上記の添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に示すように、情報処理システム100は、複数のユーザ1、2、3…の情報通信端末110−1、110−2、110−3…(以下、総称して「110」と付することもある。)及びサーバシステム120がネットワーク130に接続可能に構成されている。サーバシステム120は、情報通信端末110に認知症リスクの評価結果を提供する情報処理装置であり、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。サーバシステム120は、ネットワーク130を介して情報通信端末110と通信することにより、情報通信端末110からユーザの運動情報等の所定の情報を受信又は取得する。また、サーバシステム120は、ユーザの認知症リスクを評価し、その評価結果等をネットワーク130を介して情報通信端末110に送信又は提供する。ネットワーク130は、LAN、WAN、有線あるいは無線のネットワーク、又は、インターネットなどで構成される。
各ユーザの情報通信端末110は、モバイル端末200、ウエアラブルデバイス210、又はこれら両方を含んでいる。例えば、ユーザ1の情報通信端末110−1は、モバイル端末200及びウエアラブルデバイス210を含んでおり、ウエアラブルデバイス210がモバイル端末200に関連付けられている。ユーザ2の情報通信端末110−2は、モバイル端末200を含むが、これに関連付けられたウエアラブルデバイスを含んでいない。ユーザ3の情報通信端末110−3は、ウエアラブルデバイス210を含むが、これに関連付けられたモバイル端末200を含んでいない。
モバイル端末200は、GPS(Global Positioning System)機能、通信機能及び表示機能等を有するコンピュータで構成することができる。例えば、モバイル端末200は、携帯電話、スマートフォン、PDA又はタブレット型のコンピュータで構成される。一例を挙げると、モバイル端末200はiPhone(登録商標)ブランドのスマートフォンである。
ウエアラブルデバイス210は、ユーザが身につけて利用することができるGPS機能、通信機能及び表示機能付きの情報通信端末である。ウエアラブルデバイス210は、その装着形態に応じた態様を採ることができる。例えば、メガネ、ゴーグル、腕時計、リストバンド、ヘッドセット、イヤホンなどのほか、ネックレス、指輪やブレスレットといったアクセサリー、さらには、肌着、手袋や靴下といった衣服の態様を採ることができる。ウエアラブルデバイス210の一例は、Apple Watch(登録商標)ブランドの腕時計型デバイスである。
ウエアラブルデバイス210を二種類に大別すると、モバイル端末200と関連付けられるタイプと、モバイル端末200と関連付けられないタイプとがある。前者のタイプの場合、ウエアラブルデバイス210は、モバイル端末200と連携して、様々な機能を奏する。例えば、ウエアラブルデバイス210は、モバイル端末200で受ける情報(例えばメール着信など)をウエアラブルデバイス210の画面に表示することができ、また、ウエアラブルデバイス210の操作によってモバイル端末200から情報を送信することができる。さらに、ウエアラブルデバイス210は、ウエアラブルデバイス210又はモバイル端末200が搭載する機器を利用して、ユーザの運動情報を取得することができる。例えば、ウエアラブルデバイス210が内蔵する運動センサで取得される情報と、モバイル端末200が内蔵するGPSデバイスで取得されるGPSデータ(位置情報)とを連携させることで、ユーザの運動情報を取得することができる。ウエアラブルデバイス210は、モバイル端末200と通信するほか、ネットワーク130を介してサーバシステム120と通信する。
後者のタイプの場合、ウエアラブルデバイス210は、モバイル端末200と連携せずに、所定の機能を奏する。例えば、ウエアラブルデバイス210は、運動センサ及びGPSデバイスなどの機器を内蔵してユーザの運動情報を取得する。また、ウエアラブルデバイス210は、ネットワーク130を介してサーバシステム120と通信する。そして、ウエアラブルデバイス210は、自身が取得したユーザの運動情報や、サーバシステム120から受信した情報を自身の画面に表示する。
図2は、モバイル端末200のハードウェア構成を示すブロック図である。モバイル端末200は、通信インタフェース300、ユーザインタフェース310、演算処理部320、記憶部330、運動センサ340及びGPSデバイス350を備えている。通信インタフェース300は、移動体通信用アンテナ301及び無線アンテナ302を有している。モバイル端末200は、移動体通信用アンテナ301を通じてネットワーク130に接続され、サーバシステム120との間でデータ通信を行う。また、モバイル端末200は、無線アンテナ302を通じてウエアラブルデバイス210に接続され、ウエアラブルデバイス210との間でデータ通信を行う。無線アンテナ302は、例えば、Bluetooth(登録商標)や、NFCといった所定の規格に対応したものを用いることができる。
ユーザインタフェース310は、タッチパネル311及びマイクロフォン312を有している。タッチパネル311は、表示装置及び入力装置の両方の機能を備える。タッチパネル311の表示機能は液晶などのディスプレイにより構成され、ディスプレイの画面上に認知症リスクの評価結果や脳画像等が表示される。タッチパネル311の入力機能は、タッチセンサにより構成され、ディスプレイの画面上でのユーザの指触操作(タップやスワイプなどの操作)を検知する。マイクロフォン312は、音声入力装置として機能する。その他、周知のように、ハードキーやボタン、スピーカーなどもユーザインタフェース310に含めることができる。
