(実施形態1)
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では給電装置から複数の受電装置に対して給電可能な無線給電システムの一例について説明する。受電装置をそれぞれ、受電機器200a:リモートコントローラ、受電機器200b:スマートフォン、受電機器200c:ネットワークカメラ、受電機器200d:デジタルカメラとするが、受電装置はこれらに限らない。これらの機器には、例えばパーソナルコンピュータ、音楽プレイヤ、ゲーム機、タブレット端末、ARやMR用のゴーグル、時計型や眼鏡型の情報端末などが含まれてよい。また、給電装置を、複数の上記受電機器をのせることができ、卓上に配置可能な給電機器100を例に説明する。しかし、大きさや配置場所が限定されるものではなく、卓上/床上/車内に配置可能な給電機器のほか、駐車場など屋外に設置される機器が含まれてよい。
(本システムの構成)
本実施形態に係る無線給電システムは、図1に示すように給電機器100と、複数台の受電機器200(受電機器の各々の番号は200a、200b、200c、200d)とで構成される。受電機器200の種類は、受電機器200a、受電機器200b、受電機器200dはモバイル機器であり、受電機器200cは備え付け機器である。
次に、図2を参照して、給電機器100と受電機器200と有する無線給電システムについて説明する。受電機器200の構成は、受電機器200のそれぞれで同一の構成によって実現可能である。このため、図2では代表的な1つの受電機器の構成のみを示す。
なお、図2に示す機能ブロックの1つ以上は、ASICやプログラマブルロジックアレイ(PLA)などのハードウェアによって実現されてもよいし、CPUやMPU等のプログラマブルプロセッサがソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。また、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。従って、以下の説明において、異なる機能ブロックが動作主体として記載されている場合であっても、同じハードウェアが主体として実現されうる。
●給電機器の構成
まず、給電機器100の構成について説明する。給電機器100は、給電側制御部101、給電部102、アレーアンテナ103、給電側通信部104、切り替え部105、受信部106により構成される。
給電側制御部101は、CPU、ROM、及びRAMを含み、ROMに記録されたプログラムをRAMに展開、実行することにより、給電機器100全体の動作や内部のデジタルデータのやり取りを制御する。給電部102は、切り替え部105と給電側制御部101に接続され、給電側制御部101からの制御により切り替え部105を介してアレーアンテナ103に電力を供給する。
アレーアンテナ103は複数のアンテナ素子により構成される。複数のアンテナ素子それぞれは個別に切り替え部105を介して給電部102と接続され、給電部102から位相や振幅が制御された電力を受信する。給電部102から供給される電力は、給電側制御部101により位相や振幅が制御された電力である。アレーアンテナ103は、アンテナ素子それぞれから出力される合成の電力を給電電力として出力する。アレーアンテナ103から出力される給電電力は、アンテナ素子それぞれから出力される位相や振幅が制御された電力を合成した出力であるため指向性を有する。アレーアンテナ103はこのように指向性を有するため、給電機器100は受電機器200の方向へ給電電力を放射することが可能となる。ここでアンテナ素子単体は指向性アンテナ素子があってもよいし、無指向性アンテナ素子であってもよい。
給電側通信部104は無線通信用のアンテナと通信制御部により構成される。給電側通信部104は所定の通信方式で受電機器200と通信を行う。給電側通信部104が行う所定の通信方式とは、無線通信方式であり、例えば、無線LAN(Wireless Local Area Network)規格やBluetooth(登録商標)規格に準拠した通信方式である。給電側通信部104は受電機器200だけでなく同じ通信方式に対応した電子機器と通信することが可能である。
切り替え部105は、スイッチ素子で構成されアレーアンテナ103と給電部102と受信部106に接続される。切り替え部105は給電側制御部101から制御される。給電側制御部101は、キャリブレーション期間ではアレーアンテナ103と受信部106とを接続するように切り替え部105を制御し、給電期間ではアレーアンテナ103と給電部102を接続するように切り替え部105を制御する。
受信部106は、アレーアンテナ103と給電側制御部101とに接続され、受電機器200から受信したキャリブレーション信号を給電側制御部101に送信する。受信部106はフィルタ回路を備え、多重化されたキャリブレーション信号を分離する機能も備える。
●給電機器100による無線給電の制御処理の概要
上述の給電機器100による無線給電の制御処理の概要は、以下のようになる。
(1)給電機器100は給電側通信部104を用いて受電機器200と無線通信を行い、受電機器200が所定の範囲に存在することを検出する。
(2)給電機器100は受電機器200が所定の範囲に存在することを検出すると、キャリブレーション処理として、受電機器200に対しキャリブレーション信号(例えば受電機器における受信信号の強度等)の送信要求を行う。
(3)給電機器100は受電機器200からのキャリブレーション信号をアレーアンテナ103で受信し、アレーアンテナ103のアンテナ素子から出力される各々の信号の位相差から受電機器200の方向を特定する。
(4)給電側制御部101は受電機器200の方向を特定すると、給電処理を行う。給電処理では、給電部102に検出した受電機器200の方向となるように、アレーアンテナ103のアンテナ素子各々に印加する電力の振幅と位相を制御して、受電機器200に給電電力を出力する。
(5)給電機器100は給電を開始してから所定時間経過すると、給電処理を1度止めて、再度キャリブレーション処理を行う。定期的にキャリブレーション処理を行うのは、受電機器200が受電機器200a、受電機器200b、受電機器200dのようなモバイル機器である場合に装置の位置が変動する場合があるためである。なお、本実施形態では、複数台の受電機器200を対象にしているので、複数の受電機器200の各々とキャリブレーション処理を行う。
ここで、本実施形態における給電機器100では、複数の受電機器200が別々のタイミングでキャリブレーション信号を送信せずに、同一のタイミングで一度にキャリブレーション信号を送信するように制御する。すなわち、複数の受電機器200が同一のタイミングでキャリブレーション信号を送信することでキャリブレーション処理時間を短くすることができる。
但し、複数の受電機器200が同一のタイミングでキャリブレーション信号を送信すると、給電機器100はキャリブレーション信号を区別することができない。このため、キャリブレーション信号の特徴情報としての多重化情報を予め受電機器200の各々に送信する。
多重化情報は、受電機器200の各々の送信するキャリブレーション信号が異なる周波数となる周波数情報である場合を例に説明する。しかし、異なる符号となる符号情報や異なる変調となる変調情報であってもよい。
このように給電機器100は、受電機器200の各々に異なる特徴情報(周波数情報)を送信し、受電機器200の各々が同一のタイミングでキャリブレーション信号を送信するように制御する。これにより、キャリブレーション処理によって占められる期間を短くして、給電における時間的な効率を向上させることができる。
●受電機器の構成
次に、受電機器200の構成について説明する。受電機器200は、受電側制御部201、受電部202、受電アンテナ203、受電側通信部204、2次電池205、送信アンテナ206により構成される。
受電側制御部201は、CPU、RAM及びROMを含み、ROMに記録されたプログラムをRAMに展開、実行することにより、受電機器200全体の動作や内部のデジタルデータのやり取りを制御する。受電部202は、受電アンテナ203で受電した給電機器100からの交流電力を受信して整流平滑化して2次電池205に電力を供給し充電を行う。
受電部202は、整流平滑した電力を所定の電圧にして受電側制御部201と受電側通信部204に電力を供給する構成であってもよい。また、受電部202は受電した電力レベルの検出を行う。受電部202は2次電池205の残量検出も行う。
受電アンテナ203はメアンダアンテナや平面マイクロストリップアンテナであり、受電部202に接続される。受電アンテナ203は給電機器100が出力するマイクロ波の給電電力を受信し受電部202に供給する。ここで受電アンテナ203と受電部202の整流部を含んでレクテナを構成してもよい。
受電側通信部204は無線通信用のアンテナと通信制御部により構成される。受電側通信部204は所定の通信方式で給電機器100と通信を行う。
2次電池205は再充電可能なリチウムイオン等の電池である。2次電池205は受電部202だけではなく受電側制御部201と受電側通信部204とも接続され2次電池205の電力を供給する。
送信アンテナ206はキャリブレーション信号を送信するアンテナであり、無線用の無指向性又は指向性がほとんどない電波を送信する。受電側制御部201は送信アンテナ206から送信するキャリブレーション信号を多重化するために、周波数の制御を行う。
送信アンテナ206から送信されるキャリブレーション信号は変調のある信号であってもよいし、変調のない信号であってもよい。また、送信アンテナ206は受電側通信部204が備える無線通信用のアンテナと供用する構成であってもよい。
ここで受電機器200の構成を説明したので、受電機器200の制御の概要を説明する。受電側制御部201は受電側通信部204を介して給電機器100に対して、通信可能範囲にいることを通知する。また受電側制御部201は受電側通信部204を介して給電機器100からキャリブレーション信号の特徴情報を受信し、更にキャリブレーション信号を送信するタイミング情報を受信する。受電側制御部201は受信した特徴情報の周波数にキャリブレーション信号を制御し、給電機器100が要求するタイミングで送信アンテナ206に供給する。
受電機器200は受信した電力で常に2次電池205を充電する。受電側制御部201は受電部202が検出した2次電池205の残量が満充電状態になると、受電側通信部204を介して、満充電による給電停止を要求する信号を給電機器100に送信する。
(給電機器による給電制御処理の一連の動作)
次に、図3を参照して、本実施形態における給電機器100による制御処理の一連の動作について説明する。
給電機器100は、制御処理として、機器検出登録処理(図3のS301〜S315)、CLB(キャリブレーション)処理(図3のS316〜S323)、給電処理(図3のS324〜S330)を行う。なお、本処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。
まず、給電機器100の給電側制御部101が行う機器検出登録処理を説明する。S301として、給電側制御部101は内部に備えるRAMに記憶されたカウンタ値Nと上限超えフラグを0に設定するとともに、登録機器情報を全て消して初期化を行う。
S302として、給電側制御部101は、給電側通信部104により受電機器200と通信をすることで、受電機器200が通信範囲にいることを検出する。
