以下、本願の実施形態における図面と合わせ、本願の実施形態における技術手法について、明晰かつ完全に記述するが、記述する実施形態は、本願の実施形態の一部に過ぎず、すべての実施形態ではないことは明らかである。本願における実施形態に基づき、当業者が創造的労働を行わない前提の下で得たその他すべての実施形態は、いずれも本願の保護する範囲に属す。
第1実施形態
本願の1つの実施形態は、固定素子を基材上に釘打ちすることにより、固定することが必要な部材を固定素子によって基材上に固定することができる釘打ち装置を提供する。本実施形態では、固定素子は、主に釘をいうが、もちろん、本願の他の実施態様では、固定素子は、釘に類似した他の固定部材であってもよい。本願で提供する釘打ち装置は、比較的大きな釘打ち力を得られるとともに、その構造は依然としてコンパクトさを保っており、比較的高いエネルギー効率を有し、釘打ち効果を高めることができる。
図1から図4に示すように、本願の第1実施形態によって提供される釘打ち装置は、支持構造100と、支持構造100の中に配置されエネルギーを貯蔵または放出することが可能な蓄エネルギー機構200と、支持構造100の中に配置され蓄エネルギー機構200を駆動してエネルギーを格納するために用いられる蓄エネルギー駆動機構300と、伝動釘打ち機構400とを含む釘打ち装置である。蓄エネルギー駆動機構300は、動力部材310と、動力部材310に接続された偏心部材320と、偏心部材320に接続された直線移動部材330と、偏心部材320と支持構造100との間に配置され単一方向に沿った偏心部材320の回転を制限する片方向ロック構造340と、偏心部材320の回転位置を検出可能な位置センサとを含む。動力部材310は、駆動モータ311と、駆動モータ311の出力軸上に取り付けられた減速機312とを含む。位置センサは、駆動モータ311と電気的に接続されている。蓄エネルギー機構200は、伝動釘打ち機構400を駆動して釘を打撃し、釘を基材に打ち込む。エネルギーを蓄えるときに、動力部材310が偏心部材320を回転させ、直線移動部材330を直線移動させ、蓄エネルギー機構200にエネルギーを貯蔵させる。蓄エネルギー機構200が最大貯蔵エネルギーに近づいたときに、図9に示すように、偏心部材320が上死点位置に近接した状態にある。偏心部材320が上死点位置に近接していることを位置センサが検出したときに、すなわち、偏心部材320が上死点の0°−20°前まで駆動されているときに、駆動モータ311が動作を停止し、片方向ロック構造340が偏心部材320に対して逆回転ロックを行う。釘打ちコマンドを受けたときに、駆動モータ311が偏心部材320を回転させ、極めて短い時間内に上死点位置を通過させ、蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出し、伝動釘打ち機構400を駆動して釘を打撃し、釘を基材に打ち込む。位置センサ、片方向ロック構造340およびモータの組み合わせにより、釘打ち装置の事前蓄エネルギー、急速釘打ちを実現し、釘打ち待ち時間を節約し、釘打ち装置の動作効率を向上させる。
減速機312は、駆動モータ311の出力軸上に配置され、偏心部材320は、減速機312の出力端に接続され、直線移動部材330に当接している。駆動モータ311が出力した運動は、減速機312によって減速された後、偏心部材320に伝達される。このようにして、トルクを増加させ、蓄エネルギー機構200に対するエネルギー貯蔵駆動力を高めることができる。減速機312としては、遊星減速機を選択することができる。本願の釘打ち装置は、交流電源に接続し、釘打ち装置の駆動を実現することができる。もちろん、本願の釘打ち装置は、蓄電池によって電気エネルギーを提供してもよい。
1つの実施形態において、図3および図4に示すように、直線移動部材330は、タペットを含み、タペットの一端は偏心部材320に当接し、タペットの他端は蓄エネルギー機構200に接続されている。もちろん、本願の他の実施形態では、直線移動部材330は直線移動を実現可能な他の構造であってもよい。直線移動部材330としてタペットを用いる場合、構造が簡単で、安定性が高く、互換性が高いという特長を有する。
1つの実施形態において、図3に示すように、蓄エネルギー機構200は蓄エネルギーばねを含み、支持構造100は取り付けキャビティを有し、蓄エネルギーばねは支持構造100の取り付けキャビティの中に取り付けられる。タペットは、蓄エネルギーばねを駆動し、蓄エネルギーばねにエネルギーを貯蔵させることができる。蓄エネルギーばねがエネルギーを放出するときに、蓄エネルギーばねは、タペットを逆向きに移動させる。蓄エネルギーばねは、エネルギーの格納と放出を実現するために用いられる。蓄エネルギーばねの軸線方向はタペットの移動方向と平行であり、エネルギーを蓄えるときに、蓄エネルギーばねに傾きが生じることを回避する。蓄エネルギーばねの一端は支持構造100に接続され、他端はタペットに接続される。さらに、蓄エネルギーばねは、圧縮ばねまたはガススプリングである。圧縮ばねまたはガススプリングは、支持構造100の中に配置され、圧縮ばねまたはガススプリングの一端は支持構造100に接続され、他端はタペットに接続される。
図4に示すように、1つの実施形態において、伝動釘打ち機構400は、梃子伝動部材と、釘打ちに用いられる釘打撃部材420とを含む。梃子伝動部材の一端は、支持構造100上に回転可能に固定されている。梃子伝動部材は、中間支点を有し、梃子伝動部材は、中間支点において直線移動部材330に接続され、梃子伝動部材の他端は釘打撃部材420を動作させることが可能なように釘打撃部材420に接続され、直線移動部材330は、梃子伝動部材を動かし、梃子伝動部材に釘打撃部材420を駆動させ、釘を打撃する。
図3および図5に示すように、選択可能な実施態様として、偏心部材320は、偏心軸321と、偏心軸321上に貫設された軸受とを含む。偏心軸321は動力部材310によって動作させられることが可能なように動力部材310に接続され、軸受は直線移動部材330に当接し、動力部材310は偏心軸321を駆動して軸受を回転させ、軸受は直線移動部材330を直線移動させる。好ましくは、軸受は転がり軸受であり、運動伝達の摩擦損失を低減し、直線移動部材330に側方向の摩擦力なしに直線移動させ、高い蓄エネルギー効率を保証する。エネルギーを蓄えるときに、偏心軸321の偏心運動は、軸受を偏心回転させ、直線移動部材330を直線移動させ、蓄エネルギー機構200を圧縮し、エネルギーを格納することができる。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、直線移動部材330を押して直線移動させ、伝動釘打ち機構400によって釘を打撃する。