演算処理部320は、CPUやMPU等によって構成される。演算処理部320は、各種入力に基づいて、記憶部330に記憶されたプログラムを実行することで、種々の機能部を動作させる。このプログラムは、CD−ROMやUSBメモリなどの記憶媒体に記憶されるか、あるいはネットワーク130を介してダウンロードされることでモバイル端末200にインストールされる。演算処理部320は、種々の機能部として、受信部321、送信部322及び情報取得部323を有している。受信部321は、通信インタフェース300を介してサーバシステム120及びウエアラブルデバイス210から種々の情報を受信する。同様に、送信部322は、通信インタフェース300を介してサーバシステム120及びウエアラブルデバイス210に種々の情報を送信する。情報取得部323は、運動センサ340から運動データを取得すると共に、GPSデバイス350からモバイル端末200のGPSデータを取得する。
記憶部330は、ハードディスクドライブ、SSD、RAMなどの記憶装置によって構成され、演算処理部320における処理の実行に必要な各種プログラムや、各種プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。記憶部330は、サーバシステム120が提供する認知症リスク評価を利用するためのソフトウェア(例えば、ウェブブラウザやアプリケーション)を記憶する。また、記憶部330は、ユーザがユーザインタフェース310を介して入力した情報を記憶する。例えば、記憶部330は、ユーザの生年月日、年齢、性別、身長、体重、住所地(自宅)、職業、職種、定休日のほか、所定期間における会話人数や、知的好奇心尺度に関する質問への回答などの各種情報を記憶する。また、記憶部330は、サーバシステム120から送信される各種情報を一時的に記憶する。さらに、記憶部330は、演算処理部320によって算出されたユーザの運動量に関する情報を記憶する。
運動センサ340は、モバイル端末200の動きを検知するものであり、例えば加速度センサで構成される。運動センサ340は、例えば3軸加速度センサであり、モバイル端末200の上下、左右及び回転方向の運動を検出する。また、運動センサ340は、3軸加速度センサ及び3軸角速度センサとすることもできるし、6軸センサとすることもできる。運動センサ340は、検知したモバイル端末200の動きをデジタル測定データに変換し、その測定データを演算処理部320の情報取得部323に出力する。モバイル端末200がユーザに保有されているとき、モバイル端末200の動きはユーザの動き(歩数、速度、加速度など)を反映したものとなる。なお、別種の活動データを提供するために、心拍数モニタリングデバイスなどの別のセンサ等の機器がモバイル端末200に内蔵されてもよい。
GPSデバイス350は、モバイル端末200の位置を測定する位置測定システムであり、モバイル端末200の位置を示すGPSデータを取得する。モバイル端末200がユーザに保有されているとき、モバイル端末200の位置はユーザの位置を反映したものとなる。GPSデバイス350は、取得したGPSデータを演算処理部320の情報取得部323に出力する。なお、GPSが利用できない場合は、セルラ三角測量法を用いて位置が判断され得る。
運動センサ340とGPSデバイス350の双方を使用することにより、モバイル端末200は、ユーザの複数の運動を記録することができる。例えば、ユーザがランニングマシンで走る場合のような、同じ場所からほぼ動かずに運動を行う場合、モバイル端末200の演算処理部320は、運動センサ340からの測定データに基づいて、ユーザの歩数、速度や加速度(ペース)などを判断し、ユーザの運動量を算出する。他方、ユーザが屋外を走ってある場所から別の場所へ移動する場合、モバイル端末200の演算処理部320は、GPSデバイス350からのGPSデータ(位置情報)に基づいて、ユーザの移動速度及び移動時間などを判断し、ユーザの運動量を算出する。もちろん、算出すべきユーザの運動量の精度を向上させるために、運動センサ340とGPSデバイス350の双方からのデータを用いることもできる。算出されるユーザの運動量は、例えば、運動によるカロリー消費量である。この情報は、記憶部330に記憶される。なお、運動量をカロリー消費量に換算するのに公知の方法を利用することができる。
図3は、ウエアラブルデバイス210のハードウェア構成を示すブロック図である。ウエアラブルデバイス210は、通信インタフェース400、ユーザインタフェース410、演算処理部420、記憶部430、運動センサ440及びGPSデバイス450を備えている。これら各構成要素400〜450は、モバイル端末200の対応する各構成要素300〜350と同様であり、ここでは同様の符号を付すにとどめ、その詳細な説明を省略する。なお、ウエアラブルデバイス210は、そのタイプによって、有する構成要素の内容を変えることができる。例えば、ウエアラブルデバイス210がモバイル端末200と関連付けられるタイプの場合には、ウエアラブルデバイス210の構成要素の一部を省略することができる。例えば、タッチパネル411のディスプレイやGPSデバイス450を省略することができる。
図4は、サーバシステム120のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバシステム120は、通信インタフェース510、演算処理部520及び記憶部530を備えている。通信インタフェース510は、サーバシステム120をネットワーク130に接続する。演算処理部520は、CPUやMPU等によって構成される。演算処理部520は、各種入力に基づいて、記憶部530に記憶されたプログラムを実行することで、種々の機能部を動作させる。このプログラムは、CD−ROMやUSBメモリなどの記憶媒体に記憶されるか、あるいはネットワーク130を介してダウンロードされることで、コンピュータにインストールされる。
