以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るバタフライバルブの構成を表す縦断面図である。図2は、図1のA−A矢視断面図である。本実施形態のバタフライバルブは、流体の流れを切り替え可能な切替弁(四方弁)として機能し、例えば給湯装置等の水回路に適用される。
図1に示すように、バタフライバルブ10は、弁部を内蔵するボディ12と、弁部を駆動するアクチュエータ14とを組み付けて構成される。ボディ12の一端には、配管継手16が組み付けられている。アクチュエータ14としては、DCモータ、ステッピングモータその他の電動アクチュエータを採用できるが、その詳細については説明を省略する。
図2にも示すように、ボディ12は、樹脂材の一体成形(金型を用いた射出成形)により十字配管の態様で得られる。ボディ12の中央に弁室18が形成され、弁体20が配設されている。ボディ12の中央から四方に配管部が延出し、それぞれ第1管部22、第2管部24、第3管部26、第4管部28を構成している。第1管部22と第3管部26が同軸状となり、第2管部24と第4管部28が同軸状となっている。第1管部22の軸線と第2管部24の軸線とは互いに直交する。配管継手16は、第1管部22に部分的に挿入されるようにしてボディ12に組み付けられている。
このような構成により、バタフライバルブ10には十字状の通路30が形成される。配管継手16には上流側から流体を導入する第1導入ポート32が設けられ、第2管部24には流体を下流側へ導出する第1導出ポート34が設けられている。第3管部26には第2導入ポート36が設けられ、第4管部28には第2導出ポート38が設けられている。
弁室18には、「シール部材」として機能する円筒状のスリーブ40が配置されている。スリーブ40は、弾性材料(本実施形態ではゴム)からなり、その内周面が弁体20の弁座を形成する。第3管部26の基端に段差が設けられ、その段差に環状の係止部42が形成されている。スリーブ40は、第1管部22の側からボディ12に挿入され、係止部42に係止される。その状態から配管継手16が第1管部22に組み付けられることにより、スリーブ40は、係止部42と配管継手16とに挟持される態様でボディ12の中央に固定される。
図1に示すように、ボディ12の中央部には、円ボス状の支持部44が設けられている。ボディ12にはまた、支持部44と通路30を挟んで同軸状に軸受部46が設けられている。軸受部46は円穴状をなしている。スリーブ40の側壁には、支持部44および軸受部46のそれぞれに対応する位置に挿通孔48,49が形成されている。支持部44および挿通孔48,49を貫通するようにシャフト50が組み付けられている。シャフト50は、その上端部がアクチュエータ14の回転機構52(回転軸)に接続され、下端部が軸受部46に挿通されている。シャフト50は、支持部44と軸受部46とによって軸線周りに回動自在に支持されている。
シャフト50は、段付円柱状をなし、その軸線方向の中間部54がやや大径とされ、支持部44に回転摺動可能に支持されている。中間部54には上下2段の環状溝56,58が形成され、各環状溝にシール用のOリング60が嵌着されている。シャフト50の下半部に弁体20が組み付けられている。弁体20は、スリーブ40の中央に収容されている。シャフト50は、弁体20を同軸状に貫通し、通路30を径方向に横断するように延在する。
弁体20は、シャフト50に固定されてはいない。スリーブ40の内壁における上下面が平坦とされ、それらの平坦面により一対のガイド部62,64が形成されている。弁体20の上端がガイド部62に当接し、下端がガイド部64に当接している。すなわち、ガイド部62,64により弁体20の軸線方向への動きが規制されている。
図2に示すように、配管継手16は、樹脂材の一体成形により得られ、段付円筒状の本体66と、本体66の側壁に設けられたフランジ部68とを有する。本体66がシール用のOリング70を介して第1管部22に嵌合し、フランジ部68が複数のねじ72によりボディ12に固定されている。スリーブ40の側面には、通路30を形成するための連通孔74,76が形成されている。連通孔74は第1導出ポート34と同軸状に配置され、連通孔76は第2導出ポート38と同軸状に配置されている。
