一実施形態において、本発明は、ビオチンとも結合することを特徴とする、式I
[式中、
Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、
Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、
Rは、H、OH、COOH、H2N、HO、アジド基、マレイミド基およびZからなる群から選択され、
ここで、Zは、AまたはBであり、
ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、(i)ビオチン部分を含有しないハプテンおよび(ii)ポリペプチドから選択され、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、
Bは、
であり、ここで、Mは、(i)ビオチン部分を含有しないハプテンおよび(ii)ポリペプチドから選択され、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXの隣接するCH2基と共有結合させるリンカーである]
の化合物と特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。
驚くべきことに(Surprsingly)、式Iの構造(さらに以下でより詳細に記述される)およびビオチン両方と結合するモノクローナル抗体は、さらに以下でもより詳細に例証される、本明細書で開示される材料および方法に基づいて確実に生成され得ることが分かった。
本開示の目的のために、本明細書で言及されるすべての態様および実施形態において、用語「(ストレプト)アビジン」およびアビジン型タンパク質は、交換可能に使用され得る。アビジン型タンパク質は、概して、テトラヒドロチオフェン環と縮合したウレイド環によって表されるビオチンのヘテロ環式構造と特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ポケットを持つタンパク質として理解される。この特性のおかげで、アビジン型タンパク質は、ビオチン化標的分子と結合することができ、ここで、ビオチンは、ビオチンの吉草酸側鎖のカルボキシル官能基の炭素原子を介して分子と共有結合している。アビジン型タンパク質のいくつかの実施形態が当技術分野で公知である。より具体的には、アビジン型タンパク質は、アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン、ブラダビジン、トラプタビジン(traptavidin)、それらのビオチン結合変異体、それらの混合物、それらの単量体、二量体、三量体、四量体または多量体、それらのコンジュゲート形態、および目的の慣例的にビオチン化された分子と結合している抗体を含む群から選択され得る。それらの自然発生形態では、若干数のアビジン型タンパク質(とりわけ抗体ではないもの)、具体的にはアビジンおよびストレプトアビジンは、ホモ四量体である、すなわち、それらは4つの同一サブユニットからなることが公知である。単量体のアビジン型タンパク質の変異体の実施形態において、自然発生形態は、ジ、トリまたはテトラオリゴマーであってよく、各単量体は、ビオチン結合ポケットを有する。ある実施形態において、アビジン型タンパク質は、単量体、ホモ二量体、ホモ三量体およびホモ四量体から選択される。
また、より具体的には、アビジン型タンパク質は、テトラヒドロチオフェン環と縮合したウレイド環によって表されるビオチンのヘテロ環式構造と特異的に結合することができる抗原結合ポケットを持つ抗体であることができる。この特性を持つ抗体の例は、先行技術において公知であり、上記で引用されている。さらに一層具体的な実施形態において、アビジン型タンパク質は、図3Aにおける構造のビオチン部分と特異的に結合する場合、同定され得る。さらに一層具体的な実施形態において、アビジン型タンパク質は、図2Kにおける構造と特異的に結合しない。さらに一層具体的な実施形態において、アビジン型タンパク質は、図2Lにおける構造と特異的に結合しない。さらに一層具体的な実施形態において、アビジン型タンパク質は、図3Bにおける構造と特異的に結合しない。
一実施形態において、本開示に従う(ストレプト)アビジンは、アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン、ブラダビジン、トラプタビジン、それらのビオチン結合変異体およびそれらの混合物を含む群から選択される。
本開示において「(ストレプト)アビジン」またはアビジン型タンパク質に言及する場合、これらの用語は、そのあらゆる変異体を等しく組み込み、ただし、変異体は、テトラヒドロチオフェン環と縮合したウレイド環によって表されるビオチンのヘテロ環式構造と特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ポケットと、ビオチンを非共有結合的に結合することができることが理解される。この点において、変異体は、少なくとも1つの結合ポケットを形成するアミノ酸が、検討中の元のアビジン型タンパク質のアミノ酸配列と類似の静電および立体化学的(sterochemical)属性を付帯するという点で「機能的に同等のポリペプチド」であり、ここで、変異体は、1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換、アナログアミノ酸置換ならびに/または結合ポケットのアミノ酸の機能に有意に影響を及ぼすことも変更することもないアミノ酸の欠失および/もしくは付加を含む。「機能的に同等の」は、それぞれの参照アミノ酸配列に関して相同アミノ酸配列も含む。
「保存的置換」は、アミノ酸および核酸配列の両方に当てはまる。特定の核酸配列に関しては、「保存的に置換された」は、同一のもしくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を指す。遺伝子コードの縮退により、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは、すべてアミノ酸アラニンをコードする。故に、アラニンがコドンによって指定されるあらゆる場所において、コドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記述された対応するコドンのいずれかに変更され得る。そのような核酸変異は、「サイレント変異」であり、これは、保存的に修飾された変異の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書におけるあらゆる核酸配列は、核酸のあらゆる可能なサイレント変異も記述する。当業者ならば、核酸中の各コドン(通常はメチオニンのためだけのコドンであるAUGおよび通常はトリプトファンのためだけのコドンであるTGGを除く)が修飾されて、機能的に同一の分子を産出できることを認識するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、各記述された配列において暗黙である。
アミノ酸配列については、当業者ならば、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列における、アミノ酸配列中の単一アミノ酸またはアミノ酸の小さいパーセンテージを変更する個々の置換は、変更が化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす「保存的置換」であることを認識するであろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当業者に公知である。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当業者に公知である。下記の8つの基は、互いに保存的置換であるアミノ酸をそれぞれ含有する。
用語「保存的アミノ酸置換」は、置換されたアミノ酸が、参照配列中の対応するアミノ酸と類似の構造的または化学的特性を有する、すべての置換を指す。例として、保存的アミノ酸置換は、1つの脂肪族または疎水性アミノ酸、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニンまたはトリプトファンの、別のものによる置換;1つのヒドロキシル含有アミノ酸、例えば、セリンおよびスレオニンの、別のものによる置換;1つの酸性残基、例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸の、別のものによる置換;1つのアミド含有残基、例えば、アスパラギンおよびグルタミンの、別のものによる置き換え;1つの芳香族残基、例えば、フェニルアラニンおよびチロシンの、別のものによる置き換え;1つの塩基性残基、例えば、リジン、アルギニンおよびヒスチジンの、別のものによる置き換え;ならびに、1つの小さなアミノ酸、例えば、アラニン、セリン、スレオニンおよびグリシンの、別のものによる置き換えを伴う。
本明細書で使用される場合、アミノ酸配列に関して「欠失」および「付加」は、1つまたは複数のアミノ酸の、欠失、またはアミノ末端、カルボキシ末端、アミノ酸配列の内部もしくはそれらの組合せへの付加を意味し、例えば、付加は、本出願の抗体対象の1つへのものであることができる。
本明細書で使用される場合、「相同配列」は、対応する参照配列と、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%相同であるアミノ酸配列を有する。少なくとも90%同一である配列は、参照配列の10アミノ酸当たり、1つを超えない変更、すなわち、欠失、付加または置換の任意の組合せを有する。相同性パーセントは、変異体のアミノ酸配列を、参照配列と、例えば、DNA STAR(商標)プログラムにおけるMEGALIGN(商標)プロジェクトを使用して比較することによって決定される。
用語「同一の」または「同一性」パーセントは、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、同じである2つ以上の配列またはサブ配列を指す。配列は、下記の配列比較アルゴリズム(または当業者に利用可能である他のアルゴリズム)の1つを使用してまたは手動アライメントおよび視覚的検査によって測定される通り、比較され、比較ウィンドウ上の最大対応または指定された領域に合わせて整列された場合に、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドのパーセンテージ(すなわち、特定された領域上で約60%の同一性、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の同一性)を有するならば、「実質的に同一」である。この定義は、試験配列の相補体も指す。同一性は、長さが少なくとも約50アミノ酸またはヌクレオチドである領域上に、あるいは長さが75〜100アミノ酸もしくはヌクレオチドであるまたはポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの配列全体にわたって特定されていない領域上に、存在することができる。ヒト以外の種由来の相同体を含む、本開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ライブラリーを、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、本開示のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを有する標識化されたプローブでスクリーニングするステップと、前記ポリヌクレオチド配列を含有する完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離するステップとを含むプロセスによって、取得され得る。そのようなハイブリダイゼーション技法は、当業者に周知である。
配列比較では、典型的には、1つの配列が参照配列として作用し、これと試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列がコンピューターに入力され、必要ならばサブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターが使用され得るか、または代替パラメーターが指定され得る。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメーターに基づき、参照配列と比べた試験配列についての配列同一性パーセントを計算する。
本開示の目的のために、用語「ビオチン」または「遊離ビオチン」は、交換可能に使用され、自然発生化合物、すなわちD(+)−ビオチンを表示することが理解される。
ビオチン(D(+)−ビオチン;C10H16N2O3S;MW=244.31g/mol;IUPAC名:5−[(3aS,4S,6aR)−2−オキソ−1,3,3a,4,6,6a−ヘキサヒドロチエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル]ペンタン酸)、CAS登録番号58−85−5は、テトラヒドロチオフェン環と縮合したウレイド環、およびテトラヒドロチオフェン環の炭素原子の1つに結合された吉草酸置換基を含む。ビオチンの基本構造は古くから公知であり、例えば、Melville D.B.ら(J.Biol.Chem.146(1942)487〜492)によって報告された。ビオチンは、3つの連続キラル炭素原子を有し、したがって、4つのジアステレオマーラセミ形態が可能である。ジアステレオマーラセミ形態のうち、D(+)−ビオチンのみが自然に発生し、一方、他の異性体は合成起源のものである。生物学的に活性な形態は、図1Aおよび図1Bに示されている(3aS,4S,6aR)配置である。
Marquet A.(Pure&Appl.Chem.49(1977)183〜196)によれば、D(+)−ビオチンの結晶構造において、ウレイド環は平面であるのに対し、チオファン環は、図1Bに示されている通り、エンベロープ立体配座を有する。吉草酸側鎖は完全に伸長されておらず、ねじれており、側鎖のC6原子とウレイド環のN’3原子との間には相互作用があり、報告されているところでは、この相互作用は、ビオチンの反応性に対して影響を有する。チオファン環のエンベロープ立体配座は、Glasel J.A.(Biochemistry 5(1966)1851〜1855)によってならびにLett R.およびMarquet A./Tetrahedron 30(1974)3365〜3377)によって報告されたNMR研究によって示される通り、溶液中でも報告された。
用語「ビオチン部分」は、例えば任意の種類のビオチン化または化学カップリングによって取得されるような、分子のビオチン関連部またはビオチン由来部を指すために使用される。
吉草酸側鎖のカルボキシル官能基の炭素原子を介する目的の分子上の適切な化学基とのビオチンの結合は、「ビオチン化」または「慣例的なビオチン化」と称される。したがって、目的の「ビオチン化」分子のビオチン残基は、外向きの環構造(すなわち、テトラヒドロチオフェン環と縮合したウレイド環)を有し、一方、ビオチン残基の線形部分は、ビオチン化分子の表面に向かって内向きである。外向きの環構造は、アビジン型タンパク質によって結合され得る。故に、重要なことに、ビオチンのヘテロ環式「頭部」構造は、アビジン型タンパク質による特異的結合のために露出される必要がある。
用語「(ストレプト)アビジン/ビオチン結合対」は、当業者に完全に公知である。これは、一方でビオチン(ビオチン化分子のビオチン部分を含む)および他方で(ストレプト)アビジンが、この結合対の2つのメンバーを表すという事実を指摘する。上述した通り、この結合対は、非共有相互作用で公知の最も高い結合親和性の1つを有するという点で傑出している。
冠詞「a」および「an」は、本明細書において、冠詞の文法的目的語の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「抗体」は、1つの抗体または1つを超える抗体を意味する。
用語「抗体」は、全抗体および抗体フラグメントを含むがこれらに限定されない、種々の形態の抗体構造を包含する。本発明に従う抗体は、好ましくは、本発明に従う特徴的な特性が保持される限り、ヤギ、ヒツジ、マウス、ウサギもしくはラット抗体、キメラ抗体、またはさらに遺伝子操作された抗体である。
「抗体フラグメント」は、完全長抗体の一部、好ましくはその可変ドメイン、または少なくともその抗原結合部位を含む。抗体フラグメントの例は、二重特異性抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。scFv抗体は、例えば、Huston,J.S.、Methods in Enzymol.203(1991)46〜88において記述されている。加えて、抗体フラグメントは、VHドメインの、すなわちVLドメインと一緒に集合することができる、またはIGF−1と結合するVLドメインの、すなわちVHドメインと一緒に集合して機能的抗原結合部位となり、それにより、本発明に従う抗体の特性を提供することができる特徴を有する一本鎖ポリペプチドを含む。
用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書で使用される場合、単一アミノ酸組成物の抗体分子の調製物を指す。
用語「特異的結合剤」は、目的の分析物と特異的に結合するかまたはそれによって特異的に結合されるかのいずれかができる、ある作用物質が使用されることを指示するために使用される。イムノアッセイのための多くの異なるアッセイ設定が当技術分野において公知である。特異的アッセイ設定次第で、種々のビオチン化特異的結合剤が使用され得る。一実施形態において、ビオチン化特異的結合剤は、ビオチン化分析物特異的結合剤、固相と結合したビオチン化分析物、および固相と結合したビオチン化抗原からなる群から選択される。
用語「分析物特異的結合剤」は、目的の分析物と特異的に結合する分子を指す。本開示の意味における分析物特異的結合剤は、典型的には、分析物との結合または結合することができる捕捉分子(他の用語 目的の分析物;標的分子)を含む。一実施形態において、分析物特異的結合剤は、その対応する標的分子、すなわち分析物に対して少なくとも107l/molの親和性を有する。分析物特異的結合剤は、他の実施形態において、その標的分子に対して108l/molのまたはさらには109l/molの親和性を有する。当業者には分かるであろう通り、特異的という用語は、試料中に存在する他の生体分子が、分析物に対して特異的な結合剤と有意に結合しないことを指示するために使用される。一部の実施形態において、標的分子以外の生体分子との結合のレベルは、標的分子の親和性の10%のみ、より好ましくは5%のみまたはそれ以下である結合親和性をもたらす。一実施形態において、分析物以外の分子との結合親和性は、測定不可能である。一実施形態において、分析物特異的結合剤は、親和性についておよび特異性についての上記の最低基準を両方満たすことになる。
用語「分析物特異的結合」は、抗体の文脈において使用される場合、抗体と分析物上のその標的エピトープとの免疫特異的相互作用、すなわち、抗体と分析物上のエピトープとの結合を指す。分析物上のそのエピトープを介する抗体の分析物特異的結合の概念は、当業者には完全に明らかである。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指す。該用語は、自然発生アミノ酸ポリマー、および1つまたは複数のアミノ酸残基が非自然コードアミノ酸であるアミノ酸ポリマーに当てはまる。本明細書で使用される場合、該用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結されたアミノ酸鎖を包含する。ポリペプチド、ペプチドおよびタンパク質は、標準的な配列表記を使用して書かれ、窒素末端が左側に、およびカルボキシ末端が右側にある。標準的な一文字表記は、次の通りに使用されてきた:A−アラニン、C−システイン、D−アスパラギン酸、E−グルタミン酸、F−フェニルアラニン、G−グリシン、H−ヒスチジン、S−イソロイシン、K−リジン、L−ロイシン、M−メチオニン、N−アスパラギン、P−プロリン、Q−グルタミン、R−アルギニン、S−セリン、T−スレオニン、V−バリン、W−トリプトファン、Y−チロシン。用語「ペプチド」は、本明細書で使用される場合、最大5アミノ酸の長さを有するアミノ酸のポリマーを指す。用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、6以上のアミノ酸の長さを有するアミノ酸のポリマーを指す。用語「タンパク質」は、ポリペプチド鎖、またはグリコシル化、リン酸化、アセチル化もしくは他の翻訳後修飾等のさらなる修飾を持つポリペプチド鎖のいずれかを意味する。
「ハプテン」は、抗体の形成等の免疫応答を直接誘導しない小分子(例えば、殺虫剤、殺真菌剤、薬物、ホルモン、毒素、合成ペプチド等)である。抗原性巨大分子等の免疫原性担体で抗体をコンジュゲートすることによって、それらをハプテンに対して高めるための技術が確立されてきた。本開示の目的のために、ハプテンは、タンパク質等の免疫原性担体でコンジュゲートされるまでおよびコンジュゲートされない限り、免疫応答を誘発しない、低分子量分子である、具体的には10,000Da以下の分子量を有すると理解される。抗体が形成されると、これはハプテンと結合することができる。このようにして生成された抗体は、多くの分野において、具体的には免疫診断キットまたはバイオセンサーの開発において、有用である。故に、用語「ハプテン」は、少なくとも30アミノ酸のポリペプチド等の免疫原性担体に結合された場合のみ免疫応答を誘発することができる、10,000Da以下の小分子を表示する。この意味で、およびある実施形態において、ハプテンは、それ自体は抗体形成を促進することができないが、少なくとも30アミノ酸のタンパク質とコンジュゲートされるとそうすることができる、不完全な抗原である。例示的なハプテンは、アニリン、o−、m−およびp−アミノ安息香酸、キノン、ヒスタミン−スクシニル−グリシン(HSG)、ヒドララジン、ハロタン、インジウム−DTPA、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、テオフィリン、ブロモデオキシウリジン、ステロイド化合物ならびにジニトロフェノールである。具体的な実施形態において、ハプテンは、ビオチンではなく、ビオチン部分を含有しない。1つの具体的な実施形態において、ハプテンは、ジゴキシゲニンまたはテオフィリンまたはフルオレセインまたはブロモデオキシウリジンである。式Iに従う化合物の開示の文脈におけるハプテン、化合物の部分としてのハプテンは、化合物の残り部分と共有結合的にカップリングされているものとして理解され、ここで、ハプテン部分(すなわち、10,000Da以下の化学構造)は、少なくとも30アミノ酸のポリペプチド等の免疫原性担体に結合される場合のみ、免疫応答を誘発することができる。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され、分離および/または回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、抗体の研究、免疫または治療的使用に干渉するであろう材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含んでよい。一部の実施形態において、抗体は、還元または非還元条件下、例えば、クマシーブルーまたは銀染色を使用して、SDS−PAGEによって決定された際に、抗体の95重量%を超えるまで、および一部の実施形態において、99%を超えるまで、精製される。
