求めた位置分布の広がり幅である。
図4(c)に示したように、電荷eは、陽子pおよび三重水素Tが発生した位置Aから停止するまでの範囲で発生する。陽子pおよび三重水素Tは、質量およびエネルギが同じではないため、核反応が起きた位置Aから停止するまでの飛程がそれぞれ異なっている。そのため、図5に示すように、陽子pおよび三重水素Tによって作られた電荷eの重心は、核反応が起きた位置Aよりも陽子p側に寄る。したがって、核反応が起きた位置Aと電荷eの重心とはずれることになる。また、陽子pと三重水素Tが飛び出す方向はランダムである。
このことから、多数の中性子が放射線位置検出器11の1点に入射したと仮定した場合でも、ガス23中にできる電荷eの重心は、1点とはならず、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程と相関のある範囲に広がることとなる。
放射線位置検出器11を用いた放射線位置検出装置10では、中性子の入射位置を検出するのに電荷eの重心を求めているため、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程が大きいほど、中性子の入射位置の検出精度、つまり位置分解能に影響が生じることとなる。
そのため、位置分解能を向上させるには、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程を短くすることが好ましい。シミュレーションを実施した結果、放射線位置検出器11の位置分解能を2mm以下に向上させるためには、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計が2.7mm以下にならないと、放射線位置検出器11の位置分解能を2mm以下に向上させることができないことが判明した。
陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程を短くするには、添加ガスの分圧を増やす方法がある。添加ガスの分圧を増やすほど、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程を短くすることができるが、添加ガスの分圧を増やすほど、放射線位置検出器11に必要な動作電圧が高くなる。なお、添加ガスであるCF4の分圧を1atm増やすと、放射線位置検出器11からの出力電荷が同じ場合、動作電圧は概ね500〜600V高くなる。
しかし、放射線位置検出器11の動作電圧が高くなると、外容器20と陽極21との間で放電が生じるおそれや、処理回路13に用いられる素子の耐電圧を超えるおそれがあるなど、放射線位置検出器11や処理回路13の耐電圧の問題が発生する。
さらに、位置分解能を向上させるには、放射線位置検出器11の両端からの出力電荷は大きい方がよい。これは、抵抗性芯線で構成される陽極21が比較的大きな熱雑音を発生するためであり、出力電荷が小さいと、S/N比が低く、位置分解能の向上が難しい。
そこで、本実施形態では、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計が2.0〜2.7mmの範囲となるように3Heガスおよび添加ガスの分圧を設定するとともに、放射線位置検出器11からの出力電荷が2〜5pCとなるように動作電圧を2.0〜2.5kVの範囲に設定し、放射線位置検出器11の位置分解能を2mm以下にする。このように構成することにより、放射線位置検出器11や処理回路13の耐電圧を考慮したうえで、位置分解能の向上を図ることができる。
図6には本実施形態の放射線位置検出装置10の特性と比較例の特性を示す。なお、図6中には放射線位置検出器11をPSDと記載する。また、比較例の各構成については該当する符号を括弧書きで記載して説明する。
まず、比較例について説明する。
放射線位置検出器(11)の3Heガスの分圧は5〜20atm(中性子の検出効率の仕様に応じて任意に設定される)、添加ガスであるCF4の分圧は0.2〜0.9atm(3Heガスの分圧が6atmの場合であり、この場合でも0.9atm未満である)、放射線位置検出器(11)の動作電圧は1.3〜1.8kV、放射線位置検出器(11)からの出力電荷は約1pC、放射線位置検出器(11)の耐電圧は動作電圧+300V以上である。また、AD変換器(15)は、分解能が12bitの素子を用い、AD変換に使用される実質bit数は10bit(分解能=1024)である。処理回路(13)には耐電圧2〜2.5kVの素子が用いられる。
このように構成された比較例では、放射線位置検出器(11)の位置分解能は4mm以上となっている。
比較例を例1、例2および例3に示す。例1、例2および例3の放射線位置検出器(11)の径および有感長、3Heガスの分圧、添加ガスであるCF4の分圧、動作電圧は、それぞれ異なるが、例1、例2および例3とも放射線位置検出器(11)からの出力電荷が約1pCとなるように調整されている。
