JP6954570B1 - 透明塗膜の検査方法、塗膜積層構造材の製造方法および透明塗料キット - Google Patents

透明塗膜の検査方法、塗膜積層構造材の製造方法および透明塗料キット Download PDF

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Abstract

【課題】複数積層される透明塗膜においても塗布抜けがないか否かを簡便に判断することができる透明塗膜の検査方法、複数積層構造材の製造方法および透明塗料キットを提供すること。【解決手段】構造材に複数積層される透明塗膜の検査方法であって、第1蛍光物質含有透明塗料を塗布して、第1透明塗膜を形成する第1塗布工程と、第1透明塗膜に紫外線を照射する第1照射工程と、第2蛍光物質含有透明塗料を第1透明塗膜に塗布して、第2透明塗膜を形成する第2塗布工程と、第2透明塗膜に紫外線を照射する第2照射工程とを備える。第1蛍光物質および第2蛍光物質は、それぞれ、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、かつ、可視領域に発光スペクトルのピークを有しており、第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、第1蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置する。【選択図】なし

Description

本発明は、透明塗膜の検査方法、塗膜積層構造材の製造方法および透明塗料キットに関する。
従来から、ビルや橋梁などの構造物において、これらのコンクリート部材や鋼材の表面には、塩害や錆などの劣化から保護したり、コンクリートの剥落を防止するために、保護膜が塗装されている。保護膜は、コンクリート表面の割れ状態や鋼材表面の錆状態の経年劣化を目視で観察しやすくするために、透明な膜になっていることが多い。
構造物の表面に保護膜が形成されていない塗布抜けの箇所が発生すると、その箇所から劣化が始まり拡大するため、保護膜の塗装の際に保護膜が全面に形成されているか否かが検査されている。特に、構造材への塗装はその面積が大きく、現地で人の手によって実施するため、塗布抜けの検査は重要である。
しかしながら、透明な保護膜は、目視による検査がしにくい。そのため、紫外線吸収剤を透明塗料に含ませておき、塗装後の透明塗膜に紫外線を照射し、その反射光の強度をCCDカメラで測定する方法などが提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−43161号公報
ところで、保護膜は、複数の機能を持たせたり、一つの機能を強化させるために、下処理層、中塗り層、上塗り層などの複数層にわたって積層されることが一般的である。
しかしながら、特許文献1の検査方法では、2層目以上を検査すると、1層目の紫外線吸収剤の影響も生じてしまい、検査の判断が難しい。また、紫外線の強度を測定するCCDカメラなどの測定器を用いて、構造材の広い面積を走査しながら強度を測定していく作業を要するため、より簡便な検査方法が要望されている。
本発明は、複数積層される透明塗膜においても塗布抜けがないか否かを簡便に判断することができる透明塗膜の検査方法、複数積層構造材の製造方法および透明塗料キットを提供する。
本発明[1]は、構造材に複数積層される透明塗膜の検査方法であって、第1蛍光物質が溶解した第1蛍光物質含有透明塗料を塗布して、第1透明塗膜を形成する第1塗布工程と、前記第1透明塗膜に紫外線を照射する第1照射工程と、第2蛍光物質が溶解した第2蛍光物質含有透明塗料を前記第1透明塗膜に塗布して、第2透明塗膜を形成する第2塗布工程と、前記第2透明塗膜に紫外線を照射する第2照射工程とを備え、前記第1蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、前記第2蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置する、透明塗膜の検査方法を含む。
本発明[2]は、前記検査方法が、前記構造材に3層以上積層される透明塗膜の検査方法であって、第2照射工程後において、第3蛍光物質が溶解した第3蛍光物質含有透明塗料を前記第2透明塗膜に塗布して、第3透明塗膜を形成する第3塗布工程と、前記第3透明塗膜に紫外線を照射する第3照射工程とをさらに備え、前記第3蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、前記第3蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置する、[1]に記載の検査方法を含む。
本発明[3]は、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークが、赤色系可視領域に位置する、[1]または[2]に記載の検査方法を含む。
本発明[4]は、前記第1蛍光物質含有透明塗料は、前記第1蛍光物質を有機溶媒に溶解した蛍光溶液を、第1透明塗料に混合することにより得られる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の検査方法を含む。
本発明[5]は、構造材に、第1蛍光物質が溶解した第1蛍光物質含有透明塗料を塗布して、第1透明塗膜を形成する第1塗布工程と、第2蛍光物質が溶解した第2蛍光物質含有透明塗料を前記第1透明塗膜に塗布して、第2透明塗膜を形成する第2塗布工程とを備え、前記第1蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、前記第2蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置する、塗膜積層構造材の製造方法を含む。
