JP6974585B2 - 抗腫瘍剤、抗腫瘍効果増強剤及び抗腫瘍用キット - Google Patents
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Description
例えば、ゲムシタビンとシスプラチンとの併用での膵臓癌患者に対する奏効率は11.5%、生存期間中央値は7.5ヶ月であり(非特許文献4)、ゲムシタビンとオキサリプラチンとの併用では、それぞれ生存期間中央値5.7ヶ月、奏功率9%であり(非特許文献5)、いずれの抗腫瘍性白金錯体との併用療法においても治療効果として十分に高いとは言えない。
本発明の課題は、ゲムシタビン、抗腫瘍性白金錯体(白金製剤)及びそれらの併用療法と比較して、抗腫瘍効果に優れた抗腫瘍剤及び抗腫瘍用キット、並びに抗腫瘍効果増強剤を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記を提供する。
(1)抗腫瘍性白金錯体と、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩とを含む抗腫瘍剤。
(2)上記抗腫瘍性白金錯体が、シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)に記載の抗腫瘍剤。
(3)上記腫瘍が、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、精巣癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、骨肉腫、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性胸膜中皮腫、胆道癌、結腸癌、直腸癌、小腸癌、悪性リンパ腫、乳癌、膵臓癌、肝癌、腎癌、黒色腫、白血病または多発性骨髄腫である、(1)または(2)に記載の抗腫瘍剤。
(4)上記腫瘍が、膀胱癌、卵巣癌、胆道癌、乳癌または膵臓癌である、(1)〜(3)のいずれか一に記載の抗腫瘍剤。
(5)上記胆道癌が胆管癌である、(4)に記載の抗腫瘍剤。
(6)抗腫瘍性白金錯体と併用される、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む抗腫瘍効果増強剤。
(7)抗腫瘍性白金錯体を含む製剤と、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む製剤とを含む抗腫瘍用キット。
(8)抗腫瘍性白金錯体と併用される、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む抗腫瘍剤。
(6−1)上記抗腫瘍性白金錯体がシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(6)に記載の抗腫瘍効果増強剤。
(7−1)上記抗腫瘍性白金錯体がシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(7)に記載の抗腫瘍用キット。
(8−1)上記抗腫瘍性白金錯体がシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(8)に記載の抗腫瘍剤。
(9)抗腫瘍性白金錯体と、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩とを、腫瘍の処置に用いるための、膀胱癌、卵巣癌、胆道癌、乳癌または膵臓癌の処置に用いるための方法であって、治療有効用量をそのような処置が必要な対象(ヒトを含む哺乳動物)に投与する工程を含む方法。
(10)1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を併用治療に用いる場合の治療有効用量、及び、抗腫瘍性白金錯体を併用治療に用いる場合の治療有効用量とを組み合わせて、対象に投与することを特徴とする、腫瘍の治療方法。
(11)1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を併用治療に用いる場合の治療有効用量、及び、抗腫瘍性白金錯体を併用治療に用いる場合の治療有効用量を、同時に、別々に、連続して、あるいは間隔をあけて、対象に投与することを特徴とする、腫瘍の治療方法。
(12)1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩の、抗腫瘍性白金錯体と組み合わせてなる抗腫瘍剤の製造のための使用。
(13)1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩の、抗腫瘍性白金錯体と組み合わせてなる抗腫瘍剤のための使用。
(14)抗腫瘍性白金錯体と、一剤型の製剤形態、または別個の製剤形態として投与することにより腫瘍を治療するための、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩。
(15)1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩の1日当たりの投与量が、20〜200mg/m2である、(1)または(2)に記載の抗腫瘍剤。
(16)抗腫瘍性白金錯体がシスプラチンであり、1日当たりの投与量が、1〜100mg/m2である、(15)に記載の抗腫瘍剤。
(17)抗腫瘍性白金錯体がカルボプラチンであり、1日当たりの投与量が、50〜1000mg/m2である、(15)に記載の抗腫瘍剤。
