以下に、本発明の実施の形態及び各変形例について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
更に、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
なお、以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態)
<エアカーテン装置>
本発明の一実施形態である実施の形態のエアカーテン装置について説明する。図1は、実施の形態のエアカーテン装置の構成を模式的に示す図である。図2は、実施の形態のエアカーテン装置の構成を模式的に示す断面図である。図3は、実施の形態のエアカーテン装置の配置の一例を模式的に示す平面図である。図4は、実施の形態のエアカーテン装置の配置の他の例を模式的に示す平面図である。図5は、実施の形態のエアカーテン装置の構成を模式的に示す図である。なお、図2は、図1に示すエアカーテン装置1のうち、1台(1個)の送風機11と1台(1個)の送風機21とにより形成される組を示している。また、図2では、エアカーテンAC1のうちの一部をエアカーテンAC10として示している。また、図1、図2及び図5においては、気流の向きを矢印により示している(図6及び図8乃至図10においても同様)。
図1及び図2に示すように、本実施の形態のエアカーテン装置1は、エアカーテンを形成するエアカーテン装置であり、エアカーテンを形成するエアカーテン形成部2を備える。エアカーテン形成部2は、空気が吹き出される吹出部3と、空気が吸い込まれる吸込部4と、を備える。エアカーテン形成部2は、吹出部3から吹き出され、吸込部4に吸い込まれる、複数の螺旋気流SA1により、エアカーテンAC1を形成する。
吹出部3は、上下方向に配列された複数の送風機(サーキュレータ)11と、複数の送風機11を支持する支持部(スタンド)12と、を有する。複数の送風機11は、空気が吸い込まれる吸込口13と、空気が吹き出される吹出口14と、をそれぞれ含む。支持部12としては、特に限定されるものではないが、例えば脚部15と、脚部15上に設けられた枠部16と、を含む支持部12を用いることができる。このような場合、複数の送風機11の各々は、上下方向に配列された状態で枠部16により固定されるか、又は、上下方向に配列され且つ吹出口14の向きが変更可能な状態で枠部16により支持されることになる。また、枠部16を掴んで運ぶことにより、吹出部3を容易に設置又は移動することができる。
吸込部4は、上下方向に配列された複数の送風機(サーキュレータ)21と、複数の送風機21を支持する支持部(スタンド)22と、を有する。複数の送風機21は、空気が吸い込まれる吸込口23と、空気が吹き出される吹出口24と、をそれぞれ含む。また、複数の送風機21は、平面視において、吸込口23が複数の送風機11の各々に含まれる吹出口14とそれぞれ対向配置される。支持部22としては、特に限定されるものではないが、例えば脚部25と、脚部25上に設けられた枠部26と、を含む支持部22を用いることができる。このような場合、複数の送風機21の各々は、上下方向に配列された状態で枠部26により固定されるか、又は、上下方向に配列され且つ吸込口23の向きが変更可能な状態で枠部26により支持されることになる。また、枠部26を掴んで運ぶことにより、吸込部4を容易に設置又は移動することができる。
具体的には、複数の送風機11の各々は、中心軸31を中心とする筒部32と、筒部32の内部に中心軸31を中心として回転可能に設けられたファン33と、ファン33を回転駆動する駆動部34と、を含むことができる。このような場合、吸込口13は、筒部32の中心軸31に沿った方向即ち軸方向における端部35に設けられ、吹出口14は、筒部32の中心軸31に沿った方向即ち軸方向における端部35と反対側の端部36に設けられる。ファン33は、吸込口13から空気を吸い込み、吸込口13から吸い込まれた空気を吹出口14から吹き出す。
また、複数の送風機21の各々は、中心軸41を中心とする筒部42と、筒部42の内部に中心軸41を中心として回転可能に設けられたファン43と、ファン43を回転駆動する駆動部44と、を含むことができる。このような場合、吸込口23は、筒部42の中心軸41に沿った方向即ち軸方向における端部45に設けられ、吹出口24は、筒部42の中心軸41に沿った方向即ち軸方向における端部45と反対側の端部46に設けられる。ファン43は、吸込口23から空気を吸い込み、吸込口23から吸い込まれた空気を吹出口24から吹き出す。
本実施の形態では、複数の送風機11の各々について、送風機11と、複数の送風機21のうちのいずれかであり且つ送風機11に含まれる吹出口14と対向配置される吸込口23を含む送風機21とにより、組が形成される。
送風機11と送風機21との組において、送風機11は、送風機11に含まれる吹出口14から、送風機21に含まれる吸込口23に向けて、螺旋気流SA1を吹き出す。また、送風機11と送風機21との組において、送風機21は、送風機11に含まれる吹出口14から送風機21に含まれる吸込口23に向けて送風機11により吹き出された螺旋気流SA1を、送風機21に含まれる吸込口23から吸い込む。
本実施の形態のエアカーテン装置1は、上下方向に配列され、複数の送風機11の各々にそれぞれ含まれる複数の吹出口14の各々からそれぞれ吹き出され、且つ、複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口23の各々にそれぞれ吸い込まれる、複数の螺旋気流SA1により、エアカーテンAC1を形成する。
ここで、エアカーテン装置によりエアカーテンを形成する際の問題点について説明する。
上記特許文献1乃至上記特許文献3に記載された技術では、ある空間を2つの部分空間に効率良く仕切って分割し、例えば一方の部分空間から他方の部分空間に飛沫等の異物が侵入することを防止するためには、大型又は複雑なエアカーテン装置を用いなくてはならないという問題があった。このような大型又は複雑なエアカーテン装置を用いる場合、エアカーテン装置を容易に設置できず、容易に移動できない、という問題があった。
また、小型且つ簡易なエアカーテン装置を用いるだけでは、ある空間を効率良く仕切って分割することができず、一方の部分空間から他方の部分空間に飛沫等の異物が侵入することを効率良く防止することができないという問題があった。
一方、本実施の形態のエアカーテン装置1は、上下方向に配列された複数の送風機11と、上下方向に配列された複数の送風機21と、を有し、送風機21に含まれる吸込口23が送風機11に含まれる吹出口14と対向配置される。また、送風機11と送風機21との組において、送風機11は、送風機11に含まれる吹出口14から、送風機21に含まれる吸込口23に向けて、螺旋気流SA1を吹き出し、送風機21は、送風機11により吹き出された螺旋気流SA1を、吸込口23から吸い込む。また、本実施の形態のエアカーテン装置1は、複数の送風機11に含まれる複数の吹出口14から吹き出され、且つ、複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口23に吸い込まれる、複数の螺旋気流SA1により、エアカーテンAC1を形成する。
吹出口14から螺旋形状を有する螺旋気流SA1が吹き出される場合、螺旋形状以外の形状を有する気流が吹き出される場合よりも、気流が広がらずに直進しやすくなる。即ち、螺旋気流SA1の直進性は、螺旋形状以外の形状を有する気流の直進性よりも高い。
そのため、上下方向に配列された複数の送風機11の各々にそれぞれ含まれる複数の吹出口14、即ち上下方向に配列された複数の吹出口14から複数の螺旋気流SA1が吹き出されることにより、形成されるエアカーテンAC1の厚さが、複数の送風機11から遠ざかるにつれて厚くなることを防止又は抑制することができる。
また、複数の吹出口14の各々からそれぞれ吹き出された複数の螺旋気流SA1が、上下方向に配列された複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口23、即ち上下方向に配列された複数の吸込口23から吸い込まれることによっても、エアカーテンAC1の厚さが、複数の送風機11から遠ざかるにつれて厚くなることを防止又は抑制することができる。
そのため、本実施の形態のエアカーテン装置1によれば、小型且つ簡易なエアカーテン装置を用いるだけで、ある空間を効率良く仕切って分割することができ、一方の部分空間から他方の部分空間に飛沫等の異物が侵入することを効率良く防止することができる。また、ある空間を2つの部分空間に効率良く仕切って分割し、例えば一方の部分空間から他方の部分空間に飛沫等の異物が侵入することを防止するために、大型又は複雑なエアカーテン装置を用いる必要がないので、エアカーテン装置を容易に設置し、容易に移動することができる。
即ち、本実施の形態のエアカーテン装置1によれば、ある空間を効率良く仕切って分割することができ、一方の部分空間から他方の部分空間に飛沫等の異物が侵入することを効率良く防止することができ、且つ、エアカーテン装置を容易に設置し、容易に移動することができる。
図3に示すように、本実施の形態のエアカーテン装置1は、小型且つ簡易なエアカーテン装置であるため、例えばテーブル51上に設置されることができる。例えば飲食店その他の店舗において、テーブル51を挟んで、2人の利用者52が互いに対面しているか、又は、利用者52と従業者53とが互いに対面している場合、テーブル51を中心とした空間SPを、2人の利用者52の間、又は、利用者52と従業者53との間で、2つの部分空間SP1及びSP2に効率良く仕切って分割することができる。
このような場合、前述したように、2人の利用者52の間、又は、利用者52と従業者53との間に、ガラス又は樹脂等よりなる遮蔽板を設置する必要がないので、2人の利用者52の間、又は、利用者52と従業者53との間で、例えば小声でも会話しやすくなり、商品を手渡しすることができる。
図4に示すように、本実施の形態のエアカーテン装置1は、小型且つ簡易なエアカーテン装置であるため、例えば複数のテーブル51よりなるテーブル群54と、複数のテーブル51よりなるテーブル群55と、の間に設置されることができる。例えばテーブル群54とテーブル群55との間が通路56であり、その通路56にガラス又は樹脂等よりなる遮蔽板を設置しにくい場合でも、テーブル群54とテーブル群55との間の通路56に本実施の形態のエアカーテン装置1を設置することにより、複数のテーブル51が配置されている空間SPを、通路56を境界として、2つの部分空間SP1及びSP2に効率良く仕切って分割することができる。なお、テーブル群54に含まれる複数のテーブル51は、テーブル51とパーティション57とが交互に配置されるように、通路56に沿って配列されており、テーブル群55に含まれる複数のテーブル51は、テーブル51とパーティション57とが交互に配置されるように、通路56に沿って配列されている。
また、前述したように、螺旋気流SA1の直進性は、螺旋形状以外の形状を有する気流の直進性よりも高い。そのため、本実施の形態のエアカーテン装置1によれば、図4に示すように、一方の部分空間SP1に配置され、通路56に沿って配列された3つのテーブル51よりなるテーブル群54と、他方の部分空間SP2に配置され、通路56に沿って配列された3つのテーブル51よりなるテーブル群55と、の間を1台のエアカーテン装置1により、効率良く仕切って分割することができる。
図5に示すように、好適には、複数の送風機11のうちのいずれか(又は全部)である送風機11aは、送風機11aに含まれる吹出口14から螺旋気流SA1が吹き出される方向に光LG1を照射する発光部61を含む。また、複数の送風機11に対する複数の送風機21の相対位置は、送風機11aに含まれる発光部61により照射された光LG1が、複数の送風機21のうちのいずれか(又は全部)であり且つ平面視において送風機11aに含まれる吹出口14と対向配置される吸込口23を含む送風機21aに照射されるように、調整される。
このような場合、本実施の形態のエアカーテン装置1が設置される場所で、送風機11aに含まれる発光部61により照射された光を、送風機21aに照射させながら、吹出部3に対する吸込部4の相対位置を調整することにより、送風機11の吹出口14から吹き出された螺旋気流SA1が送風機21の吸込口23に真っ直ぐに届くか否か(到達するか否か)を、視覚的に容易に確認することができる。そのため、送風機11と送風機21とを確実に1対1で対応させることができる。
なお、発光部61に関しては、送風機11と送風機21とが逆でもよい。即ち、複数の送風機21のうちのいずれか(又は全部)である送風機21aは、送風機21aに含まれる吸込口23に螺旋気流SA1が吸い込まれる方向に光を照射する発光部(図示は省略)を含んでもよい。また、複数の送風機21に対する複数の送風機11の相対位置は、送風機21aに含まれる発光部(図示は省略)により照射された光が、複数の送風機11のうちのいずれか(又は全部)であり且つ送風機21aに含まれる吸込口23と対向配置される吹出口14を含む送風機11aに照射されるように、調整されてもよい。
好適には、送風機11に含まれる発光部61は、光LG1として可視光又は赤外光を発光するレーザ又は発光ダイオードである。
レーザ又は発光ダイオードにより照射される光の直進性は、それ以外の光源により照射される光の直進性よりも高い。そのため、発光部61が、可視光又は赤外光を発光するレーザ又は発光ダイオードであることにより、送風機11の吹出口14から吹き出された螺旋気流SA1が送風機21の吸込口23に真っ直ぐに届くか否か(到達するか否か)を、更に視覚的に容易に確認することができ、送風機11と送風機21とを更に確実に1対1で対応させることができる。
