すなわち、第一の態様において、本開示は、治療有効量のDHODH阻害剤2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸またはその薬剤的に許容できる塩を投与することを含む、血液がん患者を治療する方法を提供する。
一つの実施形態では、血液がんは、骨髄腫、リンパ腫、白血病、慢性骨髄増殖性疾患、意味未確定の単クローン性高γグロブリン血症、骨髄異形成症候群および血漿交換から選択される。
一つの実施形態では、骨髄腫は、骨髄腫、アミロイドーシスおよび形質細胞腫から選択される。
一つの実施形態では、リンパ腫は、未分化大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、バーキット様リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ種、甲状腺リンパ腫、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症から選択される。
一つの実施形態では、慢性骨髄増殖性疾患は、本態性血小板血症、慢性特発性骨髄線維症、および真性一次性赤血球増加症から選択される。
一つの実施形態では、白血病は、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、および慢性リンパ芽球性白血病から選択される。
一つの実施形態では、血液がん治療は、pan−HER阻害剤である(R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン−4,6−ジアミンまたはその薬剤的に許容できる塩をさらに含む。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤はp53の誘導を介して制がん効果を与える。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤は、例えば1日1回、経口投与される。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は非経口投与される。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は経口投与され、例えば隔日投与される。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤の各用量は100〜900mgの範囲内であり、例えば、各用量は300〜500mgの範囲内である。
また、血液がん、特に本明細書で開示される血液がん、の治療で使用するための、2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸またはその薬剤的に許容できる塩が提供される。
また、血液がん、特に本明細書で開示される血液がん、の治療用薬剤の製造で使用するための、2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸またはその薬剤的に許容できる塩が提供される。
また本開示は、血液がん、特に本明細書で開示される血液がん、の治療で使用するための、pan−HER阻害剤(例えば、(R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン−4,6−ジアミンまたはその薬剤的に許容できる塩)およびDHODH阻害剤である2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸またはその薬剤的に許容できる塩を含む併用療法にまで及ぶ。
さらなる態様において、血液がん、特に本明細書で開示される血液がん、の治療ための併用療法の製造における、DHODH阻害剤である2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸または薬剤的に許容できる塩の用途が提供される。
また、血液がん、特に本明細書で開示される血液がん、の治療ための併用療法の製造における、pan−HER阻害剤である(例えば、R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン−4,6−ジアミンまたはその薬剤的に許容できる塩)およびDHODH阻害剤である2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸または薬剤的に許容できる塩の用途が提供される。
一つの実施形態では、本開示の治療法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60ヵ月以上継続される。
(R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン−4,6−ジアミンは、バルリチニブ(Varlitinib)としても知られている。
一つの実施形態では、バルリチニブは、28日間を1サイクルとして投与される。一つの実施形態では、バルリチニブ成分療法の投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60ヵ月以上継続される。
以下の各段落で本開示をさらに詳述する。
1. 治療有効量のDHODH阻害剤2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸またはその薬剤的に許容できる塩を投与することを含む、血液がんを治療する方法。
2. 血液がんが骨髄腫、リンパ腫、白血病、慢性骨髄増殖性疾患、意味未確定の単クローン性高γグロブリン血症、骨髄異形成症候群、血漿交換アミロイドーシス(plasma exchange amyloidosis)および形質細胞腫から選択される、段落1に記載の治療法。
3. 血液がんが骨髄腫である、段落2に記載の治療法。
4. 血液がんがリンパ腫である、段落2または3に記載の治療法。
5. リンパ腫がホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫から選択される、段落4に記載の治療法。
6. リンパ腫が、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、バーキット様リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ種、甲状腺リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症およびこれらの組合せから独立して選択される、段落2〜5のいずれか1つに記載の治療法。
7. 血液がんが慢性骨髄増殖性疾患である、段落2〜6のいずれか1つに記載の治療法。
8. 慢性骨髄増殖性疾患が本態性血小板血症、慢性特発性骨髄線維症、および真性一次性赤血球増加症から選択される、段落2〜7のいずれか1つに記載の治療法。
9. 血液がんが白血病である、段落2〜8のいずれか1つに記載の治療法。
10. 白血病がAML(急性骨髄性白血病)、ALL(急性リンパ芽球白血病)、CML(慢性骨髄性白血病)およびCLL(慢性リンパ球性白血病)並びにこれらの組合せから独立して選択される、段落9に記載の治療法。
11. 白血病が有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、および慢性リンパ芽球性白血病から選択される、段落8または9に記載の治療法。
12. 白血病が急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、毛様細胞性白血病、T細胞性前リンパ球性白血病、大顆粒リンパ球性白血病、成人T細胞白血病、クローン性好酸球増加症(clonal eosinophilia)、T細胞顆粒性白血病(T-cell granular leukemia)、NK細胞性白血病、成人T細胞白血病およびこれらの組合せから独立して選択される、段落9〜11のいずれか1つに記載の治療法。
13. 白血病がAMLである、段落12に記載の方法。
14. 白血病がALLである、段落12に記載の方法。
15. 白血病がCMLである、段落12に記載の方法。
16. 白血病がCLLである、段落12に記載の方法。
17. 第二の治療との併用療法においてDHODH阻害剤が使用される、段落1〜16のいずれか1つに記載の治療法。
18. 第二の治療がDNA修復の阻害剤である、段落16に記載の治療法。
19. 阻害剤が小分子治療である、段落17または18に記載の治療法。
