JP6980740B2 - X線デバイス - Google Patents

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Description

本願で与えられる例示的な実施形態は、ショットキー放出モードで動作するように構成されているX線デバイスを対象としている。
X線は、金属表面に高エネルギー電子を衝突させることによって生じる。この設定では、X線源は、(1)陰極として知られている電子エミッタと、(2)ターゲット又は陽極として知られる電子レシーバとを備えるデバイスである。陽極はX線エミッタである。陰極及び陽極は特定の構成で配置されて、真空筐体内に入れられる。更に、X線システムは、以下の構成要素を備える:(1)X線源、(2)コンピュータ制御された操作及び取扱デバイス、(3)検出器、及び(4)電源。更に、他の技術分野と組み合わせて、X線は、医療用イメージング、セキュリティ検査、産業用非破壊検査に応用される。コンピュータ技術が、現在社会におけるX線の使用に革命をもたらしていて、例えばX線CT(computed tomography,コンピュータトモグラフィ)スキャナが挙げられる。検出器技術の発展により、改善されたエネルギー分解能、デジタルイメージ、増大し続ける走査面積が実現されている。ところが、X線を発生させるための電子源の技術は、ウィリアム・クーリッジがガス充填管を熱タングステンフィラメントを収容する真空管筐体に置き換えて熱電子放出を利用することによってX線発生方法に革命をもたらした略100年前のクーリッジ管の誕生以来、本質的には同じままである。
X線イメージングで使用されるおそらく全てのX線管は、熱電子放出に基づいたタングステンフィラメントの熱陰極を利用している。過去十年ほどにわたって、カーボンナノチューブ(CNT,carbon nanotube)を電界放出によってX線を発生させる冷陰極として用いることが試みられてきた。その電子放出は、加熱を用いず高電場によって誘起される。CNTは理想的な電子エミッタとして考えられている。しかしながら、CNTをX線源で使用するには、製造プロセス及び動作条件が、その物質特性に困難な課題を課している。現状の結果は、実際の応用レベルには全然至っていない。従って、本願で与えられる例示的な実施形態の少なくとも一つの目的は、熱陰極及びCNTに基づいた冷陰極に固有の物質及び動作の欠点を克服する電子放出の代替手段を提供することができる代替電子エミッタを提供し、結果として、優れたX線源をもたらすことである。更に、本願で与えられる例示的な実施形態は、ポータブルなX線デバイスも提供し得る。
従って、本願で与えられる例示的な実施形態は、ハイブリッド電子放出、つまり、電界放出又は熱アシスト電子放出を利用するX線デバイスを対象としている。特に、本願で与えられる例示的な実施形態はショットキー放出を利用する。熱アシスト電子放出の使用は、熱陰極及び冷陰極の特性を補う。例示的な実施形態の利点は、ショットキー放出と、熱電子放出と、電界放出との間の比較から明らかになる。周知のように、冷陰極は、管内の残留ガス種として存在するS、Cl等の電気陰性元素の吸着によって汚染され得る。吸着が顕著であると、陰極は電子を放出しなくなる。電界放出X線管の場合、筐体から管を取り出して、管全体をオーブンで焼成して、管を再び取り付けて、焼成の効果を調べるという面倒なプロセスによって、冷陰極を再生させることができる。他方、ショットキー放出管の場合、陰極に適度な中程度の温度上昇をもたらす加熱が、電子の放出をアシストするのと同時に、陰極に汚染ガス原子又は分子が吸着することを防止する。汚染が生じている場合、管を管筐体から取り出さずに、直接陰極を加熱することによってその再生を行うことができる。低電力消費は、より小型の電源を利用可能にして、X線デバイスを更にポータブルにする。更に、このような電子放出モードの使用は、熱フィラメントベースのシステムには一般的な冷却システムや長期間のクールダウン及びウォームアップの必要性をなくす。
