以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、本実施の形態に係る無線通信システムはLTE(5Gを含む)に準拠した方式のシステムを想定しているが、本発明はLTE(5Gを含む)に限定されるわけではなく、他の方式にも適用可能である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「LTE」は、3GPPのリリース8、又は9に対応する通信方式のみならず、3GPPのリリース10、11、12、13、又はリリース14以降に対応する第5世代の通信方式も含む広い意味で使用する。
本実施の形態では、上りリンクのデータ送信を例に説明するが、これに限定されず、本実施の形態は、下りリンクのデータ送信に適用することも可能である。
<<システム構成>>
図2は、実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。図2に示すように、実施の形態に係る無線通信システムは、ユーザ装置UEと、基地局10と、コアネットワーク20と、PDN(Packet data network)30とを有する。
ユーザ装置UEは、スマートフォンのように大量のデータを頻繁に送受信する端末、IoTデバイスのように少量のデータのみを低頻度で送受信する端末(MTC端末)などであり、本実施の形態では、あらゆる種別のユーザ装置UEが含まれる。また、ユーザ装置UEは、アプリケーションレイヤ、NAS(Non Access Stratum)レイヤ、RRC(Radio Resource Control)レイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、MAC(Medium Access Control)レイヤ、及び物理レイヤの各機能を有している。
基地局10は、ユーザ装置UEとの間で確立される1以上の無線ベアラを介してユーザ装置UEと通信を行う。また、基地局10は、RRCレイヤ、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、及び物理レイヤの各機能を有している。基地局10は、「eNB」、「NR(New Radio)ノード」、「gNB」、「eLTE eNB(evolution LTE enhanced NodeB)」などと呼ばれてもよい。
コアネットワーク20は、呼制御信号(C−plane信号)を処理する装置、ユーザデータ(U−plane信号)を処理する装置、PDN30との間で信号の送受信を行うゲートウェイ装置、加入者情報を管理するサーバなどを含む。コアネットワーク20は、「Next Gen Core」と呼ばれてもよい。
PDN30は、コアネットワーク20の外側に位置するパケットネットワークであり、APN(Access Point Name)と呼ばれる識別子で認識(identify)される。PDN30は、例えば、IMS(IP Multimedia Subsystem)、インターネット、企業のイントラネットなどである。
<<5Gで検討されているQoS制御について>>
前述したように、5Gの無線通信システムでは、EPSベアラの概念に代えて、データフローと呼ばれる概念を導入することが検討されている。より具体的には、5Gの無線通信システムでは、通信先のPDN30とユーザ装置UEとの間でデータを送受信するためのPDNコネクション(PDN Connection)を確立し、基地局10とコアネットワーク20の間で、1以上のデータフローを流すためのデータトンネルを確立する。データフローには、各データフローを識別するためのデータフローID(Data Flow ID)が付与され、各データフローで送受信されるデータ内の所定のヘッダに格納される。また、各データフローにはQoSパラメータが割当てられ、無線通信システム内でQoS制御を行う際に用いられる。また、各データフローには、データフロー間の優先順位を示すFPI(Flow Priority Indicator)を付与することもできる。
一方、基地局10とユーザ装置UEとの間では、従来のLTEと同様に無線ベアラが確立される前提で検討されている。無線ベアラは、制御信号の送受信に用いられるSRB(Signaling Radio Bearer)と、ユーザデータの送受信に用いられるDRB(Data Radio Bearer)とに分けられる。SRBで送受信される制御信号は、例えば、ユーザ装置UEと基地局10との間で送受信されるシグナリング信号(例えばRRCメッセージ)、ユーザ装置UEとコアネットワーク20間で送受信されるシグナリング信号(例えばNAS(Non Access Stratum)メッセージ)などである。無線ベアラにもQoSパラメータが割当てられており、基地局10は、QoSパラメータを満たすように無線リソースのスケジューリング、無線リソースのマッピング等を行うことになる。なお、無線ベアラに割当てられるQoSパラメータは、上述のデータフローに割当てられるQoSパラメータとは必ずしも同一ではない。
ユーザ装置UEとPDN30間で送受信されるデータは、ユーザ装置UE、基地局10及びコアネットワーク20の間で行われるネゴシエーションにより、少なくとも、各データが要求するQoSレベルの要求を満たす無線ベアラに対応づけられる。なお、無線ベアラとデータフローとの対応づけ(マッピング)をどのように行うのかについては現在3GPPで検討中である。
以上、5Gで検討されているQoS制御について説明したが、本実施の形態に係るユーザ装置UE、基地局10及びコアネットワーク20は、以上説明したQoS制御を行う機能を有している前提とする。
<<処理手順>>