記憶部530は、ハードディスクドライブ、SSD、RAMなどの記憶装置によって構成され、演算処理部520における処理の実行に必要な各種プログラムや、各種プログラムの実行に必要なデータ等を記憶している。記憶部530は、サーバシステム120によって実行される認知症リスク評価に係る方法を利用するためのソフトウェア(例えば、ウェブブラウザやアプリケーション)を記憶している。また、記憶部530は、被験者DB531、脳萎縮部位DB532及びアドバイスDB533を記憶している。
被験者DB531は、図5に示すように、被験者IDに対応付けて、被験者の年齢、性別、一日運動量平均、認知症リスク、想定海馬体積、脳画像、コミュニケーション量及び知的好奇心量の情報が記憶されている。被験者DB531に記憶されている情報は、膨大な数の被験者から事前にデータ収集されたものである。例えば、被験者IDが「1」の被験者は、想定される海馬の体積が24mlであると算出されている。これは、医療機関でMRI等の装置により被験者の脳画像が撮影され、画像解析されることで算出されたものである。想定海馬体積は、これを算出するのに用いた、被験者が撮像された複数の脳画像(参照:図6)とともに記録されている。また、記録される被験者の年齢、性別及び一日運動量平均の情報は、問診票等に対する被験者の回答や、被験者の有するモバイル端末やウエアラブルデバイスでの情報取得を経たものである。
ここで、被験者DB531に記録される「コミュニケーション量」は、例えば、マイナス1からプラス1までの数値で表されるものであり、重回帰分析から算出されたものである。一例を挙げると、コミュニケーション量は、下記式(1)の通りの計算で導かれる。ここで、群は、データベース上の群で、その中に於いて、自身のコミュニケーション量は、その群の中で、外出時間の1ヶ月平均時間の標準偏差(SD)、実際に10分以上話した人数の1ヶ月平均の群内SDとし、外出時間は被験者の有する情報通信端末のGPSデータから、また、会話した人数は被験者の情報通信端末への質問項目への入力によるデータから得たものである。なお、1ヶ月及び10分という期間に限るものではないし、また、変数を増やすことも可能であり、その場合、式(1)の分母は変数数になる。
コミュニケーション量=(実際の外出時間の1ヶ月平均の群内SD+実際に10分以上会話した人数の1ヶ月平均の群内SD)/2 (1)
被験者DB531に記録される「知的好奇心量」は、例えば、5〜60の数字で表されるものであり、知的好奇心尺度に関する質問に対する被験者の回答によって算出されたものである。一例を挙げると、図7に示すように、知的好奇心尺度に関する質問が12項目ある。質問一項目につき5段階、「全く当てはまらない」を1、「とても良くあてはまる」を5にし、各項目につき5点満点とし、12項目への回答の総和を「知的好奇心量」として被験者DB531に記録している。
被験者DB531において、被験者IDが「1」の被験者は、認知症リスクが「小」であると記録されている。被験者DB531に記録される認知症リスクの程度は、撮像された脳画像からコンピュータ又は医師が判断したものである。以上のようにして構成された被験者DB531は、運動情報、コミュニケーション量及び知的好奇心量と認知症リスクとが対応付けられたデータ群であるとも言えるし、運動情報、コミュニケーション量、知的好奇心量、認知症リスク、年齢及び性別が対応付けられたデータ群であるとも言える。なお、図5に示す例では、運動情報に対応するものは一日運動量平均であるが、これに限るものではない。例えば、被験者DB531における運動情報は、所定期間(1週間、2週間、1か月など)の運動量平均とすることもできる。
脳萎縮部位DB532は、図8に示すように、脳の萎縮部位に対応づけて、その萎縮部位に関する情報が記憶されている。脳の萎縮部位に関する情報は、例えば、その萎縮部位がある脳領域の機能と、その萎縮部位によってもたらされる脳の症状及び将来的な疾患リスクである。
アドバイスDB533は、図9に示すように、脳の萎縮部位に対応づけて、生活習慣のアドバイスに関する情報が記憶されている。生活習慣のアドバイスは、運動、対人コミュニケーション、知的好奇心、睡眠、食習慣など、多岐に亘るアドバイスが可能である。一例を挙げると、運動のアドバイスは、「一日30分程度の散歩をしましょう」である。同様に、対人コミュニケーションのアドバイスは、「人と交流、会話、食事又は過ごすことを増やしましょう」であり、知的好奇心のアドバイスは、「趣味を楽しみましょう、本を読みましょう、日記・手紙を書きましょう、芸術に触れましょう、カルチャースクールで新しいことを学びましょう、スポーツ観戦をしましょう、旅行に出かけましょう、計算などの認知トレーニングをしましょう」である。また、睡眠のアドバイスは、脳科学の観点から理想と言われている「睡眠時間7時間程度にしましょう」であり、食習慣のアドバイスは、「食べ過ぎないようにしましょう、朝食はパンよりもご飯にしましょう」などである。なお、どの脳萎縮部位にどのアドバイスが効果的に効くかについては、非特許文献4に開示されている。
再び図4に戻って説明するに、演算処理部520は、種々の機能部として、取得部521、外出時間・場所推定部522、コミュニケーション量推定部523、知的好奇心量推定部524、評価部525、脳画像推定部526、脳萎縮部位特定部527、対応策決定部528及び提供部529を備えている。取得部521は、通信インタフェース510を介して情報通信端末110から種々の情報を受信又は取得する。例えば、取得部521は、通信により、モバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の少なくとも一方から、ユーザの運動情報及びGPSデータのほか、ユーザが入力した年齢、性別及び住所地(自宅)などの各種情報を取得する。取得部521が取得した各種情報は、記憶部530に一時的に記憶される。