好適には、送風機21aは、送風機11aに含まれる発光部61により照射された光を受光する受光部62を含む。また、複数の送風機11に対する複数の送風機21の相対位置は、送風機11aに含まれる発光部61により照射された光が、送風機21aに含まれる受光部62に照射されるように、調整される。受光部62として、光LG1を反射する反射率が高い、例えば平滑な板部を用いることができる。
このような場合、本実施の形態のエアカーテン装置1が設置される場所で、送風機11に含まれる発光部61により照射された光を、送風機21aの受光部62に照射させながら、吹出部3に対する吸込部4の相対位置を調整することにより、送風機11の吹出口14から吹き出された螺旋気流SA1が送風機21の吸込口23に真っ直ぐに届くか否か(到達するか否か)を、視覚的に更に容易に確認することができる。そのため、送風機11と送風機21とを更に確実に1対1で対応させることができる。
好適には、送風機11に含まれる吹出口14から送風機21に含まれる吸込口23に向けて送風機11により吹き出された螺旋気流SA1を送風機11から送風機21に向かって視たときの螺旋気流SA1の回転方向は、時計回り又は反時計回りの回転方向であって、且つ、複数の送風機11間で同じ回転方向である。言い換えれば、時計回り又は反時計回りのうち同方向に回転する螺旋形状(スパイラル形状)を有する螺旋気流SA1をそれぞれ吹き出す複数の送風機(サーキュレータ)11が、縦に即ち上下方向に並べられる(配列される)。
上下方向において互いに隣り合う2台(2個)の送風機11が、時計回り又は反時計回りであって互いに同方向に回転する螺旋形状(スパイラル形状)を有する螺旋気流SA1をそれぞれ吹き出す場合、当該2台(2個)の送風機11が、互いに逆方向に回転する螺旋形状を有する螺旋気流SA1をそれぞれ吹き出す場合に比べて、吹き出される空気の量(風力)を強めることができ、風力を安定させ、風力を容易に保つことができる。
好適には、複数の送風機11の各々は、更に、吹出口14に設けられ、且つ、筒部32の軸方向から視たときに時計回り又は反時計回りに渦を巻く渦巻形状をそれぞれ有する複数の孔63aが形成されたグリル63を含む。複数の孔63aの各々は、グリル63を筒部32の軸方向に貫通する。
グリル63に形成された複数の孔63aが、時計回り又は反時計回りに渦を巻く渦巻形状をそれぞれ有する場合、グリル63に形成された複数の孔63aが時計回り又は反時計回りに渦を巻く渦巻形状を有しない場合に比べて、螺旋形状(スパイラル形状)を有する螺旋気流SA1を容易に吹き出すことができる。なお、送風機21から送風機11に向かって視たとき、グリル63に形成された孔63aが有する渦巻形状の回転方向と、送風機11により吹き出された螺旋気流SA1の回転方向と、ファン33の回転方向と、は全て同じ回転方向である。
好適には、エアカーテン形成部2は、吸込部4の吹出部3と対向する側と反対側の端部と、吹出部3の吸込部4と対向する側と反対側の端部と、を気密に連結する連結部64(図1参照)を有してもよい。即ち、エアカーテン形成部2は、複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吹出口24と、複数の送風機11の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口13と、を一体的に、又は、一対一で気密に連結する連結部64を有する。連結部64として、金属材料、プラスチック等の樹脂材料、又は、ゴム等の弾性材料よりなるものを用いることができる。
このような場合、エアカーテンAC1に飛沫等の異物が侵入したときに、侵入した異物が、エアカーテンAC1を中心として両側に配置された2つの部分空間SP1及びSP2のいずれかに侵入することも含めて、エアカーテンAC1以外の空間に侵入することを、防止又は抑制することができる。
<エアカーテン装置の第1変形例>
次に、実施の形態のエアカーテン装置の第1変形例について説明する。本第1変形例のエアカーテン装置1では、実施の形態のエアカーテン装置1に1台(1個)備えられていたエアカーテン形成部2が2台(2個)備えられ、それらの2台(2個)のエアカーテン形成部2の間が気密に連結されている。
図6は、実施の形態の第1変形例のエアカーテン装置の構成を模式的に示す平面図である。
図6に示すように、本第1変形例のエアカーテン装置1は、実施の形態のエアカーテン装置1と異なり、2台(2個)のエアカーテン形成部2を備える。2台(2個)のエアカーテン形成部2の各々は、実施の形態のエアカーテン装置1が備えるエアカーテン形成部2と同様に、吹出部3と吸込部4とを備え、吹出部3は複数の送風機11を有し、吸込部4は複数の送風機21を有する。即ち、2台(2個)のエアカーテン形成部2の各々は、複数の送風機11と、複数の送風機21と、を有する。なお、複数の送風機11及び複数の送風機21は、実施の形態における複数の送風機11及び複数の送風機21と同様にすることができる。
本第1変形例では、2個のエアカーテン形成部2のうちのいずれかであるエアカーテン形成部2aが有する複数の送風機21は、2個のエアカーテン形成部2のうちエアカーテン形成部2aと異なるエアカーテン形成部2bが有する複数の送風機11と平面視で隣り合う。なお、エアカーテン形成部2aは、エアカーテンAC1としてのエアカーテンAC11を形成し、エアカーテン形成部2bは、エアカーテンAC1としてのエアカーテンAC12を形成するものとする。
平面視において、エアカーテン形成部2bが有する複数の送風機11から、エアカーテン形成部2bが有する複数の送風機21に向かう方向は、エアカーテン形成部2aが有する複数の送風機11から、エアカーテン形成部2aが有する複数の送風機21に向かう方向と、異なる方向である。言い換えれば、送風機11と送風機21との組において、送風機11に含まれる吹出口14から螺旋気流SA1(図1参照)が吹き出される方向は、2個のエアカーテン形成部2の間で互いに異なる方向である。
エアカーテン形成部2aは、エアカーテン形成部2aが有する複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吹出口24と、エアカーテン形成部2bが有する複数の送風機11の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口13と、を一体的に、又は、一対一で気密に連結する連結部65を有する。
即ち、本第1変形例のエアカーテン装置1では、一対のエアカーテン形成部2同士が、即ち互いに隣り合う2台(2個)のエアカーテン形成部2が、連結部65により連結される。連結部65として、エアカーテン形成部2aが有する複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吹出口24と、エアカーテン形成部2bが有する複数の送風機11の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口13と、を気密に連結できればよい。従って、連結部65として、金属材料、プラスチック等の樹脂材料、又は、ゴム等の弾性材料よりなるものを用いることができる。
本第1変形例によれば、実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、更に、エアカーテンを自在に延長することができ、且つ、平面視においてエアカーテンを自在に折り曲げることができる。そのため、例えば平面視において折曲した通路に沿ってエアカーテンを形成する場合等、レイアウトに制限がある場合でも、エアカーテン装置を容易に設置することができる。また、エアカーテン形成部2aが形成するエアカーテンAC11に飛沫等の異物が侵入したときに、侵入した異物が、エアカーテン形成部2bが形成するエアカーテンAC12を中心として両側に配置された2つの部分空間のいずれかに侵入することを、防止又は抑制することができる。
<エアカーテン装置の第2変形例>
次に、実施の形態のエアカーテン装置の第2変形例について説明する。本第2変形例のエアカーテン装置1では、実施の形態のエアカーテン装置1に1台(1個)備えられていたエアカーテン形成部2がN台(N個、Nは3以上の整数)備えられ、それらのN台(N個)のエアカーテン形成部2が環状経路CR1に沿って配列され、環状経路CR1に沿って互いに隣り合う2台(2個)のエアカーテン形成部2の間が気密に連結されている。
図7は、実施の形態の第2変形例のエアカーテン装置の構成を模式的に示す平面図である。なお、図6は、図7において二点鎖線で囲まれた領域AR1を拡大して示すものと類似の構成を示す。
図7に示すように、本第2変形例のエアカーテン装置1は、実施の形態のエアカーテン装置1と異なり、上下方向に沿った中心軸AX1の周りの環状経路CR1に沿って配列され、且つ、エアカーテンAC1をそれぞれ形成するN台(N個、Nは3以上の整数)のエアカーテン形成部2を備えている。図7では、N=8の場合を例示している。N台(N個)のエアカーテン形成部2の各々は、実施の形態のエアカーテン装置1が備えるエアカーテン形成部2と同様に、吹出部3と吸込部4とを備え、吹出部3は複数の送風機11を有し、吸込部4は複数の送風機21を有する。即ち、N台(N個)のエアカーテン形成部2の各々は、複数の送風機11と、複数の送風機21と、を有する。なお、複数の送風機11及び複数の送風機21は、実施の形態における複数の送風機11及び複数の送風機21と同様にすることができる。
本第2変形例では、N台(N個)のエアカーテン形成部2の各々について、エアカーテン形成部であるエアカーテン形成部2cと、N個のエアカーテン形成部2のうち、環状経路CR1に沿ってエアカーテン形成部2cよりも平面視で反時計方向側又は時計方向側である第1の側に配置され、且つ、エアカーテン形成部2cと隣り合うエアカーテン形成部2である、エアカーテン形成部2dと、の組において、エアカーテン形成部2cが有する複数の送風機21は、エアカーテン形成部2dが有する複数の送風機11と平面視で隣り合う。なお、N台(N個)のエアカーテン形成部2のいずれも、エアカーテンAC1を形成するが、N台(N個)のエアカーテン形成部2の各々がそれぞれ形成する複数のエアカーテンAC1により、平面視で環状形状を有する環状エアカーテンAC2が形成されるものとする。
エアカーテン形成部2cは、エアカーテン形成部2cが有する複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吹出口24(図6参照)と、エアカーテン形成部2dが有する複数の送風機11の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口13(図6参照)と、を一体的に、又は、一対一で気密に連結する連結部66を有する。
即ち、本第2変形例のエアカーテン装置1では、実施の形態の第1変形例のエアカーテン装置1と同様に、互いに隣り合う一対のエアカーテン形成部2同士が、即ち互いに隣り合う2台(2個)のエアカーテン形成部2が、連結部66により連結される。連結部66として、実施の形態の第1変形例における連結部65と同様に、エアカーテン形成部2cが有する複数の送風機21の各々にそれぞれ含まれる複数の吹出口24(図6参照)と、エアカーテン形成部2dが有する複数の送風機11の各々にそれぞれ含まれる複数の吸込口13(図6参照)と、を気密に連結できればよい。従って、連結部66として、実施の形態の第1変形例における連結部65と同様に、金属材料、プラスチック等の樹脂材料、又は、ゴム等の弾性材料よりなるものを用いることができる。
本第2変形例によれば、実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、更に、環状経路CR1に沿ってN台(N個)のエアカーテン形成部2が配列され、環状経路CR1に沿って互いに隣り合う2台(2個)のエアカーテン形成部2の間が気密に連結されることにより、平面視で環状形状を有する環状エアカーテンAC2により囲まれた空間を容易に形成することができる。また、環状エアカーテンAC2に飛沫等の異物が侵入したときに、侵入した異物が、環状エアカーテンAC2により囲まれた空間に侵入すること、及び、中心軸AX1を中心として環状エアカーテンAC2よりも外周側の空間に侵入することを、防止又は抑制することができる。
<エアカーテン装置の第3変形例>
次に、実施の形態のエアカーテン装置の第3変形例について説明する。図8は、実施の形態の第3変形例のエアカーテン装置の構成を模式的に示す断面図である。なお、図8では、エアカーテンAC1のうちの一部をエアカーテンAC10として示している。
図8に示すように、本第3変形例のエアカーテン装置1では、複数の送風機11の各々は、筒部32の内部に消毒液71aを噴霧する噴霧部(噴霧器)71を含む。即ち、本第3変形例のエアカーテン装置は、複数の送風機11の各々が、空気を吹き出すファン33に加えて、ウィルス又は細菌を不活化又は殺菌する消毒液71aを噴霧する手段(機能)を含む。消毒液71aとして、例えばエチルアルコール(エタノール)又は塩素を含有する消毒液を用いることができる。
