JP6961514B2 - 内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構 - Google Patents

内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構 Download PDF

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Description

この発明は、内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構に関し、特に、ロアリンクとアッパリンクとの連結部に連続的に潤滑油を供給する潤滑構造の改良に関する。
レシプロ式内燃機関のピストンピンとクランクピンとの間を複リンク式のピストンクランク機構で連結した従来技術として、本出願人が先に提案した特許文献1等が公知となっている。これは、ピストンのピストンピンに連結されるアッパリンクと、このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、を備えている。そして、上記アッパリンクと上記ロアリンクとは、アッパピンを介して互いに回転可能に連結され、上記コントロールリンクと上記ロアリンクとは、コントロールピンを介して互いに回転可能に連結されている。
このような複リンク式のピストンクランク機構におけるアッパリンクは、棒状のロッドの両端にそれぞれ円環状のピンボス部を備えた構成となっており、一方のピンボス部がピストンピンに連結され、他方のピンボス部がアッパピンに連結される。アッパピンは、ロアリンクの一端部に二股状に形成された一対のロアリンク側アッパピン用ピンボス部に両端部が支持されており、軸方向の中央部に、アッパリンク側ピンボス部が回転可能に嵌合する。
上記のアッパリンク側ピンボス部とアッパピンとの嵌合部つまり摺動面の潤滑のために、特許文献1には、クランクピンに径方向に貫通形成されたクランクピン油路と、ロアリンクに貫通形成されたロアリンク油路と、を介して、加圧された潤滑油をアッパリンク側ピンボス部へ向けていわゆるオイルジェットとして噴出するようにした潤滑構造が開示されている。詳しくは、ピストン上死点位置のクランク角においてクランクピン油路とロアリンク油路とが互いに連通し、クランクシャフト内部の潤滑油通路からクランクピン油路へ圧送された潤滑油がロアリンク油路を通してアッパリンク側ピンボス部へ向かって噴出する構成となっている。これにより、燃焼荷重により潤滑の要求が厳しくなる圧縮上死点付近でのアッパピンの潤滑を図っている。
特開2010−185329号公報
しかしながら、上記の特許文献1のように特定のクランク角でのみ潤滑油を噴射する構成では、連続的に潤滑油を圧送する強制潤滑に比較して潤滑の信頼性が低い。また、特許文献1では、アッパリンク側ピンボス部とアッパピンとの間の摺動面が潤滑対象であるにも拘わらず、アッパリンク側ピンボス部に外周側から潤滑油を吹きかけて当該アッパリンク側ピンボス部の油孔を通して内周側へ潤滑油を導く構成であるので、実際に摺動面に供給される潤滑油量は比較的少量となってしまう。
この発明に係る内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構は、ピストンに一端が連結されたアッパリンクと、クランクピン軸受部を中央部に有するとともに、一端部に二股状をなすアッパピン用ピンボス部を有し、かつ他端部に二股状をなすコントロールピン用ピンボス部を有するロアリンクと、上記アッパピン用ピンボス部のアッパピン嵌合孔に両端部が固定され、かつ中央部に上記アッパリンクが回転可能に嵌合するアッパピンと、上記コントロールピン用ピンボス部のコントロールピン嵌合孔に両端部が固定されたコントロールピンと、上記コントロールピンの中央部に回転可能に嵌合したコントロールリンクと、を備える。
さらに、上記コントロールピンの内部に形成され、上記コントロールリンクを介して供給される潤滑油を取り込むように一端が上記コントロールピンの外周の軸受面に開口し、かつ他端が上記コントロールピン嵌合孔に重なる領域に開口したコントロールピン油路と、
上記ロアリンクの内部に形成され、一端が上記コントロールピン嵌合孔の内周面において上記コントロールピン油路と接続され、かつ他端が上記アッパピン嵌合孔の内周面に開口したロアリンク油路と、
