以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
≪第1実施形態≫
本実施形態では、本発明に係る放電装置100を、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電する放電システムに適用した場合を例にして説明する。本実施形態の放電システムは、車載に搭載されたバッテリ1により蓄積された平滑コンデンサ2の電荷を放電するシステムである。
図1は、本実施形態に係る放電装置100を備える放電システムの構成図である。図1に示すように、本実施形態の放電システムは、バッテリ1と、平滑コンデンサ2と、三相インバータ3と、リレー4と、放電装置100と、を備える。
バッテリ1は、直流電源であって、電動車両の駆動用電源として用いられる。例えば、バッテリ1にはリチウムイオン電池などの二次電池が用いられる。バッテリ1は、リレー4を介して、平滑コンデンサ2、放電装置100、及び三相インバータ3と接続している。リレー4は、車両のメインスイッチ(付図示)のオン/オフ操作によってオン/オフを切り替える。メインスイッチがオンの時に、リレー4が閉じられ、メインスイッチがオフの時にリレー4が開かれる。
平滑コンデンサ2は、バッテリ1の出力電圧を平滑するためのコンデンサであり、リレー4を介して、バッテリ1と並列接続している。リレー4がオフからオンに切り替わると、平滑コンデンサ2にはバッテリ1から電荷が供給される。そして、平滑コンデンサ2の容量に応じた時間が経過すると、平滑コンデンサ2の両端子の電圧は、バッテリ1と同電圧となる。平滑コンデンサ2に電荷が充電された状態において、リレー4がオンからオフに切り替わると、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷は、放電装置100により放電される。そして、所定の時間が経過すると、平滑コンデンサ2の両端子電圧はゼロ電圧となる。なお、本実施形態では、平滑コンデンサ2の容量は特に限定されず、バッテリ1の特性や三相インバータ3の起動時間に応じて設定するのが好ましい。
三相インバータ3は、バッテリ1の直流電圧を交流電圧に変換し、変換した交流電圧を三相交流モータ(付図示)に供給する電圧変換装置である。リレー4がオンすると、三相インバータ3には平滑コンデンサ2により平滑されたバッテリ1の直流電圧が入力される。三相インバータ3としては、バッテリ1に並列接続する、2つの電圧型駆動素子を直列に接続した3対の回路と、各電圧型駆動素子に並列接続する整流ダイオードとを備える構成が例示できる。なお、電圧型駆動素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が例示できる。
放電装置100は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電するための放電装置である。本実施形態の放電装置100は、直列回路10と、第1制御回路20と、第2制御回路30とを備える。
直列回路10は、平滑コンデンサ2と並列接続しており、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷の放電経路として機能する回路である。直列回路10は、平滑コンデンサ2の正極側から順に、第2スイッチング素子12と、第1スイッチング素子11と、電流検出抵抗13の直列接続で構成されている。
第1スイッチング素子11は、直列回路10(放電経路)に所定の定電流を流すスイッチング素子である。第1スイッチング素子11は、電圧駆動型素子であり、例えば、シリコン(Si)製の電界効果トランジスタ(MOSFET)やIGBTが用いられる。以降では、第1スイッチング素子11を、Nch MOSFETとして説明する。
第1スイッチング素子11の各端子の接続について説明する。ドレイン端子Dは、後述する第2スイッチング素子12のソース端子Sと接続している。ソース端子Sは、電流検出抵抗13の一端と接続している。ゲート端子Gは、後述する第1制御回路20が備えるオペアンプ21の出力端子が接続している。
第1スイッチング素子11は、所定の電圧がゲート端子Gに印加することで、オンする。第1スイッチング素子11がオンすると、ドレイン端子Dとソース端子Sは導通し、ソース端子Sには所定の電圧が印加され、電流検出抵抗13に電流が流れる。電流検出抵抗13は、特に限定されず、例えば、セメント抵抗が挙げられる。
