JP6964291B2 - 一台のカメラによるワーク測定システム 並びにこのシステムが搭載されたマシニングセンタ - Google Patents
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Description
この種の装置は、自動的に立体形状を削り出す点で、金属加工や樹脂成形の分野で大いなる評価を得ている。しかしながら、事前に行う、いわゆる数値制御の設定等については、その制御データの扱いにかなりの熟練が要求され、誰でも容易に扱えるものではない。
その後、例えばダイヤルゲージ等を使い、その接触子をワークの基準面に何箇所か当てて(少なくとも二箇所以上)、ワークの基準面が平行(または直角)からどの程度ずれているか計測し、仮クランプの微調整をして行くものである(仮クランプの補正)。そして、このような計測と補正を何回か繰り返した後、ワーク(基準面)をテーブルに対し平行(または直角)に設定した上で、ワークをテーブル上にしっかりと固定する(最終クランプ(本クランプ))。
この芯出し治具Jsは、例えば上記図7に示すように、円板状のフランジ大径部Js1の一端側に、細長円柱状のロッド部(後述のシャンクJs2と測定子Js3)を突出させた金属片(独楽状の金属片)Asを一対とし、これら一対の金属片Asを、マグネットとバネによって、互いのフランジ大径部Js1を合わせるように接続させて成るが、接続部で互いのフランジ大径部Js1がずれること、つまりロッド部の偏心が許容される構造となっている。
そして、一方のロッド部が、スピンドルチャック等に把持されるシャンクJs2となり、これに対向する他のロッド部がワークWに当接させる測定子Js3となる。
なお、このような芯出し治具Jsは、ワークWの原点出しを行うだけでなく、ワーク端面の傾斜状態を計測する際などにも使用される。
また、このようなワーク位置測定後、モデリングマシン等の加工機によって切削・研削加工を行う場合には、適用する刃物一つ一つについて刃先高さ(位置)の原点出しを行うものであり、もちろんこのデータについても加工機の制御部に事前にインプットされる(刃物についての刃先高さの原点出しについては後述する)。
そのため、このような煩わしい作業を極力減らすべく、カメラを使ってワークの位置を測定することが考えられている。この方法は、例えば二台以上のカメラを使って、テーブル上に固定したワークを撮影し、その映像からワークまでの距離やテーブルへの固定姿勢等を測定するという方法であり、いわゆるステレオビジョン(ステレオ視)等と称される手法であり、考え方としては分かり易い(例えば特許文献1参照)。
ワークを固定するテーブルと、このテーブルに対し適宜の距離を隔てて対向的に設けられる一台のカメラとを具え、このカメラでワークを撮影することにより、ワークがテーブルのどこに位置しているのかを測定するシステムであって、
前記テーブルとカメラとは、少なくともいずれかが平行移動できるように構成され、
またワークは、テーブル上においてカメラの視野角内に固定されるものであり、
前記カメラでワークを測定するにあたっては、テーブルまたはカメラを、ワークが撮影できる視野角の範囲内で一定距離、移動させ、これに伴う撮影した映像上のワークの移動量から、この移動量に見合うテーブル上のワーク高さを割り出し、これによりテーブル上におけるワークの位置を検出するようにしたことを特徴として成るものである。
前記ワークは、基準面が、テーブルに対し、直角または平行以外の傾きを有して固定されていることを特徴として成るものである。
前記一台のカメラでワークの位置を測定した後、接触式のセンサを用いて、より精密にワークの位置測定を行うようにしたことを特徴として成るものである。
前記カメラによるワークの測定によって、ワークがサイズ違いであるか否かを判定するようにしたことを特徴として成るものである。
すなわち、請求項1または5記載の発明によれば、テーブルまたはカメラを一定距離移動させながらワークを撮影するため、一台のカメラでもテーブル上に固定した始発ワークの高さや位置を測定することができる。
また、接触式のセンサでは測定子をワークに当てて測定するが、事前にカメラによる測定でワークの位置がほぼ特定できているため、上記測定子をワークに強く当て過ぎてしまうことも防止できる。
また、このような自動判定をシステムに持たせることで、実際の加工機にワークをセットするオペレータ(作業者)が、目的の三次元形状がどのような形状や大きさであるのかが分かっていなくても実加工に移行することができる。すなわち、ワークをセットする作業者に、加工に伴う専門的な知識がなくても、実加工ができるようになり、例えばモデリング形状の設計者と、実加工を行う場所が遠く離れていても、実加工を行うことができる。
