JP6982899B2 - 欠陥検査装置および欠陥検査方法 - Google Patents
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Description
検査対象を透過した光はラインセンサで受光される。ラインセンサの出力値は画像処理され、この画像処理により検査対象に存在する透明欠陥の画像が生成される。透明欠陥の検出感度は、エッジ量、分解能等により、設定することができる。
上記特許文献2の欠陥検査装置においては、凹凸欠陥の高さあるいは深さの絶対値評価を行うことが記載されているが、反射方式での三角測量であるため、透過方式における検査装置に適用することができない。
(i)欠陥の傾きと、屈折によるスリット位置での読取位置ズレの関係を求める。
(ii)1/Nエッジ透過光学系の照明を90度回転したときのラインセンサ出力と読み取り位置との関係を用いて、読取位置ズレとラインセンサ出力の関係を求める。
上記の関係は、下記により変化する。
a)光学系:エッジ量
b)ラインセンサ:素子サイズ、分解能、レンズの焦点距離、絞り
c)照明:照明距離
(iii)上記(i)(ii)からラインセンサ出力と、欠陥の傾きの関係を求める。
(iv)欠陥画像の流れ方向の欠陥の傾きを加算して、凹凸の高さ/深さ(μm)を求める。
図1は、本発明の実施形態による欠陥検査装置の構成例を示すブロック図である。欠陥検査装置は、検査対象1を照明するライン状照明装置3、走行中の検査対象1の画像を読み取るラインセンサ2、ラインセンサ2の画像を入力して欠陥検出を行う画像処理装置6、画像処理装置6を制御する画像処理PC11、画像処理PC11の情報を入力して検査結果を表示する操作PC12、操作PC12の出力を行う出力装置13からなる。ロータリエンコーダ14は、ラインセンサ2の画像を入力するタイミングを調整する。
出力装置13は、操作PC12の処理結果を表示する表示部として機能するものである。また、出力装置13は、欠陥を検出した場合、シーケンサ(図示せず)により警報、パトライト(登録商標)表示などにより報知する。但し、この例に限定されず、出力装置13による情報の表示形態は任意である。
スリット板4は、ライン状照明装置3の照明光をスリット状に加工する。スリット板4には、ラインセンサ2及びライン状照明装置3の長辺方向に対して平行となるようにスリット部4aが設けられている。スリット部4aの短手方向の幅は、例えば3〜10mmである。スリット板4は、検査対象1から例えば100〜400mmの距離をあけて配置されている。また、片側のみのスリット板を使用してもよい。
ライン状照明装置3の照明光3aは、スリット板4のスリット幅に応じた範囲に規制された上でスリット部4aを通過し、検査対象1を透過した後、ラインセンサ2によって受光される。
ここで、図3Aと図3Bとにおいて、ライン状照明装置3から出射された光の強度が同じであっても、ラインセンサ2の出力値は、正透過の場合(図3A)よりも1/2エッジ透過の場合(図3B)の方が小さい。
ここでは、図3Cの位置PAにおける出力値は、位置PBにおける出力値の1/2となる位置であり、1/2エッジ透過に対応している。
この図3Cに示すグラフは、図2Bに示す光学系の配置において、ライン状照明装置の長手方向とラインセンサ2の長手方向が直交するように、ライン状照明装置3の向きをラインセンサ2に対して相対的に90°回転させた位置において、ラインセンサの出力値を、ラインセンサ2の幅方向に並べることで、図3Cのグラフを得ることができる。例えば、横軸をラインセンサ2の幅方向とし、縦軸をラインセンサの出力とする。これにより、スリット部の幅方向における位置とラインセンサ2の出力値との関係を得ることができる。
図4のケースAからケースEは、検査対象1が搬送されている際に、検査対象1の欠陥部の凹凸によって光が屈折することにより、透明欠陥の凹凸形状に応じてラインセンサの出力値が変化することを図示している。矢印の位置が、ラインセンサの読取位置である。また、検査対象1は、紙面に向かって左から右方向に搬送される場合には、ケースA、ケースB,ケースC、ケースD、ケースEの順で検査状態が遷移する。
一方、凸欠陥における外縁側(凸欠陥の中央部ではなく図に向かって右側)に光が入射した場合、光は、凸欠陥の傾斜面に入射するため、凸欠陥の中央側(図に向かって左側)に屈折する。そのため、ラインセンサ出力値は高くなる。
このように、凹欠陥及び凸欠陥のいずれの場合であっても、光が傾斜面に入射すると、光が屈折するため、カメラ読取位置は光の出射位置から鉛直方向ではなく、いずれかの方向に変化する。