第2スイッチング素子12は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電するためのスイッチング素子である。第2スイッチング素子12は、電圧駆動型素子であり、例えば、シリコン(Si)製の電界効果トランジスタ(MOSFET)が用いられる。以降では、第2スイッチング素子12を、Nch MOSFETとして説明する。なお、第2スイッチング素子12は、電圧駆動型素子に限定されず、電流駆動型素子であってもよい。第2スイッチング素子12に電流駆動型素子を用いる場合、例えば、シリコン製のバイポーラトランジスタが用いられる。
第2スイッチング素子12の各端子の接続について説明する。ドレイン端子Dは、平滑コンデンサ2の正極と接続している。ソース端子Sは、第1スイッチング素子11のドレイン端子Dと接続している。ゲート端子Gは、電流制限抵抗15を介して、後述する第2制御回路30と接続している。また、ゲート端子Gとソース端子Sの間には、ゲート端子Gを過電圧から保護するために、ツェナーダイオード14が接続されている。
第1制御回路20は、第1スイッチング素子11のゲート端子Gの電圧を制御することで、電流検出抵抗13に所定の定電流を流す。本実施形態の第1制御回路20は、差動入力端子を有するオペアンプ21と、オペアンプ21の正極側の入力端子と接続する電圧源22を備える。電圧源22は、定電圧を出力できれば特に限定されない。なお、電圧源22の電圧値は、実験的に求められた電圧値が好ましい。
オペアンプ21の負極側の入力端子は、第1スイッチング素子11のソース端子Sが接続している。オペアンプ21の出力端子は、第1スイッチング素子のゲート端子Gと接続している。
オペアンプ21は、電圧源22の電圧と第1スイッチング素子11のソース端子Sの電圧の差分電圧を増幅し、増幅した電圧を第1スイッチング素子11のゲート端子Gに出力する。これにより、第1スイッチング素子11のソース端子Sの電圧は、所定の電圧値に収束し、電流検出抵抗13には、所定の定電流I1が流れる。
なお、電流検出抵抗13の抵抗値を変えることで、定電流I1の電流量を変更することができる。電流検出抵抗13の抵抗値は、第2スイッチング素子12の物性、第2スイッチング素子12の個数、バッテリ1の電圧等に応じて、実験的に求めるのが好ましい。例えば、電流検出抵抗13の抵抗値を、定電流I1が直列回路10に放電電流として流れたとしても、直列回路10に異常が生じない程度に設定するのが好ましい。直列回路10の異常には、第1スイッチング素子11、第2スイッチング素子12、及び電流検出抵抗13の発熱による放電装置100の温度上昇や、各素子間を接続する信号線の断線等が挙げられる。
第2制御回路30は、第2スイッチング素子12のゲート端子Gの電圧を制御することで、第2スイッチング素子12をハーフオンさせる。本実施形態の第2制御回路30は、平滑コンデンサ2と並列接続しており、平滑コンデンサ2の出力電圧を分圧する構成を有する。具体的に、第2制御回路30は、平滑コンデンサ2の正負極間を接続する直列回路である。当該直列回路は、平滑コンデンサ2の正極側から順に、スイッチ31と分圧抵抗32と分圧抵抗33の直列接続で構成されている。分圧抵抗32と分圧抵抗33の接続点は、第2制御回路30の出力端として、電流制限抵抗15を介して、第2スイッチング素子12のゲート端子Gと接続している。なお、第2スイッチング素子12のハーフオンについては後述する。
スイッチ31は、第2スイッチング素子12をハーフオン及びオフさせるためのスイッチである。スイッチ31の形態は特に限定されず、高速なスイッチング動作が可能な半導体スイッチでもよいし、機械式リレーでもよい。なお、スイッチ31の抵抗値は、分圧抵抗32の抵抗値よりも小さいものが好ましい。
スイッチ31は、コントローラ(付図示)の制御によりオン/オフする。三相インバータ3が力行動作又は回生動作を行う場合、スイッチ31はオフし、放電装置100が平滑コンデンサ2の電荷を放電する場合、スイッチ31はオンする。スイッチ31は、リレー4と連動して動作してもよく、例えば、スイッチ31は、リレー4がオンするとオフし、リレー4がオフするとオンする。
第2制御回路30は、分圧抵抗32及び分圧抵抗33により分圧された平滑コンデンサ2の出力電圧を、第2スイッチング素子42のゲート端子Gに出力する。本実施形態では、分圧抵抗32及び分圧抵抗33に略同一の抵抗値の抵抗が用いられる。これにより、第2スイッチング素子12のゲート端子Gには、平滑コンデンサ2の出力電圧(Vdc)の半分程度の電圧(Vdc/2)が印加され、第2スイッチング素子12はハーフオンする。その結果、第2スイッチング素子12において、ドレイン端子Dとソース端子S間の電圧(Vds)は、平滑コンデンサ2の出力電圧の半分程度の電圧となる(Vds=Vdc/2)。