なお、説明にあたっては本発明のワーク測定システム(一台のカメラによるワーク測定システム)Sが搭載されるマシニングセンタとしてモデリングマシンMを例に挙げ、このモデリングマシンMの概略から説明する。
モデリングマシンMは、一例として図1(a)に示すように、縦長ボックス状の筐体10の内部に、切削加工等の実加工を行う加工空間Rが形成されて成り、この加工空間RはモデリングマシンMの正面側に設けられた開閉扉11によって開閉自在に構成され、ここからワークW(特に加工前のものを始発ワークと称することがある)の取り出しが行われる。因みに、開閉扉11は、モデリングマシンMの正面から視て左側壁の内側に収納されるようなスライド構造となっている。
また、加工空間Rの下部にはテーブル12が設けられ、ここにワークWが固定される。なお、ワークWをテーブル12上に固定するにあたっては、例えばテーブル12面に形成された溝(ここではT溝)を利用し、バイス等を使って固定するものである。
なお、本実施例においては、テーブル12がモデリングマシンMの前後方向に移動できるように構成されており(しかも正確な平行移動)、この方向をY方向とする。
またスピンドルチャック14は、スピンドルホルダ15に対し回転自在に保持され、このスピンドルホルダ15の上方に、スピンドルモータM1が設けられる。
ここで本実施例においては、刃物ユニット13(スピンドルホルダ15)がモデリングマシンMの左右方向(これをX方向とする)及び上下方向(これをZ方向とする)に移動できるように構成されている。
また刃物ユニット13は、加工空間Rを前後方向に仕切るように設けられた仕切板17の後方側に設けられ、一見するとこの仕切板17で遮られた状態に設けられる。
なお、モデリングマシンMを使用するユーザからは、上述したように、設計室や研究室などの室内でも設置できる小型化の要求が近年、ますます求められている。
因みに、本発明のワーク測定システムSが搭載される加工機としては、モデリングマシンMだけでなく、自動工具交換機能を有し、目的に応じてフライス削り、中ぐり、ねじ立て等の異種の加工を一台で行うことができる数値制御工作機械(いわゆるマシニングセンタ)全般が想定される。
本発明のワーク測定システムSは、一例として図1に示すように、上記モデリングマシンMの加工空間Rに組み込まれるものであり、ブロック状の始発ワークWを固定するテーブル12と、このテーブル12に対し適宜の距離を隔てて対向的に設けられる一台のカメラ21とを具えて成る。
ここでカメラ21としては、例えば一般的なCCDカメラを適用することができ、本実施例では上記モデリングマシンMの仕切板17から正面側に突出状態に設けられた保持ロッド18の先端部に固定される。
またテーブル12は、モデリングマシンMのテーブル12を適用するものであり、これらテーブル12とカメラ21とは、少なくともいずれか一方が平行移動できるように構成される。因みに、本実施例では上記のようにテーブル12がY方向に前後移動できるように構成され、カメラ21が固定状態に設置されている。
また、ワーク測定システムSは、カメラ21で撮影した映像を目視できるモニター22を具えるものであり、他にもカメラ21で映した移動前後のワークWの距離(映像上の距離)から実際のワークWの高さ等を検出する制御部(図示略)を具えるものであるが、これらはモデリングマシンMがもともと有しているものを適用することができる。
なお、本発明では、ワークWの測定にあたり、一台のカメラ21でワークWを撮影しならが、テーブル12またはカメラ21を、ワークWが撮影できる視野角内で一定距離、移動させ、これに伴う映像上のワークWの移動量から、この移動量に見合うテーブル12上のワーク高さを割り出し、これによりテーブル12上におけるワークWの位置(固定位置)を特定するものである。
まず一台のカメラ21で同じ幅寸法(図中L1)のワークWを撮影した様子を、その映像とともに図2に示す。ここで図2(a)は、ワークWの高さが高い場合、すなわちカメラ21とワーク上面との距離が近い場合を示しており、このときカメラ21の映像上、ワークWは大きな映像となって映り込む。
一方、図2(b)は、ワークWの高さが低い場合、すなわちカメラ21とワーク上面との距離が遠い場合を示しており、このときカメラ21の映像上、ワークWは図2(a)よりも小さな映像となって映り込む。
このように、テーブル12に対し等距離離れた位置に固定したカメラ21で、同じ幅寸法のワークWを撮影してもワークWの高さによって映像上のワークWの大きさは異なって映り込むものである。
そして、このような手法で、同じ幅寸法のワークWを撮影した様子を、その映像とともに図4に示す。ここで図4(a)は、ワークWの高さが高い場合、すなわちカメラ21とワーク上面との距離が近い場合を示しており、このときカメラ21の映像上、ワークWの移動量は大きくなる。
