JP6985076B2 - 屋根パネル組付金具および建物 - Google Patents

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Description

この発明は、屋根パネル組付金具および建物に関するものである。
戸建住宅などの建物には、傾斜した2つの屋根面が、斜めに降りる稜線を有して山状に合わさる隅棟を備えた寄棟屋根などの隅棟付屋根を有するものが存在している(例えば、特許文献1〜特許文献5参照)。
実開平5−14338号公報 特開昭54−136718号公報 実開昭55−178514号公報 特開平5−79117号公報 特開2014−34812号公報
上記寄棟屋根では、例えば、隅棟部分に隅棟梁などと呼ばれる梁を設けて、この梁に隅棟を構成する各屋根面を取付けるなどしていた(特許文献1〜特許文献3)。しかし、上記した梁は、大型の部材であるため、設置に手間がかかると共に、コストがかかるなどの問題があった。
これに対し、特許文献4のように、隅棟を構成する各屋根面の取付けに、形状や大きさの異なる様々な取付金具を多数用いるようにしたものも存在している。また、特許文献5のように、隅棟を構成する各屋根面の取付けに高さの異なる複数の束(つか)を用いるようにしたものも存在している。しかし、特許文献4や特許文献5のものは、取付金具や束が複雑な形状の大型部品などとなっており、しかも、1箇所の隅棟部分を形成するのに大きさや形状の異なる取付金具や束を多数必要としていたので、取付金具や束の部品点数が多くなると共に取扱性が悪く、また、施工に手間のかかるものとなっていた。
そこで、本発明は、主に、上記した問題点を解決することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、傾斜した2つの屋根面が、斜めに降りる稜線を有して山状に合わされる隅棟を備えた隅棟付屋根の水上側で、前記屋根面の取付けに用いる屋根パネル組付金具であって、前記各屋根面がそれぞれ複数枚の屋根パネルで構成されると共に、前記屋根面の1つを構成する複数枚の前記屋根パネル載置保持可能なパネル受部と、該パネル受部を、前記隅棟付屋根の水上側に設けられた柱部の側面に対して固定可能な柱固定部と、を備え、前記パネル受部が、載置保持した複数枚の前記屋根パネルそれぞれ固定可能な複数の定部を有し、前記パネル受部は、前記隅棟を構成する前記2つの屋根面をそれぞれ載置保持できるよう、対にして用いられ、対の前記パネル受部は、前記隅棟の前記稜線の位置を境として山状に組み合わされ、前記柱固定部の前記柱部に対する取付位置をそれぞれ上下に異ならせることによって、対の前記パネル受部は、前記隅棟の前記稜線の位置に上下の高低差を有して設置可能であることを特徴とする。また、上記屋根パネル組付金具を用いて屋根を構築した建物を特徴とする。
本発明によれば、上記構成によって、梁(隅棟梁)などを用いずに隅棟付屋根の傾斜した屋根面を容易に設置することなどができる。
実施例1にかかる屋根パネル組付金具を用いた建物の屋根(寄棟屋根などの隅棟付屋根)の斜視図である。 図1の変形例にかかる屋根パネル組付金具を用いた建物の屋根(方形屋根などの隅棟付屋根)の斜視図である。 図1の屋根の骨組構造および組立状況を示す斜視図である。 図2の水上部分の拡大斜視図である。 図2の軒元部分(隅棟側)の拡大斜視図である。 図2の軒元部分(隅棟とは反対の側)の拡大斜視図である。 実施例1にかかる屋根パネル組付金具の斜視図である。 図6の平面図である。 複数の屋根パネルを取付けた屋根パネル組付金具の側面図である。 図6の右側に位置する屋根パネル組付金具の斜視図である。 図9Aを隅棟側から見た斜視図である。 図9Aの平面図である。 図9Cを図の下側から見た図である。 図9Cを図の右側から見た図である。 図9Aのパネル受部の斜視図である。 図10Aの平面図である。 図10Bを図の左側から見た図である。 図10Bを図の下側から見た図である。 図10Bを図の右側から見た図である。 図9Aの柱固定部の斜視図である。 図11Aの平面図である。 図11Bを隅棟と垂直な方向から見た斜視図である。 図11Bを隅棟の延設方向から見た斜視図である。 図11Bを図の下側から見た図である。 図11Bを図の右側から見た図である。 