上記アッパピンの内部に形成され、一端が上記アッパピン嵌合孔において上記ロアリンク油路と接続され、かつ他端が上記アッパリンクとの間の軸受面に開口するアッパピン油路と、
を有している。
上記構成では、加圧された潤滑油が上記コントロールリンクの内部を通してコントロールピンの軸受面に供給される。この潤滑油は、コントロールピン油路に取り込まれ、該コントロールピン油路からロアリンク油路およびアッパリンク油路を通してアッパピン外周の軸受面へと供給される。仮にコントロールリンクへの潤滑油供給を連続的に行えば、アッパピン外周の軸受面へ連続的に潤滑油を供給することが可能である。
この発明によれば、加圧された潤滑油をアッパピン外周の軸受面へ確実に供給することができ、燃焼荷重を受けるアッパピンとアッパリンクとの連結部が良好に潤滑される。
一実施例の複リンク式ピストンクランク機構の構成説明図。 ロアリンクの斜視図。 内部の油路の構成を透視した形で示すロアリンクの正面図。 同じく内部の油路の構成を透視した形で示すロアリンクの斜視図。 コントロールピン油路を有するコントロールピンの斜視図。 コントロールピンの正面図。 アッパピン油路を有するアッパピンの斜視図。 アッパピンの正面図。 第2実施例のアッパピン油路を有するアッパピンの斜視図。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明が適用される複リンク式ピストンクランク機構の構成要素を示している。この複リンク式ピストンクランク機構自体は前述した特許文献1等によって公知のものであり、ピストン1にピストンピン2を介して一端が連結されたアッパリンク3と、このアッパリンク3の他端にアッパピン4を介して連結され、かつクランクシャフト5のクランクピン5Aに連結されたロアリンク6と、このロアリンク6の自由度を規制するコントロールリンク7と、を備えている。上記コントロールリンク7は、一端が機関本体側の支持ピン8に揺動可能に支持され、他端が上記ロアリンク6にコントロールピン9を介して連結されている。なお、上記複リンク式ピストンクランク機構は、上記支持ピン8の位置を可変とすることで、可変圧縮比機構として構成することも可能である。
図2に示すように、上記ロアリンク6は、上記クランクピン5Aに回転可能に嵌合する円筒形のクランクピン軸受部11を中央部に有し、かつ一端部にアッパピン用ピンボス部12を有するとともに他端部にコントロールピン用ピンボス部13を有している。すなわち、クランクピン軸受部11を挟んで互いにほぼ180°反対側となる位置に、アッパピン用ピンボス部12およびコントロールピン用ピンボス部13がそれぞれ設けられている。
このロアリンク6は、全体として、菱形に近い平行四辺形をなしており、クランクピン軸受部11の中心を通る分割面14において、アッパピン用ピンボス部12を含むロアリンクアッパ6Aと、コントロールピン用ピンボス部13を含むロアリンクロア6Bと、の2部品に分割して形成されている。これらのロアリンクアッパ6Aおよびロアリンクロア6Bは、クランクピン軸受部11をクランクピン5Aに嵌め込んだ上で、互いに逆向きに挿入される一対のボルト(図示せず)によって互いに締結されている。
上記アッパピン用ピンボス部12は、アッパリンク3を軸方向中央部に挟むように二股状の構成となっており、アッパピン4の軸方向の両端部を支持する一対のアッパピン用ピンボス部12の各々が、ロアリンク6の軸方向の端面に沿って延びている。つまり、一対のアッパピン用ピンボス部12の間に、アッパリンク3の揺動運動を可能とする一定幅の溝部15が存在する。各々のアッパピン用ピンボス部12は、円形のアッパピン嵌合孔16を有し、これらのアッパピン嵌合孔16にアッパピン4が圧入されている。つまり、アッパピン4の両端部は、それぞれアッパピン嵌合孔16に密に嵌合して非回転に固定されている。
コントロールピン用ピンボス部13も基本的に同様の構成であり、二股状をなす一対のコントロールピン用ピンボス部13の間の溝部18にコントロールリンク7が組み合わされている。各々のコントロールピン用ピンボス部13は、円形のコントロールピン嵌合孔17を有し、これらのコントロールピン嵌合孔17にコントロールピン9が圧入されている。つまり、コントロールピン9の両端部は、それぞれコントロールピン嵌合孔17に密に嵌合して非回転に固定されている。
アッパピン4およびコントロールピン9は、いずれも比較的厚肉の中空円筒状に形成されている。
