本発明は、記載のように、イソプレノイド産生を向上させるために遺伝子的に改変されたデイノコッカス細菌に関する。
特に、本願は、IPP及びDMAPPへの炭素流を増加させるように、デイノコッカス細菌のMEP経路を改変可能であることを示す。実際に、本発明者らは複数の律速酵素を同定し、これらの酵素が遺伝子学的に改変されるか又は過剰発現されることができることを示した。本発明者らは、組換え細菌におけるイソプレノイド産生が顕著に増大されたことを観察した。
さらに、本発明者等は、目的の化合物の産生及び/又は蓄積を促進するように、デイノコッカス細菌におけるイソプレノイド産生を制御可能であることを本明細書において示した。これに関して、発明者等は、FPPシンターゼを同定して過剰発現させ、この過剰発現が、モノテルペンを損なって、ジテルペン、トリテルペン、セスキテルペン、及びカロテノイドなどの10を超えるC原子を有するイソプレノイドの産生を促進することを示した。また発明者等は、内在性リコペンβ−シクラーゼの不活性化がリコペンの過剰産生を誘導することも示した。
そしてまた本願は、デイノコッカス細菌、特に上述のような組換えデイノコッカス細菌が、異種テルペンシンターゼの発現を介して異種イソプレノイド化合物を産生するために効果的に用いられ得ることを提示する。
<定義>
本発明の文脈において、「デイノコッカス(Deinococcus)」という用語は、例えば進化促進、突然変異誘発や、DNAシャフリング技術によって取得された株、又は真核生物性、原核生物性、及び/若しくは合成性核酸の挿入により取得された組換え株である、デイノコッカスの野生型株又は自然変異株を含む。デイノコッカス細菌は、デイノコッカス属の任意の細菌を指し得り、D.ジオサーマリス(D.geothermalis)、D.セルロリシティカス(D.cellulolysiticus)、D.ラディオデュランス(D.radiodurans)、D.プロテオライティカス(D.proteolyticus)、D.ラディオピュグナンス(D.radiopugnans)、D.ラディオフィルス(D.radiophilus)、D.グランディス(D.grandis)、D.インディカス(D.indicus)、D.フリゲンス(D.frigens)、D.サキシコーラ(D.saxicola)、D.マリコペンシス(D.maricopensis)、D.マルモリス(D.marmoris)、D.デゼルティ(D.deserti)、D.ムライ(D.murrayi)、D.アエリウス(D.aerius)、D.aerolatus、D.アエロフィルス(D.aerophilus)、D.アエセリウス(D.aetherius)、D.alpinitundrae、D.アルティトゥディニス(D.altitudinis)、D.アンタルクティカス(D.antarticus)、D.アパチェンシス(D.apachensis)、D.アクアティカス(D.aquaticus)、D.アクアティリス(D.aquatilis)、D.aquiradiocola、D.アクイビブス(D.aquivivus)、D.カエニ(D.caeni)、D.シトリ(D.citri)、D.claudionis、D.テジョネンシス(D.daejeonensis)、D.デポリメランス(D.depolymerans)、D.enclensis、D.フィカス(D.ficus)、D.ゴビエンシス(D.gobiensis)、D.guangriensis、D.guilhemensis、D.ホホカメンシス(D.hohokamensis)、D.ホピエンシス(D.hopiensis)、D.ヒュミ(D.humi)、D.ミサセンシス(D.misasensis)、D.ナヴァホネンシス(D. navajonensis)、D.パパゴネンシス(D.papagonensis)、D.peraridilitoris、D.フォエニシス(D.phoenicis)、D.ピメンシス(D.pimensis)、D.ピシス(D.piscis)、D.プニセウス(D.puniceus)、D.radiomollis、D.ラディオレジステンス(D.radioresistens)、D.ラディオトレランス(D.radiotolerans)、D.reticulitermitis、D.ロゼウス(D.roseus)、D.sahariens、D.ソリ(D.soli)、D.ソノレンシス(D.sonorensis)、D.swuensis、D.wulumuqiensis、D.xibeiensis、D.シンジャンゲンシス(D.xinjiangensis)、D.ヤバパイエンシス(D.yavapaiensis)、若しくはD.yunweiensis細菌、又はそれらの任意の組合せ、などが限定されることなく挙げられる。好ましくは、「デイノコッカス」という用語は、D.ジオサーマリス、D.ラディオピュグナンス、D.yunweiensis、及びD.ムライに関する。一部の実施形態において、「デイノコッカス」という用語は、D.グランディス、D.ラディオデュランス、D.ラディオピュグナンス、D.yunweiensis、及びD.アクアティカスから好ましくは選ばれる中温性デイノコッカス細菌に関する。一部の他の実施形態において、「デイノコッカス」という用語は、D.ジオサーマリス、D.ムライ、及びD.マリコペンシスから好ましくは選ばれる好高温性デイノコッカス細菌に関する。好適な実施形態において、「デイノコッカス」という用語は、D.ジオサーマリス、D.ムライ、D.マリコペンシス、D.グランディス、D.ラディオデュランス、D.ラディオピュグナンス、D.yunweiensis、及びD.アクアティカスに関する。さらに好ましくは、「デイノコッカス」という用語は、D.ジオサーマリスに関する。
「組換え細菌」又は「遺伝子的に改変された細菌」という用語は、遺伝要素の削除、挿入、又は改変の結果としての改変ゲノムを含む、自然にはない細菌を指す。故に、「組換え核酸」とは、改変され、それ自体野生型細菌には見受けられない核酸を指す。
「遺伝子」という用語はタンパク質をコードする任意の核酸を指す。遺伝子という用語には、cDNA又はgDNAなどのDNAやRNAが含まれる。遺伝子は、例えば組換え、酵素、及び/又は化学技術によりまず調製され得、次に宿主細胞又はインビトロ系において複製され得る。遺伝子は、通常、所望のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを包含する。また遺伝子は、転写ターミネータ又はシグナルペプチドなどのさらなる配列を含み得る。
「発現カセット」という用語は、コード領域、つまり遺伝子と、調節領域、つまり操作可能に連結された1つ以上の制御配列を含むものと包含する核酸構築物を指す。好ましくは、制御配列はデイノコッカス宿主細胞に適する。
本明細書に用いられるように、「発現ベクター」という用語は、発現カセットを包含するDNA又はRNA分子を意味する。好ましくは、発現ベクターは直線状又は環状の二本鎖DNA分子である。
「操作可能に連結された」という用語は、制御配列がコード配列による発現を制御するように、制御配列がコード配列に対して適切な位置に配置された構成を意味する。
「制御配列」という用語は遺伝子の発現に必要な核酸配列を指す。制御配列は内在性、同種、又は異種であり得る。当業者が現在使用している既知の制御配列が好ましい。そのような制御配列は、リーダ、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネータを含むがこれらに限定されない。好ましくは、制御配列はプロモータと転写ターミネータとを含む。
本明細書に用いられるように、「内在性」という用語は、非改変デイノコッカス細菌又は同一の種のデイノコッカス細菌の遺伝要素又はタンパク質に関する。「同種」という用語は、組換えデイノコッカス細菌以外の他の種のデイノコッカス細菌の遺伝要素又はタンパク質に関する。「異種」という用語は、他の細菌、微生物、植物、ウイルスなど非デイノコッカス由来である遺伝要素又はタンパク質に関する。「内在性」、「同種」又は「異種」という用語は野生型又は突然変異の遺伝要素又はタンパク質に関し得る。一部の実施形態において、これらの用語は、例えばコードされるタンパク質の1以上の特性を向上するように(例として活性や安定性などの向上)本発明の組換え細菌において導入又は発現される前に、例えば突然変異誘発によって改変された遺伝要素に関する。
本明細書に用いられるような「過剰発現」、「発現の増大」、及び「発現を増大させる」という用語は互換的に用いられ、例えば野生型細菌、又はMEP/DXP経路を増強するために遺伝子的に改変されていないとされる細菌などの非改変細菌と比較して遺伝子又は酵素の発現が増大されることを意味する。酵素発現は、通常、該酵素をコードする遺伝子の発現を増大させることによって増大される。遺伝子又は酵素が本発明の細菌に自然に存在しない実施形態、つまり同種又は異種の遺伝子又は酵素において、「過剰発現」及び「発現」という用語は互換的に用いられ得る。
本明細書に用いられるような「MEP経路」、「MEP/DXP経路」、「非メバロン酸経路」、又は「2−C−メチル−D−エリトリトール 4−リン酸/1−デオキシ−D−キシルロース 5−リン酸経路」という用語は、1−デオキシ−D−キシルロース 5−リン酸(DXP)へのピルビン酸とD−グリセルアルデヒド−3−リン酸との縮合からIPP及びDMAPPの形成をもたらす生合成経路を指す。この経路は、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸シンターゼ(EC2.2.1.7)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(EC1.1.1.267)、2−C−メチル−D−エリトリトール4−リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(EC2.7.7.60)、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールキナーゼ(EC2.7.1.148)、2−C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(EC4.6.1.12)、4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エン−1−イル二リン酸シンターゼ(EC1.17.7.1)、4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エニル二リン酸レダクターゼ(EC1.17.1.2)、及びイソペンテニル−二リン酸δ−イソメラーゼ(EC5.3.3.2)である酵素に関わる。
「イソプレノイド」、「イソプレノイド化合物」、「テルペン」、「テルペン化合物」、「テルペノイド」及び「テルペノイド化合物」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、IPPから生じ得る任意の化合物を指す。イソプレノイドに存在するC原子の数は、通常、5で割り切れる(例えばC5、C10、C15、C20、C25、C30、及びC40)。不規則なイソプレノイドやポリテルペンが報告されており、これらも「イソプレノイド」の定義に含まれる。イソプレノイド化合物は、モノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、セスキテルペン、及びカロテノイドを含むがこれらに限定されない。
テルペンシンターゼという用語は、1つ以上の前駆体から、特にゲラニル二リン酸(GPP)、ファルネシル二リン酸(FPP)、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)、及びそれらの2つ以上の任意の組合せから、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン又はカロテノイドなどのイソプレノイド化合物を合成可能な、酵素、複合体、及び/又は酵素群を含む。そうしたテルペンシンターゼの例は、モノテルペンシンターゼ、ジテルペンシンターゼ、及びセスキテルペンシンターゼを含むがこれらに限定されない。
「ピロリン酸」という用語は、本明細書において「二リン酸」と互換的に用いられる。
「DXS」、「DXPシンターゼ」又は「DXPS」という用語は、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸(DXP)へのピルビン酸とD−グリセルアルデヒド−3−リン酸との縮合を触媒するdxs遺伝子によってコードされる、酵素である1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸シンターゼ(EC2.2.1.7)に関する。「DXPシンターゼ」、「DXS」、又は「DXPS」という遺伝子産生物の名称は本願では互換的に用いられる。DXPシンターゼ活性は、Lois等(1998年)が記載する放射能標識された基質を用いて、或いは当業者に既知の他の任意の方法を用いて測定可能である。
「DXPレダクトイソメラーゼ」又は「IspC」又は「DXR」という用語は、2−C−メチル−D−エリトリトール4−リン酸(MEP)へのDXPの同時的な還元と異性化とを触媒するdxr又はispC遺伝子によってコードされる、酵素である1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(EC1.1.1.267)に関する。dxr又はispCという遺伝子の名称は本願では互換的に用いられる。DXPレダクトイソメラーゼ又はIspCという遺伝子産生物の名称は本願では互換的に用いられる。
「MCT」又は「IspD」又は「CMS」という用語は、CTP(シチジン三リン酸)と2−C−メチル−D−エリトリトール4−リン酸(MEP)とから4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトール(4−(シチジン5’−ジホスホ)−2−C−メチル−D−エリトリトール(CDP−ME)とも呼称される)の生成を触媒するispD遺伝子によってコードされる、酵素である2−C−メチル−D−エリトリトール4−リン酸シチジリルトランスフェラーゼ(EC2.7.7.60)に関する。MCT、CMS、又はIspDである遺伝子産生物の名称は本願では互換的に用いられる。
「CMK」又は「IspE」という用語は、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトール2−リン酸(4−(シチジン5’−ジホスホ)−2−C−メチル−D−エリトリトール2−リン酸(CDP−MEP)とも呼称される)への4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトール(CDP−ME)のATP依存性リン酸化を触媒するIspE遺伝子によってコードされる、酵素である4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールキナーゼ(4−(シチジン5’−ジホスホ)−2−C−メチル−D−エリトリトールキナーゼとも呼称される)(EC2.7.1.148)に関する。CMK又はIspEという遺伝子産生物の名称は本願では互換的に用いられる。
「IspF」、「MECDPシンターゼ」、「MECPPシンターゼ」、又は「MECPS」又は「MCS」という用語は、シチジン5−モノリン酸(CMP)の対応する放出を伴う、2−C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロ二リン酸(ME−CPP又はcMEPP)への4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトール2−リン酸(CDP−MEP)の変換を触媒するIspF遺伝子によってコードされる、酵素である2−C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(EC4.6.1.12)に関する。IspF、MECDPシンターゼ、MECPPシンターゼ、MCS、又はMECPSという遺伝子産生物の名称は本願では互換的に用いられる。
「IspG」又は「HDS」という用語は、1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル4−二リン酸(HMBPP)への2−C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロ二リン酸(cMEPP)の変換に関わるIspG遺伝子によってコードされる、酵素である4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エン−1−イル二リン酸シンターゼ(EC1.17.7.1)に関する。
「IspH」又は「IDS」という用語は、1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(E)−ブテニル4−二リン酸(HMBPP)をイソペンテニル二リン酸(IPP)とジメチルアリル二リン酸(DMAPP)とに変換するIspH遺伝子によってコードされる、酵素である4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エニル二リン酸レダクターゼ(ヒドロキシメチルブテニルピロリン酸レダクターゼとも呼称される)(EC1.17.1.2)に関する。
「IDI」、「IPPイソメラーゼ」又は「イソペンテニルピロリン酸イソメラーゼ」という用語は、ホモアリル性基質イソペンテニル(IPP)のそのアリル異性体であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)への1,3−アリル転位を触媒するfni又はidi遺伝子によってコードされる、酵素であるイソペンテニル−二リン酸δ−イソメラーゼ(EC5.3.3.2)に関する。fni又はidiという遺伝子の名称は本願では互換的に用いられる。
「メバロン酸経路」又は「MEV経路」という用語は、アセチル−CoAをIPPに変換する生合性経路に関して本明細書では用いられる。メバロン酸経路は、(a)アセチル−CoA C−アセチルトランスフェラーゼ(EC2.3.1.9)の作用によって、2分子のアセチル−CoAをアセトアセチル−CoAに縮合するステップ、(b)ヒドロキシメチルグルタリル−CoAシンターゼ(EC2.3.3.10)の作用によって、アセトアセチル−CoAをアセチル−CoAと縮合してヒドロキシメチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)を生成するステップと、(c)ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ(NADPH)(EC1.1.1.34)の作用により、HMG−CoAをメバロネートに変換するステップと、(d)メバロネートキナーゼ(EC2.7.1.36)の作用により、メバロネートをメバロネート5−リン酸にリン酸化するステップと、(e)ホスホメバロネートキナーゼ(EC2.7.4.2)の作用により、メバロネート5−リン酸をメバロネート5−ピロリン酸に変換するステップと、(f)ジホスホメバロネートデカルボキシラーゼ(EC4.1.1.33)の作用により、メバロネート5−ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換するステップとを触媒する酵素を含む。
「IspA」、「FDPS」、「FPPS」又は「FPPシンターゼ」という用語は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)がアリルピロリン酸であるジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)と縮合し、そして得られたゲラニルピロリン酸(GPP)と縮合して最終産生物であるファルネシルピロリン酸(FPP)を得るという連続的な縮合を触媒するIspA遺伝子によってコードされる、酵素であるファルネシル二リン酸シンターゼ(EC2.5.1.10、EC2.5.1.1)に関する。任意的に、好ましい実施形態において、この酵素は、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ活性(2.5.1.29)も示し得る。IspA、FDPS、FPPS、又はFPPシンターゼという遺伝子産生物の名称は本願では互換的に用いられる。
「イソプレンシンターゼ」という用語は、ジメチルアリル二リン酸(EC4.2.3.27)からのイソプレンの生成を触媒する酵素に関する。
生物に関して、上述の酵素とコードする遺伝子の学名は異なり得る。しかし、明確にするために、本明細書において、これらの用語は酵素又は遺伝子の由来から独立して用いられる。
本明細書に用いられるような、酵素の「活性」という用語はその作用に関し、本発明の文脈において、酵素により触媒される反応を指す。酵素活性は当業者によって既知の任意の方法によって測定され得る。
本明細書に用いられるような、酵素の「活性増大」又は「活性増強」又は「活性向上」という用語は、特定の触媒活性の増大、基質に対する特異性の増大、タンパク質又はRNAの安定性の増大、及び/又は酵素の細胞内濃度の増大に関する。好ましくは、活性増大とは、酵素をコードする遺伝子の過剰発現によって得られた該酵素の細胞内濃度の増大である。
本明細書に用いられるような「アポカロテノイド」という用語は、カロテノイド切断ジオキシゲナーゼ(CCD)によって触媒された酸化的切断によるところの、カロテノイド由来の有機化合物に関する。アポカロテノイドの一部は、食用植物の色や、味、香りの必須且つ重要な構成物質である。アポカロテノイドの例として、β−イオノン、α−イオノン、ゲラニルアセトン、プソイドヨノン、及びβ−ダマセノンを非限定的に含む。
