以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1実施形態に係る衛星電波腕時計1は、時刻情報を含んだ電波を受信し、当該受信した電波に含まれる時刻情報を用いて自身が計時している時刻の修正を行う。図1は、第1実施形態に係る衛星電波腕時計の外観の一例を示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る衛星電波腕時計の内部構成を示す構成ブロック図である。これらの図に示されるように、衛星電波腕時計1は、アンテナ10と、受信回路20と、DCDCコンバータ23と、制御回路30と、振動子38と、電力供給部40と、駆動機構50と、時刻表示部51と、指針52と、文字板53と、操作部60と、を含んで構成される。
アンテナ10は、時刻情報を含んだ電波として、衛星から送信される衛星信号を受信する。特に第1実施形態では、アンテナ10は、GPS衛星から送信される周波数約1.6GHzの電波を受信するパッチアンテナである。GPSは、衛星測位システムの一種であって、地球の周囲を周回する複数のGPS衛星によって実現されている。これらのGPS衛星は、それぞれ高精度の原子時計を搭載しており、原子時計によって計時された時刻情報を含んだ衛星信号を周期的に送信している。
受信回路20は、アンテナ10によって受信された衛星信号を復号して、復号の結果得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路20は、高周波回路(RF回路)21及びデコード回路22を含んで構成されている。内蔵電池である二次電池42の出力電圧は、DCDCコンバータ23により所定の電圧に変換され、変換後の電圧が電源電圧として受信回路20に供給されている。
高周波回路21は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ10が受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路22は、ベースバンド処理を行う集積回路であって、高周波回路21が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路30に対して出力する。また、デコード回路22は、衛星の捕捉を行う際に衛星信号との相関をとる相関器22aと、衛星の追尾を行うためのトラッキング回路22bを含む。相関器22aとトラッキング回路22bは、後述の受信動作の捕捉動作の開始に伴い起動する。そして、相関器22aにより衛星信号の衛星番号と相関がとれた際に、トラッキング回路22bに、衛星番号とタイミングに関する相関データが送られる。目的の衛星の捕捉が完了した時点で、相関器22aの動作は停止する。そして、トラッキング回路22bが、相関器22aから送られた衛星番号とタイミングに基づいて衛星の追尾を行う。
衛星電波腕時計1の文字板53には、例えば「OK」、「NG」、「RX」の文字による、受信回路20の状態を示す受信状態表示61が設けられており、受信回路20による衛星信号の受信中には秒針52cが「RX」の文字を指示し、その後、受信回路20により衛星信号の受信に成功すれば秒針52cが「OK」の文字を指示した後、通常の運針を再開する。また、衛星信号の受信に失敗すれば、秒針52cが「NG」の文字を指示した後、通常の運針を再開する。
制御回路30は、衛星電波腕時計1に含まれる各種回路や機構を制御する回路であり、マイクロコントローラ31と、モータ駆動回路35と、発振回路36と、温度センサ37と、を含んで構成される。マイクロコントローラ31は、演算部32と、RAM(Random
Access Memory)33と、ROM(Read Only Memory)34と、カウンタ39を含み、制御回路30は、例えば1つの集積回路により構成される。
演算部32は、ROM34に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。第1実施形態において演算部32が実行する処理の詳細については、後述する。RAM33は、演算部32のワークメモリとして機能し、演算部32の処理対象となるデータが書き込まれる。特に第1実施形態では、受信回路20によって受信された衛星信号の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM33内のバッファ領域に順次書き込まれるほか、制御用の各種変数の値が保持される。カウンタ39は、第1実施形態においては、後述の受信動作の動作内容に対応した電圧降下推定カウント値をカウントする。
発振回路36は、衛星電波腕時計1の内部での計時に使用されるクロック信号を供給する。演算部32は、発振回路36より供給されるクロック信号に基づいて内部時刻を取得し、時刻表示部51に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。
発振回路36は、水晶振動子などの外部の振動子38に電気的に接続されている。振動子38の発振周波数には温度依存性があるため、発振回路36は、自身が生成するクロック信号の周波数を一定にするよう、温度補償動作を行う。具体的には、温度センサ37により計測される振動子38の温度データをマイクロコントローラ31が取得すると、該マイクロコントローラ31はクロック信号の周波数を一定にするように補償信号を発振回路36に送信する。発振回路36は、補償信号に応じて振動子38の発振周波数を変化させ、これにより振動子38の発振周波数や発振回路36から出力されるクロック信号の周波数を温度によらず一定にしている。