屋根パネル組付金具を用いて屋根に三角形状の屋根パネルを取付けた状態を示す部分的な斜視図である。 図12の隅棟部分の縦断面図である。 対の屋根パネル組付金具に高低差を設けた場合の、図13と同様の隅棟部分の縦断面図である。 柱固定部を連結部で互いに連結固定した対の屋根パネル組付金具を示す斜視図である。 屋根パネル組付金具に三角形状の屋根パネルを設置して上下にボルト固定する状態を示す斜視図である。 屋根パネル組付金具に三角形状の屋根パネルを上下にボルト固定した後の取付状態を示す斜視図である。 屋根パネル組付金具に三角形状の屋根パネル(の隅棟側とは反対の側)を固定する状態を示す図である。 実施例2にかかる屋根パネル組付金具の斜視図である。 図19の第一の固定部と第二の固定部との状態を示す斜視図である。 図21の平面図である。 実施例3にかかる屋根パネル組付金具の斜視図である。 実施例4にかかる屋根パネル組付金具の斜視図である。 図22の柱固定部の斜視図である。
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図23は、この実施の形態の各実施例を説明するものである。
<構成>以下、構成について説明する。
図1は、戸建住宅などの建物1の屋根2を示す図である。この屋根2は、中央に平面視ほぼ矩形状をした水平且つ平坦な屋根面3(水平屋根面または陸屋根面)などを有すると共に、水平な屋根面3の周囲に下り勾配で傾斜した4つの屋根面4(傾斜屋根面)を有する寄棟屋根(以下、隅棟付屋根8という)となっている。なお、中央に位置する屋根面3は、平面視ほぼ矩形状をした水平且つ平坦なものに限るものではなく、例えば、四角錐状のものなどとすることができる。4つの屋根面4は、必要な場合には、東西南北の方角を概略で示す(E)(W)(S)(N)を付すことによって、区別できるようにしている。
傾斜した屋根面4は、それぞれ平面視ほぼ台形状などをしている。台形状の各屋根面4は、それぞれ両側に位置する三角形状の屋根パネル11と、三角形状の屋根パネル11の間に位置する単数または複数枚の四角形状の屋根パネル12とを適宜組み合わせて構成されている。そして、傾斜した4つの屋根面4は、隣接する2つの屋根面4が、斜めに降りる稜線を有して山状に合わされる隅棟14を構成している。なお、三角形状の屋根パネル11は、隅棟14を構成するための斜辺を有する屋根パネル11の代表的な例である。三角形状の屋根パネル11は、台形状の屋根パネル11や、その他の斜辺を有する屋根パネル11などに変更することができる。以下、分かり易いように三角形状の屋根パネル11として説明するが、要するに隅棟14を構成するための斜辺を有する屋根パネル11であれば良いので、三角形状の屋根パネル11には、上記したような代替可能な他の形状の屋根パネル11も含むことができるものとする。
隅棟14とは、寄棟造りなどの屋根2で、屋根面4が互いに接する部分にできる、隅に向かって傾斜した棟(隅降棟)のことである。または、屋根2の隅で斜め方向に降りている下がり棟のことである。隅棟14は、各屋根面4の両側に位置する三角形状の屋根パネル11どうしが合わされることによって形成されている。なお、隅棟14を有する屋根2には、例えば、図1に示すような寄棟屋根や、図1Aに示すような方形屋根や、入母屋屋根や、はかま腰屋根など各種のものが存在している。以下、これらの隅棟14を有する屋根2を総称して隅棟付屋根8という。なお、図1Aの方形屋根では、三角形状の屋根パネル11に替えて台形状の屋根パネル11を使用している。
ここで、建物1は、ユニット建物とされている。ユニット建物は、予め工場で製造された(直方体状の)建物ユニット16を建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることにより、短期間のうちに建物1を構築できるようにしたものである。建物ユニット16には、鉄骨系のものと木質系のものとが存在しているが、この実施例では、鉄骨系のものとしている。なお、建物1は、鉄骨系のユニット建物に限るものではなく、木質系のユニット建物やその他の建物1とすることができる。
