JP6969832B1 - ひずみゲージ式変換器 - Google Patents
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Abstract
Description
ひずみゲージは、力を受けると電気抵抗率が変化する特性を持ち、この抵抗率の変化による微小な出力電気信号の変化を、ブリッジ回路やアンプで増幅して取り出すことができる。例えば、圧力を受けるとひずみを生じる起歪体にひずみゲージを貼り付けて出力電気信号の変化を記録することにより、起歪体にかかる圧力を計測することができる。
これら圧力計等は、造船、鉄道、建設、防災構造物、自然災害(津波の波圧、地震の揺れ、強風の風圧)などの幅広い分野で行われる、実物の構造物を縮小した模型実験等で使用され、社会インフラの整備に必要な技術開発や人の安全にかかわる研究に大きく寄与している。
上述のような圧力計としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
これは、ひずみゲージの出力(電気抵抗率)は、温度など周囲の環境変化の影響を受けやすい一方、筐体が密閉されていると、筐体外の環境が速やかに筐体内に反映されず、筐体内のひずみゲージ周辺の環境がゆっくりと変化する状況が長く続くためと考えられる。
このような問題は、精度が高く力の変化に対する反応が敏感な、半導体ひずみゲージを用いる場合に特に大きく表れる。
さらに、上記透孔が、上記筐体の外部に形成された突起部の内部を通るように設けられ、上記被覆材の一端が、上記突起部の外周を覆うように上記突起部に対して密着しているとよい。
はじめに、この発明のひずみゲージ式変換器一実施形態である圧力計1の構成の概略について、図1乃至図4Bを用いて説明する。図1は、圧力計1の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、圧力計1の模式的な平面図である。
筐体10は、図4を用いて後述するように、ダイヤフラム11、枠体12、裏蓋13及び突起部15により構成され、ひずみゲージ16を内蔵して、圧力を検出するセンシング部として機能する部分である。筐体10及びその内部の構成は、従来用いられている圧力計と同様でよい。
ケーブル中継筒30は、圧力計1を制御し、また圧力計1による圧力の測定結果を取得して記録する外部の制御機器とのインタフェースとなる基板31(図4A参照)を内蔵する、略円筒形の収容部材である。
コネクタ50は、圧力計1を外部の制御機器に接続して信号やデータを入出力するためのコネクタである。ケーブル40は、ケーブル中継筒30内の基板31とコネクタ50とを電気的に接続するためのケーブルである。
図3Aに示すように、被覆付きケーブル20は、4本の導線21a〜21d(以後、個体を区別しない場合には符号「21」を用いる)を備える。これらはそれぞれ、ひずみゲージ16(図4参照)に対する2対の入力線と出力線として機能する。各導線21a〜21dは、表面を絶縁被覆材22により被覆され、他の導線とショートしないようになっている。絶縁被覆材22を含む各導線21a〜21dは、互いに撚り合わされていてもよい。また、絶縁被覆材22の周囲には、4本の導線を束ね、また周囲の磁気からシールドするための、紙や金属箔、シールド線等からなる保護層23が設けられている。
また、間隙25は、被覆付きケーブル20が途中で折れたり曲がったりしても、被覆付きケーブル20の一端が密着する筐体10から、他端に接続されるケーブル中継筒30まで、連続した通気路が形成できる程度に確保できればよい。通気路の確保の観点から、被覆材24は、水圧や自重で潰れずに内径を概ね維持できる程度の強度を持つことが好ましい。
例えば、外径が2.4mmで肉厚が0.4mmのPVC製チューブを被覆材24として用い、その中に、被覆材24の内径よりも0.15mm程度小さい約1.45mmの外径の入出力電源ケーブルを挿入することにより、被覆付きケーブル20を形成することができる。この構成の場合、被覆材24の製造誤差を考慮しても、被覆材24の内部空間のうち、長手方向に垂直な断面で見て15〜20%程度が通気路25として確保される。この程度のサイズ及び通気路25の比率で十分な通気が可能である。しかし、サイズ、通気路25の比率ともに、ここで説明したものはあくまで一例であり、必須ではない。
