以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(実施形態1)
図1を用いて、通信システムの概要を説明する。本実施形態の通信システムは、印刷装置100とモバイル端末101とで構成される。
印刷装置100は無線LAN機能を備える。印刷装置100が備える無線LAN機能には、インフラストラクチャーモードと、アクセスポイントモードの2種類の無線通信モードが存在する。インフラストラクチャーモードは、印刷装置100がアクセスポイント(不図示)のような中継装置に無線接続して、PC(Personal Computer)等のネットワーク上のデバイスと通信するための無線通信モードである。
一方、アクセスポイントモードは、印刷装置100においてソフトウェア・アクセスポイントを起動させることで、印刷装置100自身がアクセスポイントとして振る舞う無線通信モードである。スマートフォン等のモバイル端末101は、アクセスポイントモードで動作する印刷装置100との間で無線接続を確立し、写真等の電子ファイルを印刷するための印刷データを印刷装置100に送信する。アクセスポイントモードによって、アクセスポイントのような中継装置を介することなく、印刷装置100とモバイル端末101との間で直接無線通信を実行することができる。なおアクセスポイントモードは、印刷装置100とモバイル端末101が直接無線接続を確立するためのダイレクト無線通信モードの一例である。アクセスポイントモードの代わりに、Wi−Fi Direct(登録商標)のような他の無線通信方式を本実施形態に適用してもよい。
後ほど詳しく説明するが、印刷装置100はユーザ認証機能を備えていて、ユーザ認証機能によってユーザが印刷装置100にログインする。印刷装置100にログインしたユーザは、アクセスポイントモードを利用することができる。そしてユーザが印刷装置100からログアウトすると、印刷装置100は、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止する。
次に図2を用いて、印刷装置100のハードウェア構成を説明する。CPU201はROM202が記憶している制御プログラムを読み出して、印刷装置100の動作を制御するための様々な処理を実行する。ROM202は、制御プログラムを記憶している。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD204は、様々なデータを記憶する不揮発性の記憶媒体である。
なお、印刷装置100の場合、1つのCPU201が後述するフローチャートに示す処理を実行するものとするが、他の態様であっても構わない。例えば、複数のCPUが協働して後述するフローチャートに示す処理を実行するようにすることもできる。また、後述するフローチャートの処理の一部をASIC等のハードウェア回路を用いて実行するようにしてもよい。
無線LAN I/F205は、モバイル端末101やアクセスポイント等の外部装置との間で無線LAN通信を実行する。無線LAN I/F205が実行する無線LAN通信は、IEEE802.11a/b/g/n/ac等の無線通信である。無線LAN I/F205は、インフラストラクチャーモードとアクセスポイントモードとで動作可能である。無線LAN I/F205は、予めユーザに設定されているデバイス設定に従って、インフラストラクチャーモードとアクセスポイントモードのいずれか一方を選択して動作する。
ネットワークI/F210は、LANケーブルを介して有線LANに接続する。ネットワークI/F210は、有線LAN上の外部装置(例えばPC)と通信可能である。
プリンタ206は、無線LAN I/F205やネットワークI/F210が受信した印刷データに基づいて、シートに印刷処理を実行する。スキャナ207は、ユーザに載置された原稿を読み取り、原稿画像を生成する。スキャナ207によって生成された原稿画像は、プリンタ206によって印刷されたり(所謂コピー処理)、HDD204に蓄積されたりする。
操作部208は、タッチパネル機能を有する液晶表示部やキーボードを備え、各種操作画面を表示する。ユーザは、操作部208を介して印刷装置100に対して指示や情報を入力することができる。
ICカードリーダ209は、ICカードからユーザ情報を読み取る。本実施形態の場合、ユーザIDとパスワードが、ユーザ情報としてICカードに記憶されている。そしてICカードリーダ209がICカードから読み取ったユーザ情報に基づいて、印刷装置100がユーザ認証を実行する。
なお、印刷装置100は、アクセスポイントモードで動作可能な通信装置の一例として挙げている。本発明を適用可能な通信装置は印刷装置100に限らない。アクセスポイントモードで動作可能であれば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン、携帯ゲーム機等の様々な通信装置に本発明を適用できる。
次に、印刷装置100が提供する操作画面と、アクセスポイントモードをユーザが利用する際の操作手順について説明する。