外出時間・場所推定部522は、取得部521が取得したGPSデータに基づいて、ユーザの外出時間及び外出場所を推定する。例えば、外出時間・場所推定部522は、取得したGPSデータに基づいて、ユーザの在宅時間及び外出時間を割り出し、ユーザの1か月の外出時間を推定する。同様に、外出時間・場所推定部522は、取得したGPSデータに基づいて、ユーザの位置を割り出し、ユーザの1か月の外出場所を推定する。とりわけ、外出場所として、ユーザが文化施設及び書店に立ち寄ったか否かを推定する。文化施設とは、文化・芸術活動のために使用される施設であり、例えば、美術館、映画館、劇場、図書館などを含む。なお、期間は上記の1か月に限るものではなく、あるまとまった期間、すなわち所定期間(1日、1週間、2週間など)であればよい。外出時間・場所推定部522による推定結果は、記憶部530に一時的に記憶される。
コミュニケーション量推定部523は、外出時間・場所推定部522が推定した外出時間に少なくとも基づいて、ユーザのコミュニケーション量を推定する。例えば、コミュニケーション量推定部523は、下記の式(2)を用いて、ユーザのコミュニケーション量を推定する。ここで、上記の式(1)の場合と同様に、群は、データベース上の群で、その中に於いて、自身のコミュニケーション量は、その群の中で、推定した外出時間の1ヶ月平均時間の標準偏差(SD)、実際に10分以上話した人数の1ヶ月平均の群内SDとし、推定した外出時間は外出時間・場所推定部522が推定したものであり、また、会話した人数はユーザの情報通信端末への質問項目(1か月に10分以上会話した人数は?)への入力によるデータから得たものである。なお、1か月及び10分という期間に限るものではないし、また、変数を増やすことも可能であり、その場合、式(2)の分母は変数数になる。コミュニケーション量推定部523による推定結果は、記憶部530に一時的に記憶される。
コミュニケーション量=(推定した外出時間の1ヶ月平均の群内SD+実際に10分以上会話した人数の1ヶ月平均の群内SD)/2 (2)
このように、コミュニケーション量の推定は、所定期間(1か月)における推定外出時間と、その所定期間における会話人数とに基づいてなされる。この会話人数の情報は、ユーザが情報通信端末110に入力したものがネットワーク130を介してサーバシステム120の取得部521にて取得されたものであるが、他の実施態様においては、ユーザにこのような入力を課さないことも可能である。例えば、一定のデータセットを活用することで、実際の外出時間と実際の会話人数の相関から係数を導き出し、実際の外出時間から仮想の会話人数を割り出すようにする。上記式(2)において、この仮想の会話人数を実際の会話人数に代えて用いることで、ユーザに入力を強いることなく、推定外出時間だけからコミュニケーション量を推定することが可能となる。
知的好奇心量推定部524は、外出時間・場所推定部522が推定した外出場所に少なくとも基づいて、ユーザの知的好奇心量を推定する。例えば、知的好奇心量推定部524は、下記の式(3)を用いて、ユーザの知的好奇心量を推定する。
知的好奇心量=a1*(1か月間の書籍購入量)+a2*(1か月間で文化施設及び書店に立ち寄った回数)+・・・+ε (3)
ここで、a1、a2は標準化偏回帰係数であり、εは残渣である。「1か月間で文化施設及び書店に立ち寄った回数」は、外出時間・場所推定部522が推定したものである。また、「1か月間の書籍購入量」は、ユーザが1か月間に購入した書籍数である。例えば、ユーザによるオンラインショッピングでの1か月間(所定期間)における書籍購入数の履歴を、サーバシステム120の取得部521が取得する。このような購入履歴の取得は、例えば、書籍を販売するオンラインショッピングサイトのアカウントと、サーバシステム120が提供する認知症リスク評価を利用するためのソフトウェアをインストールし情報通信端末110とを連携させることで行うことができる。一例を挙げると、ユーザが登録したオンラインショッピングサイトのアカウントで、当該ユーザが情報通信端末110の認知症リスク評価に係るソフトウェアにログインすることで、ユーザがオンラインショッピングサイトで購入した1か月間の書籍数を情報通信端末110で取得し、その書籍数情報を情報通信端末110からサーバシステム120の取得部521に送信する。なお、期間は、上記の1か月に限るものではない。
他の実施態様においては、上記の式(3)において、「a1*(1か月間の書籍購入量)」の項を除くことも可能であるが、知的好奇心量の推定は、書籍数の購入履歴も加味してなされることが望ましい。また、式(3)に他の項(追加因子)を入れることも可能である。例えば、知的好奇心量の推定は、知的好奇心尺度に関する質問に対するユーザの回答を加味してもよい。一例を挙げると、まず、サーバシステム120より、図7に示す知的好奇心尺度に関する質問をユーザの情報通信端末110に提示する。そして、この提示した質問に対してユーザが情報通信端末110を介して入力した回答データを情報通信端末110からサーバシステム120の取得部521に送信する。回答データは、上記のように、5〜60の数字でスコア化されたものであり、知的好奇心量推定部524は、この回答データを踏まえて、ユーザの知的好奇心量を推定する。知的好奇心量推定部524による推定結果は、記憶部530に一時的に記憶される。