次に、本実施形態の放電装置100による放電動作について図1、2を参照しながら説明する。図2は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電する前の図である。図2は、リレー4がオンし、スイッチ31がオフしている以外は、図1と同様であり、各構成には図1と同様の記号を付している。
図2に示すように、リレー4がオンし、スイッチ31がオフした状態では、バッテリ1と三相インバータ3は導通し、平滑コンデンサ2にはバッテリ1から電荷が供給される。平滑コンデンサ2は、バッテリ1からの電荷により充電状態となる。
スイッチ31がオフした状態では、第2スイッチング素子12のゲート端子Gには第2制御回路30から電圧が入力されず、第2スイッチング素子12はオフする。この場合、第2スイッチング素子12において、ドレイン端子Dとソース端子Sは導通しない。また、ゲート端子Gと接続する第1スイッチング素子11のドレイン端子Dには電圧が印加されないため、第1スイッチング素子11、電流検出抵抗13には電流が流れない。つまり、図2に示す放電装置100の状態では、放電装置100の直列回路10には電流が流れる経路は存在せず、平滑コンデンサ2は、バッテリ1の出力電圧を平滑し、平滑した電圧を三相インバータ3に出力している。
図2に示す状態から、リレー4がオフし、スイッチ31がオンすると、放電装置100は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷の放電を開始する。放電装置100の放電動作について図1を参照しながら説明する。
リレー4がオフし、平滑コンデンサ2はバッテリ1と遮断され、平滑コンデンサ2にはバッテリ1から電荷が供給されない。
スイッチ31がオンすると、第2スイッチング素子12のゲート端子Gには、第2制御回路30の出力電圧が入力され、第2スイッチング素子12はハーフオンする。
ここで、MOSFETの場合、ゲート−ソース間の電圧(VGS)が閾値(VT)以上になると、MOSFETは完全にオンし、ドレイン−ソース間は導通する。一方、ハーフオンとは、MOSFETが完全にオンしない状態であって、ドレイン−ソース間に電位が存在する状態である。ハーフオンしたMOSFETは、完全にオンしたMOSFETに比べて大きな抵抗を有することになる。本実施形態では、この抵抗を放電抵抗として機能させる。なお、本実施形態では、分圧抵抗32の抵抗値と分圧抵抗33の抵抗値が略同一であるため、第2スイッチング素子のドレイン−ソース間に、平滑コンデンサ2の出力電圧の1/2程度の電圧が発生する。
また、第2スイッチング素子12がハーフオンすると、第1スイッチング素子11のドレイン端子Dには電圧が印加される。第1制御回路20は、第1スイッチング素子11のソース端子Sの電圧が所定の電圧値となるように、第1スイッチング素子のゲート端子Gの電圧を制御して、第1スイッチング素子11をオンさせる。これにより、電流検出抵抗13には、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷による定電流I1が発生し、その結果、直列回路10には、平滑コンデンサ2を電源とする定電流I1が流れる。
このように、本実施形態では、リレー4がオフし、スイッチ31がオンすると、直列回路10を構成する第2スイッチング素子12、第1スイッチング素子11、及び電流検出抵抗13には、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷による定電流I1が流れる。言い換えると、定電流I1は放電電流として直列回路10に流れる。そして、ハーフオンした第2スイッチング素子12は、以下の現象により、放電抵抗として機能する。
ハーフオンした第2スイッチング素子12のドレイン−ソース間には、定電流I1が流れるとともに、平滑コンデンサ2の出力電圧の1/2程度の電圧(Vdc/2)が発生する。これにより、第2スイッチング素子12では、定電流と当該電圧による消費電力P1(P1=I1×Vdc/2)が発生し、平滑コンデンサ2の電荷は第2スイッチング素子12で放電される。なお、第2スイッチング素子12で発生する消費電力は熱に変換される。