S303として、給電側制御部101はS302で受電機器200を検出したので受電機器200の数を数えるカウンタ値Nに1を加算する。ここで給電機器100が1度に多重化できる上限の台数は12台であるとする。つまり、受電機器200に割り当てることができるキャリブレーション信号の周波数は12種類である。
S304として、給電側制御部101はカウント値Nが13未満(12以下)であるか否かを判定し、12以下であると判定した場合はS305へと進み、13以上であると判定した場合はS306へと進む。
S305として、給電側制御部101はS304でカウント値Nが12以下であると判定したので、全ての受電機器200に異なる周波数情報を割り当てることが可能である。そして、S302で検出した受電機器200を第1タイミング(第1T)のグループとして登録する。第1タイミングのグループとはキャリブレーション信号を第1タイミングで送信する受電機器200のグループである。
S306として、給電側制御部101はS304でカウント値Nが13以上であると判定したので上限超えフラグを1にする。上限超えフラグは受電機器200の数が上限を超えたことを示す。このことは、第1タイミングでキャリブレーション信号を送信する受電機器200のグループと第2タイミングでキャリブレーション信号を送信する受電機器200が必要となることを示す。
S307として、給電側制御部101はS304でカウント値Nが13以上であると判定したので、S302で検出した受電機器200を第2タイミング(第2T)のグループとして登録する。
S308として、給電側制御部101は給電側通信部104により受電機器200と通信をすることで、全ての受電機器200を検出し終えたか否かを判定し、検出し終えたと判定した場合はS308へと進む。給電側制御部101は受電機器200を検出し終えていないと判定するとS302へと戻る。
S309として、給電側制御部101は給電側通信部104により受電機器200と通信をすることで、登録した受電機器200が通信可能な範囲から居なくなったか否かを判定する。居なくなったと判定した場合はS310へと進み、居ると判定した場合はS310を行わずにS311へと進む。
S310として、給電側制御部101はS309で登録した受電機器200が居なくなったと判定したので、カウント値Nを1減算する。S311として、給電側制御部101はカウント値Nが12を超えているか(13以上か)否かを判定し12を超えている場合はS315へと進み、12以下の場合はS312へと進む。
S312として、給電側制御部101はS311でカウント値Nが12以下であると判定したので上限超えフラグが1であるか否かを判定する。給電側制御部101は上限超えフラグが1であると判定した場合はS315へと進み、上限超えフラグが0であると判定するとS313へと進む。ここで、S312で給電側制御部101が上限超えフラグが1であるか否かを判定するのは、登録していた受電機器200が居なくなったためにカウント値Nが12以下となったのか否かを判定するためである。このことは第2タイミンググループに登録していた受電機器200を第1タイミンググループにすることが可能なことを意味する。
S313として、給電側制御部101はS312で上限超えフラグが1であると判定したので第2タイミンググループの受電機器200を第1タイミンググループの受電機器200に登録情報を変更する。この登録情報の詳細は図4を用いて後述する。
S314として、給電側制御部101はS311でカウント数Nは12台以下であると判定し、S312で上限超えフラグが1であると判定したので、上限超えフラグを0に戻す。これは受電機器200の登録台数が12台以下であるために12台の上限を超えたことを示す上限超えフラグを0に戻す制御である。
S315として、給電側制御部101は給電側通信部104により受電機器200と通信をすることで全て受電機器200に対し確認し終えたかを判定する。確認し終えていない場合は再びS309へと戻り、確認が終了した場合はS316へと進む。
S316として、給電側制御部101は登録した受電機器200の各々に対し特徴情報として受電機器200の各々に対する周波数情報を送信する。登録した受電機器200の各々の周波数情報は図4を用いて後述する。ここで周波数情報が各々異なるのは受電機器200から同じタイミングで送信されたキャリブレーション信号が多重化(ここでは周波数多重)された信号となるようにするためである。
S317として、給電側制御部101は登録した受電機器200の台数が12台より多いか否かを確認するために上限超えフラグが0か否かを確認する。上限フラグが0の場合はS318へと進み、上限フラグが0でない場合はS320へと進む。
ここで、S318、S319、S324、S325の処理は、登録した受電機器200が12台以内であり第1のタイミングのみのキャリブレーション処理と給電処理を行うことを示している。S320〜S323、S326〜S329の処理は、登録した受電機器200が13台以上であり第1のタイミングと第2のタイミングでキャリブレーション処理と給電処理を行うことを示している。
S318として、給電側制御部101は給電側通信部104を用いて第1タイミングとして登録された全ての受電機器200に対し、タイミング情報としてキャリブレーション(CLB)信号を送付するように同時に要求する。
S319として、給電側制御部101はアレーアンテナ103を用いて受電機器200の各々から送信されたキャリブレーション信号を同時に受信して、受電機器200それぞれの方向を検出する。ここで受電機器200の各々はS316で給電機器100から送信された特徴情報としての周波数情報に基づいてキャリブレーション信号を送信する。
S324として、給電側制御部101はS319で受電機器200の各々の方向が検出できたので、その方向に給電部102を用いて給電電力を出力する。給電は登録された受電機器200の各々に対し時分割で行う。給電とキャリブレーションの時間関係は図5のタイミングチャートを用いて後述する。給電側制御部101は1台毎に等間隔で給電期間を設けて、受電機器200への給電が1台終了すると別の受電機器200に順次給電を行う。
S325として、給電側制御部101は全ての第1タイミングとして登録した受電機器200への給電が終了したか否かを判定し、給電が終了したと判定するとS330へと進み。給電側制御部101は給電が終了していないと判定すると再びS324へと戻る。
S320として、給電側制御部101はS318と同様に給電側通信部104を用いて第1タイミングとして登録された全ての受電機器200に対し、タイミング情報としてキャリブレーション(CLB)信号を送付するように同時に要求する。
S321として、給電側制御部101はアレーアンテナ103を用いて受電機器200の各々から送信されたキャリブレーション信号を同時に受信して、受電機器200それぞれの方向を検出する。
S326として、給電側制御部101はS319で受電機器200の各々の方向が検出できたので、S324と同様にその方向に給電部102を用いて給電電力を出力する。
S327として、給電側制御部101は全ての第1タイミングとして登録した受電機器200への給電が終了したか否かを判定し、給電が終了したと判定するとS322へと進む。給電側制御部101は給電が終了していないと判定すると再びS326へと戻る。
S322として、給電側制御部101は給電側通信部104を用いて第2タイミングとして登録された全ての受電機器200に対し、タイミング情報としてキャリブレーション(CLB)信号を送付するように同時に要求する。
S323として、給電側制御部101はアレーアンテナ103を用いて受電機器200の各々から送信されたキャリブレーション信号を同時に受信して、受電機器200それぞれの方向を検出する。
S328として、給電側制御部101はS323で受電機器200の各々の方向が検出できたので、その方向に給電部102を用いて給電電力を出力する。S329として、給電側制御部101は全ての第2タイミングとして登録した受電機器200への給電が終了したか否かを判定し、給電が終了したと判定するとS330へと進む。給電側制御部101は給電が終了していないと判定すると再びS328へと戻る。
S330として、給電側制御部101は給電を停止するか否かを判定し、給電を停止すると判定すると本給電機器100の制御処理を終了する。給電側制御部101が給電停止しないと判定すると再びS302へと戻る。これは給電側制御部101が受電機器200からの給電停止要求があるか否かで判定する。受電機器200が給電停止を要求するのは例えば、受電機器200が備える2次電池205が満充電状態の時や、充電異常が発生し受電を停止したい場合である。また、受電機器200からの給電停止要求は受電機器200が個別に管理しており、全ての給電機器で給電不要となった場合に本給電機器の処理を終了する。
(登録情報)
図4は、給電機器100が登録している受電機器200のリスト情報を示す図である。図4(a)は受電機器200の登録台数が15台の場合であり、図4(b)は受電機器200の登録台数が15台から11台に減った場合の図である。登録している受電機器200のリスト情報として、例えば「項番」、「受電機器名」、「タイミンググループ」、「周波数情報」、「給電の必要性」がリストに登録される。
図4(a)では受電機器200が15台(すなわち13台以上)であるためタイミンググループは第1タイミングと第2タイミングの2つになる。一方、図4(b)では、受電機器200が12台以下であるためタイミンググループは1のみである。
また、図4(a)に示す周波数は、項番1から項番12までは第1タイミングのグループとして登録されている受電機器200について、各々で異なる周波数となっている。しかし、項番13から項番15は第2タイミングのグループとして、グループ内では各々異なる周波数となっているが、第1タイミングのグループで既に割り当てられている周波数を使用することができる。
図4(b)は、受電機器200の数が13以上から減ってゆき、12台以下になった場合を示している。この場合、図3のS313で説明した通り、第2タイミングのグループとして登録していた受電機器200が第1タイミングの受電機器200として登録されている。図4(b)の項番2は受電機器名が受電機器13で第1タイミングのグループに登録されているが、これは図4(a)では項番13で第2タイミングのグループとして登録されていた受電機器200のことである。
図4(a)と(b)にある「給電の必要性」は、受電機器200が給電機器100から給電を必要としているか否かを示している。受電機器200が満充電や充電異常が起きた場合は給電停止要求を送信し、給電機器100は給電停止要求を受信すると該当する受電機器200を本リストから削除して、給電を行わないようにする。
なお、本リストからは削除するが、受電機器200の名称と給電不要である情報は給電不要リスト(不図示)として別に管理する。これは図3のS302で再度リストに登録されるのを防ぐためである。また給電機器100は該当する受電機器200と通信ができない場合に給電不要リストからも該当機器の登録を削除する。
(タイミングチャ―ト)
図5は、本実施形態に置ける給電機器100が行う給電とキャリブレーションのタイミングを示している。横軸は時間あり矢印の方向へ行くほど時間としては新しいことを示す。
図5(a)は受電機器200が4台である場合の給電とキャリブレーションのタイミングを示す図である。つまりキャリブレーションを行うタイミングは第1のタイミングのみである。図に示す通り、4台の受電機器200を同時にキャリブレーションし、その後、各々の受電機器200に順次電力を送信していき4台の受電機器200に対する給電が終了すると再度4台同時にキャリブレーションを行い、また給電を行う。