本願で与えられる例示的な実施形態は、導電性基体を有する少なくとも一つの電子エミッタを備えるX線発生デバイスを対象としている。導電性基体は、ナノ構造のコーティングを備える。X線デバイスは、少なくとも一つの電子エミッタの各導電性基体に取り付け可能な加熱素子を更に備える。X線デバイスは、少なくとも一つの電子エミッタから放出された電子を受け取るように構成された電子受け取り素子を更に備える。X線デバイスは、少なくとも一つの電子エミッタと、加熱素子と、電子受け取り素子とを収容するように構成された真空筐体を更に備える。少なくとも一つの電子エミッタは、加熱素子がオン状態であり且つ少なくとも一つの電子エミッタに負のバイアスがかけられる際のショットキー放出用に構成される。
上記実施形態の例示的な利点は、熱電子放出を利用する熱フィラメントベースのシステムには一般的な冷却システムや長期間のクールダウン及びウォームアップをなくす点である。従って、よりポータブルなエックス線デバイスを得ることができる。
一部の例示的な実施形態によると、少なくとも一つの電子エミッタは、加熱素子がオフ状態であり且つ少なくとも一つの電子発生素子に負のバイアスがかけられる際の電界放出用に更に構成される。
従って、このような例示的な実施形態によると、X線デバイスは、電界放出及びショットキー放出の両方を可能にするデュアル動作モード用に構成され得る。このような実施形態は、多様な分解能及びコントラストレベルでX線イメージを提供し得る汎用性デバイスを提供するという例示的な利点を有する。
一部の例示的な実施形態によると、X線デバイスは、加熱素子の動作状態を制御するように構成された電源を更に備え得る。
電源は、例えば、少なくとも一つの電子エミッタからの電子放出を制御し得る。更に、少なくとも一つの電子エミッタが複数の電子エミッタを有する例示的な実施形態によると、電源は、異なる電子エミッタを選択的に作動させるように使用され得る。このような実施形態は、デバイスの個々の構成要素が個別に制御可能であるというより汎用性のデバイスを提供するという例示的な利点を有する。
一部の例示的な実施形態によると、電源28は、(−,0;陰極が負、陽極が接地);(−,+;陰極が負,陽極が正);(0,+;陰極が接地、陽極が正)という三つのバイアスモードで二極管用の少なくとも一つの電子発生素子と電子受け取り素子との間の電位差を与えるように更に構成される。このようなバイアスモードの使用は、ショットキー放出又は電界放出を誘起するように提供される。
従って、このような実施形態の例示的な利点は、電界放出を利用する熱フィラメントベースのシステムにとっては一般的な冷却システムや長期間のクールダウン及びウォームアップを排除する点である。従って、よりポータブルなX線デバイスを得ることができる。
一部の例示的な実施形態によると、電源は、DCモード(つまり、一定の(−,0)、(−,+)、(0,+));パルスモード(つまり、陽極でVp>0、又は陰極でVp<0の方形波);又はACモード(つまり、正弦波)で動作するように構成される。
多様な動作モードを有する電源を提供することの例示的な利点は、より汎用性のデバイスを提供することができる点である。例えば、パルスモード及びACモードにおいては、波形の明確な立ち上がり時間、周波数、デューティサイクル、パルス形状を得ることができる。
一部の例示的な実施形態によると、導電性基体は、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル系合金、鉄、又は鉄系合金製である。
一部の例示的な実施形態によると、ナノ構造は、元素周期表のIA、IIA、IB、IIIA、VIA、又はVIIA族のドーパント元素でドーピング又は共添加される。
一部の例示的な実施形態によると、ナノ構造はZnO製である。
このような実施形態の例示的な利点は、CNTに基づいた電子エミッタの代替物を提供できる点である。このような代替物の使用は、ショットキー放出により適した電子エミッタを提供できるという例示的な利点を与える。カーボンベースの電子エミッタは、典型的な管製造プロセスの温度及び反応性ガス環境において損傷し易い。他方、ZnO及び関連物質はその融点が高く、化学的に安定であると共に、CNTに等しい魅力的な電界放出性能を有する。
一部の例示的な実施形態によると、電子受け取り素子は、金属、金属合金、金属化合物、又は金属セラミック複合材製である。
一部の例示的な実施形態は、セキュリティX線走査装置における上記X線発生デバイスの使用を対象としている。
一部の例示的な実施形態は、コンピュータトモグラフィ走査装置における上記X線発生デバイスの使用を対象としている。
一部の例示的な実施形態は、Cアーム型走査装置における上記X線発生デバイスの使用を対象としている。
