以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[適用例]
先ず、この発明の一実施形態に係るセンサ管理装置の一つの適用例について説明する。
図1は、この適用例におけるセンサ管理装置の構成例を模式的に示したものである。
センサ管理装置1は、センシングデータ生成部2と、センシングデータ送信部3と、第1の生成部としての分析目的メタデータ生成部4と、第2の生成部としての静的メタデータ生成部5と、メタデータ送信部6と、メタデータ管理部7とを備えている。
センシングデータ生成部2は、観測対象の所望の位置にそれぞれ設置された複数のセンサから、それぞれ観測対象の状態を表すセンシング信号SSを取り込む。そしてセンシングデータ生成部2は、上記各センシング信号SSを上記センサの仕様等により設定されたサンプリングレートに従いサンプリングしてセンシングデータSDを生成する。さらにセンシングデータ生成部2は、上記生成されたセンシングデータSDを、当該センシングデータSDを個々に識別するための識別コード(Identification Code:ID)(以後センシングデータIDと称する)と関連付けて図示しないメモリに記憶する。
静的メタデータ生成部5は、例えば、入力部においてセンシングデータ提供者が入力した、センサの仕様等を含むセンサおよびセンシングデータに関する属性情報SZに基づいて、センサごとに、当該属性情報SZを含む第2のメタデータとしての静的メタデータSMを生成する。そして静的メタデータ生成部5は、上記生成された静的メタデータSMに対し、当該静的メタデータSMを識別するための識別コード(以後静的メタデータIDと称する)を付与し、この静的メタデータIDが付与された静的メタデータSMをメタデータ送信部6へ出力する。なお、上記静的メタデータSMには、センシングデータの売買条件等を表す情報を含めてもよい。
分析目的メタデータ生成部4は、例えば、入力部においてセンシングデータ提供者が入力した観測対象の分析目的を表す属性情報AZに基づいて、分析目的ごとに、上記属性情報AZを含む第1のメタデータとしての分析目的メタデータAMを生成する。
分析目的メタデータAMは、例えば、分析目的の識別情報と、当該分析目的を達成する上で必要な全てのセンサの一覧を示す情報とを含む。分析目的とは、例えばセンサがどのような分析を目的として観測対象に設置されたかを表す情報であり、識別情報としては例えば「振動モード解析」、「危険運転解析」等の名称、または識別番号が用いられる。なお、分析目的は上記したものに限るものではない。センサの一覧を示す情報は、分析目的を達成する上で必要な全てのセンサの静的メタデータSMに基づいて、例えばその静的メタデータIDのリストとして生成される。
なお、上記分析目的メタデータAMには、上記分析目的の識別情報およびセンサの一覧を示す情報に加え、例えば、センサの設置場所(測定場所)を表す情報と、分析対象となるイベントデータの仕様を表す情報等を含めてもよい。これらの情報も、センシングデータ提供者が入力部により入力することにより、同様に分析目的メタデータAMに含めることができる。
また分析目的メタデータ生成部4は、上記生成された分析目的メタデータAMに対し、当該分析目的メタデータAMを個々に識別するための識別コード(以後分析目的メタデータIDと称する)を付与する。そして、この分析目的メタデータIDが付与された分析目的メタデータAMを、メタデータ送信部6へ出力する。
メタデータ送信部6は、上記分析目的メタデータ生成部4により生成された分析目的メタデータAMを図示しないデータ流通管理装置へ送信する。またメタデータ送信部6は、上記静的メタデータ生成部5により生成された静的メタデータSMのうち、上記分析目的メタデータのセンサ一覧に静的メタデータIDが記載された静的メタデータSMを、上記分析目的メタデータAMと共にデータ流通管理装置へ送信する。
また、このときメタデータ送信部6は、上記分析目的メタデータAMおよび静的メタデータSMをそれぞれ所定のフォーマットに従い分析目的カタログおよびデータカタログに変換し、この変換されたカタログをデータ流通管理装置へ送信するようにしてもよい。これらのカタログもメタデータの一種である。
メタデータ管理部7は、上記センシングデータと、分析目的メタデータと、静的メタデータとを関連付けるために、それぞれのIDを対応付けてこれをメタデータ管理情報として記憶する。なお、分析目的カタログおよびデータカタログを生成する場合には、これらのカタログの番号を上記センシングデータのIDと関連付け、上記メタデータ管理情報として記憶する。
一方、上記センサデータの利用を希望する利用者側装置においても、分析目的に応じた分析目的メタデータが生成される。この利用者側の分析目的メタデータは、分析目的の識別情報と、データ売買条件等に関する情報を含む。分析目的としては、上記センサ管理装置1で生成される分析目的メタデータと同様に、例えば「振動モード解析」や「危険運転解析」等が想定される。なお、利用者側装置においても、上記提供側のセンサ管理装置1と同様に、上記分析目的メタデータを分析目的カタログに変換するようにしてもよい。そして利用者側装置は、上記生成された利用者側の分析目的メタデータまたは分析目的カタログを、データ流通管理装置へ送信する。
データ流通管理装置は、上記センサ管理装置1から送信された提供側の分析目的メタデータAMおよび静的メタデータSMをメモリに記憶する。そしてデータ流通管理装置は、上記利用者側装置から利用者側の分析目的メタデータを受信すると、この利用者側の分析目的メタデータを、上記メモリに記憶されている提供側の分析目的メタデータAMおよび静的メタデータSMとマッチング処理する。そして、上記メモリに記憶されている提供側の分析目的メタデータAMおよび静的メタデータSMの中で、利用者側の分析目的と一致しかつデータ売買条件等を満たす分析目的メタデータAMおよび静的メタデータSMが見つかると、センサ管理装置1に対しセンシングデータ送信指令(データフロー制御信号)を送信する。
センサ管理装置1は、上記センシングデータ送信指令を受信すると、上記メタデータ管理部7に記憶されているメタデータ管理情報を参照して、当該センシングデータ送信指令により指定された分析目的メタデータに対応するセンサのセンシングデータSDをメモリから読み出し、当該センシングデータSDを利用者側装置へ送信する。
以上のような構成であるから、センシングデータの提供側となるセンサ管理装置1において、分析目的ごとに、分析目的の識別情報と当該分析目的を達成するために必要なセンサの一覧とを含む分析目的メタデータAMが生成され、この分析目的メタデータAMが、上記センサ一覧に記載された各センサに対応する静的メタデータと共に、データ流通管理装置へ送信される。
したがって、データ流通管理装置では、利用者側から分析目的メタデータが送られた場合に、当該利用者側の分析目的メタデータと、上記センサ管理装置1から提供された提供側の分析目的メタデータとの間で、分析目的同士のマッチング処理を行うことが可能となる。そして、分析目的が一致しかつデータ売買条件等のデータ流通条件を満たした場合に、上記分析目的メタデータのセンサ一覧で定義された複数のセンサのセンシングデータSDが、センサ管理装置1から利用者側装置へ一括して配信される。
このため利用者は、分析目的とデータ流通条件を指定するだけで、データ取得対象となるセンサまたはそのセンシングデータを個別に指定することなく、自身の分析目的を達成するために必要な全てのセンサのセンシングデータSDを過不足なく取得することが可能となり、センシングデータSDの取得に係る手間と時間を大幅に軽減することができる。また、分析目的に適うセンシングデータSDを過不足なく取得できることで、高精度の分析処理を行うことが可能となる。
[一実施形態]
次にこの発明の一実施形態を説明する。
(構成例)
(1)システム
図2は、この発明の一実施形態に係るセンサ管理装置を備えたセンシングデータ流通システムの全体構成の一例を示す図である。センシングデータ流通システムは、センシングデータ流通市場(Sensing Data Trading Market:SDTM)を実現する。
センシングデータ流通システムは、データ流通管理装置(データ仲介装置或いはマッチメーカとも云う)として動作するネットワークサーバ10と、複数のセンサ管理装置21〜2nと、利用者側装置としての複数のアプリケーション装置41〜4mとを備えている。
(2)センサ管理装置
センサ管理装置21〜2nは、センシングデータの提供側が運用するもので、センサ管理装置21〜2nにはそれぞれセンサ群31〜3nが接続されている。センサ群31〜3nは、それぞれ複数のセンサ311〜31kを有する。これらのセンサ311〜31kは、観測対象の分析目的を達成するために必要な所定の位置に分散して設置されている。