アッパリンク3は、鍛造や鋳造等によって一部品として構成されているものであり、直線的に延びた矩形断面の棒状をなすロッド部21と、このロッド部21の一端に設けられた円環状のピストンピン用ピンボス部22と、ロッド部21の他端に設けられた円環状のアッパリンク側アッパピン用ピンボス部23と、を有する。
ピストンピン用ピンボス部22は、ピストン1に両端部が支持されたピストンピン2の中央部に回転可能に嵌合する。なお、ピストンピン2は、ピストン1に圧入して固定してもよく、あるいは、いわゆるフルフロート形式としてピストン1に回転可能に支持するようにしてもよい。
アッパリンク側アッパピン用ピンボス部23は、ロアリンク6側のアッパピン用ピンボス部12に両端部が支持されたアッパピン4の中央部に回転可能に嵌合する。なお、ピストンピン用ピンボス部22およびアッパリンク側アッパピン用ピンボス部23には、図示しない円筒状の軸受メタルが圧入されている。
コントロールリンク7は、機関本体側の支持ピン8に揺動可能に連結される一端が大端部25として2分割された構成を有しているとともに、他端に円環状のコントロールリンク側コントロールピン用ピンボス部26を備えており、このコントロールリンク側コントロールピン用ピンボス部26がコントロールピン9の軸方向中央部に回転可能に嵌合している。ここで、コントロールリンク7の内部には、大端部25側からコントロールリンク側コントロールピン用ピンボス部26へと延びたコントロールリンク油路27が設けられている。このコントロールリンク油路27には、支持ピン8が適宜に備える油溝や油孔等を介して内燃機関本体側から加圧された潤滑油が常時導入されている。この潤滑油によって、コントロールリンク7とコントロールピン9との間の摺動面(軸受面)が潤滑されると同時に、後述するロアリンク6内部の油路を介してアッパピン4とアッパリンク3との間の摺動面(軸受面)が潤滑される。
次に、図3〜図8を参照して、アッパピン4に対する潤滑構造を構成するロアリンク6内部の油路の構成を説明する。なお、図3および図4は、各部材の内部に形成された油路の構成を示すために、いずれも油路を外から透視した形で示している。
図3に示すように、コントロールピン9側からアッパピン4側へ潤滑油を導く油路は、コントロールピン9の内部を通るコントロールピン油路31と、ロアリンク6の内部を通るロアリンク油路32と、アッパピン4の内部を通るアッパピン油路33と、から構成されている。
これらの油路31,32,33は、図4に示すように、並列な2系統の油路を構成するようにそれぞれ2本(始点および終点として合流している部分を除く)対称に設けられているが、本発明においては2系統の油路を備えることは必須ではない。従って、以下の説明では、2系統であることに関する説明は最小限に留める。すなわち、特に記載がない限りは、2つの系統はクランクシャフト5軸方向と直交する面を挟んで対称に構成されている。
コントロールピン油路31は、図5および図6にも示すように、コントロールリンク7に対する軸受面となるコントロールピン9の軸方向中央部の外周面に開口した入口開口41と、ロアリンク6のコントロールピン嵌合孔17に重なるコントロールピン9の軸方向両端部の外周面にそれぞれ開口した一対の出口開口42と、入口開口41と一対の出口開口42との間に延びた一対の斜行油孔43と、から構成されている。つまり、油路としては、一端の入口開口41と他端の出口開口42とを斜行油孔43が互いに接続している。
一対の斜行油孔43は、それぞれコントロールピン9の外周面から斜めにドリル加工されており、2本の斜行油孔43の一端が互いに合流して単一の入口開口41を構成している。そして、各々の斜行油孔43の他端が出口開口42として楕円形に開口している。ここで、入口開口41と出口開口42とは、コントロールピン9の360°の円周の中で互いに異なる角度位置にある。例えば、両者は互いに90°前後離れている。また同時に、両者は、コントロールピン9の軸方向にも異なる位置にある。従って、斜行油孔43は、コントロールピン9の半径線に対し、三次元的に傾斜して加工されている。