20. 阻害剤の機構が塩基除去修復経路を介したものである、段落18または19に記載の治療法。
21. 阻害剤の標的がAPE1、Polβ、FEN1、およびPARPから独立して選択される、段落20に記載の治療法。
22. 阻害剤が、TRC102、(2E)−2−[(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル)メチレン]−ウンデカン酸[E3330としても知られている]、NCS−666715およびNSC−124854、8−オキソグアニン、タネスピマイシン、ルミネスピブ、アルベスピマイシン、ガネテスピブ、レタスピマイシン、6−アミノ−8−[(6−ヨード−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)チオ]−N−(1−メチルエチル)−9H−プリン−9−プロパンアミン(PU−H71)、4−[2−カルバモイル−5−[6,6−ジメチル−4−オキソ−3−(トリフルオロメチル)−5,7−ジヒドロインダゾール−1−イル]アニリノ]シクロヘキシル]2−アミノアセテート(SNX−5422)、ルミネスピブ(レソルシニル酸(resorcyinylic))、2−(2−エチル−3,5−ジヒドロキシ−6−(3−メトキシ−4−(2−モルホリノエトキシ)ベンゾイル)フェニル)−N,N−ビス(2−メトキシエチル)アセトアミド(KW−2478)、AT13387、5,6−ビス((E)−ベンジリデンアミノ)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オン(SCR7)並びにこれらのうち2つ以上の組合せから選択される、段落20または21に記載の治療法。
23. 阻害剤がPARP−1阻害剤および/またはPARP−2阻害剤等のPARP阻害剤である、段落20〜22のいずれか1つに記載の治療法。
24. PARP阻害剤がオラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、CEP9722、E7016、BGB−290、AZD−2461、3−アミノベンズアミドおよびこれらの組合せから独立して選択される、段落23に記載の治療法。
25. 阻害剤の機構がミスマッチ修復経路を介したものである、段落18〜24のいずれか1つに記載の治療法。
26. 阻害剤の機構がヌクレオチド除去経路を介したものである、段落18〜25のいずれか1つに記載の治療法。
27. 阻害剤が7−ヒドロキシスタウロスポリン[UCN−01]、トラベクテジン、MCI13E、NERI01およびこれらのうちの2つ以上の組合せから独立して選択される、段落26に記載の治療法。
28. 阻害剤の機構が二本鎖切断修復経路を介したものである、段落18〜27のいずれか1つに記載の治療法。
29. 阻害剤の機構が非相同末端結合経路を介したものである、段落28に記載の治療法。
30. 阻害剤が相同組換え経路を介したものである、段落28または29に記載の治療法。
31. 治療がトポイソメラーゼIおよび/またはII阻害剤等のトポイソメラーゼ阻害剤である、段落17〜30のいずれか1つに記載の治療法。
32. トポイソメラーゼ阻害剤がイリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ラメラリンDおよびこれらの組合せから独立して選択される、段落31に記載の治療法。
33. トポイソメラーゼ阻害剤が、エトポシド(VP−16)、テニポシド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、エリプチシン、アウリントリカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−[(1R)−6−イソプロペニル−3−メチル−シクロヘキサ−2−エン−1−イル]−5−ペンチル−1,4−ベンゾキノン(HU−331)およびこれらの組合せから独立して選択される、段落31または32に記載の治療法。
34. 血液がん治療が、pan−HER阻害剤、例えば(R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン−4,6−ジアミンまたはその薬剤的に許容できる塩、をさらに含む、段落1〜33のいずれか1つに記載の方法。
35. pan−HER阻害剤が非経口投与される、段落34に記載の方法。
36. pan−HER阻害剤が経口投与される、段落34に記載の方法。
37. pan−HER阻害剤が隔日投与される、段落36に記載の方法。
38. pan−HER阻害剤の各用量が100〜900mgの範囲内、例えば200、300、400、500、600、700、800mgである、段落36または37に記載の方法。
39. 各用量が300〜500mgの範囲内である、段落38に記載の方法。
40. DHODH阻害剤がp53の誘導を介して制がん効果を与える、段落1〜39のいずれか一つに記載の方法。
41. DHODH阻害剤が、例えば1日1回、経口投与される、段落1〜40のいずれか1つに記載の方法。
42. 血液がんの治療で使用するための2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸またはその薬剤的に許容できる塩。
43. 血液がんの治療で使用するための、pan−HER阻害剤(例えば、(R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン−4,6−ジアミンまたはその薬剤的に許容できる塩)およびDHODH阻害剤である2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸または薬剤的に許容できる塩を含む併用療法。
44. 血液がん、特に本明細書で開示される血液がん、の治療のための治療法の製造における、DHODH阻害剤である2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸または薬剤的に許容できる塩の用途。
45. 血液がん、特に本明細書で開示される血液がん、の治療ための併用療法の製造における、HER阻害剤(例えば、(R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン−4,6−ジアミンまたはその薬剤的に許容できる塩)およびDHODH阻害剤である2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸または薬剤的に許容できる塩の用途。
本開示はまた、血液がん、特に本明細書に記載の血液がん、の治療で使用するための、段落1〜45のいずれか1つに記載のDHODH阻害剤の用途にまで及ぶ。
本開示は、血液がん、特に本明細書に記載の血液がん、の治療のための薬剤の製造における、段落1〜45のいずれか1つに記載のDHODH阻害剤の用途をさらに提供する。
DHODHは、細胞における中心的な構成要素であるウリジンの産生において重要な酵素である。理論に束縛されることを望むものではないが、DHODH阻害剤はp53依存性のアポトーシスを上方制御することが可能であり得る。p53の発現上昇(細胞周期停止をもたらし、より高いp53レベルではアポトーシスをもたらし得る)は、細胞内ウリジンのレベルを感知した後に、p53の安定化をもたし、その濃度を増加させる、一連の反応を促進する機構を介して起こる可能性が高い。
さらに、本発明者らは、DHODH阻害剤である2−(3,5−ジフルオロ−3’メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸またはその薬剤的に許容できる塩が、アポトーシスを介してがん細胞を殺傷し、壊死による細胞死を伴わないことから、血液がんの治療での使用に特に有利であることを明らかにした。
壊死は、自己分解(すなわち、細胞自身の酵素の作用による細胞の破壊)による、生体組織内の細胞の早期の死をもたらす細胞傷害の一形態である。壊死は、細胞成分の無秩序な消化に繋がる、感染、毒素、または外傷等の、細胞外または組織外の要因によって引き起こされる。対照的に、アポトーシスは、自然に発生的でありプログラム化および標的化された細胞死の原因である。
アポトーシスはしばしば生物に有益な作用を与えるが、壊死はほとんどの場合、周辺組織にとって傷害性である。さらに、壊死性細胞死はアポトーシス系のシグナル伝達経路を辿らず、様々な受容体が活性化され、細胞膜完全性の喪失および細胞死による産物の細胞外間隙への無秩序な放出に繋がる。