免疫グロブリンGクラスの抗体は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されているのに対し、ジスルフィド連結の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変動する。各重および軽鎖は、規則的間隔の鎖間ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一端に、可変ドメイン(VH)、続いて、若干数の定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、およびその他端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一の定常ドメインと整列され、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖および重鎖可変ドメインの間にインターフェースを形成すると考えられる。
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは、「VH」と称されてよい。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と称されてよい。これらのドメインは、概して、抗体の最可変部であり、抗原結合部位を含有する。
用語「可変」は、可変ドメインのある特定の部分は抗体間で配列が大幅に異なり、その特定の抗原のための各特定の抗体の結合および特異性において使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。これは、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方において高度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、ベータシート配置を主に採用し、ループ接続を形成する3つのHVRによって接続され、一部の事例において、ベータシート構造の一部を形成する、4つのFR領域を含む。各鎖中のHVRは、FR領域により近接して一緒に結びついており、他の鎖由来のHVRは、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、MD(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体と抗原との結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関わり等、種々のエフェクター機能を呈する。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明らかに区別できる型の1つに割り当てられることができる。
本発明に従う方法において使用される抗体は、任意の動物起源由来のものであってよい。一実施形態において、抗体は、ヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、サル、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマまたはニワトリ抗体である。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は、異なるクラスに割り当てられることができる。ヒト免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分割されてよい。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元配置は、周知であり、概して、例えば、Abbasら、Cellular and Mol.Immunology、第4版(W.B.Saunders,Co.、2000)において記述されている。抗体は、抗体と1つまたは複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有または非共有会合によって形成された、より大きい融合分子の一部であってよい。
用語「完全長抗体」、「無傷の抗体」および「全抗体」は、以下で定義される通りの抗体フラグメントではなくその実質的に無傷の形態の抗体を指すために、本明細書において交換可能に使用される。該用語は、特に、Fc領域を含有する重鎖を持つ抗体を指す。
「抗体フラグメント」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、無傷の抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;一本鎖抗体分子;scFv、sc(Fv)2;二重特異性抗体;ならびに抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。
抗体のパパイン消化は、それぞれが単一抗原結合部位を持つ「Fab」フラグメント、およびその名称が容易に結晶化するその能力を反映している残留「Fc」フラグメントと呼ばれる、2つの同一の抗原結合フラグメントを産生する。ペプシン処理は、2つの抗原組合せ部位を有し、依然として抗原を架橋することができる、F(ab’)2フラグメントを産出する。
Fabフラグメントは、重および軽鎖可変ドメインを含有し、かつ軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第一の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における少数の残基の付加により、Fabフラグメントとは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を付帯するFab’についての本明細書における指定である。F(ab’)2抗体フラグメントは、当初、それらの間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として産生された。抗体フラグメントの他の化学カップリングも公知である。
「Fv」は、完全抗原結合部位を含有する最小抗体フラグメントである。一実施形態において、二本鎖Fv種は、緊密に非共有会合した1つの重および1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種において、1つの重および1つの軽鎖可変ドメインは、フレキシブルペプチドリンカーによって共有結合的に連結されることができ、そのため、軽および重鎖は、二本鎖Fv種(sc(Fv)2)におけるものと同様の「二量体の」構造で会合することができる。各可変ドメインの3つのHVRがVH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するように相互作用するのは、この配置においてである。集合的に、6つのHVRは、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)であっても、抗原を認識し結合する能力を有するが、結合部位全体よりも低い親和性である。
本開示は、ここで開示される通り、遊離ビオチンと特異的に結合することができるモノクローナル抗体に由来する、一価Fabフラグメントおよび一本鎖Fvを含む。自然発生抗体形態と比較して、一価の種は、それらのより小さい分子量のおかげで、水溶液中により速く拡散することができる。別の態様は、好適な条件下、特にscFv抗体が、原核生物発現系において組み換え技術により産生され得ることである。
用語「二重特異性抗体」は、2つの抗原結合部位を持つ抗体フラグメントを指し、このフラグメントは、同じポリペプチド鎖(VH−VL)中の軽鎖可変ドメイン(VL)と接続されている重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合するように強いられ、2つの抗原結合部位を作成する。二重特異性抗体は、二価または二重特異性であってよい。二重特異性抗体は、例えば、EP404097;WO1993/01161;Hudsonら、Nat.Med.9:129〜134(2003);およびHolligerら、PNAS USA 90:6444〜6448(1993)において、より完全に記述されている。三重特異性抗体および四重特異性抗体も、Hudsonら、Nat.Med.9:129〜134(2003)において記述されている。
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、実質的に均質な抗体の集団から取得された抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な突然変異、例えば自然発生突然変異を除き、同一である。故に、修飾語句「モノクローナル」は、抗体の特徴を、離散的な抗体の混合物ではないとして指示する。ある特定の実施形態において、そのようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的と結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、ここで、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列からの単一標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスによって取得されたものである。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローンまたは組み換えDNAクローンのプール等、複数のクローン由来の独自のクローンの選択であることができる。選択された標的結合配列は、例えば、標的に対する親和性を改善するように、標的結合配列をヒト化するように、細胞培養中におけるその産生を改善するように、インビボでのその免疫原性を低減させるように、多重特異性抗体を作成するように等、さらに変更され得ること、ならびに、変更された標的結合配列を含む抗体も、本発明のモノクローナル抗体であることが理解されるべきである。典型的には異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一決定基に向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、典型的には他の免疫グロブリンによって汚染されていないという点で、有利である。
修飾語句「モノクローナル」は、抗体の特徴を、抗体の実質的に均質な集団から取得されるとして指示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、KohlerおよびMilstein.、Nature、256:495〜97(1975);Hongoら、Hybridoma、14(3):253〜260(1995)、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Haemmerlingら、Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas 563〜681(Elsevier、N.Y.、1981))、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら、Nature、352:624〜628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.222:581〜597(1992);Sidhuら、J.Mol.Biol.338(2):299〜310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.340(5):1073〜1093(2004);Fellouse、PNAS USA 101(34):12467〜12472(2004);ならびにLeeら、J.Immunol.Methods 284(1−2):119〜132(2004)を参照)、およびヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部またはすべてを有する動物においてヒトまたはヒト様抗体を産生するための技術(例えば、WO1998/24893;WO1996/34096;WO1996/33735;WO1991/10741;Jakobovitsら、PNAS USA 90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature 362:255〜258(1993);Bruggemannら、Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;および同第5,661,016号;Marksら、Bio/Technology 10:779〜783(1992);Lonbergら、Nature 368:856〜859(1994);Morrison、Nature 368:812〜813(1994);Fishwildら、Nature Biotechnol.14:845〜851(1996);Neuberger、Nature Biotechnol.14:826(1996);ならびにLonbergおよびHuszar、Intern.Rev.Immunol.13:65〜93(1995)を参照)を含む、様々な技法によって作製されてよい。
本明細書におけるモノクローナル抗体は、重および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と一致するかまたは相同であるのに対し、鎖の残りは、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と一致するかまたは相同である、「キメラ」抗体、および、そのような抗体のフラグメントを、それらが所望の生物活性を呈する限り、具体的に含む(例えば、米国特許第4,816,567号およびMorrisonら、PNAS USA 81:6851〜6855(1984))。キメラ抗体は、抗体の抗原結合領域が、例えば、マカクザルを目的の抗原で免疫化することによって産生される抗体に由来する、PRIMATIZED(登録商標)抗体を含む。
用語「高度可変領域」、「HVR」または「HV」は、本明細書で使用される場合、配列中で高度可変であるおよび/または構造的に定義されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。概して、抗体は、6つのHVR:VHに3つ(H1、H2、H3)およびVLに3つ(L1、L2、L3)を含む。天然抗体において、H3およびL3は、6つのHVRのうちで最も多様性を見せ、特にH3は、抗体に優れた特異性を付与する上で独自の役割を果たすと考えられる。例えば、Xuら、Immunity 13:37〜45(2000);JohnsonおよびWu、Methods in Molecular Biology 248:1〜25(Lo編、Human Press、Totowa、NJ、2003)を参照されたい。実際に、重鎖のみからなる自然発生ラクダ科抗体は、軽鎖の非存在下で機能的かつ安定である。例えば、Hamers−Castermanら、Nature 363:446〜448(1993)およびSheriffら、Nature Struct.Biol.3:733〜736(1996)を参照されたい。
様々なHVRの描写が利用されており、それらは本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)であるHVRは、配列可変性に基づき、最も一般的に使用される(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991))。Chothiaは、代わりに構造ループの位置を参照する(ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901〜917(1987))。AbM HVRは、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の妥協を表し、オックスフォード分子AbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらのHVRのそれぞれからの残基が、以下で注記される。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
L1 L24−L34 L24−L34 L26−L32 L30−L36
L2 L50−L56 L50−L56 L50−L52 L46−L55
L3 L89−L97 L89−L97 L91−L96 L89−L96
H1 H31−H35B H26−H35B H26−H32 H30−H35B(Kabat番号付け)
H1 H31−H35 H26−H35 H26−H32 H30−H35(Chothia番号付け)
H2 H50−H65 H50−H58 H53−H55 H47−H58
H3 H95−H102 H95−H102 H96−H101 H93−H101
HVRは、次の通りの「伸長HVR」を含んでよい:VLに、24〜36または24〜34(L1)、46〜56または50〜56(L2)、および89〜97または89〜96(L3)、ならびにVHに、26〜35(H1)、50〜65または49〜65(H2)、および93〜102、94〜102または95〜102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの伸長HVR定義のそれぞれについて、Kabatら、上記に従って番号付けされる。
表現「Kabatのような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatのようなアミノ酸位置番号付け」およびそれらの変化形は、Kabatら、上記における抗体のコンピレーションの重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用された番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮またはそれへの挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有してよい。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一アミノ酸挿入部(Kabatによれば残基52a)、および重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82bおよび82c等)を含んでよい。残基のKabat番号付けは、所与の抗体について、抗体の配列の相同性の領域における「標準」Kabat番号付き配列とのアライメントによって決定されてよい。
用語「実験動物」は、非ヒト動物を表示する。一実施形態において、実験動物は、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、ラクダ、ラマ、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、雌ウシ、ニワトリ、両生類、サメおよび爬虫類から選択される。一実施形態において、実験動物は、ウサギである。
本開示は、その環構造中のある場所で誘導体化されるビオチンに基づく。C5原子における置換基のおかげで、本明細書で報告される通りの式Iに従う分子は、(ストレプト)アビジンの結合ポケットと適合せず、なぜなら、ビオチンのヘテロ環式構造との本質的な緊密な相互作用が立体障害となるからである。この構造は、式Iに従う化合物が免疫原として使用されると、目的の慣例的にビオチン化された分子と結合する抗体の形成も防止するという仮説が立てられる。本明細書で開示される誘導体化ビオチンの構造は、ビオチンの「尾部」態様を依然として保存し、そのため、免疫原に含まれる、誘導体化ジアミノビオチンは、ビオチンに対する所望のモノクローナル抗体を生成するために適しているかもしれないという仮説が立てられた。
事実上、一実施形態において、本発明に従うモノクローナル抗体は、慣例的にビオチン化された分子、すなわちビオチンにコンジュゲートされた分子と結合せず、ここで、ビオチン部分の吉草酸側鎖のカルボキシル官能基の炭素原子は、該分子と共有結合的にカップリングされている。具体的な実施形態において、本発明に従う抗体は、図3Aに図示される式IIの化合物と結合しない。
正しくは、本発明に従うモノクローナル抗体は、式I[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、2または30である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、H、OH、COOH、H2N、HO、アジド基、マレイミド基およびZからなる群から選択され、ここで、Zは、ハプテンを含む]の化合物と結合する。
具体的な実施形態において、本発明に従うモノクローナル抗体は、図2Kに図示される式IIIA(=化合物[29])、および図2Lに図示される式IIIB(=化合物[30])から選択される化合物の群の化合物と結合する。
驚くべきことに、本発明に従うモノクローナル抗体は、図3Bに図示される式IIICの化合物とも結合する。ここでの主な特色として、ビオチンのヘテロ環式部分のN’1原子は、修飾され、置換基を担持する。故に、この基の抗体は、(i)ウレイド環のN’1原子において置換されたビオチンおよび硫黄原子に隣接するチオフェン環のC5原子において置換されたビオチンと、特異的に結合することができるという点で、これらのモノクローナル抗体の交差反応性がある(図1Aを参照)。
より具体的な実施形態において、図2Kに図示される式IIIA(=化合物[29])、図2Lに図示される式IIIB(=化合物[30])、および図3Bに図示される式IIICから選択される化合物の群の化合物に対するモノクローナル抗体の結合親和性は、式IIの化合物に対する結合親和性よりも少なくとも50倍高い。また別のさらに具体的な実施形態において、式IIIの化合物に対するモノクローナル抗体の結合親和性は、式IIの化合物に対する結合親和性よりも、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000および少なくとも100,000倍高い。
故に、本明細書で開示した通りのすべての態様の別の具体的な実施形態において、式IIの例示的化合物を含むがこれに限定されないビオチン化標的分子上のコンジュゲートされたビオチンに対するモノクローナル抗体の親和性は、遊離ビオチンに対する親和性よりも、少なくとも50、100、500、1,000、5,000および少なくとも10,000からなる群から選択される倍率で低い。換言すれば、本発明に従うモノクローナル抗体は、ビオチン化標的分子上のコンジュゲートされたビオチンに対する親和性よりも、少なくとも50、100、500、1,000、5,000および少なくとも10,000からなる群から選択される倍率で高い、コンジュゲートされていない(遊離)ビオチンに対する親和性を有する。