そして、鉄骨系のユニット建物の場合、例えば、図2に示すように、大型の建物ユニット16aと小型の建物ユニット16bとを3基ずつ使って平面視矩形状の建物躯体または建物本体17(の上階部分)を構成する。更に、この建物本体17(の上階部分)の中央部分に水平な屋根面3を設置するための屋根構造体18を設置する。例えば、屋根構造体18は、門型の架構などを備えたもの(小屋組部材)などとすることができる。そして、屋根構造体18の上部と、建物本体17(の上階部分)の上部との間に、三角形状の屋根パネル11や四角形状の屋根パネル12を(直接)斜めに傾けて設置することによって、上記した隅棟付屋根8を形成するようにしている。
この際、隅棟付屋根8における隅棟14の部分を構成するために、屋根構造体18の上部には、隅棟固定金具としてこの実施例にかかる水上側の屋根パネル組付金具21が取付けられる(図3)。また、建物本体17(の上階部分)の上部には、軒元固定金具として別の屋根パネル組付金具23,24が取付けられる(図4、図5)。そして、上記した屋根パネル組付金具21,23,24を用いて、隅棟14の部分に三角形状の屋根パネル11が取付けられる。四角形状の屋根パネル12についても、ほぼ同様にして取付けられる。
上記のうち、軒元側の別の屋根パネル組付金具23,24は、例えば、図4、図5に示すように、上下方向へ延びるガイド溝部27を有するものとされている。そして、屋根パネル11の軒元側の部分に、ボルトなどの支軸部26を内方へ向けてほぼ水平に突設しておき、このボルトなどの支軸部26を、別の屋根パネル組付金具23,24に設けられた上下方向へ延びるガイド溝部27へ上から落とし込むことなどによって、簡単に屋根パネル11の軒元部分を建物本体17に対して上下方向に係止保持できるようにしている。
そして、以上のような全体的な構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えている。
(1)先ず、水上側の屋根パネル組付金具21の詳細について説明する。
屋根パネル組付金具21は、図6の斜視図(図7の平面図、図8の側面図も併せて参照)に示すように、各屋根面4がそれぞれ複数枚の屋根パネル11,12で構成される場合に、屋根面4の1つを構成する複数枚の屋根パネル11,12を同時に載置保持可能なパネル受部31(複数パネル受部)を備えている。そして、屋根パネル組付金具21は、パネル受部31を、隅棟付屋根8の水上側に設けられた柱部33に対して固定可能な柱固定部34を備えている。更に、パネル受部31が、載置保持した複数枚の屋根パネル11,12の側面をそれぞれ固定可能な複数の側面固定部36,37を備えている。
ここで、屋根パネル組付金具21は、隅棟14の側に隣接配置された三角形状の屋根パネル11と四角形状の屋根パネル12とを二枚同時に載置保持できるものとされる(図7、図8参照)。屋根パネル組付金具21は、図9A〜図9Eの部品図に示すような形状や構造を有するものとなっている。
このうち、パネル受部31は、図10A〜図10Eの部分図に示すように、三角形状の屋根パネル11を載置する第一のパネル載置面41と、四角形状の屋根パネル12を載置する第二のパネル載置面42とを有している。第一のパネル載置面41および第二のパネル載置面42は、屋根パネル11,12の枠部61における水上側のコーナー部分をそれぞれ支持可能な最低限の大きさなどとなるように形成されている。
第一のパネル載置面41は、平面視ほぼ三角形状とされる。また、第二のパネル載置面42は、平面視ほぼ四角形状とされる。そして、第二のパネル載置面42は、第一のパネル載置面41の隅棟14とは反対側の辺部における上側(水上側)の部分に、隅棟14とは反対側へ張り出すように設けられる。この実施例では、パネル受部31は、第一のパネル載置面41と第二のパネル載置面42とを面一となるように一体に備えたほぼ横向きの一枚物の金属板で主に構成されている。
柱部33は、屋根構造体18(図2)のものを使用することができる。例えば、屋根構造体18は、少なくとも、4本の柱部33の上端部間を4本の上梁で矩形状に連結したものなどとすることができる。この場合、柱部33は、柱固定部34を固定し易いようにC字断面の鋼材(型鋼)などとなっている。
柱固定部34は、図11A〜図11Fの部分図に示すように、縦向きに配置した一枚物の金属板を、上下方向へ延びる折線部にて、柱固定部34の外形の一部(隅棟14側のほぼ上半分、図7参照)にほぼ沿うように折曲げられた複数の縦向きの面51〜54(縦面部)を有する開ループ状の縦型部材となっている。なお、構造的には、柱固定部34を、閉ループ状の柱状部材にすることも可能である。
