JP6966840B2 - 神経変性疾患の改善用医薬 - Google Patents
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Description
現在、アルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症にはドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤、およびメマンチンなどのNMDA阻害薬、前頭側頭型認知症には抗うつ薬や向精神薬、筋萎縮性側索硬化症にはリルゾールなど、疾患改善に有効な薬剤が幾つか存在するが、その効果は十分とは言えない。多発性硬化症には副腎皮質スレロイドの大量投与が有効であるが副作用も強い。
ところで、これらの疾患は、神経系の障害部位が異なるため症状も異なるが、共通した点も多い。
即ち、
(一)いずれも加齢に伴い神経系に起きる進行性の疾患である。
(二)いずれも、アミロイドβ、タウ、αシニクレイン、TDP−43などのたんぱく質が神経細胞に凝集し蓄積する。
(三)FDG(fluorodeoxyglucose)−PET(positron emission tomography)で早期から神経系の病変部位にブドウ糖の代謝低下が証明される。
(四)血清尿酸値の低下を示す傾向がある(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、および筋萎縮性側索硬化症で証明されている)
即ち、パーキンソン病も(一)加齢に伴い神経系に起きる進行性の疾患であり、(ニ)αシニクレインなどのたんぱく質が凝集し蓄積し、(三)FDG−PETで障害される神経系部位でのブドウ糖の代謝低下が証明され、(四)血清尿酸値の低下を示す傾向がある。
ところで、本発明者らは既に3名のパーキンソン症状を示す患者にフェブキソスタットとイノシンの同時投与の効果を観察する試験を行ったところ、著明な改善効果を確認し、これについて特許出願を行っている(特願2016−224134号)。
この治療効果のメカニズムは、イノシンが体内でヒポキサンチンに変換され、通常はキサンチンを通じ尿酸まで分解されるところ、フェブキソスタットがその経路を阻害しているため、ヒポキサンチンを通じてATP合成を増やしたためと考えられる(図1)。その根拠は、発明者がそれ以前に行った、16名の健常人を対象とした臨床試験の結果に基づいている。
即ち、本発明者はキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤とイノシンの同時投与を16名の健常人に行ったところ、対象者の血液内のヒポキサンチンが大幅に上昇し、血液細胞内のATPが増強する事を確認し、すでに特許出願を行っている(国際出願番号PCT/JP2016/074644)。
パーキンソン病のメカニズムには脳の神経細胞内のATP欠乏が関与していることを示しているため、前記本発明者らによるキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤とイノシンの同時投与によりパーキンソン病症状が著明に改善されたと考えている。
多発性硬化症と筋萎縮性側索硬化症についても血清尿酸値の低下が報告されている(20、21)。これらの神経疾患に共通して見られる血清尿酸値の低下は、低尿酸血症が直接神経系に悪影響を与える事の反映であるという仮説も提唱されている。即ち、これらの神経疾患には活性酸素が悪影響を与えており、尿酸はそのスカベンジャーとして悪影響を防止しているという仮説である。しかし、遺伝的キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ欠損症や遺伝的腎性低尿酸血症では、血清尿酸値が0に近い状態で一生を送る人も多い。しかし、一生血清尿酸値が0に近くても神経系に異常が起きたという報告は全くない。従って、血清尿酸値が低いことがこれらの神経疾患に悪影響を与えるという仮説は不合理であると発明者は考えた。
上記の(四)で示される血清尿酸値の低下は神経細胞内のATPの分解(使用)低下を反映していると考えられる。なぜなら、肝臓、筋肉、神経細胞などのATP分解(使用)増加が血清尿酸値増加の原因であることがわかっているからである。即ち、fructoseの静注、あるいはアルコール負荷などで血清尿酸値が上昇することが報告されているが、これは肝臓における急速なATP分解(使用)が原因であるとされている(22)。さらに、激しい筋肉運動でも血清尿酸値が上昇するが、これも筋肉内の急速なATP分解(使用)が原因である(22)。更に、脳の活動が活発化するとATPの分解(使用)が増加し、それとともに、血清尿酸値が増加する。脳活動と血清尿酸値の関係は、納(Osame)による自らの生活と血清尿酸値の頻回の測定結果の関連(文献23の図14)、および健常人11名を対象とした平常時とゴルフ開始直前の血清尿酸値の比較(文献23の図17)からも明らかである(23)。即ち、食事やアルコール摂取、更には運動に変化がなくてもストレス(大学病院長による重責、ぎっくり腰、不眠)や精神的興奮(翌日非常に楽しみにしていたゴルフコンペがある)により血清尿酸値は急増した(23)。また、11名は平常時と比較し、ゴルフ開始直前に尿酸値が平均1.2 mg/dL上昇した。これは、神経細胞のATP分解(使用)が亢進するためと考えられる。従って、逆に神経細胞のATP分解(使用)の減少が血清尿酸値の低下を来すと考えられる。老人の尿酸値は低い傾向があるが、これは筋肉と神経の活動が低下するためATP分解(利用)が減少するためと考えられる。
更に、アルツハイマー型認知症については生化学的研究でもATP欠乏との関係を示唆するデータがある。アルツハイマー型認知症では脳組織のAMP deaminase(AMPD)が1.6−2.4倍高いと報告されている(24)。AMPDはAMPをIMPに変換する酵素なので(図1)、AMPDが亢進するとATP欠乏を来す可能性がある。
