JP6983150B2 - 治療剤を含む治療用ナノ粒子ならびにそれを作製および使用する方法 - Google Patents

治療剤を含む治療用ナノ粒子ならびにそれを作製および使用する方法 Download PDF

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Description

関連出願への相互参照
本出願は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2015年8月21日出願の米国仮出願第62/208,361号、2015年10月7日出願の米国仮出願第62/238,400号、2015年10月16日出願の米国仮出願第62/242,515号、2016年1月15日出願の米国仮出願第62/279,295号、および2016年6月13日出願の同第62/349,377号の優先権および利益を主張する。
患者へのある種の薬物を送達する(例えば、特定の組織もしくは細胞型を標的とするか、または正常組織ではなく特定の患部組織を標的とする)か、または薬物の放出を制御する系は、有益であると長い間認識されてきた。
例えば、活性薬物を含み、かつ例えば、特定の組織もしくは細胞型を標的とするか、または正常組織ではなく特定の患部組織を標的とする治療法は、標的とされていない体の組織における薬物の量を低減し得る。周囲の非がん組織を死滅させることなしに細胞毒性用量の薬物ががん細胞に送達されることが望ましい状態、例えば、がんを処置するときに、これは特に重要である。有効な薬物標的化は、抗がん療法においては一般的である、望ましくなく、時には生命を危うくする副作用を低減し得る。さらに、このような治療法は、薬物がその他の治療法では到達することができないある種の組織に到達することを可能にし得る。
制御放出および/または標的療法を実現する治療法はまた、有効量の薬物を送達できなければならないが、これは他のナノ粒子送達系において公知の制限である。例えば、ナノ粒子のサイズを、有利な送達特性を有するのに十分に小さく保つ一方で、各ナノ粒子と会合する適当な量の薬物を有するナノ粒子系を調製することは挑戦であり得る。
治療用siRNA、mRNA、またはアンチセンスなどの核酸の治療送達には、効率的で非毒性の送達方法が必要である。しかし、例えば、ヌクレアーゼによる核酸の分解、および/または細胞もしくは核への有効な輸送の不備を含め、そうした送達にはかなりの難題が立ちはだかる。核酸を含むナノ粒子製剤にとっては、往々にして、望ましくない特性、例えば、破裂放出プロファイルや核酸の分解が支障となる。
したがって、ナノ粒子治療法、および核酸分子を細胞へ送達し、その間核酸分子の分解も防ぐことのできるナノ粒子を作製する方法が求められている。
本明細書では、核酸と疎水性対イオンとを含む、治療用かつ/または薬学的に許容できるポリマーナノ粒子、ならびにそのようなナノ粒子を作製および使用する方法が記載される。例えば、本明細書では、核酸および疎水性対イオン剤と、約50〜約99.75重量パーセントのジブロックポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはジブロックポリ(乳酸−co−グリコール酸)−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーを含む薬学的に許容できるナノ粒子が提供される。疎水性対イオン剤は、例えば、エンドソームおよび/またはリソソーム破壊剤(例えば、エンドリソソーム破壊剤(endo−lysosomal disrupting agent))でよい。
企図されるナノ粒子は、アンチセンス化合物、mRNA、短鎖干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA(sno−RNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、および短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)分子を含む群から選択されるものなどの核酸を含み得る。例えば、企図される核酸は、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンス)、アプタマー、ベクター、トレオース核酸、グリコール核酸(GNA)、およびロックド核酸(LNA)である場合がある。一部の実施形態では、ナノ粒子は、修飾されていない核酸を含む。
一部の態様では、核酸と、logPが約2以上である、例えば、logPが約2〜約3の間である疎水性対イオン剤とを含むナノ粒子が、本明細書において提供される。
ナノ粒子は、1個の核酸分子または複数の核酸分子を含む場合があると理解すべきである。複数の核酸分子は、1または複数のタイプまたは種類の核酸分子を含む場合もある。例えば、ナノ粒子は、miRNAおよびshRNAの両方を含む場合もある。
開示されているナノ粒子を形成するためのエマルジョンプロセスについてのフローチャートである。 開示されているエマルジョンプロセスについての流れ図である。 開示されているエマルジョンプロセスについての流れ図である。 (ssDNAなどの)核酸ヌクレアーゼ安定性アッセイについてのフローチャートである。 開示されているナノ粒子を形成するためのエマルジョンプロセスについてのフローチャートである。 in vitro放出アッセイについて、色素による定量とHPLCによる定量の比較を示すグラフである。 対イオンまたはエンドリソソーム剤としてジドデシルアンモニウムブロミドを表示された対イオン剤対オリゴヌクレオチド比で含有するナノ粒子について、オリゴヌクレオチドのin vitro放出を経時的に示すグラフである。 対イオンまたはエンドリソソーム剤としてクロルプロマジンを表示された対イオン剤対オリゴヌクレオチド比で含有するナノ粒子について、オリゴヌクレオチドのin vitro放出を経時的に示すグラフである。 核酸および表示された対イオンまたはエンドリソソーム離脱剤が添加されたナノ粒子についてのゼータ電位を示すグラフである。 ナノ粒子にカプセル化されたssDNAのヌクレアーゼ分解に対する安定性を、むき出しのssDNAと比較して示すグラフである。 エンドリソソーム破壊剤などの企図される疎水性対イオン剤を含む図である。 エンドリソソーム破壊剤などの企図される疎水性対イオン剤を含む図である。 エンドリソソーム破壊剤などの企図される疎水性対イオン剤を含む図である。 エンドリソソーム破壊剤などの企図される疎水性対イオン剤を含む図である。 エンドリソソーム破壊剤などの企図される疎水性対イオン剤を含む図である。 エンドリソソーム破壊剤などの企図される疎水性対イオン剤を含む図である。 微細エマルジョン後に対イオンを加えてからオリゴを加える調製法を使用して調製したナノ粒子についての放出プロファイルを示すグラフである。 対イオンとしてエチルラウロイルアルギネートを表示された対イオン剤対オリゴヌクレオチド比で含有するナノ粒子について、オリゴヌクレオチドのin vitro放出を経時的に示すグラフである。 対イオンとしてリールアミンを表示された対イオン剤対オリゴヌクレオチド比で含有するナノ粒子について、オリゴヌクレオチドのin vitro放出を経時的に示すグラフである。 ASO−対イオンナノ粒子についての放出プロファイルを示すグラフである。 ウエスタンブロット結果を示す図である。 ウエスタンブロット結果を示す図である。 遊離ASO対ナノ粒子製剤1、2、3、および4について、ナノ粒子からASOが放出されて24時間後の用量応答プロファイルを示すグラフである。 遊離ASO対ナノ粒子製剤1、2、3、および4について、ナノ粒子からASOが放出されて48時間後の用量応答プロファイルを示すグラフである。 遊離ASO対ナノ粒子製剤1、2、3、および4について、ナノ粒子からASOが放出されて72時間後の用量応答プロファイルを示すグラフである。 37℃で24、48、および72時間インキュベート後にナノ粒子から放出されたASOの相対百分率を算出するために使用した、遊離ASO処理群に対する各ナノ粒子製剤について算出したIC50値を示すグラフである。 蛍光標識された、ホレートで標的化されたナノ粒子の内部移行および相対的な細胞内局在(矢印によって赤色で示される)、リソソーム(矢印によって緑色で示される)、および細胞核(矢印によって青色で示される)を示す、KB細胞(類表皮癌)の蛍光顕微鏡写真である。 0分、15分、および60分における、結合したホレート標的化ナノ粒子の内部移行パーセントを示すグラフである。 細胞アッセイの結果を示すグラフである。図18Aは、Incucyte(登録商標)生細胞分析システムによって測定した相対eGFP蛍光の結果を示す。 細胞アッセイの結果を示すグラフである。図18Bには、リアルタイムPCR転写結果を報告する。 遊離siRNAを用いて行った細胞アッセイの結果を示すグラフである。 PTNP−siRNAを用いて行った細胞アッセイの結果を示すグラフである。 B890−siRNAを用いて行った細胞アッセイの結果を示すグラフである。 78時間における種々のsiRNA製剤での細胞アッセイの結果を示すグラフである。 78時間における種々のsiRNA製剤での細胞アッセイの結果を示すグラフである。 78時間における種々のsiRNA製剤での細胞アッセイの結果を示すグラフである。 78時間における種々のsiRNA製剤での細胞アッセイの結果を示すグラフである。 細胞アッセイの結果、特に、細胞アッセイにおける、未処理細胞についての0および88時間での蛍光を示す像である。 細胞アッセイの結果、特に、細胞アッセイにおける、B890−siRNAナノ粒子およびドキセピンについての0および88時間での蛍光を示す像である。
本明細書では、核酸を含むポリマーナノ粒子、ならびにそのような治療用ナノ粒子を作製および使用する方法が開示される。一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、核酸分子と、エンド−リソソーム破壊剤などの疎水性対イオンとを含むイオン対を含む。例えば、そのような開示されているナノ粒子は、有効なトランスフェクションを実現し得る。さらに、ある特定の実施形態では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含む、かつ/またはその存在下で調製されたナノ粒子は、核酸分子完全性の向上を示し得る。例えば、核酸を含む開示されているナノ粒子は、例えば患者に投与されると、有効なトランスフェクションを実現することに加えて、核酸分解を実質的に防止し得る。
理論に束縛されるものではないが、少なくとも1種の核酸を含む開示されているナノ粒子は、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤とのイオン対の形成により、核酸完全性および/または核酸のトランスフェクションがかなり向上していると考えられる。用語「イオン対」は、1:1の比に限定されず、それよりも、互いに結びつく任意の比の、逆の電荷のイオンを指すと理解すべきである。例えば、8の負電荷を有する核酸分子は、正電荷を帯びた8個の分子と「対をなす」ことができる。したがって、本明細書で使用するとき、「イオン対」とは、クーロン引力によってまとまった、逆の電荷を帯びた一対のイオンである。本明細書で企図されるイオン対形成によって、例えば、薬物添加量が増加しているナノ粒子を得ることができる。例えば一部の実施形態では、水溶液への核酸の溶解性が低下するために、ナノ粒子からの核酸の放出をより緩徐にすることもできる。さらに、核酸を大きい疎水性対イオンと複合させることで、核酸のポリマーマトリックス内での拡散を緩やかにすることもできる。イオン対は、本明細書では、複合体と呼ぶ場合もあることを留意すべきである。有利なことに、イオン対形成は、疎水性基の治療剤への共有結合によるコンジュゲーションを必要とせずに起こる。
理論に束縛されるものではないが、イオン対の強度は、企図されるナノ粒子の薬物添加量および放出速度に影響すると考えられる。例えば、イオン対の強度は、以下でより詳細に論じるとおり、核酸のpKとエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤のpKの差の大きさを広げることにより高めることができる。また、理論に束縛されるものではないが、イオン対形成の条件も、企図されるナノ粒子の薬物添加量および放出速度に影響すると考えられる。
本明細書において開示されているナノ粒子は、1種、2種、3種またはそれ超の生体適合性および/または生分解性ポリマーを含み得る。例えば、企図されるナノ粒子は、約35〜約99.75重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約99.75重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約99.5重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約99重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約98重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約97重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約96重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約95重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約94重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約93重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約92重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約91重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約90重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約85重量パーセント、一部の実施形態では、約60〜約85重量パーセント、一部の実施形態では、約65〜約85重量パーセント、および一部の実施形態では、約50〜約80重量パーセントの生分解性ポリマーおよびポリ(エチレングリコール)(PEG)を含む1種または複数のブロックコポリマー、ならびに約0〜約50重量パーセントの生分解性ホモポリマーを含み得る。
開示されているナノ粒子は、核酸を含み得る。核酸という用語は、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているまたは組み込むことのできるいずれの化合物および/または物質も含み得る。開示されているナノ粒子に適合して使用される例示的な核酸としては、限定はしないが、DNA、RNA、これらのハイブリッド、RNAi誘導剤、RNAi剤、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒性DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、およびベクターの1種または複数が挙げられる。核酸は、一本鎖(センスまたはアンチセンス)でも、または二本鎖でもよい。ナノ粒子は、短鎖干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA (sno−RNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、および短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)分子などの小さい核酸分子を含み得る。例示的な核酸としては、リボ核酸(RNA)、転移RNA(tRNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ロックド核酸(LNA)、またはこれらのハイブリッドが挙げられる。他の実施形態では、メッセンジャーRNA(mRNA)または非コードRNA(ncRNA)がナノ粒子に組み込まれる場合もある。さらに、核酸は、アンタゴミル、antimir、またはU1アダプターでもよい。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含むアンチセンス、例えば、ヒトSTAT3をコードする核酸に相補的な(例えば、核酸塩基3016−3031などの、GENBANK受託番号NM_139276.2のセグメントに相補的な)アンチセンス化合物)、および/または参照により本明細書に組み込まれているWO2014070868で開示されているものを含むナノ粒子が、本明細書において提供される。例えば、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結を有し、各シトシンが5−メチルシトシンであり、ヌクレオシド1〜3および14〜16のそれぞれがcEt部分を含む、CTATTTGGATGTCAGCを含む配列が本明細書において提供される。
開示されているナノ粒子の一部の実施形態は、修飾されていない核酸を含む。他の実施形態では、核酸は、修飾されている。修飾には、限定はしないが、リン酸ジエステル主鎖の修飾、リボース2’OH基における修飾、ならびにリボース環およびヌクレオシド塩基の修飾を含む、当技術分野において公知のいずれかの修飾を含めることができる。例えば、リン酸エステル主鎖の修飾として、架橋性でないリン酸酸素が硫黄で置き換えられている、ホスホロチオエート(PS)修飾を挙げることができる。加えて、他の修飾として、ホスホロジチオエートおよびホスホノアセテートが挙げられる。参照により組み込まれている米国特許第6,143,881号、第5,587,361号、および第5,599,797号を参照されたい。他の修飾として、2’O−メチル(2’OMe)、2’フルオロ(2’F)、2’メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’フルオロアラビノ(FANA)、2’−H、2’−チオウラシル、ロックド核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、エチレン架橋型核酸(ENA)、ヘキシトール核酸(HNA)、アルトリトール核酸(ANA)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、アンロックド核酸(UNA)、4’チオ(4’−S)、および3’逆位脱塩基末端キャップが挙げられる。一部の実施形態では、核酸は、天然のリン酸ジエステル連結をボラノリン酸(PB)連結、ホスホノアセテート(Pac)連結、またはチオホスホノアセテート主鎖連結で置換することにより修飾することができる。一部の実施形態では、核酸は、2つ以上の修飾を含む場合もある。一部の実施形態では、核酸は、3つ以上の修飾を含む場合もある。
一部の実施形態では、核酸は、一本鎖、二本鎖、または三本鎖核酸からなる群から選択することができる。生物活性を有する、例えば、遺伝子発現の変更をもたらす、一本鎖核酸分子の例としては、アンチセンス核酸分子、酵素性核酸分子またはリボザイム、および2−5−オリゴアデニレート核酸分子が挙げられる。遺伝子発現の変更をもたらす生物活性を有する三本鎖核酸の例としては、三重鎖形成性オリゴヌクレオチドが挙げられる。遺伝子発現の変更をもたらす生物活性を有する二本鎖核酸分子の例としては、dsRNAおよびsiRNAが挙げられる。例えば、長い二本鎖RNAによって、タンパク質キナーゼPKRの、インターフェロンを媒介とする誘導を、配列非特異的に活性化することができる(例えば、WuおよびKaufman、1997、J.Biol.Chem.、272、1921〜6を参照されたい)。この経路は、RNaseLによってRNA切断をもたらすという点で、2,5−連結オリゴアデニレート(2−5A)系と共通の特色を有し得る(例えば、Coleら、1997、J.Biol.Chem.、272、19187〜92を参照されたい)。
一部の実施形態では、企図される核酸は、核酸をベースとする化合物および/または組成物である場合もある。例えば、企図される核酸は、生物系(細胞、組織、または生物)における1つまたは複数の遺伝子の発現を調節する多機能短鎖干渉核酸(多機能siNA)分子である場合がある。多機能短鎖干渉核酸または多機能siNA分子は、同様に企図され、遺伝子発現の配列特異的な調節の強力なメディエーターとなり得る(多機能siNA分子とは、多機能siNA構築物における各鎖が、1種または複数の標的核酸分子における別個の核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むように設計されているクラスのポリヌクレオチド分子を表す)。
一部の実施形態では、核酸は、別の化学種または生物学的種と(すなわち、結合またはリンカーを介して)関連している場合もあると理解すべきである。例えば、酵素、ヌクレアーゼ、タンパク質、ペプチド、別の核酸、分子、または化合物と関連している核酸が本明細書において企図される。例えば、一部の実施形態では、企図される核酸は、ガイドRNAであり、酵素は、例えばCRISPR/cas9にあるようなCas9である。一部の実施形態では、核酸は、ZNF(亜鉛フィンガーヌクレアーゼ)またはTALEN(転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ)と関連することもあり得る。
一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、約0.2〜約35重量パーセント、約0.2〜約20重量パーセント、約0.2〜約10重量パーセント、約0.2〜約5重量パーセント、約0.5〜約5重量パーセント、約0.75〜約5重量パーセント、約1〜約5重量パーセント、約2〜約5重量パーセント、約3〜約5重量パーセント、約1〜約20重量パーセント、約2〜約20重量パーセント、約5〜約20重量パーセント、約1〜約15重量パーセント、約2〜約15重量パーセント、約3〜約15重量パーセント、約4〜約15重量パーセント、約5〜約15重量パーセント、約1〜約10重量パーセント、約2〜約10重量パーセント、約3〜約10重量パーセント、約4〜約10重量パーセント、約5〜約10重量パーセント、約10〜約30重量パーセント、または約15〜約25重量パーセントの核酸を含み得る。