なお、センサ群31〜3nは、1種類のセンサを複数含む構成であってもよく、また複数種類のセンサを混在して複数含む構成であってもよい。センサの種類としては、観測対象が構造物や製造設備、車両等の場合には、例えば、振動や動き等を測定するための加速度センサや傾きセンサ、環境状態を測定するための温度センサや湿度センサ、気圧センサ、風力センサ、位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)等を利用した位置センサ、カメラを用いた監視センサ等が用いられる。また観測対象が人の場合には、各種生体センサや位置センサ、加速度センサ、環境センサ等が用いられる。なお、観測対象に設置されるセンサの数や種類、設置位置等は、上記したものに限定されるものではなく、分析目的に応じて任意に選択できる。
センサ管理装置21は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の情報端末機器、ゲートウェイ等のネットワーク機器、あるいはセンサと一体的に構成された専用のコントローラにより構成される。
図3は、センサ管理装置21〜2nのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図3では簡単のためセンサ管理装置21のみを図示し、他のセンサ管理装置22〜2nについては図示を省略している。
センサ管理装置21は、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサ211Aを有し、このハードウェアプロセッサ211Aに、プログラムメモリ211B、データメモリ212、入出力インタフェース213、センサインタフェース214および通信インタフェース215を、バスを介して接続したものとなっている。
入出力インタフェース213は、センサ管理装置21に付設される入力デバイス61および表示デバイス62との間で、センシングデータ提供者が入力したデータの取り込みと、表示データを表示デバイス62へ出力して表示させる処理を行う。なお、入力デバイス61および表示デバイス62はセンサ管理装置21に内蔵されたデバイスを使用してもよく、またネットワークを介して通信可能な他の情報端末の入力デバイスおよび表示デバイスを使用してもよい。
センサインタフェース214は、センサ群31を構成する各センサ311〜31kにより測定されたセンシング信号SS1〜SSkをそれぞれ受信し、受信した各センシング信号SS1〜SSkをそれぞれA/D変換器によりディジタル信号に変換する。なお、センサ群31〜3nとセンサインタフェース214との間の通信は、例えば、LAN(Local Area Network)等の有線インタフェースや、無線LANまたはBluetooth(登録商標)等の小電力無線データ通信規格を採用した無線インタフェースを用いて行うことができる。
通信インタフェース215は、ネットワーク50を介して、ネットワークサーバ10およびアプリケーション装置41〜4mとの間でデータ伝送を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の、ネットワーク50により規定されるものが使用されるが、これに限るものではない。
データメモリ212は、記憶媒体として、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込および読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したものからなる。
図4は、図3に示したセンサ管理装置21のハードウェア構成に、さらにソフトウェア構成を追加して示したブロック図である。
データメモリ212の記憶領域には、静的メタデータ記憶部2121と、分析目的メタデータ記憶部2122と、センシングデータ記憶部2123と、メタデータ管理情報記憶部2124と、提供側カタログ記憶部2125が設けられている。これらの記憶部2121〜2125は、それぞれ制御ユニット211から出力される、静的メタデータ、分析目的メタデータ、センシングデータ、メタデータ管理情報、分析目的カタログおよびデータカタログを記憶するために用いられる。
制御ユニット211は、上記ハードウェアプロセッサ211Aと、上記プログラムメモリ211Bとから構成され、ソフトウェアによる処理機能部として、静的メタデータ生成部2111と、分析目的メタデータ生成部2112と、センシングデータ生成部2113と、メタデータ管理部2114と、SDTMメタ変換部2115と、送信制御部2116とを備えている。これらの処理機能部は、いずれもプログラムメモリ211Bに格納されたアプリケーションプログラムを上記ハードウェアプロセッサ211Aに実行させることにより実現される。
静的メタデータ生成部2111は、入力デバイス61においてセンシングデータ提供者が入力した、センサ群31を構成する各センサ311〜31kおよびそのセンシングデータに関する属性情報を、入出力インタフェース213から取り込む。そして、センサ311〜31kごとに、上記取り込んだ属性情報をもとに当該属性情報を含む静的メタデータを生成する。
例えば、静的メタデータ生成部2111は、センサおよびセンシングデータの仕様、センシングデータ提供者、センシングデータ測定場所(センサの設置位置)およびセンシングデータ提供期間をそれぞれ表す情報と、センシングデータ売買条件を表す情報とを含む静的メタデータを生成する。センサおよびセンシングデータの仕様は、例えばセンサの感度、ダイナミックレンジ、空間分解能およびサンプリングレート等を含む。
また静的メタデータ生成部2111は、上記生成された静的メタデータを、当該静的メタデータを個々に識別するための静的メタデータIDと関連付けて、静的メタデータ記憶部2121に記憶させる。
なお、センサおよびセンシングデータに関する属性情報の取得方法としては、センシングデータ提供者が入力デバイス61から入力する方法以外に、センサメーカのWebサイト等にアクセスしてセンサの仕様を取得したり、センシングデータ提供者が管理しているWebサイトにアクセスして、静的メタデータSMの生成に必要な属性情報を取得する方法を用いることができる。
分析目的メタデータ生成部2112は、センシングデータ提供者が入力デバイス61において入力した観測対象の分析目的に関する属性情報を、入出力インタフェース213から取り込む。そして、この取り込んだ属性情報をもとに、当該属性情報を含む分析目的ごとの提供側分析目的メタデータを生成する。
提供側分析目的メタデータは、例えば、分析目的を表す情報と、分析目的を達成する上で必要な全てのセンサの一覧を示す情報と、センサの設置場所(センシングデータ測定場所)を表す情報と、分析対象となるイベントデータの仕様を表す情報とを含む。
分析目的を表す情報は、センサがどのような分析を目的として観測対象に設置されたかを表す情報であり、例えば「振動モード解析」や「危険運転解析」等が考えられる。
センサの一覧を示す情報は、上記静的メタデータ生成部2111により生成された各センサの静的メタデータのうち、上記分析目的を達成する上で必要なセンサの静的メタデータに基づいて生成される。例えば、センサの一覧を示す情報は、分析目的を達成する上で必要なセンサの静的メタデータIDのリストとして生成される。
分析目的メタデータ生成部2112は、上記生成された提供側分析目的メタデータに対し、当該分析目的メタデータを個々に識別するための分析目的メタデータIDを付与する。そして、この分析目的メタデータIDが付与された分析目的メタデータを、分析目的メタデータ記憶部2122に記憶させる。
センシングデータ生成部2113は、センサ群31を構成する各センサ311〜31kにより測定し得られた各センシング信号をセンサインタフェース214から取り込む。またセンシングデータ生成部2113は、上記静的メタデータ記憶部2121から上記センサ群31を構成する各センサ311〜31kに対応する静的メタデータを読み込み、この静的メタデータに含まれるセンサの仕様をもとにサンプリングレートを設定する。そしてセンシングデータ生成部2113は、上記各センサ311〜31kから取り込んだ各センシング信号をそれぞれ対応するサンプリングレートに従いサンプリングしてセンシングデータを生成する。
またセンシングデータ生成部2113は、上記センシングデータにそれぞれ測定日時を表すタイムスタンプを付与すると共に、センシングデータごとにユニークなセンシングデータIDを生成して、当該センシングデータIDを対応するセンシングデータに付与する。そして、上記タイムスタンプおよびセンシングデータIDが付与されたセンシングデータを、センシングデータ記憶部2123に記憶させる。
メタデータ管理部2114は、上記各生成部2111,2112,2113によりそれぞれ生成された分析目的メタデータ、静的メタデータおよびセンシングデータを相互に関連付けるために、それぞれの分析目的メタデータIDと、静的メタデータIDと、センシングデータIDとを対応付けて、これをメタデータ管理情報としてメタデータ管理情報記憶部2124に記憶させる。