これにより、実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、更に、複数の送風機11の各々から吹き出される螺旋気流SA1が、消毒液71aを含有することになるので、エアカーテンAC1自身によりウィルス又は細菌が容易に不活化又は殺菌され、エアカーテンAC1自身によりウィルス又は細菌を除去することができる。そのため、エアカーテンAC1を挟んで、2人の利用者52(図3参照)が互いに対面しているか、又は、利用者52(図3参照)と従業者53(図3参照)とが互いに対面している場合において、2人の利用者52の間、又は、利用者52と従業者53との間で、感染症が感染することを更に確実に防止することができる。
<エアカーテン装置の第4変形例>
次に、実施の形態のエアカーテン装置の第4変形例について説明する。図9は、実施の形態の第4変形例のエアカーテン装置の構成を模式的に示す断面図である。なお、図9では、エアカーテンAC1のうちの一部をエアカーテンAC10として示している。
図9に示すように、本第4変形例のエアカーテン装置1では、送風機11と送風機21との組において、送風機21に含まれる吸込口23の内径ID2は、送風機11に含まれる吹出口14の内径ID1よりも大きい。また、筒部42は、筒部42の内径が、吹出口24から吸込口23に向かって徐々に大きくなる形状を、有することができる。
これにより、実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、更に、送風機21に含まれる吸込口23の開口径である内径ID2が、送風機11に含まれる吹出口14の開口径である内径ID1よりも広げられることになるので、吸込部4が、吸込部4が有する送風機21に含まれる吸込口23から空気を吸い込みやすくなり、吹出部3が有する送風機11に含まれる吹出口14から吹き出された空気が、吸込部4が有する送風機21に吸い込まれずに逃がされることを防止又は抑制することができる。
<エアカーテン装置の第5変形例>
次に、実施の形態のエアカーテン装置の第5変形例について説明する。図10は、実施の形態の第5変形例のエアカーテン装置の構成を模式的に示す断面図である。なお、図10では、エアカーテンAC1のうちの一部をエアカーテンAC10として示している。
図10に示すように、本第5変形例のエアカーテン装置1の一例においては、複数の送風機11の各々は、筒部32の内部に着色された気体GS1を注入する注入部(注入器)72を含む。即ち、本第5変形例のエアカーテン装置1の一例は、空間の用途又はデザインに合わせてエアカーテンAC1を着色するか又はエアカーテンAC1が煙を含むものである。これにより、例えばエアカーテン装置が設置されていることが利用者等に注意喚起され、利用者等の予防意識が喚起されるため、感染防止の効果を高めることができる。
強めの注意喚起を目的とした着色として、積極的な注意喚起、進入禁止若しくは工事立ち入り禁止を表す、所謂「トラテープ」のような黄色と黒色とによる着色、道路での注意喚起を表すコーンのような赤色による着色、が挙げられる。また、更に強めの注意喚起を目的とした着色として、発煙筒のような比較的強い色による着色が挙げられる。また、着色として、空間がエアカーテンにより仕切られていることを客観的に分かりやすくすることを目的とした着色が挙げられる。また、強い立ち入り禁止ではないが、軽いコミュニケーションができる程度のエアカーテンを形成する場合には、着色として、少し注意しながらエアカーテンを使用することを促すことを目的とした着色が挙げられる。このような場合、緩めの注意喚起であるので、それほど強い色による着色である必要はなく、少し弱い色による着色で足りる。
店舗の売り場等の様々な空間では、空間を仕切るパーティション等が設置されることがあるが、売り場等の雰囲気に合わせてパーティション等を着色したい場合がある。更に、例えばレジ(会計)のように、利用者と従業者とが対面する場合に、顔がはっきりと見えすぎない方がよいという観点で、透明ではあるが薄く着色されたパーティションが、透明で且つ着色されていないパーティションよりも好まれる場合がある。
本第5変形例のエアカーテン装置1の一例によれば、実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、更に、空間の用途又はデザインに合わせてエアカーテンAC1を着色するか又はエアカーテンAC1が煙を含むことにより、売り場等の雰囲気に合わせてパーティション等を着色したいという要望に応えることができ、利用者と従業者とが対面する場合には、顔がはっきりと見えすぎない方がよいという要望に応えることができる。
或いは、図10に示すように、本第5変形例のエアカーテン装置1の他の例においては、複数の送風機11の各々は、筒部32の内部に匂い成分を含有する気体GS2を注入する注入部(注入器)73を含む。即ち、本第5変形例のエアカーテン装置1の他の例は、空間の用途又は雰囲気に合わせてエアカーテンが匂いを含むものである。これにより、例えばエアカーテン装置が設置されていることが利用者等に注意喚起され、利用者等の予防意識が喚起されるため、感染防止の効果を高めることができる。
匂いとして、カフェ若しくはレストランなどのテーマに合わせた匂い若しくはステーキ若しくはポップコーンなどの匂い、テーマパークの雰囲気に合わせた匂い、又は、四季の花に合わせた匂い、が挙げられる。或いは、商談に合わせた爽やかな雰囲気の匂い、又は、マッサージ店などリラックスする雰囲気の匂い、が挙げられる。或いは、喫煙室若しくはトイレの近くでの消臭効果のある匂い、又は、自然環境を想起するような匂い、が挙げられる。
店舗の売り場等の様々な空間では、売り場の雰囲気又はテーマに合わせて例えばコーヒーの匂いなど様々な匂いを含むようにしたい場合がある。本第5変形例のエアカーテン装置1の他の例によれば、実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、更に、空間の用途又は雰囲気に合わせてエアカーテンAC1が匂いを含むことにより、売り場の雰囲気又はテーマに合わせて様々な匂いを含むようにしたいという要望に応えることができる。
なお、実施の形態のエアカーテン装置及び実施の形態の第1変形例乃至第5変形例のエアカーテン装置のうちいずれか1種又は複数種を適宜組み合わせることができる。
<エアカーテン装置の第6変形例>
次に、実施の形態のエアカーテン装置の第6変形例について説明する。図11は、実施の形態の第6変形例のエアカーテン装置に係る送風機11の構成を模式的に示す説明図であり、図11Aは斜視図、図11Bは側面図である。第6変形例のエアカーテン装置は、送風機11に、送風機11に含まれる吹出口14から吹き出される螺旋気流SA1(図1参照)の進行方向を目視によって識別可能にする識別装置80を備えたものである。
識別装置80は、伸縮部81と、載置部82と、を備えている。伸縮部81は、スチール製の長尺の帯状部材83と、帯状部材83を巻き取った状態で収納する収納体84と、を備えている。
帯状部材83には、幅方向の中央部から両側部に向かって反りが形成されており、帯状部材83は、真直ぐに伸ばした場合に、幅方向の中央部の反りによって途中で折れにくくなり、真直ぐに伸ばした状態で維持される。
収納体84は、帯状部材83の基端部に連結し、帯状部材83を巻き取り可能な回転軸88と、回転軸88を回転自在に支持し、回転軸88によって巻き取られた帯状部材83を収納する収納ケース85と、を備える。また、収納体84は、帯状部材83を引き出すための引出口86を備えている。また、収納体84は、図示しないが帯状部材83を引き出した状態で維持するとともに維持を解除するストッパ機能を備えている。ストッパ機能を解除すると回転軸88が回転して、回転軸88に帯状部材83が巻き取られる。回転軸88によって巻き取られた帯状部材83の先端部は、引出口86の外側に位置付けられる
帯状部材83は、回転軸88によって巻き取られる際に中央部の反りが弾性変形によって小さくなり、平面に近くなることから回転軸88によって巻き取られやすくなる。
引出口86は、帯状部材83の幅よりも若干大きい矩形に形成されている。
載置部82は、略直方体の部材からなり、下面はハーフパイプ状に凹む円弧面であり、筒部32の側面に載置可能に形成されている。また、載置部82の上面の中央部には凹部87が形成されている。凹部87は、帯状部材83の幅よりも若干大きく形成されており、下面の円弧面の仮想中心軸に対して平行に延びている。また、凹部87は、略直方体の前面の上部と後面の上部とを貫通している。
載置部82は、筒部32の側面における吹出口14側端部の上部に固定される。収納体84は、載置部82に対して所定間隔を開けて筒部32の側面に固定される。ここで、送風機11を吹出口14側から正面視した場合、凹部87の底面と引出口86の底面とが略一致する。収納体84から引き出された帯状部材83は、載置部82の凹部87の内部に載置可能であり、載置部82に載置された帯状部材83は、凹部87の両側部の壁面によって横方向の移動が規制される。載置部82から更に延在した帯状部材83の先端部は、中心軸31(図2参照)に対して略平行に延びる。ここで、中心軸31(図2参照)の方向は、送風機11から吹き出される螺旋気流の進行方向に対して略平行であるため、載置部82から更に延在した帯状部材83の先端部が延在する方向は、螺旋気流の進行方向と略平行である。
第1送風機11に対する第2送風機11の位置決めを行う際には、収納体84から帯状部材83を引き出して載置部82の凹部87の内部に載置する。更に、帯状部材83を引き出すことで載置部82の凹部87から帯状部材83を延在させる。これにより、載置部82から延在した帯状部材83を視認することにより、送風機11に含まれる吹出口14から吹き出される螺旋気流の進行方向を把握することが可能になる。このため、帯状部材83を、送風機11に対応する送風機21の配置を決定する際の指標とすることが可能になる。送風機21の配置を決定した後、回転軸88を回転させて回転軸88に帯状部材83を巻き取らせることにより、帯状部材83をコンパクトに収納することが可能になる。
図12は第6変形例における識別装置80の他構成1を示す説明図であり、図12Aは斜視図、図12Bは側面図である。
他構成1の識別装置80は、載置部82と、スコープ部90と、を備えている。なお、図12に示す他構成1において、第6変形例におけるエアカーテン装置と同一の部材若しくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
スコープ部90は、スコープ91と、スコープ91を支持する支持体92と、を備えている。スコープ91は円筒形の部材からなる。支持体92は、円柱形の棒状の横軸とこの横軸の中央から延出する縦軸とからなるT字形をなしている。
凹部87の底面には、支持体92を収納可能なT字型の溝部87aが形成されている。溝部87aの横軸の両端部は、凹部87の両側部の壁面よりも奥まで切り欠りかかれた孔部として形成されている。溝部87aの縦軸は溝部87aの横軸の中央部から吸込口13側に延びている。
支持体92の横軸の両端部は、溝部87aの横軸の両端部に形成された図示しない孔部に回転自在に支持される。このため、支持体92の縦軸は、筒部32の仮想中心軸に沿った方向に揺動可能である。また、載置部82には支持体92の縦軸の揺動を規制するストッパ機構が設けられている。このストッパ機構により、支持体92の縦軸を吹出口14側に回動させて支持体92の縦軸が筒部32の仮想中心軸に対して直角になった場合に、それ以上に回動させることが規制される。
スコープ91は、支持体92の縦軸の先端部に固定される。
第1送風機11に対する第2送風機11の位置決めを行う際には、支持体92の縦軸を吹出口14側に移動が規制されるまで回動させる。このとき、スコープ91の仮想中心軸と筒部32の仮想中心軸とが略平行になるため、スコープ91を介して視認される物体への方向が、送風機11に含まれる吹出口14から吹き出される螺旋気流の進行方向として把握することが可能になる。このため、スコープ91を介して送風機21の上部が視認できるように、第1送風機11又は第2送風機21の配置を調整することにより、エアカーテン装置の位置決めが可能になる。
スコープ91を使用しない場合には、支持体92を筒部32側に回動させて倒しておくことが可能である。このとき、支持体92は溝部87aに収納される。
なお、スコープ91が、支持体92の縦軸の先端部に90度の範囲で回転自在に支持されてもよい。これにより、スコープ91を使用しない場合に、スコープ91を90度回動させ、スコープ91の仮想中心軸と支持体92の横軸とを略平行にした状態で支持体92の縦軸を倒すことが可能になる。これにより、長さのあるスコープ91であっても、使用しない場合に、スコープ91を90度の回転させることにより、支持体92とともにスコープ91を筒部32側に倒しておくことが可能である。
図13は第6変形例における識別装置80の他構成2を示す側面図であり、図13Aは使用時の状態を示し、図13Bは使用前の状態を示している。
他構成2の識別装置80は、載置部82と、長尺部材93と、を備えている。なお、図13に示す他構成2において、図11に示す第6変形例におけるエアカーテン装置と同一の部材若しくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
長尺部材93は、複数の短尺部材94と、隣り合う短尺部材94同士を連結するヒンジ95と、を備えている。複数の短尺部材94は、板状に形成されており、全て同型である。ヒンジ95は、2枚の短尺部材94における長手方向の端部同士を連結する。2枚の短尺部材94を開いた場合には、2枚の短尺部材94における長手方向の端面同士が接触して、一本の長尺の帯状になる。2枚の短尺部材94を閉じた場合には、一方の短尺部材94の上面に他方の短尺部材94の下面が接触して、短尺部材94の上に短尺部材94が重なった状態になる。