図3(A)のログイン画面300は、印刷装置100の操作部208が表示する画面である。印刷装置100の起動が完了すると、操作部208は、ログイン画面300を初期表示する。ユーザは、ICカードリーダ209にユーザ自身のICカードをかざす。
図4のユーザ管理テーブル400は、印刷装置100にログインすることが許可されているユーザのユーザ情報(ユーザ名、ユーザID、パスワード)を管理するための情報であり、印刷装置100のHDD204に記憶されている。ユーザ管理テーブル400に登録されているユーザが、印刷装置100にログイン可能である。ユーザが自身のICカードをICカードリーダ209にかざすと、ICカードリーダ209は、ICカードからユーザ情報(ユーザIDとパスワード)を読み取る。そしてCPU201は、ICカードリーダ209がICカードから読み取ったユーザ情報が、ユーザ管理テーブル400に登録されているか否かを判定する。ICカードから読み取ったユーザ情報がユーザ管理テーブル400に登録されていれば、認証OKとなり、操作部208は図3(B)のメニュー画面310を表示する。認証OKと判定されたユーザは印刷装置100にログインした状態になり、印刷装置を使用することができる。一方、ICカードから読み取ったユーザ情報がユーザ管理テーブル400に登録されていなければ、認証NGとなり、操作部208は認証NGをユーザに通知し、メニュー画面310は表示されない。
本実施形態の場合、ICカードリーダ209を用いずに、入力欄301と入力欄302にそれぞれユーザIDとパスワードをユーザが入力してもよい。入力欄301と入力欄302にユーザIDとパスワードを入力して、そしてユーザがログインボタン303を押すと、印刷装置100はユーザ認証を実行する。
また、ユーザ管理テーブル400を印刷装置100が備えるのではなく、外部の認証サーバが備えていてもよい。認証サーバがユーザ管理テーブル400を備える場合、印刷装置100は、ユーザ情報を認証サーバに送信する。そして認証処理の結果(認証OK又は認証NG)を印刷装置100が認証サーバから受け取ることで、印刷装置100はユーザ認証を実行する。
図3(B)のメニュー画面310には、印刷装置100が提供する機能をユーザが利用するためのボタンが表示される。ログアウトボタン315は、印刷装置100からユーザがログインするためのボタンである。ユーザがログアウトボタン315を押下すると、ログイン中のユーザが印刷装置100からログアウトする。なお、以降で説明する各画面にもログアウト画面が表示されていて、ユーザは、操作部208がどの画面を表示している場合にもログアウト指示を入力することができる。
ボタン311は、ユーザがコピー機能を利用するためのボタンである。ユーザがボタン311を押下すると、操作部208は不図示のコピー画面を表示する。
ボタン312は、ユーザがSEND機能(スキャナ207が生成した原稿画像を外部装置に送信する機能)を利用するためのボタンである。ユーザがボタン312を押下すると、操作部208は、不図示のSEND画面を表示する。
ボタン314は、印刷装置100のデバイス設定をユーザが行うためのボタンである。ユーザがボタン314を押下すると、操作部208は、ユーザ操作に従って様々な設定画面を表示する。図3(C)の設定画面320は、印刷装置100がユーザに提供する操作画面の1つであり、操作部208が表示する。設定画面320で設定可能な項目について詳しく説明する。設定画面320は、システム管理者のような特別な権限を有するユーザがアクセスできる画面である。
項目321は、アクセスポイントモードで使用するSSID(Service SetIdentifier)として、固定SSIDとワンタイムSSIDのどちらを使用するか設定する。固定SSIDは、アクセスポイントモードで動作する度に同じSSIDを使用することを示す設定である。システム管理者は、入力欄322に所望のSSIDを入力する。印刷装置100は、アクセスポイントモードで動作する際に、入力欄322に入力されたSSIDを固定SSIDとして使用する。一方、ワンタイムSSIDは、ランダムなSSIDを生成して、そしてランダムなSSIDを使用することを示す設定である。
登録ボタン323は、設定画面320による設定を印刷装置100に反映するためのボタンである。システム管理者が登録ボタン323を押下すると、設定画面320による設定結果がHDD204に記憶され、設定画面320による設定が印刷装置100に反映される。
メニュー画面310の説明に戻る。ボタン313は、ユーザがアクセスポイントモードを利用するためのボタンである。ユーザがアクセスポイントモードを利用する場合、ユーザはまずボタン313を押下する。ユーザがボタン313を押下すると、操作部208は図5(A)の無線接続画面500を表示する。