本発明[6]は、第2塗布工程後において、第3蛍光物質が溶解した第3蛍光物質含有透明塗料を前記第2透明塗膜に塗布して、第3透明塗膜を形成する第3塗布工程をさらに備え、前記第3蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、前記第3蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置する、[5]に記載の製造方法を含む。
本発明[7]は、構造材の表面を保護するための複数の透明塗料からなるキットであって、第1蛍光物質、第1樹脂バインダーおよび第1有機溶媒を含有する第1蛍光物質含有透明塗料と、第2蛍光物質、第2樹脂バインダーおよび第2有機溶媒を含有する第2蛍光物質含有透明塗料とを備え、前記第1蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、前記第2蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、第2蛍光物質含有透明塗料は、第1蛍光物質含有透明塗料からなる塗膜の表面に形成するための塗料であり、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置する、透明塗料キットを含む。
本発明[8]は、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークが、赤色系可視領域に位置する、[7]に記載の透明塗料キットを含む。
本発明の透明塗膜の検査方法、複数積層構造材の製造方法または透明塗料キットによれば、複数積層される各透明塗膜に対して、塗布抜けの有無を簡便に判断することができる。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の検査方法は、構造材に対して3層以上積層される透明塗膜を検査する方法であって、第1塗膜検査工程、第2塗膜検査工程、および、第3塗膜検査工程を備える。
1.第1塗膜検査工程
第1塗膜検査工程は、構造材に第1蛍光物質含有透明塗料を塗布する第1塗布工程と、第1透明塗膜に紫外線を照射する第1照射工程とを備える。
構造材は、コンクリート構造物または鋼構造物などの構造物を構成する部材であって、具体的には、コンクリート柱、コンクリート壁、鉄柱、鉄梁、橋の支承、橋脚などのコンクリート構造材や鋼構造材などが挙げられる。なお、本発明の構造材は、構造物建設前の部品としての構造材、構造物建設後における構造物に組み込まれた完成品での構造材のいずれも含む。
第1蛍光物質含有透明塗料は、第1蛍光物質、第1有機溶媒および第1樹脂バインダーを含有する。
第1蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、かつ、可視領域に発光スペクトルのピークを有する。
紫外領域の波長領域は、例えば、400nm未満、好ましくは、380nm以下であり、また、例えば、100nm以上、好ましくは、315nm以上である。紫外領域に励起スペクトルのピークを有することにより、紫外線を照射したときのみ(検査時のみ)、発光させることができ、通常時(例えば、自然光や蛍光灯の下)には、非発光として、無色透明な塗料を維持することができる。
なお、本発明では、「透明」とは、自然光または蛍光灯の下(紫外線照射時は除く)での無色透明のことであり、具体的には、塗膜(例えば、膜厚1μmの塗膜)にした際に、可視光透過率(波長400nm〜780nmの平均値)が、例えば、70%以上、好ましくは、85%以上である。また、各蛍光物質の励起スペクトルおよび蛍光スペクトルは、例えば、分光蛍光光度計(「F−4500」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定することができる。
可視領域の波長領域は、例えば、400nm以上、780nm以下である。特に、第1蛍光物質において、発光スペクトルのピーク波長は、好ましくは、590nm以上、より好ましくは、600nm以上であり、また、好ましくは、770nm以下、より好ましくは、720nm以下である。すなわち、第1蛍光物質の発光スペクトルのピーク波長は、好ましくは、赤色系可視領域(橙色も含む)に位置し、第1蛍光物質は、紫外線照射時に赤色系(赤色または橙色)、好ましくは、赤色を発光する。発光スペクトルのピーク波長が上記範囲であれば、第2蛍光物質の自由度が向上する。すなわち、第2蛍光物質の発光スペクトルのピーク波長は、可視領域であって、かつ、第1蛍光物質の発光スペクトルのピーク波長よりも低波長側とするため、第2蛍光物質の発光スペクトルのピーク波長の選択の範囲が広がる。その結果、第2透明塗膜の発光色とその上に形成される第3透明塗膜の発光色とをより明確に色分けすることができ、より確実にこれらの透明塗膜の発光を確認することができる。
第1蛍光物質は、有機溶媒(後述)に可溶な蛍光物質であればよく、例えば、ユーロピウム系化合物、キノリン系化合物、テルビウム系化合物、スチルベン系化合物、ナフタレン系化合物、アントラセン系化合物、キナクリドン化合物、クマリン系化合物、ジシアノメチレン系化合物、ジスチリル系化合物、ピレン系化合物、ペリミドン系化合物、ペリレン系化合物、ベンゾピラン系化合物、ベンゾチオキサンテン系化合物、ポリアルキルチオフェン系化合物、ポリジアルキルフルオレン系化合物、ポリパラフェニレン系化合物、ルブレン系化合物、ローダミン系化合物などから適宜選択すればよい。好ましくは、溶解性の観点から、ユーロピウム系化合物、キノリン系化合物、テルビウム系化合物、スチルベン系化合物、ナフタレン系化合物が挙げられる。より好ましくは、赤色系蛍光物質であることから、ユーロピウム化合物が挙げられる。
