JP6982598B2 - 大深度掘削装置及び大深度掘削方法 - Google Patents
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Description
ライザー掘削方式では、パイプを二重に形成して内側のパイプを地上や海上等から泥水を供給するドリルパイプとし、外側のパイプを泥水を戻すライザー管とすることで、掘削深度を大きくとれる構造にしている。地上からドリルパイプ内に供給される泥水は先端のドリルビットに設けたノズルから坑底の地盤に向かって噴出され、ドリルビットで破砕された削りカスと混合されて、ドリルパイプの外側の通路を通って地上まで戻すことで回収される。
本発明によれば、筒体の複数のケーシング管内にそれぞれ設けられたドリルビットで地盤を掘削し、掘削屑を複数のドリルパイプを通して供給される泥水と混合して空間を通して地上側に回収することで掘削穴を形成でき、掘削穴に筒体を進めて大深度掘削を行うことができる。
本発明によれば、第一の筒体の複数の第一のケーシング管内にそれぞれ設けられた第一のドリルビットで地盤を掘削し、掘削屑を複数の第一のドリルパイプを通して供給される泥水と混合して第一の空間を通して地上側に回収することで掘削穴を形成して掘削穴に第一の筒体を進める。次に、第一の筒体の内部空間に第二の筒体を挿入して、第二の筒体の複数の第二のケーシング管内にそれぞれ設けられた第二のドリルビットで地盤を掘削し、掘削屑を複数の第二のドリルパイプを通して供給される泥水と混合して第二の空間を通して地上側に回収することで掘削穴を形成して掘削穴に第二の筒体を進める。このような作業を繰り返すことで、筒体の内部空間を通してより小径の筒体を順次進入させて隙間を生じないように突出させて配設することで、大深度掘削を行うことができる。
筒体の内部空間を通して昇降可能な重機を装着することで、ドリルビットで掘削した掘削屑を重機で回収して排出させることができる。
掘削屑をドリルパイプの外側に設置された空間を通して回収できる。
筒体を備えた大深度掘削装置を掘削穴に装着した状態で、筒体のセグメントに形成した注入孔を通して掘削穴の壁面との隙間に裏込め材を充填することで、掘削穴の壁面が崩れたりすることを阻止できる。
ドリルビットで掘削した掘削屑を筒体の先端側領域で攪拌し、回収パイプを通して回収できる。
また、先に掘削した第一の筒体の内部空間を通して第一の筒体より小径の第二の筒体を突出させて掘削することで大深度掘削することができるため、各筒体でドリルビットの摩耗や折損を防いで効率よく大断面掘削を行える。
図1乃至図5は本発明の第一実施形態による大深度掘削装置1を示すものである。図1(a)に示す大深度掘削装置1は陸地の地底または海底等において例えば70m以上の深さに亘って大口径の大深度掘削を行うものである。この大深度掘削装置1は、図2に示すセグメント2を円環状に連結したセグメントリング3をいも継ぎ(または千鳥組)で上下方向に例えば4段組付けた筒体4を有している。しかも、筒体4の最下段のセグメント2は複数の刃口付きセグメント2Aを連結した刃口リング16を形成している。筒体4は地中の掘削穴H内に埋設されている。
図2に示すセグメント2は、板状で略円弧状に湾曲形成された一対の主桁板6と、長方形で平板状に形成された一対の継手板7と、を備えていて、全体に略四角形で円弧版状に湾曲して形成されている。その外周面(地山側)にスキンプレート8が形成されている。
この場合、筒体4の地中への埋設位置の地盤の温度が300℃以下であればセグメント2内にコンクリートを中詰めることができる。しかし、300℃を超える場合には断熱材を間詰め材として中詰めすることが好ましい。筐体10の材質は大深度掘削に耐えられるように耐高温、耐高圧、高耐久性の金属等が望ましく、例えばGFRP、CFRP、チタン、ステンレス等を採用できる。
セグメント2の筐体10の対向する主桁板6にはボルト等のリング継手13が配設され、対向する継手板7にはボルト等のセグメント継手14が配設されている。そのため、セグメント2は継手板7同士をセグメント継手14で連結することで、例えば図1及び図4に示すセグメントリング3を構築できる。主桁板6同士をリング継手13で連結することでセグメントリング3同士を上下方向に連結することができる。
また、最下段のセグメントリング3は刃口付きセグメント2Aを筒状に連結してなる刃口リング16で構成されている。各セグメント2、2A内には長手方向に対向面をなす一対の主桁板6間にケーシング管12が縦方向に装着されている。
泥水は、地層状況に応じて比重や粘性、化学組成を調整した特殊な流体であり、成分により水ベースと油ベースに大別される。
海底または陸上において、地下資源である石油、レアメタル、シェールガス等を採取したり、地中熱を採取したりする場合、大口径の筒体4を備えた大深度掘削装置1を地中に大深度掘削する。この場合、例えば刃口付きセグメント2Aからなる最下段をなす刃口リング16を設けた大口径の筒体4を地盤に設置して、各セグメント2に設けた複数のケーシング管12を通して、先端にドリルビット21を設けたドリルパイプ20を下方に降下させる。