無線接続画面500には、開始ボタン501が表示される。この開始ボタン501は、アクセスポイントモードの動作を開始するようにユーザが印刷装置100に指示するためのボタンである。操作部208が無線接続画面500を表示している場合、印刷装置100はアクセスポイントモードの動作を開始していない。従って、モバイル端末101が周囲のアクセスポイントを探索したとしても印刷装置100を見つけることができず、モバイル端末101と印刷装置100との間で無線接続を確立することはできない。モバイル端末101と印刷装置100との間で無線接続を確立するためには、ユーザは、印刷装置100にアクセスポイントモードの動作を開始させる必要がある。ユーザが開始ボタン501を押下すると、印刷装置100はアクセスポイントモードの動作を開始する。そして操作部208は、図5(B)の無線接続画面510を表示する。
印刷装置100がアクセスポイントモードの動作を開始すると、印刷装置100はSSIDと接続キー(例えばWEPキー)を生成する。無線接続画面510の領域511には、印刷装置100が生成したSSIDと接続キーが表示される。設定画面320において固定SSIDを使用すると設定されている場合、固定SSIDが生成されて領域511に表示される。一方、設定画面320においてワンタイムSSIDを使用すると設定されている場合、ランダムなSSIDが生成されて領域511に表示される。
領域511に表示されている内容を確認したユーザは、自身のモバイル端末101を用いて周囲のアクセスポイントを探索し、探索結果一覧から領域511に表示されているSSIDのアクセスポイントを選択する。そして、領域511に表示されている接続キーをユーザがモバイル端末101に入力することで、印刷装置100とモバイル端末101との間でアクセスポイントモードに基づく無線接続が確立される。アクセスポイントモード用いてモバイル端末101を印刷装置100に無線接続した後、ユーザは、モバイル端末101上で印刷したい写真を選択する。そしてユーザが印刷指示をモバイル端末101に入力すると、モバイル端末101は、アクセスポイントモードによる無線通信を用いて、ユーザが選択した写真を印刷するための印刷データを印刷装置100に送信する。印刷データを受信した印刷装置100は、受信した印刷データに基づいてシートに印刷処理を実行する。
印刷装置100がアクセスポイントモードの動作を開始すると、印刷装置100は、モバイル端末101のような外部装置から無線接続の確立要求を受けるための待ち受け状態となる。印刷装置100がアクセスポイントモードの動作を開始すると、モバイル端末101が周囲のアクセスポイントを探索した際に印刷装置100を見つけることができる。外部装置から無線接続の確立要求を受けると、印刷装置100は、当該外部装置との間でアクセスポイントモードによる無線接続を確立する。そして無線接続を確立した後に、印刷装置100と外部装置との間で実際のデータ通信(例えばモバイル端末101から印刷装置100への印刷データの送信)が実行される。
また、無線接続画面510には、停止ボタン512が表示されている。停止ボタン512は、アクセスポイントモードの動作を停止させる停止指示をユーザから受け付ける。印刷装置100のアクセスポイントモードの動作を停止させたい場合、ユーザは停止ボタン512を押下する。ユーザが停止ボタン512を押下すると、印刷装置100はアクセスポイントモードの動作を停止する。また、印刷装置100からユーザがログアウトした場合にも、印刷装置100はアクセスポイントモードの動作を停止する。
次に、ユーザが印刷装置100にログインする際に印刷装置100が実行する処理を、図6のフローチャートを用いて説明する。図6のフローチャートに示す各ステップは、CPU201がROM202等のメモリに格納された制御プログラムをRAM203に展開して実行することによって処理される。なお、図6のフローチャートの少なくとも一部のステップをCPU201に実行させて、残りのステップをCPU201とは異なる他のCPU(不図示)が実行するように印刷装置100を構成してもよい。
まずステップS601において、CPU201は、ユーザ認証を実行するか否かを判定する。ICカードリーダ209がICからユーザ情報を読み取った場合、又は、ユーザが入力欄301と入力欄302にユーザIDとパスワードを入力してログインボタン303を押した場合に、ユーザ認証を実行するとCPU201が判定する。そして処理はステップS602に進む。
次にステップS602において、CPU201は、ユーザ情報が示すユーザがログインすることが許可されているユーザであるか否かを判定する。この判定は、ユーザ情報がユーザ管理テーブル400に登録されているか否かを確認することによって行われる。ユーザ情報がユーザ管理テーブル400に登録されていれば(認証OKと判定)、処理はステップS603に進む。そしてステップS603において、CPU201は、ログイン処理を実行する。CPU201は、認証OKと判定されたユーザを印刷装置100にログインさせ、そしてメニュー画面310を表示するように操作部208を制御する。
一方、ユーザ情報がユーザ管理テーブル400に登録されていなければ(認証NGと判定)、ユーザ情報が示すユーザがログインすることが許可されていないユーザであるとステップS602において判定される。CPU201は、ログイン処理を実行しないで、認証NGをユーザに通知して処理を終了する。
