以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[適用例]
先ず、この発明の一実施形態に係るセンサ管理装置の一つの適用例について説明する。
図1は、この適用例におけるセンサ管理装置の構成例を模式的に示したものである。
センサ管理装置1は、記憶処理部および補正部としてのセンシングデータ生成部2と、第2の送信部としてのセンシングデータ送信部3と、第1の生成部としての関係性メタデータ生成部4と、第2の生成部としての静的メタデータ生成部5と、第1の送信部としてのメタデータ送信部6と、管理部としてのメタデータ管理部7と、を備えている。
センシングデータ生成部2は、観測対象の所望の位置に設置された第1のセンサから、観測対象の状態を表す第1のセンシング信号SS1を取り込む。さらにセンシングデータ生成部2は、上記第1のセンサに対して所定の位置に配置された第2のセンサから、上記第1のセンサに対して影響を与える物理量を表す第2のセンシング信号SS2を取り込む。そして、センシングデータ生成部2は、上記第1および第2のセンシング信号SS1,SS2を、上記第1および第2のセンサの仕様等により設定されたサンプリングレートに従いサンプリングして、センシングデータSD1,SD2として、図示しない内部メモリに記憶する。さらにセンシングデータ生成部2は、関係性メタデータ生成部4から入力される、上記第2のセンサのセンシングデータSD2が上記第1のセンサのセンシングデータSD1に与える関係性を表す第1のメタデータとしての関係性メタデータRMに基づいて、上記内部メモリに記憶した上記第2のセンサのセンシングデータSD2により上記第1のセンサのセンシングデータSD1を補正して、補正センシングデータCSDを生成する。さらにセンシングデータ生成部2は、上記生成された補正センシングデータCSDを、補正センシングデータCSDを個々に識別するための識別コード(Identification Code:ID)(以後補正センシングデータIDと称する)と関連付けて、上記内部メモリに記憶する。この場合、センシングデータIDを、補正センシングデータCSDだけでなく、同じく内部メモリに記憶した元データであるセンシングデータSD1,SD2とも関連付けてもよい。また、センシングデータ生成部2は、上記生成された補正センシングデータCSDと補正センシングデータIDとを、メタデータ管理部7に出力する。なお、メタデータ管理部7には、補正センシングデータIDのみを送信するようにしてもよい。
センシングデータ送信部3は、メタデータ管理部7からの補正センシングデータIDと送信先との指示を受けて、指示されたセンシングデータIDに対応する補正センシングデータCSDをセンシングデータ生成部2の内部メモリから読み出し、その補正センシングデータCSDを送信先に指定された利用者側装置へ送信する。またこのとき、補正に利用した第2のセンサのセンシングデータSD2も送信するようにしてもよい。
関係性メタデータ生成部4は、上記センシングデータ生成部2の内部メモリに記憶されている、上記第1および第2のセンシングデータSD1,SD2の一定時間以上の時系列データを取り込み、それらの時系列データに基づいて、第2のセンサのセンシングデータSD2が上記第1のセンサのセンシングデータSD1に与える関係性を自動的に算出する。具体的には、例えば、関係性メタデータ生成部4は、補正に利用する系の種類の候補を予め複数記憶した内部メモリを備えており、上記センシングデータSD1,SD2の一定時間以上の時系列データに基づいて、それら記憶された補正に利用する系の種類の候補から、補正に利用する最適な系と、その系を特定するパラメータとを特定する。関係性メタデータ生成部4は、この特定した補正に利用する最適な系と系を特定するパラメータとを表す情報を、関係性メタデータRMとして生成して、図示しない内部メモリに記憶する。また、関係性メタデータ生成部4は、上記生成された関係性メタデータRMに対し、当該関係性メタデータRMを個々に識別するための識別コード(以後関係性メタデータIDと称する)を付与する。そして、関係性メタデータ生成部4は、関係性メタデータRMを上記センシングデータ生成部2に出力すると共に、この関係性メタデータIDが付与された関係性メタデータRMをメタデータ送信部6およびメタデータ管理部7へ出力する。
なお、関係性メタデータ生成部4は、例えば、入力部においてセンシングデータ提供者が入力した、補正に利用する系の種類およびその系を特定するパラメータの範囲に関する関係性属性情報RZに基づいて、上記補正に利用する最適な系と、その系を特定するパラメータとを特定する際の範囲を限定することで、処理の高速化を図ることを可能としてもよい。
静的メタデータ生成部5は、例えば、入力部においてセンシングデータ提供者が入力した、第1および第2のセンサそれぞれの仕様等を含むセンサおよびセンシングデータに関する属性情報SZに基づいて、センサごとに、当該属性情報SZを含む静的メタデータSMを生成する。そして、静的メタデータ生成部5は、上記生成された静的メタデータSMに対し、当該静的メタデータSMを識別するための識別コード(以後静的メタデータIDと称する)を付与し、この静的メタデータIDが付与された静的メタデータSMをメタデータ送信部6およびメタデータ管理部7へ出力する。なお、上記静的メタデータSMには、センシングデータの売買条件等を表す情報を含めてもよい。
なお、上記関係性メタデータ生成部4に入力される上記関係性属性情報RZの代わりに、静的メタデータ生成部5に入力される属性情報SZまたは静的メタデータ生成部5が生成した静的メタデータSMであってもよい。すなわち、センサの仕様により、補正に利用する系の種類と系を特定するパラメータの範囲は或る程度限定されるので、関係性メタデータ生成部4は、属性情報SZまたは静的メタデータSMによって、補正に利用する最適な系と、その系を特定するパラメータとを特定する際の範囲を限定することが可能である。
メタデータ管理部7は、上記補正センシングデータCSDと上記関係性メタデータRMと上記静的メタデータSMとを関連付けるために、それぞれのIDを対応付けてこれをメタデータ管理情報として記憶する。
メタデータ送信部6は、上記関係性メタデータ生成部4で生成された関係性メタデータRMと上記静的メタデータ生成部5により生成された静的メタデータSMを、図示しないデータ流通管理装置へ送信する。
またこのとき、メタデータ送信部6は、メタデータ管理部7からのカタログ生成指示を受けて、上記関係性メタデータRMおよび静的メタデータSMをそれぞれ所定のフォーマットに従いデータカタログに変換し、この変換されたデータカタログを提供側データカタログDCpとしてデータ流通管理装置へ送信するようにしてもよい。このカタログもメタデータの一種である。なお、メタデータ管理部7は、提供側データカタログDCpを生成する場合には、そのカタログの番号を上記補正センシングデータCSDのIDと関連付け、上記メタデータ管理情報として記憶する。
一方、上記補正センシングデータの利用を希望する利用者側装置においても、利用者側が所望するセンシングデータのデータ仕様や売買条件等に応じたメタデータが生成される。なお、利用者側装置においても、上記提供側のセンサ管理装置1と同様に、上記メタデータを利用者側データカタログに変換するようにしてもよい。そして、利用者側装置は、上記生成された利用者側のメタデータまたは利用者側データカタログを、データ流通管理装置へ送信する。
データ流通管理装置は、上記センサ管理装置1から送信された提供側の関係性メタデータRMおよび静的メタデータSM(または提供側データカタログ)をメモリに記憶する。そして、データ流通管理装置は、上記利用者側装置から利用者側のメタデータ(または利用者側データカタログ)を受信すると、それを、上記メモリに記憶されている提供側の関係性メタデータRMおよび静的メタデータSM(または提供側データカタログ)とマッチング処理する。そして、上記メモリに記憶されている提供側の関係性メタデータRMおよび静的メタデータSMの中で、利用者側のデータ仕様が一致しかつデータ売買条件等を満たす関係性メタデータRMおよび静的メタデータSM(または提供側データカタログ)が見つかると、その提供元のセンサ管理装置1に対しセンシングデータ送信指令(データフロー制御信号)を送信する。
センサ管理装置1は、上記センシングデータ送信指令を受信すると、上記メタデータ管理部7に記憶されているメタデータ管理情報を参照して、当該センシングデータ送信指令により指定されたメタデータに対応するセンサの補正センシングデータCSDをセンシングデータ生成部2のメモリから読み出し、当該センシングデータSDを利用者側装置へ送信する。
以上のような構成であるから、センシングデータの提供側となるセンサ管理装置1において、観測対象の状態をセンシングする第1のセンサのセンシングデータSD1を、上記第1のセンサに対して影響を与える物理量をセンシングする第2のセンサのセンシングデータSD2に応じて補正するために必要な、上記センシングデータSD2が上記センシングデータSD1に与える関係性を表す関係性メタデータRMを自動的に生成することができる。
したがって、第1のセンシングデータSD1と第2のセンシングデータSD2との関係を事前に取得すること無しに、第1のセンシングデータSD1を補正して補正センシングデータCSDを生成することができるので、精度の高いセンシングデータを取得可能となる。
このため利用者は、データ仕様とデータ流通条件を指定するだけで、データ取得対象となるセンサまたはそのセンシングデータを個別に指定することなく、自身の目的を達成するために必要な全てのセンサの精度の高いセンシングデータを取得することが可能となる。
[一実施形態]
次に、この発明の一実施形態を説明する。
(構成)
(1)システム
図2は、この発明の一実施形態に係るセンサ管理装置を備えたセンシングデータ流通システムの全体構成の一例を示す図である。センシングデータ流通システムは、センシングデータ流通市場(Sensing Data Trading Market:SDTM)を実現する。
センシングデータ流通システムは、データ流通管理装置(データ仲介装置或いはマッチメーカとも云う)として動作するネットワークサーバ10と、複数のセンサ管理装置21〜2nと、利用者側装置としての複数のアプリケーション装置41〜4mとを備えている。
(2)センサ管理装置
センサ管理装置21〜2nは、センシングデータの提供側が運用するもので、センサ管理装置21〜2nにはそれぞれセンサ群31〜3nが接続されている。センサ群31〜3nは、それぞれ複数のセンサを有する。これらのセンサは、観測対象の分析目的を達成するために必要な所定の位置に分散して設置されている。なお、センサ群31〜3nはそれぞれ、少なくとも1つの第1のセンサと、少なくとも1つの第2のセンサとを含む。例えば、センサ群31には、1つの第1のセンサ311と1つの第2のセンサ312とが設けられている。すなわち、第1のセンサと第2のセンサは、1対1に設けられている。また、第2のセンサで第1のセンサのそれぞれに対して影響を与える物理量をセンシングできれば、1対mに設けられていてもよい。例えば、センサ群32では、1つの第1のセンサ321と、複数の第2のセンサ322−1〜322−kが設けられている。この場合、複数の第2のセンサ322−1〜322−kはそれぞれ、第1のセンサ321に対して影響を与える別の物理量をセンシングするものであってもよい。また、逆に、1つの第2のセンサで複数の第1のセンサに影響を与える物理量をセンシングできるのであれば、第1のセンサと第2のセンサは、m対1の関係であってもかまわない。例えば、センサ群3nでは、複数の第1のセンサ3n1−1〜3n1−kと1つの第2のセンサ3n2が設けられている。