図5(b)、図5(c)、図5(d)は受電機器200が15台の場合の給電とキャリブレーションのタイミングを示している。つまり、キャリブレーションを行うタイミングは第1のタイミングと第2のタイミングである。
図5(b)と図5(c)は初めに第1タイミングとして12台の受電機器200を同時にキャリブレーションし、その後、各々の受電機器200を順次給電する。12台の受電機器200に対する給電が終了すると、残りの3台(受電機器13〜15)を第2のタイミングとして同時にキャリブレーションし、その後、各々の受電機器200を順次給電する。3台の受電機器200に対する給電が終了すると、再度12台の受電機器200を同時にキャリブレーションし、また給電を行う。
図5(b)と図5(c)の違いはキャリブレーションを行うタイミングの違いである。図5(b)は図5(a)と比較して受電機器200の各々の給電期間は同じ場合であり、受電機器200の各々の給電以外に第2タイミングで行うキャリブレーションを追加した制御となる。図5(c)は図5(b)と比較して給電時間を短くした場合である。これは受電機器200の台数が多いので、受電機器200の位置が変動する確立が高いので、図5(b)と比較してキャリブレーションの頻度を高くするための制御である。
ここで、図5(b)と図5(c)は第1タイミングでキャリブレーションした後に給電を行い、その後、第2タイミングでキャリブレーションを行っている。しかし、第1タイミングと第2タイミングのキャリブレーションを行った後に、15台の受電機器200の各々を給電する制御であってもよい。この制御のタイミングチャートを示しているのが図5(d)である。
以上説明したように本実施形態では、給電機器100はキャリブレーションを同時に行うために、受電機器によるキャリブレーション信号の送信を制御する情報を複数の受電機器200に送信するようにした。給電機器は、キャリブレーション信号の送信を制御する情報として、キャリブレーション信号の多重化を可能にする多重化情報と、キャリブレーション信号の送信タイミング示すタイミング信号を送信するようにした。受電機器200は、受信した情報をもとにキャリブレーション信号を送信するため、給電機器100は同じ期間に(同時に)複数のキャリブレーション信号を受信することが可能となる。そして、給電機器は複数の受電機器200に対し同じタイミングでキャリブレーションを行うことができるため、キャリブレーションの時間を短くして、給電の時間をより長くとることができる。すなわち、給電機器が複数の受電機器に給電する場合に、受電機器における給電の時間あたりの効率を向上させることが可能になる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2では、実施形態1に加えて給電順序を決定したうえでそれぞれの機器に給電を行う。従って、実施形態2における給電機器100及び受電機器200の構成は、実施形態1と共通であり、給電機器の制御処理も上述した点を除き共通である。このため、同一の構成、同一の処理については、実施形態1と同一の参照番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
図6を参照して、本実施形態における給電機器100の制御処理について説明する。なお、図6に示すフローチャートは、図3で上述した給電機器の制御処理に、新たなステップS601、S602、S603を追加している。
S601、S602、S603は、給電機器100が複数の受電装置のいずれから給電を開始するかを決める為の給電順序決定処理である。この給電順序決定処理では、受電機器200の種別ごとに定まる移動頻度が考慮され、例えば位置の移動が発生し易いと想定される機器の給電順が早くなるようにする。反対に、位置の移動が想定されない機器に対する給電順序は遅くなる。また、本実施形態の給電順序決定処理では、キャリブレーション期間内に実際に移動した機器があれば、当該機器の給電順序を早める。
更に、本実施形態の給電機器100は、検出した受電機器の状態に応じて当該受電機器を給電順序から削除したり、新たに受電機器を検出した場合に給電順序に加えたりする。
なお、以降の実施形態3、4、5、6、及び7で説明する各種の給電順序決定処理は、全てS601、S602、S603の処理詳細のバリエーションに相当する。
(給電機器100による給電順序決定処理の一連の動作)
図7を参照して、実施形態2における給電順序決定処理の一連の動作について説明する。本処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。
S701において、給電側制御部101は、RAMに記憶されているキャリブレーション期間のカウント値から処理中のキャリブレーション期間が1回目のキャリブレーション期間であるか否かを判定する。処理中のキャリブレーション期間が1回目のキャリブレーション期間であると判定した場合、S702の処理へ進む。処理中のキャリブレーション期間が2回目以降のキャリブレーション期間である場合、S704の処理へ進む。
S702において、給電側制御部101は、受電機器200が送信する受電機器200の後述する移動頻度情報を、給電側通信部104を介して受信する。S703において、給電側制御部101は、受信した移動頻度情報に基づいて、検出している複数の受電機器200の給電順序を決定する。移動頻度情報とは、具体的には受電機器200の機器情報である。ここでは、受電機器200aで示すリモートコントローラ、受電機器200bで示すスマートフォン、受電機器200cで示すネットワークカメラ、受電機器200dで示すデジタルカメラを用いて説明を行う。給電側制御部101は、「リモートコントローラ」、「スマートフォン」、「ネットワークカメラ」、「デジタルカメラ」の各受電機器200の機器情報から給電順序を決定する。例えば、スマートフォンはユーザが使用する機会が多く、位置が変動する確率が高いため、給電順序を1番に決定する。ネットワークカメラは備え付けの機器であり、位置が変動することがないため、給電順序を4番に決定する等である。給電側制御部101は、内部に備えるRAMに受電機器200の機器情報と給電順序の重み付けを関連付けるテーブルを有していてもよい。給電側制御部101が各受電機器200の給電順序を決定後、本処理は終了する。
S704において、給電側制御部101は、給電側通信部104を介して受電機器200から受信した受電機器200の移動情報を基に、前回のキャリブレーション期間から移動した受電機器200が存在するかを判定する。前回のキャリブレーション期間より移動した受電機器200が存在しないと判定した場合、前回の給電順序決定処理で決定した給電順序を変更せずに処理は終了する。前回のキャリブレーション期間より移動した受電機器200が存在すると判定した場合、S705の処理へ進む。
S705において、給電側制御部101は、前回のキャリブレーション期間から移動した受電機器200の次回の給電期間での給電順序を1番に決定し、S706の処理へ進む。
S706において、給電側制御部101は、前回のキャリブレーション期間から移動した受電機器200の次回の給電期間での給電時間を延長するよう決定し、S703の処理へ進む。
S705、S706の処理によって、位置が変動した受電機器200への給電の優先順位を上げることができる。これは、位置が変動したことにより、給電機器100が放射する給電電力を受電することができない、あるいは効率良く受電することが出来ない場合が想定されるためである。詳細は図9(a)でも説明を行う。
本処理のように、給電機器100が検出している複数の受電機器200の給電順序を決定することによって、効率良く給電処理を実施することが可能となる。
なお、本処理では移動頻度情報を受電機器200の機器情報として説明を行ったが、受電機器200が有する他の情報を用いて給電順序を決定してもよい。例えば、受電機器200の状態情報を用いてもよい。具体的には給電側制御部101は、受電機器200が動作状態にある場合には、ユーザによる操作によって位置の変動が予想されるために給電順序を上げる。一方、受電機器200がスリープ状態にある場合には、位置の変動が発生しない可能性が高いために給電順序を下げるといった制御を実施する。
また、移動頻度情報には別に受電機器200が備える不図示の加速度センサ情報を用いてもよい。例えば給電側制御部101は、受電機器200の動きが大きい場合には位置の変動が予想されるために給電順序を上げる。一方、受電機器200の動きが小さいまたは動きがない場合には、位置の変動が発生しない可能性が高いために給電順序を下げる。
また、移動頻度情報には別に受電機器200の給電履歴情報であってもよい。具体的には給電側制御部101は、受電機器200が直前の給電期間において所定値未満の電力しか受電出来ていない場合には給電順序を上げる。一方、所定置以上の電力を受電出来ている場合には給電順序を下げる。
なお、給電側制御部101は、受電機器200から上記で説明した複数の移動頻度情報を受信し、複数の移動頻度情報から給電順序を決定してもよいものとする。その際には、S704において、前回のキャリブレーション期間より移動した受電機器200が存在しない場合にも、S703の処理へ進み、給電順序を再度決定し直してもよい。
(受電機器の移動を検出した際の制御処理)
さらに、図8(a)を参照して、実施形態2における給電機器100による制御処理の一連の動作について説明する。本処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。また、本処理は、図3に示した制御処理のバックグラウンドで動作する一連の動作である。
S801において、給電側制御部101は、給電側通信部104を介して検出している受電機器200から受信した受電機器200の移動情報を基に、前回のキャリブレーション期間から移動した受電機器200が存在するかを判定する。前回のキャリブレーション期間より移動した受電機器200が存在しないと判定した場合、S802の処理へ進む。前回のキャリブレーション期間より移動した受電機器200が存在すると判定した場合、S803の処理へ進む。
S802において、給電側制御部101は、実行中の給電処理を継続させ本処理は終了する。
S803おいて、給電側制御部101は、移動を検出した受電機器200が給電期間に入る前の状態か否かを判定する。移動した受電機器200が給電の順番前であると判定した場合、S804の処理へ進む。移動した受電機器200が給電後であったと判定した場合、S805の処理へ進む。
S804において、給電側制御部101は、事前に決定した給電順序から移動した受電機器200を削除し、S805の処理へ進む。これによって、受電機器200の位置の変動により効率の良い給電が出来なくなった受電機器200への給電を中止し、直ちに次の順番の受電機器200へ給電を開始することが可能となる。詳細は図9(a)でも説明を行う。
S805において、給電側制御部101は、移動した受電機器200の情報をRAMに記憶し、S802の処理へ進む。本処理でのRAMに記録された移動を検出した受電機器200の情報に基づいて、S704の処理が実行されてもよい。
本処理によって、位置が変動したことにより、給電機器100が放射する給電電力を受電することができない、あるいは効率良く受電することが出来ない受電機器200への給電を省略し、次の順番の受電機器200への給電を開始する。このようにすることで効率の良い給電処理を実行することが可能となる。
また、本処理によって、検出している受電機器200の全てで位置の変動が発生しなかった場合には、給電期間終了後直ちに次の給電期間に移行するよう制御しても構わないものとする。詳細は図9(b)でも説明を行う。
