JP6975440B2 - 二種混合気体の濃度測定装置 - Google Patents

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本発明は、二種混合気体の濃度測定装置等に関する。
水晶振動子式水分センサーとして、水晶振動子基板に感湿性高分子膜を形成し、水分量に応じた重量変化を周波数値から検知する方法の水分センサーが製品化されている。
従来の技術としては、特許文献1に「水晶振動子の表面に2−ヒドロキシエチルメタクリレートのプラズマ重合体を形成した湿度センサー」が開示されている。特許文献2には、「水晶振動子の表面に、アルコキシ基含有有機ケイ素化合物の重合膜を形成した湿度センサー」が開示されている。特許文献3には、「水溶性無機ハロゲン塩、親水性重合体及び水溶性有機溶媒よりなるドープ液を水晶振動子の電極表面に塗布した後、水表面と接触ゲル化させ、乾燥する湿度センサー」が開示されている。特許文献4には、「水晶振動子表面に高架橋ポリビニルアルコール系樹脂膜を形成した湿度センサー」が開示されている。特許文献5には、「水晶振動子表面にポリエーテルスルホン感湿膜を形成した湿度センサー」が開示されている。特許文献6には、水晶振動子の電極表面に、セルロース高分子に疎水性長鎖を付加し、セルロースの水酸基を長鎖脂肪酸でエステル化するとともに、展開溶液をクロロホルム溶液に溶かし、10〜20℃の純粋上に展開して作製したセルロース誘導体の単分子膜を水平に累積して層状に固定化した湿度センサー」がかいじされている。特許文献7には、「水晶振動子基板に、カチオン性高分子膜とアニオン性高分子膜が1層から複数層交互に積層された湿度センサー」が開示されている。特許文献8には、「水晶振動子基板に感湿膜を形成したセンサーにおいて、水分吸着剤等で処理して含有する水分を測定限界値以下の一定値まで常時除去した乾燥ガスと試料ガスを交互に測定セルに導入し、感湿膜に吸着した水分を除去して、微量水分を計測する水分測定法」が開示されている。特許文献9には、「2種類の混合気体の濃度測定において、混合気体の物性値に敏感な圧力測定装置と混合気体の物性値に影響を受けない圧力測定装置で構成され、二つの圧力測定装置の圧力出力から混合気体の濃度を計測方法」が開示されている。特許文献10には、「大気中に漏洩した水素検知の方法として、大気圧センサー(隔膜真空計)と水晶摩擦真空計の二つの真空計の出力から水素ガスの漏洩を検知する方法」が開示されている。水晶振動子以外に製品化されている五酸化リン式水分計は五酸化二リンに吸収された水分を電気分解し、ファラデーの法則に基ついて電気量の測定から水分量を求めている。また静電容量式水分計はコンデンサの電極間に誘電体として働く吸湿性の素材を置き、水分吸着に伴って起きる誘電体の変化を、静電量の変化としてとらえ水分量を求めている。
特公平5−75256号公報 特許第2870862号公報 特許第2759816号公報 特許第2773293号公報 特開平5−75256号公報 特許第2969264号公報 特開2008−249511号公報 特開平6−167436号公報 特許第3336384号公報 特許第4078422号公報
上記の特許文献1〜7、及び現在製品化されている五酸化リン式水分計、静電容量式水分計の従来技術は、いずれも水晶振動子基板に感湿性の高い高分子膜を形成し、吸着した水分量を水晶振動子の共振周波数の変化として計測している。この方法による最大の欠点は、高分子膜と水分が飽和するまでの反応時間が必要で、微量水分量の計測では長時間となり、応答速度が非常に長くなる。また微量水分の計測では、特許文献8に記載されているように高分子膜に吸着した水分除去処理に長時間を要し、測定精度と測定時間に問題があった。特許文献9の従来技術は、2種類の混合気体の濃度測定において、混合気体の物性値に敏感な圧力測定装置と混合気体の物性値に影響を受けない圧力測定装置で構成され、二つの圧力測定装置の圧力出力から混合気体の濃度を計測する技術である。この方法では二つの圧力測定装置が必須で、二つの圧力測定器の精度が最少検出濃度0.5%が限界である。