次に、ユーザがアクセスポイントモードを利用し、そしてユーザのログアウトに連動して印刷装置100がアクセスポイントモードの動作を自動的に停止する際に印刷装置100が実行する処理を、図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートに示す各ステップは、CPU201がROM202等のメモリに格納された制御プログラムをRAM203に展開して実行することによって処理される。なお、図7のフローチャートの少なくとも一部のステップをCPU201に実行させて、残りのステップをCPU201とは異なる他のCPU(不図示)が実行するように印刷装置100を構成してもよい。
まずステップS701において、CPU201は、開始ボタン501がユーザに押下されたか否かを判定する。開始ボタン501がユーザに押下されたことをCPU201が検知すると、処理はステップS702に進む。そしてステップS702において、CPU201は、アクセスポイントモードの動作を開始するように無線LAN I/F205を制御する。無線LAN I/F205は、設定画面320による設定の結果に従って、固定SSID又はワンタイムSSIDを生成して、アクセスポイントモードの動作を開始する。
次にステップS703において、CPU201は、変数Nの値として0をセットする。変数Nは、印刷装置100との間でアクセスポイントモードによる無線接続を確立したデバイスの数を管理するための変数である。本実施形態の場合、印刷装置100は、アクセスポイントモードによる無線接続を同時に最大5台のデバイスとの間で確立できるとする。5台という値は同時接続数の最大値の一例であり、他の値であってもよい。また、本実施形態では、固定SSIDとワンタイムSSIDのどちらを使用していても同時接続数の最大値は変わらないものとして説明するが、固定SSIDを使用する場合とワンタイムSSIDを使用する場合とで同時接続数の最大値を異なる値にしてもよい。
次にステップ704において、CPU201は、無線接続の確立要求を外部装置から受けたか否かを判定する。無線接続の確立要求を無線LAN I/F205が外部装置から受けると、処理はステップS705に進む。一方、無線接続の確立要求を無線LAN I/F205が外部装置から受けていない場合、処理はステップS709に進む。
次にステップS705について説明する。ステップS705において、CPU201は、変数Nの値が同時接続数の最大値より少ないか否かを判定する。変数Nの値、つまり、現在アクセスポイントモードによる無線接続を確立しているデバイスの数が同時接続数の最大値より少ない場合、処理はステップS706に進む。ステップS706において、CPU201は、無線接続の確立を要求したデバイスとの間で無線接続を確立するように無線LAN I/F205を制御する。無線LAN I/F205は、無線接続の確立を要求したデバイスとの間で、アクセスポイントモードによる無線接続を確立する。そしてステップS707において、CPU201は、変数Nの値を1増やす。一方、変数Nの値、つまり、現在アクセスポイントモードによる無線接続を確立しているデバイスの数が同時接続数の最大値と等しい場合、処理はステップS708に進む。そしてステップS708において、CPU201は、無線接続の確立要求を拒否する。無線接続の確立を要求したデバイスにしてみれば、印刷装置100との間でアクセスポイントモードによる無線接続を確立することに失敗する。
次にステップS709について説明する。ステップS709において、CPU201は、印刷装置100にログイン中のユーザが印刷装置100からログアウトしたか否かを判定する。本実施形態の場合、ユーザがログアウトボタンを押下したり、ユーザの操作がないまま所定時間(例えば5分)経過した場合に、ユーザのログアウトが発生する。ログイン中のユーザが印刷装置100からログアウトすると、処理はステップS710に進む。一方、ログイン中のユーザが印刷装置100からログアウトしていないとステップS709において判定されると、処理はステップS711に進む。
次にステップS710について説明する。ステップS710において、CPU201は、変数Nの値が1以下であるか否かを判定する。変数Nの値、つまり、現在アクセスポイントモードによる無線接続を確立しているデバイスの数が1以下である場合、処理はステップS712に進む。そしてステップS712において、CPU201は、アクセスポイントモードの動作を停止するように無線LAN I/F205を制御する。無線LAN I/F205は、CPU201の制御に従ってアクセスポイントモードの動作を停止する。一方、変数Nの値、つまり、現在アクセスポイントモードによる無線接続を確立しているデバイスの数が2以上である場合、無線LAN I/F205がアクセスポイントモードの動作を停止することなく、フローチャートに示す処理を終了する。印刷装置100は、アクセスポイントモードによって確立している無線接続の数に基づいて、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止するか否かを決定することを特徴とする。
