JP6954017B2 - 立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置 - Google Patents
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溶接加工法は、同種の樹脂同士であれば様々な用途に耐えうる強固な接合を実現できる。
接着法としては、化学反応による接着やモノマーの重合による接着などが挙げられる。
また、溶着法では、主材を溶解する溶剤を用いる。
立体造形用材料層の所定領域に対して、互いに異なる重合性化合物を含む3種以上の硬化用液体を吐出する吐出工程と、
を複数回繰り返す立体造形物の製造方法であって、
立体造形用材料層上に3種以上の硬化用液体を吐出して形成したドットが互いに隣接し合っており、かつ一の硬化用液体を吐出して形成したドットが他の硬化用液体を吐出して形成したドットと隣接している領域が少なくとも1箇所存在するように配置される。
本発明の立体造形物の製造方法は、立体造形用材料を用いて立体造形用材料層を形成する層形成工程と、立体造形用材料層の所定領域に対して、互いに異なる重合性化合物を含む3種類以上の硬化用液体を吐出する吐出工程と、を複数回繰り返す立体造形物の製造方法であって、
立体造形用材料層上に3種類以上の硬化用液体を吐出して形成したドットが互いに隣接し合っており、かつ一の硬化用液体を吐出して形成したドットが他の硬化用液体を吐出して形成したドットと隣接している領域が少なくとも1箇所存在するように配置され、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
立体造形用材料層上に3種類以上の硬化用液体を吐出して形成したドットが互いに隣接し合っており、かつ一の硬化用液体を吐出して形成したドットが他の硬化用液体を吐出して形成したドットと隣接している領域が少なくとも1箇所存在するように配置され、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本明細書において、「立体造形物」には、「積層造形物」も含まれる。
また、従来の接着法では、溶接加工法と同じく、既にバルクとして存在する異種の樹脂成形体同士を接着する場合、それぞれの成形体に対して相性のよい接着剤を選定する必要がある。また、寸法精度が要求されるパーツを作る場合、接着剤の存在により接合部位を起点に精度が悪化しやすく、所望の機能を有する樹脂同士を自由に組み合わせること、及び、所望の精度を有するパーツを作るという点では接着法にも課題があるという知見に基づくものである。
また、従来の溶着法では、主剤を溶解する溶剤を用いると、耐薬品性の高い樹脂同士を接合する際は、溶着が困難であるという知見に基づくものである。
このように本発明においては、立体造形用材料と、互いに異なる重合性化合物を含む3種類以上の硬化用液体との相溶化により、従来のマテリアルジェッティング方式では具現化できない材料及び物性の立体造形物をマルチマテリアル造形することができる。
このようなドットの配置状態は、例えば、ドットを紙上にプリントアウトして、得られたドットの画像を光学顕微鏡で観察することにより、ドットがどのように配置しているのかを確認することができる。
層形成工程は、立体造形材料を用いて立体造形用材料層を形成する工程であり、層形成手段により実施することができる。
立体造形用材料は、有機粒子並びに重合開始剤を含み、更に必要に応じてその他の材料を含有してなる。なお、立体造形用材料は、液体状態でもよいし、粉末状態でもよく、必要に応じて適宜選択することができる。立体造形用材料が液体状態である場合は、重合性化合物を更に含むことが好ましい。
有機粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」とも称することがある)、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリイソプレン、ポリエチレンオキサイド、ノボラック、ポリパラビニルフェノール、ニトロセルロース、ポリエピクロロヒドリン、メタクリル酸メチルを含む共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、無水シトラコン酸・スチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン・ハロゲン化エチレン共重合体、及びエピクロロヒドリン・エチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。それぞれのポリマーの重量平均分子量は、必要に応じて高いものから低いものまで扱うことができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
体積平均粒径としては、公知の粒径測定装置、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定できる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化物、第三級アミンなどが挙げられる。
立体造形用材料に過酸化物を含有させる場合、第三級アミンは硬化用液体に含有させることが好ましい。過酸化物と、第三級アミンとが、立体造形用材料と硬化用液体とに別々に含有させることで、立体造形用材料と硬化用液体とが混合された際に、ラジカル反応が開始される。そして、ポリマー化した重合性化合物と、有機粒子とのアロイ、あるいは、コンパウンドが得られる。このとき、光、及び熱等の外部エネルギーは不要であり、立体造形用材料と硬化用液体とを混合後、すぐにアロイ、あるいは、コンパウンドが得られるため、簡便かつ効率良く立体造形物を得られる点で有利である。
