以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1から図5を参照しながら、本実施形態における消防用投光器(以下では単に「投光器」と呼ぶ)100を説明する。図1、図2、図3および図4は、それぞれ投光器100を模式的に示す斜視図、正面図、側面図および上面図である。図5は、投光器100を模式的に示す断面図であり、上下方向および前後方向に平行な断面を示している。
図1から図5に示すように、投光器100は、光源部10、器具本体20およびハンドル30を備える。また、投光器100は、第1スイッチ40、第2スイッチ50および信号表示灯60をさらに備える。投光器100は、後述する信号器に接続ケーブル1を介して接続される。投光器100は、片手で携行可能である。
光源部(光源ユニット)10は、図5に示すように、光源として複数のLED(発光ダイオード)素子11を含む。光源部10は、光を集光照射する状態と、拡散照射する状態とを切り換えることができる。つまり、光源部10は、その配光を切り換え得る構成を有する。光源部10のより具体的な構成については後述する。
器具本体(筐体)20は、光源部10を収容する。器具本体20は、軽量で耐熱性に優れた材料から形成されていることが好ましい。器具本体20の材料として、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、金属材料(例えばアルミニウム合金)などを好適に用いることができる。光源部10は、器具本体20の前部に配置されており、光源部10の前部(後述する第1レンズ部および第2レンズ部)は、器具本体20から露出している。また、器具本体20の前部には、光源部10の前部を保護するための保護部材(レンズガード)25が取り付けられている。保護部材25は、金属材料(例えばチタン合金やステンレス合金など)から形成されている。
器具本体20の両側部に、光源部10の熱を放出するための放熱孔21が形成されている。器具本体20の後部に、接続ケーブル1が接続されている。器具本体20の下部には、三脚取付ボス26および支持部材27が取り付けられている。既に説明したように、投光器100は、携行しながら用いることが可能であるが、三脚取付ボス26に三脚を取り付けることにより、地面から所望の高さに据え置いて使用することができる。支持部材27は、投光器100を地面に置いたときに、光源部10の光軸が略水平となるように(つまり光が略水平に出射するように)設けられている。また、器具本体20の上部前側には、箱状の部分(以下では「ボックス部」と呼ぶ)20aが形成されている。ボックス部20aから後方かつ下方に延びる凸部20bが形成されている。器具本体20の上部後側には、ブザー28が配置されている。また、ここでは図示していないが、器具本体20の内部において光源部10の後方には、光源部10に供給される電流を制御するための制御基板が配置されている。
ハンドル30は、器具本体20の上部に配置されている。ハンドル30は、ユーザの手によって把持される。図示している例では、ハンドル30は、ハンドル部材(ハンドルバー)31と、器具本体20のボックス部20aから延びる凸部20bによって構成される。ハンドル部材31は、円筒状の部材であり、金属材料(例えばアルミニウム合金)や樹脂材料(例えばポリアセタール)から形成されている。ハンドル部材31の前端に、器具本体20の凸部20bが差し込まれている。ハンドル部材31の後端は、ブラケット29を介して器具本体20の後部に固定されている。ブラケット29は、例えばCFRPや、チタン合金、ステンレス合金などの金属材料から形成されている。
第1スイッチ40は、信号器に接続ケーブル1を介して信号を送信する操作を受け付ける。これに対し、第2スイッチ50は、光源部10の配光を切り換える操作を受け付ける。以下では、第1スイッチ40を「信号スイッチ」と呼び、第2スイッチ50を「配光切換スイッチ」と呼ぶこともある。
図示している例では、第1スイッチ40および第2スイッチ50のそれぞれは、いわゆる押しボタンスイッチである。押しボタンスイッチである第1スイッチ40は、図5に示すように、指等によって押圧される押しボタン部40aと、押しボタン部40aが押圧されるごとにオン状態とオフ状態とが切り替わるスイッチ機構部40bとを含む。第2スイッチ50も、同様に、押しボタン部50aとスイッチ機構部50bとを含む。なお、言うまでもないが、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、押しボタンスイッチに限定されない。例えば、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、タクタイルスイッチ、ロッカースイッチまたはトグルスイッチであってもよい。