第1のセンサの種類としては、観測対象が構造物や製造設備、車両等の場合には、例えば、振動や動き等を測定するための加速度センサや傾きセンサ、位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)等を利用した位置センサ、カメラを用いた監視センサ等が用いられ、第2のセンサの種類としては、環境状態を測定するための温度センサや湿度センサ、気圧センサ、風力センサ等が用いられる。また、観測対象が人の場合には、第1のセンサとしては、各種生体センサや位置センサ、加速度センサ等が用いられ、第2のセンサとしては、環境センサ等が用いられる。なお、これら第1および第2のセンサの数や種類、設置位置等は、上記したものに限定されるものではなく、分析目的に応じて任意に選択できる。
センサ管理装置21は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の情報端末機器、ゲートウェイ等のネットワーク機器、あるいはセンサと一体的に構成された専用のコントローラにより構成される。
図3は、センサ管理装置21〜2nのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図3では簡単のためセンサ管理装置21のみを図示し、他のセンサ管理装置22〜2nについては図示を省略している。
センサ管理装置21は、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサ211Aを有し、このハードウェアプロセッサ211Aに、プログラムメモリ211B、データメモリ212、入出力インタフェース213、センサインタフェース214および通信インタフェース215を、バスを介して接続したものとなっている。
入出力インタフェース213は、センサ管理装置21に付設される入力部としての入力デバイス61および表示デバイス62との間で、センシングデータ提供者が入力したデータの取り込みと、表示データを表示デバイス62へ出力して表示させる処理を行う。なお、入力デバイス61および表示デバイス62はセンサ管理装置21に内蔵されたデバイスを使用してもよく、またネットワークを介して通信可能な他の情報端末の入力デバイスおよび表示デバイスを使用してもよい。
センサインタフェース214は、センサ群31を構成する第1および第2のセンサ311,312により測定されたセンシング信号SS1,SS2をそれぞれ受信し、受信した各センシング信号SS1,SS2をそれぞれA/D変換器によりディジタル信号に変換する。なお、センサ群31〜3nとセンサインタフェース214との間の通信は、例えば、LAN(Local Area Network)等の有線インタフェースや、無線LANまたはBluetooth(登録商標)等の小電力無線データ通信規格を採用した無線インタフェースを用いて行うことができる。
通信インタフェース215は、ネットワーク50を介して、ネットワークサーバ10およびアプリケーション装置41〜4mとの間でデータ伝送を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の、ネットワーク50により規定されるものが使用されるが、これに限るものではない。
データメモリ212は、記憶媒体として、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込および読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したものからなる。
図4は、図3に示したセンサ管理装置21のハードウェア構成に、さらにソフトウェア構成を追加して示したブロック図である。
データメモリ212の記憶領域には、静的メタデータ記憶部2121と、関係性メタデータ記憶部2122と、センシングデータ記憶部2123と、メタデータ管理情報記憶部2124と、提供側カタログ記憶部2125が設けられている。これらの記憶部2121〜2125は、それぞれ制御ユニット211から出力される、静的メタデータSM、関係性メタデータRM、センシングデータSD1,SD2および補正センシングデータCSD、メタデータ管理情報、提供側データカタログDCpを記憶するために用いられる。
制御ユニット211は、上記ハードウェアプロセッサ211Aと、上記プログラムメモリ211Bとから構成され、ソフトウェアによる処理機能部として、静的メタデータ生成部2111と、関係性メタデータ生成部2112と、センシングデータ生成部2113と、メタデータ管理部2114と、SDTMメタ変換部2115と、送信制御部2116とを備えている。また、関係性メタデータ生成部2112は関係性最適化部2112Aを含み、センシングデータ生成部2113は関係性計算部2113Aを含む。これらの処理機能部は、いずれもプログラムメモリ211Bに格納されたアプリケーションプログラムを上記ハードウェアプロセッサ211Aに実行させることにより実現される。
静的メタデータ生成部2111は、入力デバイス61においてセンシングデータ提供者が入力した、センサ群31を構成する第1および第2のセンサ311,312およびそのセンシングデータに関する属性情報SZを、入出力インタフェース213から取り込む。そして、センサ311,312ごとに、上記取り込んだ属性情報をもとに当該属性情報を含む静的メタデータを生成する。
例えば、静的メタデータ生成部2111は、センサおよびセンシングデータの仕様、センシングデータ提供者、センシングデータ測定場所(センサの設置位置)、補正に利用するセンサ(当該センサが第1のセンサ311の場合どの第2のセンサ312を利用するか)または補正に利用されるセンサ(当該センサが第2のセンサ311の場合どの第1のセンサ311に利用されるか)、およびセンシングデータ提供期間をそれぞれ表す情報と、センシングデータ売買条件を表す情報とを含む静的メタデータSMを生成する。センサおよびセンシングデータの仕様は、例えばセンサの感度、ダイナミックレンジ、空間分解能およびサンプリングレート等を含む。
また、静的メタデータ生成部2111は、上記生成された静的メタデータSMを、当該静的メタデータを個々に識別するための静的メタデータIDと関連付けて、静的メタデータ記憶部2121に記憶させる。メタデータ管理部2114は、この静的メタデータ生成部2111により生成された静的メタデータIDを含むメタデータ管理情報をメタデータ管理情報記憶部2124に記憶させる。
なお、センサおよびセンシングデータに関する属性情報SZの取得方法としては、センシングデータ提供者が入力デバイス61から入力する方法以外に、センサメーカのWebサイト等にアクセスしてセンサの仕様を取得したり、センシングデータ提供者が管理しているWebサイトにアクセスして、静的メタデータSMの生成に必要な属性情報を取得したりする方法を用いることができる。
関係性メタデータ生成部2112は、センシングデータ提供者が入力デバイス61において、補正に利用する系の種類と系を特定するパラメータの範囲とに関する関係性属性情報RZを入力した場合には、それを入出力インタフェース213から取り込む。そして、この取り込んだ関係性属性情報RZを、関係性メタデータ記憶部2122に記憶させる。
センシングデータ生成部2113は、センサ群31を構成する第1および第2のセンサ311,312により測定し得られた各センシング信号SS1,SS2をセンサインタフェース214から取り込む。また、センシングデータ生成部2113は、上記静的メタデータ記憶部2121から上記センサ群31を構成する各センサ311,312に対応する静的メタデータを読み込み、この静的メタデータに含まれるセンサの仕様をもとにサンプリングレートを設定する。そして、センシングデータ生成部2113は、上記各センサ311,312から取り込んだ各センシング信号SS1,SS2をそれぞれ対応するサンプリングレートに従いサンプリングしてセンシングデータSD1,SD2を生成する。
また、センシングデータ生成部2113は、上記センシングデータSD1,SD2にそれぞれ測定日時を表すタイムスタンプを付与すると共に、センシングデータごとにユニークなセンシングデータIDを生成して、当該センシングデータIDを対応するセンシングデータに付与する。そして、上記タイムスタンプおよびセンシングデータIDが付与されたセンシングデータSD1,SD2を、センシングデータ記憶部2123に記憶させる。よって、センシングデータ記憶部2123には、センシングデータSD1,SD2の時系列データが記憶されていく。
また、関係性メタデータ生成部2112の関係性最適化部2112Aは、センシングデータ記憶部2123に予め規定された一定期間以上の時系列データが保存されている時に、センシングデータ記憶部2123から第1のセンサ311のセンシングデータSD1と第2のセンサ312のセンシングデータSD2の時系列データを読み出し、センシングデータSD2がセンシングデータSD1に与える関係性を自動的に算出する。ここで、自動的に算出するとは、関係性メタデータ(=遅れ系・周期系などから選択した最適な系、および、最適な「系を特定するパラメータ」)を、保存された時系列データから特定することである。
ここで、補正に利用する系の種類について説明する。
時刻nにおける第2のセンサ312の値をx[n](n=0,1,2,…)、時刻nにおける第1のセンサ311の値をy[n](n=0,1,2,…)とし、y[n]は、x[0],x[1],…,x[n]の影響を除去すると定数になることを仮定すると、
y[n]=f[n]+c
となる。ここで、f[n]はx[0],x[1],…,x[n]の関数であり、cは定数である。
本実施形態では、f[n]は、以下の関数系を仮定する。
・線形回帰(無駄時間なし):f[n]=ax[n]
・線形回帰(無駄時間あり):f[n]=a×x[n−k]
・2時点の多変量線形回帰 :f[n]=a×x[n]+b×x[n−k]
・1次遅れ系 :a×f[n+1]+f[n]=k×x[n] (← α×df/dt(t)+f(t)=κ×(t)の離散化)
・時刻周期系 :f[n]=a×g[n%T]+b (ここで、n%TはnをTで割った余り、Tは自然数、g[m]は多項式もしくは正弦関数で表される)
プログラムメモリ211Bに、このような関数系とパラメータ(上記aやb)の値を、補正に利用する系の種類の候補とパラメータの候補として記憶しており、関係性最適化部2112Aは、これら系の候補から最適な系と、この最適な「系を特定するパラメータ」(上記aやb)を特定する。なお、パラメータの値の候補としては、値自体を記憶していてもよいし、例えば「−10〜+10まで0.1刻み」といった値を示す情報を記憶していてもよい。
関係性最適化部2112Aは、特定した補正に利用する最適な系と系を特定するパラメータとを表す情報を、関係性メタデータRMとして生成し、生成した関係性メタデータRMに対して、関係性メタデータIDを付与する。そして、関係性最適化部2112Aは、この関係性メタデータIDが付与された関係性メタデータRMを、関係性メタデータ記憶部2122に記憶させる。
メタデータ管理部2114は、この関係性メタデータ生成部2112の関係性最適化部2112Aにより生成された関係性メタデータRMを上記静的メタデータ生成部2111により生成された静的メタデータと相互に関連付けるために、上記メタデータ管理情報記憶部2124に記憶された静的メタデータIDを含むメタデータ管理情報に、この関係性メタデータRMの関係性メタデータIDを追加記憶させることで、静的メタデータIDと関係性メタデータIDとを対応付ける。
