以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
(情報送信システム)
まず、情報送信システムについて説明する。
図1は情報送信システムの構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、情報送信システムは、画像形成装置10とヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display:HMD)30とを含んでいる。以下では、ヘッドマウントディスプレイを「HMD」と略称する。図1には、1つの画像形成装置10と1つのHMD30としか図示されていないが、情報送信システムは、複数の画像形成装置10を含んでいてもよく、複数のHMD30を含んでいてもよい。
画像形成装置10は、画像データに対応した画像を用紙上に形成するプリント機能を有する装置である。ここで「用紙」は、画像を記録する記録媒体の一例である。画像形成装置10は、プリント機能だけを有するプリンタには限定されず、複数の機能を有する複合機であってもよい。例えば、画像形成装置10は、用紙上に形成された画像を画像データとして読み込むスキャナ機能、公衆回線等に接続された他の画像処理装置に画像データを送信するファクシミリ機能、用紙上に形成された画像を他の用紙に複写するコピー機能等、種々の機能を有していてもよい。
HMD30は、ウェアラブル・コンピュータとも称される、頭部に装着するタイプの情報処理装置である。本実施の形態のHMD30は、図1に示すように眼鏡型のHMDであり、利用者20により装着されている。また、本実施の形態のHMD30は、光透過型の表示方式を採用しており、投影された画像を現実空間に重ね合わせた拡張現実空間を利用者20に表示する。ここで「拡張現実(Augmented Reality:AR)」とは、人が知覚する現実空間をコンピュータにより拡張する技術、およびコンピュータにより拡張された現実空間そのものを意味する。
また、HMD30は、投影された画像に対して利用者20が行った操作を受け付ける。例えば、後述する通り、HMD30は、拡張現実空間において各種の操作画面を利用者20表示する。利用者20は、操作画面に手や指で触れることにより選択や設定を行う。HMD30は、投影された操作画面に対する利用者の操作を検出し、操作に応じた処理を実行する。
HMD30と画像形成装置10とは、有線または無線により通信を行う。例えば、HMD30と画像形成装置10とが、LAN等の有線または無線のネットワークに接続されている場合は、ネットワークを介して通信を行う。また、HMD30が無線LANのアクセスポイント機能を備えている場合は、HMD30自らがビーコンを送信し、HMD30に対し接続要求をした画像形成装置10との間で無線による通信を行ってもよい。
画像形成装置10は、「受信した情報に応じて動作する機器」の一例である。また、HMD30は、撮影装置の一例であると共に、情報処理装置の一例でもある。本実施の形態では、HMD30が、画像形成装置10を撮影し、撮影した画像から画像形成装置10の宛先情報を特定して、特定された宛先に印刷データを送信する。そして、画像形成装置10が、HMD30から受信した印刷データに応じて印刷処理を実行する。
(HMD)
次に、HMDについて説明する。
図2はHMDの構成の一例を示す概略図である。HMD30は、左右一組の表示部31、ブリッジ32、左右一組のツル部33などを備えている。左右一組の表示部31は、レンズとフレームとを備え、装着時に利用者の左右の目の前にそれぞれ配置される。
ブリッジ32は、左右一組の表示部31を連結する。左右一組のツル部33の各々は、対応する側の表示部31の一端に連結されている。左右一組のツル部33の各々は、利用者の耳に引っ掛けてHMD30を保持するために、表示部31との連結部から予め定めた方向に延びている。
一方の表示部31とツル部との連結部には、制御回路、投影部46、撮影部47などを含む基幹部34が配置されている。一方の表示部31の前方に位置するようにハーフミラー35が、基幹部34から延びる支持腕に支持されている。撮影部47は、表示部31の前方の画像を撮影する。
ハーフミラー35は、入射した光の一部を透過し、一部を反射する光学素子である。本実施の形態では、ハーフミラー35は、前方から入射する光L1に対して45度の角度だけ傾けて配置されている。投影部46は、画像を投影するための画像光L2を、光L1の進行方向とは交差する方向から、ハーフミラー35に向けて投影する。
ハーフミラー35は、前方から入射する光L1を透過し、投影部46から入射する画像光L2を表示部31の方向に反射する。利用者の目には、光L1と画像光L2とが合成された光が表示部31を通じて入射する。すなわち、HMD30の利用者は、外の様子と投影部46が投影した画像とを重ね合わせた様子を見る。