本発明は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、および筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患の改善用医薬に関し、従来と異なる新規な治療方法及び治療薬の提供を課題とする。
すなわち本発明は以下の構成を有する。
(1)以下のA)及びB)を組み合わせてなる神経変性疾患の改善用医薬。
A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤
B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物
(2)神経変性疾患が、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、又は筋萎縮性側索硬化症のいずれかである(1)に記載の神経変性疾患の改善用医薬。
(3)A)が、フェブキソスタット、トピロキソスタット、アロプリノール、ヒドロキシアルカン、カルプロフェンおよびY−700からなる群から選ばれるいずれか1以上である(1)又は(2)に記載の神経変性疾患の改善用医薬。
(4)B)の体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物が、イノシン、イノシン酸、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステインおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物である(1)〜(3)のいずれかに記載の神経変性疾患の改善用医薬。
(5)A)及びB)の組み合わせが、A)及びB)を含む合剤又はキット剤である、(1)〜(4)のいずれかに記載の神経変性疾患の改善用医薬
(6)フェブキソスタット及びイノシンを組み合わせてなる神経変性疾患の改善用医薬。
(7)神経変性疾患が、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、又は筋萎縮性側索硬化症のいずれかである(6)に記載の神経変性疾患の改善用医薬。
(8)フェブキソスタット10〜80mg及びイノシン0.5〜4gを含む合剤又はキット剤である(6)又は(7)に記載の神経変性疾患の改善用医薬。
(9)イノシンと組み合わせて使用される、フェブキソスタットの神経変性疾患の改善用医薬としての使用。
(10)神経変性疾患が、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、又は筋萎縮性側索硬化症のいずれかである(9)に記載の改善用医薬としての使用。
A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤
B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物、例えばイノシン、イノシン酸、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステインおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物
現在、アルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症にはドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤、およびメマンチンなどのNMDA阻害薬、前頭側頭型認知症には抗うつ薬や向精神薬、筋萎縮性側索硬化症にはリルゾールなど、疾患改善に有効な薬剤が幾つか存在するが、その効果は十分とは言えない。多発性硬化症には副腎皮質スレロイドの大量投与が有効であるが副作用も強い。従って、本発明の神経変性疾患を改善する新たな治療法の確立は、極めて有用である。
本発明の医薬は、神経変性疾患改善用の医薬である。対象とする神経変性疾患は、アルツハイマー型認知症と類似の神経細胞内ATP低下という病態があるものであれば、本発明の範囲内に含まれる。具体的な神経変性疾患としては、上記のさまざまなデータから、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、および筋萎縮性側索硬化症などを代表例として挙げることができる。
アルツハイマー型認知症はアルツハイマー病、レビー小体型認知症はびまん性レビー小体病、前頭側頭型認知症は前頭側頭葉変性症治療薬と同義で用いられる。前頭側頭型認知症治療薬はピック病治療薬と同義で用いられる。
アルツハイマー型認知症による症状の改善効果、およびレビー小体型認知症による症状の改善効果については、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS−R)、ミニメンタルステート検査(MMSE)などの評価基準により点数が上がることにより評価することができる。
前頭側頭型認知症での改善効果は、厚生労働省の難病申請のための重症度分類などにより評価可能である。
多発性硬化症の改善効果はEDSS(Expanded Disability Status Scale)などにより評価可能である。
萎縮性側索硬化症での改善効果はALS機能評価スケール(ALSFRS−R)などにより評価が可能である(大橋靖雄他 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の日常活動における機能評価尺度日本版改訂ALS Functional Rating Scaleの検討 Brain and nerve 53(4), 346-355, 2001-04)。