生化学的および生物学的試料における目的の分析物の検出および定量化のための、多数の方法およびシステムが開発されてきた。微量の微生物、医薬品、ホルモン、ウイルス、抗体、核酸および他のタンパク質を測定することができる方法およびシステムは、研究者および臨床医にとって非常に価値がある。
多くのアッセイ方法は、試料から目的の特異的標的分子を捕捉し、標的分子の決定を可能にするために、分析物特異的結合剤を活用する。他のアッセイにおいて、目的の分析物は、検出可能に標識化された分析物特異的結合剤による、固相結合分析物および試料中における分析物の競合結合によって検出され得る。血清学的アッセイにおいて、抗原、例えば感染性因子に対する抗体は、直接、またはいわゆる二重抗原サンドイッチアッセイにおいて、検出される。
典型的には、目的の分析物の存在は、分析物特異的結合剤の1つまたは複数に結合された観察可能な「標識」の存在または非存在によって指示される。
今日では、イムノアッセイの圧倒的多数が、何らかの手法で固相を用いる。通常、アッセイにおいて使用される特異的結合剤の少なくとも1つは、固相と直接的にまたは間接的に結合される。(ストレプト)アビジン−ビオチン結合対は、極めて高い結合親和性を特徴とする。この理由から、(ストレプト)アビジン−ビオチン結合対は、任意の適切なビオチン化特異的結合剤と(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相との間接結合に広く使用される。
「サンドイッチアッセイ」は、最も有用かつ一般的に使用されるアッセイである、アッセイタイプである。サンドイッチアッセイ技法の若干数のバリエーションが存在し、すべて本発明によって包含されることが意図される。簡潔に述べると、典型的なフォワードアッセイにおいて、非標識抗体が「固相」上に固定され、試験される試料が結合分子と接触させられる。この捕捉抗体の固定は、固相への直接吸着によるもの、または間接的に、例えば特異的結合対を介する、例えば(ストレプト)アビジン−ビオチン結合対を介するものであることができる。好適な期間のインキュベーション後、抗体−抗原複合体の形成を可能にするために十分な期間にわたって、抗原と結合している、検出可能なシグナルを産生することができるレポーター分子で標識化された、第二の抗体が次いで添加され、インキュベートされて、抗体−抗原標識抗体のサンドイッチ複合体の形成に十分な時間をかける。あらゆる未反応の材料が洗い流され、分析物の存在は、レポーター分子によって産生されたシグナルの観察によって決定される。結果は、可視シグナルの単純な観察により定性的であってよいか、または公知の量の分析物を含有する対照試料と比較することにより定量化されてよいかのいずれかである。
本発明の目的のために、典型的なサンドイッチアッセイにおいて、第一のビオチン化分析物特異的結合剤、例えばビオチン化抗体は、(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相と非共有結合的に結合される。固相は、典型的には、ガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンである。固相は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスク、またはイムノアッセイを行うために好適な任意の他の表面の形態であってよい。コーティングプロセスは、当技術分野において周知であり、概して、架橋、共有結合または物理吸着からなる。(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相は、通常、非特異的結合をブロックするように処理され、その試験手順のために調製中に洗浄される。アリコートの試験される試料は、第一のまたは捕捉抗体および標識化された第二の抗体と接触させられ、好適な条件(例えば、境界も含めて25℃から32℃の間等、室温から40℃まで)下、第一のまたは捕捉抗体および対応する抗原、ならびに抗原上の別のエピトープと結合している第二の抗体を持つ抗原の間の結合を可能にするために十分な期間(例えば、2〜40分、または、より好都合な場合、終夜)にわたってインキュベートされ、それにより、サンドイッチ複合体を形成する。その後、(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相が添加され、好適な条件(例えば、境界も含めて25℃から32℃の間等、室温から40℃まで)下、第一のまたは捕捉抗体および固相の間の結合を可能にするために十分な期間(例えば、2〜40分、または、より好都合な場合、終夜)にわたってインキュベートされる。第二の抗体は、第二の抗体の、第一の抗体および目的の抗原の複合体との結合を指示するために使用されるレポーター分子に連結される。
アッセイにおけるバリエーションは、試料および標識化された抗体の両方が、結合抗体または固相と結合できる抗体に、(ストレプト)アビジン/ビオチン結合対を利用して同時に添加される、同時アッセイを含む。容易に明らかとなるように、あらゆるささいなバリエーションを含むこれらの技法は、当業者に周知である。
さらなる代替設定において、サンドイッチ複合体が形成され、ここで、第一のビオチン化抗体が提供され、ハプテンで標識化された第二の抗体が提供され、2つの抗体は、対応する抗原を含有する試料と接触させられる。第一および第二の抗体ならびに抗原を含むサンドイッチの形成を許容する条件下でのインキュベーション時に、標識を担持する(ストレプト)アビジンが添加され、複合体は、第二の抗体に結合されるハプテンと特異的に結合することができる固相によって捕捉される。洗浄ステップの後、固相によって結合された標識の量は、目的の抗原の存在および量を指示する。
概して、本明細書におけるすべての態様および実施形態に関連して、本開示は、式I
[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、H、OH、COOH、H2N、HO、アジド基、マレイミド基およびZからなる群から選択され、ここで、Zは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、(i)ビオチン部分を含有しないハプテンおよび(ii)ポリペプチドから選択され、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、Bは、
であり、ここで、Mは、(i)ビオチン部分を含有しないハプテンおよび(ii)ポリペプチドから選択され、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXの隣接するCH2基と共有結合させるリンカーである]
の化合物を提供する。
式Iの構造の第一の主な特色は、修飾されていない、コンジュゲートされていない吉草酸側鎖を持つビオチン部分である。ビオチン部分のヘテロ環式構造と比べた側鎖の立体配座は、完全に無作為ではないと推測された。この見解は、NMRデータならびに一方の吉草酸側鎖の一部であるC6原子と他方のN’3原子との間の相互作用の以前の所見により裏付けられるように思われる。故に、未回答の質問は、これまでのところ、(ストレプト)アビジンによって結合されることができるヘテロ環式「頭部」部分の反対側(から遠位)のビオチン分子の「尾部」部分が、モノクローナル抗体による認識に実際に適したものか否かであった。
式I原子中のビオチンのヘテロ環式部分におけるN’3原子は、直接修飾がないという点で、別の重要な特色である。ここでも、この原子が、吉草酸側鎖の一部であるC6原子との相互作用に関与する場合、側鎖の立体配座におけるこの相互作用は、おそらく保存される。
本発明の根底にあるさらなる主な特色は、硫黄原子に隣接するチオフェン環のC5原子における置換である(図1Aを参照)。このC原子における置換は、以前、例えば、Lett R.およびKuroki Y.、Tetrahedron Letters 23(1982)5541〜5544によって記述された。本明細書で提示されるビオチン誘導体の主な特色として、C5は、置換基−Y−X−R[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、H、OH、COOH、H2N、HO、アジド基、マレイミド基およびZからなる群から選択される]を担持する。
故に、ここで提供される通りの置換されたビオチンは、数ある中でも、免疫原の、ならびに所望の抗体を検出およびスクリーニングするために有用な分子の形成を可能にする、ビルディングブロックとして調製される。この目的のために具体的には、末端基Rは、Zであるように選択されることができ、ここで、Zは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、(i)ビオチン部分を含有しないハプテンおよび(ii)ポリペプチドから選択され、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、Bは、
であり、ここで、Mは、(i)ビオチン部分を含有しないハプテンおよび(ii)ポリペプチドから選択され、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXの隣接するCH2基と共有結合させるリンカーである。
具体的な実施形態において、Rは、「クリック」化学として公知の一種の反応において反応性パートナーとして使用され得るアジド基である。故に、ハプテンおよびビオチン誘導体のコンジュゲートは、バイオ直交官能基を有する反応性基と形成され得る。反応性基の具体的な実施形態は、「クリック」反応が反応パートナーとしてのアルキンまたはホスフィンを用いて実施され得るアジド基である(J.C.Jewett、C.R.Bertozzi、Chem.Soc.Rev.2010、39、1272)。アジドとホスフィンはシュタウディンガー反応を、アジドとアルキンは[3+2]付加環化を実施する。緩やかな条件下での生体分子の修飾には、とりわけ、シクロオクチン誘導体が当業者に公知である(WO2006/050262)。RがZであり、ZがBである具体的な実施形態において、硫黄原子に隣接するチオフェン環のC5原子における−Y−X置換基を介するビオチン部分は、Mに接続され、ここで、Bは、Rの実施形態であるアルキンとアジド基との[3+2]付加環化から取得される。
用語「リンカー」は、第一の部分を第二の部分またはより多くの部分とコンジュゲートする(連結する)ために使用され得る、二官能性または多官能性部分を表示する。互いに結合した第一および第二の部分を含むコンジュゲートは、2つの反応性官能基を有するリンカーを使用して、好都合に調製され得る。そのようなコンジュゲートにおいて、2つの部分は、このリンカー「を介して」結合される。当業者には明白なように、そのようなコンジュゲートにおいて、リンカーの官能性部分は、結合の一部として存在し、未反応の官能性部分としてではない。
本明細書で定義される通り、用語「反応性基」または「反応性官能基」は、リンカーをアミノ基と結合するために、アミン基、好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミド基と反応するのに好適な任意の基;または、リンカーをSH基と結合するために、第二の官能基結合、例えばSH基、好ましくはマレイミド基と反応するのに好適な基を意味する。
具体的な実施形態において、ヘテロ二官能性リンカーは、N−ヒドロキシスクシンイミドおよびマレイミド反応性基に基づくNHS−マレイミドリンカー;スクシンイミジル−(PEG)n NHS−PEG−マレイミドリンカー、NHS−ハロアセチルリンカー;ならびにNHS−ピリジルジチオールリンカーからなる群から選択される。特に好ましい実施形態において、ヘテロ二官能性リンカーは、スクシンイミジル−(PEG)n NHS−PEG−マレイミドリンカーである。
具体的な実施形態において、Lは、1から200原子の間の主鎖長を有する。換言すれば、主鎖長が1から200原子の間である場合、ZとRとの間の最短接続は、1から200原子からなる。
環系が存在する事例において、リンカー長さを評価する場合には、環系中の最短原子数が要される。例として、フェニレン(phenylen)環は、リンカーにおいて4原子の長さを占める。
式Iの一実施形態において、Lは、主鎖として、直鎖状または分枝鎖状の飽和、不飽和、非置換または置換されたC1〜C20アルキル鎖、あるいは炭素原子、置換された炭素原子ならびに/またはO、N、PおよびS、もしくは置換されたN、P、S原子から選択される1個または複数の原子からなる1から200原子鎖、あるいは1つまたは複数の環式またはヘテロ環式芳香族または非芳香族環系を含有する主鎖を持つ前述した通りの鎖を有する、リンカーである。
式Iの一実施形態において、リンカーLは、主鎖として、直鎖状または分枝鎖状の飽和、不飽和、非置換または置換されたC1〜C100アルキル鎖、あるいは炭素原子、置換された炭素原子ならびに/またはO、N、PおよびS、または置換されたN、PもしくはS原子から選択される1個または複数の原子からなる1から100原子鎖、あるいは1つまたは複数の環式またはヘテロ環式芳香族または非芳香族環系を含有する主鎖を持つ前述した通りの鎖を有する。
式Iの一実施形態において、リンカーLは、主鎖として、直鎖状または分枝鎖状の飽和、不飽和、非置換または置換されたC1〜C50アルキル鎖、あるいは炭素原子、置換された炭素原子ならびに/またはO、N、PおよびS、または置換されたN、PもしくはS原子から選択される1個または複数の原子からなる1から50原子鎖、あるいは1つまたは複数の環式またはヘテロ環式芳香族または非芳香族環系を含有する主鎖を持つ前述した通りの鎖を有する。
式Iの1つのさらなる実施形態において、リンカーLは、主鎖として、直鎖状または分枝鎖状の飽和、不飽和、非置換または置換されたC1〜C20アルキル鎖、あるいは炭素原子、置換された炭素原子ならびに/またはO、N、PおよびS、または置換されたN、PもしくはS原子から選択される1個または複数の原子からなる1から20原子鎖、あるいは1つまたは複数の環式またはヘテロ環式芳香族または非芳香族環系を含有する主鎖を持つ前述した通りの鎖を有する。
式Iの別の具体的な実施形態において、Lは、(ホモ)二官能性架橋剤と、リンカーによって連結された2つの部分のそれぞれ上の適切な化学基(goup)との反応時に取得されるリンカーであり、(ホモ)二官能性架橋剤は、
によって例示される。
式Iの別の具体的な実施形態において、Lは、(ヘテロ)二官能性架橋剤と、リンカーによって連結された2つの部分のそれぞれ上の適切な化学基との反応時に取得されるリンカーであり、(ヘテロ)二官能性架橋剤は、
NHS−マレイミド架橋剤、例えば
スクシンイミジル−(PEG)n−マレイミドまたはNHS−PEG−マレイミド架橋剤、例えば
NHS−ハロアセチル架橋剤、例えば
ならびにNHS−ピリジルジチオール架橋剤、例えば
からなる群から選択され得る。
式Iの実施形態において、Rは、AまたはBであり、Aは、M−Lであり、Bは、M−Lを含み、ここで、Mは、ポリペプチドである。故に、本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、式I
[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、1から3までの整数であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、少なくとも30アミノ酸のポリペプチドであり、好ましくは、キーホールリンペットヘモシアニンであり、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、Bは、
であり、ここで、Mは、少なくとも30アミノ酸のポリペプチドであり、好ましくは、キーホールリンペットヘモシアニンであり、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXの隣接するCH2基と共有結合させるリンカーである]
に従う免疫原である。
重要なことに、ポリペプチドは、ビオチン部分に対する免疫応答を誘発することができるのに対し、ビオチン部分単独の免疫原性は低い。ある実施形態において、ポリペプチドは、ラット、ウサギ、マウス、ブタまたはウシ血清アルブミン、ウシまたはブタサイログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、ゼラチン、大豆トリプシン阻害剤、キーホールリンペットヘモシアニンおよび類似物質から選択される。具体的な実施形態において、ポリペプチドは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)である。
一実施形態において、すべての他の態様および実施形態に関連する本開示は、本開示に従う免疫原と特異的に結合するポリクローナル抗体(抗体、その抗体フラグメントおよびその抗原結合フラグメントを含む)を作製するための方法も提供する。方法は、(a)本発明に従う免疫原を提供するステップと、(b)実験動物を、動物の免疫系が抗体を作製するような条件下、免疫原で免疫化するステップと、(c)ビオチンと特異的に結合する抗体を動物から除去するステップとを含む。動物は、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等であることができる。
本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、本発明に従う抗体を産生する方法であって、(a)実験動物を、本発明に従う免疫原で免疫化し、それにより、免疫原と結合する抗体のB細胞による産生を誘導するステップと、(b)ステップ(a)のB細胞によって産生された免疫原と結合するモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ技術を介してまたはB細胞PCR技術によってのいずれかで取得するステップと、(c)ステップ(b)の抗体を、ビオチンとの結合に関してさらに選択し、それにより、本発明に従う抗体を取得するステップとを含む、方法である。
ある実施形態において、式I中、Rは、Mを含み、Mの具体的な実施形態は、ハプテンであり、ここで、ハプテンは、ビオチン部分を含有しない。故に、本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、式I
[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、Bは、
であり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXの隣接するCH2基と共有結合させるリンカーである]
に従う化合物である。
この態様に従う化合物は、例えば、本発明に従う免疫原を使用して生成されたポリクローナルまたはモノクローナル抗体を同定するプロセスにおいて、所望の抗体を捕捉する上で特に有用である。そのような抗体は、化合物のビオチン部分と特異的に結合することになる、すなわち、化合物は、本発明に従う所望の抗体を捕捉することができる。これに関して、化合物の捕捉特異性を維持するために、ハプテンはさらなるビオチン部分であってはならないかつ/またはそれを含有してはならない。故に、ビオチンではないおよび/またはビオチンを含有しない好適なハプテンは、ジニトロフェノール、アニリン、アミノ安息香酸、ヒドララジン、フルオレセインおよびジゴキシゲニンからなる群から選択される。具体的な実施形態において、Zは、ジゴキシゲニンである。この態様に従う具体的な実施形態は、図2Kにおいて開示される式IIIAの化合物(=化合物[29])である。この態様に従う別の具体的な実施形態は、図2Kにおいて開示される式IIIBの化合物(=化合物[30])である。
故に、本明細書で開示した通りのすべての態様に従う具体的な実施形態は、第一に、式I
[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、Bは、
であり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXと共有結合させるリンカーである]
に従う化合物と特異的に結合し、
第二に、図2Kにおいて開示される化合物式IIIA(=化合物[29])と特異的に結合する、モノクローナル抗体である。
さらに、本明細書で開示した通りのすべての態様に従う具体的な実施形態は、第一に、式I
[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、Bは、
であり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXと共有結合させるリンカーである]
に従う化合物と特異的に結合し、
第二に、図2Lにおいて開示される化合物式IIIB(=化合物[30])と特異的に結合する、モノクローナル抗体である。
驚くべきことに、本明細書において態様および実施形態に記述されるモノクローナル抗体は、上記で指定し記述した通りの式Iの化合物と結合するだけでなく、式Iとは異なり、C5原子が置換を有さずウレイド環のN’1原子が置換基を担持し、それにより、ビオチン部分が担体と共有結合されることを特徴とする、誘導体化ビオチンとも結合することがさらに分かった。故に、本明細書で開示した通りのすべての態様に従う具体的な実施形態は、第一に、式I
[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、Bは、
であり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンであり、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXと共有結合させるリンカーである]
に従う化合物と特異的に結合し、
第二に、図3Bに図示される式IIICの化合物と特異的に結合する、モノクローナル抗体である。
本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、本発明に従う抗体を産生する方法であって、(a)実験動物を、本発明に従う免疫原で免疫化し、それにより、免疫原と結合する抗体のB細胞による産生を誘導するステップと、(b)ステップ(a)のB細胞によって産生された免疫原と結合するモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ技術を介してまたはB細胞PCR技術によってのいずれかで取得するステップと、(c)ステップ(b)の抗体を、ビオチンとの結合に関してさらに選択し、それにより、本発明に従う抗体を取得するステップとを含む、方法である。
ハイブリドーマ技術を経由してモノクローナル抗体を産生する細胞株の生成は、当業者に周知である。
当業者に公知のB細胞PCR技術は、B細胞から全mRNAが単離され、cDNAに転写されることができるという事実の利点を活かす。特異的プライマーにより、同種VHおよびVL領域コード核酸は、増幅され得る。同一配列はほとんど取得されない。方法は、同じ抗原と結合している高度に多様な抗体を提供する。
VHコード核酸の増幅に使用されるプライマーは、NMRIマウス、アルメニアンハムスター、Balb/cマウスおよびシリアンハムスターならびにウサギ由来の細胞から取得されるcDNAに使用され得る。