このようなユーロピウム化合物としては、好ましくは、ユーロピウム錯体であり、具体的には、トリス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト−O,O’−)ビス(トリフェニルホスフィンオキシド−O−)ユーロピウム、トリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオナト−O,O’−)ビス(トリフェニルホスフィンオキシド−O−)ユーロピウム、トリス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト−O,O’−)ビス(トリオクチルホスフィンオキシド−O−)ユーロピウム、トリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオナト−O,O’−)ビス(トリオクチルホスフィンオキシド−O−)ユーロピウム、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(1,10−フェナントロリン)ユーロピウム(III)などのユーロピウム錯体が挙げられ、好ましくは、トリス(4,4,4−トリオフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオナト−O,O')ビス(トリフェニルホスフィンオキシド−O−)ユーロピウムなどが挙げられる。これらの化合物を用いれば、赤色での蛍光強度、および、有機溶媒への溶解性に優れる。
第1樹脂バインダーは、例えば、構造材用のコーティング塗料に含まれ、所望の機能(例えば、防水性、防錆性、防食性、耐荷性、耐候性、美観性)を発揮する材料である。樹脂バインダーとしては、例えば、シリコーン樹脂組成物、ウレア樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ウレタン樹脂組成物、アクリル樹脂組成物などが挙げられる。好ましくは、防水性および/または防錆性の構造材用塗料組成物が挙げられ、より好ましくは、防水性および/または防錆性の構造材用シリコーン樹脂組成物が挙げられる。これらは、一液硬化型であってもよく、また、二液硬化型であってもよい。
第1有機溶媒は、例えば、塗料分野で用いられている塗料用の有機溶剤を用いることができ、第1種有機溶剤、第2種有機溶剤、第3種有機溶剤などのいずれであってもよい。具体的には、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、へプタン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸ジメチル、エチル−3−エトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ミネラルスピリット(石油系炭化水素系溶剤)などが挙げられる。これらは、1種単独を使用または複数を併用してもよい。好ましくは、キシレン、ミネラルスピリットが挙げられる。これにより、第1蛍光物質が第1有機溶媒に溶解しやすく、かつ、市販の塗料に含まれる有機溶媒との相溶性に優れるため、均一に第1蛍光物質が溶解した第1蛍光物質含有透明塗料を調製することができる。
第1蛍光物質含有透明塗料は、例えば、第1透明塗料として、第1樹脂バインダーおよび第1有機溶剤を含有する市販の構造材用透明塗料を用意し、この第1透明樹脂に第1蛍光物質を溶解させることにより調製される。好ましくは、まず、第1蛍光物質を有機溶媒に溶解して第1蛍光溶液を調製し、続いて、その第1蛍光溶液を第1透明塗料に混合する。これにより、第1蛍光物質が有機溶媒に溶解された第1蛍光物質含有透明塗料を調製でき、その結果、第1蛍光物質が均一に存在する第1透明塗膜をより確実に形成することができる。すなわち、蛍光物質を、樹脂バインダーを含有した市販の塗料に直接添加および混合すると、樹脂バインダーの存在によって第1蛍光物質が溶解しにくく、第1蛍光物質が塊状で分散または偏在する可能性がある。そうすると、塗膜形成時に、塗膜は形成されているが第1蛍光物質が存在しない箇所が生じてしまい、紫外線照射時に、塗膜が形成されているにもかかわらず発光しない箇所が生じ、適切な検査評価ができないおそれがある。
第1蛍光物質を溶解させる溶解用の有機溶剤としては、上述した第1有機溶剤と同様のものを例示できる。溶解性に優れる観点から、好ましくは、キシレン、ミネラルスピリットが挙げられる。この場合、溶解用の有機溶剤は、市販の塗料に含まれる有機溶剤と同一の有機溶剤であっても、異なる有機溶剤であってもよいが、好ましくは、同一の有機溶剤が挙げられる。
第1蛍光物質含有透明塗料は、上記以外にも、界面活性剤、たれ防止剤、消泡剤、防腐剤、レベリング剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
第1蛍光溶液における第1蛍光物質の含有量は、第1蛍光物質および有機溶剤の種類に応じて適宜決定されるが、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。
第1透明塗料100質量部に対する第1蛍光溶液の配合割合は、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
第1蛍光物質含有透明塗料において、樹脂バインダー(固形分)100質量部に対する第1蛍光物質の配合割合は、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下、より好ましくは、1質量部以下である。配合割合が上記下限以上であれば、紫外線照射時に、蛍光の発色をより確実に目視にて確認することができる。一方、配合割合が上記上限以下であれば、発色の強度の飽和を回避し、第1蛍光物質添加によるコスト増を抑制することができる。
第1透明塗料が、二液硬化型塗料である場合、基剤などの主剤、または、硬化剤などの副剤のいずれに第1蛍光溶剤を混合させてもよいが、好ましくは、配合比が高い主剤を混合させる。この場合、主剤と副剤との合計量が、上記配合割合となるように、第1蛍光溶液を第1透明塗料に混合する。なお、本発明では、二液硬化型塗料である場合、第1蛍光物質を含有する一方の液と、他方の液とを混合した際に、紫外線を照射することにより、二液が均一に混合しているか否かも検査することができる。すなわち、一方の液と他方の液とが均一に混合している場合では紫外線照射時に混合液は全体が均一に発光するが、二つの液が不均一または偏在して混合している場合では紫外線照射時に混合液は不均一に発光する。したがって、二液の混合状態を検査して、混合ムラを抑制することができる。