また、有機粒子を用いる場合は、有機粒子を乳化重合にて合成し、その中に適量の過酸化物を入れることでマスターバッチ化することができる。過酸化物が常温液体の場合は、有機粒子中に染み込ませることが必要であるが、適量を染み込ませることで、粉末の流動性の悪化を抑制して、粉末搬送ができなくなることを防止できる。
重合性化合物は、立体造形用材料が液体状態の場合に、立体造形用材料中に含まれることが好ましい。
重合性化合物としては、ある程度の粘度を有していれば目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル基を有する重合性化合物などが挙げられる。
ビニル基を有する重合性化合物としては、例えば、単官能重合性化合物、多官能重合性化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、増粘効果を付与するためにも、単官能重合性化合物、及び多官能重合性化合物を併用することが好ましい。単官能重合性化合物、及び多官能重合性化合物は、混合した状態でもよいし、互いに化学結合したオリゴマー状態でもよい。
単官能重合性化合物としては、例えば、単官能アクリル化合物、単官能メタクリル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単官能メタクリル化合物が好ましく、メチルメタクリレート骨格を有する単官能メタクリル化合物がより好ましい。
多官能重合性化合物としては、例えば、多官能アクリル化合物、多官能メタクリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、多官能メタクリル化合物が好ましく、メチルメタクリレート骨格を有する多官能メタクリル化合物がより好ましい。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動化剤、フィラーなどが挙げられる。立体造形用材料が粉末状態の場合、流動化剤を含むと立体造形用材料による層等を容易にかつ効率よく形成し得る点で好ましく、フィラーを含むと得られる硬化物に空隙等が生じ難くなる点で好ましい。
立体造形用材料が液体状態である場合の粘度としては、25℃において、50mPa・s以上200mPa・s以下が好ましい。粘度が、50mPa・s以上200mPa・s以下であると、立体造形用材料の安定吐出が可能となり、造形物の寸法精度、及び力学的強度を向上できる。なお、粘度は、例えば、JIS−K7117に準拠して測定でき、また、B型回転粘度計(装置名:TVB−10M、東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定できる。
立体造形用材料を支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、立体造形用材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、立体造形用材料層の表面を、押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の積層造形装置を用いる方法などが好適に挙げられる。
支持体としては、立体造形用材料を載置できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、立体造形用材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図2に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。支持体の表面として、立体造形用材料を載置する載置面は、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
吐出工程は、立体造形用材料層の所定領域に対して、互いに異なる重合性化合物を含む3種類以上の硬化用液体を吐出する工程であり、吐出手段により実施される。
3種類以上の硬化用液体は、互いに異なる重合性化合物を含み、更に必要に応じて、重合開始剤、その他の材料を含有してなる。
硬化用液体は、立体造形用材料と反応性を示し、エネルギー線照射により硬化することが好ましい。
硬化用液体が吐出された立体造形用材料層は、次の層形成工程まで硬化しないことが好ましい。
重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル基を有する重合性化合物などが挙げられる。
ビニル基を有する重合性化合物としては、単官能重合性化合物、多官能重合性化合物などが挙げられる。これらの中でも、単官能重合性化合物、及び多官能重合性化合物を併用することが好ましい。単官能重合性化合物、及び多官能重合性化合物は、混合した状態でもよいし、互いに化学結合したオリゴマー状態でもよい。
重合性化合物としては、アクリル/メタクリル化合物、スチレン化合物、イソプレン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、及びこれらの化合物の共重合体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
単官能重合性化合物としては、単官能アクリル化合物、単官能メタクリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、単官能メタクリル化合物が好ましく、メチルメタクリレート骨格を有する単官能メタクリル化合物がより好ましい。
多官能重合性化合物としては、例えば、多官能アクリル化合物、多官能メタクリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、多官能メタクリル化合物が好ましく、メチルメタクリレート骨格を有する多官能メタクリル化合物がより好ましい。
重合開始剤としては、立体造形用材料と同様のものを用いることができる。
立体造形用材料に重合開始剤として過酸化物が含有されている場合は、硬化用液体には、第三級アミンを含有することが好ましい。