本実施の形態に係るユーザ装置UEは、ユーザ装置から送信すべき上りデータ(以下、「新たなデータ」と呼ぶ。または、「新たに生成されたデータ(newly generated data)」と呼んでもよい。)が生じた場合において、新たなデータが要求するQoSレベルに対応づけられる無線ベアラ(以下、「本来の無線ベアラ」と呼ぶ。または、「新たに生成されたデータのために設定されるであろう無線ベアラ(a radio bearer which is not initially established but will be established for the newly generated data)」と呼んでもよい。)が確立されていない場合、新たなデータを、基地局10との間で既に確立されている無線ベアラ(以下、「既設の無線ベアラ」と呼ぶ)を介して基地局10に送信する。また、ユーザ装置UEは、並行して、本来の無線ベアラの確立を基地局10に要求し、本来の無線ベアラが確立された後、新たなデータを、確立された本来の無線ベアラを介して基地局10に送信する。
なお、LTEでは、DRBと論理チャネル(LCH:Logical Channel)は1対1に対応づけられており、5Gでも踏襲される可能性が想定される。また、5Gでは、SRBについても論理チャネルと1対1に対応づけられることも想定される。従って、本処理手順で説明する、"無線ベアラ"の用語を"論理チャネル"に置き換えてもよい。例えば、"既設の無線ベアラ"及び"本来のベアラ"を、それぞれ"既設の論理チャネル"及び"本来の論理チャネル"に置き換えてもよい。
<既設の無線ベアラの選択について>
続いて、本来の無線ベアラが確立されていない場合に新たなデータを送信するための既設の無線ベアラの選択方法について、複数の例を説明する。
(選択方法その1)
図3(a)に示すように、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラとして、SRBを選択する。複数のSRBが設定されている場合、ユーザ装置UEは、任意のSRBを選択してもよいし、SRBの中でも、DCCH(Dedicated Control Channel)がマッピングされるSRBを選択してもよい。SRBは無線ベアラの中でも高い優先度に対応づけられていることから、新たなデータを優先的に送信することが可能になる。
(選択方法その2)
図3(a)及び図3(b)に示すように、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラとして、新たなデータが要求するQoSレベルに近い無線ベアラ(SRB又はDRB)を選択する。例えば、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラに割当てられているQoSパラメータと、本来の無線ベアラに割当てられるべきQoSパラメータとの差分が所定の閾値以内である場合に、QoSレベルが近いと判定するようにしてもよい。また、例えば、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラに割当てられているQoSパラメータが、本来の無線ベアラに割当てられるべきQoSパラメータよりも高い場合に、QoSレベルが近いと判定するようにしてもよい。
また、ユーザ装置UEは、QoSレベルが近い無線ベアラとして、本来の無線ベアラに設定されるべきRLCモード(AM(Acknowledge Mode)、UM(Unacknowledge Mode)又はTM(Transparent Mode))と同一のRLCモードが設定されている既設の無線ベアラから選択するようにしてもよい。また、ユーザ装置UEは、QoSレベルが近い無線ベアラとして、信頼性の高いモードであるAMが設定されている既設の無線ベアラを選択するようにしてもよい。
選択方法その2では、不必要に高いQoSレベルの無線ベアラが選択されることにより、その無線ベアラで本来送信すべき上りデータの送信が遅延するといった問題が生じるリスクを抑制することが可能になる。また、QoSレベルが低すぎる無線ベアラが選択されてしまい、新たなデータの送信が遅延するというリスクを抑制することも可能になる。
(選択方法その3)
図3(a)及び図3(b)に示すように、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラとして、確立されている無線ベアラ(SRB又はDRB)のうち任意の無線ベアラを選択する。より詳細には、ユーザ装置UEは、確立されている無線ベアラの中からランダムに無線ベアラを選択してもよいし、無線ベアラが確立されたタイミング、無線ベアラの識別子(又は論理チャネル識別子(LCID))、が古い(又は新しい)順に、ラウンドロビンに無線ベアラを選択するようにしてもよい。
選択方法その3では、確立されている無線ベアラのうちいずれかの無線ベアラが選択されることになるため、新たなデータの送信を迅速に開始することが可能になる。
(選択方法その4)
図3(c)に示すように、ユーザ装置UE及び基地局10は、本来の無線ベアラが確立されていない場合に上りデータを送信するために用いられる専用のベアラを予め1又は複数確立しておき、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラとして当該専用のベアラを選択する。
選択方法その4では、新たなデータと、既設の無線ベアラを流れる他のデータとが混在することを回避でき、新たなデータが、既設の無線ベアラを流れる他のデータのトラフィックパターン等の影響を受けることを抑止することが可能になる。
(選択方法その5)
ユーザ装置UE及び基地局10は、新たなデータを、CCCH(Common Control Channel)で送信する。CCCHは、RRCコネクションリクエスト/セットアップ/再設定リクエストなどように、ユーザ装置UE及び基地局10との間で無線ベアラが1本も確立されていない状態で制御信号を送受信する際に用いられる論理チャネルである。なお、LTEでは、CCCH用のLCID(00000)が規定されているが、本実施の形態においては、当該LCIDとは異なる特別のLCIDを規定するようにしておき、ユーザ装置UEは、新たなデータをCCHで送信する場合、当該特別のLCIDをMAC PDU(Protocol Data Unit)等に設定するようにしてもよい。