このうち、面51は、側面固定部37の基部の位置に沿って延びるものとなっている。
そして、柱固定部34の水上側に位置する1つの面52が柱部33の側面に当接固定可能な柱固定面55となっている。柱固定面55には、柱部33にボルトなどの締結具で固定するためのネジ孔57が設けられている。
柱固定部34は、上縁部がパネル受部31の傾斜に合わせて傾斜されており、傾斜した上縁部は、パネル受部31の下面に一体に溶接固定される。このように、柱固定部34の傾斜した上縁部を、パネル受部31の下面に線接触状態で溶接固定することで、屋根パネル組付金具21を寸法精度の良く仕上げることが可能となる。
更に、柱固定部34には、第一のパネル載置面41のほぼ中央部を横断する面54が設けられており、この面54が第一のパネル載置面41を下側から補強する補強部59(受面補強部)となっている。この補強部59は、平面視で隅棟14とほぼ直交する方向へ延びている。
なお、柱固定部34は、構造的には、屋根構造体18の上梁や、上梁と柱部33との間や、屋根構造体18のその他の部位などに対して支持固定される固定部(例えば、梁固定部や梁柱間固定部)などに代えることもできる。但し、構造的には、柱固定部34とするのが最も好ましい。
図12に示すように(図13、図14も併せて参照)、屋根パネル11は、少なくとも枠部61を有している。例えば、三角形状の屋根パネル11の枠部61は、両側辺に、隅棟14側に位置する隅垂木63や、四角形状の屋根パネル12側に位置する端垂木64などを有している。屋根パネル11,12の側面は、三角形状の屋根パネル11の場合、隅垂木63や端垂木64の側面となる。
そして、図15に示すように、屋根パネル組付金具21の側面固定部36,37は、第一のパネル載置面41および第二のパネル載置面42に対して、屋根パネル11,12を別々に固定できるようにそれぞれ別個に設けられる。
側面固定部36,37は、パネル受部31の隅棟14とは反対側の辺から面直に立ち上がる立上部71と、立上部71の上端部から隅棟14とは反対側へ向けてパネル受部31とほぼ平行に屈曲されたフランジ部72とを有する屈曲形状にしている。
フランジ部72は、屋根パネル11,12の側面に取付けた補助金具66(L字金具、図16〜図18も併せて参照)の横面部を下側から受けるためのものである。フランジ部72には、補助金具66の横面をボルト・ナットなどの締結具76でほぼ上下方向に固定するためのボルト孔77が設けられる。このように、側面固定部36,37を屈曲形状にして、補助金具66(L字金具)を介して屋根パネル11,12を固定するようにしたことにより、屋根パネル11,12を横方向に位置調整できるようになるので、屋根パネル11,12を精度良く取付けることが可能となる。
この実施例では、屋根パネル組付金具21の側面固定部36,37は、パネル受部31を構成する一枚物の金属板に、側面固定部36,37となる突片を設けて、この突片を上記したように屈曲することによってパネル受部31と一体に設けられている。
そして、屋根パネル組付金具21は、図2または図12に示すように、三角形状の屋根パネル11を取付けた後に、四角形状の屋根パネル12を取付けるようになっている。三角形状の屋根パネル11の取付けについては後述する。
(2)図13(図12)に示すように、パネル受部31は、隅棟14を構成する2つの屋根面4をそれぞれ別個に載置保持できるよう、対にして用いることが可能なものにしても良い。そして、対のパネル受部31は、隅棟14の稜線の位置を境として山状に組み合わされるようにしても良い。
ここで、屋根パネル組付金具21は、図9A〜図9Eに示すもの(屋根パネル組付金具21(R))、および、これと左右反対勝手のもの(屋根パネル組付金具21(L))を組み合わせて使用するのに適したものになっている。なお、対の屋根パネル組付金具21は、必要に応じて、左右を示す(R)(L)を付して区別できるようにしている。
そして、対の屋根パネル組付金具21を組み合わせた時に、対を成すパネル受部31が、隅棟14の稜線の位置を境として山状に組み合わされることになる。そのために、パネル受部31には、隅棟14の稜線の位置に斜辺部83(図15)を有しており、斜辺部83を突き合わせることで、対のパネル受部31が山状に隣接配置されるようになっている。