温度センサ37は、感温デバイスの状態を計測することにより、温度データを取得するものである。例えば、温度センサ37はCR発振器を含んで構成されてよく、該CR発振器の発振周波数を計測し、そうして得られる発振周波数から温度データを取得することができる。
ここで、温度センサ37は、図1に示すように、集積回路である制御回路30の角部に内蔵されている。衛星電波腕時計1のケース内においては、平面視で円形の二次電池42の隣に振動子38が配置されており、二次電池42と振動子38とによりできる隅部に、温度センサ37が設けられた制御回路30の角部が配置され、これにより温度センサ37は振動子38のみならず、二次電池42にも近接するようになっている。二次電池42と振動子38と温度センサ37は、いずれも時計の中心(指針52の回転軸の位置)を通る二分線αの一方側の領域(図1では上側)に配置されている。なお、図1では、二分線αは3時及び9時の位置を通るが、二分線αは時計の中心を通り、平面視で文字板53を二分する任意の直線であってよい。また、二次電池42が大型の場合には、二次電池42の中心42aが二分線αの上記一方側の領域に位置していればよく、その周縁部の一部が他方側にあってもよい。その他の要素、例えば制御回路30の温度センサ37以外の部分、アンテナ10、受信回路20、DCDCコンバータ23などは、二分線αのどちらの側に配置されてもよく、図1は、制御回路30、アンテナ10、受信回路20、DCDCコンバータ23の配置の一例である。以上の二次電池42、振動子38及び温度センサ37の配置により、温度センサ37の出力する温度データは、振動子38の温度を示すものとしてのみならず、二次電池42の温度を示すものとしても利用することができる。なお温度センサ37は、制御回路30に内蔵される必要はなく、独立したデバイスであってよい。あるいは、温度センサ37は他のデバイスに内蔵されてもよい。いずれの場合も、温度センサ37は二次電池42及び振動子38の近傍に配置される。また、振動子38の温度と二次電池42の温度とを別々のセンサにより検出してもよい。
モータ駆動回路35は、演算部32により決定された表示時刻に応じて、駆動機構50に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、マイクロコントローラ31によって生成された表示時刻が時刻表示部51に表示される。
また、第1実施形態に係る衛星電波腕時計1では、演算部32が、発振回路36から供給されるクロック信号によって計時された内部時刻を、受信回路20によって受信された衛星信号に基づいて修正する。
電力供給部40は、受信回路20や制御回路30、駆動機構50など、衛星電波腕時計1内の各部に対して、その動作に必要な電力を供給する。電力供給部40は太陽電池41と、二次電池42と、スイッチSw1とを含む。
太陽電池41は、例えば透光性の薄板である文字板53の下に配置されており、衛星電波腕時計1に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池42に供給する。
二次電池42は、リチウムイオン電池等の充電可能な電池と、そのリチウムイオン電池等の電池の充電および放電を管理するバッテリマネジメント回路とを含み、太陽電池41によって発電された電力を蓄積する。そして、蓄積された電力を、受信回路20、制御回路30、駆動機構50など、電力を必要とする各部に対して供給する。また、上記のバッテリマネジメント回路は二次電池42本体の電圧を検出する電圧センサ(不図示)を含んでおり、この電圧センサが検出した電圧データがマイクロコントローラ31に通知される。
二次電池42は、直列接続されたスイッチSw1を介して太陽電池41と並列接続されている。具体的には、太陽電池41の正極と二次電池42の正極とはスイッチSw1を介して接続されている。太陽電池41は、スイッチSw1がオンになっている間、二次電池42へ電力供給を行う。
ここで、受信回路20による衛星信号の受信は比較的大きな電力を消費することから、DCDCコンバータ23から受信回路20への電力供給は、制御回路30から出力されるスイッチSw2により制御されている。マイクロコントローラ31は、必要時のみスイッチSw2をオン状態として受信回路20に給電することにより、電力の節減を図っている。例えば、マイクロコントローラ31は、毎日決められた時刻に受信回路20に給電したり、操作部60により受信操作が行われた場合に受信回路20に給電したりする。また、マイクロコントローラ31は、太陽電池41の発電量が大きく、文字板53の下に配置されたアンテナ10が衛星方向を向いている可能性が高いと推測される場合に、受信回路20に給電してよい。
以下、二次電池42から受信回路20へ電力供給がされ、受信回路20が衛星信号の受信する動作を、受信動作という。受信動作には、捕捉動作と追尾動作が含まれる。捕捉動作とは、CDMA(Code Division Multiple Access)により多重化されている信号の一つを取り出す動作であり、具体的には、一つの信号に対応するC/Aコード(Coarse/Acquisition code)を受信信号に乗ずることにより、相関器22aで相関のある信号を取り出す動作である。なお、相関の得られた信号が複数ある場合には、最も相関の高い信号を選択するとよい。一般的に、測時のための受信動作における捕捉動作には1〜4秒程度を要する。追尾動作とは、C/Aコードを衛星信号のC/Aコードに同期させ続けるためにC/Aコードの位相を、トラッキング回路22で制御する動作である。一般的に、測時のための受信動作における追尾動作には1〜6秒程度を要する。すなわち、測時のための受信動作においては1回の動作あたり2〜10秒程度を要することとなる。