(18)抗腫瘍性白金錯体がオキサリプラチンであり、1日当たりの投与量が、10〜500mg/m2である、(15)に記載の抗腫瘍剤。
「対象」とは、その予防もしくは治療を必要とするヒト、マウス、サル、家畜等の哺乳動物であり、好ましくは、その予防もしくは治療を必要とするヒトである。
「予防」とは、発症の阻害、発症リスクの低減または発症の遅延等を意味する。
「治療」とは、対象となる疾患または状態の改善または進行の抑制(維持または遅延)等を意味する。
「処置」とは、各種疾患に対する予防または治療等を意味する。
「腫瘍」とは、良性腫瘍または悪性腫瘍を意味する。
「良性腫瘍」とは、腫瘍細胞及びその配列がその由来する正常細胞に近い形態をとり、浸潤性または転移性のない腫瘍を意味する。
「悪性腫瘍」とは、腫瘍細胞の形態やその配列がその由来する正常細胞と異なっており、浸潤性または転移性を示す腫瘍を意味する。
本発明は、抗腫瘍性白金錯体と、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシン(化合物A)またはその塩とを含む抗腫瘍剤である。また本発明は、抗腫瘍性白金錯体と、化合物Aまたはその塩とを組み合わせてなる抗腫瘍剤である。
塩としては、薬学的に許容される塩が挙げられ、具体的には、鉱酸塩、有機カルボン酸塩及びスルホン酸塩が挙げられる。好ましい塩としては、鉱酸塩及びスルホン酸塩が挙げられる。
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンのメタンスルホン酸塩;
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンの塩酸塩;
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンの1/2硫酸塩;
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンの硝酸塩;及び
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンのヨウ化水素酸塩;ならびに上記の塩のいずれかの無水物。
本発明にかかる化合物Aまたはその塩は、抗腫瘍剤として、また医薬組成物の有効成分として用いることができる。
本発明において、抗腫瘍性白金錯体(抗腫瘍作用を有する白金錯体)は、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ゼニプラチン、エンロプラチン、オルマプラチン、ロボプラチン、セブリプラチン、ロバプラチン、ミボプラチンまたはスピロプラチン等が挙げられる。
本発明の抗腫瘍性白金錯体としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンまたはネダプラチンが好ましく、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンがより好ましい。
これらの抗腫瘍性白金錯体は、公知の方法で製造できる。
また、これらの抗腫瘍性白金錯体は、市販品を購入することによって入手することもできる。例えば、シスプラチンは、日本化薬株式会社からRanda(登録商標)、ファイザー株式会社からPlatosin(登録商標)、メルク株式会社からCisplamerck(登録商標)及びブリストル・マイヤーズ株式会社からBriplatin(登録商標)として市販されている。カルボプラチンは、ブリストル・マイヤーズ株式会社からParaplatin(登録商標)及びメルク株式会社からCarbomerck(登録商標)として市販されている。オキサリプラチンは、ヤクルト本社からElplat(登録商標)またはEloxatin(登録商標)として市販されている。ネダプラチンは日医工株式会社からAqupla(登録商標)として市販されている。ミボプラチンは、中外製薬からミボプラチン塩酸塩またはLobaplatin(登録商標)として市販されている。
塩としては、薬学的に許容される塩が挙げられ、具体的には、通常知られているアミノ基等の塩基性基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基等の酸性基における塩を挙げることができる。
塩基性基における塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸及び硫酸等の鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、トリクロロ酢酸及びトリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸等のスルホン酸との塩が挙げられる。
酸性基における塩としては、例えば、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミン及びN、N'−ジベンジルエチレンジアミン等の含窒素有機塩基との塩が挙げられる。
本発明によれば、
抗腫瘍性白金錯体と、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩とを含む抗腫瘍剤;並びに
抗腫瘍性白金錯体と併用される、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む抗腫瘍剤:
が提供される。
