JP6975440B2 - 二種混合気体の濃度測定装置 - Google Patents
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共振周波数が接する気体の分子量に比例する振動子と、
前記振動子の出力が入力され、既知の二種の気体から成る混合気体の分子量に比例する共振周波数に基づいて、前記混合気体の未知の濃度に関する情報を測定する測定部と、
を有する二種混合気体の濃度測定装置に関する。
前記測定部は記憶部を含み、
前記記憶部には、互い異なる既知の濃度である複数種の前記混合気体について測定された前記共振周波数と、前記既知の濃度に関する情報との相関を示す検量線が記憶され、
前記測定部は、前記未知の濃度である前記混合気体について取得された前記共振周波数と前記検量線とに基づいて、前記未知の濃度に関する情報を測定することができる。
前記混合気体の温度を測定する温度センサーをさらに有し、
前記記憶部には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定された前記検量線から成る温度依存の複数種の検量線が記憶され、
前記測定部は、前記温度センサーの出力に基づいて前記複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、前記未知の濃度に関する情報を測定することができる。
前記混合気体の圧力を測定する圧力センサーをさらに有し、
前記記憶部には、標準圧力で測定された前記複数種の検量線が記憶され、
前記測定部は、前記圧力センサーで測定された圧力に基づき、前記一又は複数の検量線に基づいて特定される前記未知の濃度に関する情報を補正することができる。
前記混合気体が導入される空間を高真空に排気する排気部をさらに有し、前記圧力センサーを、高真空時の測定圧力に基づき0点補正することができる。測定前に圧力センサーを0点補正しておけば測定精度を高めることができ、しかも0点補正は高真空引きで実現できるので、真空引きせずに0点補正する場合に比べて短時間に行うことができる。
前記二種の気体の一方を水蒸気とすることができる。こうすると、水蒸気の濃度に関する情報として水分量や湿度等を測定することができる。
前記二種の気体の一方が乾燥空気であり、前記二種の気体の他方は前記乾燥空気に含まれる気体以外の気体とすることができる。こうすると、空気中に混入した各種気体の濃度等を測定することができる、用途が拡大する。
前記振動子は、音叉型水晶振動子及び双音叉型水晶振動子のいずれかとすることができる。音叉型水晶振動子及び双音叉型水晶振動子は、他の振動子例えばNカット振動子及びATカット振動に比べて、分子量に比例する共振周波数変化率が大きく、測定精度が高まるからである。
本発明に従って既知の二種の気体から成る混合気体の濃度を測定する概要について説明する。図1は、横軸が気体の分子量(g/mol)であり、縦軸が振動子の共振周波数(Hz)であり、気体の分子量と共振周波数との比例関係を示している。
C=A×a+B×b…(1)
a+b=1…(2)
と表すことができる。分子量A,Bが既知であれば、共振周波数ωcから分子量Cが測定されれば、その分子量C自体が混合気体の濃度に関する情報となり得る。なぜなら、
a=(C−B)/(A−B)…(3)
b=(C−A)/(B−A)…(4)
混合比=a/bまたは混合比=b/a…(5)
と示されるように、濃度を表すモル分率や混合比は分子量A,B,Cにより算出できるからである。また、各式(3)〜(5)を算出して、モル分率a,b及び/又は混合比を求めることができる。分子量A,B,Cの代わりに、それに対応する共振周波数ωa、ωb、ωcを用いて式(3)〜(5)を算出しても良い。以上のことから、図2の特性図から、混合気体について測定された共振周波数から、混合気体の分子量、モル分率a,b及び/又は混合比(これらを濃度に関する情報と言う)を求めることができる。
本発明は例えば図1に示す各種の単一気体H2,He,Ne,N2,O2,Arのうちの任意の二種から成る混合気体の濃度の算出に適用できることに加えて、混合気体には空気(大気)等の多成分系混合気体を含めることができる。空気(大気)の成分を大まかに言えば、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素と水蒸気であり、水蒸気以外の気体を乾燥空気として扱うと、空気(大気)は水蒸気と乾燥空気(いずれも既知)の混合気体といえる。従って、空気(大気)は乾燥空気と水蒸気の二成分系とみなし、大気に含まれる水蒸気の濃度に関する情報である湿度を測定することができる。
湿度(%RH)
=100×(空気中の水蒸気の分圧)/(その温度の飽和水蒸気圧)…(6)
と定義される。水の飽和水蒸気圧は温度t(℃)のみに依存し、他のガス(空気)の存在や全体の圧力に係わらず、精確な温度を計測できれば、Tetens(1930)である次式で算出できる。
水の飽和蒸気圧E(t)=6.11×10α
α=7.5t/(t+237.3)
混合比=(水蒸気質量)/(乾燥空気質量)…(7)
である。
水蒸気(H2O)分子量=1+16=18g/mol
空気の平均分子量をN2(78%)とO2(21%)とAr(1%)とで求めると、
空気の平均分子量= N2(22×0.78)
+O2(32×0.21)
+Ar(40×0.01)=28.96g/mol
よって、(水蒸気の分子量)/(乾燥空気の平均分子量)=18/28.96
=0.622
となる。
混合比=0.622×(水蒸気分圧)/(乾燥空気分圧)…(8)
この混合比は湿度によって変化するものであり、水蒸気分圧と乾燥空気分圧(全圧−水蒸気分圧)とが求まれば、式(8)からも混合比が求められることが分かる。
上記実施形態では一方の気体が水蒸気であったが、水蒸気を含まない混合気体についても同様にして濃度に関する情報(モル分率、混合比、分圧など)を算出することができる。測定対象の混合気体が、互いに異なる第1気体と第2気体から成るものとする。少なくとも一方の気体は、乾燥空気のように種類と濃度が既知である複数成分系の気体であっても良い。