選択方法その5では、新たなデータが生じた場合に、無線ベアラが存在しない状態であっても迅速に基地局10に送信することが可能になる。
(各選択方法に関する補足事項)
以上説明した各選択方法において、ユーザ装置UEは、新たなデータを送信する際、既設の無線ベアラに割当てられているQoSパラメータを継承するようにしてもよいし、既設の無線ベアラに割当てられているQoSパラメータの全部又は一部を、新たなデータが要求するQoSレベルに対応するQoSパラメータに書き換えるようにしてもよい。既設の無線ベアラに割当てられているQoSパラメータとは、例えば、RLCモード(AM、UM又はTM)、許容されるパケット遅延時間(PDB: packet delay budget)、BLER(Block Error Rate)などである。具体例として、ユーザ装置UEは、新たなデータが要求するQoSレベルではPDBが"100ms"であるのにかかわらず、既設の無線ベアラに割当てられているPDBが"1秒"であった場合、既設の無線ベアラに割当てられているPDBを100msに書き換えることで、新たなデータを送信する際のリアルタイム性を確保するという動作を行うようにすることが考えられる。
これにより、新たなデータを送信する際に、既設の無線ベアラに割当てられているQoSパラメータに引きずられてしまい、新たなデータのQoSが劣化してしまうことを回避することが可能になる。
以上説明した各選択方法において、ユーザ装置UEは、BSR(Buffer status report)を基地局10に報告する際、新たなデータについても、既設の無線ベアラで送信予定のデータの一部であるとみなしてBSRを報告するようにしてもよい。なお、選択方法その4については、特別なベアラで送信予定のデータ(新たなデータ)に対応するBSRであることを基地局10側で識別可能にするため、ユーザ装置UEは、BSRに、特別なベアラに関するバッファ量であることを示す識別子を付与して基地局10に送信するようにしてもよい。或いは、特別なベアラに対応する専用の識別子(例えばLCG(Logical Channel Group))を予め規定しておき、ユーザ装置UEは、BSR MAC CE(Control Element)に、当該専用の識別子を示すID(例えばLCGのID)を設定して基地局10に送信するようにしてもよい。
<新たなデータの順序性担保について>
図4は、新たなデータの順序性担保の必要性を説明するための図である。本実施の形態に係るユーザ装置UEは、新たなデータが生じた場合、本来の無線ベアラが確立されていない場合、新たなデータを既設の無線ベアラ(図4の無線ベアラ#1)を介して基地局10に送信しておき、本来の無線ベアラ(図4の無線ベアラ#2)が確立された後、新たなデータを、確立された本来の無線ベアラを介して基地局10に送信する。つまり、新たなデータは、図4の下段に示すように、一時的に、既設の無線ベアラと本来の無線ベアラとに分割されて基地局10に送信されることになる。この場合、既設の無線ベアラと本来の無線ベアラとが切替わる際に、新たなデータが基地局10に到着する順序が入れ替わる可能性があることから、必要に応じて基地局10側でリオーダリング(Reordering)処理を行うことで、新たなデータの順序性を担保することが必要になる。なお、リオーダリング処理とは、パケット到着順に誤りが発生した場合に、正しい順序に並び替える処理のことを言う。以下、新たなデータの順序性を担保するための処理方法について、複数の例を説明する。
(処理方法その1−1)
処理方法その1−1では、ユーザ装置UE及び基地局10に新たなデータの順序性を担保する処理を行うレイヤを新たに規定する。当該レイヤを便宜上「アンカリングレイヤ」と呼ぶ。図5は、PDCPレイヤの上位にアンカリングレイヤを設けた場合のプロトコルスタック例を示す図である。処理方法その1−1において、PDCPレイヤ及びRLCレイヤでは、従来のLTEと同様、無線ベアラ毎に1つのレイヤ(エンティティ)が動作する前提とする。図5の上側は送信(ユーザ装置UE側)のプロトコルスタックを示し、図5の下側は受信(基地局10側)のプロトコルスタックを示す。また、図5の例では、2つのPDCP及びRLCが示されているが、それぞれ無線ベアラ#1に関するデータ処理を行うPDCP及びRLCレイヤ、無線ベアラ#2に関するデータ処理を行うPDCP及びRLCレイヤを意図している。
図6は、順序性担保に係る処理方法その1−1を説明するための図である。無線ベアラ#1は既設の無線ベアラに対応し、無線ベアラ#2は本来の無線ベアラに対応する。図6の上段は、本来の無線ベアラが確立されるまでの状態を示し、図6の下段は、本来の無線ベアラが確立された直後の状態を示している。処理方法その1−1では、ユーザ装置UEのアンカリングレイヤは、上位レイヤ(例えばアプリケーションレイヤなど)から受信した新たなデータのPDU(Protocol Data Unit、パケットと呼んでもよい)のヘッダ部にシーケンス番号を付与し、PDUを、適切な無線ベアラのPDCPレイヤ(つまり、既存の無線ベアラのPDCPレイヤ又は本来の無線ベアラのPDCPレイヤ)に振り分けて送信する。
基地局10側のアンカリングレイヤは、既存の無線ベアラのPDCPレイヤ又は本来の無線ベアラのPDCPレイヤから受信した各PDUのシーケンス番号を確認し、必要に応じてリオーダリング処理を行うことで、各PDUを正しい順序に並び替えてデータトンネルに送信する。なお、基地局10側のアンカリングレイヤは、シーケンス番号に抜けがある場合、抜けたシーケンス番号に対応するPDUを受信するまで所定の期間待機し、待機している間に受信した他のPDUについてはバッファに蓄積しておくようにしてもよい。また、アンカリングレイヤは、所定の期間待機しても、抜けたシーケンス番号を含むPDUを受信できない場合、当該PDUの受信を諦めてバッファに蓄積された他のPDUをデータトンネルに送信するようにしてもよい。
(処理方法その1−2)