弁体20が一方向に回動すると、その周縁部eの一方の角部(第1周端部e1)がスリーブ40の内壁に密着する(実線参照)。それにより、第1導入ポート32と第1導出ポート34とが連通し、第2導入ポート36と第2導出ポート38とが連通するように流路が形成される(以下、この状態を「第1流路形成状態」ともいう)。弁体20が反対方向に回動すると、その周縁部eの他方の角部(第2周端部e2)がスリーブ40の内壁に密着する(点線参照)。それにより、第1導入ポート32と第2導出ポート38とが連通し、第2導入ポート36と第1導出ポート34とが連通する流路に切り替えられる(以下、この状態を「第2流路形成状態」ともいう)。
次に、弁体20の構成の詳細について説明する。
図3は、弁体20の構造を表す図である。(A)は斜視図であり、(B)は正面図であり、(C)は(B)のB−B矢視断面図である。
図3(A)および(B)に示すように、弁体20は、正面視楕円状をなし、樹脂材の一体成形により得られる。弁体20は、シャフト50を挿通する筒状の本体80と、本体80からその軸線L1に対して対称な方向に延出する一対の弁形成部81(第1弁形成部82,第2弁形成部84)を有する。本体80と弁形成部81との間に複数のリブ86が設けられることで、弁形成部81の剛性が確保されている。本体80の内方には、シャフト50を挿通するための断面六角形状の取付孔88が形成されている。
図3(C)にも示すように、弁形成部81は、本体80から離間するにつれて(半径方向外側に向けて)その厚み(断面の幅、弁体20の回転方向の幅)が大きくなっている。図3(A)にも示すように、弁形成部81の周縁部eの幅が高さ方向中央に向かうほど大きくなる。言い換えれば、弁形成部81は、軸線方向中央から両端部に向けて周縁部eの幅が漸減するように構成されている。弁形成部81の外周面は、弁体20の任意の横断面において半径方向に対してほぼ直角となる。
このような構成により、弁形成部81は、弁体20が一方向に回動したときにスリーブ40に着座する第1周端部e1と、弁体20が反対方向に回動したときにスリーブ40に着座する第2周端部e2とを幅方向に離隔して有する。各周端部は、弁形成部81の周縁部における鋭角な角部であり、スリーブ40の内周面に着脱する曲線状の「シール部」を構成する。第1周端部e1がスリーブ40に線接触態様で着座することで第1流路形成状態が実現され、第2周端部e2がスリーブ40に線接触態様で着座することで第2流路形成状態が実現される。
本体80の片面側中央には、内外を連通させる空気抜き孔90が設けられている。空気抜き孔90は、シャフト50を取付孔88に挿入する際に押し込まれる空気を外部に逃がし、シャフト50を本体80にスムーズに組み付けられるようにする。弁体20は、この空気抜き孔90を除き、軸線L1に対して対称に構成され、また中心O(重心)に対して対称に構成されている。弁体20は、軸線L1に対して回転対称とされている。
なお、シャフト50は、全体的に段付円柱状をなすが、断面が取付孔88と相補形状(六角形状)とされている。それにより、シャフト50が弁体20に対して空転することなく、アクチュエータ14の回転力を確実に伝達できる。アクチュエータ14の駆動によりシャフト50が回転駆動されると、弁体20に回転トルクを作用させる。弁体20は、アクチュエータ14の回転に応じた方向に回動して通路30の切替状態を調整する。
次に、本実施形態のシール構造およびシール方法の詳細について説明する。
図4および図5は、流路切替後の各流路間のシールを実現するための構造を表す図である。図4(A)〜(D)は、それぞれ図3(B)のB−B〜E−E断面を示す。図5(A)〜(D)は、それぞれ図3(B)のB−B,F−F〜H−H断面を示す。各図の二点鎖線は、弁体20の着座状態におけるスリーブ40の内壁面を模式的に示す。
本実施形態では、流路切替後の弁部のシール性能を確保しつつ、弁体20が着座するときの締め切りトルクを抑制(トルク低減)できる構造を採用する。すなわち、図4(A)〜(D)に示すように、弁体20が着座するときには、周縁部eがいずれかの周端部(「シール部」として機能する)に沿ってほぼ均一な圧力でスリーブ40に当接する。
図示の例では、弁体20が一方向に回転し、第1周端部e1がスリーブ40に線接触態様で着座している。弁体20が反対方向に回転したときには、第2周端部e2がスリーブ40に線接触態様で着座することになる。言い換えれば、各周端部がほぼ同時にスリーブ40に着座し、スリーブ40の当接面(着座面)を均一に潰すことでシールが実現され、その潰し量を最小限に抑えることができる。その結果、弁体20が着座するときの締め切りトルク(回転トルク)を小さく抑えることができる。