本明細書に用いられるような「配列同一性」又は「同一性」という用語は、2つのポリぺプチド配列のアライメントからの位置の整合数(%)(同一のアミノ酸残基)に関する。配列同一性は、配列のギャップを最小化しながら重複と同一性とを最大化するようにアライメントされるときに配列を比較することで決定される。特に、配列同一性は、2つの配列の長さに応じて、多くの数学的グローバル又はローカルアライメントアルゴリズムの任意のものを用いて決定され得る。同様の長さの配列は、長さ全体にわたり最適に配列をアライメントするグローバルアライメントアルゴリズム(例として、ニードルマン・ウンシュアルゴリズム、ニードルマンとウンシュ、1970年)を用いて好ましくはアライメントされ、一方で、実質的に異なる長さの配列は、ローカルアライメントアルゴリズム(例として、スミス・ウォーターマンアルゴリズム(スミスとウォーターマン、1981年)又はアルトシュル(Altschul)アルゴリズム(アルトシュル他、1997年、アルトシュル他、2005年))を用いて好ましくはアライメントされる。アミノ酸配列同一性率を決定するためのアライメントは、当該技術の範囲内である種々の方法でおこなわれ得り、例えば、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/などのインターネット上のウェブサイトにおいて公衆に利用可能なコンピュータソフトウエアが用いられる。当業者は、比較される配列全長にわたって最大のアライメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。本明細書の目的のため、アミノ酸配列同一性率値は、ニードルマン・ウンシュアルゴリズムを用いて2つの配列の最適なグローバルアライメントを創成する、ペアワイズシーケンスアライメントプログラムであるEMBOSS Needleを用いて生成された値に関し、全ての検索パラメータはデフォルト値、即ち、スコアリングマトリクス=BLOSUM62、ギャップオープン=10、ギャップエクステンド=0.5、エンドギャップペナルティ=偽、エンドギャップオープン=10、及びエンドギャップエクステンド=0.5に設定される。
<MEP経路の遺伝子学的改変>
本発明者らは、MEP経路に関連する酵素の中で律速酵素を特定し、その過剰発現がイソプレノイド産生を大きく増大させることを示した。
従って、第1の態様において、本発明は、2−C−メチル−D−エリトリトール 4−リン酸/1−デオキシ−D−キシルロース 5−リン酸(MEP/DXP)経路の増強を示す組換えデイノコッカス細菌、即ち、非改変デイノコッカス細菌と比較してIPP及びDMAPPへの炭素流が増加するように遺伝子的に改変されたデイノコッカス細菌に関する。
本発明の組換えデイノコッカス細菌において、DXS、DXR、IspD、IspE、IspF、IspG、IspH、及びIPPイソメラーゼからなる群から選択された少なくとも1つの酵素の活性が、非改変デイノコッカス細菌と比較して増大される。好ましくは、これらの活性のうち少なくとも2、3、4、5、6又は7つが増大される。さらに好ましくはこれらすべての活性が増大される。
これらの酵素の活性は、そのコード遺伝子の過剰発現により増大され得る。従って、一実施形態において、dxs、dxr、ispD、ispE、ispF、ispG、ispH、及びidi遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子が過剰発現される。好ましくは、これらの遺伝子のうち少なくとも2、3、4、5、6、又は7が過剰発現される。さらに好ましくは、これらすべての遺伝子が過剰発現される。
遺伝子発現を増大するために、当業者は、細菌における遺伝子コピー数の増加、遺伝子の高レベル発現を誘導するプロモータ、つまり強力なプロモータの使用、対応するメッセンジャーRNAを安定化するか又はリボソーム結合部位(RBS)配列やその周囲配列を改変する要素の使用など、任意の既知の技術を使用可能である。
一実施形態において、過剰発現は、細菌の遺伝子コピー数を増加させることとで得られる。遺伝子置換を含む、当業者に既知の組換え法によって、遺伝子の1以上のコピーがゲノムに導入され得る。好ましくは、遺伝子を含む発現カセットがゲノムに組込まれる。
代替的に、遺伝子は、目的の遺伝子を有する発現カセットを含む発現ベクター、好ましくはプラスミドに保持され得る。発現ベクターは、複製起点の性質に応じて、細菌内に1〜5、20、100、又は500コピー存在するとよい。
他の実施形態において、遺伝子の過剰発現は、遺伝子の高レベル発現を誘導するプロモータの使用により得られる。例として、内在性遺伝子のプロモータは強力なプロモータ、つまり高レベル発現を誘導するプロモータにより置換され得る。本発明での使用に適するプロモータは当業者に既知であり、構成的又は誘導的、及び内在性、同種、又は異種であり得る。
本発明において有用な発現カセットは、遺伝子の発現をもたらす転写プロモータ及び転写ターミネータを通常含む1つ以上の制御配列に操作可能に連結された、dxs、dxr、ispD、ispE、ispF、ispG、ispH、及びidi遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子を含む。好ましくは、各発現カセットは、1つ以上の制御配列に操作可能に連結された1つの遺伝子のみを含む。このとき、複数の遺伝子が過剰発現される場合、複数の発現カセットが用いられ、そのそれぞれが1つの遺伝子のみを含む。代替的に、本発明において有用な発現カセットは、(i)dxs、dxr、ispD、ispE、ispF、ispG、ispH、及びidi遺伝子から選択される少なくとも2つの遺伝子、又は(ii)dxs、dxr、ispD、ispE、ispF、ispG、ispH、及びidi遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子と例えばテルペンシンターゼ若しくはFPPシンターゼをコードする遺伝子などの少なくとも1つの他の遺伝子、を含有するオペロンを含み得る。
制御配列は宿主細胞により認識されるプロモータを含み得る。プロモータは、酵素発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモータはデイノコッカス細菌において転写活性を示す任意のポリヌクレオチドであり得る。プロモータは、内在性、同種又は異種プロモータであり得る。好ましいプロモータは内在性又は同種のものである。これに関して、種々のプロモータが研究されており、デイノコッカス細菌における遺伝子発現に使用されている。適切なプロモータの例として、翻訳伸張因子Tu遺伝子のtufA(DR0309)及びtufB(DR2050)からのPtufA及びPtufBプロモータ、pI3に位置するresU遺伝子のプロモータ、並びにgroESLオペロンのPgroESLプロモーター領域(Lecointe他、2004年;Meima他、2001年)、又はそのようなプロモーターの誘導体を含む。好ましくはプロモータは強力な構成的プロモータである。
制御配列は、デイノコッカス細菌により認識されて転写を終結する転写ターミネータであってもよい。ターミネータは、遺伝子の3’末端に操作可能に連結される。例としてLecointe他(2004年)が記載するターミネータであるターム116(term116)など、デイノコッカス細菌において機能する任意のターミネータが本発明において用いられ得る。
任意的に、発現カセットは、組換え細菌の選択を容易にする選択可能マーカを含んでもよい。通常、選択可能マーカは、抗生物質耐性をコードするか又は独立栄養性を付与する遺伝子である。
所定の実施形態において、本発明の組換えデイノコッカス細菌は、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたdxs遺伝子を含む発現カセット、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたdxr遺伝子を含む発現カセット、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたispD遺伝子を含む発現カセット、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたispE遺伝子を含む発現カセット、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたispF遺伝子を含む発現カセット、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたispG遺伝子を含む発現カセット、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたispH遺伝子を含む発現カセット、及び/又は、強力な構成的プロモータと操作可能に連結されたidi遺伝子を含む発現カセットを含有する。
これらの発現カセットは、細菌のゲノムに組込まれるか、及び/又はエピソーム形態で発現ベクターに保持され得る。好ましくは、発現カセットは細菌のゲノムに組込まれる。本発明の細菌は、(i)dxs(a)、dxr(b)、ispD(c)、ispE(d)、ispF(e)、ispG(f)、ispH(g)、若しくはidi(h)遺伝子、(ii)a,b;a,c;a,d;a,e;a,f;a,g;a,h;b,c;b,d;b,e;b,f;b,g;b,h;c,d;c,e;c,f;c,g;c,h;d,e;d,f;d,g;d,h;e,f;e,g;e,h;f,g;f,h;及びg,h;の2つの遺伝子の組合せのうちの1つ、(iii)a,b,c;a,b,d;a,b,e;a,b,f;a,b,g;a,b,h;a,c,d;a,c,e;a,c,f;a,c,g;a,c,h;a,d,e;a,d,f;a,d,g;a,d,h;a,e,f;a,e,g;a,e,h;a,f,g;a,f,h;a,g,h;b,c,d;b,c,e;b,c,f;b,c,g;b,c,h;b,d,e;b,d,f;b,d,g;b,d,h;b,e,f;b,e,g;b,e,h;b,f,g;b,f,h;b,g,h;c,d,e;c,d,f;c,d,g;c,d,h;c,e,f;c,e,g;c,e,h;c,f,g;c,f,h;c,g,h;d,e,f;d,e,g;d,e,h;d,f,g;d,f,h;d,g,h;e,f,g;e,f,h;e,g,h;及びf,g,h;の3つの遺伝子の組合せのうちの1つ、(iv)a,b,c,d;a,b,c,e;a,b,c,f;a,b,c,g;a,b,c,h;a,b,d,e;a,b,d,f;a,b,d,g;a,b,d,h;a,b,e,f;a,b,e,g;a,b,e,h;a,b,f,g;a,b,f,h;a,b,g,h;a,c,d,e;a,c,d,f;a,c,d,g;a,c,d,h;a,c,e,f;a,c,e,g;a,c,e,h;a,c,f,g;a,c,f,h;a,c,g,h;a,d,e,f;a,d,e,g;a,d,e,h;a,d,f,g;a,d,f,h;a,d,g,h;a,e,f,g;a,e,f,h;a,e,g,h;a,f,g,h;b,c,d,e;b,c,d,f;b,c,d,g;b,c,d,h;b,c,e,f;b,c,e,g;b,c,e,h;b,c,f,g;b,c,f,h;b,c,g,h;b,d,e,f;b,d,e,g;b,d,e,h;b,d,f,g;b,d,f,h;b,d,g,h;b,e,f,g;b,e,f,h;b,e,g,h;b,f,g,h;c,d,e,f;c,d,e,g;c,d,e,h;c,d,f,g;c,d,f,h;c,d,g,h;c,e,f,g;c,e,f,h;c,e,g,h;c,f,g,h;d,e,f,g;d,e,f,h;d,e,g,h;d,f,g,h;及びe,f,g,h;の4つの遺伝子の組合せのうちの1つ、(v)a,b,c,d,e;a,b,c,d,f;a,b,c,d,g;a,b,c,d,h;a,b,c,e,f;a,b,c,e,g;a,b,c,e,h;a,b,c,f,g;a,b,c,f,h;a,b,c,g,h;a,b,d,e,f;a,b,d,e,g;a,b,d,e,h;a,b,d,f,g;a,b,d,f,h;a,b,d,g,h;a,b,e,f,g;a,b,e,f,h;a,b,e,g,h;a,b,f,g,h;a,c,d,e,f;a,c,d,e,g;a,c,d,e,h;a,c,d,f,g;a,c,d,f,h;a,c,d,g,h;a,c,e,f,g;a,c,e,f,h;a,c,e,g,h;a,c,f,g,h;a,d,e,f,g;a,d,e,f,h;a,d,e,g,h;a,d,f,g,h;a,e,f,g,h;b,c,d,e,f;b,c,d,e,g;b,c,d,e,h;b,c,d,f,g;b,c,d,f,h;b,c,d,g,h;b,c,e,f,g;b,c,e,f,h;b,c,e,g,h;b,c,f,g,h;b,d,e,f,g;b,d,e,f,h;b,d,e,g,h;b,d,f,g,h;b,e,f,g,h;c,d,e,f,g;c,d,e,f,h;c,d,e,g,h;c,d,f,g,h;c,e,f,g,h;及びd,e,f,g,h;の5つの遺伝子の組合せのうちの1つ、(vi)a,b,c,d,e,f;a,b,c,d,e,g;a,b,c,d,e,h;a,b,c,d,f,g;a,b,c,d,f,h;a,b,c,d,g,h;a,b,c,e,f,g;a,b,c,e,f,h;a,b,c,e,g,h;a,b,c,f,g,h;a,b,d,e,f,g;a,b,d,e,f,h;a,b,d,e,g,h;a,b,d,f,g,h;a,b,e,f,g,h;a,c,d,e,f,g;a,c,d,e,f,h;a,c,d,e,g,h;a,c,d,f,g,h;a,c,e,f,g,h;a,d,e,f,g,h;b,c,d,e,f,g;b,c,d,e,f,h;b,c,d,e,g,h;b,c,d,f,g,h;b,c,e,f,g,h;b,d,e,f,g,h;及びc,d,e,f,g,hの6つの遺伝子の組合せのうちの1つ、(vii)a,b,c,d,e,f,g;a,b,c,d,e,f,h;a,b,c,d,e,g,h;a,b,c,d,f,g,h;a,b,c,e,f,g,h;a,b,d,e,f,g,h;a,c,d,e,f,g,h;及びb,c,d,e,f,g,hの7つの遺伝子の組合せのうちの1つ、又は(viii)8つの遺伝子の組合せ、を過剰発現するとよい。
一実施形態において、細菌は、少なくともispG遺伝子と、任意的にdxs、dxr、ispD、ispE、ispF、ispH、及びidi遺伝子のうちの1以上とを過剰発現する。
過剰発現される遺伝子は、内在性、同種、又は異種の遺伝子であり得る。
dxs遺伝子は、1−デオキシキシルロース5−リン酸シンターゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。
好ましい実施形態において、dxs遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、dxs遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号1;UniProt受託番号:
1486093443316_0
)、D.yunweiensis(配列番号3)、D.アパチェンシス(NCBI受託番号:WP_01958600.1)、D.フォエニシス(GenBank:EYB66726.1;NCBI受託番号:WP_034360373.1;UniProt受託番号:A0A016QL59)、D.デゼルティ(NCBI受託番号:WP_012692944.1;GenBank:ACO45821.1;UniProt受託番号:C1D1U7)、D.アクアティリス(NCBI受託番号:WP_026298749.1若しくはWP_019009670.1)、D.wulumuqiensis(WP_017869298.1)、D.ラディオデュランス(UniProt受託番号:Q9RUB5;NCBI受託番号:WP_010888114.1)、D.ゴビエンシス(NCBI受託番号:WP_014684923.1;GenBank:AFD25440.1;UniProt受託番号:H8GUB6)、D.sp.2009(WP_022801808.1)、D.マリコペンシス(NCBI受託番号:WP_013557350.1;UniProt受託番号:E8U9V6)、D.peraridilitoris(NCBI受託番号:WP_015234295.1;UniProt受託番号:K9ZXR0)、D.プロテオライティカス(NCBI受託番号:WP_013614954.1;UniProt受託番号:F0RNL9)、D.ラディオピュグナンス(配列番号52に示されるタンパク質をコードする配列;配列番号59)、D.ムライ(NCBI受託番号:WP_027461316.1)、D.swuensis(UniProt受託番号:A0A0A7KK27 ;NCBI受託番号:WP_039686512.1)、D.solis(NCBI受託番号:WP_046842902.1)、及びD.フィカス(NCBI受託番号:WP_027461725.1)のdxs遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、dxs遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.アパチェンシス、D.フォエニシス、D.デゼルティ、D.アクアティリス、D.wulumuqiensis、D.ラディオデュランス、D.ゴビエンシス、D.sp.2009、D.マリコペンシス、D.peraridilitoris、D.プロテオライティカス、及びD.ラディオピュグナンスのdxs遺伝子からなる群より選択される。さらに好ましくは、dxs遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、又はD.ラディオピュグナンスからのものであり、さらにより好ましくはD.yunweiensis又はD.ラディオピュグナンスからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号2、4、又は52のポリペプチド、より好ましくは配列番号2又は4のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
dxr遺伝子は、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。好ましい実施形態において、dxr遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、dxr遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号34;UniProt受託番号:Q1IZJ1)、D.yunweiensis(配列番号36)、D.アパチェンシス(NCBI受託番号:WP_019584825.1)、D.ゴビエンシス(NCBI受託番号:WP_014685255.1;UniProt受託番号:H8GWW6)、D.フォエニシス(UniProt受託番号:A0A016QKH6;GenBank:EYB66645.1)、D.ラディオデュランス(NCBI受託番号:WP_10888147.1;UniProt受託番号:Q9RU84)、D.wulumuqiensis(NCBI受託番号:WP_017869266.1)、D.デゼルティ(NCBI受託番号:WP_012693383.1;UniProt受託番号:C1CVP3)、D.sp.2009(WP_022802132.1)、D.アクアティリス(WP_019009458.1)、D.マリコペンシス(NCBI受託番号:WP_013557781.1;UniProt受託番号:E8UB38)、D.プロテオライティカス(NCBI受託番号:WP_013614140.1;UniProt受託番号:F0RJQ5)、D.peraridilitoris(NCBI受託番号:WP_015237162.1;UniProt受託番号:L0A5Z1)、D.swuensis(UniProt受託番号:A0A0A7KF77;GenBank:AIZ44760.1)、D.solis(WP_046842669.1)、D.マルモリス(WP_029481040.1)、D.フィカス(WP_027462584.1)、D.ラディオピュグナンス(配列番号61)、及びD.ムライ(WP_027460916.1)のdxr遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、dxr遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.アパチェンシス、D.ゴビエンシス、D.フォエニシス、D.ラディオデュランス、D.wulumuqiensis、D.デゼルティ、D.sp.2009、D.アクアティリス、D.マリコペンシス、D.プロテオライティカス、及びD.peraridilitorisのdxr遺伝子からなる群より選択される。より好ましくは、dxr遺伝子はD.yunweiensisからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号35又は37のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