一部の例示的な実施形態は、地質調査装置における上記X線発生デバイスの使用を対象としている。
一部の例示的な実施形態は、X線蛍光分光法における上記X線発生デバイスの使用を対象としている。
以上の点は、添付図面に示されるような例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるものであり、図面においては、同じ符号が同じ部分を指称している。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、実施形態を例示することに重点を置いている。
熱電子放出に基づいたX線デバイスの概略図である。 本願に記載される例示的な実施形態に係るX線デバイスの概略図である。 本願に記載される一部の例示的な実施形態に係るグリッドを備える電子エミッタの例示的な例である。 本願に記載される一部の例示的実施形態に係る電子エミッタが有し得る多様な形状の例示的な例である。 本願に記載される一部の例示的な実施形態に係る複数の電子エミッタを備えるX線デバイスの概略図である。 図6A及び図6Bは、本願に記載される一部の例示的な実施形態に係る図5の電子エミッタのI‐V特性を示すグラフである。
以下の説明目的であって限定的なものではない説明では、具体的な詳細、例えば、特定の構成要素、要素、方法等が、例示的な実施形態の完全な理解を提供するために与えられる。しかしながら、例示的な実施形態がそれら具体的な詳細から逸脱する他の方法でも実施可能であることは当業者に明らかである。場合によっては、例示的な実施形態の説明を曖昧にしないため、周知の方法及び要素の詳細な説明を省略する。本願で用いられている用語は、例示的な実施形態を説明する目的のものであり、本願に与えられる実施形態を限定するものではない。
本願に与えられる例示的な実施形態は、ショットキー電子放出を利用するX線デバイスを対象としている。例示的な実施形態を分かり易く説明するため、まず、課題を特定して議論する。図1は、従来のX線管を示す。図1のX線管は、耐火金属/合金製の熱フィラメント陰極12及び陽極14を備える真空ガラス管10を特徴としている。陽極14の表面は所定の傾斜角で陰極12と向き合う。電源13によって提供される電流は、フィラメント陰極12を通り、フィラメント12の温度を、そのフィラメントから電子ビーム16を放出するレベルにまで上昇させる。そして、電子ビーム16の電子が電場によって陽極14に向けて加速される。これは、窓20を介してデバイスの外に向けられるX線ビーム18を生じさせる。陰極と陽極との間の電圧差がX線ビームのエネルギーを決定する。
X線イメージングで使用されるおそらく全てのX線管は、熱電子放出に基づいたタングステンフィラメントの熱陰極を用いている。過去10年ほどにおいて、電界放出によってX線を発生させる冷陰極としてカーボンナノチューブ(CNT,carbon nanotube)を使用する試みが行われてきた。その電子放出は加熱なしで高電場によって誘起される。CNTは理想的なエミッタであると考えられている。しかしながら、CNTをX線源において使用するためには、製造プロセス及び動作条件が、その物質特性に困難な課題を課している。現状の結果は、実際の応用レベルには全然至っていない。従って、本願に与えられる例示的な実施形態の少なくとも一つの目的は、熱陰極及びCNTに基づいた冷陰極に固有の物質及び動作の欠点を克服する電子放出の代替手段を提供し得る代替電子エミッタによって性能が改善されたポータブルX線源を提供することである。従って、本願で与えられる例示的な実施形態は、ハイブリッド放出、電界放出又は熱アシスト放出(ショットキー放出)を利用するX線デバイスを対象としている。特に、本願で与えられる例示的な実施形態はショットキー電子放出を利用する。ハイブリッド電子放出に起因した低電力消費は、より小型の電源を利用することを可能にすることによって、X線デバイスをよりポータブルにし得る。更に、このような電子放出モードの使用は、熱フィラメントベースのシステムには一般的な冷却システムや長期間のクールダウン及びウォームアップの必要性をなくす。