抗腫瘍性白金錯体と、化合物Aまたはその塩とが別個の製剤として用いる場合、各製剤は、同時に、別々に、連続して、あるいは間隔をあけて対象に投与することができる。また、抗腫瘍性白金錯体を含む組成物の投与手段と、化合物Aを含む組成物の投与手段は同一であってもよいし、相違していてもよい(例えば、経口投与と注射)。
投与経路としては、非経口投与が好ましい。例えば、点滴等の静脈内注射(静注)、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、眼内注射及び/または髄腔内注射を挙げることができる。投与方法としては、シリンジまたは点滴による投与が挙げられる。
また、別の態様として、1日当たりの投与量は、好ましくは20〜120mg/m2であり、より好ましくは40〜120mg/m2であり、さらに好ましくは40〜100mg/m2であり、よりさらに好ましくは60〜100mg/m2である。
このような投与量の範囲とすることで、副作用を最小限として抗腫瘍剤としての治療効果を最大化することができる。
使用する本発明の化合物Aの量は、抗腫瘍性白金錯体との個々の組み合わせによって異なるが、例えば、抗腫瘍性白金錯体の約0.0001〜10000倍(重量比)であり、好ましくは約0.001〜1000倍(重量比)である。
また、別の態様としては、例えば、シスプラチンの投与量を、成人1日あたり、1〜100mg/m2、好ましくは5〜50mg/m2、より好ましくは10〜50mg/m2、さらに好ましくは10〜30mg/m2とし、さらに、本発明の化合物の投与量を、シスプラチンの約0.2〜200倍(重量比)、好ましくは約1.6〜15倍(重量比)となるようにする。
また、別の態様としては、オキサリプラチンの投与量を、成人1日あたり、10〜500mg/m2、好ましくは50〜500mg/m2、さらに好ましくは50〜150mg/m2とし、さらに、本発明の化合物の投与量を、オキサリプラチンの約0.04〜20倍(重量比)、好ましくは約0.53〜3倍(重量比)となるようにする。
本発明の抗腫瘍剤は、例えば、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、精巣癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、骨肉腫、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性胸膜中皮腫、胆道癌、結腸癌、直腸癌、小腸癌、悪性リンパ腫、乳癌、膵臓癌、肝癌、腎癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫またはその他の器官の腫瘍を包含する多様なタイプの腫瘍の処置に有効に使用できる。このうち、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経芽細胞腫、胃癌、骨肉腫、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性胸膜中皮腫、胆道癌、結腸癌、直腸癌、悪性リンパ腫、乳癌、膵臓癌が好ましく、膀胱癌、卵巣癌、胆道癌、乳癌または膵臓癌がより好ましく、胆道癌がさらに好ましく、特に胆管癌の処置に有効である。
本発明はまた、癌患者に対する抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強するための化合物Aまたはその塩を含む抗腫瘍効果増強剤に関する。
すなわち、本発明によれば、
抗腫瘍性白金錯体と併用される、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む抗腫瘍効果増強剤を提供される。
本発明の抗腫瘍効果増強剤は、通常、製剤化に使用される賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤及び吸収促進剤等の添加剤を含んでいてもよい。
使用する本発明の化合物Aの量は、抗腫瘍性白金錯体との個々の組み合わせによって異なるが、例えば、抗腫瘍性白金錯体の約0.0001〜10000倍(重量比)であり、好ましくは約0.001〜1000倍(重量比)である。
また、別の態様として、1日当たりの投与量は、好ましくは20〜120mg/m2であり、より好ましくは40〜120mg/m2であり、さらに好ましくは40〜100mg/m2であり、よりさらに好ましくは60〜100mg/m2である。
このような投与量の範囲とすることで、副作用を最小限として抗腫瘍剤としての治療効果を最大化することができる。
本発明の抗腫瘍効果増強剤は、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、精巣癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、骨肉腫、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性胸膜中皮腫、胆道癌、結腸癌、直腸癌、小腸癌、悪性リンパ腫、乳癌、膵臓癌、肝癌、腎癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫またはその他の器官の腫瘍を包含する多様なタイプの腫瘍の処置に有効に使用できる。このうち、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経芽細胞腫、胃癌、骨肉腫、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性胸膜中皮腫、胆道癌、結腸癌、直腸癌、悪性リンパ腫、乳癌、膵臓癌が好ましく、膀胱癌、卵巣癌、胆道癌、乳癌または膵臓癌がより好ましく、胆道癌がさらに好ましく、特に胆管癌の処置に有効である。