これは周辺組織に炎症反応を引き起こし、白血球および、ファゴサイトーシスにより死細胞を除去する近くの貪食細胞を誘引する。しかし、白血球が放出する病原体傷害性物質は周辺組織に付帯的損害を与える。この過剰な付帯的損害は治癒過程を阻害する。すなわち、無処置の壊死は、細胞死部位またはその周辺部位における、分解していく死んだ組織および細胞片の発達に繋がる。典型例は壊疽である。この理由により、壊死組織の外科的な除去(壊死組織切除として知られる処置)がしばしば必要となる。
従って、アポトーシス細胞死を引き起こすDHODH阻害剤による血液がんの治療能は、副作用をより少なくし、治療成績を全体的により良好にするだろう。
DHODHは、細胞における中心的な構成要素であるウリジンの産生において重要な酵素である。理論に束縛されることを望むものではないが、DHODH阻害剤はp53依存性のアポトーシスを上方制御することが可能な場合がある。p53の発現上昇(細胞周期停止をもたらし、より高いp53レベルではアポトーシスをもたらし得る)は、細胞内ウリジンのレベルを感知した後に、p53の安定化をもたし、その濃度を増加させる、一連の反応を示す機構を介して、起こる可能性が高い。
以下の疾患の定義は、当業者による一般的な用語使用に基づいている。以下に与えられる定義は相互排他的ではなく、いくつかの特定の状態は2つ以上の分類に含まれる。
血液がんとは、本明細書で使用される場合、白血病、リンパ腫および骨髄腫等の血液のがんを指す。
白血病
白血病とは、本明細書で使用される場合、しばしば骨髄より始まり、異常に高レベルの白血球(leucocyte)(白血球(white blood cell)としても知られている)を生じる、がんの一群を指す。
主に、急性リンパ芽球白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)の4種類がある。
白血病は以下にも分類することができる:
がんが、リンパ球(白血球)へと成熟する細胞に生じるリンパ球性白血病、および
がんが、赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell))へと成熟する細胞に生じる骨髄性白血病。
より具体的には、白血病には、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、毛様細胞性白血病、T細胞性前リンパ球性白血病、大顆粒リンパ球性白血病、成人T細胞白血病およびクローン性好酸球増加症が含まれる。
骨髄腫
骨髄腫には、本明細書で使用される場合、多発性骨髄腫および孤立性骨髄腫が含まれる。
多発性骨髄腫は、形質細胞に腫瘍を形成させる形質細胞のがんである。しばしば体内の複数箇所で見られることから、多発性骨髄腫という名称になる。前記がんが1ヶ所のみに集中している場合、それは孤立性骨髄腫として知られている。
一般的な用法では、骨髄腫という用語は多発性骨髄腫を指して用いられる。
骨髄腫と骨髄性白血病は共有点が多い。しかし、異なる細胞が関与しており、上記の通り、骨髄腫は形質細胞に影響を与え、一方、骨髄性白血病は骨髄性細胞に影響を与える。しかし、両方のがんが骨髄から始まる。
骨髄腫患者の中には急性骨髄性白血病を発症する者もいる。
リンパ腫
リンパ腫とは、本明細書で使用される場合、がん性のリンパ球を指す。リンパ腫には主にホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫がある。しかし、世界保健機関(The World Health Organism)は、骨髄腫および免疫増殖性疾患を一般的なリンパ腫クラスに含めている。
リンパ腫のサブタイプとして、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、成熟B細胞腫瘍、成熟T細胞腫瘍、成熟NK細胞腫瘍、および免疫不全関連リンパ増殖性疾患が含まれる。
慢性骨髄増殖性疾患
慢性骨髄増殖性疾患とは、本明細書で使用される場合、異常な赤血球、白血球または血小板が骨髄によって過剰につくられ、血液内に蓄積されるがんを指す。骨髄増殖性疾患の種類は、過剰な赤血球、白血球、または血小板がつくられているかどうかに基づく。時に身体は2種類以上の血液細胞を過剰につくるが、通常は1種類の血液細胞が他よりも多く影響を受ける。
少なくとも6種類の慢性骨髄増殖性疾患がある:慢性骨髄性白血病(CML)、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症(慢性特発性骨髄線維症とも称される)、本能性血小板血症、慢性好中球性白血病、および慢性好酸球性白血病。慢性骨髄増殖性疾患は、非常に多くの異常白血球がつくられる急性白血病になる場合がある。
骨髄異形成症候群
骨髄異形成症候群は、骨髄内の未成熟血液細胞が成熟しない、がんの一群である。前記症候群には慢性骨髄単球性白血病(CMML)が含まれる。
意味未確定の単クローン性高γグロブリン血症(MGUS)
意味未確定の単クローン性高γグロブリン血症では、単一クローン性タンパク質またはMタンパク質として知られている、形質細胞によって産生された異常タンパク質が、血液中に存在する。前記状態は良性であるが、患者によっては、血液がんの前駆型である場合がある。
形質細胞腫
形質細胞腫は、形質細胞ががん性になって制御不能に増殖する場合に腫瘍を形成する、形質細胞腫瘍である
形質細胞腫は、骨の外側の硬い部分を浸潤するだけでなく、骨髄内の正常細胞を締め出し、その後、身体内の大型の骨の空洞内に広まる。骨の中の形質細胞腫は疼痛または骨折を引き起こす場合がある。骨の形質細胞腫はしばしば多発性骨髄腫になる。ただ1つの腫瘍が形成された場合、それは孤立性形質細胞腫と称される。複数の小さな腫瘍が形成された場合、その疾患は多発性骨髄腫である。形質細胞腫は体内の軟部組織にも浸潤する可能性がある。軟部組織内の形質細胞腫(Plastacytoma)は、近くの領域に浸潤し続け、咽頭、扁桃腺または副鼻腔洞等の疼痛を引き起こす可能性がある。
アミロイドーシス
アミロイドーシスは疾患群である。しかし本明細書では、血液がんとの関連においては概して、アミロイドーシスはALアミロイドーシス(旧称「原発性全身性アミロイドーシス」)を通常指す。ALは血液がんが無い場合でも存在し得るが、一つの実施形態では、本開示はこの側面について考慮しない。
ALアミロイドーシスにおいて、アミロイド形成タンパク質は免疫グロブリンの軽鎖成分に由来する。これらの軽鎖は、通常は骨髄内に存在する異常な形質細胞またはB細胞によって産生される。
異常細胞を生じる根底にある骨髄障害は、例えば意味未確定の単クローン性高γグロブリン血症であり、ほとんどの場合、非常に微細である。
ある場合では、根底の骨髄障害は多発性骨髄腫である。
骨髄腫患者はALアミロイドーシスを有するか発症する場合があるが、ALアミロイドーシス患者(診察時に骨髄腫を有していない)が末期の骨髄腫に進行することは稀である。
ALアミロイドーシスは、リンパ腫または慢性リンパ性白血病(CLL)によって産生された異常な軽鎖が原因であり得る。
例えば第二の治療がDNA修復の阻害剤および/またはpan−HER阻害剤である併用療法の使用は、具体的には併用療法を用いて2つ以上の機構によりがん細胞を「攻撃」することによる、がんの治療抵抗能の最小化に、特に有利な場合がある。
一つの実施形態では、本開示のDHODH阻害剤は、化学療法、特に本明細書に記載の化学療法、を含む併用療法で使用される。
すなわち、治療有効量の少なくともHER2の阻害剤および治療有効量のDHODH阻害剤を投与することを含む、患者を治療する方法が提供される。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は少なくとも2つのHER受容体の阻害剤である。一つの実施形態では、阻害されるHER受容体の少なくとも1つはHER2である。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は、例えば500以下の分子量を有する、有機化学分子である。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は式(I)の分子式を有する(参照によって本明細書に完全に援用されるWO2005/016346にて開示):
式中、Aは二環式環の5、6、7または8位の炭素のうちの少なくとも1つに結合しており、二環式環は0、1つまたは2つの独立したR3基で置換されており;
XはN、CH、CFまたはC−CNであり;