本実施形態の釘打ち装置は、偏心軸321と転がり軸受322の組み合わせによって、直線移動部材330に対して側方向の摩擦がない直線駆動を実現し、側方向の力によって生じる摩擦損失を極めて大きく削減することにより、蓄エネルギー機構200を高効率に駆動してエネルギーを貯蔵することを実現し、釘打ち装置全体のエネルギー効率を高め、駆動力を小さくし、全体のサイズを小さくし、重量を軽くし、持ち運びをさらに便利にする。蓄電池をエネルギー源として用いる釘打ち装置にとって、摩擦損失を小さくすることは、蓄電池の1回の充電での釘打ち数を大幅に向上させ、動作効率を向上させ、蓄電池の利用率を高めることを意味する。
もちろん、本願の他の実施態様では、偏心部材320は、回転軸と、回転軸上に貫設された偏心軸受とを含んでいてもよい。回転軸は動力部材310によって動作させられることが可能なように動力部材310に接続され、偏心軸受は直線移動部材330に当接し、動力部材310は回転軸を駆動して偏心軸受を回転させ、偏心軸受は直線移動部材330を直線移動させる。エネルギーを蓄えるときに、直線移動部材330が蓄エネルギー機構200を駆動して、エネルギーを格納する。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、直線移動部材330を直線移動させ、伝動釘打ち機構400によって釘を打撃する。
1つの実施形態において、図3および図6に示すように、片方向ロック構造340は、支持構造100と偏心部材320との間に配置されている。片方向ロック構造340としては、ラチェット構造を選択することができ、片方向ロック機能を実現可能な他の構造を選択することもできる。さらに、片方向ロック構造340は、片方向軸受を含み、偏心部材320の一端または両端は、片方向軸受によって支持構造100に回転設置されていてもよい。片方向軸受は、構造が簡単で、互換性が高く、性能が安定し、着脱しやすいという長所を有する。
位置センサとしては、偏心軸の位置情報を探知可能な各種光電センサ、角変位センサまたは近接スイッチなどを選択することができる。位置センサは、偏心部材320の回転位置を検出可能な他のセンサであってもよい。位置センサは、駆動モータ311と電気的に接続され、偏心部材320が駆動され上死点位置に近接したときに、位置センサが信号を発し、駆動モータ311が動作を停止するよう制御する。具体的な実施形態において、位置センサは、光電式角変位センサであり、エネルギーを最大限に蓄えた状態に近い上死点位置まで偏心軸321が回転した時、光電式角変位センサが信号を出し、駆動モータ311が回転を停止する。釘打ちコマンドを受けたときに、駆動モータ311が偏心軸321を動かして上死点位置を超えさせ、釘打ちが終了した後、釘打ち装置が自動的に次のエネルギーを蓄えるプロセスに入り、駆動モータ311が偏心軸321を回転させてエネルギーを蓄える。偏心部材320が上死点位置の0°〜20°前にあることを位置センサが検出したときに、駆動モータ311が動作を停止し、片方向ロック構造340が偏心部材320に対して逆方向ロックを行う。偏心部材320が蓄エネルギー機構200の駆動下で逆回転しないだけでなく、上死点位置を超えて誤って釘打ちすることもなく、釘打ち装置が釘打ち準備状態にある。釘打ち装置が次の釘打ちコマンドを受けたときに、偏心部材320は、さらに0°〜20°駆動されるだけで、釘打ち動作を実現することができ、釘打ち待ち時間を大幅に短縮でき、釘打ち効率を保証する。
図6および図7に示すように、1つの実施形態において、蓄エネルギー駆動機構300は、ワンウェイクラッチ350をさらに含む。ワンウェイクラッチ350は、動力部材310の出力軸と偏心部材320との間に取り付けられている。図8および図11に示すように、蓄エネルギー機構200がエネルギーを貯蔵するときに、ワンウェイクラッチ350は接続位置にあり、動力部材310がワンウェイクラッチ350によって偏心部材320を回転させ、偏心部材320が直線移動部材330を直線移動させ、蓄エネルギー機構200を駆動してエネルギーを蓄える。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、図9および図10に示すように、ワンウェイクラッチ350は分離位置にあり、蓄エネルギー機構200が直線移動部材330を直線移動させ、伝動釘打ち機構400によって釘を打撃し、釘を基材に打ち込む。ワンウェイクラッチ350の作用によって、蓄エネルギー機構200が釘打ち時にエネルギーを迅速に放出することができ、釘打ち時の機構の移動速度を高め、釘打ち効果を保証する。
ワンウェイクラッチ350は、動力部材310が偏心軸321を回転させエネルギーを蓄えるときに、常に接続位置にある。蓄エネルギー機構の駆動下で、偏心軸321の回転速度が動力部材310の出力軸の回転速度を超えたときに、ワンウェイクラッチ350は、常に分離位置にある。ワンウェイクラッチ350が偏心軸321を回転させるときに、偏心軸321は直線移動部材330を駆動して蓄エネルギー機構200にエネルギーを貯蔵させる。このとき、ワンウェイクラッチ350は接続位置にあり、駆動モータ311はワンウェイクラッチ350によって偏心軸321を動作させることが可能なように偏心軸321に接続されている。このとき、駆動モータ311の動力は、ワンウェイクラッチ350によって偏心軸321に伝達され、偏心軸321を動かす。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、図9および図10に示すように、蓄エネルギー機構が直線移動部材330を動かし、直線移動部材330が偏心軸321を押して回転させ、偏心軸321の回転速度が動力部材310の出力軸の回転速度を超え、ワンウェイクラッチ350が分離位置にある。このようにして、偏心軸321は、直線移動部材330の駆動下で、自由に急速回転することができ、少ないエネルギー消費で、蓄エネルギー機構200上に蓄積された大部分のエネルギーによって、迅速に伝動釘打ち機構400を介して釘を打撃し、釘を基材に打ち込む。図11に示すように、蓄エネルギー機構200がエネルギーの放出を終えると、ワンウェイクラッチ350が再び接触状態に入り、次のエネルギーを蓄えるプロセスに入る。
本願の釘打ち装置は、ワンウェイクラッチ350によって、駆動モータ311の動力の片方向伝達を実現し、駆動モータ311の駆動力が偏心軸321を直線移動部材330を動かし蓄エネルギー機構200でエネルギーを貯蔵することを保証するとともに、釘打ち時に蓄エネルギー機構200上のエネルギーが迅速に放出されることを保証することができ、釘打ち効果を保証する。実現可能な形態として、図5から図7に示すように、ワンウェイクラッチ350は、偏心部材320上に配置された駆動ピン351、接続軸352および駆動ディスク353を含む。駆動ディスク353は、減速機312によって動作させられることが可能なように減速機312の出力軸に接続されている。