(3)この際、必要な場合には、図14に示すように、対のパネル受部31は、隅棟14の稜線の位置に上下の高低差85を有して設置可能としても良い。
ここで、対のパネル受部31の高低差85は、例えば、対の柱固定部34の柱部33に対する取付位置をそれぞれ上下に異ならせることによって設定することができる。高低差85の設定は、柱部33に高さ違いの取付孔を設けるだけでできるので、構成的にも簡単であり、精度も確保することができる。
(4)図15に示すように、対のパネル受部31は、柱部33に対してそれぞれ別個に固定可能な対の柱固定部34を有するようにしても良い。そして、対の柱固定部34は、互いに連結固定可能な連結部91を備えるようにしても良い。
ここで、連結部91は、柱固定部34における隅棟14の稜線に沿った面53(または、パネル受部31の斜辺部83に沿った面53)とすることができる。連結部91には、互いに当接した状態でボルト・ナットなどの締結具92によって固定するためのボルト孔93が設けられる。
(5)以下、建物1について説明する。
この実施例の建物1は、図1(図2)に示すように、上記した屋根パネル組付金具21を用いて隅棟付屋根8を構成する傾斜した屋根面4を取付けたものとなっている。
ここで、建物1については、既に上記した通りである。この実施例の隅棟付屋根8は、形状的には、中央に平面視ほぼ矩形状をした水平な屋根面3(陸屋根面)を有すると共に、水平な屋根面3を頂部として、その周囲に傾斜した4つの屋根面4を有している点が特徴となっている。また、構造的には、三角形状の屋根パネル11や四角形状の屋根パネル12を、水上側の屋根パネル組付金具21や、軒元側に位置する別の屋根パネル組付金具23,24などによる少ない取付点で取付けられるようにしている点が特徴となっている。更に、水上側の屋根パネル組付金具21は、三角形状の屋根パネル11と隣接する四角形状の屋根パネル12とを同時に取付けられるようにしている点が特徴となっている。
但し、上記した水上側の屋根パネル組付金具21を用いて構築できる屋根2の形状は、上記に限るものではない。また、三角形状の屋根パネル11や四角形状の屋根パネル12の軒元側は、別の屋根パネル組付金具23,24を用いずに建物本体17などへ直接固定することなども可能である。逆に、屋根パネル組付金具21,23,24に、別の屋根パネル組付金具を追加して屋根パネル11,12を取付けることなども構造的には可能である。
(6)この際、図14に示すように、隅棟付屋根8の隅棟14の両側に位置する2つの屋根面4は、一方が太陽電池パネル95を備えた屋根パネル11,12で構成され、他方が屋根仕上材96を備えた屋根パネル11,12で構成されるようにしても良い。
ここで、太陽電池パネル95を備えた屋根パネル11,12は、例えば、南向きの屋根面4(S)や西向きの屋根面4(W)や東向きの屋根面4(E)などに最適に設置することができる。また、屋根仕上材96を備えた屋根パネル11,12は、例えば、北向きの屋根面4(N)などに設置される。
太陽電池パネル95を備えた屋根パネル11,12は、屋根仕上材96を備えた屋根パネル11,12のものとほぼ同様の基本構造62に対し、屋根仕上材96の代わりに下地鋼板などを取付けて、その上に太陽電池パネル95を搭載したものなどとなっており、太陽電池パネル95を備えた分だけ、屋根仕上材96を備えた屋根パネル11,12よりも厚くなる。なお、太陽電池パネル95は、工場などで予め屋根パネル11,12に組み込むようにしても良い。
そこで、屋根パネル組付金具21に、(3)の欄に記載したような高低差85を設けることで、太陽電池パネル95を備えた屋根パネル11,12を有する屋根面4と屋根仕上材96を備えた屋根パネル11,12を有する屋根面4とを、表面の高さが揃った状態で隣接配置することが可能になる。高低差85は、太陽電池パネル95の厚みや高さの分だけ、太陽電池パネル95側の屋根パネル組付金具21を、屋根仕上材96側の屋根パネル組付金具21よりも低く設定する。
但し、太陽電池パネル95と屋根仕上材96との高さを揃えなくても良い場合には、図13に示すように、上記した高低差85は特に設ける必要はない。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