特許文献10は、水素ガス検知に水晶摩擦真空計を使用しており、出力は水素ガスの粘性係数と分子量の1/2乗に相関した水晶振動子の共振インピーダンス変化として検知している。水晶摩擦真空計では、高インピーダンスの計測が要求されるため、制御が容易な電圧に増幅する高精度プリアンプドライブ回路のアナログ回路が必須のためノイズの影響が大きくなる。このノイズ量は大気圧において出力電圧の0.2%程度となり、従って、最小水素検知量は水晶摩擦真空計では0.5%が限界である。
半導体製造分野では、材料ガス中の微量水分(1ppm)の混入がデバイスの性能や歩留まりに影響することが知られている。また燃料電池自動車のインフラとなる水素ステーションの水素ガス中の微量水分が配管やバルブ等の不具合の要因が懸念される現状と、湿度計測においても高精度で、応答速度の速いセンサーが要求されている。
本発明は、上記の問題を解決するため、非常に簡便・小型で、測定対象の気体自身の反応をほとんど無視でき、応答速度の速い高精度の二種混合気体の濃度測定装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様は、
共振周波数が接する気体の分子量に比例する振動子と、
前記振動子の出力が入力され、既知の二種の気体から成る混合気体の分子量に比例する共振周波数に基づいて、前記混合気体の未知の濃度に関する情報を測定する測定部と、
を有する二種混合気体の濃度測定装置に関する。
本発明の一態様によれば、共振周波数から混合気体の分子量が分かれば、既知の二種成分の気体から成る混合気体の未知の濃度に関する情報を算出することができる。濃度に関する情報とは、モル分率、混合比、分圧、分子量、水蒸気であれば湿度等である。また、共振周波数で振動している振動子に混合気体が衝突することによって計測が可能であり、気体の吸着、反応を伴わずに計測できる。従って、測定原理が非常に簡便で、応答も早いとい効果がある。
(2)本発明の一態様では、
前記測定部は記憶部を含み、
前記記憶部には、互い異なる既知の濃度である複数種の前記混合気体について測定された前記共振周波数と、前記既知の濃度に関する情報との相関を示す検量線が記憶され、
前記測定部は、前記未知の濃度である前記混合気体について取得された前記共振周波数と前記検量線とに基づいて、前記未知の濃度に関する情報を測定することができる。
こうすると、測定された共振周波数と検量線とから、未知の濃度である混合気体の濃度に関する情報を求めることが可能となる。
(3)本発明の一態様では、
前記混合気体の温度を測定する温度センサーをさらに有し、
前記記憶部には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定された前記検量線から成る温度依存の複数種の検量線が記憶され、
前記測定部は、前記温度センサーの出力に基づいて前記複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、前記未知の濃度に関する情報を測定することができる。
測定時に一定温度が維持されない場合には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定して温度依存の複数種の検量線を取得しておく。そして、温度センサーの出力(測定温度)に基づいて複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、未知の濃度に関する情報を測定することができる。測定温度の前後の温度と対応する2つの検量線を用いる場合には、2つの検量線からデータ補間することができる。
(4)本発明の一態様では、
前記混合気体の圧力を測定する圧力センサーをさらに有し、
前記記憶部には、標準圧力で測定された前記複数種の検量線が記憶され、
前記測定部は、前記圧力センサーで測定された圧力に基づき、前記一又は複数の検量線に基づいて特定される前記未知の濃度に関する情報を補正することができる。
測定時に一定圧力が維持されない場合には、圧力センサーにより混合気体の圧力を測定する。そして、予め標準圧力で測定された検量線に基づいて特定される未知の濃度に関する情報を、(測定圧力)/(標準圧力)の係数を乗算して補正することができる。
(5)本発明の一態様では、
前記混合気体が導入される空間を高真空に排気する排気部をさらに有し、前記圧力センサーを、高真空時の測定圧力に基づき0点補正することができる。測定前に圧力センサーを0点補正しておけば測定精度を高めることができ、しかも0点補正は高真空引きで実現できるので、真空引きせずに0点補正する場合に比べて短時間に行うことができる。