例1、例2および例3とも、添加ガスであるCF4の分圧は0.2〜0.9atm(0.9atm未満)の範囲内にあり、放射線位置検出器(11)の動作電圧は1.3〜1.8kVの範囲内にある。この場合、陽子pおよび三重水素Tのガス(23)中での飛程の合計は2.9mm以上(例2の2.903mmが最も短い)となり、放射線位置検出器(11)からの出力電荷は約1pCとなる。
そして、陽子pおよび三重水素Tのガス(23)中での飛程が長いこと、放射線位置検出器(11)からの出力電荷が小さくS/N比が低いことにより、実際の位置分解能は5mm以上となっている。
次に、本実施形態の放射線位置検出装置10について説明する。
放射線位置検出器11の3Heガスの分圧は5〜20atm(中性子の検出効率の仕様に応じて任意に設定される)、添加ガスであるCF4の分圧は0.9〜2.3atm(添加ガスであるCF4の分圧は、3Heガスの分圧を元に、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計が2.0〜2.7mmの範囲となるように設定される)、放射線位置検出器11の動作電圧は2.0〜2.5kV、放射線位置検出器11からの出力電荷は2〜5pC、放射線位置検出器11の耐電圧は2.9kV以下である。また、AD変換器15は、分解能が14bitの素子が用いられ、AD変換に使用される実質bit数は12bit(分解能=4096)である。処理回路13には耐電圧3kVの素子が用いられる。
このように構成された本実施形態の放射線位置検出装置10では、放射線位置検出器11の位置分解能が2mm以下に向上した。
本実施形態の放射線位置検出器11の具体的な構成を例4、例5および例6に示す。例4、例5および例6の3Heガスの分圧、CF4の分圧、動作電圧が異なるが、例4、例5および例6とも出力電荷が約3pCとなるように調整されている。
例4、例5および例6とも、添加ガスであるCF4の分圧は0.9〜2.3atmの範囲内にあり、放射線位置検出器11の動作電圧は2.0〜2.5kVの範囲にある。この場合、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計は2.0〜2.7mmの範囲(例5の2.656mmが最も長い)にあり、放射線位置検出器11からの出力電荷は約3pCとなった。
なお、シミュレーションを実施した結果、核反応が起きた位置Aから電荷eの重心までの距離が従来よりも短くなり、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程による位置分解能への寄与分(影響分)が従来よりも少なくなった。
そして、添加ガスであるCF4の分圧は従来よりも高い0.9〜2.3atmの範囲内にあり、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計は2.0〜2.7mmの範囲に短くできた。これにより、実際の位置分解能は2mm以下の1.6mmに向上できた。
また、図6に示す本実施形態には、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計を2.7mm以下、放射線位置検出器11からの出力電荷を2pC以上とするために、添加ガスであるCF4の分圧を0.9atm以上、放射線位置検出器11の動作電圧を2.0kV以上としたが、位置分解能のさらなる向上のためには、添加ガスであるCF4の分圧をさらに高くするとともに、放射線位置検出器11の動作電圧をさらに高くすればよい。
ただし、添加ガスであるCF4の分圧を高くし過ぎると、放射線位置検出器11の動作電圧が高くなり過ぎてしまい、外容器20と陽極21との間で放電が発生するおそれや、処理回路13に用いられる素子の耐電圧を超えるおそれがあるなど、放射線位置検出器11や処理回路13の耐電圧の問題で実現が難しくなる。
そのため、このような放射線位置検出器11や処理回路13の耐電圧を考慮した現実的な動作電圧の上限は、放射線位置検出器11の耐電圧2.9kVに対する裕度を0.4kVとした場合、2.5kV程度が好ましい。
放射線位置検出器11の動作電圧の上限から、3Heガスおよび添加ガスであるCF4の分圧の上限が決まって陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計の下限は2.0mmとなり、さらに、放射線位置検出器11からの出力電荷の上限は5pCとなる。
したがって、位置分解能の向上と放射線位置検出器11や処理回路13の耐電圧とを総合的に考慮して、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計は2.0〜2.7mmの範囲、放射線位置検出器11の動作電圧は2.0〜2.5kVの範囲、放射線位置検出器11からの出力電荷は2〜5pCの範囲が好ましい。
陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計は、2.0mmよりも短いと、3Heガスおよび添加ガスであるCF4の分圧をより高くしなければならないために、動作電圧が高くなって放射線位置検出器11や処理回路13の耐電圧の問題が生じ、また、2.7mmよりも長いと、放射線位置検出器11の位置分解能を2mm以下に向上させることができない。そのため、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計は2.0〜2.7mmの範囲が好ましい。
放射線位置検出器11の動作電圧は、2.0kVよりも小さいと、放射線位置検出器11から十分に大きい出力電荷が得られず、S/N比が低くなるため、位置分解能を向上できず、また、2.5kVよりも大きいと、放射線位置検出器11や処理回路13の耐電圧の問題が生じる。そのため、放射線位置検出器11の動作電圧は2.0〜2.5kVの範囲が好ましい。
また、図7は3HeガスおよびCF4ガスの分圧と、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計との関係を示すグラフである。なお、図7中に示す丸数字は上述した例1〜6にそれぞれ対応している。
図7に示すように、飛程2.0〜2.7mmの範囲(破線の範囲)は、3Heガスの分圧とCF4ガスの分圧との組み合わせによるガス組成によって設定されている。すなわち、飛程2.0〜2.7mmとなるガス23のガス組成は、3Heガスの分圧5atmおよび添加ガスの分圧1.6atmの第1ガス組成点P1と、3Heガスの分圧5atmおよび添加ガスの分圧2.3atmの第2ガス組成点P2と、3Heガスの分圧20atmおよび添加ガスの分圧0.6atmの第3ガス組成点P3と、3Heガスの分圧20atmおよび添加ガスの分圧1.3atmの第4ガス組成点P4とで囲まれる範囲内にある。そして、飛程2.0〜2.7mmの範囲内に本実施形態の例4〜6が入り、飛程2.0〜2.7mmの範囲よりも飛程が長い領域に従来の例1〜3が存在する。
また、図8は、3HeガスおよびCF4ガスの分圧と、陽子pおよび三重水素Tのガス23中での飛程の合計と、2〜5pCの出力電荷が得られる動作電圧との関係を示すグラフである。図8には、飛程2.0〜2.7mmが得られる範囲(破線の範囲)と、2.0〜2.5kVの範囲中の所定の動作電圧で2〜5pCの出力電荷が得られる範囲(一点鎖線の範囲)とを示している。なお、図8には、出力電荷が1pCの例1〜3のガス組成の位置、および出力電荷が3pCの例4〜6のガス組成の位置も参考のために示している。
そして、ガス23の組成つまり3HeガスおよびCF4ガスの分圧は、飛程2.0〜2.7mmが得られる範囲で、かつ、動作電圧2.0〜2.5kVで出力電荷2〜5pCが得られる範囲となる範囲(実線の範囲)Rが得られるように設定されている。
また、このように構成された放射線位置検出器11では、位置分解能の向上を図るうえで、例えば、外容器20の直径Dが25.4mm以下、全長Lが最大で3000mm、厚さtが0.5mm以下で、外容器20が細長い形状であるため、外容器20が曲がりやすい性質にある。このため、放射線位置検出器11は、支持機構を備えたユニット等に組み込んで外容器20の直線性を保持するようにしているが、外容器20にわずかな歪みが生じても、陽極21の軸方向中間部が外容器20の内面に近付き、外容器20と陽極21との間の距離が縮まった場合、外容器20と陽極21との間での耐電圧が維持できなくなると、外容器20と陽極21との間で放電が生じ、陽極21が断線に至ることがある。なお、外容器20の全長Lが長くなると、その長さに対して4乗倍で外容器20に歪みが生じやすくなるため、外囲器20が細長く、外容器20の直径Dに対する全長Lの比が50倍以上の場合、より確実には100倍以上の場合に、外容器20と陽極21との間で放電が生じ、陽極21が断線に至りやすくなる。
あるいは、外容器20と陽極21との間に動作電圧を印加すると、外容器20と陽極21との間に生じる電界によって、陽極21の軸方向中間部と外容器20の内面とが引寄せ合って、陽極21が外容器20の中心位置からずれて外容器20の内面に近付く。本実施形態のように、動作電圧が高い場合、陽極21の軸方向中間部と外容器20の内面との間での引寄せ力が強く、外容器20と陽極21の軸方向中間部との間の距離が縮まりやすいため、外容器20と陽極21との間での耐電圧が維持できなくなると、外容器20と陽極21との間で放電が生じ、陽極21が断線に至ることがある。この場合にも、外容器20が細長く、外容器20の直径Dに対する全長Lの比が50倍以上の場合、より確実には100倍以上の場合に、外容器20と陽極21との間で放電が生じ、陽極21が断線に至りやすくなる。