ある特定の態様では、開示されているナノ粒子は、経細胞/トランスサイトーシス、ポトサイトーシス、エンドサイトーシス、または生合成輸送機能において有効である疎水性対イオンを含む。トランスサイトーシスは、受容体を介したトランスサイトーシスを含み得ると理解すべきである。また、エンドサイトーシスも、いずれかのタイプの、受容体仲介エンドサイトーシスを含み得ると理解すべきである。例えば、エンドサイトーシスは、エンドサイトーシスを起こす潜在的可能性を有する形質膜の陥入である、カベオラを含み得る。エンドサイトーシスは、クラスリン仲介エンドサイトーシスも含み得る。開示されるナノ粒子の一部の実施形態では、疎水性対イオンは、エンドソームの膜を破ることのできるエンドリソソーム破壊剤である。
ある特定の実施形態では、開示されるナノ粒子は、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含み、かつ/またはエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含むプロセスによって調製される。このようなナノ粒子は、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤なしのナノ粒子より、核酸の完全性を保ちながら、効率のよいトランスフェクションを実現することができる。例えば、ナノ粒子なしでの核酸のトランスフェクションは、核酸が分解されるため、核酸は、治療に役立たなくなる結果となる。
ある特定の実施形態では、開示されるナノ粒子は、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオンと関連している。例えば、開示されるナノ粒子は、疎水性対イオンと共に溶液になっていることもあり得る。他の実施形態では、開示されるナノ粒子は、疎水性対イオンをさらに含む医薬組成物になっている。
エンドリソソーム破壊剤などの、適切ないかなる疎水性対イオン剤も、開示されるナノ粒子における使用が企図される。例えば、エンドリソソーム破壊剤は、細胞のエンドソームまたはリソソームのプロセスを、例えば実質的に回避および/または制限することのできる、いずれかの分子、イオン、または化合物でよい。本明細書で企図される、エンドサイトーシスとは、細胞への経路である。エンドサイトーシスのプロセスでは、エンドソームが形成される。エンドリソソーム剤は、エンドソームの膜を破ることができ、リソソームに輸送されて分解されるのを免れる。このような薬剤としては、エンドソームまたはリソソーム成熟、処理、および/または再循環に関連した作用機序を有する化合物を挙げることができる。エンドリソソーム破壊剤などの例示的な疎水性対イオン剤は、正電荷を帯びており、核酸とイオン対を形成することができる、かつ/またはlogPが約1を越える、または約2を越える、例えば、約2〜約4以上であることが好ましい。例示的な疎水性対イオン剤(エンドリソソーム破壊剤でよい)としては、特に、テトランドリン、ノルトリプチリン、アステミゾール、テルフェナジン、ペルヘキシリン、メピラミン、ヒドロキシジン、アリメナジン(alimenazine)、シアメマジン、ジブカイン、プロペリシアジン、チオプロペラジン、トリヘキシフェニジル、リールアミン(leelamine)、エチルラウリルアルギナテクル(ethyl lauryl arginatechl)、プロマジン、タモキシフェン、クロミフェン、ラロキシフェン、クエン酸タモキシフェン、トレミフェン、クエン酸クロミフェン、クエン酸塩トレミフェン、ベラパミル、ジリチアゼム(dilitiazem)、アムロジピン、ニフェドピン(nifedpine)、ベラパミル塩酸塩、ニモジピン、フェロジピン、ニカルドピン(nicardpine)、ニソルジピン クレビジピン、イスラジピン、トランドラプリル/ベラパミル、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、ノルチプチリン(nortiptyline)、クロミプラミン、ドキセピン、アモキサピン、トリミプラミン、プロトリプチリン、アミオダロン、リドカイン、ソタロール、ドロネダロン、フレカイニド、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、ドフェチリド、メキシレチン、イブチリド、ジソピラミド、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム、シタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン塩酸塩、ネファゾドン、シタロプラム臭化水素酸塩、シュウ酸エスシタロプラム、オランザピン/フルオキセチン、クロルシクリジン、アモジアキン、チオリダジン、クロロキン、キニーネ、アトバコン/プログアニル、アトバコン、フルオキセチン、メフロキン、プリマキン、キナクリン、キニジン、ハロファントリン、クロロキン、モネンシン、クロルシクリジン、アントラフェニン、アリピプラゾール、ビフェプルノクス、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、シプロフロキサシン、ダピプラゾール、ドロプロピジン、エロピプラゾール(Elopiprazole)、エトペリドン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、レボドロプロピジン、メピプラゾール(Mepiprazole)、ミアンセリン、ナフトピジル、ネファゾドン、ニアプラジン、オキシペルチン、ポサコナゾール、トラゾドン、ウメスピロン(Umespirone)、ウラピジル、ベスナリノン、ルバゾドン(Lubazodone)、アカプラジン(Acaprazine)、バトプラジン(Batoprazine)、ビフェプルノクス、ボルチオキセチン、ビラゾドン、トルピプラゾール(Tolpiprazole)、ソネピプラゾール、パルドプルノクス(Pardoprunox)、ナフチルピペラジン、ナルゾタン(Naluzotan)、ロルピプラゾール(Lorpiprazole)、フレシノキサン、フルプラジン(Fluprazine)、フリバンセリン、エンサクリン(Ensaculin)、エンピプラゾール(Enpiprazole)、エルトプラジン(Eltoprazine)、エロピプラゾール(Elopiprazole)、UNC7938、スフィンゴシン、ドデシルイミダゾール、バフィロマイシンA1、キノロン、オメプラゾール、エスモプラゾール(Esmoprazole)、パントプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、デキシアンソプラゾール(dexiansoprazole)、ブレフェルジンA、ゴルギシド(Golgicide)、ジアソル(Dyasore)、Pitstop、アモジアキン、EGA(4−ブロモベンズアルデヒドN−(2,6−ジメチルフェニル)セミカルバゾン)、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、チオリダジン、フェノチアジン、プロメタジン、プロクロルペルザイン(prochlorperzaine)、トリフルオペラジン、フルフェナジン、プロクロルペルジン(prochlorperzine)、デカン酸フルフェナジン、プロメタジン塩酸塩、キニーネ、カルシマイシン、メフロキン、アプリンジン、ジソピラミド、フレカイニド、リドカイン、メキシレチン、ペンチソミド(pentisomide)、プロパフェノン、シプロヘプタジン アザタジン、ケトチフェン、ロラタジン、ピゾチフェン、アミトリプチリン、プロプラノロール、ルパタジン、デプトロピン、アミスルプリド、ノルトリプチリン、シクロベンザプリン、オクトリプチリン(octriptyline)、ブトリプチリン、イプリンドール、トリミプラミン、フラボキセート、シンナリジン クロミプラミン(chlomipramine)、フルオキセチン、プロマジン、イミプラミン、セルトラリン、カルバマゼピン、ay9944、クロミプラミン、クロザピン、フレカイニド、ハロペリドール、ケトコナゾール、オフロキサシン、ペルヘキシリン、ソタロール、テモキシフェン(temoxiphen)、ジメリジン、シプロヘプタジン、トレミフェン、フルフェナジン、トリフルオペラジン、ピゾチリン、CGS 12066B、プロクロルペラジン、ドキセピン、ケトチフェン、ラシジピン、sb 205607、ロフェプラミン、ミフェプリストン、クロベンプロピット(clobenpropit)、サルメテロール、アゼラスチン、アゼラスチン、エピナスチン、デスロラタジン、am−251、インダトラリン、ネルフィナビル、ハロペリドール、ベンプロペリン、M−パロキセチン、カルベジロール、カルシポトリオール、ペルフェナジン、フェノチアジン、クロルプロチキセン、デシプラミン、テトラカイン、イフェンプロジル、U18666A、ジフェンヒドラミンが挙げられる。図10A−1、10A−2、10A−3、10B−1、10B−2、および10B−3に、疎水性対イオン剤となり得るさらなる化合物を示す。
一実施形態では、疎水性対イオン剤(hydrophobic counter agent)は、例えば、siRNA送達を改善し得る、次式:
Figure 0006983150
によって表される化合物でよい。
エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤によって、一部の実施形態では、エンドソームおよびリソソームプロセスが完全に回避される場合もあり、またはエンドソームもしくはリソソームプロセスの出現が低減する場合もある。本明細書で企図される、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、核酸とイオン対を形成する。エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、エンドソームおよび/またはリソソームプロセスからの核酸−エンドリソソーム離脱剤イオン対複合体の出現を低減させる。エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の例として、デシプラミン、アミドアロン(amidoarone)、フルオキセチン クロルシクリジン、アモジアキン、パロキセチン、タモキシフェン、ベラパミル、チオリダジン、クロロキン、クロルプロマジン、モネンシン、スフィンゴシン、ドデシルイミダゾール、バフィロマイシンA1、ゴルギシド、ジアソル、Pitstop、EGA(4−ブロモベンズアルデヒドN−(2,6−ジメチルフェニル)セミカルバゾン)、セルトラリン、カルシマイシン、メフロキン、プリマキン、キナクリン、ハロファントリン、キニーネ、ステアリルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン、N−メチル−N,N−ジオレイルアミン、およびN,N−ジメチルオレイルアミン、DODAC(ジオレオイルジメチルアンモニウムクロリド)、DDAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウム)、DMAB(ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド)、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、DSDMA(1,2−ジステアリルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン)、DODMA(1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン)、3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC−コレステロールHCl)、DMRIE、LIPOFECTIN(GIBCO/BRL、米国ニューヨーク州Grand Islandから市販品として入手可能な、DOTMAとDOPEとを含むカチオン性リポソーム)、LIPOFECTAMINE(GIBCO/BRLから市販品として入手可能な、DOSPAとDOPEとを含むカチオン性リポソーム)、TRANSFECTAM(Promega Corp.、米国ウィスコンシン州マディソンから市販品として入手可能な、DOGSを含むカチオン性脂質)、DOTMA(1,2−ジ−O−オクタデセニル−3−トリメチルアンモニウムプロパン)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、DOTAP(1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(塩化物塩))、DODAP(1,2−ジオレオイルオキシ−3−ジメチルアミノ−プロパン)、1−オレオイル−2−ヒドロキシ−3−N,N−ジメチルアミノプロパン、1,2−ジアシル−3−N,N−ジメチルアミノプロパン、1,2−ジデカノイル−1−N,N−ジメチルアミノプロパン2、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリンまたはジリノレオイルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴシン、および追加の脂肪酸鎖またはアルキル基がペンダントヒドロキシル基のいずれかに結合かつ/またはアミノ官能基に結合しているスフィンゴシン誘導体、ポリアミン(プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミンなど)、ならびにポリエチレンイミン(PEI)を挙げることもできる。疎水性対イオン剤は、薬学的に許容できる非毒性の有機塩基に由来する塩でよく、有機塩基には、第一級、第二級、および第三級アミン、自然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれると理解すべきである。塩基は、アンモニア、アニオン交換樹脂、例えばコレスチラミン樹脂、アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、tert−ブチルアミン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、エポールアミン(Eepolamine)、エチレンジアミン、ヒドラバミン、イミダゾール、リシン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)、ピペラジン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)、トリエタノールアミン、およびトロメタミンでもよい。
一部の実施形態では、核酸と、本明細書では対イオンとも呼ぶエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、イオン対を形成する。一部の実施形態では、対イオンまたはエンドリソソーム離脱剤の数は、電荷を釣り合わせる、またはイオン対について約10mV〜約−10mVの間(または例えば約20mV〜約−20mVもしくは約5〜−5mV)のゼータ電位を実現するように、核酸分子と関連付けられる。エンドリソソーム離脱剤と不活性疎水性カチオンの組合せを使用して、必要に応じてEE剤の用量を調整すると、所望の活性を実現することができる。例えば、核酸分子が20の負電荷を有する場合、20個の対イオンが単一核酸分子と会合し得る。この例では、核酸分子の対イオンに対する比は、1:20である。この比は、核酸分子およびエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤上の電荷の数に応じて決まることになると理解すべきである。
一部の実施形態では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、logPが、約2〜約15の間、一部の実施形態では、約1〜約2の間、一部の実施形態では、約5〜約15の間、一部の実施形態では、約5〜約10の間、一部の実施形態では、約2〜約8の間、一部の実施形態では、約4〜約8の間、一部の実施形態では、約2〜約7の間、または一部の実施形態では、約4〜約7の間となり得る。場合によって、疎水性の酸は、約2を越える、約4を越える、約5を越える、または6を越えるlogPを有し得る。
場合によって、溶液(すなわち核酸溶液)中のエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の濃度は、約1重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約2重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約3重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約4重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約5重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約6重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約8重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約10重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約12重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約14重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約16重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約1重量パーセント〜約5重量パーセントの間、一部の実施形態では、約3重量パーセント〜約9重量パーセントの間、一部の実施形態では、約6重量パーセント〜約12重量パーセントの間、一部の実施形態では、約9重量パーセント〜約15重量パーセントの間、一部の実施形態では、約12重量パーセント〜約18重量パーセントの間、および一部の実施形態では、約15重量パーセント〜約21重量パーセントの間でよい。ある特定の実施形態では、核酸溶液中の対イオンの濃度は、少なくとも約1重量パーセント、一部の実施形態では、少なくとも約2重量パーセント、一部の実施形態では、少なくとも約3重量パーセント、一部の実施形態では、少なくとも約5重量パーセント、一部の実施形態では、少なくとも約10重量パーセント、一部の実施形態では、少なくとも約15重量パーセント、および一部の実施形態では、少なくとも約20重量パーセントでよい。
ある特定の実施形態では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の核酸に対する(例えば、ナノ粒子を製剤化する際の初期、および/またはナノ粒子中の)モル比は、約0.25:1〜約6:1の間、一部の実施形態では、約0.25:1〜約5:1の間、一部の実施形態では、約0.25:1〜約4:1の間、一部の実施形態では、約0.25:1〜約3:1の間、一部の実施形態では、約0.25:1〜約2:1の間、一部の実施形態では、約0.25:1〜約1.5:1の間、一部の実施形態では、約0.25:1〜約1:1の間、一部の実施形態では、約0.25:1〜約0.5:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約6:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約5:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約4:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約3:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約2:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約1.5:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約1:1の間、一部の実施形態では、約0.5:1〜約0.75:1の間、一部の実施形態では、約0.75:1〜約2:1の間、一部の実施形態では、約0.75:1〜約1.5:1の間、一部の実施形態では、約0.75:1〜約1.25:1の間、一部の実施形態では、約0.9:1〜約1.1:1の間、一部の実施形態では、約0.95:1〜約1.05:1の間、一部の実施形態では、約1:1、一部の実施形態では、約0.75:1〜約1:1の間、一部の実施形態では、約1:1〜約6:1の間、一部の実施形態では、約1:1〜約5:1の間、一部の実施形態では、約1:1〜約4:1の間、一部の実施形態では、約1:1〜約3:1の間、一部の実施形態では、約1:1〜約2:1の間、一部の実施形態では、約1:1〜約1.5:1の間、一部の実施形態では、約1.5:1〜約6:1の間、一部の実施形態では、約1.5:1〜約5:1の間、一部の実施形態では、約1.5:1〜約4:1の間、一部の実施形態では、約1.5:1〜約3:1の間、一部の実施形態では、約2:1〜約6:1の間、一部の実施形態では、約2:1〜約4:1の間、一部の実施形態では、約3:1〜約6:1の間、一部の実施形態では、約3:1〜約5:1の間、一部の実施形態では、約4:1〜約6:1の間でよい。