第1スイッチ40および第2スイッチ50は、ハンドル30を把持した手の指が届く範囲内に配置されている。図示している例では、器具本体20の長手方向において、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、ハンドル30の前方に位置している。また、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、器具本体20の上部(より具体的にはボックス部20a)に配置されており、そのスイッチ機構部40bおよび50bはボックス部20aに収容されている。
信号表示灯60は、信号器への信号の送信に応じて点灯する。典型的には、信号表示灯60は、信号の送信に同期して点灯する。図示している例では、信号器への信号の送信に応じてブザー28も動作する。つまり、ブザー28は、信号の送信に応じて(典型的には同期して)ブザー音を発する。
信号表示灯60は、第1スイッチ40および第2スイッチ50の周辺に配置されている。図示している例では、器具本体20の長手方向において、信号表示灯60は、ハンドル30の前方に位置している。また、信号表示灯60は、器具本体20の上部(より具体的にはボックス部20a)に配置されている。上方から見たとき、信号表示灯60、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、仮想的な三角形の頂点に位置するように配置されている。図示している例では、器具本体20の長手方向において、第2スイッチ50が第1スイッチ40および信号表示灯60よりも前方に位置している。
図6から図9を参照しながら、光源部10の具体的な構成を説明する。図6、図7、図8および図9は、それぞれ光源部10を模式的に示す斜視図、正面図、側面図および上面図である。
光源部10は、図6から図9に示すように、複数のLED素子11、第1レンズ部12、第2レンズ部13およびヒートシンク部14を有する。
複数のLED素子11は、図7に示すように、正面方向から見たときに相対的に外側に位置する複数の(ここでは6つの)第1LED素子11aと、相対的に内側に位置する複数の(ここでは6つの)第2LED素子11bとを含む。なお、第1LED素子11aおよび第2LED素子11bの個数や配置は、図示している例に限定されるものではない。
第1レンズ部12は、複数の第1LED素子11aに対応する位置に配置された複数のレンズ(第1レンズ)12aを含む。第2レンズ部13は、複数の第2LED素子11bに対応する位置に配置された複数のレンズ(第2レンズ)13aを含む。第1レンズ部12および第2レンズ部13は、それぞれ樹脂材料またはガラス材料から形成されている。
ヒートシンク部14は、ベース部14aと、複数のフィン14bとを有する。ベース部14aは、第1レンズ部12および第2レンズ部13に接続されている。複数の(ここでは10枚の)フィン14bは、ベース部14aから後方に延びている。ヒートシンク部14は、金属材料(例えばアルミニウム合金)から形成されている。なお、フィン14bの個数や配置、形状等は、図示している例に限定されるものではない。
各LED素子11が発する光は、対応するレンズ(第1レンズ12aまたは第2レンズ13a)によって所望の指向性を与えられる。例示している光源部10では、第1レンズ12aの焦点距離と、第2レンズ13aの焦点距離とが異なっている。第2スイッチ50を操作すると、第1LED素子11aのみが点灯している状態と、第2LED素子11bのみが点灯している状態とを切り換えることができるので、光源部10の配光を切り換えることができる。第1レンズ12aおよび第2レンズ13aの焦点距離は、第1LED素子11aのみが点灯している状態が集光照射状態で第2LED素子11bのみが点灯している状態が拡散反射状態であるように設定されていてもよいし、その逆でもよい。
第1LED素子11aと第2LED素子11bとは、互いに発光色が同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1LED素子11aの発光色と第2LED素子11bの発光色とが異なっていると、配光の切り替えの際に光源部10の発光色も切り替えることができる。第1LED素子11aの発光色と第2LED素子11bの発光色とが異なる構成としては、例えば、第1LED素子11aおよび第2LED素子11bの一方の発光色が白で、他方の発光色が黄である構成を採用することができる。煙が充満している空間内では、発光色によって視認性が異なる(例えば白色光よりも黄色の光の方が視認性が高い)ので、光源部10の発光色を切り換えることにより、作業性のいっそうの向上を図ることができる。
図10を参照しながら、信号器の一例を説明する。図10は、信号器200を模式的に示す側面図である。
図10に示す信号器200は、接続ケーブル1を介して投光器100に接続されている。また、信号器200は、別の接続ケーブル2を介して商用電源または発電機に接続されている。従って、投光器100は、信号器200を介して外部電源(商用電源または発電機)から電力を供給されるといえる。外部電源から電力の供給を行うことにより、投光器100を長時間(消防活動に必要な所望の時間)使用することができる。