(新たな受電機器を検出した際の制御処理の一連の動作)
図8(b)を参照して、本実施形態に係る、給電機器100による制御処理の一連の動作を示している。本処理は、給電側制御部101が内部に備えるRAMに記憶されているコンピュータプログラムを実行することによって実現される。なお、本処理は、図3の制御処理のバックグラウンドで動作する。
S811において、給電側制御部101は、給電側通信部104を介して新たな受電機器200の検出が行われるか否かを監視する。新たな受電機器200を検出した場合、S812の処理へ進む。新たな受電機器200を検出しない場合、新たな受電機器200の検出を監視し続ける。
S812において、給電側制御部101は、新たに検出した受電機器200を次回の給電順序決定処理の対象とすることをRAMに記憶(すなわち給電順序決定処理の対象に加える)し、本処理は終了する。
本処理によって、給電処理中に新たに検出した受電機器200についても給電順序を決定することが可能となる。
(タイミングチャート)
次に、図9(a)(b)を参照して、本実施形態に係る給電処理のタイミングについて説明する。本タイミングチャートでは受電機器200が4台検出されている場合の給電処理を説明する。ここで説明する給電処理は、キャリブレーション期間と給電期間が交互に発生する処理であるものとする。
図9(a)は、受電機器3が自機の給電期間1の順番が回ってくる前に移動した場合における給電順序決定処理の例を示している。
先ずキャリブレーション期間1において、受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器4へのキャリブレーションを実施する。次に、給電順序を受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器4の順に決定する。ここで、給電期間1において受電機器1に対して給電を行っている最中に、受電機器3が移動したものとする。このような場合、受電機器3は自機の給電期間1の順番が回ってくる前に移動しているため、給電期間1においては給電対象から削除され、受電機器2の給電の後には受電機器4が給電される。
次のキャリブレーション期間2において、再度受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器4へのキャリブレーションを実施する。前回の給電期間1において受電機器3への給電が実施されていないため、給電期間2における給電順序を受電機器3、受電機器1、受電機器2、受電機器4に順に決定する。給電期間2における受電機器3への給電時間は受電機器1、受電機器2、受電機器4よりも長く設定している。
これにより、給電期間1において、キャリブレーション期間1の設定では効率良く給電することが出来ない受電機器3への給電を省くことで、給電処理全体の効率を高めることが可能となる。また、給電期間2において、受電機器3への給電の優先度を上げることで、受電機器3が次に移動される前に受電機器3への給電が可能になるようにして、再び受電機器3への給電が実施されない可能性を低減することが可能となる。
一方、図9(b)は、検出している4台の受電機器200の位置が変動しなかった場合の給電順序決定処理の一例を示している。
先ずキャリブレーション期間1において、受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器4へのキャリブレーションを実施する。次に給電順序を受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器4に順に決定し、給電順序通りに受電機器200へ給電を実施する。給電期間1の完了時に検出している4台の受電機器200の位置が変動しなかった場合には、キャリブレーション期間2を行わずに給電期間2を開始するよう制御する。これにより、キャリブレーション期間1の設定を変更する必要がない場合には、キャリブレーション期間を省略することで給電処理全体の効率を高めることが可能となる。
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3では、受電機器の有する二次電池の必要充電時間に応じて給電順序を決定する点が上述した実施形態と異なる。また、説明の便宜上、無線給電システムを構成する受電機器のうちネットワークカメラを活動量計に入れ替えて各受電装置の参照符号を振り直している。しかし、受電機器200と受電機器1100の構成は共通であり、給電機器100の構成も共通である。また、給電機器の制御処理も二次電池の必要充電時間において給電順序を決定する点を除き共通である。このため、同一の構成、同一の処理については、上述した実施形態と同一の参照番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
本実施形態に係る給電機器100は、各受電機器から後述する充電容量情報を取得して、各受電機器の必要とする充電時間を算出する。そして、必要とする充電時間が短い受電機器ほど優先されるように給電順序を決定する。このようにすれば、必要充電時間の少ない受電機器は、他の受電機器への充電期間を待たずに、早く使用可能充電容量に達することができる。以下、詳述する。
本実施形態に係る無線給電システムは、図10(b)に示すように給電機器100と、複数台の受電機器1100(受電機器の各々の番号は1100a、1100b、1100c、1100d)とで構成される。受電機器1100の種類は、受電機器1100aで示す活動量計、受電機器1100bで示すスマートフォン、受電機器1100cで示すリモコン、受電機器1100dで示すカメラである。
給電機器100は受電機器1100の夫々と無線通信することで受電機器1100の存在を検出する。そして、給電機器100は受電機器1100各々が送信するキャリブレーション信号を受信して受電機器1100各々の方向を検出する。
給電機器100は受電機器1100を検出すると内部に備えるアレーアンテナ103に供給する電力を制御して受電機器1100各々の方向に向けてマイクロ波である給電出力を放射する。
受電機器1100各々は、給電機器100が出力する給電出力を受信して、内部に備える2次電池205を充電する。また、受電機器1100各々は各自の二次電池の充電に関わる情報を保有している。
ここで、図10(a)を参照しながら、本実施形態に係る充電容量情報、及び必要充電時間について説明する。図10(a)は、受電機器に搭載された二次電池の充電の状態を示している。
図10(a)の縦軸は2次電池の容量を、横軸は時間を示している。図10(a)の1000は満充電容量であり、受電機器1100に搭載された2次電池が満充電のときの容量である。1010は使用可能充電容量であり、受電機器が使用可能となる2次電池の容量である。1020は現在充電容量であり、現在、受電機器の2次電池に充電されている容量である。図10(a)では、例えば満充電容量1000が「10」、使用可能充電容量1010が「8」、現在充電容量1020が「2」として図示している。1030は必要充電容量であり、現在充電容量1020から使用可能充電容量1010までに充電が必要な容量である。また、満充電容量1000、使用可能充電容量1010、現在充電容量1020、必要充電容量1030をまとめて充電容量情報と呼ぶこととする。
必要充電時間1040は、必要充電容量を充電するのに要する時間である。必要充電時間は一例として次の式で求めることが出来る。
必要充電時間=必要充電容量/(充電電流*充電効率)・・・式(1)
本実施形態では、各受電機器の充電容量情報を、例えば、図10(b)に記載している値であるものとする。具体的に、受電機器1100a(受電機器1)の充電容量情報は、満充電容量10mAh、使用可能充電容量8mAh、現在充電容量2mAh、必要充電容量6mAhとする。また、受電機器1100b(受電機器2)の充電容量情報は、満充電容量1000mAh、使用可能充電容量800mAh、現在充電容量100mAh、必要充電容量700mAhとする。受電機器1100c(受電機器3)の充電容量情報は、満充電容量4mAh、使用可能充電容量2mAh、現在充電容量1mAh、必要充電容量1mAhとする。受電機器1100d(受電機器4)の充電容量情報は、満充電容量100mAh、使用可能充電容量80mAh、現在充電容量70mAh、必要充電容量10mAhとする。
なお、複数ある受電機器への充電電流と充電効率は同じとする。具体的には、充電電流は200mA、充電効率は50%としている。
(給電機器100による給電順序決定処理の一連の動作)
次に、図11及び図12を参照して、本実施形態における給電順序の決定処理の一連の動作について説明する。図11は、本実施形態における給電順序の決定処理の一連の動作を示すフローチャートであり、図12は、給電機器100が登録している受電機器1100のリスト情報を示す図である。図11に示す給電順序決定処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。
S1110として、給電側制御部101は、受電機器1100に対し、充電容量情報の送信を要求する。
S1120として、給電側制御部101は、受電機器1100から送信された充電容量情報を、給電側通信部104を介して受信する。給電側制御部101は、受信した充電容量情報をリスト情報に登録する。図12に示す受電機器1100のリスト情報には、給電側制御部101が登録するリスト情報の一例を示しており、図4のリスト情報に加え、充電容量情報及び必要充電時間のフィールドが追加されている。なお、図12に示すリスト情報の充電容量情報のフィールドでは、表示の便宜上、充電容量情報のうちの満充電容量の値を示している。
S1130として、給電側制御部101は、全ての受電機器1100から充電容量情報を得たかどうかを判定する。給電側制御部101は、全ての受電機器1100から充電容量情報を得たと判定した場合には、S1135に進み、全ての受電機器1100から充電容量情報を得てない場合には、S1110に進んで、再びS1110、S1120を繰り返す。
S1135として、給電側制御部101は、充電容量情報と、充電電流及び充電効率とから必要充電時間を算出し、リスト情報に登録する。更に、S1140として、給電側制御部101は、リスト情報に登録されている必要充電時間が小さい順として給電順序を決定する。
図12を再び参照して、給電順序の決定処理について補足する。受電機器の充電容量情報は、図10(b)に記載している情報でリストに登録されている。このリストに登録された充電容量情報をもとに、S1135にて必要充電時間1040を前述の式(1)により算出する。必要充電時間1040は、受電機器1が0.06h、受電機器2が7h、受電機器3が0.01h、受電機器4が0.1hとなる。給電側制御部101は、必要充電時間の小さい順に給電が行われるように給電順序を決定するので、受電機器3、受電機器1、受電機器4、受電機器2の順に給電するように給電順序を決定する。
(タイミングチャート)
次に、図13を参照して、本実施形態における給電機器100が行なう給電とキャリブレーションのタイミングについて説明する。図13の横軸は時間であり矢印の方向へ行くほど時間としては新しいことを示す。図13に示すキャリブレーションの際に、上述した本実施形態に係る給電順序決定処理を行い、給電順序を決定する。その後、決定した給電順序(すなわち、給電機器3、給電機器1、給電機器4、給電機器2)に従い、各々の受電機器1100を順次給電する。