センシングデータ生成部2113の関係性計算部2113Aは、関係性メタデータ記憶部2122から関係性メタデータRMを読み出すと共に、センシングデータ記憶部2123から第1のセンサ311のセンシングデータSD1と第2のセンサ312のセンシングデータSD2の時系列データを読み出し、関係性メタデータRMとセンシングデータSD2から、センシングデータSD1を補正して、補正センシングデータCSDを生成する。そして、関係性計算部2113Aは、生成した補正センシングデータCSDに対して、補正センシングデータIDを付与する。そして、この補正センシングデータIDが付与された補正センシングデータCSDを、センシングデータ記憶部2123に記憶させる。
メタデータ管理部2114は、このセンシングデータ生成部2113の関係性計算部2113Aにより生成された補正センシングデータCSDを上記静的メタデータ生成部2111により生成された静的メタデータおよび上記関係性メタデータ生成部2112の関係性最適化部2112Aにより生成された関係性メタデータRMと相互に関連付けるために、上記メタデータ管理情報記憶部2124に記憶された静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDを含むメタデータ管理情報に、この補正センシングデータCSDの補正センシングデータIDを追加記憶させることで、静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDと補正センシングデータIDとを対応付ける。
SDTMメタ変換部2115は、メタデータ管理部2114からのカタログ生成指示に応じて、上記メタデータ管理情報記憶部2124に記憶されたメタデータ管理情報を参照して、静的メタデータ記憶部2121および関係性メタデータ記憶部2122からそれぞれ相互に関連付けられた静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMを読み込む。そして、この読み込んだ各メタデータに基づいて、提供側データカタログDCpを生成する。
図7Aは上記提供側データカタログDCpの構成の一例を示すものである。提供側データカタログDCpは、情報要素として、「補正データ仕様」、「センシングデータ提供者」、「センシングデータ提供期間」、「センシングデータ測定場所」、「センシングデータ対象」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含む。上記「補正データ仕様」は、「補正の有無」、「補正に利用したセンサ」、「補正に利用した系の種類」および「補正に利用した系を特定するパラメータ」を含む。また、提供側データカタログDCpには、第1のセンサ311を特定するためのユニークな提供側データカタログ番号が付与される。なお、提供側データカタログDCpは、上記各情報要素を全て含む必要はなく、提供側データカタログDCpに含める情報要素は任意に選択できる。
SDTMメタ変換部2115は、上記生成された提供側データカタログDCpを、提供側カタログ記憶部2125に記憶させる。またそれと共に、SDTMメタ変換部2115は、上記提供側データカタログDCpに付与された提供側データカタログ番号を、対応する上記関係性メタデータIDおよび静的メタデータIDと対応付けて、上記メタデータ管理情報記憶部2124に記憶させる。
送信制御部2116は、上記SDTMメタ変換部2115により新たな提供側データカタログDCpが生成されるごとに、このカタログを提供側カタログ記憶部2125から読み出す。そして、このカタログをカタログ登録要求と共に通信インタフェース215からネットワークサーバ10へ向け送信する。
また、送信制御部2116は、ネットワークサーバ10から自装置宛てのセンシングデータ送信指令を受信した場合に、それをメタデータ管理部2114に転送する。メタデータ管理部2114は、当該センシングデータ送信指令に含まれる提供側データカタログ番号と、メタデータ管理情報記憶部2124に記憶されたメタデータ管理情報とをもとに、送信対象の補正センシングデータIDを特定する。そして、メタデータ管理部2114は、上記センシングデータ送信指令に含まれる利用者側のアプリケーション装置の宛先情報で示される要求元のアプリケーション装置への、その補正センシングデータIDに対応する補正センシングデータCSDの送信を送信制御部2116へ指示する。これに応じて、送信制御部2116は、送信対象の補正センシングデータIDをもとにセンシングデータ記憶部2123から対応する補正センシングデータCSDを読み出し、それを上記指示された利用者側のアプリケーション装置へ、通信インタフェース215から送信する。
なお、SDTMメタ変換部2115および提供側カタログ記憶部2125は必須の構成ではない。メタデータ管理部2114からのメタデータ送信指示に応じて、送信制御部2116は、静的メタデータ記憶部2121に記憶されている静的メタデータIDが付与された静的メタデータSMと、関係性メタデータ記憶部2122に記憶されている関係性メタデータIDが付与された関係性メタデータRMとを、メタデータ登録要求と共に通信インタフェース215からネットワークサーバ10へ向け送信するようにしてもよい。この場合には、ネットワークサーバ10からのセンシングデータ送信指令には、提供側データカタログ番号ではなく、静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDが含まれ、メタデータ管理部2114は、これらに関連付けられた補正センシングデータIDにより、送信するべき補正センシングデータCSDを特定することができる。
(3)アプリケーション装置
図5は、アプリケーション装置41〜4mのハードウェア構成にソフトウェアの構成を追加して示した例を示すブロック図である。なお、図5では簡単のためアプリケーション装置41のみを図示し、他のアプリケーション装置42〜4mについては図示を省略している。
アプリケーション装置41〜4mは、センシングデータの利用者が使用するもので、例えばパーソナルコンピュータにより構成される。なお、アプリケーション装置41〜4mは、パーソナルコンピュータに限らず、利用者が所持する携帯情報端末や、サーバコンピュータであってもよい。
アプリケーション装置41は、ハードウェアとして、例えば、ハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、データメモリ412と、入出力インタフェース413と、通信インタフェース414とを備え、これらを図示しないバスを介して接続したものとなっている。
入出力インタフェース413には、入力デバイス415および表示デバイス416が接続される。入出力インタフェース413は、入力デバイス415から利用者が入力したデータの取り込みと、制御ユニット411により生成された表示データを表示デバイス416へ出力して表示させる処理を行う。なお、入力デバイス415および表示デバイス416は、アプリケーション装置41に内蔵されたデバイス以外に、ネットワーク50を介して通信可能な他の情報端末の入力デバイスおよび表示デバイスを使用してもよい。
通信インタフェース414は、制御ユニット411の制御の下、ネットワーク50を介して、ネットワークサーバ10およびセンサ管理装置21〜2nとの間でデータ伝送を行う。通信プロトコルとしては、ネットワーク50により規定されるものが使用される。
データメモリ412は、記憶媒体として例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込および読出しが可能な不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリを使用したもので、その記憶領域には、カタログ記憶部4121と、センシングデータ記憶部4122が設けられている。
カタログ記憶部4121は、利用者がネットワークサーバ10へ送信しようとする利用者側データカタログDCuを記憶するために用いられる。センシングデータ記憶部4122は、センサ管理装置21〜2nから送信された補正センシングデータを記憶するために用いられる。
制御ユニット411は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、処理中のデータを一時的に保存する作業用メモリとにより構成され、ソフトウェアによる処理機能部として、属性情報入力受付部4111と、利用者側データカタログ生成部4112と、データカタログ送信制御部4113と、データ/メッセージ受信制御部4114とを備えている。これらの処理機能部は、いずれもプログラムメモリに格納されたアプリケーションプログラムを上記ハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
属性情報入力受付部4111は、利用者が入力デバイス415において入力した、利用者側の属性情報を、入出力インタフェース413を介して取り込む。
利用者側データカタログ生成部4112は、上記取り込んだ属性情報に基づいて、利用者側メタデータを生成する。そして、この利用者側メタデータを所定のフォーマットに編集することで、利用者側データカタログDCuを生成し、この生成された利用者側データカタログDCuをカタログ記憶部4121に保存する。
図7Bは、上記利用者側データカタログDCuの構成の一例を示すものである。利用者側データカタログDCuは、情報要素として、「補正データ仕様」、「センシングデータ利用者」、「センシングデータ利用期間」、「センシングデータ測定場所」、「センシングデータ対象」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含む。上記「補正データ仕様」は、「補正の有無の希望」、「希望する補正に利用したセンサ」、「希望する補正に利用した系の種類」および「希望する補正に利用した系を特定するパラメータの範囲」を含む。また、利用者側データカタログDCuには、カタログごとにユニークな利用者側データカタログ番号が付与される。なお、利用者側データカタログDCuは、必ずしも上記各情報要素を全て含まなくてもよく、利用者側データカタログDCuに含める情報要素は任意に選択できる。
データカタログ送信制御部4113は、上記利用者側データカタログDCuの生成処理が終了し、入力デバイス415よりカタログ送信指令が入力されると、上記カタログ記憶部4121から該当する利用者側データカタログDCuを読み出す。そして、当該利用者側データカタログDCuを、データ提供要求と共に通信インタフェース414からネットワークサーバ10へ送信する。
データ/メッセージ受信制御部4114は、上記データ提供要求の送信後に、センサ管理装置21〜2nからネットワーク50を介して伝送された補正センシングデータを通信インタフェース414により受信し、センシングデータ記憶部4122に記憶させる。また、データ/メッセージ受信制御部4114は、上記データ提供要求の送信に対し、ネットワークサーバ10から該当する補正センシングデータが存在しない旨の通知メッセージを受信した場合に、当該通知メッセージを表示デバイス416に表示させる。
(4)ネットワークサーバ
図6は、ネットワークサーバ10のハードウェア構成にソフトウェアの構成を追加した構成の一例を示すブロック図である。
ネットワークサーバ10は、センシングデータ流通事業者がデータ流通管理装置として運用するもので、例えばWeb上またはクラウド上に設置されたサーバコンピュータにより構成される。
ネットワークサーバ10は、例えば、ハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、データメモリ102と、通信インタフェース103とを備え、これらを図示しないバスを介して接続したものとなっている。