一方、図4(b)は、ワークWの高さが低い場合、すなわちカメラ21とワーク上面との距離が遠い場合を示しており、このときカメラ21の映像上、ワークWの移動量は小さくなる。
また、本発明ではカメラ21による撮影でワークWの高さや位置を測定するため、ワークWをテーブル12上に固定する際、例えばワークWの基準面をテーブル12の移動方向(またはテーブル12の一面)に対し、平行(または直角)に固定しなくてもよいものである。すなわち、本発明ではワークWの基準面がテーブル12に対し、直角・平行以外の傾きを有するように固定されても何ら構わず、このような固定状態でも、その後の実加工を忠実に行うことができる。
(1)「ワークをテーブル上に固定」ステップ
まず、当該ステップでは、ワークWをテーブル12上にバイス等を使って固定するものであり、その際、ワークWは、カメラ21の視野角内に固定される。もちろん、ここでは上記のようにテーブル12を移動させるため、移動後のワークWの映像もカメラ21の視野角内に収まるようにワークWの初期固定位置が決定される。
因みに、本発明ではカメラ21による位置測定であるため、従来、行っていた仮クランプを行う必要はない。また、例えばワークWは、上記のように、基準面がテーブル12に対し、直角・平行以外の傾きを有するように固定してよく、その場合でもその後の実加工を忠実に行うことができる。
当該ステップは、テーブル12に固定したワークW(移動前)を撮影するステップであり、この段階の映像からは、上述したように、ワークWの高さとして複数の候補が考えられ、当然、ワークWの実際の高さも絞り込めない。もちろんワークWのテーブル12に対する固定位置も特定できないものである。
当該ステップは、ワークWを取り付けたテーブル12を、一定の距離移動させるステップであり、その移動距離は、上記のように移動後のワークWの映像が、カメラ21の視野角内に収まるように設定される。
当該ステップは、テーブル移動後のワークWを撮影するステップであり、通常は移動の前後において、ワークWの撮影が継続して行われる。なお、移動前のワークWの位置と移動後のワークWの位置は制御部に入力される。
また、撮影した映像(移動前後のワークWの映像)は、モニター22に映し出されるようにしておき、作業者が目視により明確に確認できるようにすることが好ましい。
当該ステップは、上記カメラ21の映像上におけるワークWの移動量を計測するステップであり、これは例えば制御部によって計測される。なお、この数値もモニター22等に表示し、作業者が明確に確認できるようにすることが好ましい。
当該ステップは、カメラ21の映像上におけるワークWの移動量から実際のワークWの高さに合致するもの(高さ)を割り出すステップであり、ここからカメラ21とワーク上面との距離も特定できる。
当該ステップは、特定したワークWの実際の高さ(カメラ21とワーク上面との距離)から、テーブル12上におけるワークWの固定位置を割り出すステップであり、これによりワークWの大きさ及び位置が、ある程度の精度で検出される。
このようにカメラ21による測定データから、実加工を行う前のワークWの大きさが分かるものであり、これを利用して例えばテーブル12上に固定されたワークWが正しいものであるか否かを判定することができ、当該ステップはこのための判断ステップである。すなわち、当該判断ステップにより、例えばサイズ違いのワークWをテーブル12上に固定してしまった場合でも、実加工を行う前にサイズ違いであることを作業者に告知することができる。
具体的には、かりにテーブル12上に固定したワークW(カメラ21による測定を行ったワークW)が不適合品であった場合には(フローチャートの「no」の場合)、「ワーク不適合の告知」ステップに移行し、ここで作業者に当該ワークWが不適合品であることを音や光等の警報で告知するものである。その後、「ワークをテーブルから除去」ステップで、作業者がテーブル12に固定していたワークWを、テーブル12から取り外すものであり、次いで「ワークをテーブル上に固定」ステップに戻り(移行し)、新たなワークWをテーブル12上に固定し直すものである。
もちろん、「ワーク適合」判断ステップで、ワークWが適合品であれば(フローチャートの「yes」の場合)、切削等の実加工に向けて、次のステップ(ここでは「精密測定 必要」の判断ステップ)に進むことになる。
当該ステップは、カメラ21による測定後、ワークWの位置測定をより高精度に行うか否かを決める判断ステップである。すなわちカメラ21は映る範囲が決まっており、その中でも撮影範囲の中央部分(カメラ21の直下部分)がもっとも歪みが少なく、ここから離れるほど(周辺部ほど)歪みが生じ易い。ここで本発明は、テーブル12(またはカメラ21)を一定距離移動させながらワークWを撮影するため、ワークWがカメラ21の直下位置から離れるほど、このような歪みの影響が生じることは避けられず、そのためワークWの位置計測にも、例えば±0.1mm程度の誤差を含むものである。