本明細書で報告される通りのすべての方法の一実施形態において、アミノ酸配列は、増幅されたVHコード核酸に由来し、正確な開始およびエンドポイントは、VSS(VH領域)にEVQL/QVQL、およびKLEIK(VL領域)にDIVM/DIQMのアミノ酸配列を位置付けることによって同定される。
本明細書において、抗体を産生するためにB細胞PCRを使用する方法であって、下記のステップ:(a)(成熟)B細胞(実験用非ヒト動物の血液から取得されたもの)の集団を提供するステップと、(b)B細胞の集団の細胞を、少なくとも1つの蛍光染料で(一実施形態において、1から3つ、または2から3つの蛍光染料で)染色するステップと、(c)B細胞の染色された集団の単一細胞を個々の容器(一実施形態において、マルチウェルプレートのウェルが容器である)に堆積させるステップと、(d)堆積した個々のB細胞をフィーダー細胞の存在下で培養するステップと、(e)個々のB細胞の培養において分泌された抗体の結合特異性を決定するステップと、(f)逆転写酵素PCRおよびヌクレオチド配列決定によって特異的に結合する抗体の可変軽および重鎖ドメインのアミノ酸配列を決定し、それにより、モノクローナル抗体可変軽および重鎖ドメインコード核酸を取得するステップと、(g)抗体の発現のための発現カセットにおいてモノクローナル抗体軽および重鎖可変ドメインコード核酸を導入するステップと、(h)核酸を細胞に導入するステップと、(i)細胞を培養し、細胞または細胞培養上清から抗体を回収し、それにより、抗体を産生するステップとを含む、方法も報告される。
一実施形態において、非ヒト動物は、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、雌ウシ、ニワトリ、両生類および爬虫類から選択される。
モノクローナル抗体を産生するための本明細書で開示される方法の具体的な実施形態では、ステップ(c)において、選択は、抗体の、図2Kに図示される式IIIA(=化合物[29])、図2Lに図示される式IIIB(=化合物[30])および図3Bに図示される式IIICから選択される化合物の群の化合物との結合に関する競合相手としてビオチンを使用する、競合アッセイにおいて実施される。これらの化合物は、上記で既に考察されてきた。化合物は、所望の抗体を捕捉する際に特に有用である。そのような抗体は、一方または両方の化合物のビオチン部分と特異的に結合することになる、すなわち、一方または両方の化合物は、本発明に従う所望の抗体を捕捉することができる。これに関して、それぞれの化合物の捕捉特異性を維持するために、ハプテンはさらなるビオチン部分であってはならないかつ/またはそれを含有してはならない。故に、ハプテンは、例えば、ハプテンとしてのジゴキシゲニンで例示される通り、捕捉試薬を固相に定着させるために使用される。
別の重要なステップは、本明細書で開示した通りの免疫原を使用しておよび本明細書で開示した通りの方法によって生成された抗体、具体的にはモノクローナル抗体が、実際にビオチンと結合することができる、選択および/または確認である。競合結合アッセイは、それにより、抗体が、水溶液中の遊離ビオチンと接触した場合にビオチンと結合することができることを確実にする。したがって、モノクローナル抗体を産生するための本明細書で開示される方法のある実施形態では、ステップ(c)において、選択は、抗体の、本明細書で開示した通りの免疫原との結合に関する競合相手としてビオチンを使用する、競合アッセイにおいて実施される。
モノクローナル抗体を産生するための本明細書で開示される方法の別の実施形態では、ステップ(c)において、選択は、抗体の、図2Kにも図示される式IIIAの化合物(=化合物[29])との結合に関する競合相手としてビオチンを使用する、競合アッセイにおいて実施される。
モノクローナル抗体を産生するための本明細書で開示される方法の別の実施形態では、ステップ(c)において、選択は、抗体の、図2Lにも図示される式IIIBの化合物(=化合物[30])との結合に関する競合相手としてビオチンを使用する、競合アッセイにおいて実施される。
モノクローナル抗体を産生するための本明細書で開示される方法の別の実施形態では、ステップ(c)において、選択は、抗体の、図3Bにも図示される式IIICの化合物との結合に関する競合相手としてビオチンを使用する、競合アッセイにおいて実施される。
より一般的には、モノクローナル抗体を産生するための本明細書で開示される方法の別の実施形態では、ステップ(c)において、選択は、抗体の、式I[式中、Rは、ハプテンであり、ここで、ハプテンは、ビオチン部分を含有しない]に従う化合物との結合に関する競合相手としてビオチンを使用する、競合アッセイにおいて実施される。
本開示の実施例において証明される通り、本発明は、その態様および実施形態において、このたび、ビオチンとも結合することを特徴とする、式I
[式中、Yは、O、SおよびCH2からなる群から選択され、Xは、(CH2)n(ここで、nは、1から20までの整数である)、[(CH2)p−O]k−(CH2)m(ここで、pは、2または3であり、mは、2または3であり、kは、1から30までの整数である)、および[(CH2)r−CONH]s−(CH2)t(ここで、rは、1から5までの整数であり、tは、0から5までの整数であり、sは、1から5までの整数である)からなる群から選択され、Rは、AまたはBであり、ここで、Aは、M−Lであり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンおよびポリペプチドから選択され、Lは、XおよびMを接続するリンカーであり、
Bは、
であり、ここで、Mは、ビオチン部分を含有しないハプテンおよびポリペプチドから選択され、Lは、アスタリスクが付けられた窒素原子をXの隣接するCH2基と共有結合させるリンカーである]
の化合物と特異的に結合する新規のモノクローナル抗体を提供する。
本発明のモノクローナル抗体は、本発明に従う方法によって、本明細書で開示される通りに取得され得る。
上述した通り、本発明に従うモノクローナル抗体は、式IIの化合物と結合しないことを特徴とする。式II中、ビオチン部分は、吉草酸側鎖のカルボキシル官能基の炭素原子を介するハプテンとリンカーを介してカップリングされる。故に、分子は、本発明に従う所望の抗体が結合しない、慣例的にビオチン化された分子を例示する。
故に、本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、ビオチン化分子と結合しない抗体を産生するための方法であって、ビオチン部分が、吉草酸側鎖のカルボキシル官能基の炭素原子を介するハプテンとリンカーを介してカップリングされ、(a)実験動物を、本発明に従う免疫原で免疫化し、それにより、免疫原と結合する抗体のB細胞による産生を誘導するステップと、(b)ステップ(a)のB細胞によって産生された免疫原と結合するモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ技術を介してまたはB細胞PCR技術によってのいずれかで取得するステップと、(c)ステップ(b)の抗体を、ビオチンとの結合に関して選択するステップと、(d)ビオチン化分子と結合しない抗体を選択し、それにより、ビオチン化分子と結合しない本発明に従う抗体を取得するステップとを含む、方法である。具体的な実施形態において、ステップ(d)は、式IIに従う化合物を用いて実施される。
故に、より具体的には、式IIの化合物と結合しない抗体を産生するための方法であって、(a)実験動物を、本発明に従う免疫原で免疫化し、それにより、免疫原と結合する抗体のB細胞による産生を誘導するステップと、(b)ステップ(a)のB細胞によって産生された免疫原と結合するモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ技術を介してまたはB細胞PCR技術によってのいずれかで取得するステップと、(c)ステップ(b)の抗体を、ビオチンとの結合に関して選択するステップと、(d)式IIの化合物と結合しない抗体を選択し、それにより、式IIに従う化合物と結合しない本発明に従う抗体を取得するステップとを含む、方法が開示される。
特に、(ストレプト)アビジン/ビオチン結合対が、ビオチン化分析物特異的結合剤を、(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相と結合させるために使用される、試料中の分析物を測定するための方法において、分析物の測定は、試料が並外れて高い量のビオチンを含有する場合、不正確になり得る。この理由から、ビオチンを捕集することが非常に望ましい。この技術的問題は、試料前処理によって、すなわち遊離ビオチンを除去するプロセスを用いて、試料が分析物を測定するための方法に供される前に、解決され得る。しかしながら、これは、例えば、試料を、(ストレプト)アビジンでコーティングされた磁性粒子と混合するステップ、混合物をインキュベートし、それにより、ビオチンを粒子と結合するステップ、続いて、粒子を磁気的に除去するステップ等、望ましくない多数の離散的な作業ステップを伴うであろう。試料前処理のようなアプローチは、原材料および時間等の資源を消費するだけでなく、加えて、そのようなアプローチは、試料(例えば、その体積および組成)を変化させるリスクを付帯し、次に、分析物検出および測定における望ましくない効果につながり得る。
驚くべきことに、ビオチンと結合することができ、目的の慣例的にビオチン化された分子と結合することができない本発明に従うモノクローナル抗体は、ビオチン干渉を低減させるための見事な解決策を提供することが分かった。ビオチンスカベンジャーとして作用しながら、抗体のビオチン結合特性は、例えばビオチン化分析物特異的結合剤と(ストレプト)アビジンとの結合に干渉しないようなものである。故に、本発明に従うモノクローナル抗体は、試料中に存在するかもしれない高レベルのビオチンによって引き起こされる干渉に対抗する上で強力なツールであることが分かる。
本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、試料中の分析物を測定するための方法であって、(ストレプト)アビジン/ビオチン対が、ビオチン化分析物特異的結合剤を、(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相と結合させるために使用される方法における、本発明に従う抗体の使用である。
本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、試料中の分析物を測定するための方法であって、(ストレプト)アビジン/ビオチン結合対が、ビオチン化分析物特異的結合剤を、(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相と結合させるために使用され、試料に、a)本発明に従う抗体、b)ビオチン化分析物特異的結合剤、c)(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相を添加するステップと、続いて、(ストレプト)アビジンおよびビオチン化分析物特異的結合剤を介して固相と結合している分析物を測定するステップとを含む、方法である。
本開示は、試料中に含まれる潜在的に干渉する遊離ビオチンを捕集するための手段であって、その試料から分析物が測定されるものとされ、その測定方法が(ストレプト)アビジン/ビオチン結合対を活用する、手段を提供する。好ましい捕集ステップは、(ストレプト)アビジン/ビオチン対の形成の前に実施される。故に、ある実施形態において、試料中の分析物を測定するための方法であって、(ストレプト)アビジン/ビオチン結合対が、ビオチン化分析物特異的結合剤を、(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相と結合させるために使用され、試料に、a)本発明に従う抗体、b)ビオチン化分析物特異的結合剤、c)(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相を添加するステップと、続いて、(ストレプト)アビジンおよびビオチン化分析物特異的結合剤を介して固相と結合している分析物を測定するステップとを含み、ここで、ステップ(a)および場合によりステップ(b)も、ステップ(c)の前に実施される、方法が提供される。また別の実施形態において、ステップ(a)およびステップ(b)は、ステップ(c)が実施される前に同時に実施される。また別の実施形態において、ステップ(b)およびステップ(c)は、ステップ(a)が実施された後に同時に実施される。また別の実施形態において、3つのステップ(a)、(b)および(c)はすべて同時に実施される。驚くべきことに、本発明のモノクローナル抗体は、試料中の分析物を測定するための方法であって、試料が遊離ビオチンを含有し、(ストレプト)アビジン/ビオチン対が、ビオチン化分析物特異的結合剤を、(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相とまたは標識化された(ストレプト)アビジンと結合するために使用され、試料、本発明のモノクローナル抗体、ビオチン化結合剤および(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相または標識化されたストレプトアビジン(stereptavidin)のいずれかが互いに同時に接触させられる方法において使用するための、遊離ビオチンのための有効なスカベンジャーとして技術的にも適している。
本明細書で開示した通りの分析物検出および/または測定のすべての態様および実施形態に関して、水性液体試料は、本開示に従う方法における分析物の特異的なインビトロ検出のための方法において使用され得る。試料は、分析物を含むことが公知であってよく、または分析物を含むと疑われるものであってよい。一実施形態において、本開示に従う方法において使用されるインビトロ診断のための試料は、全血、血清、血漿、髄液、尿または唾液から選択される体液である。一実施形態において、分析物を含むことが疑われるまたは含む試料は、血清、血漿または髄液である。一実施形態において、分析物を含むことが疑われるまたは含む試料は、血清または血漿である。
本明細書で開示した通りのすべての他の態様および実施形態にも関連する、本明細書における元の開示および本発明の別の一般的な態様は、別個の容器内に、少なくとも(a)本発明に従う請求項のいずれかに記載の抗体、(b)ビオチン化分析物特異的結合剤および(c)(ストレプト)アビジンでコーティングされた固相を含む、イムノアッセイ試験キットである。
単一の容器ユニットという用語は、Roche diagnostics製のElecsys(登録商標)分析器シリーズのような多くの自動分析器について、ある特定の分析物を測定するために必要とされる試薬が、「試薬パック」の形態で、すなわち、分析器に嵌合し、異なるコンパートメント内に、目的の分析物の測定に必要とされるすべての主な試薬を含有する、1つの容器ユニットとして提供されるという事実に関する。
一実施形態において、本発明は、結合対の前記第一のパートナーが、アビジンまたはストレプトアビジンであり、前記結合対の前記第二のパートナーが、ビオチン、またはアミノビオチン、イミノビオチンもしくはデスチオビオチン等のビオチンアナログから選択される、キットに関する。
下記の例および図は、その真の範囲が添付の請求項において明記される本発明の理解を補助するために提供される。修正は、明記される手順で、本発明の趣旨から逸脱することなく為され得ることが理解される。
図1Aは、D(+)−ビオチンの図である。図Bは、D(+)−ビオチンの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
実施例1および2に関連する合成スキームの図である。
図3Aは、式IIの化合物の図である。図3Bは、式IIIの化合物の図である。
抗体動力学的スクリーニングアッセイからの例示的な動力学的痕跡の図である。点線:Dig−ビオチン−コンジュゲート−M−D.G−Fab’複合体注入のSPR結合シグナル。実線:300nM d−ビオチンを補充したDig−ビオチン−コンジュゲート−M−D.G−Fab’複合体のSPR結合シグナル。典型的には、これらのクラスの遊離d−ビオチンブロッキング動力学が観察された。A:完全なd−ビオチン競合。B:中間体d−ビオチンブロッキング。C:d−ビオチンによるシグナル干渉なし。その後の詳細な調査のために、好適な抗体候補がクラスAおよびBから選択された。
最有力抗体候補クローンG SPR IC50測定の例示的なSPRセンサーグラムオーバーレイプロットの図である。270nM Dig−ビオチン−コンジュゲートは、270nM(示されていない)、90nM、30nM(2回)、10nM、3.3nMおよび1nMの遊離d−ビオチン濃縮物と混合された。90nM遊離d−ビオチン濃縮物を含有する混合物は、最低応答シグナルを産生し、1nM遊離d−ビオチンでは、最高応答シグナル(標識化)を産生した。Xは、報告点の場所を指示し、これは、IC50計算に使用された。
図6Aは、動力学的スクリーニングアッセイ実験SPR設定の図である。第一に、分子量が増強され、コンジュゲートされたd−ビオチンとの結合をモニターするために、予め形成されたDig−ビオチン−コンジュゲート−M−D.G−Fab’が溶液中の分析物として使用された。第二に、コンジュゲート結合と競合するために、d−ビオチンが分析物混合物に添加された。図6Bは、SPRアッセイ実験設定の図である。Dig−ビオチン−コンジュゲート相互作用は、d−ビオチン濃度系列の存在下および非存在下で測定された。d−ビオチンの非存在下では、濃度依存性系列のDig−ビオチン−コンジュゲートが、ウサギ抗体動力学対Dig−ビオチン−コンジュゲートを決定するために使用された。IC50測定は、分析物試料混合物中で、一定濃度のDig−ビオチン−コンジュゲートおよび漸増濃度の遊離d−ビオチンを用いて実施された。図6Cは、代替的なSPRアッセイ実験設定の図である。Dig−ビオチン−コンジュゲート相互作用は、d−ビオチン濃度系列の存在下および非存在下で測定された。d−ビオチンの非存在下では、濃度依存性系列のDig−ビオチン−コンジュゲートが、ウサギ抗体動力学対Dig−ビオチン−コンジュゲートを決定するために使用された。この事例において、Dig−ビオチン−コンジュゲートは、表面に表示されたM−D.G抗体によって捕捉され、一方、ウサギ抗体またはそのフラグメントは、溶液中における濃度依存性分析物として使用された。IC50測定は、分析物試料混合物中で、一定濃度のウサギ抗体および漸増濃度の遊離d−ビオチンを用いて実施された。
実施例1
チオフェン環のC5原子におけるビオチンの誘導体化および免疫原を取得するための合成ステップ
1.1
ビオチン[1]から化合物[2]へ;図2Aを参照
(S)−5−((1S,6R)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル)−ペンタン酸メチルエステル[2]。(S.A.Sundberg、R.W.Barrett、M.Pirrung、A.L.Lu、B.Kiangsoontra、C.P.Holmes、J.Am.Chem.Soc.1995、117(49)、12050〜12057)塩化アセチル(7.50mL)を、撹拌した乾燥メタノール(160mL)に、アルゴンガス雰囲気下、0℃でゆっくりと添加した。得られた混合物を室温で30分間にわたって撹拌した。次いで、ビオチン([1]、6.00g、24.6mmol)を一度に添加し、撹拌を終夜続けた。真空で濃縮した後、粗生成物をCH2Cl2およびメタノールの混合物(200mL、v/v=95:5)に再溶解し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。次いで、水性相をCH2Cl2およびメタノールの混合物(100mL、v/v=95:5、3回)で再抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で徹底的に濃縮した。このようにして、物質[2](6.13g、23.7mmol、97%)が、桃色がかった綿毛状固体として取得された。
Rf(EtOAc:MeOH=3:1)=0.65。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ = 6.44 (s, br, 1H), 6.36 (s, br, 1H), 4.31 (dd, J = 7.6, 5.4 Hz, 1H), 4.14 (mC, 1H), 3.59 (s, 3H), 3.11 (mC, 1H), 2.83 (dd, J = 12.5, 5.2 Hz, 1H) 2.59 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 2.31 (t, J = 7.57 Hz, 2H), 1.66-1.43 (m, 4H), 1.40-1.27 (m, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz): δ = 173.3, 162.7, 61.0, 59.2, 55.3, 51.2, 33.1, 28.0 (2C), 24.5 ppm.注記:1つの炭素シグナルはNMR溶媒残留ピークによって覆い隠された。
1.2
化合物[2]から化合物[3]へ;図2Aを参照
(S)−5−((3aS,4R)−2,5−ジオキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル)−ペンタン酸メチルエステル[3]。(S.A.Slavoff、I.Chen、Y.−A.Choi、A.Y.Ting、J.Am.Chem.Soc.2008、130(4)、1160〜1162)エステル[2](3.00g、11.6mmol、1.00当量)を、メタノール(140mL)に室温で溶解した。これに、水(24.0mL)中の過ヨウ素酸ナトリウム(2.61g、12.2mmol、1.05当量)の溶液をゆっくりと添加した。5分後、無色固体の沈殿が観察された。反応物を終夜撹拌し、濾過し(CH2Cl2:MeOH=95:5を加えた洗液)、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2:MeOH=95:5勾配から90:10)を介する精製により、スルホキシド[3](2.79g、10.2mmol、88%)を無色固体として提供した。
Rf(EtOAc:MeOH=3:1)=0.40。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ = 6.79 (s, br, 1H), 6.68 (s, br, 1H), 4.44 (mC, 1H), 4.32 (mC, 1H), 3.34 (dd, J = 12.6, 1.6 Hz, 1H), 3.30 (s, 3H), 3.11 (mC, 1H), 2.94-2.86 (m, 2H) 2.32 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 1.80-1.68 (m, 2H), 1.64-1.54 (m, 2H), 1.52-1.36 (m, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz): δ = 173.3, 161.2, 69.8, 58.6, 55.7, 52.7, 51.2, 33.0, 26.4, 25.0, 24.3 ppm.