一方、凸欠陥における外縁部(凸欠陥の中央部ではなく図に向かって左側)に光が入射した場合、光は、凸欠陥の傾斜面に入射するため、凸欠陥の中央側(図に向かって右側)に屈折する。そのため、ラインセンサ出力値は低くなる。
このように、上述したケースBと同様に、凹欠陥及び凸欠陥のいずれの場合であっても、光が傾斜面に入射すると、光が屈折するため、カメラ読取位置は光の出射位置から鉛直方向ではなく、いずれかの方向に変化する。
ラインセンサの読取位置が、図3Cにおける位置PAとなるように設定されている場合におけるラインセンサ2の出力値は、凹欠陥の場合には「暗」から「明」に変化し、凸欠陥の場合には「明」から「暗」の順序で変化する。そのため、ラインセンサ2の出力値の変化の履歴に基づくことで、欠陥の形状が凹欠陥であるか凸欠陥であるかを区別することができる。また、ラインセンサ2の出力値の変化から欠陥の傾き(検査対象1の表面の傾き)がわかるので、スキャン数毎に傾きの値を搬送方向に順に合計することで、凹欠陥の場合にはその深さ、凸欠陥の場合にはその高さがわかる。
検査対象1が無い場合、ラインセンサ2から出射された光は、スリット板4のスリット部4aの境界位置を近傍を通過し、ライン状照明装置3に到達する。このときの読取位置は位置Dである。
n1sinα=n2sinβ
であるので、角度βは、次式(1)で求めることができる。
β= sin-1(n1sinα/n2) …(1)
ここで、
空気の屈折率:n1
検査対象の屈折率:n2(PET(polyethylene terephthalate)の場合:1.6)
欠陥による傾き:α
検査対象に入射後の屈折角度:β
出射後の角度γは、次式(2)で求めることができる。
γ= sin-1(n2sin(α-β)/n1) …(2)
S=L2tanγ …(3)
例えば、下記の条件の場合、読取位置ズレSは1.8mmとして求めることができた。
欠陥の傾斜:長さ100μmで高さ1μm
n1:1
n2:1.6
α:0.573度
β:sin-1(n1sinα/n2)⇒0.358度
γ:0.344度
L2:300mm
s:L2tanγ=300×tan(0.344)=1.8
このように、欠陥の傾斜について、長さ100μmに対する高さを1μm毎に一定範囲(例えば、-5μmから+5μmまで)における読み取り位置ズレSをそれぞれ求め、その結果をグラフに示すと、図6のように示すことが出来る。
図6は、図5の説明に基づいて、グラフとして表した図である。
横軸は欠陥の傾き(長さ100μm当たりにおける、検査対象1のカメラ2aに対向する面における高さの差(μm))であり、縦軸は、読取位置ズレSである。
図5において、欠陥の傾きが負の場合、読み取り位置ズレSは、位置Dに対して図に向かって左側に位置することを示し、欠陥の傾きが正の場合、読み取り位置ズレSは、位置Dに対して図に向かって右側に位置することを示す。また、傾きの絶対値が大きいほど、読み取り位置ズレSは、位置Dからの距離が大きくなる。
この図7は、図3Cの波形を元にグラフで表した図である。横軸は読取位置ズレS(mm)、縦軸はラインセンサ出力(%)である。より具体的に、図7は、図3Cにおける1/2エッジ透過において、出力が1/2となる位置(位置PA)で、検査対象1の正常部を透過した際に受光したときのラインセンサ出力を100%とした場合に、ラインセンサの出力が200%(位置PB)近傍の読み取り位置(図3Cの横軸方向における位置)からラインセンサの出力が0%近傍の読み取り位置(図3Cの横軸方向における位置)までの範囲において、ラインセンサの出力(%)と読み取り位置(読み取り位置ズレとして用いる)との関係を求めることで、図7の結果を得た。
(a)ラインセンサ:8192素子(1素子のサイズ7μm)
(b)レンズ:f90mmレンズ(絞り:F5.6)
(c)ラインセンサ距離:820mm(カメラ2aから検査対象1のカメラ2aに対向する面までの距離)
(d)エッジ量:N=2(1/Nエッジ透過光学系におけるNの値)
(e)分解能:50μm/素子
(f)ライン状照明装置:LED照明
(g)照明距離:300mm(ライン状照明装置3から検査対象1のライン状照明装置3に対向する面までの距離)
(h)光学系:エッジ量
(i)ラインセンサ:素子サイズ、分解能、レンズの焦点距離、絞り
(j)照明:照明距離