(6)本発明の一態様では、
前記二種の気体の一方を水蒸気とすることができる。こうすると、水蒸気の濃度に関する情報として水分量や湿度等を測定することができる。
(7)本発明の一態様では、
前記二種の気体の一方が乾燥空気であり、前記二種の気体の他方は前記乾燥空気に含まれる気体以外の気体とすることができる。こうすると、空気中に混入した各種気体の濃度等を測定することができる、用途が拡大する。
(8)本発明の一態様では、
前記振動子は、音叉型水晶振動子及び双音叉型水晶振動子のいずれかとすることができる。音叉型水晶振動子及び双音叉型水晶振動子は、他の振動子例えばNカット振動子及びATカット振動に比べて、分子量に比例する共振周波数変化率が大きく、測定精度が高まるからである。
振動子の共振周波数が、粘性流領域において振動子に衝突する気体分子の分子量に比例することを示す特性図である。 図1中の任意の二種の気体の各分子量と、その二種の気体から成る混合気体の分子量とから未知の濃度が求められることを示す特性図である。 湿度変化によって大気の分子量が変化することを示す特性図である。 共振周波数と水蒸気分圧及びモル分率との相関を示す特性図である。 湿度と水蒸気分圧との相関の温度依存性を示す特性図である。 混合気体の濃度測定装置に用いられるセンサー部の一例を示す図である。 混合気体の濃度測定装置のブロック図である。 共振周波数ωで正規化された周波数変化率(ω-ω)を、各種振動子について示した特性図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.本発明の概要
本発明に従って既知の二種の気体から成る混合気体の濃度を測定する概要について説明する。図1は、横軸が気体の分子量(g/mol)であり、縦軸が振動子の共振周波数(Hz)であり、気体の分子量と共振周波数との比例関係を示している。
ここで、本発明は、振動子例えば水晶振動子の共振周波数が、大気圧近傍の圧力(粘性流領域)において、振動子に衝突する気体分子の分子量に比例することを利用している。共振周波数から混合気体の分子量が分かれば、既知の二種成分の気体から成る混合気体の濃度が判明するのが、本発明による濃度の測定原理である。
実際には、水晶振動子の共振周波数ωの変化Δω=(ω−ω)が固有共振周波数ωで正規化された(Δω/ωまたは−Δω/ω)が、大気圧近傍の粘性流領域である高圧力では気体の分子量Mに比例することを利用しており、固有共振周波数ωが既知であることから、図1に示すように気体種によって共振周波数ωが変化する特性図を取得することができる。
図1には、振動子に衝突する各種気体分子の分子量に比例する振動子の共振週数が示されている。図2は、図1に示す任意の二種の気体分子の分子量A,B(既知)に加えて、その二種の気体から成る混合気体の分子量Cが、測定される共振周波数ωcから判明すれば、濃度に関する情報が判明することを示している。
図2において、分子量Cは、分子量A(mol/g)の気体をモル分率a、分子量B(mol/g)の気体をモル分率bを含む。モル分率a,bは未知である。ここで、
C=A×a+B×b…(1)
a+b=1…(2)
と表すことができる。分子量A,Bが既知であれば、共振周波数ωcから分子量Cが測定されれば、その分子量C自体が混合気体の濃度に関する情報となり得る。なぜなら、
a=(C−B)/(A−B)…(3)
b=(C−A)/(B−A)…(4)
混合比=a/bまたは混合比=b/a…(5)
と示されるように、濃度を表すモル分率や混合比は分子量A,B,Cにより算出できるからである。また、各式(3)〜(5)を算出して、モル分率a,b及び/又は混合比を求めることができる。分子量A,B,Cの代わりに、それに対応する共振周波数ωa、ωb、ωcを用いて式(3)〜(5)を算出しても良い。以上のことから、図2の特性図から、混合気体について測定された共振周波数から、混合気体の分子量、モル分率a,b及び/又は混合比(これらを濃度に関する情報と言う)を求めることができる。
ここで、モル分率a,bの精度は、式(3)(4)の分母である(A−B)または(B−A)の分子量の差の値が大きいほど高いことが分かる。つまり、図1において、横軸の分子量の差が大きい気体同士を組み合わせた二種混合気体についてより精度高く濃度に関する情報を計測することができる。