また、定電流I1は第1スイッチング素子11にも流れる。そのため、本実施形態では、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷は、第2スイッチング素子12だけでなく、第1スイッチング素子11においても放電される。なお、第1スイッチング素子11による放電の現象は、第2スイッチング素子12による放電の現象と同様であるため、上記の説明を援用する。
ここで、比較例に係る放電装置300を用いて、放電装置の体積について説明する。図3は、比較例に係る放電装置300を備える放電システムの構成図である。放電装置300は、平滑コンデンサ2の正負極間に接続する直列回路310と、放電コントローラ313を備える。
直列回路310は、平滑コンデンサ2の正極側から順に、放電抵抗312とスイッチング素子311の直列接続で構成される。スイッチング素子311は、放電コントローラ313により、オン又はオフする。図3は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電する場面であり、スイッチング素子311はオンしている。
図3に示す場面において、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷は、直列回路310に放電電流として流れ込む。比較例に係る放電装置300は、放電抵抗312にて平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電する。
比較例に係る放電装置300では、直列回路310が定電流源(第1スイッチング素子11及び第1制御回路20)を備えていないため、放電抵抗312に流れる電流量は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷量に応じて定まる。例えば、バッテリ1の電圧が400V程度の高電圧の場合、平滑コンデンサ2で蓄積できる電荷量は、平滑コンデンサ2の容量と400Vで定まる(Q=CV)。この電荷量を放電できる抵抗を、放電抵抗312として選定する必要がある。放電抵抗312としては、セメント抵抗が例示できる。この場合、セメント抵抗の体積が大きいため、同一のプリント基板に直列回路310を実装することは困難である。また、放電装置300の体積は増大するとともに、放電装置300のコストも増大するという問題も発生する。
これに対して、本実施形態の放電装置100では、放電抵抗ではなく、第2スイッチング素子12で主な放電が行われる。例えば、第2スイッチング素子12にNch MOSFETを用いたとする。この場合、第2スイッチング素子12の体積は、セメント抵抗の体積よりも小さいため、直列回路10を同一プリント基板上に実装することができる。その結果、比較例に係る放電装置300と比べて、放電装置100の体積を抑制できるとともに、放電装置100のコストも低減できる。
加えて、本実施形態の放電装置100では、第2スイッチング素子12には、放電電流として定電流I1が流れる。定電流I1の電流量は、電流検出抵抗13の抵抗値を調整することで低減できる。そのため、電流検出抵抗13の抵抗値を調整することで、第2スイッチング素子が有する抵抗値がセメント抵抗の抵抗値よりも小さい場合であっても、平滑コンデンサ2の電荷を放電することができる。
また、本実施形態の放電装置100では、第1スイッチング素子11及び第2スイッチング素子12のいずれのスイッチング素子もオン/オフのスイッチング動作をすることなく、平滑コンデンサ2の電荷を放電できる。一般的に、放電動作において、スイッチング素子がスイッチング動作すると、スイッチング素子にはスイッチング動作に応じて断続的に電流が流れるため、スイッチング素子はノイズ源となる。また、スイッチング動作すると、スイッチング素子が有する寄生インダクタンスにより、スイッチング素子にはサージ電圧が発生し、スイッチング素子に負荷がかかる。本実施形態では、上述したように、放電動作において、スイッチング動作が行われない。そのため、スイッチング素子をスイッチング動作させて放電させる放電装置と比べて、放電動作におけるノイズを低減できるとともに、第1スイッチング素子11及び第2スイッチング素子12にかかる負荷を低減することができる。
以上のように、本実施形態の放電装置100は、バッテリ1の出力電圧を平滑する平滑コンデンサ2の正負極間に、第2スイッチング素子12、第1スイッチング素子11、及び電流検出抵抗13が直列接続する直列回路10と、第1スイッチング素子11のゲート端子Gの電圧を制御することで、電流検出抵抗13に所定の定電流を流す第1制御回路20と、第2スイッチング素子12のゲート端子Gの電圧を制御することで、第2スイッチング素子12をハーフオンさせる第2制御回路30を備える。これにより、ハーフオンした第2スイッチング素子12と、第1スイッチング素子11で、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電することができるため、放電抵抗が不要となり、その結果、放電装置100における抵抗数を低減できる。