信号器200は、信号器本体201、ハンドル202、第3スイッチ(信号スイッチ)203、信号表示灯204、ブザー205および電源ユニット206を備える。
信号器本体201は、その内部にブザー205および電源ユニット206を収容する。信号器本体201の上部に、ハンドル202が設けられている。
第3スイッチ203は、投光器100に接続ケーブル1を介して信号を送信する操作を受け付ける。図示している例では、第3スイッチ203は、信号器本体201の上部に配置されている。
信号表示灯204は、投光器100への信号の送信に応じて点灯する。典型的には、信号表示灯204は、信号の送信に同期して点灯する。図示している例では、投光器100への信号の送信に応じてブザー205も動作する。つまり、ブザー205は、信号の送信に応じて(典型的には同期して)ブザー音を発する。
電源ユニット206は、商用電源や発電機から供給される電流・電圧に対し、必要に応じて整流や昇圧、降圧等を行う。
上述したように、本実施形態における投光器100では、第1スイッチ(信号スイッチ)40および第2スイッチ(配光切換スイッチ)50が、ハンドル30を把持した手(以下では「持ち手」と呼ぶ)の指が届く範囲内に配置されている。そのため、信号の送信および配光の切り替えのそれぞれを、持ち手での片手操作により行うことができる。そのため、ハンドル30を把持していない方の手を空けたり、投光器100を地面に置いたりする必要がない。このように、本実施形態によれば、投光器100の操作性を向上させることができる。
ここで、「持ち手の指の届く範囲」は、成人の平均的な手の大きさ(指の長さ)に基づいて設定され得る。本実施形態で例示した構成では、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、ハンドル30の前方に位置している。この場合、「持ち手の指の届く範囲」とは、例えば、ハンドル30の前端30fe(図3参照)から50mm以内の範囲である(図示している例ではハンドル部材31の前端から80mm以内の範囲である)。
なお、ここではハンドル30がハンドル部材31と容器本体20から延びる凸部20bとから構成される例を示したが、ハンドル30の構成はこれに限定されない。ハンドル30は、3つ以上の部材から構成されてもよいし、単一の部材であってもよい。
ハンドル30を把持する際の手の姿勢を考慮すると、第1スイッチ40および第2スイッチ50の操作は、親指で行うことが好ましい。本実施形態のように、器具本体20の長手方向において、第1スイッチ40および第2スイッチ50がハンドル30の前方に位置していると、親指での操作が容易である。
親指での操作の容易さの観点からは、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、ハンドル30の軸線30a(図4参照)から大きく離れていないことが好ましく、言い換えると、実質的にハンドル30の軸線30a上に位置していることが好ましい。
また、本実施形態では、信号表示灯60が、第1スイッチ40および第2スイッチ50の周辺に配置されている。このことにより、信号表示灯60の視認が容易となる。これに対し、特許文献1の投光器では、表示灯が投光器本体の側面に配置されているので、表示灯をユーザが視認できない(つまり表示灯がユーザの死角に入ってしまう)おそれがある。
視認の容易さの観点からは、器具本体20の長手方向において、信号表示灯60は、ハンドル30の前方に位置していることが好ましい。信号表示灯60がハンドル30の前方に位置していると、ハンドル30を把持している手によって信号表示灯60が隠れることがない。
なお、第1スイッチ40、第2スイッチ50および信号表示灯60の配置は、図示した例に限定されるものではない。例えば、第1スイッチ40と第2スイッチ50の位置が入れ替わってもよいし、信号表示灯60と第1スイッチ40または第2スイッチ50の位置が入れ替わってもよい。視認の容易さの観点からは、器具本体20の長手方向において、信号表示灯60が第1スイッチ40および第2スイッチ50よりも前方に位置する配置(図示している第2スイッチ50の位置に信号表示灯60が配置された構成)が好ましいといえる。
言うまでもないが、消防活動は放水作業を伴うため、投光器100は頻繁に被水する。そのため、投光器100は、高い防水性を有することが好ましい。第1スイッチ40および第2スイッチ50と、光源部10に供給される電流を制御する制御基板とは、離れた位置に配置され得るので、投光器100は、少なくとも2つの防水区画を有することが好ましい。
図11に、投光器100が有する防水区画の例を示す。図11に示す例では、投光器100は、3つの防水区画WC1、WC2およびWC3を有する。