変数Nの値、つまり、現在アクセスポイントモードによる無線接続を確立しているデバイスの数が0である場合、ステップS710においてYesと判定され、無線LAN I/F205はアクセスポイントモードの動作を停止する。変数Nの値が0であるということは、アクセスポイントモードを利用しているユーザが存在しないと判断できる。そこで無線LAN I/F205は、変数Nの値が0である場合、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止する。
また、変数Nの値、つまり、現在アクセスポイントモードによる無線接続を確立しているデバイスの数が1である場合、ステップS710においてYesと判定され、無線LAN I/F205はアクセスポイントモードの動作を停止する。変数Nの値が1であるということは、ログインユーザのみがアクセスポイントモードを利用していて、他のユーザはアクセスポイントモードを利用していない可能性が高いと判断できる。そこで無線LAN I/F205は、変数Nの値が1である場合、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止する。
また、また、変数Nの値、つまり、現在アクセスポイントモードによる無線接続を確立しているデバイスの数が2以上(複数)である場合、ステップS710においてNoと判定され、無線LAN I/F205はアクセスポイントモードの動作を停止しない。変数Nの値が複数である場合、ログインユーザに加えて他のユーザもアクセスポイントモードを利用している可能性が高いと判断できる。この状態でユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止してしまうと、他のユーザがアクセスポイントモードを利用できなくなってしまう。そこで無線LAN I/F205は、変数Nの値が複数である場合、ユーザがログアウトしてもアクセスポイントモードの動作を停止しない。
次にステップS711について説明する。ステップS711において、CPU201は、停止ボタン512がユーザに押下されたか否かを判定する。停止ボタン512がユーザに押下されたことをCPU201が検知すると、処理はステップS712に進む。そしてステップS712において、CPU201は、アクセスポイントモードの動作を停止するように無線LAN I/F205を制御し、無線LAN I/F205は、アクセスポイントモードの動作を停止する。一方、停止ボタン512がユーザに押下されていないとステップS711において判定されると、処理はステップ704に戻る。
以上の説明の通り、本実施形態によれば、印刷装置100からユーザがログアウトしたことに連動して、印刷装置100は、アクセスポイントモードの動作を停止することができる。印刷装置100の場合、無線LAN I/F205は、インフラストラクチャーモードとアクセスポイントモードのいずれかで動作し、インフラストラクチャーモードとアクセスポイントモードを同時に動作させることはできない。従って、無線LAN I/F205がアクセスポイントモードで動作している間は、無線LAN I/F205はインフラストラクチャーモードで動作できず、外部のアクセスポイント経由でPCから印刷データを受信することができないことになってしまう。そこで本実施形態では、無線LANI/F205は、ユーザがログアウトしたことに連動してアクセスポイントモードの動作を自動的に停止する。ユーザがログアウトしたことに連動してアクセスポイントモードの動作を自動的に停止することで、無線LAN I/F205の動作モードをアクセスポイントモードからインフラストラクチャーモードに切り替えることができる。
(実施形態2)
実施形態2を説明する。本実施形態では、アクセスポイントモードで使用するSSIDの種類に基づいて、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止するか否かを切り替える処理を説明する。印刷装置100の構成は、実施形態1と同様である。
印刷装置100は、設定画面320によって、アクセスポイントモードで使用するSSIDとして固定SSIDとワンタイムSSIDのいずれかを設定する。本実施形態では、固定SSIDを使用する場合の同時接続数の最大値は複数(例えば5台)であり、ワンタイムSSIDを使用する場合の同時接続数の最大値は1である。そしてワンタイムSSIDを使用する設定の場合に、ユーザがログアウトしたことに連動して、無線LAN I/F205がアクセスポイントモードの動作を停止することを特徴とする。一方、固定SSIDを使用する設定の場合に、ユーザがログアウトしても、無線LAN I/F205はアクセスポイントモードの動作を停止しない。
この処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。図8のフローチャートに示す各ステップは、CPU201がROM202等のメモリに格納された制御プログラムをRAM203に展開して実行することによって処理される。なお、図8のフローチャートの少なくとも一部のステップをCPU201に実行させて、残りのステップをCPU201とは異なる他のCPU(不図示)が実行するように印刷装置100を構成してもよい。
