以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<三次元造形システム:全体構成>
まず、三次元造形システムについて説明する。
第1の実施の形態に係る三次元造形システムでは、画像形成の指示を受け付けた場合に、例えば、記録媒体に電子写真方式による画像形成を行う。また、三次元造形の指示を受け付けた場合に、記録媒体を積層するシート積層型の三次元造形法で三次元造形物を作製する。
シート積層型の三次元造形法では、立体モデルの三次元データを複数面でスライスして複数のスライスデータを生成し、複数のスライスデータに基づいて紙等のシート状の記録媒体上に一連のスライス画像を形成する。そして、一連のスライス画像が形成された複数の記録媒体を加工して積層する等、複数の記録媒体に対し三次元造形用の後処理を行う。ここで「一連の」とは、三次元データから生成された「複数のスライスデータ」に対応するという意味である。
図1は第1の実施の形態に係る三次元造形システムの構成の一例を示すブロック図である。図2は三次元造形システムの構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る三次元造形システムは、情報処理装置10、画像形成装置12、及び三次元造形用後処理装置14を備えている。情報処理装置10、画像形成装置12、及び三次元造形用後処理装置14の各々は、互いに通信回線18を介して通信可能に接続されている。以下では、三次元造形用後処理装置14を「後処理装置14」と略称する。
(情報処理装置)
図4は情報処理装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、情報処理装置10は、情報処理部30、利用者の操作を受け付ける操作部32、利用者に情報を表示する表示部34、外部装置31との通信を行う通信部36、及び外部記憶装置等の記憶部38を備えている。操作部32、表示部34、通信部36、及び記憶部38は、情報処理部30の入出力インターフェース(I/O)30Eに接続されている。
情報処理部30は、CPU(Central Processing Unit)30A、ROM(Read Only Memory)30B、RAM(Random Access Memory)30C、不揮発性メモリ30D、及びI/O30Eを備える。そして、CPU30A、ROM30B、RAM30C、不揮発性メモリ30D、及びI/O30Eがバス30Fを介して互いに接続されている。CPU30Aは、ROM30Bからプログラムを読み出し、RAM30Cをワークエリアとしてプログラムを実行する。
操作部32は、マウス、キーボード等により利用者からの操作を受け付ける。表示部34は、ディスプレイ等により各種画面を利用者に表示する。通信部36は、有線又は無線の通信回線を介して外部装置31と通信を行う。通信部36は、例えば、LAN(Local Area Network)、専用回線、又はインターネット等の通信回線に接続されたコンピュータ等の外部装置と通信を行うためのインターフェースとして機能する。記憶部38は、ハードディスク等の記憶装置を備えている。
(画像形成装置)
画像形成装置12は、画像データに基づいて記録媒体50上に画像を形成する。画像形成装置12は、例えば、電子写真方式により記録媒体上に画像を形成する装置である。電子写真方式の画像形成装置12は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、及び定着装置等を含んで構成される。なお、画像形成装置12をインクジェット記録装置としてもよい。この場合、画像形成装置12は、画像に応じてインク滴を記録媒体上に吐出するインクジェット記録ヘッド等を含んで構成される。
(後処理装置)
後処理装置14は、画像形成装置12により一連のスライス画像が形成された記録媒体50に対し、三次元造形用の後処理を行う。三次元造形用の後処理工程については後述する。図2に示すように、後処理装置14は、画像形成装置12に対し、記録媒体50の搬送路を共有しない配置(オフライン、ニアライン)としてもよい。また、図3に示すように、後処理装置14は、画像形成装置12に対し、記録媒体50の搬送路を共有する配置(インライン)としてもよい。
搬送路を共有しない配置の場合は、一連のスライス画像が形成された複数の記録媒体50は、スライス画像の形成順に積層され、スタッカ等の収容機構16に蓄積される。積層された複数の記録媒体50の束は、収容機構16から取り出され、まとめて後処理装置14に引き渡される。一方、搬送路を共有する配置の場合は、スライス画像が形成された記録媒体50が、1枚ずつ後処理装置14に搬送される。
(指示に応じた情報処理)
上記の三次元造形システムでは、画像形成装置12は三次元造形専用の装置ではない。画像形成が指示された場合は、画像形成装置12は通常の画像形成装置として機能する。即ち、情報処理装置10は、基本的には、画像形成の指示か、三次元造形の指示かに応じて異なる情報処理を行う。
画像形成の指示は、本実施の形態では「印刷データ」を用いて行われる。印刷データは、画像を表す画像データと、ページ、部数、用紙サイズ等の印刷設定を表す設定データとを含む。また、本実施の形態では、印刷データは、画像形成装置12に画像を形成させるページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されている。ページ記述言語で記述された印刷データによれば、ページ毎にラスタ画像データが生成され、ページ毎に画像が形成される。以下、画像形成の指示を「印刷データ」という。
情報処理装置10は、印刷データを受け付けると、画像データを、ラスタ画像データに変換する。また、情報処理装置10は、画像データと設定データとから、画像形成装置の各部に指示して画像形成処理を実行させるコマンドデータを生成する。そして、ラスタ画像データとコマンドデータとを画像形成装置12に出力する。
三次元造形の指示は、本実施の形態では「三次元データ」を用いて行われる。三次元データは、三次元造形に必要な情報を含むデータである。本実施の形態では、三次元データは、造形対象となる立体モデルを表す三次元形状データと、スライス間隔等の各種設定を表す設定データとを含む。
情報処理装置10は、三次元データを受け付けると、三次元データに含まれる三次元形状データと設定データとから、複数のスライスデータを生成する。次に、複数のスライスデータから、一連のスライス画像データとコマンドデータとを生成する。次に、一連のスライス画像データを、一連のラスタ画像データに変換する。そして、一連のラスタ画像データとコマンドデータとを画像形成装置12に出力する。