トルイジン骨格を有する第三級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン(DEPT)、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン(DEPT)が好ましく、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)がより好ましい。
硬化用液体は、更に着色剤を含むことが好ましい。硬化用液体が、更に着色剤を含むことにより、従来の紫外線を用いたバインダージェッティング方式では、着色剤を含むと紫外線の吸収や乱反射が生じ、造形できなくなる。一方、本発明では、問題なく造形できる。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用できる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用できる。
有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の成分としては、硬化用液体を吐出する手段の種類、使用頻度や含有量等の諸条件を考慮して適宜選択することができ、例えば、インクジェットプリンター等における液体吐出ヘッドへの目詰り等の影響を考慮して選択することができ、有機溶剤、粘度調整剤、安定化剤などが挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。これらの中でも、エタノールが好ましい。
互いに異なる少なくとも4種類からなる硬化用液体を同じ場所に吐出する場合、反応速度が遅い方を先に吐出した方が層間剥離しにくい。反応速度が速い方を先に吐出する場合、反応してしまった領域よりも下への別の硬化用液体の染込みが不十分になり、均一な物性を示す層ができなくなる。
硬化用液体の反応速度は、例えば、フーリエ変換遠赤外−中赤外分光装置を用いて測定することができる。具体的には、立体造形用材料と硬化用液体を混ぜてサンプルを調製した直後に、装置上にサンプルを設置し、反応させることによって発生する、或いは、無くなるピークの面積を経時で追うことにより反応速度を数値化して測定することができる。
互いに異なる少なくとも4種類からなる硬化用液体を同じ場所に吐出する場合、浸透速度が遅い方を先に吐出した方が、その上に来る浸透速度の速い硬化用液体と層内で混合しやすくなり、物性グラデーションが具現化しやすいが、浸透速度が速い方を先に吐出すると、その上に来る浸透速度の遅い硬化用液体と層内で上手く混合できず、ムラができてしまうおそれがある。
硬化用液体の浸透速度は、例えば、透過X線で測定することができる。具体的には、立体造形用材料を敷いた槽の横からX線を照射し、硬化用液体を塗布した瞬間からの硬化用液体の挙動を経時で追うことによって浸透速度を測定できる。浸透速度の数値化は、所定時間経過したときのZ軸方向への硬化用液体の染み込み深さにより求めることができる。
硬化用液体の粘度としては、25℃において、4mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上8mPa・s以下がより好ましい。粘度が、4mPa・s以上20mPa・s以下であると、硬化用液体の安定吐出が可能となり、造形物の寸法精度、及び力学的強度を向上できる。なお、粘度は、例えば、JIS−K7117に準拠して測定でき、また、B型回転粘度計(装置名:TVB−10M、東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定できる。
造形側材料貯留槽1の上には、材料貯留槽内の立体造形用材料に向けて硬化用液体4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側材料貯留槽2から造形側材料貯留槽1に立体造形用材料を供給すると共に、造形側材料貯留槽1の立体造形用材料層表面を均す、均し機構6(以下、「リコーター」と称することがある)を有する。
1層分の描画が終了した後、供給側材料貯留槽2のステージ3を上げ、造形側材料貯留槽1のステージ3を下げる。その差分の立体造形用材料を、均し機構6によって、造形側材料貯留槽1へと移動させる。
新たに形成された立体造形用材料層上に、更に2層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して立体造形物が得られる。
図3に示す構成の積層造形装置によれば、2つの材料貯留槽を平面的に並べる図2の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
−立体造形用材料1の調製−
ポリメチルメタクリレート(PMMA、株式会社クラレ製)100質量部、及び過酸化ベンゾイル(BPO、東京化成工業株式会社製)1質量部をエアブローにより混合し、粉末状態の立体造形用材料1を調製した。
−立体造形用材料2の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、ポリフッ化ビニリデン(Solvey社製、Solef9007)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料2を調製した。
−立体造形用材料3の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、ポリ塩化化ビニル(東ソー株式会社製、K75Z)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料3を調製した。
−立体造形用材料4の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、塩素化ポリ塩化ビニル(積水化学工業株式会社製、CPVC−HA)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料4を調製した。