なお、図13に示す1300は受電機器3が満充電した時点を示している。受電機器3への給電が終了すると、次のキャリブレーションでは3台同時にキャリブレーションを行って、3台の受電機器に対して給電を行う。
以上説明したように本実施形態では、必要充電時間の少ない受電機器への給電順序を早くするようにした。これにより、必要充電時間の少ない受電機器への給電が、他の受電機器への充電期間を待たなくてよくなるため、必要充電時間の少ない受電機器は早く使用可能充電容量に達することができる。すなわち、受電機器を早く使用することが可能となる。本実施形態では受電機器が4台で説明したが、100台、1000台と受電機器が多くなった場合に、より効果が表れる。
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。実施形態4では、受電機器の受電強度を用いて算出した給電効率値に基づいて給電順序を決定(給電効率値が高い受電機器が優先されるように給電順序を決定)する。このため、給電機器100の構成及び受電機器200は実施形態1及び実施形態2と共通である。また、給電機器の制御処理も、受電機器の受電強度を用いて算出した給電効率値に基づいて給電順序を決定する点を除き共通である。このため、同一の構成、同一の処理については、上述した実施形態と同一の参照番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
(給電機器100による給電順序決定処理の一連の動作)
図14を参照して、本実施形態における給電機器100による給電順序決定処理の一連の動作を説明する。図14に示す給電順序決定処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。
S1401として、給電側制御部101は、受電機器200の各々に対して受電強度情報の要求を送信し、(給電側通信部104を介して)受電機器200の各々から受電強度情報を受信する。S1402として、給電側制御部101は、受電機器200の各々から受信した受電強度情報を用いて、給電効率値を算出する。給電効率値は、受電機器200から受信した受電強度情報と給電機器100が発した給電電力強度の比から算出する。
S1403として、給電側制御部101は、受電機器200の各々について、各機器の給電効率値を付帯情報として情報リストに仮登録する。S1404として、給電側制御部101は、登録された受電機器200の各々について給電効率値が高い順に、情報リスト内の登録情報をソートする。
S1405として、給電側制御部101は、給電効率値が所定値以下の値を持つ登録情報が存在するかどうかを判定する。給電側制御部101は、給電効率値が所定値以下の値を持つ登録情報が存在しないと判定した場合、S1406に進む。一方、給電側制御部101は、給電効率値が所定値以下の値を持つ登録情報が存在する判定した場合、S1407に進む。
S1407として、給電側制御部101は、該当する受電機器200に対して給電効率値が低いことの通知を行う。S1408として、給電側制御部101は、S1404においてソートした情報リストから、給電効率値が所定値以下の受電機器200を削除し、情報リストを更新する。給電側制御部101は、登録情報の更新が完了すると、S1406に進む。
S1406として、給電側制御部101は、情報リストを確定する。
(給電順序決定処理における情報リスト操作)
次に、図15を参照して、上述した給電順序決定処理における情報リストの操作の過程を説明する。
図15(a)は、受電機器200の各々を情報リストに登録する際に用いる登録エントリ1500のデータ構造を示している。登録エントリ1500は、機器情報として受電機器名と給電効率値とを保持する。
図15(b)は、上述のS1401、S1402を経て、S1403において受電機器200の各々の給電順序決定の為の登録エントリ1500が情報リストに仮登録された状態を示している。本実施形態に於けるこの時点での登録エントリ1500の各々の登録順序は、受電機器200の各々からの応答受信順で登録されているものとする(もちろん特にこれに限定するものではない)。
登録エントリ1500aは受電機器200aのエントリであり、給電効率値は「0.5」である。また、登録エントリ1500bは受電機器200bのエントリであり、給電効率値は「0.7」である。更に、登録エントリ1500cは受電機器200cのエントリであり、給電効率値は「0.01」である。登録エントリ1500dは受電機器200dのエントリであり、給電効率値は「0.4」である。
図15(c)は、前述のS1404において登録エントリ1500の各々を給電効率値が高い順にソートした状態を示している。この結果、登録エントリ1500b、1500a、1500d、1500cの順に登録エントリが並ぶ。
図15(d)は、S1405及びS1408の処理の結果、受電機器200が削除された後の情報リストを示している。すなわち、給電効率値が所定の閾値(例えば0.1)以下である受電機器200が情報リスト内に存在するかを判定した結果、給電効率値が0.01である受電機器200cを情報リストから削除した状態を示している。閾値は、本実施形態では例えば0.1とする例を示したが、使用する給電環境によって任意に設定できる。最終的に、登録エントリは、登録エントリ1500b、1500a、1500dの順に並び、登録エントリ1500cは、給電効率値が低すぎるため給電対象から外される。なお、本実施形態では、情報リストの登録エントリはテーブル上の直列配置で管理されているが、データ管理の形態としてこれに限定するものではなく、他の管理手段を用いてもよい。
以上説明したように本実施形態では、複数の受電機器に給電を行う場合には、給電順序を給電効率値の大きい受電機器から順番に給電するようにした。これにより、給電効率の悪い受電機器の給電を後にすることにより、効率的な給電を行うことができる。また、給電効率が特に低い受電機器を給電対象から外す事により、無駄な電力消費を回避できる。
(実施形態5)
更に、実施形態5について説明する。実施形態5では、受電機器の有する組合せ情報に基づいて受電機器の給電順序を決定する。このため、給電機器100の構成及び受電機器200は実施形態1及び実施形態2と共通である。また、給電機器の制御処理も、受電機器の有する組合せ情報に基づいて給電順序を決定する点を除き共通である。このため、同一の構成、同一の処理については、上述した実施形態と同一の参照番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
本実施形態では、受電機器の有する組合せ情報に基づいて受電機器の給電順序を決定する。特に、本実施形態に係る給電機器100は、グループで動作する受電機器について、充電後に使用可能な受電機器が優先されるように給電順序を決定する。例えば、ワイヤレスイヤホンのように右耳用と左耳用の2つで一対の受電機器は、それぞれの2つの充電がなされて使用可能になる。このようなペアで(グループで)使用される機器は、一方の機器のみが充電されてから、もう一方の機器が充電されるまで時間がかかってしまう場合がある。また、ペアで(グループで)使用されるにも関わらず、その一部の機器しかない場合、充電が完了しても有効に使えない場合もある。そこで、本実施形態では、組み合わせ情報に基づいて、ペア(グループ)を構成する機器の給電順序を隣接させる。また、動作可能な機器の数を満たす受電機器や、独立して動作可能な受電機器から優先して給電するようにする。以下、詳述する。
図16を参照して、本実施形態における受電機器200が有する組合せ情報の構成と給電機器100が有するノードの構成を説明する。
組合せ情報1601は、受電機器200が有しており、受電機器領域1602とグループ領域1603と独立可否領域1604と動作数領域1605を備えている。受電機器領域1602は、どの受電機器200に対応する組合せ情報1601であるかを示している。グループ領域1603は、組合せ情報1601を有する受電機器200がどのグループに属しているかを示している。独立可否領域1604は、同一グループに属している他の受電機器200がなくても独立で動作できるか否かを示している。動作数領域1605は、独立可否領域1604が独立で動作できないことを示す場合、動作させるために必要な同一グループに属している他の受電機器200の台数を示している。
ノード1611は、給電機器100が有しており、データとポインタ1612から構成される。データは、受電機器200から受信した受電機器領域1602、グループ領域1603、独立可否領域1604、動作数領域1605を格納する領域を備えている。ノード1611は線形リスト構造の要素であり、ポインタ1612が次のノードのアドレスを指すことにより、各ノード1611が連なっているデータ構造である。あるノード1611のポインタ1612を2つ次のノード1611のアドレスに変更することで、あるノード1611の次のノードを削除する。また、あるノード1611のポインタ1612を新たなノード1611のアドレスに変更することで新たなノード1611を挿入する。これらは線形リスト構造における一般的な操作である。
次に、図17を参照して、本実施形態における給電機器100が有するノードのリストの例について説明する。図17の例では、7つのノードから成るリストを用いており、リスト1番目のノード1からリスト7番目のノード7までは、受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器4、受電機器5、受電機器6、受電機器7が割り振られている。
このノードのリストの例では、受電機器1と受電機器4と受電機器6は、同一のグループAに属している。また、受電機器3と受電機器7は同一のグループB、受電機器5はグループC、受電機器2はグループDに属している。「独立可否」の領域が0に設定されている場合には独立で動作可能でないことを示すため、グループBとDは独立で動作できない。従って、必ず同一グループである他の受電機器と動作する(すなわち複数の受電装置で動作する)。また、図17に示すリストの「動作数」の領域により、グループAは3台、グループBとCとDは2台の同一グループの受電機器があるとグループとして動作することができることを示している。
(給電機器100による給電順序決定処理の一連の動作)
次に、図18を参照して、本実施形態における給電機器100による組合せ情報に基づいた受電機器200の給電順序決定処理について説明する。図18に示す給電順序決定処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。
S1801では、給電側制御部101は、実施形態1における機器検出登録処理で検出された受電機器200に組合せ情報1601を送信するように要求する。S1802では、給電側制御部101は、機器検出登録処理で検出された全ての受電機器200から送信された組合せ情報1601を、給電側通信部104を介して受信する。
S1803では、給電側制御部101は、所定の条件に基づき給電順序の仮決めをする。所定の条件は、例えば、実施形態2の移動頻度情報や実施形態3の充電容量情報、実施形態4の受電強度情報に基づく給電順序の決定を用いる。
S1804では、給電側制御部101は、組合せ情報1601を用いて同一のグループに属する受電機器200の給電順序の決定処理を行う。詳細は図19を参照して説明する。S1805では、給電側制御部101は、組合せ情報1601を用いて同一のグループに属する他の受電機器200がない受電機器200の給電順序の決定処理を行う。詳細は図20を参照して説明する。
(同一グループに属する受電機器の給電順序変更処理に係る一連の動作)