図3は、二次電池の電圧推移を概略的に示す図である。図3においては、受信回路20により衛星信号の受信動作が実行される受信動作期間Tと、その間における二次電池42の電圧推移を示している。受信動作期間Tは、捕捉動作が実行される捕捉動作期間T1と、追尾動作が実行される追尾動作期間T2とを含む期間である。なお、捕捉動作期間T1は、捕捉が成功した場合、または捕捉動作の実行時間が所定の上限時間を経過した場合、終了する。同様に、追尾動作期間T2は、追尾が成功した場合、または追尾動作の実行時間が所定の上限時間を経過した場合、終了する。
マイクロコントローラ31によりスイッチSw2がオン状態に切り替えられると、受信回路20が衛星信号の受信動作の捕捉動作を開始する。図3に示すように、捕捉動作の開始直後に、二次電池42の電圧は急激に降下する。その後、受信回路20への通電開始直後の急激な電圧降下は収束し、捕捉動作期間T1において二次電池42の電圧はある程度回復する。
そして、捕捉動作の上限時間を経過する前に捕捉が成功すると、受信回路20が受信動作のうち追尾動作を開始する。追尾動作期間T2においては、二次電池42の電圧は緩やかに降下する。そして、追尾動作の上限時間を経過する前に追尾が成功すると、受信動作は完了し、その際に二次電池42の電圧は少し回復する。
ここで、受信動作が実行された場合であっても、受信環境等によっては衛星信号の受信に失敗する場合があり、そのような場合は受信動作が繰り返される。このような受信動作の再実行は、捕捉動作及び追尾動作のそれぞれで行われる。例えば、捕捉に成功し、追尾動作を開始した場合であって、追尾動作中に衛星を見失った場合、追尾動作はその上限時間の経過により終了し、再度捕捉動作が開始される。また、捕捉動作を開始し、捕捉動作中に衛星を見失った場合、捕捉動作はその上限時間の経過する度に繰り返し実行される。このように、捕捉動作を複数回実行した場合、二次電池42の電圧が過度に降下し、マイクロコントローラ31に供給される電圧が過度に降下するおそれがある。それにより、受信動作が維持できず、途中で受信が停止してしまうおそれがある。また、現在時刻を保持する等の枢要な動作が実行不能となる、システムダウンを起こしてしまうおそれがある。
また、二次電池42の電圧降下量(降下スピード)は、二次電池42の温度に大きく依存する。ここで、図4を参照して、二次電池42の電圧と、二次電池42の温度との関係について説明する。図4は、受信回路が捕捉動作を連続して実行した場合における二次電池の電圧推移の概要を、二次電池の温度毎にそれぞれ示す図である。具体的には、二次電池の温度が高温(約60℃)の場合を実線で示し、常温(約24℃)の場合を破線で示し、低温(約−10℃)の場合を二点鎖線で示す。図に示すように、温度が低いほど、二次電池42の電圧降下量は大きい。なお、図4は電圧の推移の概要を示すものであり、実際の波形は、捕捉動作に応じて降下と回復を繰り返しながら、全体として大きく降下する形状となっている。
二次電池42の温度が高い場合、電圧降下量は比較的小さいため、図2で示したように急激に電圧降下をする傾向にある捕捉動作であっても、捕捉に成功するまでの間繰り返し複数回実行することが可能である。一方、二次電池42の温度が低い場合、温度が高い場合と比較して繰り返しの実行が許容される捕捉動作の回数を制限する必要があるといえる。
第1実施形態においては、二次電池42の電圧が過度に降下することでシステムダウンが起こることを抑制するために、以下で説明するように捕捉動作の実行に制限を設けた。具体的には、制御回路30が、捕捉動作が実行される度に、カウンタ39が電圧降下推定カウント値を1ずつ積算し、電圧降下推定カウント値が上限カウント値(閾値Vth)以上になった場合、受信動作を停止することとした。なお、第1実施形態において、電圧降下推定カウント値とは、捕捉動作を1回実行する毎に降下すると推定される電圧に対応した値である。
なお、第1実施形態においては、捕捉動作1回につき電圧降下推定カウント値を1ずつ積算することとしたが、これに限られるものではなく、カウントアップの値については適宜変更しても構わない。その際、二次電池42の電圧が過度に降下した場合に、受信動作が停止されるよう、上限カウント値を設定しておくとよい。
上限カウント値は、図5に示すように、ROM34に記憶される二次電池42の電圧及び温度と関連づけたテーブルに基づいて決定される。図5は、第1実施形態における測時のための受信動作を実行する場合の上限カウントテーブルの一例を示す図である。
第1実施形態では、二次電池42のバッテリマネジメント回路は、受信動作の開始時の二次電池42本体の電圧が2.0V未満(電圧範囲1)、2.0V以上2.1V未満(電圧範囲2)、2.1V以上2.4V未満(電圧範囲3)、2.4V以上2.65V未満(電圧範囲4)、2.65V以上2.7V未満(電圧範囲5)、2.7V以上2.8V未満(電圧範囲6)、2.8V以上3.3V未満(電圧範囲7)、3.3V以上(電圧範囲8)のいずれであるかを検出する。そして、マイクロコントローラ31が電圧センサにより検出された電圧データを取得する。
