JP6955268B2 - 微小共鳴体及び微小共鳴装置 - Google Patents
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Description
(微小共鳴体1の構成)
図1(a)は実施形態1に係る微小共鳴体1を伝搬管13内に配置した態様を示す断面斜視図であり、(b)は上記微小共鳴体1の拡大断面斜視図であり、(c)は上記微小共鳴体1を伝搬管13内に配置した態様を透視した斜視図であり、(d)は上記微小共鳴体1に設けられた共鳴部材2の断面斜視図であり、(e)は上記微小共鳴体1に設けられた第1及び第2パネル3・4と第1及び第2共鳴膜7・8との断面斜視図である。
(基本特性)
(第1及び第2共鳴膜7・8の基本特性)
シミュレーションでは第1及び第2共鳴膜7・8として、厚さ10μmのポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)を想定して解析を行っている。これは、市販のキッチンラップでの実験を想定したものである。
第1パネル3、第2パネル4は、剛体の板に微小な貫通穴(第1ピンホール5、第2ピンホール6)をあけたものであり、微小共鳴体1の共鳴周波数を決める重要なパーツである。この共鳴周波数は、主に第1及び第2ピンホール5・6の長さと直径、及び、第1及び第2ピンホール5・6を有する剛体板(第1及び第2パネル3・4)で挟まれた共鳴空間11の容積によって決まる。すなわち、以下のような関係を持つ。
共鳴空間11の形状については、図1に示した円柱状の他、球形、立方体、円すい等、形状は問わないが、共鳴空間11の両端に、共鳴膜とピンホールとで構成した構造が1対以上必要である。
(第1及び第2ピンホール5・6のL(インダクタンス)としての特性)
音波は、縦波の平面波であり、理論的にはカットオフ周波数(これ以上低い周波数は通過できないとする最低周波数)がないため、孔径の小さなピンホールであっても孔径に関係なく通過することができる。しかしながら、空間に広がりをもって伝わってくる音波を、突然、径の小さな第1及び第2ピンホール5・6に効率よく導くことは難しい。そのため、入射する音波は、「急激にピンホールの径が小さくなるほどピンホールを通りにくくなる」ことから、第1及び第2ピンホール5・6を等価的にインダクタとみなすことができる。
音波が膜を通過する際、膜は周波数が低いほど大きく振動することが知られている。そのため、周囲を固定した膜に低周波音が入ると、膜全体が大きく振動しようとするものの、膜の周囲が固定(拘束)されているために思ったように振動ができず、低周波音は膜を通過しにくくなる。一方、周波数が上がると膜は小刻みに振動するだけで良く、膜の周囲が固定されていても、膜の中央付近を震わせるだけで音は通過してしまう。このような特性は、回路素子のコンデンサがもつ「低い周波数の音を通しにくく、高い周波数の音をよく通す」という特性に似ていることから、第1及び第2共鳴膜7・8を等価的にコンデンサとして扱うことができる。
キャビティーは一定の容積を持つ空間であり、この容積の大小により、共振周波数が大きく変わることが、前述した図4及び図5に関する検討の結果わかった。このことは、膜が作るCとピンホールが作るLとが直列共振を起こして共鳴するのではなく、むしろキャビティーの容積が作るCとピンホールが作るLとが直列共振を起こし、共鳴現象を起こすことを意味している。
以上の検討により、実施形態1の構造では、第1及び第2共鳴膜7・8と第1及び第2ピンホール5・6とを直列に接続した構造によりコンデンサCとコイルLとの直列接続を作ったものとみることはできず、むしろ、共鳴空間11(キャビディー)と第1及び第2ピンホール5・6とを直列に接続した構造によりコンデンサCとコイルLとの直列共振回路を作ったとみるのが正しい解釈である。第1及び第2共鳴膜7・8を使用しているからと言って、メタマテリアルにおける「異常音響伝搬現象」が起こっているというものではないことに注意しなければいけない。
図6(a)は伝搬管13内に配置された微小共鳴体1の透視図であり、(b)は上記微小共鳴体1の通過特性と反射特性とを示すグラフであり、(c)は上記微小共鳴体1の共鳴周波数における上記微小共鳴体1の共鳴部材2の円筒中心軸上の音圧分布を示すグラフであり、(d)は上記共鳴周波数における音圧分布を示す図である。
図8(a)は伝搬管13内に微小共鳴体1を複数個並べた構造を示す図であり、(b)は上記構造を有する微小共鳴体1の散乱特性を示すグラフである。図9は上記構造の音圧分布を示す図であり、(c)(d)は上記微小共鳴体1の3連構造を透視的に示す斜視図である。
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図10(a)は実施形態2に係る微小共鳴体1Aを伝搬管13内に配置した態様を示す断面斜視図であり、(b)は上記微小共鳴体1Aの拡大断面斜視図であり、(c)は上記微小共鳴体1Aを伝搬管13内に配置した態様を透視した斜視図である。
(基本特性)
(第1及び第2共鳴膜7・8の基本特性)