さらに、駆動ピン351の数は2つであり、2つの駆動ピン351は偏心軸321の減速機312側の端の端面上に配置され、2つの駆動ピン351を結ぶ線は、偏心軸321の回転中心を通る。接続軸352の両側には、それぞれ伝動ダイヤル3521が配置されている。2つの伝動ダイヤル3521は、偏心軸321の回転方向に沿って対向して固定されている。駆動ディスク353の中心には、伝動通し穴が設けられている。伝動通し穴の側壁上に、2つの伝動突起3531が設けられている。2つの伝動突起3531を結ぶ線は、駆動ディスク353の回転中心を通る。蓄エネルギー機構200がエネルギーを蓄えるときに、減速機312の出力端が駆動ディスク353を回転させ、駆動ディスク353の2つの伝動突起3531が接続軸352の一方の側の伝動ダイヤル3521と接触することにより、駆動ディスク353が接続軸352を回転させる。接続軸352の他方の側の伝動ダイヤル3521が2つの駆動ピン351と接触することにより、接続軸352が偏心軸321を回転させる。偏心軸321が直線移動部材330を動かすことにより、蓄エネルギー機構200を駆動してエネルギーを蓄える。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、直線移動部材330が偏心軸321を駆動して急速回転させる。駆動ピン351の回転速度は接続軸352の回転速度よりも大きく、駆動ピン351と接続軸352が離隔する。駆動ピン351が逆向きに接続軸352の一方の側の伝動ダイヤル3521と接触し接続軸352を回転させるときに、接続軸352の回転速度が駆動ディスク353の回転速度よりも大きい。接続軸352の他方の側の伝動ダイヤル3521と駆動ディスク353の伝動突起3531は離隔する。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するプロセスにおいて、偏心部材320を回転させるだけで、蓄エネルギー機構200上に蓄積された大部分のエネルギーによって、迅速に伝動釘打ち機構400を介して釘を打撃し、釘を基材に打ち込む。他の実施形態では、ワンウェイクラッチ350は、ウェッジ式ワンウェイクラッチ、ローラ式ワンウェイクラッチ、ラチェット式ワンウェイクラッチ、または他のタイプのワンウェイクラッチであってもよい。
第2実施形態
図12、図13および図14を参照すると、図12は、本願の実施形態の釘打ち装置の右側面図であり、図13および図14は、図12に示す釘打ち装置におけるA−A部分の断面図である。図13は、釘打ち装置がエネルギーを完全に蓄えた状態にある構造概略図であり、図14は、釘打ち装置がエネルギーを完全に放出した状態にある構造概略図である。本願の1つの実施形態は、固定素子を基材上に釘打ちすることにより、固定することが必要な部材を固定素子によって基材上に固定することができる釘打ち装置を提供する。本実施形態では、固定素子は、主に釘をいうが、もちろん、本願の他の実施態様では、固定素子は、釘に類似した他の固定部材であってもよい。本願で提供する釘打ち装置は、比較的大きな釘打ち力を得られるとともに、その構造は依然としてコンパクトさを保っており、比較的高いエネルギー効率を有し、釘打ち効果を高めることができる。
図12から図14に示すように、本願の1つの実施形態によって提供される釘打ち装置は、支持構造と、支持構造の中に配置されエネルギーを貯蔵または放出することが可能な蓄エネルギー機構200と、支持構造の中に配置され蓄エネルギー機構200を駆動してエネルギーを格納するために用いられる蓄エネルギー駆動機構300と、伝動釘打ち機構400とを含む釘打ち装置である。蓄エネルギー駆動機構300は、動力部材310と、動力部材310に接続された偏心部材320と、偏心部材320に当接された直線移動部材330とを含む。動力部材310は、駆動モータ311と、駆動モータ311の出力軸上に取り付けられた減速機312とを含む。伝動釘打ち機構400は、支持構造の中に配置され、伝動釘打ち機構400は、釘打撃部材420と、液圧伝動部材410とを含み、釘打撃部材420および蓄エネルギー機構200は、それぞれ液圧伝動部材410に接続され、液圧伝動部材410は、蓄エネルギー機構200が放出するエネルギーを釘打撃部材420の直線移動に変換することができ、釘を基材に打ち込む。エネルギーを蓄えるときに、動力部材310が偏心部材320を回転させ、直線移動部材330を直線移動させ、蓄エネルギー機構200にエネルギーを貯蔵させる。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、蓄エネルギー機構200が液圧伝動部材410によって釘打撃部材420を動かし、釘を打撃する。
上記釘打ち装置は、偏心部材320を用いて蓄エネルギー機構200を駆動して、エネルギーを格納し、蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するプロセスにおいて、液圧伝動部材410によって、蓄エネルギー機構200が出力した直線移動を釘打撃部材420の直線移動に変換し、釘を基材に打ち込む。偏心部材320は、偏心軸上の転がり軸受によって、エネルギーを蓄えるときの摩擦損失を低減することができ、蓄エネルギー機構200に対して高効率でエネルギーを蓄えることを実現する。実験では、本願の手法を用い、300ワットのモータおよび減速比が約100の遊星減速機で蓄エネルギー機構200を駆動し、65ジュールの蓄積エネルギーが得られた。従来の電動釘打ち機では、同様の条件下で、35ジュール未満の蓄エネルギーしか得られなかった。液圧伝動部材410は、比較的高いエネルギー伝達プロセスにおいても、依然として伝動効率の高さ、安定性および構造の簡単さ、コンパクトさを兼ね揃えることができる。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、前記蓄エネルギー機構200は、分離状態にあるワンウェイクラッチ340によって、急速エネルギー放出を実現する。構造が簡単で信頼性が高く、釘打ち効果を向上させることができる。
本願の蓄エネルギー駆動機構300は、効率が高く、エネルギー放出機構は、簡単で信頼性が高く、現在の電動釘打ち機は蓄エネルギー摩擦損失が大きく、エネルギー効率が高くなく、機構の信頼性が悪く、釘打ち効果が悪いという問題を有効に解決し、駆動力を小さくし、エネルギー損失を低減し、全体のサイズを小さくし、重量を軽くすることを実現することができ、持ち運びに便利という効果を有する。
支持構造は、メインフレーム支持構造であり、支持構造は、蓄エネルギー駆動機構300を取り付けるための取り付け部と、蓄エネルギー機構200を取り付ける取り付け部と、伝動釘打ち機構400を取り付けるための接続部とを含む。
減速機312は、駆動モータ311の出力軸上に配置され、偏心部材320は、減速機312の出力端に接続され、直線移動部材330に当接し、駆動モータ311が出力した運動は、減速機312によって減速された後、偏心部材320に伝達される。このようにして、トルクを増加させ、蓄エネルギー機構200に対するエネルギー貯蔵駆動力を高めることができる。減速機312としては、遊星減速機を選択することができる。本願の釘打ち装置は、交流電源に接続し、釘打ち装置の駆動を実現することができる。もちろん、本願の釘打ち装置は、蓄電池によって電気エネルギーを提供して、釘打ち装置の駆動を実現してもよい。