場合によって、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の核酸に対する初期のモル比(すなわち、ナノ粒子を製剤化する際)は、ナノ粒子中での、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の核酸に対するモル比(すなわち、カプセル化されていない、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤および核酸を除去した後)と異なることもある。他の場合では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の核酸に対する初期のモル比(すなわち、ナノ粒子を製剤化する際)が、ナノ粒子中での、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の核酸に対するモル比(すなわち、カプセル化されていない、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤および核酸を除去した後)と本質的に同じであることもある。
場合によって、核酸を含有する溶液は、ポリマーを含有する溶液と別々に調製してもよく、次いで、2種の溶液を、ナノ粒子の製剤化前に合わせてもよい。例えば、一実施形態では、第1の溶液が、核酸とエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤とを含有し、第2の溶液が、ポリマーと、場合によりエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤とを含有する。第2の溶液がエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含有しない製剤は、例えば、プロセスにおけるエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の使用量を最小限にする、または一部の場合では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤と、例えば、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の存在下で分解し得るポリマーとの接触時間を最小限にするのに有利となり得る。他の場合では、核酸と、ポリマーと、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤とを含有する単一溶液を調製することもある。
一部の実施形態では、核酸−エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤のイオン対を、ナノ粒子の製剤化前に形成させてよい。例えば、(例えば、適切な量の核酸とエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤とを含有する溶液を調製することによって、)イオン対を含有する溶液を、企図されるナノ粒子を製剤化する前に調製することができる。他の実施形態では、ナノ粒子を製剤化する間にイオン対を形成させてもよい。例えば、ナノ粒子を調製するプロセスステップの間(例えば、エマルジョン形成より前および/またはエマルジョン形成中)に、核酸を含有する第1の溶液と、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含有する第2の溶液とを合わせることができる。ある特定の実施形態では、核酸およびエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤が企図されるナノ粒子にカプセル化される前に、イオン対を形成させてもよい。他の実施形態では、例えば。核酸およびエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤がカプセル化された後に、ナノ粒子中でイオン対を形成させてもよい。
ある特定の実施形態では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、25℃で求められる溶解度が、水100mLあたり約2g未満、一部の実施形態では、水100mLあたり約1g未満、一部の実施形態では、水100mLあたり約100mg未満、一部の実施形態では、水100mLあたり約10mg未満、および一部の実施形態では、水100mLあたり約1mg未満となり得る。他の実施形態では、酸は、25℃で求められる溶解度が、水100mLあたり約1mg〜水100mLあたり約2gの間、一部の実施形態では、水100mLあたり約1mg〜水100mLあたり約1gの間、一部の実施形態では、水100mLあたり約1mg〜水100mLあたり約500mgの間、および一部の実施形態では、水100mLあたり約1mg〜水100mLあたり約100mgの間となり得る。一部の実施形態では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、25℃において水に本質的に不溶性でよい。
一部の実施形態では、開示されるナノ粒子は、ナノ粒子を調製する際に、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤が本質的に使用されていなくてもよい。他の実施形態では、開示されるナノ粒子は、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の、開示されるナノ粒子中の含有量は、約0.05重量パーセント〜約35重量パーセントの間、一部の実施形態では、約0.05重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約0.5重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約1重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約2重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約3重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約5重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約7重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約10重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約15重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約20重量パーセント〜約30重量パーセントの間、一部の実施形態では、約0.05重量パーセント〜約0.5重量パーセントの間、一部の実施形態では、約0.05重量パーセント〜約5重量パーセントの間、一部の実施形態では、約1重量パーセント〜約5重量パーセントの間、一部の実施形態では、約3重量パーセント〜約10重量パーセントの間、一部の実施形態では、約5重量パーセント〜約15重量パーセントの間、一部の実施形態では、約10重量パーセント〜約20重量パーセントの間でよい。
一部の実施形態では、開示されるナノ粒子は、例えば、室温(例えば25℃)および/または37℃のリン酸緩衝溶液に入れたとき、(例えば、約1分〜約30分、約1分〜約25分、約5分〜約30分、約5分〜約1時間、約1時間、または約24時間かけて、)約2%未満、約5%未満、約10%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満、約30%未満、もしくは40%未満の核酸または核酸−疎水性対イオン剤(エンドリソソーム破壊剤など)しか実質的に放出しない。ある特定の実施形態では、核酸を含むナノ粒子は、例えば25℃および/または37℃の水溶液(例えばリン酸緩衝溶液)に入れたとき、プロトン化可能な含窒素治療剤の約0.01〜約50%、一部の実施形態では約0.01〜約25%、一部の実施形態では約0.01〜約15%、一部の実施形態では約0.01〜約10%、一部の実施形態では約1〜約40%、一部の実施形態では約5〜約40%、および一部の実施形態では約10〜約40%が約1時間かけて放出されるのに実質的に相当する速度で、核酸または核酸−疎水性対イオンを放出し得る。一部の実施形態では、プロトン化可能な含窒素治療剤を含むナノ粒子は、水溶液(例えば、リン酸緩衝溶液)中に、例えば、25℃にて、および/または37℃にて置かれたとき、プロトン化可能な含窒素治療剤の約10〜約70%、一部の実施形態では、約10〜約45%、一部の実施形態では、約10〜約35%、または一部の実施形態では、約10〜約25%が約4時間にわたり放出されることに実質的に対応する速度で、プロトン化可能な含窒素治療剤を放出し得る。
一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、核酸を、例えば、少なくとも約1分間、少なくとも約1時間、またはそれ超の間実質的に保持し得る。
一実施形態では、開示されている治療用ナノ粒子は、標的化リガンド、例えば、低分子量リガンドを含み得る。ある特定の実施形態では、低分子量リガンドはポリマーにコンジュゲートしており、ナノ粒子は、特定の比のリガンドがコンジュゲートしたポリマー(例えば、PLA−PEG−リガンド)と非官能化ポリマー(例えば、PLA−PEGまたはPLGA−PEG)とを含む。有効量のリガンドが、疾患または障害、例えば、がんの処置のためのナノ粒子と会合するように、ナノ粒子は、最適化された比のこれらの2種のポリマーを有することができる。例えば、リガンド密度の増加は、標的結合(細胞結合/標的取込み)を増加させ、ナノ粒子を「標的特異的」とし得る。代わりに、ナノ粒子における非官能化ポリマー(例えば、非官能化PLGA−PEGコポリマー)のある特定の濃度は、炎症および/または免疫原性(すなわち、免疫応答を誘発する能力)を制御し、かつナノ粒子が、疾患または障害の処置のために適した循環半減期を有することを可能とする。さらに、非官能化ポリマーは、一部の実施形態では、細網内皮系(RES)を介した循環器系からのクリアランスの速度を低下し得る。このように、非官能化ポリマーは、投与によって粒子が体内を移動することを可能とし得る特徴を有するナノ粒子を提供し得る。一部の実施形態では、非官能化ポリマーは、それ以外の場合では高濃度になってしまうリガンドを相殺することができる。リガンドが高濃度であったなら、対象によるクリアランスが加速され、標的細胞への送達が低下してしまっていた可能性がある。
一部の実施形態では、本明細書において開示されているナノ粒子は、ナノ粒子の全ポリマー組成物(すなわち、官能化+非官能化ポリマー)の概ね0.1〜50モルパーセント、例えば、0.1〜30モルパーセント、例えば、0.1〜20モルパーセント、例えば、0.1〜10モルパーセントを構成する、リガンドにコンジュゲートした官能化ポリマーを含み得る。別の実施形態では、1種または複数の低分子量リガンドとコンジュゲート(例えば、共有結合(例えば、リンカー(例えば、アルキレンリンカー)を介した)または結合)したポリマーを含むナノ粒子が本明細書においてまた開示され、総ポリマーに対する低分子量リガンドの重量パーセントは、約0.001〜5、例えば、約0.001〜2、例えば、約0.001〜1である。
一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、生物学的実体、例えば、特定の膜成分もしくは細胞表面受容体と効率的に結合するか、そうでなければ会合することができる場合がある。ペプチド、リガンド、タンパク質、抗体、またはナノボディを使用して、ナノ粒子を標的化することもできると理解すべきである。(例えば、特定の組織もしくは細胞型への、正常組織ではなく特定の患部組織などへの)治療剤または核酸の標的化は、組織特異的疾患、例えば、固形腫瘍がん(例えば、前立腺がん)の処置のために望ましい。例えば、細胞毒性抗がん剤の全身的送達と対照的に、本明細書において開示されているナノ粒子は、この薬剤が健康な細胞を死滅させることを実質的に防止し得る。さらに、開示されているナノ粒子は、(開示されているナノ粒子または製剤を伴わずに投与された有効量の薬剤と比較して)薬剤のより低い用量の投与を可能としてもよく、これは伝統的な化学療法と一般に関連する望ましくない副作用を低減し得る。
一般に、「ナノ粒子」は、1000nm未満、例えば、約10nm〜約200nmの直径を有する任意の粒子を指す。開示されている治療用ナノ粒子は、約60〜約120nm、または約70〜約120nm、または約80〜約120nm、または約90〜約120nm、または約100〜約120nm、または約60〜約130nm、または約70〜約130nm、または約80〜約130nm、または約90〜約130nm、または約100〜約130nm、または約110〜約130nm、または約60〜約140nm、または約70〜約140nm、または約80〜約140nm、または約90〜約140nm、または約100〜約140nm、または約110〜約140nm、または約60〜約150nm、または約70〜約150nm、または約80〜約150nm、または約90〜約150nm、または約100〜約150nm、または約110〜約150nm、または約120〜約150nmの直径を有するナノ粒子を含み得る。開示されるナノ粒子は、特定のサイズで形成させることができ、これが、取込み経路、循環時間、標的化、内部移行、および/またはクリアランスを決定し得ると理解すべきである。
ポリマー
一部の実施形態では、ナノ粒子は、ポリマーのマトリックスと、上述のとおりの核酸などの治療剤とを、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤と一緒に含んでいてもよい。一部の実施形態では、治療剤および/または標的化部分(例えば、低分子量リガンド)は、ポリマーマトリックスの少なくとも一部と会合させることができる。例えば、一部の実施形態では、標的化部分(例えば、リガンド)は、ポリマーマトリックスの表面と共有結合的に会合させることができる。一部の実施形態では、共有結合的会合は、リンカーによって媒介される。治療剤は、ポリマーマトリックスの表面と会合するか、ポリマーマトリックス内にカプセル化されるか、ポリマーマトリックスによって囲まれるか、かつ/またはポリマーマトリックスにわたって分散し得る。
多種多様のポリマーおよびそこから粒子を形成する方法は、薬物送達の当技術分野において公知である。一部の実施形態では、本開示は、少なくとも2つの巨大分子を有するナノ粒子を対象とし、第1の巨大分子は、低分子量リガンド(例えば、標的化部分)に結合した第1のポリマーを含み、第2の巨大分子は、標的化部分に結合していない第2のポリマーを含む。ナノ粒子は、1種または複数のさらなる非官能化ポリマーを場合により含むことができる。
任意の適切なポリマーを、開示されているナノ粒子において使用することができる。ポリマーは、天然または非天然(合成)のポリマーでよい。ポリマーは、2種またはそれ超のモノマーを含むホモポリマーまたはコポリマーでよい。配列に関して、コポリマーは、ランダム、ブロックでよいか、またはランダムおよびブロック配列の組合せを含むことができる。典型的には、ポリマーは、有機ポリマーである。
用語「ポリマー」は、本明細書において使用する場合、当技術分野で使用されるようなその通常の意味を与えられ、すなわち、分子構造は、共有結合によって連結した1つまたは複数の繰り返し単位(モノマー)を含む。繰り返し単位は、全て同一であり得るか、または場合によって、ポリマー内に存在する2種以上のタイプの繰り返し単位があり得る。場合によって、ポリマーは、生物学的に由来するもの、例えば、生体ポリマーでよい。非限定的例には、ペプチドまたはタンパク質が含まれる。場合によって、さらなる部分、例えば、生物学的部分、例えば、下記に記載したものがまた、ポリマー中に存在し得る。2種以上のタイプの繰り返し単位がポリマー内に存在する場合、ポリマーは、「コポリマー」と言われる。ポリマーを用いる任意の実施形態では、用いられるポリマーは、場合によって、コポリマーであり得ることを理解すべきである。コポリマーを形成する繰り返し単位は、任意の様式で配置し得る。例えば、繰り返し単位は、ランダムな順序で、交互の順序で、またはブロックコポリマーとして配置してもよく、すなわち、それぞれが第1の繰り返し単位(例えば、第1のブロック)を含む1つまたは複数の領域、およびそれぞれが第2の繰り返し単位(例えば、第2のブロック)を含む1つまたは複数の領域などを含む。ブロックコポリマーは、2つ(ジブロックコポリマー)、3つ(トリブロックコポリマー)、またはそれ超の数の別個のブロックを有し得る。
開示されている粒子は、コポリマーを含むことができ、これは一部の実施形態では、通常、2種またはそれ超のポリマーが一緒の共有結合によって互いに会合している、2種またはそれ超のポリマー(例えば、本明細書に記載されているもの)を説明する。このように、コポリマーは、第1のポリマーおよび第2のポリマーを含んでいてもよく、これらは一緒にコンジュゲートされて、ブロックコポリマーを形成し、第1のポリマーは、ブロックコポリマーの第1のブロックでよく、第2のポリマーは、ブロックコポリマーの第2のブロックでよい。当然ながら、ブロックコポリマーは、場合によって、ポリマーの複数のブロックを含有してもよく、「ブロックコポリマー」は、本明細書において使用する場合、単一の第1のブロックおよび単一の第2のブロックのみを有するブロックコポリマーのみに限定されないことを当業者は理解する。例えば、ブロックコポリマーは、第1のポリマーを含む第1のブロック、第2のポリマーを含む第2のブロック、および第3のポリマーまたは第1のポリマーなどを含む第3のブロックを含み得る。場合によって、ブロックコポリマーは、任意の数の第1のポリマーの第1のブロック、および第2のポリマーの第2のブロック(およびある特定の場合では、第3のブロック、第4のブロックなど)を含有することができる。さらに、ブロックコポリマーはまた、場合によって、他のブロックコポリマーから形成することができることに留意すべきである。例えば、第1のブロックコポリマーは、別のポリマー(ホモポリマー、生体ポリマー、別のブロックコポリマーなどでよい)にコンジュゲートして複数のタイプのブロックを含有する新規なブロックコポリマーを形成し、かつ/または他の部分(例えば、非ポリマー部分)にコンジュゲートし得る。
一部の実施形態では、ポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、両親媒性でよく、すなわち、親水性部分および疎水性部分、または相対的に親水性部分および相対的に疎水性部分を有する。親水性ポリマーは、一般に水を引きつけるものでよく、疎水性ポリマーは、一般に水をはねかえすものでよい。親水性または疎水性ポリマーは、例えば、ポリマーの試料を調製し、水とのその接触角を測定する(典型的には、ポリマーは、60°未満の接触角を有し、一方、疎水性ポリマーは、約60°超の接触角を有する)ことによって同定することができる。場合によって、2種またはそれ超のポリマーの親水性は、互いに対して測定してもよく、すなわち、第1のポリマーは、第2のポリマーより親水性であり得る。例えば、第1のポリマーは、第2のポリマーより小さな接触角を有し得る。
一組の実施形態では、本明細書において企図されるポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、生体適合性ポリマー、すなわち、典型的には、生きている対象中に挿入または注射されたとき、例えば、T細胞応答によるかなりの炎症および/または免疫系によるポリマーの急性拒絶を伴わずに有害な応答を惹起しないポリマーを含む。したがって、本明細書において企図される治療用粒子は、非免疫原性であり得る。非免疫原性という用語は、本明細書において使用する場合、循環抗体、T細胞、もしくは反応性免疫細胞を通常引き起こさないか、または最小レベルのみを引き起こし、個体においてそれ自体に対する免疫応答を通常引き起こさない、その天然状態における内在性成長因子を指す。
生体適合性は典型的には、免疫系の少なくとも一部による材料の急性拒絶を指し、すなわち、対象中に植え込んだ非生体適合性材料が、対象において十分に重大であり得る免疫応答を誘発し、免疫系による材料の拒絶は、適当に制御することができず、材料を対象から除去しなくてはならないような程度であることが多い。生体適合性を決定するための1つの単純な試験は、ポリマーを細胞へとin vitroで曝露させることでよい。生体適合性ポリマーは、典型的には中程度の濃度で、例えば、50マイクログラム/10個の細胞の濃度でかなりの細胞死をもたらさないポリマーである。例えば、生体適合性ポリマーは、細胞、例えば、線維芽細胞または上皮細胞に曝露したとき、たとえこのような細胞によって貪食されるか、そうでなければ取り込まれるかしても、約20%未満の細胞死をもたらし得る。様々な実施形態において有用であり得る生体適合性ポリマーの非限定的例には、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(グリセロールセバシン酸)、ポリグリコリド(すなわち、ポリ(グリコール)酸)(PGA)、ポリラクチド(すなわち、ポリ(乳)酸(PLA))、ポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸(PLGA)、ポリカプロラクトン、またはこれらおよび/もしくは他のポリマーを含めたコポリマーまたは誘導体が含まれる。
ある特定の実施形態では、企図される生体適合性ポリマーは、生分解性でよく、すなわち、ポリマーは、生理学的環境内、例えば、体内で、化学的および/または生物学的に分解することができる。本明細書において使用する場合、「生分解性」ポリマーは、細胞中に導入されるとき、細胞の機構によって(生物学的に分解可能)、および/または化学プロセス、例えば、加水分解によって(化学的に分解可能)、細胞に対してかなりの毒性効果を伴わずに細胞が再使用または処分することができる成分へと分解されるものである。一実施形態では、生分解性ポリマーおよびこれらの分解副生成物は、生体適合性であり得る。