本実施形態では、このような作用効果を得るために、第1弁形成部82の第1周端部e1と第2弁形成部84の第1周端部e1とが、同一平面上に位置するように構成されている(一点鎖線参照)。また、第1弁形成部82の第2周端部e2と第2弁形成部84の第2周端部e2とが、同一平面上に位置するように構成されている(一点鎖線参照)。これらの平面は軸線L1を含む。図5(A)〜(D)にも同様のことが示されている。これらの平面は中心Oを含む(一点鎖線参照)。なお、ここでいう「同一平面」とは、誤差を考慮した実質同一平面を含んでよい。
図6は、トルク低減構造の説明図である。(A)は本実施形態の構成を示し、(B)は比較例の構成を示し、(C)は変形例の構成を示す。図7は、比較例によるシール構造を表す図である。図7(A)〜(D)は、図6(B)の横断面を示し、図3(B)のB−B〜E−E断面に対応する。図8は、弁体が着座を開始したときの状態を表す図である。図8(A)および(B)が本実施形態の場合を示し、(A)が図4(A)の断面位置に対応し、(B)が図4(D)の断面位置に対応する。一方、図8(C)および(D)が比較例の場合を示し、(C)が図7(A)の断面位置に対応し、(D)が図7(D)の断面位置に対応する。
図6(A)に示すように、本実施形態では、第1弁形成部82の第1周端部e1を含む仮想平面P1と、第2弁形成部84の第1周端部e1を含む仮想平面P2との距離がゼロ、つまり両弁形成部の第1周端部e1が同一平面上に位置する(太線部参照)。これにより、図8(A)および(B)に示すように、弁体20を一方向に回転させたときに両弁形成部の第1周端部e1の全領域をほぼ同時にスリーブ40に着座させることができる。その結果、弁体20を一方向に回転させて着座させるときの回転トルクを小さくできる。なお、両弁形成部の第2周端部e2も同一平面上に位置するため、弁体20を反対方向に回転させてスリーブ40に着座させるときの回転トルクも小さくできる。
これに対し、図6(B)に示す比較例は、弁体20が単純形状を有し、弁形成部181の厚みが径方向および軸線方向にほぼ一定とされている。このため、図7(A)〜(D)にも示すように、第1弁形成部182の第1周端部e1を含む仮想平面P11と、第2弁形成部184の第1周端部e1を含む仮想平面P12とが平行となり、両者の距離が弁形成部181の厚み分となる(太線部参照)。
このような構成では、図8(C)および(D)に示すように、弁体120を一方向に回転させたときに両弁形成部の第1周端部e1の全領域を同時に着座させることができず、先に着座する部分の潰し量が多くなるため、後続で着座する部分に対して抵抗(スリーブ40による反力)を生じさせる。このため、弁体120を一方向に回転させて着座させるときの回転トルクが大きくなる。なお、両弁形成部の第2周端部e2についても両者の仮想平面が互いに平行となり、同様の関係となる。このため、弁体120を反対方向に回転させてスリーブ40に着座させるときの回転トルクも大きくなる。言い換えれば、本実施形態の構造を採用することにより、回転トルクを効果的に低減できることが分かる。
図6(C)に示す変形例は、本実施形態と比較例との中間の構造を有する。弁体130において、弁形成部191の周縁部eの幅が高さ方向中央に向かうにつれて大きくなる。この構成では、第1弁形成部192の第1周端部e1を含む仮想平面P21と、第2弁形成部194の第1周端部e1を含む仮想平面P22とは同一平面上にないが(太線部参照)、弁体130が着座するときのスリーブ40の潰し量を比較例の場合よりは小さくできる。このため、比較例よりは回転トルクの低減を実現できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、一対の弁形成部81の各シール部(周端部)が同一平面上に位置することで、弁体20が厚みを有するバタフライバルブ10において、回転トルク低減を効果的に実現できる。なお、変形例においても、一対の弁形成部191間の距離を周縁部の最大幅よりも小さくできるため、回転トルクの低減をある程度は図ることができる。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係るバタフライバルブの構成を表す横断面図である。図10は、弁体の構造を示す図である。(A)は斜視図であり、(B)は弁体の中心を通る横断面図であり、第1実施形態の図3(C)に対応する。以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