図2は、例示的な実施形態に係るX線デバイスを示す。図2のX線デバイスは、電子エミッタ(つまり陰極)22と電子受け取り素子14とを備える真空ガラス管10を備える。電子受け取り素子14の表面は所定の傾斜角で電子エミッタ22と向き合う。電源28によって提供される電流は、加熱素子21を通り、電子エミッタ22の温度を、電子エミッタ22から電子ビーム25放出するレベルに上昇させる。このような放出はショットキー放出として知られている。静電場の使用で誘起される図1の電子放出とは異なり、図2の放出は、加熱を介して誘起される。
電子ビーム25の電子は、電場によって電子受け取り素子14に向けて加速される。これは、窓20を介してデバイスの外に向けられるX線ビーム26を生じさせる。電子エミッタと電子受け取り素子との間の電圧差がX線ビームのエネルギーを決定する。
電子エミッタは、ナノ構造24のコーティングを備える導電性基体23を備える。加熱素子21が、管の陰極端において二つの電気フィードスルーを介して導電性基体23に取り付け可能である。ナノ構造24のコーティングは、導電性基体23上に成長可能である。ナノ構造コーティングは、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノテトラポッド、又はナノチューブの形状であり得る。基体の物質は、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル系合金、鉄、又は鉄系合金であり得る。一部の例示的な実施形態によると、基体は多様な形状に予め成形されている。
一部の例示的な実施形態によると、図3に示されるように、グリッド30が、電子エミッタのナノ構造24を備える表面23と、引き出し電極として機能する電子受け取り素子14との間に配置される。一部の例示的な実施形態によると、スペーサ31が電子エミッタとグリッド30との間に配置される。グリッドは、スペーサを介して固定された電子エミッタに対して100μmから1000μmまでの間の間隔で配置され得る。円形カバーがグリッドの頂部に取り付けられて、グリッド32に電圧を印加するグリッド電極として機能する。一部の例示的な実施形態によると、スペーサはセラミックスペーサであり得る。
グリッドは、直径が等しい導電性ワイヤ製である。更に、ワイヤは、高融点低蒸気圧導電性物質(W、Mo、Ta、Ni、ステンレス鋼、ニッケル系合金等)製である。ワイヤの直径は、30μmから150μmまでの間である。グリッドの開口部比は50%から80%までの間である。更に、グリッドのワイヤの表面は、顕著な二次電子放出特性を有する物質(MgOやその関連物質等)の薄層又は多重層でコーティングされる。代わりに、コーティングは、UV放出物質、GaNやその関連物質でもある。
従って、コーティングは、電子エミッタからの電子の出力強度を増大させる。図5に示されるような三極X線管において明らかになるこの種の電子エミッタの全体としての利点は、陽極に対する電子ビームの独立性と、電流出力の増強とである。更に、電子エミッタとグリッドとの間の場が電子ビームの強度を決定する。この場合も、電子エミッタと電子受け取り素子14との間の電圧差が、X線ビームのエネルギーを決定する。
図4は、電子エミッタの成形可能な例示的な形状を示す。電子エミッタ22aは、導電性基体23a及びナノ構造24aのコーティングを備える丸みを帯びたピラミッド型である。更なる例の電子エミッタ22bは、導電性基体23b及びナノ構造24bのコーティングを備える中実シリンダー状である。図4には、導電性基体23c及びナノ構造24cのコーティングを備える中空シリンダー状の電子エミッタ22cの更なる例も与えられている。更なる例の電子エミッタ22dは、導電性基体23d及びナノ構造24dのコーティングを備える中空星型である。このような形状は放出電子の方向に影響を与えることができるものであるので、X線の多様な使用に適合し得る点は理解されたい。また、他の形状も例示的な実施形態に係るX線デバイスにおいて使用可能である点も理解されたい。
一部の例示的な実施形態によると、ナノ構造コーティングは、固相‐液相‐気相法、化学気相堆積(CVD,chemical vapour deposition)法、又は化学溶液法によって成長可能である。一部の例示的な実施形態によると、ナノ構造コーティングの形態は、成長プロセスの間又は後に化学的、電気化学的、又は光学的手段によって、電子放出を更に促進するように変更されるようになっている。