また、情報処理装置10は、複数のスライスデータから、一連の制御データをさらに生成する。一連の制御データは、後処理装置14に三次元造形用の後処理を行わせるためのデータである。後述する通り、制御データは、記録媒体から積層部品を切り出す「切り出し線」を特定する制御データと、記録媒体に糊を塗布する「糊付け領域」を特定する制御データとを含む。
本実施に形態に係る情報処理装置10は、上述した印刷データを用いた画像形成の指示、及び三次元データを用いた三次元造形の指示に加えて、「印刷データを用いた三次元造形の指示」を受け付ける。印刷データを用いた三次元造形では、情報処理装置10は、「三次元造形物の高さ情報」を含む印刷データを取得する。なお、印刷データを用いた三次元造形については後述する。
(シート積層型の三次元造形)
次に、シート積層型の三次元造形の各工程について説明する。
図5(A)は三次元データを用いたシート積層型の三次元造形の「画像形成工程」を示す模式図である。図5(B)はシート積層型の三次元造形の「後処理工程」を示す模式図である。
まず、図5(A)に示すように、情報処理装置10は、立体モデルMの三次元データから複数のスライスデータを生成する。本実施の形態では、1番からT番までのT個のスライスデータが生成される。1番からT番までのT個のスライスデータの各々は、1番からT番までのT個のスライス画像を形成するために、ラスタ画像データに変換される。
次に、図5(A)に示すように、スライス画像を記録媒体に形成する。画像形成装置12は、一連のラスタ画像データに基づいて、記録媒体50上に一連のスライス画像を形成する。一連のスライス画像が形成された複数の記録媒体501〜50Tは、スライス画像の形成順に積層される。「n番」を1番からT番までの番号とすると、n番のスライス画像はn番の記録媒体50nに形成される。
図示した例では、1番からT番までのT個のスライス画像は、T番から1番まで降順に形成される。T番のスライス画像を形成した記録媒体50Tを最下層として、複数の記録媒体501〜50TはT番から1番まで降順に積層される。複数の記録媒体501〜50Tを降順に積層しておくことで、続く後処理工程では、複数の記録媒体501〜50Tは、1番からT番まで昇順に供給される。即ち、後処理装置14で後処理を行う順序とは「逆」の順序で、T個のスライス画像を記録媒体50に形成する。
次に、図5(B)に示すように、スライス画像が形成された記録媒体50に対し後処理を行う。本実施の形態では、後処理装置14は、糊付け処理を行う糊付け部20、切り出し処理を行う切り出し部22、及び圧着処理を行う圧着部24を備えている。糊付け部20、切り出し部22、及び圧着部24の各々は、記録媒体50を搬送する搬送路26に沿って記載した順序で配置されている。後処理装置14は、一連のスライス画像に応じた一連の制御データを、情報処理装置10から取得する。
−スライス画像−
ここで、スライス画像について説明する。
図6(A)から(C)はスライス画像の一例を示す模式図である。図6(A)に示すように、記録媒体50上のスライス画像Mは、積層されて三次元造形物となる積層部品52と不要部分53とで構成される。積層部品52の周辺部には、設定された幅の着色領域56が設けられる。図6(B)に示すように、積層部品52の外周線が、記録媒体50から積層部品52を切り出すための切り出し線54である。
図6(C)に示すように、糊付け領域58は、例えば、着色領域56よりも内側の領域等、積層部品52の外周線(切り出し線54)よりも内側に設定される。なお、不要部分53も含め記録媒体50の全面に糊付けしてもよいが、糊付け領域58を積層部品52の外周線の内側に設定することで、全面に糊付けする場合に比べて、除去対象D(図5(B)参照)を取り除く作業が容易になる。また、糊付け領域58を積層部品52の外周線の内側に設定することで、糊付け後の圧着処理の際に糊が積層部品52からはみ出さない。
なお、着色領域56の幅の設定や、糊付け領域58の積層部品52の外周線からの後退幅の設定は、例えば、情報処理装置10の表示部34に設定画面を表示して、操作部32により利用者からの設定を受け付けるなど、利用者が三次元造形を指示する際に行ってもよい。また、予め定めた初期設定を採用してもよい。
制御データは、切り出し線54を特定する制御データと、糊付け領域58を特定する制御データとを含む。例えば、切り出し線54の経路に在る点の座標データが、切り出し線54を特定する制御データとなる。また、糊付け領域58の各点の座標データが、糊付け領域58を特定する制御データとなる。
糊付け部20には、複数の記録媒体50の束から、記録媒体50が1枚ずつ供給される。糊付け部20は、糊付け領域58を特定する制御データに基づいて、記録媒体50の糊付け領域58に糊を塗布する。糊付け部20は、例えば、糊を吐出する糊吐出ヘッドを備えていてもよい。糊吐出ヘッドは、積層方向(z方向)及び記録媒体50の面内方向(x方向、y方向)に移動する。糊吐出ヘッドが糊を吐出しながら糊付け領域58を走査することで、記録媒体50の糊付け領域58に糊が塗布される。糊付け処理を終えた記録媒体50は、切り出し部22に供給される。
切り出し部22は、切り出し線54を特定する制御データに基づいて、切り出し線54に沿って記録媒体50に切り込みを入れる。切り出し部22は、例えば、刃先を有するカッタとしてもよい。カッタの刃先は、積層方向(z方向)及び記録媒体50の面内方向(x方向、y方向)に移動する。カッタの刃先を、記録媒体50に押し当てながら、面内方向に移動させることで、記録媒体50に切り込みが入れられる。
カッタの刃先の積層方向の位置を調節することで、切り込みの深さが決められる。切り込みの深さは、裏面に到達しない深さとしてもよい。積層部品が記録媒体50から切り離されていないので、搬送過程での積層部品52の欠落が回避される。
カッタは、記録媒体50に対し切り出し線54に沿って切り込みを入れる機能を備えていればよく、刃先を押し当てる力学的カッタには限定されない。例えば、超音波を照射して切り込みを入れる超音波カッタや、レーザ光を照射して切り込みを入れるレーザカッタを用いてもよい。
なお、切り出し部22は、切り込みを入れる代わりに、切り出し線54に沿って記録媒体50に複数の穿孔を形成してもよい。複数の穿孔を形成する場合は、積層部品が記録媒体50と繋がっているので、搬送過程での積層部品52の欠落が更に回避される。