より詳しくは、入口開口41は、コントロールリンク油路27を通してコントロールピン9外周面まで導かれた潤滑油を取り込む入口となるもので、ロアリンク6にコントロールピン9が固定された状態においては、コントロールピン9の外周面の中でクランクピン軸受部11とは反対側となる側に位置し、特に、支持ピン8を中心として揺動するコントロールリンク7の接線方向に向かって開口している。このような入口開口41の配置によれば、コントロールピン9外周の油膜となる微小隙間の厚みがコントロールリンク7の揺動運動に伴って増減変化し、いわゆるポンピング作用が得られることで、コントロールピン9とコントロールリンク側コントロールピン用ピンボス部26との間に介在する潤滑油が入口開口41に流入しやすくなる。
これに対し、潤滑油の出口となる出口開口42は、ロアリンク6の反ピストン側、具体的にはコントロールピン9の中心とクランクピン5A(クランクピン軸受部11)の中心とを結ぶ直線を挟んでピストン1とは反対側となる角度範囲に設けられている。これは、ロアリンク6の荷重分布を考慮したものである。すなわち、コントロールピン9を支点、クランクピン5Aを作用点、アッパピン4を力点、としてピストン1からアッパピン4に下方へ向かう燃焼荷重が作用すると、ロアリンク6の上部(ピストン側)に大きな曲げ荷重(引張荷重)が作用する。従って、このような曲げ荷重の大きな部位に出口開口42さらにはこれに連なるロアリンク油路32を設けることは好ましくない。図示例のように出口開口42を反ピストン側の領域に配置することで、これに連なるロアリンク油路32がロアリンク6の反ピストン側の部分を通ることとなり、ロアリンク6の曲げ荷重の大きな部位を避けることができる。
ロアリンク油路32は、図3および図4に示すように、ロアリンクロア6Bの内部を通して直線的に延びた第1ロアリンク油路51と、ロアリンクアッパ6Aの内部を通して直線的に延びた第2ロアリンク油路52と、を含み、これらによって略L字形に構成されている。第1ロアリンク油路51および第2ロアリンク油路52は、例えばドリル加工によって形成が可能である。
第1ロアリンク油路51の一端51aは、コントロールピン嵌合孔17の内周面に開口しており、コントロールピン油路31の出口開口42に接続されている。なお、コントロールピン嵌合孔17内周面における開口を真円形に近付けるために、第1ロアリンク油路51の一端51aに、コントロールピン嵌合孔17の半径方向に沿った長さの短い油孔53をドリル加工するようにしてもよい。第1ロアリンク油路51の他端51bは、ロアリンクロア6Bとロアリンクアッパ6Aとの分割面14において第2ロアリンク油路52の一端52aに接続されている。第2ロアリンク油路52の他端52bは、アッパピン用ピンボス部12におけるアッパピン嵌合孔16の内周面に開口している。
ここで、ロアリンク油路32は、ロアリンク6の反ピストン側の領域に設けられている。具体的にはコントロールピン9の中心とクランクピン5A(クランクピン軸受部11)の中心とアッパピン4の中心とを結ぶ2本の線分を仮想したときに、これらを挟んでピストン1とは反対側となる領域に設けられている。換言すれば、クランクピン軸受部11を囲む360°の範囲の中で、反ピストン側となる領域に設けられている。これは、前述したようにロアリンク6の荷重分布を考慮したものである。すなわち、コントロールピン9を支点、クランクピン5Aを作用点、アッパピン4を力点、としてピストン1からアッパピン4に下方へ向かう燃焼荷重が作用すると、ロアリンク6の上部(ピストン側)に大きな曲げ荷重(引張荷重)が作用する。従って、このような曲げ荷重の大きな部位を避けてロアリンク油路32が配置されている。
なお、第2ロアリンク油路52は、クランクピン軸受部11に近い位置ではなくクランクピン軸受部11から離れてアッパピン用ピンボス部12に近い側を通過するように構成することが望ましい。このような配置では、コントロールピン9を中心としたロアリンク6の揺動運動に関して、第2ロアリンク油路52が揺動運動の接線に近い向きとなるととともに、揺動中心(つまりコントロールピン9の中心)からの回転半径が大きくなり、揺動に伴う遠心力によって第2ロアリンク油路52内でアッパピン4側へ潤滑油が流れやすくなる。
また、前述したようにロアリンク油路32は一対存在する。各々のロアリンク油路32は、クランクシャフト5軸方向と直交しかつ二股状をなすアッパピン用ピンボス部12およびコントロールピン用ピンボス部13を通る平面に沿ってそれぞれ設けられている。