本発明の1つの有効成分は、A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤である。キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤としては、フェブキソスタット(商品名フェブリク)、トピロキソスタット(富士薬品)、アロプリノール(商品名ザイロリック、アロシト−ルなど)、ヒドロキシアルカン、カルプロフェンおよびY−700(田辺三菱製薬)が挙げられ、このうちでもフェブキソスタットが望ましい。
本発明のもう1つの有効成分は、B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物、例えばイノシン、イノシン酸、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステインおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物である。このうちでもイノシンが望ましい。
本発明の「A)およびB)を組み合わせてなる」とは、A)の成分とB)の成分が組み合わされた態様をすべて含む意味で用いられる。したがって、A)の成分とB)の成分が混合されて組成物を形成している合剤、あるいは混合されることなく、物理的に別々に存在するが、投与される際に同時期に投与されるようにまとめられて存在する薬剤の両者を含む。A)の成分とB)の成分が混合されて組成物を形成している合剤の例としては、混合されて製剤化されたものが挙げられる。製剤化の例としては、顆粒、粉体、固形剤、液体などの経口剤および坐薬が挙げられる。物理的に別々に存在するが、投与される際に同時期に投与されるようにまとめられて存在する薬剤としては、いわゆるキット剤や、1つの袋に取りまとめられる形態が挙げられる。同時期とは、必ずしも厳密な意味での同時を意味せず、効果が発揮される範囲で間隔を置く場合も本発明の同時期に含むものとする。例えば、経口剤の場合、一方を食前、一方を食後に飲むような場合は本発明の同時期に投与される場合に相当する。
上記のとおり、A)とB)をそれぞれ単独の製剤として服用することも可能である。しかし、B)を単独で服用すると高尿酸血症を来すので有害となることがあり、A)とB)は必ず同時期に服用する必要があり、この点からキット剤または合剤がより望ましく、合剤がよりいっそう望ましい。
本発明は、前記A)およびB)を組み合わせてなる神経変性疾患ア改善用医薬の発明であるが、換言すれば、前記A)およびB)を組み合わせて投与する工程を含む神経変性疾患の改善方法であり、神経変性疾患の治療方法の発明と言える。それぞれを投与するタイミングは、前述のとおりである。
本発明医薬の投与量は、有効量であればよく、それぞれ以下の投与量が望ましい。例えば、A)のフェブキソスタットは、10〜80mg/日、トピロキソスタットは、40〜160mg/日、アロプリノール、約50mg〜約800mg/日が望ましい。また、B)のイノシンは、0.5〜4.0g/日が望ましく、B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物の有効量も前記イノシンの量に相当する量を分子量により換算して求めることができる。
投与方法は、上記投与量をそれぞれ1日1回または2回以上に分けて投与することが可能である。このうちでも、フェブキソスタットは、従来のフェブキソスタットの用法のように1日1回投与ではなく、1日2回の投与を行うことが望ましい。また、イノシンも1日1回よりも2回の投与が望ましい。したがって、イノシン、フェブキソスタットともに1日2回にわけて投与することがさらに望ましい。
合剤とする場合は、1日の投与量、投与方法を考慮して調整すればよく、フェブキソスタットとイノシンを、フェブキソスタット20mg、または40mgにイノシン0.5g、1g、1.5g、または2gを加えたものなどが望ましい。1錠にフェブキソスタット20mg、イノシン0.5gを加えたものが更に望ましい。
本発明医薬の投与形態は特に限定されず、経口又は非経口のいずれの投与形態でもよい。また、投与形態に応じて適当な剤形とすることができ、例えば注射剤、あるいはカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤などの経口剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水性坐剤などの各種製剤に調製することができる。
本発明医薬は、有効成分A)及びB)を含むことから、有効成分A)の投与形態とB)の投与形態は同じであってもよいし、異なってもよい。同じ投与形態の例としては、両方を錠剤で経口投与する場合、両者を合わせた合剤として経口投与する場合、両者を混合した注射剤で投与する場合などが挙げられる。また、異なる投与形態の例としては、一方を経口剤、一方を注射剤などで投与する場合が挙げられる。
本発明の神経変性疾患改善用医薬は、細胞内のATPの増強効果を奏するものであり、本作用に影響を与えない範囲ですでに処方されている既存の神経変性疾患改善用医薬と併用することができる。
特に、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、および筋萎縮性側索硬化症の治療を継続して行っているが効果が減弱化したような場合には、本発明の医薬と併用することでこれらの疾患の治療効果が増強され得る。既存のアルツハイマー型認知症、およびレビー小体型認知症の治療薬としては、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤、メマンチンなどのNMDA阻害薬が挙げられる。多発性硬化症の治療薬としては副腎皮質スレロイド大量療法が挙げられる。前頭側頭型認知症の治療薬としては、抗うつ薬や向精神薬が挙げられる。筋萎縮性側索硬化症の治療薬としてはリルゾールが挙げられる。