本明細書において開示されている粒子は、PEGを含有してもよいか、またはしなくてもよい。さらに、ある特定の実施形態は、ポリ(エステル−エーテル)を含有するコポリマー、例えば、エステル結合(例えば、R−C(O)−O−R’結合)およびエーテル結合(例えば、R−O−R’結合)によって結合した繰り返し単位を有するポリマーを対象とすることができる。一部の実施形態では、生分解性ポリマー、例えば、カルボン酸基を含有する加水分解性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)繰り返し単位とコンジュゲートして、ポリ(エステル−エーテル)を形成し得る。ポリ(エチレングリコール)繰り返し単位を含有するポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)はまた、「ペグ化」ポリマーと称することができる。
例えば、企図されるポリマーは、(例えば、対象内で)水への曝露によって自発的に加水分解するものでよいか、またはポリマーは、(例えば、約37℃の温度での)熱への曝露によって分解し得る。ポリマーの分解は、使用するポリマーまたはコポリマーによって様々な速度で起こり得る。例えば、ポリマーの半減期(ポリマーの50%がモノマーおよび/または他の非ポリマー部分に分解することができる時間)は、ポリマーによって数日、数週間、数カ月、または数年程度であり得る。ポリマーは、例えば、酵素活性または細胞の機構によって、場合によって、例えば、リゾチーム(例えば、相対的に低pHを有する)への曝露によって、生物学的に分解し得る。場合によって、ポリマーは、細胞に対して有意な毒性効果を伴わずに、細胞が再使用するか、または処分することができる、モノマーおよび/または他の非ポリマー部分に分解し得る(例えば、ポリラクチドは加水分解して、乳酸を形成し得、ポリグリコリドは加水分解して、グリコール酸などを形成し得る)。
一部の実施形態では、ポリマーは、本明細書において「PLGA」と集団的に称される、乳酸およびグリコール酸単位を含むコポリマー、例えば、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)およびポリ(ラクチド−co−グリコリド);ならびに本明細書において「PGA」と称される、グリコール酸単位、ならびに本明細書において「PLA」と集団的に称される、乳酸単位、例えば、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、およびポリ−D,L−ラクチドを含むホモポリマーを含めた、ポリエステルであり得る。一部の実施形態では、例示的なポリエステルには、例えば、ポリヒドロキシ酸;ラクチドおよびグリコリドのペグ化ポリマーおよびコポリマー(例えば、ペグ化PLA、ペグ化PGA、ペグ化PLGA、およびその誘導体)が含まれる。一部の実施形態では、ポリエステルは、例えば、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)ペグ化ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、ペグ化ポリ(カプロラクトン)、ポリリシン、ペグ化ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、ペグ化ポリ(エチレンイミン)、ポリ(L−ラクチド−co−L−リシン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]、およびその誘導体を含む。
一部の実施形態では、ポリマーは、PLGAであり得る。PLGAは、乳酸およびグリコール酸の生体適合性および生分解性コポリマーであり、様々な形態のPLGAは、乳酸:グリコール酸の比によって特性決定することができる。乳酸は、L−乳酸、D−乳酸、またはD,L−乳酸でよい。PLGAの分解速度は、乳酸−グリコール酸の比を変化させることによって調節することができる。一部の実施形態では、PLGAは、概ね85:15、概ね75:25、概ね60:40、概ね50:50、概ね40:60、概ね25:75、または概ね15:85の乳酸:グリコール酸比によって特性決定することができる。一部の実施形態では、粒子のポリマー(例えば、PLGAブロックコポリマーまたはPLGA−PEGブロックコポリマー)中の乳酸のグリコール酸モノマーに対する比を選択して、様々なパラメータ、例えば、水の取込み、治療剤の放出および/またはポリマー分解の反応速度について最適化し得る。
一部の実施形態では、ポリマーは、1種または複数のアクリルポリマーであり得る。ある特定の実施形態では、アクリルポリマーは、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸グリシジルコポリマー、ポリシアノアクリレート、および上記のポリマーの1つまたは複数を含む組合せを含む。アクリルポリマーは、低含量の第四級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸エステルの完全に重合されたコポリマーを含み得る。
一部の実施形態では、ポリマーは、カチオン性ポリマーでよい。一般に、カチオン性ポリマーは、負に帯電している核酸鎖(例えば、DNA、RNA、またはその誘導体)を凝縮および/または保護することができる。アミン含有ポリマー、例えば、ポリ(リシン)、ポリエチレンイミン(PEI)、およびポリ(アミドアミン)デンドリマーは、一部の実施形態では、開示されている粒子における使用のために企図される。
一部の実施形態では、ポリマーは、カチオン性側鎖を担持する分解性ポリエステルでよい。これらのポリエステルの例には、ポリ(L−ラクチド−co−L−リシン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)が含まれる。
例えば、PEGがリガンドにコンジュゲートしていないとき、PEGは、終端しており、末端基を含んでいてもよいことが企図されている。例えば、PEGは、ヒドロキシル、メトキシもしくは他のアルコキシル基、メチルもしくは他のアルキル基、アリール基、カルボン酸、アミン、アミド、アセチル基、グアニジノ基、またはイミダゾールで終端し得る。他の企図される末端基には、アジド、アルキン、マレイミド、アルデヒド、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、またはチオール部分が含まれる。
当業者は、例えば、開環重合技術(ROMP)などによって、ポリマーをアミンで終端しているPEG基に反応させるEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)およびNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)を使用することによって、ポリマーをペグ化するための方法および技術について知っている。
一実施形態では、ポリマーの分子量(または、例えば、コポリマーの異なるブロックの分子量の比)は、本明細書に開示されている有効な処置のために最適化することができる。例えば、ポリマーの分子量は、粒子分解速度(例えば、生分解性ポリマーの分子量を調節することができるとき)、溶解度、水の取込み、および薬物放出動態に影響を与えてもよい。例えば、ポリマーの分子量(または、例えば、コポリマーの異なるブロックの分子量の比)は、粒子が合理的な期間(数時間から1〜2週間、3〜4週間、5〜6週間、7〜8週間などの範囲)内で、処置される対象において生分解するように調節することができる。
開示されている粒子は、例えば、PEGおよびPL(G)Aのジブロックコポリマーを含むことができ、例えば、PEG部分は、約1,000〜20,000、例えば、約2,000〜20,000、例えば、約2〜約10,000の数平均分子量を有してもよく、PL(G)A部分は、約5,000〜約20,000、または約5,000〜100,000、例えば、約20,000〜70,000、例えば、約15,000〜50,000の数平均分子量を有してもよい。
例えば、約10〜約99重量パーセントのポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマー、または約20〜約80重量パーセント、約40〜約80重量パーセント、もしくは約30〜約50重量パーセント、もしくは約70〜約90重量パーセントのポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーを含む例示的な治療用ナノ粒子が本明細書において開示される。例示的なポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーは、約10〜約20kDa、約15〜約20kDa、または約10〜約25kDaの数平均分子量のポリ(乳)酸および約4〜約6kDa、または約2kDa〜約10kDaの数平均分子量のポリ(エチレン)グリコールを含むことができる。
一部の実施形態では、ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーは、約0.6〜約0.95、一部の実施形態では、約0.7〜約0.9、一部の実施形態では、約0.6〜約0.8、一部の実施形態では、約0.7〜約0.8、一部の実施形態では、約0.75〜約0.85、一部の実施形態では、約0.8〜約0.9、および一部の実施形態では、約0.85〜約0.95の数平均分子量比率のポリ(乳)酸を有し得る。ポリ(乳)酸の数平均分子量比率は、コポリマーのポリ(乳)酸成分の数平均分子量を、ポリ(乳)酸成分の数平均分子量およびポリ(エチレン)グリコール成分の数平均分子量の合計で除することによって計算し得ることを理解すべきである。
開示されているナノ粒子は、約1〜約50重量パーセントのポリ(乳)酸またはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸(PEGを含まない)を場合により含んでいてもよいか、または約1〜約50重量パーセント、もしくは約10〜約50重量パーセントもしくは約30〜約50重量パーセントのポリ(乳)酸もしくはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸を場合により含んでいてもよい。例えば、ポリ(乳)酸またはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸は、約5〜約15kDa、または約5〜約12kDaの数平均分子量を有し得る。例示的なPLAは、約5〜約10kDaの数平均分子量を有し得る。例示的なPLGAは、約8〜約12kDaの数平均分子量を有し得る。
治療用ナノ粒子は、一部の実施形態では、約10〜約30重量パーセント、一部の実施形態では、約10〜約25重量パーセント、一部の実施形態では、約10〜約20重量パーセント、一部の実施形態では、約10〜約15重量パーセント、一部の実施形態では、約15〜約20重量パーセント、一部の実施形態では、約15〜約25重量パーセント、一部の実施形態では、約20〜約25重量パーセント、一部の実施形態では、約20〜約30重量パーセント、または一部の実施形態では、約25〜約30重量パーセントのポリ(エチレン)グリコールを含有してもよく、ポリ(エチレン)グリコールは、ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマー、ポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマー、またはポリ(エチレン)グリコールホモポリマーとして存在し得る。ある特定の実施形態では、ナノ粒子のポリマーは、脂質にコンジュゲートすることができる。ポリマーは、例えば、脂質末端PEGでよい。
標的化部分
一部の実施形態では、任意選択の標的化部分、すなわち、生物学的実体、例えば、膜成分、細胞表面受容体、抗原などに結合するか、そうでなければ会合することができる部分を含み得るナノ粒子が本明細書において提供される。粒子の表面上に存在する標的化部分は、粒子が特定の標的化部位、例えば、腫瘍、疾患部位、組織、器官、細胞のタイプなどにおいて局在化することを可能とし得る。したがって、ナノ粒子は、「標的特異的」であり得る。次いで、薬物または他の負荷物は、場合によって、粒子から放出され、特定の標的化部位と局所的に相互作用することを可能とし得る。
開示されるナノ粒子は、経細胞/トランスサイトーシス、ポトサイトーシス、エンドサイトーシス、または生合成輸送機能において有効である疎水性イオン対を含む場合がある。一部の実施形態では、標的化部分は、トランスサイトーシスまたはエンドサイトーシスの受容体部位に向けてナノ粒子を標的化することができる。例えば、標的化部分は、カベオリンタンパク質を介してエンドサイトーシスをなし得るカベオラに向けてナノ粒子を標的化することができる。他の実施形態では、巨大分子を取り込むための公知の効率的な経路であるクラスリン被覆ピットおよび小胞が標的とされる。受容体仲介エンドサイトーシスと呼ばれるこのプロセスにおいて、巨大分子は、相補的な膜貫通受容体タンパク質に結合し、被覆ピットに蓄積し、次いで、クラスリン被覆小胞中の受容体−巨大分子複合体として細胞に侵入する。25種を越える種々の受容体が、異なるタイプの分子の受容体仲介エンドサイトーシスに関与しており、同じクラスリン被覆ピット経路を使用し得ることがわかっている(例えば、LDL受容体、トランスフェリン受容体、EGF(上皮成長因子)を結合する受容体)。したがって、企図される標的化分子は、受容体仲介エンドサイトーシスに関与することが公知の種々の受容体を標的とし得ると理解すべきである。
受容体−リガンド結合は、解離する場合があり、エンドソーム区画からの経路をたどる場合があると理解すべきである。例えば、エンドリソソーム離脱剤を含めることで、核酸−疎水性対イオン複合体は、異なる形質膜ドメインへと放出される場合がある。
一実施形態では、開示されているナノ粒子は、低分子量リガンドである標的化部分を含む。用語「結合」または「結合すること」は、本明細書において使用する場合、典型的には、これらに限定されないが、生化学的、生理的、および/または化学的相互作用を含めた特異的または非特異的な結合または相互作用による、相互親和性または結合能力を示す、対応する分子の対またはその部分の間の相互作用を指す。「生物学的結合」は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモンなどを含めた分子の対の間に起こる相互作用のタイプを定義する。用語「結合パートナー」は、特定の分子と結合することができる分子を指す。「特異的結合」は、他の同様の生物学的実体に対してより実質的により高い程度まで結合パートナー(または限定された数の結合パートナー)に結合するか、認識することができる分子、例えば、ポリヌクレオチドを指す。一組の実施形態では、標的化部分は、約1マイクロモル未満、少なくとも約10マイクロモル、または少なくとも約100マイクロモルの親和性(解離定数によって測定すると)を有する。
例えば、標的化部は、粒子が、使用する標的化部分によって、対象の体内の腫瘍(例えば、固形腫瘍)、疾患の部位、組織、器官、あるタイプの細胞などへと局在化することをもたらし得る。例えば、低分子量リガンドは、固形腫瘍、例えば、乳房腫瘍もしくは前立腺腫瘍またはがん細胞に局在化し得る。対象は、ヒトまたはヒトではない動物であり得る。対象の例には、これらに限定されないが、哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ロバ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、霊長類、ヒトなどが含まれる。
企図される標的化部分は、低分子を含み得る。ある特定の実施形態では、用語「低分子」は、天然に生じたか、または人工的に創出した(例えば、化学合成による)、相対的に低分子量を有し、かつタンパク質、ポリペプチド、または核酸でない有機化合物を指す。低分子は典型的には、複数の炭素−炭素結合を有する。ある特定の実施形態では、低分子は、サイズが約2000g/mol未満である。一部の実施形態では、低分子は、約1500g/mol未満または約1000g/mol未満である。一部の実施形態では、低分子は、約800g/mol未満または約500g/mol未満、例えば、約100g/mol〜約600g/mol、または約200g/mol〜約500g/molである。
一部の実施形態では、低分子量リガンドは、式I、II、IIIまたはIVのもの:
Figure 0006983150
およびエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはそのラセミ化合物であり、
式中、mおよびnは、それぞれ独立に、0、1、2または3であり、pは、0または1であり、
、R、R、およびRは、それぞれ独立に、置換もしくは非置換アルキル(例えば、C1〜10−アルキル、C1〜6−アルキル、またはC1〜4−アルキル)、置換もしくは非置換アリール(例えば、フェニルまたはピリジニル)、および任意のこれらの組合せからなる群から選択され、Rは、HまたはC1〜6−アルキル(例えば、CH)である。
式I、II、IIIおよびIVの化合物について、R、R、RまたはRは、ナノ粒子への結合点、例えば、開示されているナノ粒子の一部を形成するポリマー、例えば、PEGへの結合点を含む。結合点は、共有結合、イオン結合、水素結合、化学的吸着および物理的吸着を含めた吸着によって形成される結合、ファンデルワールス結合によって形成される結合、または分散力によって形成し得る。例えば、R、R、R、またはRが、アニリンまたはC1〜6−アルキル−NH基と定義されている場合、これらの官能基の任意の水素(例えば、アミノ水素)は、除去することができ、低分子量リガンドが、ナノ粒子のポリマーマトリックス(例えば、ポリマーマトリックスのPEG−ブロック)に共有結合している。本明細書において使用する場合、用語「共有結合」は、少なくとも一対の電子を共有することによって形成される2個の原子の間の結合を指す。
式I、II、IIIまたはIVの特定の実施形態では、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、C1〜6−アルキルもしくはフェニル、またはC1〜6−アルキルもしくはフェニルの任意の組合せであり、これらはOH、SH、NH、またはCOHで1回または複数回独立に置換されており、アルキル基は、N(H)、S、またはOによって中断し得る。別の実施形態では、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、CH−Ph、(CH−SH、CH−SH、(CHC(H)(NH)COH、CHC(H)(NH)COH、CH(NH)CHCOH、(CHC(H)(SH)COH、CH−N(H)−Ph、O−CH−Ph、またはO−(CH−Phであり、各Phは、独立に、OH、NH、COH、またはSHで1回または複数回置換し得る。これらの式について、NH、OHまたはSH基は、ナノ粒子(例えば、−N(H)−PEG、−O−PEG、または−S−PEG)への共有結合点としての役割を果たす。
例示的なリガンドは、
Figure 0006983150
およびエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはそのラセミ化合物を含み、式中、NH、OH、またはSH基は、ナノ粒子(例えば、−N(H)−PEG、−O−PEG、もしくは−S−PEG)への共有結合点としての役割を果たすか、または
Figure 0006983150
は、ナノ粒子への結合点を示し、式中、nは、1、2、3、4、5、または6であり、Rは、NH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているNH、SH、OH、COH、C〜C−アルキル、およびNH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているフェニルからなる群から独立に選択され、Rは、ナノ粒子(例えば、−N(H)−PEG、−S−PEG、−O−PEG、またはCO−PEG)への共有結合点としての役割を果たす。これらの化合物は、NH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているNH、SH、OH、COH、C〜C−アルキル、またはNH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているフェニルでさらに置換されていてもよく、これらの官能基はまた、ナノ粒子への共有結合点としての役割を果たすことができる。
一部の実施形態では、固形腫瘍、例えば、前立腺または乳がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、PSMAペプチダーゼ阻害剤、例えば、2−PMPA、GPI5232、VA−033、フェニルアルキルホスホンアミデートならびに/またはその類似体および誘導体を含む。一部の実施形態では、前立腺がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、チオールおよびインドールチオール誘導体、例えば、2−MPPAおよび3−(2−メルカプトエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸誘導体を含む。一部の実施形態では、前立腺がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、ヒドロキサメート誘導体を含む。一部の実施形態では、前立腺がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、PBDAおよび尿素をベースとする阻害剤、例えば、ZJ43、ZJ11、ZJ17、ZJ38ならびに/またはその類似体および誘導体、アンドロゲン受容体標的化剤(ARTA)、ポリアミン、例えば、プトレシン、スペルミン、およびスペルミジン、NAAGペプチダーゼまたはNAALADアーゼとしてもまた公知である酵素グルタミン酸カルボキシラーゼII(GCPII)の阻害剤を含む。