選択可能な実施態様として、偏心部材320は、偏心軸と、偏心軸上に貫設された軸受とを含む。偏心軸は動力部材310によって動作させられることが可能なように動力部材310に接続され、軸受は直線移動部材330に当接し、動力部材310は偏心軸を駆動して軸受を回転させ、軸受は直線移動部材330を直線移動させる。好ましくは、軸受は転がり軸受であり、運動伝達の摩擦損失を低減し、直線移動部材330に側方向の摩擦力なしに直線移動させ、高い蓄エネルギー効率を保証する。エネルギーを蓄えるときに、偏心軸の偏心運動は、軸受を偏心回転させ、直線移動部材330を直線移動させ、蓄エネルギー機構200を圧縮し、エネルギーを格納することができる。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、直線移動部材330を押して直線移動させ、液圧伝動部材410によって釘打撃部材420を動かし、釘を打撃する。
もちろん、本願の他の実施態様では、偏心部材320は、回転軸と、回転軸上に貫設された偏心軸受とを含んでいてもよい。回転軸は動力部材310によって動作させられることが可能なように動力部材310に接続され、偏心軸受は直線移動部材330に当接し、動力部材310は回転軸を駆動して偏心軸受を回転させ、偏心軸受は直線移動部材330を直線移動させる。エネルギーを蓄えるときに、直線移動部材330が蓄エネルギー機構200を駆動して、エネルギーを格納する。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、直線移動部材330を直線移動させ、液圧伝動部材410によって釘打撃部材420を動かし、釘を打撃する。
本実施形態の釘打ち装置は、偏心軸と転がり軸受の組み合わせによって、直線移動部材330に対して側方向の摩擦がない直線駆動を実現し、側方向の力によって生じる摩擦損失を極めて大きく削減することにより、蓄エネルギー機構200を高効率に駆動してエネルギーを貯蔵することを実現し、釘打ち装置全体のエネルギー効率を高め、駆動力を小さくし、全体のサイズを小さくし、重量を軽くし、持ち運びをさらに便利にする。蓄電池をエネルギー源として用いる釘打ち装置にとって、摩擦損失を小さくすることは、蓄電池の1回の充電での釘打ち数を大幅に向上させ、動作効率を向上させ、蓄電池の利用率を高めることを意味する。
1つの実施形態において、支持構造の中に連通キャビティ110が設けられ、液圧伝動部材410は、連通キャビティ110により互いに連通した第1のシリンダ411および第2のシリンダ413を含む。連通キャビティ110ならびに第1のシリンダ411および第2のシリンダ413は、いずれも支持構造に固定されている。連通キャビティ110と第1のシリンダ411および第2のシリンダ413との間には液体が封じ込まれている。第1のシリンダ411内には第1のピストン412が配置され、第1のピストン412は第1のシリンダ411の内壁と摺動係合している。釘打撃部材420の釘とは反対側の一端には第2のピストン414が配置され、第2のピストン414は第2のシリンダ413の内壁と摺動係合している。蓄エネルギー機構200と釘打撃部材420は、互いに連通した内径が異なるシリンダによって連通し、内径が異なるシリンダを用いることにより、蓄エネルギー機構200と釘打撃部材420との間の異なる伝動比を簡単に実現することができる。エネルギーを蓄えるプロセスにおいて、直線移動部材330に押し動かされ、第1のピストン412は、第1のシリンダ411の軸方向に沿って連通キャビティ110の外側に向かって動き、蓄エネルギー機構200の中のガススプリング(または機械ばね)を圧縮してエネルギーを蓄え、液体が第1のシリンダ411内を流れる。第2のピストン414は、負圧および戻しばね(図示せず)の作用の下で、第2のシリンダ413の軸方向に沿って連通キャビティ110の内側に向かって動く。エネルギーを放出するときに、蓄エネルギー機構200が第1のピストン412を押し動かし、第1のシリンダ411の軸方向に沿って連通キャビティ110の内側に向かって動き、液体を押圧する。押圧された液体は、第2のシリンダ413の中の第2のピストン414を駆動し、軸方向に沿って連通キャビティ110の外側に向けて動かし、釘打撃部材420を直線移動させ、釘を基材に打ち込む。1つの実施形態において、直線移動部材330は、タペットを含む。タペットの一端は偏心部材320に当接し、タペットの他端は蓄エネルギー機構200に接続されている。
1つの実施形態において、図15に示すように、蓄エネルギー機構200は蓄エネルギーばねを含み、支持構造は取り付けキャビティを有している。蓄エネルギーばねは支持構造の取り付けキャビティの中に取り付けられる。タペットは、蓄エネルギーばねを圧縮し、蓄エネルギーばねにエネルギーを貯蔵させることができる。蓄エネルギーばねがエネルギーを放出するときに、蓄エネルギーばねは、タペットを逆向きに移動させる。蓄エネルギーばねは、エネルギーの格納と放出を実現するために用いられる。蓄エネルギーばねの軸線方向はタペットの移動方向と平行であり、エネルギーを蓄えるときに、蓄エネルギーばねに傾きが生じることを回避する。蓄エネルギーばねの一端は取り付けキャビティの頂壁と接触し、他端は第1のピストン412の一方の側に当接し、第1のピストン412の他方の側は、タペットに接続されている。さらに、蓄エネルギーばねは、圧縮ばね(図15)またはガススプリング(図13、図14)である。圧縮ばねまたはガススプリングは、支持構造の中に配置され、圧縮ばねまたはガススプリングの一端は支持構造に当接し、圧縮ばねまたはガススプリングの他端は第1のピストン412に接続され、第1のピストン412の他端はタペットに接続されている。図13、図14に示すように、もう1つの実施形態において、蓄エネルギー機構200は、気体を封じ込める圧縮および放出によって、エネルギーを蓄えエネルギーを放出するプロセスを完了する。
1つの実施形態において、蓄エネルギー駆動機構300は、ワンウェイクラッチ340をさらに含む。ワンウェイクラッチ340は、動力部材310の出力軸と偏心部材320との間に取り付けられている。蓄エネルギー機構200がエネルギーを貯蔵するときに、ワンウェイクラッチ340が接続位置にあり、動力部材310がワンウェイクラッチ340によって偏心部材320を回転させ、偏心部材320が直線移動部材330を直線移動させ、蓄エネルギー機構200を駆動してエネルギーを蓄える。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、ワンウェイクラッチ340が分離位置にあり、蓄エネルギー機構200が直線移動部材330を直線移動させ、液圧伝動部材410によって釘打撃部材420を動かし、釘を打撃する。ワンウェイクラッチ340の作用によって、蓄エネルギー機構200が釘打ち時にエネルギーを迅速に放出することができ、釘打ち時の機構の移動速度を高め、釘打ち効果を保証する。