また、本実施形態において、直列回路10は、平滑コンデンサ2の正極側から順に、第2スイッチング素子12と第1スイッチング素子11と電流検出抵抗13の直列接続で構成されている。これにより、ハーフオンした第2スイッチング素子12には、第1スイッチング素子11、電流検出抵抗13、及び第1制御回路20により生成された定電流I1が放電電流として流れる。そのため、第2スイッチング素子12に過度な大電流が流れることを防ぐとともに、一定の割合で平滑コンデンサ2の電荷を放電することができる。
加えて、本実施形態において、第2制御回路30は、定電流I1が電流検出抵抗13に流れている状態で、第2スイッチング素子12をハーフオンさせる。これにより、上記効果と同一の効果を奏する。
また、本実施形態では、第2制御回路30は、平滑コンデンサ2の正負極間に、分圧抵抗32及び分圧抵抗33が直列接続する回路である。分圧抵抗32と分圧抵抗33を接続する線は、第2スイッチング素子12のゲート端子Gと接続している。これにより、第2スイッチング素子のドレイン−ソース間には、分圧抵抗32の抵抗値と分圧抵抗33の抵抗値の比率に応じた電圧が発生する。分圧抵抗32の抵抗値の変更及び分圧抵抗33の抵抗値の変更という簡便な作業で、第2スイッチング素子12で消費する消費電力を制御することができ、その結果、第2スイッチング素子12にかかる負荷の低減を図ることができる。
≪第2実施形態≫
次に、第1実施形態とは異なる本発明に係る放電装置200を、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電する放電システムに適用した場合を例にして説明する。
図4は、本実施形態に係る放電装置200を備える放電システムの構成図である。本実施形態の放電システムは、第1実施形態の放電システムと比べて、放電装置200が異なる以外は、同一の構成を備えている。そのため、図4では、第1実施形態と同一の構成に図1、2と同一の符号を付し、同一の構成については第1実施形態でした説明を援用する。
放電装置200は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電するための放電装置である。本実施形態の放電装置200は、直列回路40と、第1制御回路50と、第2制御回路60とを備える。
直列回路40は、平滑コンデンサ2と並列接続しており、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷の放電経路として機能する回路である。直列回路40は、平滑コンデンサ2の正極側から順に、放電抵抗43と、第2スイッチング素子42と、第1スイッチング素子41が直列接続している。
第1スイッチング素子41は、直列回路40に所定の定電流を流すスイッチング素子である。第1スイッチング素子41は、第1実施形態の第1スイッチング素子11に対応するため、第1実施形態の第1スイッチング素子11でした説明を援用する。以降では、第1スイッチング素子41を、第1スイッチング素子11と同様に、Nch MOSFETとして説明する。
第1スイッチング素子41の各端子の接続について説明する。ドレイン端子Dは、後述する第2スイッチング素子42のソース端子Sと接続している。ソース端子Sは、平滑コンデンサ2の負極と接続している。ゲート端子Gは、後述する第1制御回路50が備えるオペアンプ51の出力端子が接続している。
第1スイッチング素子41は、所定の電圧がゲート端子Gに印加することで、オンする。第1スイッチング素子41がオンすると、ドレイン端子Dとソース端子Sは導通する。ドレイン端子Dとソース端子Sが導通すると、放電抵抗43に所定の定電流が流れる。
第2スイッチング素子42は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷を放電するためのスイッチング素子である。第2スイッチング素子42は、第1実施形態の第2スイッチング素子12に対応するため、第2スイッチング素子12でした説明を援用する。以降では、第2スイッチング素子42を、第2スイッチング素子12と同様に、Nch MOSFETとして説明する。