ispD遺伝子は、2−C−メチル−D−エリトリトール4−リン酸シチジリルトランスフェラーゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。好ましい実施形態において、ispD遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、ispD遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号17;UniProt受託番号:Q1J200)、D.yunweiensis(配列番号19)、D.アパチェンシス(NCBI受託番号:WP_019587161.1)、D.フォエニシス(EYB69514.1;UniProt受託番号:A0A016QUR2)、D.デゼルティ(WP_012691946.1;UniProt受託番号:C1CXL7)、D.wulumuqiensis(WP_017871568.1)、D.ラディオデュランス(WP_010889228.1;UniProt受託番号:Q9RR90)、D.sp.2009(WP_022800717.1)、D.peraridilitoris(WP_015236716.1;UniProt受託番号:L0A4P7)、D.アクアティリス(WP_019010949.1又はWP_026298972.1)、D.マリコペンシス(WP_013556207.1;UniProt受託番号:E8U6L3)、D.プロテオライティカス(WP_013615367.1又はWP_041222801.1;GenBank:ADY26759.1;UniProt受託番号:F0RKP7)、D.ゴビエンシス(WP_014686200.1;GenBank:AFD26720.1;UniProt受託番号:H8GV45)、D.マルモリス(WP_029480451.1)、D.ソリ(AKH17101.1)、D.swuensis(UniProt受託番号:A0A0A7KL82)、D.misasensis(WP_034344339.1)、D.ラディオピュグナンス(配列番号:63)、及びD.ムライ(GenBank:ACO44823.1;WP_027460458.1)のispD遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、ispD遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.アパチェンシス、D.フォエニシス、D.デゼルティ、D.wulumuqiensis、D.ラディオデュランス、D.sp.2009、D.peraridilitoris、D.アクアティリス、D.マリコペンシス、D.プロテオライティカス、及びD.ゴビエンシスのispD遺伝子からなる群より選択される。より好ましくは、ispD遺伝子はD.yunweiensisからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号18又は20のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
ispE遺伝子は、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールキナーゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。好ましい実施形態において、ispE遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、ispE遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号38;UniProt受託番号:Q1J201;NCBI受託番号:WP_011529330.1)、D.yunweiensis(配列番号40)、D.フォエニシス(NCBI受託番号:EYB69513.1;UniProt受託番号:A0A016QTX2)、D.アパチェンシス(WP_019587162.1)、D.アクアティリス(WP_019009083.1)、D.マリコペンシス(WP_013556206.1;UniProt受託番号:E8U6L2;GenBank:ADV66701.1)、D.デゼルティ(WP_012691947.1;UniProt受託番号:C1CXL8)、D.sp.2009(WP_022800716.1)、D.プロテオライティカス(WP_013615364.1;UniProt受託番号:F0RKH7)、D.wulumuqiensis(WP_017871569.1)、D.peraridilitoris(WP_015236715.1又はWP_022800716.1;UniProt受託番号:L0A3E0)、D.ゴビエンシス(WP_014686199.1;UniProt受託番号:H8GV44)、D.ラディオデュランス(WP_10889229.1;UniProt受託番号:Q9RR89)、D.swuensis(A0A0A7KGN1;GenBank:AIZ45322.1)、D.ソリ(AKH17102.1)、D.ラディオピュグナンス(配列番号65)、及びD.マルモリス(WP_029480453.1)のispE遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、ispE遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.フォエニシス、D.アパチェンシス、D.アクアティリス、D.マリコペンシス、D.デゼルティ、D.sp.2009、D.プロテオライティカス、D.wulumuqiensis、D.peraridilitoris、D.ゴビエンシス、及びD.ラディオデュランスのispE遺伝子からなる群より選択される。より好ましくは、ispE遺伝子はD.yunweiensisからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号39又は41のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
ispF遺伝子は、2−C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。好ましい実施形態において、ispF遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、ispF遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号21;UniProt受託番号:Q1J2A8;WP_011529223.1)、D.yunweiensis(配列番号23)、D.フォエニシス(NCBI受託番号:EYB69383.1,WP_034353365.1;UniProt受託番号:A0A016QTI4)、D.アパチェンシス(WP_019587119.1)、D.sp.2009(WP_022800431.1)、D.wulumuqiensis(WP_017871252.1)、D.マリコペンシス(WP_013558001.1;UniProt受託番号:E8UBQ8)、D.デゼルティ(WP_012692194.1;UniProt受託番号:C1CZ33)、D.アクアティリス(WP_019009115.1)、D.ラディオデュランス(WP_010886876.1;UniProt受託番号:Q9RXS6)、D.プロテオライティカス(WP_013615320.1;UniProt受託番号:F0RKD3)、D.ゴビエンシス(WP_014686259.1;UniProt受託番号:H8GVA4)、D.peraridilitoris(WP_015234905.1)、D.swuensis(A0A0A7KKV6)、D.ラディオピュグナンス(配列番号67)、及びD.ムライ(WP_027461473.1)のispF遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、ispF遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.フォエニシス、D.アパチェンシス、D.sp.2009、D.wulumuqiensis、D.マリコペンシス、D.デゼルティ、D.アクアティリス、D.ラディオデュランス、D.プロテオライティカス、D.ゴビエンシス、及びD. peraridilitorisのispF遺伝子からなる群より選択される。より好ましくは、ispF遺伝子はD.yunweiensisからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号22又は24のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
ispG遺伝子は、4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エン−1−イル二リン酸シンターゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。好ましい実施形態において、ispG遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、ispG遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号25)、D.yunweiensis(配列番号27)、D.アパチェンシス(NCBI受託番号:WP_019584739.1又はWP_040382265.1)、D.フォエニシス(EYB67750.1)、D.アクアティリス(WP_019008200.1)、D.sp.2009(WP_022801633.1)、D.ゴビエンシス(D.gobiensis)(WP_014684632.1)、D.ラディオデュランス(WP_010887031.1)、D.wulumuqiensis(WP_017871942.1)、D.デゼルティ(WP_012693251.1)、D.プロテオライティカス(WP_013615171.1)、D.マリコペンシス(WP_013556907.1;EYB67750.1)、D.peraridilitoris(WP_015237094.1)、D.ラディオピュグナンス(配列番号69)、及びD.ムライ(WP_027460867.1)のispG遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、ispG遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.アパチェンシス、D.フォエニシス、D.アクアティリス、D.sp.2009、D.ゴビエンシス、D.ラディオデュランス、D.wulumuqiensis、D.デゼルティ、D.プロテオライティカス、D.マリコペンシス、及びD.peraridilitorisのispG遺伝子からなる群より選択される。より好ましくは、ispG遺伝子はD.yunweiensisからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号26又は28のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
ispH遺伝子は、4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エニル 二リン酸レダクターゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。好ましい実施形態において、ispH遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、ispH遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号42)、D.yunweiensis(配列番号44)、D.フォエニシス(NCBI受託番号:EYB6823.1;WP_034356434.1)、D.アパチェンシス(WP_019585890.1)、D.sp.2009(WP_022801928.1)、D.ゴビエンシス(WP_014685178.1)、D.アクアティリス(WP_019007893.1)、D.ラディオデュランス(WP_10888795.1)、D.デゼルティ(WP_012693059.1;GeneBank:ACO45936.1)、D.peraridilitoris(WP_015236935.1)、D.プロテオライティカス(WP_013614360.1)、D.マリコペンシス(WP_013557691.1)、D.ラディオピュグナンス(配列番号71)、及びD.wulumuqiensis(WP_017869851.1)のispH遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、ispH遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.アパチェンシス、D.フォエニシス、D.アクアティリス、D.sp.2009、D.ゴビエンシス、D.ラディオデュランス、D.wulumuqiensis、D.デゼルティ、D.プロテオライティカス、D.マリコペンシス、及びD.peraridilitorisのispH遺伝子からなる群より選択される。より好ましくは、ispH遺伝子はD.yunweiensisからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号43又は45のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
idi遺伝子は、イソペンテニル−二リン酸δ−イソメラーゼをコードする任意の遺伝子、好ましくは細菌遺伝子であり得る。好ましい実施形態において、idi遺伝子はデイノコッカス細菌からのものである。特に、idi遺伝子は、D.ジオサーマリス(配列番号29)、D.yunweiensis(配列番号31)、D.アパチェンシス(NCBI受託番号:WP_019585561.1)、D.フォエニシス(EYB67918.1)、D.アクアティリス(WP_019010639.1又はWP_040380849.1)、D.sp.2009(WP_022802239.1)、D.デゼルティ(WP_012692934.1)、D.ラディオデュランス(Q9RVE2.3)、D.マリコペンシス(WP_013556085.1)、D.wulumuqiensis(WP_017870894.1)、D.ゴビエンシス(WP_014685602.1又はWP_043802116.1)、D.ラディオピュグナンス(配列番号73)、及びD.peraridilitoris(WP_015236653.1)のidi遺伝子からなる群より選択されるとよい。好ましくは、idi遺伝子は、D.ジオサーマリス、D.yunweiensis、D.アパチェンシス、D.フォエニシス、D.アクアティリス、D.sp.2009、D.ゴビエンシス、D.ラディオデュランス、D.wulumuqiensis、D.デゼルティ、D.マリコペンシス、及びD.peraridilitorisのidi遺伝子からなる群より選択される。より好ましくは、idi遺伝子はD.yunweiensisからのものである。それらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれか、好ましくは配列番号30又は32のポリペプチドに対して、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する、好ましくはデイノコッカス細菌からの、任意のポリペプチドが用いられ得る。
好ましい実施形態において、細菌はDXS及びIDIをコードする遺伝子を過剰発現する。好ましくは、過剰発現されたDXSは以下に記載されるような改良DXS酵素である。
―改良MEP酵素―
本発明に用いられるdxs、dxr、ispD、ispE、ispF、ispG、ispH、及びidi遺伝子は、野生型酵素のアミノ酸配列との比較において、改良された酵素、つまり、活性増大をもたらす少なくとも1つの変異をその配列に有する酵素をもコードし得る。そうした改良酵素は当業者に既知の任意の技術により得られ得る。特に、改良DXPシンターゼ、また特に改良デイノコッカスDXPシンターゼは、国際特許出願公開第2012/052171号に開示の技術により得られ得る。
このように、一実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、配列番号52の222位の位置(若しくは配列番号4の216位の位置若しくは配列番号2の219位の位置)にてアスパラギン、及び/又は配列番号52の244位の位置(若しくは配列番号4の238位の位置若しくは配列番号2の241位の位置)にてシステインを得るようにDXPシンターゼを変異させることで取得される改良DXPシンターゼ、好ましくは改良デイノコッカスDXPシンターゼをコードするdxs遺伝子を含む。好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、配列番号52の244位の位置(若しくは配列番号4の238位の位置若しくは配列番号2の241位の位置)にてシステインを得るようにDXPシンターゼを変異させることで取得される改良DXPシンターゼをコードするdxs遺伝子を含む。
222又は244位に相当する残基を特定する方法は当業者には既知であり、国際特許出願公開第2012/052171号に詳細に記載される。特に、これらの残基は、ClustalW、MUSCLE、又はニードルマンとウンシュのアルゴリズムを用いたプログラムなどの配列アライメントコンピュータプログラムを使用して特定されるとよい。
好ましい実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、K222N(配列番号6)、R244C(配列番号8)又はK222N/R244C(配列番号10)の置換を有するD.ラディオピュグナンス(D.radiopugnans)の改良DXPシンターゼをコードする遺伝子を含む。これらの酵素をコードする遺伝子配列は、配列番号5、7、及び9にそれぞれ示される。より好ましくは、組換えデイノコッカス細菌はD.ラディオピュグナンスのDXPシンターゼのR244C突然変異体(配列番号8)をコードする遺伝子を含む。
他の好ましい実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、K216N(配列番号12)、R238C(配列番号14)、又はK216N/R238C(配列番号16)の置換を有するD.yunweiensisの改良DXPシンターゼをコードする遺伝子を含む。これらの酵素をコードする遺伝子配列は、配列番号11、13、及び15にそれぞれ示される。より好ましくは、組換えデイノコッカス細菌はD.yunweiensisのDXPシンターゼのR238C突然変異体(配列番号14)をコードする遺伝子を含む。
さらに好ましい実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、K219N(配列番号54)、R241C(配列番号56)又はK219N/R241C(配列番号58)の置換を有するD.ジオサーマリスの改良DXPシンターゼ(配列番号2)をコードする遺伝子を含む。より好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、D.ジオサーマリスのDXPシンターゼのR241C突然変異体をコードする遺伝子を含む。
改良DXPシンターゼをコードする遺伝子は、組換え細菌において過剰発現され得る。好ましくは、この遺伝子は、構成的又は誘導的プロモータの制御下、より好ましくは強力な構成的プロモータの制御下で細菌のゲノムに組み込まれる。この遺伝子は、内在性dxs遺伝子を置換可能であるか、又はdxs遺伝子のコピー数を増大させるために他の位置に組み込まれ得る。
このように他の態様において、本発明は、配列番号52の222位の位置にてアスパラギン及び/又は配列番号52の244位の位置にてシステインを含む、改良(又は変異)DXPシンターゼ、好ましくは改良デイノコッカスDXPシンターゼを含む組換えデイノコッカス細菌にも関する。好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、配列番号52の244位の位置にてシステインを含む改良(又は変異)DXPシンターゼを含む。対応する位置は、既知のアライメントアルゴリズムを使用することで当業者によって容易に特定可能である。特に、改良DXPシンターゼは、上記開示の改良DXSのいずれかであり得る。
任意的に、dxs、dxr、ispD、ispE、ispF、ispG、ispH、及びidiからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子が過剰発現される。好ましくは、少なくともIDIコード遺伝子が過剰発現される。より好ましくは、少なくとも1つのdxs遺伝子と1つのidi遺伝子とが過剰発現される。
本発明のその他の態様について明細書に記載されるすべての実施形態はこの態様にも包含される。特に、組換えデイノコッカス細菌は、(i)上述のようなMEP経路の増強、(ii)異種MEV経路、(iii)FPPシンターゼ活性の増大、(iv)リコペンβ−シクラーゼの不活性化、及び/又は(v)本明細書に記載されるような異種テルペンシンターゼ又はイソプレンシンターゼの発現、をさらに示すとよい。
<異種MEV経路>
他の態様において、本発明の組換えデイノコッカス細菌は、異種MEV経路を含む、即ち、ヒドロキシメチルグルタリル−CoAシンターゼ(EC2.3.3.10)、ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ(NADPH)(EC1.1.1.34)、メバロネートキナーゼ(EC2.7.1.36)、ホスホメバロネートキナーゼ(EC2.7.4.2)、及びジホスホメバロネートデカルボキシラーゼ(EC4.1.1.33)をコードする異種遺伝子を発現する。