ワンウェイクラッチ340は、動力部材310が偏心軸を回転させるときに、常に接続位置にある。偏心軸の回転速度が動力部材310の出力軸の回転速度を超えたときに、ワンウェイクラッチ340は、常に分離位置にある。ワンウェイクラッチ340が偏心軸を回転させるときに、偏心軸が直線移動部材330を駆動して蓄エネルギー機構200にエネルギーを貯蔵させる。このとき、ワンウェイクラッチ340は接続位置にあり、動力部材310はワンウェイクラッチ340によって偏心軸を動作させることが可能なように偏心軸に接続される。このとき、動力部材310の動力は、ワンウェイクラッチ340によって偏心軸に伝達され、偏心軸を動かす。蓄エネルギー機構200がエネルギーを放出するときに、蓄エネルギー機構200が液圧伝動部材410によって釘打撃部材420を動かし、釘打撃の動作を完了する。同時に、直線移動部材330を動かし、直線移動部材330が偏心軸を押して回転させ、偏心軸の回転速度が動力部材310の出力軸の回転速度を超え、ワンウェイクラッチ340が分離位置にあり、偏心軸が減速機312の出力軸を回転させることができないようにする。このようにして、偏心軸は、直線移動部材330の駆動下で、自由に急速回転することができ、少ないエネルギー消費で、蓄エネルギー機構200上に蓄積された大部分のエネルギーを、迅速に液圧伝動部材410によって出力し、釘を打撃し、釘打ち操作を実現する。
本願の釘打ち装置は、ワンウェイクラッチ340によって、駆動モータ311の動力の片方向伝達を実現し、駆動モータ311の駆動力が偏心軸を直線移動部材330を動かし蓄エネルギー機構200でエネルギーを貯蔵することを保証するとともに、釘打ち時に蓄エネルギー機構200上のエネルギーが迅速に放出されることを保証することができ、釘打ち効果を保証する。ワンウェイクラッチ340としては、ウェッジ式ワンウェイクラッチ、ローラ式ワンウェイクラッチ、ラチェット式ワンウェイクラッチ、または他のタイプのワンウェイクラッチを選択することができる。
第3実施形態
図16および図17を参照すると、図16は、本願の第3実施形態の釘打ち装置100の右側面図であり、図17は、図16に示す釘打ち装置100におけるA−A部分の断面図である。本願は、固定素子を基材上に釘打ちすることにより、固定することが必要な部材を固定素子によって基材上に固定することができる釘打ち装置100を提供する。本実施形態では、固定素子は、主に釘をいうが、もちろん、本願の他の実施態様では、固定素子は、釘に類似した他の固定部材であってもよい。本願の釘打ち設置は、側方向の力によって生じる摩擦損失を削減し、釘打ちプロセスにおけるエネルギー損失を低減し、釘打ち時の移動速度を高め、釘打ち装置100全体のエネルギー効率を高め、釘打ち効果を高めることができる。
図16および図17において、釘打ち装置100は、支持構造であるメインフレーム110と、弾性蓄エネルギー機構140と、蓄エネルギー駆動機構120と、伝動釘打ち機構150とを含む。蓄エネルギー駆動機構120、伝動釘打ち機構150、弾性蓄エネルギー機構140は、いずれもメインフレーム110によって支持され接続される。
支持構造としては、メインフレーム支持構造を選択することができ、メインフレーム支持構造は、ケーシングと、メインフレーム110とを含む。ケーシングは、メインフレーム110上に覆設され、ケーシングおよびメインフレーム110は、共同で各運動機構を支えている。もちろん、支持構造は、筐体支持構造であってもよく、筐体支持構造は、ケーシングまたは筐体のみを含み、ケーシングまたは筐体の内壁上に伸出部が設けられ、各運動機構はいずれも伸出部上に取り付けられる。
蓄エネルギー機構は、弾性蓄エネルギー機構140である。弾性蓄エネルギー機構140は、支持構造の中のメインフレーム110上に取り付けられている。蓄エネルギー駆動機構120は、支持構造の中のメインフレーム110上に取り付けられている。蓄エネルギー駆動機構120は、本願の釘打ち装置100の動力源であり、エネルギーを弾性蓄エネルギー機構140の中に格納することができ、他の各部品を動かすことを実現することにより、釘打ち操作を実現する。伝動釘打ち機構150は、支持構造の中のメインフレーム110の中に運動可能に取り付けられている。伝動釘打ち機構150は、直線移動部材によって弾性蓄エネルギー機構140に接続されている。弾性蓄エネルギー機構140は、エネルギーの格納と放出を実現するために用いられる。エネルギーを蓄えるときに、蓄エネルギー駆動機構120が弾性蓄エネルギー機構140を動かし、エネルギーを弾性蓄エネルギー機構140の中に格納する。エネルギーを放出するときに、弾性蓄エネルギー機構140が直線移動部材によって伝動釘打ち機構150を動かすことができ、伝動釘打ち機構150によって釘を基材に打ち込む。
具体的には、蓄エネルギー駆動機構120は、動力部材と、動力部材によって動作させられることが可能なように動力部材に接続された偏心部材と、偏心部材に接続された直線移動部材とを含む。動力部材は、支持構造の中のメインフレーム110上に固定され、偏心部材は、動力部材の出力軸上に取り付けられ、直線移動部材は、偏心部材と弾性蓄エネルギー機構140を接続している。動力部材は、偏心部材を回転させ、偏心部材の回転は、直線移動部材によって直線移動に変わり、直線移動部材は、弾性蓄エネルギー機構140を駆動してエネルギーを貯蔵する。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、弾性蓄エネルギー機構140は、直線移動部材によって伝動釘打ち機構150を押し動かし、伝動釘打ち機構150を動かし、釘を打撃する。
好ましくは、動力部材は、駆動モータ121と、減速機124とを含み、駆動モータ121によって弾性蓄エネルギー機構140の蓄エネルギーのために動力を提供する。減速機124は、駆動モータ121の出力軸上に配置され、偏心部材は減速機124の出力端に接続され、直線移動部材上に接続され、駆動モータ121が出力した運動は、減速機124によって減速された後、偏心部材に伝達される。このようにして、トルクを増加させ、弾性蓄エネルギー機構140に対するエネルギー貯蔵駆動力を高めることができる。減速機124としては、遊星減速機を選択することができる。
本願の釘打ち装置100は、交流電源に接続し、釘打ち装置100の駆動を実現することができる。このとき、駆動モータ121は交流モータである。もちろん、本願の釘打ち装置100は、蓄電池によって電気エネルギーを提供して、釘打ち装置100の駆動を実現してもよい。このとき、駆動モータ121は直流モータである。
本実施形態において、直線移動部材は、タペット126とすることができる。もちろん、本願の他の実施形態では、直線移動部材は直線移動を実現可能な他の構造であってもよい。選択可能な実施態様として、偏心部材は、偏心軸122と、偏心軸122上に貫設された軸受125とを含む。偏心軸122は動力部材によって動作させられることが可能なように動力部材に接続され、軸受125はタペット126に当接し、動力部材は偏心軸122を駆動して軸受125を回転させ、軸受125はタペット126を直線移動させる。好ましくは、軸受は転がり軸受125であり、運動伝達の摩擦損失を低減し、タペット126に側方向の摩擦力なしに直線移動させ、高い蓄エネルギー効率を保証する。エネルギーを蓄えるときに、偏心軸122の偏心運動は、軸受を偏心回転させ、タペット126を直線移動させ、弾性蓄エネルギー機構140を圧縮し、エネルギーを格納することができる。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、タペット126を押して直線移動させ、伝動釘打ち機構150に釘打ち運動をさせる。