1.3
ビオチン[1]から化合物[4]へ;図2Aを参照
(S)−5−((1S,6R)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル)−ペンタン酸ベンジルエステル[4]。(D.R.Amspacher、C.Z.Blanchard、F.R.Fronczek、M.C.Saraiva、G.L.Waldrop、R.M.Strongin、Org.Lett.1999、1(1)、99〜102)ビオチン[1](5.00g、20.5mmol、1.00当量)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(29mL)に、アルゴンガス雰囲気下、室温で溶解した。ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(0.31g、2.05mmol、10mol−%)、ベンジルアルコール(2.65mL、25.6mmol、1.25当量)および4−ジメチルアミノピリジン(250mg、2.05mmol、10mol−%)の添加後、乾燥ジクロロメタン(24mL)中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.86g、23.5mmol、1.15当量)の溶液を、15分間かけて滴下添加した。得られた混合物を24時間にわたって撹拌した後、別のバッチのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.86g、23.5mmol、1.15当量)を添加し、撹拌をもう3日間にわたって続けた。真空での揮発物の除去後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2:MeOH=97:3勾配から98:2)を介する精製により、エステル[4](5.80g、17.3mmol、84%)を無色固体として提供した。
Rf(EtOAc:MeOH=3:1)=0.75。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ = 7.38-7.28 (m, 5H), 6.40 (s, br, 1H), 6.33 (s, br, 1H), 5.07 (s, 2H), 4.28 (mC, 1H), 4.10 (mC, 1H), 3.06 (ddd, J = 8.4, 6.1, 4.6 Hz, 1H), 2.80 (dd, J = 12.4, 5.1 Hz, 1H), 2.56 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.34 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 1.64-1.36 (m, 6H) ppm.
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz): δ = 173.2, 163.1, 136.7, 128.9, 128.4, 128.4, 65.8, 61.5, 59.6, 55.8, 36.2, 33.8, 33.7, 28.4, 25.8, 25.0 ppm.
1.4
化合物[4]から化合物[17]へ;図2Bを参照
5−((3aS,4S,5R,6aR)−2,5−ジオキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)−ペンタン酸ベンジルエステル[17]
エステル[4](2.00g、5.98mmol、1.00当量)を、メタノール(70mL)に室温で溶解した。これに、水(12.0mL)中の過ヨウ素酸ナトリウム(1.22g、5.68mmol、0.95当量)の溶液をゆっくりと添加した。5分後、無色固体の沈殿が観察された。反応物を終夜撹拌し、濾過し(CH2Cl2:MeOH=95:5を加えた洗液)、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2:MeOH=98:2勾配から90:10)を介する精製により、ジアステレオ異性的に純粋なスルホキシド[17](1.53g、4.37mmol、73%)を無色固体として提供した。
Rf(EtOAc:MeOH=4:1)=0.60。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ = 7.38-7.28 (m, 5H), 6.77 (s, br, 1H), 6.66 (s, br, 1H), 5.08 (s, 2H), 4.42 (ddt, J = 8.5, 6.7, 1.7 Hz, 1H), 4.29 (mC, 1H), 3.34-3.30 (m, 1H), 2.92-2.82 (m, 2H), 2.40-2.32 (m, 2H), 1.76-1.36 (m, 6H) ppm.
13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz): δ = 172.7, 161.2, 136.3, 128.4, 128.0, 128.0, 69.8, 65.3, 58.6, 55.7, 52.7, 33.2, 26.4, 25.0 ppm.
1.5
化合物[2]から化合物[5]へ;図2Bを参照
スルホキシド[5]。エステル[2](2.00g、5.98mmol、1.00当量)を、メタノール(70mL)に室温で溶解した。これに、水(12.0mL)中の過ヨウ素酸ナトリウム(1.22g、5.68mmol、0.95当量)の溶液をゆっくりと添加した。5分後、無色固体の沈殿が観察された。反応物を終夜撹拌し、濾過し(CH2Cl2:MeOH=95:5を加えた洗液)、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2:MeOH=98:2勾配から90:10)を介する精製により、スルホキシド[5](1.53g、4.37mmol、73%)を無色固体として提供した。
Rf(EtOAc:MeOH=4:1)=0.60。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ = 7.38-7.28 (m, 5H), 6.77 (s, br, 1H), 6.66 (s, br, 1H), 5.08 (s, 2H), 4.42 (ddt, J = 8.5, 6.7, 1.7 Hz, 1H), 4.29 (mC, 1H), 3.34-3.30 (m, 1H), 2.92-2.82 (m, 2H), 2.40-2.32 (m, 2H), 1.76-1.36 (m, 6H) ppm.
13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz): δ = 172.7, 161.2, 136.3, 128.4, 128.0, 128.0, 69.8, 65.3, 58.6, 55.7, 52.7, 33.2, 26.4, 25.0 ppm.
1.6
化合物[6]から化合物[7]へ;図2Bを参照
トルエン−4−スルホン酸2−{2−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エチルエステル[7]。(K.Brunner、J.Harder、T.Halbach、J.Willibald、F.Spada、F.Gnerlich、K.Sparrer、A.Beil、L.Mockl、C.Brauchle、K.−K.Conzelmann、T.Carell、Angew.Chem.Int.編、2015、54(6)、1946〜1949。)テトラエチレングリコール([6]、10.0g、51.5mmol、1.00当量)を、乾燥テトラヒドロフラン(31mL)に、アルゴンガス雰囲気下、室温で溶解した。これに、乾燥トリメチルアミン(35.8mL、257mmol、5.00当量)および4−ジメチルアミノピリジン(314mg、2.57mmol、5mol−%)を添加した。撹拌混合物を0℃に冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(20mL)に溶解した塩化トシル(9.82g、51.5mmol、1.00当量)をゆっくりと添加した。反応物を室温に加温させ、終夜撹拌し、その後、CH2Cl2(200mL)およびHCl水溶液(200mL、1M)の撹拌混合物に添加することによってクエンチした。層を分離し、水性相をCH2Cl2(100mL、2回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、n−Hex:EtOAc=50:50勾配から5:95)を介する精製により、トシレート[7](7.63g、21.9mmol、42%)を無色ワックスとして産出した。
Rf(n−Hex:EtOAc=1:1)=0.15。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 7.78 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.15 (dd, J = 4.8, 4.8 Hz, 2H), 3.71-3.57 (m, 14H), 2.43 (s, 3H), 2.40 (s, br, 1H) ppm.
13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ = 144.9, 133.1, 129.9, 128.1, 72.6, 70.8, 70.8, 70.5, 70.4, 69.4, 68.8, 61.8, 21.7 ppm.
1.7
化合物[7]から化合物[8]へ;図2Bを参照
2−{2−[2−(2−アジド−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エタノール[8]。(K.Brunner、J.Harder、T.Halbach、J.Willibald、F.Spada、F.Gnerlich、K.Sparrer、A.Beil、L.Mockl、C.Brauchle、K.−K.Conzelmann、T.Carell、Angew.Chem.Int.編、2015、54(6)、1946〜1949。)トシレート[7](5.00g、14.4mmol、1.00当量)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)に、アルゴンガス雰囲気下、室温で溶解した。アジ化ナトリウム(4.67g、71.8mmol、5.00当量)の添加後、得られた懸濁液を70℃に終夜加熱した。その後、溶媒を真空で除去し、残った固体をCH2Cl2(200mL)および半濃縮ブライン(200mL)の混合物に再溶解した。層を分離し、水性相をCH2Cl2(50mL、2回)で再抽出した。合わせた有機層を半濃縮ブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、n−Hex:EtOAc=50:50勾配から5:95)を介する精製により、アジド[8](2.57g、11.7mmol、82%)を無色油として産出した。
Rf(n−Hex:EtOAc=1:4)=0.20。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 3.69 (m, 2H), 3.62 (m, 10H), 3.55 (m, 2H), 3.34 (m, 2H), 2.74 (s, br, 1H) ppm.
13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ = 72.5, 70.7, 70.7, 70.3, 70.0, 61.7, 50.7 ppm.
1.8
化合物[9]から化合物[10]へ;図2Cを参照
トルエン−4−スルホン酸10−ヒドロキシ−デシルエステル[10]。(K.Brunner、J.Harder、T.Halbach、J.Willibald、F.Spada、F.Gnerlich、K.Sparrer、A.Beil、L.Mockl、C.Brauchle、K.−K.Conzelmann、T.Carell、Tetrahedron Lett.2009、50(7)、759〜762)1,10−デカンジオール([9]、10.0g、57.4mmol、1.00当量)を、乾燥テトラヒドロフラン(200mL)に、アルゴンガス雰囲気下、室温で溶解した。これに、乾燥トリメチルアミン(40.0mL、287mmol、5.00当量)および4−ジメチルアミノピリジン(350mg、2.87mmol、5mol−%)を添加した。撹拌混合物を0℃に冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)に溶解した塩化トシル(10.9g、57.4mmol、1.00当量)をゆっくりと添加した。反応物を室温に加温させ、終夜撹拌し、その後、CH2Cl2(300mL)およびHCl水溶液(300mL、1M)の撹拌混合物に添加することによってクエンチした。層を分離し、水性相をCH2Cl2(100mL、2回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、n−Hex:EtOAc=80:20勾配から50:50)を介する精製により、トシレート[10](9.81g、29.9mmol、52%)を無色油として産出し、これは、4℃で貯蔵すると、凍結する。
Rf(n−Hex:EtOAc=1:1)=0.80。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 7.77 (mC, 2H), 7.33 (mC, 2H), 4.00 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.61 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H), 1.65-1.50 (m, 5H), 1.35-1.18 (m, 12H) ppm.
13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ = 144.7, 133.3, 129.9, 128.0, 70.8, 63.1, 32.8, 29.5, 29.4, 29.4, 29.0, 28.9, 25.8, 25.4, 21.7 ppm.
1.9
化合物[10]から化合物[11]へ;図2Cを参照
10−アジド−デカン−1−オール[11]。(N.Ardes−Guisot、D.S.Alonzi、G.Reinkensmeier、T.D.Butters、C.Norez、F.Becq、Y.Shimada、S.Nakagawa、A.Kato、Y.Bleriot、M.Sollogoub、B.Vauzeilles、Org.Biomol.Chem.2011、9(15)、5373〜5388。)トシレート[10](9.50g、28.9mmol、1.00当量)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)に、アルゴンガス雰囲気下、室温で溶解した。アジ化ナトリウム(5.64g、86.8mmol、3.00当量)の添加後、得られた懸濁液を75℃に8時間にわたって加熱した。その後、溶媒を真空で除去し、残った固体をCH2Cl2(200mL)および半濃縮ブライン(200mL)の混合物に再溶解した。層を分離し、水性相をCH2Cl2(50mL、2回)で再抽出した。合わせた有機層を半濃縮ブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、n−Hex:EtOAc=90:10勾配から60:40)を介する精製により、アジド[11](5.30g、26.6mmol、93%)を無色油として産出した。
Rf(n−Hex:EtOAc=3:2)=0.80。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 3.61 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.24 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.62-1.51 (m, 5H), 1.38-1.26 (m, 12H) ppm.
13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ = 63.1, 51.6, 32.9, 29.6, 29.5, 29.5, 29.2, 28.9, 26.8, 25.8 ppm.