切り出し処理を終えた記録媒体50は、圧着部24に供給される。圧着部24は、供給された記録媒体50を順次積層する。このとき、複数の記録媒体501〜50Tは1番からT番まで昇順に積層される。そして、圧着部24は、積層された複数の記録媒体50の束に対し積層方向に沿って圧力を付加して、複数の記録媒体50を圧着する。圧着により、糊付けされた複数の記録媒体501〜50Tの各々は、上下の記録媒体50と糊付け領域58で接着される。
切り出し処理を終えた記録媒体50は、積層されて三次元造形物Pとなる積層部品52と不要部分53とで構成されるが、不要部分53を除去せずに一体として積層する。記録媒体50の不要部分53は、積層部品52が積層された三次元造形物Pを支える支持部材となる。圧着部24での圧着処理が終了した後に、記録媒体50の積層部品52が積層された除去対象Dを除去して、三次元造形物Pを分離する。
−制御データ−
ここで「制御データ」の一例について説明する。
図7(A)及び(B)は切り出し線を特定する制御データの一例を示す模式図である。図8(A)及び(B)は糊付け領域を特定する制御データの一例を示す模式図である。後述するとおり、積層データは、ポリゴンとスライス面とが交差する交差領域の頂点の座標データを含む。交差領域は、積層部品52の外周線に沿って存在する。したがって、図7(A)に示すように、点A0の座標(x0、y0)など、切り出し線54の経路に在る点の座標データが、切り出し線54を特定する制御データとなる。
図示した例では、星型の積層部品52は11個の頂点A0からA10までを有している。例えば、点A0を始点とする場合は、A0→A1→A2→A3→A4→A5→A6→A7→A8→A9→A10の順に各点を辿ることで、切り出し線54が特定される。
また、図7(B)に示すように、複数の穿孔を形成する場合は、切り出し線54の経路に在る穿孔点の座標データが、切り出し線54を特定する制御データとなる。例えば、点A0を始点とする場合は、A0→A1→A2→A3→A4・・・など、穿孔の形成順に各点を辿ることで、切り出し線54が特定される。
図8(A)に示すように、糊付け領域58の各点の座標データが、糊付け領域58を特定する制御データとなる。糊付け領域58は、積層部品52よりもひとまわり小さく、積層部品52の外周線の内側に設定される。積層部品52の画像を縮小して、糊付け領域58を特定してもよい。この場合、積層部品52の画像の重心と糊付け領域58の重心とを合わせるように、糊付け領域58を配置する。糊付け領域58の各点の座標データは、積層部品52の外周線からの後退幅、及び切り出し線54の経路に在る点の座標データから求められる。
また、図8(B)に示すように、糊付け領域58の全体にわたって糊付けを行う必要はない。糊付け領域58を部分的に間引いて、糊付け領域58の一部に糊付けを行ってもよい。また、糊付け領域58の全体にわたって糊の濃度が一定である必要はない。糊の濃度を変更してもよい場合は、糊付け領域58の周辺部の糊の濃度を、糊付け領域58の中央部の糊の濃度より濃くしてもよい。
切り出し線54を特定する制御データの原点、及び糊付け領域58を特定する制御データの原点は、積層画像を形成する際の画像形成位置の原点と揃えられる。後処理装置14が画像読み取り機能を備えている場合には、画像形成装置12で記録媒体50上に積層画像と共に「制御データの原点」の位置を表すマーク画像を形成し、後処理装置14でマーク画像を読み取って「制御データの原点」の位置情報を取得してもよい。
なお、制御データの形式は、座標データには限定されない。例えば、2値のラスタ画像データなど、切り出し線54や糊付け領域58が、図形やイメージとして表現される画像データとしてもよい。2値のラスタ画像データである場合、図6(B)に示す例では、切り出し線54の画素値を「1」とし、その他の領域の画素値を「0」とする。図6(C)に示す例では、糊付け領域58の画素値を「1」とし、その他の領域の画素値を「0」とする。例えば、糊付け部20の糊吐出ヘッドは、画素値「1」の場合に、記録媒体50上に糊を吐出する。また、画素値「0」の場合には、記録媒体50上に糊を吐出しない。
<印刷データを用いた三次元造形(概略)>
次に、「印刷データを用いた三次元造形」の概略について説明する。
図9は、印刷データを用いた三次元造形により造形される三次元造形物の一例を示す図である。印刷データを用いた三次元造形では、台紙である記録媒体50B上に二次元画像Gが形成される。なお、本実施の形態において「台紙」とは、三次元造形物が重畳される(貼り付けられる)基盤となる記録媒体である。「台紙」は、基盤としての役割を果たす記録媒体であればよく、厚紙である必要はない。
台紙である記録媒体50Bは、「記録媒体50B」と表記することで、積層される他の記録媒体50とは区別されている。ここで「二次元画像」とは、紙等のシート状の記録媒体に形成される画像である。台紙である記録媒体上に形成される画像を「二次元画像」と称することで、本来「高さ」を表さない画像であることを意味している。なお、他の記録媒体に形成される画像も「二次元画像」であるが、後述する通り、スライス画像、積層部品の画像(以下、「部品の画像」という。)と称して、台紙に形成される二次元画像とは区別している。
印刷データを用いた三次元造形では、二次元画像Gが形成された記録媒体50Bを台紙として、台紙上に三次元造形物Qが造形される。三次元造形物Qは、上述したシート積層型の三次元造形法を利用して造形される。三次元造形物Qの形状に制約はなく、如何なる形状であってもよい。例えば、文書の二次元画像Gが形成された記録媒体50B上に、文書の点字翻訳(凸部)を三次元造形物Qとして造形する。
(三次元造形用の印刷データ)
次に、三次元造形用の印刷データについて説明する。
印刷データを用いた三次元造形では、印刷データは、三次元造形物を造形するための情報として、三次元造形物の「高さ情報」を含む。また、印刷データには、指定した属性に高さ情報を対応付ける「指定」が含まれる。例えば、印刷データを生成する他の装置で操作される印刷設定画面に「指定した特色部分を立体にする。」等の選択肢を用意して、指定した属性に高さ情報を対応付ける「指定」を行う。