本発明によれば、
抗腫瘍性白金錯体を含む製剤と、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む製剤とを含む抗腫瘍用キットが提供される。
本発明の抗腫瘍用キットは、(a)抗腫瘍性白金錯体及び(b)化合物Aまたはその塩の組み合わせを含むキットである。
また、上記キットでは、(a)抗腫瘍性白金錯体及び(b)化合物Aまたはその塩は各々公知の各種の製剤形態とすることができ、その製剤形態に応じて、通常用いられる各種の容器に収容される。
さらに、上記キットでは、(a)抗腫瘍性白金錯体及び(b)化合物Aまたはその塩は各々別の容器に収容されてもよいし、混合されて同じ容器に収容されてもよい。(a)抗腫瘍性白金錯体及び(b)化合物Aまたはその塩が各々別の容器に収容されていることが好ましい。
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシン(化合物A)のメタンスルホン酸塩は、国際公開第2013/146833号パンフレットに記載の方法により合成した。
シスプラチン及びオキサリプラチンの併用によるヒト膵臓癌由来細胞株SUIT-2に対する抗腫瘍活性の評価
被験物質として、ゲムシタビン(以下、GemcitabineまたはGemともいう)、シスプラチン(以下、Cisplatinともいう)、オキサリプラチン(以下、Oxaliplatinともいう)及び化合物Aのメタンスルホン酸塩を用いた。
ゲムシタビンは、ゲムシタビン塩酸塩(Plantex社製)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させたものを用いた。シスプラチン(和光純薬工業社製Cat.# 039-20091)及びオキサリプラチン(東京化成工業社製Cat.# O0372)は、無血清培地 RPMI-1640 (Thermo Fisher Scientific Inc.製Cat.# 11875-119)に溶解させたものを用いた。
ヒト膵臓癌細胞株であるSUIT-2細胞を10%血清(Thermo Fisher Scientific Inc. 製 Cat.# 10437-028)培地RPMI-1640で継代培養を行った。本試験中、すべての細胞培養はCO2インキュベータ(37℃、5%CO2設定、水蒸気飽和)中で行った。15000 cells/well/100 μLとなるように10%血清培地で希釈し、96wellプレートに播種した。翌日、各wellの培養上清を捨て、150 μLの無血清培地で2回洗い、100 μLの無血清培地を添加して3日間培養した。
化合物Aのメタンスルホン酸塩及びGemcitabineをDMSOに溶解し、100 mmol/L DMSO溶液をそれぞれ調製した。順次DMSOで希釈し、最終処理濃度の1000倍濃度のDMSO溶液を調製した。Cisplatin及びOxaliplatinを無血清培地に溶解し、Cisplatin溶液 30 μmol/L及びOxaliplatin溶液60 μmol/Lをそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineのDMSO希釈溶液を、Cisplatin溶液(30 μmol/L)またはOxaliplatin溶液(60 μmol/L)で希釈し、最終処理濃度の6倍濃度の処理液をそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineは最高濃度を10 μmol/Lとし、公比1/3で9濃度をCisplatinまたはOxaliplatinと組み合わせて使用した。
Cisplatin溶液(30 μmol/L)またはOxaliplatin溶液(60 μmol/L)で希釈した化合物AまたはGemcitabineを各wellに20 μLを添加した。この他、細胞を播種したwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陽性対照群)、培地のみを入れたwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陰性対照群)を設けた。全てn=3 wellとした。
薬剤を添加後3日間培養し、細胞内のATP量を指標にCellTiter Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA Co.製Cat.# G7570)を用いて細胞生存率を評価した。細胞生存率を50%阻害する濃度(IC50値)はXLFitソフトウエアVer.3(登録商標)(CTC社製)を用いて算出した。
すなわち、併用する薬剤を薬剤1及び薬剤2とすると、ある薬剤濃度におけるCIは、
CI={(薬剤1及び薬剤2併用時の細胞生存率)÷100}/{[(薬剤1の細胞生存率)÷100]×[(薬剤2の細胞生存率)÷100]}
CI=1:相加効果
CI>1:拮抗効果
CI<1:相乗効果
シスプラチンとゲムシタビンを併用したときのCIは0.96であり、シスプラチンと化合物Aを併用したときのCIは0.36であった。オキサリプラチンとゲムシタビンを併用したときのCIは0.97であり、オキサリプラチンと化合物Aを併用したときのCIは0.44であった。CI<1であるから、化合物Aとシスプラチンまたはオキサリプラチンとの併用による相乗効果が認められた。また、CI値が小さいほど相乗効果が高いと推察されることから、化合物Aの相乗効果は、既存薬であるゲムシタビンよりもより顕著であると言える。