図3Bに示すように、ケーブル40は、4本の導線41a〜41d、絶縁被覆材42及び保護層43を備え、これらはそれぞれ被覆付きケーブル20の導線21a〜21d、絶縁被覆材22及び保護層23と同様なものである。すなわち、ケーブル40としては、被覆付きケーブル20において被覆材24内に挿入する、市販の入出力電源ケーブルを利用することができる。
圧力計1では、ケーブル中継筒30からコネクタ50までの部分は水中に沈めないことを想定しているため、ケーブル40には防水性を持たせていない。しかし、防水が必要であれば適宜に防水を行ってもよい。
図4Aに示すように、筐体10は、ダイヤフラム11を図で上側に設けたほぼ円筒状の枠体12に対し、図で下側から裏蓋13を嵌め合わせた構造となっている。また、枠体12の内部に起歪体14が固定されている。起歪体14は、外力に応じて、受けた外力に対する直線性が高い量の歪みを生じる部品である。
ダイヤフラム11の中央付近には、ダイヤフラム11が受けた圧力を起歪体14に伝えるための軸17が設けられ、起歪体14はこの軸17にも固定されている。起歪体14の両面にはそれぞれ、びずみゲージ16が設けられている。ひずみゲージ16は、ここでは起歪体14の各面に1つずつ、計2つ設けているが、数はこれに限られない。各面のひずみゲージ16には、それぞれ入力用と出力用の1対の導線21が接続されている。
突起部15は例えば、真鍮やステンレス製のパイプを、透孔19の内側に接着や溶接等により固定して形成できる。
絶縁被覆材22及び保護層23を含む導線21は、空間15a内に引き込まれている。透孔19付近において絶縁被覆材22及び保護層23が剥き取られて導線21a〜21dが露出し、起歪体14の上下に2本ずつ引き出されて、それぞれひずみゲージ16に接続されている。
基板31は、図4には表れない支持部材によってケーブル中継筒30に固定され、その周囲には空間34が確保されている。また、接続部33では、コネクタ50に向かって延びるケーブル40の導線41が、基板31上の端子に接続されている、
図4Bに示すように、ケーブル中継筒30の図4Aで右側の面には、ケーブル40を接続した状態でも外部へ開放されている開口部30aを備える。破線30cの内側がケーブル中継筒30内部の空間34と対応し、開口部30aは、破線30cの内側のうちケーブル40が通らない部分の一部に設けている。残りの部分である支持部30bが、ケーブル40を支持している。図4Bにおいてハッチングを付した部分が、ケーブル40が位置する範囲である。
このことを考えた場合には、間隙25を含む通気路は、空間18内の空気と外気とが速やかに交換されるほど通気性がよいものでなくて構わず、一定程度の空気の移動が可能な連続した経路であれば足りる。
ただし、水中での使用を想定せず、例えば防塵ができればよいのであれば、被覆材24が防水性を備えている必要はない。空間18内への塵の進入を防止する観点でも、筐体10の外壁に、空間18と外部とを直接(近距離で)つなぐ開口を設けることは好ましくないので、以上説明してきた通気路は十分に有用である。
図5A及び図5Bは、それぞれ異なる比較例における、被覆付きケーブル20と対応する位置に設けられるケーブルの断面を示す、図3Aと対応する断面図である。これらの各比較例は、筐体10とケーブル中継筒30とを結ぶケーブルの構成以外は、上述した実施形態の圧力計1と共通である。従って、符号も同じものを用いる。ただし、図5A及び図5Bに示すケーブルは、被覆付きケーブル20のような間隙を有しないので、図7Aを用いて後述する変形例の場合と同様、突起部15内部の空間15aを通してケーブル全体を筐体10の内部に引き込む構成である。
しかし、このような被覆付きケーブル40′を用いる場合、被覆材44の内部に通気路を形成することができないため、上述した実施形態の場合のような、圧力の測定値のベースラインを速やかに安定させる効果を得ることはできない。