第1塗布工程では、構造材に第1蛍光物質含有透明塗料を塗布し、乾燥させる。これにより、構造材の表面に第1透明塗膜が形成される。
構造材に塗布する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、刷毛、ヘラ、ローラー、スプレーガンなどを用いて塗布する方法が挙げられる。
塗布量としては、公知または市販の塗料のマニュアルが推奨する塗布量に従い塗布すればよく、例えば、0.01kg/m以上、好ましくは、0.05kg/m以上であり、また、例えば、0.5kg/m以下、好ましくは、0.3kg/m以下である。
乾燥時間は、常温(20度)で、1時間以上、好ましくは、3時間以上であり、また、例えば、30日以内、好ましくは、10日以内である。
第1透明塗膜の乾燥膜厚としては、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下、より好ましくは、200μm以下である。
第1照射工程では、第1透明塗膜に紫外線を照射する。
紫外線照射の方法としては、例えば、発光波長領域が400nm未満(好ましくは、380nm以下、315nm以上)である公知または市販の紫外線照射を用いる。
これにより、第1透明塗膜は、蛍光を発し、好ましくは赤色系を発光する。第1透明塗膜には、第1蛍光物質が均一に存在しているため、第1透明塗膜全面が発光する。したがって、第1透明塗膜を表面に積層した構造材において、紫外線照射時に、発光していない箇所が観察された場合は、当該箇所は、第1透明塗膜が形成されていない塗布抜けの箇所であると判断できるため、塗布抜けを目視にて検査することができる。なお、塗布抜けが観察された場合は、当該箇所に対して、第1塗布工程および第1照射工程を、塗布抜けが観察されなくなるまで繰り返し実施する。
2.第2塗膜検査工程
第2塗膜検査工程は、第1透明塗膜に第2蛍光物質含有透明塗料を塗布する第2塗布工程と、第2透明塗膜に紫外線を照射する第2照射工程とを備える。
第2蛍光物質含有透明塗料は、第2蛍光物質、第2樹脂バインダーおよび第2有機溶媒を含有する。
第2蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有する。第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、第1蛍光物質の発光スペクトルのピークと比べて、低波長側に位置する。
第2蛍光物質における発光スペクトルのピークが位置する紫外領域は、第1蛍光物質における紫外領域と同様である。
第2蛍光物質における発光スペクトルのピークが位置する可視領域は、400nm以上、780nm以下であって、かつ、第1蛍光物質の発光スペクトルのピークと比べて、低波長側に位置する。第2蛍光物質において、発光スペクトルのピーク波長は、好ましくは、500nm以上、より好ましくは、510nm以上であり、また、好ましくは、590nm以下、より好ましくは、550nm以下である。すなわち、第2蛍光物質の発光スペクトルのピーク波長は、好ましくは、緑色または黄色可視領域に位置し、第2蛍光物質は、紫外線照射時に緑色または黄色を発光する。また、第1蛍光物質および第2蛍光物質における発光スペクトルのピーク波長の差は、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上であり、また、例えば、200nm以下、好ましくは、150nm以下である。発光スペクトルのピーク波長が上記範囲であれば、第3蛍光物質の発光色を、第2蛍光物質の発光色とは異なる青色にすることができ、より確実に第3透明塗膜の発光を確認することができる。
第2蛍光物質は、有機溶媒に可溶な蛍光物質であればよく、例えば、第1蛍光物質で上述した化合物が挙げられる。より好ましくは、緑色蛍光物質または黄色蛍光物質であることから、キノリン系化合物、テルビウム系化合物が挙げられる。
このようなキノリン系化合物としては、例えば、2−(3−オキソイソインドリン−1−イリデン)メチルキノリンが挙げられる。
テルビウム系化合物としては、好ましくは、テルビウム錯体であり、例えば、トリス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト−O,O’−)ビス(トリフェニルホスフィンオキシド−O−)テルビウムまたは、[ヘキサデカキス(ヘキシルサリチレート)オクタヒドロキシル]ジオキソノナテルビウムトリエチルアミン塩などが挙げられる。
これらの化合物を用いれば、緑色または黄色での蛍光強度、および、有機溶媒への溶解性に優れる。第2樹脂バインダーは、第1樹脂バインダーで上述したものと同様のものが挙げられ、好ましくは、防水性および/または防錆性の構造材用塗料組成物が挙げられ、より好ましくは、防水性および/または防錆性の構造材用シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
第2有機溶媒は、第1有機溶媒で上述したものと同様のものが挙げられ、好ましくは、キシレン、ミネラルスピリットが挙げられる。
第2蛍光物質含有透明塗料は、上記以外にも、界面活性剤、たれ防止剤、消泡剤、防腐剤、レベリング剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
第2蛍光物質含有透明塗料は、第1蛍光物質含有透明塗料と同様の調製の方法で調製することができる。好ましくは、まず、第2蛍光物質を有機溶媒に溶解して第2蛍光溶液を調製し、続いて、その第2蛍光溶液を第2透明塗料(第2樹脂バインダーおよび第2有機溶剤を含有する市販の構造材用透明塗料)に混合する。配合割合も、第1蛍光物質含有透明塗料と同様の配合割合である。
第2塗布工程では、第1透明塗膜の上に第2蛍光物質含有透明塗料を塗布し、乾燥させる。これにより、第1透明塗膜の表面に第2透明塗膜が形成される。
第2塗布工程において、塗布方法、塗布量、乾燥時間、乾燥膜厚などは、第1塗布工程と同様である。