また、温度センサ37で検出される温度データは例えば0.1度刻みであり、マイクロコントローラ31では受信動作開始時の温度データが示す温度が、例えば−10℃未満(温度範囲1)、−10℃以上−5℃未満(温度範囲2)、−5℃以上0℃未満(温度範囲3)、0℃以上5℃未満(温度範囲4)、5℃以上10℃未満(温度範囲5)、10℃以上25℃未満(温度範囲6)、25℃以上40℃未満(温度範囲7)、40℃以上(温度範囲8)のいずれであるかを判定する。そして、マイクロコントローラ31が温度センサ37により検出された温度データを取得する。なお、温度範囲は、低温のものほど狭くなるように設定されている。これにより、低温ほど緻密なバッテリマネジメントを行うことができる。
図5に示す上限カウントテーブルは、ROM34に保持されるものであり、上記のようにしてマイクロコントローラ31が取得する電圧データ及び温度データの各組み合わせに関連づけて上限カウント値の候補を記憶するものである。上限カウントテーブルでは、受信動作開始時の二次電池42の電圧が低いほど、上限カウント値を小さくした。また、受信動作開始時の温度範囲が低温であるほど上限カウント値を小さくした。なお、受信回路20による受信動作が禁止される温度データ及び電圧データの組み合わせ、すなわち図中における上限カウント値「0」に対しては「禁止」の旨のフラグが上限カウントテーブルに記憶されているとよい。
また、マイクロコントローラ31は電圧センサにより検出された電圧を表示するようにしてよい。たとえば、文字板53に低電圧レベルを示す「L0」の文字、中電圧レベルを示す「L1」の文字、高電圧レベルを示す「L2」の文字を表示しておき、操作部60に対して所定操作があった場合に、秒針52c等の指針52により、電圧センサから送られる電圧データに対応する文字を指し示すようにしてよい。ここでは、電圧範囲1〜4の場合は「L0」が指示され、電圧範囲5及び6の場合は「L1」が指示され、電圧範囲7及び8の場合は「L2」が指示されるとよい。低電圧レベルの場合には、他の電圧レベルよりも多い4つの電圧範囲により、電圧データが電圧センサからマイクロコントローラ31に通知され、より緻密なバッテリマネジメントが可能となっている。
また、マイクロコントローラ31は、温度センサ37により検出された温度または温度を所定範囲ごとにレベル分けした温度レベル(以下、温度情報という)を表示するようにしてもよい。ここで、特に腕時計装着時などは、時計内部の温度と外気の温度とが異なる値になる可能性があるが、表示する温度は時計内部の温度とするとよい。それにより、受信動作に適している環境にあるか否かをユーザが正しく認識することができる。なお、外気温用の温度センサを別途搭載する構成であってもよいが、少なくとも受信動作時に示す温度は、時計内部の温度とするとよい。温度情報の表示は、常時表示する構成でもよいし、操作部60の操作に応じて表示するような構成としてもよい。常時表示する場合は、所定周期で温度計測を行い、表示を更新する。
第1実施形態においては、捕捉動作が1回開始される度に、電圧降下推定カウント値を1ずつ積算する。そして、電圧降下推定カウント値が、マイクロコントローラ31が取得した電圧データ及び温度データに基づいて上限カウントテーブルから選択された上限カウント値以上になった場合、受信回路20が受信動作を停止することとした。例えば、電圧範囲6〜7であって、温度範囲7である場合、選択される上限カウント値は「8」であり(図5参照)、捕捉動作を最大で8回まで実行可能となる。すなわち、捕捉動作を8回実行し、それでも捕捉に成功しなかった場合、9回目の捕捉動作を実行することなく受信動作を停止する。
図6、図7は、第1実施形態における電圧降下推定カウント値の積算の一例について示す図である。
図6においては、捕捉動作を3回行い、その後追尾動作を開始し、受信が成功した例について示す。まず、カウンタ39が電圧降下推定カウント値を0に設定する。そして、受信動作を開始すると共に捕捉動作を開始し、1カウントアップする。それにより電圧降下推定カウント値は1になる。そして、捕捉動作の上限時間(例えば、2秒間)の経過後、再捕捉を行う。これにより、1カウントアップし、電圧降下推定カウント値は2になる。さらに、捕捉動作の上限時間の経過後、再捕捉を行う。これにより、1カウントアップし、電圧降下推定カウント値は3になる。その後、捕捉に成功し、追尾動作を開始する。そして、追尾に成功した後、時刻データを取得し、受信動作が停止される。
なお、図6に示す例においては、選択された上限カウント値が「3」、「5」、「8」のいずれかである場合について示している。仮に、選択された上限カウント値が「1」であれば、2回目の捕捉動作が開始されることなく、受信動作は停止することとなる。
図7においては、捕捉動作を1回行って捕捉に成功し、その後追尾動作を開始し、追尾中に衛星を見失って、再度捕捉動作を行う例について示す。まず、カウンタ39が電圧降下推定カウント値を0に設定する。そして、捕捉動作を開始し、1カウントアップする。これにより、電圧降下推定カウント値は1になる。そして、捕捉動作の上限時間を経過する前に捕捉に成功した後、追尾動作を開始する。さらに、追尾動作の上限時間(例えば、0.1〜10秒間)を経過した時点で、衛星信号の受信が完了しておらず、衛星の追尾が継続できていない場合、再度捕捉動作を開始する。再度捕捉動作を開始した際に1カウントアップし、電圧降下推定カウント値は2になる。その後、捕捉に成功した後、追尾動作を開始する。