シスプラチン及びカルボプラチンとの併用によるヒト卵巣癌細胞株ES-2及びSK-OV-3に対する抗腫瘍活性の評価
被験物質として、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン及び化合物Aのメタンスルホン酸塩を用いた。
ゲムシタビンは、ゲムシタビン塩酸塩(Plantex社製)をDMSOに溶解させたものを用いた。シスプラチン(和光純薬工業社製Cat.# 039-20091)及びカルボプラチン(東京化成工業社製Cat.# C2043)は、1%血清(Thermo Fisher Scientific Inc. 製 Cat.# 10437-028)培地 McCoy's 5a (Thermo Fisher Scientific Inc.製Cat.# 16600-082)に溶解させたものを用いた。
ヒト卵巣癌細胞株であるES-2及びSK-OV-3細胞を10%血清培地で継代培養を行った。本試験中、すべての細胞培養はCO2インキュベータ(37℃、5%CO2設定、水蒸気飽和)中で行った。ES-2細胞を10,000 cells/well/100 μL、SK-OV-3細胞を15,000 cells/well/100 μLとなるように10%血清培地で希釈し、96wellプレートに播種した。翌日、各wellの培養上清を捨て、150 μLの1%血清培地で2回洗い、100 μLの1%血清培地を添加して3日間培養した。
化合物Aのメタンスルホン酸塩及びGemcitabineをDMSOに溶解し、100 mmol/L DMSO溶液をそれぞれ調製した。順次DMSOで希釈し、最終処理濃度の1000倍濃度のDMSO溶液を調製した。Cisplatin及びCarboplatinを1%血清培地に溶解し、Cisplatin溶液 60 μmol/L及びCarboplatin溶液600 μmol/Lをそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineのDMSO希釈溶液を、Cisplatin溶液(60 μmol/L)またはOxaliplatin溶液(600 μmol/L)で希釈し、最終処理濃度の6倍濃度の処理液をそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineは最高濃度を10 μmol/Lとし、公比1/3で9濃度をCisplatinまたはOxaliplatinと組み合わせて使用した。
Cisplatin溶液(60 μmol/L)またはOxaliplatin溶液(600 μmol/L)で希釈した化合物AまたはGemcitabineを各wellに20 μLを添加した。この他、細胞を播種したwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陽性対照群)、培地のみを入れたwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陰性対照群)を設けた。全てn=3 wellとした。
薬剤を添加後3日間培養し、細胞内のATP量を指標にCellTiter Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA Co.製Cat.# G7570)を用いて細胞生存率を評価した。細胞生存率を50%阻害する濃度(IC50値)はXLFitソフトウエアVer.3(登録商標)(CTC社製)を用いて算出した。
ES-2細胞
SK-OV-3細胞
SK-OV-3細胞
それぞれの評価において化合物Aは、シスプラチンまたはカルボプラチンとの併用による相乗効果が認められ、化合物Aの相乗効果は、既存薬であるゲムシタビンよりもより顕著であると言える結果を得た。
シスプラチンとの併用によるヒト胆管癌由来細胞株HuCC-T1に対する抗腫瘍活性の評価
被験物質として、ゲムシタビン、シスプラチン及び化合物Aのメタンスルホン酸塩を用いた。
ゲムシタビンは、ゲムシタビン塩酸塩(Plantex社製)をDMSOに溶解させたものを用いた。シスプラチン(和光純薬工業社製Cat.# 039-20091)は、無血清培地 RPMI-1640 (Thermo Fisher Scientific Inc.製Cat.# 11875-119)に溶解させたものを用いた。
ヒト胆管癌細胞株であるHuCC-T1細胞を10%血清(Thermo Fisher Scientific Inc. 製 Cat.# 10437-028)培地RPMI-1640で継代培養を行った。本試験中、すべての細胞培養はCO2インキュベータ(37℃、5%CO2設定、水蒸気飽和)中で行った。15000 cells/well/100 μLとなるように10%血清培地で希釈し、96wellプレートに播種した。翌日、各wellの培養上清を捨て、150 μLの無血清培地で2回洗い、100 μLの無血清培地を添加して3日間培養した。