本実施形態のバタフライバルブは、流体の流れを許容又は遮断可能な開閉弁(二方弁)として機能する。図9に示すように、バタフライバルブ210は、ボディ212とアクチュエータ14(図1参照)とを組み付けて構成される。ボディ212は、段付円筒状をなし、第1管部22と第2管部224とが同軸状に設けられ、ストレートな通路230を有する。ボディ212の中央に弁室18が形成されている。配管継手16に流体を導入する導入ポート32が設けられ、第2管部224に流体を導出する導出ポート34が設けられている。
弁室18には、第1実施形態と同様のスリーブ40が配置されている。なお、バタフライバルブ210は二方弁であるため、スリーブ40の横孔(連通孔74,76:図2参照)は省略してもよい。図示の全開状態(開弁状態)から弁体220が一方向(図中反時計回り)に回動すると、その周縁部eの一方の角部(第1周端部e1)がスリーブ40の内壁に密着する(破線参照)。それにより、バタフライバルブ210が閉弁状態となり、通路230が遮断される。なお、本実施形態では、弁体220を全開状態から反対方向へ回動させることは想定されていない。
図10(A)に示すように、弁体220は、本体80からその軸線L1に対して対称な方向に延出する一対の弁形成部281(第1弁形成部282,第2弁形成部284)を有する。図10(B)にも示すように、弁形成部281は、本体80から離間するにつれて(半径方向外側に向けて)その厚み(断面の幅)が小さくなっている。また、弁形成部81の周縁部eの幅が高さ方向中央に向けて漸減し、その外周面は、弁体20の任意の横断面において半径方向に対してほぼ直角となる。弁形成部281は、弁体220が一方向に回動したときにスリーブ40に着座する周端部e1を有し、その周端部e1がスリーブ40に線接触態様で着座することで閉弁状態が実現される。周端部e1は、弁形成部281の周縁部における角部であり、スリーブ40の内周面に着脱する曲線状の「シール部」を構成する。
そして特に、第1弁形成部282の周端部e1と第2弁形成部284の周端部e1とが、同一平面P201上に位置するように構成されている(一点鎖線参照)。これにより、弁体220を一方向に回転させたときに両弁形成部の周端部e1の全領域を同時にスリーブ40に着座させることができ、閉弁時における回転トルクを小さくできる。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る弁体の構造を表す図である。(A)は斜視図であり、(B)は正面図である。図12は、トルク低減構造の説明図である。図12(A)〜(D)は、それぞれ図11のB−B〜E−E断面を示す。以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図11(A)および(B)に示すように、弁体320は、正面視楕円状をなし、本体380からその軸線L1に対して対称な方向に延出する一対の弁形成部381(第1弁形成部382,第2弁形成部384)を有する。図12(A)にも示すように、弁形成部381は、本体380からほぼ一定の厚みで延出し、その周縁部eがフランジ状に幅大に形成されて断面T字状となっている。周縁部eは、弁体320の外形に沿って帯状に延在している。周縁部eの幅は、高さ方向中央に向かうほど大きくなる。言い換えれば、弁形成部381は、軸線方向中央から両端部に向けて周縁部eの幅が漸減するように構成されている。弁形成部381の外周面は、弁体320の任意の横断面において半径方向に対してほぼ直角となる。
弁形成部381は、弁体320が一方向に回動したときにスリーブ40に着座する第1周端部e1と、弁体320が反対方向に回動したときにスリーブ40に着座する第2周端部e2とを幅方向に離隔して有する。各周端部は、弁形成部381の周縁部における突出部であり、スリーブ40の内周面に着脱する曲線状の「シール部」を構成する。第1実施形態と同様に、第1周端部e1がスリーブ40に線接触態様で着座することで第1流路形成状態が実現され、第2周端部e2がスリーブ40に線接触態様で着座することで第2流路形成状態が実現される。