第2照射工程では、第2透明塗膜に紫外線を照射する。第2照射工程は、第1照射工程と同様の方法で、紫外線を照射すればよい。
これにより、第2透明塗膜は、蛍光を発し、好ましくは緑色または黄色を発光する。第2透明塗膜には、第2蛍光物質が均一に存在しているため、第2透明塗膜全面が発光する。この際、第2透明塗膜内の第2蛍光物質の発光スペクトル波長は、第1透明塗膜中の第1蛍光物質の発光スペクトル波長より低波長側に位置しているため、肉眼では第1蛍光物質の発光色よりも第2蛍光波長の発光色の方が強く認識される。そのため、第1透明塗膜の発光の影響を実質的に受けずに、第2透明塗膜の発光を認識できる。すなわち、第2透明塗膜が全面に形成されている場合は、第2透明塗膜の発光色(好ましくは、緑色または黄色)が全面に認識される。
したがって、第1透明塗膜の発光色(例えば、赤色)が発する箇所や、全く発光していない箇所が観察された場合は、当該箇所は、第2透明塗膜が形成されていない塗布抜けの箇所であると判断できるため、第2透明塗膜の塗布抜けを目視にて検査することができる。なお、塗布抜けが観察された場合は、当該箇所に対して、第2塗布工程および第2照射工程を、塗布抜けが観察されなくなるまで繰り返し実施する。
また、第1透明塗膜の乾燥が不十分であって、第2透明塗膜の形成時に、第1透明塗膜と第2透明塗膜とが境界面で混合してしまった場合は、紫外線照射時に、第1透明塗膜の発光色と第2透明塗膜の発光色との混合色が観察されたり、第2透明塗膜の発光色が薄く認識される。
3.第3塗膜検査工程
第3塗膜検査工程は、第2透明塗膜に第3蛍光物質含有透明塗料を塗布する第3塗布工程と、第3透明塗膜に紫外線を照射する第3照射工程とを備える。
第3蛍光物質含有透明塗料は、第3蛍光物質、第3樹脂バインダーおよび第3有機溶媒を含有する。
第3蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有する。第3蛍光物質の発光スペクトルのピークは、第2蛍光物質の発光スペクトルのピークと比べて、低波長側に位置する。
第3蛍光物質における発光スペクトルのピークが位置する紫外領域は、第1蛍光物質における紫外領域と同様である。
第3蛍光物質における発光スペクトルのピークが位置する可視領域は、400nm以上、780nm以下であって、かつ、第2蛍光物質の発光スペクトルのピークと比べて、低波長側に位置する。特に、第3蛍光物質において、発光スペクトルのピーク波長は、好ましくは、400nm以上、より好ましくは、410nm以上であり、また、好ましくは、500nm以下、より好ましくは、460nm以下である。すなわち、第3蛍光物質の発光スペクトルのピーク波長は、好ましくは、青色系可視領域(水色および紫色を含む)に位置し、第3蛍光物質は、紫外線照射時に青色系(水色、青色または紫色)、好ましくは青色を発光する。また、第2蛍光物質および第3蛍光物質における発光スペクトルのピーク波長の差は、例えば、50nm以上、好ましくは、70nm以上であり、また、例えば、200nm以下、好ましくは、100nm以下である。
第3蛍光物質は、有機溶媒に可溶な蛍光物質であればよく、例えば、第1蛍光物質で上述した化合物が挙げられる。より好ましくは、青色系蛍光物質であることから、スチルベン系化合物、ナフタレン系化合物が挙げられる。
このようなスチルベン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)スチルベンが挙げられる。
ナフタレン系化合物としては、例えば、1,4−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ナフタレンが挙げられる。
これらの化合物を用いれば、青色での蛍光強度、および、有機溶媒への溶解性に優れる。
第3樹脂バインダーは、第1樹脂バインダーで上述したものと同様のものが挙げられ、好ましくは、防水性および/または防錆性の構造材用塗料組成物が挙げられ、より好ましくは、防水性および/または防錆性の構造材用シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
第3有機溶媒は、第1有機溶媒で上述したものと同様のものが挙げられ、好ましくは、キシレン、ミネラルスピリットが挙げられる。
第3蛍光物質含有透明塗料は、上記以外にも、界面活性剤、たれ防止剤、消泡剤、防腐剤、レベリング剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
第3蛍光物質含有透明塗料は、第1蛍光物質含有透明塗料と同様の調製の方法で調製することができる。好ましくは、まず、第3蛍光物質を有機溶媒に溶解して第3蛍光溶液を調製し、続いて、その第3蛍光溶液を第3透明塗料(第3樹脂バインダーおよび第3有機溶剤を含有する市販の構造材用透明塗料)に混合する。配合割合も、第1蛍光物質含有透明塗料と同様の配合割合である。
第3塗布工程では、第2透明塗膜の上に第3蛍光物質含有透明塗料を塗布し、乾燥させる。これにより、第2透明塗膜の表面に第3透明塗膜が形成される。
第3塗布工程において、塗布方法、塗布量、乾燥時間、乾燥膜厚などは、第1塗布工程と同様である。
第3照射工程では、第3透明塗膜に紫外線を照射する。第3照射工程は、第1照射工程と同様の方法で、紫外線を照射すればよい。
これにより、第3蛍光塗膜は、蛍光を発し、好ましくは青色系を発光する。第3透明塗膜には、第3蛍光物質が均一に存在しているため、第3透明塗膜全面が発光する。この際、第3透明塗膜内の第3蛍光物質の発光スペクトル波長は、第2透明塗膜中の第2蛍光物質の発光スペクトル波長および第1透明塗膜内の第1蛍光物質の発光スペクトル波長より低波長側に位置しているため、肉眼では第1蛍光物質および第2蛍光物質の発光色よりも第3蛍光波長の発光色の方が強く認識される。そのため、第1透明塗膜および第2透明塗膜の発光の影響を実質的に受けずに、第3透明塗膜の発光を認識できる。すなわち、第3透明塗膜が全面に形成されている場合は、第3透明塗膜の発光色(好ましくは、青色系)が全面に認識される。