化合物Aのメタンスルホン酸塩及びGemcitabineをDMSOに溶解し、100 mmol/L DMSO溶液をそれぞれ調製した。順次DMSOで希釈し、最終処理濃度の1000倍濃度のDMSO溶液を調製した。Cisplatinを無血清培地に溶解し、Cisplatin溶液 60 μmol/Lを調製した。化合物A及びGemcitabineのDMSO希釈溶液を、Cisplatin溶液(60 μmol/L)で希釈し、最終処理濃度の6倍濃度の処理液をそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineは最高濃度を10 μmol/Lとし、公比1/3で9濃度をCisplatinと組み合わせて使用した。
Cisplatin溶液(60 μmol/L)で希釈した化合物AまたはGemcitabineを各wellに20 μLを添加した。この他、細胞を播種したwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陽性対照群)、培地のみを入れたwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陰性対照群)を設けた。全てn=3 wellとした。
薬剤を添加後3日間培養し、細胞内のATP量を指標にCellTiter Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA Co.製Cat.# G7570)を用いて細胞生存率を評価した。細胞生存率を50%阻害する濃度(IC50値)はXLFitソフトウエアVer.3(登録商標)(CTC社製)を用いて算出した。
スフェロイド培養下におけるシスプラチンの併用による胆管癌細胞株TFK-1に対する抗腫瘍活性の評価
被験物質として、ゲムシタビン、シスプラチン及び化合物Aのメタンスルホン酸塩を用いた。
ゲムシタビンは、ゲムシタビン塩酸塩(Plantex社製)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させたものを用いた。シスプラチン(和光純薬工業社製Cat.# 039-20091)は、DMSOに溶解させたものを用いた。
ヒト胆管癌細胞株であるTFK-1細胞を10%血清(Thermo Fisher Scientific Inc. 製 Cat.# 10437-028)培地RPMI-1640で継代培養を行った。本試験中、すべての細胞培養はCO2インキュベータ(37℃、5%CO2設定、水蒸気飽和)中で行った。5000 cells/well/100 μLとなるように10%血清培地で希釈し、Ultra-Low 付着性96wellプレート(Corning製Cat.# 7007)に播種した。4日間培養し、スフェロイドを形成させた。
化合物Aのメタンスルホン酸塩及びGemcitabineをDMSOに溶解し、10 mmol/L DMSO溶液をそれぞれ調製した。順次DMSOで希釈し、最終処理濃度の1000倍濃度のDMSO溶液を調製した。CisplatinをDMSOに溶解し、100 mmol/L DMSO溶液を調製した。DMSOで希釈し、最終処理濃度の5000倍濃度のDMSO溶液を調製した。さらにCisplatinのDMSO溶液を10%血清培地で希釈し、最終処理濃度の10倍濃度のCisplatin含有培地を調製した。化合物A及びGemcitabineのDMSO希釈溶液を、Cisplatin含有培地で希釈し、最終処理濃度の10倍濃度の処理液をそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineは最高濃度を10 μmol/Lとし、公比1/3で9濃度をCisplatin(10 μmol/L)と組み合わせて使用した。
Cisplatin含有培地で希釈した化合物AまたはGemcitabineを各wellに10 μLを添加した。この他、細胞を播種したwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陽性対照群)、培地のみを入れたwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陰性対照群)を設けた。全てn=3 wellとした。
薬剤を添加後3日間培養し、細胞内のATP量を指標にCellTiter Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA Co.製Cat.# G7570)を用いて細胞生存率を評価した。細胞生存率を50%阻害する濃度(IC50値)はXLFitソフトウエアVer.3(登録商標)(CTC社製)を用いて算出した。
スフェロイド培養下におけるシスプラチンの併用による胆管癌細胞株HuCC-T1に対する抗腫瘍活性の評価
被験物質として、ゲムシタビン、シスプラチン及び化合物Aのメタンスルホン酸塩を用いた。
ゲムシタビンは、ゲムシタビン塩酸塩(Plantex社製)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させたものを用いた。シスプラチン(和光純薬工業社製Cat.# 039-20091)は、DMSOに溶解させたものを用いた。
胆管癌細胞株であるHuCC-T1細胞を10%血清(Thermo Fisher Scientific Inc. 製 Cat.# 10437-028)培地RPMI-1640で継代培養を行った。本試験中、すべての細胞培養はCO2インキュベータ(37℃、5%CO2設定、水蒸気飽和)中で行った。5000 cells/well/100 μLとなるように10%血清培地で希釈し、Ultra-Low 付着性96wellプレート(Corning製Cat.# 7007)に播種した。4日間培養し、スフェロイドを形成させた。