図3はHMDの電気的な構成の一例を示すブロック図である。
HMD30は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)41、ROM(Read Only Memory:ROM)42、RAM(Random Access Memory:RAM)43、不揮発性のメモリ44、方位センサ部45、投影部46、撮影部47、操作部48、表示部31、及び通信部51を備えている。各部は、バス50を介して接続されている。
CPU41、ROM42、RAM43、及びメモリ44は、装置全体の制御及び各種演算を行う情報処理装置(コンピュータ)を構成する。CPU41は、各部との間で情報の授受を行い、各部を制御する。
本実施の形態では、後述する「情報送信処理プログラム」等、各種プログラムはROM42に記憶されている。CPU41は、ROM42に記憶されたプログラムを読み出し、RAM43をワークエリアとしてプログラムを実行する。CPU41が、「抽出手段」、「取得手段」、「指示手段」、及び「選択手段」の一例である。
方位センサ部45は、複数の地磁気センサと複数の加速度センサとを組み合わせて構成されている。方位センサ部45は、HMD30の向きや姿勢およびその変化を検出して、検出結果をCPU41へ通知する。
投影部46は、投影対象の画像をハーフミラー35に向けて投影する。撮影部47は、HMD30の前方を撮影する。利用者が前方を見たときの視野と重なる範囲が撮影される。撮影部47は、左右の基幹部34の少なくとも一方に設けられる。撮影部47は動画を撮影し、例えば、毎秒30フレームの画像を取り込む。操作部48は、基幹部34等に設けられたスイッチ等であり、投影画像の明るさなどの調整に使用される。
通信部51は、有線又は無線の通信回線を介して外部装置と通信を行うためのインターフェースである。例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ等の外部装置と通信を行うためのインターフェースとして機能する。また、例えば、通信部18は、コンピュータ等の外部装置から、印刷データを通信により取得する。
なお、本実施の形態では、後述する「情報送信処理プログラム」等の各種プログラムがROM42に記憶されている場合について説明するが、各種プログラムは他の記憶装置に記憶されていてもよく、通信部51を介して外部装置から各種プログラムを取得してもよい。
また、HMD30は各種ドライブを備えていてもよい。各種ドライブは、CD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータ読み取り可能な可搬性の記録媒体からデータを読み込んだり、記録媒体に対してデータを書き込んだりする装置である。各種ドライブを備える場合には、可搬性の記録媒体にプログラムを記録しておいて、これを対応するドライブで読み込んで実行してもよい。
(画像形成装置)
次に、画像形成装置について説明する。
図4は画像形成装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性のメモリ14、操作表示部15、画像形成部16、用紙搬送部17、通信部18、及び記憶部19を備えている。各部は、バス21を介して接続されている。
CPU11、ROM12、RAM13、及びメモリ14は、装置全体の制御及び各種演算を行う情報処理装置(コンピュータ)を構成する。CPU11は、各部との間で情報の授受を行い、各部を制御する。CPU11は、ROM12やメモリ14に記憶されたプログラムを読み出し、RAM13をワークエリアとしてプログラムを実行する。
操作表示部15は、各種ボタン、各種画面を表示する操作パネル等を含んで構成されている。操作表示部15は、上記構成により、利用者からの操作を受け付けると共に、利用者に各種情報を表示する。
画像形成部16は、画像データに基づいて画像形成処理、即ち、画像データに対応した画像を記録媒体上に形成する処理を行う。画像形成方式は、電子写真方式でもよく、インクジェット方式でもよい。例えば、電子写真方式により画像を形成する場合は、画像形成部16は、画像形成ユニット、定着装置等を含んで構成されている。画像形成ユニットは、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等を含んで構成されている。
用紙搬送部17は、用紙が収容される用紙収容部、用紙収容部から用紙を取り出す取出ローラ、取り出された用紙を搬送する搬送ローラ等を含んで構成されている。用紙搬送部17は、上記構成により、用紙収容部から取り出した用紙を搬送し、画像形成部16に供給する。また、画像形成部16で画像が形成された用紙を、用紙排出部へと搬送する。