評価部525は、取得部521が取得した運動情報、コミュニケーション量推定部523が推定したコミュニケーション量、及び、知的好奇心量推定部524が推定した知的好奇心量に基づいて、ユーザの認知症リスクを評価する。詳細には、評価部525は、取得した運動情報、推定したコミュニケーション量及び推定した知的好奇心量について、運動情報、コミュニケーション量及び知的好奇心量と認知症リスクとが対応付けられたデータ群と重回帰分析など多変量解析を主体とした統計検定を行い、ユーザの認知症リスクを評価する。このデータ群は、被験者DB531に記憶されたデータのサブセットである。このような統計検定によりユーザの認知症リスクを評価することができるのは、近年の研究により運動量、コミュニケーション量及び知的好奇心量と認知症との間に相関があることがわかってきているからである。特に、運動量は海馬の活動を見るのに、コミュニケーション量は前頭前野の活動を見るのに、また、知的好奇心量は側頭頭頂部の活動を見るのに役立つ。評価部525が行う統計検定では、取得したユーザの運動情報を被験者DB531内の膨大な運動情報群と比較する。また、推定したユーザのコミュニケーション量を被験者DB531内の膨大なコミュニケーション量群と比較し、さらに、推定したユーザの知的好奇心量を被験者DB531内の膨大な知的好奇心量群と比較して統計検定を行う。統計検定は、例えば、t検定、共分散分析、多変量解析等の検定などを用いることができる。一例を挙げると、運動情報をt検定で比較することで、群内で個々人の運動量の程度を評価したりする。また、統計検定では、取得部521が取得したユーザの運動情報のうち、例えば所定期間(1週間、2週間、1か月など)の運動量平均(カロリー消費量平均)を用いるとよい。所定期間は1週間以上であるとよい。なぜなら、1週間未満のような短期間のデータを使ったのでは、ユーザがイベントや病気などで運動量がたまたま少なかった場合に結果に大きな誤差が出る可能性が高くなるからである。
また、評価部525は、認知症リスクを評価する際に、取得部521が取得した年齢情報及び性別情報の少なくとも一つも踏まえて、データ群(運動情報、コミュニケーション量、知的好奇心量、認知症リスク、年齢及び性別からなるデータのサブセット)と統計検定を行うことで、ユーザの認知症リスクを評価することもできる。上述したように、被験者DB531では、年齢及び性別についても認知症リスクと対応づけられているからである。認知症リスクの評価の際に年齢や性別も考慮することで、その評価の確度をより高めることができる。一例を挙げると、年齢や性別を補正した共分散分析により、群内での個々人の運動量の程度を評価したりする。したがって、認知症リスクを評価する際に用いる上記因子を全て含めると、評価部525が行うユーザの認知症リスクは、以下の式(4)で表すことができる。
認知症リスク=a1*年齢+a2*性別+a2*運動量+a4*コミュニケーション量+a5*知的好奇心量+ε (4)
ここで、a1、a2、a3、a4、a5は標準化偏回帰係数であり、εは残渣である。この式(4)において、a1*年齢の項や、a2*性別の項を除くことも可能であるが、認知症リスクの評価はこれらを加味した方が望ましいことは上記のとおりである。また、式(4)に他の項(追加因子)を入れることも可能である。評価部525による認知症リスクの評価は、認知症リスクの有無を示すものであってもよいし、認知症リスクをいくつかのレベル(例えば、低、中及び高)で示すものであってもよいし、認知症リスクのスコアを示すものであってもよい。認知症リスクのスコアは、例えば0〜100%の範囲(1%以上は認知症リスクがあるとの評価となる。)でスケーリングすることができる。評価部525によってなされた認知症リスクの評価結果は、記憶部530に一時的に記憶される。
脳画像推定部526は、取得部521が取得した運動情報、コミュニケーション量推定部523が推定したコミュニケーション量、及び、知的好奇心量推定部524が推定した知的好奇心量に基づいて、ユーザの脳画像を推定する。この推定は、運動情報、コミュニケーション量及び知的好奇心量と脳画像とが対応付けられたデータのサブセットを有する被験者DB531を使って行うことができる。例えば、被験者DB531から、どの程度の運動量、コミュニケーション量及び知的好奇心量のときにどのような脳画像になっているかを数式化することができるため、これに取得したユーザの運動情報、推定したユーザのコミュニケーション量及び推定したユーザの知的好奇心量を適用することで、ユーザの脳画像を推定することができる。脳画像推定部526は、推定した脳画像を、ユーザのモバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の少なくとも一方の画面に可視化するためのデータを生成する。生成した可視化のための脳画像のデータは、記憶部530に一時的に記憶される。
脳萎縮部位特定部527は、評価部525によって認知症リスクがあると評価された場合に、その認知症リスクに関連する脳萎縮部位を特定する。例えば、脳萎縮部位特定部527は、脳画像推定部526が推定した脳画像を画像解析することで、ユーザの脳萎縮部位を特定する。脳萎縮部位が特定されるので、脳領域のどの機能が低下しているのかを予測することができる(参照:図8)。また、脳萎縮部位特定部527が特定した脳萎縮部位の情報を評価部525にフィードバックし、評価部525が、脳萎縮部位特定部527が特定した脳萎縮部位の個数に応じて、認知症リスクの度合いを改めて評価することも可能である。例えば、図10に示すように、特定された脳萎縮部位が「海馬」の1カ所だけの場合には認知症リスクは「低」と評価される。脳萎縮部位特定部527による特定結果や、評価部525による再評価結果は、記憶部530に一時的に記憶される。
対応策決定部528は、認知症リスクの評価結果に基づいて、ユーザへの対応策を決定する。対応策は、例えば、ユーザへの生活習慣のアドバイスである。一例を挙げると、評価部525によって認知症リスクがないと評価された場合には、「このままの生活を維持しましょう」など、一般的なアドバイスに決定することができる。一方、評価部525によって認知症リスクがあると評価された場合には、対応策決定部528は、脳萎縮部位特定部527が特定した脳萎縮部位に応じたアドバイスを決定する。例えば、対応策決定部528は、脳萎縮部位特定部527による特定結果をアドバイスDB533に参照することで、ユーザへの生活習慣のアドバイスを決定することができる。一例を挙げると、脳萎縮部位が前頭前野であると特定された場合、「色々なことに興味を持って、もっと外出をしましょう。旅行も良いと思います。」というアドバイスに決定される(参照:図9)。これにより、脳萎縮部位に対応した効果的なアドバイスを決定することができる。