−立体造形用材料5の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、塩素化ポリイソプレン(自社重合品)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料5を調製した。
−立体造形用材料6の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、ポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製、アルコックスR−150)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料6を調製した。
−立体造形用材料7の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、ポリパラビニルフェノール(丸善石油株式会社製、マルカリンカーM)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料7を調製した。
−立体造形用材料8の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、ニトロセルロース(稲畑産業株式会社製、DHX−120−170)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料8を調製した。
−立体造形用材料9の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、ポリエピクロロヒドリン(自社重合品)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料9を調製した。
−立体造形用材料10の調製−
立体造形用材料の調製例1において、ポリメチルメタクリレートを、フッ化ビニリデン・トリクロロエチレン共重合体(自社重合品)に代えた以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料10を調製した。
−立体造形用材料11の調製−
立体造形用材料の調製例1において、過酸化ベンゾイルを無添加とした以外は、立体造形用材料の調製例1と同様にして、立体造形用材料11を調製した。
−立体造形用材料12の調製−
ポリメチルメタクリレート(PMMA、株式会社クラレ製)100質量部と、過酸化ベンゾイル(BPO、東京化成工業株式会社製)1質量部を気流により混合し、スラリー状態の立体造形用材料12を調製した。
−硬化用液体1の調製−
メチルメタクリレート(MMA、東京化成工業株式会社製)60質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、東京化成工業株式会社製)20質量部、及び多官能重合性化合物としてビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis−GMA、シグマ アルドリッチ社製)20質量部、及び第三級アミンとしてN,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT、東京化成工業株式会社製)1.5質量部を混合し、硬化用液体1を調製した。
−硬化用液体2の調製−
酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)100質量部、及び第三級アミンとしてN,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT、東京化成工業株式会社製)1.5質量部を混合し、硬化用液体2を調製した。
−硬化用液体3の調製−
ラウリル酸ビニル(東京化成工業株式会社製)100質量部、及び第三級アミンとしてN,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT、東京化成工業株式会社製)1.5質量部を混合し、硬化用液体3を調製した。
−硬化用液体4の調製−
スチレン(東京化成工業株式会社製)100質量部、及び第三級アミンとしてN,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT、東京化成工業株式会社製)1.5質量部を混合し、硬化用液体4を調製した。
−硬化用液体5の調製−
メチルメタクリレート(MMA、東京化成工業株式会社製)60質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、東京化成工業株式会社製)20質量部、多官能重合性化合物としてビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis−GMA、シグマ アルドリッチ社製)20質量部、第三級アミンとしてN,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT、東京化成工業株式会社製)1.5質量部、及び着色剤としてローダミン(富士フィルム株式会社製)0.5質量部を混合し、硬化用液体5を調製した。
なお、硬化用液体の反応速度及び浸透速度は、以下のようにして測定した。
硬化用液体の反応速度は、フーリエ変換遠赤外−中赤外分光装置を用いて、立体造形用材料と硬化用液体を混ぜてサンプルを調製した直後に、装置上にサンプルを設置し、反応させることによって発生する、或いは、無くなるピークの面積を経時で追うことにより反応速度を数値化して測定した。
表4〜表8中の反応速度は、1〜5の5段階で評価され、1が極めて遅い、2が遅い、3が普通、4が速い、5が極めて速い、をそれぞれ表す。
硬化用液体の浸透速度は、透過X線装置を用いて、立体造形用材料を敷いた槽の横からX線を照射し、硬化用液体を塗布した瞬間からの硬化用液体の挙動を経時で追うことにより浸透速度を測定した。浸透速度の数値化は、所定時間経過したときのZ軸方向への硬化用液体の染み込み深さから求めた。