AはQまたはZであり;
Qは
R1は置換または非置換の、単環式または二環式の、アリールまたはヘテロアリール部分であり;
R2はHまたは置換もしくは非置換C1−8アルキル、アリル、置換ベンジルであり;
R3は水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−NR4SO2R5、−SO2NR6R4、−C(O)R6、−C(O)OR6、−OC(O)R6、−NR4C(O)OR5、−NR4C(O)R6、−C(O)NR4R6、−NR4R6、−NR4C(O)NR4R6、−OR6、−S(O)R5、−SO2R5、またはSR6であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルは、オキソ、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR4SO2R5、−SO2NR6R4、−C(O)R6、−C(O)OR6、−OC(O)R6、−NR4C(O)OR5、−NR4C(O)CR6、−C(O)NR4R6、−NR4R6、−NR4C(O)NR4R6、NR4C(NCN)NR4R6、−OR6、−S(O)R5、−SO2R5、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜5個の基で置換されていてもよく;
R10は水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、部分不飽和ヘテロシクリル、−NR4SO2R5、−SO2NR6R4、−C(O)R6、−C(O)OR6、−OC(O)R6、−NR4C(O)OR5、−NR4C(O)R6、−C(O)NR4R6、−NR4R6、−NR4C(O)NR4R6、−OR6、−S(O)R5、−SO2R5、またはSR6であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、または部分不飽和ヘテロシクリルは、オキソ、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR4SO2R5、−SO2NR6R4、−C(O)R6、−C(O)OR6、−OC(O)R6、−NR4C(O)OR5、−NR4C(O)CR6、−C(O)NR4R6、−NR4R6、−NR4C(O)NR4R6、−NR4C(NCN)NR4R6、−OR6、−S(O)R5、−SO2R5、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜5個の基で置換されていてもよく、gは1〜3であり、各々のR10は同じであっても異なっていてもよく;
あるいは、前記R10基のうちの一つまたは複数は互いに独立して、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、SO、SO2およびNR6からなる群から選択される一つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい3〜10員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を完成してもよく、各々の環炭素は、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、OR8、NR6R8、SR6、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいが、ただし、前記環は2つの隣接し合うO原子または2つの隣接し合うS原子を含有せず;
Zは、
式中、R6=Hの場合、Zは以下をさらに含み:
Zは一つまたは複数のR8基またはR9基を含み、前記R8基およびR9基は同一または異なる原子に結合していてもよく;
WおよびVは互いに独立してCR7R8、CR8R9、O、NR6、S、SO、およびSO2からなる群から選択され;
YはS、SO、SO2、CR7CR8、およびCR8R9からなる群から選択され、ただし、所望により、WがO、NR6、S、SO、またはSO2である場合、VはCR8R9であり、VがO、NR6、S、SO、またはSO2である場合、WおよびYはそれぞれCR8R9であり;
R4はHまたはC1−6アルキルであり;
R5はトリフルオロメチル、C1−C10アルキル、C3−C10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、または部分不飽和複素環であり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルは、オキソ、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、OR6、NR4R6、SR6、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜5個の基で置換されていてもよく;
R6、R8およびR9は、水素、トリフルオロメチル、C1−C10アルキル、(CH2)0−4C3−C10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルは、オキソ、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、OR6、NR6R8、SR6、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜5個の基で置換されていてもよく;
R7は水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、部分不飽和複素環、−NR4SO2R5、−SO2NR6R4、−C(O)R6、−C(O)OR6、−OC(O)R6、−NR4C(O)OR5、−NR4C(O)R6、−C(O)NR4R6、−NR4R6、−NR4C(O)NR4R6、−OR6、−S(O)R5、−SO2R5、またはSR6であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールヘテロシクリル、および部分不飽和ヘテロシクリルは、オキソ、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR4SO2R5、−SO2NR6R4、−C(O)R6、−C(O)OR6、−OC(O)R6、−NR4C(O)OR5、−NR4C(O)CR6、−C(O)NR4R6、−NR4R6、−NR4C(O)NR4R6、−NR4C(NCN)NR4R6、−OR6、−S(O)R5、−SO2R5、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜5個の基で置換されていてもよく;
あるいは、R4およびR6が互いに独立して、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、SO、SO2およびNR6からなる群から選択される一つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい3〜10員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を完成してもよく、各々の環炭素は、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、OR8、NR6R8、SR6、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいが、ただし、前記環は2つの隣接し合うO原子または2つの隣接し合うS原子を含有せず;
あるいは、R6およびR8が互いに独立して、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、SO、SO2およびNR6からなる群から選択される一つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい3〜10員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を完成してもよく、各々の環炭素は、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、OR8、NR6R8、SR6、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルから成る群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいが、ただし、前記環は2つの隣接し合うO原子または2つの隣接し合うS原子を含有せず;