化合物Aのメタンスルホン酸塩及びGemcitabineをDMSOに溶解し、10 mmol/L DMSO溶液をそれぞれ調製した。順次DMSOで希釈し、最終処理濃度の1000倍濃度のDMSO溶液を調製した。CisplatinをDMSOに溶解し、100 mmol/L DMSO溶液を調製した。DMSOで希釈し、最終処理濃度の5000倍濃度のDMSO溶液を調製した。さらにCisplatinのDMSO溶液を10%血清培地で希釈し、最終処理濃度の10倍濃度のCisplatin含有培地を調製した。化合物A及びGemcitabineのDMSO希釈溶液を、Cisplatin含有培地で希釈し、最終処理濃度の10倍濃度の処理液をそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineは最高濃度を10 μmol/Lとし、公比1/3で9濃度をCisplatin(10 μmol/L)と組み合わせて使用した。
Cisplatin含有培地で希釈した化合物AまたはGemcitabineを各wellに10 μLを添加した。この他、細胞を播種したwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陽性対照群)、培地のみを入れたwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陰性対照群)を設けた。全てn=3 wellとした。
薬剤を添加後3日間培養し、細胞内のATP量を指標にCellTiter Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA Co.製Cat.# G7570)を用いて細胞生存率を評価した。細胞生存率を50%阻害する濃度(IC50値)はXLFitソフトウエアVer.3(登録商標)(CTC社製)を用いて算出した。
スフェロイド培養下におけるシスプラチンの併用による乳癌由来細胞株HCC1954に対する抗腫瘍活性の評価
被験物質として、ゲムシタビン、シスプラチン及び化合物Aのメタンスルホン酸塩を用いた。
ゲムシタビンは、ゲムシタビン塩酸塩(Plantex社製)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させたものを用いた。シスプラチン(和光純薬工業社製Cat.# 039-20091)は、DMSOに溶解させたものを用いた。
ヒト乳癌細胞株であるHCC1954細胞を10%血清(Thermo Fisher Scientific Inc. 製 Cat.# 10437-028)培地RPMI-1640で継代培養を行った。本試験中、すべての細胞培養はCO2インキュベータ(37℃、5%CO2設定、水蒸気飽和)中で行った。5000 cells/well/100 μLとなるように10%血清培地で希釈し、Ultra-Low 付着性96wellプレート(Corning製Cat.# 7007)に播種した。4日間培養し、スフェロイドを形成させた。
化合物Aのメタンスルホン酸塩及びGemcitabineをDMSOに溶解し、10 mmol/L DMSO溶液をそれぞれ調製した。順次DMSOで希釈し、最終処理濃度の1000倍濃度のDMSO溶液を調製した。CisplatinをDMSOに溶解し、100 mmol/L DMSO溶液を調製した。DMSOで希釈し、最終処理濃度の5000倍濃度のDMSO溶液を調製した。さらにCisplatinのDMSO溶液を10%血清培地で希釈し、最終処理濃度の10倍濃度のCisplatin含有培地を調製した。化合物A及びGemcitabineのDMSO希釈溶液を、Cisplatin含有培地で希釈し、最終処理濃度の10倍濃度の処理液をそれぞれ調製した。化合物A及びGemcitabineは最高濃度を10 μmol/Lとし、公比1/3で9濃度をCisplatin(10 μmol/L、5 μmol/L)と組み合わせて使用した。
Cisplatin含有培地で希釈した化合物AまたはGemcitabineを各wellに10 μLを添加した。この他、細胞を播種したwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陽性対照群)、培地のみを入れたwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陰性対照群)を設けた。全てn=3 wellとした。
薬剤を添加後3日間培養し、細胞内のATP量を指標にCellTiter Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA Co.製Cat.# G7570)を用いて細胞生存率を評価した。細胞生存率を50%阻害する濃度(IC50値)はXLFitソフトウエアVer.3(登録商標)(CTC社製)を用いて算出した。
胆管癌細胞株の皮下移植担がんモデルマウスにおける併用効果試験
被験物質として、ゲムシタビン、及び化合物Aのメタンスルホン酸塩を用いる。
ゲムシタビンは、ゲムシタビン塩酸塩(TEVA社製)を生理食塩水に溶解させたものを用い、シスプラチンは、シスプラチン(和光純薬工業社製Cat.# 039-20091)を生理食塩水に溶解させたものを用いる。
ヒト胆管癌細胞株であるTFK-1細胞またはHuCCT-1細胞を生後5〜6週齢の雌性BALB/cA Jcl-nuマウスの後部横腹に皮下注射する。腫瘍移植後に腫瘍の長径(mm)及び短径(mm)を測定し、腫瘍体積(tumor volume:TV)を算出する。各群の平均TVが均等になるように各群にマウスを割り付け、この群分けを実施した日をday 1とする。