図2に示すように、複数の建物ユニット16によって建物本体17(の上階部分)を組み立て、建物本体17(の上階部分)の中央部分に屋根構造体18を設置する。
この際、工場で予め、屋根構造体18の上部に、隅棟固定金具として水上側の屋根パネル組付金具21を取付けておくと共に、建物本体17(の上階部分)の上部に、軒元固定金具として軒元側に位置する別の屋根パネル組付金具23,24を取付けておく。
そして、上記した屋根パネル組付金具21,23,24を用いて三角形状の屋根パネル11や四角形状の屋根パネル12を取付けて傾斜した屋根面4を構築する(図1)。この際、三角形状の屋根パネル11を先に取付け、四角形状の屋根パネル12を三角形状の屋根パネル11の後から取付けるようにする。
先ず、三角形状の屋根パネル11の取付けについて説明する。三角形状の屋根パネル11は、図12(図2)に示すように、枠部61に、隅棟14側に位置する隅垂木63と、四角形状の屋根パネル12側に位置する端垂木64とを有している。
そして、図16に示すように、端垂木64の外側面にL字金具などの補助金具66を取付けておく。
図4、図5に示すように、三角形状の屋根パネル11の軒元側に突設した支軸部26を、軒元側の別の屋根パネル組付金具23,24のガイド溝部27へそれぞれ上から落とし込むようにして、三角形状の屋根パネル11の軒元側を軒元側の別の屋根パネル組付金具23,24に係止保持する。
同時に、図16に示すように、三角形状の屋根パネル11の頂部を水上側の屋根パネル組付金具21のパネル受部31(の第一のパネル載置面41)の上に載置する。
そして、図18に示すように、三角形状の屋根パネル11に取付けたL字金具などの補助金具66の横面部とパネル受部31の側面固定部36(のフランジ部72)とをボルト・ナットなどの締結具76でほぼ上下方向に固定する。
こうして、三角形状の屋根パネル11が取付けられたら、ほぼ同様の手順で四角形状の屋根パネル12を取付けることで、傾斜した屋根面4を構築する。また、屋根構造体18の上面に、水平な屋根面3を取付ける。これにより屋根2(隅棟付屋根8)が完成される。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)屋根パネル組付金具21は、屋根2(隅棟付屋根8)の1つの屋根面4を構成する複数枚の屋根パネル11,12を同時に載置保持可能なパネル受部31と、パネル受部31を、隅棟付屋根8の水上側に設けられた柱部33に対して固定可能な柱固定部34と、を備えている。また、パネル受部31は、載置保持した複数枚の屋根パネル11,12の側面をそれぞれ固定可能な複数の側面固定部36,37を有している。
そのため、パネル受部31によって、1つの屋根面4を構成する複数枚の屋根パネル11,12を同時(一緒に)に載置保持することができる。よって、複数の屋根パネル11,12を、パネル受部31に載置するだけで、複数の屋根パネル11,12は表面に面段差などがない状態に並べられるので、複数の屋根パネル11,12の表面が揃った屋根面4を簡単に構築することができる。
また、隅棟付屋根8は、これまで建築現場で隅棟14の部分に隅棟梁などと呼ばれる大型の梁を設けて、この梁に各屋根面4を構成する複数枚の屋根パネル11,12を取付けるなどしていたが、上記した屋根パネル組付金具21を用いることにより、例えば、建築現場で梁を設置したり、梁を取付けるための金具を設置したりすることなく、複数枚の屋根パネル11,12を設置することができるようになり、簡単に各屋根面4を構築することが可能になる。
しかも、上記した屋根パネル組付金具21は、梁と比べて小型軽量であり、機能を集約した合理的な形状となっているため、コストを抑えることができる。また、予め工場で屋根ユニットや屋根フレームなどの屋根構造体18の柱部33に屋根パネル組付金具21を取付けておけば、建築現場で、直ちに屋根パネル11,12の取付けを行うことができ、1人作業でも少ない工数で屋根パネル組付金具21に屋根パネル11,12を簡単に取付けることができる。即ち、屋根パネル組付金具21を、取扱性が良く、施工に手間が掛からず、しかも、安価なものとすることができる。