なお、図7に示す例においては、選択された上限カウント値が「3」、「5」、「8」のいずれかである場合について示している。仮に、選択された上限カウント値が「1」であれば、2回目の捕捉動作が開始されることなく、受信動作は停止することとなる。
なお、受信動作を停止させる条件として、受信動作の上限時間をさらに用いてもよい。例えば、受信動作の上限時間を80秒とし、電圧降下推定カウント値が上限カウント値未満の場合であっても、受信動作の実行時間が全体で80秒を超えた場合、受信動作を停止するとよい。電圧降下推定カウント値が上限カウント値未満の場合であっても、受信動作の実行時間がある程度長くなる(ここでは80秒以上)と、二次電池42の電圧が過度に降下してしまうおそれがあるためである。
図8は、第1実施形態におけるマイクロコントローラの制御を示すフロー図である。同図に示す制御は、定期的な衛星信号の受信タイミングが到来したり、操作部60により衛星信号の受信指示がされたりした場合に実行されるものである。
まず、マイクロコントローラ31が、二次電池42の電圧センサから電圧データを取得するとともに、温度センサ37から温度データを取得する(S101)。そして、上限カウントテーブルを参照し、取得した電圧データと温度データに基づいて上限カウント値Vthを取得する(S102)。この際、取得した上限カウント値Vthが「0」であった場合(S103のYES)、禁止フラグを読み出し、受信回路20に受信動作を実行させない。すなわち、受信禁止処理を行う(S104)。この際、秒針52c等の指針が受信状態表示61である「NG」の文字を指示するとよい。または、「NG」とは別に、受信状態表示61として「禁止」を表すマークを文字板53に設け、この「禁止」を表すマークを指針が指示することにより、ユーザに受信動作が禁止された旨を通知する構成としてもよい。「禁止」の指示に加えて、上述した温度情報を表示してもよい。温度情報の表示は、「禁止」の指示中のみでもよく、表示時間は所定の温度になるまで継続するようにしてもよい。取得した上限カウント値が「0」以外であった場合(S103のNO)、マイクロコントローラ31がスイッチSW2をオン状態とし、受信回路20が受信動作を開始することとなる。
受信動作を開始すると判定した場合、マイクロコントローラ31でタイマの時間カウントを開始し(S105)、また、カウンタ39が電圧降下推定カウント値を0に設定する(S106)。その後、捕捉動作を開始し(S107)、捕捉動作の開始に伴い、電圧降下推定カウント値を1カウントアップする(S108)。捕捉動作の上限時間が経過する前に、捕捉に成功した場合(S109のYES)、追尾動作を開始する(S110)。一方、捕捉に成功する前(S109のNO)に捕捉動作の上限時間が経過した場合(S111のYES)、タイマの時間カウントが受信動作の実行時間の上限時間(例えば、80秒)を経過しておらず(S112のNO)、かつ電圧降下推定カウント値が上限カウント値Vth未満であれば(S113のYES)、再度捕捉動作を開始する(S107)。一方、タイマの時間カウントの累計が受信動作の実行時間の上限時間を経過している場合(S112のYES)、又は電圧降下推定カウント値の累計が上限カウント値Vth以上である場合(S113のNO)、受信動作を停止し、受信失敗処理を行う(S114)。また、追尾動作を開始し、追尾動作の上限時間が経過する前に、衛星信号の取得に成功した場合(S115のYES)、受信成功処理を行う(S116)。一方、衛星信号の取得に成功する前(S115のNO)に、追尾に失敗した場合(S117のNO)、又は追尾動作の上限時間が経過した場合(S118のYES)、上述のS112〜S113を行い、再度捕捉動作を開始する(S107)又は受信動作を停止し、受信失敗処理を行う(S114)。
以上説明した衛星電波腕時計1によれば、二次電池42の電圧が過度に降下しない範囲で出来る限りの受信動作を実行できる。その結果、マイクロコントローラ31に供給される電圧が過度に降下することによるシステムダウンの発生を防止できると共に、受信成功の確度を向上することができる。
次に、図9〜図12を参照して、第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態における測時のための受信動作を実行する場合の上限カウントテーブルの一例を示す図である。図10、図11は、第2実施形態における電圧降下推定カウント値の積算の一例について示す図である。なお、第2実施形態における衛星電波腕時計1の基本的な構成は、図1〜図4を参照して説明した第1実施形態と同様であるため、その説明については省略する。
第1実施形態においては、捕捉動作が1回開始される毎に電圧降下推定カウント値を1ずつ積算する例について説明した。ここで、上述のように捕捉動作中においては電圧降下スピードが大きいが、追尾動作中においても緩やかにではあるが二次電池42の電圧は降下している。また、捕捉動作中である捕捉動作期間T1内においても、捕捉動作の開始直後と、その後の動作においては電圧降下スピードが異なっている。そこで、第2実施形態においては、より緻密なバッテリマネジメントを行うために、受信動作のうち予め定められた動作内容が実行される度に、その動作内容に基づいて予め定められる所定値ずつ電圧降下推定カウント値を積算する構成とした。第2実施形態において、電圧降下推定カウント値とは、受信動作のうち予め定められた所定の動作内容を1回実行する毎に降下すると推定される電圧に対応した値である。予め定められた動作内容は、受信動作の実行時間のうち所定の期間に対応して決められている。