通信インタフェース103は、ネットワーク50を介して、センサ管理装置21〜2nおよびアプリケーション装置41〜4mとの間でデータ伝送を行う。通信プロトコルとしては、ネットワーク50により規定されたものが使用される。
データメモリ412は、記憶媒体として例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込および読出しが可能な不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリを使用したもので、その記憶領域には、カタログ記憶部1021と、マッチング結果記憶部1022が設けられている。
カタログ記憶部1021は、センサ管理装置21〜2nから送られた提供側データカタログDCpを、または、静的メタデータIDが付与された静的メタデータSMおよび関係性メタデータIDが付与された関係性メタデータRMを保存するために用いられる。マッチング結果記憶部1022は、アプリケーション装置41〜4mから送られた利用者側データカタログDCuと、上記カタログ記憶部1021に記憶された提供側データカタログDCpとのマッチング結果、または、静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMとのマッチング結果を記憶するために用いられる。
制御ユニット101は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、処理中のデータを一時的に保存する作業用メモリとを備える。また、制御ユニット101は、ソフトウェアによる処理機能部として、要求受信制御部1011と、マッチング処理部1012と、送信制御部1013とを備えている。これらの処理機能部は、いずれもプログラムメモリに格納されたアプリケーションプログラムを上記ハードウェアプロセッサに実行させることにより実行される。
要求受信制御部1011は、上記センサ管理装置21〜2nからカタログ登録要求を受信した場合に、当該カタログ登録要求と共に受信された提供側データカタログDCpをカタログ記憶部1021に記憶させる。あるいは、上記センサ管理装置21〜2nからメタデータ登録要求を受信した場合に、当該メタデータ登録要求と共に受信された静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMをカタログ記憶部1021に記憶させる。また、要求受信制御部1011は、上記アプリケーション装置41〜4mからデータ提供要求を受信した場合に、当該データ提供要求と共に受信した利用者側データカタログDCuをマッチング処理部1012に通知する。
マッチング処理部1012は、以下の処理を行う。
(1) 上記アプリケーション装置41〜4mから受信した、利用者側データカタログDCuを、または静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMを、上記カタログ記憶部1021に記憶されている提供側データカタログDCpと、情報要素ごとに比較(マッチング処理)する。そして、利用者の補正データ仕様が提供者の補正データ仕様と一致し、かつデータ売買条件等のデータ流通条件を満たす場合に、ランシングデータ送信指令を生成して送信制御部1013に渡す。
(2) 上記マッチング処理の結果、利用者の補正データ仕様と一致する提供者の補正データ仕様が見つからなかった場合、または補正データ仕様は見つかってもデータ売買条件等のデータ流通条件を満たさなかった場合に、該当する補正センシングデータが存在しない旨の通知メッセージを生成して送信制御部1013に渡す。
送信制御部1013は、上記マッチング処理部1012からセンシングデータ送信指令を受け取った場合に、当該センシングデータ送信指令と利用者側データカタログ番号を提供者のセンサ管理装置21〜2nへ送信する。また、送信制御部1013は、上記マッチング処理部1012から上記該当する補正センシングデータが存在しない旨の通知メッセージを受け取った場合に、当該通知メッセージを要求元のアプリケーション装置41〜4mへ返信する。
(動作)
次に、以上のように構成されたセンシングデータ流通システムの動作を説明する。
図8はセンサ管理装置21〜2n内の各部におけるデータの流れを例示した図、図9はセンサ管理装置21〜2nの処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。図10は図9に示したセンサ管理装置の処理のうち補正センシングデータ生成・送信処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートであり、図11は図10に示した補正センシングデータ生成・送信処理のうち関係性メタデータ生成・送信処理の処理手順と処理内容を例示したフローチャートである。
(1)静的メタデータの生成
観測対象における測定目的に対応する位置に第1のセンサ311を設置し、この第1のセンサに影響を与える物理量を測定可能な位置に第2のセンサ312を設置すると、センシングデータ提供者は入力デバイス61において、当該各センサ311,312の仕様等を含むセンサおよびセンシングデータに関する属性情報SZを入力する。
センサ管理装置21は、静的メタデータ生成部2111の制御の下、ステップS10により上記各センサ311,312およびセンシングデータに関する属性情報SZの入力を監視している。そして、上記属性情報SZが入力されると、当該属性情報SZを入出力インタフェース213を介して取り込み、ステップS11において静的メタデータSMを生成する。
静的メタデータは、例えば、センサおよびセンシングデータの仕様と、補正の有無と、補正に利用するまたは利用されるセンサと、センシングデータ提供者と、センシングデータ測定場所と、センシングデータ提供期間と、センシングデータ対象と、イベント仕様をそれぞれ表す情報を含み、さらにセンシングデータ売買条件を表す情報を含む。このうちセンサおよびセンシングデータの仕様には、例えばセンサの種類や型式、型番、感度、ダイナミックレンジ、空間分解能およびサンプリングレート等が含まれる。
補正の有無を表す情報は、当該センサのセンシングデータを補正するかどうかを示しており、第1のセンサ311であれば「有」、第2のセンサ312であれば「無」となる。補正に利用するまたは利用されるセンサに関する情報は、対象のセンサの種類や型式、型番等を含む。補正の有無を表す情報が「有」である第1のセンサ311においては、この補正に利用するまたは利用されるセンサに関する情報は、当該第1のセンサ311のセンシングデータの補正に利用するセンサである第2のセンサ312についての情報が含まれることとなる。また、補正の有無を表す情報が「無」である第2のセンサ312においては、この補正に利用するまたは利用されるセンサに関する情報は、当該第2のセンサ312のセンシングデータが利用されるセンサである第1のセンサ312についての情報が含まれることとなる。
センシングデータ提供者を表す情報は、センシングデータを提供する組織(個人、または事業者)に関するもので、センシングデータを提供する組織の名称(組織名)、組織の連絡先(連絡先)等を含む。
センシングデータ測定場所を表す情報は、観測対象をセンシングする場所に関するもので、例えば、測定場所の種別、測定場所等を含む。測定場所の種別は、測定場所が観測対象のセンシングごとに変化しない固定型、または測定場所が観測対象のセンシングごとに変化する移動型のいずれかを示す。測定場所は、種別が固定型である場合に記述される。
センシングデータ提供期間を表す情報は、センシングデータを提供する期間に関するもので、例えば、センシングデータの提供を開始する日時と、センシングデータの提供を終了する日時等を含む。
センシングデータ対象を表す情報は、センシングデータに関するもので、例えば、センシングデータの名前(センシングデータ名称)、センシングデータの簡単な説明(センシングデータ説明)、センシングデータを活用するジャンル(ジャンル名)、観測対象を表す情報等を含む。このうち観測対象を表す情報は、例えば、観測対象の名前、観測対象の説明、観測対象の属性を表す情報により構成される。観測対象の属性は、観測対象属性の名前、観測対象属性の説明、観測対象属性の単位、観測対象属性の観測日時種別(間欠型、または常時型)等を示す情報も含む。
イベント仕様を表す情報は、例えば、イベント条件に記載する際のラベル名(イベントデータ識別名)と、イベントデータの値の意味やデータ表現(イベントデータ説明)を表す情報を含む。
センシングデータ売買条件を表す情報は、センシングデータの取引に関するもので、センシングデータの利用用途(営利/非営利/制限無)を示す情報、センシングデータの第三者への提供の可否を示す提供範囲を示す情報、データ複製不可/データ複製可/データ改変可/データ加工可等の取引条件を示す情報、センシングデータに個人情報が含まれているかどうかを示す個人情報、センシングデータに匿名加工情報が含まれているか否かを示す匿名加工情報、センシングデータの有効期間の開始日時および終了日時を示すデータ有効期間制限を示す情報、センシングデータの利用にかかる費用の支払い方法を示す支払類型等を含む。
そして、静的メタデータ生成部2111は、上記生成された静的メタデータSM1,SM2を、当該静的メタデータSM1,SM2を個々に識別するための静的メタデータIDと関連付けて、静的メタデータ記憶部2121に記憶させる。
(2)関係性属性情報の入力
次に、センシングデータ提供者は、必要に応じて、入力デバイス61において、補正に利用する系の種類と系を特定するパラメータの範囲とに関する関係性属性情報RZを入力することができる。センサ管理装置21は、関係性メタデータ生成部2112の制御の下、ステップS12により上記関係性属性情報RZの入力を監視している。そして、上記関係性属性情報RZが入力されると、当該関係性属性情報RZを入出力インタフェース213を介して取り込み、ステップS13において、その取り込んだ関係性属性情報RZを関係性メタデータ記憶部2122に記憶させる。
(3)補正センシングデータ生成および送信
センサ管理装置21は、上記静的メタデータSM1,SM2および関係性属性情報RZの生成が終了したことをステップS14で確認すると、次にメタデータ管理部2114の制御の下、ステップS15において次のように補正センシングデータの生成および送信処理を実行する。
(3−1)センシングデータの生成と保存
図10に示すように、センサ管理装置21は、ステップS150において運用開始指示の入力を監視している。この状態で、入力デバイス61から運用開始指示が入力されると、センサ管理装置21はセンシングデータ生成部2113の制御の下、先ずステップS151において、各センサ311,312により測定されたセンシング信号SS1,SS2を、センサインタフェース214から一定の時間間隔で取り込む。このセンシング信号SS1,SS2は、センサインタフェース214において、制御ユニット211で取り扱うことが可能なディジタル信号に変換されたものである。
センシングデータ生成部2113は、上記センシング信号SS1,SS2を取り込むごとに、ステップS152おいて以下のようにセンシングデータSD1,SD2を生成する。
すなわち、センシングデータ生成部2113は、先ず静的メタデータ記憶部2121から上記各センサ311,312に対応する静的メタデータSM1,SM2を読み込む。そして、この静的メタデータSM1,SM2に含まれるセンサの仕様に基づいてサンプリングレートを設定する。