混合比=(第1気体質量)/(第2気体質量)…(9)
混合比=係数×(第1気体分圧)/(第2気体分圧)
ただし、係数=(第1気体分子量)/(第2気体分子量)…(10)
となる。
4.1.センサー部
図6は、気体の濃度測定装置のセンサー部10の概略断面図である。図5において、センサー部10は振動子例えば双音叉型水晶振動子12を含む。振動子12は、従来技術に示したような高分子膜等は形成されない。ただし、振動子に形成される電極である例えばクロムの酸化やAuのピンホールへの水分吸着により生ずる周波数ずれを防ぐために、薄く緻密な例えばSiO2から成る保護膜はあっても良い。センサー部10は、さらに、温度センサー14と圧力センサー16とを含むことができる。圧力センサー16は、振動子12の共振周波数が気体の分子量に比例する大気圧近傍の粘性流領域の圧力を測定するため、大気圧センサーで構成することができる。
このセンサー部10は、共振周波数で屈曲振動している水晶振動子に被測定気体が衝突することによって計測が可能で、吸着、反応を伴わずに計測できる。従って、測定原理が非常に簡便で、応答も早く、センサー部10の振動子12は数μW以下のパワーで室温にて動作し、被測定気体への影響はほとんど無視できる。
図7は、センサー部10を含む気体の濃度測定装置100のブロック図である。図7において、濃度測定装置100は、測定対象の混合気体が導入される例えば配管110にセットされるセンサー部10と、センサー部10と接続された測定部40とを含む。センサー部10のフィルター20は配管110の混合気体と接触して排他される。センサー部10の振動子12は、発振器(OSC)から成る駆動部30により駆動される。振動子12からの出力周波数は、例えば分周器32により例えば1/64に分周することができる。真空ポンプ34は、配管110を高真空引きして、高真空時の圧力により圧力センサー16の0点補正を行うことができる。
図8は、固有共振周波数ω0で正規化された共振周波数変化率(ω-ω0)を、各種振動子について示したものである。この中で音叉型水晶振動子が最も大きい周波数変化率を示し、周波数による混合気体の濃度を分別するセンサーとして最も適していることが分る。また、音叉型水晶振動子の中でも、双音叉型水晶振動子が濃度測定により適していることが分かった。
Claims (8)
- 共振周波数が、吸着される水分子と反応する高分子膜を介在させることなく接する気体の分子量に比例する振動子と、
前記振動子の出力が入力され、既知の二種の気体から成る混合気体の分子量に比例する共振周波数に基づいて、前記混合気体の未知の濃度に関する情報を測定する測定部と、
を有し、
前記二種の気体の一方が乾燥空気であり、前記二種の気体の他方は水蒸気であり、前記混合気体の未知の濃度は前記混合気体の未知の湿度であることを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。 - 請求項1において、
前記測定部は記憶部を含み、
前記記憶部には、圧力及び温度が一定の下で、湿度を変化させて前記混合気体について測定された前記共振周波数と、前記湿度との相関を示す検量線が記憶され、
前記測定部は、前記未知の湿度である前記混合気体について取得された前記共振周波数と前記検量線とに基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。 - 請求項1において、
前記混合気体の温度を測定する温度センサーをさらに有し、
前記測定部は、前記温度センサーで測定される温度の依存する飽和水蒸気圧と、前記共振周波数に依存する前記混合気体中の水蒸気の分圧とに基づいて、湿度(%)=(前記水蒸気の分圧)/(前記飽和水蒸気圧)から前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。 - 請求項3において、
前記測定部は記憶部を含み、
前記記憶部には、圧力及び温度が一定の下で、湿度を変化させて前記混合気体について測定された前記共振周波数と、前記水蒸気の分圧との相関を示す検量線が記憶され、
前記測定部は、前記未知の湿度である前記混合気体について取得された前記共振周波数と前記検量線とに基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。 - 請求項2において、
前記混合気体の温度を測定する温度センサーをさらに有し、
前記記憶部には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定された前記検量線から成る温度依存の複数種の検量線が記憶され、
前記測定部は、前記温度センサーの出力に基づいて前記複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。 - 請求項4において、
前記記憶部には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定された前記検量線から成る温度依存の複数種の検量線が記憶され、
前記測定部は、前記温度センサーの出力に基づいて前記複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。 - 請求項5または6において、
前記混合気体の圧力を測定する圧力センサーをさらに有し、
前記記憶部には、標準圧力で測定された前記複数種の検量線が記憶され、
前記測定部は、前記圧力センサーで測定された圧力に基づき、前記一又は複数の検量線に基づいて特定される前記未知の湿度を補正することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。 - 請求項7において、
前記混合気体が導入される空間を高真空に排気する排気部をさらに有し、
前記圧力センサーは、高真空時の測定圧力に基づき0点補正されることを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
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