ステップS801において、CPU201は、印刷装置100にログイン中のユーザが印刷装置100からログアウトしたか否かを判定する。本実施形態の場合、ユーザがログアウトボタンを押下したり、ユーザの操作がないまま所定時間(例えば5分)経過した場合に、ユーザのログアウトが発生する。ログイン中のユーザが印刷装置100からログアウトすると、処理はステップS802に進む。一方、ログイン中のユーザが印刷装置100からログアウトしていないとステップS801において判定されると、処理はステップS803に進む。
ステップS802について説明する。ステップS802において、CPU201は、印刷装置100に設定されているアクセスポイントモードに関する設定が、ワンタイムSSIDを使用する設定であるか否かを判定する。この判定は、設定画面320による設定の結果を確認することで実行される。アクセスポイントモードに関する設定がワンタイムSSIDを使用する設定である場合、処理はステップS804に進む。そしてステップS804において、CPU201は、アクセスポイントモードの動作を停止するように無線LAN I/F205を制御する。無線LAN I/F205は、CPU201の制御に従ってアクセスポイントモードの動作を停止する。一方、アクセスポイントモードに関する設定が固定SSIDを使用する設定である場合、無線LAN I/F205がアクセスポイントモードの動作を停止することなく、フローチャートに示す処理を終了する。
アクセスポイントモードに関する設定がワンタイムSSIDを使用する設定である場合、ステップS802においてYesと判定され、無線LAN I/F205はアクセスポイントモードの動作を停止する。アクセスポイントモードに関する設定がワンタイムSSIDを使用する設定である場合、アクセスポイントモードによる無線接続の同時接続数の最大値は1である。同時接続数の最大値が1であるということは、アクセスポイントモードをログインユーザのみに利用させることを想定していて、ユーザがログアウトした段階でアクセスポイントモードの利用が終了したと判断できる。そこで無線LAN I/F205は、ワンタイムSSIDを使用する設定である場合、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止する。
また、アクセスポイントモードに関する設定が固定SSIDを使用する設定である場合、ステップS802においてNoと判定され、無線LAN I/F205はアクセスポイントモードの動作を停止しない。アクセスポイントモードに関する設定が固定SSIDを使用する設定である場合、アクセスポイントモードによる無線接続の同時接続数の最大値は複数(例えば5台)である。同時接続数の最大値が複数であるということは、複数のユーザが各ユーザの所望のタイミングでアクセスポイントモードを利用することを想定しているため、アクセスポイントモードの動作は停止させない方が好ましい。そこで無線LAN I/F205は、固定SSIDを使用する設定である場合、ユーザが印刷装置100からログインしてもアクセスポイントモードの動作を停止しないで、アクセスポイントモードの動作を継続する。
以上の説明の通り、印刷装置100は、アクセスポイントモードで使用するSSIDの設定に基づいて、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止するか否かを決定することを特徴とする。アクセスポイントモードで使用するSSIDがワンタイムSSIDであれば、印刷装置100は、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を停止する。一方、アクセスポイントモードで使用するSSIDが固定SSIDであれば、印刷装置100は、ユーザがログアウトしてもアクセスポイントモードの動作を停止しない。
また、本実施形態では、同時接続数の最大値が1であるSSIDの例としてワンタイムSSIDを挙げたが、同時接続数の最大値が1となる他のタイプのSSIDであれば、ワンタイムSSIDの代わりに本願発明を適用してもよい。他のタイプのSSIDとして、例えばユーザに対応するSSIDを生成してアクセスポイントモードで使用する設定が考えられる。ユーザに対応するSSIDを使用する場合、印刷装置100は、ログインユーザに応じて使用するSSIDを切り替える。例えば、ユーザAがログイン中であれば、印刷装置100は、ユーザA専用のユーザSSIDを使用し、ユーザBがログイン中であれば、印刷装置100は、ユーザB専用のユーザSSIDを使用する。このようなユーザに対応するSSIDをアクセスポイントモードで使用する場合も、同時接続数の最大値を1とすることが望ましく、また、ユーザのログアウトに連動してアクセスポイントモードの動作を自動的に停止することが望ましい。
(その他実施形態)
本発明は、上述の各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。