もちろん、本願の他の実施態様では、偏心部材は、回転軸と、回転軸上に貫設された偏心軸受とを含んでもよい。回転軸は動力部材によって動作させられることが可能なように動力部材に接続され、偏心軸受はタペット126に当接し、動力部材は回転軸を駆動して偏心軸受を回転させ、偏心軸受はタペット126を直線移動させる。エネルギーを蓄えるときに、タペット126が弾性蓄エネルギー機構140を駆動してエネルギーを格納する。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、タペット126を直線移動させ、伝動釘打ち機構150を動かし、釘打ち動作を完了する。
支持機構は、ガイド機能をさらに有していてもよい。例えば、支持構造のメインフレーム110において、タペット126のためにガイド溝を設ける。この場合、ガイド溝は、タペット126が直線移動を行うために係合を提供し、タペット126がガイド溝の軸方向に沿ってのみ直線移動できるようにし、弾性蓄エネルギー機構140が順調にエネルギーを蓄えエネルギーを放出することを保証する。
本実施形態では、偏心部材は、偏心軸122と、偏心軸122上に配置された転がり軸受125とを含む。駆動モータ121は、偏心軸122を回転させることができ、偏心軸122とタペット126との間が転がり軸受125によって接続されているため、偏心軸122は転がり軸受125の内輪に接続され、転がり軸受125の外輪はタペット126に当接する。このようにして、偏心軸122が回転するときに、偏心軸122の回転が転がり軸受125の内輪によって実現され、転がり軸受125の外輪を回転させることがなく、かつ、偏心軸122の偏心運動が転がり軸受125全体を偏心回転させることにより、タペット126を直線移動させることができる。タペット126の端部が弾性蓄エネルギー機構140に接続されているため、タペット126の直線移動によって弾性蓄エネルギー機構140を駆動しエネルギーを蓄えることができる。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、タペット126を押し動かして、エネルギーを蓄えるときとは逆の直線移動を行わせ、伝動釘打ち機構150を動かし、釘打ち動作を完了する。
本願の釘打ち装置100は、偏心軸122と転がり軸受125の組み合わせによって、タペット126に対して側方向の摩擦のない直線駆動を実現し、側方向の力によって生じる摩擦損失を極めて大きく削減することにより、弾性蓄エネルギー機構140を高効率に駆動してエネルギーを貯蔵することを実現し、釘打ち装置100全体のエネルギー効率を高め、駆動力を小さくし、全体のサイズを小さくし、重量を軽くし、持ち運びをさらに便利にする。蓄電池をエネルギー源として用いる釘打ち装置100にとって、摩擦損失を小さくすることは、蓄電池の1回の充電での釘打ち数を大幅に向上させ、動作効率を向上させ、蓄電池の利用率を高めることを意味する。
例を挙げて説明すると、本願の釘打ち装置100は、300ワットのモータを用いて減速比が約100である遊星減速機の条件の下で、本願の手法を用いてばね蓄エネルギー機構を駆動してエネルギーを蓄え、65ジュールの弾性蓄積エネルギーが得られたが、従来の電動き釘打ち機では、同様の条件下で、35ジュール未満の蓄エネルギーしか得られなかった。本願の釘打ち装置100は、他のタイプのモータを用いても、従来の電動釘打ち機に比べ、同様の条件で、エネルギーを良好に蓄積することができ、釘打ち効果を保証することができると理解することができる。
図17から図19を参照すると、図18は、図17に示す釘打ち装置100における偏心軸122と転がり軸受125の組み合わせの正面図であり、図19は、図18に示す偏心軸122と転がり軸受125の組み合わせの左側面図である。蓄エネルギー駆動機構120は、ワンウェイクラッチ123をさらに含み、ワンウェイクラッチ123は、動力部材の出力軸と偏心部材との間に取り付けられている。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを貯蔵するときに、ワンウェイクラッチ123が接続位置にあり、動力部材はワンウェイクラッチ123によって偏心部材を回転させ、偏心部材がタペット126を直線移動させ、タペット126が弾性蓄エネルギー機構140を駆動してエネルギーを蓄える。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、ワンウェイクラッチ123が分離位置にあり、弾性蓄エネルギー機構140がタペット126を直線移動させ、タペット126が伝動釘打ち機構を駆動して釘打ち動作を完了する。ワンウェイクラッチ123の作用によって、弾性蓄エネルギー機構140が釘打ち時にエネルギーを迅速に放出することができ、釘打ち時の機構の移動速度を高め、釘打ち効果を保証する。
ワンウェイクラッチ123は、動力部材が偏心軸122を回転させるときに、常に接続位置にある。偏心軸122の回転速度が動力部材の出力軸の回転速度を超えたときに、ワンウェイクラッチ123は、常に分離位置にある。ワンウェイクラッチ123が偏心軸122を回転させるときに、偏心軸122がタペット126を駆動して弾性蓄エネルギー機構140にエネルギーを貯蔵させる。このとき、ワンウェイクラッチ123は接続位置にあり、駆動モータ121はワンウェイクラッチ123によって偏心軸122を動作させることが可能なように偏心軸122に接続されている。このとき、駆動モータ121の動力は、ワンウェイクラッチ123によって偏心軸122に伝達され、偏心軸122を動かす。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、弾性蓄エネルギー装置がタペット126を押し動かし、タペット126が偏心軸122を押して回転させ、偏心軸122の回転速度が動力部材の出力軸の回転速度を超え、ワンウェイクラッチ123が分離位置にあり、タペット126が伝動釘打ち機構150を駆動して急速移動させる。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出し、弾性蓄エネルギー機構140はタペット126を駆動することにより偏心軸122を動かすことができ、ワンウェイクラッチ123を分離位置にし、偏心軸122が減速機124の出力軸を回転させることができないようにする。このようにして、偏心軸122は、タペット126の駆動下で、自由に急速回転することができ、少ないエネルギー消費で、弾性蓄エネルギー機構140上に蓄積された大部分のエネルギーを、迅速に伝動釘打ち機構によって出力し、釘を打撃し、釘打ち操作を実現する。