長尺部材93は、複数の短尺部材94を回動させて図13Aに示すように一本の長尺の帯状にする形態と、一本の長尺の帯状にする形態から、複数の短尺部材94を回動させて図13Bに示すように最下の短尺部材94の上に次の短尺部材94を交互に重ねて直方体状にする形態と、切り替え可能である。
隣り合う短尺部材94、94における接続部位に図示しないロック機構が設けられている。このロック機構により、隣り合う短尺部材94、94を広げて一本の帯状部材とした場合にその状態を維持することができる。また、送風機11を吹出口14側から正面視した場合、凹部87の底面位置と最下の短尺部材94の下面位置とが略一致するように、筒部32と最下の短尺部材94との間に台座が配置されている。
長尺部材93は、図13Aに示すように、載置部82に対して所定の間隔を開けて筒部32に台座を介して設置されており、長尺部材93を図13Aに示すように、一本の長尺の帯状の形態とした場合に、長尺部材93の一部が載置部82における凹部87の底面上に載置される。これにより、先端部の短尺部材94と基端部の短尺部材94が同じ高さであるため、載置部82から延びた長尺部材93の先端部は、中心軸31(図2参照)に対して略平行に延びる。
そして、送風機11に対応する送風機21の配置を決める際に、載置部82から延在した長尺部材93を視認することにより、送風機11に含まれる吹出口14から吹き出される螺旋気流の進行方向を把握することが可能になる。このように、帯状部材83を、送風機11に対応する送風機21の配置を決定する際の指標とすることが可能になる。送風機21の配置を決定した後、長尺部材93を折り畳んで短尺部材94積層させることにより、長尺部材93をコンパクトな状態におくことが可能になる。
図14は第6変形例における識別装置80の他構成3を示す側面図であり、図14Aは使用時の状態を示し、図14Bは使用前の状態を示している。
他構成3の識別装置80は、載置部82と、ロッド部材96と、を備えている。なお、図14に示す他構成2において、図13に示す第6変形例の他構成2におけるエアカーテン装置と同一の部材若しくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
他構成3の識別装置80は、他構成2の識別装置80における長尺部材93をロッド部材96に変更したものである。
ロッド部材96は、複数の円筒部材を、最大径の円筒部材の内部に同心円状に収納した構成である。ロッド部材96は、最大径の円筒部材の内部から複数の円筒部材を引き出すことにより、複数段に長尺に伸ばすことが可能であり、逆に、最大径の円筒部材の内部に他の円筒部材を押し込むことにより、最大径の円筒部材の内部に収納可能な、伸縮自在の部材である。
ロッド部材96は、図14Aに示すように、載置部82に対して所定の間隔を開けて筒部32に台座を介して設置されており、ロッド部材96を図14Aに示すように、伸ばして棒状部材とした場合に、ロッド部材96の一部が載置部82における凹部87の底面上に載置される。
ここで、載置部82における凹部87は、ロッド部材96において凹部87に載置される円筒部材の直径よりも若干幅が大きく形成されている。また、凹部87の底面位置は、筒部32に載置されたロッド部材96における最大径の円筒部材の最下位置よりも若干高く設定されている。具体的には、ロッド部材96の最大径の円筒部材の半径と、ロッド部材96において凹部87に載置される円筒部材の半径との差分だけ、凹部87の底面位置が最大径の円筒部材の最下位置よりも高く設定されている。これにより、載置部82から延びたロッド部材96の先端部は、中心軸31(図2参照)に対して略平行に延びる。
そして、送風機11に対応する送風機21の配置を決める際に、載置部82から延在したロッド部材96を視認することにより、送風機11に含まれる吹出口14から吹き出される螺旋気流の進行方向を把握することが可能になる。このように、ロッド部材96を、送風機11に対応する送風機21の配置を決定する際の指標とすることが可能になる。送風機21の配置を決定した後、ロッド部材96の先端部を最大径の円筒部材側に押し込むことにより、ロッド部材96をコンパクトな状態におくことが可能になる。
図15は第6変形例における識別装置80の他構成4を示す図であり、図15Aは使用前の状態を示す側面図、図15Bは使用中の状態を示す側面図、図15Cは図15Bの平面図である。
他構成4の識別装置80は、載置部82と、吹き戻し部材100と、を備えている。なお、図13に示す他構成2において、第6変形例におけるエアカーテン装置と同一の部材若しくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
吹き戻し部材100は、基端部が開放され、先端部が閉鎖された帯状の袋体101と、袋体101の基端部に取り付けられ、載置部82に掛けることが可能な環状の糸状部材102と、袋体101の幅方向の中央部に取り付けられ、袋体101の長手方向に沿って伸びる線状のバネ部材103と、を備えている。吹き戻し部材100は、通常状態において、バネ部材103が渦巻き状に丸くなった状態にあるため、袋体101は、図15Aに示すように、渦巻き状に丸くなった状態で維持される。
他構成4の識別装置80は、使用時に糸状部材102を載置部82に掛けることによって吹き戻し部材100を送風機11の前方に位置付け、袋体101の基端部を吹出口14に対向させる。
そして、その後、送風機11に電源を投入することにより、吹出口14から螺旋気流が吹き出される。吹出口14から螺旋気流が吹き出されると、その気流の一部が袋体101の基端部から流入し、図15Bに示すように、袋体101が直線状に伸びた状態で維持される。この袋体101が伸びる方向により、送風機11に含まれる吹出口14から吹き出される螺旋気流の進行方向を把握することが可能になる。このように、吹き戻し部材100における袋体101を、送風機11に対応する送風機21の配置を決定する際の指標とすることが可能になる。送風機21の配置を決定した後、送風機11を停止することにより、袋体101は、バネ部材103が基の渦巻き状に変形することにより、丸くなった状態に戻る。なお、丸くなった状態の袋体101を、凹部87に収納してもよい。
なお、図11乃至図15に示す識別装置80を適宜組み合わせることができる。図16は図11と図12に示す識別装置80を組み合わせた構成の一例を示す斜視図である。送風機11に対応する送風機21の配置を決定する際に、まず、図12に示すように、スコープ部90を立ち上げて、スコープ部90越しに見える位置に送風機21を配置する。次に、スコープ部90を倒して、筒部32に伸縮部81を設置し、図16に示すように、伸縮部81から帯状部材83を伸ばして載置部82に載置する。そして、帯状部材83を見ながら送風機21の位置を調整することで、送風機21の位置を決定することができる。
また、識別装置80は、筒部32に対して着脱自在であってもよい。これにより、吹出部3の複数の送風機11における一の送風機11に対応する吸込部4の送風機21の位置合わせが終了した後、識別装置80を取り外して次の送風機11に識別装置80に取り付けて、次の送風機11に対応する送風機21の位置合わせを行うことが可能になる。
また、吹出部3の複数の送風機11に対して個々に識別装置80を取り付けてもよい。図17は、吹出部3の複数の送風機11に対して図11に示す識別装置80を取り付けた構成の一例を示す斜視図である。図17に示す例では、吸込部4が有する複数の送風機21に対してそれぞれに載置部97が取り付けられている。送風機21の載置部97は、筒部42における吸込口23側端部の上部に配置されている。
送風機11と送風機21との位置合わせの際には、まず、吹出部3の複数の送風機11に設置された伸縮部81から帯状部材83をそれぞれ引き出して、載置部97に載せるとともに先端部を送風機11から延出させる。次に、吹出部3の複数の送風機11に、吸込部4が有する複数の送風機21を所定の間隔を開けて対向配置する。次に、送風機21の吹出口24側から送風機11を視認し、送風機21の載置部97に帯状部材83の先端部が位置するように送風機21の方向を調整する。このような調整を吹出部3の複数の送風機11に対して行うことにより、送風機11に対する送風機21の位置を決定することができる。
以上説明したように、第6変形例によれば、帯状部材83、長尺部材93、ロッド部材96、吹き戻し部材100が延びる方向が、送風機11から流れる螺旋気流の方向を示す指標となる。このため、送風機21を配置する際に、この指標を参考にすることで送風機11から流れる螺旋気流の方向に沿って送風機21を配置することが可能になる。また、スコープ部90越しに見える範囲に送風機21を配置することにより、送風機11から流れる螺旋気流の方向に沿って送風機21を配置することが可能になる。このように、第6変形例によれば、送風機11から流れる螺旋気流の方向が視覚的に判別できるため、エアカーテン装置を容易に設置することが可能になる。
なお、第6変形例の送風機11と送風機21に、図5に示す発光部61、受光部62を設けてもよい。更に受光部62が発光部61からの光を受光した場合に、音声或いは画像を出力する出力装置を設けてもよい。これにより、作業員が、送風機11の指標を参考に、送風機21の位置決め作業を行っている際に、出力装置が音声或いは画像を出力することで位置決めが完了したことを、作業員に報知することができる。この場合、発光部61から光は、不可視光であってもよい。
また、作業員が、送風機11の指標を参考に、送風機21の位置決め作業を行う際に、送風機21aの吸込口23に一時的に圧力センサを取り付け、この圧力センサの測定結果を表示装置によって確認可能にする。そして、作業員が、最も大きい風圧となるように送風機11及び送風機21の位置を調整してもよい。
<エアカーテン装置の第7変形例>
次に、実施の形態のエアカーテン装置の第7変形例について説明する。
図18は第7変形例の概略構成を模式的に示す説明図である。第7変形例のエアカーテン装置は、複数の送風機11と、複数の送風機21に対応する複数の送風機21と、送風機11及び送風機21を駆動制御する制御装置200と、人物を検知する検知装置300と、を備えている。
複数の送風機11は天井に設置され、複数の送風機21は床に設置される。複数の送風機11は床に向かって鉛直下方に螺旋気流を吹き出し、複数の送風機21は、複数の送風機11の鉛直下方に配置され、複数の送風機11からの螺旋気流を吸引して、鉛直下方に吹き出す。このため、複数の送風機11と送風機21とによって、上下方向のエアスクリーンが形成可能である。
制御装置200は、エアカーテン装置を制御する制御部201と、各種のプログラムを記憶する記憶部202と、を備えている。記憶部202には、検知装置300からの検知情報に基づいて人物の位置情報を求めるプログラム、人物の位置情報に基づいて、送風機11及び送風機21のオンオフや風量の増減等を制御するプログラム等が記憶されている。制御部201は、複数の送風機11及び送風機21を個別に制御可能である。このため、制御部201は、エアスクリーンの横幅を大きくしたり小さくしたりするといった制御を行うことが可能となる。
制御部201は、複数の送風機11及び送風機21を個別に制御可能であれば、特に限定されず、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を用いて構成されたマイクロコンピュータ並びに集積回路(integrated circuit、IC)等を用いて構成された電子回路の1以上を有する制御部でよい。
記憶部202は、データやファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によって例示される記憶手段の1以上を用いて実現される、データのストレージ部を有する。
検知装置300は、人物の位置を検知し、その情報を制御装置200に送信するものである。検知装置300としては、カメラ、サーモカメラのような撮像装置、レーザや遠赤外線を発生する発光素子とこの発光素子の発光を受光する受光素子とを備え、受光素子による光の検出の有無によって人物を検知する光学式検知装置、更には人物に持たせた電波式RFIDタグを有するカードと、この電波式RFIDタグと遠距離通信可能なタグリーダとからなる非接触式検知装置等が適用可能である。
撮像装置の場合には、制御装置200が撮像装置からの撮像データを解析することにより、人物の存在とその位置を求めることが可能である。
光学式検知装置の場合には、例えば、天井に複数の発光素子をマトリクス状に配置し、床に複数の受光素子をマトリクス状に配置する。そして、制御装置200は、受光素子の出力を監視し、出力がオン状態からオフ状態に切り替わった受光素子を求める。このとき求めた受光素子の位置が人物の位置に相当する。
非接触式検知装置の場合には、例えば、床を囲むように3つ以上のタグリーダを配置し、各タグリーダは、読み取った電波式RFIDタグの情報と電波式RFIDタグからの電波の方向の情報を制御装置200に送信する。制御装置200は、3つ以上のタグリーダから取得した電波式RFIDタグからの電波の方向の情報に基づいて、3つ以上のタグリーダが読み取った共通の電波式RFIDタグの位置を求める。このとき求めた電波式RFIDタグの位置が人物の位置に相当する。
必須の態様ではないが、電波式RFIDタグ及びタグリーダは、マイクロ波方式のタグ及びタグリーダであることが好ましい。マイクロ波方式のタグ及びタグリーダは、数メートル程度までの比較的遠方のタグを読み取り得る。したがって、電波式RFIDタグ及びタグリーダがそれぞれマイクロ波方式のタグ及びタグリーダであることにより、3つ以上の比較的少数のタグリーダで電波式RFIDタグを読み取り得る。したがって、タグリーダの構成をより簡易なものとし得る。