2.湿度センサー
本発明は例えば図1に示す各種の単一気体H,He,Ne,N2,O,Arのうちの任意の二種から成る混合気体の濃度の算出に適用できることに加えて、混合気体には空気(大気)等の多成分系混合気体を含めることができる。空気(大気)の成分を大まかに言えば、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素と水蒸気であり、水蒸気以外の気体を乾燥空気として扱うと、空気(大気)は水蒸気と乾燥空気(いずれも既知)の混合気体といえる。従って、空気(大気)は乾燥空気と水蒸気の二成分系とみなし、大気に含まれる水蒸気の濃度に関する情報である湿度を測定することができる。
図3は、気温30℃において、大気中の湿度を変化させた時の圧力変化(水蒸気分圧の変化)を振動子の共振周波数として測定したものである。水蒸気と乾燥空気との二種混合気体である大気中の湿度を変化させた時、大気の平均的な分子量が変化は、水晶振動子の共振時の周波数として計測される。よって、未知の湿度である大気の分子量と比例する共振周波数が測定されれば、図3中の共振周波数と湿度との相関から湿度を算出することができる。
ここで、
湿度(%RH)
=100×(空気中の水蒸気の分圧)/(その温度の飽和水蒸気圧)…(6)
と定義される。水の飽和水蒸気圧は温度t(℃)のみに依存し、他のガス(空気)の存在や全体の圧力に係わらず、精確な温度を計測できれば、Tetens(1930)である次式で算出できる。
水の飽和蒸気圧E(t)=6.11×10α
α=7.5t/(t+237.3)
従って、湿度[%RH]は「その空気中の水蒸気分圧」が分れば計測でき、湿度の測定精度は本発明の湿度センサーの水蒸気分圧の測定精度と温度センサーの精度によって決定することができる。
混合気体(例えば水蒸気と乾燥空気)において、「分圧」とは各成分が同容積でその成分のみが存在したと仮定した場合の圧力であり、各成分の分圧の和が圧力(全圧)である。飽和水蒸気圧は、他の気体の存在や圧力に係らなく、温度のみに依存するが、水蒸気分圧は大気圧によって変化するため、圧力センサーによる補正が必要である。従って、本発明が適用される湿度センサーは、好ましくは応答速度の速い高精度の温度計と圧力センサーとを含み、水晶振動子の共振周波数と湿度との相関(図3)から求めることができる。
上述した図3は、恒温恒湿槽内に水晶振動子、温度センサー、圧力センサーを設置し、気温30℃及び圧力1010hPaにおいて、槽内の湿度を変化させたときの水晶振動子の共振周波数の変化を時間経過として表したものである。
図3から槽内の湿度変化によって、平均的な分子量MAir(28.966g/mol)が水分子の分子量MH2O(18.015g/mol)の増減によって槽内の平均的な分子量が変化し、それに伴い、水晶振動子の共振時の周波数変化が非常によく一致していることが分る。
図4は、横軸に計測可能な周波数、縦軸にモル分率(ppm)と水蒸気分圧(hPa)を示している。横軸の周波数は水蒸気圧1014hPa(1mol/mol)の時に32.762KHzにおいて、ソフトカウンタの手法により、9桁の周波数を0.5秒以下の時間で計測しており、最小モル分率:2.7ppm、最小水蒸気圧:0.01hPaを0.5秒以下の応答速度で検知できることを示している。湿度計測では、図3に示す30℃における湿度測定(周波数20〜180mHz)は、図4に示すように水晶振動子の共振周波数範囲のほんの一部を使用していることが分る。
このように、例えば図4を検量線として記憶しておけば、振動子により計測された共振周波数から水蒸気圧やモル濃度を求めることができる。図4から水蒸気圧が求まれば、式(6)から湿度を求めても良いし、図4の共振周波数−湿度の検量線から湿度を求めても良い。また、水蒸気のモル濃度は、式(3)または(4)を演算しなくても、図3の共振周波数−モル濃度の検量線から求めることもできる。
ここで、乾燥空気に対する水蒸気の混合比は、
混合比=(水蒸気質量)/(乾燥空気質量)…(7)
である。
質量比を、圧力比に換算するには、分子量の違いを補正値として乗ずる必要がある。
水蒸気(HO)分子量=1+16=18g/mol
空気の平均分子量をN(78%)とO(21%)とAr(1%)とで求めると、
空気の平均分子量= N(22×0.78)