これにより、略円周状に掘削穴Hを形成する。また、筒体4の内部空間24内では重機25を降下させてドリルビット21で掘削したリング状の掘削穴Hの内側部分を掘削して土砂を地上に搬出する。
このような作業を繰り返しながら坑底の地盤を掘削することで大深度の掘削穴Hを掘削して、各種の地下資源を採取することができる。
しかも、大口径で大深度掘削した部分を拠点として小口径の複数のドリルパイプ20とドリルビット21を岩盤に発進させることで安全性とメンテナンス性が高く、地下資源を採取する効率が高くなる。また、筒体4が大口径で複数のドリルパイプ20及びドリルビット21を挿通させるケーシング管12を周方向に多数設けたため低コストで大深度掘削をすることができる。
なお、回収パイプ27に代えて、筒体4の外周側を囲う円環状の空間からなる回収リングを設置してもよい。この場合でも、筒体4と回収リングの間の円環状の空間の上部を負圧に設定することで掘削屑を強制的に回収できる。
本変形例では、筒体4を構成する任意の高さのセグメントリング3のセグメント2に設けた注入孔15を通して裏込め材30を外面側(地山側)の周囲地盤に注入している。地盤を複数のドリルビット21と刃口リング16によって掘削して掘削穴Hを形成して、筒体4を設置した場合、掘削穴Hの壁面に土砂が崩れて流れ込んでしまうおそれがある。これを防ぐために、例えばセメントミルク等の裏込め材30を筒体4と掘削穴Hとの隙間に充填させて固化することができる。
本変形例では、筒体4の下端部に設けた刃口リング33は刃口付きセグメント34の下端部に設けたテーパ面34aが内側から外側に傾斜した傾斜面として形成されている。本変形例においても、ドリルビット21で掘削した坑底の地盤に筒体4の刃口リング33を降下させることができる。
本変形例では、大深度掘削装置1Eの筒体4の下端部に刃口リング16、33を設けず、通常のセグメント2を連結したセグメントリング3を設けている。セグメント2による筒体4は例えば千鳥組で形成されている。本変形例においても、筒体4の先端に延びるケーシング管12内のドリルパイプ20の先端に設けたドリルビット21で坑底の地盤を掘削して、掘削穴Hに筒体4を降下させることができる。
本実施形態による大深度掘削装置1Fでは、外径の異なる複数段(例えば3段)のセグメントリング3を例えばいも継ぎで上下方向に連結した複数の筒体4A、4B、4Cを備えている。各筒体4A、4B、4Cは地上側から地下に向けて外径が次第に小さくなっている。
しかも、各筒体4A、4B、4Cにおける下端部のセグメントリング3は例えば刃口リング16で構成され、各セグメントリング3の周方向に所定間隔で装着したケーシング管12内にはドリルパイプ20が装着され、その先端が刃口付きセグメント2Aのテーパ面2bから突出してドリルビット21が装着されている。
そして、第二の筒体4Bの内部空間24B内にはその外径が内部空間24Bとほぼ同一径をなす比較的小径の第三の筒体4Cが挿入されており、しかも第二の筒体4Bの下端部(先端部)に第三の筒体4Cの後端部が連結されている。このようにして大深度掘削装置1Fが構築される。
最初に、大口径の大深度掘削装置1Fにおける最大外径の第一の筒体4Aを地盤GLから地中に大深度掘削する。例えば、最下段に刃口リング16を設けた第一の筒体4Aを地盤に設置して、各セグメント2に設けた複数のケーシング管12を通して、ドリルパイプ20の先端に設けたドリルビット21を下方に降下させる。ドリルパイプ20を高速回転させることでドリルビット21によって坑底の地盤を掘削して岩盤を破砕する。これと同時に、泥水をドリルパイプ20に注入し、ドリルビット21に設けたノズルから泥水を噴出させて岩盤に亀裂等を生じさせる。しかも、ドリルビット21によって刃口リング16の先端側領域の地盤を掘削し且つ攪拌することによって大深度掘削を行う。
ドリルビット21で掘削された岩盤の掘削屑は泥水と混合され、ケーシング管12の空間22を通して泥水と掘削屑の混合物を吸引する。そして、地上で泥水と掘削屑を回収し、掘削屑を分離した泥水を泥水ピットに戻す。これにより、略円周状に掘削穴Hを形成し、第二の筒体4Bを掘削穴H内に降下させる。このとき第二の筒体4Bが第一の筒体4Aと分離せず重なるように連結する。
また、必要に応じて、更に小径の筒体4を第三の筒体4Cの内部空間24Cを通して坑底の地盤を掘削して第三の筒体4Cと連結することで、より大深度の大深度掘削装置1Fを形成できる。これにより、掘削穴Hを掘削して各種の地下資源を採取することができる。
なお、掘削屑と泥水の混合物を回収するために、各筒体4の外側に回収パイプ27を設けてもよい。
本実施形態による大深度掘削装置1Gでは、複数段(例えば3段)のセグメントリング3を千鳥組またはいも継ぎで連結した筒体4を地盤GLに設けた掘削穴H内に設置する。掘削穴Hの掘削は、上述した第一実施形態による大深度掘削装置1で説明したように、筒体4に設けたケーシング管12内のドリルビット21及びドリルパイプ20とリング状の空間22とで行われる。