通信部18は、有線又は無線の通信回線を介して外部装置と通信を行うためのインターフェースである。例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ等の外部装置と通信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信部18は、コンピュータ等の外部装置から、印刷データを通信により取得する。
記憶部19は、ハードディスク等の記憶装置を備えている。記憶部19には、ログデータ等の各種データ、各種プログラム等が記憶される。
(情報送信処理プログラム)
次に、情報送信処理プログラムについて説明する。
図5は「情報処理プログラム」の処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報送信処理プログラムは、HMD30のROM42に記憶されている。情報送信処理プログラムは、利用者により実行の開始が指示されると、HMD30のCPU41によりROM42から読み出されて実行される。即ち、情報送信処理プログラムは、利用者により起動される。
例えば、利用者20は、HMD30を装着したまま、印刷処理を実行させたい画像形成装置10が見える場所まで行き、情報送信処理プログラムを起動する(図1参照)。以下では、画像形成装置10のプリント機能を使用するので、画像形成装置10を「プリンタ10」と言換える。また、印刷処理を実行させたい画像形成装置を「対象プリンタ」と呼び、他のプリンタと区別する。
まず、ステップ100で、投影部46にファイル選択画面の画像を投影させて、利用者にファイル選択画面を表示する。利用者は、表示されたファイル選択画面から印刷対象となるファイルを選択する。
図7はファイル選択画面の一例を示す模式図である。図7に示すように、利用者は表示部31を通して現実空間を見る。利用者には、現実空間にファイル選択画面60の画像が重畳された拡張現実空間が見える。HMD30は、投影されたファイル選択画面60に対する利用者の操作を検出し、操作に応じた処理を実行する。
ファイル選択画面60は、メッセージ欄61、表示欄62、ボタン63、ボタン64、及びボタン66等を有している。メッセージ欄61には、「印刷したいファイルを選択してください。」等、ファイルの選択を促す旨のメッセージが表示される。表示欄62は、印刷対象のファイルを表示する欄である。図示した例では、記憶部19に記憶されたファイルはフォルダ毎に分類されており、例えば▼のボタン63が押されると、フォルダ名が一覧表示される。
ボタン64は選択を完了させるボタンであり、ボタン66は印刷を指示するボタンである。利用者は、表示欄62にフォルダ名を表示した状態でボタン64を押して、印刷対象となるファイルを選択する。そして、ボタン66を押して、印刷対象となるファイルの印刷を指示する。
次に、ステップ102で、利用者からの印刷指示があったか否かを判断する。印刷指示があった場合は、ステップ104に進み、印刷指示が無い場合は、ステップ102で判断を繰り返す。ステップ104では、対象プリンタの画像を撮影部47に撮影させて、対象プリンタの画像を取得する。
次に、ステップ106で、CPU41は、画像認識による「特徴抽出処理」を実行する。本実施の形態では、プリンタの「機種名」を特徴とする。CPU41は、取得した画像から機種名を表す文字画像を抽出する。機種名は、プリンタの外部に表示されている。抽出された文字画像から、文字認識により対象プリンタの機種名を特定する。
図8は表示部31を通して見る現実空間の一例を示す模式図である。撮影部47は、利用者が前方を見たときの視野と重なる範囲を撮影する。図示した例では、対象プリンタの外部には、「PrinterA」という機種名が表示されている。対象プリンタの画像を撮影する際に、利用者は、機種名を表す文字画像68を視野に入れるようにする。これにより、文字画像68が、撮影部47の撮影範囲に含まれるようになる。
次に、ステップ108で、特徴抽出処理の開始から予め定めた時間経過後に、特徴である「機種名」を抽出できたか否かを判断する。抽出できた場合は、ステップ110に進み、抽出できていない場合は、ステップ122に進む。ステップ122では、利用者に確認画面を表示する。図9は確認画面の一例を示す模式図である。図9に示すように、利用者が表示部31を通して現実空間を見ると、利用者には、現実空間に確認画面70の画像が重畳された拡張現実空間が見える。
確認画面70は、メッセージ欄71、ボタン72、及びボタン74等を有している。メッセージ欄71には、「もう一度、機種名を抽出しますか?」等、機種名の再抽出を促す旨のメッセージが表示される。「はい」と表示されたボタン72は、再抽出の実行を指示するボタンである。「いいえ」と表示されたボタン74は、再抽出の実行を中止するボタンである。利用者はいずれかのボタンを押して、再抽出の実行または実行の中止を指示する。