対応策決定部528によるアドバイスの内容は、取得部521が取得した運動情報、コミュニケーション量推定部523が推定したコミュニケーション量、及び、知的好奇心量推定部524が推定した知的好奇心量の少なくとも一つに基づいて変えることができる。例えば、取得したユーザの運動量が少ない場合には、より多くの運動をするように促すことができる。また、対応策決定部528によるアドバイスの内容は、認知症リスクのスコアによって変えることもできる。例えば、スコアが高い(認知症リスクが高い)場合には、スコアが低い(認知症リスクが低い)場合に比べて、アドバイスする運動量(散歩の時間など)を増やしてもよい。対応策決定部528が決定したアドバイスの情報は、記憶部530に一時的に記憶される。なお、他の実施態様においては、対応策決定部528は、アドバイスに代えて、あるいは、アドバイスと併せて、認知症予防プログラムを決定してもよい。認知症予防プログラムは、例えば、脳を活性化させるゲームであり、計算、パズル、なぞなぞ、クイズ、間違え探しなどである。このような認知症予防プログラムは、アドバイスの場合と同様に、脳萎縮部位特定部527が特定した脳萎縮部位に応じたものとすることができる。
提供部529は、評価部525、脳画像推定部526、脳萎縮部位特定部527及び対応策決定部528によってなされた結果を、ユーザのモバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の少なくとも一方に提供する。例えば、提供部529は、評価部525による認知症リスクの評価結果を、ユーザのモバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の両方又は一方にネットワーク130を介して送信する。他のデータも提供部529によって同様に送信される。その結果、ユーザのモバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の画面には、推定されたユーザの脳画像が視覚的に表示される(例えば図11B、11C、12A及び12B参照)。また、同画面には、生活習慣のアドバイスが表示される(例えば図11G、12B参照)。さらに、同画面には、特定されたユーザの脳萎縮部位についての情報、具体的には図8の脳萎縮部位DB532に示される情報が表示される(例えば図11D、11F、12A参照)。このとき、特定された脳萎縮部位を、脳の他の部位とは異なる態様で表してもよい(例えば図11D、11E、12A、12B参照)。例えば、特定された脳萎縮部位について、その場所を指し示す指標を立てたり、あるいは、脳の他の部位とは異なる色を付したりすることで、脳の他の部位とは異なる態様で表すことができる。
なお、サーバシステム120は、上記機能を持つものであれば、特に制限はなく、クラウド・コンピューティングなどであってもよい。また、サーバシステム120を複数のコンピュータによって構成する場合、例えば、演算処理部520の各機能部のためのコンピュータと、記憶部530の各データベース(531〜533)のためのコンピュータとに分けることができる。また、演算処理部520の各機能部についてもコンピュータを分けることができる。例えば、取得部521及び提供部529のためのコンピュータ(ユーザとの直接インタフェースを果たすもの)と、外出時間・場所推定部522、コミュニケーション量推定部523、知的好奇心量推定部524、評価部525、脳画像推定部526、脳萎縮部位特定部527及び対応策決定部528のためのコンピュータ(前者のコンピュータと記憶部530のためのコンピュータとの仲介を果たすもの)とに分けることができる。
図11A〜11Gは、ユーザが上記の認知症リスク評価のソフトウェアを利用するときに表示される画面例を示している。この画面例は、サーバシステム120がユーザから運動情報等を取得して上述の認知症リスクの評価を行い、ユーザの情報通信端末110に提供されたものである。なお、ここでは、ユーザの情報通信端末110のうちモバイル端末200に表示される画面例について説明するが、ウエアラブルデバイス210に表示される場合であっても同様である。
図11Aは、サーバシステム120から認知症リスクの評価結果を提供された後の画面(初期画面)を示している。この画面には、ユーザからの入力を受け付ける4つのフィールド810、811、812及び813が表示される。ユーザがフィールド810〜813のいずれかを入力(タップ)すると、それに対応する画面へと遷移する。なお、フィールド810〜813は、例えば、アイコン、ボックス又はリンクなどの態様とすることができる。
図11Bは、ユーザがフィールド810「あなたの脳画像」をタップしたときに表示される画面を示している。この画面には、脳画像推定部526によって推定されたユーザの脳画像の複数の矢状断面が視覚的に表示される。また、この画面には、フィールド840「三次元立体画像を見る」も表示され、ユーザがこれをタップすると、図11Cに示す画面に遷移する。図11Cに示すように、推定されたユーザの脳画像として、体軸断面画像850と、ボリュームレンダリングされた立体画像851とが表れる。体軸断面画像850の近傍には、スライドバー852が表示される。ユーザがスライドバー852を上下に移動させることで、スライドバー852の上下方向の位置に対応した体軸断面画像850が表示される。同様に、立体画像851の近傍には、スライドバー853が表示される。ユーザがスライドバー853を上下に移動させることで、立体画像851の角度を変えることができるようになっている。