第2実施形態においては、予め定められた動作内容として、受信動作開始直後に行われ、かつ捕捉動作の開始直後の1秒間に行われる動作内容(以下、第1動作内容ともいう)、捕捉動作のうち第1動作内容以外の動作であって2秒間毎に行われる動作内容(以下、第2動作内容ともいう)、追尾動作の1秒間毎に行われる動作内容(以下、第3動作内容ともいう)を用いる。そして、それら動作内容に対応して、積算される所定値をそれぞれ設定した。具体的には、第1動作内容が行われた場合に電圧降下推定カウント値を1カウントアップし、第2動作内容が行われた場合に電圧降下推定カウント値を3カウントアップし、第3動作内容が行われた場合に電圧降下推定カウント値を1カウントアップすることとした。このように、電圧降下量の大きな動作内容ほど、単位時間あたりに積算される電圧降下推定カウント値を大きく設定した。
そして、ROM34は、このようなカウント方式に対応するように図9に示す上限カウントテーブルを記憶している。
図10においては、捕捉動作期間T1において、受信動作の開始直後であって、かつ捕捉動作の開始直後から1秒経過後(第1動作終了後)、電圧降下推定カウント値を1カウントアップし、さらに2秒経過後(第2動作終了後)、電圧降下推定カウント値を3カウントアップし、さらに2秒経過後(第2動作終了後)、電圧降下推定カウント値を3カウントアップしたことを示している。さらに、捕捉成功後、追尾動作期間T2において、2秒経過する毎に(第3動作終了毎に)、電圧降下推定カウント値を1カウントアップしたことを示している。
より具体的には、まず、カウンタ39が電圧降下推定カウント値を0に設定する。そして、受信動作を開始し、捕捉動作期間T1において捕捉動作開始から1秒経過した際に1カウントアップする。それにより電圧降下推定カウント値は1になる。さらに、その後2秒を経過した際に3カウントアップする。この時点での電圧降下推定カウント値は4になっている。そして、捕捉の失敗に伴い再捕捉を開始する。再捕捉の実行時間が2秒経過した際に3カウントアップする。それにより電圧降下推定カウント値は7になる。図10の例においては、再捕捉がちょうど2秒実行された際に、捕捉が成功し、追尾動作が開始されている。そして、追尾動作の開始から2秒経過する度に1カウントアップをする。図10の例においては、追尾動作の開始から4秒経過した時に衛星信号の受信が成功したことを示している。
図11においては、捕捉動作期間T1において、捕捉動作の開始直後から1秒経過後(第1動作終了後)、電圧降下推定カウント値を1カウントアップし、さらに2秒経過後(第2動作終了後)、電圧降下推定カウント値を3カウントアップし、捕捉成功後、追尾動作期間T2において、2秒経過する毎に(第3動作終了毎に)、電圧降下推定カウント値を1カウントアップした例を示している。そして、追尾動作の上限時間経過後に、衛星信号の受信が完了しておらず、衛星の追尾が継続できていない場合(この例においては4秒間)、再度受信動作を開始した例を示している。
より具体的には、まず、カウンタ39が電圧降下推定カウント値を0に設定する。そして、受信動作を開始し、捕捉動作期間T1において捕捉動作の開始から1秒経過した際に1カウントアップする。それにより電圧降下推定カウント値は1になる。さらに、その後2秒経過した際に3カウントアップする。この時点での電圧降下推定カウント値は4になっている。この例においては、捕捉動作がちょうど2秒実行された際に、捕捉が成功し、追尾動作が開始されている。そして、追尾動作の開始から2秒経過する度に1カウントアップする。上限時間の4秒を経過しても衛星信号の受信が完了しておらず、衛星の追尾を継続できていない場合、再度受信動作を開始している。受信動作を再度開始し、捕捉動作期間T1において捕捉動作の開始から1秒経過した際に1カウントアップする。さらに、2秒経過した際に3カウントアップする。この時点での電圧降下推定カウント値は10になっている。その後、捕捉に成功した後、追尾動作を開始する。
さらに、第2実施形態について図12のフローチャートを参照して説明する。図12は、第2実施形態におけるマイクロコントローラの制御を示すフロー図である。なお、同図に示す制御は、定期的な衛星信号の受信タイミングが到来したり、操作部60により衛星信号の受信指示がされたりした場合に実行されるものである。
まず、マイクロコントローラ31が、二次電池42の電圧センサから電圧データを取得するとともに、温度センサ37から温度データを取得する(S201)。そして、上限カウントテーブルを参照し、取得した電圧データと温度データに基づいて上限カウント値Vthを取得する(S202)。この際、取得した上限カウント値Vthが「0」であった場合(S203のYES)、禁止フラグを読み出し、受信回路20に受信動作を実行させない。すなわち、受信禁止処理を行う(S204)。この際、秒針52c等の指針が受信状態表示61である「NG」の文字を指示するとよい。または、「NG」とは別に、受信状態表示61として「禁止」を表すマークを文字板53に設け、この「禁止」を表すマークを指針が指示することにより、ユーザに受信動作が禁止された旨を通知する構成としてもよい。取得した上限カウント値が「0」以外であった場合(S203のNO)、マイクロコントローラ31がスイッチSW2をオン状態とし、受信回路20が受信動作を開始することとなる。