ここで、高さ情報を対応付ける「属性」を「造形用属性」と定義する。属性とは、二次元画像用の属性であり、各画素の色や濃度等をいう。造形用属性は、新たな属性を追加することなく、二次元画像用に予め用意された属性の中から選択される。また、造形用属性は、形成される二次元画像に影響を与えない範囲で選択される。例えば、画像形成に使用しない属性であれば、属性を高さ情報に応じて変更しても、形成される二次元画像には影響を与えない。
「指定した特色部分を立体にする。」という例では、「特色の種類(色)」や「特色の濃度(以下、「特色濃度」という。)」が、造形用属性として指定される。印刷データには、特色を指定したオブジェクトが含まれることになる。換言すれば、三次元造形物が「特色を指定したオブジェクト」となる。以下では、印刷データが「特色を指定したオブジェクト」を含む場合について説明する。
ここで「特色」とは、複数色での画像形成に用いられる基本色とは異なる特定の色をいう。一般には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)の4色が基本色とされる。各画素の色は、基本色の濃度の組み合わせで表現される。そこで、各基本色の混ぜ合わせでは表現し難い色を特色としている。例えば、白色や透明等が特色として使用される。
なお、ここでは「特色」を指定するが、画像形成に影響を与えない色であれば、特色以外の色を指定してもよい。例えば、基本色を指定してもよい。
図9を参照して、高さ情報を「造形用属性」に対応付ける方法を具体的に説明する。ここでは、造形用属性が「特色濃度」である場合について説明する。また、三次元造形物の「高さ」は、三次元造形物の底面から上面までの距離を表す物理量である。
図9に示す例では、二次元画像Gが形成された記録媒体50B上に、三次元造形物Qが造形される。この場合は、二次元画像Gが形成される領域のうち、三次元造形物Qが造形される領域Rに、特色を指定したオブジェクトが配置される。なお、特色を指定したオブジェクトが配置される領域に、文字、図形、絵柄等の他のオブジェクトを重ねて配置してもよい。三次元造形物Qと共に、文字、図形、絵柄等の画像が形成される。
図10は特色版の一例を示す図である。二次元画像を形成する1ページ分の印刷データには、基本色の画像データCMYKと、特色版Sとが含まれる。特色版は、二次元画像の各画素位置での三次元造形物の高さを「特色濃度」を表すデータである。特色による画像形成は行われない。
二次元画像Gの領域Rの各画素位置に対して、三次元造形物の「高さ」に応じた「特色濃度」が対応付けられる。「高さ」と「特色濃度」との対応関係は、予め定められている。高さと特色濃度との対応関係を用いて、二次元画像Gの領域Rの各画素位置の特色濃度を、各画素位置での三次元造形物の「高さ」に応じた濃度とする。なお、「特色濃度」が対応付けられていない画素位置では、三次元造形物が造形されないので、特色濃度をゼロとし、三次元造形物の高さもゼロとする。
図11は高さと特色濃度との対応関係の一例を示す図である。三次元造形物の高さと特色濃度との対応関係は、高さ変換テーブルで与えられる。高さ変換テーブルは、図11に示すように、例えば、横軸を濃度、縦軸を三次元造形物の高さとしたグラフ62によって表される、高さと特色濃度との対応関係を表すテーブルである。
例えば、各色の濃度は、8ビット(=0から255)の画素値で表される。特色濃度を特色版の画素値で表した場合、高さ「0mm」に対応する画素値を「0」とし、高さ「20mm」に対応する画素値を「255」とし、高さと画素値との対応関係を比例関係とする。ここで、高さ「0mm」に対応する画素値を「5」とするなど、特色濃度に、予め定めた濃度(いわゆる、オフセット)を加えてもよい。
なお、高さと特色濃度との対応関係は、「印刷データを用いた三次元造形」に関する情報処理を実行する前に、情報処理装置10により予め取得されている。例えば、高さと特色濃度との対応関係は、印刷データを用いた三次元造形の指示と共に、情報処理装置10に通知される。取得された対応関係は、情報処理装置10の不揮発性メモリ30D等の記憶装置に記憶される。
印刷データを用いた三次元造形では、情報処理装置10は、三次元造形用の印刷データを受け付けると、二次元画像の画像データの各画素位置での特色濃度を抽出し、高さと特色濃度との対応関係を用いて、各画素位置での特色濃度を、各画素位置での高さに変換する。
各画素位置での高さは、三次元造形物Qを表す三次元形状データに変換される。三次元形状データは、スライスされてスライスデータとされる。スライスデータが画像データに変換されて、部品の画像データが生成される。部品の画像データに基づいて部品の画像が形成される。各工程の詳細については後述する。
<印刷データを用いた三次元造形(具体例)>
次に、本実施の形態で行われる「印刷データを用いた三次元造形」について説明する。 本実施の形態では、スライスデータから得られた部品の画像データに従って部品の画像を形成したのでは、不要部分として廃棄される割合が高くなる場合に、部品の画像を形成する位置を変更する。
以下、「部品の画像を形成する位置の変更」について簡単に説明する。
図12(A)及び図12(B)は、台紙である記録媒体上に造形される三次元造形物の一例を示す図である。図12(A)に示すように、本実施の形態の「印刷データを用いた三次元造形」では、台紙である記録媒体50B上に二次元画像Gが形成される。記録媒体50Bを台紙として、台紙上に三次元造形物601から604が造形される。三次元造形物601から604の各々は、二次元画像G上に配置される。
三次元造形物601から604の各々は、記録媒体から切り出された部品52を積層して造形される。三次元造形物601から604の各々を区別する必要がない場合は、三次元造形物60と総称する。三次元造形物601から604の各々は、二次元画像G内に在る写真画像の各隅上に配置されて、写真画像の枠(フレーム)を表している。
図示した例では、三次元造形物601から604の各々の形状は三角柱状である。図12(B)に示すように、三角柱状の三次元造形物604は、台紙である記録媒体50Bを1層目として、シート状の三角形の部品524を2層目に積層し、シート状の三角形の部品528を3層目に積層して造形される。
図13(A)及び図13(B)は、スライスデータから得られた部品の画像データに従って形成された部品の画像の一例を示す図である。スライスデータは、図12(A)及び図12(B)に示す三次元造形物60のスライス断面を表すデータである。