アッパピン油路33は、図7および図8にも示すように、アッパリンク3に対する軸受面となるアッパピン4の軸方向中央部に開口した出口油孔61と、上述した第2ロアリンク油路52の他端52bと合致するようにアッパピン嵌合孔16に重なるアッパピン4の軸方向両端部の外周面にそれぞれ開口した一対の入口油孔62と、出口油孔61と一対の入口油孔62との間に延びた一対の斜行油孔63と、から構成されている。
出口油孔61および入口油孔62は、真円形の開口を確保するために、それぞれアッパピン4の肉厚の範囲内の深さでもってアッパピン4の半径方向にドリル加工されている。そして、外周面側から斜めにドリル加工した斜行油孔63が両者を連通している。ここで、出口油孔61と入口油孔62とは、アッパピン4の360°の円周の中で互いに異なる角度位置にある。例えば、互いに90°前後離れている。また同時に、両者は、アッパピン4の軸方向にも異なる位置にある。従って、斜行油孔63は、アッパピン4の半径線に対し、三次元的に傾斜して加工されている。
すなわち、アッパピン油路33は、基本的には、コントロールピン油路31の構成を180°反転させたような類似の構成を有している。ロアリンク油路32を通して流れてきた潤滑油は、一対の入口油孔62へと流入し、斜行油孔63および出口油孔61を介してアッパピン4の外周面つまりアッパピン4とアッパリンク3との間の摺動面(軸受面)に供給される。
図示例では、出口油孔61は、アッパピン4の外周面の中で反ピストン側の位置に配置されている。つまり、アッパリンク3のロッド部21が延びる方向とはほぼ180°反対側となる角度位置に出口油孔61が開口している。この角度位置は、上死点および下死点でのピストン1からの荷重作用方向の反転によって軸受油膜となる微小隙間の半径方向寸法が大きく増減変化する部位に対応している。出口油孔61に連通する油膜となる微小隙間の増減変化によってポンピング作用が得られ、出口油孔61から摺動面へ潤滑油が流入しやすくなる。
なお、アッパピン油路33にあっては、出口油孔61と入口油孔62とをアッパピン4の360°の円周の中で同一の角度位置に設けるようにしてもよい。
このように、上記実施例の構成によれば、コントロールリンク7を通してコントロールピン9へ供給された潤滑油の一部が、ロアリンク6の内部を通してアッパピン4とアッパリンク3との間の摺動面に常時供給される。つまり加圧された潤滑油の供給によってアッパピン4とアッパリンク3との間の摺動面が強制潤滑される。従って、確実かつ安定した潤滑が可能となり、潤滑不良によるアッパピン4とアッパリンク3との間の焼き付きや摩耗が抑制される。
なお、上記実施例では、コントロールピン9におけるコントロールピン油路31とアッパピン4におけるアッパピン油路33とは、それぞれ細部が異なっているが、これらは適宜に変更が可能である。例えば、アッパピン油路33をコントロールピン油路31のように直線状の2つの油孔のみから構成することもでき、コントロールピン油路31をアッパピン油路33のように半径方向に沿った入口油孔および出口油孔を備えた構成とすることもできる。
次に、図9は、コントロールピン9におけるコントロールピン油路131の第2実施例を示している。この第2実施例においては、中空円筒状をなすコントロールピン9の中心孔9aの両端をコントロールピン9の端面に取り付けたキャップ145によってそれぞれ閉塞することにより中心油路146が構成されている。そして、中空円筒状をなすコントロールピン9を半径方向に貫通した形に、入口油孔141と一対の出口油孔142とが例えばドリル加工により形成されている。
入口油路となる入口油孔141は、前述した実施例の入口開口41と同様に、コントロールリンク7に対する軸受面となるコントロールピン9の軸方向中央部の外周面に開口している。また、出口油路となる出口油孔142は、前述した実施例の出口開口42と同様に、ロアリンク6のコントロールピン嵌合孔17に重なるコントロールピン9の軸方向両端部の外周面にそれぞれ開口している。コントロールピン9の360°の円周の中での入口油孔141と出口油孔142の角度関係は前述した実施例と同様である。
この第2実施例では、キャップ145の圧入等による中心孔9aの閉塞が必要であるが、前述した実施例の斜行油孔43のような斜め方向のドリル加工が不要となる利点がある。特に、入口油孔141と出口油孔142との間の角度を大きく設定する場合には有利となる。
なお、アッパピン4についても、図9の第2実施例のような構成とすることが可能である。
1…ピストン
2…ピストンピン