好ましくは、異種遺伝子は、植物、細菌、又は酵母の、より好ましくはサッカロマイセス・セレビシエの酵素をコードする。所定の実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、サッカロマイセス・セレビシエのヒドロキシメチルグルタリル−CoAシンターゼ(Uniprot/Swissprot:P54839)、ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ(NADPH)(Uniprot/Swissprot:P12683)、メバロネートキナーゼ(GenBank:NP_013935.1)、ホスホメバロネートキナーゼ(GenBank:NP_013947.1)、及びジホスホメバロネートデカルボキシラーゼ(GenBank:CAA66158.1)をコードする遺伝子を含む。
デイノコッカス細菌は内在性アセチル−CoAC−アセチルトランスフェラーゼ活性を示す。しかしながら、一部の実施形態において、組換えデイノコッカス細菌はアセチル−CoAC−アセチルトランスフェラーゼをコードする異種遺伝子をさらに含むとよい。この遺伝子は、内在性遺伝子を置換可能であり、又はこの遺伝子のコピー数を増大させるために他の位置に組み込まれ得る。この異種遺伝子は、植物、細菌、又は酵母由来であるとよい。好ましい実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、サッカロマイセス・セレビシエのアセチル−CoAC−アセチルトランスフェラーゼ(GenBank:NP_015297.1)をコードする遺伝子をさらに含む。
本発明の他の態様について本明細書に記載されるすべての実施形態は、この態様においても包含される。特に、組換えデイノコッカス細菌は、(i)任意的に改良DXPシンターゼを伴う、上述のような増強MEP経路、(ii)FPPシンターゼ活性の増大、(iii)リコペンβ−シクラーゼの不活性化、及び/又は、(iv)本明細書に記載されるような異種テルペンシンターゼ又はイソプレンシンターゼの発現、をさらに示し得る。
<異種テルペンシンターゼ>
本願は、デイノコッカス細菌、及び特に上述のような組換えデイノコッカス細菌が、異種テルペンシンターゼの発現を介した異種イソプレノイド化合物産生に効果的に用いられ得ることも示す。このように、さらなる態様において、本発明は異種テルペンシンターゼをコードする遺伝子を含む組換えデイノコッカス細菌に関する。
本発明のその他の態様について明細書に記載されるすべての実施形態はこの態様にも包含される。特に、組換えデイノコッカス細菌は、(i)任意的に改良DXPシンターゼを伴う、上述のような増強MEP経路、(ii)異種MEV経路、(iii)FPPシンターゼ活性の増大、(iv)リコペンβ−シクラーゼの不活性化、及び/又は(v)本明細書に記載されるような異種イソプレンシンターゼの発現、をさらに示し得る。
好ましくは、異種テルペンシンターゼは、モノテルペンシンターゼ、ジテルペンシンターゼ、トリテルペンシンターゼ、及びセスキテルペンシンターゼからなる群から、より好ましくはモノテルペンシンターゼ及びセスキテルペンシンターゼから選択される。組換えデイノコッカス細菌は、1又は複数の異種テルペンシンターゼ、特に1又は複数のモノテルペンシンターゼ、及び/又は1又は複数のセスキテルペンシンターゼを発現するとよい。
これらの酵素をコードする遺伝子を含み且つ細菌のゲノムに組み込まれた、上述のような発現カセットから、各異種テルペンシンターゼは好ましくは発現される。好ましくは、遺伝子は構成的プロモータ、より好ましくは強力な構成的プロモータの制御下にある。
−異種モノテルペンシンターゼ−
所定の実施形態において、本発明の組換え細菌は、モノテルペン又はモノテルペノイドを産生するために異種モノテルペンシンターゼの発現を介して改変されたデイノコッカス細菌である。本発明の組換えデイノコッカス細菌において発現可能なモノテルペンシンターゼの例は、ゲラニオールシンターゼ(EC3.1.7.3)、3S−リナロールシンターゼ(EC4.2.3.25)及びR−リナロールシンターゼ(EC4.2.3.26)などのリナロールシンターゼ、1,8シネオール(cineole)シンターゼ(EC4.2.3.108)、ミルセンシンターゼ(EC4.2.3.15)、4S−リモネンシンターゼ(EC4.2.3.16)、R−リモネンシンターゼ(EC4.2.3.20)、α−ピネンシンターゼ(EC4.2.3.119)、β−ピネンシンターゼ(EC4.2.3.120)、(−)−endo−フェンコールシンターゼ(EC4.2.3.10)、及び(−)−α−テルピネオールシンターゼ(EC4.2.3.111)、並びにそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種ゲラニオールシンターゼ、即ち、ゲラニル二リン酸からのゲラニオールの生成を触媒する酵素、をコードする遺伝子を含む。異種ゲラニオールシンターゼの例は、オシマム・バジリカム(Ocimum basilicum)(配列番号49;GenBank受託番号:AAR11765、Zhou他、2013年;Liu他、2013年;Lijima他、2004年)、セイヨウカノコソウ(バレリアナ・オフィシナリス(Valeriana officinalis))(AHE41084、Dong他、2013年)、リッピア・ドゥルキス(Lippia dulcis)(Dong他、2013年)、レモンエゴマ(ぺリラ・シトリオドラ(Perilla citriodora)(AAY88965;Sugiura他、2011年)、エゴマ(ペリラ・フルテセンス(Perilla frutescens)(ABB30218;Sharkey他、2005年)、セトエゴマ(Perilla setoyensis)(ACN42010.1)、シナモマム・テヌイピラム(Cinnamomum tenuipilum)(CAD29734)、フィラ・ドゥルキス(Phyla dulcis)(ADK62524.1)、オリーブ(Olea europaea)(AFI47926.1)、ヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))(ADR74217)、ヒヨコマメ(シサー・アリティナム(Cicer arietinum))(XP_004487383.1)、コオウレン(Picrorhiza kurrooa)(AHX97739.1)、ラフレモン(Citrus jambhiri)(BAM29049.1)、シナモマム・テヌイピル(Cinnamomum tenuipile)(CAD29734.2;Yang他、2005年)、及びニチニチソウ(カサランサス・ロゼウス(Catharanthus roseus))(AFD64744.1)のゲラニオールシンターゼを含むがこれらに限定されない。ゲラニオールシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種ゲラニオールシンターゼは、オシマム・バジリカム、セイヨウカノコソウ(バレリアナ・オフィシナリス)、フィラ・ドゥルキス、オリーブ(Olea europaea)、ヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ)、ヒヨコマメ(シサー・アリティナム)、及びニチニチソウ(カサランサス・ロゼウス)のゲラニオールシンターゼからなる群より選択される。より好ましくは、異種ゲラニオールシンターゼは、オシマム・バジリカム(配列番号49)、ヒヨコマメ(シサー・アリティナム)、又はフィラ・ドゥルキスのゲラニオールシンターゼである。さらにより好ましくは、ゲラニオールシンターゼは、オシマム・バジリカムのゲラニオールシンターゼである。このゲラニオールシンターゼをコードする遺伝子のヌクレオチド配列は配列番号48に示されるものであり得る。
任意的に、異種ゲラニオールシンターゼをコードする遺伝子を含む組換え細菌は、シトロネロール(EC1.6.99.1)へのゲラニオールの還元を触媒するゲラニオールレダクターゼをさらに含む。異種ゲラニオールレダクターゼの例は、S.セレビシエ(Q03558.3)の旧黄色酵素2(OYE2)、植物であるパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)の同種物、12−オキソフィトジエノアートレダクターゼ(OPR)、HbOPR(DQ004685.1)を含むがこれらに限定されない。
他の実施形態において、本発明の組換え細菌は異種リナロールシンターゼをコードする遺伝子を含む。リナロールシンターゼは、3S−リナロールシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からS−リナロールの生成を触媒する酵素、又はR−リナロールシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からR−リナロールの生成を触媒する酵素であるとよい。異種リナロールシンターゼの例は、ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)(Nakano他、2011年)、レモン・マートル(Lemon Myrtle)(Sugiura他、2011年)、レモンエゴマ(ぺリラ・シトリオドラ(Perilla citriodora))(GenBank受託番号AHY39266.1;Sugiura他、2011年)、Myzus citrate(Sugiura他、2011年)、クラルキア・ブレウェリ(Clarkia breweri)(AAD19838;AAD19840;AAC49395、Rico他、2010年;Herreo他、2008年;Dudareva他、1996年;Pichersky他、1995年)、クラルキア・コンシンネ(Clarkia concinna)(AAD19839)、Lavandula angustivolia(ABB73045.1;Landmann他、2007年)、ヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))(Martin他、2010年)、Arabidopsis lyrata subsp. lyrata(EFH62782.1;XP_002886523.1)、イネ(Oryza sativa)(EU596453)、セレウス・ペルヴィアナス(Cereus peruvianus)(Sitrit他、2004年)、ベルガモットハッカ(メンタ・シトラタ(Mentha citrata))(AAL99381;Crowell他、2002年)、クソニンジン(アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua))(AAF13357;AAF13356;Jia他、1999年)、オシマム・バジリカム(Ocimum basilicum)(AAV63789;Lijima他、2004年)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(AAO85533;Chen他、2003年)、オランダイチゴ(フラガリア・アナナッサ(Fragaria ananassa))(CAD57081;CAD57106;Aharoni他、2004年)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)(XP_003593502.1)、キンギョソウ(Antirrhinum majus)(ABR24418)、トマト(リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum))(AAX69063)、ヨーロッパトウヒ(ピセア・アビエス(Picea abies)(AAS47693)、トラノオジソ(Perilla frutescens var. hirtella)(ACN42011;Masumoto他、2010年)、コエンドロ(Coriandrum sativum)(AHC54051;Galata他、2014年)、シナモマム・オスモフロエウム(Cinnamomum osmophloeum)(AFQ20812.1)、カカオノキ(テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao))(EOY20311.1)、Morus notabilis(EXC23176.1)、及びコーヒーノキ(コフィア・アラビカ(Coffea Arabica)(Del Terra他、2013年)のリナロールシンターゼを含むがこれらに限定されない。リナロールシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種リナロールシンターゼは、クラルキア・コンシンネ、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)、トラノオジソ(Perilla frutescens var. hirtella)、コエンドロ(Coriandrum sativum)、Lavandula angustivolia、クラルキア・ブレウェリ、シナモマム・オスモフロエウム、カカオノキ(テオブロマ・カカオ)、Morus notabilis、及びコーヒーノキ(コフィア・アラビカ)のリナロールシンターゼからなる群から選択される。より好ましくは、異種リナロールシンターゼは、ペリラ・フルテセンス(Perilla frutescens)又はクラルキア・ブレウェリのリナロールシンターゼであり、さらにより好ましくは、ペリラ・フルテセンス(Perilla frutescens)のリナロールシンターゼである。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種ミルセンシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からのミルセンの生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種ミルセンシンターゼの例は、アビエス・グランディス(Abies grandis)(GenBank受託番号:AAB71084)、キンギョソウ(Antirrhinum majus)(AAO41727;AAO41726)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(NP_189209;AAG09310)、トマト(リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum))(AAX69064)、オシマム・バジリカム(Ocimum basilicum)(AAV63791)、エゴマ(ペリラ・フルテセンス(Perilla frutescens))(AAF76186)、ヨーロッパトウヒ(ピセア・アビエス(Picea abies))(AAS47696)、Morus notabilis(EXB97316.1)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula) (AES67305.1)、及びQuercus ilex(CAC41012)のミルセンシンターゼを含むがこれらに限定されない。ミルセンシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種ミルセンシンターゼは、アビエス・グランディス、ヨーロッパトウヒ(ピセア・アビエス)、Morus notabilis、及びタルウマゴヤシ(Medicago truncatula)のミルセンシンターゼからなる群から選択される。
他の実施形態において、本発明の組換え細菌は異種リモネンシンターゼをコードする遺伝子を含む。リモネンシンターゼは、4S−リモネンシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からの(−)−S−リモネンの生成を触媒する酵素、又はR−リモネンシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からの(+)−R−リモネンの生成を触媒する酵素であるとよい。異種リモネンシンターゼの例は、オランダハッカ(メンタ・スピカタ(Mentha spicata))(GenBank受託番号:AAC37366)、ナガバハッカ(メンタ・ロンギフォリア(Mentha longifolia))(AAD50304.1)、アビエス・グランディス(Abies grandis)(AAB70907;AAF61455)、カワミドリ(アガスタケ・ルゴーサ(Agastache rugosa))(AAL17636)、アサ(カンナビス・サティバ(Cannabis sativa))(ABI21837)、レモン(シトラス・リモン(Citrus limon))(AAM53944;AAM53946)、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)(BAD27256;BAD27257)、Lavandula angustivolia (ABB73044)、エゴマ(ペリラ・フルテセンス(Perilla frutescens))(AAG31438)、ヨーロッパトウヒ(ピセア・アビエス(Picea abies)(AAS47694)、シトカトウヒ(ピセア・シトケンシス(Picea sitchensis)(ABA86248)、及びケイガイ(Schizonepeta tenuifolia)(AAG01140)のリモネンシンターゼを含むがこれらに限定されない。リモネンシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種リモネンシンターゼは、オランダハッカ(メンタ・スピカタ)又はナガバハッカ(メンタ・ロンギフォリア)からのものであり、好ましくはナガバハッカ(メンタ・ロンギフォリア)からのものである。
他の実施形態において、本発明の組換え細菌は異種シネオール(cineole)シンターゼをコードする遺伝子を含む。異種シネオールシンターゼの例は、ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)(GenBank:EDY47508.1;Nakano他、2011年)、トマト(Solanum lycopersicum)(GenBank:AEM05857.1)、マンネンロウ(Rosmarinus officinalis)(GenBank:AFZ41794.1)、サルビア・フルティコサ(Salvia fruticosa)(ABH07677.1)、及びシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(AEE77075.1;AEE77074.1)のシネオールシンターゼを含むがこれらに限定されない。シネオールシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種シネオールシンターゼはストレプトマイセス・クラブリゲルスからのものである。
任意的に、異種リモネンシンターゼを含む本発明の組換え細菌は、(i)S−リモネンを(−)−カルボン(carvone)に変換、(ii)S−リモネンをメントン、メントール、ネオメントール、若しくはイソメントンに変換、又は(iii)R−リモネンを(+)カルボン(carvone)に変換する経路に属する1又は複数の追加酵素をさらに含むとよい。つまり、所定の実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、異種リモネンシンターゼと、(i)(S)−リモネン6−モノオキシゲナーゼ(EC1.14.13.48)及びカルベオールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.243);(ii)(S)−リモネン3−モノオキシゲナーゼ(EC1.14.13.47)、イソピペリテノールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.223)、(−)−イソピペリテノンレダクターゼ(EC1.3.1.82)、(+)−シス−イソプレゴンイソメラーゼ、(+)−プレゴンレダクターゼ(EC1.3.1.81)、(−)−メントールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.207)、及び(+)−ネオメントールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.208);並びに(iii)(R)−リモネン6−モノオキシゲナーゼ(EC.14.13.80)及び(+)−トランス−カルベオールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.243)からなる群から選択される1又は複数の追加異種酵素とを発現する。