図11Dは、ユーザがフィールド811「あなたの健康脳レベル」をタップしたときに表示される画面を示している。この画面には、脳萎縮部位特定部527によって特定されたユーザの脳萎縮部位860を脳画像とともに示すフィールド861と、脳萎縮部位860についての情報862を示すフィールド863とが含まれている。フィールド861における脳萎縮部位860の表示は、脳の他の部位との差別化のため、脳の他の部位とは異なる態様(色づけ)とされている。ユーザがフィールド861における脳萎縮部位860をタップすると、図11Eに示す画面に遷移する。図11Eに示す画面には、脳萎縮部位860を脳画像とともに示すフィールド870と、脳萎縮の程度に関するグラフ871を示すフィールド872とが含まれている。グラフ871は、脳萎縮部位860がある脳領域の体積について、図5に示す被験者のデータ(被験者DB531におけるデータ)をもとに作成した正規分布であり、そこに脳萎縮部位860を持つユーザの位置873を示したものである。これにより、ユーザは、集団の中で自分の脳の萎縮度合がどの程度かを視覚的に把握することができる。なお、グラフ871を作成するのに用いる被験者のデータは、ユーザと同年代あるいは同性別又はこの両者のものを用いたものであるとよい。
図11Fは、ユーザがフィールド812「総合評価を見る」をタップしたときに表示される画面を示している。この画面には、評価部525による認知症リスクの評価結果を示すフィールド880と、脳画像を示すフィールド881とが含まれている。ここでは、認知症リスクがあると評価された場合を想定しており、フィールド880は、認知症リスクに関連する脳萎縮部位が存在する脳領域(ここでは「前頭葉」)や、集団との比較結果(ここでは「下位20%」)などの説明を表示している。また、フィールド881に示す脳画像は、様々な態様をとることができ、例えば、立体画像(図11Cに示す立体画像851)、推定していない公知の脳の立体画像、二次元画像などの態様をとることができる。また、フィールド881における脳画像は、フィールド880で言及された脳領域又は脳萎縮部位を、他の部位とは異なる態様(色づけ)で表示してもよい。
図11Gは、ユーザがフィールド813「アドバイスを見る」をタップしたときに表示される画面を示している。この画面には、対応策決定部528によって決定されたアドバイスを示すフィールド890と、脳画像を示すフィールド891とが含まれている。フィールド891は上記のフィールド881と同様に構成することができる。
図12A及び12Bは、ユーザが上記の認知症リスク評価のソフトウェアを利用するときに表示される別の画面例を示している。ここでは、ユーザの情報通信端末110のうちモバイル端末200に表示される画面例について説明するが、ウエアラブルデバイス210に表示される場合であっても同様である。
図12Aは、ユーザが図11Aのフィールド811「あなたの健康脳レベル」をタップしたときに表示される別の画面例を示している。この画面には、脳画像900を示すフィールド901と、認知症リスクの評価結果を示すフィールド902と、「次へ」のフィールド903とが含まれている。脳画像900は、図11Fの脳画像と同様に様々な態様をとることができるが、ここでは立体画像となっている。また、脳画像900は、脳萎縮部位特定部527によって特定されたユーザの脳萎縮部位を、他の部位とは異なる態様(色づけ)で表示している。フィールド901は、脳画像900の近傍に、スライドバー905及び萎縮度合いを示す指標906が表示される。スライドバー905は、図11Cのスライドバー854と同様に、ユーザによる上下移動操作によって、脳画像900の角度を変える機能を有する。指標906は、バーからなり、例えばカラーの違い又はグレースケールの濃淡を用いてユーザの脳の萎縮度合いを示すのに用いられる。ここでは、脳萎縮部位特定部527によって特定されたユーザの脳萎縮部位が前頭葉であると想定し、脳画像900に関して、前頭葉又は脳萎縮部位については指標906における「萎縮大」に近いカラーで表し、その他の部位については無色で示している。フィールド902は、図11Fのフィールド880に示す評価結果と同様の評価結果と、図11Dのフィールド863に示す情報(脳萎縮部位である前頭葉についての情報)と同様の脳萎縮部位関連情報が表示される。
図12Bは、図12Aに示す画面においてユーザがフィールド903「次へ」をタップしたときに表示される画面を示している。この画面には、図12Aに示すフィールド902に代えて、生活習慣のアドバイスを示すフィールド910が表示されている。フィールド910は、図11Gに示すフィールド890と同様に構成することができる。
以上のような画面がユーザに提供される。ユーザは、モバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の少なくとも一つを携行しておくことで、日々の運動量や外出状況が記録されて解析され、モバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の少なくとも一つをとおして、自身の認知症リスクの評価結果を知ることができる。したがって、ユーザは、病院に脳画像を撮像してもらうために出向かなくとも、日々の生活行動を通じて簡易に認知症リスクを知ることができる。また、認知症リスクがあると評価されたユーザは、生活習慣のアドバイスなど、認知症リスクに関連する脳萎縮部位に応じた対応策についても、モバイル端末200及びウエアラブルデバイス210の少なくとも一つをとおして知ることができる。
図13は、ユーザの情報通信端末110における処理の一例を示すフロー図である。この情報通信端末110には、サーバシステム120が提供する認知症リスク評価を利用するためのソフトウェアがインストールされている。また、情報通信端末110は、ネットワーク130を介してサーバシステム120に通信可能に接続されている。