非接触式検知装置の場合には、3つ以上の電磁誘導方式のタグ及びタグリーダを用いる構成でもよい。電磁誘導方式のタグ及びタグリーダは、比較的安価に構成し得る。非接触式検知装置が3つ以上の電磁誘導方式のタグ及びタグリーダを用いる構成であることにより、比較的安価に非接触式検知装置を構成し得る。
床を囲むように3つ以上のタグリーダを配置する非接触式検知装置の場合には、タグリーダからの送信指令に応じて電波式RFIDタグが送信した電波について、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれを用いて電波式RFIDタグの位置を推定してもよい。
送信指令の送信から該電波を受信するまでの時間を用いることにより、タグリーダから電波式RFIDタグまでの距離を推定できる。したがって、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれを用いることにより、3つ以上のタグリーダから電波式RFIDタグまでの距離それぞれを推定できる。これらの距離を用いることにより、位置が既知である3点からの距離を用いて対象の位置を推定する三点測位を行える。
したがって、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれを用いることにより、三点測位を用いて電波式RFIDタグの位置を推定できる。これにより、電波式RFIDタグからの電波の方向の情報を取得する構成を有しないタグリーダであっても、電波式RFIDタグの位置を推定できる。
送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれを用いて電波式RFIDタグの位置を推定する方法は、特に限定されず、例えば、3以上の受信アンテナを有する従来技術のレーダ装置が対象の位置を推定する方法でよい。
送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれを用いて電波式RFIDタグの位置を推定する手順は、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれの差に関する情報を用いて電波式RFIDタグの位置を推定してもよい。該情報は、例えば、3つ以上のタグリーダが受信した該電波の位相差及び周波数差によって例示される情報である。これにより、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれが誤差を含む場合であっても、時間それぞれの差に関する情報を用いて電波式RFIDタグの位置を推定できる。
送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれの差に関する情報を用いて電波式RFIDタグの位置を推定する方法は、特に限定されず、例えば、3以上の受信アンテナを有する従来技術のレーダ装置が対象の位置を推定する方法でよい。
そして、制御装置200は、人物の位置に応じてエアカーテンを形成する位置を決定し、当該位置にある複数の送風機11及び送風機21を駆動する。
必須の態様ではないが、エアカーテン装置は、搭乗者に好ましい搭乗位置を通知可能な標識手段を有することが好ましい。好ましい搭乗位置は、例えば、エアカーテンが形成されない位置である。これにより、エアカーテンが形成される位置等の好ましくない搭乗位置に搭乗者が搭乗することを防ぎ、異物等の混入をよりいっそう効率良く防ぐことができるエアカーテン装置を提供できる。標識手段は、特に限定されず、例えば、天井に掲示された搭乗位置を示す目印、床に掲示された搭乗位置を示す目印等でよい。目印は、特に限定されず、搭乗者が分割して乗った場合の好ましい搭乗位置を示す絵、図、及び/又は線等を含む目印でよい。
〔第7変形例のフローチャート〕
図19は、第7変形例に係る制御装置200で実行される送風処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。以下、図19を用いて制御装置200が行う送風制御の好ましい流れについて説明する。
[ステップS1:位置の検知]
制御部201は、記憶部202及び検知装置300と協働して、人物の位置に関する情報を検知する処理を実行する(ステップS1)。制御部201は、処理をステップS2に移す。人物の位置に関する情報を検知する処理を実行することにより、検知した情報を用いて複数の送風機11及び送風機21を駆動できる。
位置を検知する手段は、特に限定されず、検知装置300が有する各種の位置を検知する手段を用いる手段でよい。位置を検知する手段は、複数の人物の位置を検知可能であることが好ましい。これにより、複数の人物の位置に関する情報に応じて、それら複数の人物のそれぞれがいる空間に異物が混入することを防ぐよう、複数の送風機11及び送風機21を駆動できる。
検知装置300が電波式RFIDタグを検知可能な3つ以上のタグリーダを含んで構成されている場合、位置を検知する手段は、3つ以上のタグリーダから取得した電波式RFIDタグからの電波の方向の情報に基づいて、3つ以上のタグリーダが読み取った共通の電波式RFIDタグの位置を求める手順を含むことが好ましい。これにより、取得した電波の方向それぞれが交わる交点を用いて電波式RFIDタグの位置を求め得る。
検知装置300が電波式RFIDタグを検知可能な3つ以上のタグリーダを含んで構成されている場合、位置を検知する手段は、タグリーダからの送信指令に応じて電波式RFIDタグが送信した電波について、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれを用いて電波式RFIDタグの位置を推定する手順を含むことが好ましい。これにより、三点測位を用いて電波式RFIDタグの位置を推定できる。該手順は、特に限定されず、3以上の受信アンテナを有する従来技術のレーダ装置が対象の位置を推定する手段を含む手順でよい。
検知装置300が電波式RFIDタグを検知可能な3つ以上のタグリーダを含んで構成されている場合、位置を検知する手段は、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれの差に関する情報を用いて電波式RFIDタグの位置を推定する手順を含むことが好ましい。これにより、送信指令の送信から3つ以上のタグリーダが該電波を受信するまでの時間それぞれが誤差を含む場合であっても、電波式RFIDタグの位置を推定できる。該手順は、特に限定されず、3以上の受信アンテナを有する従来技術のレーダ装置が対象の位置を推定する手段を含む手順でよい。
位置を検知する手段は、複数の人物のそれぞれに関する情報を取得可能であることが好ましい。これにより、複数の人物のそれぞれに関する情報を用いて、それら複数の人物のそれぞれがいる空間に異物が混入することを防ぐよう、複数の送風機11及び送風機21を駆動できる。人物に関する情報は、特に限定されない。
人物に関する情報は、例えば、人物の氏名、連絡先、身長、年齢、海外渡航歴、及び既往歴等によって例示される本人情報、人物が属するグループを識別可能なグループ情報、人物の体温等によって例示される属性情報の1以上を含む情報でよい。
[ステップS2:1以上の人物が検知されたか否かを判別]
制御部201は、記憶部202と協働して、ステップS1で検知された人物の位置に基づき、1以上の人物が検知されたか否かを判別する処理を実行する(ステップS2)。1以上の人物が検知されたのであれば、制御部201は、処理をステップS3に移す。1以上の人物が検知されていないのであれば、制御部201は、処理をステップS1に移す。
1以上の人物が検知されていない場合、制御部201は、複数の送風機11及び送風機21の駆動を停止する処理をさらに行うことが好ましい。これにより、人物が検知されていない場合にエアカーテンを生成するためのエネルギーを消費することを軽減できる。
[ステップS3:人物をグループに分ける]
制御部201は、記憶部202と協働して、ステップS1で検知された人物の位置に基づき、人物をグループに分ける処理を実行する(ステップS3)。制御部201は、処理をステップS4に移す。これにより、複数の人物が検知された場合に、これら複数の人物を複数のグループに分けられる。また、1の人物が検知された場合に、1の人物を1のグループに分けられる。人物をグループに分ける処理は、特に限定されない。
人物をグループに分ける処理は、互いに位置が近い複数の人物を同じグループに割り当てる処理を含むことが好ましい。これにより、互いに位置が近く、エアカーテンで隔てる場合にいずれかの人物に風が当たり得る複数の人物を別のグループに割り当てることを防ぎ得る。したがって、別のグループに割り当てられたこのような複数の人物をエアカーテンで隔てようとして人物に風を当てることを防ぎ得る。
人物をグループに分ける処理は、人物に関する情報を用いて人物をグループに分ける処理を含むことが好ましい。これにより、人物に関する情報を用いて複数の人物のグループ関係を取得し、複数の人物のうちグループ関係がある2以上の人物を同じグループに分け得る。グループ関係がある2以上の人物は、互いに近い位置であることが期待されるため、このような2以上の人物をエアカーテンで隔てようとして人物に風を当てることを防ぎ得る。
必須の態様ではないが、制御装置200は、ステップS4で実行される所定の位置へ案内する処理を行うことが好ましい。
[ステップS4:所定の位置へ案内]
制御部201は、記憶部202と協働して、ステップS3で分けられたグループに基づく所定の位置へ移動するよう案内する処理を実行する(ステップS4)。制御部201は、処理をステップS5に移す。これにより、グループそれぞれに分けられた人物それぞれについて、エアカーテンで隔てることが容易である所定の位置に移動させることができる。したがって、これらグループ及び/又は人物をエアカーテンで容易に隔て得る。所定の位置への移動を案内する手段は、特に限定されず、音声出力及び/又は画像表示を用いる手段等によって例示される従来技術の人物を案内する手段でよい。
[ステップS5:エアカーテンを形成]
制御部201は、記憶部202、複数の送風機11、及び複数の送風機21と協働して、グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理を実行する(ステップS5)。制御部201は、処理をステップS6に移す。これにより、エアカーテンを形成し、グループを隔てることができる。したがって、グループそれぞれに応じた空間に該空間の外部から異物が混入することを防ぎ得る。グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理は、特に限定されない。
グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理は、人物の位置周辺を通り鉛直方向と略一致する方向の中心軸を有する円筒形の領域に接する複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動する処理を含むことが好ましい。これにより、人物を囲む円筒形状のエアカーテンを生成し得る。このエアカーテンにより、人物から離れた位置から異物が混入することを防ぎ得る。
グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理は、人物の位置から人物の進行方向に所定距離移動した位置を通り鉛直方向と略一致する方向の中心軸を有する円筒形の領域に接する複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動する処理を含むことが好ましい。これにより、人物が移動する方向に応じて人物を囲む円筒形状のエアカーテンを生成し得る。このエアカーテンにより、人物から離れた位置から異物が混入することを防ぎつつ、人物が移動する方向から異物が混入することをよりいっそう防ぎ得る。
複数の人物を囲む円筒形状のエアカーテンが互いに接する場合、エアカーテンを形成する処理は、2以上の円筒形状のエアカーテン内部である領域に含まれる複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動しない処理を行うことが好ましい。これにより、円筒形状のエアカーテンによって囲まれるある人物について、他の人物を囲む円筒形状のエアカーテンが該人物に当たることを防ぎ得る。
2以上の円筒形状のエアカーテン内部である領域に含まれる複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動しない処理を行う場合、エアカーテンを形成する処理は、2以上の円筒形状のエアカーテンが互いに交わる交点について、2以上の該交点を結ぶ線分に接する複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動する処理を含むことが好ましい。これにより、複数の人物を囲む円筒形状のエアカーテンが互いに接する場合であっても、これら複数の人物を互いに隔てるようエアカーテンを形成し得る。
グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理は、2の人物を結ぶ線分の垂直二等分線に接する複数の送風機11及び複数の送風機21の1以上を駆動する手順を含む処理でもよい。これにより、垂直二等分線に接する平板状のエアカーテンを形成できる。このエアカーテンにより、ある人物の周囲から別の人物の周囲へ異物が混入することを防ぎ得る。
グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理は、人物の位置周辺を通り人物の位置周辺を通り鉛直方向と略一致する方向の中心軸を有する、2以上の円筒形の領域に接する複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動する処理を含むことが好ましい。これにより、人物を多重に囲む円筒形状のエアカーテンを生成し得る。このエアカーテンにより、人物から離れた位置から異物が混入することをよりいっそう防ぎ得る。
グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理は、特定領域を囲むエアカーテンを形成するよう、複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動する処理を含むことが好ましい。これにより、例えば、人物が位置する頻度が高い特定領域を囲むエアカーテンを生成し得る。このエアカーテンにより、異物が混入することをよりいっそう防ぎ得る。
特定領域は、特に限定されず、例えば、エレベータ内を区分して設けられた搭乗エリア、執刀医の作業領域、及び助手の作業領域によって例示される人物が位置するエリア、並びに、テーブル、椅子、机、ソファー、及びベッドによって例示される家具の周囲、手術台等によって例示される設備の周囲等でよい。
特定領域を囲むエアカーテンを形成するよう複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動可能である場合、グループ間を隔てるようエアカーテンを形成する処理は、人物に関する情報を用いて複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動する処理を含むことが好ましい。これにより、例えば、特定の情報を有する人物が位置する頻度が高い特定領域を囲むエアカーテンを生成し得る。このエアカーテンにより、異物が混入することをよりいっそう防ぎ得る。
[ステップS6:位置の検知]
制御部201は、記憶部202及び検知装置300と協働して、人物の位置に関する情報を検知する処理を実行する(ステップS6)。制御部201は、処理をステップS7に移す。人物の位置に関する情報を検知する処理を実行することにより、検知した情報を用いて人物が移動したか否かを判別できる。
[ステップS7:1以上の人物が移動したか否かを判別]
制御部201は、記憶部202と協働して、ステップS1及びステップS6で検知した人物の位置それぞれに基づき、1以上の人物が移動したか否かを判別する処理を実行する(ステップS7)。1以上の人物が移動したならば、制御部201は、処理をステップS3に移す。1以上の人物が移動していないならば、制御部201は、送風制御を終了し、ステップS1からステップS7の処理を繰り返す。これにより、人物の移動に応じたエアカーテンを形成できる。したがって、異物が混入することをよりいっそう防ぎ得る。
<第7変形例の利用例1>
図20は第7変形例をエレベータに利用した例を模式的に示す説明図である。エレベータかご500の天井には十字状に複数の送風機11が配置されており、床には十字状に複数の送風機21が配置されている。このため、複数の送風機11及び送風機21を全て駆動した場合に、エレベータかご500の内部は、エアカーテンによって4つのエリアに分割される。また、駆動させる複数の送風機11及び送風機21を選択することにより、エアカーテンのパターンを変えることが可能になる。
図21はエアカーテンのパターンを示す平面図であり、エレベータかご500の内部を、4分割(例えば(a))、奥側を2分割した3分割(例えば(b))、奥側と手前側とに分割した2分割(例えば(c))、左右に分割した2分割(例えば(d))、左奥側とその他に分割した2分割(例えば(e))した例をそれぞれ示す。このように、エレベータかご500の天井と床の中心から前後左右に配列されている4方向の送風機群の組み合わせによって、図21に示すように、エアカーテンによる仕切りパターンを変えることが可能になる。このため、グループの人数や体形に応じて、エアカーテンによる仕切りパターンを大中小と変えることができる。
第7変形例の利用例1においては、検知装置300として、非接触式検知装置を適用した場合について説明する。検知装置300は、タグリーダ301〜303と電波式RFIDタグ310とからなる非接触検知装置からなる。電波式RFIDタグ310には、電波式RFIDタグ310ごとに固有に付与されたカード番号と、電波式RFIDタグ310の持ち主を特定可能な本人情報と、会社仲間、家族、友人仲間といったグループ関係を特定可能なグループ情報と、電波式RFIDタグ310の持ち主に関する特徴的な情報である属性情報と、を含む各種の情報が事前に登録される。
本人情報は、例えば、氏名や連絡先等からなる。グループ情報は、グループごとに自動的に付与されたグループ識別番号からなる。つまり、同じグループに属する人たちの電波式RFIDタグ310には、同一のグループ識別番号が記憶される。属性情報は、第7変形例を利用するエレベータを有する建物の使用目的に応じて適宜登録される。例えば、建物が病院であって、病院に勤務する者であれば、医師、看護師、その他スタッフといった職種が記憶され、患者であれば、海外帰国2週間以内、基礎疾患あり、体温37.5度以上といった情報が属性情報として記憶される。また例えば、建物が演劇や講演が行われる会館であって、劇団員であれば、劇団名、身長や年齢、役柄といった情報、講演の話者であれば、講演の話者であることを特定する情報、観客であれば、観客であることを特定する情報が属性情報として記憶される。
タグリーダ301は、エレベータかご500の内部に配置され、タグリーダ302、302は、エレベータの入り口とに配置されている。エレベータかごの内部には、例えば、人物の胸付近の高さで四隅に配置されている。エレベータへの入り口には、タグリーダ302及びタグリーダ303が配置されている。
タグリーダ301は、エレベータかご500に搭乗した人達の電波式RFIDタグ310と無線通信を行い、電波式RFIDタグ310から本人情報を読み取るとともに、電波式RFIDタグ310からの電波の受信方向の情報を求めてこれらの情報を制御装置200に送信する。
タグリーダ302は、エレベータへの入り口前に並んでいる搭乗待ちの人達が所持する電波式RFIDタグを読み取る。タグリーダ303は、エレベータかご500に搭乗しようとする人が所持する電波式RFIDタグを読み取る。タグリーダ302及びタグリーダ303は読み取った情報を制御装置200に送信する。
次に、制御装置200による制御について説明する。
制御装置200は、タグリーダ302が電波式RFIDタグ310から読み取ったグループ情報に基づいて、搭乗待ちの人達のグループ関係を求め、エアカーテンのパターンを決定するとともに、エレベータかご500の内部のどのエリアに搭乗させるかを決定する。グループ関係のある人達はできるだけ同じエリアに搭乗させるように決定する。
エレベータかご500が到着して扉が開き、搭乗待ちの人達が1人ずつ搭乗するごとにタグリーダ303が電波式RFIDタグ310からグループ情報を読み取り、制御装置200は、タグリーダ303が読み取った情報に基づいて案内装置320を駆動制御する。案内装置320は、搭乗しようとする人に対して、エレベータかご500の内部におけるどのエリアに搭乗するかを案内する音声出力或いは画面表示を行う。
そして、エレベータかご500の内部に客が搭乗して入り口の扉が閉まった後、エレベータかごの内部のタグリーダ301が客の電波式RFIDタグ310を読み取るとともに、タグリーダ301に対する客の方向の情報を求めて制御装置200に送信する。制御装置200は、搭乗者の電波式RFIDタグ310から識別番号及び本人情報を取得し、更に4つのタグリーダ301からの受信方向の情報に基づいて各搭乗客の位置を求める。制御装置200は搭乗客が案内通りに位置していると判断した場合には、予め決定したパターンのエアカーテンが形成されるように複数の送風機11及び送風機21を駆動する。
次に、第7変形例の利用例1について、病院のエレベータを例により詳細に説明する。
まず、前提として、病院の職員及び患者は、電波式RFIDタグ310が付いたカードを所持しているものとする。新規の患者或いは面会人には、建物の入り口の受付にて電波式RFIDタグ310が付いたカードが渡される。例えば、面会人が複数である場合には、この複数の面会人のカードに同一のグループ識別番号が記憶される。
図20において、エレベータの前にA者〜E者の5名が並んでおり、タグリーダ303はこれら5名の電波式RFIDタグ310を読み取ることで、制御装置200がA者〜E者におけるグループ関係を求める。例えば、A者及びB者はそれぞれ他者との間にグループ関係がなく、C者、D者及びE者がグループ関係があるとする。この場合、制御装置200は、図21の(b)に示すエアカーテンが適していると判断し、図21の(f)に示すように、A者は左側奥に、B者は右側奥に、C者は左側手前に、D者は右側手前に、E者は中央手前に配置するように決定する。そして、エレベータの扉が開いて1人ずつ搭乗するときに、タグリーダ302がA者の電波式RFIDタグ310を読み取った場合には、制御装置200が案内装置320を制御して、案内装置320にA者に左側奥に位置するように案内する音声出力及び画像表示を実行させる。B者〜E者についても同様である。
そして、エレベータかご500に全員搭乗した後、4つのタグリーダ301がエレベータかご500内の電波式RFIDタグ310を読み取り、カード番号及び本人情報と電波の受信方向の情報を制御装置200に送信する。制御装置200は、4つのタグリーダ301から送信される受信方向の情報に基づいて、A者〜E者の位置を求める。つまり、エレベータかご500の内部に縦軸(X軸)、横軸(Y軸)、高さ軸(Z軸)の三次元座標を想定した場合に、4つのタグリーダ301の座標から受信方向に仮想線を延ばし、各仮想線が交わった座標が電波式RFIDタグ310の位置となる。また、電波式RFIDタグ310から本人情報を読み取っているため、制御装置200は、エレベータかご500のどの位置に誰が立っているかを把握することができる。
制御装置200は、A者〜E者が案内通りの位置にいることを確認した場合には、複数の送風機11及び送風機21を駆動して、図21の(b)に示すパターンのエアカーテンを形成する。制御装置200が、A者〜E者が案内通りの位置にいないことを確認した場合には、現状のA者〜E者の位置に基づいて最も適したエアカーテンのパターンを求め、当該バターンを形成するように複数の送風機11及び送風機21を駆動する。
なお、図21に示す例では、エレベータかご500の周囲に4つのタグリーダ301を配置しているが、少なくとも3つのタグリーダ301があれば電波式RFIDタグ310の位置を測定することが可能である。
また、検知装置300として、撮像装置や光学式検知装置を適用した場合には、エレベータに搭乗して扉が閉まった後、制御装置200が、検知装置300から検知情報を受信して、人物の配置を求め、この配置に適したエアカーテンのパターンを求め、当該バターンを形成するように複数の送風機11及び送風機21を駆動する。
このように、利用例1によれば、エレベータに複数人搭乗した場合に、エレベータかご500の内部において人と人との間をエアカーテンによって仕切ることが可能になる。このため、搭乗者の中に感染症を患っている人が含まれている場合に、その人がエアカーテンによって仕切られるため、その人からウィルス等が他の人に移動することを防止することが可能になる。よって、エレベータのような閉鎖空間に人が集まることが原因となって、感染症が拡大することが防止できる。
また、複数の搭乗者にグループ関係がある場合に、そのグループで1つのエリアにかたまるようにエレベータ内の搭乗者の配置を決定することができるため、閉鎖空間にいることによる搭乗者の不安感を和らげることができる。
なお、利用例1においては、エレベータ内における搭乗者のエリア配置に優先順位を付けてもよい。例えば、グループ関係にあったとしても、その中の1人の属性情報に「体温が37.5℃」という情報が含まれている場合には、その人を優先的にエレベータ右側奥に案内し、1人だけ小エリアのエアカーテンで囲むようにしてもよい。
また、患者を運ぶキャリアが入ることができる大型のエレベータの場合には、図20に示すような十字形状ではなく、格子状に複数の送風機11及び送風機21を配置してもよい。この場合、各格子の辺単位で送風機11及び送風機21を制御して、格子単位で送風機11及び送風機21を制御してもよい。
また、第7変形例の利用例1においては、検知装置300として、非接触式検知装置を適用したが、撮像装置を用いてもよい。例えば、制御装置200に顔認識機能を持たせるとともに、人物の本人情報にグループ情報と属性情報とを紐付けて記憶されてるデータベースを持たせる。そして、制御装置200が、撮影画像に基づいて、人物を特定するとともにグループ情報をデータベースから取得する。更に、制御装置200が、撮影画像に基づいて、人物の位置を特定する。このように、制御装置200が、撮像装置からの撮影画像に基づいて、人物のグループ情報と位置情報とを取得可能になり、人物のグループ情報と位置情報に基づいて送風機11及び送風機21を制御してエアカーテンを形成することが可能になる。
必須の態様ではないが、利用例1においては、エレベータ内における搭乗者の移動に応じて移動後の人物の配置を求め、移動後の人物の配置に適したエアカーテンのパターンを求め、当該バターンを形成するように複数の送風機11及び送風機21を駆動してもよい。これにより、搭乗者の配置のみならず、搭乗者の移動にも応じて異物等の混入を効率良く防ぐことができるエアカーテン装置を提供できる。