+O(32×0.21)
+Ar(40×0.01)=28.96g/mol
よって、(水蒸気の分子量)/(乾燥空気の平均分子量)=18/28.96
=0.622
となる。
以上より、式(6)は次の通り変形される。
混合比=0.622×(水蒸気分圧)/(乾燥空気分圧)…(8)
この混合比は湿度によって変化するものであり、水蒸気分圧と乾燥空気分圧(全圧−水蒸気分圧)とが求まれば、式(8)からも混合比が求められることが分かる。
上述した通り、共振周波数の測定から式(3)〜式(5)に従いモル分率や混合比が求められるので、図3から図4の特性図が求まることが分かる。よって、図3及び/又は図4の特性を予め検量線として記憶させておき、成分が既知で未知の濃度の混合気体の分子量に比例する共振周波数を求めれば、図3及び/又は図4の検量線から、湿度、水蒸気のモル濃度または水蒸気分圧等の濃度に関する情報を測定することができる。
ここで、測定空間での温度または圧力が変動する場合には、補正が必要である。図5に示すように水蒸気分圧は温度により異なるからである。そこで、図3または図4に示す検量線は、所定温度毎に複数種用意しておき、測定された温度により複数の中から検量線を選択し、あるいは測定された温度の前後の温度に対応する2つの検量線から補間して、正しい湿度、モル分率または水蒸気分圧等を測定することができる。
一方、圧力センサーで測定される大気圧は、上述の通り水蒸気分圧と比例関係にある。そこで、検量線は、例えば基準温度(例えば25℃)でかつ標準圧力(例えば1014hPa)における周波数と水蒸気分圧の関係で作成し、圧力センサーの出力である測定圧力(全圧)で水蒸気分圧を補正することができる。つまり、(測定圧力)/(標準圧力)=αの係数を乗算することで、水蒸気分圧を補正することができる。例えば、大気圧センサーの出力が1020hPaであれば、標準圧力での検量線で求まる水蒸気分圧の値に1.006(=1020/1014)を乗算して補正することになる。
3.水蒸気以外の気体から成る混合気体の濃度
上記実施形態では一方の気体が水蒸気であったが、水蒸気を含まない混合気体についても同様にして濃度に関する情報(モル分率、混合比、分圧など)を算出することができる。測定対象の混合気体が、互いに異なる第1気体と第2気体から成るものとする。少なくとも一方の気体は、乾燥空気のように種類と濃度が既知である複数成分系の気体であっても良い。
この場合、上述した式(7)(8)と同様に、
混合比=(第1気体質量)/(第2気体質量)…(9)
混合比=係数×(第1気体分圧)/(第2気体分圧)
ただし、係数=(第1気体分子量)/(第2気体分子量)…(10)
となる。
この場合に取得される検量線は、図2のように分子量−共振周波数の相関を示す検量線、図3のように一方の気体分圧を本化させた時に測定される共振周波数を示す検量線、図3を変形して得られる図4のようなモル分率または分圧と共振周波数との相関を示す検量線等とすることができる。
上述した検量線は、標準圧力でかつ基準温度のもとで計測される。測定時に基準温度が維持されない場合には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定して温度依存の複数種の検量線を取得しておく。そして、温度センサーの出力に基づいて複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、上記と同様にして未知の濃度に関する情報を測定することができる。
また、測定時に一定圧力が維持されない場合には、圧力センサーにより混合気体の圧力を測定する。そして、予め標準圧力で測定された検量線に基づいて特定される未知の濃度に関する情報を、(測定圧力)/(標準圧力)の係数を乗算して補正することができる。
4.気体の濃度測定装置
4.1.センサー部
図6は、気体の濃度測定装置のセンサー部10の概略断面図である。図5において、センサー部10は振動子例えば双音叉型水晶振動子12を含む。振動子12は、従来技術に示したような高分子膜等は形成されない。ただし、振動子に形成される電極である例えばクロムの酸化やAuのピンホールへの水分吸着により生ずる周波数ずれを防ぐために、薄く緻密な例えばSiOから成る保護膜はあっても良い。センサー部10は、さらに、温度センサー14と圧力センサー16とを含むことができる。圧力センサー16は、振動子12の共振周波数が気体の分子量に比例する大気圧近傍の粘性流領域の圧力を測定するため、大気圧センサーで構成することができる。