他の実施形態において、本発明の組換え細菌は異種ピネンシンターゼをコードする遺伝子を含む。ピネンシンターゼは、α−ピネンシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からのα−ピネン生成を触媒する酵素、又はβ−ピネンシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からのβ−ピネン生成を触媒する酵素であるとよい。異種ピネンシンターゼの例は、アビエス・グランディス(Abies grandis)(GenBank受託番号:AAB71085)、クソニンジン(アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua))(AAK58723)、アサ(カンナビス・サティバ(Cannabis sativa))(ABI21838)、レモン(シトラス・リモン(Citrus limon))(AAM53945)、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)(BAD27260)、エゾヘビイチゴ(Fragaria vesca)(CAD57092)、ヨーロッパトウヒ(ピセア・アビエス(Picea abies)(AAS47692)、シトカトウヒ(ピセア・シトケンシス(Picea sitchensis)(AAP72020)、及びベイマツ(シュドツガ・メンツィエシ(Pseudotsuga menziesii))(AAX07267)からのピネンシンターゼを含むがこれらに限定されない。ピネンシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種ピネンシンターゼはクソニンジン(アルテミシア・アンヌア)からのものである。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種(−)−endo−フェンコールシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からのフェンコール生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種(−)−endo−フェンコールシンターゼの例は、オシマム・バジリカム(Ocimum basilicum)(GenBank受託番号:AAV63790)の(−)−endo−フェンコールシンターゼを含むがこれに限定されない。endo−フェンコールシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種(−)−α−テルピネオールシンターゼ、即ちゲラニル二リン酸からのα−テルピネオール生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種(−)−α−テルピネオールシンターゼの例は、ヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))(GenBank受託番号:AAS79351;AAS79352)、トウモロコシ(Zea mays)(AAL59230;ABR09292)、ビャクダン(Santalum album)(ACF24767)、テーダマツ(Pinus tadea)(AAO61227)、及びタイサンボク(Magnolia grandiflora)(ACC66282)の(−)−α−テルピネオールシンターゼを含むがこれらに限定されない。α−テルピネオールシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、(−)−α−テルピネオールシンターゼはヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ)からのものである。
−異種セスキテルペンシンターゼ−
他の実施形態において、本発明の組換え細菌は、セスキテルペノイドを産生するために異種セスキテルペンシンターゼの発現を介して改変されたデイノコッカス細菌である。本発明の組換えデイノコッカス細菌において発現可能なセスキテルペンシンターゼの例は、(+)−epi−α−ビサボロールシンターゼ(EC4.2.3.138)、ゲルマクレンAシンターゼ(EC4.2.3.23)、(E,E)−ゲルマクレンBシンターゼ(EC4.2.3.71)、ゲルマクレンCシンターゼ(EC4.2.3.60)、(−)−ゲルマクレンDシンターゼ(EC4.2.3.75)、バレンセンシンターゼ(EC4.2.3.73)、(3S,6E)−ネロリドールシンターゼ(EC4.2.3.48)、epi−セドロールシンターゼ(EC4.2.3.39)、パチョロールシンターゼ(EC4.2.3.70)、サンタレンシンターゼ(EC4.2.3.50)、及びδ−カジネンシンターゼ(EC4.2.3.13)を含むがこれらに限定されない。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種(+)−epi−α−ビサボロールシンターゼ、即ち(2E,6E)−ファルネシル二リン酸からの(+)−epi−α−ビサボロール生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。(+)−epi−α−ビサボロールシンターゼの例は、ストレプトマイセス・シトリカラー(Streptomyces citricolor)(GenBank受託番号:BAL14867.1;Nakano他、2011年)及びフィラ・ドゥルキス(Phyla dulcis)(Attia他、2012年)の(+)−epi−α−ビサボロールシンターゼを含むがこれらに限定されない。(+)−epi−α−ビサボロールシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、(+)−epi−α−ビサボロールシンターゼはストレプトマイセス・シトリカラーからのものである。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種ゲルマクレンAシンターゼ、即ちセスキテルペンゲルマクレンAへのファルネシル二リン酸(FPP)の還化を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種ゲルマクレンAシンターゼの例は、クソニンジン(アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua))(GenBank受託番号:ABE03980)、キクニガナ(Cichorium intybus)(AAM21658;AAM21659)、ニガナ(Ixeris dentate)(AAL92481)、レタス(lactuca sativa)(AAM11626);AAM11627)、パチョリ(Pogostemon cablin)(AAS86321)、及びソリダゴ・カナデンシス(Solidago Canadensis)(CAC36896)のゲルマクレンAシンターゼを含むがこれらに限定されない。ゲルマクレンAシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、ゲルマクレンAシンターゼは、クソニンジン(アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua))及びソリダゴ・カナデンシス(Solidago Canadensis)から選択される。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種ゲルマクレンBシンターゼ、即ちセスキテルペンゲルマクレンBへのファルネシル二リン酸(FPP)の還化を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種ゲルマクレンBシンターゼの例は、リコペルシコン・ヒルスタム(Lycopersicon hirsutum)(GenBank受託番号:AAG41891)のゲルマクレンBシンターゼを含むがこれに限定されない。ゲルマクレンBシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種ゲルマクレンCシンターゼ、即ちセスキテルペンゲルマクレンCへのファルネシル二リン酸(FPP)の還化を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種ゲルマクレンCシンターゼの例は、トマト(リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum))(GenBank受託番号:AAC39432)のゲルマクレンCシンターゼを含むがこれに限定されない。ゲルマクレンCシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種ゲルマクレンDシンターゼ、即ちセスキテルペンゲルマクレンDへのファルネシル二リン酸(FPP)の還化を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種ゲルマクレンDシンターゼの例は、リコペルシコン・ヒルスタム(Lycopersicon hirsutum)(GenBank受託番号:AAG41892)、オシマム・バジリカム(Ocimum basilicum)(AAV63786)、パチョリ(Pogostemon cablin)(AAS86320,AAS86322)、ブラックコットンウッド×ナミキドロ(Populus trichocarpa×Populus deltoides)(AAR99061)、ソリダゴ・カナデンシス(Solidago Canadensis)(AAR31144,AAR31145)、ヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))(AAS66357)、及びショウガ(Zingiber officinale)(AAX40665)のゲルマクレンDシンターゼを含むがこれらに限定されない。ゲルマクレンDシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種バレンセンシンターゼ、即ちファルネシル二リン酸(FPP)からのバレンセン生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種バレンセンシンターゼの例は、ヨーロッパブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))(UniProt受託番号 Q6Q3H2)及びオレンジ(Citrus sinensis)(Q71MJ3)のバレンセンシンターゼを含むがこれらに限定されない。バレンセンシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種パチョロールシンターゼ、即ちファルネシル二リン酸(FPP)からのパチョロール生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種パチョロールシンターゼの例は、α−及びβ−パチョレン(patchoulene)、α−ブルネセン(bulnesene)、セイケレン(seychellene)、ポゴストール(pogostol)、及びα−グアイエン(guiaene)を含む付加的セスキテルペン産生物を産生するパチョリ(Pogostemon cablin)(UniProt受託番号Q49SP3)のパチョロールシンターゼを含むがこれに限定されない。パチョロールシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種epi−セドロールシンターゼ、即ちファルネシル二リン酸又はゲラニル二リン酸からの8−epi−セドロール生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種epi−セドロールシンターゼの例は、クソニンジン(アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua))(Genbank受託番号:AAF80333、CAC08805)のepi−セドロールシンターゼを含むがこれに限定されない。epi−セドロールシンターゼ活性を示し、この酵素に少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種(3S,6E)−ネロリドールシンターゼ、即ちファルネシル二リン酸(FPP)をネロリドールに変換する酵素をコードする遺伝子を含む。異種ネロリドールシンターゼの例は、イヌカタヒバ(Selaginella moellendorffii)(UniProt受託番号D8RNZ9)、ブラックコットンウッド(Populus trichocarpa)(F8TWD1)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)(Q5UB06)、オランダイチゴ(フラガリア×アナナッサ(Fragaria×ananassa))(P0CV94)、及びトウモロコシ(Zea mays)(Degenhardt及びGershenzon、2000年)のネロリドールシンターゼを含むがこれらに限定されない。ネロリドールシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種ネロリドールシンターゼにはオランダイチゴ(フラガリア×アナナッサ)が選択される。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、異種サンタレンシンターゼ、即ちファルネシル二リン酸からのα−サンタレン、β−サンタレン、epi−β−サンタレン、endo−β−ベルガモテン、及び/又はexo−α−ベルガモテンの生成を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種サンタレンシンターゼの例は、ソラナム・ハブロカイテス(Solanum habrochaites)(Uniprot:B8XA41)、サンタルム・スピカトゥム(Santalum spicatum)(Uniprot:E3W202)、サンタルム・アウストロカレドニクム(Santalum austrocaledonicum)(Uniprot:E3W203)、サンタルム・スピカトゥム(Santalum spicatum)(Uniprot:E3W204)のサンタレンシンターゼを含むがこれらに限定されない。サンタレンシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。
一実施形態において、本発明の組換え細菌は、δ−カジネンシンターゼ、即ち(+)−δ カジネンへのトランス,トランス−ファルネシル二リン酸(FPP)の還化を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む。異種δ−カジネンシンターゼの例は、ケブカワタ(ゴシピウム・ヒルスタム(Gossypium hirsutum))(GenBank受託番号:AAF74977,AAC12784)、ゴシピウム・アルボレタム(Gossypium arboretum)(GenBank受託番号CAA65289、UniprotQ39761)、及びヒマワリ(Helianthus annuus)(Q4U3F6)のδ−カジネンシンターゼを含むがこれらに限定されない。δ−カジネンシンターゼ活性を示し、これらの酵素のいずれかに少なくとも70%、80%、好ましくは90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが用いられるとよく、特に触媒活性、基質に対する特異性、及び/又は安定性の増大を示すこれらの酵素の変異体が用いられるとよい。所定の実施形態において、異種δ−カジネンシンターゼにはゴシピウム・アルボレタム(Gossypium arboretum)が選択される。
<異種イソプレンシンターゼ>
他の態様において、本発明は異種イソプレンシンターゼをコードする遺伝子を含む組換えデイノコッカス細菌にも関する。
本発明のその他の態様について明細書に記載されるすべての実施形態はこの態様にも包含される。特に、組換えデイノコッカス細菌は、(i)任意的に改良DXPシンターゼを伴う、上述のような増強MEP経路、(ii)異種MEV経路、(iii)FPPシンターゼ活性の増大、(iv)リコペンβ−シクラーゼの不活性化、及び/又は(v)本明細書に記載されるような異種テルペンシンターゼの発現をさらに示し得る。
好ましい実施形態において、異種イソプレンシンターゼをコードする遺伝子を含む組換えデイノコッカス細菌は、dxs、dxr、ispD、ispE、ispF、及びispGからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子を過剰発現し、好ましくは、dxs、dxr、ispD、ispE、ispF、及びispG遺伝子を過剰発現する。
異種イソプレンシンターゼは、ジメチルアリル二リン酸からのイソプレン生成を触媒する任意の酵素であってよい。イソプレンシンターゼの例は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(Hess他、2013年)、ギンドロ(Populus alba)(Lv他、2013年;Yang他、2012年;Uniprot:Q50L36)、アメリカヤマナラシ(Populus tremuloides)(Uniprot:Q7XAS7)、タイワンクズ(Pueraria montana)(Whited他、2010年;Miller他、2001年;Sharkey他、2005年)、及びヨーロッパナラ(Quercus robur)(Lehning他、1999年)のイソプレンシンターゼを含むがこれらに限定されない。
<ファルネシル二リン酸シンターゼ>
さらに、本発明者等は、デイノコッカス細菌におけるイソプレノイド産生が、目的の化合物の産生及び/又は蓄積を促進するように制御され得ることを本明細書において提示する。これに関して、本発明者等は、ファルネシル二リン酸シンターゼ活性(EC2.5.1.10)、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ活性(EC2.5.1.1)、及びゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ活性(EC2.5.1.29)を示すデイノコッカス・ジオサーマリスの酵素を特定し、この酵素の過剰発現が、ジテルペン、トリテルペン、セスキテルペン、及びカロテノイドなどの、10を超えるC原子を有するイソプレノイドの産生を、モノテルペンを損なって促進することを確認した。
つまり、さらなる態様において、本発明はファルネシル二リン酸シンターゼ活性を有する単離ポリペプチドに関し、該ポリペプチドは、
a)配列番号47のアミノ酸配列のすべて若しくは活性部分を含むポリペプチド、
b)配列番号47と少なくとも60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、好ましくは、配列番号47と少なくとも70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有してなるポリペプチド、
c)配列番号46と少なくとも60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、好ましくは、配列番号46と少なくとも70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド、或いは、
d)(i)配列番号46に示される核酸配列、(ii)その相補鎖、又は(iii)(i)若しくは(ii)の部分配列(subsequence)と、中程度・高度の厳密性、好ましくは高度若しくは非常に高度の厳密性条件下で、ハイブリダイズが可能な核酸配列によってコードされるポリペプチド、からなる群から選択される。
好ましくは、本発明のポリペプチドは、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ(EC2.5.1.1)及び/又はゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(EC2.5.1.29)活性、さらに好ましくはジメチルアリルトランストランスフェラーゼ及びゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ活性をさらに示す。
ヌクレオチドプローブと相同的DNA又はRNA配列とのハイブリダイゼーションを測定するための適切な実験条件は、ハイブリダイズさせるDNA断片又はRNAを含むフィルタを、5×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)において10分間予浸すること、5×SSC、5×デンハート液、0.5%SDS、及び100μg/mlの超音波処理及び変性されたサケ精子DNAの溶液においてフィルタをプレハイブリダイゼーションすること、次に、10ng/ml濃度の、ランダムプライムによる32P−dCTP−標識(比活性>1×109cpm/μg)プローブを含有する同じ溶液において、約45℃で12時間ハイブリダイゼーションすること(Feinberg及びVogelstein、1983年)、に関する。種々の厳密性条件用に、フィルタは、2×SSC、0.5%SDSにおいて、少なくとも55℃(低厳密性)、より好ましくは少なくとも60℃(中程度厳密性)、なおより好ましくは少なくとも65℃(中程度・高度厳密性)、さらにより好ましくは少なくとも70℃(高度厳密性)、及びさらにより好ましくは少なくとも75℃(非常に高度の厳密性)で、30分間、2回洗浄される。
本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸にも関する。核酸は、DNA(cDNA若しくはgDNA)、RNA、又はそれら2つの混合物であり得る。核酸は1本鎖形態又は2重鎖形態又はそれら2つの混合物であり得る。核酸は、例として修飾結合、修飾プリン若しくはピリミジン塩基、又は修飾糖を含む修飾ヌクレオチドを包含し得る。また核酸は、化学合成、組換え、及び突然変異誘発を含む、当業者には既知である任意の方法で作製可能である。本発明の核酸は本発明のポリペプチド配列から推定され得、コドン利用は核酸が転写される宿主細胞に応じて適応される。これらの段階は当業者には既知である方法に従っておこなわれ得、その一部はSambrook他による参考マニュアル(Sambrook他、2001年)に記載される。
本発明は、制御配列に対応した条件下で適切な宿主細胞において核酸を発現することを目的とする1以上の制御配列と操作可能に連結された、本発明のポリペプチドをコードする核酸を含む発現カセットにさらに関する。