表4〜表8中の浸透速度は、1〜5の5段階で評価され、1が極めて遅い、2が遅い、3が普通、4が速い、5が極めて速い、をそれぞれ表す。
得られた立体造形用材料1と、表4〜表7に示す硬化用液体1〜4とを用いて、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、立体造形物1を以下のようにして製造した。
得られた立体造形物1について、卓上形精密万能試験機(装置名:AUTOGRAPH−AGS−J、株式会社島津製作所製)を用い、JIS−T−6501に準拠した三点曲げ強度試験により測定し、下記評価基準に基づいて、接合強度を評価した。なお、ここでは異なる樹脂同士の境界線に万能試験機のロードセルが当たるようにセッティングし、曲げ強度が強ければ接合強度が強いと定義して評価した。
[評価基準]
○:曲げ強度が80MPa以上
△:曲げ強度が50MPa以上80MPa未満
×:曲げ強度が50MPa未満
以下の基準により、立体造形物1の寸法精度を評価した。
[評価基準]
○:得られた立体造形物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
△:得られた立体造形物の表面に若干の歪みと僅かに反りが生じている状態
×:得られた立体造形物の表面に歪みが生じており、激しく反りが生じている状態
以下の基準により、立体造形物1の生産性を評価した。
[評価基準]
○:造形10分間後でマルチマテリアル化した造形物が手で取り出せる状態
△:造形1時間経過してマルチマテリアル化した造形物が手で取り出せる状態
×:立体造形後2時間経過しても造形物が柔らかくて取り出せない状態
以下の基準により、立体造形物1のマルチマテリアル化の完成度を評価した。
[評価基準]
○:一方の端部ともう一方の端部で明らかに物性が異なる状態
×:全面に渡って物性差が見られない状態
実施例1において、表2に示す立体造形物の製造条件と、表3に示す立体造形用材料と、表4〜表8に示す硬化用液体との組合せに変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物を作製し、評価した。結果を表9に示した。
表3に示す立体造形用材料、及び表4に示す硬化用液体を用いて、異なる物性の立体物を互いに熱風で溶融させて溶接する溶接加工法により、立体造形物を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表9に示した。
表3に示す立体造形用材料、及び表4に示す硬化用液体を用いて、異なる物性の立体物を互いに接着剤で接着させる接着法により、立体造形物を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表9に示した。
表3に示す立体造形用材料、及び表4に示す硬化用液体を用いて、異なる物性の立体物を互いに超音波で溶着させる溶着法により、立体造形物を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表9に示した。
*実施例3では、紫外線を積算光量200mJ/cm2の条件で付与した。
*実施例7のディスペンサーとしては、SUPER−JETディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製)を用いた。
*異なる組成の隣接ドット数は、それぞれの硬化用液体に異なる色を付与し、立体造形用材料を用いて形成した立体造形用材料層上に吐出したときの立体造形用材料層の表面を光学顕微鏡で観察することにより測定した。
*積層方向(Z軸方向)でのドットの隣接の有無は、それぞれの硬化用液体に異なる色を付与し、得られた造形物の断面を光学顕微鏡で観察することにより確認した。
<1> 立体造形用材料を用いて立体造形用材料層を形成する層形成工程と、
前記立体造形用材料層の所定領域に対して、互いに異なる重合性化合物を含む3種類以上の硬化用液体を吐出する吐出工程と、
を複数回繰り返す立体造形物の製造方法であって、
前記立体造形用材料層上に前記3種類以上の硬化用液体を吐出して形成したドットが互いに隣接し合っており、かつ一の硬化用液体を吐出して形成したドットが他の硬化用液体を吐出して形成したドットと隣接している領域が少なくとも1箇所存在するように配置されることを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 前記硬化用液体を吐出して形成したドットが、積層方向(Z軸方向)に対しても互いに隣接している前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記硬化用液体が、前記立体造形用材料と反応性を示す前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記硬化用液体が、エネルギー線照射により硬化する前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 硬化用液体が少なくとも4種類からなり、それぞれの前記硬化用液体の反応速度が異なるとき、反応速度の遅い前記硬化用液体から先に吐出する前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記硬化用液体が少なくとも4種類からなり、それぞれの前記硬化用液体の前記立体造形用材料層に対する浸透速度が異なるとき、浸透速度の遅い前記硬化用液体から先に吐出する前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 