次に、図19を参照して、給電機器100による、同一グループに属する受電機器の給電順序変更処理に係る一連の動作を説明する。本一覧の動作では、ノードが同一のグループごとに並ぶようにノードの順番を入れ替える。
S1901では、給電側制御部101は、変数mにリストのノード数、変数iとjに初期値0を入力する。S1902では、給電側制御部101はiに1を加算し、S1903では、iに1を加算した値をjに代入する。
S1904では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードのグループとリストj番目であるノードのグループが同一であるか否かを判定する。給電側制御部101は、同一であると判定した場合はS1905へ進み、同一でないと判定した場合はS1907へ進む。S1905では、給電側制御部101は、リストj番目のノードをリストから削除する。S1906では、給電側制御部101は、リストから削除したリストj番目のノードをリストi番目の次に挿入する(すなわち、S1905とS1906により同一のグループのノードが隣接するように移動させ、グループごとにノードをまとめる)。
S1907では、給電側制御部101は、jとmが同じ値であるか否かを判定する。給電側制御部101は、同じ値であると判定した場合はS1909へ進み、同じ値でないと判定した場合はS1908へ進む。S1908では、給電側制御部101は、jに1を加算することで次のノードについて同様の操作を繰り返させる。このため、処理をS1904に戻す。
S1909では、給電側制御部101は、jと(m−1)が同じ値であるか否かを判定する。同じ値であると判定した場合、同一グループに属する受電機器の給電順序変更処理を終了し、同じ値でない場合は再びS1902に戻る。
(同一グループに属する受電機器の給電順序変更処理に係る一連の動作)
図20を参照して、本実施形態における、給電機器による同一グループに属する他の受電機器がない給電順序変更処理の一連の動作について説明する。
S2001では、給電側制御部101は、変数mにリストのノード数、変数nに初期値0を入力する。S2002では、給電側制御部101は、変数iにm、変数jに(m−1)を代入する。S2003では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードが独立で動作可能でないか(すなわち独立可否が0であるか)否かを判定する。給電側制御部101は、処理対象のノードが独立で動作可能でない(独立可否が0である)と判定した場合はS2004へ進み、独立で動作可能である(独立可否が0でない)と判定した場合はS2005へ進む。S2004では、給電側制御部101は、iから1を引いて、より優先度の高い他のノードに対する処理に移る。
S2005では、給電側制御部101は、iから1を引いた値をjに代入する。S2006では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードのグループとリストj番目であるノード(すなわちリストi番目の上にあるノード)のグループが同一であるか否かを判定する。同一である場合はS2007へ進み、同一でない場合はS2009へ進む。S2007では、給電側制御部101は、nに1を加算し、S2008では、jから1を引く。すなわち、給電側制御部101は、同一グループであるノードの数をカウントする処理を繰り返す。
一方、異なるグループのノードが見つかった場合にS2009では、給電側制御部101は、(n+1)とリストi番目のノードの「動作数」の数が同じ値であるか否かを判定する。すなわち、リストi番目のノードの「動作数」で指定される数を満たすだけの同一グループのノードが存在し、グループとして動作することができるか否かを判定する。給電側制御部101は、同じ値である(グループとして動作可能)と判定した場合はS2012へ進み、同じ値でない(動作数より少ないためグループとして動作可能でない)と判定した場合はS2010へ進む。
同一グループのノードの数が動作数で指定される数に満たなかった場合、S2010では、給電側制御部101は、リスト(i―n)番目からリストi番目までのノードをリストから削除する。そして、S2011では、給電側制御部101は、リストから削除したリスト(i―n)番目からリストi番目までのノードをリストm番目の次に挿入する。
S2012では、給電側制御部101は、iから(n+1)を引いて処理対象であるノードを変更してS2013に進む。S2013では、全てのノードについて処理したか(すなわちiが0であるか)否かを判定する。給電側制御部101は、全てのノードについて処理した(iが0である)と判定した場合、この同一グループに属する他の受電機器がない給電順序変更処理を終了し、0でない場合はS2003に戻る。
次に、図21を参照して、上述した給電順序決定処理を実施した後の給電順序について説明する。なお、給電順序決定処理を実施した後のリスト1番目から7番目の順番が、給電順序の1番目から7番目の順番となる。
図21(a)は、図17で示したリストに対して、図19に示した同一グループに属する受電機器の給電順序変更処理を実施した後のリストの状態を示している。リスト1番目のノード1に関して、リスト順で最初の同一グループAであるノードはノード4である。そのため、リスト2番目にはノード4が挿入されている。リスト2番目のノード4に関して、リスト順で最初の同一グループAであるノードはノード6である。そのため、リスト3番目にノード6を挿入する。
リスト3番目のノード6に関して、リスト順で最初の同一グループAであるノードは存在しない。そのため、リスト4番目はそのままノード2となる。リスト4番目のノード2に関して、リスト順で最初の同一グループDであるノードは存在しない。そのため、リスト5番目はそのままノード3となる。
リスト5番目のノード3に関して、リスト順で最初の同一グループBであるノードはノード7である。そのため、リスト6番目にノード7を挿入する。リスト6番目のノード7に関して、リスト順で最初の同一グループBであるノードは存在しない。そのため、リスト7番目はそのままノード5となる。
このような処理の結果、リストの順序はノード1、ノード4、ノード6、ノード2、ノード3、ノード7、ノード5に変更される。
図21(b)は、図21(a)のリストに対して、図20に示した同一グループに属する他の受電機器がない給電順序変更処理を実施した後のリストを示している。
リスト7番目のグループCのノードに関して、グループCであるノードは独立で動作可能である。そのため、リストの順番に変更はない。
次に、リスト5番目から6番目のグループBのノードに関して、グループBであるノードは独立で動作不可能である。また、グループBであるノードはノード3、7の2つであり、グループBの動作数である2と一致する。グループBのノード数とグループBの動作数が同一であるため、リストの順番に変更はない。
リスト4番目のグループDのノードに関して、グループDであるノードは独立で動作不可能である。また、グループDであるノードはノード2の1つであるが、グループDの動作数は2である。グループDのノード数とグループDの動作数が同一でないため、リスト4番目のノード2は、リスト7番目に挿入される。リスト1番目から3番目のグループAのノードに関して、グループAであるノードは独立で動作可能である。そのため、リストの順番に変更はない。
このような処理の結果、リストの順序はノード1、ノード4、ノード6、ノード3、ノード7、ノード5、ノード2となる。したがって、図17のリストに対して給電順序決定処理を実施した後の給電順序は、受電機器1、受電機器4、受電機器6、受電機器3、受電機器7、受電機器5、受電機器2に決定される。
以上説明したように本実施形態によれば、受電機器がグループを編成してグループとして動作可能な場合に、独立に動作できる受電機器や、独立に動作可能でなくても規定数を満たす受電機器を優先するようにした。このようにすることで、複数の受電機器に対する給電において、給電がひとつの受電機器に偏らず、充電量のバランスを保つことができる。
(実施形態6)
次に、実施形態6について説明する。なお、実施形態6では、災害時必要レベル情報に応じて給電順序を決定する点が上述した実施形態と異なる。また、説明の便宜上、無線給電システムを構成する受電機器を入れ替えて各受電装置の参照符号を振り直している。しかし、受電機器200と受電機器2200の構成は共通であり、給電機器100の構成も共通である。また、給電機器の制御処理も災害時必要レベル情報に応じて給電順序を決定する点を除き共通である。このため、同一の構成、同一の処理については、上述した実施形態と同一の参照番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
(システム構成)
本実施形態に係る無線給電システムは、図22に示すように給電機器100と、複数台の受電機器2200(受電機器の各々の番号は2200a、2200b、2200c、2200d、2200e、2200f)とで構成される。
受電機器2200の種類は、受電機器2200aで示す懐中電灯、受電機器2200bで示すリモートコントローラ、受電機器2200cで示す懐中電灯、受電機器2200dで示す電池、受電機器2200eで示すカメラ、受電機器2200fで示すヘッドランプのような災害時用備え付け機器である。
このようなシステムにおいて、給電機器100は受電機器2200の夫々と無線通信することで受電機器200の存在を検出する。そして、給電機器100は受電機器2200の各々が送信するキャリブレーション信号を受信して受電機器2200の各々の方向を検出する。そして、給電機器100は受電機器2200を検出すると内部に備えるアレーアンテナ103に供給する電力を制御して2200各々の方向に向けてマイクロ波である給電出力を放射する。受電機器2200の各々は給電機器100が出力する給電出力を受信して内部に備える不図示の二次電池を充電する。
本実施形態に係る受電機器2200の各々は各自の装置種別を示す品目情報を保有している。受電機器2200の各々は災害時利用の必要度に応じて設定された災害時必要レベル情報を保有している。災害時必要レベル情報が示す必要レベルの高低は、給電機器100が受電機器2200に給電する際の給電順序に対応しており、必要レベルが高い受電装置程、給電順序が優先される。
例えば、図22に示す例では、受電機器2200aは品目情報「懐中電灯」、緊急時必要度レベル情報「1」を保有する。また、受電機器2200bは品目情報「リモートコントローラ」、緊急時必要度レベル情報「3」を保有し、受電機器2200cは品目情報「懐中電灯」、緊急時必要度レベル情報「1」を保有する。更に、受電機器2200dは品目情報「電池」、緊急時必要度レベル情報「1」を保有し、受電機器2200eは品目情報「カメラ」、緊急時必要度レベル情報「2」を保有する。最後に、受電機器2200fは品目情報「ヘッドランプ」、緊急時必要度レベル情報「2」を保有する。なお、本実施形態において、緊急時必要度レベル情報は値が小さいほど高優先であるものとするが、これに限定するものではなく、例えば値が大きいほど高優先としてもよい。
(給電機器による給電順序決定処理の一連の動作)
次に、図23を参照して、本実施形態における給電機器100による給電順序決定処理の一連の動作について説明する。図23に示す給電順序決定処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。