一部の例示的な実施形態によると、ナノ構造コーティングは、酸化物、窒化物、珪化物、セレン化物、又はテルル化物製であり得る。一部の例示的な実施形態によると、ナノ構造コーティングは、酸化物半導体、例えばZnO製であり得る。ZnOは、n型ワイドバンドギャップ半導体である。その導電性は、成長プロセス中に発生する酸素空孔に関係している。
導電性の改善は、元素周期表のIA、IIA,IB、IIIA、VIA、又はVIIA族の化学元素をドーピングすることによって達成される。成長後熱処理を適用して、ドーパントを均一化するか、又は、表面に対してドーパントを部分的に分離する。ナノ構造の形態は、局所的電場増強を得るように化学的又は電気化学的手段によって変更可能である。また、UV処理を適用して、表面特性を改善することもできる。表面コーティングをナノ構造に適用して、エミッタの表面の仕事関数を減少させることによって、電子放出プロセスを更に増強させ得る。一部の例示的な実施形態によると、誘電体層、例えばSiOを、ナノ構造コーティングが存在していない箇所において、導電性基体の上に追加し得る。このような誘電体コーティングは、電子放出を方向付けるのに有用となり得る。
加熱素子21を介して適度な中程度の加熱を行いながら、電子エミッタに負のバイアスをかけると、電子がショットキー放出によって放出される。加熱をオフにして、陰極に負のバイアスをかけると、電子が電界放出によって放出される。現状の電界放出X線源には存在していない加熱という追加機能は、陰極汚染の場合におけるエミッタの表面から望ましくない吸着化学種を除去することによって、電子エミッタを再生させるようにも適用可能である。
一部の例示的な実施形態によると、複数の電子エミッタがX線デバイスにおいて使用され得る。図5は、複数の電子エミッタを備えるX線管を示す。この実施形態では、三つの電子エミッタ22_1、22_2及び22_3が、密閉チューブ10内において、電子受け取り素子14に向き合うエミッタへと組み立てられている。電子エミッタの数及び間隔は変更可能である。
例示的な実施形態に係るX線デバイスにおいては任意の数の電子エミッタが使用可能である点は理解されたい。また、図5の電子エミッタは、図2から図4のいずれかの特徴を有する電子エミッタ、又は他の形状の電子エミッタとなり得る点も理解されたい。また、複数の電子エミッタは互いに同一である必要はなく、異なる形状及び/又は特徴を有し得る点も理解されたい。
電子エミッタの配置パターンは、線形、矩形、正方形、円形、又は六角形となり得るがこれらに限定されるものではない。電子受け取り素子14との関係において、電子エミッタ22_1、22_2及び22_3は、これら全てが、電子受け取り素子14上の一つの集束スポットに向けられた電子25a〜25cを放出するように配置され得るか、又は、電子受け取り素子14上に放出パターンの拡大又は縮小イメージを投影するように配置され得る。
これら全ての変形例は、X線ビーム26の寸法及び形状の要求に合致するものである。電子エミッタ22_1、22_2及び22_3は、まとめて若しくは個別に、同時に若しくは逐次的に作動可能である。このような柔軟な作動方法は、電源の出力周波数の設定によってX線発生用の高周波数パルス化モードを可能にし、また、作動させる電子エミッタ22_1、22_2及び22_3の数を選択することによって広範な放射線量の選択を可能にする。電子エミッタ22_1、22_2、22_3の作動は、電源28によって制御され得る。
本願に与えられる例示的な実施形態は、電子エミッタ22_1、22_2、22_3の個別作動を可能にすることによって、現状のX線システムでは利用することができない放出電流を安定化させるための機構を提供する。放出の不均一性は、大面積陰極や多重陰極における深刻な問題である点は理解されたい。この問題は、エミッタの幾何学的及び物理的不均一性に起因する。
つまり、上記エミッタの問題は、物質及びプロセスの問題に起因する。従って、一部の例示的な実施形態は、基体上のエミッタ物質の成長の改善を対象としている。一部の例示的な実施形態によると、エミッタ間の不均一性の存在は、構成要素レベルにおいて解決される。そのような例示的な実施形態について、図5の三陰極構成を例にとって、説明する。
図6A及び図6Bは、図5の電子エミッタ構成の電流‐電圧特性を示す。各グラフにおいて、三角、四角、丸のプロットでそれぞれ表されているプロット点は、図5の電子エミッタ22_1、22_2、22_3それぞれを表す。