1.10
化合物[11]から化合物[12]へ;図2Cを参照
メタンスルホン酸10−アジド−デシルエステル[12]。アジド[11](2.00g、10.0mmol、1.00当量)を、乾燥ジクロロメタン(15mL)に、アルゴンガス雰囲気下、室温で溶解した。トリエチルアミン(4.20mL、30.0mmol、3.00当量)の添加後、撹拌混合物を0℃に冷却し、塩化メシル(1.55mL、20.0mmol、2.00当量)を10分間かけて滴下添加した。反応物を1時間かけて室温まで加温させておき、さらに30分間にわたって撹拌し、その後、CH2Cl2(200mL)およびHCl水溶液(200mL、1M)の撹拌混合物に添加することによってクエンチした。層を分離し、水性相をCH2Cl2(100mL、2回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮して、メシレート[12](2.75g、9.91mmol、定量的)を橙色がかった油として産出し、これを、追加の精製なしにさらなる反応に使用した。
Rf(n−Hex:EtOAc=2:1)=0.85。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 4.20 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.24 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 2.99 (s, 3H), 1.77-1.70 (m, 2H), 1.62-1.54 (m, 2H), 1.43-1.28 (m, 12H) ppm.
13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ = 70.3, 51.5, 37.4, 31.7, 29.4, 29.4, 29.2, 29.0, 28.9, 26.8, 25.5 ppm.
1.11
化合物[12]から化合物[13]へ;図2Cを参照
チオ酢酸S−(10−アジド−デシル)エステル[13]。メシレート[12](2.75g、9.91mmol、1.00当量)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)に、アルゴンガス雰囲気下、室温で溶解した。チオ酢酸カリウム(1.14g、10.0mmol、1.00当量)をそこに添加し、得られた懸濁液を、光の遮断下、24時間にわたって撹拌した。次いで、ジエチルエーテル(200mL)および半濃縮ブライン(200mL)の混合物に添加することによって反応物を希釈した。層を分離し、水性相をジエチルエーテル(100mL、2回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。粗チオアセテートをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、n−Hex:EtOAc=95:5勾配から85:15)によって精製して、物質[13](2.09g、8.12mmol、81%)を黄色がかった油として産出した。
Rf(n−Hex:EtOAc=3:1)=0.95。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 3.24 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.84 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.30 (s, 3H), 1.61-1.51 (m, 4H), 1.36-1.23 (m, 12H) ppm.
13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ = 195.9, 51.4, 30.6, 29.5, 29.3, 29.3, 29.1, 29.1, 29.0, 28.8, 28.7, 26.7 ppm.
1.12
化合物[13]から化合物[14]へ;図2Cを参照
10−アジド−デカン−1−チオール[14]。塩化水素(3.53mL)を、撹拌した脱気メタノール(20mL)に、アルゴンガス雰囲気下、0℃でゆっくりと添加した。得られた混合物を室温で30分間にわたって撹拌した。次いで、脱気メタノール(5mL)に溶解したチオアセテート[13](2.00g、9.29mmol、1.00当量)を一度に添加し、撹拌を終夜続けた。次いで、ジエチルエーテル(150mL)および半飽和NaHCO3水溶液(150mL)の混合物に添加することによって反応物をクエンチした。層を分離し、水性相をジエチルエーテル(100mL、2回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。粗チオールをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、n−Hex:EtOAc=95:5勾配から85:15)によって精製して、物質[14](1.49g、6.92mmol、89%)を黄色がかった油として産出し、そのそれぞれのジスルフィド二量体(13mol−%)で汚染されていた。
Rf(n−Hex:EtOAc=9:1)=0.70。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 3.25 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.51 (q, J = 7.4 Hz, 2H), 1.64-1.55 (m, 4H), 1.40-1.26 (m, 12H) ppm.
13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ = 51.6, 34.1, 29.5, 29.2, 29.1, 29.0, 28.6, 28.5, 26.8, 24.8 ppm.
1.13
化合物[5]から化合物[15]へ;図2Dを参照
5−[(3aR,4R,6S,6aS)−4−(2−{2−[2−(2−アジド−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸メチルエステル[15]。スルホキシド[5](400mg、1.46mmol、1.00当量)を、乾燥クロロホルム(12.8mL)にアルゴンガス雰囲気下で溶解し、その後、−60℃に冷却した。無水トリフルオロ酢酸(0.62mL、4.37mmol、3.00当量)を滴下添加した後、得られた混合物を1時間かけて室温に加温し、もう30分間にわたって撹拌した。その後に、揮発物を真空(10−2mbar)で少なくとも2時間にわたって除去した。得られた無色ワックスを、乾燥テトラヒドロフラン(3mL)にアルゴンガス雰囲気下で再溶解し、アジドアルコール[8](1.60g、7.29mmol、5.00当量)を添加した。反応物を室温で2日間にわたって撹拌し、真空で濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2:MeOH=99:1勾配から95:5)にかけた。最終精製はHPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介して実現して、アジド[15](181mg、0.38mmol、26%)を無色ワックスとして産出した。
tR(HPLC)=24分。
Rf(EtOAc:MeOH=9:1)=0.45。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ = 6.57 (s, br, 1H), 6.56 (s, br, 1H), 4.76 (s, 1H), 4.29 (ddd, J = 7.6, 4.2, 1.8 Hz, 1H), 4.17 (dd, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 3.73-3.68 (m, 1H), 3.61-3.48 (m, 13H) 3.40-3.32 (m, 3H), 3.32 (s, 3H), 2.30 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.66-1.43 (m, 4H), 1.40-1.23 (m, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz): δ = 173.2, 162.0, 95.1, 69.8 (3C), 69.7, 69.2, 67.2, 66.3, 60.4, 52.6, 51.2, 50.0, 33.1, 27.9, 27.8, 24.5 ppm.
1.14
化合物[15]から化合物[16]へ;図2Dを参照
5−[(3aR,4R,6S,6aS)−4−(2−{2−[2−(2−アジド−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸[16]。アジド[15](180mg、0.39mmol、1.00当量)を、メタノール(3.3mL)にアルゴンガス雰囲気下で溶解した。そこに、水(3.3mL)中の水酸化リチウム(181mg、7.57mmol、20.0当量)の混合物を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、その後、CH2Cl2(25mL)およびHCl水溶液(25mL、1M)の撹拌混合物に添加することによってクエンチした。層を分離し、水性相をCH2Cl2(25mL、2回)およびEtOAc(25mL、3回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。HPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介する精製により、ビオチン誘導体[16](137mg、0.30mmol、78%)を無色ワックスとして産出した。
tR(HPLC)=20分。
Rf(EtOAc:MeOH=4:1)=0.25。
1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ = 4.86 (s, 1H), 4.44 (dd, J = 7.9, 4.4 Hz, 1H), 4.40 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.88-3.84 (m, 1H), 3.68-3.62 (m, 12H), 3.54 (mC, 1H), 3.48 (mC, 1H), 3.38 (t, J = 4.7 Hz, 2H), 2.32 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.79-1.72 (m, 1H), 1.69-1.58 (m, 3H), 1.49-1.42 (m, 2H) ppm.
13C NMR (CD3OD, 125 MHz): δ = 177.5, 165.4, 96.4, 71.7 (2C), 71.6, 71.5, 71.2, 71.2, 68.7, 68.5, 62.9, 54.1, 51.8, 34.7, 29.7, 29.4, 26.0 ppm.
1.15
化合物[17]から化合物[18]へ;図2Dを参照
5−[(3aR,4R,6S,6aS)−4−(10−アジド−デシルオキシ)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸ベンジルエステル[18]。スルホキシド[17]は、化合物[2]から化合物[5]への反応について1.4に示されているのと同様の手法で、化合物[4]から取得した。スルホキシド[17](200mg、0.57mmol、1.00当量)を、乾燥クロロホルム(5.0mL)にアルゴンガス雰囲気下で溶解し、その後、−60℃に冷却した。無水トリフルオロ酢酸(0.24mL、1.71mmol、3.00当量)を滴下添加した後、得られた混合物を1時間かけて室温に加温し、もう30分間にわたって撹拌した。その後に、揮発物を真空(10−2mbar)で少なくとも2時間にわたって除去した。得られた無色ワックスを、乾燥テトラヒドロフラン(1.5mL)にアルゴンガス雰囲気下で再溶解し、アジドアルコール[11](0.34g、1.71mmol、3.00当量)を添加した。反応物を室温で2日間にわたって撹拌し、真空で濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2:MeOH=98:2勾配から90:10)にかけた。最終精製はHPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介して実現して、アジド[18](50.0mg、0.09mmol、16%)を紫色がかった固体として産出した。1H NMR分析は、アセタール官能基の立体中心が、図示されているものを支持する3.33:1のジアステレオマー(diasteremoeric)比の根底にあることを示した。
tR(HPLC)=37.2分(広域ピーク)。
Rf(EtOAc:MeOH=9:1)=0.75。
1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ = 7.37-7.27 (m, 5H), 5.12 (s, 2H), 4.75 (s, 1H), 4.39-4.33 (m, 2H), 3.73-3.65 (m, 1H) 3.46 (ddd, J = 9.3, 6.0, 3.9 Hz, 1H), 3.29-3.24 (m, 3H), 2.34 (t, J = 7,3 Hz, 2H), 1.79-1.49 (m, 8H), 1.45-1.27 (m, 14H) ppm.
13C NMR (CD3OD, 100 MHz): δ = 175.0, 165.4, 137.7 129.6, 129.2, 129.2, 96.2, 69.5, 68.5, 67.2, 62.8, 54.1, 52.4, 34.8, 30.6, 30.6, 30.4, 30.3, 30.3, 29.9, 29.6, 29.2, 27.8, 27.3, 25.9 ppm.
1.16
化合物[18]から化合物[19]へ;図2Eを参照
5−[(3aR,4R,6S,6aS)−4−(10−アジド−デシルオキシ)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸[19]。アジド[18](50.0mg、0.09mmol、1.00当量)を、メタノール(0.8mL)に、アルゴンガス雰囲気下で溶解した。そこに、水(0.8mL)中の水酸化リチウム(45.0mg、1.88mmol、20.0当量)の混合物を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、その後、CH2Cl2(20mL)およびHCl水溶液(20mL、1M)の撹拌混合物に添加することによってクエンチした。層を分離し、水性相をCH2Cl2(15mL、2回)およびEtOAc(15mL、3回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。HPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介する精製により、ビオチン誘導体[19](37mg、0.08mmol、89%)を紫色がかった固体として産出した。1H NMR分析は、アセタール官能基の立体中心が、図示されているものを支持する3.33:1のジアステレオマー比の根底にあることを示した。
tR(HPLC)=31.1分。
Rf(EtOAc:MeOH=4:1)=0.30。
1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ = 4.74 (s, 1H), 4.42 (dd, J = 7.8, 4.0 Hz, 1H), 4.35 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.74-3.66 (m, 1H), 3.55-3.47 (m, 1H), 3.29-3.25 (m, 3H), 2.32 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.79-1.51 (m, 8H), 1.48-1.32 (m, 14H) ppm.
13C NMR (CD3OD, 100 MHz): δ = 177.4, 165.4, 96.2, 69.5, 68.5, 62.8, 54.1, 52.5, 34.7, 30.6, 30.6, 30.4, 30.3, 30.2, 29.9, 29.7, 29.4, 27.8, 27.3, 26.0 ppm.
1.17
化合物[18]から化合物[19]へ;図2Eを参照
5−[(3aR,4R,6S,6aS)−4−(10−アジド−デシルスルファニル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸ベンジルエステル[20]。スルホキシド[17]は、化合物[2]から化合物[5]への反応について1.4に示されているのと同様の手法で、化合物[4]から取得した。スルホキシド[17](200mg、0.57mmol、1.00当量)を、乾燥クロロホルム(5.0mL)にアルゴンガス雰囲気下で溶解し、その後、−60℃に冷却した。無水トリフルオロ酢酸(0.24mL、1.71mmol、3.00当量)を滴下添加した後、得られた混合物を1時間かけて室温に加温し、もう30分間にわたって撹拌した。その後に、揮発物を真空(10−2mbar)で少なくとも2時間にわたって除去した。得られた無色ワックスを、乾燥テトラヒドロフラン(1.5mL)にアルゴンガス雰囲気下で再溶解し、アジドアルコール[14](0.42g、1.71mmol、3.00当量)を添加した。反応物を室温で2日間にわたって撹拌し、真空で濃縮し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2:MeOH=98:2勾配から90:10)にかけた。最終精製はHPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介して実現して、アジド[20](74.0mg、0.14mmol、24%)を紫色がかった固体として産出した。1H NMR分析は、アセタール官能基の立体中心が、図示されているものを支持する4:1のジアステレオマー比の根底にあることを示した。
tR(HPLC)=38分(広域ピーク)。
Rf(EtOAc:MeOH=9:1)=0.83。
1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ = 7.36-7.28 (m, 5H), 5.12 (s, 2H), 4.41 (ddd, J = 18.3, 7.9, 4.8 Hz, 1H), 4.35-4.28 (m, 2H), 3.70-3.65 (m, 1H) 3.28-3.25 (m, 2H), 2.71 (mC, 1H), 2.59 (mC, 1H), 2.44-2.37 (m, 2H), 1.79-1.50 (m, 8H), 1.49-1.30 (m, 14H) ppm.
13C NMR (CD3OD, 100 MHz): δ = 175.0, 165.2, 137.7, 129.6, 129.2, 129.2, 68.0, 67.2, 63.2, 62.3, 55.0, 52.4, 34.8, 33.7, 30.5, 30.2, 30.2, 30.0, 29.9, 29.9, 29.6, 28.8, 27.8, 25.9 ppm.
1.18
化合物[18]から化合物[19]へ;図2Eを参照
5−[(3aR,4R,6S,6aS)−4−(10−アジド−デシルスルファニル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸[21]。アジド[20](74.0mg、0.14mmol、1.00当量)を、メタノール(1.2mL)に、アルゴンガス雰囲気下で溶解した。そこに、水(1.2mL)中の水酸化リチウム(65.0mg、2.70mmol、20.0当量)の混合物を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、その後、CH2Cl2(20mL)およびHCl水溶液(20mL、1M)の撹拌混合物に添加することによってクエンチした。層を分離し、水性相をCH2Cl2(15mL、2回)およびEtOAc(15mL、3回)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。HPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介する精製により、ビオチン誘導体[21](43mg、0.09mmol、69%)を紫色がかった固体として産出した。1H NMR分析は、アセタール官能基の立体中心が、図示されているものを支持する4:1のジアステレオマー比の根底にあることを示した。
tR(HPLC)=32.8分。
Rf(EtOAc:MeOH=4:1)=0.27。
1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ = 4.46-4.42 (m, 1H), 4.36-4.31 (m, 2H), 3.71 (ddd, J = 8.9, 5.9, 4.5 Hz, 1H), 3.39-3.26 (m, 2H), 2.73 (mC, 1H), 2.64-2.57 (m, 1H), 2.34-2.29 (m, 2H), 1.82-1.55 (m, 8H), 1.49-1.33 (m, 14H) ppm.
13C NMR (CD3OD, 100 MHz): δ = 177.7, 165.5, 68.2, 63.4, 62.5, 55.2, 52.6, 34.9, 33.8, 30.7, 30.7, 30.4, 30.3, 30.2, 30.1, 30.0, 29.8, 29.0, 28.0, 26.1 ppm.