制御配列は宿主細胞により認識されるプロモータを含み得る。プロモータは酵素発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモータは、デイノコッカス細菌において転写活性を示す任意のポリヌクレオチドであり得、特に野生型、変異型、変性型、又は合成型プロモータであってよい。プロモータは内在性、同種又は異種プロモータであり得る。好ましいプロモータは内在性又は同種のものである。これに関して、デイノコッカス細菌の遺伝子発現のために、種々のプロモータが研究及び使用されてきている。適切なプロモータの例は、翻訳伸長因子Tu遺伝子のtufA(DR0309)及びtufB(DR2050)からのPtufA及びPtufBプロモータ、pI3に位置するresU遺伝子のプロモータ、groESLオペロンのプロモータ領域PgroESL(Lecointe他、2004年;Meima他、2001年)、又はそうしたプロモータの誘導体を含む。
制御配列は、転写を終結するためにデイノコッカス細菌により認識される転写ターミネータであってもよい。ターミネータは、遺伝子の3’末端に操作可能に連結される。デイノコッカス細菌において機能する任意のターミネータが本発明に用いられ得る(Lecointe他、2004年)。
任意的に、発現カセットは、組換え細菌の選択を容易にする選択可能マーカを含んでもよい。通常、選択可能マーカは、抗生物質耐性をコードするか又は独立栄養性を付与する遺伝子である。
本発明は、本発明の核酸又は発現カセットを含む発現ベクターにも関する。該発現ベクターは、宿主細胞、好ましくはデイノコッカス宿主細胞を形質転換するために用いられて、該細胞における本発明の核酸の発現を実現し得る。ベクターが導入される宿主細胞とベクターとの適合性に通常応じて、ベクターは選択される。ベクターは自己複製ベクター、即ちその複製が染色体の複製から独立的である染色体外成分として存在するベクターであるとよく、例えばプラスミド、染色体外因子、ミニ染色体、又は人工染色体などが挙げられる。ベクターは自己複製を確実にする任意の手段を含んでもよい。代替的に、ベクターは、宿主細胞に導入されるとゲノムに組み込まれ、ベクターが組み込まれた染色体とともに複製されるものであってよい。
好ましくは、ベクターは、ベクターを含む宿主細胞を容易に選択可能にする1以上の選択可能マーカを含む。選択可能マーカは遺伝子であり、その産生物が、殺生物性、又はウイルス耐性、重金属耐性、栄養要求性に対して原栄養性などを示す。
ベクターは、好ましくは、宿主細胞のゲノムにベクターを組み込むこと、又はゲノムから独立的して細胞においてベクターが自己複製すること、を可能にする要素を含む。宿主細胞ゲノムへの組込みがおこなわれるとき、ゲノムへの配列の組込みは相同組換え又は非相同組換えによっておこなわれ得る。ベクターは、一方で、相同組換えによって正確な位置で宿主のゲノムへの組込みをおこなうための追加ポリヌクレオチドを含み得る。これらの追加ポリヌクレオチドは、宿主細胞ゲノムにおける標的配列と相同である任意の配列であり得る。他方で、ベクターは、非相同組換えによって宿主細胞のゲノムに組み込まれ得る。
ベクターは、自己複製のために、対象の宿主細胞におけるベクターの自己複製を可能にする複製起点をさらに含むとよい。複製起点は、細胞で機能する自己複製を仲介する任意のプラスミドレプリケータであってよい。「複製起点」又は「プラスミドレプリケータ」という用語は、プラスミド又はベクターのインビボでの複製を可能にするポリヌクレオチドを意味する。
発現がおこなわれる宿主細胞に応じてこれらの要素を選択する方法は、当業者に既知である。ベクターは、当業者には既知である従来の分子生物学的技術によって構築されるとよい。
本発明は、細胞、好ましくはデイノコッカス細菌を、形質転換、形質移入、又は形質導入するために、本発明の核酸、発現カセット、又は発現ベクターを使用することにさらに関する。本発明は、本発明の核酸、カセット、又は発現ベクターを含む宿主細胞、好ましくはデイノコッカス細菌にも関する。
宿主細胞は、一時的又は安定的に、形質転換、形質移入、又は形質導入され得る。本発明の発現カセット又はベクターは、宿主細胞に導入されて、上述されたような染色体組込み体又は自己複製型染色体外ベクターとして保持される。「宿主細胞」という用語は、複製時に起こる突然変異のため親宿主細胞とは同一ではない、親宿主細胞の任意の子孫も包含する。
本発明の核酸、発現カセット、又は発現ベクターは、電気穿孔、コンジュゲート、形質導入、コンピテント細胞形質転換、プロトプラスト形質転換、、プロトプラスト融合、微粒子銃による「遺伝子銃」形質転換、PEG媒介形質転換、脂質補助形質転換又は形質移入、化学媒介形質移入、酢酸リチウム媒介形質転換、リポソーム媒介形質転換など、当業者には既知である任意の方法により宿主細胞に導入されるとよい。
任意的に、本発明の核酸、カセット、又はベクターの1を超えるコピーが宿主細胞に挿入されてもよい。
上述されたように、FPPシンターゼの過剰発現は、モノテルペンを損なって、ジテルペン、トリテルペン、セスキテルペン、及びカロテノイドなどの10を超えるC原子を有するイソプレノイドの産生を促進することを本発明者らは確認した。
従って、本発明は、FPPシンターゼ活性が増大された組換えデイノコッカス細菌にも関する。好ましくは、FPPシンターゼ活性は、FPPシンターゼをコードする内在性、同種、又は異種の遺伝子、即ちispA遺伝子の過剰発現により増大される。遺伝子の過剰発現は上述されたように得られ得る。
過剰発現FPPシンターゼは任意の異種FPPシンターゼであってよい。異種FPPシンターゼの例は、サッカロマイセス・セレビシエ(Uniprot Q12051)又は大腸菌(Uniprot P22939)からのFPPシンターゼを含むがこれらに限定されない。所定の実施形態において、本発明の組換え細菌は大腸菌からのFPPシンターゼを発現する。
好ましい実施形態において、過剰発現FPPシンターゼはデイノコッカス細菌からのものである。特に、過剰発現FPPシンターゼは、ファルネシル二リン酸シンターゼ活性を有する、好ましくはファルネシル二リン酸シンターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、及びゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ活性を有する、上述されたような本発明のポリペプチドである。好ましくは、過剰発現FPPシンターゼは、D.ジオサーマリスからのFPPシンターゼ、特に、配列番号47に示されるアミノ酸配列のすベて又は一部を有するFPPシンターゼである。
代替的に、ファルネシル二リン酸シンターゼ、ジメチルアリルトランストランスフェラーゼ、及びゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ活性は、個別のポリペプチドによってもたらされ、活性の増大が個別のコード遺伝子の過剰発現によるものであってもよい。
また本発明者らは、配列番号47に示されるFPPシンターゼにおけるK170G置換が、GPPへ、つまりモノテルペン産生へと、炭素流のリダイレクションを誘導することも示した。実際に、FPPSにおけるK170G突然変異により、モノテルペン生合成のためのGPP放出が可能になる(Blanchard及びKarst、1993年; Fischer他、2011年)。このように、ゲラニオールなどのモノテルペン産生が所望されるとき、内在性FPPシンターゼはK170G突然変異体により置換されるとよい。本明細書において、用語法K170Gは配列番号47の170位のアミノ酸残基(リジン、K)がグリシン(G)に変更されることを意味する置換を指すように使用される。
このように、本発明はまた、配列番号47の170位の位置のリジン残基がグリシンで置換される(対応する位置は既知のアライメントアルゴリズムを用いて当業者により容易に特定可能である)本発明のポリペプチド、該ポリペプチドをコードする核酸、該核酸を含む発現カセット又はベクター、及び突然変異FPPシンターゼを発現する組換えデイノコッカス細菌にも関する。好ましくは、該組換え細菌は異種テルペンシンターゼ、好ましくはモノテルペンシンターゼをも発現する。この組換えは、モノテルペンを産生するために好ましくは用いられる。
本発明のその他の態様について明細書に記載されるすべての実施形態はこの態様にも包含される。特に、組換えデイノコッカス細菌は、(i)任意的に改良DXPシンターゼを伴う、上述のような増強MEP経路、(ii)異種MEV経路、(iii)リコペンβ−シクラーゼの不活性化、及び/又は(iv)本明細書に記載されるような異種テルペンシンターゼ又はイソプレンシンターゼの発現、をさらに示すとよい。
<内在性リコペンβ−シクラーゼの不活性化>
本発明者等はまた、内在性リコペンβ−シクラーゼの不活性化がリコペンの過多産生・蓄積をもたらすことも示した。
このように、他の態様において、本発明は、内在性リコペンβ−シクラーゼが低減又は抑制された組換えデイノコッカス細菌に関する。
つまり、リコペンβ−シクラーゼ(EC5.5.1.19)は、リコペンから中間のγ−カロテンを介したβ−カロテンへの反応を触媒する。リコペンβ−シクラーゼの例は、配列番号51に示されるアミノ酸配列を有するD.ジオサーマリス、D.フォエニシス(D.phoenicis)(Genbank受託番号:EYB66908)、D.アパチェンシス(D.apachensis)(WP_019585057)、D.アクアティリス(D.aquatilis)(WP_019008078)、D.ゴビエンシス(D.gobiensis)(WP_014685779)、D.wulumuqiensis(WP_017870547)、D.マリコペンシス(D.maricopensis)(WP_013556733)、及びD.ラディオデュランス(D.radiodurans)(WP_010887447)のリコペンβ−シクラーゼを含むがこれらに限定されない。
リコペンβ−シクラーゼをコードする遺伝子は、D.ジオサーマリスのリコペンβ−シクラーゼ(配列番号50)をコードする核酸との相同性に基づいて容易に特定され得る。
リコペンβ−シクラーゼ活性は、当業者には既知の任意の方法を用いて低減又は抑制されるとよい。好ましくは、リコペンβ−シクラーゼをコードする遺伝子は、例えばこの遺伝子のすべて又は一部を削除することによって、またナンセンスコドン、カセット、遺伝子、又はフレームシフトをもたらす突然変異を導入することによって、当業者には既知の任意の方法により不活性化される。好ましい実施形態において、リコペンβ−シクラーゼをコードする遺伝子は削除される。
所定の実施形態において、フィトエンシンターゼ(EC2.5.1.32)及びフィトエンデサチュラーゼ(EC1.3.99.28)をコードする遺伝子が、リコペン産生を増大させるために過剰発現される。遺伝子は内在性、同種、又は異種の遺伝子、好ましくは内在性又は同種の遺伝子であるとよい。
別の所定の実施形態において、リコペンβ−シクラーゼ活性の低減又は抑制を示し、任意的にフィトエンシンターゼ及びフィトエンデサチュラーゼをコードする遺伝子を過剰発現する組換え細菌は、リコペンからのアポカロテノイド生成を触媒する異種カロテノイド切断ジオキシゲナーゼ(CCD)をコードする遺伝子をさらに含む。
別の所定の実施形態において、リコペンβ−シクラーゼ活性の低減又は抑制を示し、任意的にフィトエンシンターゼ及びフィトエンデサチュラーゼをコードする遺伝子を過剰発現する組換え細菌は、リコペンからのδ−カロテン生成を触媒する異種リコペンエプシロンシクラーゼ(EC5.5.1.18)をコードする遺伝子と、任意的に、δ−カロテンからのアポカロテノイド生成を触媒する異種カロテノイド切断ジオキシゲナーゼ(CCD)をコードする遺伝子とを、さらに含む。
カロテノイド切断ジオキシゲナーゼの例は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、キイチゴ(Rubus idaeus)、及びトウモロコシ(Zea mais)のCCDなどAuldridge他(2006年)の文献に開示されるCCDを含むがこれらに限定されない。
本発明のその他の態様について明細書に記載されるすべての実施形態はこの態様にも包含される。特に、組換えデイノコッカス細菌は、(i)FPPシンターゼ活性の増大、及び(ii)任意的に上述のような改良DXPシンターゼを伴う、上述のような増強MEP経路、(iii)異種MEV経路、及び/又は(iv)上述のような異種テルペンシンターゼ若しくはイソプレンシンターゼの発現、をさらに示すとよい。
<イソプレノイド化合物産生方法>
さらなる態様において、本発明は、テルペン又はテルペノイド化合物を産生するための上述のような組換えデイノコッカス細菌の使用に関する。本発明は、(i)テルペン又はテルペノイド産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、任意的に(ii)テルペン又はテルペノイドを回収するステップとを含む、テルペン又はテルペノイドを産生する方法にも関する。
テルペン又はテルペノイド化合物は、上述のような組換えデイノコッカス細菌によって産生される任意のテルペン又はテルペノイド化合物であってよい。
一実施形態において、本発明の組換えデイノコッカス細菌は、カロテノイド化合物(C40)などの10を超えるC原子を有するイソプレノイドを産生するために用いられる。特に、本発明は、(i)カロテノイド化合物産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、任意的に(ii)カロテノイド化合物を回収するステップとを含む、カロテノイド化合物を産生する方法に関する。カロテノイド化合物は、リコペン又はリコペン由来の他の任意のカロテノイド化合物、好ましくはデイノキサンチン(deinoxanthine)であるとよい。所定の実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、FPPシンターゼ、好ましくはデイノコッカスFPPシンターゼ、より好ましくは上述のような本発明のFPPシンターゼを過剰発現する。
一実施形態において、組換えデイノコッカス細菌は、上述のような異種テルペンシンターゼを含み、ゲラニオール、(+)−リナロール、(−)−リナロール、S−リモネン、R−リモネン、α−ピネン、β−ピネン、フェンコール、テルピネオール、(−)−カルボン、(+)−(S)−カルボン、メントン、イソメントン、メントール、ネオメントール、(S,E)−ネロリドール、8−epi−セドロール、ビサボロール、ゲルマクレンA、ゲルマクレンB、ゲルマクレンC、ゲルマクレンD、バレンセン、パチョロール、サンタレン、及びδ−カジネンからなる群から選択されるテルペン又はテルペノイド化合物を産生し得る。
本方法は、テルペン又はテルペノイドを、ミルセンから得られるミルセノール及びジヒドロミルセニルアセテート;フェンコールから得られるフェンチル及びボルネオール誘導体;バレンセン又は(−)−β−ピネンから得られるヌートカトン(Nootkatone);リナリルホルマート、リナリルアセタート、リナリルプロピオナート、リナリルブチラート、リナリルイソブチラート、及びラバンズリルアセタートなど、リナロールから得られるリナリル及びラバンズリルエステル;シトロネリルホルマート、シトロネリルアセタート、シトロネリルプロピオナート、シトロネリルイソブチラート、シトロネリルイソバレラート、シトロネリルチグラート、シトロネル酸ニトリル(若しくはシトロネリルニトリル)など、シトロネロールから得られるシトロネリル及びジヒドロミルセニルエステル;ゲラニオールホルマート、ゲラニルアセタート、ゲラニルプロピオナート、ゲラニルイソブチラート、ネリルアセタート、メチルゲラナート(若しくはゲラン酸メチルエステル)、及びゲラン酸ニトリル(若しくはゲラノニトリル)など、ゲラニオールから得られるゲラニルエステル;などのテルペン誘導体に変換することをさらに含み得る。好ましくは、テルペン誘導体はテルペンエステル、より好ましくはゲラニルエステルである。
テルペン又はテルペノイドからテルペン誘導体を得るための方法は当業者には既知である。例えば、そうした方法は、Common Fragrance and Flavor Materials:Preparation, Properties and Uses、第5版、H.Surburg及びJ.Panten、John Wiley&Sons、2006年に開示される。
テルペン又はテルペノイドを産生するのに適切な条件は、本発明に用いられるデイノコッカス細菌に応じて、当業者によって容易に決定され得る。特に、炭素源は、キシロースやアラビノースなどのC5糖、グルコース、セロビオース、ショ糖、及びデンプンなどのC6糖からなる群より選択されるとよい。デイノコッカス細菌がセルロース分解活性又はキシラン分解活性を示すとき、セルロース系又はリグノセルロース系バイオマスなど、より複合的な炭素源が用いられ得る。温度条件も、中温性又は好熱性のデイノコッカス細菌の使用に応じて適応可能である。
他の態様において、本発明は、(i)テルペン又はテルペノイド産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、(ii)任意的に該テルペン又はテルペノイドを回収するステップと、(iii)該テルペン又はテルペノイドをテルペン誘導体に変換するステップと、任意的に(iv)テルペン誘導体を回収するステップとを含む、テルペン誘導体、特に上述のようなテルペン誘導体を産生する方法にも関する。ステップ(iii)は化学変換又は酵素変換であってよい。
好ましくは、テルペン又はテルペノイドはゲラニオール及び/又はゲラン酸であり、テルペン誘導体はゲラニルエステルである。
本発明者らは、非改変デイノコッカス細菌がゲラニオールをゲラニアール及びゲラン酸に変換可能であることを見出した。このように、所定の態様において、本発明は、ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸を産生するための本発明の組換えデイノコッカス細菌の使用に関する。本発明は、(i)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸の産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、任意的に(ii)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸を回収するステップとを含む、ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸を産生する方法にも関する。
好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、異種ゲラニオールシンターゼをコードする遺伝子を含み、上述のような、任意的に改良DXPシンターゼを伴う増強MEP経路、及び/又は、異種MEV経路を、任意的に示す。
他の態様において、本発明は、(i)デイノコッカス細菌、好ましくは本発明の組換えデイノコッカス細菌、又はその抽出物を、ゲラニオールに接触させるステップと、任意的に(ii)ゲラニアール及び/又はゲラン酸を回収するステップとを含む、ゲラニアール及び/又はゲラン酸を産生する方法にも関する。
他の所定の態様において、本発明は、ゲラニルエステルを産生するための本発明の組換えデイノコッカス細菌の使用に関する。本発明は、(i)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸の産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、任意的に(ii)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸を回収するステップと、(iii)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸を、ゲラニルエステルに変換するステップと、任意的に(iv)ゲラニルエステルを回収するステップとを含む、ゲラニルエステルを産生する方法にも関する。ステップ(iii)は化学変換又は酵素変換であってよい。
好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、異種ゲラニオールシンターゼをコードする遺伝子を含み、上述のような、任意的に改良DXPシンターゼを伴う増強MEP経路、及び/又は、異種MEV経路を、任意的に示す。
好ましくは、ゲラニルエステルは、メチルゲラナート、ゲラニルホルマート、ゲラニルアセタート、ゲラニルプロピオナート、ゲラニルイソブチラート、トランス−ゲラニルアセタート、又はネリルアセタートである。これらのエステルは、当業者に既知の任意の方法にて、ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸から産生されるとよい。
他の態様において、本発明は、アポカロテノイドを産生するための本発明の組換えデイノコッカス細菌の使用に関する。好ましくは、アポカロテノイドは、ダマスコン、ダマセノン、及びイオノンからなる群より選択される。ダマスコン、ダマセノン、及びイオノンの例は、β−ダマセノン、トランス−β−ダマセノン、γ−ダマスコン、α−ダマスコン、トランス−α−ダマスコン、シス−α−ダマスコン、シス−β−ダマスコン、トランス−β−ダマスコン、δ−ダマスコン、トランス,トランス−δ−ダマスコン、トランス−(2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−2−ブテノン、1−(2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1−オン、1−(2,4,4−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2−ブテノン、1−(2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オン、α−イオノン、β−イオノン、及びプソイドイオノンを含むがこれらに限定されない。