受信動作を開始すると判定した場合、マイクロコントローラ31でタイマの時間カウントを開始し(S205)、また、カウンタ39の電圧降下推定カウント値を0に設定する(S206)。その後、捕捉動作を開始し(S207)、捕捉動作の開始に伴い、電圧降下推定カウント値を1カウントアップする(S208)。そして、捕捉動作の上限時間が経過する前に、捕捉に成功した場合(S209のYES)、追尾動作を開始する(S210)。一方、捕捉に成功する前に、捕捉動作の上限時間が経過した場合(S211のYES)、電圧降下推定カウント値が上限カウント値Vth未満であり(S212のYES)、かつタイマの時間カウントの累計が受信動作の実行時間の上限時間(例えば、80秒)を経過していない場合(S213のNO)、再度捕捉動作を開始する(S207)。一方、電圧降下推定カウント値の累計が上限カウント値Vth以上である場合(S212のNO)、又はタイマの時間カウントが受信動作の実行時間の上限時間を経過している場合(S213のYES)、受信動作を停止し、受信失敗処理を行う(S214)。また、捕捉に成功する前であって、捕捉動作の上限時間を経過する前においては、捕捉動作の指定時間を経過する度に(S230のYES)、その指定時間の経過に対応した値をカウントアップする(S231)。ここでいう指定時間とは、図10、図11で説明した、捕捉動作開始から1秒経過後の2秒間である。また、指定時間の経過に対応した値とは、「3」とするとよい。
また、追尾動作を開始し、追尾動作の上限時間が経過する前に、衛星信号の取得に成功した場合(S215のYES)、受信成功処理を行う(S216)。一方、衛星信号の取得に成功する前に、追尾に失敗した場合(S217のNO)、又は追尾動作の上限時間が経過した場合(S218のYES)、上述のS212〜S213を行い、再度捕捉動作を開始する(S207)又は受信動作を停止し、受信失敗処理を行う(S214)。また、追尾動作の指定時間を経過する度に(S219)、その指定時間の経過に対応した値をカウントアップする(S220)。ここでいう指定時間とは、図10、図11で説明した、追尾動作開始からの2秒間毎の時間である。また、指定時間の経過に対応した値は、「1」とするとよい。すなわち、追尾動作を開始してから2秒経過する度に1カウントアップするとよい、また、追尾動作の上限時間が経過しない場合であっても、受信動作の実行時間の上限時間が経過した場合(S221のYES)、又は電圧降下推定カウント値が上限カウント値Vh以上である場合(S222のYES)、受信失敗処理を行う(S214)。受信動作の実行時間の上限時間が経過しておらず(S221のNO)、かつ電圧降下推定カウント値の累計が上限カウント値Vhよりも大きくない場合(S222のNO)、追尾動作において衛星信号の取得に成功したか否かが判定される(S215)。
なお、S222の時点で、電圧降下推定カウント値が上限値以上となっている場合であっても、出来るだけ受信の成功の確度を上げるため、追尾を成功するまで引き続き追尾動作を行うこととしてもよい。追尾動作による電圧降下量は比較的小さく、引き続き追尾動作を行っても、システムダウンが起きる可能性は小さいためである。
以上説明した第2実施形態及びその変形例においては、第1実施形態と比較して、さらに緻密なバッテリマネジメントを行うことが可能となる。その結果、マイクロコントローラ31に供給される電圧が過度に降下することによるシステムダウンの発生を防止できると共に、受信成功の確度を向上することができる。
なお、第2実施形態における捕捉動作によるカウントアップについては、捕捉動作の指定時間を経過する度に電圧降下推定カウント値をカウントアップすることなく、第1実施形態と同様に、捕捉動作が1回行われた際にのみ行われることとしてもよい。すなわち、図12のフローチャートのS230及びS231を省略することとしてもよい。捕捉動作による電圧降下は、捕捉動作の開始直後が最も大きく、開始直後より後の動作による電圧降下は小さいため、無視しても影響が少ないためである。なお、捕捉動作が1回行われた際にのみカウントアップする場合は、例えば、図10等で示した値よりもカウントアップ値を大きくしてもよい。その場合、例えば、捕捉動作が1回行われた際のカウントアップ値を「3」や「4」とするとよい。
なお、図9に示した上限カウント値や、図10、図11で説明したカウントアップの仕方は一例であってこれに限られるものではない。例えば、捕捉動作期間T1において、最初の1秒経過で1カウントアップし、その後、1秒経過で1カウントアップし、さらに1秒経過で2カウントアップする等、カウントアップ値を次第に上げていくような構成でもよい。または、次第にカウントアップ値を下げていくような構成でもよい。また、捕捉動作期間T1において、最初の1秒経過で1カウントアップし、その後、2秒経過で1カウントアップし、さらに3秒経過で1カウントアップする等、カウントアップ値を変えずに、カウントアップの間隔を変化させていくような構成であってもよい。また、追尾動作期間T2において、2秒経過する毎に1カウントアップではなく、4秒経過する毎に2カウントアップする等としてもよい。また、追尾動作期間T2においては、第1実施形態と同様にカウントアップしないこととしてもよい。