SDTMメタ変換部2115は、上記メタデータ管理情報記憶部2124に記憶されたメタデータ管理情報(SDTMメタ化制御信号)を参照して、分析目的メタデータ記憶部2122および静的メタデータ記憶部2121からそれぞれ相互に関連付けられた分析目的メタデータおよび静的メタデータを読み込む。そして、この読み込んだ各メタデータに基づいて、提供側の分析目的カタログおよびデータカタログを生成する。
図7Aは上記提供側の分析目的カタログACpおよびデータカタログDCp1〜DCpkの構成の一例を示すものである。提供側の分析目的カタログACpは、情報要素として、「分析目的」、「センシングデータ測定場所」、「イベントデータ仕様」および「データカタログ一覧」を含む。このうち「データカタログ一覧」には、当該分析目的を達成するために必要な各センサ311〜31kに対応するデータカタログDCp1〜DCpkの番号が記載される。また提供側の分析目的カタログACpには、カタログごとにユニークな分析目的カタログ番号が付与される。なお、提供側の分析目的カタログACpは、上記各情報要素を全て含む必要はなく、提供側分析目的カタログACpに含める情報要素は任意に選択できる。
提供側データカタログDCp1〜DCpkは、情報要素として、「センシングデータ提供者」、「センシングデータ提供期間」、「センシングデータ測定場所」、「センシングデータ対象」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含む。また提供側データカタログDCp1〜DCpkには、センサ311〜31kごとにユニークなデータカタログ番号が付与される。なお、提供側データカタログDCp1〜DCpkは、上記各情報要素を全て含む必要はなく、提供側データカタログDCp1〜DCpkに含める情報要素は任意に選択できる。
SDTMメタ変換部2115は、上記生成された提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログを、提供側カタログ記憶部2125に記憶させる。またそれと共にSDTMメタ変換部2115は、上記提供側分析目的カタログに付与された分析目的カタログ番号と、上記提供側データカタログに付与されたデータカタログ番号とを、それぞれ対応する上記分析目的メタデータIDおよび静的メタデータIDと対応付けて、上記メタデータ管理情報記憶部2124に記憶させる。
送信制御部2116は、上記SDTMメタ変換部2115により新たな提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログが生成されるごとに、これらのカタログを提供側カタログ記憶部2125から読み出す。そして、これらのカタログをカタログ登録要求と共に通信インタフェース215からネットワークサーバ10へ向け送信する。
また送信制御部2116は、ネットワークサーバ10から自装置宛てのデータ送信指令を受信した場合に、当該データ送信指令に含まれる分析目的カタログ番号と、メタデータ管理情報記憶部2124に記憶されたメタデータ管理情報とをもとに、送信対象のセンシングデータIDを特定する。そして、当該センシングデータIDをもとにセンシングデータ記憶部2123から対応するセンシングデータを読み出し、当該センシングデータを、上記センシングデータ送信指令に含まれる利用者側のアプリケーション装置の宛先情報に基づいて、通信インタフェース215から要求元のアプリケーション装置へ送信する。
(3)アプリケーション装置
図5は、アプリケーション装置41〜4mのハードウェア構成にソフトウェアの構成を追加して示した例を示すブロック図である。なお、図5では簡単のためアプリケーション装置41のみを図示し、他のアプリケーション装置42〜4mについては図示を省略している。
アプリケーション装置41〜4mは、センシングデータの利用者が使用するもので、例えばパーソナルコンピュータにより構成される。なお、アプリケーション装置41〜4mは、パーソナルコンピュータに限らず、利用者が所持する携帯情報端末や、サーバコンピュータであってもよい。
アプリケーション装置41は、ハードウェアとして、例えば、ハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、データメモリ412と、入出力インタフェース413と、通信インタフェース414とを備え、これらを図示しないバスを介して接続したものとなっている。
入出力インタフェース413には、入力デバイス415および表示デバイス416が接続される。入出力インタフェース413は、入力デバイス415から利用者が入力したデータの取り込みと、制御ユニット411により生成された表示データを表示デバイス416へ出力して表示させる処理を行う。なお、入力デバイス415および表示デバイス416は、アプリケーション装置41に内蔵されたデバイス以外に、ネットワーク50を介して通信可能な他の情報端末の入力デバイスおよび表示デバイスを使用してもよい。
通信インタフェース414は、制御ユニット411の制御の下、ネットワーク50を介して、ネットワークサーバ10およびセンサ管理装置21〜2nとの間でデータ伝送を行う。通信プロトコルとしては、ネットワーク50により規定されるものが使用される。
データメモリ412は、記憶媒体として例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込および読出しが可能な不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリを使用したもので、その記憶領域には、カタログ記憶部4121と、センシングデータ記憶部4122が設けられている。
カタログ記憶部4121は、利用者がネットワークサーバ10へ送信しようとする利用者側分析目的カタログACuを記憶するために用いられる。センシングデータ記憶部4122は、センサ管理装置21〜2nから送信されたセンシングデータを記憶するために用いられる。
制御ユニット411は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、処理中のデータを一時的に保存する作業用メモリとにより構成され、ソフトウェアによる処理機能部として、属性情報入力受付部4111と、利用者側分析目的カタログ生成部4112と、分析目的カタログ送信制御部4113と、データ/メッセージ受信制御部4114とを備えている。これらの処理機能部は、いずれもプログラムメモリに格納されたアプリケーションプログラムを上記ハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
属性情報入力受付部4111は、利用者が入力デバイス415において入力した、利用者側の分析目的に関する属性情報を、入出力インタフェース413を介して取り込む。
利用者側分析目的カタログ生成部4112は、上記取り込んだ分析目的に関する属性情報に基づいて、分析目的ごとの利用者側分析目的メタデータを生成する。そして、この利用者側分析目的メタデータを所定のフォーマットに編集することで、利用者側分析目的カタログを生成し、この生成された利用者側分析目的カタログをカタログ記憶部4121に保存する。
図7Bは、上記利用者側分析目的カタログACuの構成の一例を示すものである。利用者側分析目的カタログACuは、情報要素として、「分析目的」、「センシングデータ利用者」、「センシングデータ利用期間」、「センシングデータ測定場所」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含む。また利用者側分析目的カタログACuには、カタログごとにユニークな分析目的カタログ番号が付与される。なお、利用者側分析目的カタログACuは、必ずしも上記各情報要素を全て含まなくてもよく、利用者側分析目的カタログACuに含める情報要素は任意に選択できる。
分析目的カタログ送信制御部4113は、上記利用者側分析目的カタログの生成処理が終了し、入力デバイス415よりカタログ送信指令が入力されると、上記カタログ記憶部4121から該当する利用者側分析目的カタログを読み出す。そして、当該利用者側分析目的カタログを、データ提供要求と共に通信インタフェース414からネットワークサーバ10へ送信する。
データ/メッセージ受信制御部4114は、上記データ提供要求の送信後に、センサ管理装置21〜2nからネットワーク50を介して伝送されたセンシングデータを通信インタフェース414により受信し、センシングデータ記憶部4122に記憶させる。またデータ/メッセージ受信制御部4114は、上記データ提供要求の送信に対し、ネットワークサーバ10から該当するセンシングデータが存在しない旨の通知メッセージを受信した場合に、当該通知メッセージを表示デバイス416に表示させる。
(4)ネットワークサーバ
図6は、ネットワークサーバ10のハードウェア構成にソフトウェアの構成を追加した構成の一例を示すブロック図である。