このように、本発明は、(i)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸の産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、任意的に(ii)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸を回収するステップと、(iii)ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸をアポカロテノイドに変換するステップと、任意的に(iv)該アポカロテノイドを回収するステップとを含む、アポカロテノイド、即ちダマスコン、ダマセノン、及び/又はイオノンを産生する方法に関する。
ダマスコン、ダマセノン、及び/又はイオノンへのゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸の変換は、ゲラニルエステル、好ましくはメチルゲラナートへの、ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸の中間変換に関し得る。
好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、異種ゲラニオールシンターゼをコードする遺伝子を含み、上述のような、任意的に改良DXPシンターゼを伴う増強MEP経路、及び/又は、異種MEV経路を、任意的に示す。ゲラニオール、ゲラニアール、及び/又はゲラン酸をダマスコン、ダマセノン、及び/又はイオノンに変換する方法は、当業者には既知である。
また本発明は、(i)アポカロテノイド産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、任意的に(ii)アポカロテノイドを回収するステップとを含む、アポカロテノイドを産生する方法にも関する。
好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、リコペンβ−シクラーゼをコードする遺伝子が不活性化された上述のような組換え体であって、異種カロテノイド切断ジオキシゲナーゼ(CCD)をコードする遺伝子をさらに含む。該組換え体は、異種リコペンエプシロンシクラーゼをコードする遺伝子をさらに含んでもよい。任意的に、フィトエンシンターゼ及びフィトエンデサチュラーゼをコードする遺伝子も過剰発現され得る。組換えデイノコッカス細菌は、上述のような、任意的に改良DXPシンターゼを伴う増強MEP経路、及び/又は、異種MEV経路、及び/又は、FPPシンターゼの過剰発現を、さらに示すとよい。
また本発明は、(i)β−カロテン産生に適した条件下で本発明の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、(ii)β−カロテンを回収するステップと、(iii)β−カロテンをアポカロテノイドに変換するステップと、任意的に(iv)該アポカロテノイドを回収するステップと、を含む、アポカロテノイド、即ちダマスコン、ダマセノン、及び/又はイオノンを産生する方法にも関する。
ダマスコン、ダマセノン、プソイドイオノン、及び/又はイオノンなどのアポカロテノイドへの、β−カロテンの変換は、化学変換又は酵素変換であってよく、当業者には既知である。
好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は、任意的に改良DXPシンターゼを伴う増強MEP経路、及び/又は、異種MEV経路、及び/又は、FPPシンターゼの過剰発現を示す上述されたような組換え体である。任意的に、フィトエンシンターゼ及びフィトエンデサチュラーゼをコードする遺伝子も過剰発現され得る。
本発明は、(i)リコペン、α−、β−、及び/又はγ−カロテン産生に適した条件下で請求項13の組換えデイノコッカス細菌を培養するステップと、(ii)任意的にリコペン、α−、β−、及び/又はγ−カロテンを回収するステップと、(iii)リコペン、α−、β−、及び/又はγ−カロテンをアポカロテノイドに化学又は酵素変換するステップと、任意的に(iv)該アポカロテノイドを回収するステップと、を含む、アポカロテノイドを産生する方法にも関する。
好ましくは、組換えデイノコッカス細菌は上述のような組換え体であり、特に、異種CCDをコードする遺伝子を含む組換え体である。該組換え体は、任意的に改良DXPシンターゼを伴う増強MEP経路、及び/又は、異種MEV経路、及び/又は、FPPシンターゼの過剰発現をさらに示し得る。任意的に、フィトエンシンターゼ及びフィトエンデサチュラーゼをコードする遺伝子も過剰発現され得る。
本発明のさらなる態様や有利性は、例示的であり限定的するものではないと理解される以下の実施例に記載される。
<実施例1:ゲラニオール及びゲラン酸産生>
ゲラニオール及びゲラン酸を産生するために、デイノコッカス・ジオサーマリス(Deinococcus geothermalis)株を遺伝子的に改変した。オシマム・バジリカム(Ocimum basilicum)のゲラニオールシンターゼ(GES)をコードする異種遺伝子を、ホスホトランスアセチラーゼ(pta)遺伝子に代えて染色体に挿入した。GES遺伝子の発現は強力な構成的プロモータの制御下にあった。
種培養作製のため、個々のコロニーを採取し、主な炭素源として2%グルコースを含む25mlのCMG2%培地(ペプトン2g/L;酵母抽出物5g/L;グルコース55mM(20g/L);MOPS酸40mM;NH4Cl 20mM;NaOH 10mM;KOH 10mM;CaCl2.2H2O 0,5μM;Na2SO4.10H2O 0.276mM;MgCl2.6H2O 0.528mM;(NH4)6(Mo7)O24.4H2O 3nM;H3BO3 0.4μM;CoCl2.6H2O 30nM;CuSO4.5H2O 10nM;MnCl2 0.25μM;ZnSO4.7H2O 10nM;D−ビオチン 1μg/L;ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L;B6ビタミン 1μg/L;B1ビタミン;FeCl3 20μM;クエン酸ナトリウム.2H2O 20μM;K2HPO4 5,7mM)に播種し、250rpm、37℃で一晩培養した。そして、対数増殖期の種を、同様の25mlの新しい培地に、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、播種した。この第2の種培養を、250rpm、37℃で一晩培養した。
ゲラニオール産生のための培養を、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、25mlのミネラル合成培地(NH4)2SO4<100mM;NaH2PO4.H2O<10mM;KCl<10mM;Na2SO4<10mM;クエン酸<30mM;MgCl2.6H2O<10mM;CaCl2.2H2O<10mM;ZnCl2<50mg/L;FeSO4.7H2O<50mg/L;MnCl2.4H2O<50mg/L;CuSO4<50mg/L;CoCl2.6H2O<50mg/L;H3BO3<5mg/L;MES<200mM;(NH4)6Mo7O24.4H2O<0,5mM;グルコース<30g/L(166mM)に播種された対数増殖期から、48時間、250rpm、37℃でおこなった。
24時間の培養後、ゲラニオールが産生された(力価:2.01mg/L;1.5mg/g乾燥細胞重量(DCW);0.6mg/gのグルコース)(図1)。48時間の培養後、ゲラニオールが産生され(力価:3.9mg/L;0.5mg/gDCW;0.3mg/gのグルコース)、ゲラン酸が検出された(図2)。72時間の培養後、ゲラニオールが少々残存し、ゲラン酸の主要なピークが現れた(図3)。0.5mLの酢酸エチルを1mLの培養物と混合することで抽出をおこない、遠心分離により分離した。酢酸エチル相をGC質量分析(GC-MS)にて分析した。
このように、ゲラニオール産生を特定し、GC質量分析計において定量化した。検出装置として質量分析計を取り付けたGC−MS[アジレント7890A/5975、カラム:0.25mm×30m、0.25μm(HP−5MSウルトライナート)]を用いて、ガスクロマトグラフィをおこなった。GCMS分析は電子衝撃(EI)モード(70eV)のもとでおこなわれた。1μLの抽出物をパルス式スプリットレスモード(0.75分まで50psi)で注入した。スキャン範囲は50〜250m/zにわたった。エクスキャリバー(Xcalibur)システムを用いてデータを処理した。NISTライブラリを使用して特定をおこなった。ゲラニオールの標準曲線(図4)を、上述と同じ方法を用いて構築した。
ゲラン酸産生を特定し、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)において定量化した。アジレントC18poroshell、4.6×150mm−2.7μmカラム(EC−C18)とアセトニトリル/水(0.1%ぎ酸)移動相とを用いて、HPLCをおこなった。10μmの抽出物を注入した。ゲラン酸の標準曲線(図5)を、上述と同じ方法を用いて構築した。
<実施例2:リコペン産生>
リコペンを産生するために、デイノコッカス・ジオサーマリス株を遺伝子的に改変した。野生型細菌は、MEP経路を介してリコペンを合成するための関連遺伝子を含む。リコペンを産生する組換えD.ジオサーマリスを、カロテノイド経路の一部を妨害することで取得した、つまり、リコペンβ−シクラーゼ(EC5.5.1.19)(crtlm)遺伝子をノックアウトした。得られた構築物をシーケンシングにより確認した。
種培養作製のため、個々のコロニーを採取し、主な炭素源として2%グルコースを含む25mlのCMG2%培地(ペプトン2g/L;酵母抽出物5g/L;グルコース55mM(20g/L);MOPS酸40mM;NH4Cl 20mM;NaOH 10mM;KOH 10mM;CaCl2.2H2O 0,5μM;Na2SO4.10H2O 0.276mM;MgCl2.6H2O 0.528mM;(NH4)6(Mo7)O24.4H2O 3nM;H3BO3 0.4μM;CoCl2.6H2O 30nM;CuSO4.5H2O 10nM;MnCl2 0.25μM;ZnSO4.7H2O 10nM;D−ビオチン 1μg/L;ナイアシン(ニコチン酸)1μg/L;B6ビタミン 1μg/L;B1ビタミン;FeCl3 20μM;クエン酸ナトリウム.2H2O 20μM;K2HPO4 5,7mM)に播種し、250rpm、37℃で一晩培養した。そして、対数増殖期の種を、同様の25mlの新しい培地に、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、播種した。この第2の種培養を、250rpm、37℃又は45℃で一晩培養した。
リコペン産生のための培養を、600nmでの初期光学密度(OD600)が10で、25mlのミネラル合成培地(NH4)2SO4<100mM;NaH2PO4.H2O<10mM;KCl<10mM;Na2SO4<10mM;クエン酸<30mM;MgCl2.6H2O<10mM;CaCl2.2H2O<10mM;ZnCl2<50mg/L;FeSO4.7H2O<50mg/L;MnCl2.4H2O<50mg/L;CuSO4<50mg/L;CoCl2.6H2O<50mg/L;H3BO3<5mg/L;MES<200mM;(NH4)6Mo7O24.4H2O<0,5mM;グルコース<30g/L(166mM)に播種された対数増殖期から、48時間、250rpm、37℃又は45℃でおこなった。
24時間の培養後、リコペン産生株は31のOD600であった。リコペンは、力価4.2mg/L、0.5mg/g乾燥細胞重量(DCW)の収量、及び0.3mg/gのグルコースで産生された。1mLの培養物を遠心分離し、0.9mLのアセトンとペレットとを混合してリコペン抽出をおこなった。アセトン相をOD472nmでの吸光度により分析した(図6)。最後に、リコペン標準物質(standard)の希釈により、リコペン濃度を測定した。
<実施例3:FPPシンターゼの過剰発現>
デイノコッカス・ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)遺伝子(配列番号46)を、強力な構成的プロモータの制御下で、実施例1のオシマム・バジリカムのGESを発現する組換えD.ジオサーマリスと実施例2のリコペンを産生する組換えD.ジオサーマリスとのゲノムに挿入した。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。
種培養作製のため、個々のコロニーを採取し、主な炭素源として2%グルコースを含む25mlのCMG2%培地(ペプトン2g/L;酵母抽出物5g/L;グルコース55mM(20g/L);MOPS酸40mM;NH4Cl 20mM;NaOH 10mM;KOH 10mM;CaCl2.2H2O 0,5μM;Na2SO4.10H2O 0.276mM;MgCl2.6H2O 0.528mM;(NH4)6(Mo7)O24.4H2O 3nM;H3BO3 0.4μM;CoCl2.6H2O 30nM;CuSO4.5H2O 10nM;MnCl2 0.25μM;ZnSO4.7H2O 10nM;D−ビオチン 1μg/L;ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L;B6ビタミン 1μg/L;B1ビタミン;FeCl3 20μM;クエン酸ナトリウム.2H2O 20μM;K2HPO4 5,7mM)に播種し、250rpm、37℃で一晩培養した。そして、対数増殖期の種を、同様の25mlの新しい培地に、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、播種した。この第2の種培養を、250rpm、37℃で一晩培養した。
ゲラニオール産生のための培養を、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で25mlのミネラル合成培地(NH4)2SO4<100mM;NaH2PO4.H2O<10mM;KCl<10mM;Na2SO4<10mM;クエン酸<30mM;MgCl2.6H2O<10mM;CaCl2.2H2O<10mM;ZnCl2<50mg/L;FeSO4.7H2O<50mg/L;MnCl2.4H2O<50mg/L;CuSO4<50mg/L;CoCl2.6H2O<50mg/L;H3BO3<5mg/L;MES<200mM;(NH4)6Mo7O24.4H2O<0,5mM;グルコース<30g/L(166mM)に播種された対数増殖期から、24時間及び48時間、250rpm、37℃又は45℃でおこなった。
リコペン産生のための培養を、上述と同様のプロトコルに従っておこなった。600nmでの初期光学密度(OD600)が10であることが違いである。
発明者等は、FPPシンターゼの過剰発現がリコペン産生を大きく増大させた(図7)ことを確認した。反対に、ゲラニオール産生は著しく低下した(図8)。
<実施例4:MEP酵素の過剰発現>
Deinococcus yunweiensisからの1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸シンターゼ(DXS)遺伝子(配列番号3)、1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸レダクトイソメラーゼ(DXR)遺伝子(配列番号36)、2−C−メチル−D−エリトリトール4−リン酸シチジルトランスフェラーゼ(IspD)遺伝子(配列番号19)、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールキナーゼ(IspE)遺伝子(配列番号40)、2−C−メチル−D−エリトリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼ(IspF)遺伝子(配列番号23)、(E)−4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エニル−二リン酸シンターゼ(IspG)遺伝子(配列番号27)、4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エニル二リン酸レダクターゼ(IspH)遺伝子(配列番号44)、又は、4−ヒドロキシ−3−メチルブタ−2−エニル−二リン酸レダクターゼ(IDI)遺伝子(配列番号31)を、強力な構成的プロモータの制御下において、実施例1に記載の、オシマム・バジリカムのGESを発現する組換えD.ジオサーマリス細菌の染色体に挿入した。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。
種培養作製のため、個々のコロニーを採取し、主な炭素源として2%グルコースを含む25mlのCMG2%培地(ペプトン2g/L;酵母抽出物5g/L;グルコース55mM(20g/L);MOPS酸40mM;NH4Cl 20mM;NaOH 10mM;KOH 10mM;CaCl2.2H2O 0,5μM;Na2SO4.10H2O 0.276mM;MgCl2.6H2O 0.528mM;(NH4)6(Mo7)O24.4H2O 3nM;H3BO3 0.4μM;CoCl2.6H2O 30nM;CuSO4.5H2O 10nM;MnCl2 0.25μM;ZnSO4.7H2O 10nM;D−ビオチン 1μg/L;ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L;B6ビタミン 1μg/L;B1ビタミン;FeCl3 20μM;クエン酸ナトリウム.2H2O 20μM;K2HPO4 5,7mM)に播種し、250rpm、37℃で一晩培養した。そして、対数増殖期の種を、同様である25mlの新しい培地に、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、播種した。この第2の種培養を、250rpm、37℃で一晩培養した。
ゲラニオール産生のための培養を、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で25mlのミネラル合成培地(NH4)2SO4<100mM;NaH2PO4.H2O<10mM;KCl<10mM;Na2SO4<10mM;クエン酸<30mM;MgCl2.6H2O<10mM;CaCl2.2H2O<10mM;ZnCl2<50mg/L;FeSO4.7H2O<50mg/L;MnCl2.4H2O<50mg/L;CuSO4<50mg/L;CoCl2.6H2O<50mg/L;H3BO3<5mg/L;MES<200mM;(NH4)6Mo7O24.4H2O<0,5mM;グルコース<30g/L(166mM)に播種された対数増殖期から、48時間、250rpm、37℃でおこなった。
発明者等は、少なくとも1つのMEP酵素の過剰発現が、本明細書においてイソプレノイド産生のマーカとして用いられるゲラニオール産生を大きく増大させたことを確認した(図9)。
<実施例5:Deinococcus yunweiensisの改良DXS酵素>
Deinococcus yunweiensisの1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸シンターゼ(DXS)遺伝子(配列番号3)を、強力な構成的プロモータの制御下において、実施例1に記載のオシマム・バジリカムのGESを発現する組換えD.ジオサーマリス細菌の、内在性dxs遺伝子に代えて染色体に挿入した。部位特異的突然変異誘発をおこなって、R238C突然変異体(配列番号13及び14)を取得した。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。
種培養作製のため、個々のコロニーを採取し、主な炭素源として2%グルコースを含む25mlのCMG2%培地(ペプトン2g/L;酵母抽出物5g/L;グルコース55mM(20g/L);MOPS酸40mM;NH4Cl 20mM;NaOH 10mM;KOH 10mM;CaCl2.2H2O 0,5μM;Na2SO4.10H2O 0.276mM;MgCl2.6H2O 0.528mM;(NH4)6(Mo7)O24.4H2O 3nM;H3BO3 0.4μM;CoCl2.6H2O 30nM;CuSO4.5H2O 10nM;MnCl2 0.25μM;ZnSO4.7H2O 10nM;D−ビオチン 1μg/L;ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L;B6ビタミン 1μg/L;B1ビタミン;FeCl3 20μM;クエン酸ナトリウム.2H2O 20μM;K2HPO4 5,7mM)に播種し、250rpm、37℃で一晩培養した。そして、対数増殖期の種を、同様である25mlの新しい培地に、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、播種した。この第2の種培養を、250rpm、37℃で一晩培養した。
ゲラニオール産生のための培養を、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、25mlのミネラル合成培地(NH4)2SO4<100mM;NaH2PO4.H2O<10mM;KCl<10mM;Na2SO4<10mM;クエン酸<30mM;MgCl2.6H2O<10mM;CaCl2.2H2O<10mM;ZnCl2<50mg/L;FeSO4.7H2O<50mg/L;MnCl2.4H2O<50mg/L;CuSO4<50mg/L;CoCl2.6H2O<50mg/L;H3BO3<5mg/L;MES<200mM;(NH4)6Mo7O24.4H2O<0,5mM;グルコース<30g/L(166mM)に播種された対数増殖期から、48時間、250rpm、37℃でおこなった。