1.19
0,1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.2、10mL)中のキーホールリンペットヘモシアニン(30mg、Sigma Aldirch 8283番)を、(1R,8S,9s)−ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−イン−9−イルメチルスクシンイミジルカーボネート(6.6mg、22.6μmol、Synaffix Product SX−A−1028番)と反応させた。混合物を室温で5時間にわたって撹拌した。未反応のシクロオクチンを、0,1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)に対する透析によって除去した。アジド−PEG4−ビオチン[16](3.59mg、7.8μmol)をDMSOに溶解し、シクロオクチン誘導体化KLHに添加した。混合物を4℃で終夜撹拌した。未反応のアジド−PEG4−ビオチンを、0,1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)に対する透析によって除去した。280nmにおける吸光度を測定することによって、タンパク質含有量を決定した。
1.20
ビオチン誘導体[16](40.0mg、86.6μmol、1.00当量)およびアルキン[23](39.0mg、13.0μmol、1.50当量)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)に、アルゴンガス雰囲気下で溶解し、室温で18時間にわたって撹拌した。得られた溶液を、45℃にて真空で濃縮した。HPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介する精製により、活性エステル[24](57.2mg、7.60μmol、87%)を無色泡状物として産出した。図2Fも参照されたい。
tR(HPLC)=19.2分。
1.20
ここでも、活性エステル[24]を使用して、下記の手順でKLHコンジュゲートを合成した:上述した通りに合成した10mgのNHSエステルを、1000μlのDMSOに溶解し、100mgのKLH(キーホールリンペットヘモシアニン、Sigma H8283)の溶液に添加した。pHをpH=8.3に調整し、溶液を終夜撹拌した。混合物をアミコン撹拌式セル中で精製した。
1.21
KLHコンジュゲート[28]、図2Hも参照
上述したNHSエステルのKLHコンジュゲートは、下記の手順で合成され得る:上述した通りに合成した10mgのNHSエステル[27](7−{2−[2−(2−{2−[(3aS,4S,6R,6aR)−4−(4−カルボキシ−ブチル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イルオキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−ヘプタン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル)を、1000μlのDMSOに溶解し、100mgのKLH(キーホールリンペットヘモシアニン、Sigma H8283)の溶液に添加する。pHをpH=8.3に調整し、溶液を終夜撹拌する。混合物をアミコン撹拌式セル中で精製する。
実施例2
モノクローナル抗体をインビトロでスクリーニングするための試薬の合成
2.1
スクリーニング試薬[30]は、標準的な反応条件を使用することにより、上述したNHSエステル[24]を、EP0747447において記述されている通りに合成された、カルド−20(22)−エノリド、3−[2−[[2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エチル]アミノ]−2−オキソエトキシ]−12,14−ジヒドロキシ−、(3β,5β,12β)−(9CI)、CAS登録番号185523−10−8のようなジゴキシゲニン(Digoxigenine)のアミノ誘導体と、上述したNHSエステルと、DMF中、室温で2時間にわたって反応させることによって合成した。その後で、溶媒を除去し、生成物を分取HPLCクロマトグラフィーによって単離した。[30]の構造は、図2Lにも示されている。
2.2
5−[(3aS,4S,6R,6aR)−6−(2−{2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル]−ペンタン酸
ビオチン誘導体[16](5.00mg、11.4μmol、1.00当量)を、メタノール(1.0mL)に、アルゴンガス雰囲気下で溶解した。そこに、Pd/C(17mg、1.50当量、10wt−%Pd)を添加し、得られた懸濁液を排気し、水素を3回再充填した。室温で16時間にわたって撹拌した後、反応混合物をCelite(C)上で濾過し(MeOHで洗浄しながら)、真空で濃縮した。物質[26](3.53mg、8.10μmol、71%)が無色ワックスとして取得され、追加の精製なしにさらなる反応に使用した。図2Gも参照されたい。
1H NMR (CD3OD, 400 MHz, 特徴的シグナル): δ = 3.02 (t, 2 H) ppm.
13C NMR (CD3OD, 100 MHz): δ = 182.7, 165.4, 96.5, 71.6, 71.5, 71.4, 71.3, 71.2, 69.6, 68.6, 68.4, 62.8, 54.2, 38.8, 30.8, 30.1, 29.4, 27.5 ppm.
2.3
7−{2−[2−(2−{2−[(3aS,4S,6R,6aR)−4−(4−カルボキシ−ブチル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イルオキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−ヘプタン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル
アミン[26](3.53mg、8.10μmol、1.00当量)および試薬スベリン酸ビス−ヒドロキシスクシンイミドエステル(CAS68528−80−3)(3.73mg、10.1μmol、1.25当量)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)に、アルゴンガス雰囲気下で溶解する。そこに、トリエチルアミン(1.3mg、12.1μmol、1.50当量)を添加し、得られた溶液を室温で6時間にわたって撹拌する。その後に、混合物を真空で濃縮する。HPLC(C−18逆相シリカ、MeCN:H2O、標準勾配プログラム)を介する精製により、活性エステル[27](3.06mg、4.46μmol、55%)を無色ワックスとして産出する。図2Gも参照されたい。
2.4
スクリーニング試薬
Dig−3−CME−AMCAP−DADOO−ビオチン[29]
ジゴキシゲニン−3−CME−AMCAP−NHSエステル(別名:ジゴキシゲニンNHS−エステル、カルド−20(22)−エノリド、3−[2−[[6−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−6−オキソヘキシル]アミノ]−2−オキソエトキシ]−12,14−ジヒドロキシ−、(3β,5β,12β)−)=CAS番号129273−26−3は、DE3836656A1において記述されている通りに合成した、または市販製品(Merck−Sigma)として取得した。
ジゴキシゲニン−3−CME−AMCAP−NHSエステルを3mLのDMFに溶解し、6μlのトリメチルアミンを添加する。その後で、5−[(3aS,4S,6R,6aR)−6−(2−{2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル]−ペンタン酸を添加し、混合物を室温で2時間にわたって撹拌する。溶媒を蒸発によって除去し、生成物[図2Kに示す通りの生成物[29]の式、図2Jに示す遊離体]を分取HPLCクロマトグラフィーによって単離する。
実施例3
N’1原子におけるビオチンの誘導体化およびスクリーニング試薬の合成
(1)FMOC−ベータ−アラニン−酸塩化物
乾燥条件下、フラスコ中の4.7gのFMOC−ベータ−アラニン(IRIS、FAA1300)に、およそ20mLの塩化チオニルをゆっくりと添加した。混合物を室温で50分間にわたって撹拌し、その後で、10分間にわたって還流状態まで加熱した。冷却した後、混合物を蒸発させ、残留物を無水トルエンに3回溶解し、毎回蒸発させた。
収量は5.1gであった。
(2)FMOC−ベータ−アラニル−ビオチン
ビオチンのカルボン酸は、FangおよびBergstromによって、Nucleic Acids Research、2003、第31巻、第2号、708において記述された通り、ビオチン(2.48g)を、t−ブチルクロロジフェニルシラン(6.5ml)と、15mLの乾燥ピリジン中、DMAP(0.63g)の存在下、アルゴンの不活性雰囲気において室温で終夜反応させることによって保護した。
10mLのジクロロメタンに溶解した4.9gのFMOC−ベータ−アラニン−酸塩化物を添加し、室温で3.5時間にわたって撹拌した。混合物を蒸発させ、DMFを添加し、再度蒸発させた。残留物をDMF−H2O(3:1)に溶解し、50mmolの炭酸カリウムを添加し、混合物を30分間にわたって撹拌した。クエン酸でpH4に酸性化後、生成物を酢酸エチルで抽出し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液 酢酸エチル/メタノール)によって精製した。
HPLC−ESI−MS:M+=538.3Da。収量は1.5gであった。
(3)ベータ−アラニル−ビオチン=5−[3−(3−アミノ−プロピオニル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸
FMOC保護基は、1.67gのFMOC−ベータ−アラニル−ビオチンを、DMF中20%ピペリジンの混合物(60ml)に溶解することによって、開裂した。混合物を蒸発させ、真空下で乾燥させた。その後で、生成物を、逆相シリカおよびH2O−アセトニトリル勾配を使用する分取HPLCによって単離した。
HPLC−ESI−MS:M+=316.3Da。収量は0.55gであった。
実施例4
モノクローナル抗体のスクリーニングのためのさらなる試薬の合成
(1)Dig−3−CME−AMCAP−DADOO−ビオチン
ジゴキシゲニン−3−CME−AMCAP−NHSエステル(別名:ジゴキシゲニンNHS−エステル、カルド−20(22)−エノリド、3−[2−[[6−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−6−オキソヘキシル]アミノ]−2−オキソエトキシ]−12,14−ジヒドロキシ−、(3β,5β,12β)−)=CAS番号129273−26−3は、DE3836656A1において記述されている通りに合成した、または市販製品(Merck−Sigma)として取得した。
21mgのジゴキシゲニン−3−CME−AMCAP−NHSエステルを3mLのDMFに溶解し、6μlのトリメチルアミンを添加した。その後で、14mgのビオチン−DADOOを添加し、混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。溶媒を蒸発によって除去し、生成物を分取HPLCクロマトグラフィーによって単離した。
HPLC−ESI−MS:M+=918.7Da。収量:23mg。
(2)Dig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチン
ベータ−アラニル−ビオチン=ベータ−アラ−ビオチン=5−[3−(3−アミノ−プロピオニル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル]−ペンタン酸は、上述した通りに(実施例1)合成した。
ジゴキシゲニン−3−CME−AMCAP−NHSエステル(別名:ジゴキシゲニンNHS−エステル、カルド−20(22)−エノリド、3−[2−[[6−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−6−オキソヘキシル]アミノ]−2−オキソエトキシ]−12,14−ジヒドロキシ−、(3β,5β,12β)−)=CAS番号129273−26−3は、DE3836656A1において記述されている通りに合成した、または市販製品(Merck−Sigma)として取得した。
20mgのジゴキシゲニン−3−CME−AMCAP−NHSエステルを3mLのDMFに溶解し、6μlのトリエチルアミンを添加した。その後で、10.5mgのベータ−アラ−ビオチンを添加し、混合物を室温で3.5時間にわたって撹拌した。溶媒を蒸発によって除去し、生成物を分取HPLCクロマトグラフィーによって単離した。
HPLC−ESI−MS:M+=859.6Da。収量:16mg。
実施例5
抗体結合遊離ビオチンの生成のためのウサギの免疫付与
本開示において、遊離ビオチンを捕集する能力を持つ抗体の開発が報告される。この目的のために、本発明者らは、ビオチンの吉草酸部分のCOOH基がアクセス可能であり、かつコンジュゲーションに使用されない場合のみ、ビオチンと結合する抗体を生成した。本発明に従う抗体は、ビオチン化分子、すなわち、ビオチンがカルボキシル基の炭素原子を介して共有結合的にカップリングされている慣例的なビオチン−コンジュゲートと結合しない。
そのような抗体の生成のために、12〜16週齢のNZWウサギを、KLH−ビオチンコンジュゲートで免疫化した(上記、実施例2、KLHコンジュゲート[22]、[28]を参照)。すべてのウサギを繰り返し免疫付与に供した。最初の1か月は、動物を毎週免疫化した。2か月目以降は、動物を月に1回免疫化した。1回目の免疫付与では、500μgのKLH−SXA1028−アジド−PEG4−ビオチン[22]を1mLの140mM NaClに溶解し、1mLのCFA(完全フロイントアジュバント)中で乳化した。すべての後続の免疫付与では、CFAをIFA(不完全フロイントアジュバント)によって置き換えた。動物の力価を、免疫付与の開始後45日目に評価した。
実施例6
免疫化した動物の抗体力価分析
血清滴定の実験設定は、(i)従来型のコンジュゲートされたビオチン、すなわち、吉草酸部分のカルボキシル官能基の炭素原子を介して担体とコンジュゲートされたビオチンと、(ii)その環構造が担体に共有結合されているコンジュゲートされたビオチンとを区別することができるポリクローナル抗体の量を決定するように設計された。
本明細書において、式IIIA−Cの化合物(図2K、2Lおよび3Bに図示される)が提供される。式IIの化合物(図3Aに図示される)がさらに提供される。
ある実施形態において、96ウェルプレートを最初に5μg/mLのポリクローナルヒツジ抗Dig抗体(Sigma)でコーティングした。洗浄ステップの後、プレートを5%BSA(Roche)でブロックして、バックグラウンドシグナルを低減させた。異なるビオチン−Digコンジュゲート(CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチン(式IIIC)およびDig−3−CME−AMCAP−DADOO−ビオチン(式II))を捕捉するために、抗Digでコーティングされたプレートを、250ng/mLのコンジュゲートとともに、別個のウェル中でインキュベートした。追加の洗浄ステップの後、ウサギ血清を、1%BSAを加えたPBS中で希釈し、希釈物をプレートに添加した。血清を、希釈1:300、1:900、1:2,700、1:8,100、1:24,300、1:72,900、1:218,700および1:656,100で試験した。結合した抗体を、基質としてHRP標識F(ab’)2ヤギ抗ウサギFcγ(Dianova)およびABTS(Roche)を用いて検出した。分析した動物の力価を、希釈曲線の50%シグナル減少で設定した。
追加の陰性対照として、プレートを、異なる慣例的にビオチン化された分子、ペプチド−ビオチンコンジュゲート(CD68−bi)、組み換えタンパク質−ビオチンコンジュゲート(CD4−bi)および組み換えF(ab’)2−ビオチンコンジュゲートrK−F(ab’)2でもコーティングした。3つの陰性対照のすべてにおいて、ビオチンは、吉草酸部分のカルボキシル官能基の炭素原子を介してリンカーとカップリングされ、したがって、ポリクローナル血清によって検出されるはずがない。表2は、それらの結果を示す。
3匹の免疫化した動物由来のポリクローナル血清は、免疫原に類似する(ビオチンの環系の原子が置換を担持するという点で)し、吉草酸側鎖のCOOH基がアクセス可能である、Dig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチンとのみ結合することが示される。ビオチンが吉草酸部分のカルボキシル官能基の炭素原子を介してそれぞれの担体とカップリングされているすべてのスクリーニング試薬、rK−F(ab’)2、CD68−bi、CD4−biおよびDig−3−CME−AMCAP−DADOO−ビオチンは、弱く検出されたか、または全くされなかった。
実施例7
モノクローナル抗体結合遊離ビオチンの開発
溶液中のビオチン(すなわち、遊離ビオチン)と、交差反応性なしに結合することができる抗体の開発のために、Seeberら(2014)、PLoS One.2014年2月4日;9(2)において記述された通りの慣例的にビオチン化された標的、B細胞クローニングを使用した。抗原反応性B細胞の富化のために、ビオチン化マウス抗Dig抗体(Roche)を、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ(Miltenyi)と結合させた。その後で、免疫化した動物のPBMCプールを調製し、250ng/mLのDig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチンとともにインキュベートした。1時間のインキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、プレコート抗Dig磁気ビーズとともにインキュベートした。抗原反応性B細胞の富化のために、MACSカラム(Miltenyi)を使用した。B細胞選別およびインキュベーションは、Seeberら(2014)、PLoS One.2014年2月4日;9(2)において記述された通りに行った。ELISAを実施する24時間前に、抗原反応性クローンを同定するために、2μg/mLのストレプトアビジンを細胞培養上清に添加して、遊離ビオチンを中和した。これは、培養培地中のまたは細胞起源の遊離ビオチンが、上清中の抗体とスクリーニング試薬Dig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチン(式IIIC)との相互作用をブロックし得ることから、予防措置として行った。ELISAのために、96ウェルプレートを5μg/mLのポリクローナルヤギ抗ウサギIgG抗体でコーティングした。洗浄ステップの後、プレートを5%BSAでブロックして、バックグラウンドシグナルを低減させた。プレートを再度洗浄し、30μlのウサギB細胞培養物を96ウェルプレートに移し、室温で1時間にわたってインキュベートした。別の洗浄ステップの後、50g/mLの陽性スクリーニング試薬Dig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチンまたは陰性スクリーニング試薬Dig−3−CME−AMCAP−DADOO−ビオチン(式II)をウェルに添加し、室温で1時間にわたってインキュベートした。スクリーニング試薬と結合した抗体の検出のために、3μg/mLのPOD標識ポリクローナルヒツジ抗Dig抗体をプレートに添加した。最後の洗浄ステップの後、ABTS(Roche)をPOD基質として添加し、405nmにおけるODを測定することによって、陽性クローンを同定した。結果は表3に記載される。