記録媒体501には、2層目に積層される部品521から部品524が形成される。記録媒体502には、3層目に積層される部品525から部品528が形成される。部品521から部品528の各々を区別する必要がない場合は、部品52と総称する。また、記録媒体50B、記録媒体501、記録媒体502の各々を区別する必要がない場合は、記録媒体50と総称する。
図13(A)及び図13(B)に示す例では、部品521から部品528の各々の画像は、その部品52が積層される位置に形成されている。例えば、2層目に積層される部品521の画像は、2枚目に画像が形成される記録媒体501に形成されている。部品521の画像は、2枚目の記録媒体501を1枚目の記録媒体50Bに重ねたときに、三次元造形物601の配置領域に重なる位置に形成されている。以下では、部品52が積層される位置を「部品の積層位置」という。
ここで、部品の積層位置は、部品が積層される積層順(何層目の記録媒体か)、及び記録媒体の面内での位置により表される。記録媒体の面内での位置は、基準位置に対する相対的な位置で表される。例えば、記録媒体の1つの隅を「原点」としてxy座標で表してもよい。記録媒体の左上隅を原点(例えば、図14の点O1)」としてもよく、左下隅を原点(例えば、図14の点O2)」としてもよい。部品が三角形のシートである場合、積層位置は三角形の各頂点のxy座標で表される。
また、部品の画像が形成される位置を「部品の形成位置」という。部品の形成位置は、記録媒体に画像が形成される形成順(何枚目の記録媒体か)、及び記録媒体の面内での位置により表される。記録媒体の面内での位置は、積層位置と同様に、xy座標で表す等、基準位置に対する相対的な位置で表される。
上記の通り、部品の画像データから、部品の積層位置が特定される。即ち、各部品について、部品が積層される積層順、及び記録媒体の面内での位置が分かる。部品の画像データに従って部品の画像を形成すると、「部品の積層位置」が「部品の形成位置」となる。即ち、部品52が積層される積層順が、記録媒体に画像が形成される形成順となり、記録媒体の面内での積層位置が記録媒体の面内での形成位置となる。
また、部品の画像データに従って部品の画像を形成すると、スライス数と同じ枚数の記録媒体に部品の画像が形成される。本実施の形態では、スライスデータを生成する際のスライス数より少ない枚数の記録媒体に、部品の画像が形成されるように、部品の形成位置を、部品の積層位置から他の位置に変更する。部品の画像を形成する形成先は、二次元画像が形成される記録媒体上の位置、または、二次元画像が形成される記録媒体に連続する少なくとも1枚の他の記録媒体上の位置である。
例えば、部品の画像を形成する形成先を、二次元画像が形成される記録媒体に存在する「余白部分」とする。ここで「余白部分」とは、記録媒体の画像形成領域のうち二次元画像が形成されない領域をいう。また、「画像形成領域」とは、画像が形成される領域全体をいう。二次元画像が形成される記録媒体に「余白部分」が存在しない場合は、部品の画像を形成する形成先を、次に画像が形成される「他の記録媒体上」とする。
図14に示すように、二次元画像Gが形成された記録媒体50Bに、部品52の画像を形成するのに十分な余白部分50Yが存在する場合は、部品52の画像を余白部分50Yに形成する。二次元画像Gと部品の画像とが1枚の記録媒体にまとめて形成される。例えば、印刷データにより名刺やポストカードを作製する場合は、記録媒体に形成される二次元画像(画像出力部分)が小さく余白部分が生じるので、余白部分に部品の画像を形成する。
例えば、図13(A)に示すように、2層目に積層される部品524の画像は、部品の画像データに従えば、2枚目の記録媒体501上に形成される。これに対し、部品524の形成位置を、台紙である記録媒体50Bの余白部分に変更した場合は、図14に示すように、2層目に積層される部品524の画像は、1枚目の記録媒体50B上に形成される。
余白部分50Yに部品52の画像を形成した場合は、余白部分50Yから部品52を切り出す。そして、余白部分50Yから切り出した部品52を、二次元画像Gが形成された記録媒体50B上の積層位置に積層する。部品52を切り出す「前」、または、部品52を切り出した「後」に、余白部分50Yは、記録媒体50Bの本体50Hから切り離される。
図15に示すように、二次元画像Gが形成された記録媒体50Bに、部品52の画像を形成するのに十分な余白部分が存在しない場合は、部品52の画像を2枚目の他の記録媒体501に形成する。ここでは、台紙である記録媒体50Bが1枚目である。他の記録媒体が1枚の場合は、複数の部品の画像が1枚の記録媒体にまとめて形成される。
他の記録媒体501に部品52の画像を形成した場合は、他の記録媒体501から部品52を切り出す。そして、他の記録媒体501から切り出した部品52を、二次元画像Gが形成された記録媒体50B上の積層位置に積層する。
(情報処理装置の機能)
次に、情報処理装置の機能構成について説明する。
図16は情報処理装置の「印刷データを用いた三次元造形」に関係した機能構成の一例を示す機能ブロック図である。情報処理装置10は、図16に示した機能構成の他、三次元データを受け付け、受け付けた三次元データを処理してスライスデータと制御データを生成する図示しない三次元データ処理部を有するが、ここでは説明を省略する。
図16に示すように、情報処理装置10は、解析部40、抽出部41、変換部42、三次元データ生成部43、スライス処理部44、画像データ生成部45、部品位置変更部46、ラスタ処理部47、制御データ生成部48、及び制御データ記憶部49を備えている。画像データ生成部45が「取得手段」の一例であり、部品位置変更部46が「変更手段」の一例である。
解析部40は、印刷データを受け付けると、印刷データに「高さ情報」が含まれているか否かを解析する。「高さ情報」が含まれる場合、解析部40は、印刷データから三次元造形物を造形するために、受け付けた印刷データを抽出部41に通知する。
上記の通り、三次元造形用の印刷データには、「指定した特色部分を立体にする。」等、指定した属性に高さ情報を対応付ける「指定」が含まれている。印刷データが「指定」を含む場合は、印刷データに「高さ情報」が含まれている。印刷データが「指定」を含まない場合は、印刷データに「高さ情報」が含まれていない。
抽出部41は、高さ情報を含む印刷データを受け付けると、受け付けた印刷データから「高さ情報」に対応付けられた「造形用属性」を抽出する。
上記の通り、造形用属性が「特色濃度」であり、高さ情報は「特色濃度」として印刷データに含まれている。したがって、二次元画像の各画素位置の「特色濃度」を抽出する。