また、屋根パネル組付金具21が、柱固定部34を備えることにより、パネル受部31を、隅棟付屋根8の水上側に設けられた柱部33に簡単確実に固定することができる。これにより、パネル受部31にかかる屋根パネル11,12の荷重を、柱固定部34を介して柱部33へ直接且つ効率的に伝達することができる。
更に、パネル受部31が複数の側面固定部36,37を備えることによって、パネル受部31に載置保持した複数枚の屋根パネル11,12の側面をそれぞれ個別に位置精度良く固定することができる。
以上により、隅棟付屋根8を構成する傾斜した2つの屋根面4を設置するための新規な屋根パネル組付金具21を得ることができる。
この際、パネル受部31と柱固定部34とをそれぞれ一枚物の金属板で構成して、溶接により一体化し、パネル受部31と一体に曲げ加工による側面固定部36,37を設けるようにすることで、屋根パネル組付金具21の機能をより集約し、形状・構造をより合理化し、部品点数をより削減することができ、最大限の小型軽量化を図ることが可能となる。
更に、柱固定部34に、(パネル受部31の第一のパネル載置面41のほぼ中央部を横断する)縦向きの補強部59を設けて、縦向きの補強部59でパネル受部31を下側から線支持することにより、柱固定部34の形状・構造の合理化や軽量化を図りつつ、パネル受部31の強度確保を図ることができるようになる。
(効果2)パネル受部31は、隅棟14を構成する2つの屋根面4をそれぞれ別個に載置保持できるように、対にして用いることが可能なものとしても良い。そして、対のパネル受部31が、隅棟14の稜線の位置を境として山状に組み合わされるようにしても良い。これにより、各パネル受部31に対してそれぞれ複数枚の屋根パネル11,12を並べて置くだけで、傾斜した2つの屋根面4が山状に合わされた隅棟14を有する隅棟付屋根8を簡単に精度良く構築することができる。
(効果3)対のパネル受部31は、隅棟14の稜線の位置に上下の高低差85を有して設置可能としても良い。これにより、例えば、2つの屋根面4が、それぞれ厚みや高さなどの異なる屋根パネル11,12で構成されていたとしても、対のパネル受部31の高低差85で屋根パネル11,12の上下寸法の違いを吸収することによって、2つの屋根面4を、互いに表面の位置を揃えた状態で設置することが可能になる。
(効果4)対のパネル受部31が、柱部33に対してそれぞれ別個に固定可能な対の柱固定部34を有すると共に、対の柱固定部34は、互いに連結固定可能な連結部91を備えるようにしても良い。これにより、連結部91によって対の柱固定部34を互いに連結固定することで、対の柱固定部34を一体化して、柱固定部34によるパネル受部31の支持剛性を向上することができる。よって、パネル受部31で屋根パネル11,12をより強固に支持することができる。
(効果5)建物1は、上記屋根パネル組付金具21を用いて、隅棟付屋根8を構成する傾斜した屋根面4を設置するようにしても良い。これにより、上記屋根パネル組付金具21と同様の作用効果を有する建物1を得ることができる。
(効果6)上記屋根パネル組付金具21を用いることによって、太陽電池パネル95を備えた屋根面4と、屋根仕上材96を備えた屋根面4とを隅棟14の両側に備えた隅棟付屋根8を構築するようにしても良い。これにより、太陽電池パネル95を備えた屋根面4と、屋根仕上材96を備えた屋根面4とが混在した隅棟付屋根8を容易に構築することができる。
この際、対のパネル受部31に高低差85を付けた状態で、太陽電池パネル95を備えた屋根面4と、屋根仕上材96を備えた屋根面4とを取付けるようにすれば、太陽電池パネル95を備えた屋根面4と、屋根仕上材96を備えた屋根面4とを、表面の位置を揃えた状態で整然と設置することができる。
図19〜図20は、本件の実施例2を示すものである。
この実施例2では、パネル受部31を、第一のパネル載置面41を有する第一のパネル受部31Aと、第二のパネル載置面42を有する第二のパネル受部31Bとに分けて、それぞれ別の部材で構成するようにしている。そして、第一のパネル受部31Aと、第二のパネル受部31Bとを、ボルトなどの締結具や溶接などによって一体に固定し得るようにしている。
また、柱固定部34を、第一のパネル受部31Aを固定するための第一の固定部34Aと、第二のパネル受部31Bを固定するための第二の固定部34Bとに分けて、それぞれ別の部材で構成するようにしている。