次に、センシングデータ生成部2113は、上記センサインタフェース214から取り込んだ各センシング信号SS1,SS2を、それぞれ対応するサンプリングレートに従いサンプリングして、センシングデータSD1,SD2を生成する。そして、この生成されたセンシングデータSD1,SD2を、センシングデータごとにユニークなセンシングデータIDと関連付けて、センシングデータ記憶部2123に記憶させる。
以後同様に、センシングデータ生成部2113は、一定の時間間隔でセンシング信号SS1,SS2を取り込むごとにセンシングデータSD1,SD2を生成してセンシングデータ記憶部2123に記憶させる。
(3−2)メタデータの管理
また、センサ管理装置21は、上記センシングデータ生成部2113においてセンシングデータSD1,SD2が生成されるごとに、メタデータ管理部2114の制御の下で、ステップS153によりメタデータの管理情報を生成する処理を行う。
すなわち、メタデータ管理部2114は、上記センシングデータ記憶部2123および静的メタデータ記憶部2121から、それぞれ、センシングデータSD1,SD2に付与されたセンシングデータIDおよび静的メタデータSM1,SM2に付与された静的メタデータIDを読み出す。そして、これらのIDを相互に紐づけ、この紐づけられた各IDをメタデータ管理情報としてメタデータ管理情報記憶部2124に記憶させる。
(3−3)関係性メタデータの生成
次に、センサ管理装置21は、関係性メタデータ生成部2112の制御の下、ステップS154において関係性メタデータを作成するか否かを判断する。未だ関係性メタデータを作成していなければ、次に、関係性メタデータ生成部2112の関係性最適化部2112Aの管理の下、ステップS155において次のように関係性メタデータの生成および送信処理を実行する。
(3−3−1)補正に利用する最適な系と系を特定するパラメータの決定
図11に示すように、関係性最適化部2112Aは先ず、ステップS1550において、補正に利用する系の種類の候補(線形回帰(無駄時間なし)、線形回帰(無駄時間あり)、2時点の多変量線形回帰、1次遅れ系、時刻周期系)から、系を1つ選択する。また、関係性最適化部2112Aは、ステップS1551において、その選択された1つの系を特定するパラメータの候補から、パラメータを1つ選択する。その後、関係性最適化部2112Aは、ステップS1552においてセンシングデータ記憶部2123から第1及び第2のセンシングデータSD1,SD2の時系列データを読み出す。
そして、ステップS1553において、関係性最適化部2112Aは、この読み出した第1のセンシングデータSD1の時系列データを、上記ステップS1551で選択したパラメータを適用した上記ステップS1550で選択した系を仮定して、上記読み出した第2のセンシングデータSD2で補正する。その後、関係性最適化部2112Aは、ステップS1554において、こうして生成した補正センシングデータと、補正したセンシングデータが満たすべき条件との差を定量的に求め、求めた差を関係性メタデータ記憶部2122に、またはデータメモリ212に設けた図示しない作業用メモリに記憶する。なお、補正したセンシングデータが満たすべき条件とは、センシングデータつまり第1のセンサ311の種類などによって予め規定され得るものであり、例えば、センシングデータが振動データであれば「計測期間の平均値は0である」という条件になる。満たすべき条件がこのような「計測期間の平均値は0である」である場合には、差を定量的に求めることは、平均値の絶対値を求めることになる。
次に、関係性最適化部2112Aは、ステップS1555において、全てのパラメータ候補について処理を終了したか否かを確認し、未だ試していないパラメータ候補が存在すれば、上記ステップS1551に戻って、次のパラメータを1つ選択して、上記ステップS1552〜S1554の処理を繰り返す。つまり、全てのパラメータ候補を、総当たりで適用して、補正センシングデータを求め、それと満たすべき条件との差を定量的に求めていく。
こうして全てのパラメータ候補について処理を終了したならば、関係性最適化部2112Aは、次に、ステップS1556において、全ての系の候補について処理を終了したか否かを確認し、未だ試していない系の候補が存在すれば、上記ステップS1550に戻って、次の系を1つ選択して、上記ステップS1551〜S1555の処理を繰り返す。つまり、全ての系の候補について全てのパラメータ候補を、総当たりで適用して、補正センシングデータを求め、それと満たすべき条件との差を定量的に求めていく。
かくして、全ての系の候補、全てのパラメータ候補についての処理が終了したならば、関係性最適化部2112Aは、次に、ステップS1557において、上記ステップS1554で記憶した差が最も小さくなったときの「補正に利用する系と系を特定するパラメータ」を含む関係性メタデータRMとして決定する。そして、この関係性メタデータRMに対し、当該関係性メタデータRMを個々に識別するための関係性メタデータIDを付与し、この関係性メタデータIDが付与された関係性メタデータRMを、関係性メタデータ記憶部2122に記憶させる。
関係性メタデータRMは、例えば、補正に利用する系の種類(線形回帰(無駄時間なし)、線形回帰(無駄時間あり)、2時点の多変量線形回帰、1次遅れ系、または時刻周期系)と、この補正に利用する系を特定するパラメータを示す情報とを含む。
そして、センサ管理装置21は、メタデータ管理部2114の制御の下で、ステップS1558によりメタデータの管理情報を生成する処理を行う。すなわち、メタデータ管理部2114は、上記センシングデータ記憶部2123及び関係性メタデータ記憶部2122から、それぞれ、センシングデータSD1,SD2に付与されたセンシングデータIDおよび関係性メタデータRMに付与された関係性メタデータIDを読み出す。そして、メタデータ管理情報記憶部2124に記憶されているメタデータ管理情報のうち、このセンシングデータIDを含むメタデータ管理情報に、この読み出した関係性メタデータIDを追記することで、これらのIDを相互に紐づける。
(3−3−2)提供側データカタログの生成
次に、センサ管理装置21は、メタデータ管理部2114の制御の下で、ステップS1559において、提供側データカタログを生成するかどうか判断する。ここで、提供側データカタログを生成するか否かはデフォルトでいずれに設定されていてもよいし、センシングデータ提供者が入力デバイス61により選択設定して上記属性情報SZまたは関係性属性情報RZに含めるようにしてもよい。
提供側データカタログを生成する場合には、センサ管理装置21は、メタデータ管理部2114の制御の下で、ステップS15510においてSDTMメタ変換部2115に提供側データカタログを生成させる。すなわち、SDTMメタ変換部2115は、メタデータ管理部2114から与えられるカタログ生成指示MCに含まれる静的メタデータIDと関係性メタデータIDとに応じて、静的メタデータ記憶部2121から静的メタデータSM1,SM2を読み込むと共に、関係性メタデータ記憶部2122から関係性メタデータRMを読み込む。そして、上記静的メタデータSM1,SM2および関係性メタデータRMをそれぞれ所定のフォーマットに編集することで、提供側データカタログDCpを生成し、それを提供側カタログ記憶部2125に記憶させる。
提供側データカタログDCpは、例えば図7Aに示したように、情報要素として「補正データ仕様」、「センシングデータ提供者」、「センシングデータ提供期間」、「センシングデータ測定場所」、「センシングデータ対象」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含み、さらに「提供側データカタログ番号」を付与したものである。上記各情報要素の詳細については、前述した通りである。
また、メタデータ管理部2114は、上記提供側カタログ記憶部2125に記憶された提供側データカタログ番号と、当該提供側データカタログ番号が付与された提供側データカタログDCpに対応するセンシングデータID、静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDとを紐づけて、上記メタデータ管理情報で管理する。
かくして、センシングデータ生成部2113により生成されたセンシングデータSD1,SD2は、上記静的メタデータSM1,SM2および上記関係性メタデータRMと相互に関連付けられると共に、提供側データカタログDCpとも相互に関連付けられる。
(3−3−3)メタデータの送信
センサ管理装置21は、上記提供側データカタログDCpの生成を終了すると、送信制御部2116の制御の下、ステップS15511において、上記提供側カタログ記憶部2125から上記生成された提供側データカタログDCpを読み込む。そして、この読み込んだ提供側データカタログDCpを、カタログ登録要求と共に、通信インタフェース215からネットワークサーバ10に向け送信する。
また、上記提供側データカタログDCpを生成しない場合には、センサ管理装置21は、送信制御部2116の制御の下、ステップS15511において、上記静的メタデータ記憶部2121および関係性メタデータ記憶部2122からそれぞれ相互に関連付けられた静的メタデータSM1,SM2および関係性メタデータRMを読み込む。そして、この読み込んだ静的メタデータSM1,SM2および関係性メタデータRMを、メタデータ登録要求と共に、通信インタフェース215からネットワークサーバ10に向け送信する。 (4)利用者側データカタログの生成および送信
補正センシングデータの利用を希望する場合、利用者はアプリケーション装置41に附属する入力デバイス415を用いて、希望する属性情報およびセンシングデータの利用条件を表す情報を入力する。
図12は、アプリケーション装置41の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。アプリケーション装置41は、属性情報入力受付部4111の制御の下、ステップS30において、上記入力デバイス415により入力された希望する属性情報と、センシングデータの利用条件を表す情報を、入出力インタフェース413を介して取り込む。
アプリケーション装置41は、次に、利用者側データカタログ生成部4112の制御の下、ステップS31において、上記入力された属性情報とセンシングデータの利用条件を表す情報をもとに、先ず利用者側関係性メタデータを生成する。そして、この利用者側関係性メタデータを所定のフォーマットに編集することで、利用者側データカタログDCuを生成する。
例えば、利用者側データカタログ生成部4112は、図7Bに示すように、「補正データ仕様」、「センシングデータ利用者」、「センシングデータ利用期間」、「センシングデータ測定場所」、「センシングデータ対象」、「イベントデータ仕様」および「データ売買条件」を含む、利用者側データカタログDCuを生成する。そして、この利用者側データカタログDCuに、カタログごとにユニークな利用者側データカタログ番号を付与し、この利用者側カタログ番号が付与された利用者側データカタログDCuをカタログ記憶部4121に一旦保存させる。
次に、アプリケーション装置41は、データカタログ送信制御部4113の制御の下、ステップS32において、上記カタログ記憶部4121から上記利用者側データカタログDCuを読み出し、この利用者側データカタログDCuをセンシングデータ提供要求と共に通信インタフェース414からネットワークサーバ10へ送信する。
(5)ネットワークサーバ10におけるセンシングデータの仲介制御
(5−1)提供側データカタログDCpの取得および保存
図13は、ネットワークサーバ10によるデータ仲介制御の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