変換部42は、高さと特色濃度との対応関係を用いて、各画素位置の特色濃度を、各画素位置での三次元造形物の高さに変換する。
三次元データ生成部43は、各画素位置での三次元造形物の高さから、三次元造形物を表す三次元形状データを生成する。
三次元形状データは、立体モデルを単位要素の集合として表現するデータである。例えば、OBJフォーマットの三次元形状データでは、立体モデルは三角形のポリゴンの集合として表現される。三次元形状データには、形状データを取り扱うファイルが含まれる。このファイルでは、各単位要素に対し、座標データ(例えば、ポリゴンの各頂点の座標データ)が対応付けられて定義されている。
また、各単位要素に対し、色情報を対応付けて定義してもよい。各単位要素に対応付ける色は、三次元造形物に付与する色とする。例えば、高さ情報の対応付けに用いた「特色」を、三次元造形物に付与する色としてもよい。また、特色を指定したオブジェクトに重ねて配置される他のオブジェクトで指定された色を、三次元造形物に付与する色としてもよい。
例えば、図9に示す例では、三次元造形物Qが接地される接地面を「XY平面」とする。また、三次元造形物Qを造形するために記録媒体を積層する方向(積層方向)を「Z軸方向」とする。したがって、各画素位置での三次元造形物Qの高さは、各単位要素の三次元空間での座標データに変換されて、三次元形状データが生成される。
スライス処理部44は、三次元形状データからスライスデータを生成する。上記接地面(XY平面)に平行なスライス面を設定する。このスライス面を、積層方向(Z軸方向)に沿って予め定めた間隔でシフトさせながら、スライス面がシフトする毎にスライスデータを生成する。本実施の形態では、三次元形状は、記録媒体の厚さに応じた間隔で、積層方向と交差する方向にスライスされる。
スライスデータは、三次元造形物をスライス面でスライスして得られる断面画像を表す。具体的には、スライスデータは、ポリゴン等の単位要素とスライス面とが交差する交差領域の単位要素の座標データによって、三次元造形物の断面画像を表す。
画像データ生成部45は、スライスデータを、例えばJPEG等のファイル形式の画像データに変換する。生成された一連のスライス画像の画像データが「部品の画像データ」である。部品の画像データは、元々印刷データに含まれていた画像データと共に、部品位置変更部46に出力される。
部品位置変更部46は、部品の形成位置を、部品の画像データから特定される積層位置から、他の位置に変更する。また、部品位置変更部46は、部品毎に「積層位置」を表す位置情報及び「形成位置」を表す位置情報を取得する。部品の形成位置が変更された画像データは、ラスタ処理部47に出力される。
部品の画像を余白部分に形成する場合は、1ページ分の画像データをラスタ処理部47に出力する。1ページ分の画像データにより、二次元画像と部品の画像とが1枚の記録媒体に形成される。また、部品の画像を他の記録媒体に形成する場合は、連続する複数ページ分の画像データをラスタ処理部47に出力する。複数ページ分の画像データにより、二次元画像が1枚目の記録媒体に形成されると共に、部品の画像が2枚目以降の記録媒体に形成される。
ラスタ処理部47は、画像データをラスタ処理して、ラスタ画像データを生成する。生成されたラスタ画像データは、画像形成装置12に出力される
また、部品位置変更部46は、部品毎の位置情報を、制御データ生成部48に出力する。制御データ生成部48は、部品の形成位置を表す位置情報から、糊付けや切り出しを行うための制御データを生成し、部品の積層位置を表す位置情報から部品を積層するための制御データを生成する。
生成された制御データは、部品の識別情報(例えば、部品を表す番号)と関連付けられて、制御データ記憶部49に記憶される。なお、制御データは、利用者から後処理開始の指示を受け付けると、制御データ記憶部49から読み出されて、後処理装置14に出力される。
一方、解析部40で受け付けた印刷データに「高さ情報」が含まれない場合は、解析部40は、受け付けた印刷データをラスタ処理部47に出力し、印刷データに対応したラスタ画像データを生成する。すなわち、情報処理装置10は、画像形成の指示に応じた通常の情報処理を実行する。
上述した解析部40、抽出部41、変換部42、三次元データ生成部43、スライス処理部44、画像データ生成部45、部品位置変更部46、ラスタ処理部47、及び制御データ生成部48における各機能は、CPU30Aによって実行される。
なお、第1の実施の形態では、情報処理装置10が制御データ記憶部49を備える構成としているが、制御データを格納する記憶手段は、情報処理装置10外に配置してもよい。例えば、後処理装置14に記憶手段を設けてもよい。この場合は、情報処理装置10で生成された制御データは、後処理装置14の記憶手段に格納され、後処理装置14の記憶手段から読み出されて使用される。
また、例えば、制御データを格納する記憶手段を、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型の記録媒体としてもよい。この場合は、情報処理装置10で生成された制御データは、コンピュータ読み取り可能な可搬型の記録媒体に格納される。格納された制御データは、情報処理装置10又は後処理装置14に設けられたドライブ等のデータ読み取り機構により、コンピュータ読み取り可能な可搬型の記録媒体から読み出されて使用される。
(情報処理プログラム)
次に、情報処理プログラムについて説明する。
図17は第1の実施の形態に係る「情報処理プログラム」の処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理プログラムは、情報処理装置10のROM30Bに記憶されている。情報処理プログラムは、利用者から画像形成の指示を受け付けた場合に、情報処理装置10のCPU30AによりROM30Bから読み出されて実行される。
ステップS10で、指定した属性に高さ情報を対応付ける「指定」が、印刷データに含まれるか否かを判定する。印刷データが「指定」を含む場合は、ステップS20に進む。一方、印刷データが「指定」を含まない場合は、ステップS60に進む。次に、ステップS20で、印刷データに含まれる高さ情報から、三次元造形に用いるスライスデータを生成する「スライスデータ生成処理」を実行する。