図7は、順序性担保に係る処理方法その1−2を説明するための図である。無線ベアラ#1は既設の無線ベアラに対応し、無線ベアラ#2は本来の無線ベアラに対応する。図7の上段は、本来の無線ベアラが確立されるまでの状態を示し、図7の下段は、本来の無線ベアラが確立された直後の状態を示している。処理方法その1−2では、ユーザ装置UEのアンカリングレイヤは、本来の無線ベアラのPDCPレイヤが確立されたことを検出すると、既設の無線ベアラのPDCPレイヤに最後に送信するPDU(Data4)のヘッダ部に、最後のPDUであることを示す情報(#End)を付与して送信し、本来の無線ベアラのPDCPレイヤに最初に送信するPDU(Data5)のヘッダ部に、最初のPDUであることを示す情報(#Start)を付与して送信する。
基地局10側のアンカリングレイヤは、PDCPレイヤから受信したPDUを順次データトンネルに送信する。ただし、アンカリングレイヤは、最後のPDUであることを示す情報を含むPDUを受信する前に、最初のPDUであることを示す情報を含むPDUを受信した場合、最初のPDUであることを示す情報を含むPDUと、それ以後に本来の無線ベアラのPDCPレイヤから受信したPDUとを、データトンネルに送信せずにバッファに蓄積しておく。その後、最後のPDUであることを示す情報を含むPDUを受信した場合、アンカリングレイヤは、最後のPDUであることを示す情報を含むPDUをデータトンネルに送信し、続けて、バッファに蓄積していたPDUをデータトンネルに送信する。なお、アンカリングレイヤは、最後のPDUであることを示す情報を含むPDUを受信する前に、最初のPDUであることを示す情報を含むPDUを受信した場合で、かつ、所定の期間待機しても最後のPDUであることを示す情報を含むPDUを受信できない場合、当該PDUの受信を諦めてバッファに蓄積されたPDUをデータトンネルに送信するようにしてもよい。
なお、処理方法その1−2において、ユーザ装置UEのアンカリングレイヤは、既設の無線ベアラのPDCPレイヤに最後のPDUであることを示す情報を含むPDUを送信した後、更に、既設の無線ベアラのPDCPレイヤに最初のPDUであることを示す情報を含むPDUを送信してもよい。つまり、ユーザ装置UEのアンカリングレイヤは、最初のPDUであることを示す情報を含むPDUについては、既設の無線ベアラと本来の無線ベアラの両方のPDCPレイヤに送信するようにしてもよい。
以上説明した具体例1及び具体例2において、ユーザ装置UEのアンカリングレイヤは、各PDUのヘッダ部に、アンカリングレイヤの識別子、データフローID、FPI、PDU種別を示す情報(例えば、アンカリングレイヤで用いられる制御用PDU(Control PDU)なのかユーザデータのPDU(Data PDU)なのかを示す情報)などを含めるようにしてもよい。また、基地局10側のPDCPレイヤは、PDUをアンカリングレイヤに送信する際、PDCPレイヤの識別子(例えば、既設の無線ベアラのPDCPレイヤなのか、本来の無線ベアラのPDCPレイヤなのかを識別する識別子など)をアンカリングレイヤに通知するようにしてもよい。アンカリングレイヤは、受信したPDUがどの無線ベアラを介して送信されてきたPDUなのかを認識することができる。
(処理方法その2)
処理方法その2では、既設の無線ベアラに対応するPDCPレイヤ又はRLCレイヤのいずれか一方がデータの順序性を担保する処理を行う。なお、従来のLTEでは、PDCPレイヤ及びRLCレイヤは、無線ベアラ毎に1つのレイヤ(エンティティ)が動作するように規定されているが、本実施の形態では、データの順序性を担保する処理を行うPDCPレイヤ又はRLCレイヤは、既設の無線ベアラに加えて、本来の無線ベアラも管理する。以下の説明では、データの順序性を担保する処理を行うPDCPレイヤ又はRLCレイヤを、処理方法1と同様、便宜上「アンカリングレイヤ」と呼ぶ。
図8は、順序性担保に係る処理方法その2を説明するための図である。無線ベアラ#1は既設の無線ベアラに対応し、無線ベアラ#2は本来の無線ベアラに対応する。アンカリングレイヤは、無線ベアラ#1に対応するPDCPレイヤ又はRLCレイヤである。
処理方法その2では、既設の無線ベアラを介して送信される本来のデータ(以下、処理方法その2において「既設のデータ」と呼ぶ)(「DataA」)と、新たなデータ(「DataX」)とを区別して扱うことを可能にするため、アンカリングベアラは、PDUごとに付与するシーケンス番号を二重管理する。具体的には、アンカリングレイヤは、既設のデータのPDUの順序と新たなデータのPDUとの各々の順序を示す第一のシーケンス番号と、無線ベアラで送信されるPDU全体の順序を示す第二のシーケンス番号と、PDUの種別(既設のデータのPDUなのか又は新たなデータのPDUなのか)を示す識別子とを、各PDUのヘッダに格納して無線ベアラに送信する。図8の例では、シーケンス番号が「#x-y」(x,yは整数)で表現されている。「x」は第二のシーケンス番号に該当し、「y」は、第一のシーケンス番号に該当する。また、DataAの"A"は、PDUが既設のデータであることを示す識別子であり、DataXの"X"は、PDUが新たなデータであることを示す識別子である。
例えば、「DataA1#0-0」は、新たなデータの最初のPDUであり、無線ベアラに最初に送信されたPDUであることを示している。「DataX1#0-0」は、既存のデータの最初のPDUであり、無線ベアラに2番目に送信されたPDUであることを示している。同様に、「DataA2#3-1」は、新たなデータの2番目のPDUであり、無線ベアラに3番目に送信されたPDUであることを示している。つまり、第一のシーケンス番号は、新たなデータのPDU及び既存のデータのPDUの各々の中でインクリメントされて付与される番号であり、第二のシーケンス番号は、新たなデータのPDUなのか、既存のデータのPDUなのかを区別せずにインクリメントされて付与される番号である。