第2スイッチング素子42の各端子の接続について説明する。ドレイン端子Dは、放電抵抗43の他端と接続している。ソース端子Sは、第1スイッチング素子41のドレイン端子Dと接続している。ゲート端子Gは、後述する第2制御回路60と接続している。
放電抵抗43は、平滑コンデンサ2の電荷を放電するための抵抗である。放電抵抗43としては、セメント抵抗が例示できる。放電抵抗43の一端は、平滑コンデンサ2の正極と接続し、放電抵抗43の他端は、第2スイッチング素子42のドレイン端子D及び分圧抵抗53と接続している。
第1制御回路50は、第1スイッチング素子41のゲート端子Gの電圧を制御することで、放電抵抗43に所定の定電流を流す。本実施形態の第2制御回路30は、差動入力端子を有するオペアンプ51を備える。
オペアンプ51の正極側の入力端子には、放電抵抗43の他端の電圧を、分圧抵抗52、分圧抵抗53、及び分圧抵抗54で分圧した電圧が入力される。オペアンプ51の正極側の入力端子は、分圧抵抗53及び分圧抵抗54を介して、放電抵抗43の他端と接続している。
オペアンプ51負極側の入力端子には、平滑コンデンサ2の出力電圧を、分圧抵抗62、分圧抵抗63、及び分圧抵抗64で分圧した電圧が入力される。平滑コンデンサ2の正極は、分圧抵抗62、分圧抵抗63、及び分圧抵抗64を介して、平滑コンデンサ2の負極と接続している。オペアンプ51の負極側の入力端子は、分圧抵抗63と分圧抵抗64の接続点と接続している。
オペアンプ51は、正極側の入力端子の電圧と負極側の入力端子の電圧の差分電圧を増幅し、増幅した電圧を第1スイッチング素子41のゲート端子Gに出力する。本実施形態では、正極側の入力端子に、放電抵抗43の他端に基づく電圧が入力されるため、第1スイッチング素子41がオンすると、放電抵抗43には、所定の定電流I2が流れる。本実施形態では、放電抵抗43は、平滑コンデンサ2の電荷を放電する放電抵抗としての機能だけでなく、直列回路40に定電流I2を流す電流検出抵抗としての機能も兼ねている。なお、放電抵抗43の抵抗値を変えることで、定電流I2の電流値を変更することができる。
第2制御回路60は、第2スイッチング素子42のゲート端子Gの電圧を制御することで、第2スイッチング素子42をハーフオンさせる。本実施形態の第2制御回路60も、平滑コンデンサ2と並列接続し、平滑コンデンサ2の出力電圧を分圧する構成を有する。第2制御回路60は、平滑コンデンサ2の正極側から順に、ツェナーダイオード65と、スイッチ61と、分圧抵抗62と、分圧抵抗63と、分圧抵抗6の直列接続で構成されている。
スイッチ61は、第2スイッチング素子42をハーフオン及びオフさせるためのスイッチである。スイッチ61は、第1実施形態のスイッチ31に対応するため、第1実施形態のスイッチ31でした説明を援用する。
第2制御回路60は、分圧抵抗62、分圧抵抗63、及び分圧抵抗64により分圧された平滑コンデンサ2の出力電圧を、第2スイッチング素子42のゲート端子Gに出力する。本実施形態では、分圧抵抗62及び分圧抵抗63に対して、分圧抵抗64の抵抗値は小さいため、分圧抵抗62と分圧抵抗63が支配的になる。例えば、分圧抵抗62及び分圧抵抗63には180[kΩ]の抵抗が用いられ、分圧抵抗64には2[kΩ]の抵抗が用いられる。
上記抵抗値の抵抗を分圧抵抗62、分圧抵抗63、及び分圧抵抗64に用いた場合、第2スイッチング素子42のゲート端子Gには、平滑コンデンサ2の出力電圧(Vdc)の半分程度の電圧(Vdc/2)が印加され、第2スイッチング素子42はハーフオンする。その結果、第2スイッチング素子42において、ドレイン端子Dとソース端子S間の電圧(Vds)は、平滑コンデンサ2の出力電圧の半分程度の電圧となる(Vds=Vdc/2)。
次に、本実施形態の放電装置200による放電動作について図4を参照しながら説明する。
図4に示すように、リレー4がオフし、スイッチ61がオンすると、放電装置300は、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷の放電を開始する。
リレー4がオフし、スイッチ61がオンすると、本実施形態においても、第1制御回路50は、第1スイッチング素子41のゲート端子Gの電圧を制御することで、直列回路40に平滑コンデンサ2を電源とした定電流I2を流す。また、第2制御回路60は、第2スイッチング素子42のゲート端子Gの電圧を制御することで、第2スイッチング素子42をハーフオンさせる。第1スイッチング素子41と第2スイッチング素子42それぞれの動作は、第1実施形態の第1スイッチング素子11及び第2スイッチング素子12の動作と同様であえるため、第1実施形態の第1スイッチング素子11及び第2スイッチング素子12でした説明を援用する。