あるいは、R7およびR8が互いに独立して、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、SO、SO2およびNR6からなる群から選択される一つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい3〜10員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を完成してもよく、各々の環炭素は、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、OR8、NR6R8、SR6、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいが;ただし、前記環は2つの隣接し合うO原子または2つの隣接し合うS原子を含有せず;
あるいは、R8およびR9が互いに独立して、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、SO、SO2およびNR6からなる群から選択される一つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい3〜10員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を完成してもよく、各々の環炭素は、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、OR8、NR6R8、SR6、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいが、ただし、前記環は2つの隣接し合うO原子または2つの隣接し合うS原子を含有せず;
あるいは、R6およびR10が互いに独立して、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、SO、SO2およびNR6からなる群から選択される一つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい3〜10員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を完成してもよく、各々の環炭素は、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、OR8、NR6R8、SR6、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいが、ただし、前記環は2つの隣接し合うO原子または2つの隣接し合うS原子を含有せず;
あるいは、R8およびR10が互いに独立して、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、SO、SO2およびNR6からなる群から選択される一つまたは複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい3〜10員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を完成してもよく、各々の環炭素は、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10シクロアルキルアルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、OR8、NR6R8、SR6、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、部分不飽和ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよいが、ただし、前記環は2つの隣接し合うO原子または2つの隣接し合うS原子を含有しない。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は、HER1、HER2、HER3、およびHER4から独立して選択される一つまたは複数のHER受容体の阻害剤である。
一つの実施形態では、生物学的治療薬は非経口投与される。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は式(Ia)の化合物、
(Ia)
その鏡像異性体またはこれらのうちいずれか1つの薬剤的に許容できる塩である。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤はバルリチニブ、
一つの実施形態では、バルリチニブは遊離塩基として使用される。
適切な用量のバルリチニブは、HER1、HER2およびHER4を直接阻害することが可能であり、HER3については間接的な阻害が可能であると考えられている。
一つの実施形態では、式(I)(式(Ia)およびバルリチニブを含む)の化合物は、HER1およびHER2の活性、HER1およびHER4の活性、またはHER2およびHER4の活性を少なくとも阻害する。
一つの実施形態では、式(I)(式(Ia)およびバルリチニブを含む)の化合物は、HER1、HER2およびHER4の活性を少なくとも阻害し、例えば、HER1、HER2およびHER4の活性を直接阻害する。
一つの実施形態では、式(I)(式(Ia)およびバルリチニブを含む)の化合物は、HER1、HER2、HER3およびHER4の活性を阻害し、例えば、HER1、HER2、およびHER4の活性を直接阻害し、HER3の活性を間接的に阻害する。
一つの実施形態では、式(I)(式(Ia)およびバルリチニブを含む)の化合物の各用量は、100〜900mgの範囲内であり、例えば、各用量は300〜500mgの範囲内(例えば400mg)であり、例えば、1日に1回または2回(例えば1日2回)投与される。
場合によっては、2日に1回、初回量を300mgまたは200mgに減らすことが、患者に対して有効であり得る。
非連続的な投与計画(例えば、毎日ではなく隔日での投薬、または、4日間の連日投薬の後に1、2または3日間の無投薬)において、式(I)の化合物(例えばバルリチニブ)を投与されることが、他の患者には有効であり得る。
一つの実施形態では、式(I)(式(Ia)およびバルリチニブを含む)の化合物は経口投与される。
一つの実施形態では、HER阻害剤は、複数のHER阻害剤の組合せ、例えばバルリチニブおよびハーセプチン(トラスツズマブ)および/またはペルツズマブの組合せ、である。
驚くべきことに、バルリチニブおよびハーセプチンの組合せは、それぞれの単独よりも高い治療活性を示す。
一つの実施形態では、HER阻害剤は、トラスツズマブ‐エムタンシン(ado-trastuzuma-emtansine)およびバルリチニブの組合せである。
DHODH阻害剤は、2−(3,5−ジフルオロ−3’−メトキシビフェニル−4−イルアミノ)ニコチン酸(本明細書ではASLAN003と称される)またはその薬剤的に許容できる塩、特に以下である:
一つの実施形態では、DHODH阻害剤は毎日、例えば1日1回、投与される。
本明細書で使用されるDHODH阻害剤またはその塩への言及は、前記化合物をインビボで活性成分に変換されるエステル等のプロドラッグとして与えることを包含する。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤は経口投与される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤およびpan−HER阻害剤(特定のバルリチニブ等)は、治療計画において逐次投与され、例えば同日に投与される。
一つの実施形態では、バルリチニブ等のpan−HER阻害剤は、例えば本明細書で開示される範囲内の用量を、1日2回投与される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤およびHER阻害剤(HER2またはpanHER阻害剤等)は、およそ同時に、同時投与される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤は、連続的な期間、例えば1〜60ヶ月間以上、毎日または毎週の投与計画で投与され、HER2阻害剤またはpan−HER阻害剤はこの期間中断続的に投与され、例えば、バルリチニブは一回または複数回の28日間サイクルで投与され得る。pan−HER阻害剤がハーセプチン等の抗体分子を含む場合、その投与プロトコルは小分子阻害剤の投与プロトコルと非常に異なる可能性がある。ハーセプチンは、例えば、以下の通りの投与計画で(特に、細胞障害性化学療法と組み合わせて)投与され得る:
1) 90分間かけて4mg/Kgを初回投与;
2) 次の12週間、30分間かけて2mg/Kgを毎週投与;および
3) 2)の1週間後、三週間毎に、30〜90分間かけて6mg/Kgを開始。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は、連続的な期間、例えば1〜60ヶ月間以上、毎日または毎週の投与計画で投与され、DHODH阻害剤はこの期間中断続的に投与される。
断続的な投与とは、本明細書で使用される場合、治療が施行され、次に、将来のある時点で再び治療を開始する選択肢を伴って治療が中止、または単純に特定の期間中止され、次に、治療計画に従って治療が再開される、期間を指す。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤は連続的な期間、例えば1〜60ヶ月間以上、毎日または毎週の投与計画で投与され、pan−HER阻害剤は連続的な期間、例えば1〜60ヶ月間以上、毎日または毎週の投与計画で投与される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤は例えば1〜60ヶ月間以上に亘る断続的な期間、毎日または毎週の投与計画で投与され、pan−HER阻害剤は例えば1〜60ヶ月間以上に亘る断続的な期間、毎日または毎週の投与計画で、DHODH阻害剤と共に投与される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤およびpan−HER阻害剤は共製剤化(co-formulated)される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤は経口投与される。
一つの実施形態では、HER阻害剤は経口的に、非経口的に、または両方で、特に経口的に、投与される。
一つの実施形態では、HER2阻害剤等のHER阻害剤は、経口的に、または非経口的、例えば静脈内に、投与される。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤等のHER阻害剤は、経口投与される。
HER阻害剤の組合せを使用する一つの実施形態では、1つは経口投与され、1つは非経口的に、例えば静脈内に、投与される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤およびpan−HER阻害剤は共に経口投与される。
一つの実施形態では、患者はヒトである。
たとえ単独療法でも、DHODH阻害剤であるASLAN003を使用する利点としては、がん細胞が、壊死機構を介した殺傷とは対照的に、アポトーシスによって殺傷されることが含まれる。レフルノミドおよびテリフルノミド等のDHODH阻害剤は壊死機構を介してがん細胞を殺傷するので、これは驚くべきことである。
一つの実施形態では、本開示の併用療法が効果的であり、例えば、構成要素の一方を含む単独療法と比較して治療活性の増大がもたらされるという点で有利である。
活性の増大は、例えば抗腫瘍活性の増加および/またはがんが抵抗性となる傾向の低減等、本開示の併用を使用することのあらゆる有益な治療効果となり得る。他の利点は、一つまたは複数の治療系統に失敗した患者における治療効果であり得る。すなわち、一つの実施形態では、患者集団は細胞障害性化学療法等の公知の治療に対して抵抗性または不応性のがんを有する。
文脈が特に指示していない限り、不応性および抵抗性は本明細書では同義的に使用されて、がんが治療に応答しない、または治療に十分に応答しないことを指す。
併用療法とは、本明細書で使用される場合、2つ以上の治療様式を同一の治療期間にかけて使用すること、すなわち逐次療法の反対、を指す。
2つ以上の治療様式とは、本明細書で使用される場合、作用様式および/または活性および/または投与経路が異なる少なくとも2つの治療法を指す。
本開示の併用療法の利点を得るためには、HER阻害剤およびDHODH阻害剤は、HER阻害剤およびDHODH阻害剤の薬理学的作用が重なる、ある時間枠内に投与される必要があり、すなわち、前記治療法の治療計画は時間において部分的に一致する。これが意味することは当業者には実際に理解される。
併用療法とは、本明細書で使用される場合、本開示による薬剤が1つの治療計画において少なくとも1つのさらなる治療薬と共に投与される場合を指す。治療計画は、別々の製剤が同時もしくは異なる時間に投与されてもよいし、または、2つ以上の治療薬の合剤(co-formulation)であってもよい。本開示による併用療法で使用される「第一」薬剤は、本開示のさらなる治療薬(複数可)より前に投与してもよいし、本開示のさらなる治療薬(複数可)と同時に投与してもよいし、または本開示のさらなる治療薬(複数可)の後に投与してもよい。
一つの実施形態では、抗がん治療(特に化学療法)等のさらなる治療薬(複数可)が、本開示の単独療法または併用療法と組み合わされて使用される。
一つの実施形態では、治療薬は化学療法剤である。化学療法剤は、本明細書で使用される場合、悪性細胞および悪性組織にとって有害な特定の抗悪性腫瘍性化学物質または薬剤を指すことが意図されており、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン系薬剤、植物性アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、および他の抗腫瘍剤が挙げられる。化学療法の具体例としては、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル(5−FU)、パクリタキセル(例えばアブラキサンまたはドセタキセル)、カペシタビン、イリノテカン、並びにシスプラチンおよびオキサリプラチン等のプラチン類(platins)、またはこれらの組合せが挙げられる。適切な用量は、治療されるがんの性質および患者に基づいて実施者が選択してよい。
同時投与とは、本明細書で使用される場合、DHODH阻害剤および第二治療薬(HER阻害剤および/または化学療法等)の投与が同時またはおよそ同時であることを指す(これらの活性剤が同一または異なる経路で投与される場合も含む)。
阻害剤とは、本明細書で使用される場合、関連する生物活性を、関連するインビトロアッセイで測定された場合等に、例えば5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100%低減させる治療薬を指す。
直接阻害は、阻害剤が結合相互作用に対して直接結合もしくは物理的に遮断して、生物活性を阻害する場合、または、阻害剤が標的分子のリン酸化により活性化を阻害する場合、である。
間接阻害は、本明細書で使用される場合、間接阻害されるもの以外の標的が直接阻害された結果として、問題の生物活性が阻害される場合を指す。
ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)は、ピリミジン生合成経路の第四段階、すなわち、フラビンモノヌクレオチド中間体を介したユビキノン(補助因子Q)への電子伝達を伴う、ジヒドロオロト酸からオロト酸への変換、を触媒する酵素である(Loffler MoI Cell Biochem, 1997)。専らこの新規経路のみをピリミジンの供給源とする寄生虫(熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum))(McRobert et al MoI Biochem Parasitol 2002)および細菌(E.coli)と対照的に、哺乳類細胞は追加でサルベージ経路を有する。
恒常的な増殖におけるピリミジン塩基の細胞供給は、DHODHに非依存的なサルベージ経路で十分であると思われる。しかし、代謝回転が速い細胞、特にTリンパ球およびBリンパ球においては、この新規経路が増殖に必要となる。これらの細胞では、DHODH阻害は、DNA合成を抑制することにより、細胞周期進行を、最終的には細胞増殖を、停止させる(Breedveld F.C. Ann Rheum Dis 2000)。