この筒体4の内部空間24の底部を封止することで保護区域とし、筒体4の底部を起点として保護区域内に地下資源採取ステーション36を設置する。そして、地下資源採取ステーション36を拠点として図示しない重機等を設置し、複数組の小口径のドリルパイプ20及びドリルビット21を更に下方に発進させて地盤中を掘削する。地下資源採取ステーション36からドリルパイプ20及びドリルビット21を任意の方向に複数組発進させることで、地下資源を広域的に採取することが可能になる。
2 セグメント
2A、34 刃口付きセグメント
3 セグメントリング
4 筒体
4A 第一の筒体
4B 第二の筒体
4C 第三の筒体
12 ケーシング管
15 注入孔
16 刃口リング
20 ドリルパイプ
21 ドリルビット
22 空間
24、24A、24B、24C 内部空間
25 重機
30 裏込め材
31 間詰め材
36 地下資源採取ステーション
H 掘削穴
Claims (8)
- 複数のセグメントが筒状に連結された筒体と、
前記筒体のセグメントに装着され、前記筒体の周方向に沿って設けられた複数のケーシング管と、
前記ケーシング管内に挿入されたドリルパイプと、
前記ドリルパイプの先端に設けられていて地盤を掘削するドリルビットと、
前記ドリルビットで掘削された地盤の掘削屑を搬出する空間と、を備えたことを特徴とする大深度掘削装置。 - 複数のセグメントが筒状に連結された第一の筒体と、
前記第一の筒体のセグメントに装着され、前記第一の筒体の周方向に沿って設けられた複数の第一のケーシング管と、
前記第一のケーシング管内に挿入された第一のドリルパイプと、
前記第一のドリルパイプの先端に設けられていて地盤を掘削する第一のドリルビットと、
前記第一のドリルビットで掘削された地盤の掘削屑を搬出する第一の空間と、
前記第一の筒体の内部空間から先端側に突出して設けられていて複数のセグメントが筒状に連結された前記第一の筒体より小径の第二の筒体と、
前記第二の筒体のセグメントに装着され、前記第二の筒体の周方向に沿って設けられた複数の第二のケーシング管と、
前記第二のケーシング管内に挿入された第二のドリルパイプと、
前記第二のドリルパイプの先端に設けられていて地盤を掘削する第二のドリルビットと、
前記第二のドリルビットで掘削された地盤の掘削屑を搬出する第二の空間と、を備えたことを特徴とする大深度掘削装置。 - 前記筒体の内部空間に、前記ドリルビットによって掘削された掘削屑を搬出する重機を備えた請求項1に記載された大深度掘削装置。
- 前記ドリルビットによって掘削された掘削屑を搬出する空間が前記ドリルパイプの外側に設置されている請求項1に記載された大深度掘削装置。
- 前記筒体のセグメントには前記筒体とその周囲地盤の掘削穴との間に裏込め材を注入するための注入孔が設けられている請求項1、3または4のいずれか1項に記載された大深度掘削装置。
- 前記筒体の外側には前記掘削屑を回収するための回収パイプが設置されている請求項1、3から5のいずれか1項に記載された大深度掘削装置。
- 複数のセグメントで形成した筒体に、前記筒体の周方向に沿って設けた複数のケーシング管内に挿入したドリルパイプの先端のドリルビットで掘削穴を掘削する工程と、
前記ドリルパイプを流れて前記ドリルビットのノズルから噴出される泥水によって、前記ドリルビットで掘削した掘削屑を前記ケーシング管内の空間、前記筒体の内部空間、前記筒体の外周側の回収パイプのいずれかの経路を通して回収する工程と、
前記掘削穴内に前記筒体を進出させて後部に前記セグメントを連結する工程と、を備えたことを特徴とする大深度掘削方法。 - 複数のセグメントで形成した第一の筒体に、前記第一の筒体の周方向に沿って設けた複数の第一のケーシング管内に挿入した第一のドリルパイプの先端の第一のドリルビットで掘削穴を掘削する工程と、
前記第一のドリルパイプを流れて前記第一のドリルビットのノズルから噴出される泥水によって、前記第一のドリルビットで掘削した掘削屑を前記第一のケーシング管内の空間、前記第一の筒体の内部空間、前記第一の筒体の外周側の回収パイプのいずれかの経路を通して回収する工程と、
前記第一の筒体の内部空間から突出させた前記第一の筒体より小径の第二の筒体に、前記第二の筒体の周方向に沿って設けた複数の第二のケーシング管内に挿入した第二のドリルパイプの先端の第二のドリルビットで掘削穴を掘削する工程と、
前記第二のドリルパイプを流れて前記第二のドリルビットのノズルから噴出される泥水によって、前記第二のドリルビットで掘削した掘削屑を前記第二のケーシング管内の空間、前記第二の筒体の内部空間、前記第二の筒体の外周側の回収パイプのいずれかの経路を通して回収する工程と、
を備えたことを特徴とする大深度掘削方法。
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