図6Aは、電子エミッタと電子受け取り素子との間の距離を同じに保ったままでの電圧Vの印加を示す。各電子エミッタ22_1、22_2、22_3はそれぞれ電流i1、i2、i3を放出する。図6Aのグラフに示されるように、各電子エミッタの電子放出によって提供される電流量は異なる。対象としている全てのエミッタの測定電流値の平均二乗誤差又は二乗平均平方根偏差(標準偏差)を正式に定めることによって、不均一性を定量的に記述することができるが、図6Aに示されるグラフの差でも十分にこの点は示されている。
三つ全ての電子エミッタが同じ電流を放出しなければならない場合、図6Bに示されるように、異なる電圧V1、V2、V3を電子エミッタ22_1、22_2、22_3それぞれに提供する必要がある。その有利な結果は、複数の電子エミッタが異なる集束スポットに向けられて、特定の形状のX線ビームを形成する場合に明らかとなる。その機構は、全ての集束スポットにおいて一定の電流を提供することによってX線ビームの空間均一性を与える。更なる利点は、電子エミッタが一つの集束スポットに向けられ、逐次的にバイアスがかけられる場合、エミッタが経時的に一定の電流での時間一様性を有する電子放出を与えるという点である。また、X線放出の安定性及び均一性を保証するため、フィードバック監視回路を用いて、電子放出プロセスを制御し得る。
一部の例示的な実施形態によると、電源28は、二極管用の少なくとも一つの電子発生素子と電子受け取り素子との間の電位差を、以下の三つのバイアスモードで提供するように構成される:(−,0:陰極を負,陽極を接地)、(−,+:陰極を負,陽極を正)、及び、(0,+:陰極を接地、陽極を正)。このようなバイアスモードの使用は、ショットキー放出を誘起するように提供される。従って、このような実施形態の例示的な利点は、例えば、電界放出を利用する熱フィラメントに基づいたシステムにとって一般的な冷却システムや長期間のクールダウン及びウォームアップをなくすことである。従って、よりポータブルなX線デバイスを得ることができる。
一部の例示的な実施形態によると、電源は、DC(直流)モード(つまり、一定の(−,0)、(−,+)、(0,+));パルスモード(つまり、陽極接地又は陰極接地での方形波);又は、AC(交流)モード(つまり、正弦波)で動作するように構成される。多様な動作モードの電源を提供することの例示的な利点は、より汎用性のあるデバイスを提供できることである。例えば、パルスモード及びACモードでは、波形の明確な立ち上がり時間、周波数、デューティサイクル、及びパルス形状を得ることができる。
本願で説明されるX線デバイスは多数の分野において使用可能である点は理解されたい。例えば、X線デバイスをセキュリティ走査装置(例えば、空港のセキュリティチェックにあるようなもの)において使用可能である。加熱素子及びショットキー放出の使用がよりポータブルなデバイスを可能にするので、X線デバイスはそのようなセキュリティシステムにおいてより簡単に実現可能である。
本願で説明されるX線デバイスの更なる例示的な使用は、医療用走査デバイス、例えば、コンピュータトモグラフィ(CT)走査装置や、Cアーム型走査装置(小型Cアーム装置を含み得る)等におけるものである。本願で説明されるX線デバイスの更なる例示的な使用は、地質調査装置におけるものである。
本願で説明されるX線デバイスはあらゆる非破壊検査装置において使用可能である点は理解されたい。X線デバイスのいくつかの例示的な応用として、マンモグラフィ、獣医学的イメージング、X線蛍光分光法が挙げられる。
本願に与えられる例示的な実施形態の説明は、例示目的で与えられているものである。説明は、完全なものではなく、例示的な実施形態を開示されている正確な形態に限定するものでもなく、修正例及び変更例が、上記教示から可能なものであるか、提供されている実施形態の多様な代替例の実現から得られ得る。本願に記載されている例は、多様な例示的な実施形態の原理及び特性並びのその実際の応用を説明するために選択され記載されていて、当業者が、想定される特定の使用に適するような多様な方法及び多様な修正で例示的な実施形態を利用することができるようにする。本願で説明されている実施形態の特徴は、方法、装置、モジュール、システム及びコンピュータプログラム製品の全ての可能な組み合わせにおいて組み合わせ可能である。本願に与えられている複数の例示的な実施形態は互いにあらゆる組み合わせで実現可能である点は理解されたい。