従って、より精密にその後の実加工を行いたい場合には、カメラ21による測定後、より精密にワークWの位置測定を行うものであり、当該ステップはこのための判断ステップである。もちろん、上記のような誤差を含む精度で実加工を行っても差し支えない場合には、当該判断ステップで「no」に移行し、切削加工等の実加工に向けて進む。もちろん、より精密なワークWの位置測定が必要であれば、当該判断ステップで「yes」に進む。
当該ステップは、上記判断ステップで「yes」に進んだ場合であり、上述した芯出し治具Js等の接触式センサを使用して、より精密にワークWの位置測定を行うステップである。
当該ステップは、適用する刃物13a一つ一つについて、その刃先高さ(位置)の原点出しを正確に行うステップである。
これには例えば大昭和精機株式会社製のベースマスター(登録商標)等の刃先位置測定治具Jhが使用され、このものは一例として図6に示すように、上方窄まりの略円柱形状を呈し、ワークWの上に置いて使用する(例えば磁力によりワークWに固定させる)。また刃先位置測定治具Jhの上端部には、刃物先端の接触を感知する検出部Jh1が設けられ、この検出部Jh1には低触圧クッション機構が採用され、これにより接触時の刃物13aの損傷を極力防止する構造となっている。また、刃物先端の接触は、LED等の接触灯Jh2を点灯させることで、作業者が明確に目視できる構造となっている。
なお、刃先位置測定治具Jhの全高(検出部Jh1まで高さ)は当然、正確に定められており(例えば50mm)、計測した接触高さからこの高さを補正して、対象刃物13aの刃先位置(高さの基準位置)が設定される。
因みに、図5に示すフローチャートでは、ワークWの「精密測定が必要」の場合に、適用刃物13aの高さ基準を設定するように示したが、「精密測定が不要」の場合でも、適用刃物13aの高さ基準を設定するような流れ図とすることも可能である。
当該ステップは、上記のようにして得られたワークWの位置データや刃物13a一つ一つの高さ基準のデータを、切削加工(実加工)を行う前に、事前にモデリングマシンM等の加工機(制御部)にインプットするステップである。
その後、当該ステップにより切削加工等の実加工に移行するものであり、適用する刃物ユニット13の選択、交換、移動等が全て自動で行われ、ワークWに所望の三次元形状が形成される。
10 筐体
11 開閉扉
12 テーブル
13 刃物ユニット
13a 刃物
13b ホルダ
14 スピンドルチャック
15 スピンドルホルダ
16 刃物ストッカ
17 仕切板
18 保持ロッド
R 加工空間
M1 スピンドルモータ
S ワーク測定システム
21 カメラ
22 モニター
Jh 刃先位置測定治具
Jh1 検出部
Jh2 接触灯
Js 芯出し治具
As 金属片
Js1 フランジ大径部
Js2 シャンク
Js3 測定子
W ワーク
Claims (5)
- ワークを固定するテーブルと、このテーブルに対し適宜の距離を隔てて対向的に設けられる一台のカメラとを具え、このカメラでワークを撮影することにより、ワークがテーブルのどこに位置しているのかを測定するシステムであって、
前記テーブルとカメラとは、少なくともいずれかが平行移動できるように構成され、
またワークは、テーブル上においてカメラの視野角内に固定されるものであり、
前記カメラでワークを測定するにあたっては、テーブルまたはカメラを、ワークが撮影できる視野角の範囲内で一定距離、移動させ、これに伴う撮影した映像上のワークの移動量から、この移動量に見合うテーブル上のワーク高さを割り出し、これによりテーブル上におけるワークの位置を検出するようにしたことを特徴とする、一台のカメラによるワーク測定システム。
- 前記ワークは、基準面が、テーブルに対し、直角または平行以外の傾きを有して固定されていることを特徴とする請求項1記載の、一台のカメラによるワーク測定システム。
- 前記一台のカメラでワークの位置を測定した後、接触式のセンサを用いて、より精密にワークの位置測定を行うようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の、一台のカメラによるワーク測定システム。
- 前記カメラによるワークの測定によって、ワークがサイズ違いであるか否かを判定するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の、一台のカメラによるワーク測定システム。
- 前記請求項1から4のいずれか1項記載のワーク測定システムが搭載されていることを特徴とするマシニングセンタ。
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