<第7変形例の利用例2>
図22は第7変形例をパーティ会場、宴会場、催事場のような大広間に利用した例を模式的に示す説明図である。大広間の天井にはマトリクス状に複数の送風機11が配置されており、床にもマトリクス状に複数の送風機21が配置されている。大広間の壁には複数のタグリーダ301が配置されている。なお、第7変形例の利用例2においては、利用例1と同様に、検知装置300として、非接触式検知装置を適用した場合について説明する。
また、利用例1と同様の電波式RFIDタグ310が付いたカードが渡された者が大広間に入れるものとする。また、利用例2の電波式RFIDタグ310には、利用例1と同様の電波式RFIDタグ310と同様にカード番号、本人情報、グループ情報、属性情報が記憶されている。
利用例1においては、天井及び床に十字型に送風機11及び送風機21が配置されており、制御装置200は、十字型を形成する4ラインを構成する複数の送風機11及び送風機21を、ライン単位でまとめて制御している。
それに対して利用例2において、制御装置200は、マトリクス状に配置された複数の送風機11及び送風機21を個別に制御することが可能である。このため、駆動させる送風機11及び送風機21を個別に選択することにより、平面視した場合に多様なエアカーテンを形成することが可能である。
まず、制御装置200は、タグリーダ301が大広間内の人たちが所持するRFIDタグ310を読み取り、人物とその位置を特定する。そして、制御装置200は、大広間内の人物の配置に基づいて、エアカーテンのパターンを決定する。そして、このパターンに対応する複数の送風機11及び送風機21を選択して駆動することにより、大広間内にエアカーテンを形成する。更に、制御装置200は、所定時間ごと(例えば1秒に一回)にタグリーダ301を駆動させて、大広間内の人たちが所持するRFIDタグ310を読み取り、人物とその位置を特定することにより、人物の移動を監視する。そして、人物の移動に応じてエアカーテンのパターンを変化させる。
図23は、エアカーテンの形成例を示す説明図である。制御装置200は、人物の位置を求めた後、この位置を中心として半径r(例えば1m)の円を求める。このときの線の太さは送風機21の直径とする。このように求めた円に接する複数の送風機21及びそれに対応する複数の送風機11を抽出して駆動させることにより、人物の周囲を覆う円筒形のエアカーテンを形成する。図23に示すように、人物が移動した場合には、移動位置を中心として半径r(例えば1m)の円に接する複数の送風機21及びそれに対応する複数の送風機11を駆動させて円筒形のエアカーテンを形成する。
具体的に、制御装置200は、床面に対してXY座標系を設定し、人物の位置及び送風機21の位置をXY座標によって管理する。制御装置200は、検知装置300からの検知情報に基づいて人物の位置のXY座標を求め、更に人物の位置のXY座標を中心とした半径rで且つ線の太さが送風機21の直径の円を想定する。そして、この円の座標に一致する座標を含む送風機21をリストアップする。そして、リストアップされた複数の送風機21を及びそれに対応する複数の送風機11を駆動させることにより、円筒形のエアカーテンを形成する。
図24は、複数の人物がいる場合におけるエアカーテンの形成例を示す説明図であり、図24Aに示すように、人物Aと人物Bとの距離が半径r×2よりも長い場合には、人物Aと人物Bそれぞれの位置を中心として、円筒形のエアカーテンが形成される。
図24Bに示すように、人物Aと人物Bとの距離が半径r×2よりも短い場合には、人物Aと人物Bそれぞれの位置を中心とする半径rの円が一部交差する。この場合、2つの円形の外周に接する複数の送風機21及びそれに対応する複数の送風機11と駆動させるとともに、交差する2点(図中、点p及び点q)を結ぶ線(図中、点pと点q)に対応する複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動させる。これにより、2つの円筒形の側面の一部が重なった形状のエアカーテンが形成される。
図24Cに示すように、人物Aと人物Bとの距離が半径r×2の場合には、2つの円筒形の側面の一部が接した形状の平面視8の字形のエアカーテンが形成される。
図24Dは人物A、人物B及び人物Cの3者間の場合のエアカーテンの形成例である。、人物A、人物B及び人物Cのエアカーテンのパターンにおいて共通している領域がある場合、その領域の中心点を求める。そして制御装置200は、人物A、人物B及び人物C同士で交差する点と中心点とを結ぶ線の位置にある複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動させるとともに、3つの円形の外周に対応する複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動させることにより、人物A、人物B及び人物Cの周囲にエアカーテンを形成させる。
なお、図24Bに示す2者間又は図24Dに示す3者間において、各人物にグループ関係がある場合には、各円形の外周に対応する複数の送風機11及び複数の送風機21のみを駆動させてもよい。
また、図24A〜図24Aに示す例は、円筒状のエアカーテンを形成させるものであるが、図24Eに示すように、人物Aの位置と人物Bの位置とを結ぶ線の垂直二等分線に対応する複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動させて、平板状のエアカーテンを形成することにより、人物Aと人物Bとを仕切ってもよい。
なお、人物が所持するカードのRFIDタグ310に、属性として身長や年齢が記憶されている場合には、例えば、年齢が10歳以上であれば半径rを1mに設定し、年齢が10歳未満であれば半径rを0.7mに設定し、身長が180cm以上であれば半径rを1.5mに設定する等、属性に応じてエアカーテンの半径を自動的に設定してもよい。
また、図24に示す形成例では、エアカーテンが1つの円筒であるが、エアカーテンを二重の円筒にしてもよい。具体的には、制御装置200に、エアカーテンを1つの円筒にするか二重の円筒にするか、或いは、1つの平板にするか二重の平板にするか、更には半径を大きめにしたり小さめにする等、を管理者によるメニュー画面の操作によって設定可能にしてもよい。例えば、大広間を医療施設として利用する場合、手術を行う医師や患者など、より注意が必要な場合はエアカーテンを2重の円筒にする。このようにエアカーテンを2重の円筒にすることにより、2つのエアカーテンの間に、人が誰もいない空間を作ることが可能になり、より厳重に空間を仕切ることができる。また、人の動きが素早く活発の場合に、エアカーテンの切り替えがより安全に行われるためには、バッファ緩衝地帯が設定される二重円筒にするほうがよい場合もあるし、半径設定を変更することもある。
また、大広間を講演会や演劇、コンサートなどに利用する場合、話者や演者を二重円筒や半径をやや大きめに設定することができる。なお、この場合、観客は1つの円筒で半径は普通の設定でもよい。
図25は、利用例2におけるエアカーテンの他の形成例を示す説明図である。他の形成例は、人物が特定領域に入った場合に、特定領域に関連づけて予め設定した複数の送風機11及び送風機21を駆動させてエアカーテンを形成するものである。
例えば、図25に示すように、大広間に円形テーブルが置いてあり、この円形テーブルの周囲に複数の特定領域A〜Hが等間隔に設定されている。制御装置200には、特定領域A〜Hの範囲に対応する座標のデータが記憶されている。更に特定領域A〜Hにそれぞれ対応する複数の送風機11及び送風機21が記憶されている。例えば、特定領域Aには、特定領域Aと特定領域Bとの間に位置する複数の送風機11及び送風機21が紐付けられている。特定領域Bには、特定領域Bと特定領域Cとの間に位置する複数の送風機11及び送風機21が紐付けられている。以下、同様に、各特定領域に対して複数の送風機11及び送風機21が紐付けられている。
そして、制御装置200は、大広間内の人物の位置を監視し、人物が特定領域A〜Hに入った場合に、特定領域A〜Hにそれぞれ対応する複数の送風機11及び送風機21して駆動してエアカーテンを形成する。図25は、特定領域A、B、D、Gに人物が入っている例を示しており、テーブルに対向する人物の左側にエアカーテンACが形成される。なお、座席に座っている人物が席を立って特定領域から出た場合に、制御装置200は、特定領域に対応するエアカーテンACをオフにする。
なお、人物が所持するカードのRFIDタグ310のグループ情報を利用して、同じグループの者が、円形テーブルの座席に座るようにしてもよい。例えば、円形テーブルの上に、制御装置200によって制御可能な音声や画像の出力装置を載置する。そして、制御装置200が、異なるグループの人物が特定領域に入ったと判断した場合に、出力装置を駆動させて、画像表示や音声出力などで注意喚起を行ってもよい。
上述した利用例2におけるエアカーテンの他の形成例は、例えば、商業施設の共用部分にある椅子や机やソファーなどをエアカーテンによって個別に区切ることに利用することも可能である。
<第7変形例の利用例3>
図26は第7変形例をレジやチケット売り場のように人が並ぶ場所に利用した例を模式的に示す説明図であり、図26Aは側面図、図26Bは平面図である。利用例3は、図22に示す利用例2と同様に、天井と床にそれぞれ送風機11と送風機21とがマトリクス状に配置されている。
床には、人の並び位置に仕切り線が描かれており、この仕切り線に接している複数の送風機21及びそれに対応する送風機11が、制御装置200による制御対象となる。なお、図25に図示していないが、この利用例において、図18に示す制御装置200及び検知装置300を使用している。また、この利用例では、検知装置300として撮像装置を使用している。
制御装置200は、撮像装置による撮影画像から人物を検出処理を行い、人物及びその位置を求める。そして、制御装置200は、駆動する複数の送風機11及び複数の送風機21を選択し、駆動制御することにより、チケット売り場と最前列の人との間、及び前列の人と後列との人の間にエアカーテンを形成する。制御装置200は、最後列の人の後方にある複数の送風機11及び複数の送風機21を停止させる制御を行う。ここで、並んでいる人が移動する際に、送風機21を跨ぐ際に複数の送風機11及び複数の送風機21を停止させる制御を行ってもよい。
なお、利用例2と同様に、図27に示すように、並んでいる人の半径rの円内に配置されている複数の送風機11及び複数の送風機21を駆動させて、円筒形のエアカーテンを形成してもよい。この場合、円の中心が、並んでいる人の位置に対して若干進行方向前方に偏った位置に設定してもよい。これにより、並んでいる人の位置が進行方向に移動した場合に、円筒形のエアカーテンの中心に近づくため、エアカーテンの外部に出てしまうことを防止することができる。
また、検知装置300として利用例2と同様に非接触式検知装置を適用しており、制御装置200が、グループ情報を取得可能であれば、同じグループの人達が並んでいる場合にグループの周りにエアカーテンを形成してもよい。例えば、図27において先頭の次に並んでいる2人が同じグループであれば、この2人の周りにエアカーテンを形成してもよい。
また、利用例4においては、利用例2と同様に、天井と床にそれぞれ送風機11と送風機21とがマトリクス状に配置されているが、それに限るものではなく、図28に示すように、天井と床にそれぞれ送風機11と送風機21とが格子状に配置されていてもよい。この場合、売り場に対して横方向に人が並ぶのであれば、縦方向のラインの送風機11と送風機21の一部を駆動することにより、図26Bに示すように、並ぶ人の前後をエアカーテンで仕切ることが可能になる。
<第7変形例の利用例4>
図29は第7変形例を病院で利用した例を模式的に示す説明図であり、図29Aは手術室での利用例を示し、図29Bは病室での利用例を示す。なお、図29に図示していないが、この利用例において、図18に示す制御装置200及び検知装置300を使用している。利用例3は、図28に示すように、天井と床にそれぞれ送風機11と送風機21とが格子状に配置されている。なお、図29においては、制御装置200による制御対象となる送風機21のみ示されている。
また、この利用例4では、検知装置300として撮像装置を使用している。更に、手術室や病室への出入り口となる扉にはドアセンサ330が設けられている。ドアセンサ330は、扉が開いた状態の時にオン信号を、扉が閉じた状態の時にオフ信号を制御装置200に送信する。
図29Aに示すように、手術室において、床に制御装置200による制御対象となる複数の送風機21が、手術台と執刀医の作業領域及びアシスタントの領域をそれぞれ囲む矩形を描くように配列されている。天井には、複数の送風機21に対応し、制御装置200による制御対象となる複数の送風機11が矩形を描くように配列されている。また、手術室には手術開始ボタン331が設けられている。
手術開始ボタン331は、アシスタントによって操作され、手術開始時にオン状態となり、手術中はオン状態が継続し、手術終了時にオン状態となる。手術開始ボタン331は、オン状態の時にオン信号を、オフ状態の時にオフ信号を制御装置200に送信する。
