JP6967744B2 - 電解コンデンサおよび電解コンデンサ用電解液 - Google Patents
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Description
第4級アンモニウム化合物としては、例えば、ジエチルジメチルアンモニウム、モノエチルトリメチルアンモニウムなどが好ましい。
以下、本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の一例について、工程ごとに説明する。
まず、陽極部材21の原料である金属箔を準備する。金属の種類は特に限定されないが、誘電体層の形成が容易である点から、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。
陰極部材22には、陽極部材と同様、金属箔を用いることができる。金属の種類は特に限定されないが、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。必要に応じて、陰極部材22の表面を粗面化してもよい。
次に、陽極部材21および陰極部材22を用いて巻回体を作製する。
まず、陽極部材21と陰極部材22とを、セパレータ23を介して巻回する。このとき、リードタブ15A、15Bを巻き込みながら巻回することにより、図2に示すように、リードタブ15A、15Bを巻回体から植立させることができる。
本工程では、溶媒に、溶質を加えて液状成分液を調製する。本実施形態では、ポリマー化合物Aおよびオキソ酸を加えて、液状成分を調製する。ポリマー化合物Aおよびオキソ酸のほか、上記で例示した物質を溶媒または溶質として利用することができる。液状成分中の溶媒の含有量は、例えば、60〜70質量%である。
次に、コンデンサ素子10に、電解液としての液状成分を含浸させる。これにより、誘電体層の修復機能に優れた電解コンデンサが得られる。コンデンサ素子10に液状成分を含浸させる方法は特に限定されない。例えば、容器に収容された液状成分にコンデンサ素子10を浸漬させる方法が簡易で好ましい。浸漬時間は、コンデンサ素子10のサイズにもよるが、例えば1秒間〜5分間である。含浸は、減圧下、例えば10〜100kPa、好ましくは40〜100kPaの雰囲気で行うことが好ましい。
次に、コンデンサ素子10を封止する。具体的には、まず、リード線14A、14Bが有底ケース11の開口する上面に位置するように、コンデンサ素子10を有底ケース11に収納する。有底ケース11の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金を用いることができる。
厚さ105μmのアルミニウム箔にエッチング処理を行い、アルミニウム箔の表面を粗面化した。その後、アルミニウム箔の表面に、化成処理により、誘電体層を形成した。化成処理は、アジピン酸アンモニウム溶液にアルミニウム箔を浸漬し、これに120Vの電圧を印加することにより行った。その後、アルミニウム箔を、縦×横が5.3mm×180mmとなるように裁断して、陽極部材を準備した。
厚さ50μmのアルミニウム箔にエッチング処理を行い、アルミニウム箔の表面を粗面化した。その後、アルミニウム箔を、縦×横が5.3mm×180mmとなるように裁断して、陰極部材を準備した。
陽極部材および陰極部材に陽極リードタブおよび陰極リードタブを接続し、陽極部材と陰極部材とを、リードタブを巻き込みながら、セパレータを介して巻回した。巻回体から突出する各リードタブの端部には、陽極リード線および陰極リード線をそれぞれ接続した。そして、作製された巻回体に対して、再度化成処理を行い、陽極部材の切断された端部に誘電体層を形成した。次に、巻回体の外側表面の端部を巻止めテープで固定して巻回体を作製した。
溶媒に、電解質としてフタル酸テトラメチルイミダゾリニウムを加え、更に、オキソ酸としてのホウ酸、およびポリマー化合物Aとしてアクリル酸ポリマー(平均重合度80)を添加し、液状成分(以下、電解液)を調製した。表1に、ポリマー化合物Aの化学式(1)におけるR1およびXの構造を示す。溶媒には、γ−ブチロラクトンおよびスルホラン(質量比80:20)を用いた。フタル酸テトラメチルイミダゾリニウムは、電解液全体に対して15質量%添加した。
減圧雰囲気(40kPa)中で、電解液にコンデンサ素子を5分間浸漬し、コンデンサ素子に液状成分を含浸させた。
液状成分を含浸させたコンデンサ素子を封止して、電解コンデンサを完成させた。具体的には、有底ケースの開口側にリード線が位置するようにコンデンサ素子を有底ケースに収納し、リード線が貫通するように形成された封止部材(ゴム成分としてブチルゴムを含む弾性材料)をコンデンサ素子の上方に配置して、コンデンサ素子を有底ケース内に封止した。そして、有底ケースの開口端近傍に絞り加工を施し、更に開口端をカール加工し、カール部分に座板を配置することによって、図1に示すような電解コンデンサを完成させた。その後、80Vの電圧を印加しながら、100℃で2時間エージング処理を行った。
(1)電解液の火花発生電圧の測定(耐電圧評価)
陽極としてエッチング処理および化成処理された高圧用アルミニウム箔(面積10cm2)、陰極として表面が平坦なアルミニウム箔(面積10cm2)を用い、この陽極および陰極を電解液に浸漬させ、電解液の耐電圧評価サンプルを作成した。25℃において、各評価サンプルの電極間に定電流法(2mA)による負荷をかけ、経時変化にともなう電圧の変化を測定することにより、電解液の火花発生電圧を測定した。結果を表2に示す。なお、電解液A1〜A8の水分含有量は、1〜1.4質量%であり、2質量%以下であったが、電解液B2の水分含有量は3.5質量%であり、2質量%を超えていた。
(2)信頼性維持時間および容量変化率の評価
電解コンデンサを135℃の環境下におき、容量の時間変化を測定した。そして、測定した容量が定格値の7割(22.6μF)未満に低下した時間を信頼性維持時間として評価した。併せて、初期容量から1500時間経過後の容量の初期容量からの変化割合を容量変化率((1500時間経過後容量/初期容量)×100)として評価した。その結果を表3に示す。
まず、電解コンデンサを135℃の環境下におき、1250時間定格電圧を印加した。その後、室温(25℃)および−40℃の環境下におけるESR値を測定した。なお、ESR値は、4端子測定用のLCRメータを用いて、周波数100kHzにおける値を測定した。表4に、室温、および、−40℃の夫々において、初期ESR値から高温負荷試験後の各温度におけるESR値の比(負荷後のESR値/初期のESR値)を示す。
Claims (12)
- 前記液状成分に占める前記化合物Aの含有量は、0.1〜15質量%である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
- 前記液状成分に占める前記オキソ酸の含有量は、0.1〜10質量%である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
- 前記液状成分に占める水分の含有量は、6質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- 前記化合物Aにおいて、R1はエチレン基、プロピレン基、またはブチレン基のいずれかである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- 前記液状成分は、γ−ブチロラクトン、スルホラン、および、エチレングリコールよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- 前記陽極部材と前記陰極部材との間には、セパレータが設けられ、前記セパレータはセルロース系の繊維により構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- 前記オキソ酸は、カルボン酸、ならびに、ホウ酸、リン酸、硫酸およびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- 前記オキソ酸は、ホウ酸またはその誘導体である、請求項8に記載の電解コンデンサ。
- 前記液状成分は、有機カルボン酸化合物とアミジン化合物を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- 前記誘電体層の表面の少なくとも一部を被覆する固体電解質層をさらに備え、
前記固体電解質層は、導電性高分子を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
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