まず、情報通信端末110は、情報通信端末110に搭載された機器を利用して、ユーザの運動情報及び情報通信端末110のGPSデータを取得する(ステップS1000)。この機器は、例えば、モバイル端末200の運動センサ340及びGPSデバイス350や、ウエアラブルデバイス210の運動センサ440及びGPSデバイス450である。ユーザの運動情報は、ユーザの所定期間(1日、1週間、2週間、1か月等)におけるユーザの運動量を定量化したものであり、例えば、ユーザの運動によるカロリー消費量である。運動情報及びGPSデータの取得と併せて又はこれとは別個に、情報通信端末110は、ユーザの年齢情報及び性別情報を取得する(ステップS1001)。また、情報通信端末110には、ユーザが所定期間に会話した人数の情報がユーザによって入力されたり(ステップS1002)、知的好奇心尺度に関する質問に対する回答がユーザによって入力されたりする(ステップS1003)。
次に、情報通信端末110は、取得した運動情報及びGPSデータを情報通信端末110からサーバシステム120に送信する(ステップS1010)。サーバシステム120は、送信されたGPSデータに基づいてユーザの外出時間を推定し、少なくともこの推定外出時間に基づいてユーザのコミュニケーション量を推定する。また、サーバシステム120は、送信されたGPSデータに基づいてユーザの外出場所を推定し、少なくともこの推定外出場所に基づいてユーザの知的好奇心量を推定する。さらに、サーバシステム120は、取得した運動情報、推定したコミュニケーション量及び推定した知的好奇心量に基づいてユーザの認知症リスクを評価する。情報通信端末110が、取得したユーザの年齢情報及び性別情報もサーバシステム120に送信している場合(ステップS1011)には、サーバシステム120では、これらの情報も踏まえてユーザの認知症リスクが評価される。サーバシステム120での処理が終わると、情報通信端末110は、サーバシステム120から認知症リスクの評価結果を受信する(ステップS1020)。これにより、情報通信端末110の画面に認知症リスクの評価結果が表示される。また、情報通信端末110は、サーバシステム120から、生活習慣のアドバイス、自身の推定された脳画像及び認知症リスクに関連する脳萎縮部位についての情報を受信し、これらが画面に表示される(ステップS1021)。
図14は、サーバシステム120における処理の一例を示すフロー図である。サーバシステム120には、サーバシステム120が提供する認知症リスク評価を利用するためのソフトウェアがインストールされている。
まず、サーバシステム120は、ユーザの情報通信端末110とネットワーク130を介して通信することにより、ユーザの運動情報を取得する(ステップS1100)。また、サーバシステム120は、情報通信端末110とネットワーク130を介して通信することにより、情報通信端末110のGPSデータを受信する(ステップS1101)。これらのステップは、図13のステップS1010の後でなされる。次に、サーバシステム120は、受信したGPSデータに基づいて、ユーザの外出時間及び外出場所を推定する(ステップS1110)。そして、サーバシステム120は、この推定した外出時間に少なくとも基づいてユーザのコミュニケーション量を推定し、また、この推定した外出場所に少なくとも基づいてユーザの知的好奇心量を推定する(ステップS1120)。
ここで、外出時間を推定する際に、所定期間における外出時間を推定し(ステップS1111)、これをコミュニケーション量を推定する際に用いるとよい。また、ユーザが所定期間に会話した人数の情報が情報通信端末110に入力されている場合には、サーバシステム120はその情報を情報通信端末110からネットワーク130を介して取得し、これをコミュニケーション量を推定する際に用いるとよい。
同様に、外出場所を推定する際に、ユーザが所定期間において文化施設及び書店に立ち寄ったか否かを推定し(ステップS1112)、この推定した立ち寄り回数を知的好奇心量を推定する際に用いるとよい。また、知的好奇心尺度に関する質問に対する回答が情報通信端末110に入力されている場合には、サーバシステム120はその情報を情報通信端末110からネットワーク130を介して取得し、これを知的好奇心量を推定する際に用いるとよい。加えて、サーバシステム120は、ユーザによるオンラインショッピングでの所定期間における書籍購入数の購入履歴を取得した場合には、この取得した購入履歴も加味して知的好奇心量を推定するとよい。
次に、サーバシステム120は、取得した運動情報、推定したコミュニケーション量及び推定した知的好奇心量に基づいてユーザの認知症リスクを評価する(ステップS1130)。このとき、サーバシステム120は、取得した運動情報、推定したコミュニケーション量及び推定した知的好奇心量のそれぞれについて、運動情報、コミュニケーション量及び知的好奇心量と認知症リスクとが対応付けられたデータ群(参照:図5)と統計検定を行い、ユーザの認知症リスクを評価する(ステップS1131)。サーバシステム120が、ユーザの運動情報と併せてユーザの年齢情報及び性別情報の少なくとも一つも取得している場合には(ステップS1102)、ユーザの年齢情報及び性別情報の少なくとも一つも踏まえてデータ群(参照:図5)と統計検定を行い、ユーザの認知症リスクを評価する。
認知症リスクがあると評価した場合、サーバシステム120は、その認知症リスクに関連する脳萎縮部位を特定し(ステップS1140)、それに応じた対応策(ユーザへの生活習慣のアドバイスなど)を決定する(S1150)。次いで、サーバシステム120は、認知症リスクの評価結果をユーザの情報通信端末110に提供する(ステップS1160)。また、サーバシステム120は、特定した脳萎縮部位及び決定した対応策等についての情報を情報通信端末110に提供する(ステップS1161、S1162)。特定した脳萎縮部位は、脳の他の部位とは異なる態様で情報通信端末110の画面に表示される。
以上説明した本実施形態によれば、ユーザが日々の生活行動を通じて簡易に認知症リスクを知ることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、図13及び14において点線の枠で示す処理(ステップS1001など)の一つ又は複数を適宜省略してもよい。