本願の釘打ち装置100は、ワンウェイクラッチ123によって、駆動モータ121の動力の単方向伝達を実現し、駆動モータ121の駆動力が偏心軸122を駆動してタペット126を動かし弾性蓄エネルギー機構140でエネルギーを貯蔵することを保証するとともに、釘打ち時に弾性蓄エネルギー機構140上のエネルギーが迅速に放出されることを保証することができ、釘打ち効果を保証する。ワンウェイクラッチ123としては、ウェッジ式ワンウェイクラッチ、ローラ式ワンウェイクラッチ、ラチェット式ワンウェイクラッチ、または他のタイプのワンウェイクラッチを選択することができる。本実施形態では、ワンウェイクラッチ123は、ラチェット式クラッチである。ラチェット式クラッチは、ラチェット歯1231と、ラチェット爪1232とを含む。ラチェット歯1231は、減速機124の出力軸上に貫設され、ラチェット爪1232は、偏心軸122上に設けられている。ラチェット式ワンウェイクラッチが接合するときに、ラチェット爪1232がラチェット歯1231に食い込み、減速機124が駆動トルクをラチェット歯1231に伝達し、ラチェット歯1231が回転してラチェット爪1232を動かし、偏心軸122を押して回転させ、偏心軸122が転がり軸受125によってタペット126を押して直線移動させ、弾性蓄エネルギー機構140にエネルギーを蓄えさせる。エネルギーを蓄えることが完了し、偏心軸122が死点を通過した後、ラチェット式ワンウェイクラッチは分離した状態にあり、ラチェット爪1232がラチェット歯1231を超え、タペット126が弾性蓄エネルギー機構140によって押し動かされ、偏心軸122が減速機124を動かすことなく、自ら急速回転し、弾性蓄エネルギー機構140が集めたエネルギーが迅速に釘打ち機構によって出力され、釘打ち動作を完了する。ラチェット式ワンウェイクラッチは、弾性部材1233をさらに含み、弾性部材1233は偏心軸122上に配置され、ラチェット歯1231に当接し、エネルギーを蓄えエネルギーを放出するプロセスにおけるワンウェイクラッチの単方向での機能を保証する。
可能な実施態様として、支持構造であるメインフレーム110は、蓄エネルギー駆動機構120を取り付けるための取り付け部と、伝動釘打ち機構150を取り付ける接続部とを含む。本実施形態では、取り付け部と接続部は、いずれもメインフレーム110の一部である。取り付け部は取り付け穴を有し、動力部材は取り付け部に取り付けられ、偏心軸122は取り付け穴に穿設され、取り付け部には取り付けキャビティを有し、弾性蓄エネルギー機構140は取り付けキャビティの中に配置されている。また、メインフレーム110は、一体成形方式を採用して加工することができる。これによって、装着工程が少なくなるとともに、機構の信頼性を保証することができる。
さらに、弾性蓄エネルギー機構140は蓄エネルギーばねを含み、メインフレーム110は取り付けキャビティを有し、蓄エネルギーばねは支持構造の取り付けキャビティの中に取り付けられる。タペット126は、蓄エネルギーばねを駆動し、蓄エネルギーばねにエネルギーを貯蔵させることができる。蓄エネルギーばねがエネルギーを放出するときに、タペット126を逆向きに移動させる。蓄エネルギーばねは、エネルギーの格納と放出を実現するために用いられる。蓄エネルギーばねの軸線方向はタペット126の移動方向と平行であり、エネルギーを蓄えるときに、蓄エネルギーばねに傾きが生じることを回避する。蓄エネルギーばねの一端は取り付けキャビティの頂壁と接触し、他端はタペット126と接触する。
好ましくは、蓄エネルギーばねは、圧縮ばねまたはガススプリングである。圧縮ばねまたはガススプリングは、支持構造の中に配置されており、圧縮ばねまたはガススプリングの一端は支持構造に当接し、圧縮ばねまたはガススプリングの一端はタペット126に当接する。
図17および図20を参照すると、図20は、図17に示す釘打ち装置100における梃子伝動部材151の斜視図である。伝動釘打ち機構150は、梃子伝動部材151と、釘打ちに用いられる釘打撃部材とを含むものであってもよい。この場合、梃子伝動部材151の一端は、支持構造上に回転可能に固定され、梃子伝動部材151は、中間支点1511を有し、梃子伝動部材151は、中間支点1511においてタペット126に接続され、梃子伝動部材151の他端は釘打撃部材を動作させることが可能なように釘打撃部材に接続されている。タペット126は、梃子伝動部材151を動かし、梃子伝動部材151に釘打撃部材を駆動させて、釘を打撃する。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、弾性蓄エネルギー機構140がタペット126を動かし、エネルギーを迅速に梃子伝動部材151によって出力することにより、釘打撃部材を動かし、釘打撃部材に釘を打撃させ、釘打ち操作を完了する。釘打撃部材は、撃針スライダを含むものであってもよい。この場合、梃子伝動部材151の一端は撃針スライダに接続されている。もちろん、本願の他の実施態様では、釘打撃部材は、突き出しピンまたは釘打撃を実現可能な他の部材であってもよい。
梃子伝動部材151の中間支点1511から両端までの距離によって、梃子伝動部材151の出力速度を調節することができる。梃子伝動部材151の中間支点1511と梃子伝動部材151および釘打撃部材の接続箇所との間の距離を梃子伝動部材151の中間支点1511と梃子伝動部材151および支持構造のメインフレーム110の接続箇所との間の距離よりも大きくすると、釘打撃部材の移動速度を、弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときの移動速度の何倍にもすることができる。具体的には、釘打撃部材の移動速度を、弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときの移動速度の5倍〜10倍にし、釘打撃部材が釘を打撃する釘打ち速度が、弾性蓄エネルギー機構140の移動速度の5倍〜10倍になるようにすることにより、釘打撃部材の打撃速度を高め、釘打ち効果を大幅に増加させる。
伝動釘打ち機構150は、釘打撃機構のレールスライダ機構をさらに含むものであってもよい。この場合、レールスライダ機構は支持構造のメインフレーム110とつながっており、レールスライダ機構は梃子伝動部材151に接続されている。弾性蓄エネルギー機構140が放出したエネルギーをタペット126によって梃子伝動部材151に伝達し、梃子伝動部材151がレールスライダ機構におけるスライダを動かすことができるようにすることにより、釘打撃部材、すなわち撃針を駆動し、釘を基材に打ち込む。具体的には、レールスライダ機構は、レールと、レールの中に滑動可能に配置されたスライダとを含む。レールは、釘打撃部材に固定接続され、スライダは、梃子伝動部材151の作用の下で、レールの中で軸方向に沿って直線移動することにより、釘打撃部材に釘を打撃させ、釘打ち動作を実現する。