ネットワークサーバ10は、センシングデータ流通事業者がデータ流通管理装置として運用するもので、例えばWeb上またはクラウド上に設置されたサーバコンピュータにより構成される。
ネットワークサーバ10は、例えば、ハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、データメモリ102と、通信インタフェース103とを備え、これらを図示しないバスを介して接続したものとなっている。
通信インタフェース103は、ネットワーク50を介して、センサ管理装置21〜2nおよびアプリケーション装置41〜4mとの間でデータ伝送を行う。通信プロトコルとしては、ネットワーク50により規定されたものが使用される。
データメモリ412は、記憶媒体として例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込および読出しが可能な不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリを使用したもので、その記憶領域には、カタログ記憶部1021と、マッチング結果記憶部1022が設けられている。
カタログ記憶部1021は、センサ管理装置21〜2nから送られた提供側分析目的カタログおよびデータカタログを保存するために用いられる。マッチング結果記憶部1022は、アプリケーション装置41〜4mから送られた利用者側分析目的カタログと、上記カタログ記憶部1021に記憶された提供側分析目的カタログおよびデータカタログとのマッチング結果を記憶するために用いられる。
制御ユニット101は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、処理中のデータを一時的に保存する作業用メモリとを備える。また制御ユニット101は、ソフトウェアによる処理機能部として、要求受信制御部1011と、マッチング処理部1012と、送信制御部1013とを備えている。これらの処理機能部は、いずれもプログラムメモリに格納されたアプリケーションプログラムを上記ハードウェアプロセッサに実行させることにより実行される。
要求受信制御部1011は、上記センサ管理装置21〜2nからカタログ登録要求を受信した場合に、当該カタログ登録要求と共に受信された提供側分析目的カタログおよびデータカタログをカタログ記憶部1021に記憶させる。また要求受信制御部1011は、上記アプリケーション装置41〜4mからデータ提供要求を受信した場合に、当該データ提供要求と共に受信した利用者側分析目的カタログをマッチング処理部1012に通知する。
マッチング処理部1012は、以下の処理を行う。
(1) 上記アプリケーション装置41〜4mから受信した利用者側分析目的カタログを、上記カタログ記憶部1021に記憶されている提供側分析目的カタログおよびデータカタログと、情報要素ごとに比較(マッチング処理)する。そして、利用者の分析目的が提供者の分析目的と一致し、かつデータ売買条件等のデータ流通条件を満たす場合に、データ送信指令を生成して送信制御部1013に渡す。
(2) 上記マッチング処理の結果、利用者の分析目的と一致する提供者の分析目的が見つからなかった場合、または分析目的は見つかってもデータ売買条件等のデータ流通条件を満たさなかった場合に、該当するセンシングデータが存在しない旨の通知メッセージを生成して送信制御部1013に渡す。
送信制御部1013は、上記マッチング処理部1012からデータ送信指令を受け取った場合に、当該データ送信指令と提供側分析目的カタログ番号を提供者のセンサ管理装置21〜2nへ送信する。また送信制御部1013は、上記マッチング処理部1012から上記該当するセンシングデータが存在しない旨の通知メッセージを受け取った場合に、当該通知メッセージを要求元のアプリケーション装置41〜4mへ返信する。
(動作例)
次に、以上のように構成されたセンシングデータ流通システムの動作例を説明する。
(1)提供側分析目的カタログおよびデータカタログの生成および送信
図8はセンサ管理装置21〜2n内の各部におけるデータの流れの一例を示す図、図9はセンサ管理装置21〜2nの処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
(1−1)静的メタデータの生成
観測対象における分析目的に対応する位置に各センサ311〜31kを設置すると、センシングデータ提供者は入力デバイス61において、当該各センサ311〜31kの仕様等を含むセンサおよびセンサデータに関する属性情報SZを入力する。
センサ管理装置21は、静的メタデータ生成部2111の制御の下、ステップS10により上記各センサ311〜31kおよびセンサデータに関する属性情報SZの入力を監視している。そして、上記属性情報SZが入力されると、当該属性情報SZを入出力インタフェース213を介して取り込み、ステップS11において静的メタデータSMを生成する。
静的メタデータは、例えば、センサおよびセンシングデータの仕様と、センシングデータ提供者と、センシングデータ測定場所と、センシングデータ提供期間と、センシング対象と、イベント仕様をそれぞれ表す情報を含み、さらにセンシングデータ売買条件を表す情報を含む。このうちセンサおよびセンシングデータの仕様には、例えばセンサの感度、ダイナミックレンジ、空間分解能およびサンプリングレート等が含まれる。
センシングデータ提供者を表す情報は、センシングデータを提供する組織(個人、または事業者)に関するもので、センシングデータを提供する組織の名称(組織名)、組織の連絡先(連絡先)等を含む。
センシングデータ測定場所を表す情報は、観測対象をセンシングする場所に関するもので、例えば、測定場所の種別、測定場所等を含む。測定場所の種別は、測定場所が観測対象のセンシングごとに変化しない固定型、または測定場所が観測対象のセンシングごとに変化する移動型のいずれかを示す。測定場所は、種別が固定型である場合に記述される。
センシングデータ提供期間を表す情報は、センシングデータを提供する期間に関するもので、例えば、センシングデータの提供を開始する日時と、センシングデータの提供を終了する日時等を含む。
センシング対象を表す情報は、センシングデータに関するもので、例えば、センシングデータの名前(センシングデータ名称)、センシングデータの簡単な説明(センシングデータ説明)、センシングデータを活用するジャンル(ジャンル名)、観測対象を表す情報等を含む。このうち観測対象を表す情報は、例えば、観測対象の名前、観測対象の説明、観測対象の属性を表す情報により構成される。観測対象の属性は、観測対象属性の名前、観測対象属性の説明、観測対象属性の単位、観測対象属性の観測日時種別(間欠型、または常時型)等を示す情報も含む。
イベント仕様を表す情報は、例えば、イベント条件に記載する際のラベル名(イベントデータ識別名)と、イベントデータの値の意味やデータ表現(イベントデータ説明)を表す情報を含む。
センシングデータ売買条件を表す情報は、センシングデータの取引に関するもので、センシングデータの利用用途(営利/非営利/制限無)を示す情報、センシングデータの第三者への提供の可否を示す提供範囲を示す情報、データ複製不可/データ複製可/データ改変可/データ加工可等の取引条件を示す情報、センシングデータに個人情報が含まれているかどうかを示す個人情報、センシングデータに匿名加工情報が含まれているか否かを示す匿名加工情報、センシングデータの有効期間の開始日時および終了日時を示すデータ有効期間制限を示す情報、センシングデータの利用にかかる費用の支払い方法を示す支払類型等を含む。
そして静的メタデータ生成部2111は、上記生成された静的メタデータSM1〜SMkを、当該静的メタデータSM1〜SMkを個々に識別するための静的メタデータIDと関連付けて、静的メタデータ記憶部2121に記憶させる。
(1−2)分析目的メタデータの生成
次にセンシングデータ提供者は、入力デバイス61において、上記観測対象の分析目的に関する属性情報AZを入力する。センサ管理装置21は、分析目的メタデータ生成部2112の制御の下、ステップS12により上記分析目的に関する属性情報AZの入力を監視している。そして、上記分析目的に関する属性情報AZが入力されると、当該属性情報AZを入出力インタフェース213を介して取り込み、ステップS13において分析目的メタデータAMを生成する。
分析目的メタデータAMは、例えば、分析目的を表す情報と、分析目的を達成する上で必要な全てのセンサの一覧を示す情報と、センシングデータ測定場所を表す情報と、分析対象となるイベントデータ仕様を表す情報とを含む。
分析目的を表す情報は、センサがどのような分析を目的として観測対象に設置されたかを表す情報であり、例えば観測対象が橋梁の場合には「振動モード解析」が考えられる。なお、この橋梁の「振動モード解析」を分析目的とする場合の実施例は、後に詳しく説明する。