S2301として、給電側制御部101は、受電機器2200の各々に対し品目情報を要求し、受電機器2200の各々から品目情報を受信する。S2302として、給電側制御部101は受電機器2200の各々に対し災害時必要レベル情報を要求し、受電機器2200の各々から災害時必要レベル情報を受信する。
S2303として、給電側制御部101は、受電機器2200の各々について、各機器の品目情報及び災害時必要レベル情報を付帯情報として情報リストに仮登録する。S2304として、給電側制御部101は、登録された受電機器2200の各々の災害時必要レベル情報の優先度順に、情報リスト内の登録情報をソートする。
S2305として、給電側制御部101は、災害時必要レベル情報が同一レベルの登録情報の集合内で同一の品目情報を持つ登録情報が存在するかどうかを判定する。
給電側制御部101は、同一の品目情報が複数検出されていないと判定した場合、S2306に処理を進める。一方、同一の品目情報が複数検出されたと判定した場合、S2307に処理を進める。
S2306として、給電側制御部101は情報リストが確定する。S2307として、給電側制御部101は、2番目以降に検出された登録情報を災害時必要レベル情報が同一レベルの登録情報の最後尾に移動する。変更された情報リストは、S2307において確定される。
(給電順序決定処理時の情報リスト操作)
図24Aは、本実施形態における給電順序決定処理の動作に基づいた、情報リスト操作の過程を示している。図24A(a)は、受電機器2200の各々を情報リストに登録する際に用いる登録エントリ2400のデータ構造を示している。登録エントリ2400は機器情報として、受電機器名、品目情報、災害時必要レベル情報を保持している。
図24A(b)は、前述のS2301、S2302を経て、S2303において受電機器2200の各々の給電順序決定の為の登録エントリ2400が情報リストに仮登録された状態を示している。本実施形態に於けるこの時点での登録エントリ2400各々の登録順序は、受電機器2200の各々からの応答受信順で登録されているものとするが、特にこれに限定するものではない。
仮登録された情報リストにおいて、登録エントリ2400aは受電機器2200aのエントリであり、品目情報は「懐中電灯」、災害時必要レベル情報は「レベル1」である。また、登録エントリ2400bは受電機器2200bのエントリであり、品目情報は「リモートコントローラ」、災害時必要レベル情報は「レベル3」である。登録エントリ2400cは受電機器2200cのエントリであり、品目情報は「懐中電灯」、災害時必要レベル情報は「レベル1」である。更に、登録エントリ2400dは受電機器2200dのエントリであり、品目情報は「電池」、災害時必要レベル情報は「レベル1」である。登録エントリ2400eは受電機器2200eのエントリであり、品目情報は「カメラ」、災害時必要レベル情報は「レベル2」である。最後に、登録エントリ2400fは受電機器2200fのエントリであり、品目情報は「ヘッドランプ」、災害時必要レベル情報は「レベル2」である。
図24A(c)は、前述のS2304において登録エントリ2400各々を災害時必要レベル情報順にソートした状態を示している。この図では、登録エントリ6400bは災害時必要レベル情報がレベル3であり、全てのエントリの中で最低レベルである為、情報リストの最後尾に移動している。この結果、登録エントリ2400a、2400c、2400d、2400e、2400f、2400bの順に登録エントリが並ぶ。
図24Bは、上述のS2305、S2307において災害時必要レベル情報が同一レベルのエントリ内で同一品種のエントリが存在する場合に、2番目以降に検出されたエントリを同一レベル内で最後尾に移動する処理を行った状態を示している。具体的には、登録エントリ2400cは災害時必要レベル情報がレベル1のエントリ群に属しており、このエントリ群の中には登録エントリ2400cと同一の品目情報「懐中電灯」を持つ登録エントリ2400aが存在している。上述の図24A(c)の状態では、登録エントリ2400cは登録エントリ2400aより後に登録されているため、登録エントリ2400cをレベル1のエントリ群内の最後尾に移動している。この結果、図24Bに示す情報リストのように、レベル1の登録エントリ群は登録エントリ2400a、2400d、2400cの順に並ぶ。
なお、本実施形態では、情報リストの登録エントリはテーブル上の直列配置で管理されているが、データ管理の形態としてこれに限定するものではない。例えば、図24Cに示すように、災害時必要レベル情報をハッシュキーとするハッシュ木型データ構造によって管理しても良い。
以上説明したように本実施形態では、複数台の受電機器に対して給電を行う場合において、給電順序を各防災用給電機器の災害時における必要度に応じて順位づけし、必要度の高い機器から順番に給電するようにした。これにより、被災時に必要度の高い防災用受電機器を十分に充電がされた状態で使用できる可能性を高めることが可能になる。
(実施形態7)
次に、実施形態7について詳述する。実施形態7では、使用予定情報に基づいて受電機器の給電順序を決定する。このため、給電機器100の構成及び受電機器200は実施形態1及び実施形態2と共通である。また、給電機器の制御処理も、使用予定情報に基づいて給電順序を決定する点を除き共通である。このため、同一の構成、同一の処理については、上述した実施形態と同一の参照番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
本実施形態に係る給電順序の決定では、使用する予定を考慮して、使用予定がある受電機器に優先して充電し、受電機器の使用する際に充電不足で動作できなくなる可能性を低減させる。更に、使用期間が長い受電機器を優先して充電するようにして、受電機器ごとの特性を考慮して必要な充電を行う。
図25は、本実施形態における受電機器200が有する使用予定情報の構成と給電機器100が有するノードの構成を示している。使用予定情報2501は、受電機器200が有しており、受電機器領域2502と使用時期領域2503と使用期間領域2504と使用履歴領域2505を備えている。受電機器領域2502は、どの受電機器200に対応する使用予定情報2501であるかを示している。使用時期領域2503と使用期間領域2504と使用履歴領域2505については、図26で後述する。
ノード2511は、給電機器100が有しており、データとポインタ2512から構成される。データは、受電機器200から受信した受電機器領域2502、使用時期領域2503、使用期間領域2504、使用履歴領域2505を備えている。ノード2511は線形リスト構造の要素であり、ポインタ2512が次のノードのアドレスを指すことにより、各ノード2511が連なっているデータ構造である。
例えば、3つのノードから成る線形リストの場合、1番目のノード2511のポインタ2512を3番目のノード2511のアドレスに変更することで、2番目のノード2511を線形リストから削除することができる。また、1番目のノード2511のポインタ2512を新たなノード2511のアドレスに変更することで新たなノード2511を1番目のノード2511と2番目のノード2511の間に挿入することができる。これらは線形リスト構造における一般的な操作である。
図26は、本実施形態における、受電機器の使用時期と使用期間と使用履歴とを示している。横軸は時間であり矢印の方向へ行くほど時間としては新しいことを示し、点0は現在の時刻を表している。
再び図25を参照すると、使用時期領域2503は、受電機器200が使用されるまでの時間である使用時期を示す値が格納された領域である。また、使用期間領域2504は、受電機器200が使用される期間である使用期間を示す値が格納された領域である。そして、使用履歴領域2505は、受電機器200が最後に使用されてから経過した時間である使用履歴を示す値が格納された領域である。
次に、図27を参照して、本実施形態における、給電機器100が有するノードのリストをについて説明する。図27の例では、6つのノードから成るリストを用いており、リスト1番目のノード1からリスト6番目のノード6までは、受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器4、受電機器5、受電機器6の使用予定情報2501が格納されている。使用時期領域2503において0時間後は使用予定がないことを示している。
具体的に、受電機器1は10時間後に1時間使用予定であり、最後に使用してから1時間経過している。受電機器2は0.1時間後に2時間使用予定であり、最後に使用してから3時間経過している。また、受電機器3は(使用時期が0であるため)使用予定がなく、最後に使用してから3時間経過している。更に、受電機器4は10時間後に2時間使用予定であり、最後に使用してから7時間経過している。受電機器5は使用予定がなく、最後に使用してから7時間経過しており、受電機器6は5時間後に1時間使用予定であり、最後に使用してから1時間経過している。
(使用予定情報に基づく給電順序決定処理の一連の動作)
次に、図28を参照して、本実施形態における給電機器100による使用予定情報に基づく給電順序決定処理の一連の動作を説明する。図28に示す給電順序決定処理は、給電側制御部101が内部に備えるROMに記録されているプログラムをRAMに展開、実行することによって実現される。
S2801では、給電側制御部101は、実施形態1における機器検出登録処理で検出された受電機器200に使用予定情報2501を送信するように要求する。S2802では、給電側制御部101は、実施形態1における機器検出登録処理で検出された全ての受電機器200から送信された使用予定情報2501を受信する。
S2803では、給電側制御部101は、受信した使用予定情報2501から線形リスト構造の要素であるノード2511を作成し、リストを仮決めする。例えば、使用予定情報2501を受信した順によってリストを仮決めする。
S2804では、給電側制御部101は、使用予定情報2501を用いて、使用時期が近い順での受電機器200の給電順序の決定処理を行う。詳細は図29を参照して後述する。更に、S2805では、給電側制御部101は、使用予定情報2501を用いて、使用時期が所定時間内である受電機器200について給電順序の決定処理を行う。詳細は図30を参照して後述する。S2806では、給電側制御部101は、使用予定情報2501を用いて、同一の使用時期である受電機器200の給電順序の決定処理を行う。詳細は図31を参照して後述する。
次に、図29を参照して、本実施形態における給電機器による使用時期が近い順での受電機器の給電順序変更処理について説明する。
S2901では、給電側制御部101は、変数mにリストのノード数、変数iとjに初期値0を入力する。S2902〜S2903では、処理対象のノードをi+1、評価対象となるノードをjとして、評価対象のノードを順次設定する。すなわち、S2902では、給電側制御部101は、iに1を足す。また、S2903では、給電側制御部101は、jに1を代入する。
S2904では、給電側制御部101は、ノードの使用時期の近い順に評価対象のノードを並べ替えるために、リストj番目であるノードの使用時期がリスト(j+1)番目であるノードの使用時期より遠いか否かを判定する。給電側制御部101は、遠いと判定した場合はS2905へ進み、近いと判定した場合はS2907へ進む。S2905では、給電側制御部101は、リストj番目のノードをリストから削除する。S2906では、給電側制御部101は、リストから削除したリストj番目のノードをリスト(j+1)番目の次に挿入する。すなわち、リストj番目のノードをリスト(j+1)番目の次に移動させる。