アルツハイマー型認知症患者に、本発明医薬を2週間投与し、臨床的効果及び安全性を検討した。
1.試験方法
(1)投与対象および試験開始前の投薬状況
72歳の女性。身長 157.3cm、体重48.1kg、血圧 148/88mmHgであった。2−3年前頃より物忘れをするようになり、2016年の春、買い物で道がわからなくなった。2016年5月にクリニックを受診し、アルツハイマー型認知症と診断され、レミニールを処方されている。
本試験開始までのアルツハイマー型認知症治療のための処方(1日分)は、以下のとおりである。本治療薬は本試験期間中も服用を継続した。「分2」は、「1日2回に分けて」という意味である。
レミニールOD 8mg 2錠 分2
本試験開始前の血液検査の結果は特に異常なかった。投与開始日を1日目として、本試験開始直前と本試験開始15日目(14日間投与した翌日)の各データを測定した(実施例2において同じ)。
(2)本発明医薬及び投与スケジュール
フェブキソスタット 20mg錠を1錠、イノシン 500mg錠を1錠、1日2回(朝食後、夕食後)14日間投与した。
(1)長谷川式簡易知能評価スケール(HDS−R)
アルツハイマー型認知症の症状の重さを測るため、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS−R)に従って測定した(参考文献)。
本スケールはMMSEと並んで、アルツハイマー型認知症を総合的に評価する基準として、日本中の研究者や医師に広く利用されており、満点は30点である。点数が低いほど認知能力の低下が著しい。
<参考文献>
祐森伸彦:改訂長谷川式簡易知能評価スケール.リハビリナース 6 (1). 34-37. 2013
(1)診察所見
来院した患者の自己申告内容および医師の所見は次のとおりである。
(i)試験開始15日目
本試験開始前よりも、昔のことがわかるようになったという。特に副作用は無い。
結果を表1に示す。長谷川式簡易知能評価スケールは10より17に増加した。
さらに、アルツハイマー型認知症患者1名に、本発明医薬を2週間投与し、アルツハイマー型認知症の改善効果を再確認した。なお、評価は、長谷川式簡易知能評価スケールと患者および患者家族の申告、および医師所見による。
1.試験方法
(1)投与対象および試験開始前の投薬状況
78歳の女性。身長151.9cm、体重56.9kg、血圧162/78。
7−8年前より高血圧があり、3年位前より降圧薬を服用している。2年くらい前より物忘れをするようになり、クリニックに通っていた。2016年1月に、アルツハイマー型認知症と診断されレミニールを処方された。
本試験開始までのアルツハイマー型認知症治療のための処方(1日分)は、以下のとおりである。本治療薬は本試験期間中も服用を継続した。「分2」は、「1日2回に分けて」という意味である。
レミニールOD 8mg 2 錠 分2
(2)本発明医薬及び投与スケジュール
フェブキソスタット 20mg錠を1錠、イノシン 500mg錠を1錠、1日2回(朝食後、夕食後)14日間投与した。
(1)長谷川式簡易知能評価スケール(HDS−R)
実施例1に同じ。
(1)診察所見
来院した患者及びその家族の申告内容および医師の所見は次のとおりである。
(i)試験開始15日目
夫の報告によると、本試験開始前は、患者が薬を服用することを忘れ、夫が薬を準備して促す必要があったが、服用開始後は、夫が薬の準備を忘れている時、患者が自分で薬を要求するようになった。また、試験開始前は、食事も忘れることが多かったが、服用開始12〜13日位から自分で食事を作るようになった。患者の報告では副作用と思われる症状はなかった。
結果を表2に示す。長谷川式簡易知能評価スケールは6から10へと改善した。
1錠あたり下記を含む経口投与用の合剤(錠剤タイプ)を製造した。
フェブキソスタット 20 mg
イノシン 0.5 g
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70 mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656 mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10 mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8 mg
フェブキソスタットを含む下記A.の組成の錠剤とイノシンを含む下記Bの組成の医薬を、それぞれ混ざらないように区切った同一袋に入れ、1回分を調整した。これを2回分すなわち1日分を同一の箱に梱包しキット剤を製造した。
A.フェブキソスタット錠
フェブキソスタット 20 mg
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70 mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656 mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10 mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8 mg
B.イノシン
イノシン 0.5 g
Claims (3)
- フェブキソスタット及びイノシンを組み合わせてなる神経変性疾患の改善用医薬であって、神経変性疾患が、アルツハイマー型認知症である前記医薬。
- フェブキソスタット及びイノシンを含む合剤又はキット剤である、請求項1に記載の神経変性疾患の改善用医薬。
- フェブキソスタット10〜80mg及びイノシン0.5〜4gを含む合剤又はキット剤である請求項2に記載の神経変性疾患の改善用医薬。
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