これら振動子12及びセンサー14,16は、フィルター例えば焼結体フィルター20で囲まれた領域に配置することができる。フィルター20は、気体は通過させるがゴミ等の不純物の流通を妨げ、振動子12及びセンサー14,16の保護カバーとしても機能する。
これら振動子12、センサー14,16及びフィルター20は、端子部22に保持され、振動子12及びセンサー14,16の出力は端子ピンに接続されて外部に出力することができる。端子部22にはヒーター24を設けることができる。ヒーター24により、振動子12及びセンサー14,16による測定領域の温度を制御することができる。
このセンサー部10は、径20mm×長さ40〜60mm程度に小さく、ガス供給ラインに直接取り付けて、リアルタイムでの水分量の計測が可能である。従来、水晶振動子基板に感湿性高分子膜を形成し、水分量に応じた重量変化を周波数値から検知する方法の水分センサーが製品化されているが、水分子と高分子膜との反応時間が水分が微量になるほど長時間を要し、水分センサーの応答速度と精度に難点があることが指摘されている。
このセンサー部10は、共振周波数で屈曲振動している水晶振動子に被測定気体が衝突することによって計測が可能で、吸着、反応を伴わずに計測できる。従って、測定原理が非常に簡便で、応答も早く、センサー部10の振動子12は数μW以下のパワーで室温にて動作し、被測定気体への影響はほとんど無視できる。
4.2.濃度測定装置
図7は、センサー部10を含む気体の濃度測定装置100のブロック図である。図7において、濃度測定装置100は、測定対象の混合気体が導入される例えば配管110にセットされるセンサー部10と、センサー部10と接続された測定部40とを含む。センサー部10のフィルター20は配管110の混合気体と接触して排他される。センサー部10の振動子12は、発振器(OSC)から成る駆動部30により駆動される。振動子12からの出力周波数は、例えば分周器32により例えば1/64に分周することができる。真空ポンプ34は、配管110を高真空引きして、高真空時の圧力により圧力センサー16の0点補正を行うことができる。
測定部40は、周波数カウンタ50と濃度演算部60と記憶部70とを含むことができる。周波数カウンタ50は例えばソフトカウンタで構成され、例えば9桁の周波数値を500msecの時間で計算する能力を有し、周波数に応じて分周率を自動選択している。このため、低周波周帯域に対して例えば1/64で分周して計算時間は4msecを要し、中周波数帯域に対して例えば1/512で分周して計算時間は30msecを要し、高周波数に対して例えば1/8192で分周して計算時間は500msecを要している。分周率が高い高周波数帯域ほど計算は遅くなる。この周波数計算時間は、図4に示されている通りである。この実施例では、周波数カウンタ50の能力からモル分率で2.7ppm、応答速度0.5秒(9桁)が限界である。なお、真空ポンプ34は測定可能な高周波数値よりもさらに二桁程度高い高真空まで真空引きして0点補正することが好ましい。
濃度演算部60は、周波数カウンタ50からの共振周波数に基づいて、上述した式(3),(4),(5),(8),(9)等の演算や、図2〜図4に示すように検量線を用いて、混合気体の未知の濃度に関する情報を取得する。濃度の演算に当たって、必要な検量線や情報等、記憶部70に記憶されたデータが参照される。また、温度センサー14と圧力センサー16の出力も必要により参照される。記憶部70には、上述した検量線が記憶され、好ましくは異なる温度条件で取得された複数種の検量線が記憶され、温度センサー14からの測定温度に基づいて濃度算出に用いられる検量線が参照される。
4.3.振動子
図8は、固有共振周波数ωで正規化された共振周波数変化率(ω-ω)を、各種振動子について示したものである。この中で音叉型水晶振動子が最も大きい周波数変化率を示し、周波数による混合気体の濃度を分別するセンサーとして最も適していることが分る。また、音叉型水晶振動子の中でも、双音叉型水晶振動子が濃度測定により適していることが分かった。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