そして特に、第1弁形成部382の第1周端部e1と第2弁形成部384の第1周端部e1とが、同一平面P301上に位置するように構成されている(一点鎖線参照)。また、第1弁形成部382の第2周端部e2と第2弁形成部384の第2周端部e2とが、同一平面P302上に位置するように構成されている(一点鎖線参照)。これにより、弁体320を一方向又は反対方向に回転させてスリーブ40に着座させるときの締め切りトルク(回転トルク)を小さく抑えることができる。
[第4実施形態]
図13は、第4実施形態に係る弁体の構造を表す図である。(A)は斜視図であり、(B)は正面図であり、(C)は平面図である。図14は、トルク低減構造の説明図である。図14(A)〜(D)は、それぞれ図13(B)のB−B〜E−E断面を示す。以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図13(A)〜(C)に示すように、弁体420は、金属製のプレート410の外面を弾性部材412により被覆して得られ、軸線L1に対して対称な構造を有する。図14(A)にも示すように、プレート410は、シャフト50を挿通する筒状のベース414と、ベース414からその軸線L1に対して対称な方向に延出する一対のフレーム416(第1フレーム417,第2フレーム418)を有する。ベース414およびこれを被覆する弾性部材412の部分により弁体420の「本体」が構成される。第1フレーム417およびこれを被覆する弾性部材412の部分により弁体420の「第1弁形成部」が構成される。第2フレーム418およびこれを被覆する弾性部材412の部分により弁体420の「第2弁形成部」が構成される。
各フレーム416は、その外周部にシール支持部422を有する。ベース414の内方に取付孔88が形成されている。シール支持部422は断面三股形状をなし、フレーム416の延在方向に延出する第1支持部423と、フレーム416から弁体420の回転方向一方の側に延出する第2支持部424と、フレーム416から弁体420の回転方向他方の側に延出する第3支持部425とを有する。第2支持部424と第3支持部425とは、フレーム416の径方向の断面においてフレーム416に対して互いに反対側に延び、それぞれ第1支持部423と約90度の角度をなす。
弁体420の製造工程においては、プレート410に対して弾性部材412(耐食性を有する樹脂材)の焼き付けが行われる。本実施形態では、弾性部材412としてゴムが採用され、そのゴムとプレート410との加硫接合が行われる。それにより、弾性部材412がプレート410に対し、密着した状態で安定に固定される。
弾性部材412の上端面および下端面は、それぞれ軸線に対して垂直であり、互いに平行な平坦面432,434とされている。各平坦面には、取付孔88の上端開口部を取り囲むように円形の環状ビード436が突設されている。
なお、本実施形態では、スリーブ40は設けられておらず、弁室18におけるボディ12の上下面が平坦とされ、それらの平坦面により一対のガイド部62,64が形成される(図1参照)。上方の環状ビード436がガイド部62に当接し、下方の環状ビード436がガイド部64に当接することで、弁体420の軸線方向への動きが規制される。
弾性部材412には、上下の環状ビード436をつなぐように、弾性部材412の外周面に沿って円弧に延びるビード440,442,444および446が突設されている。弁体420の軸線L1に対して一方の側にビード440,442が並設され、他方の側にビード444,446が並設されている。ビード442,444は、弁体420の周縁部の一方の突出部(第1周端部e1)として機能する。一方、ビード440,446は、弁体420の周縁部の他方の突出部(第2周端部e2)として機能する。各ビードは、ボディ12の内周面に着脱する曲線状の「シール部」を構成する。
第1実施形態と同様に、第1周端部e1がボディ12の内壁に線接触態様で着座することで第1流路形成状態が実現され、第2周端部e2がボディ12の内壁に線接触態様で着座することで第2流路形成状態が実現される。そして特に、ビード442および444が同一平面P401上に位置するように構成されている(一点鎖線参照)。また、ビード440および446が同一平面P402上に位置するように構成されている(一点鎖線参照)。これにより、弁体420を一方向又は反対方向に回転させてボディ12の内壁に着座させるときの締め切りトルク(回転トルク)を小さく抑えることができる。