一部の実施形態では、企図されるリガンドは、固形腫瘍を処置するために線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とし得る低分子DPPIV阻害剤である場合もある。スルホンアミド(アセトゾールアミド(Acetozolamide)他)リガンドは、ccRCC(明細胞腎細胞癌)および他の固形腫瘍を処置するためにG250抗原を標的とし得る。リガンドは、神経膠芽腫および固形腫瘍を処置するためにクロロトキシン受容体を標的とし得るクロロトキシンを含む場合もある。低分子は、白血病、リンパ腫、および血管新生の上方調節を処置するために、CXCR4およびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を標的とする場合もある。
別の実施形態では、標的化部分は、葉酸受容体またはtoll受容体を標的とするリガンドでよい。別の実施形態では、標的化部分は、ホレート、葉酸、低分子、抗体、およびナノボディである。
標的化部分は、標的化抗体を含み得る。EpCAM(CD326)、IGF−R、メソテリン、Lewis−Y抗原(CD174)、CanAg(MUC1、PEM、CA242、CD205)、NCAM(CD56)、Cripto、メラノトランスフェリン(P97)、糖タンパク質NMB(CG56972)、CD70(CD27リガンド)、5T4(栄養芽細胞糖タンパク質)、CD57、CD44、癌胎児性抗原(CEA)、GD2、CD40、フィブロネクチンED−B、エンドグリン(CD105)、テネイシンC、ホスファチジルセリン(PS)、HER3、CD30、CD33、CD40、CD52、CD74、CD138、CS1(CD319、CRACC)、TAG−72、CD2、CD64、ROBO4、DLL4、Tie2、および/またはB7−H3を標的とする抗体が企図される。例えば、テネイシンC標的化抗体を用いてテネイシンCを標的とすると、神経膠腫および癌腫を処置することができる。ヘレグリンまたはHER3標的化抗体を用いてHER3を標的とすると、固形腫瘍を処置することができる。CD33抗体は、AML処置のためにCD33を標的とし得る。例えば、EpCAM(CD326)、IGF−R、メソテリン、Lewis−Y抗原(CD174)、CanAg(MUC1、PEM、CA242、CD205)、NCAM(CD56)、およびCriptoを標的とする抗体は、固形腫瘍の処置に使用することができる。メラノトランスフェリン(P97)を標的とする抗体は、原発性および転移性黒色腫の処置に使用することができる。CD30は、抗体を用いて、ホジキンおよびALCリンパ腫の処置のための標的とすることができる。CD74は、抗体を用いて、多発性骨髄腫、NHL、またはCLLの処置のための標的とすることができる。Affymaxペプチドは、固形腫瘍の処置のために、TRAIL R2を標的とすることができる。Dyax Littなどのペプチドは、固形腫瘍の処置のために、c−Metを標的とすることができる。他のペプチドおよび低分子リガンドは、固形腫瘍の処置のために、EphA2およびEphB2を標的とすることができる。
例えば、企図される標的化部分は、核酸、アプタマー、ポリペプチド、糖タンパク質、炭水化物、または脂質を含み得る。例えば、標的化部分は、細胞型特異的マーカーに結合する核酸標的化部分(例えば、アプタマー、例えば、A10アプタマー)でよい。一般に、アプタマーは、特定の標的、例えば、ポリペプチドに結合するオリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、またはその類似体もしくは誘導体)である。一部の実施形態では、標的化部分は、細胞表面受容体のための天然または合成リガンド、例えば、成長因子、ホルモン、LDL、トランスフェリンなどでよい。標的化部分は抗体でよく、この用語は抗体フラグメントを含むものとする。抗体の特徴的部分、単鎖標的化部分は、例えば、手順、例えば、ファージディスプレイを使用して同定することができる。
標的化部分は、約50残基までの長さを有する標的化ペプチドまたは標的化ペプチド模倣物であり得る。例えば、標的化部分は、アミノ酸配列AKERC、CREKA、ARYLQKLN、またはAXYLZZLNを有してもよく、XおよびZは、可変のアミノ酸、またはその保存的バリアントもしくはペプチド模倣物である。特定の実施形態では、標的化部分は、アミノ酸配列AKERC、CREKA、ARYLQKLN、またはAXYLZZLNを含むペプチドであり、XおよびZは、可変のアミノ酸であり、20個未満、50個未満または100個未満の残基の長さを有する。CREKA(Cys Arg Glu Lys Ala)ペプチドもしくはそのペプチド模倣物、またはオクタペプチドAXYLZZLNはまた、コラーゲンIVに結合するか、もしくはコラーゲンIVと複合体を形成するか、または組織基底膜(例えば、血管の基底膜)を標的とする、標的化部分、およびペプチド、またはその保存的バリアントもしくはペプチド模倣物として企図される。例示的な標的化部分は、ICAM(細胞間接着分子、例えば、ICAM−1)を標的とするペプチドを含む。ペプチドをベースとする他の標的化部分は、Affymax、Dyax Litt、YSA/SWL、NGRペプチドおよびbestatin類似体、オクトレオチド、CCKおよびガストリン類似体、リュープロリドおよび類似体、GLP1/エクセナチド、レクチン、ならびにMercatorとなる場合がある。標的化リガンドは、TRAIL R2、c−Met、EphA2、EphB2、アミノペプチダーゼN(CD13)、VLA−4(α4β1インテグリン)、CXCR4、メラノコルチン受容体(MC1R)、ソマトスタチン受容体、コレシストキニン受容体、GnRH受容体、GLP1受容体、E−セレクチン、IL−11受容体、トロンボスポンジン−1受容体、エンドスタチン、CD79、およびCD74を標的とし得ると理解すべきである。
本明細書において開示されている標的化部分は、一部の実施形態では、開示されているポリマーまたはコポリマー(例えば、PLA−PEG)にコンジュゲートすることができ、このようなポリマーコンジュゲートは、開示されているナノ粒子の一部を形成し得る。
一部の実施形態では、治療用ナノ粒子は、ポリマー−薬物コンジュゲートを含み得る。例えば、薬物は、開示されているポリマーまたはコポリマー(例えば、PLA−PEG)にコンジュゲートしていてもよく、このようなポリマー−薬物コンジュゲートは、開示されているナノ粒子の一部を形成し得る。例えば、開示されている治療用ナノ粒子は、約0.2〜約30重量パーセントのPLA−PEGまたはPLGA−PEGを場合により含んでいてもよく、PEGは、薬物(例えば、PLA−PEG−薬物)で官能化されている。
開示されているポリマーコンジュゲート(例えば、ポリマー−リガンドコンジュゲート)は、任意の適切なコンジュゲーション技術を使用して形成し得る。例えば、2種の化合物、例えば、標的化部分または薬物および生体適合性ポリマー(例えば、生体適合性ポリマーおよびポリ(エチレングリコール))は、EDC−NHS化学反応(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩およびN−ヒドロキシスクシンイミド)などの技術、またはチオール、アミン、または同様に官能化されたポリエーテルの1つの末端にコンジュゲートすることができるマレイミドもしくはカルボン酸が関与する反応を使用して一緒にコンジュゲートし得る。ポリマー−標的化部分コンジュゲートまたはポリマー−薬物コンジュゲートを形成させる標的化部分または薬物およびポリマーのコンジュゲーションは、これらに限定されないが、ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトンなどなどの有機溶媒中で行うことができる。特定の反応条件は、単に通例の実験法を使用して当業者が決定することができる。
別の組の実施形態では、コンジュゲーション反応は、カルボン酸官能基(例えば、ポリ(エステル−エーテル)化合物)を含むポリマーと、アミンを含むポリマーまたは他の部分(例えば、標的化部分または薬物)とを反応させることによって行い得る。例えば、標的化部分、例えば、低分子量リガンド、または薬物、例えば、ダサチニブは、アミンと反応して、アミン含有部分を形成してもよく、これは次いで、ポリマーのカルボン酸にコンジュゲートすることができる。このような反応は、単一ステップの反応として起こり得、すなわち、コンジュゲーションは、中間体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドまたはマレイミドを使用することなく行われる。一部の実施形態では、薬物は、アミン含有リンカーと反応して、アミン含有薬物を形成してもよく、次いで、これは上記のようなポリマーのカルボン酸にコンジュゲートすることができる。アミン含有部分およびカルボン酸末端ポリマー(例えば、ポリ(エステル−エーテル)化合物)の間のコンジュゲーション反応は、一組の実施形態では、(これらに限定されないが)ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジオキサン、またはジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に可溶化したアミン含有部分を、カルボン酸末端ポリマーを含有する溶液に加えることによって達成し得る。カルボン酸末端ポリマーは、これらに限定されないが、ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、またはアセトンなどの有機溶媒中に含有し得る。アミン含有部分およびカルボン酸末端ポリマーの間の反応は、場合によって、自発的に起こり得る。コンジュゲートしていない反応物は、このような反応の後に洗い流してもよく、ポリマーは、溶媒、例えば、エチルエーテル、ヘキサン、メタノール、またはエタノール中で沈殿し得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、ポリマーのアルコール含有部分およびカルボン酸官能基の間に形成してもよく、これはアミンおよびカルボン酸のコンジュゲートについて上で記載したのと同様に達成することができる。
一部の実施形態では、ナノ粒子は、2種の異なるタイプのリガンドを含む場合があると理解すべきである。例えば、ナノ粒子は、低分子リガンドと核酸型リガンドとを含む場合がある。一部の実施形態では、ナノ粒子は、3種の異なるタイプのリガンドを含む場合もある。一部の実施形態では、ナノ粒子は、多種の異なるタイプのリガンドを含む場合もある。開示されるナノ粒子は、異なる幾種類のリガンドを含んでもよいと理解すべきである。
ナノ粒子の調製
本開示の別の態様は、開示されているナノ粒子を作製する系および方法を対象とする。異なる比の2種またはそれ超の異なるポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)を使用し、かつポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)から粒子を生成する一部の実施形態では、粒子の特性は制御される。例えば、1種のポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、低分子量リガンドを含んでいてもよく、一方、別のポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、その生体適合性および/または生成した粒子の免疫原性を制御するその能力のために選択し得る。
一部の実施形態では、ナノ粒子調製プロセス(例えば、以下で論じるとおりのナノ沈殿プロセスまたはナノエマルジョンプロセス)において使用する溶媒は、プロセスを使用して調製されたナノ粒子に有利な特性を付与し得る、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含んでいてもよい。上で論じたとおり、場合によって、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、薬物添加量を改善し、核酸の完全性を保ち、開示されるナノ粒子のトランスフェクションを達成し得る。さらに、場合によって、開示されるナノ粒子の制御放出特性も、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の使用によって改善し得る。エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、場合によって、例えば、プロセスにおいて使用する有機溶液または水溶液中に含まれていてもよい。一実施形態では、薬物が、有機溶液およびエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤、ならびに1種または複数のポリマーと任意選択により合わせられる。薬物を溶解させるのに使用する溶液中のエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオンの濃度は、上で論じており、例えば、約1重量パーセント〜約30重量パーセントの間などでよい。
一組の実施形態では、1種または複数のポリマーを含む溶液を提供し、この溶液をポリマー非溶媒と接触させ、粒子を生成させることによって、粒子が形成される。溶液は、ポリマー非溶媒と混和性または不混和性であり得る。例えば、水混和性液体、例えば、アセトニトリルは、ポリマーを含有してもよく、例えば、アセトニトリルを水中に制御された速度で注ぐことによって、アセトニトリルが水、ポリマー非溶媒と接触すると、粒子が形成される。溶液内に含有されるポリマーは、ポリマー非溶媒との接触によって、沈殿し、粒子、例えば、ナノ粒子を形成し得る。2種の液体は、周囲温度および周囲圧力で、一方が他方中で少なくとも10重量%のレベルまで可溶性でないとき、互いに「不混和性」または混和性でないと言われる。典型的には、有機溶液(例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジオキサン、ジメチルスルホキシドなど)および水性液体(例えば、水、または溶解した塩もしくは他の種を含有する水、細胞もしくは生体媒体、エタノールなど)は、互いに関して不混和性である。例えば、第1の溶液を、第2の溶液中に注いでもよい(適切な速度またはスピードで)。場合によって、例えば、第1の溶液が、不混和性の第2の液体に接触するにつれ、粒子、例えば、ナノ粒子が形成し得、例えば、接触によるポリマーの沈殿は、第1の溶液が第2の液体中に注がれる間、ポリマーがナノ粒子の形成をもたらし、場合によって、例えば、導入の速度が相対的に遅い速度で注意深く制御および維持されるとき、ナノ粒子を形成し得る。このような粒子形成の制御は、通例の実験法のみを使用して当業者が容易に最適化することができる。
表面機能性、表面電荷、サイズ、ゼータ(ζ)電位、疎水性、免疫原性を制御する能力などの特性は、開示されているプロセスを使用して高度に制御し得る。例えば、粒子のライブラリーを合成、およびスクリーニングして、粒子が、粒子の表面上に存在する特定の密度の部分(例えば、低分子量リガンド)を有することを可能とする、特定の比のポリマーを有する粒子を同定し得る。これによって、過度の程度の労力を伴わずに、1つまたは複数の特定の特性、例えば、特定のサイズおよび特定の表面密度の部分を有する粒子を調製することを可能とする。したがって、ある特定の実施形態は、このようなライブラリーを使用したスクリーニング技術、およびこのようなライブラリーを使用して同定された任意の粒子を対象とする。さらに、同定は、任意の適切な方法によって行い得る。例えば、同定は直接的もしくは間接的でよいか、または定量的にもしくは定性的に進行し得る。
一部の実施形態では、既に形成されたナノ粒子は、リガンド−官能化ポリマーコンジュゲートを生成するために記載されたものと類似の手順を使用して、標的化部分で官能化される。例えば、第1のコポリマー(PLGA−PEG、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)およびポリ(エチレングリコール))を核酸と混合して、粒子を形成させる。次いで、粒子を低分子量リガンドと会合させて、がんまたは他の障害の処置のために使用することができるナノ粒子を形成させる。粒子は、ナノ粒子のリガンド表面密度を制御し、それによってナノ粒子の治療の特徴を変化させるために、様々な量の低分子量リガンドと会合させることができる。さらに、例えば、パラメータ、例えば、分子量、PEGの分子量、およびナノ粒子の表面電荷を制御することによって、非常に正確に制御された粒子を得てもよい。
別の実施形態では、ナノエマルジョンプロセス、例えば、図1、2A、および/または2Bにおいて表すプロセスを提供する。例えば、核酸、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤、第1のポリマー(例えば、どちらもリガンドに場合により結合し得るPLA−PEGまたはPLGA−PEGなどのジブロックコポリマー)、および任意選択の第2のポリマー(例えば、(PL(G)A−PEGまたはPLA)を、有機溶液と合わせて、第1の有機相を形成することができる。他のプロセスでは、核酸および/または疎水性対イオン剤を、水相に加える。このような第1の相は、約1〜約50重量%の固体、約5〜約50重量%の固体、約5〜約40重量%の固体、約1〜約15重量%の固体、または約10〜約30重量%の固体を含み得る。第1の有機相は、第1の水溶液と合わせて、第2の相を形成し得る。有機溶液は、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、ベンジルアルコール、Tween80、Span80など、およびこれらの組合せを含むことができる。ある実施形態では、有機相は、ベンジルアルコール、酢酸エチル、およびこれらの組合せを含み得る。第2の相は、約0.1〜50重量%、約1〜50重量%、約5〜40重量%、または約1〜15重量%の固体でよい。水溶液は、コール酸ナトリウム、酢酸エチル、ポリ酢酸ビニルおよびベンジルアルコールの1つまたは複数と組み合わせてもよい水であり得る。一部のプロセスでは、この水相に、核酸および/または疎水性対イオン剤が加えられる。一部の実施形態では、水相のpHは、核酸のpKおよび/またはエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤のpKに基づいて選択することができる。例えば、ある特定の実施形態では、核酸は、第1のpKを有する場合があり、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、第2のpKを有する場合があり、水相は、第1のpKと第2のpKとの間のpK単位に等しいpHを有する場合がある。特定の実施形態では、水相のpHは、第1のpKおよび第2のpKの間の約等距離であるpK単位と等しくてもよい。
例えば、油または有機相は、非溶媒(水)と部分的にのみ混和性である溶媒を使用し得る。したがって、十分に低い比で混合したとき、および/または有機溶媒で事前飽和された水を使用するとき、油相は液体のままである。例えば、高エネルギー分散システム、例えば、ホモジナイザーまたはソニケーターを使用して、油相を、水溶液に乳化し、液滴として、ナノ粒子に剪断し得る。エマルジョンの水性部分は、場合によっては「水相」としても公知であるが、これはコール酸ナトリウムからなり、酢酸エチルおよびベンジルアルコールで事前飽和されている界面活性剤溶液でよい。場合によって、有機相(例えば、第1の有機相)は、核酸を含むことがある。加えて、ある特定の実施形態では、水溶液(たとえば、第1の水溶液)が、エンドリソソーム破壊剤などの、実質的に疎水性の対イオン剤を含むこともある。他の実施形態では、核酸と、エンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤の両方を、有機相に溶解させることができる。他の実施形態では、核酸と、エンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤の両方を、水相に溶解させることができる。
第2の相を乳化して、例えば、1つまたは2つの乳化ステップにおいてエマルジョン相を形成することを行い得る。例えば、一次エマルジョンを調製し、次いで、乳化して、微細エマルジョンを形成し得る。例えば、単純な混合、高圧ホモジナイザー、プローブソニケーター、撹拌棒、またはローターステーターホモジナイザーを使用して、一次エマルジョンを形成することができる。例えば、プローブソニケーターまたは高圧ホモジナイザーの使用によって、例えば、ホモジナイザーを通す1、2、3、またはそれ超のパスを使用することによって、一次エマルジョンを微細エマルジョンに形成し得る。例えば、高圧ホモジナイザーが使用されるとき、使用される圧力は、約30〜約60psi、約40〜約50psi、約1000〜約8000psi、約2000〜約4000psi、約4000〜約8000psi、または約4000〜約5000psi、例えば、約2000、2500、4000または5000psiであり得る。
場合によって、エマルジョンにおける液滴の表面対体積比が非常に高いことを特徴とし得る微細エマルジョン条件を選択して、核酸剤およびエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の溶解度を最大にしてもよい。ある特定の実施形態では、微細エマルジョン条件下で、溶解した成分の平衡が、非常に迅速に、すなわち、ナノ粒子の凝固より急速に起こり得る。したがって、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を、例えば、核酸剤とエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤との間のpK差に基づいて選択する、または微細エマルジョンのpHおよび/またはクエンチ溶液のpHなどの他のパラメータを調節することで、例えば、ナノ粒子の外では核酸剤および/またはエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤が拡散するのとは対照的に、ナノ粒子中では核酸−疎水性対イオン複合体の形成が決定づけられることにより、ナノ粒子の薬物添加量および放出特性に有意な影響を及ぼすことができる。