センサの一覧を示す情報は、上記各センサ311〜31kの静的メタデータSM1〜SMkをもとに、分析目的を達成する上で必要なセンサの静的メタデータの静的メタデータIDをリスト化することにより生成される。
そして、分析目的メタデータ生成部2112は、上記生成された分析目的メタデータAMに対し、当該分析目的メタデータAMを個々に識別するための分析目的メタデータIDを付与する。そして、この分析目的メタデータIDが付与された分析目的メタデータAMを、分析目的メタデータ記憶部2122に記憶させる。
(1−3)SDTMメタ変換処理
センサ管理装置21は、上記静的メタデータSM1〜SMkおよび分析目的メタデータAMの生成が終了したことをステップS14で確認すると、次にSDTMメタ変換部2115の制御の下、ステップS15において次のようにSDTMメタ変換処理を実行する。
図10は、上記SDTMメタ変換処理の処理手順と処理内容を例示するフローチャートである。すなわち、SDTMメタ変換部2115は、先ずステップS151においてSDTMメタ化制御信号MCを参照して、静的メタデータ記憶部2121から静的メタデータSM1〜SMkを読み込む。そして、ステップS152において、上記静的メタデータSM1〜SMkをそれぞれ所定のフォーマットに編集することで、データカタログDCp1〜DCpkを生成する。
データカタログDCp1〜DCpkは、例えば図7Aに示したように、情報要素として「センシングデータ提供者」、「センシングデータ提供期間」、「センシングデータ測定場所」、「センシングデータ対象」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含み、さらに「データカタログ番号」を付与したものである。上記各情報要素の詳細については、(1−1)の静的メタデータの生成処理において述べたので、ここでの説明は省略する。
SDTMメタ変換部2115は、次にステップS153において、SDTMメタ化制御信号MCに従い、分析目的メタデータ記憶部2122から分析目的メタデータAMを読み込む。そして、ステップS154において、上記分析目的メタデータAMを所定のフォーマットに編集することで、分析目的カタログACpを生成する。
分析目的カタログACpは、例えば図7Aに示したように、情報要素として「分析目的」、「センシングデータ測定場所」、「イベントデータ仕様」および「データカタログ一覧」を含み、さらに「分析目的カタログ番号」を付与したものである。上記「データカタログ一覧」には、当該分析目的を達成するために必要な各センサ311〜31kに対応するデータカタログDCp1〜DCpkの番号が記載される。
SDTMメタ変換部2115は、最後にステップS155において、上記ステップS122で生成されたデータカタログDCp1〜DCpkと、上記ステップS154において生成された分析目的カタログACpを、提供側カタログ記憶部2125に記憶させる。
(1−4)提供側カタログの送信
センサ管理装置21は、上記各カタログの生成を終了すると、送信制御部2116の制御の下、ステップS16において、上記提供側カタログ記憶部2125から上記生成された提供側の分析目的カタログACpおよびデータカタログDCp1〜DCpkを読み出す。そして、この読み出された分析目的カタログACpおよびデータカタログDCp1〜DCpkを、カタログ登録要求と共に、通信インタフェース215からネットワークサーバ10に向け送信する。
(2)センシングデータの生成と保存
センサ管理装置21は、ステップS20において運用開始指示の入力を監視している。この状態で、入力デバイス61から運用開始指示が入力されると、センサ管理装置21はセンシングデータ生成部2113の制御の下、先ずステップS21において、各センサ311から31kにより測定されたセンシング信号SS1〜SSkを、センサインタフェース214から一定の時間間隔で取り込む。このセンシング信号SS1〜SSkは、センサインタフェース214において、制御ユニット211で取り扱うことが可能なディジタル信号に変換されたものである。
センシングデータ生成部2113は、上記センシング信号SS1〜SSkを取り込むごとに、ステップS22おいて以下のようにセンシングデータSD1〜SDkを生成する。
すなわち、センシングデータ生成部2113は、先ず静的メタデータ記憶部2121から上記各センサ311〜31kに対応する静的メタデータSM1〜SMkを読み込む。そして、この静的メタデータSM1〜SMkに含まれるセンサの仕様に基づいてサンプリングレートを設定する。
次にセンシングデータ生成部2113は、上記センサインタフェース214から取り込んだ各センシング信号SS1〜SSkを、それぞれ対応するサンプリングレートに従いサンプリングして、センシングデータSD1〜SDkを生成する。そして、この生成されたセンシングデータSD1〜SDkを、センシングデータごとにユニークなセンシングデータIDと関連付けて、センシングデータ記憶部2123に記憶させる。
以後同様に、センシングデータ生成部2113は、一定の時間間隔でセンシング信号SS1〜SSkを取り込むごとにセンシングデータを生成してセンシングデータ記憶部2133に記憶させる。
(3)メタデータの管理
またセンサ管理装置21は、上記センシングデータ生成部2113においてセンシングデータSD1〜SDkが生成されるごとに、メタデータ管理部2114の制御の下で、ステップS23によりメタデータの管理情報を生成する処理を行う。
すなわち、メタデータ管理部2114は、上記センシングデータ記憶部2123、静的メタデータ記憶部2121および分析目的メタデータ記憶部2122から、それぞれ、センシングデータSD1〜SDkに付与されたセンシングデータID、静的メタデータSM1〜SMkに付与された静的メタデータID、および分析目的メタデータAMに付与された分析目的メタデータIDを読み出す。そして、これらのIDを相互に紐づけ、この紐づけられた各IDをメタデータ管理情報としてメタデータ管理情報記憶部2124に記憶させる。
また、メタデータ管理部2114は、上記提供側カタログ記憶部2125に記憶された分析目的カタログACpの分析目的カタログ番号と、当該分析目的カタログACpのデータカタログ一覧に記載されたデータカタログ番号と、当該データカタログ番号が付与されたデータカタログDCp1〜DCpkに対応するセンシングデータIDとを紐づけて、上記メタデータ管理情報で管理する。
かくして、センシングデータ生成部2113により生成されたセンシングデータSD1〜SDkは、上記静的メタデータSM1〜SMkおよび上記分析目的メタデータAMと相互に関連付けられると共に、分析目的カタログACpおよびデータカタログDCp1〜DCpkとも相互に関連付けられる。
(4)利用者側分析目的メタデータの生成および送信
センシングデータの利用を希望する場合、利用者はアプリケーション装置41に附属する入力デバイス415を用いて、分析目的に関する属性情報およびセンシングデータの利用条件を表す情報を入力する。
図12は、アプリケーション装置41の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。アプリケーション装置41は、属性情報入力受付部4111の制御の下、ステップS30において、上記入力デバイス415により入力された分析目的に関する属性情報と、センシングデータの利用条件を表す情報を、入出力インタフェース413を介して取り込む。
アプリケーション装置41は、次に利用者側分析目的カタログ生成部4112の制御の下、ステップS31において、上記入力された分析目的に関する属性情報と、センシングデータの利用条件を表す情報をもとに、先ず利用者側分析目的メタデータを生成する。そして、この利用者側分析目的メタデータを所定のフォーマットに編集することで、利用者側分析目的カタログACuを生成する。
例えば、利用者側分析目的カタログ生成部4112は、図7Bに示すように、「分析目的」、「センシングデータ利用者」、「センシングデータ利用期間」、「センシングデータ測定場所」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含む、利用者側分析目的カタログACuを生成する。そして、この利用者側分析目的カタログACuに、カタログごとにユニークな分析目的カタログ番号を付与し、このカタログ番号が付与された利用者側分析目的カタログACuをカタログ記憶部4121に一旦保存させる。
次にアプリケーション装置41は、分析目的カタログ送信制御部4113の制御の下、ステップS32において、上記カタログ記憶部4121から上記利用者側分析目的カタログACuを読み出し、この利用者側分析目的カタログACuをセンシングデータ提供要求と共に通信インタフェース414からネットワークサーバ10へ送信する。
(5)ネットワークサーバ10におけるセンシングデータの仲介制御
(5−1)提供側分析目的カタログおよびデータカタログの取得および保存