防水区画WC1、WC2およびWC3のうちの第1防水区画WC1は、器具本体20のボックス部20aに対応する領域であり、第1スイッチ40、第2スイッチ50および信号表示灯60が配置されている。第2防水区画WC2は、器具本体20の後部に対応する領域であり、ブザー28および不図示の制御基板が配置されている。第3防水区画WC3は、器具本体20の前部に対応する領域であり、光源部10が配置されている。なお、防水区画を実現するための具体的な手法については、公知の手法を用いることができるので、ここではその説明を省略する。
図11に示した例のように、1つの防水区画(ここでは第1防水区画WC1)に第1スイッチ40および第2スイッチ50の両方を配置することにより、投光器100全体での防水区画の数を比較的少なくすることができる。
上述したように、本発明の実施形態による消防用投光器100は、信号器200に接続ケーブル1を介して接続される消防用投光器100であって、光源部10と、光源部10を収容する器具本体20と、器具本体20の上部に配置されユーザの手によって把持されるハンドル30と、信号器200に接続ケーブル1を介して信号を送信する操作を受け付ける第1スイッチ40と、光源部10の配光を切り換える操作を受け付ける第2スイッチ50と、を備え、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、ハンドル30を把持した手の指が届く範囲内に配置されている。
本発明の実施形態による消防用投光器100では、第1スイッチ40および第2スイッチ50が、ハンドル30を把持した手の指が届く範囲内に配置されている。そのため、信号の送信および配光の切り替えのそれぞれを、ハンドル30を把持した方の手での片手操作により行うことができる。それ故、ハンドル30を把持していない方の手を空けたり、消防用投光器100を地面に置いたりする必要がない。このように、本発明の実施形態によれば、消防用投光器100の操作性を向上させることができる。
ある実施形態では、器具本体20の長手方向において、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、ハンドル30の前方に位置している。
ハンドル30を把持する際の手の姿勢を考慮すると、第1スイッチ40および第2スイッチ50の操作は、親指で行うことが好ましい。器具本体20の長手方向において、第1スイッチ40および第2スイッチ50がハンドル30の前方に位置していると、親指での操作を容易に行うことができる。
ある実施形態では、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、実質的にハンドル30の軸線30a上に位置している。
親指での操作の容易さの観点からは、第1スイッチ40および第2スイッチ50は、ハンドル30の軸線30aから大きく離れていないことが好ましく、言い換えると、実質的にハンドル30の軸線30a上に位置していることが好ましい。
ある実施形態では、消防用投光器100は、信号器200への信号の送信に応じて点灯する信号表示灯60をさらに備え、信号表示灯60は、第1スイッチ40および第2スイッチ50の周辺に配置されている。
消防用投光器100が、信号器200への信号の送信に応じて点灯する信号表示灯60をさらに備えている場合、信号表示灯60が、第1スイッチ40および第2スイッチ50の周辺に配置されていると、信号表示灯60の視認が容易となる。
ある実施形態では、器具本体20の長手方向において、信号表示灯60は、ハンドル30の前方に位置している。
視認の容易さの観点からは、器具本体20の長手方向において、信号表示灯60は、ハンドル30の前方に位置していることが好ましい。信号表示灯60がハンドル30の前方に位置していると、ハンドル30を把持している手によって信号表示灯60が隠れることがない。
ある実施形態では、器具本体20の長手方向において、信号表示灯60が第1スイッチ40および第2スイッチ50よりも前方に位置する。
視認の容易さの観点からは、器具本体20の長手方向において、信号表示灯60が第1スイッチ40および第2スイッチ50よりも前方に位置することが好ましい。
ある実施形態では、消防用投光器100は、少なくとも2つの防水区画を有する。
第1スイッチ40および第2スイッチ50と、光源部10に供給される電流を制御する制御基板とは、離れた位置に配置され得るので、消防用投光器100は、少なくとも2つの防水区画を有することが好ましい。
ある実施形態では、少なくとも2つの防水区画のうちの1つの防水区画WC1に、第1スイッチ40および第2スイッチ50の両方が配置されている。
1つの防水区画WC1に、第1スイッチ40および第2スイッチ50の両方が配置されていると、消防用投光器100全体での防水区画の数を比較的少なくすることができる。
ある実施形態では、消防用投光器100は、外部電源から電力を供給される。
本発明の実施形態は、外部電源から電力を供給される消防用投光器100に好適に用いられる。外部電源から電力の供給を行うことにより、消防用投光器100を長時間(消防活動に必要な所望の時間)使用することができる。