ネットワークサーバ10は、要求受信制御部1011の制御の下、ステップS40において、センサ管理装置21〜2nからのカタログ登録要求またはメタデータ登録要求の受信を監視している。そして、通信インタフェース103によりカタログ登録要求またはメタデータ登録要求が受信されると、ステップS41において、上記カタログ登録要求と共に受信された提供側データカタログCDpを、または、静的メタデータIDが付与された静的メタデータSMおよび関係性メタデータIDが付与された関係性メタデータRMを、カタログ記憶部1021に記憶させる。
以上の提供側カタログまたはメタデータの登録処理は、センサ管理装置21〜2nからそれぞれ提供側データカタログDCp、または静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMが送られるごとに行われる。従って、カタログ記憶部1021には、センサ管理装置21〜2nから送信される提供側データカタログDCp、または静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMが漏れなく蓄積される。
なお、ネットワークサーバ10は、新たな提供側データカタログDCpを受信するごとに、当該カタログに付与されている提供側カタログ番号を、カタログ記憶部4121に既に記憶されている提供側データカタログDCpの提供側カタログ番号と照合する。そして、提供側カタログ番号が同一の新たな提供側データカタログDCpを受信した場合には、カタログ記憶部1021に記憶されている古いカタログに代えて、上記新たな提供側データカタログDCpを記憶させる。すなわち、カタログ記憶部1021に記憶されている古い提供側データカタログは、新しいカタログに更新される。
同様に、ネットワークサーバ10は、新たな静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMを受信するごとに、当該静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMに付与されている静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDを、カタログ記憶部4121に既に記憶されている提供側からの静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDと照合する。そして、静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDが同一の新たな静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMを受信した場合には、カタログ記憶部1021に記憶されている古いメタデータに代えて、上記新たな静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMを記憶させる。すなわち、カタログ記憶部1021に記憶されている古いメタデータは、新しい静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMに更新される。
(5−2)利用者側データカタログDCuの受信
また、ネットワークサーバ10は、要求受信制御部1011の制御の下、ステップS42において、センシングデータ提供要求の受信を監視している。そして、通信インタフェース103によりセンシングデータ提供要求が受信されると、このセンシングデータ提供要求と共に受信された利用者側データカタログDCuをカタログ記憶部1021に一旦保存する。
(5−3)利用者側データカタログDCuと提供側カタログまたはメタデータとのマッチング
上記利用者側データカタログDCuが受信されると、ネットワークサーバ10はマッチング処理部1012の制御の下、上記新たに受信された利用者側データカタログDCuを、カタログ記憶部1021に保存されている複数の提供側データカタログDCpまたは静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMとそれぞれマッチング処理していく。
すなわち、マッチング処理部1012は、ステップS44において、提供側データカタログDCを、または静的メタデータSMと関係性メタデータRMとを一つ選択し、この選択した提供側データカタログと、または静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMと、上記利用者側データカタログDCuとの間で、データ流通条件に関する各項目をステップS45においてマッチング処理する。
このマッチング処理は、例えば図7A,図7Bの例では、「補正データ仕様」間、「センシングデータ提供期間」と「センシングデータ利用期間」との間、「センシングデータ測定場所」間、「イベントデータ仕様」間および「データ売買条件」間のそれぞれについてマッチングが行われる。
なお、マッチングの方法としては、例えば、上記項目ごとにデータ同士の2項演算を行って一致度を算出しその結果をスコア化するものや、上記項目ごとにその情報の内容を予め対応付けられた識別番号により表し、項目ごとに上記識別番号同士を対比して一致度を判定し、その結果をスコア化するもの等が考えられるが、これらに限定されるものではない。
そして、マッチング処理部1012は、上記ステップS45において、当該提供側データカタログDCpまたは静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMと利用者側データカタログDCuとの間で、それぞれデータ流通条件の一致/不一致を判定するためのマッチング処理を行った判定結果を、ステップS46において作業用メモリに保存する。例えば、一致した提供側データカタログDCpの提供側データカタログ番号、または、静的メタデータSMの静的メタデータIDおよび関係性メタデータRMの関係性メタデータIDを作業用メモリに保存する。
以後同様に、マッチング処理部1012は、ステップS43において未選択の提供側データカタログDCpまたは静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMがなくなったと判定されるまで、ステップS44で未選択の提供側データカタログDCpまたは静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMを一つずつ選択して、ステップS45で当該提供側データカタログDCpまたは静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMと利用者側データカタログDCuとの間で、それぞれデータ流通条件の一致/不一致を判定するためのマッチング処理を行う。そして、ステップS46で、その判定結果をそれぞれ作業用メモリに保存する。
(5−4)センシングデータ送信指令または該当無しメッセージの送信
マッチング処理部1012は、ステップS43において未選択の提供側データカタログDCpまたは静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMがなくなったと判定されると、つまり、全ての提供側データカタログDCpと、または全ての静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMとの、上記利用者側データカタログDCuのマッチング処理が終了したと判定されると、ステップS47に移行する。マッチング処理部1012は、このステップS47において、上記作業用メモリの保存内容を確認して、データ流通条件に関する全ての項目が、利用者側データカタログDCuに記載された、または静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMに記載されたデータ流通条件に関する項目と一致するものがあったか否かを判定する。そして、一致するものがあったと判定されると、処理はステップS47に移行され、一致するものがなかったと判定されると、処理はステップS49に移行される。
ネットワークサーバ10は、ステップS48において、送信制御部1013の制御の下でセンシングデータ送信指令Ruを生成し、当該センシングデータ送信指令Ruを通信インタフェース103から上記提供側データカタログDCpまたは静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMの送信元となったセンサ管理装置21に向け送信する。このとき、上記センシングデータ送信指令Ruには、上記提供側データカタログDCpの提供側データカタログ番号と、または上記静的メタデータSMおよび関係性メタデータRMの静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDと、センシングデータの利用者が使用するアプリケーション装置の宛先情報(アドレス情報)を含める。
また、ステップS49では、ネットワークサーバ10は、送信制御部1013の制御の下、該当するセンシングデータがなかった旨のメッセージを生成し、当該メッセージをデータ提供要求元のアプリケーション装置41へ返送する。
(6)センシングデータの配信
センサ管理装置21〜2nは、図10に示したようにステップS151〜S157により補正センシングデータCSDを生成し保存する処理を行いながら、送信制御部2116の制御の下、ステップS158においてネットワークサーバ10からのセンシングデータ送信指令Ruの受信を監視している。この状態でセンシングデータ送信指令Ruが受信されると、センサ管理装置21〜2nは、メタデータ管理部2114の制御の下、ステップS159において以下のように補正センシングデータの配信処理を実行する。
すなわち、メタデータ管理部2114は、メタデータ管理情報記憶部2124に記憶されているメタデータ管理情報を読み出し、当該メタデータ管理情報を参照して、上記受信したセンシングデータ送信指令Ruに含まれる提供側データカタログ番号に紐付けられている、または静的メタデータIDおよび関係性メタデータIDに紐づけられているセンシングデータIDを特定する。そして、この特定されたセンシングデータIDに関連付けられている補正センシングデータCSDをセンシングデータ記憶部2123から読み出し、当該補正センシングデータCSDを上記送信制御部2116により上記通信インタフェース215からデータ提供要求元のアプリケーション装置41へ送信する。なお、データ提供要求元を表す情報は、上記センシングデータ送信指令Ruに含まれるアプリケーション装置の宛先情報(アドレス情報)を用いる。
センサ管理装置21は、入力デバイス61によりセンサ管理装置21の運用終了またはセンシングデータの提供に係る契約の解除が入力され、これがステップS1510において検出されるまで、図10に示した手順に従い上記補正センシングデータCSDの生成と保存、および配信処理を繰り返し実行する。
(7)アプリケーション装置41における受信処理
アプリケーション装置41は、図12に示す上記ステップS32において、利用者側データカタログDCuをセンシングデータ提供要求とネットワークサーバ10へ送信後は、受信待ちとなっている。
(7−1)該当する補正センシングデータが存在した場合の処理
センサ管理装置21〜2nが、上記ステップS159において、当該アプリケーション装置41宛に補正センシングデータCSDを送信すると、アプリケーション装置41は、通信インタフェース414により、ステップS33において、その受信を検出する。この場合には、アプリケーション装置41は、データ/メッセージ受信制御部4114の制御の下、ステップS34において、上記受信した補正センシングデータCSDをセンシングデータ記憶部4122に記憶する。こうして、利用者は、自身が要求した分析目的に該当する補正センシングデータを取得することができる。