実施例8
モノクローナル抗体によるビオチンの結合
新たに生成された所望の抗体(表3に示されているクローンによって表されるものを含む)が追加で遊離ビオチンと結合することを実証するために、競合ELISAアッセイを設計し、実施した。
この目的のために、抗体を、Seeberら(2014)、PLoS One.2014年2月4日;9(2)において記述された通りに、最初にクローン化した。抗体含有上清を生成するために、HEK細胞に、抗ビオチン抗体の関連性のある重および軽鎖をコードする発現プラスミドを一過性にトランスフェクトした。1週間の培養時間後、一過性トランスフェクション中における抗ビオチン抗体の濃度を決定し、選択されたクローンのそれぞれの濃度を5μg/mlに調整した。
ELISAのために、96ウェルプレートを5μg/mLのポリクローナルヤギ抗ウサギIgG抗体でコーティングした。洗浄した後、プレートを5%BSAでブロックして、バックグラウンドシグナルを低減させた。プレートを再度洗浄し、一過性トランスフェクション由来の30μlの抗体上清(5μg/ml)を96ウェルプレートの各ウェルに移し、室温で1時間にわたってインキュベートした。
選択されたクローンのそれぞれを、8つの異なるウェルに連続して添加して、ビオチン滴定を実施した。
インキュベーションの後、プレートを再度3回洗浄して、クローン上清中に存在するストレプトアビジン/ビオチン複合体を排除した。陽性対照では、50ng/mLの陽性スクリーニング試薬Dig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチン(式IIIC)を各抗体についてウェルの1つに添加し、室温で1時間にわたってインキュベートした。
遊離ビオチンの結合について試験するために、滴定を行った。この目的のために、遊離ビオチンをDig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチンに漸増濃度で添加した。ビオチンは、50ng/mLのDig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチンの量に対して、10ng/ml、20ng/ml、40ng/ml、80ng/ml、160ng/ml、320ng/mlおよび640ng/mlの濃度で添加した。その後で、プレートを再度洗浄し、Dig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチンと結合した抗体の検出のために、3μg/mLのPOD標識ポリクローナルヒツジ抗Dig−抗体をプレートに添加した。最後の洗浄ステップの後、ABTS(Roche)をPOD基質として添加し、405nmにおけるOD(光学密度)を測定することによって、シグナルを検出した。特筆すると、スクリーニング試薬の存在下でビオチン濃度を増大させたことの結果として、シグナル低減が観察された。これは、遊離ビオチニン溶液およびDig−3−CME−AMCAP−ベータ−アラ−ビオチンが、選択された抗体との結合について競合していることを指示する。
実施例9
免疫学的アッセイにおけるビオチン干渉に対抗すること
Elecsys TSHアッセイのための対照試料、PreciControl Universal 2に、上昇する濃度のビオチン(例えば、0、100および200ng/mLの最終濃度のビオチン)を混ぜる。
抗TSH検出抗体を含有するElecsys TSH販売キットの試薬2を、未修正バージョン(対照)、および300μg/mLの本発明に従うモノクローナル抗ビオチン抗体を追加で含有する修正バージョンで使用する。
サンドイッチアッセイは、Elecsys TSHアッセイのためのルーチンアッセイプロトコールに従って実施する:手短に述べると、50μLの試料(ビオチンを加えたまたは加えないPreciControl Universal 2)を、ビオチン化抗TSH抗体を含有するElecsys TSHキットの60μLの試薬1およびルテニル化抗TSH抗体を含有する50μLの試薬2とともに、300μg/mLのモノクローナル抗ビオチン抗体をさらに添加してまたはせずにインキュベートする。37℃で9分間にわたるインキュベーション後、Elecsys TSHキットのストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズの40μLの懸濁液を添加し、反応物をもう9分間にわたってインキュベートし、最後に、反応混合物を測定セルに吸引し、ここで、微粒子を電極の表面上に磁気的に捕捉する。次いで、未結合物質をProCellで除去する。次いで、電極への電圧の印加により電気化学発光ベースの発光を誘導し、これを光電子増倍管によって測定する。
表4は、異なる抗ビオチンスカベンジャー抗体クローンを加えたまたは加えないTSH試薬変異体について取得されたシグナルを示す。
対照試薬を使用すると、試料中における100または200ng/mLのビオチンの存在は、参照シグナルの53%または16%への顕著なシグナル降下をもたらす(ビオチンを加えない試料)。
これとは対照的に、試薬R2中にビオチン結合抗体を含有するキットの修正バージョンにおいて、ビオチンの干渉効果は、著しく低減される。
実施例10
動力学的抗体スクリーニング
動力学的スクリーニングは、37℃にて、GE Healthcareビアコア4000機器で実施した。ビアコアCM5シリーズSセンサーを機器に取り付け、流体力学的に対処し、製造業者の説明書に従って事前に条件を整えた。システム緩衝液は、HBS−EP(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05%(w/v)P20)であった。試料緩衝液は、1mg/ml CMD(カルボキシメチルデキストラン、Fluka)を補充したシステム緩衝液であった。
ウサギ抗体捕捉システムをバイオセンサー上に確立した。ポリクローナルヤギ抗ウサギIgG Fc捕捉抗体GARbFcγ(コード番号:111−005−046、ロット番号105332、Jackson Immuno Research)を、製造業者の説明書に従い、NHS/EDC化学を使用して固定した。10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)中の30μg/mlのGARbFcγを、フローセル1、2、3および4においてスポット1、2、4および5に予備濃縮し、10.000RU GARbFcγで固定した。その後、センサーを、1MエタノールアミンpH8.5で飽和させた。スポット1および5は相互作用測定に使用され、スポット2および4は基準として役立った。各ウサギ抗体クローン懸濁液を試料緩衝液中で1:2に希釈し、30μl/分の流速で1分間にわたって注入した。ウサギ抗体捕捉レベル(CL)を応答単位(RU)でモニターした。
0.9kDaのDig−ビオチン−コンジュゲートの分子量は、SPRスクリーニング機器の感度範囲には小さすぎるため、300nM Dig−ビオチン−コンジュゲート(Dig−3−cme−Amcap−β−アラ−ビオチン(BMO番号15420318))を、900nM<Dig>M−D.G−Fab’とともに室温で2時間にわたってプレインキュベートした。mAb<Dig>M−D.G−Fabは、KD 5pMの親和性でジゴキシゲニンと結合する。M−D.G−Fab’も、ピコモルの親和性でDig−ビオチン−コンジュゲート中のジゴキシゲニン部分と結合し、GARbFcγ捕捉システムに干渉しない。M−D.G−Fab’は、抗ビオチンウサギクローンおよび遊離d−ビオチンに干渉しない。50kDaのM−D.G−Fab’を使用して、0.9kDaのDig−ビオチン−コンジュゲートを、付加質量を加えてロードした。これは、SPRスクリーニング機器の感度範囲に最適な、50.9kDaの分子量を持つ高度に安定な免疫複合体をもたらす。M−D.G−Fab’は、単量体であり、分析物アビディティー効果は生成されず、また検出可能でもなかった。予め形成されたDig−ビオチン−コンジュゲート−M−D.G−Fab’複合体を、30μl/分で5分間にわたって単独で注入して、それぞれの表面に表示された抗ビオチンウサギmAbとの会合相をモニターした。ウサギクローンからのコンジュゲートの解離を5分間にわたってモニターした。動力学的速度決定の各サイクルの後、ウサギクローンを、10mMグリシンpH2.0の1分間の注入、続いて、20μl/分での10mMグリシンpH2.25の2分間の注入によって、バイオセンサー捕捉システムから完全に洗浄した。
第二のスクリーニング設定において、d−ビオチン結合干渉に敏感であるウサギ抗ビオチン抗体を同定した。分析物混合物は、室温における終夜のインキュベーションによって調製し、300nM Dig−ビオチン−コンジュゲート、900nM<Dig>M−D.G−Fab’および300nM遊離d−ビオチン(d−ビオチン、CAS番号:58−85−5、カタログ番号:47868、Supelco)からなるものであった。動力学的スクリーニングは、溶液中のこの分析物混合物を用いることを除いて、前述した通りに実施した。別の実施形態において、異なるDig−ビオチン−コンジュゲートおよび<Dig>M−D.G−Fab’濃度を使用した。
図6は、スクリーニングのための実験設定を説明する。
両方の分析物の単一濃度動力学の動力学的トレースを、ビアコア4000評価用ソフトウェアによってモニターした。さらに、動力学的データを、報告点特徴付けおよび動力学的決定によって解釈した。2つの報告点、分析物注入の終了直前に記録されたシグナル、結合後期(BL)、および解離時間の終了直前のシグナル、安定性後期(SL)を使用して、分析物/抗原結合安定性を特徴付けた。さらに、解離速度定数kd(1/秒)をラングミュアモデルに従って計算し、抗体/抗原複合体半減期を式ln(2)/(60×kd)に従って分で計算した。モル比、結合化学量論を、式:MW(抗体)/MW(抗原)×BL(抗原)/CL(抗体)で計算した。
最後に、各抗ビオチンウサギmAbの動力学的トレースを、1つの分析プロットに重ね合わせた。主として、これらのオーバーレイプロットの外観検査により、300nM遊離d−ビオチンの存在下で有効なDig−ビオチン−コンジュゲート結合シグナル低減を示した抗体を選択した。有効とは、90%を超えるDig−ビオチン−コンジュゲート結合シグナル低減を意味する。別の実施形態において、80%、70%、60%および50%のシグナル低減がある抗体が選択された。選択された抗体を、詳細なIC50分析に移した。
図4は、SPRベースの動力学的スクリーニングによって測定された3つの抗体ブロッキングの痕跡を、例示的に示す。クラスAは、Dig−ビオチン−コンジュゲート結合の完全d−ビオチン遮断を示す。クラスBは、d−ビオチンシグナル干渉に対して中程度の感度しか持たない抗体を特色とし、クラスCは、d−ビオチンの影響を受けない。
詳細なSPRベースの機能分析
詳細な動力学的調査は、37℃にて、GE Healthcare T200機器で実施した。ビアコアCM5シリーズSセンサーを機器に取り付け、流体力学的に対処し、製造業者の説明書に従って事前に条件を整えた。システム緩衝液は、HBS−EP(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05%(w/v)P20)であった。試料緩衝液は、1mg/ml CMD(カルボキシメチルデキストラン、Fluka)を補充したシステム緩衝液であった。
一実施形態において、ウサギ抗体捕捉システムをCM5バイオセンサー上に確立した。ポリクローナルヤギ抗ウサギIgG Fc捕捉抗体GARbFcγ(コード番号:111−005−046、ロット番号105332、Jackson Immuno Research)を、製造業者の説明書に従い、NHS/EDC化学を使用して固定した。10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)中の30μg/mlのGARbFcγを、フローセル1、2、3および4に予備濃縮し、10.000RU GARbFcγで固定した。その後、センサーを、1MエタノールアミンpH8.5で飽和させた。
初期の動力学的スクリーニングステップからの選択されたウサギ抗体クローンを、試料緩衝液中、それぞれ500nMで希釈し、5μl/分の流速で2分間にわたって、続いて、60μl/分で10倍濃縮HBS−EPシステム緩衝液を用いる2分間の洗浄ステップで、バイオセンサー上に捕捉した。ウサギ抗体捕捉レベル(CL)を応答単位(RU)でモニターした。T200機器のより高い感度は、<Dig>M−D.G−Fab’によってロードされる追加の分子質量を回避した。一連の分析物を、60μl/分で5分間の会合相にわたって注入し、解離相を5分間にわたってモニターした。最初に、Dig−ビオチン−コンジュゲート分析物を、溶液中d−ビオチンを省いて300nMで注入した。次いで、4nM、8nM、15nM、30nM、90nMおよび270nMの漸増dビオチン濃縮物を、Dig−ビオチン−コンジュゲート混合物に添加した。センサーグラムオーバーレイプロットを生成して、漸増d−ビオチン濃縮物の存在による、Dig−ビオチン−コンジュゲート結合シグナル抑制を分析した。分析物会合相のシグナルプラトーからの結合後期報告点を、漸増d−ビオチン濃縮物の上にプロットし、Biaevaluationソフトウェアにおいてポイント・ツー・ポイントモードを使用して、d−ビオチンIC50値を決定した。さらに、センサーグラムオーバーレイプロットを、d−ビオチンの競合性能について視覚的に調査し、シグナル抑制%を推定した。別の実施形態において、シグナルブロッキング%を、0nM d−ビオチンおよび270nM d−ビオチン試料注入の比較によって計算した。
図6は、IC50測定のSPR実験設定を示す。図6Bは、好ましい実施形態を示す。
図5は、この競合アッセイの結果を例示的に示す。示されているのは、抗体最有力候補Gである。試料中における遊離d−ビオチン濃度が高くなればなるほど、Dig−ビオチン−コンジュゲート結合シグナルは低くなり、故に、d−ビオチン結合に対する抗体の感受性が推定された。クローンGのIC50決定は、IC50=30nM d−ビオチンであった。
別の実施形態において、Dig−ビオチン−コンジュゲート結合抗体の動力学的パラメーターka[1/Ms]、kd[1/秒]、t1/2解離[分]、KD[M]および結合化学量論(モル比)を決定した。
クローンGの37℃動力学は、ka=5.8×10E5 1/Ms、kd=2.1×10E−2(1/秒)、t1/2解離=1分、MR=1.2で決定された。Dig−ビオチン−コンジュゲートに対する親和性は、KD=36nMであった。
クローンAの37℃動力学は、ka=1.0×10E6 1/Ms、kd=3.0×10E−4(1/秒)、t1/2解離=39分、MR=1.5で決定された。Dig−ビオチン−コンジュゲートに対する親和性は、KD=0.3nMであった。
一実施形態において、T200機器アッセイ設定は、上述した通りであった。Dig−ビオチン−コンジュゲートを、0nM、4nM、8nM、15nM、30nM、90nMおよび270nMの濃度系列(serie)で注入した。動力学的パラメーターは、ビアコア評価用ソフトウェアを使用して決定した。
別の実施形態において、Dig−ビオチン−コンジュゲート抗体結合の動力学的パラメーターka[1/Ms]、kd[1/秒]、t1/2解離[分]、KD[M]および結合化学量論(モル比)を、代替的なセンサー表面設定によって決定した。一実施形態において、ネズミ抗体捕捉システムをCM5バイオセンサー上に確立した。ポリクローナルウサギ抗マウスIgG捕捉抗体(RbAMIgG(ウサギ抗マウスIgG)、pAb<M−IgG>Rb−IgG(IS)、BR−1008−38、2017−08、GE Healthcare)を、製造業者の説明書に従い、NHS/EDC化学を使用して固定した。10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)中の30μg/mlのGARbFcγを、フローセル1、2、3および4に予備濃縮し、10.000RUで固定した。その後、センサーを、1MエタノールアミンpH8.5で飽和させた。
およそ300RUの30nM mAb<Dig>M−19/11−IgG(Q)(Roche、28.1.1999、entrance 19.5.2017、Id.2157861)を、10μl/分で1分間にわたって捕捉した。150nMのDig−ビオチン−コンジュゲートを、M−19/11−IgGによって安定的に捕捉されるように、30μl/分で2分間にわたって注入した。
図6は、アッセイ設定を記述している。このアッセイは、好ましくは、組み換え(recombinantely)発現されたウサギ抗ビオチンFab’フラグメントの動力学的決定に使用された。
次いで、結合動力学を決定するために、抗ビオチンウサギ抗体またはそのフラグメントを、濃度依存性系列で上述した通りに注入した。
実施例11
ITC実験
ITC実験の目標は、溶液中の遊離ビオチンに対する選択された抗体の親和性、ならびに結合反応の熱力学的パラメーターおよび化学量論を直接的に決定することであった。
すべてのITC実験は、VP−ITCマイクロ熱量計(Malvern Instruments)で行った。実験は、リン酸緩衝液(25mMリン酸カリウムpH7.4、150mM塩化カリウム)中、25℃で実施した。タンパク質濃度は、モノクローナル抗体について750μg/mlであり、パラトープについて10μMのモル濃度をもたらした。ビオチン濃度は、100μMであった。滴定は、310rpmの撹拌スピードおよび10μlの注入間200秒の時間間隔で行った。各試料についての最初の注入は、データ当てはめから除外した。NanoAnalyzeデータ分析ソフトウェアパッケージ(バージョン3.6.0)を使用して、実験データを理論曲線に当てはめて、Kd(解離定数、単位M)、n(結合の化学量論)およびΔH(エンタルピーにおける変化、単位kcal/mol)についての値を生じさせた。熱力学的パラメーター(ΔGおよびΔS)は、KdおよびΔHから、方程式:
ΔG=RTln(Kd)=ΔH−TΔS
[式中、Rは、一般気体定数であり、Tは、温度であり、ΔG、ΔHおよびΔSは、ギブス自由エネルギー、エンタルピーおよびエントロピーにおける変化である]
を使用して計算した。
実施例12
原核細胞発酵由来のFabフラグメントの精製
本発明の発現されたポリペプチドを、宿主細胞のペリプラズムに分泌させ、そこから回収する。細胞は、遠心分離または濾過によって収穫され得る。2.0から8.0の間のpHを持つ適切な緩衝液中におけるまたは完全発酵ブロスを使用するバイオマスの再懸濁後、細胞を、物理的、化学的または酵素的方法によって破壊する。細胞が破壊されたら、細胞残屑または全細胞は、遠心分離または濾過によって除去され得る。ポリペプチドの精製は、いくつかの沈殿ステップ、およびカチオン、アニオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用、混合モード、親和性またはゲル濾過クロマトグラフィーでの分別を伴ってよい。微量の結合したビオチンの除去のために、結合剤、例えばストレプトアビジンによるポリペプチド溶液の処理が必要となり得る。ポリペプチド透析の最終製剤のために、限外濾過または限外透析(ultradialysis)ステップが行われ得る。ポリペプチドは、液体、冷凍液体として、またはスプレードライもしくはフリーズドライされた固体として貯蔵されてよい。