図8は、図6に示す欠陥の傾きとラインセンサの読み取り位置ズレの関係と、図7に示すラインセンサの読み取り位置ズレとラインセンサ出力の関係を元に、ラインセンサ出力と欠陥の傾きの関係を求めたものである。例えば、図6と図7とを参照することで、読み取り位置ズレSが同じ値である、欠陥の傾きと、ラインセンサの出力値との対応関係から、図8のグラフを得ることができる。
図8において、横軸はラインセンサ出力(%)、縦軸は欠陥の傾き(長さ100μm当たりにおける、検査対象1のカメラ2aに対向する面における高さの差(μm))である。
このような、ラインセンサの出力値と検査対象における欠陥部の傾きとの関係を示す傾きデータを例えば、画像処理PC11内に設けられた記憶部に予め記憶しておく。また、画像処理PC11は、この記憶部を参照することで、傾きデータに基づいて、ラインセンサの出力値に対応する欠陥の傾きを読み出す取得部が設けられる。その上で、画像処理PC11は、傾き取得部によって得られた欠陥の傾きの、搬送方向における履歴に基づいて、検査対象物の検査対象部位の高さを求める計算部を有する。計算部は、検査対象1の搬送方向における1つ前の検査対象位置の高さに対し、検査対象位置において求められた欠陥の傾きを加えることで、当該検査対象位置における高さを求める(詳細は後述する)。
これにより、画像処理PC11は、検査を行った画素における欠陥の傾きを求めることが可能となる。そして、このような欠陥の傾きを、検査対象1の搬送方向にそれぞれの画素毎に求めることで、搬送方向における欠陥の傾き(高さ)の変化を把握することができるため、欠陥の凹凸形状を把握することが可能となる。
また、取得部、計算部は、CPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
ここでは、図8に示したラインセンサ出力と欠陥の傾きの関係より、1スキャン当りの傾きは、次の式(4)で求めた。ここで1スキャンとは、検査対象1の搬送方向におけるある位置において、幅方向の1ラインを測定対象として測定することをいう。1スキャン当たりの傾きは、検査対象1の搬送方向におけるある測定位置における傾きをいう。
G=-0.016579×E/F×100+1.6579 …(4)
E:ラインセンサ出力
F:ラインセンサ出力(正常部)
E/F×100:ラインセンサ出力(%)
G:1スキャン当りの傾き
なお、式(4)において「-0.0167」に示す傾き及び「1.6579」に示す切片の値は、式(3)、図7において説明した各条件において測定を行った結果に基づいて、ラインセンサ出力値と欠陥の傾きとの関係を一次曲線で近似することで求まる値であり、これら条件(検査対象、各種距離、エッジ量等)が変われば、これらの値も変わり得る。例えば、欠陥部(欠陥部においてスリット板4に対向する面)からスリット板4までの距離L2が300mmである場合を例示したが、距離L2が300mmよりも長い距離に設定された場合には、読み取り位置ズレSの値は大きくなり、距離L2が300mmよりも短い距離に設定された場合には、読み取り位置ズレSの値は小さくなる。そのため、上述した式(4)における傾きや切片の値も変わり得る。
これらの値は、図6に示すような読み取り位置ズレと欠陥の傾きの関係、および図7に示すようなラインセンサ出力値と読み取り位置ズレとの関係、に基づいて、欠陥の傾きとラインセンサ出力値と関係を一次曲線で近似した式を求めることで決めることができる。
Hn=Hn-1+Gn …(5)
Hn:nスキャン目の欠陥部の高さ
Hn-1:n-1スキャン目の欠陥部の高さ
Gn:nスキャン目の欠陥部の傾き
図9Aの図(b)において、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係については、図9Aの図(a)における符号901の図における波形と同様の結果が示されている。また、搬送方向における高さは、低い方へのピークが表れており、形状が凹状である欠陥があることが検出された。
図9Bの図(b)において、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係については、図9Bの図(a)における符号911の図における波形と同様の結果が示されている。また、搬送方向における高さは、低い方へのピークが表れた後、高い方へのピークが表れ、その後、低い方へのピークが表れている。この1ラインを含む幅方向のいくつかのラインの測定結果を参照すると、凸状と凹状が2つ連続して並んだ形状の欠陥があることが検出された。