図10に示されるように、突然変異R238Cの導入によるDXSの改良が、本明細書においてイソプレノイド産生のマーカとして用いられるゲラニオール産生を著しく増大させる。
<実施例6:デイノコッカス・ラディオピュグナンス(Deinococcus radiopugnans)の改良DXS酵素>
デイノコッカス・ラディオピュグナンスの1−デオキシ−D−キシルロース5−リン酸シンターゼ(DXS)をコードする遺伝子(配列番号52)、又は該酵素のR244C突然変異体(配列番号8)をコードする遺伝子を、強力な構成的プロモータの制御下において、実施例1に記載のオシマム・バジリカムのGESを発現する組換えD.ジオサーマリス細菌の、内在性dxs遺伝子に代えて染色体に挿入した。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。種培養とゲラニオール産生のための培養とは実施例5に詳細に記載されるようにおこなわれた。
図11に示されるように、突然変異R244Cの導入による、デイノコッカス・ラディオピュグナンスのDXSの改良が、本明細書においてイソプレノイド産生のマーカとして用いられるゲラニオール産生を著しく増大させる。
<実施例7:D.ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼのK170G突然変異体>
D.ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)遺伝子、又は部位特異的突然変異誘発によって取得された、該酵素のK170G突然変異体をコードする遺伝子を、実施例1に記載のオシマム・バジリカムのGESを発現する組換えD.ジオサーマリス細菌において、FPPSをコードする内在性遺伝子に代えて染色体に挿入した。野生型及び突然変異型のD.ジオサーマリスFPPS遺伝子を共に構成的プロモータの制御下に置いた。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。種培養とゲラニオール産生のための培養とは実施例5に詳細に記載されるようにおこなわれた。
図12に示されるように、D.ジオサーマリスFPPSの突然変異K170Gが、GPPを介した炭素流のリダイレクションをもたらし、ゲラニオール産生を大きく増大させる。
<実施例8:改良DXS酵素との組合せにおけるMEP酵素の過剰発現>
Deinococcus yunweinensisのDXS酵素のR238C突然変異体をコードする遺伝子を、構成的プロモータの制御下において、実施例1に記載のオシマム・バジリカムのGESを発現する組換えD.ジオサーマリスのアミラーゼ(amy)遺伝子に代えて染色体に挿入した。D.ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)遺伝子のK170G突然変異体をコードする遺伝子も、内在性ispA遺伝子に代えて染色体に挿入された。FDPS遺伝子の過剰発現は構成的プロモータの制御下にあった。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。
Deinococcus yunweiensisのMEP経路遺伝子、dxr遺伝子(配列番号36)、ispD遺伝子(配列番号19)、ispE遺伝子(配列番号40)、ispF遺伝子(配列番号23)、ispG遺伝子(配列番号27)、及びidi遺伝子(配列番号31)のそれぞれを、強力な構成的プロモータの制御下において、D.ジオサーマリスFDPS(K170G突然変異体)とD.yunweiensisDXS(R238C突然変異体)とを発現するD.ジオサーマリス株において発現させた。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。種培養とゲラニオール産生のための培養とは実施例5に詳細に記載されるようにおこなわれた。
図13に示されるように、突然変異されたDXS及びIDIの過剰発現は、他の組合せと比較してゲラニオール産生を著しく増大させた。
<実施例9:ビサボロール産生>
ビサボロールを産生するため、デイノコッカス・ジオサーマリス株を遺伝子的に改変した。ストレプトマイセス・シトリカラー(Streptomyces citricolor)の(+)−epi−α−ビサボロールシンターゼをコードする異種遺伝子を、ホスホトランスアセチラーゼ(pta)遺伝子に代えて染色体に挿入した。epi−α−ビサボロールシンターゼ遺伝子の発現を構成的プロモータの制御下でおこなった。
種培養作製のため、個々のコロニーを採取し、主な炭素源として2%グルコースを含む25mlのCMG2%培地(ペプトン2g/L;酵母抽出物5g/L;グルコース55mM(20g/L);MOPS酸40mM;NH4Cl 20mM;NaOH 10mM;KOH 10mM;CaCl2.2H2O 0,5μM;Na2SO4.10H2O 0.276mM;MgCl2.6H2O 0.528mM;(NH4)6(Mo7)O24.4H2O 3nM;H3BO3 0.4μM;CoCl2.6H2O 30nM;CuSO4.5H2O 10nM;MnCl2 0.25μM;ZnSO4.7H2O 10nM;D−ビオチン 1μg/L;ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L;B6ビタミン 1μg/L;B1ビタミン;FeCl3 20μM;クエン酸ナトリウム.2H2O 20μM;K2HPO4 5,7mM)に播種し、250rpm、37℃で一晩培養した。そして、対数増殖期の種を、同様の25mlの新しい培地に、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、播種した。この第2の種培養を、250rpm、37℃で一晩培養した。ビサボロール産生のための培養を、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、25mlのミネラル合成培地(NH4)2SO4<100mM;NaH2PO4.H2O<10mM;KCl<10mM;Na2SO4<10mM;クエン酸<30mM;MgCl2.6H2O<10mM;CaCl2.2H2O<10mM;ZnCl2<50mg/L;FeSO4.7H2O<50mg/L;MnCl2.4H2O<50mg/L;CuSO4<50mg/L;CoCl2.6H2O<50mg/L;H3BO3<5mg/L;MES<200mM;(NH4)6Mo7O24.4H2O<0,5mM;グルコース<30g/L(166mM)に播種された対数増殖期から、48時間、250rpm、37℃でおこなった。
ビサボロール産生を特定し、ゲラニオールについて実施例1に記載されたようにGC質量分析計において定量化した。
図14に示されるように、D.ジオサーマリスにおけるストレプトマイセス・シトリカラーのビサボロールシンターゼの発現により、ビサボロール産生がもたらされた(3.6mg/L)。
<実施例10:リコぺンの産生向上>
実施例2に前述されたように、リコペン産生のためにデイノコッカス・ジオサーマリス株を遺伝子的に改変した。D.yunweinensisのDXS酵素のR238C突然変異体をコードする遺伝子と、D.yunweinensisのIDIをコードする遺伝子とを、構成的プロモータの制御下において、D.ジオサーマリスcrtlm−株の染色体に導入した。種培養とリコペン産生のための培養とは実施例2に詳細に記載されたようにおこなわれた。
図15に示されるように、D.ジオサーマリスcrtlm−株がIDIと突然変異体DXSとを過剰発現するときにリコペン産生は2倍多い。
<実施例11:D.ジオサーマリスにおける異なる由来のGESの発現>
デイノコッカス・ジオサーマリス株は、フィラ・ドゥルキス(Phyla dulcis)又はヒヨコマメ(シサー・アリティナム(Cicer arietinum))のゲラニオールシンターゼ(GES)をコードする異種遺伝子を、ホスホトランスアセチラーゼ(pta)遺伝子に代えて染色体に挿入することによって、実施例1に前述されたように遺伝子的に改変された。GES遺伝子の発現は強力な構成的プロモータの制御下にあった。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。種培養とゲラニオール産生のための培養とは実施例1に詳細に記載されるようにおこなわれた。
図16に示されるように、フィラ・ドゥルキス又はヒヨコマメ(シサー・アリティナム)のGESの発現もゲラニオール産生をもたらした。
<実施例12:カロテノイド産生>
強力なプロモータの制御下におけるデイノコッカス・ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)遺伝子(配列番号46)を含む発現カセットを、D.ジオサーマリス株のゲノムに挿入した。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。
種培養作製のため、個々のコロニーを採取し、主な炭素源として2%グルコースを含む25mlのCMG2%培地(ペプトン2g/L;酵母抽出物5g/L;グルコース55mM(20g/L);MOPS酸40mM;NH4Cl 20mM;NaOH 10mM;KOH 10mM;CaCl2.2H2O 0,5μM;Na2SO4.10H2O 0.276mM;MgCl2.6H2O 0.528mM;(NH4)6(Mo7)O24.4H2O 3nM;H3BO3 0.4μM;CoCl2.6H2O 30nM;CuSO4.5H2O 10nM;MnCl2 0.25μM;ZnSO4.7H2O 10nM;D−ビオチン 1μg/L;ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L;B6ビタミン 1μg/L;B1ビタミン;FeCl3 20μM;クエン酸ナトリウム.2H2O 20μM;K2HPO4 5,7mM)に播種し、250rpm、45℃で一晩培養した。そして、対数増殖期の種を、同様である25mlの新しい培地に、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、播種した。この第2の種培養を、250rpm、45℃で一晩培養した。
カロテノイド産生のための培養を、600nmでの初期光学密度(OD600)が0.4で、25mlのミネラル合成培地(NH4)2SO4<100mM;NaH2PO4.H2O<10mM;KCl<10mM;Na2SO4<10mM;クエン酸<30mM;MgCl2.6H2O<10mM;CaCl2.2H2O<10mM;ZnCl2<50mg/L;FeSO4.7H2O<50mg/L;MnCl2.4H2O<50mg/L;CuSO4<50mg/L;CoCl2.6H2O<50mg/L;H3BO3<5mg/L;MES<200mM;(NH4)6Mo7O24.4H2O<0,5mM;グルコース<30g/L(166mM)に播種された対数増殖期から、48時間、250rpm、45℃でおこなった。
25mLの培養物を遠心分離して、ペレットと25mLのエタノールとを混合することでカロテノイド抽出をおこなった。デイノキサンチン(deinoxanthin)のスペクトルを350nm〜600nmの吸光度を測定することで取得し、乾燥細胞重量(DCW)でノーマライズした(図17)。薄いグレー色のスペクトラムは、デイノキサンチン標準物質(D.ラディオデュランスから抽出された精製デイノキサンチン)に相当する。
図17及び図18に示されるように、D.ジオサーマリスの内在性ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)の過剰発現は、野生型株(WT)と比較して2倍、デイノキサンチン産生を著しく増大させた。このデイノキサンチン産生の増大は、野生型株と比較してFPPSを過剰発現する濃いピンク色のD.ジオサーマリスと関連がある(図18)。
<実施例13:シネオール(cineole)産生>
シネオールを産生するため、デイノコッカス・ジオサーマリス株を遺伝子的に改変した。ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)の1,8シネオールシンターゼ(CnsA)をコードする異種遺伝子を、ホスホトランスアセチラーゼ(pta)遺伝子に代えて染色体に挿入した。1,8シネオールシンターゼ遺伝子の発現は構成的プロモータの制御下でおこなわれた。D.ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)遺伝子のK170G突然変異体を、内在性fdpsに代えて染色体に挿入した。FDPS遺伝子の過剰発現は構成的プロモータの制御下でおこなわれた。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。種培養とシネオール産生のための培養とは実施例1に詳細に記載されたようにおこなわれた。24時間又は48時間の成長後、1mLの培養物を0.5mLの酢酸エチルで抽出した。有機相をGCMSで分析した。シネオール産生を特定し、ゲラニオールについて実施例1に記載されたようにGC質量分析計において定量化した。
図19に示されるように、1,8シネオールシンターゼを挿入することにより、組換えD.ジオサーマリスによるシネオール産生がもたらされた。
<実施例14:リモネン産生>
リモネン産生のため、デイノコッカス・ジオサーマリス株を遺伝子的に改変した。異種遺伝子は、ナガバハッカ(メンタ・ロンギフォリア(Mentha longifolia)のリモネンシンターゼ(LS)(GenBank:AAD50304.1)遺伝子をコードする。GFPに融合されたナガバハッカ(M.ロンギフォリア)のLScDNAを、ホスホトランスアセチラーゼ(pta)遺伝子に代えて染色体に挿入した。LS遺伝子の過剰発現は構成的プロモータの制御下でおこなわれた。D.ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)遺伝子のK170G突然変異体を、内在性fdpsに代えて染色体に挿入した。FDPS遺伝子の過剰発現は構成的プロモータの制御下でおこなわれた。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。種培養とリモネン産生のための培養とは実施例1に詳細に記載されたようにおこなわれた。24時間又は48時間の成長後、1mLの培養物を0.5mLの酢酸エチルで抽出した。有機相をGCMSで分析した。リモネン産生を特定し、ゲラニオールについて実施例1に記載されたようにGC質量分析計において定量化した。
図20に示されるように、リモネンシンターゼを挿入することにより、組換えD.ジオサーマリスによるリモネンシ産生がもたらされた。
<実施例15:リナロール産生>
リナロール産生のため、デイノコッカス・ジオサーマリス株を遺伝子的に改変した。異種遺伝子は、エゴマ(ペリラ・フルテセンス(Perilla frutescens)のリナロールシンターゼ(LIS)遺伝子をコードする。GFPに融合されたLISのcDNAを、ホスホトランスアセチラーゼ(pta)遺伝子に代えて染色体に挿入した。LIS遺伝子の過剰発現は構成的プロモータの制御下でおこなわれた。D.ジオサーマリスのファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)遺伝子のK170G突然変異体を、内在性fdpsに代えて染色体に挿入した。FDPS遺伝子の過剰発現は構成的プロモータの制御下でおこなわれた。得られた構築物をシーケンシングにて確認した。種培養とリナロール産生のための培養とは実施例1に詳細に記載されたようにおこなわれた。リナロール産生を特定し、ゲラニオールについて実施例1に記載されたようにGC質量分析計において定量化した。
図21に示されるように、リナロールシンターゼを挿入することにより、組換えD.ジオサーマリスによるリナロール産生がもたらされた。
[参考文献]
Attiaet al. Arch Biochem Biophys. 2012 Nov 1;527(1):37-44
Blanchardand Karst, Gene. 1993 Mar 30;125(2):185-9.
Brownet al. J. Bacteriol. 2010 vol. 192, no 9, 2424-2433
Carteret al., Phytochemistry, 2003, 64:425-433
Degenhardtand Gershenzon. Planta. 2000 Apr;210(5):815-22.
DelTerra et al. Phytochemistry. 2013 May;89:6-14.
Herreroet al. Metab Eng 2008, 10:78-86
Lecointe,et al. 2004. Mol Microbiol 53: 1721-1730.
Loiset al. PNAS, USA 1998;95:2105-2110.
Martinet al. BMC Plant Biol. 2010 Oct 21;10:226.
Meimaet al. 2001. J Bacteriol 183: 3169-3175.
Sivyet al. Biosci Biotechnol Biochem. 2011;75(12):2376-83
Aharoniet al., 2004. The Plant cell, 16(11), pp.3110-31.
Chenet al, 2003. The Plant Cell, 15(2), pp.481-494.
Crowellet al., 2002. Archives of biochemistry and biophysics, 405(1), pp.112-21.
Donget al., 2013. Metabolic engineering, 20C, pp.198-211.
Dudarevaet al., 1996. The Plant cell, 8(7), pp.1137-48.
Feinbergand Vogelstein, 1983, Anal. Biochem. 132:6-13
Fischeret al., 2011. Biotechnology and Bioengineering, Vol. 108, No. 8, pp.1883-1892.
Galataet al., Phytochemistry 102, 64-73 (2014)
Herreroet al 2008. Metabolic engineering, 10(2), pp.78-86.
Hesset al., 2013. PloS one, 8(6), p.e66104.
Iijima,et al., 2004. Plant physiology, 136(3), pp.3724-36.
Iijima,et al, 2004. Plant. 134(January), pp.370-379.
Jia,et al., 1999. Archives of biochemistry and biophysics, 372(1), pp.143-9.
Landmann,et al., 2007. Archives of biochemistry and biophysics, 465(2), pp.417-29.
Lehning,et al 1999. Plant, Cell & Environment. Volume 22, Issue 5, pages 495-504
Liu,J. et al., 2013. Journal of biotechnology, 168(4), pp.446-451.
Lv,et al., 2013. Applied microbiology and biotechnology, 97(6), pp.2357-65.
Masumotoet al., Phytochemistry 71 (10), 1068-1075 (2010)
Miller,et al, 2001. Planta, 213(3), pp.483-487.
Nakano,et al, 2011. ChemBioChem, 12(16), pp.2403-7.
Nakano,et al, ChemBioChem 2011, 12, 1988 - 1991
Nakano,et al, 2011. Chembiochem. Oct 17;12(15):2271-5.
Picherskyet al, 1995. Archives of biochemistry and biophysics, 316(2), pp.803-807..
Rico,et al, 2010. Applied and environmental microbiology, 76(19), pp.6449-54.
Sharkeyet al, 2005. Plant Physiol. 137(2), pp.700-12.
Sitritet al., 2004. Plant Science, 167(6), pp.1257-1262.
Sugiura,et al., 2011. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 75(7), pp.1245-1248.
Whitedet al. IndBiotechnol 2010;6:152-63.
Yang,et al., 2012. Bioresource Technology, 104(C), pp.642-647.
Yang,et al., 2012. PloS one, 7(4), p.e33509.
Yang,et al., 2005. Phytochemistry, 66(3), pp.285-93.
Zhou,et al., 2013. Journal of biotechnology, 169, pp.42-50.