一部の実施形態では、核酸と、エンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤は、第2の相を乳化する前に、第2の相において合わせることができる。場合によって、第2の相を乳化する前に、核酸と、エンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤が、核酸−疎水性対イオン複合体を形成することもある。他の実施形態では、核酸と、エンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤は、第2の相を乳化している間に核酸−疎水性対イオン複合体を形成し得る。例えば、核酸剤と、エンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤は、第2の相を乳化するのと実質的に同時に、第2の相において合わせることができ、例えば、核酸剤と、エンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤を、別個の溶液(例えば、2種の実質的に不混和性の溶液)に溶解させ、次いでこれを、乳化の際に合わせることができる。別の例では、核酸、およびエンドリソソーム破壊剤などの実質的に疎水性の対イオン剤を、別個の不混和性の溶液に溶解させ、次いでこれを、乳化の際に、第2の相に送ることができる。
溶媒の抽出を完了し、粒子を凝固するために、溶媒蒸発または希釈を必要とし得る。抽出の反応速度およびよりスケーラブルなプロセスのより良好な制御のために、水性クエンチによる溶媒希釈を使用し得る。例えば、エマルジョンは、有機溶媒の全てを溶解するのに十分な濃度まで冷水に希釈して、クエンチされた相を形成することができる。一部の実施形態では、クエンチを約5℃またはそれ未満の温度で少なくとも部分的に行い得る。例えば、クエンチにおいて使用される水は、室温未満(例えば、約0〜約10℃、または約0〜約5℃)である温度であり得る。ある特定の実施形態では、エマルジョン相をクエンチするのに有利なpHを有するクエンチは、例えば、ナノ粒子の特性、例えば、放出プロファイルを改善するか、またはナノ粒子のパラメータ、例えば、薬物添加量を改善することによって選択し得る。クエンチのpHは、例えば、酸もしくは塩基滴定によって、または緩衝液の適当な選択によって調節し得る。一部の実施形態では、クエンチのpHは、核酸のpKおよび/またはエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤のpKに基づいて選択することができる。例えば、ある特定の実施形態では、核酸は、第1のpKを有する場合があり、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤は、第2のpKを有する場合があり、エマルジョン相は、第1のpKと第2のpKとの間のpK単位に等しいpHを有する水溶液でクエンチすることができる。一部の実施形態では、得られるクエンチされた相も、第1のpKおよび第2のpKとの間のpK単位と等しいpHを有することがある。特定の実施形態では、pHは、第1のpKと第2のpKとの間の約等距離にあるpK単位と等しい場合もある。
ある特定の実施形態では、乳化の間または後に、例えば、微細エマルジョンにおける平衡条件の結果として、核酸−疎水性対イオン複合体が生じる場合がある。理論に束縛されるものではないが、有機物に可溶性の対イオン(すなわち、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤)は、核酸−疎水性対イオン複合体の結果として、親水性治療剤(核酸)の、ナノ粒子、有機相、またはエマルジョン液滴への拡散を促進し得ると考えられる。理論に束縛されるものではないが、核酸−疎水性対イオン複合体のナノ粒子への溶解度は、核酸−疎水性対イオン複合体の、エマルジョンおよび/またはクエンチへの溶解度より高いため、核酸−疎水性対イオン複合体は、ナノ粒子が凝固する前に、ナノ粒子、有機相、または液滴中にとどまることができる。例えば、クエンチするのに、核酸のpKとエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤のpKとの間にあるpHを選択することにより、核酸−疎水性対イオン複合体の形成を最適化することができる。しかし、高すぎるpHを選択すると、エンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤をナノ粒子の外に拡散させる結果につながりかねず、一方、低すぎるpHを選択すると、治療剤(核酸)をナノ粒子の外に拡散させる結果につながりかねない。
一部の実施形態では、ナノ粒子形成プロセスにおいて使用する水溶液(例えば、限定はしないが、水相、エマルジョン相、クエンチ、およびクエンチされた相を含める)のpHは、独立に選択することができ、約1〜約3の間、一部の実施形態では、約2〜約4の間、一部の実施形態では、約3〜約5の間、一部の実施形態では、約4〜約6の間、一部の実施形態では、約5〜約7の間、一部の実施形態では、約6〜約8の間、一部の実施形態では、約7〜約9の間、および一部の実施形態では、約8〜約10の間でよい。ある特定の実施形態では、ナノ粒子形成プロセスにおいて使用する水溶液のpHは、約3〜約4の間、一部の実施形態では、約4〜約5の間、一部の実施形態では、約5〜約6の間、一部の実施形態では、約6〜約7の間、一部の実施形態では、約7〜約8の間、一部の実施形態では、約8〜約9の間でよい。
一部の実施形態では、この段階において核酸の全ては粒子中にカプセル化されておらず、薬物可溶化剤をクエンチされた相に加え、可溶化した相を形成させる。薬物可溶化剤は、例えば、Tween80、Tween20、ポリビニルピロリドン、シクロデキストラン、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ジエチルニトロサミン、酢酸ナトリウム、尿素、グリセリン、プロピレングリコール、グリコフロール、ポリ(エチレン)グリコール、ビス(ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、またはこれらの組合せであり得る。例えば、Tween−80をクエンチしたナノ粒子懸濁液に加えて、遊離薬物を可溶化し、薬物結晶の形成を防止し得る。一部の実施形態では、薬物可溶化剤の核酸に対する比は、約200:1〜約10:1であり、または一部の実施形態では、約100:1〜約10:1である。
可溶化した相を濾過して、ナノ粒子を回収し得る。例えば、限外濾過膜を使用して、ナノ粒子懸濁液を濃縮し、有機溶媒、遊離薬物(すなわち、カプセル化されていない核酸)、薬物可溶化剤、および他の処理助剤(界面活性剤)を実質的に排除し得る。例示的な濾過は、タンジェンシャルフロー濾過系を使用して行い得る。例えば、溶質、ミセル、および有機溶媒が通過することを可能とする一方で、ナノ粒子を保持するのに適切な孔径を有する膜を使用することによって、ナノ粒子は、選択的に分離することができる。約300〜500kDa(約5〜25nm)の分画分子量を有する例示的な膜を使用し得る。
一定容量アプローチを使用してダイアフィルトレーションを行ってもよく、これは濾液が懸濁液から除去されるのと同じ速度で、ダイア濾液(冷たい脱イオン水、例えば、約0〜約5℃、または0〜約10℃)を、供給懸濁液に加えてもよいことを意味する。一部の実施形態では、フィルタリングは、約0〜約5℃、または0〜約10℃の第1の温度、および約20〜約30℃、または15〜約35℃の第2の温度を使用した第1のフィルタリングを含み得る。一部の実施形態では、フィルタリングは、約1〜約30、場合によって、約1〜約15、または場合によって、1〜約6ダイア容量を処理することを含み得る。例えば、フィルタリングは、約0〜約5℃にて、約1〜約30、または場合によって、約1〜約6ダイア容量を処理し、約20〜約30℃にて、少なくとも1ダイア容量(例えば、約1〜約15、約1〜約3、または約1〜約2ダイア容量)を処理することを含み得る。一部の実施形態では、フィルタリングは、異なる別個の温度にて異なるダイア容量を処理することを含む。
ナノ粒子懸濁液を精製および濃縮した後、粒子は、例えば、約0.2μmのデプスプレフィルターを使用した、1つ、2つまたはそれ超の無菌化および/またはデプスフィルターを通して通過させ得る。例えば、除菌濾過ステップは、制御された速度で濾過トレインを使用して治療用ナノ粒子をフィルタリングすることを含み得る。一部の実施形態では、濾過トレインは、デプスフィルターおよび無菌フィルターを含み得る。
ナノ粒子を調製する別の実施形態では、核酸とポリマー(例えば、コポリマー、場合により、リガンドを有するコポリマー)の混合物から構成される有機相が形成される。この有機相を、界面活性剤およびいくらかの溶解した溶媒から構成される水相と、概ね1:5の比(油相:水相)で混合する。一次エマルジョンは、単純に混合しながら、またはローターステーターホモジナイザーの使用によって、2つの相の組合せによって形成される。次いで、一次エマルジョンを、高圧ホモジナイザーの使用によって、微細エマルジョンに形成する。次いで、混合しながら脱イオン水を加えて、微細エマルジョンをクエンチする。一部の実施形態では、クエンチ:エマルジョン比は、約2:1〜約40:1、または一部の実施形態では、約5:1〜約15:1でよい。一部の実施形態では、クエンチ:エマルジョン比は、概ね8.5:1である。次いで、クエンチにTween(例えば、Tween80)の溶液を加えて、Tweenを全体で概ね2%を達成する。これは、カプセル化されていない遊離の核酸を溶解させるのに役立つ。次いで、遠心分離または限外濾過/ダイアフィルトレーションのいずれかによってナノ粒子を単離する。
製剤の調製において使用されるポリマー、核酸、およびエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤の量は、最終製剤と異なる場合もあると理解される。例えば、核酸のいくらかは、ナノ粒子に完全には組み込まれず、そのような遊離核酸は、例えば、濾別される場合もある。例えば、一実施形態では、約9%の第1のエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含有する第1の有機溶液中に約11重量パーセント理論添加量の核酸を含有する第1の有機溶液、約89重量パーセントのポリマー(例えば、ポリマーは、ポリマーにコンジュゲートされた約2.5モルパーセントの標的化部分と、約97.5モルパーセントのPLA−PEGとを含む場合がある)を含有する第2の有機溶液、および約0.12%の第2のエンドリソソーム破壊剤などの疎水性対イオン剤を含有する水溶液を、例えば、約2重量パーセントの核酸と、約97.5重量パーセントのポリマー(ポリマーは、ポリマーにコンジュゲートされた約1.25モルパーセントの標的化部分と、約98.75モルパーセントのPLA−PEG%とを含む場合がある)と、約0.5%〜約3の総エンドリソソーム離脱剤とを含む最終ナノ粒子となる製剤の調製において使用することができる。このようなプロセスは、約1〜約20重量パーセントの治療剤、例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約8、約10、または約15重量パーセントの核酸を含む、患者への投与に適する最終ナノ粒子を提供することができる。
医薬製剤
本明細書において開示されているナノ粒子は、別の態様によって、薬学的に許容できる担体と合わさり、医薬組成物を形成し得る。当業者が理解するように、担体は、下記のような投与経路、標的組織の場所、送達される薬物、薬物の送達の時間経過などに基づいて選択し得る。
医薬組成物は、経口および非経口経路を含めた当技術分野において公知の任意の手段によって患者に投与することができる。用語「患者」は、本明細書において使用する場合、ヒト、ならびに例えば、哺乳動物、鳥、爬虫類、両生類、および魚を含めた非ヒトを指す。例えば、非ヒトは、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、霊長類、またはブタ)であり得る。ある特定の実施形態では、非経口経路が、消化管において見出される消化酵素との接触を回避するために望ましい。このような実施形態によると、組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下または筋内、腹腔内注射)、直腸、経膣的、局所的(散剤、クリーム剤、軟膏剤、もしくは点眼剤によるなど)によって、または吸入(スプレーによるなど)によって投与し得る。
特定の実施形態では、ナノ粒子は、それを必要とする対象に全身的に、例えば、IV注入または注射によって投与される。
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液は、適切な分散化剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知技術によって製剤化し得る。無菌の注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液、懸濁液、またはエマルジョン、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液でよい。用いることができる許容できるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.、および等張食塩液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒として従来用いられる。この目的のために、合成のモノまたはジグリセリドを含めた任意の刺激の少ない不揮発性油を用いることができる。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸は、注射剤の調製において使用される。一実施形態では、コンジュゲートを、1%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウムおよび0.1%(v/v)のTWEEN(商標)80を含む担体液に懸濁させる。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の無菌の注射可能な媒体に溶解もしくは分散させることができる無菌の固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、無菌化することができる。
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を含む。このような固体剤形において、カプセル化されたか、またはカプセル化されていないコンジュゲートを、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容できる添加剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウム、ならびに/または(a)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア、(c)保湿剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、(h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ、ならびに(i)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物と混合する。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含む。
核酸剤を含有するナノ粒子の正確な投与量は、処置される患者を考慮して個々の医師によって選択され、一般に、投与量および投与は、有効量の核酸剤ナノ粒子を処置される患者に提供するように調節されることを認識されたい。本明細書において使用する場合、核酸剤を含有するナノ粒子の「有効量」は、所望の生物学的応答を引き出すのに必要な量を指す。当業者が理解するように、核酸剤を含有するナノ粒子の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される薬物、標的組織、投与経路などの要因によって変わり得る。例えば、核酸剤を含有するナノ粒子の有効量は、所望の期間にわたり所望の量の腫瘍サイズの低減をもたらす量であり得る。考慮し得るさらなる要因は、病態の重症度;処置される患者の年齢、体重および性別;食事、投与の時間および頻度;薬物の組合せ;反応感受性;ならびに治療に対する耐性/応答を含む。
ナノ粒子は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために投与量単位形態で製剤化し得る。「投与量単位形態」という表現は、本明細書において使用する場合、処置される患者に適当なナノ粒子の物理的個別単位を指す。しかし、組成物の一日の総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決められることが理解される。任意のナノ粒子について、治療有効用量は、細胞培養アッセイにおいて、または動物モデル、通常、マウス、ウサギ、イヌ、もしくはブタにおいて最初に推定することができる。動物モデルをまた使用して、望ましい濃度範囲および投与経路を達成する。次いで、このような情報を使用して、ヒトにおける投与のための有用な用量および経路を決定することができる。ナノ粒子の治療有効性および毒性、例えば、ED50(用量は集団の50%において治療的に有効である)およびLD50(用量は集団の50%まで致死的である)は、細胞培養物または実験動物において標準的な医薬手順によって決定することができる。毒性効果の治療効果に対する用量比は治療指数であり、これは、LD50/ED50の比として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物は、一部の実施形態では有用であり得る。細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータは、ヒト使用のための投与量範囲の配合において使用することができる。
ある実施形態では、本明細書において開示されている組成物は、約10ppm未満のパラジウム、または約8ppm未満、または約6ppm未満のパラジウムを含み得る。例えば、ポリマーコンジュゲートを有するナノ粒子を含む組成物が本明細書において提供され、組成物は、約10ppm未満のパラジウムを有する。
一部の実施形態では、本明細書において開示されているナノ粒子を含む冷凍に適した組成物が企図され、冷凍に適した溶液、例えば、糖、例えば、単糖類、二糖類、もしくは多糖類、例えば、スクロースおよび/もしくはトレハロース、ならびに/または塩および/もしくはシクロデキストリン溶液を、ナノ粒子懸濁液に加える。糖(例えば、スクロースまたはトレハロース)は、例えば、粒子が冷凍によって凝集することを防止する凍結防止剤として作用し得る。例えば、複数の開示されているナノ粒子、スクロース、イオン性ハロゲン化物、および水を含むナノ粒子製剤であり、ナノ粒子/スクロース/水/イオン性ハロゲン化物は、約3〜40%/10〜40%/20〜95%/0.1〜10%(w/w/w/w)または約5〜10%/10〜15%/80〜90%/1〜10%(w/w/w/w)が本明細書において提供される。例えば、このような溶液は、本明細書に開示されているナノ粒子、約5重量%〜約20重量%のスクロースおよび約10〜100mMの濃度のイオン性ハロゲン化物、例えば、塩化ナトリウムを含み得る。別の例では、複数の開示されているナノ粒子、トレハロース、シクロデキストリン、および水を含むナノ粒子製剤が本明細書において提供され、ナノ粒子/トレハロース/水/シクロデキストリンは、約3〜40%/1〜25%/20〜95%/1〜25%(w/w/w/w)または約5〜10%/1〜25%/80〜90%/10〜15%(w/w/w/w)である。
例えば、企図される溶液は、本明細書に開示されているナノ粒子、約1重量%〜約25重量%の二糖類、例えば、トレハロースもしくはスクロース(例えば、約5重量%〜約25重量%のトレハロースもしくはスクロース、例えば、約10重量%のトレハロースもしくはスクロース、または約15重量%のトレハロースもしくはスクロース、例えば、約5重量%のスクロース)、および約1重量%〜約25重量%の濃度のシクロデキストリン、例えば、β−シクロデキストリン(例えば、約5重量%〜約20重量%、例えば、10重量%もしくは約20重量%、または約15重量%〜約20重量%のシクロデキストリン)を含み得る。企図される製剤は、複数の開示されているナノ粒子(例えば、PLA−PEGおよび活性剤を有するナノ粒子)、および約2重量%〜約15重量%(または約4重量%〜約6重量%、例えば、約5重量%)のスクロースおよび約5重量%〜約20重量%(例えば、約7重量パーセント〜約12重量%、例えば、約10重量%)のシクロデキストリン、例えば、HPbCDを含み得る。
本開示は、復元されたとき、最小量の大きな凝集体を有する凍結乾燥した医薬組成物に部分的に関する。このような大きな凝集体は、約0.5μm超、約1μm超、または約10μm超のサイズを有してもよく、復元された溶液中で望ましくないことがあり得る。凝集体サイズは、参照により本明細書に組み込まれている米国薬局方の32<788>において示されるものを含めた種々の技術を使用して測定することができる。USP32<788>において概略が述べられている試験は、光遮蔽粒子計数試験、顕微鏡粒子計数試験、レーザー回折、および単一粒子光学検知を含む。一実施形態では、所与の試料中の粒径は、レーザー回折および/または単一粒子光学検知を使用して測定される。
光遮蔽粒子計数試験によるUSP32<788>は、懸濁液中の粒径のサンプリングのためのガイドラインを規定する。100mLと等しい、またはこれ未満を有する溶液について、存在する粒子の平均数が、容器毎に≧10μmである6000個および容器毎に≧25μmである600個を超えない場合、調製は試験に準拠する。