3…アッパリンク
4…アッパピン
5…クランクシャフト
5A…クランクピン
6…ロアリンク
7…コントロールリンク
9…コントロールピン
11…クランクピン軸受部
12…アッパピン用ピンボス部
13…コントロールピン用ピンボス部
16…アッパピン嵌合孔
17…コントロールピン嵌合孔
31,131…コントロールピン油路
32…ロアリンク油路
33…アッパピン油路
41…入口開口
42…出口開口
43…斜行油孔
61…出口油孔
62…入口油孔
63…斜行油孔
141…入口油孔
142…出口油孔
146…中心油路

Claims (6)

  1. ピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、
    クランクピンに嵌合するクランクピン軸受部を中央部に有するとともに、一端部に二股状をなすアッパピン用ピンボス部を有し、かつ他端部に二股状をなすコントロールピン用ピンボス部を有するロアリンクと、
    上記アッパピン用ピンボス部のアッパピン嵌合孔に両端部が固定され、かつ中央部に上記アッパリンクの他端が回転可能に嵌合するアッパピンと、
    上記コントロールピン用ピンボス部のコントロールピン嵌合孔に両端部が固定されたコントロールピンと、
    一端が機関本体側に揺動可能に支持され、他端が上記コントロールピンの中央部に回転可能に嵌合したコントロールリンクと、
    を備えてなる内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構であって、
    上記コントロールピンの内部に形成され、上記コントロールリンクを介して供給される潤滑油を取り込むように一端が上記コントロールピンの外周の軸受面に開口し、かつ他端が上記コントロールピン嵌合孔に重なる領域に開口したコントロールピン油路と、
    上記ロアリンクの内部に形成され、一端が上記コントロールピン嵌合孔の内周面において上記コントロールピン油路と接続され、かつ他端が上記アッパピン嵌合孔の内周面に開口したロアリンク油路と、
    上記アッパピンの内部に形成され、一端が上記アッパピン嵌合孔において上記ロアリンク油路と接続され、かつ他端が上記アッパリンクとの間の軸受面に開口するアッパピン油路と、
    を有する内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構。
  2. 上記コントロールピン油路の上記の一端は、揺動運動する上記コントロールリンクの揺動の接線方向に向かって開口している、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構。
  3. 上記コントロールピン油路の上記の他端は、上記コントロールピンの中心と上記クランクピンの中心とを結ぶ線を挟んで反ピストン側となる位置に開口している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構。
  4. 上記ロアリンク油路は、上記ロアリンクの反ピストン側の領域に設けられている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構。
  5. 上記コントロールピンは、円筒状に形成されており、
    上記コントロールピン油路は、一端の入口開口と他端の出口開口とが上記コントロールピンの360°の円周の中で互いに異なる角度位置にあるとともに上記コントロールピンの軸方向に互いに異なる位置にあり、これら入口開口と出口開口とを接続する中間部が上記コントロールピンの半径線に対し傾斜して延びている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構。
  6. 上記コントロールピンは、円筒状に形成されており、
    上記コントロールピン油路は、上記コントロールピンの中心孔の両端を塞ぐことで形成される中心油路と、上記軸受面において上記コントロールピンの半径方向に貫通形成された入口油路と、上記コントロールピン嵌合孔に重なる領域において上記コントロールピンの半径方向に貫通形成された出口油路と、から形成されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構。
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