電子伝達系複合体IIIの構成成分であるミトコンドリアシトクロムbc1の阻害により、腫瘍抑制因子p53の活性化と、その後のアポトーシス誘導がもたらされるという、いくつかの提唱がある。ミトコンドリア呼吸鎖は、ミトコンドリア内酵素ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)を介して、新規のピリミジン生合成経路と連結している。
DHODHの抑制による新規ピリミジン生合成の機能障害によって、p53活性化が引き起こされることが示されている。
DHODHとは、本明細書で使用される場合、特にインビボにおいて、ジヒドロオロト酸脱水素酵素の活性を阻害する化合物を指す。Aslan003がWO2008/077639(参照によって本明細書に援用される)に開示されている。
Pan−HER阻害剤とは、本明細書で使用される場合、ErbBファミリーのタンパク質、すなわちErbB−1(HER1およびEGFRとしても知られている)、ErbB−2(HER2)、ErbB−3(HER3)、およびErbB−4(HER4)からの、少なくとも2つの分子を阻害する分子を指す。すなわち、pan−HER阻害剤は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つのHER受容体を阻害する治療薬(例えば化学物質)を指し、例えばHER1およびHER2の阻害剤である。
生物学的治療剤は、タンパク質(ポリペプチドまたはペプチドを含む)をベースとする治療剤、例えば抗体またはその結合断片、を指し、高分子、毒素または同様の弾頭(payload)と複合化した融合タンパク質および生体分子が挙げられる。
「薬剤」とは、本明細書で使用される場合、薬理活性を有する化学物質、有機化学分子を指す。
本開示の治療での使用に適した、弾頭と複合体化した生物学的治療剤の一例は、トラスツズマブエムタンシンである。
一つの実施形態では、HER阻害剤は、WO01/00244およびWO01/100245(参照によって本明細書に援用される)に開示されているHER二量体化阻害剤、例えばペルツズマブ、である。一つの実施形態では、pan−HER阻害剤は、上記およびWO2005/016346(参照によって本明細書に援用される)に開示されている式(I)または(Ia)の化合物、特に、(R)−N4−[3−クロロ−4−(チアゾール−2−イルメトキシ)−フェニル]−N6−(4−メチル−4,5,−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−キナゾリン3,4,6−ジアミン(バルリチニブ)またはその薬剤的に許容できる塩である。
一つの実施形態では、バルリチニブは遊離塩基として使用される。
薬剤的に許容できる塩の例としては、限定はされないが、HCl塩およびHBr塩等の強鉱酸の酸付加塩、並びに、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、フロ酸塩等の強有機酸の付加塩、例えば、ジトシレート等のそのジ塩、トリ塩が挙げられる。
一つの実施形態では、本開示による併用療法は、例えばWO2008/058229(参照によって本明細書に援用される)に開示されている、RON阻害剤をさらに含む。
一つの実施形態では、本開示の併用療法は、チェックポイント阻害剤、例えば、CTLA4阻害剤、PD−1阻害剤またはPD−L1阻害剤、特に抗体またはその結合断片、を含む。
一つの実施形態では、本開示の単独療法または併用療法は化学療法剤をさらに含む。
化学療法剤
本開示の治療法(例えば併用療法)は、さらなるがん治療法(例えば化学療法)と組み合わせて使用してもよい。
化学療法剤および化学療法または細胞傷害性薬物は、文脈が特に指示していない限り、本明細書では同義的に使用される。
化学療法は、本明細書で使用される場合、悪性細胞および悪性組織にとって「選択的に」有害な特定の抗悪性腫瘍性化学物質または薬剤を指すことが意図されており、例えば、アルキル化剤、チミジル酸合成酵素阻害剤を含む代謝拮抗剤、アントラサイクリン系薬剤、植物性アルカロイドを含む微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、PARP阻害剤および他の抗腫瘍剤である。これらの薬剤の多くは重篤な副作用を当然有しているので、この文脈中の選択的は大まかに使用されている。
好ましい用量は、治療されるがんの性質に基づいて実施者が選択してよい。
本開示の方法で使用され得るアルキル化剤の例としては、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素類、テトラジン類、アジリジン類、プラチン類および誘導体、ならびに非古典的アルキル化剤といったアルキル化剤が挙げられる。
白金含有化学療法剤(プラチン類とも称される)の例としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン(triplatin)およびリポプラチン(lipoplatin)(シスプラチンのリポソーム体)、特にシスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンが挙げられる。
シスプラチンの用量はがんの種類に応じて約20〜約270mg/m2の範囲に亘る。多くの場合、用量は約70〜約100mg/m2の範囲内である。
ナイトロジェンマスタードとしては、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファンが挙げられる。
ニトロソ尿素類としては、N−ニトロソ−N−メチル尿素(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)およびセムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシンが挙げられる。テトラジン類としては、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミドが挙げられる。
アジリジン類としては、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ)が挙げられる。
本開示の方法で使用され得る代謝拮抗剤の例としては、葉酸代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、プリン類似体(例えば、チオプリン類、例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン、チオプリン、フルダラビン(リン酸塩形態も含む)、ペントスタチンおよびクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、フルオロピリミジン、例えば、5−フルオロウラシルおよびそのプロドラッグ、例えばカペシタビン[ゼローダ(登録商標)])、フロクスウリジン、ゲムシタビン、シタラビン、デシタビン、ラルチトレキセド(トムデックス)塩酸塩、クラドリビン並びに6−アザウラシルが挙げられる。
本開示の治療法で使用され得るアントラサイクリン系薬剤の例としては、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ダウノルビシン(リポソーム体)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ドキソルビシン(リポソーム体)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン(現在では膀胱がんの治療にのみ使用されている)およびミトキサントロン、アントラサイクリン類似体、特にドキソルビシン、が挙げられる。
本開示の治療法で使用され得る微小管阻害剤の例としては、ビンカアルカロイドおよび/またはタキサン類が挙げられる。
ビンカアルカロイド類としては、完全天然化学薬品、例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン、さらに、半合成ビンカアルカロイド類、例えばビノレルビン、ビンデシン、およびビンフルニン、が挙げられる。
タキサン類としては、パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン、カバジタキセルおよびその誘導体が挙げられる。本明細書で使用されるタキサン類の誘導体としては、例えばミセル製剤中の、タキソールのようなタキサン類の再製剤が挙げられ、誘導体としてはまた、合成化学を用いてタキサンである出発物質が改変された化学的誘導体も挙げられる。