ユーザ装置UEのアンカリングレイヤは、上位レイヤ(アプリケーションレイヤ等又はPDCPレイヤ)から受信した新たなデータのPDUのヘッダ部に第一のシーケンス番号を付与する。同様に、アンカリングレイヤは、上位レイヤから受信した既存のデータのPDUのヘッダ部に第一のシーケンス番号を付与する。続いて、アンカリングレイヤは、これらのPDUのヘッダ部に第二のシーケンス番号を付与し、下位レイヤ(既存の無線ベアラのPDCPレイヤ若しくは本来の無線ベアラのPDCPレイヤ、又は、MACレイヤ)に送信する。なお、アンカリングレイヤは、従来のLTEと異なり2つの無線ベアラに対応づけられることから、アンカリングレイヤがPDCPレイヤの場合、アンカリングレイヤは、PDUを、適切な無線ベアラのRLCレイヤ(つまり、既存の無線ベアラのRLCレイヤ又は本来の無線ベアラのRLCレイヤ)に振り分けて送信する。また、アンカリングレイヤがRLCレイヤの場合、アンカリングレイヤは、どちらの無線ベアラでPDUを送信するのかをMACレイヤに指示する。
基地局10のアンカリングレイヤは、受信した各PDUのヘッダ部に含まれる第二のシーケンス番号に基づいて、必要に応じてリオーダリング処理を行うことで各PDUの順序を並び替える。続いて、アンカリングレイヤは、並び替えた各PDUのヘッダ部に含まれるPDUの種別を示す識別子に基づき、各PDUを、既設のデータのPDUと、新たなデータのPDUとに振り分ける。続いて、アンカリングレイヤは、第一のシーケンス番号に基づいて、必要に応じてリオーダリング処理を行うことで既設のデータの各PDUの順序を並び替える。同様に、アンカリングレイヤは、第一のシーケンス番号に基づいて、必要に応じてリオーダリング処理を行うことで新たなデータの各PDUの順序を並び替える。続いて、アンカリングレイヤは、並び替えた既設のデータのPDUと新たなデータのPDUとを、順次データトンネルに送信する。
以上説明した処理方法その2について、アンカリングレイヤは、既設のデータのPDUについては第一のシーケンス番号を付与しないようにしてもよいし、所定の値(デフォルトの固定値など)を付与するようにしてもよい。シーケンス番号を付与する際の処理負荷を削減することができる。
以上説明した処理方法その2について、アンカリングレイヤは、各PDUのヘッダに、データフローに関する情報(データフローID、FPI、QoSレベル/QoSパラメータなど)を含めるようにしてもよい。
以上説明した処理方法その2によれば、第一のシーケンス番号を設けることで、既設のデータ及び新たなデータの各々について、別個にPDUの重複確認及び順序性の確保等を行うことが可能になる。また、第二のシーケンス番号を設けることで、既設のデータ及び新たなデータの全体に対してPDUの重複確認及び順序性の確保等を行うことが可能になる。
(処理方法その3)
図9は、順序性担保に係る送信方法その3を説明するための図である。処理方法その3では、ユーザ装置UEは、本来の無線ベアラが確立された際に、PDCPレイヤ及び/又はRLCレイヤを再確立(Re-establishment)することで既設の無線ベアラで送信中のPDUを破棄し、破棄されたPDUを本来の無線ベアラで再度送信する(図9の下段)。なお、送信中のPDUとは、ユーザ装置UEから送信されたものの、送達確認通知(ACK)がユーザ装置UEに届いていない状態のPDUを指す。以下、処理方法その3について、破棄されたPDUを本来の無線ベアラで再送する制御をPDCPレイヤの上位レイヤ(例えばアプリケーションレイヤ)で行う場合と、PDCPレイヤで行う場合とに分けて説明する。
[上位レイヤで再送を制御する場合]
この場合、PDCPレイヤ及びRLCレイヤは無線ベアラ毎に存在する前提とする。また、上位レイヤは、通信先の上位レイヤ(例えばコアネットワーク20又はPDN30側の上位レイヤ)との間で送達確認を行っており、どのPDU(パケット)を再送すべきかを認識可能である前提とする。また、PDCPレイヤは、再確立により破棄されたPDUを自ら再送する機能を有していないものとする。
まず、ユーザ装置UEの上位レイヤは、本来の無線ベアラが確立されたことを検出すると、既設の無線ベアラに対応するPDCPレイヤを再確立させる。続いて、上位レイヤは、送達確認を受け取っていないPDU(既設の無線ベアラで送信中であったPDU)を、本来の無線ベアラで再送する。基地局10のPDCPレイヤは、本来の無線ベアラで再送されたPDUを受信し、データトンネルに送信する。
[PDCPレイヤで再送を制御する場合]
この場合、PDCPレイヤは、処理方法その2と同様、既設の無線ベアラに加えて本来の無線ベアラも管理可能であるが、RLCレイヤは無線ベアラ毎に存在する前提とする。また、PDCPレイヤは、再確立により破棄されたPDUを自ら再送する機能を有しているものとする。一方、RLCレイヤは、再確立により破棄されたPDUを自ら再送する機能を有していないものとする。
まず、ユーザ装置UEのPDCPレイヤは、本来の無線ベアラが確立されたことを検出すると、既設の無線ベアラに対応するRLCレイヤを再確立させる。RLCレイヤの再確立により、RLCレイヤ間で送信中であったPDUは破棄される。続いて、PDCPレイヤは、送達確認を受け取っていないPDU(既設の無線ベアラで送信中でありRLCレイヤで破棄されたPDU)を、本来の無線ベアラで再送する。基地局10のPDCPレイヤは、本来の無線ベアラで再送されたPDUを受信し、データトンネルに送信する。
[PDCPレイヤで再送を制御する場合(変形例)]
まず、ユーザ装置UEのPDCPレイヤは、本来の無線ベアラが確立されたことを検出すると、既設の無線ベアラに対応するRLCレイヤを再確立させるとともに、PDCPレイヤ自身を再確立する。PDCPレイヤ及びRLCレイヤの再確立により、PDCPレイヤ間で送信中であったPDUは破棄される。続いて、PDCPレイヤは、送達確認を受け取っていないPDU(既設の無線ベアラで送信中でありRLCレイヤで破棄されたPDU)を、本来の無線ベアラで再送する。基地局10のPDCPレイヤは、本来の無線ベアラで再送されたPDUを受信し、データトンネルに送信する。