実施形態1と同様、シミュレーションでは厚さ10μmのポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride,PVC)を想定して解析を行っている。これは、市販のキッチンラップでの実験を想定したものである。ただし、本発明はこれに限定されず、可聴周波数の音波(20Hz〜20,000Hz)に対して、エネルギーの吸収(損失)が少なく、振動しやすい材料であればよい。
実施形態1と同様、剛体の板に微小な貫通穴(第1ピンホール5、第2ピンホール6)をあけたものであり、微小共鳴体1Aの共鳴周波数を決める重要なパーツである。共鳴周波数は、主に第1及び第2ピンホール5・6の長さと直径、および第1及び第2共鳴膜7・8の特性によって決まる。
縄跳びの縄を揺らせてサイン波をつくるとき、先端を固定して縄を揺らすと固定端の反射が起こる。一方、縄の先端を持たずに自由にしておくと、自由端の反射が起こる。このことを念頭に置いて考えると、通常、入射音波に対して剛体の壁は固定端として動作して全反射を起こす。一方、膜などの柔らかいものを配置して、これにより反射を起こさせる場合は自由端のような反射が起こる。
実施形態2は、実施形態1の構造をもとにしているため、共鳴空間11を残しているが、重要なのは自由端反射仕切部材9(ソフトパーティション)であり、実施形態2において共鳴空間11は特に意味をなさない。
図11(a)は上記微小共鳴体1Aの第1及び第2パネル3・4に形成された第1及び第2ピンホール5・6の直径を変化させたときの上記微小共鳴体1Aの散乱特性を示すグラフであり、(b)は上記第1及び第2ピンホール5・6の直径を示す断面斜視図である。
実施形態2では、第1及び第2共鳴膜7・8の特性が共鳴特性に大いに生かされており、第1及び第2共鳴膜7・8と第1及び第2ピンホール5・6が共鳴周波数を決定づけている。
図18(a)は第1ピンホール5の長さを固定し、第2ピンホール6の長さを変化させたときの上記微小共鳴体1Aの散乱特性を示すグラフであり、(b)は上記第1及び第2ピンホール5・6の長さを示す断面斜視図である。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る微小共鳴体は、両端が開放された筒状の共鳴部材と、前記共鳴部材の内壁に挿入されて第1ピンホールを有する第1パネルと、前記共鳴部材の内壁と前記第1パネルとで共鳴空間を形成するように前記内壁に挿入されて第2ピンホールを有する第2パネルと、前記共鳴部材の前記第1パネル側の一端を覆う第1共鳴膜と、前記共鳴部材の前記第2パネル側の他端を覆う第2共鳴膜とを備えることを特徴とする。
2 共鳴部材
3 第1パネル
4 第2パネル
5 第1ピンホール
6 第2ピンホール
7 第1共鳴膜
8 第2共鳴膜
9 自由端反射仕切部材
10 内壁
11 共鳴空間
12 音波
13 伝搬管
14 微小共鳴装置
15 音圧センサー
Claims (6)
- 両端が開放された筒状の共鳴部材と、
前記共鳴部材の内壁に挿入されて第1ピンホールを有する第1パネルと、
前記共鳴部材の内壁と前記第1パネルとで共鳴空間を形成するように前記内壁に挿入されて第2ピンホールを有する第2パネルと、
前記共鳴部材の前記第1パネル側の一端を覆う第1共鳴膜と、
前記共鳴部材の前記第2パネル側の他端を覆う第2共鳴膜とを備えることを特徴とする微小共鳴体。 - 前記第1及び第2ピンホール、並びに、前記共鳴空間の寸法に基づく共鳴周波数を有する音波の入射に応じて、前記共鳴空間の内部の音圧が上昇する請求項1に記載の微小共鳴体。
- 前記第1ピンホールを通って前記共鳴空間に入射された音波の前記第2ピンホールへの伝搬を遮断するとともに、前記第1ピンホールを通って前記共鳴空間に入射された音波を自由端反射するために、前記第1パネルと前記第2パネルとの間に配置された自由端反射仕切部材をさらに備える請求項1に記載の微小共鳴体。
- 前記第1ピンホールの寸法、及び、前記第1共鳴膜の物理特性に基づく共鳴周波数を有する音波の入射に応じて、前記第1パネルと前記第1共鳴膜との間の音圧が上昇する請求項3に記載の微小共鳴体。
- 前記自由端反射仕切部材は、前記第2ピンホールを通って前記共鳴空間に入射された音波の前記第1ピンホールへの伝搬を遮断するとともに、前記第2ピンホールを通って前記共鳴空間に入射された音波を自由端反射する請求項3に記載の微小共鳴体。
- 音波が入射される伝搬管と、
前記伝搬管の内部に配置された複数個の請求項1に記載の微小共鳴体とを備え、
前記複数個の微小共鳴体のうちの一つの共鳴周波数と、前記複数個の微小共鳴体のうちの他の一つの共鳴周波数とが異なっていることを特徴とする微小共鳴装置。
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JP2018117610A JP6955268B2 (ja) | 2018-06-21 | 2018-06-21 | 微小共鳴体及び微小共鳴装置 |
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