(7−2)該当する補正センシングデータが存在しなかった場合の処理
また、ネットワークサーバ10が、上記ステップS49において、当該アプリケーション装置41宛に該当するセンシングデータがなかった旨のメッセージを送信すると、アプリケーション装置41は、通信インタフェース414により、上記ステップS33において、その受信を検出する。この場合には、アプリケーション装置41は、データ/メッセージ受信制御部4114の制御の下、ステップS35において、上記受信したメッセージを入出力インタフェース413から表示デバイス416へ出力する。この結果、表示デバイス416には上記メッセージが表示される。なお、上記メッセージにはマッチングの結果不一致となった理由を表す情報を含めるようにしてもよい。
利用者は、上記表示されたメッセージにより、自身が要求した分析目的に該当する補正センシングデータが存在しないことを認識することができる。そして、例えば、利用者側データカタログDCuのデータ流通条件を緩和(例えば情報の取得希望価格の引き上げる)し、当該データ流通条件変更後の利用者側データカタログDCuを再送信することが可能となる。
[実施例1]
次に、以上述べた一実施形態に係るセンシングデータ流通システムの一つの実施例を説明する。
図14乃至図17はこの実施例を説明するための図である。
図14は、例えば或る橋梁の2つの橋脚部の中央に第1のセンサ311として設置した加速度センサにより得られる第1のセンシングデータSD1の5分間平均をプロットした時系列データのグラフを示している。同図に示すように、この時系列データは、時間の経過に伴って徐々に小さくなっていく傾向を示している。
図15は、上記加速度センサの環境温度を測定するために、当該加速度センサの近くに第2のセンサ312として設置された温度センサにより得られる第2のセンシングデータSD2に基づいて、横軸を温度にして、上記第1のセンシングデータSD1の5分間平均をプロットした時系列データのグラフを示している。同図に示すように、第1のセンシングデータSD1は、温度との線形関係がある。
センシングデータ提供者は、入力デバイス61において、第1のセンサ311としての加速度センサのセンシングデータに関する属性情報SZとして、例えば、センシングデータ提供者=△△株式会社、センシングデータ提供期間=2017年9月〜2020年8月、センシングデータ測定場所=BR橋のC12,C13の橋脚の中央部、センシングデータ対象(センサ仕様)=加速度データ、測定時間300秒、サンプリングレート=1/200秒毎、加速度センサ型式=x、型番=y、単位=mG、センシングイベント仕様=「常時」をそれぞれ入力する。さらに、データ売買条件として、例えば、1データ○円、「再配布禁止」を入力する。
また、センシングデータ提供者は、入力デバイス61において、第2のセンサ312としての温度センサのセンシングデータに関する属性情報SZとして、例えば、センシングデータ対象(センサ仕様)=温度データ、サンプリングレート=1分毎、温度センサ型式=z、型番=w、単位=℃をそれぞれ入力する。
さらに、センシングデータ提供者は、入力デバイス61において、補正に利用する系の種類およびその系を特定するパラメータの範囲に関する関係性属性情報RZを入力してもよい。すなわち、第1のセンシングデータSD1と第2のセンシングデータSD2との間の関係が既知あるいは予め想定できるのであれば、関係性属性情報RZを入力することで、関係性メタデータ生成部2112の関係性最適化部2112Aでの処理の高速化が図れる。例えば図15に示すように、温度との線形関係があることが想定されるのであれば、補正に利用する系の種類として「線形回帰」を関係性属性情報RZとして入力する。
センサ管理装置21は、先ず、静的メタデータ生成部2111により、上記第1および第2のセンサ311,312ごとの属性情報SZに基づいて静的メタデータSM1,SM2を生成する。
その後、センサ管理装置21は、センシングデータ生成部2113によって、それぞれ時系列データからなる第1および第2のセンシングデータSD1,SD2を取得して、センシングデータ記憶部2123に順次記憶していく。そして、センシングデータ記憶部2123に予め規定された一定期間分以上の時系列データが保存されると、センサ管理装置21は、関係性メタデータ生成部2112の関係性最適化部2112Aにより、センシングデータSD2がセンシングデータSD1に与える関係性(補正に利用する系の種類、および、その系を特定するパラメータ)を特定する。例えば、図14,図15の例では、補正に利用する系の種類は線形回帰(無駄時間なし)、その系を特定するパラメータはa=0.1と特定される。関係性最適化部2112Aは、この特定した補正に利用する系の種類と系を特定するパラメータとを表す情報を、関係性メタデータRMとして生成し、この生成した関係性メタデータRMを関係性メタデータ記憶部2122に記憶させる。
その後必要により、センサ管理装置21は、SDTMメタ変換部2115により、上記生成された関係性メタデータRMおよび静的メタデータSM1,SM2に基づいて、提供側データカタログDCpを生成し、提供側カタログ記憶部2125に記憶させる。図16は、上記提供側データカタログDCpの一例を示す。そして、センサ管理装置21は、送信制御部2116により、この提供側データカタログDCpを、データ流通管理装置であるネットワークサーバ10に送信する。また、センサ管理装置21は、提供側データカタログDCpを生成しない場合には、静的メタデータSM1,SM2および関係性メタデータRMを、ネットワークサーバ10に送信する。
また、センサ管理装置21は、センシングデータ生成部2113の関係性計算部2113Aにより、上記関係性メタデータRMと第2のセンシングデータSD2から、第1のセンシングデータSD1を補正して、補正センシングデータCSDを生成して、この生成した補正センシングデータCSDをセンシングデータ記憶部2123に記憶させる。例えば、図14,図15の例では、関係性計算部2113Aは、[第1のセンシングデータSD1]−0.1(パラメータa)×[第2のセンシングデータSD2]により補正センシングデータCSDを求めることで、図17に示すように、温度の線形な依存性を除去し、ほぼ一定(1004.5mG)の加速度平均値を示す補正センシングデータCSDの時系列データを得ることができる。
一方、利用者側は、アプリケーション装置41において、希望する属性情報として、例えば、補正データ仕様(補正の有無の希望=「有」、希望する補正に利用したセンサ」=「温度センサ」、希望する補正に利用した系の種類=「線形回帰」、希望する補正に利用した系を特定するパラメータの範囲=「−0.5〜+0.5」)、測定場所=「橋梁名(BR橋)」、イベントデータ仕様=「常時」を入力し、さらにセンシングデータ利用者名、センシングデータ利用期間、データ売買条件を入力する。
アプリケーション装置41は、上記入力された各情報を含む関係性メタデータを生成し、この関係性メタデータをもとに利用者側データカタログDCuを生成する。そして、アプリケーション装置41は、上記利用者側データカタログDCuをネットワークサーバ10へ送信する。
ネットワークサーバ10は、上記センサ管理装置21〜2nから送信された提供側データカタログDCp(または静的メタデータSMおよび関係性メタデータRM)を受信してカタログ記憶部1021に記憶する。そして、ネットワークサーバ10は、上記アプリケーション装置41から利用者側データカタログDCuを受信すると、当該利用者側データカタログDCuを上記カタログ記憶部1021に記憶されている全ての提供側データカタログDCp(または静的メタデータSM1,SM2および関係性メタデータRM)とマッチングする。そして、利用者側データカタログDCuと情報項目およびデータ流通条件が一致する提供側データカタログ(または静的メタデータSM1,SM2および関係性メタデータRM)が見つかると、ネットワークサーバ10は該当するセンサ管理装置21に対しセンシングデータ送信指令Ruを送信する。
センサ管理装置21は、上記センシングデータ送信指令Ruを受信すると、当該送信指令Ruにより指定された提供側データカタログ(または静的メタデータSM1,SM2および関係性メタデータRM)に関連付けられている補正センシングデータCSDをセンシングデータ記憶部2123から読み出して、利用者側のアプリケーション装置41へ送信する。
したがって、利用者側は、希望する補正データ仕様、測定場所、イベントデータ仕様、データ流通条件を指定するだけで、取得対象のセンサ自体を指定することなく、必要な複数のセンサによる、物理量による影響の除去されたセンシングデータを過不足なく取得することが可能となる。このため、センシングデータを取得しようとする際の利用者側の手間と時間を大幅に軽減することができ、また高精度のセンシングデータを過不足なく取得できる。
[実施例2]
次に、以上述べた一実施形態に係るセンシングデータ流通システムの別の実施例を説明する。
図18乃至図22はこの実施例を説明するための図である。
図18は、第1のセンサ311としてのひずみセンサにより得られた第1のセンシングデータSD1の5分間平均をプロットした時系列データのグラフを示している。同図に示すように、この時系列データは、時系列的に見ると周期性がある。図19は、上記ひずみセンサの環境温度を測定する第2のセンサ312としての温度センサによる第2のセンシングデータSD2に基づいて、横軸を温度にして、第1のセンシングデータSD1の5分間平均をプロットした時系列データのグラフを示している。同図に示すように、第1のセンシングデータSD1は、複雑な温度依存性がある。
また、図20は、図18,図19に示した例について温度と時刻による周期性を除去した後のひずみセンサのセンシングデータと第2のセンサとしての温度センサのセンシングデータとの関係を示している。同図に示すように、時刻の周期性は強くない。図21は、ひずみセンサのセンシングデータと温度センサの6時間前のセンシングデータとの関係を示すグラフである。同図に示すように、ひずみセンサのセンシングデータは、6時間前の温度とも関係がある。図22は、温度と6時間前の温度の影響を除去した後のひずみセンサのセンシングデータと温度センサのセンシングデータとの関係を示すグラフである。同図に示すように、6時間前の温度の影響を除去すると、ひずみセンサのセンシングデータには、線形な温度依存性が得られる。
従ってこの場合には、センサ管理装置21のセンシングデータ生成部2113の関係性計算部2113Aにおいて、温度センサのセンシングデータがひずみセンサのセンシングデータに与える関係性として、補正に利用する系の種類は2時点の多変量線形回帰、その系を特定するパラメータはa=0.1、b=0.2が自動的に算出される。つまり、[第1のセンシングデータSD1]−0.1×[第2のセンシングデータSD2]−0.2×[6時間前の第2のセンシングデータSD2]により補正センシングデータCSDを求めることで、図23に示すように、温度依存性を除去し、ほぼ一定(1486mV)のひずみ平均値を示す補正センシングデータCSDの時系列データを得ることができる。
このように、関係性メタデータRMを利用して、遅れて第1のセンシングデータSD1に影響を与える温度の依存性を除去することができる。従って、精度の良いセンシングデータが得られる。
[実施例3]
実施例1および2は、第2のセンサ312として温度センサを使用した例であるが、勿論、他のセンサも利用可能である。