さらに、二次電池42の電圧、温度に関わらず上限カウント値を一定にして、二次電池42の電圧、温度に基づいて電圧降下推定カウント値のカウントアップ値を決定する構成であってもよい。例えば、温度が高い場合においては、捕捉動作期間T1の最初の1秒経過で電圧降下推定カウント値を1カウントアップし、温度が低い場合においては、捕捉動作期間T1の最初の1秒経過で電圧降下推定カウント値を2カウントアップするような構成であってよい。その場合、二次電池42の電圧と温度の組み合わせにそれぞれ関連づけて、所定の動作内容毎に積算されるカウントアップ値の候補を記憶するテーブルをROM34に記憶しておくとよい。
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態においては、より緻密なバッテリマネジメントを行うため、二次電池42の電圧と温度の組み合わせにそれぞれ関連づけて上限カウント値を設定する例について示したが、これに限られるものではなく、二次電池42の電圧又は二次電池42の温度のいずれか一方と関連付けて上限カウント値を設定してもよい。さらには、二次電池42の電圧と温度のいずれとも関連付けることなく、上限カウント値を設定しても構わない。例えば、二次電池42の電圧や温度に関わらず、常に上限カウント値を「4」に設定する等でも構わない。
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態においては、測時のための受信動作を行う場合について説明したが、これに限られるものではなく、測位のための受信動作を行う場合においても適用できる。測時のための受信動作において時刻情報を得るためには、1の衛星からの衛星信号の一部のみを受信すれば足りるが、測位のための受信動作において高精度の位置情報を得るためには、複数の衛星から衛星信号を受信する必要があり、また受信しなければならない衛星信号のサイズも大きくなる。このため、測位のための受信動作の方が、測時のための受信動作に比べて、衛星信号の受信に時間がかかる。一般的に、測位の受信動作における捕捉動作には1〜8秒程度を要し、追尾動作には30〜45秒程度を要する。すなわち、測位のための受信動作においては1回の動作あたり31〜53秒程度を要することとなる。
このため、測位のための受信動作の方が、測時のための受信動作と比べて、1回の動作あたりにおける電圧降下量が大きい。したがって、測位のための受信動作を実行する場合においては、測時のための受信動作を実行する場合に比べて、上限カウント値を小さくするとよい。具体的には、第1実施形態において、測位のための受信動作を行う場合は、図13に示す上限カウントテーブルを用いて、上限カウント値を取得するとよい。この場合、例えば、測時のための受信動作を行う場合の上限カウントテーブル(図5)と、測位のための受信動作を行う場合の上限カウントテーブル(図13)との2つのテーブルをROM34に記憶しておき、マイクロコントローラ31はそれらテーブルを受信目的により使い分けるとよい。この場合、ROM34が、測時のための受信動作を行う場合の上限カウント値を、測位のための受信動作を行う場合の上限カウント値の整数倍(例えば、6倍)とした上限カウントテーブルを記憶してもよい。これにより、複数の上限カウントテーブルを記憶する場合であっても、ROM34に記憶されるデータ容量を少なくすることができる。ただし、いずれか1の上限カウントテーブルをROM34に記憶しておき、いずれか1の受信動作のみに対応したバッテリマネジメントを行う構成としても構わない。
第2実施形態においても同様に、測位のための受信動作を行う場合は、図14に示す上限カウントテーブルを用いて、上限カウント値を取得するとよい。この場合、例えば、測時のための受信動作を行う場合の上限カウントテーブル(図9)と、測位のための受信動作を行う場合の上限カウントテーブル(図14)との2つのテーブルをROM34に記憶しておき、マイクロコントローラ31はそれらテーブルを受信目的により使い分けるとよい。ただし、いずれか1の上限カウントテーブルをROM34に記憶しておき、いずれか1の受信動作のみに対応したバッテリマネジメントを行う構成としても構わない。
なお、上記実施形態においては、GPSからの衛星信号を受信する例について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)やGLONASS(Global Navigation Satellite System)からの衛星信号を受信するようにしてもよい。これにより、GPSが建物の陰になる位置にある場合でも、他の衛星を受信可能にすることで衛星信号の受信成功率が向上する。また、捕捉に失敗した場合において、再捕捉する場合に、受信成功率を向上するため、衛星の種類を切り替えてもよい。
また、再捕捉を実施しても、衛星が1基も捕捉できない場合は、直ちに受信動作を終了することとしてもよい。これにより、衛星信号を受信できる可能性が極めて低い状況下において不要に受信動作を行うことを抑制できる。
また、捕捉動作を実施する際に、コールドスタートとホットスタートを使い分けてもよい。コールドスタートとは、衛星情報が何もない状態から衛星の捕捉を開始するものであり、ホットスタートとは、前回の受信時に取得している衛星情報(アルマナックデータやエフェメリスデータ)を活用して、捕捉時間を短縮させることができる技術である。例えば、最初の捕捉ではホットスタートを実施し、所定時間以内に衛星が取得できなかった場合に、コールドスタートを実施するようにするとよい。