そして、第一のパネル受部31Aと第一の固定部34Aとは溶接やボルト固定などによって一体化される。また、第二のパネル受部31Bと第二の固定部34Bとは溶接などによって一体化される。この際、第一の固定部34Aは、第一のパネル載置面41の下面を面支持可能な横向きの取付フランジ341を有するものとされている。横向きの取付フランジ341は、第一の固定部34Aの傾斜に合わせて斜めに屈曲されている。また、第二の固定部34Bは、上方から見てほぼコ字状のものなどとされており、その上縁部が第二のパネル受部31Bの傾斜に合わせて斜めにカットされている。そして、第一の固定部34Aの固定面342を柱部33まで延ばすことにより、第一の固定部34Aと第二の固定部34Bとをそれぞれ別個に柱部33へ直接固定できるようにして、取付剛性を高めるようにしている。なお、第一の固定部34Aは、柱部33に対して第二の固定部34Bの下側に固定される。
その他の構成については、上記実施例1とほぼ同様である。このようにしても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
図21は、本件の実施例3を示すものである。
この実施例では、第一の固定部34Aを実施例2のものよりも大きくして第一のパネル受部31Aに対する支持剛性をより高めるようにしている。
その他の構成については、上記各実施例とほぼ同様である。このようにしても各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
図22、図23は、本件の実施例4を示すものである。
この実施例4では、第一の固定部34Aの第一のパネル受部31Aに対する横向きの取付フランジ341を実施例2や実施例3のものよりも大きくして(最大化して)、第一のパネル載置面41のほぼ全面を取付フランジ341で支持できるようにして、第一のパネル受部31Aに対する支持剛性を更に高めるようにしている。
その他の構成については、上記各実施例とほぼ同様である。このようにしても各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
1 建物
4 屋根面
8 隅棟付屋根
11 屋根パネル
12 屋根パネル
14 隅棟
21 屋根パネル組付金具
31 パネル受部
33 柱部
34 柱固定部
36 側面固定部
37 側面固定部
85 高低差
91 連結部
95 太陽電池パネル
96 屋根仕上材

Claims (4)

  1. 傾斜した2つの屋根面が、斜めに降りる稜線を有して山状に合わされる隅棟を備えた隅棟付屋根の水上側で、前記屋根面の取付けに用いる屋根パネル組付金具であって、
    前記各屋根面がそれぞれ複数枚の屋根パネルで構成されると共に、前記屋根面の1つを構成する複数枚の前記屋根パネル載置保持可能なパネル受部と、該パネル受部を、前記隅棟付屋根の水上側に設けられた柱部の側面に対して固定可能な柱固定部と、を備え、前記パネル受部が、載置保持した複数枚の前記屋根パネルそれぞれ固定可能な複数の定部を有し
    前記パネル受部は、前記隅棟を構成する前記2つの屋根面をそれぞれ載置保持できるよう、対にして用いられ、対の前記パネル受部は、前記隅棟の前記稜線の位置を境として山状に組み合わされ、
    前記柱固定部の前記柱部に対する取付位置をそれぞれ上下に異ならせることによって、対の前記パネル受部は、前記隅棟の前記稜線の位置に上下の高低差を有して設置可能であることを特徴とする屋根パネル組付金具。
  2. 請求項に記載の屋根パネル組付金具において、
    対の前記パネル受部は、前記柱部に対してそれぞれ別個に固定可能な対の前記柱固定部を有すると共に、対の該柱固定部は、互いに連結固定可能な連結部を備えていることを特徴とする屋根パネル組付金具。
  3. 請求項1または請求項に記載の屋根パネル組付金具を用いて隅棟付屋根を構成する傾斜した屋根面が取付けられていることを特徴とする建物。
  4. 請求項に記載の建物において、
    前記隅棟付屋根の隅棟の両側に位置する前記2つの屋根面は、一方が太陽電池パネルを備えた屋根パネルで構成され、他方が屋根仕上材を備えた屋根パネルで構成されていることを特徴とする建物。
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