S2907では、給電側制御部101は、リストの位置を表すjと(m−i)とが同じ値であるか否かを判定する。給電側制御部101は、同じ値であると判定した場合はS2909へ進み、同じ値でないと判定した場合はS2908へ進む。
S2908では、給電側制御部101は、評価対象のノードを新たなノードに変更するためにjに1を足す。S2909では、給電側制御部101は、iと(m−1)が同じ値であるか否か(すなわち処理対象のノードがリストの最後であるか)を判定する。同じ値であると判定した場合、(全てのノードが処理されたため)使用時期が近い順での受電機器の給電順序変更処理を終了する。一方、同じ値でないと判定した場合は、S2902に戻って次の処理対象となるノードに処理を移す。
次に、図30を参照して、給電機器による、使用時期が所定時間内である受電機器の給電順序変更処理について説明する。
S3001では、給電側制御部101は、変数mにリストのノード数、変数nに初期値0を入力すると、S3002では、リストの最後のノードを処理対象とするために変数iにmを代入する。S3003では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードの使用時期は0時間であるか(すなわち使用予定があるか)否かを判定する。給電側制御部101は、0時間である(使用予定がない)と判定した場合、S3004へ進み、0時間でない(使用予定がある)と判定した場合はS3006へ進む。
S3004では、給電側制御部101は、使用予定のない受電機器を後回しにするため、リストi番目のノードをリストから削除する。そして、S3005では、給電側制御部101は、リストから削除したリストj番目のノードをリストm番目の次に挿入する。
S3006では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードの使用時期が所定時間内であるか否かを判定する。給電側制御部101は、所定時間内であると判定した場合はS3007へ進み、所定時間内でないと判定した場合はS3010へ進む。
S3007では、給電側制御部101は、リストi番目のノードをリストから削除し、更に、S3008では、リストから削除したリストj番目のノードをリスト(m+n)番目の次に挿入する。すなわち、給電側制御部101は、使用時期が所定時間内であるノードの優先順がまとまって高くなるようにノードを入れ替える。
S3009では、給電側制御部101は、nに1を加算し、S3010では、iから1を引く。S3011では、給電側制御部101は、iが0であるか否かを判定する。給電側制御部101は、全てのノードについて処理を終えた(iが0である)と判定した場合には、使用時期が所定時間内である受電機器の給電順序変更処理を終了する。一方、全てのノードについて処理が完了していない(iが0でない)と判定した場合は処理をS3003に戻して処理を繰り返す。
更に、図31を参照して、給電機器による、同一の使用時期である受電機器に対する給電順序変更処理の一連の動作について説明する。
S3101では、給電側制御部101は、変数mにリストのノード数、変数nとiとjとkに初期値0を入力する。S3102〜S3103では、処理対象のノードをi+1、評価対象となるノードをjとして、評価対象のノードを順次設定する。すなわち、S3102では、給電側制御部101は、iに1を加算し、更にS3103では、iに1を足した値をjに代入する。
S3104では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードの使用時期とリストj番目であるノードの使用時期が同一であるか否かを判定する。給電側制御部101は、ノードの使用時期が同一であると判定した場合はS3105へ進み、同一でないと判定した場合はS3108へ進む。
S3105では、給電側制御部101は、nに1を足す。すなわち、ノードの使用時期が同一であると判定した場合には、使用時期が同一であるノードの数をカウントアップする。そして、S3106では、給電側制御部101は、jとmが同じ値であるか否かを判定する。給電側制御部101は、jとmが同じ値である(すなわち全ての候補ノードについて調べた)と判定した場合はS3108へ進み、同じ値でないと判定した場合は更に候補ノードを調べるためにS3107へ進む。S3107では、給電側制御部101は、jに1を加算する。
S3108では、給電側制御部101は、同一の使用時期であるノードの数を評価するため、nが0であるか否かを判定する。給電側制御部101は、nが0であると判定した場合はS3121に進み、nが0でないと判定した場合はS3109へ進む。
S3109では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードの使用時期が0時間に設定されているか否かを判定する。使用時期が0時間であると判定した場合はS3110へ進み、0時間でないと判定した場合はS3111へ進む。
S3110では、給電側制御部101は、リストi番目であるノードの使用履歴がリスト(i+1)番目であるノードの使用履歴より古いか否かを判定する。給電側制御部101は、リストi番目であるノードの使用履歴が古いと判定した場合はS3112へ進み、リストi番目であるノードの使用履歴が新しいと判定した場合はS3114へ進む。
一方、S3111では、給電側制御部101は、使用時期が0でないノードについて、リストi番目であるノードの使用期限がリスト(i+1)番目であるノードの使用期間より短いか否かを判定する。給電側制御部101は、リストi番目であるノードの使用期限が短いと判定した場合はS3112へ進み、リストi番目であるノードの使用期限が長いと判定した場合はS3114へ進む。
S3112では、給電側制御部101は、リストi番目のノードをリストから削除し、更に、S3113において、リストから削除したリストi番目のノードをリスト(i+1)番目の次に挿入する。
S3114では、給電側制御部101は、iと(j―(2+k))が同じ値であるか否かを判定する。給電側制御部101は、iと(j―(2+k))が同じ値であると判定した場合はS3116へ進む。同じ値でないと判定した場合は、処理対象のノードを更新して処理を繰り返すためにS3115へ進み、S3115においてiをインクリメントして更にS3109に戻る。
S3116では、給電側制御部101は、kと(n―1)が同じ値であるか否かを判定し、同じ値であると判定した場合はS3119へ進み、同じ値でないと判定した場合はS3117へ進む。
S3117では、給電側制御部101は、iから(n―1)を減算し、S3118では、kに1を加算する。また、S3119では、給電側制御部101は、iにnを加算するとともに、S3120では、変数nとkに0を入力して、使用時期を同一にする新たなノードに処理を行えるようにする。
S3121では、給電側制御部101は、処理対象となるノードを一通り評価したか(すなわちiと(m−1)が同じ値であるか)否かを判定する。給電側制御部101は、iと(m−1)が同じ値である場合は同一の使用時期である受電機器の給電順序変更処理を終了し、同じ値でないと判定した場合は新たな処理対象のノードに対する処理を行うためにS3102に戻る。
次に、図32を参照して、上述した本実施形態における給電順序決定処理を実施した後の給電順序について説明する。なお、給電順序決定処理実施後のリスト1番目から6番目の順序が、給電順序1番目から6番目の順序となる。
図32(a)は、図27のリストに対して、図29で説明した、使用時期が近い順での受電機器の給電順序変更処理を実施した後のリストを示している。図29に示した処理はバブルソートともいわれる。この処理では、比較しているノードの使用時期が同じ場合は順序を変更しない。その結果、リストの順序はノード3、ノード5、ノード2、ノード6、ノード1、ノード4の順となる。
図32(b)は、図32(a)のリストに対して、図30で説明した、使用時期が所定時間内である受電機器の給電順序変更処理を実施した後のリストを示している。なお、使用時期が所定時間内である受電機器の給電順序変更処理は、リスト6番目から給電順序の変更を行い、例えば、図32(b)における使用時期の所定時間は、0.5時間に設定されている。
まず、リスト6番目のノード4に関して、使用時期は10時間後であり、所定時間0.5時間より遠いため、当該ノードのリストの順序に変更はない。次に、リスト5番目のノード1に関しても、使用時期は10時間後であり、所定時間0.5時間より遠いため、リストの順序に変更はない。同様に、リスト4番目のノード6、に関して、使用時期は5時間後であり、所定時間0.5時間より遠いため、リストの順序に変更はない。
一方、リスト3番目のノード2に関しては、使用時期は0.1時間後であり、所定時間0.5時間より近いため、給電側制御部101はリスト6番目にノード2を挿入する。更に、給電側制御部101は、リスト2番目のノード5に関して、使用時期が0時間であるため、リスト6番目にノード5を挿入する。更に、給電側制御部101は、リスト1番目のノード3については、使用時期が0時間であるため、リスト6番目にノード3を挿入する。この結果、リストの順序はノード6、ノード1、ノード4、ノード2、ノード5、ノード3となる。
更に、図32(c)は図32(b)のリストに対して、図31の同一の使用時期である給電順序変更処理を実施した後のリストを示している。
図32(b)のリストでは、リスト1番目のノード6に関して、同一の使用時期であるノードは存在しないため、リストの順序に変更はない。更に、リスト2番目から3番目の使用時期が10時間後であるノードは、同一の使用時期であり、かつ使用時期が0時間後でない。このため、それぞれのノードの使用期間を比較する。比較の結果、ノード4よりノード1の使用期間の方が短いため、リスト3番目にノード1を挿入する。また、リスト4番目のノード2に関して、同一の使用時期であるノードは存在しないため、リストの順序に変更はない。
給電側制御部101は、リスト5番目から6番目の使用時期が0時間後であるノードについては、同一の使用時期であり使用時期が0時間後であるため、各ノードの使用履歴を比較する。使用履歴を比較した結果、ノード3よりノード5の使用履歴の方が古いため、リスト6番目にノード5を挿入する。
このような処理の結果、リストの順序はノード6、ノード1、ノード4、ノード2、ノード3、ノード5となる。したがって、図27のリストに対して給電順序決定処理を実施後の給電順序は、受電機器6、受電機器4、受電機器1、受電機器2、受電機器3、受電機器5で確定する。
以上説明したように本実施形態によれば、複数の受電機器に対する給電において、使用する予定がある受電機器に優先して充電するようにした。このようにすることで、受電機器の使用時に充電不足で動作できないことを防ぐことができる。また、使用期間が長い受電機器を優先して充電することで、受電機器ごとで使用期間中に必要な充電を行うができる。さらに、使用予定が直近である受電機器において給電順序の優先度を下げることにより、充電期間が限られた中で効率よく充電することができる。
なお、上述の実施形態では、使用予定情報が受電機器から給電機器に送信される例を説明したが、この方法に限定されるものではない。例えば、給電機器が全ての受電機器の使用予定情報を予め保持するようにしてもよい。また、給電機器或いは別途設けられたサーバにより、受電機器使用者の生活パターンから各受電機器の使用予定を予測して、使用予定情報を生成するようにしてもよい。いずれであっても上述した本実施形態を適用することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。