以上説明した処理方法その3において、ユーザ装置UEは、PDCPレイヤの再確立処理、又はRLCレイヤの再確立処理を行う際、ハンドオーバー処理又はPDCPデータリカバリなど、LTEで規定されている再確立トリガを流用することで再確立処理を行うようにしてもよい。既存の処理手順を流用することで、処理手順を共通化することが可能になる。
<ヘッダ圧縮処理について>
LTEでは、PDCPレイヤで、IPパケットのヘッダ圧縮処理(ROHC: Robust Header Compression)を行うことが規定されている。ROHCとは、RFC3095で規定されている技術であり、ヘッダ情報のうち基本的に変化しない情報(IPアドレス、ポート番号など)をパターン化したコンテキスト(ROHC Context)を送信側と受信側で共有しておき、送信側は、ヘッダ情報のうち基本的に変化しない情報をコンテキストを示すID(CID:Context ID)に置き換えることで、ヘッダ情報のデータサイズを削減する技術である。
本実施の形態では、本来の無線ベアラが確立されていない場合、新たなデータを、既設の無線ベアラを介して基地局10に送信することになる。そのため、既設の無線ベアラに対応するPDCPレイヤでヘッダ圧縮処理が起動されている場合、PDCPレイヤは、新たなデータのヘッダ情報についてもパターン化を試みるように動作してしまい、コンテキストが新たなデータのヘッダ情報に更新されてしまう等、それまでに行っていたヘッダ圧縮処理に影響を与える可能性がある。
そこで、本実施の形態では、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラでヘッダ圧縮処理が起動されている場合、新たなデータについては、PDCPレイヤでヘッダ圧縮処理を適用しない(非圧縮セッションに割当てる)ようにしてもよい。これにより、既設の無線ベアラに対応するPDCPレイヤでヘッダ圧縮処理が起動されている場合に、新たなデータによりヘッダ圧縮処理に影響を与えてしまうことを回避することができる。
一方で、上記のように動作すると、ユーザ装置UEは、新たなデータについては、本来の無線ベアラが確立された後でヘッダ圧縮処理を開始する必要がある。つまり、ユーザ装置UEは、既設の無線ベアラではヘッダ情報のパターン化を試みることができず、新たなデータに関するヘッダ圧縮処理の開始が遅延するという問題が生じる。また、ユーザ装置UE及び基地局10で記憶可能なコンテキストの最大数(maxCID)が大きい場合は、既設の無線ベアラで新たなデータについてパターン化を試みた場合であっても、それまでに行われていたヘッダ圧縮処理に特に影響を与えない可能性が高い。
そこで、本実施の形態では、ユーザ装置UE及び基地局10は、既設の無線ベアラでもヘッダ圧縮処理を行うようにして、本来の無線ベアラが確立された後、既設の無線ベアラのPDCPレイヤで記憶されていたコンテキスト及びCIDを、本来の無線ベアラのPDCPレイヤにコピーするようにしてもよい。
また、本来の無線ベアラのPDCPレイヤにコピーされるコンテキスト及びCIDは、既設の無線ベアラのPDCPレイヤで記憶されていたコンテキスト及びCIDのうち、新たなデータに対応するコンテキスト及びCIDに限定されてもよい。また、既設の無線ベアラのPDCPレイヤは、コピーされた新たなデータに対応するコンテキスト及びCIDを削除してもよいし、そのまま保持していてもよい。また、コンテキスト及びCIDがコピーされる際、既設の無線ベアラのPDCPレイヤから本来の無線ベアラのPDCPエンティティに既設の無線ベアラの識別子が通知されてもよい。これにより、ユーザ装置UEは、新たなデータについてもヘッダ圧縮処理を迅速に行うことが可能になる。
<<機能構成>>
<ユーザ装置>
図10は、実施の形態に係るユーザ装置の機能構成例を示す図である。図10に示すように、ユーザ装置UEは、信号送信部101と、信号受信部102と、確立部103とを有する。なお、図10は、ユーザ装置UEにおいて本発明の実施の形態に特に関連する機能部のみを示すものである。また、図10に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
信号送信部101は、ユーザ装置UEから送信されるべき上位のレイヤの信号から、物理レイヤの各種信号を生成し、無線送信する機能を含む。信号受信部102は、基地局10から各種の信号を無線受信し、受信した物理レイヤの信号からより上位のレイヤの信号を取得する機能を含む。信号送信部101及び信号受信部102は、それぞれ、アプリケーションレイヤ、NASレイヤ、RRCレイヤ、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、及び物理レイヤで規定される各種の処理を行う機能を含む。また、信号送信部101及び信号受信部102は、それぞれ、本実施の形態におけるアンカリングレイヤの処理を行う機能を含む。
また、信号送信部101は、上りデータを、上りデータのQoSレベルに対応づけられる第一のベアラ(本来の無線ベアラ)を介して基地局10に送信する機能を有する。また、信号送信部101は、第一のベアラが基地局10との間で確立されていない場合、上りデータを、基地局10との間で既に確立されている第二のベアラ(既設の無線ベアラ)を介して基地局10に送信する機能を有する。
また、信号送信部101は、第一のベアラが基地局10との間で確立されていない場合、第二のベアラのQoSパラメータの少なくとも一部を、上りデータのQoSレベルに対応づけられるQoSパラメータに変更するようにしてもよい。また、信号送信部101は、第二のベアラが基地局10との間で確立された場合、第一のベアラで送信する上りデータと第二のベアラで送信する上りデータとの送信順序を示す情報を、少なくとも第一のベアラで最後に送信する上りデータのヘッダ部と、少なくとも第二のベアラで最初に送信する上りデータのヘッダ部とに格納して送信するようにしてもよい。