これらの点を考えると、図3Aのような被覆付きケーブル20を用いることにより、図5Bのような被覆付きケーブル80を用いる場合と比べ、低コストで、取り回しが容易な、小型の筐体10を備える圧力計1を構成することができるといえる。
なおもちろん、半導体ひずみゲージを用いることは必須ではなく、金属箔ひずみゲージなど、任意のものを用いることができる。
このように、上述した実施形態の圧力計1によれば、安定性が速く小型の圧力計を使用した多点計測が安価に実現可能になると考えられ、その計測結果は、社会インフラ整備や人命の安全に大きく寄与できると考えられる。
まず、圧力計1では、筐体10に突起部15を設け、被覆材24を、突起部15の外周を覆うように突起部15に密着させている。このため、密着のための加工が容易であり、部品の材料やサイズ等の制約も少ない。
被覆付きケーブル20は柔軟に変形可能であることが望まれるのに対し、ケーブル中継筒30は、圧力計1を構成する場合に通常設けられる、変形を想定しない部材である。このケーブル中継筒30を、被覆材24を支える部材として用いることにより、被覆材24の筐体10と反対側を拡げた状態で支持するための特別な部材を設ける必要がなく、部品点数を削減し、コストを削減することができる。
ケーブル中継筒30を水中に沈めない想定であれば、被覆材24とケーブル中継筒30との境界が防水されていることも必須ではないので、この部分を通気路の終端としてもよい。
図6は、突起部15及び透孔19を裏蓋13の中央付近に設けた場合の圧力計1の構成を示す、図4Aと対応する断面図である。図6において、被覆付きケーブル20は筐体10付近のみ示しているが、ケーブル中継筒30やコネクタ50等、図6に表れない部分の構成は、図4Aの場合と同様である。
例えば図7Aのように、被覆材24、すなわち被覆付きケーブル20の全体を、突起部15の内部を通過させて筐体10内に導くことも考えられる。この場合でも、被覆材24と突起部15とは接着等により密着させ、間から水や塵等が浸入しないようにする。
さらに、突起部15を設けることは必須ではなく、被覆材24あるいはアダプタ61を、筐体10の外側側壁に対して直接接着あるいは結合することにより、被覆材と筐体とを密着させる構成も、考えられる。
また、以上説明してきた各実施形態及び変形例の特徴は、矛盾しない範囲で組み合わせて用いることが可能である。また、一部の特徴のみ取り出して実施することも可能である。
Claims (4)
- 外部から受ける力に応じて変形する起歪体を備える筐体と、
前記起歪体上に配置されたひずみゲージと、
前記ひずみゲージに接続され、前記筐体に設けられた透孔を通して前記筐体の外部に引き出された導線と、
前記導線を覆う被覆材であって、その一端が前記筐体に密着し、前記導線との間に間隙を有する被覆材とを備え、
前記間隙を通り、前記筐体の内部から前記被覆材の他端まで連続した通気路が形成され、
前記導線が接続される回路基板と、
前記被覆材の前記他端に密着するように設けられた、前記回路基板を収容する収容部材とを備え、
前記通気路は、前記筐体の内部から前記間隙を通って前記収容部材の内部まで連続し、前記収容部材の表面にて外気と接していることを特徴とするひずみゲージ式変換器。 - 請求項1に記載のひずみゲージ式変換器であって、
前記導線の表面に絶縁被覆材を備え、前記間隙を、該絶縁被覆材と前記被覆材との間に備えることを特徴とするひずみゲージ式変換器。 - 請求項1又は2に記載のひずみゲージ式変換器であって、
前記透孔は、前記筐体の外部に形成された突起部の内部を通るように設けられ、
前記被覆材の一端が、前記突起部の外周を覆うように前記突起部に対して密着していることを特徴とするひずみゲージ式変換器。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のひずみゲージ式変換器であって、
前記被覆材は防水性を有することを特徴とするひずみゲージ式変換器。
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