図13は、ネットワークサーバ10によるデータ仲介制御の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
ネットワークサーバ10は、要求受信制御部1011の制御の下、ステップS40において、センサ管理装置21〜2nからのカタログ登録要求の受信を監視している。そして、通信インタフェース103によりカタログ登録要求が受信されると、ステップS41において、上記カタログ登録要求と共に受信された提供側分析目的カタログACpおよび提供側データカタログCDp1〜DCpkを、カタログ記憶部1021に記憶させる。
以上の提供側カタログの登録処理は、センサ管理装置21〜2nからそれぞれ提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログが送られるごとに行われる。従って、カタログ記憶部1021には、センサ管理装置21〜2nから送信される提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログが漏れなく蓄積される。
なお、ネットワークサーバ10は、新たな提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログを受信するごとに、当該カタログに付与されているカタログ番号を、カタログ記憶部4121に既に記憶されている提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログのカタログ番号と照合する。そして、カタログ番号が同一の新たな提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログを受信した場合には、カタログ記憶部1021に記憶されている古いカタログに代えて、上記新たな提供側分析目的カタログおよび提供側データカタログを記憶させる。すなわち、カタログ記憶部1021に記憶されている古い提供側カタログは、新しいカタログに更新される。
(5−2)利用者側分析目的カタログの受信
またネットワークサーバ10は、要求受信制御部1011の制御の下、ステップS42において、センシングデータ提供要求の受信を監視している。そして、通信インタフェース103によりセンシングデータ提供要求が受信されると、このセンシングデータ提供要求と共に受信された利用者側分析目的カタログACuをカタログ記憶部1021に一旦保存する。
(5−3)利用者側分析目的カタログと提供側カタログとのマッチング
上記利用者側分析目的カタログACuが受信されると、ネットワークサーバ10はマッチング処理部1012の制御の下、先ずステップS43において、上記新たに受信された利用者側分析目的カタログACuを、カタログ記憶部1021に保存されている複数の提供側分析目的カタログACpとそれぞれマッチングする。この分析目的カタログACu,ACp同士のマッチング処理は、例えば図7Aおよび図7Bの例では、「分析目的」、「センシングデータ測定場所」および「イベントデータ仕様」の3つの項目について行われる。
なお、マッチングの方法としては、例えば、上記項目ごとにデータ同士の2項演算を行って一致度を算出しその結果をスコア化するものや、上記項目ごとにその情報の内容を予め対応付けられた識別番号により表し、項目ごとに上記識別番号同士を対比して一致度を判定し、その結果をスコア化するもの等が考えられるが、これらに限定されるものではない。
マッチング処理部1012は、上記分析目的カタログACu,ACpのマッチング処理の結果、上記3つの項目の全てが一致したか否かをステップS44で判定する。そして、上記3つの項目の全てが一致すると、次にステップS45において上記分析目的カタログACpのデータカタログ一覧からデータカタログ番号を抽出する。そして、ステップS47において、上記抽出されたデータカタログ番号をもとに提供側データカタログDC1〜DCkを一つ選択し、この選択した提供側データカタログ(例えばDCp1)と、上記利用者側分析目的カタログACuとの間で、データ流通条件に関する各項目をステップS48においてマッチングする。例えば、図7Aおよび図7Bの例では、「データ提供期間」と「データ利用期間」との間、および「データ売買条件」のそれぞれについてマッチングが行われる。
マッチング処理部1012は、上記データ流通条件に関する2つの項目が両方とも一致するか否かをステップS49で判定する。この判定の結果、上記2つの項目が両方とも一致すると、当該データカタログ番号を作業用メモリに保存する。
以後同様にマッチング処理部1012は、ステップS46において未選択のデータカタログDCp1〜DCpkがなくなったと判定されるまで、ステップS47で未選択の提供側データカタログDCp2〜DCpkを一つずつ選択して、当該提供側データカタログDCp2〜DCpkと利用者側分析目的カタログACuとの間で、それぞれデータ流通条件の一致/不一致を判定するためのマッチング処理を行う。そして、その判定結果をそれぞれ作業用メモリに保存する。
(5−4)センシングデータ送信指令または該当無しメッセージの送信
マッチング処理部1012は、上記利用者側分析目的カタログACuと全ての提供側データカタログDCp1〜DCpkとのマッチング処理の結果、上記全ての提供側データカタログDCp1〜DCpkのデータ流通条件に関する項目が、利用者側分析目的カタログACuに記載されたデータ流通条件に関する項目と一致すると、ステップS50に移行する。
ネットワークサーバ10は、ステップS50において、送信制御部1013の制御の下でセンシングデータ送信指令Ruを生成し、当該センシングデータ送信指令を通信インタフェース103から上記提供側分析目的カタログACpの送信元となったセンサ管理装置21に向け送信する。このとき、上記センシングデータ送信指令Ruには、上記提供側分析目的カタログACpの分析目的カタログ番号と、センシングデータの利用者が使用するアプリケーション装置の宛先情報(アドレス情報)を含める。
なお、上記ステップS43,S44によるマッチング処理の結果、利用者側分析目的カタログと一致する提供側分析目的カタログが見つからなかった場合、ネットワークサーバ10は送信制御部1013の制御の下、ステップS51において、該当するセンシングデータがなかった旨のメッセージを生成し、当該メッセージをデータ提供要求元のアプリケーション装置41へ返送する。また、上記ステップS48,S49による利用者側分析目的カタログと提供側データカタログとのマッチング処理の結果、提供側データカタログが一つでも利用者側分析目的カタログACuに記載されたデータ流通条件に関する項目と一致しなかった場合にも、ネットワークサーバ10は送信制御部1013の制御の下、ステップS51において該当するセンシングデータがなかった旨のメッセージを生成し、当該メッセージをデータ提供要求元のアプリケーション装置41へ返送する。
(6)センシングデータの配信
センサ管理装置21〜2nは、図11に示したようにステップS21〜S23によりセンシングデータを生成し保存する処理を行いながら、送信制御部2116の制御の下、ステップS24においてネットワークサーバ10からのセンシングデータ送信指令Ruの受信を監視している。この状態でセンシングデータ送信指令Ruが受信されると、送信制御部2116はステップS25において以下のようにセンシングデータの配信処理を実行する。
すなわち、送信制御部2116は、メタデータ管理情報記憶部2124に記憶されているメタデータ管理情報を読み出し、当該メタデータ管理情報を参照して、上記受信したセンシングデータ送信指令Ruに含まれる分析目的カタログ番号に紐づけられているセンシングデータIDを特定する。そして、この特定されたセンシングデータIDに関連付けられているセンシングデータをセンシングデータ記憶部2123から読み出し、当該センシングデータを上記通信インタフェース215からデータ提供要求元のアプリケーション装置41へ送信する。なお、データ提供要求元を表す情報は、上記センシングデータ送信指令Ruに含まれるアプリケーション装置の宛先情報(アドレス情報)を用いる。
センサ管理装置21は、入力デバイス61によりセンサ管理装置21の運用終了またはセンシングデータの提供に係る契約の解除が入力され、これがステップS26において検出されるまで、図11に示した手順に従い上記センシングデータの生成と保存、および配信処理を繰り返し実行する。
(7)該当するセンシングデータが存在しなかった場合の処理
アプリケーション装置41は、ネットワークサーバ10から該当データがなかった旨のメッセージを通信インタフェース414で受信すると、データ/メッセージ受信制御部4114の制御の下、図12に示すステップS35において、上記受信したメッセージを入出力インタフェース413から表示デバイス416へ出力する。この結果、表示デバイス416には上記メッセージが表示される。なお、上記メッセージにはマッチングの結果不一致となった理由を表す情報を含めるようにしてもよい。