前記硬化用液体が吐出された前記立体造形用材料層が、次の層形成工程まで硬化しない前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記硬化用液体が、インクジェットヘッドから吐出される前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記重合性化合物が、ビニル基を有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記重合性化合物が、アクリル/メタクリル化合物、スチレン化合物、イソプレン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、及び前記化合物の共重合体から選択される少なくとも1種である前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記硬化用液体が、更に着色剤を含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 前記立体造形用材料が、有機粒子を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 前記重合性化合物が、前記有機粒子に対して相溶性を示す前記<12>に記載の立体造形物の製造方法である。
<14> 前記有機粒子が、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリイソプレン、ポリエチレンオキサイド、ノボラック、ポリパラビニルフェノール、ニトロセルロース、ポリエピクロロヒドリン、メタクリル酸メチルを含む共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、無水シトラコン酸・スチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン・ハロゲン化エチレン共重合体、及びエピクロロヒドリン・エチレンオキサイド共重合体から選択される少なくとも1種である前記<12>から<13>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<15> 前記立体造形用材料が、更に有機過酸化物を含む前記<12>から<14>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<16> 立体造形用材料を用いて立体造形用材料層を形成する層形成手段と、
前記立体造形用材料層の所定領域に対して、互いに異なる重合性化合物を含む3種類以上の硬化用液体を吐出する吐出手段と、
を有する立体造形物の製造装置であって、
前記立体造形用材料層上に前記3種類以上の硬化用液体を吐出して形成したドットが互いに隣接し合っており、かつ一の硬化用液体を吐出して形成したドットが他の硬化用液体を吐出して形成したドットと隣接している領域が少なくとも1箇所存在するように配置されることを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<17> 前記硬化用液体を吐出して形成したドットが、積層方向(Z軸方向)に対しても互いに隣接している前記<16>に記載の立体造形物の製造装置である。
<18> 前記硬化用液体が、前記立体造形用材料と反応性を示す前記<16>から<17>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<19> 前記硬化用液体が、エネルギー線照射により硬化する前記<16>から<18>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<20> 前記硬化用液体が少なくとも4種類からなり、それぞれの前記硬化用液体の反応速度が異なるとき、反応速度の遅い前記硬化用液体から先に吐出する前記<16>から<19>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<21> 前記硬化用液体が少なくとも4種類からなり、それぞれの前記硬化用液体の前記立体造形用材料層に対する浸透速度が異なるとき、浸透速度の遅い前記硬化用液体から先に吐出する前記<16>から<19>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<22> 前記硬化用液体が吐出された前記立体造形用材料層が、次の層形成工程まで硬化しない前記<16>から<21>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<23> 前記硬化用液体が、インクジェットヘッドから吐出される前記<16>から<22>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<24> 前記重合性化合物が、ビニル基を有する前記<16>から<23>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<25> 前記重合性化合物が、アクリル/メタクリル化合物、スチレン化合物、イソプレン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、及び前記化合物の共重合体から選択される少なくとも1種である前記<16>から<24>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<26> 前記硬化用液体が、更に着色剤を含む前記<16>から<25>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<27> 前記立体造形用材料が、有機粒子を含む前記<16>から<26>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<28> 前記重合性化合物が、前記有機粒子に対して相溶性を示す前記<27>に記載の立体造形物の製造装置である。