また、信号送信部101は、第二のベアラを介して送信される他の上りデータと上りデータとの間における送信順序を示す情報(第二のシーケンス番号)を、他の上りデータのヘッダ部と、上りデータのヘッダ部とに格納して送信するようにしてもよい。また、信号送信部101は、第二のベアラに対応づけられるPDCPレイヤ(エンティティ)でヘッダ圧縮処理を行うとともに、第一のベアラが基地局10との間で確立された場合、第二のベアラに対応づけられるPDCPレイヤ(エンティティ)で行われるヘッダ圧縮処理に用いたコンテキスト情報を、第一のベアラに対応づけられるPDCPレイヤ(エンティティ)にコピーするようにしてもよい。
確立部103は、基地局10との間で1以上の無線ベアラを確立する処理を行う。なお、確立部103は、信号送信部101及び信号受信部102の一部であってもよい。
<基地局>
図11は、実施の形態に係る基地局の機能構成例を示す図である。図11に示すように、基地局10は、信号送信部201と、信号受信部202と、確立部203と、CN(Core Network)通信部204とを有する。なお、図11は、基地局10において本発明の実施の形態に特に関連する機能部のみを示すものである。また、図11に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
信号送信部201は、基地局10から送信されるべき上位のレイヤの信号から、物理レイヤの各種信号を生成し、無線送信する機能を含む。信号受信部202は、ユーザ装置UEから各種の無線信号を受信し、受信した物理レイヤの信号からより上位のレイヤの信号を取得する機能を含む。信号送信部201及び信号受信部202は、それぞれ、RRCレイヤ、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、及び物理レイヤで規定される各種の処理を行う機能を含む。
確立部203は、ユーザ装置UEとの間で1以上の無線ベアラを確立する処理を行う。なお、確立部203は、信号送信部201及び信号受信部202の一部であってもよい。
CN通信部204は、コアネットワーク20との間で通信を行う機能を有する。また、CN通信部204は、QoSパラメータに基づき、無線ベアラとデータフローとのマッピングを行い、ユーザ装置UEから受信したデータを、無線ベアラに対応するデータフローで送信する機能を有していてもよい。
なお、本実施の形態が下りリンクに適用される場合、信号送信部201と、信号受信部202とは、更に、以下の機能を有していてもよい。
信号送信部201及び信号受信部202は、それぞれ、本実施の形態におけるアンカリングレイヤの処理を行う機能を含む。また、信号送信部201は、下りデータを、下りデータのQoSレベルに対応づけられる第一のベアラ(本来の無線ベアラ)を介してユーザ装置UEに送信する機能を有する。また、信号送信部201は、第一のベアラがユーザ装置UEとの間で確立されていない場合、下りデータを、ユーザ装置UEとの間で既に確立されている第二のベアラ(既設の無線ベアラ)を介してユーザ装置UEに送信する機能を有する。
また、信号送信部201は、第一のベアラがユーザ装置UEとの間で確立されていない場合、第二のベアラのQoSパラメータの少なくとも一部を、下りデータのQoSレベルに対応づけられるQoSパラメータに変更するようにしてもよい。また、信号送信部201は、第二のベアラがユーザ装置UEとの間で確立された場合、第一のベアラで送信する下りデータと第二のベアラで送信する下りデータとの送信順序を示す情報を、少なくとも第一のベアラで最後に送信する下りデータのヘッダ部と、少なくとも第二のベアラで最初に送信する下りデータのヘッダ部とに格納して送信するようにしてもよい。
また、信号送信部201は、第二のベアラを介して送信される他の下りデータと下りデータとの間における送信順序を示す情報を、他の下りデータのヘッダ部と、下りデータのヘッダ部とに格納して送信するようにしてもよい。また、信号送信部101は、第二のベアラに対応づけられるPDCPレイヤ(エンティティ)でヘッダ圧縮処理を行うとともに、第一のベアラがユーザ装置UEとの間で確立された場合、第二のベアラに対応づけられるPDCPレイヤ(エンティティ)で行われるヘッダ圧縮処理に用いたコンテキスト情報を、第一のベアラに対応づけられるPDCPレイヤ(エンティティ)にコピーするようにしてもよい。
<<ハードウェア構成>>
上記実施の形態の説明に用いたブロック図(図10及び図11)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、本発明の一実施の形態におけるユーザ装置UE及び基地局10は、本発明の信号送信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図12は、実施の形態に係るユーザ装置及び基地局10のハードウェア構成例を示す図である。上述のユーザ装置及び基地局は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ユーザ装置及び基地局10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
ユーザ装置及び基地局における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、ユーザ装置UEの信号送信部101と、信号受信部102と、確立部103と、基地局10の信号送信部201と、信号受信部202と、確立部203と、CN通信部204とは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール又はデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、ユーザ装置UEの信号送信部101と、信号受信部102と、確立部103と、基地局10の信号送信部201と、信号受信部202と、確立部203と、CN通信部204とは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る信号送信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、ユーザ装置UEの信号送信部101と、信号受信部102と、基地局10の信号送信部201と、信号受信部202と、CN通信部204とは、通信装置1004で実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、ユーザ装置及び基地局は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