梃子伝動部材151上には、ローラ152がさらに設けられ、ローラ152は、梃子伝動部材151のスライダと接続する一端に転がり可能に配置されている。スライダ上には、梃子伝動部材151の移動方向に沿ってレール溝が設けられ、ローラ152は、レール溝の中に転がり可能に配置されている。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、タペット126が梃子伝動部材151の端部を弧形に移動させることがあるが、梃子伝動部材151によるスライダの移動がレールと干渉することを回避するため、梃子伝動部材151とスライダの接続箇所にローラ152を配置し、スライダ上にレール溝を設け、ローラ152がレール溝の中を転がることができるようにしている。このようにして、梃子伝動部材151の端部の軌跡が弧線である場合、梃子伝動部材151がローラ152によってレール溝の中を移動することができ、梃子伝動部材151がスライダを動かすときの干渉を回避し、側方向の力を低減し、梃子伝動部材151が障害なしにスライダを駆動しレールに沿って直線移動できるようにし、スライダの高速移動を保証する。これにより、スライダが釘打撃部材を駆動する打撃速度を高め、釘打ち効果を保証するとともに、梃子伝動部材151とスライダをローラ152と組み合わせることによって摩擦を低減することもでき、釘打ち時の摩擦損失を小さくする。
さらに、伝動釘打ち機構150は、一端が梃子伝動部材151の回転に伴って動作可能なように梃子伝動部材151に接続され、他端がタペット126に回転可能に接続されたコネクティングロッドをさらに含む。つまり、梃子伝動部材151の中間支点1511がコネクティングロッドによってタペット126に接続され、弾性蓄エネルギー機構140が放出するエネルギーがタペット126とコネクティングロッドによって梃子伝動部材151に伝達され、梃子伝動部材151の運動が柔軟で確実になることを保証する。
本願のもう1つの実施態様において、釘打ち機構は、ベルト伝動部材と、釘打撃機とをさらに含んでいてもよい。つまり、図21に示すように、梃子伝動部材151の代わりにベルト伝動部材を用いる。なお、本願の梃子伝動部材151は、弾性蓄エネルギー構造140のエネルギーを釘打撃部材に出力することを実現可能な、ベルト伝動部材以外の他の構造を用いてもよい。
具体的には、ベルト伝動部材は伝動ベルト153を含み、釘打撃部材は、釘打撃機154と、釘打撃機154上に貫設されたリターンスプリング1541とを含む。タペット126上には2つの動滑車1261が配置されており、転がり軸受125の外輪はタペット126に当接し、動滑車1261はタペット126上に回転可能に接続されている。伝動ベルト153は、2つの動滑車126および釘打撃機154の尾部に巻かれて接続され、伝動ベルト153の両端は、支持構造であるメインフレーム110上に固定されている。弾性蓄エネルギー機構140は、伝動ベルト153とタペット126で囲まれた空間に位置し、弾性蓄エネルギー機構140は、タペット126とメインフレーム110に当接する。リターンスプリング1541は釘打撃機154上に貫設され、メインフレーム110に当接する。偏心軸122の偏心運動が転がり軸受125によってタペット126を動かし上昇移動させるときに、弾性蓄エネルギー機構140を圧縮してエネルギーを格納するとともに、2つの動滑車1261を上に移動させ、伝動ベルト153を緩める。釘打撃機154がリターンスプリング1541の回復力の作用の下で上に移動し、伝動ベルト153が張る。弾性蓄エネルギー機構140がエネルギーを放出するときに、タペット126が下降移動し、動滑車1261が下向きに移動し、伝動ベルト153を張り、釘打撃機154を押し動かし、加速して下に移動し、打撃釘の打撃運動を形成し、釘を基材に打ち込む動作を完了する。
釘打ち装置100は、釘入れケース170をさらに含むものであってもよい。この場合、釘入れケース170は支持構造とつながっており、釘入れケース170の釘出口は、針を打ち付ける場所に対応して設けられている。釘入れケース170は、釘を格納するために用いられ、釘打ち装置100は、釘自動搬送機構をさらに含み、自動搬送機構は、釘入れケース170の中に配置され、釘の自動搬送を実現する。釘打ち装置100が動作するときに、釘打撃部材が釘を基材に打ち込んだ後、釘入れケース170の中の自動搬送機構が釘を釘打撃部材に送り、梃子伝動部材151が釘打撃部材を再度駆動して釘を打撃し、対応する位置の基材に釘を打つ。このように循環往復して自動化操作を実現するので、実用において便利である。
本願の釘打ち装置100で釘打ち作業を行うときに、駆動モータ121から生じる動力が、減速機124によって減速された後、ワンウェイクラッチ123に出力される。ワンウェイクラッチ123は接続位置にあり、ワンウェイクラッチ123のラチェット歯1231と偏心部上のラチェット爪1232が係合し、偏心軸122を回転させる。偏心軸122は、転がり軸受125の作用によってタペット126を動かし、直線移動させ、弾性蓄エネルギー機構140を圧縮し、蓄エネルギーばねにエネルギーを格納させる。偏心軸122が回転し死点を通過すると、蓄エネルギーばねがエネルギーを放出し、タペット126が弾性蓄エネルギー機構140の駆動の下で動く。ラチェット爪1232とラチェット歯1231は離隔しているため、偏心軸122が減速機124を動かすことなく、自ら急速回転し、蓄エネルギーばねが集めたエネルギーが迅速に梃子伝動部材151によって出力され、スライダをレールに沿って動かし、スライダが釘打撃部材を動かし、釘打撃部材に釘を打撃させ、釘打ち動作が完了する。
なお、最後に、本文では、第1のおよび第2のなどの類の関係用語は、1つの実体または操作と別の実体または操作とを区分するために用いられているだけにすぎず、必ずしもこれらの実体または操作の間にこの種の実際の関係または順序が存在することを要求するものでも、暗示するものでもない。また、用語「含む」、「包含」、またはいかなるその他の変体は、排他的でない包含を網羅することを意図しており、一連の要素の過程、方法、物品または設備を含むことは、それらの要素を含むだけでなく、明確に列記されていないその他の要素をさらに含むか、またはこれらの過程、方法、物品または設備のために固有の要素をさらに含む。さらに多くの制限がない場合、語句「1つの……を含む」により限定される要素は、前記要素に含まれる過程、方法、物品又は設備に別の同一の要素が存在することを排除しない。
本明細書の各実施形態は、いずれも漸進的に記載されており、他の実施形態との相違点に焦点を合わせ、各実施形態間で同じまたは類似の部分について、互いに参照すればよい。
開示された実施形態に対する上記説明は、当業者が本願を実現または使用できるようにするためのものである。これらの実施形態に対する複数の修正は、当業者にとって自明なものであり、本文において定義する一般原理は、本願の主旨または範囲を逸脱しない場合、他の実施形態において実現することができる。そのため、本願は、本文に示されたこれらの実施形態に限定されず、本文で開示されている原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲に適合する。