利用者は、上記表示されたメッセージにより、自身が要求した分析目的に該当するセンシングデータが存在しないことを認識することができる。そして、例えば、利用者側分析目的カタログのデータ流通条件を緩和(例えば情報の取得希望価格の引き上げる)し、当該データ流通条件変更後の利用者側分析目的カタログACuを再送信することが可能となる。
[実施例]
次に、以上述べた一実施形態に係るセンシングデータ流通システムの一つの実施例を説明する。この実施例は、橋梁を観測対象として当該橋梁のヘルスモニタリングを行うために、上記センシングデータ流通システムを利用するものである。
図14乃至図16はこの実施例を説明するための図である。図14(a)は橋梁の一例を示したもので、この橋梁は橋桁部BRの両端部を橋脚部C12,C13により支持した構造となっている。
このような構造の橋梁において、例えば地震が発生して揺れが加わると、橋桁部RBでは図14(b),(c),(d),(e)にそれぞれ例示するような1次モード、2次モード、3次モードおよび4次モードの振動が発生すると想定される。これらの振動モードを観測することで、橋梁のヘルスモニタリングを行うことができる。
そこで、橋桁部BRの中央部、および当該中央部と両端部との間の所定の位置、具体的には、橋桁部BRの全長をLとしたとき橋桁部BRの両端から中央に向かってL/6の位置に、それぞれ加速度センサGa,Gb,Gcを設置する。これらの加速度センサGa,Gb,Gcは、橋桁部RBに発生する振動を測定し、その測定波形を示すセンシング信号を前記センサ管理装置21へ出力する。
センシングデータ提供者は、入力デバイス61において、上記橋梁にセンサGa,Gb,Gcを設置した目的として、分析目的=「振動モード解析」を入力する。また分析目的の属性情報AZとして、例えば、測定場所=「橋梁名(BR橋)」、イベント仕様=「地震発生時のデータ」を入力する。また、センサGa,Gb,Gcおよびそのセンシングデータに関する属性情報SZとしては、例えば、センシングデータ提供者=△△株式会社、センシングデータ提供期間=2017年9月〜2018年8月、センシングデータ測定場所=橋桁部BRの中央部と両端部付近、センシングデータ対象(センサ仕様)=加速度データ、測定時間300秒、サンプリングレート200Hz、加速度センサ形式x、型番y、単位m/g2、センシングイベント仕様=「常時」をそれぞれ入力する。さらに、データ売買条件として、例えば、1データ○円、「再配布禁止」を入力する。
センサ管理装置21は、先ず分析目的メタデータ生成部2112により、上記入力された分析目的およびその属性情報を含む分析目的メタデータを生成すると共に、静的メタデータ生成部2111により、上記センサGa,Gb,Gcごとに、当該センサGa,Gb,Gcおよびセンシングデータに関する属性情報SZと、データ売買条件を表す情報を含む静的メタデータを生成する。そして、SDTMメタ変換部2115により、上記生成された分析目的メタデータおよび静的メタデータに基づいて、提供側分析目的カタログACpと、当該分析目的カタログACpのデータカタログ一覧に定義されたデータカタログDCpa,DCpb,DCpcをそれぞれ生成する。
図15は上記分析目的カタログACpの一例を、また図16はデータカタログDCpa、DCpb,DCpcの一例を示す。なお、図16では簡単のためDCpaのみを示し、他のデータカタログについては図示を省略している。
一方、利用者側は、アプリケーション装置41において、分析目的として「振動モード解析」を入力する。また分析目的の属性情報として、例えば、測定場所=「橋梁名(BR橋)」、イベントデータ仕様として「地震発生時のデータ」を入力し、さらにセンシングデータ利用者名、センシングデータ利用期間、データ売買条件を入力する。
アプリケーション装置41は、上記入力された各情報を含む分析目的メタデータを生成し、この分析目的メタデータをもとに利用者側分析目的カタログを生成する。そして、アプリケーション装置41は、上記利用者側分析目的カタログをネットワークサーバ10へ送信する。
ネットワークサーバ10は、上記センサ管理装置21〜2nから送信された提供側分析目的カタログおよびデータカタログを受信してカタログ記憶部1021に記憶する。そしてネットワークサーバ10は、上記アプリケーション装置41から利用者側分析目的カタログを受信すると、当該利用者側分析目的カタログを上記カタログ記憶部1021に記憶されている全ての提供側分析目的カタログおよびデータカタログとマッチングする。そして、利用者側分析目的カタログと情報項目およびデータ流通条件が一致する提供側分析カタログおよびデータカタログが見つかると、ネットワークサーバ10は該当するセンサ管理装置21に対しセンシングデータ送信指令Ruを送信する。
センサ管理装置21は、上記センシングデータ送信指令Ruを受信すると、当該送信指令Ruにより指定された分析目的カタログに関連付けられている各センサGa,Gb,Gcに対応するセンシングデータをセンシングデータ記憶部2133から読み出して、利用者側のアプリケーション装置41へ送信する。
したがって、利用者側は、観測対象とする橋梁の地震発生時における振動モードの解析を行う際に、分析目的と測定場所、イベントデータ仕様、データ流通条件を指定するだけで、取得対象のセンサを指定することなく、解析に必要な複数のセンサによるセンシングデータを過不足なく取得することが可能となる。このため、センシングデータを取得しようとする際の利用者側の手間と時間を大幅に軽減することができ、また解析に必要なセンシングデータを過不足なく取得できるため、高精度の振動モード解析を行うことができる。
(一実施形態の効果)
以上詳述したように一実施形態では、センシングデータの提供側が運用するセンサ管理装置21〜2nにおいて、センサの使用目的に対応する分析目的ごとに、提供側分析目的カタログACpと、当該分析目的を達成する上で必要な全てのセンサに対応するデータカタログDCp1〜DCpkを生成してネットワークサーバ10に送信し登録する。また利用者側が使用するアプリケーション装置41〜4mにおいて、センシングデータの用途に対応する分析目的と、その属性情報およびデータ流通条件を含む利用者側分析目的カタログACuを生成してネットワークサーバ10へ送信する。そして、ネットワークサーバ10において、上記利用者側分析目的カタログACuを上記提供側分析目的カタログACpおよびデータカタログDCp1〜DCpkとマッチングし、両者の分析目的およびデータ流通条件が一致するとネットワークサーバ10から該当するセンサ管理装置21に対しセンシングデータ送信指令Ruを送信する。センサ管理装置21は、上記センシングデータ送信指令Ruに従い、該当するセンシングデータを全て読み出して利用者側のアプリケーション装置41へ配信するようにしている。
従って、利用者は、分析目的と、その属性情報およびデータ流通条件を入力指定するだけで、データ取得対象となるセンサまたはそのセンシングデータを個別に指定することなく、自身の分析目的を達成するために必要な全てのセンシングデータを過不足なく取得することが可能となり、センシングデータの取得に係る手間と時間を大幅に軽減することができる。また、分析目的に適うセンシングデータSDを過不足なく取得できることで、高精度の分析処理を行うことが可能となる。また、分析目的に適うセンシングデータを過不足なく取得できるため、高精度の分析処理を行うことが可能となる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
(1)例えば、前記一実施形態では、ネットワークサーバ10が、利用者側のアプリケーション装置41〜4mから新たな利用者側分析目的カタログが送信されるごとに、当該新たな利用者側分析目的カタログを、カタログ記憶部に記憶されている提供側カタログとマッチングするようにした。しかし、それに限らず、利用者側分析目的カタログをカタログ記憶部に保存し、この状態でセンサ管理装置21〜2nから新たな提供側分析目的カタログとデータカタログが送られた場合に、上記利用者側分析目的カタログを上記新たな提供側分析目的カタログおよびデータカタログとマッチングするようにしてもよい。
このようにすると、アプリケーション装置41〜4mが利用者側分析目的カタログを送信した時点では当該利用者側分析目的カタログと一致する提供側分析目的カタログが見つからなかった場合でも、その後センサ管理装置21〜2nから新たな提供側分析目的カタログが送信され、上記利用者側分析目的カタログがこの新たな提供側分析目的カタログと一致すれば、利用者側はセンシングデータを受信することが可能となる。