したがって、第1透明塗膜または第2透明塗膜の発光色(例えば、赤色系や緑色)が発する箇所や、全く発光していない箇所は、第3透明塗膜が形成されていない塗布抜けの箇所であると判断できるため、第3透明塗膜の塗布抜けを目視にて検査することができる。なお、塗布抜けが観察された場合は、当該箇所に対して、第3塗布工程および第3照射工程を、塗布抜けが観察されなくなるまで繰り返し実施する。
また、第2透明塗膜の乾燥状態が不十分であって、第3透明塗膜の形成時に、第2透明塗膜と第3透明塗膜とが境界面で混合してしまった場合は、紫外線照射時に、第2透明塗膜の発光色と第3透明塗膜の発光色との混合色が観察されたり、第3透明塗膜の発光色が薄く認識される。
本発明の検査方法によれば、各透明塗膜に対して紫外線を照射するだけで、各透明塗膜が塗布抜けしているか否かを目視で簡便かつ確実に実施することができる。そのため、第1〜第3透明塗膜において塗布抜けが発生していない塗膜積層構造体を容易に製造することができる。
4.構造材の製造方法および透明塗料キット
本発明の第1実施形態である構造材の製造方法は、第1塗布工程、第2塗布工程および第3塗布工程を順に備え、好ましくは、第1塗布工程、第1照射工程、第2塗布工程、第2照射工程、第3塗布工程および第3照射工程を順に備える。
本発明の製造方法によって製造される塗膜積層構造材は、構造材と、第1透明塗膜と、第2透明塗膜と、第3透明塗膜とを順に備える。この塗膜積層造材の製造方法によれば、各透明塗膜において塗布抜けの検査が目視にて簡便かつ確実に実施することができるため、各透明塗膜の塗布抜けを防止することができる。
本発明の第1実施形態である透明塗料キットは、構造材の表面を保護するための複数の透明塗料からなるキットであり、第1蛍光物質含有透明塗料、第2蛍光物質含有透明塗料および第3蛍光物質含有透明塗料を備える。好ましくは、第1蛍光物質含有透明塗料は第1蛍光物質として赤色系蛍光物質を含有し、第2蛍光物質含有透明塗料は第2蛍光物質として緑色または黄色蛍光物質を含有し、第3蛍光物質含有透明塗料は第3蛍光物質として青色系蛍光物質を含有する。この透明塗料キットを用いれば、各透明塗膜において塗布抜けを抑制した塗膜積層構造体を製造することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態の検査方法は、構造材に2層以上積層される透明塗膜を検査する方法であって、第1塗膜検査工程および第2塗膜検査工程を備える。第1塗膜検査工程および第2塗膜検査工程は、第1実施形態で上述した工程と同様である。
第1実施形態では、第1塗膜検査工程で用いる好ましい第1蛍光物質、第2塗膜検査工程で用いる好ましい第2蛍光物質として、それぞれ、赤色系蛍光物質と緑色または黄色蛍光物質との組み合わせを例示したが、第2実施形態では、好ましい組み合わせとして、上記組み合わせに加えて、例えば、赤色系蛍光物質と青色系蛍光物質との組み合わせ、緑色または黄色蛍光物質と青色系蛍光物質との組み合わせ、緑色蛍光物質と黄色蛍光物質との組み合わせなどが挙げられる。
本発明の第2実施形態の構造材の製造方法は、第1塗布工程および第2塗布工程を順に備え、好ましくは、第1塗布工程、第1照射工程、第2塗布工程および第2照射工程を順に備える。この製造方法によって製造される塗膜積層構造材は、構造材と、第1透明塗膜と、第2透明塗膜とを順に備える。
本発明の第2実施形態の透明塗料キットは、第1蛍光物質含有透明塗料および第2蛍光物質含有透明塗料を備える。好ましくは、第1蛍光物質含有透明塗料および第2蛍光物質含有透明塗料に含有される第1蛍光物質と第2蛍光物質との組み合わせとしては、好ましくは、赤色系蛍光物質と緑色または黄色蛍光物質との組み合わせ、赤色系蛍光物質と青色系蛍光物質との組み合わせ、緑色または黄色蛍光物質と青色系蛍光物質との組み合わせ、緑色蛍光物質と黄色蛍光物質との組み合わせが挙げられる。
第2実施形態の検査方法、製造方法および透明塗料キットも、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、第1〜第2透明塗膜において、塗布抜けの検査を目視で簡便かつ確実に実施することができ、第1〜第2透明塗膜において塗布抜けが抑制された塗膜積層構造体を製造することができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態の検査方法は、構造材に4層以上積層される透明塗膜を検査する方法であって、第1塗膜検査工程、第2塗膜検査工程、第3塗膜検査工程および第4塗膜検査工程を備える。
第1塗膜検査工程、第2塗膜検査工程および第3塗膜検査工程は、第1実施形態で上述した工程と同様である。第4塗膜検査工程は、第1実施形態で上述した第1塗布工程において、蛍光物質の種類を変更する以外は同様である。
第3実施形態では、各塗膜検査工程で用いる好ましい第1蛍光物質、第2蛍光物質、第3蛍光物質および第4蛍光物質の組み合わせとしては、例えば、赤色系蛍光物質、黄色蛍光物質、緑色蛍光物質および青色系蛍光物質などが挙げられる。
本発明の第3実施形態の構造材の製造方法は、第1塗布工程、第2塗布工程、第3塗布工程および第4塗布工程を順に備え、好ましくは、第1塗布工程、第1照射工程、第2塗布工程、第2照射工程、第3塗布工程、第3照射工程、第4塗布工程および第4照射工程を順に備える。この製造方法によって製造される塗膜積層構造材は、構造材と、第1透明塗膜と、第2透明塗膜と、第3透明塗膜と、第4透明塗膜とを順に備える。
本発明の第3実施形態の透明塗料キットは、第1蛍光物質含有透明塗料、第2蛍光物質含有透明塗料、第3蛍光物質含有透明塗料および第4蛍光物質含有透明塗料を備える。好ましくは、第1蛍光物質含有透明塗料は赤色系蛍光物質を含有し、第2蛍光物質含有透明塗料は黄色蛍光物質を含有し、第3蛍光物質含有透明塗料は緑色蛍光物質を含有し、第4蛍光物質含有透明塗料は青色系蛍光物質を含有する。