<<まとめ>>
以上、実施の形態によれば、基地局との間で1以上のベアラを確立する確立部と、
上りデータを、前記上りデータのQoSレベルに対応づけられる第一のベアラを介して前記基地局に送信する送信部と、を有し、前記送信部は、前記第一のベアラが前記基地局との間で確立されていない場合、前記上りデータを、前記基地局との間で既に確立されている第二のベアラを介して前記基地局に送信する、ユーザ装置が提供される。このユーザ装置UEによれば、QoSレベルを満たす無線ベアラが確立されていない状態であっても、データ送信を可能にする技術が提供される。
また、前記送信部は、前記第一のベアラが前記基地局との間で確立されていない場合、前記第二のベアラのQoSパラメータの少なくとも一部を、前記上りデータのQoSレベルに対応づけられるQoSパラメータに変更するようにしてもよい。これにより、第二のベアラのQoSレベルが、第一の無線ベアラのQoSレベルに引きずられてしまうことで、QoSレベルが大きく劣化してしまうことを回避することができる。
また、前記送信部は、前記第二のベアラが前記基地局との間で確立された場合、前記第一のベアラで送信する前記上りデータと前記第二のベアラで送信する前記上りデータとの送信順序を示す情報を、少なくとも前記第一のベアラで最後に送信する前記上りデータのヘッダ部と、少なくとも前記第二のベアラで最初に送信する前記上りデータのヘッダ部とに格納して送信するようにしてもよい。これにより、第二のベアラが確立された場合であっても、第一のベアラで送信された上りデータと第二のベアラで送信された上りデータとの間で送信順序を担保することが可能になる。
また、前記送信部は、前記第二のベアラを介して送信される他の上りデータと前記上りデータとの間における送信順序を示す情報を、前記他の上りデータのヘッダ部と、前記上りデータのヘッダ部とに格納して送信するようにしてもよい。これにより、上りデータ及び他の上りデータの全体に対してデータの重複確認及び順序性の確保等を行うことが可能になる。
前記送信部は、前記第二のベアラに対応づけられるPDCPレイヤでヘッダ圧縮処理を行うとともに、前記第一のベアラが前記基地局との間で確立された場合、前記第二のベアラに対応づけられるPDCPレイヤで行われるヘッダ圧縮処理に用いたコンテキスト情報を、前記第一のベアラに対応づけられるPDCPレイヤにコピーするようにしてもよい。これにより、第一のベアラから第二のベアラに切り替わった場合に、第二のベアラでヘッダ圧縮処理を迅速に行うことが可能になる。
また、実施の形態によれば、ユーザ装置が行う信号送信方法であって、基地局との間で1以上のベアラを確立するステップと、上りデータを、前記上りデータのQoSレベルに対応づけられる第一のベアラを介して前記基地局に送信する送信ステップと、を有し、前記送信ステップは、前記第一のベアラが前記基地局との間で確立されていない場合、前記上りデータを、前記基地局との間で既に確立されている第二のベアラを介して前記基地局に送信する、信号送信方法が提供される。この信号送信方法によれば、QoSレベルを満たす無線ベアラが確立されていない状態であっても、データ送信を可能にする技術が提供される。
<<実施形態の補足>>
QoSレベルは、「QoSクラス」と呼ばれてもよいし、他の適切な用語で呼ばれてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順などは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本明細書において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局および/または基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS-GW)であってもよい。
情報等は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
本明細書で説明した各態様/変形例は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
基地局10は、1つまたは複数(例えば、3つ)の(セクタとも呼ばれる)セルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、および/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、および「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
ユーザ装置UEは、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本明細書で使用する「第一の」、「第二の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第一および第二の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第一の要素が第二の要素に先行しなければならないことを意味しない。
本開示の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。