JP6972719B2 - 調理食品収容用包装容器 - Google Patents
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油膜形成により内容物の排出性を高めるという公知の技術は、例えば、ケチャップ、マヨネーズ、シャンプー、各種液体洗剤など、均質な内容物に対しては、高粘性であっても優れた排出性を発揮するのであるが、上記のような調理食品に対しては、優れた排出性が十分に発揮されないという問題があり、さらなる改善が必要となっている。
即ち、調理食品は、その粘性が高いばかりか、含水物であっても脂質を多く含んでおり、さらには各種の食材を固形の形態で含んでいる。このため、容器を保管している間に、食品中の脂質により油膜が吸収され或いは固形食材の転がりなどにより油膜が掻き取られて、この結果、経時と共に油膜が消耗し、実際に内容物を排出する時点では、油膜による排出性向上効果が大きく低下してしまっているものと考えられる。
前記油膜が、25℃での粘度が100mPa・s以上の高粘度油性液体により形成されており且つ10g/m2以上の厚みを有していると共に、
前記高粘度油性液体が、食用油を増粘させたものであることを特徴とする調理食品収容用包装容器が提供される。
(1)前記内面は、表面粗さRa(JIS B−0601−1994)が0.3μm以上の粗面であること、
(2)袋の形態を有していること、
が好適である。
本発明では、油膜が高粘性であるため、厚い油膜が容器内面に安定に保持され、調理食品に対する排出性が著しく向上している。即ち、調理食品中に含まれる脂質が油分を吸収することにより油膜の経時的消耗をしたとしても、この油膜が非常に厚いため、その消耗による排出性の低減が有効に緩和されており、また、固形食材の転がりなどによる油膜の掻き取りによる排出性低減も有効に緩和されている。この結果、容器内面に長期にわたって、排出性向上を示す程度の厚みの油膜が確保され、調理食品に対する排出性が十分に発揮されるものである。
図1を参照して、本発明の調理食品用包装容器は、容器本体1の内面が粗面3となっており、この粗面3上に厚い油膜5が形成されているという基本構造を有している。
かかるオレフィン系樹脂としては、それ自体公知のものが使用され、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン系ポリマーや、これらのオレフィン類の共重合樹脂やブレンド物などが使用される。特に、油膜5の保持性の観点から、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンに代表されるエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
また、このような内面を形成する樹脂は、滑剤フリーであることが好適である。滑剤が配合されている樹脂により容器内面が形成されている場合、内面に滑剤がブリードし、かかる滑剤が油性液体をはじいてしまい、油性液体による油膜5の形成が困難となるおそれがあるからである。同様にして、油性液体をはじく性質を有する他のブリーディング性添加剤も、かかる樹脂に配合されていないことが望ましく、樹脂による内面(粗面3)は、添加剤がブリーディングしていない非ブリーディング性表面となっていることが最適である。
金属箔としては、通常、アルミ箔が使用され、このようなアルミ箔を用いた形態は、特にパウチの作成に適している。
また、中間層の外側の層には、滑剤などのブリーディング性添加剤が配合されていてもよい。このようなブリーディング性添加剤の内面側への移行が有効に制限され、内面(粗面3)上への油膜5の形成性を損なうことなく、該添加剤を容器の外面に選択的にブリーディングさせ、例えば容器を形成するフィルム同士の密着を防止することができるからである。
このような食用油としては、大豆油、菜種油、オリーブオイル、米油、コーン油、べに花油、ごま油、パーム油、ひまし油、アボガド油、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、はしばみ油、サラダ油などが好適に使用できる。
このような増粘剤は、上記の食用油と相溶する低分子量化合物であり、それ自体で水素結合を形成し、食用油中でネットワークを形成するものである。具体的には、水素結合を形成し得る官能基(例えば、水酸基やカルボキシル基)を有している低分子量化合物、例えばヒドロキシカルボン酸であり、これに限定されるものではないが、ヒドロキシステアリン酸が代表的である。
他にも食用油を増粘させる方法は、増粘剤を油中に分散するのでも溶解させるのでもよく、特に水溶性の増粘剤を使用する場合は、油中に増粘剤とともに水を分散させることで粘度を調整することも可能である。
ここで水溶性の増粘剤は乳化剤であり、例えばグリセロール、グリセロールエステル、ジグリセロールエステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、モノ−ジグリセリドのクエン酸エステル、モノ−ジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸エステルのモノグリセリド、または脂肪酸エステルのモノ−ジグリセリドなどが挙げられる。
また、アルブミン、グロブリン、プロラミン、グルテリンなどのたんぱく質や、コーンスターチなどのでんぷんといった天然高分子を分散させることで粘度を調整してもよい。
このような増粘剤は、通常、食用油100質量部当り0.1〜50質量部程度の量で使用することにより、食用油の粘度の上記のような高粘度に調整することができる。また、良好な排出性を得るためには、粘度を調整した食用油が流動性を保つことが好ましい。
例えば、それ自体公知の成形法、キャスト法、Tダイ法、カレンダー法又はインフレーション法などのフィルム成形や、サンドイッチラミネーション、共押出成形等の手段で、前述したオレフィン系樹脂を内面とする層構造のフィルムを成形し、内面となる側の面をブラスト処理して所定の粗面を有するフィルムを作製する。次いで、2枚のフィルムを3方シール等により貼り合わせて一方側に開口部を有する袋を得、この袋の開口部を通してのスプレー噴霧等により、前述した高粘性油性液体の油膜を形成した後、所定の調理食品を充填し、最後に開口部をシールすることにより調理食品が充填された袋状容器を得ることができる。
また、カップ状の容器として使用する場合には、プラグアシスト成形、真空成形等により、所定の層構造を有するシートからカップ状の容器を成形し、ブラスト処理を行ってカップ容器の内面を粗面化した後、上記と同様に油膜の形成、調理食品の充填を行った後、開口部に蓋材をシールすればよい。
さらに、ボトル形態の容器とする場合には、押出成形により、所定の層構造のチューブ状のパリソンを成形し、このパリソンの内面をブラスト処理して粗面化を行い、次いで、ブロー成形によりボトルを成形し、この後、高粘性油性液体を噴霧して粗面上に油膜を形成し、次いで内容物を充填し、最後にキャップを装着すればよい。
尚、本発明の包装容器は、調理用食品を収容するためのものであるため、現実的には、スパウト付の袋状容器、カップ状容器或いはボトルとして使用することはほとんどない。
このような調理食品としては、これに限定されるものではないが、カレー、ハヤシライス、肉じゃがなど、種々の固形食材を含むものが代表的である。
3:粗面
5:油膜
Claims (4)
- 樹脂製内面を有しており且つ該内面上に油膜が形成されている調理食品収容用包装容器において、
前記油膜が、25℃での粘度が100mPa・s以上の高粘度油性液体により形成されており且つ10g/m2以上の厚みを有していると共に、
前記高粘度油性液体が、食用油を増粘させたものであることを特徴とする調理食品収容用包装容器。 - 前記内面は、表面粗さRa(JIS B−0601−1994)が0.3μm以上の粗面である請求項1に記載の調理食品収容用包装容器。
- 袋の形態を有している請求項1または2に記載の調理食品収容用包装容器。
- 前記樹脂製内面は、滑剤を含まない請求項1〜3の何れかに記載の調理食品収容用包装容器。
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