USP32<788>において概略が述べられているように、顕微鏡粒子計数試験は、接眼マイクロメーターを有する100±10×の拡大率に調節した双眼顕微鏡を使用して粒子量を決定するためのガイドラインを規定する。接眼マイクロメーターは、100×の拡大率で見たとき、10μmおよび25μmを表す黒の基準円を有する象限に分割された円からなる円形直径グラティキュールである。直線状スケールは、グラティキュールの下に提供される。10μmおよび25μmに関する粒子の数を視覚的に符合させる。100mLと等しい、またはこれ未満を有する溶液について、存在する粒子の平均数が、容器毎に≧10μmである3000個、および容器毎に≧25μmである300個を超えない場合、調製は試験に準拠する。
一部の実施形態では、開示されている組成物の復元による10mLの水性試料は、1ml毎に600個未満の10ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子;および/または1ml毎に60個未満の25ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子を含む。
動的光散乱(DLS)を使用して、粒径を測定し得るが、これはブラウン運動に依存し、そのためこの技術は、いくつかのより大きな粒子を検出し得ない。レーザー回折は、粒子および懸濁培地の間の屈折率における差異に依存する。この技術は、サブミクロンからミリメートル範囲にて粒子を検出することができる。相対的に少(例えば、約1〜5重量%)量のより大きな粒子を、ナノ粒子懸濁液中で決定することができる。単一粒子光学検知(SPOS)は、約0.5μmの個々の粒子を計数する希薄な懸濁液の光遮蔽を使用する。測定した試料の粒子濃度を知ることによって、凝集体の重量パーセントまたは凝集体濃度(粒子/mL)を計算することができる。
凝集体の形成は、粒子の表面の脱水によって凍結乾燥の間に起こり得る。この脱水は、凍結乾燥の前に懸濁液中で凍結保護剤、例えば、二糖類を使用することによって回避することができる。適切な二糖類は、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、またはセロビオース、および/またはこれらの混合物を含む。他の企図される二糖類は、コウジビオース、ニゲロース、イソマルトース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノーゼ、ゲンチオビオース、マンノビオース、メリビオース、メリビウオース(melibiulose)、ルチノース、ルチヌノース(rutinulose)、およびキシロビオースを含む。復元は、開始懸濁液と比較したときの等しいDLSサイズ分布を示す。しかし、レーザー回折は、いくらかの復元された溶液中でサイズが>10μmの粒子を検出することができる。さらに、SPOSはまた、FDAガイドラインの濃度超の濃度(>10μmの粒子について10〜10個の粒子/mL)で>10μmサイズの粒子を検出し得る。
一部の実施形態では、1種または複数のイオン性ハロゲン化塩は、糖、例えば、スクロース、トレハロースまたはこれらの混合物に対するさらなる凍結保護剤として使用し得る。糖は、二糖類、単糖類、三糖類、および/または多糖類を含んでいてもよく、かつ他の添加剤、例えば、グリセロールおよび/または界面活性剤を含んでいてもよい。場合により、シクロデキストリンを、さらなる凍結保護剤として含んでいてもよい。シクロデキストリンは、イオン性ハロゲン化塩の代わりに加え得る。代わりに、シクロデキストリンを、イオン性ハロゲン化塩に加え得る。
適切なイオン性ハロゲン化塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、またはこれらの混合物を含み得る。さらなる適切なイオン性ハロゲン化塩は、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、またはヨウ化アンモニウム、および/またはこれらの混合物を含む。一実施形態では、約1〜約15重量パーセントのスクロースを、イオン性ハロゲン化塩と共に使用し得る。一実施形態では、凍結乾燥した医薬組成物は、約10〜約100mMの塩化ナトリウムを含み得る。別の実施形態では、凍結乾燥した医薬組成物は、約100〜約500mMの二価のイオン性塩化物塩、例えば、塩化カルシウムまたは塩化亜鉛を含み得る。さらに別の実施形態では、凍結乾燥される懸濁液は、シクロデキストリンをさらに含み得、例えば、約1〜約25重量パーセントのシクロデキストリンを使用し得る。
適切なシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、またはこれらの混合物を含み得る。本明細書において開示されている組成物における使用のために企図される例示的なシクロデキストリンには、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPbCD)、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチルエチル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−アルキル−β−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、およびマルトシル−β−シクロデキストリンが含まれる。一実施形態では、約1〜約25重量パーセントのトレハロース(例えば、約10重量%〜約15重量%、例えば、5〜約20重量%)を、シクロデキストリンと共に使用し得る。一実施形態では、凍結乾燥した医薬組成物は、約1〜約25重量パーセントのβ−シクロデキストリンを含み得る。例示的な組成物は、PLA−PEG、活性/治療剤、約4%〜約6%(例えば、約5重量パーセント)のスクロース、および約8〜約12重量パーセント(例えば、約10重量%)のHPbCDを含むナノ粒子を含み得る。
一態様では、開示されているナノ粒子を含む凍結乾燥した医薬組成物を提供し、100mL未満または約100mLの水性媒体中で約50mg/mLのナノ粒子濃度での凍結乾燥した医薬組成物の復元によって、非経口投与に適した復元された組成物は、6000個未満、例えば、3000個未満の10ミクロンと等しい、もしくはこれ超の微粒子;および/または600個未満、例えば、300個未満の25ミクロンと等しい、もしくはこれ超の微粒子を含む。
微粒子の数は、例えば、光遮蔽粒子計数試験によるUSP32<788>、顕微鏡粒子計数試験によるUSP32<788>、レーザー回折、および単一粒子光学検知などの手段によって決定することができる。
ある態様では、それぞれが疎水性ポリマーセグメントおよび親水性ポリマーセグメント;活性剤;糖;ならびにシクロデキストリンを有するコポリマーを含む複数種の治療用粒子を含む、復元による非経口使用に適した医薬組成物を提供する。
例えば、コポリマーは、ポリ(乳)酸−ブロック−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーであり得る。復元によって、100mLの水性試料は、6000個未満の10ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子;および600個未満の25ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子を含み得る。
二糖類およびイオン性ハロゲン化塩を加えるステップは、約5〜約15重量パーセントのスクロースまたは約5〜約20重量パーセントのトレハロース(例えば、約10〜約20重量パーセントのトレハロース)、および約10〜約500mMのイオン性ハロゲン化塩を加えることを含み得る。イオン性ハロゲン化塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化亜鉛、またはこれらの混合物から選択し得る。ある実施形態では、約1〜約25重量パーセントのシクロデキストリンをまた加える。
別の実施形態では、二糖類およびシクロデキストリンを加えるステップは、約5〜約15重量パーセントのスクロースまたは約5〜約20重量パーセントのトレハロース(例えば、約10〜約20重量パーセントのトレハロース)、および約1〜約25重量パーセントのシクロデキストリンを加えることを含み得る。ある実施形態では、約10〜約15重量パーセントのシクロデキストリンを加える。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、またはこれらの混合物から選択し得る。
別の態様では、糖および塩を凍結乾燥した製剤に加え、復元によるナノ粒子の凝集を防止することを含む、医薬ナノ粒子組成物中で粒子の実質的な凝集を防止する方法を提供する。ある実施形態では、シクロデキストリンをまた、凍結乾燥した製剤に加える。さらに別の態様では、糖およびシクロデキストリンを凍結乾燥した製剤に加えて、復元によるナノ粒子の凝集を防止することを含む、医薬ナノ粒子組成物中の粒子の実質的な凝集を防止する方法を提供する。
企図される凍結乾燥した組成物は、約40mg/mL超の治療用粒子濃度を有し得る。非経口投与に適した製剤は、10mLの用量中に10ミクロン超のサイズを有する約600個未満の粒子を有し得る。凍結乾燥は、組成物を約−40℃超、または例えば、約−30℃未満の温度で冷凍し、冷凍した組成物を形成させ、冷凍した組成物を乾燥させ、凍結乾燥した組成物を形成することを含み得る。乾燥のステップは、約50mTorrで約−25〜約−34℃、または約−30〜約−34℃の温度にて起こり得る。
処置方法
一部の実施形態では、開示されるナノ粒子は、疾患、障害、および/または状態を処置し、緩和し、回復させ、軽減し、その発生を遅延させ、その進行を阻害し、その重症度を低減し、かつ/またはその1つもしくは複数の症状または特色の発生率を低減するのに使用することができる。一部の実施形態では、開示されるナノ粒子は、固形腫瘍、例えば、がんおよび/またはがん細胞を処置するのに使用することができる。一部の実施形態では、EGFRを発現する細胞が処置される。一部の実施形態では、EGFRを発現する他のがん細胞の固形腫瘍が処置される。ある特定の実施形態では、開示されるナノ粒子を使用して、任意のがんを処置してもよく、PSMAは、がん細胞の表面上に、またはそれを必要とする対象における前立腺もしくは非前立腺固形腫瘍の血管新生を含めた腫瘍血管新生において発現している。PSMAが関連する徴候の例には、これらに限定されないが、前立腺がん、乳がん、非小細胞肺がん、結腸直腸癌、および神経膠芽腫が含まれる。例えば、開示されるナノ粒子は、腎細胞癌の処置に使用することができる。別の実施形態では、開示されるナノ粒子は、腎臓がん、多形性神経膠芽腫、マントル細胞リンパ腫、または皮膚カポジ肉腫の処置に使用することができる。
開示されるナノ粒子は、がんの処置に使用することができる。用語「がん」は、前悪性および悪性のがんを含む。がんには、これらに限定はしないが、血液(例えば、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病、マントル細胞リンパ腫)、前立腺、胃がん、中咽頭がん、子宮頸がん、肛門がん、胆嚢がん、胆管がん、腸のがん、結腸直腸がん、皮膚がん、例えば、黒色腫または基底細胞癌、肺がん(例えば、小細胞肺がんまたは非小細胞肺がん(例えば、腺癌、扁平上皮癌))、乳がん、頭頸部のがん、気管支がん、膵臓がん、膀胱がん、脳または中枢神経系がん、扁桃腺がん、末梢神経系がん、食道がん、口腔または咽頭のがん、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、睾丸がん、胆道がん、小腸または虫垂がん、胃腸間質腫瘍、唾液腺がん、甲状腺がん(例えば、濾胞性甲状腺がんおよび未分化甲状腺がん)、副腎がん、骨肉腫、軟骨肉腫、血液系組織のがん、KRas変異を有するがんの処置、治療抵抗性がんの処置などが含まれる。「がん細胞」は、腫瘍(すなわち、固形腫瘍)の形態であるか、対象内で単独で存在する(例えば、白血病細胞)か、またはがんに由来する細胞株であり得る。
がんは、種々の身体症状と関連し得る。がんの症状は一般に、腫瘍のタイプおよび場所によって決まる。例えば、肺がんは、咳嗽、息切れ、および胸痛をもたらすことが多く、一方、結腸がんは、下痢、便秘、および血便をもたらす。しかし、数例のみを挙げると、下記の症状は一般に、多くのがんと関連することが多い。発熱、悪寒、寝汗、咳、呼吸困難、体重減少、食欲不振、食欲不振症、悪心、嘔吐、下痢、貧血、黄疸、肝腫大、喀血、疲労、倦怠感、認知機能障害、うつ、ホルモンの障害、好中球減少、疼痛、非治癒性の痛み、腫大したリンパ節、末梢性ニューロパシー、および性的機能障害。開示されるナノ粒子は、がんの身体症状の処置に使用することができる。
一態様では、がん(例えば、白血病)を処置する方法が提供される。感染症、炎症、胃腸障害などの他の処置方法は、本明細書で開示するとおりに実現することができると理解すべきである。一部の実施形態では、がんの処置は、それを必要とする対象に、所望の結果を実現するのに必要となるような量で、そのような時間をかけて、治療有効量の開示ナノ粒子を投与することを含む。ある特定の実施形態では、開示されるナノ粒子の「治療有効量」とは、がんを処置し、緩和し、回復させ、軽減し、その発生を遅延させ、その進行を阻害し、その重症度を低減し、かつ/またはその1つもしくは複数の症状または特色の発生率を低減するのに有効な量である。
一態様では、がん(例えば、白血病)に罹患している対象に組成物を投与する方法が提供される。一部の実施形態では、所望の結果(すなわち、がんの処置)を実現するのに必要となるような量で、そのような時間をかけて、対象に粒子を投与することができる。ある特定の実施形態では、開示されているナノ粒子の「治療有効量」とは、がんを処置し、緩和し、回復させ、軽減し、その発生を遅延させ、その進行を阻害し、その重症度を低減し、かつ/またはその1つもしくは複数の症状または特色の発生率を低減するのに有効な量である。
ここでは、臓器移植を受けたことのある患者を、開示されるナノ粒子を投与することにより処置する方法も企図される。ここで企図される他の方法には、結節性硬化症および/または自閉症を有する患者を、有効量の開示ナノ粒子を投与することにより処置する方法が含まれる。
本明細書で企図される方法として、例えば、患者、例えば、血管の病変にベアメタルステントが留置されている患者の血管において新生内膜過形成を予防または阻止する方法であって、開示されるナノ粒子を含む組成物を投与することを含む方法が挙げられる。本明細書では、(例えば、ステントが留置されている患者において)再狭窄を処置または予防する方法であって、開示されるナノ粒子を投与することを含む方法も企図される。
企図される方法は、クローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎(diversion colitis)、ベーチェット病、または分類不能大腸炎などの炎症性腸疾患であり得る炎症性疾患を処置することを含む。他の実施形態では、それを必要とする患者において過敏性大腸症候群を処置する方法が提供される。この方法は、患者に治療有効量のナノ粒子を投与することを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、治療剤を含有する場合がある。例えば、ある特定の実施形態では、治療剤は、上述のものなどの抗炎症剤である場合がある。
治療プロトコルは、健康な個体(すなわち、がんのいずれの症状も示していない、かつ/またはがんと診断されたことがない対象)に、治療有効量の開示されるナノ粒子を投与することを含む。例えば、健康な個体は、がんの発病および/またはがんの症状の発症より前に、開示されるナノ粒子で「免疫化」することもでき、リスクのある個体(例えば、がんの家族歴を有する患者、がんの発病と関連する1つまたは複数の遺伝子変異を有する患者、がんの発病と関連する遺伝的多型を有する患者、がんの発病と関連するウイルスに感染した患者、がんの発病と関連する習慣および/または生活様式を有する患者など)は、がんの症状の発症と実質的に同時(例えば、その48時間以内、24時間以内、または12時間以内)に処置することができる。当然のことながら、がんを有することがわかっている個体は、いつでも処置を受けることができる。
他の実施形態では、開示されるナノ粒子を使用して、がん細胞、例えば、骨髄性白血病、がん細胞の成長を阻害することができる。本明細書において使用する場合、「がん細胞の成長を阻害する」または「がん細胞の成長を阻害すること」という用語は、がん細胞成長の速度が、未処置対照がん細胞の観察または予想された成長速度と比べて低減されるような、がん細胞増殖および/もしくは遊走の速度のいずれかの緩慢化、がん細胞増殖および/もしくは遊走の抑止、またはがん細胞の死滅を指す。「増殖を阻害する」という用語は、がん細胞または腫瘍のサイズの縮小または消失、ならびにその転移の可能性の低減も指す場合がある。細胞レベルでのこのような阻害が、患者において、がんのサイズを縮小し、その成長を阻止し、その侵襲性を低減し、またはその転移を予防もしくは阻害し得ることが好ましい。がん細胞成長が阻害されているかどうかは、適切な様々な徴候のいずれかによって、当業者が容易に判定することができる。
がん細胞成長の阻害は、例えば、がん細胞の細胞周期の特定の期における停止、例えば、細胞周期のG2/M期における停止によって証明することができる。がん細胞成長の阻害は、がん細胞または腫瘍サイズの直接的または間接的測定によって証明することもできる。ヒトがん患者では、このような測定は、一般に、磁気共鳴画像診断、コンピュータ体軸断層撮影、X線などの、周知の画像診断法を使用してなされる。がん細胞成長は、循環している癌胎児性抗原、前立腺特異的抗原、またはがん細胞成長と互いに関係付けられる他のがん特異的抗原のレベルを決定することなどにより、間接的に判定することもできる。がん成長の阻害は、一般に、対象の生存期間の延長および/または健康および幸福の増進とも互いに関係付けられる。
本明細書では、活性剤を含む、本明細書で開示するナノ粒子を患者に投与する方法であって、患者への投与の際、このようなナノ粒子が、薬剤単独の投与(すなわち、開示されるナノ粒子としてでない)に比べて、分布体積を実質的に縮小し、かつ/または遊離Cmaxを実質的に低減する方法も提供される。
「Drug Loaded Polymeric Nanoparticles and Methods of Making and Using Same」と題された2012年6月26日発行の米国特許第8,206,747号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
開示されるナノ粒子について、ここまでは大まかに述べており、以下の実施例を参照することで、これについてより容易に理解されるところとなるが、実施例は、開示されるナノ粒子のある特定の態様および実施形態を説明する目的で含めているにすぎず、開示されるナノ粒子を一切限定するものでない。
(実施例1)
PLA−PEGの調製
合成は、以下に示すとおり、d,l−ラクチドの、マクロ開始剤としてのα−ヒドロキシ−ω−メトキシポリ(エチレングリコール)との開環重合によって遂行し、2−エチルヘキサン酸スズ(II)を触媒として使用して高温で実施する(PEG Mn≒5,000Da、PLA Mn≒16,000Da、PEG−PLA M≒21,000Da)。
Figure 0006983150
ポリマーは、ポリマーをジクロロメタンに溶解させ、それをヘキサンとジエチルエーテルの混合物中で沈殿させることにより精製する。このステップから回収されたポリマーを、オーブンで乾燥させる。
(実施例2)
エマルジョンプロセス
このプロセスの全体的なフローチャートを図4に示す。乳化された油相の溶媒含有量を減らすことにより、ナノ粒子の硬化時にクエンチ流体へと損なわれる薬物は、より少なくなる。薬物を溶液中に高濃度に保つために、適切な溶媒和力を有する溶媒系を選択する。共溶媒系(通常は79:21の酢酸エチル:ベンジルアルコール)の使用により、80:20のポリマー:対イオン配合で、連続溶液に50%までの固体(通常は20〜30%または20〜25%)が見込まれる。
対イオンとポリマー(コポリマー、場合により、リガンドを有するコポリマー)の混合物から構成される有機相を形成する。有機相を、核酸、界面活性剤、およびいくらかの溶解した溶媒から構成される水相と、概ね1:5の比(油相:水相)で混合する。高い薬物添加量を実現するために、有機相中の約30%の固体を使用する。
有機相は、核酸、任意選択の界面活性剤、およびいくらかの溶解した溶媒を含む水相と、概ね1:5の比(油相:水相)で混合される。一次エマルジョンは、単純に混合しながら、またはローターステーターホモジナイザーの使用によって、2つの相の組合せによって形成される。次いで、一次エマルジョンを、高圧ホモジナイザーの使用によって微細エマルジョンに形成する。次いで、微細エマルジョンを、脱イオン水もしくは緩衝液または塩溶液に、(表に示す)所与の温度にて混合しながら加えることによって、クエンチする。クエンチ:エマルジョン比は、概ね8:1である。次いで、25%(wt%)のTween80の溶液をクエンチに加え、全体的に概ね2%のTween80を達成する。これは、カプセル化されていない遊離の薬物を溶解させるのに役立ち、またこれによって、ナノ粒子単離プロセスが実施可能になる。次いで、遠心分離または限外濾過/ダイアフィルトレーションのいずれかによってナノ粒子を単離する。
(実施例3)
ナノ粒子調製−エマルジョンプロセス2
対イオン(一部の実施形態では、カチオン性対イオンとオリゴヌクレオチドの電荷会合(charge association)によって形成された核酸の疎水性塩)とポリマー(コポリマー、場合により、リガンドを有するコポリマー)の混合物から構成される有機相を形成する。有機相を、核酸、界面活性剤、およびいくらかの溶解した溶媒から構成される水相と、概ね1:5の比(油相:水相)で混合する。高い核酸および対イオン添加量を実現するために、有機相中の約30%の固体を使用する。
一次粗エマルジョンは、単純な混合をしながら、またはローターステーターホモジナイザーの使用によって、2つの相の組合せによって形成される。
次いで、一次エマルジョンを、高圧ホモジナイザーの使用によって微細エマルジョンに形成する。