次に、ステップS30で、スライスデータから部品の画像の画像データを生成する。次に、ステップS40で、部品の形成位置を、積層位置から余白部分または他の記録媒体上に変更する。次に、ステップS50で、部品の「積層位置」及び「形成位置」を表す位置情報から制御データを生成する。ステップS60で、生成した制御データを制御データ記憶部49に記憶する。次に、ステップS70で、部品を形成する位置を変更した後の画像データからラスタ画像データを生成し、生成したラスタ画像データを画像形成装置12へ送信して、図17に示す情報処理プログラムを終了する。
−スライスデータ生成処理−
ここで、ステップS20で実行される「スライスデータ生成処理」について説明する。 図18は「スライスデータ生成処理」の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS100で、印刷データから、二次元画像の各画素位置の「特色濃度」を抽出する。次に、ステップS102で、特色濃度を高さに変換する「高さ変換テーブル」を取得する。高さ変換テーブルは、高さと特色濃度との対応関係として、不揮発性メモリ30D等の記憶装置に予め記憶されている。
次に、ステップS104で、高さ変換テーブルを用いて、各画素位置の特色濃度を、各画素位置の「高さ」に変換する。次に、ステップS106で、各画素位置での三次元造形物の高さから、記録媒体上に造形される三次元造形物を表す三次元形状データを生成する。次に、ステップS108で、三次元形状データからスライスデータを生成して、ルーチンを終了する。
−部品位置変更処理−
ここで、ステップS40で実行される「部品位置変更処理」について説明する。
本実施の形態では、二次元画像が形成される記録媒体に、複数の部品各々の画像を形成する余白部分が存在する場合は、余白部分に部品の画像を形成する。また、二次元画像が形成される記録媒体に、複数の部品各々の画像を形成する余白部分が存在しない場合は、他の記録媒体に部品の画像を形成する。
また、二次元画像が形成される記録媒体に、複数の部品各々の画像を形成する余白部分が存在するか否かは、部品の画像の形成に必要な面積と、余白部分の面積とを比較して判断する。記録媒体の画像形成領域の面積から、二次元画像の面積を除いた面積を「余白部分の面積」とする。
初期設定では、記録媒体のサイズは二次元画像の面積に応じた「サイズS」であり、他の記録媒体の枚数は「0」である。また、スライスデータを生成したときのスライス数は「N」とする。なお、記録媒体のサイズとしては、サイズS、サイズM、サイズLの3種類が用意されており、これ等のサイズの大小関係は、サイズS<サイズM<サイズLとする。
図19は「部品位置変更処理」の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS200で、二次元画像の面積S1を求める。次に、ステップS202で、部品の画像の形成に必要な面積S2を求める。次に、ステップS204で、初期設定のサイズの記録媒体の画像形成領域の面積S3を求める。
部品の画像の形成に必要な面積S2は、複数の部品各々の画像の面積の総和(以下、「部品の画像の総面積」という。)としてもよい。また、部品の画像の形成に必要な面積S2は、部品の画像の総面積より大きくしてもよい。部品の画像の形成に必要な面積S2が、隣り合う画像と画像とを離間させる枠部の面積を含む場合は、部品の画像の形成に必要な面積S2は、部品の画像の総面積より大きくなる。例えば、部品の画像の総面積の2倍等、部品の画像の形成に必要な面積S2は、部品の画像の総面積の整数倍などとしてもよい。
次に、ステップS206で、余白部分の面積(S3−S1)が、部品の画像の形成に必要な面積S2以上であるか否かを判断する。余白部分の面積(S3−S1)が、部品の画像の形成に必要な面積S2以上である場合、即ち、(S3−S1)≧S2の場合は、部品の画像を形成するのに十分な余白部分が存在するので、ステップS207に進む。
次に、ステップS207で、部品の画像の形成先を余白部分に決定する。次に、ステップ208で、二次元画像及び部品の画像を形成する記録媒体のサイズを取得する。
次に、ステップS210で、各部品について、部品が積層される積層位置を表す位置情報を取得する。取得された各部品の積層位置の位置情報は、部品の識別情報(例えば、番号等)に関連付けてメモリ30D等に記憶される。
次に、ステップS212で、部品が形成される位置を変更する。ステップ207で部品の画像の形成先を余白部分に決定してステップ212に進んだ場合は、部品が形成される位置を余白部分に含まれる位置に変更する。
次に、ステップS214で、部品が形成される形成位置を表す位置情報を取得して、ルーチンを終了する。取得された各部品の形成位置の位置情報は、部品の識別情報(例えば、番号等)に関連付けてメモリ30D等に記憶される。
一方、ステップ206で判断した結果、余白部分の面積(S3−S1)が、部品の画像の形成に必要な面積S2未満である場合、即ち、(S3−S1)<S2の場合は、部品の画像を形成するのに十分な余白部分が存在しないので、ステップS216に進む。
次に、ステップS216では、サイズの変更が可能か否かを判断する。サイズの変更が可能な場合はステップS218に進む。次に、ステップS218で、記録媒体のサイズを変更する。ここでは、サイズSからサイズMに変更する等、余白が拡がるように記録媒体のサイズを大きくする。ステップS218でサイズを変更した後は、ステップS204に戻って、ステップS204からステップ216までの手順を繰り返し行う。
記録媒体のサイズは、複数の部品の点数や、複数の部品各々の大きさ(面積)に応じて変更してもよい。例えば、複数の部品の点数が予め定めた閾値未満の場合は、サイズSからサイズMに変更し、複数の部品の点数が予め定めた閾値以上の場合は、サイズSからサイズLに変更してもよい。また、部品の画像の総面積が予め定めた閾値未満の場合は、サイズSからサイズMに変更し、部品の画像の総面積が予め定めた閾値以上の場合は、サイズSからサイズLに変更してもよい。
記録媒体のサイズを変更してステップ204に戻った場合は、ステップS204で、変更後のサイズの記録媒体の画像形成領域の面積S3を求める。次に、ステップS206で、変更後のサイズの記録媒体に生じる余白部分の面積(S3-S1)が、部品の画像の形成に必要な面積S2以上であるか否かを判断する。(S3−S1)≧S2の場合は、部品の画像を形成するのに十分な余白部分が存在するので、ステップS207に進む。(S3−S1)<S2の場合は、部品の画像を形成するのに十分な余白部分が存在しないので、ステップS216に進む。