本開示の方法で使用され得るトポイソメラーゼ阻害剤としては、I型トポイソメラーゼ阻害剤、II型トポイソメラーゼ阻害剤およびII型トポイソメラーゼ毒が挙げられる。I型阻害剤としては、トポテカン、イリノテカン、インドテカン(indotecan)およびインジミテカン(indimitecan)が挙げられる。II型阻害剤としては、ゲニステインおよび以下の構造を有するICRF193が挙げられる。
II型毒としては、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシドおよびドキソルビシン並びにフルオロキノロン系抗生物質が挙げられる。
一つの実施形態では、化学療法剤はPARP阻害剤である。
一つの実施形態では、使用される化学療法剤の組合せは、例えば、プラチン、および5−FUまたはそのプロドラッグ、例えばシスプラチンまたはオキサプラチン(oxaplatin)、およびカペシタビンまたはゲムシタビン、例えばFOLFOX、である。
一つの実施形態では、化学療法は、化学療法薬剤、特に細胞障害性化学療法剤、の併用を含む。
一つの実施形態では、化学療法の併用は、シスプラチン等のプラチンおよびフルオロウラシルまたはカペシタビンを含む。
一つの実施形態では、化学療法の併用は、カペシタビンおよびオキサリプラチン(ゼロックス(Xelox))である。
一つの実施形態では、化学療法は、所望によりオキサリプラチンを組み合わせた、フォリン酸および5−FUの併用である。
一つの実施形態では、化学療法は、所望によりオキサリプラチン(FOLFIRINOX)を組み合わせた、フォリン酸、5−FUおよびイリノテカン(FOLFIRI)の併用である。投与計画は、例えば以下から成る:イリノテカン(180mg/m2、90分間かけてIV)、同時にフォリン酸(400mg/m2[または2×250mg/m2]、120分間かけてIV);その後、フルオロウラシル(400〜500mg/m2、IVボーラス)、次にフルオロウラシル(2400〜3000mg/m2、46時間かけて点滴静注)。通常はこのサイクルを2週間毎に繰り返す。上記の投与量はサイクル毎に変動してもよい。
一つの実施形態では、化学療法の併用は、微小管阻害剤、例えば硫酸ビンクリスチン、エポシロンA、N−[2−[(4−ヒドロキシフェニル)アミノ]−3−ピリジニル]−4メトキシベンゼンスルホンアミド(ABT−751)、タキソール由来化学療法剤、例えばパクリタキセル、アブラキサン、もしくはドセタキセルまたはこれらの組合せを使用する。
一つの実施形態では、化学療法併用はmTor阻害剤を使用する。mTor阻害剤の例としては、エベロリムス(RAD001)、WYE−354、KU−0063794、パパマイシン(papamycin)(シロリムス)、テムシロリムス、デフォロリムス(MK−8669)、AZD8055およびBEZ235(NVP−BEZ235)が挙げられる。
一つの実施形態では、化学療法併用はMEK阻害剤を使用する。MEK阻害剤の例としては、AS703026、CI−1040(PD184352)、AZD6244(セルメチニブ)、PD318088、PD0325901、AZD8330、PD98059、U0126−EtOH、BIX02189またはBIX02188が挙げられる。
一つの実施形態では、化学療法併用はAKT阻害剤を使用する。AKT阻害剤の例としては、MK−2206およびAT7867が挙げられる。
一つの実施形態では、併用にはオーロラキナーゼ阻害剤が使用される。オーロラキナーゼ阻害剤の例としては、オーロラA阻害剤I、VX−680、AZD1152−HQPA(バラセルチブ(Barasertib))、SNS314メシル酸塩、PHA−680632、ZM−447439、CCT129202およびヘスペラジン(Hesperadin)が挙げられる。
一つの実施形態では、化学療法併用は、例えばWO2010/038086に開示されている、N−[4−({4−[3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5イル)ウレイド]ナフタレン−1−イルオキシ}メチル)ピリジン−2−イル]−2−メトキシアセトアミド等の、p38阻害剤を使用する。
一つの実施形態では、併用にはBcl−2阻害剤が使用される。Bcl−2阻害剤の例としは、メシル酸オバトクラックス、ABT−737、ABT−263(ナビトクラックス)およびTW−37が挙げられる。
一つの実施形態では、化学療法併用は、カペシタビン(ゼローダ)、リン酸フルダラビン、フルダラビン(フルダラ(fludara))、デシタビン、ラルチトレキセド(トムデックス)、塩酸ゲムシタビンおよびクラドリビン等の代謝拮抗物質を含む。
一つの実施形態では、化学療法併用は、免疫応答および/または腫瘍血管新生(tumour vasculation)の制御を支援し得るガンシクロビルを含む。
一つの実施形態では、化学療法はPARP阻害剤を含む。
一つの実施形態では、本明細書における方法で使用される一つまたは複数の治療法は、低用量の抗がん剤を用いた継続的または高頻度の治療であり、しばしば他の治療法と同時に与えられる、メトロノミック療法である。
一つの実施形態では、例えば2、3、4、5、6、7、8回の、複数サイクルの治療(例えば化学療法)の使用が提供される。
一つの実施形態では、本開示の治療は化学療法の後に使用される。
一つの実施形態では、本開示の治療は化学療法の前に使用される。
一つの実施形態では、本開示の治療で使用される化学療法の用量は、「単独療法」で使用される化学療法の用量よりも低い(ただし、単独療法は化学療法薬剤の併用が使用される場合に使用される化学療法の用量を含み得る)。
一つの実施形態では、薬剤は、がん治療、例えば悪液質(例えば、がん性悪液質)の治療、に補足的な治療、例えばS−ピンドロール、S−メピンドロールまたはS−ボピンドロール、と組み合わせて投与される。単回投与、または複数回投与として与えられる複数回投与が1日のうちに投与される場合、適切な用量は1日当たり2.5mg〜100mg、例えば2.5mg〜50mgの範囲内であり得る。
治療
治療とは、本明細書で使用される場合、患者が疾患または障害(例えばがん)を有しており、本開示による薬剤が投与されることで、疾患が安定化する、疾患が遅延される、疾患が改善する、疾患が寛解する、疾患の寛解状態が維持される、または疾患が治癒されることを指す。治療には、本明細書で使用される場合、治療または予防のための本開示による薬剤の投与が含まれる。本開示は患者を治療する方法との関連の中で説明される。しかし、本開示は、治療で使用するための、特に本明細書に記載のがん等のがんの治療のための、本明細書に記載の治療法の使用にまで及ぶ。また、がん、特に本明細書に記載のがん、の治療用薬剤を製造するための、本明細書に記載の化合物の使用も提供される。
一つの実施形態では、本開示による併用療法は、例えば、がん性細胞の一部または全てを除去するための外科手術の後に、がんの術後補助療法として使用される。
一つの実施形態では、本開示に記載の治療法は、例えば、がん性細胞の一部または全てを除去するための外科手術の前に、ネオアジュバント療法として使用される。
一つの実施形態では、DHODH阻害剤の治療有効量(例えば一日量)は、特に1日1回投与される、10mg〜1000mgの範囲内、例えば50〜500mgの範囲内、例えば、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500mgである。
一つの実施形態では、pan−HER阻害剤、例えば式(I)または(Ia)の化合物(特にバルリチニブ)は、例えば、1回当たり100mg〜900mgの範囲内の用量で、特に300mgまたは400mgまたは500mgの各用量で、隔日投与される。
本開示の治療法で使用される活性成分は通常、一つまたは複数の賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬製剤の形態で提供される。
一つの実施形態では、式(I)、(Ia)の化合物またはバルリチニブは、一つまたは複数の薬剤的に許容できる賦形剤を含む医薬製剤として投与される。
本明細書との関連において、「含む(comprising)」は、「含む(including)」として解釈されるものとする。
ある特定の特徴/要素を含む本発明の実施形態は、関連する要素/特徴から「成る」または「本質的に成る」別の実施形態にも及ぶことが意図される。
技術的に適切であれば、本発明の実施形態は組み合わせてもよい。
特許および出願等の技術参考文献は参照によって本明細書に援用される。