なお、本実施形態の弁体420は、プレート410に弾性部材412を焼き付ける工程を経て得られるため、第1実施形態のようなスリーブタイプ(弁体20とスリーブ40とに分ける構造)よりも製造コストが嵩む傾向にある。言い換えれば、第1実施形態の構成のほうが、簡易かつ低コストに得られるといったメリットがある。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記実施形態では、バタフライバルブとして、二方弁や四方弁を例示した。変形例においては、三方弁としてもよい。その場合、ボディにおいて2つの通路が同軸状に配置され、直線状通路を形成してもよい。その直線状通路に対してもう一つの通路が直交するように接続され、T字状の通路を形成してもよい。弁体をその直線状通路における3つの通路の接続部(弁室)に設けてもよい。
上記第2実施形態では、バタフライバルブとして、導入ポートおよび導出ポートを有し、一方向への流れを許容する二方弁を例示した。変形例においては、二つのポートが導入ポートおよび導出ポートに切り替え可能な双方向の二方弁としてもよい。
上記実施形態では、閉弁時における通路の軸線に対する弁体の角度を約45度に設定し、弁体がその通路を斜めにシールする構成を示した。変形例においては、その弁体の角度として90度よりも小さい他の適正な角度を採用してもよい。
上記第1実施形態では、弁形成部81の外周面が弁体20の任意の横断面において直線状(半径方向に対してほぼ直角)となり、各周端部が弁形成部81の周縁部における鋭角な角部となる構成を例示した。変形例においては、弁形成部81の外周面を弁体20の横断面において円弧状としてもよい。各周端部は鋭角な角部とならなくてもよい。上記第3実施形態においても同様に、弁形成部381の外周面を弁体20の任意の横断面において直線状としたが、円弧状としてもよい。
上記実施形態および変形例では述べなかったが、シャフトが弁体を貫通しない構成としてもよい。具体的には、図1に示す構成において、シャフト50の先端が弁体20の内部に留まる構成としてもよい。その場合、軸受部46を省略することができる。
上記実施形態では、ボディ12を樹脂製としたが、金属製としてもよい。また、上記第4実施形態では弁体を構成するプレートを金属製としたが、樹脂その他の材質から構成してもよい。ただし、弾性部材よりも硬質な材質を選択する。
上記第4実施形態では、プレートを覆う弾性部材にビードを突設し、シール部とする例示した。本変形例では逆に、弁体を構成する弾性部材の表面を溝状に切り欠いた残余部によりビードを形成し、シール部としてもよい。
上記第4実施形態では、プレートの外周縁の形状を三股形状とする例を示したが、二股形状その他の形状とし、閉弁時にシール部のシール中心よりも低圧側に狭小部が形成されるようにしてもよい。
上記実施形態では、バタフライバルブを給湯装置等の水回路に適用する例を示した。変形例においては、自動車等の水回路に適用してもよい。あるいは、車両用空調装置や家庭用空調装置の冷凍サイクルに適用し、冷媒循環通路を切り替える切替弁、冷媒通路を開閉する開閉弁、冷媒通路の開度を調整する流量制御弁、又は膨張弁として構成してもよい。いわゆるヒートポンプ式の冷暖房装置に適用してもよい。
上記実施形態では、バタフライバルブとしてアクチュエータを含む電動式のバタフライバルブを例示した。変形例においては、手動で回転する構成を採用するなど、必ずしも電動式でなくてもよい。具体的には、図1の構成においてアクチュエータ14を取り除き、バタフライバルブとして提供してもよい。シャフト50の先端にアクチュエータ14を付けるか、あるいは手動のための取っ手(ハンドル)等を付けるかを、ユーザ側で選択してもよい。いずれにしても、バタフライバルブを弁座に着座(密着)させる際の回転トルク(回転力)を低減することはできる。上記実施形態のように、電動式のバタフライバルブに上記構成を採用することで、省電力のメリットを得ることはできる。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。