そこで、本実施形態の放射線位置検出器11では、外容器20内の軸方向の中間位置で外容器20の内面と陽極21との間に絶縁体24を配置することにより、外容器20と陽極21との間での耐電圧を維持し、外容器20と陽極21との間で放電が生じるのを防ぎ、陽極21の断線を防止できる。
すなわち、外容器20の歪みや電界作用によって、陽極21の軸方向中間部が外容器20の内面に近付いても、陽極21が絶縁体24の内縁部34に接触することで、それ以上、陽極21が外容器20の内面に近付くのが制限される。このとき、外容器20の内面から絶縁体24の内縁部34までの距離aは、ガス23の組成や外容器20と陽極21との間に印加される動作電圧等に応じて変わるが、陽極21が絶縁体24の内縁部34に接する位置に移動しても、外容器20と陽極21との間の耐電圧を維持可能であって、外容器20と陽極21との間で放電が生じるのを防止可能な距離に設定されている。そのため、外容器20と陽極21との間での耐電圧を維持し、外容器20と陽極21との間で放電が生じるのを防ぎ、陽極21の断線を防止できる。
このように、放射線位置検出器11によれば、位置分解能の向上を図るために、外容器20が細長く、かつ動作電圧が高くても、外容器20内の軸方向の中間位置で外容器20の内面と陽極21との間に絶縁体24を配置することにより、外容器20と陽極21との間での耐電圧を維持し、外容器20と陽極21との間で放電が生じるのを防ぎ、陽極21の断線を防止できる。
そのため、外容器20が細長く、外容器20の直径Dに対する全長Lの比が50倍以上、さらに100倍以上の場合でも、絶縁体24が陽極21の断線の防止に有効となる。
また、絶縁体24は、外容器20の内面に固定されているため、例えば絶縁体24を陽極21に固定する場合に比べて、陽極21に負荷がかからず、負荷による陽極21の断線を防止することができる。
また、陽極21が外容器20内の中心域に位置する状態では、陽極21と絶縁体24は離反し、陽極21と絶縁体24の間に空間が存在しているため、絶縁体24の開口部33内において、陽極21の周囲でのガス23の電離、電子の移動が可能で、絶縁体24を備えることによる検出精度への影響を最小限に抑えることができる。
さらに、外容器20は、第1外容器部26と、第2外容器部27と、これら第1外容器部26と第2外容器部27との間に接合される第3外容器部28とを有しており、絶縁体24は、第3外容器部28の内面に固定されているため、外容器20の全長が長くても、絶縁体24を外容器20内に容易に配置することができる。
また、絶縁体24の内縁部34は、外容器20の軸方向に沿って曲面状に形成されているため、陽極21が接触しても陽極21に損傷を与えることがなく、陽極21の断線を防止できる。
なお、外容器20の全長Lが長い場合には、複数の絶縁体34を外容器20内の軸方向の複数箇所に配置してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11 放射線位置検出器
20 外容器
21 陽極
23 ガス
24 絶縁体
26 第1外容器部
27 第2外容器部
28 第3外容器部
33 開口部
34 内縁部

Claims (5)

  1. 陰極となる管状の外容器と、
    前記外容器内に封入されたガスと、
    前記外容器内に軸方向に沿って配置されるように両端部が前記外容器の両端側に支持された陽極と、
    前記外容器内の前記軸方向の中間位置で前記外容器の内面に固定され、前記外容器の内面と前記陽極との間に配置された絶縁体と
    を具備することを特徴とする放射線位置検出器。
  2. 前記外容器は、直径に対する全長の比が50倍以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の放射線位置検出器。
  3. 前記絶縁体は、前記陽極が前記軸方向に貫通する開口部を有し、
    前記陽極が前記外容器内の中心域に位置する状態では、前記陽極と前記絶縁体は離反し、前記陽極と前記絶縁体との間に空間が存在している
    ことを特徴とする請求項1または2記載の放射線位置検出器。
  4. 前記絶縁体は、前記開口部に臨む内縁部を有し、この内縁部の内周面が前記軸方向に曲面状に設けられている
    ことを特徴とする請求項3記載の放射線位置検出器。
  5. 前記外容器は、一端側の第1外容器部と、他端側の第2外容器部と、これら第1外容器部と第2外容器部との間に接合される第3外容器部とを有し、
    前記絶縁体は、前記第3外容器部の内面に固定されている
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の放射線位置検出器。
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