<29> 前記有機粒子が、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリイソプレン、ポリエチレンオキサイド、ノボラック、ポリパラビニルフェノール、ニトロセルロース、ポリエピクロロヒドリン、メタクリル酸メチルを含む共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、無水シトラコン酸・スチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン・ハロゲン化エチレン共重合体、及びエピクロロヒドリン・エチレンオキサイド共重合体から選択される少なくとも1種である前記<27>から<28>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<30> 前記立体造形用材料が、更に有機過酸化物を含む前記<27>から<29>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
Claims (16)
- 立体造形用材料を用いて立体造形用材料層を形成する層形成工程と、
前記立体造形用材料層の所定領域に対して、互いに異なる重合性化合物を含む3種類以上の硬化用液体を吐出する吐出工程と、
を複数回繰り返す立体造形物の製造方法であって、
前記立体造形用材料層上に前記3種類以上の硬化用液体を吐出して形成したドットが互いに隣接し合っており、かつ一の硬化用液体を吐出して形成したドットが他の硬化用液体を吐出して形成したドットと隣接している領域が少なくとも1箇所存在するように配置されることを特徴とする立体造形物の製造方法。 - 前記硬化用液体を吐出して形成したドットが、積層方向(Z軸方向)に対しても互いに隣接している請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
- 前記硬化用液体が、前記立体造形用材料と反応性を示す請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記硬化用液体が、エネルギー線照射により硬化する請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記硬化用液体が少なくとも4種類からなり、それぞれの前記硬化用液体の反応速度が異なるとき、反応速度の遅い前記硬化用液体から先に吐出する請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記硬化用液体が少なくとも4種類からなり、それぞれの前記硬化用液体の前記立体造形用材料層に対する浸透速度が異なるとき、浸透速度の遅い前記硬化用液体から先に吐出する請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記硬化用液体が吐出された前記立体造形用材料層が、次の層形成工程まで硬化しない請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記硬化用液体が、インクジェットヘッドから吐出される請求項1から7のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記重合性化合物が、ビニル基を有する請求項1から8のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記重合性化合物が、アクリル/メタクリル化合物、スチレン化合物、イソプレン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、及び前記化合物の共重合体から選択される少なくとも1種である請求項1から9のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記硬化用液体が、更に着色剤を含む請求項1から10のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記立体造形用材料が、有機粒子を含む請求項1から11のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記重合性化合物が、前記有機粒子に対して相溶性を示す請求項12に記載の立体造形物の製造方法。
- 前記有機粒子が、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリイソプレン、ポリエチレンオキサイド、ノボラック、ポリパラビニルフェノール、ニトロセルロース、ポリエピクロロヒドリン、メタクリル酸メチルを含む共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、無水シトラコン酸・スチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン・ハロゲン化エチレン共重合体、及びエピクロロヒドリン・エチレンオキサイド共重合体から選択される少なくとも1種である請求項12から13のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 前記立体造形用材料が、更に有機過酸化物を含む請求項12から14のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
- 立体造形用材料を用いて立体造形用材料層を形成する層形成手段と、
前記立体造形用材料層の所定領域に対して、互いに異なる重合性化合物を含む3種類以上の硬化用液体を吐出する吐出手段と、
を有する立体造形物の製造装置であって、
前記立体造形用材料層上に前記3種類以上の硬化用液体を吐出して形成したドットが互いに隣接し合っており、かつ一の硬化用液体を吐出して形成したドットが他の硬化用液体を吐出して形成したドットと隣接している領域が少なくとも1箇所存在するように配置されることを特徴とする立体造形物の製造装置。
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