第3実施形態の検査方法、製造方法および透明塗料キットも、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、第1〜第4透明塗膜において、塗布抜けの検査を目視で簡便かつ確実に実施することができ、第1〜第4透明塗膜において塗布抜けが抑制された塗膜積層構造体を製造することができる。
<その他の実施形態>
上記実施形態では、2〜4層積層される透明塗膜について説明したが、例えば、5層以上の透明塗膜を検査したい場合は、高波長側から順に、赤色、橙色、黄色、緑色、水色、青色および紫色の蛍光物質の中から発光色を見分けやすいものを適宜選択すればよい。
また、各実施形態において、第1透明塗膜の上に直接第2透明塗膜を形成したり、第2透明塗膜の上に直接第3透明塗膜を形成しているが、例えば、第1透明塗膜と第2透明塗膜などの間に、本発明の紫外線照射による検査を実施しない透明塗膜やそのほかの塗膜を形成して、第1透明塗膜や第2透明塗膜の上に間接的に第2透明塗膜や第3透明塗膜を形成してもよい。
また、各実施形態では、各照射工程は、透明塗膜の乾燥後に実施しているが、例えば、各透明塗料(第1〜第3蛍光物質含有透明塗料)の乾燥中や乾燥前(各透明塗料を塗布した直後)に実施してもよい。すなわち、各照射工程における照射対象である各透明塗膜(第1〜第3透明塗膜)は、それぞれ、未乾燥時(WET状態)の透明塗膜であってもよい。これにより、塗布後すぐに、当該塗布箇所の塗布抜けを判明させることができる。この場合、各透明塗膜の乾燥は、各照射工程後に実施する。
<実施例>
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例および比較例に限定されない。
[実施例1]
(第1蛍光物質含有透明塗料の調製)
第1蛍光物質としてトリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオナト−O,O’ −)ビス(トリオクチルホスフィンオキシド−O−)ユーロピウム(商品名:ルミシスE−420、セントラルテクノ株式会社製)80質量部をキシレン20質量部に溶解させ、80wt%第1蛍光溶液を調製した。続いて、下処理用透明塗料として一液硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:ウォーター・リペル、太洋塗料株式会社製)を用意し、この一液硬化型シリコーン樹脂組成物99.6質量部に第1蛍光溶液0.4質量部を混合して、均一となるように攪拌した。これにより、第1蛍光物質含有透明塗料を調製した。
(第2蛍光物質含有透明塗料の調製)
第2蛍光物質として2−(3−オキソイソインドリン−1−イリデン)メチルキノリン(商品名:ルミシスG−3300、セントラルテクノ社製)0.2質量部をキシレン99.8質量部に溶解させ、0.2wt%第2蛍光溶液を調製した。続いて、中塗り用透明塗料として二液硬化型シリコーン組成物(商品名:バッファーコート#35クリヤー、太洋塗料株式会社製)を用意し、二液硬化型シリコーン組成物の基材液に第2蛍光溶液を混合し、均一となるように攪拌した。なお、第2蛍光溶液0.4質量部、二液硬化型シリコーン組成物(基材液と硬化剤液の合計)99.6質量部の割合で、混合した。これにより、第2蛍光物質含有透明塗料を調製した。
(第3蛍光物質含有透明塗料の調製)
第3蛍光物質として4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン(商品名:ルミシスB−800、セントラルテクノ社製)1質量部をミネラルスピリット99質量部に溶解させ、1wt%第3蛍光溶液を調製した。続いて、上塗り用透明塗料として二液硬化型シリコーン組成物(商品名:バッファーコート#35クリヤー、太洋塗料株式会社製)を用意し、二液硬化型シリコーン組成物の基材液に第3蛍光溶液を混合し、均一となるように攪拌した。なお、第3蛍光溶液0.4質量部、二液硬化型シリコーン組成物(基材液と硬化剤液の合計)99.6質量部の割合で、混合した。これにより、第3蛍光物質含有透明塗料を調製した。
(検査方法および製造方法)
鋼構造材として橋梁の支承を用意し、この表面全体に第1蛍光物質含有透明塗料を塗布し、6時間常温(20℃)で放置して乾燥させて、乾燥塗膜4μmの下処理層(第1透明塗膜)を形成した。その後、ブラックライトを用いて紫外線(ピーク波長365nm)を照射したところ、全面が赤色に発色していた。これにより、下処理層が全面的に形成されており、塗布抜けがないことを確認できた。
次いで、下処理層の表面に第2蛍光物質含有透明塗料を塗布し、4時間放置して乾燥させて、乾燥塗膜80μm中塗り層(第2透明塗膜)を形成した。その後、上記紫外線を照射したところ、全面が緑色に発色していた。これにより、中塗り層が全面的に形成されており、塗布抜けがないことを確認できた。
次いで、中塗り層の表面に第3蛍光物質含有透明塗料を塗布し、16時間放置して乾燥させて、乾燥塗膜100μm上塗り層(第3透明塗膜)を形成した。その後、上記紫外線を照射したところ、全面が緑色に発色していた。これにより、中塗り層が全面的に形成されており、塗布抜けがないことを確認できた。これにより、3層の保護層が積層された橋梁の支承を製造した。
[比較例1]
第1蛍光物質含有透明塗料の第1蛍光物質と、第3蛍光物質含有透明塗料の第3蛍光物質を入れ替えた以外、すなわち、下処理用透明塗料は蛍光物質としてルミシスB−800を含有し、上塗り用透明塗料は蛍光物質としてルミシスE−420を含有する以外は、実施例1と同様の検査方法を実施した。
その結果、下処理層の紫外線照射時では青色で発色し、また、中塗り層の紫外線照射時においても青色に発光していたため、中塗り層の緑色の発光が確認できかった。したがって、中塗り層に塗布抜けがあるか否かの判断が困難であった。
[材料の詳細]
・「ルミシスE−420」:赤色蛍光物質、励起スペクトルのピーク波長337nm、発光スペクトルのピーク波長615nm
・「ルミシスG−3300」:緑色蛍光物質、励起スペクトルのピーク波長375nm、発光スペクトルのピーク波長510nm
・「ルミシスB−800」:青色蛍光物質、励起スペクトルのピーク波長361nm、発光スペクトルのピーク波長429nm