リレー4がオフし、スイッチ61がオンすると、直列回路40を構成する放電抵抗43、第2スイッチング素子42、及び第1スイッチング素子41には、平滑コンデンサ2に蓄積された電荷による定電流I2が放電電流として流れる。
放電抵抗43では、定電流I2と放電抵抗43の抵抗Rによる消費電力P2(P2=I22×R)が発生し、平滑コンデンサ2の電荷は放電抵抗43で放電される。なお、Rは放電抵抗43の抵抗値である(例えば、R=680[kΩ])。
また、第2スイッチング素子42では、上述した第1実施形態の第2スイッチング素子12と同様に、消費電力P1’(P1’=I2×Vdc/2)が発生し、平滑コンデンサ2の電荷は第2スイッチング素子42で放電される。
さらに、第1スイッチング素子41でも、上述した第1実施形態の第1スイッチング素子11と同様に、平滑コンデンサ2の電荷は放電される。
なお、上述した、放電抵抗43、第2スイッチング素子42、及び第1スイッチング素子41で発生する消費電力は熱に変換される。
以上のように、本実施形態の放電装置200において、直列回路40は、平滑コンデンサ2の正極側から順に、放電抵抗43と第2スイッチング素子42と第1スイッチング素子41の直列接続で構成されている。これにより、放電抵抗43、ハーフオンした第2スイッチング素子42には、第1スイッチング素子41、放電抵抗43、及び第1制御回路50により生成された定電流I2が流れるため、電流検出抵抗が不要となり、その結果、放電装置200における抵抗数を低減できる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上述した実施形態において、第2スイッチング素子12又は第2スイッチング素子42を一つのスイッチング素子を用いる構成を例示したが、第2スイッチング素子12又は第2スイッチング素子42の数は、これに限られない。例えば、複数の第2スイッチング素子を直列接続した構成を変形例として例示できる。変形例では、ハーフオンする第2スイッチング素子の数が増えるため、平滑コンデンサ2の電荷の放電時間を短時間で終了させることができる。
また、上述の変形例において、定電流I1又は定電流I2の電流量を減らすことで、放電時間を同時間に維持しながら、一つの第2スイッチング素子あたりに流れる電流量を減らしてもよい。これにより、第2スイッチング素子での発熱量が低減され、第2スイッチング素子にかかる負荷を低減できる。
また、本明細書では、本発明に係る放電装置の一態様として放電装置100及び放電装置200を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
加えて、本明細書では、本発明の蓄電部の一態様としてバッテリ1を例にして説明するが、これに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る第1スイッチング素子を第1スイッチング素子11及び第1スイッチング素子41を例にして説明するが、これに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る第2スイッチング素子を第2スイッチング素子12及び第2スイッチング素子42を例にして説明するが、これに限定されるものではない。
また、本明細書では、本発明の第1スイッチング素子の制御端子の一態様として、ゲート端子Gを例にして説明するが、これに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明の第2スイッチング素子の制御端子の一態様として、ゲート端子Gを例にして説明するが、これに限定されるものではない。
また、本明細書では、本発明の第1制御回路の一態様として、第1制御回路20及び第1制御回路50を例にして説明するが、これに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明の第2制御回路の一態様として、第2制御回路30及び第2制御回路60を例にして説明するが、これに限定されるものではない。
また、本明細書では、本発明の第1の分圧抵抗の一態様として、分圧抵抗32及び分圧抵抗62を例にして説明するが、これに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明の第2の分圧抵抗の一態様として、分圧抵抗33及び分圧抵抗63を例にして説明するが、これに限定されるものではない。