10 センサー部、12 振動子、14 温度センサー、16 圧力センサー、20 フィルター、22 端子部、24 ヒーター、30 駆動部、32 分周器、34 真空ポンプ、40 測定部、50 周波数カウンタ、60 濃度演算部、70記憶部、100 濃度測定装置、110 配管

Claims (8)

  1. 共振周波数が、吸着される水分子と反応する高分子膜を介在させることなく接する気体の分子量に比例する振動子と、
    前記振動子の出力が入力され、既知の二種の気体から成る混合気体の分子量に比例する共振周波数に基づいて、前記混合気体の未知の濃度に関する情報を測定する測定部と、
    を有し、
    前記二種の気体の一方が乾燥空気であり、前記二種の気体の他方は水蒸気であり、前記混合気体の未知の濃度は前記混合気体の未知の湿度であることを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
  2. 請求項1において、
    前記測定部は記憶部を含み、
    前記記憶部には、圧力及び温度が一定の下で、湿度を変化させて前記混合気体について測定された前記共振周波数と、前記湿度との相関を示す検量線が記憶され、
    前記測定部は、前記未知の湿度である前記混合気体について取得された前記共振周波数と前記検量線とに基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
  3. 請求項1において、
    前記混合気体の温度を測定する温度センサーをさらに有し、
    前記測定部は、前記温度センサーで測定される温度の依存する飽和水蒸気圧と、前記共振周波数に依存する前記混合気体中の水蒸気の分圧とに基づいて、湿度(%)=(前記水蒸気の分圧)/(前記飽和水蒸気圧)から前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
  4. 請求項3において、
    前記測定部は記憶部を含み、
    前記記憶部には、圧力及び温度が一定の下で、湿度を変化させて前記混合気体について測定された前記共振周波数と、前記水蒸気の分圧との相関を示す検量線が記憶され、
    前記測定部は、前記未知の湿度である前記混合気体について取得された前記共振周波数と前記検量線とに基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
  5. 請求項2において、
    前記混合気体の温度を測定する温度センサーをさらに有し、
    前記記憶部には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定された前記検量線から成る温度依存の複数種の検量線が記憶され、
    前記測定部は、前記温度センサーの出力に基づいて前記複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
  6. 請求項4において、
    前記記憶部には、互い異なる既知の温度となる条件下でそれぞれ測定された前記検量線から成る温度依存の複数種の検量線が記憶され、
    前記測定部は、前記温度センサーの出力に基づいて前記複数種の検量線の中から選択される一又は複数の検量線に基づいて、前記未知の湿度を測定することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
  7. 請求項5または6において、
    前記混合気体の圧力を測定する圧力センサーをさらに有し、
    前記記憶部には、標準圧力で測定された前記複数種の検量線が記憶され、
    前記測定部は、前記圧力センサーで測定された圧力に基づき、前記一又は複数の検量線に基づいて特定される前記未知の湿度を補正することを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
  8. 請求項において、
    前記混合気体が導入される空間を高真空に排気する排気部をさらに有し、
    前記圧力センサーは、高真空時の測定圧力に基づき0点補正されることを特徴とする二種混合気体の濃度測定装置。
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