例えば、稼働部を有する装置において、この稼働部に第1のセンサ311を設置して稼働部の状態を測定する場合、第2のセンサ312として、該稼働部の稼動を指示する操作部の操作回数や操作量を検出するセンサを利用する。これにより、関係性メタデータRMを利用して、操作回数・操作量とそれに呼応した稼働部の通常劣化の影響を除去した補正センシングデータCSDを取得することができる。この補正センシングデータCSDから、利用者側のアプリケーション装置41〜4mでは、稼働部の突発的な異常を精度良く検知できるようになる。
(一実施形態の効果)
以上詳述したように一実施形態では、センシングデータの提供側が運用するセンサ管理装置21〜2nにおいて、観測対象の所望の位置に設置された第1のセンサ311による第1のセンシングデータSD1を、第2のセンサ321による、第1のセンサ311に対して影響を与える物理量を表す第2のセンシングデータSD2で補正する際に、関係性メタデータ生成部2112の関係性最適化部2112Aが、この補正に利用する系の種類とその系を特定するパラメータとを自動計算して、関係性メタデータRMを生成する。そして、センシングデータ生成部2113の関係性計算部2113Aは、この関係性最適化部2112Aで生成した関係性メタデータRMに基づいて、上記第2のセンシングデータSD2により上記第1のセンシングデータSD1を補正して、補正センシングデータCSDを生成する。
従って、第1のセンシングデータSD1と物理量(第2のセンシングデータSD2)との関係を事前に取得すること無しに、補正された精度の高いセンシングデータ(補正センシングデータCSD)を取得することが可能となる。
また、センサ管理装置21〜2nにおいて、関係性メタデータRMおよび静的メタデータSM、さらに必要により提供側データカタログDCpを生成してネットワークサーバ10に送信し登録する。また利用者側が使用するアプリケーション装置41〜4mにおいて、希望するセンシングデータの属性情報およびデータ流通条件を含む利用者側データカタログDCuを生成してネットワークサーバ10へ送信する。そして、ネットワークサーバ10において、上記利用者側データカタログDCuを上記関係性メタデータRMと静的メタデータSM、または、提供側データカタログDCpとマッチングし、両者が一致するとネットワークサーバ10から該当するセンサ管理装置21に対しセンシングデータ送信指令Ruを送信する。センサ管理装置21は、上記センシングデータ送信指令Ruに従い、該当する補正センシングデータCSDを全て読み出して利用者側のアプリケーション装置41へ配信するようにしている。
従って、利用者は、属性情報およびデータ流通条件を入力指定するだけで、データ取得対象となるセンサまたはそのセンシングデータを個別に指定することなく、必要な全てのセンシングデータを過不足なく取得することが可能となり、センシングデータの取得に係る手間と時間を大幅に軽減することができる。特に、利用者は、センサ設置者でないので、どの物理量がセンシングデータに影響を及ぼしているか特定することは困難であり、影響を受けたセンシングデータを取得しても、その影響を除去することは非常に難しい。本実施形態では、利用者は、センシングデータと周囲の状態の関係性を理解していなくても、周囲の状態の影響を除去した精度の良い値を得ることができる。
さらに、センシングデータは、周囲の状態の変化から一定の時間だけ遅れて変化を受けることがあり、その場合には関係性が複雑になり、同じ時点のセンシングデータと周囲の物理量のデータとを測定しただけでは、周囲の状態の影響を除去することができない。本実施形態では、そのような複雑な関係性も自動的に除去してセンシングデータの精度を良くすることが可能である。
このような一定の時間を経て影響を受けるデータを人工知能(AI)により分析するには、時系列データ分析を行うことになり、モデルの構造が複雑になり、また訓練データの量も多く必要となる。本実施形態では、時間に依存しないデータ分析を行えるようになるので、AIによる分析の精度の向上とモデル推定の労力の削減が期待できる。
また、同機種のセンサの複数の個体に対して周囲の状態との関係性を集めることができ、該当機種の特性(周囲の状態との関係性)の分布を取得することも可能となる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
(1)例えば、前記一実施形態では、センサ管理装置21〜2nから利用者側のアプリケーション装置41〜4mへは補正センシングデータCSDのみを送信するものとしているが、第2のセンサ312による第2のセンシングデータSD2も送信するようにしてもよい。これにより、利用者側で第1のセンサ311による第1のセンシングデータSD1に影響を及ぼす物理量のデータを収集することも可能となる。さらには、補正前の第1のセンシングデータSD1を測定時刻が対応する第2のセンシングデータSD2と共に送信するようにしてもよい。このようにすると、利用者側では第2のセンシングデータSD2に基づいて補正前の第1のセンシングデータSD1を補正することが可能となる。
(2)また、補正センシングデータCSDの信頼性範囲(精度)を提供側データカタログDCpに追加し、利用者側データカタログDCuにも、希望するデータの信頼性範囲(精度)を追加するようにしてもよい。この信頼性範囲(精度)は、上記定量的に求めた、生成した補正センシングデータと補正したセンシングデータが満たすべき条件との差が、どの程度であるかを示す。こうすることで、利用者が要求する精度の補正センシングデータCSDを入手することができるようになる。
(3)データ流通管理装置であるネットワークサーバ10を無くし、センサ管理装置21〜2nでは、利用者側装置であるアプリケーション装置41〜4mと直接、関係性メタデータRM、静的メタデータSM、提供側データカタログDCpと補正センシングデータCSDのやり取りをし、マッチング処理をセンサ管理装置21〜2n側もしくはアプリケーション装置41〜4m側で実行するようにしてもよい。このようにしても、前記一実施形態と同様の効果が得られる。
(4)また、前記一実施形態の適用例では、センサ管理装置1において補正センシングデータCSDを生成するようにしているが、この補正センシングデータCSDの生成自体は、データ流通管理装置(例えばネットワークサーバ10)または利用者側装置(例えばアプリケーション装置41〜4m)で行うようにしても良い。
すなわち、図24に示すように、センシングデータ送信部3からデータ流通管理装置へ第1および第2のセンシングデータSD1,SD2を送信する。そして、それらを受信したデータ流通管理装置において、マッチングのために送信済みの関係性メタデータRMまたは提供側データカタログDCpに含まれる補正に利用する系の種類とその系を特定するパラメータとに従って、第1のセンシングデータSD1を第2のセンシングデータSD2で補正することで、補正センシングデータCSDを生成することができる。データ流通管理装置は、この生成された補正センシングデータCSDを、利用者側装置へ送信する。なお、データ流通管理装置へ第1および第2のセンシングデータSD1,SD2を送信する際に、メタデータ送信部6から関係性メタデータRMおよび静的メタデータSM、または、提供側データカタログDCpも送信してもよい。
あるいは、センシングデータ送信部3から利用者側装置へ第1および第2のセンシングデータSD1,SD2を送信する。また、データ流通管理装置から利用者側装置へ関係性メタデータRMまたは提供側データカタログDCpを送信する。そして、それらを受信した利用者側装置において、関係性メタデータRMまたは提供側データカタログDCpに含まれる補正に利用する系の種類とその系を特定するパラメータとを抽出し、それらに従って、第1のセンシングデータSD1を第2のセンシングデータSD2で補正することで、補正センシングデータCSDを生成することができる。なお、利用者側装置へ第1および第2のセンシングデータSD1,SD2を送信する際に、利用者側装置へは、メタデータ送信部6から関係性メタデータRMおよび静的メタデータSM、または、提供側データカタログDCpも送信するようにしてもよい。
また、データ流通管理装置または利用者側装置で補正するのではなく、別の補正処理専用の管理装置をセンサ管理装置21〜2nの後段またはネットワーク上に設け、その専用管理装置を介して利用者側装置へ補正センシングデータCSDを送信するようにしてもよい。
このように、センサ管理装置1において関係性メタデータRMさえ自動的に生成できれば、実際の補正センシングデータCSDの生成は、どこで行っても、本実施形態の効果が期待できる。また、補正センシングデータCSDの生成処理を省略することで、センシングデータ生成部2における関係性計算部2113A用のハードウェア資源および/またはソフトウェア資源の節約が可能となり、センサ管理装置21〜2nをより安価に提供することができる。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
[付記]
前記実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
(付記1)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有するセンサ管理装置であって、
前記ハードウェアプロセッサが、
第1のセンサから出力された、観測対象の状態の測定結果を表す時系列データからなる第1のセンシングデータと、第2のセンサから出力された、前記第1のセンサに対して影響を与える物理量の測定結果を表す時系列データからなる第2のセンシングデータとをメモリに記憶させ、
前記メモリに記憶された前記第1および第2のセンシングデータをもとに、前記第2のセンシングデータが前記第1のセンシングデータに与える関係性を算出することで前記関係性を表す第1のメタデータを生成し、前記第1のメタデータを前記メモリに記憶させ、
前記メモリに記憶された、前記第1および第2のセンシングデータと前記第1のメタデータとを関連付けて管理する、
センサ管理装置。
(付記2)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有する装置が実行するセンサ管理方法であって、
前記ハードウェアプロセッサが、第1のセンサから出力された、観測対象の状態の測定結果を表す時系列データからなる第1のセンシングデータと、第2のセンサから出力された、前記第1のセンサに対して影響を与える物理量の測定結果を表す時系列データからなる第2のセンシングデータとをメモリに記憶させる過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記第1および第2のセンシングデータをもとに、前記第2のセンシングデータが前記第1のセンシングデータに与える関係性を算出することで前記関係性を表す第1のメタデータを生成し、前記第1のメタデータを前記メモリに記憶させる過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記第1および第2のセンシングデータそれぞれの時系列データから、前記第2のセンシングデータが前記第1のセンシングデータに与える関係性を算出することで、算出した前記関係性を表す第1のメタデータを生成し、前記第1のメタデータを前記メモリに記憶させる過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された、前記第1および第2のセンシングデータと前記第1のメタデータとを関連付けて管理する過程と、
を具備するセンサ管理方法。