(2)前記一実施形態では、センサ管理装置21〜2nにおいて、分析目的メタデータおよび静的メタデータをもとに分析目的カタログおよびデータカタログを生成し、これらのカタログをネットワークサーバ10へ送信するようにした。しかし、カタログを生成せずに、分析目的メタデータおよび静的メタデータを相互に関連付けて、そのままネットワークサーバに送信するようにしてもよい。この場合、利用者側のアプリケーション装置41〜4mにおいても、分析目的カタログを生成せず分析目的メタデータを送信する。
(3)前記一実施形態では、ネットワークサーバ10において、先ず分析目的カタログACp,ACu間で分析目的とその属性の一致/不一致を判定するためのマッチング処理を行い、続いて分析目的カタログACuとデータカタログDCp1〜DCpkとの間でデータ流通条件の一致/不一致を判定するためのマッチング処理を行い、上記分析目的およびその属性と、上記データ流通条件がいずれも一致した場合に、センシングデータ送信指令Ruを送信するようにした。
しかし、それに限らず、データ流通条件のマッチングが不要なセンシングデータの場合には、分析目的カタログACp,ACu同士のマッチングのみを行い、両者が一致すればセンシングデータ送信指令Ruを送信するようにしてもよい。このようにすると、分析目的カタログACuとデータカタログDCp1〜DCpkとのマッチング処理を省略することができる。
(4)また、データカタログDCp1〜DCpkでそれぞれ定義されるデータ流通条件が共通の場合には、この共通のデータ流通条件を表す情報を提供側分析目的カタログACpに含めるようにしてもよい。このようにすると、ネットワークサーバ10では、データカタログDCp1〜DCpkを一つずつ参照することなく、分析目的カタログACp,ACu同士のマッチング処理のみで、分析目的およびデータ流通条件の一致/不一致を同時に判定することが可能となる。
(5)前記一実施形態では、その一つの実施例として、橋梁のヘルスモニタリングを行う場合を例にとって説明したが、車両のヘルスモニタリングや運転者の運転集中度の解析、生産ライン等の製造設備における動作状態の解析等の他の実施例も考えられる。
(6)前記一実施形態では、分析目的カタログおよびデータカタログのマッチング処理をネットワークサーバ10において行う場合を例にとって説明したが、上記マッチング処理をセンサ管理装置21〜2nにおいて行うようにしてもよい。すなわち、マッチング装置の機能をセンサ管理装置に設ける。このような構成であると、利用者側のアプリケーション装置はデータ取得対象となる全てのセンサ管理装置に対し利用者側分析目的カタログを送信する必要があるが、ネットワークサーバを不要にできるという効果が得られる。
また、別の構成として、アプリケーション装置から送信された利用者側分析目的カタログをデータ配信サーバで一旦受信し、このデータ配信サーバがデータ取得対象となる全てのセンサ管理装置に上記利用者側分析目的カタログを配信し、各センサ管理装置が上記配信された利用者側分析目的カタログを、自装置に記憶されている提供側分析目的カタログとマッチングする構成も考えられる。
(7)前記一実施形態では、分析目的カタログおよびデータカタログのマッチング処理をネットワークサーバ10において行う場合を例にとって説明したが、上記マッチング処理を利用者側のアプリケーション装置41〜4nにおいて行うようにしてもよい。すなわち、マッチング装置の機能を利用者側装置に設ける。このような構成であると、センサ管理装置は提供側分析目的カタログおよびデータカタログを全ての利用者側アプリケーション装置へ伝送する必要があるが、ネットワークサーバを不要にできるという効果が奏せられる。
また、別の構成として、センサ管理装置から送信された提供側分析目的カタログおよびデータカタログをデータ配信サーバで一旦受信し、このデータ配信サーバが上記提供側分析目的カタログおよびデータカタログを全てのアプリケーション装置へ配信し、各アプリケーション装置が自装置で生成した利用者側分析目的カタログを、上記配信された提供側分析目的カタログおよびデータカタログとマッチングする構成も考えられる。
さらに、データ流通管理装置としてのマッチング装置が備える処理機能、例えばメタデータのマッチング処理やデータ転送制御処理等を、アプリケーション装置内で実行するようにしてもよい。このようにすると以下のような効果が期待できる。すなわち、センシングデータ流通システムの運用が開始されるまでの期間には、マッチング装置を介さずに、センサデータの提供者と利用者とが相対する状態でセンシングデータの提供および利用を行う場合が想定される。このような場合、上記したようにアプリケーション装置にメタデータのマッチング処理機能やデータ転送制御処理機能等を設けておくと、マッチング装置に頼らずに、センサデータの提供者と利用者との間で分析目的に応じたセンサデータの流通を行うことが可能となる。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
[付記]
上記実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
(付記1)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有するセンサ管理装置であって、
前記ハードウェアプロセッサが、
センサにより測定された観測対象の状態を表すセンシングデータをメモリに記憶し、
前記観測対象の状態の分析目的に関する情報を含む第1のメタデータを生成し、
前記分析目的に関係する前記センサまたはセンシングデータの属性情報を含む第2のメタデータを生成し、
前記メモリに記憶されたセンシングデータと、前記第1のメタデータと、前記第2のメタデータとを関連付けて管理するように構成される、
センサ管理装置。
(付記2)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有するマッチング装置であって、
前記ハードウェアプロセッサが、
センサにより測定された観測対象の状態を表すセンシングデータを提供する提供側の第1の装置から、前記観測対象の状態の分析目的に関する情報を含む第1のメタデータと、前記分析目的に関係する前記センサまたはセンシングデータの属性情報を含む第2のメタデータを取得し、
前記第1の装置から取得したセンシングデータをもとに前記観測対象の状態を分析する利用者側の第2の装置から、前記分析の目的に関する情報を含む第3のメタデータを取得し、
前記第1のメタデータと前記第3のメタデータとを対比して、前記センシングデータの提供の可否を判定し、
前記判定部により提供可能と判定された場合に、前記提供側の第1の装置に対し、前記第2のメタデータに基づいて前記分析目的に関係するセンシングデータの送信を指示するように構成される、
マッチング装置。
(付記3)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有する装置が実行するセンサ管理方法であって、
前記ハードウェアプロセッサが、センサにより測定された観測対象の状態を表すセンシングデータをメモリに記憶する過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記観測対象の状態の分析目的に関する情報を含む第1のメタデータを生成する過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記分析目的に関係する前記センサまたはセンシングデータの属性情報を含む第2のメタデータを生成する過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶されたセンシングデータと、前記第1のメタデータと、前記第2のメタデータとを関連付けて管理する過程と
を具備するセンサ管理方法。
(付記4)
ハードウェアプロセッサおよびメモリを有する装置が実行するメタデータのマッチング方法であって、
前記ハードウェアプロセッサが、センサにより測定された観測対象の状態を表すセンシングデータを提供する提供側の第1の装置から、前記観測対象の状態の分析目的に関する情報を含む第1のメタデータと、前記分析目的に関係する前記センサまたはセンシングデータの属性情報を含む第2のメタデータを取得する過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記第1の装置から取得したセンシングデータをもとに前記観測対象の状態を分析する利用者側の第2の装置から、前記分析の目的に関する情報を含む第3のメタデータを取得する過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記第1のメタデータと前記第3のメタデータとを対比して、前記センシングデータの提供の可否を判定する過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記判定部により提供可能と判定された場合に、前記提供側の第1の装置に対し、前記第2のメタデータに基づいて前記分析目的に関係するセンシングデータの送信を指示する過程と
を具備するマッチング方法。