“備える”との用語は、列挙されているもの以外の他の要素又はステップの存在を必ずしも排除するものではなく、単数形での要素の表記は、その要素が複数存在することを排除するものではない。更に、参照符号は特許請求の範囲を限定するものではなく、例示的な実施形態は、ハードウェア及びソフトウェア両者の使用によって少なくとも部分的に実施可能であり、複数の“手段”、“ユニット”又は“デバイス”がハードウェアとの同じ用語によって表され得る。
図面及び明細書において、例示的な実施形態を開示してきた。しかしながら、これらの実施形態には多様な変更及び修正が行われ得るものである。従って、特定の用語を使用しているが、それらは一般的な記載感覚においてのみ使用されているものであり、限定目的のものではなく、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められるものである。
10 真空ガラス管
14 電子受け取り素子
20 窓
21 加熱素子
22 電子エミッタ
23 導電性基体
24 ナノ構造
25 電子ビーム
26 エックス線ビーム
28 電源

Claims (15)

  1. ナノ構造のコーティングを有する導電性基体を備える複数の電子エミッタと、
    前記複数の電子エミッタの各導電性基体に取り付けられている加熱素子と、
    前記複数の電子エミッタから放出された電子を受け取るように構成されている電子受け取り素子と、
    前記複数の電子エミッタと、前記加熱素子と、前記電子受け取り素子とを収容するように構成されている真空筐体と、を備え、
    前記複数の電子エミッタが、前記加熱素子がオン状態であり且つ前記複数の電子エミッタに負のバイアスがかけられる際のショットキー放出用に構成されていて、
    前記複数の電子エミッタの各々と前記電子受け取り素子との間の電圧差がX線ビームのエネルギーを決定し、
    前記複数の電子エミッタが、前記電子受け取り素子上の一つの集束スポットに向けて電子を放出するように配置され、逐次的にバイアスがかけられて経時的に一定の電流での時間一様性を有する電子放出を与える、X線発生デバイス。
  2. 前記複数の電子エミッタが、前記加熱素子がオフ状態であり且つ前記複数の電子エミッタに負のバイアスがかけられる際の電界放出用に更に構成されている、請求項1に記載のX線発生デバイス。
  3. 前記加熱素子の動作状態を制御するように構成されている電源を更に備える請求項1に記載のX線発生デバイス。
  4. 前記電源が、(−,0:陰極を負,陽極を接地)、(−,+:陰極を負,陽極を正)、及び、(0,+:陰極を接地、陽極を正)の三つのバイアスモードで前記複数の電子エミッタの各々と前記電子受け取り素子との間の電位差を与えるように更に構成されている、請求項3に記載のX線発生デバイス。
  5. 前記電源が、DCモード、パルスモード、又はACモードで動作するように構成されている、請求項3に記載のX線発生デバイス。
  6. 前記導電性基体が、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル系合金、鉄、又は鉄系合金製である、請求項1に記載のX線発生デバイス。
  7. 前記ナノ構造が、元素周期表のIA、IIA、IB、IIIA、VIA、又はVIIA族のドーパント元素でドーピング又は共添加されている、請求項1に記載のX線発生デバイス。
  8. 前記ナノ構造がZnO製である、請求項1に記載のX線発生デバイス。
  9. 前記電子受け取り素子が、金属、金属合金、金属化合物、又は金属セラミック複合材製である、請求項1に記載のX線発生デバイス。
  10. 前記複数の電子エミッタが、スペーサを介して100μmから1000μmまでの間の固定距離に位置するグリッドを更に備える、請求項1に記載のX線発生デバイス。
  11. 請求項1に記載のX線発生デバイスを備えるセキュリティX線走査装置。
  12. 請求項1に記載のX線発生デバイスを備えるコンピュータトモグラフィ走査装置。
  13. 請求項1に記載のX線発生デバイスを備えるCアーム型走査装置。
  14. 請求項1に記載のX線発生デバイスを備える地質調査装置。
  15. 請求項1に記載のX線発生デバイスを提供することを備えるX線蛍光分光法。
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