・「ウォーター・リペル」:一液硬化型シリコーン樹脂組成物、主成分[ミネラルスピリット80〜90質量%、ポリアルキルシロキサン5〜10質量%、キシレン0.1〜1質量%、エチルベンゼン0.1〜1質量%]
・「バッファーコート#35クリヤー」:二液硬化型シリコーン樹脂組成物、基材液の主成分[ポリアルキルシロキサン60〜70質量%、ミネラルスピリット20〜30質量%]、硬化剤の主成分[オキシムシラン70〜80質量%、メチルトリメトキシシラン20〜30質量%]、混合比は基材液10質量部に対して硬化剤1質量部である。

Claims (10)

  1. 構造材に複数積層される透明塗膜の検査方法であって、
    第1蛍光物質が溶解した第1蛍光物質含有透明塗料を前記構造材に塗布して、第1透明塗膜を形成する第1塗布工程と、
    前記第1透明塗膜に紫外線を照射する第1照射工程と、
    第2蛍光物質が溶解した第2蛍光物質含有透明塗料を前記第1透明塗膜に塗布して、第2透明塗膜を形成する第2塗布工程と、
    前記第2透明塗膜に紫外線を照射する第2照射工程と
    を順に備え、
    前記第1蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第2蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置することを特徴とする、透明塗膜の検査方法。
  2. 前記検査方法が、前記構造材に3層以上積層される透明塗膜の検査方法であって、
    第2照射工程後において、第3蛍光物質が溶解した第3蛍光物質含有透明塗料を前記第2透明塗膜に塗布して、第3透明塗膜を形成する第3塗布工程と、
    前記第3透明塗膜に紫外線を照射する第3照射工程と
    をさらに備え、
    前記第3蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第3蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記構造材が、コンクリート構造材または鋼構造材であることを特徴とする、請求項1または2に記載の検査方法。
  4. 前記第1照射工程において、前記第1透明塗膜の発光を目視により確認し、
    前記第2照射工程において、前記第2透明塗膜の発光を目視により確認することを特徴とする、請求項1〜3のいずか一項に記載の検査方法。
  5. 前記第1蛍光物質含有透明塗料は、前記第1蛍光物質を有機溶媒に溶解した蛍光溶液を、第1透明塗料に混合することにより得られることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検査方法。
  6. 構造材に、第1蛍光物質が溶解した第1蛍光物質含有透明塗料を塗布して、第1透明塗膜を形成する第1塗布工程と、
    前記第1透明塗膜に紫外線を照射する第1照射工程と、
    第2蛍光物質が溶解した第2蛍光物質含有透明塗料を前記第1透明塗膜に塗布して、第2透明塗膜を形成する第2塗布工程と、
    前記第2透明塗膜に紫外線を照射する第2照射工程と
    を順に備え、
    前記第1蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第2蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置することを特徴とする、塗膜積層構造材の製造方法。
  7. 第2塗布工程後において、第3蛍光物質が溶解した第3蛍光物質含有透明塗料を前記第2透明塗膜に塗布して、第3透明塗膜を形成する第3塗布工程をさらに備え、
    前記第3蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第3蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置することを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記構造材が、コンクリート構造材または鋼構造材であることを特徴とする、請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 構造材の表面を保護するための複数の透明塗料からなるキットであって、
    第1蛍光物質、第1樹脂バインダーおよび第1有機溶媒を含有する第1蛍光物質含有透明塗料と、
    第2蛍光物質、第2樹脂バインダーおよび第2有機溶媒を含有する第2蛍光物質含有透明塗料と
    第3蛍光物質、第3樹脂バインダーおよび第3有機溶媒を含有する第3蛍光物質含有透明塗料とを備え、
    前記第1蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第2蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第3蛍光物質は、紫外領域に励起スペクトルのピークを有し、可視領域に発光スペクトルのピークを有し、
    前記第2蛍光物質含有透明塗料は、前記第1蛍光物質含有透明塗料からなる透明塗膜の表面に形成するための塗料であり、
    前記第3蛍光物質含有透明塗料は、前記第2蛍光物質含有透明塗料からなる透明塗膜の表面に形成するための塗料であり、
    前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第1蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置し、
    前記第3蛍光物質の発光スペクトルのピークは、前記第2蛍光物質の発光スペクトルのピークよりも、低波長側に位置することを特徴とする、透明塗料キット。
  10. 前記構造材が、コンクリート構造材または鋼構造材であることを特徴とする、請求項に記載の透明塗料キット。
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