ステップS216でサイズを変更できない場合は、ステップS220に進む。例えば、記録媒体のサイズを最大サイズである「サイズL」に変更しても、部品の画像が余白に収まらない場合は、記録媒体のサイズを変更することができないと判断される。次に、ステップS220で、記録媒体のサイズを変更前の設定(初期設定)に戻す。サイズが初期設定から変更されていない場合は、初期設定のサイズを維持する。
次に、ステップ222で、他の記録媒体の枚数を1枚追加する。他の記録媒体の枚数の設定は「1」になる。次に、ステップ224で、他の記録媒体の枚数が、スライス数より少ないか否かを判断する。スライス数はNである。したがって、他の記録媒体の枚数が、N未満か否かを判断する。他の記録媒体の枚数がN未満の場合は、ステップ226に進む。次に、ステップ226で、他の記録媒体の画像形成領域の面積S4を求める。
次に、ステップ228で、他の記録媒体の画像形成領域の面積S4が、部品の画像の形成に必要な面積S2以上であるか否かを判断する。他の記録媒体の画像形成領域の面積S4が、部品の画像の形成に必要な面積S2以上である場合、即ち、S4≧S2の場合は、ステップS230に進む。
次に、ステップS230で、部品の画像の形成先を他の記録媒体に決定する。次に、ステップ232で、部品の画像を形成する他の記録媒体の枚数を取得して、ステップ210に進む。
次に、ステップS210で、各部品について、部品が積層される積層位置を表す位置情報を取得する。取得された各部品の形成位置の位置情報は、部品の識別情報に関連付けて記憶される。
次に、ステップS212で、部品が形成される位置を変更する。ステップ230で部品の画像の形成先を他の記録媒体に決定してステップ212に進んだ場合は、部品が形成される位置を他の記録媒体に含まれる位置に変更する。
次に、ステップS214で、部品が形成される形成位置を表す位置情報を取得して、ルーチンを終了する。取得された各部品の形成位置の位置情報は、部品の識別情報に関連付けて記憶される。
一方、ステップ224で他の記録媒体の枚数がN以上の場合は、部品の画像が形成される位置を変更せずに、ステップ234に進む。この場合、部品の積層位置が、部品の形成位置となる。ステップ234で、各部品について、部品が積層される積層位置を表す位置情報を取得する。取得された各部品の積層位置の位置情報は、積層位置の位置情報及び形成位置の位置情報の各々として、部品の識別情報に関連付けて記憶される。
また、ステップ228で他の記録媒体の画像形成領域の面積S4が、部品の画像の形成に必要な面積S2未満である場合、即ち、S4<S2の場合は、ステップS222に戻って、更に他の記録媒体を追加する。なお、他の記録媒体の枚数が複数枚の場合は、ステップ226で求める「画像形成領域の面積S4」は、他の記録媒体の各々の画像形成領域の面積の総和(画像形成領域の総面積)となる。また、他の記録媒体の枚数が複数枚の場合は、部品の画像は複数枚に分けて形成される。
なお、本実施の形態では、情報処理プログラムが、情報処理装置10のROM30Bに記憶されている例について説明するが、情報処理プログラムは他の記憶手段により記憶されていてもよい。例えば、情報処理プログラムは、情報処理装置10の他の記憶装置に記憶されていてもよく、情報処理装置10の外部に配置された他の記憶手段に記憶されていてもよい。
また、情報処理プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型の記録媒体に記憶されていてもよい。情報処理プログラムは、情報処理装置10に設けられたドライブ等のデータ読み取り機構により、コンピュータ読み取り可能な可搬型の記録媒体から読み出される。
<変形例>
なお、上記の実施の形態で説明した情報処理装置、プログラム及び三次元造形システムの構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
(位置情報の付加)
上記の実施の形態では、図16に示すように、情報処理装置10が制御データを生成する制御データ生成部48、制御データを記憶する制御データ記憶部49を備える構成としたが、制御データは生成しない構成としてもよい。
例えば、各部品52の画像に対し、部品の積層位置を表す位置情報を示す画像を付加してもよい。また、部品の積層位置を表す位置情報及び部品の形成位置を表す位置情報の各々を示す画像を付加してもよい。例えば、図20に示すように、位置情報を表す符号の画像62を各部品52の画像に付加する。符号は、バーコード等の一次元の符号でもよく、QRコード(登録商標)等の二次元の符号でもよい。図示した例では、部品521には、その部品521の位置情報を表すバーコードの画像621が付加されている。同様に、部品522にはバーコードの画像622、部品523にはバーコードの画像623、部品524にはバーコードの画像624が、各々付加されている。
この場合、後処理装置14は、付加された画像62から、部品52の位置情報を読み取って後処理を行う。また、利用者が、付加された画像62から位置情報を読み取って、部品52の画像が形成された記録媒体50から部品52を切り出して積層するようにしてもよい。
(高さ情報の設定)
上記の実施の形態では、三次元造形用の印刷データが、下記の(1)から(4)の条件で、三次元造形物の高さ情報を含む例について説明したが、各条件を変更してもよい。
(1)特色版は、二次元画像の1色として印刷データに含まれる。
(2)造形用属性が「特色濃度」である。
(3)三次元造形物の「高さ」は、三次元造形物の底面から上面までの距離を表す物理量である。
(4)高さと特色濃度との対応関係は、高さ変換テーブルで与えられる。
例えば、条件(1)の特色版については、「高さ指示ページ」として印刷データに含まれていてもよい。また、条件(2)の造形用属性については、特色の種類、各基本色の濃度またはそれらの組合せ等としてもよい。また、条件(3)の三次元造形物の高さを、記録媒体の積層枚数で表してもよい。また、条件(4)の対応関係は、式や係数で与えてもよい。
(部品画像の形成先)
上記の実施の形態では、部品の画像を形成する形成先を、二次元画像が形成される記録媒体上の位置、または、二次元画像が形成される記録媒体に連続する少なくとも1枚の他の記録媒体上の位置としたが、これらには限定されない。例えば、「一部」の部品の画像を二次元画像が形成される記録媒体上の位置に形成し、「残り」の部品の画像を他の記録媒体上の位置に形成してもよい。