図9Cの図(b)において、搬送方向における位置とラインセンサ出力値(%)との関係については、図9Cの図(a)における符号921の図における波形と同様の結果が示されている。また、搬送方向における高さは、低い方へのピークがあるが、図9Aの測定結果に比べると凹状の結果の高さ(深さ)は浅い。
2…ラインセンサ
3…ライン状照明装置
4…スリット板
5…移動機構
6…画像処理装置
7…前処理部
8…2値化部
9…ランレングス符号化部
10…連結性処理部
11…画像処理PC
12…操作PC
13…出力装置
14…ロータリエンコーダ
Claims (2)
- 検査対象の一面を照明するライン状照明装置と、
前記検査対象と前記ライン状照明装置との間に配置され、前記ライン状照明装置の照明光をスリット状に加工するスリット板と、
前記検査対象を挟んで前記ライン状照明装置と対向するように配置され、前記スリット板を通過して前記検査対象を透過した光を受光するラインセンサと、を有し、
前記スリット板に形成されたスリット部の前記検査対象を搬送する方向に対して直交する方向である幅方向における中央領域を通過する光に合わせて前記ラインセンサの位置を設定したときの前記ラインセンサの出力値である第1出力値と、前記スリット部の中央領域の外方を通過する光に合わせて前記ラインセンサの位置を設定したときの前記ラインセンサの出力値である第2出力値との比が目標の比となるように設定された欠陥検査装置において、
予め、欠陥部の傾き(G)と、前記検査対象の表面から垂直方向に対する、前記検査対象を透過して出射される光の角度とから読取位置ズレの値を求め、当該読取位置ズレの値とラインセンサの出力値(E)との関係を求め、前記検査対象の正常部が測定された場合のラインセンサの出力値をFとし、前記検査対象の幅方向における1ラインを測定したときの各画素について、前記ラインセンサの出力値(E/F×100)と前記検査対象における欠陥部の傾き(G)との関係(G=aE/F×100+b,aは予め求められる傾き,bは予め求められる切片)を表す傾きデータが求められた結果を記憶する傾きデータ記憶部と、
前記傾きデータを参照することで、前記ラインセンサの出力値(E)に対応する欠陥の傾き(G)を得る傾き取得部と、
前記傾き取得部によって得られた欠陥の傾きの前記搬送する方向における履歴に基づいて前記検査対象の検査対象部位の高さH n (nは前記検査対象の搬送方向における、ある1ラインを示す)を(H n =H n−1 +G n )に基づいて求める計算部と、
を有する欠陥検査装置。 - 検査対象の一面を照明するライン状照明装置と、
前記検査対象と前記ライン状照明装置との間に配置され、前記ライン状照明装置の照明光をスリット状に加工するスリット板と、
前記検査対象を挟んで前記ライン状照明装置と対向するように配置され、前記スリット板を通過して前記検査対象を透過した光を受光するラインセンサと、を有し、
前記スリット板に形成されたスリット部の前記検査対象を搬送する方向に対して直交する方向である幅方向における中央領域を通過する光に合わせて前記ラインセンサの位置を設定したときの前記ラインセンサの出力値である第1出力値と、前記スリット部の中央領域の外方を通過する光に合わせて前記ラインセンサの位置を設定したときの前記ラインセンサの出力値である第2出力値との比が目標の比となるように設定された欠陥検査装置における欠陥検査方法であって、
データ記憶部が、予め、欠陥部の傾き(G)と、前記検査対象の表面から垂直方向に対する、前記検査対象を透過して出射される光の角度とから読取位置ズレの値を求め、当該読取位置ズレの値とラインセンサの出力値(E)との関係を求め、前記検査対象の正常部が測定された場合のラインセンサの出力値をFとし、前記検査対象の幅方向における1ラインを測定したときの各画素について、前記ラインセンサの出力値(E/F×100)と前記検査対象における欠陥部の傾き(G)との関係(G=aE/F×100+b,aは予め求められる傾き,bは予め求められる切片)を表す傾きデータが求められた結果を記憶し、
傾き取得部が、前記ラインセンサの出力値と前記検査対象における欠陥部の傾きとの関係を表す傾きデータを記憶する傾きデータ記憶部を参照し、前記ラインセンサの出力値(E)に対応する欠陥の傾き(G)を取得し、
計算部が、前記傾き取得部によって得られた欠陥の傾きの前記搬送する方向における履歴に基づいて前記検査対象の検査対象部位の高さH n (nは前記検査対象の搬送方向における、ある1ラインを示す)を(H n =H n−1 +G n )に基づいて求める
欠陥検査方法。
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