次いで、微細エマルジョンを、所与の温度にて混合しながら脱イオン水に加えることによってクエンチする。クエンチユニットの操作において、エマルジョンを、撹拌下の冷たい水性クエンチに加える。これは油相溶媒の大部分を抽出し、下流の濾過のためにナノ粒子を効果的に硬化させる役割を果たす。クエンチ:エマルジョン比は、概ね5:1である。
35%(wt%)のTween80の溶液をクエンチに加え、全体的に概ね2%のTween80を達成することができる。エマルジョンがクエンチされた後、Tween−80の溶液を加えることができる。
上で概略を述べたものなどの標準手順を使用して、以下に示すとおり、ポリマー分子量が様々であるナノ粒子を、100%のカプセル化効率で調製した。核酸は、ssDNA:5’CGG CAA GCT GAC CCT GAA GTTとした。
Figure 0006983150
(実施例4)
ナノ粒子調製−エマルジョンプロセス3
対イオンとポリマー(コポリマー、および場合により、リガンドを有するコポリマー)の混合物から構成される有機相を形成する。有機相を、界面活性剤およびいくらかの溶解した溶媒から構成される水相と、概ね1:5の比(油相:水相)で混合する。高い核酸および対イオン添加量を実現するために、有機相中の約30%の固体を使用する。
一次粗エマルジョンは、単純に混合しながら、またはローターステーターホモジナイザーの使用によって、2つの相の組合せによって形成される。
次いで、一次エマルジョンを、高圧ホモジナイザーの使用によって微細エマルジョンに形成する。
次いで、微細エマルジョンにオリゴヌクレオチドの水溶液を加え、一定期間おいて、オリゴヌクレオチドをエマルジョン全体に分散させる。
次いで、微細エマルジョンを、所与の温度にて混合しながら脱イオン水に加えることによってクエンチする。クエンチ単位操作において、エマルジョンを、撹拌下の冷たい水性クエンチに加える。これは油相溶媒の大部分を抽出し、下流の濾過のためにナノ粒子を効果的に硬化させる役割を果たす。クエンチ:エマルジョン比は、概ね5:1である。
35%(wt%)のTween80の溶液をクエンチに加え、全体的に概ね2%のTween80を達成することができる。エマルジョンがクエンチされた後、Tween−80の溶液を加えることができる。
(実施例5)
ナノ粒子調製−微細エマルジョン後(CIの添加およびそれに続くオリゴの添加)
有機溶媒に溶解させたポリマー(コポリマー、場合により、リガンドを有するコポリマー)から構成される有機相を形成する。有機相を、界面活性剤およびいくらかの溶解した溶媒から構成される水相と、概ね1:5の比(油相:水相)で混合する。有機相中の約15%の固体を使用する。
一次粗エマルジョンは、単純に混合しながら、またはローターステーターホモジナイザーの使用によって、2つの相の組合せによって形成される。
次いで、一次エマルジョンを高圧ホモジナイザーの使用によって、微細エマルジョンに形成する。
微細エマルジョンに、対イオンを粉末として加える。溶液を概ね10分間撹拌する。撹拌されている微細エマルジョンに、オリゴ(粉末)を加え、概ねもう10分間撹拌する。
次いで、微細エマルジョンを、所与の温度にて混合しながら脱イオン水に加えることによってクエンチする。クエンチ単位操作において、エマルジョンを、撹拌下の冷たい水性クエンチに加える。これは油相溶媒の大部分を抽出して、下流の濾過のためにナノ粒子を効果的に硬化させる役割を果たす。クエンチ:エマルジョン比は、概ね5:1である。
35%(wt%)のTween80の溶液をクエンチに加え、全体的に概ね2%のTween80を達成する。エマルジョンがクエンチされた後、Tween−80の溶液を加える。
上で概略を述べた標準手順を使用して、ナノ粒子を調製した。以下は、この手法で作製したバッチについてのNPサイズ、薬物添加量、およびIVRデータである。図11も参照されたい。核酸は、ssDNA:5’CGG CAA GCT GAC CCT GAA GTTとした。
Figure 0006983150
(実施例6)
in vitro放出
in vitro放出法を使用して、周囲条件および37℃条件でのナノ粒子からの初期破裂相放出を決定する。シンク条件を維持し、ナノ粒子が放出試料に入り込まないようにするために、透析システムを設計した。100nmの粒子をペレット化し得る超遠心を実現した後、透析膜を取り除き、遠心分離を使用して、放出された薬物を、カプセル化された薬物から分離した。
透析システムは、次のとおりである。脱イオン水中のオリゴヌクレオチドナノ粒子(2.5mg/mLの固体濃度に相当する、概ね250μg/mLの核酸/PLAナノ粒子)のスラリー3mLを、ピペット操作によって、300kDa MWCOダイアライザーの内部チューブに入れる。脱イオン水に代えて、NaClなどの塩溶液、または緩衝液を使用してもよい。一部の実施形態では、0.5M NaClの塩溶液を使用する。この媒体中では、ナノ粒子は、懸濁液である。ダイアライザーを、130mlの放出媒体(PBS中2.5%のヒドロキシルベータシクロデキストリン)を含有するガラス瓶に入れ、これを、振盪機を使用して150rpmで継続的に撹拌して、膜/外部溶液界面において望ましくない水層が形成するのを防ぐ。
予め決められた時点で、外部溶液(透析液)から試料の一定分量(1mL)を採取し、オリゴヌクレオチド濃度について、色素法(Oligreen)を使用して分析した。色素による定量を、HPLCによって確認した。図5は、in vitro放出に使用した色素およびHPLCによる定量法の比較を示す。
この遠心分離システムを、より少ない懸濁液体積で、透析バッグを用いず、同様の条件を使用して実施する。試料を60,000gで30分間遠心分離し、薬物含有量について上清をアッセイして、放出された薬物を測定する。
(実施例7)
対イオンスクリーニング
送達を強化するために、すべての核酸含有ナノ粒子に、対イオンを含めた。試験した対イオンには、クロルプロマジン、ジドデシルジメチルアンモニウム、セチルピリジニウム、およびヒドラバミンが含まれ、これらは、カプセル化および制御の可能性ならびにイオン対として働く能力に基づき選択した。様々な対イオン:核酸比で作製したナノ粒子を、粒径、ゼータ電位、添加量、カプセル化効率、およびin vitro放出に基づきスクリーニングした。
以下に示すのは、様々な比のジドデシルアンモニウムブロミドおよびクロルプロマジン(エンドソームおよびリソソームを破壊する分子の多くと構造が非常に似通っている)を含む核酸含有ナノ粒子の完全な特徴付けである。
Figure 0006983150
図6および7は、それぞれ、様々な比のジドデシルアンモニウムブロミドおよびクロルプロマジンを含む核酸含有ナノ粒子についてのin vitro放出結果を示す。
図8は、表示された対イオンを用いた核酸含有粒子のゼータ電位を示す。粒子特性はすべて、中性〜わずかにマイナスの所望の電荷と一致すると思われる。図3に示すとおり、遊離ssDNA(例えば、ナノ粒子中にない、いずれかのタイプのDNA)およびナノ粒子に添加されたssDNAを、Dnase Iで処理した後、Dnase Iを不活性化する。ナノ粒子内のDNAは分解から保護されるが、遊離ナノ粒子は分解される(図9に示すとおり)。
(実施例8)
カプセル化された材料のヌクレアーゼ安定性
カプセル化された核酸のヌクレアーゼ分解に対する安定性を、DNaseIによる切断からの保護によって評価した。むき出しのssDNAまたはssDNAが添加されたナノ粒子をDNaseIで処理し、DNaseの不活性化およびDNA抽出後、HPLCを使用してDNAを定量化した。図9は、ssDNAが、表示されたナノ粒子に組み込まれたとき、タンパク質分解切断から完全に保護されたことを示す。
(実施例9)
in vitro放出および添加量または理論添加量
オリゴヌクレオチドおよび対イオンを(2:1の対イオン:オリゴ比で)含有するナノ粒子を、代用ssDNAを使用して調査して、放出プロファイルを決定した。方法については、上記の実施例6を参照されたい。いずれの代用DNAまたはssDNAも使用し得た(例えば、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD))。粒子は、サイズが95〜100nmの範囲であった。エチルラウロイルアルギネートおよびリールアミンの2種の対イオンについての放出プロファイルを37℃で調査した。
図12は、エチルラウロイルアルギネートを対イオンとして含有するナノ粒子に関するオリゴヌクレオチドの経時的なin vitro放出プロファイルを、種々の理論添加量について示す。
図13は、リールアミン(エンドソーム離脱剤)を対イオンとして含有するナノ粒子に関するオリゴヌクレオチドの経時的なin vitro放出を、種々の理論添加量について示す。
図12および13において示されるとおり、添加量(または理論添加量)は、他の属性にマイナスに影響することなく、IVRに影響を与えることが観察された。
(実施例10)
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)
アンチセンスオリゴヌクレオチド(5ヌクレオチドの2’O−Me修飾領域と隣接する10ヌクレオチドのRNase Hドメイン)を対イオン(クロルプロマジン)と共に含有するナノ粒子を調査して、放出プロファイルを決定した。製剤は、ssDNAについて以前に評価したのと同じものとした。
図14は、ASOと対イオン(クロルプロマジン)とを表示された対イオン:オリゴ比で含むナノ粒子についての放出プロファイルを示す。
(実施例11)
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)および
エンドソーム離脱剤と組み合わされた、STAT3(シグナル伝達性転写因子3)アンチセンスオリゴヌクレオチド(本明細書では、STAT3 ASOと呼ぶ)を含有するナノ粒子を細胞内で調査して、STAT3発現を決定。STAT3は、STAT3遺伝子によってコードされる転写因子である。STAT3 ASOをいかなる送達剤なしにインキュベートすると、STAT3発現の測定可能な低減は認められない結果となる。対照的に、脂質をベースとする送達剤を加えると、ASO取込みおよび後続のSTAT3ノックダウンが促進される。これは、このタイプのASOが、細胞膜を越え、タンパク質発現を阻害することができないという、当技術分野において公知のことと一致する。
0日目に、C4−2細胞(PSMA発現について陽性)を、ウェルあたり1.5×10細胞で播いた。C4−2細胞は、市販品として入手可能であり、細胞をインキュベートし、成長させ、維持することは、当技術分野において周知の技術であると理解すべきである。同様に、ウエスタンブロット分析も、周知の分析技術である。1日目に、細胞を、成長培地において、処理しないままとするか、または2.5μMのSTAT3 ASO(遊離)、Oligofectamine(脂質)中の200nMのSTAT3 ASO、もしくは2.5μMのSTAT3 ASOをエンドソーム離脱剤(例えば、クロルプロマジン、フルオキセチン、プロメタジン、またはリールアミン)と共に含有するナノ粒子で処理した。細胞を37℃で72時間インキュベートし、72時間で、それを溶解緩衝液に集め、STAT3発現について、ウエスタンブロットによって分析した。細胞を溶解用緩衝液に溶解させることは、当技術分野に周知の技術であると理解すべきである。この実験では、アクチンを対照とした。結果は、図15Aに示す。STAT3 ASOと、2.5μMまたは10μMの、クロルプロマジン、エチルラウロイルアルギネート、またはリールアミンのいずれかを含有するナノ粒子で72時間細胞を処理したことを除き、同じ実験を繰り返した。結果は、図15Bに示す(UTC(未処理細胞)、ASO(アンチセンスオリゴヌクレオチド)、CPZ(クロルプロマジン)、ELA(エチルラウロイルアルギネート)、脂質(oligofectamine))。
図15Aのウエスタンブロットプロファイルに示されるとおり、細胞をSTAT3 ASOとリールアミン対イオン(2.5μM)とを含有するナノ粒子で処理すると、STAT3発現の測定可能なノックダウンが認められる。図15Bにおいて示されるとおり、より高濃度のリールアミン(10mM)およびCPZも、ASO送達を促進し得る。
図15Aおよび15Bから、PSMAを標的とするナノ粒子に、リールアミンをSTAT3アンチセンスASOと共にカプセル化すると、2.5および10μMの濃度でASOの送達が促進されて、STAT3タンパク質発現のノックダウンが生じる結果となることが実証される。10μMの濃度のASOでは、クロルプロマジン−ASOでも同様の効果が認められる。
(実施例12)
in vitro細胞アッセイ
ナノ粒子の種々の製剤をin vitro細胞アッセイで調査して、ナノ粒子から放出され、細胞において検出される治療剤の量を決定した。
in vitro細胞アッセイ(細胞IVR)は、96ウェルプレートに播かれたA431細胞(類表皮癌細胞)からなった。細胞を播種し、CO制御下のインキュベーターにおいて細胞培地と共に終夜インキュベートした。検量線を定めるために、遊離ASOを細胞培地に3倍連続希釈し、細胞と共に24時間インキュベートした。引き続いて細胞を溶解させ、cDNA合成およびそれに続くmRNAレベルについてのqPCRのために加工した。カプセル化されたASOのナノ粒子の放出を評価するために、以下のステップを遂行した。カプセル化されたASOのナノ粒子含有量をHPLC分析によって決定した。96ウェルプレートにおいて、公知のASO含有量の粒子を細胞培地に3倍連続希釈し、37℃で24、48、または72時間インキュベートした。各時点で、細胞培地中の粒子を、3倍連続希釈された遊離ASO(検量線)と並行して、A431細胞を含有する96ウェルプレートに移した。37℃でさらに24時間インキュベートした後、細胞を溶解させ、cDNA合成、およびmRNAレベルのqPCR読み出し用に加工した。ナノ粒子からのASOの全体的な放出パーセントを確立するために、各ナノ粒子処理群についてIC50値を算出し、遊離ASOについての値と比較した。
図16A〜16Cは、遊離ASO対ナノ粒子製剤1、2、3、および4について、ナノ粒子からASOが放出されて24、48、または72時間後の用量応答プロファイルを示す。ssDNA製剤は、陽性対照として、非活性オリゴヌクレオチドペイロードを含有する。製剤番号1は、10%w/wのASOペイロードを含有する、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とする製剤である。製剤番号2は、5%w/wのASOペイロードを含有する、標的をもたない製剤である。製剤番号3は、10%w/wのASOペイロードを含有する、標的をもたない製剤である。製剤番号4は、10%w/wのASOペイロードを、疎水性添加剤(ヘプタキス2,3,6−トリオベンゾイルシクロデキストリン)と共に含有する、標的をもたない製剤である。図16Dは、37℃で24、48、および72時間インキュベート後にナノ粒子から放出されたASOの相対百分率を算出するために使用した、遊離ASO処理群に対する各ナノ粒子製剤について算出したIC50値を示す。
図17Aは、蛍光標識された、ホレートで標的化されたナノ粒子の内部移行および相対的な細胞内局在(矢印によって赤色で示される)、リソソーム(矢印によって緑色で示される)、および細胞核(矢印によって青色で示される)を示す、KB細胞(類表皮癌)の蛍光顕微鏡写真を示す。実験の3日前に、GFPでタグ付けされたリソソームマーカーを発現するバキュロウイルスで細胞を感染させた。2日後、感染したKB細胞をカバーガラスに播き、無葉酸培地中で終夜接着させた。翌日、細胞培地を、ホレートで標的化されたナノ粒子を含有する新たな無葉酸培地に取り替え、これを細胞の上で37℃で60分間インキュベートした。細胞を洗浄し、固定し、透過処理し、DAPI DNA染色剤で染色し、カバーガラスに載せた。像を100倍の倍率で撮影した。図17Bは、0分、15分、および60分における、結合したホレート標的化ナノ粒子の内部移行パーセントを示す。KB細胞を集め、ホレートで標的化された蛍光ナノ粒子を含有する無葉酸培地に懸濁させ、4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、結合していないナノ粒子を除去し、無葉酸培地に再び送り込み、37℃で0、15、または60分間インキュベートした。各時点において、細胞を集め、2つのプールに分けた。第1のプールは、PBSに懸濁させ、フローサイトメトリーによって、ナノ粒子蛍光について評価した(これは、総ナノ粒子含有量(内部移行したものと表面に結合したものの両方)に相当した)。第2のプールは、酸洗浄液(0.2Mの酢酸、0.5MのNaCl)に再懸濁し、室温で5分間インキュベートし、PBS中で洗浄し、フローサイトメトリーによって評価した。酸洗浄によって、表面に結合したナノ粒子が剥ぎ取られるので、この蛍光の読みは、内部移行したナノ粒子だけの尺度である。酸で洗浄された蛍光を総蛍光で割ることにより、内部移行パーセントを決定する。
(実施例13)
siRNA−GFPノックアウトin nitro細胞アッセイ
エンドソーム離脱剤と組み合わされたsiRNAを含有するナノ粒子を細胞内で調査して、eGFP発現に対する影響を決定した。A431細胞アッセイにおいて、siRNA標的指向性eGFPの種々の製剤をナノ粒子にカプセル化した。siRNAペイロードが順調に送達されるか検定するために、C末端PESTドメインを含んでいる短命型のeGFP(eGFP−PEST)を安定して発現するA431細胞を、処理の前日、96ウェル組織培養プレートにウェルあたり5000細胞で播き、37℃、湿度5%でインキュベートした。翌日、培地を除去し、2.5、0.63、または0.16μMのsiRNA濃度の種々のsiRNA製剤を、単独で、または予め決められた毒性水準下用量の溶液中の推定上のエンドソーム離脱剤(6.7μMのアミオダロン、16.7μMのアミトリプチリン、50μMのドキセピン、0.5μMのUNC−7938、75μMのELA)の存在下で含有する、100ulの新鮮な培地と交換した。すべての試験群を二通りに設定した。次いで、細胞をIncuCyte生細胞画像処理システムにおいてインキュベートし、そこで、細胞を数日間にわたり3時間毎に10倍の倍率で画像処理した。積算されたeGFP蛍光を視野毎に平均し、細胞集密度パーセントで割って、細胞密度のばらつきについて正規化した。次いで、この値を、100%に設定された未処理細胞の値に対して正規化した。
図18Aおよび図18Bは、細胞アッセイの結果、特に、相対的な蛍光を示す。図18Aは、Incucyte(登録商標)生細胞分析システムによって測定した相対eGFP蛍光の結果を示す。図18Bは、リアルタイムPCR転写結果を報告する。図18Aおよび18Bにおいて示されるとおり、蛍光レベルと転写物レベルは、概ね一致する。結果において、siRNA−B890ナノ粒子に曝された細胞における蛍光が、未処理の細胞に比べて減少したことを認めることができる。同様に、ドキセピンおよびアミトリプチリンを加えたsiRNA−B890ナノ粒子では、相対的な蛍光が最も少なくなった。
図19A、19B、および19Cは、遊離siRNA(図19A)、PTNP−siRNA(図19B)、およびB890−siRNA(図19C)を用いて行った、上述のとおりの細胞アッセイの結果を示す。PTNPは、官能化されていないナノ粒子であることを意味する。図19A、19B、および19Cから見てとれるように、B890−siRNAナノ粒子では、特に2.5uMの濃度で、相対的な蛍光が最も少なくなった。
図20A、20B、20C、および20Dは、78時間での種々のsiRNA製剤での細胞アッセイの結果を示すものである。図20Aは、78時間でのPTNP−siRNAについての相対GFP蛍光を示す。図20Bは、78時間での5%B890−siRNAについての相対GFP蛍光を示す。図20Cは、78時間での10%B890−siRNAについての相対GFP蛍光を示す。図20Cは、78時間での20%B890−siRNAについての相対GFP蛍光を示す。
図21A〜21Cは、細胞アッセイの結果、特に、細胞アッセイにおける、未処理細胞についての0および88時間での蛍光を示すものであり、図22A〜22Cは、細胞アッセイにおける、B890−siRNAナノ粒子およびドキセピンについての0および88時間での蛍光を示すものである。
均等物
当業者は、単に通例の実験法を使用して、本明細書に記載されている開示されるナノ粒子の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、確認することができる。このような均等物は、下記の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
参照による組込み
本明細書において引用した全ての特許、公開された特許出願、ウェブサイト、および他の参照文献の全内容は、参照によりその全体が明確に本明細書において組み込まれている。

Claims (6)

  1. 核酸および疎水性対イオン剤と、
    50〜99.75重量パーセントのジブロックポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはジブロックポリ(乳酸−co−グリコール酸)−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーとを含み、
    前記疎水性対イオン剤が、クロルプロマジン、エチルラウロイルアルギネート、アミトリプチリン、アミオダロンおよびドキセピンからなる群から選択される、
    薬学的に許容できるナノ粒子。
  2. 前記疎水性対イオン剤がクロルプロマジンである、請求項1に記載の薬学的に許容できるナノ粒子。
  3. 前記疎水性対イオン剤がエチルラウロイルアルギネートである、請求項1に記載の薬学的に許容できるナノ粒子。
  4. 前記疎水性対イオン剤がアミトリプチリンである、請求項1に記載の薬学的に許容できるナノ粒子。
  5. 前記疎水性対イオン剤がアミオダロンである、請求項1に記載の薬学的に許容できるナノ粒子。
  6. 前記疎水性対イオン剤がドキセピンである、請求項1に記載の薬学的に許容できるナノ粒子。
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