そして、制御装置200は、予め設定された手術室の予約時間の間にドアセンサ330からオン信号を受信した場合に、送風機11及びそれに対応する送風機21を駆動して、図29Aに示すように手術台周りにエアカーテンを形成する。ここで、制御装置200は、手術室の予約時間外においてドアセンサ330からオン信号を受信した場合には、送風機11及びそれに対応する送風機21を駆動しないが、手術開始ボタン331からオン信号を受信した場合には、エアカーテンを形成する。
手術中において、制御装置200は、撮像装置による撮影画像から、執刀医及びアシスタント等の手術室内にいる手術スタッフの検出処理を行い、手術スタッフの位置を求める。制御装置200は、撮像装置による撮影画像に基づいて、手術スタッフの移動を監視し、手術スタッフが特定の領域に入った場合に、特定の送風機11及びそれに対応する送風機21の停止又は風量を弱くする制御を行う。
例えば、図29Aに示す例では、執刀医と手術スタッフとの間の送風機21の上方を、執刀医、手術スタッフの身体の一部(例えば、手)或いは機材が跨ぐ場合に、この送風機21及びこの送風機21に隣り合っている数個の送風機21、更にこれらの送風機21に対応する複数の送風機11を停止又は風量を弱くする制御を行う。これにより、執刀医又はアシスタントが気にならないような風圧に調整することができる。
そして、手術終了後、アシスタントによって手術開始ボタン331が操作され、手術開始ボタン331からのオフ信号を制御装置200が受信した場合に、送風機11及び送風機21が停止してエアカーテンがオフになる。
このように、利用例4によれば、手術患者の周囲をエアカーテンで仕切られるようになり、空気中に浮遊しているエアロゾルが手術患者に届きにくくなるため、手術環境を向上させることが可能になる。
なお、執刀医とアシスタントとの間にエアカーテンを形成する送風機11及び送風機21は、他の送風機11及び送風機21よりも風量を予め弱く設定してもよい。また、手術スタッフが制御装置200を操作することによってエアカーテンの風量を局所的に調整可能にしてもよい。
図29Bに示すように、病室において、床に複数の送風機21が、寝台を囲む矩形を描くように配列されている。天井には、複数の送風機21に対応する複数の送風機11が矩形を描くように配列されている。なお、図29に図示していないが、この利用例において、図18に示す制御装置200及び検知装置300を使用している。また、この利用例では、検知装置300として撮像装置を使用している。
図29Bに示す例では、制御装置200がドアセンサ330からオン信号を受信した場合に検知装置300が動作を開始し、検知装置300が扉から入ってくる人物を検知した場合に、寝台周りの一部の送風機21及び対応する送風機11の停止又は風量を弱くする制御を行う。これにより、医師が診察に来た場合、或いは食事が配膳されたときに、エアカーテンのないところ或いは風圧の弱いところで診察や配膳作業を行うことが可能になる。
なお、病室に入ってくる人物がどのような人物か、例えば、医師、看護師、配膳員、清掃作業員、見舞人等を識別可能な場合には、それに適したエアカーテンを形成してもよい。例えば、清掃作業員の場合には全てのエアカーテンをオフにし、見舞人の場合には見舞いの対象者の寝台周りのエアカーテンをオフにしてもよい。病室に入ってくる人物の識別は、図20を用いて説明したように、RFIDタグ付きのカードを持たせ、病室の入り口にタグリーダを設置して、入室前にRFIDタグをタグリーダに読み取らせること、更には、制御装置200に撮像装置が撮影した映像から人物を特定する、所謂、顔認証機能を持たせることによって可能である。
また、寝台を囲む送風機21に、送風機11からの螺旋気流の風圧を検知する圧力センサを設け、圧力の低下を検知した場合に送風を自動的にオンオフさせてもよい。寝台を囲む送風機21の近傍の床上に接触センサを設け、接触センサが接触を検知した場合に送風を自動的にオンオフさせてもよい。また、例えば、病室に患者以外の人物がいないのにも関わらず、圧力センサ或いは接触センサが圧力或いは接触を検知している場合には、物体が送風機21上に置かれている可能性がある旨を、患者或いは担当の看護師に、音声或いは画像によって報知してもよい。
以上、第7変形例の利用例について説明したが、第7変形例の利用例は上述したものに限るものではない。例えば、検知装置300を圧力センサとし、この圧力センサを椅子やソファーに設置して、着席した人物の有無を検知可能にする。そして、椅子やソファーに着席した場合に、隣り合う椅子やソファーとの間にエアカーテンを形成し、離席した場合に、エアカーテンをオフにしてもよい。
これにより、例えば、病院の待合室の座席に診察待ちの人が着席した場合に、隣に着席している人との間をエアカーテンで仕切ることが可能になる。また、病院の待合室以外でも、例えば、劇場の客席において、隣り合う人との間をエアカーテンで仕切ることが可能になる。なお、隣り合う座席間において、送風機11からの螺旋気流が送風機21に流れるように、座席と座席に人がいないバッファ(緩衝地帯)を設けることが望ましい。
また、利用例2においては、人物の移動に合わせてエアカーテンのパターンを変えているが、利用例2において、人物が特定領域に入った場合にエアカーテンを形成し、人物が特定領域外に移動した場合にエアカーテンをオフにしてもよい。例えば、コンサートホールにおいて、検知装置300が、指揮者が指揮台に上がったことを検知した場合に、指揮者の周りにエアカーテンを形成し、指揮者が指揮台を降りたことを検知した場合に、エアカーテンをオフにしてもよい。
また、上述した第7変形例の利用例においては、十字状に配置したり、天井と床にそれぞれ送風機11と送風機21とがマトリクス状に配置したり、格子状に配置した例をあげているが、天井と床における送風機11及び送風機21の配置パターンはそれに限るものではない。例えば、図30Aに示すように円弧状であったり、図30Bに示すように格子の配列を交互にずらしたり、図30Cに示すようにハニカム形状に配置してもよく、建物の使用目的に合わせて適宜決定可能である。特に、四角筒形のエアカーテンを形成したい場合には、図28に示すように格子状に配列することが望ましく、円筒形のエアカーテンを形成したい場合には、図30Cに示すようにハニカム状に配列することが望ましい。
また、第7変形例によれば、天井から床に向かう縦方向の螺旋気流によってエアカーテンが形成されるが、図1に示すエアカーテン装置のように、横方向の螺旋気流によってエアカーテンが形成されるエアカーテン装置を併用することも可能である。これにより、多様なエアカーテンを形成することが可能になる。この場合、横方向の螺旋気流によってエアカーテンが形成されるエアカーテン装置の送風機11、21を制御装置200によって制御可能にしてもよい。これにより、様々な場面において好適なエアカーテンを形成することが可能になる。また、図1に示すエアカーテン装置の送風機11及び送風機21にそれぞれRFIDタグを付けることにより、制御装置200が送風機11及び送風機21の位置を確認することが可能になる。これにより、位置がずれた場合に、制御装置200が送風機11及び送風機21を停止させたり、位置調整を行うように作業員に早めに指示することが可能になる。
なお、実施の形態のエアカーテン装置及び実施の形態の第1変形例乃至第5変形例のエアカーテン装置のうちいずれか1種又は複数種を適宜組み合わせることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の実施の形態及び各変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
<付記>
上述した実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一態様としてのエアカーテン装置は、エアカーテンを形成するエアカーテン装置である。当該エアカーテン装置は、上下方向に配列され、且つ、空気が吸い込まれる第1吸込口と空気が吹き出される第1吹出口とをそれぞれ含む、複数の第1送風機と、上下方向に配列され、空気が吸い込まれる第2吸込口と空気が吹き出される第2吹出口とをそれぞれ含み、且つ、平面視において第2吸込口が複数の第1送風機の各々に含まれる第1吹出口とそれぞれ対向配置される、複数の第2送風機と、を有する。第1送風機と第2送風機との組において、第1送風機は、第1送風機に含まれる第1吹出口から、第2送風機に含まれる第2吸込口に向けて、螺旋気流を吹き出し、第2送風機は、第1送風機により吹き出された螺旋気流を、第2送風機に含まれる第2吸込口から吸い込む。また、当該エアカーテン装置は、複数の第1送風機の各々にそれぞれ含まれる複数の第1吹出口から吹き出され、且つ、複数の第2送風機の各々にそれぞれ含まれる複数の第2吸込口に吸い込まれる、複数の螺旋気流により、エアカーテンを形成する。
また、他の一態様として、複数の第1送風機のうちのいずれかである第3送風機は、第3送風機に含まれる第1吹出口から螺旋気流が吹き出される方向に光を照射する発光部を含んでもよい。複数の第1送風機に対する複数の第2送風機の相対位置は、発光部により照射された光が、複数の第2送風機のうちのいずれかであり且つ平面視において第3送風機に含まれる第1吹出口と対向配置される第2吸込口を含む第4送風機に照射されるように、調整されてもよい。
また、他の一態様として、発光部は、可視光又は赤外光を発光するレーザ又は発光ダイオードであってもよい。
また、他の一態様として、第4送風機は、発光部により照射された光を受光する受光部を含んでもよい。複数の第1送風機に対する複数の第2送風機の相対位置は、発光部により照射された光が、受光部に照射されるように、調整されてもよい。
また、他の一態様として、当該エアカーテン装置は、エアカーテンをそれぞれ形成する2個のエアカーテン形成部を備え、2個のエアカーテン形成部の各々は、複数の第1送風機と、複数の第2送風機と、を有してもよい。2個のエアカーテン形成部のうちのいずれかである第1エアカーテン形成部が有する複数の第2送風機は、2個のエアカーテン形成部のうち第1エアカーテン形成部と異なる第2エアカーテン形成部が有する複数の第1送風機と平面視で隣り合ってもよい。平面視において、第2エアカーテン形成部が有する複数の第1送風機から、第2エアカーテン形成部が有する複数の第2送風機に向かう方向は、第1エアカーテン形成部が有する複数の第1送風機から、第1エアカーテン形成部が有する複数の第2送風機に向かう方向と、異なる方向であってもよい。第1エアカーテン形成部は、第1エアカーテン形成部が有する複数の第2送風機の各々にそれぞれ含まれる複数の第2吹出口と、第2エアカーテン形成部が有する複数の第1送風機の各々にそれぞれ含まれる複数の第1吸込口と、を気密に連結する第1連結部を有してもよい。
また、他の一態様として、当該エアカーテン装置は、上下方向に沿った中心軸の周りの環状経路に沿って配列され、且つ、エアカーテンをそれぞれ形成するN個(Nは3以上の整数)のエアカーテン形成部を備え、N個のエアカーテン形成部の各々は、複数の第1送風機と、複数の第2送風機と、を有してもよい。N個のエアカーテン形成部の各々について、エアカーテン形成部である第3エアカーテン形成部と、N個のエアカーテン形成部のうち、環状経路に沿って第3エアカーテン形成部よりも平面視で反時計方向側又は時計方向側である第1の側に配置され、且つ、第3エアカーテン形成部と隣り合うエアカーテン形成部である、第4エアカーテン形成部と、の組において、第3エアカーテン形成部が有する複数の第2送風機は、第4エアカーテン形成部が有する複数の第1送風機と平面視で隣り合ってもよい。第3エアカーテン形成部は、第3エアカーテン形成部が有する複数の第2送風機の各々にそれぞれ含まれる複数の第2吹出口と、第4エアカーテン形成部が有する複数の第1送風機の各々にそれぞれ含まれる複数の第1吸込口と、を気密に連結する第2連結部を有してもよい。
また、他の一態様として、第1送風機により吹き出された螺旋気流を第1送風機から視たときの螺旋気流の回転方向は、時計回り又は反時計回りの回転方向であって、且つ、複数の第1送風機の間で同じ回転方向であってもよい。
また、他の一態様として、複数の第1送風機の各々は、第1筒部と、第1筒部の内部に設けられた第1ファンと、を含み、第1吸込口は、第1筒部の軸方向における第1端部に設けられ、第1吹出口は、第1筒部の軸方向における第1端部と反対側の第2端部に設けられ、第1ファンは、第1吸込口から空気を吸い込み、第1吸込口から吸い込まれた空気を第1吹出口から吹き出してもよい。複数の第1送風機の各々は、更に、第1吹出口に設けられ、且つ、第1筒部の軸方向から視たときに時計回り又は反時計回りに渦を巻く渦巻形状をそれぞれ有する複数の孔が形成された第1グリルを含んでもよい。
また、他の一態様として、複数の第1送風機の各々は、第1筒部の内部に消毒液を噴霧する噴霧部を含んでもよい。
また、他の一態様として、複数の第2送風機の各々は、第2筒部と、第2筒部の内部に設けられた第2ファンと、を含み、第2吸込口は、第2筒部の軸方向における第3端部に設けられ、第2吹出口は、第2筒部の軸方向における第3端部と反対側の第4端部に設けられ、第2ファンは、第2吸込口から空気を吸い込み、第2吸込口から吸い込まれた空気を第2吹出口から吹き出してもよい。第2吸込口の内径は、第1吹出口の内径よりも大きくてもよい。
また、他の一態様として、複数の第1送風機の各々は、第1筒部の内部に着色された気体を注入する第1注入部を含んでもよい。
また、他の一態様として、複数の第1送風機の各々は、第1筒部の内部に匂い成分を含有する気体を注入する第2注入部を含んでもよい。
本発明の一態様を適用することで、小型且つ簡易なエアカーテン装置を用いるだけで、ある空間を効率良く仕切って分割することができ、一方の部分空間から他方の部分空間に飛沫等の異物が侵入することを効率良く防止することができる。