シスプラチンの投与量はインタビューフォーム及びキャンサー・ゲノミクス・アンド・プロテオミクス(CANCER GENOMICS&PROTEOMICS)、2012年、9巻、p77〜92頁(非特許文献6)を参考に設定し、ゲムシタビン及び化合物Aの投与量は非特許文献6及びザ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(The journal of pharmacology and experimental therapeutics)、2018年、366巻、125〜135頁(非特許文献7)を参考に設定する。シスプラチン単独群の被験液は、投与用量として1〜10 mg/kg/dayとなるよう調製する。また化合物A単独群の被験液は、30〜240 mg/kg/dayとなるよう調製する。化合物Aはday 1から1週間に1度、計3回マウス尾静脈より投与し、シスプラチンはday 1から1週間に1度、計3回マウス腹腔内投与により投与する。併用投与群では、化合物Aを30〜240 mg/kg/dayとシスプラチンを1〜10 mg/kg/dayで投与する。
比較実験として、対照薬としてゲムシタビンを用いる。ゲムシタビン単独群の被験液は、30〜240 mg/kg/dayとなるよう調製する。ゲムシタビンはday 1から1週間に1度、計3回マウス尾静脈より投与し、併用投与群では、ゲムシタビンを30〜240 mg/kg/dayとシスプラチンを1〜10 mg/kg/dayで投与する。
本試験では、化合物A及びゲムシタビンの用量設定は、各薬剤のMTDを用いる。シスプラチンは、各薬剤との併用において耐用可能な最大用量を用いる。抗腫瘍剤は最大薬効を示す用量と毒性発現用量が極めて近く、その薬剤が持つ最大抗腫瘍効果を動物モデルで評価するためにはMTD近傍において評価することが一般的であり、本試験例においては、MTDと最大効果発揮用量はほぼ同義である。
TV(mm3)=(長径×短径2)/2
RTV=(腫瘍測定日におけるTV)/(Day 1におけるTV)
T/C(%)=[(被験液投与群の平均RTV値)/(対照群の平均RTV値)]×100
癌患者における化合物Aと抗腫瘍性白金錯体との併用効果試験
<液状医薬組成物の調製>
化合物Aのメタンスルホン酸塩を適量の注射用水に溶かし、1 mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整する。化合物Aの濃度が20 mg/mLとなるように適量の注射用水を加えて混合する。
また1.5質量%の濃度になるようにグリセリン(メルク社製、分子量92)を添加する。この液状医薬製剤のpHは2.9であり、この液をメンブランフィルター(0.22 μm)を用いてろ過し、液状医薬製剤を得ることができる。
がん患者に対して、第1週目〜第2週目までは週1回、化合物Aとシスプラチンを静脈注射により投与し、第3週目は投薬しないという投薬サイクルを繰り返す。具体的には、21日間を1サイクルとして、第1日目、第8日目に化合物Aとシスプラチンを投与し、この21日間からなるサイクルを繰り返す。化合物Aの1回の投与当たりの投与量は、8〜135 mg/m2とし、シスプラチンの投与量は10〜50 mg/m2とする。
MRI(核磁気共鳴画像法;magnetic resonance imaging)による画像診断により評価対象を確認し、以下の基準で判定した。
CR(Complete Response):腫瘍が完全に消失した状態
PR(Partial Response):腫瘍の大きさの和が30%以上減少した状態
SD(Stable Disease):腫瘍の大きさが変化しない状態
PD(Progressive Disease):腫瘍の大きさの和が20%以上増加かつ絶対値でも5 mm以上増加した状態、あるいは新病変が出現した状態
Claims (7)
- シスプラチンと、
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩とを含む抗腫瘍剤。 - 前記腫瘍が、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、精巣癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、骨肉腫、胚細胞腫瘍、悪性胸膜中皮腫、胆道癌、結腸癌、直腸癌、小腸癌、悪性リンパ腫、乳癌、膵臓癌、肝癌、腎癌、黒色腫、白血病または多発性骨髄腫である、請求項1に記載の抗腫瘍剤。
- 前記腫瘍が、膀胱癌、卵巣癌、胆道癌、乳癌または膵臓癌である、請求項1又は2に記載の抗腫瘍剤。
- 前記胆道癌が胆管癌である、請求項3に記載の抗腫瘍剤。
- シスプラチンと併用される、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む抗腫瘍効果増強剤。
- シスプラチンを含む製剤と、
1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む製剤とを含む抗腫瘍用キット。 - シスプラチンと併用される、1−(2−デオキシ−2−フルオロ−4−チオ−β−D−アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩を含む抗腫瘍剤。
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