次に、ステップ124で、利用者からの指示に応じて、機種名の再抽出を実行するか否かを判断する。再抽出を実行する場合は、ステップ106に進み、ステップ106で、再度「特徴抽出処理」を実行する。一方、再抽出を実行しない場合は、対象プリンタに印刷処理を行わせる必要はないものとして、ステップ132に進む。
ステップ108で特徴である機種名を抽出できて、ステップ110に進んだ場合には、次に、ステップ110で、プリンタの情報を取得する。
プリンタの情報を取得するために、HMD30は、まず、通信可能な機器の宛先情報を取得する。ここで「宛先」とは、通信先を意味する。例えば、インターネットを介して通信を行う場合には、インターネットに接続されている通信機器を識別するためのIPアドレス(Internet Protocol address)が宛先である。また、電子メールを送信する場合には、メールアドレスが宛先であり、ファクシミリを送信する場合には、FAX番号が宛先である。
次に、取得した宛先の各々に、各機器が保持する機器情報の送信を要求する。ここで「機器情報」は、プリンタであることを表す情報、及び機種名の情報を少なくとも含む。要求を受信した各機器は、送信要求に応じて、各々の情報管理部に保持されている機器情報を、HMD30に送信する。
次に、HMD30は、受信した種々の機器情報の中からプリンタの情報を検索する。プリンタの情報を検索すると、通信可能な複数のプリンタの情報が利用者に一覧表示される。図10はプリンタの機種名と宛先との対応関係の一例を示す図表である。図10に示すように、テーブル76では、例えば、機種名「PrinterB」には宛先「BBB.BBB.BBB」というように、プリンタの機種名と宛先とが対応付けられている。この例では、宛先はIPアドレスである。
次に、ステップ112で、プリンタが存在するか否かを判断する。通信可能な機器にプリンタが含まれていない場合や、HMD30がプリンタからの情報を受信していない場合には、検索対象にプリンタの情報が含まれない。プリンタが存在する場合は、ステップ114に進み、プリンタが存在しない場合は、ステップ126に進む。
ステップ126では、利用者に確認画面を表示する。図示は省略するが、確認画面には、図9に示す確認画面と同様に、「もう一度、プリンタの情報を取得しますか?」等、プリンタ情報の再取得を促す旨のメッセージ、再取得の実行を指示するボタン、及び再取得の実行を中止するボタン等が表示される。利用者はいずれかのボタンを押して、再取得の実行または実行の中止を指示する。
次に、ステップ128で、利用者からの指示に応じて、プリンタの情報の再取得を実行するか否かを判断する。再取得を実行する場合は、ステップ110に進み、ステップ110で、再度、プリンタの情報を取得する。一方、再取得を実行しない場合は、対象プリンタに印刷処理を行わせる必要はないものとして、ステップ132に進む。
ステップ112でプリンタが存在するとして、ステップ114に進んだ場合には、次に、ステップ114で、「特徴照合処理」を実行する。本実施の形態では、HMD30の撮影部47により撮影された画像から、対象プリンタの「機種名」を抽出した。取得したプリンタの情報の中から、抽出された機種名と同じ機種名を有するプリンタの宛先を検索する。
次に、ステップ116で、ステップ114の検索結果から、ステップ106で抽出された機種名と同じ機種名を有するプリンタが存在するか否かを判断する。同じ機種名を有するプリンタが存在する場合は、ステップ118に進み、同じ機種名を有するプリンタが存在しない場合は、対象プリンタと通信が行えないものとして、ステップ132に進む。
次に、ステップ118で、ステップ114の検索結果から、ステップ106で抽出された機種名と同じ機種名を有するプリンタが複数存在するか否かを判断する。複数存在しない場合、即ち、同じ機種名を有するプリンタが1つしかない場合は、ステップ119に進む。次に、ステップ119で、同じ機種名を有する1つのプリンタの宛先情報を取得する。次に、ステップ120で、取得された宛先に印刷データを送信してルーチンを終了する。
図8に示す例では、HMD30の撮影部47により取得された画像から機種名「PrinterA」が抽出される。図10に示すテーブル76によれば、機種名「PrinterA」を有するプリンタは1つしかない。したがって、機種名「PrinterA」を有するプリンタの宛先は、「AAA.AAA.AAA」に一意的に決まる。撮影した画像形成装置10(プリンタ)の宛先が特定されたので、HMD30は宛先「AAA.AAA.AAA」に印刷データを送信する。
一方、ステップ118で、複数存在する場合、即ち、同じ機種名(特徴)を有するプリンタが複数ある場合は、ステップ130に進む。次に、ステップ130で「一斉送信処理」を実行する。図6は第1の実施の形態に係る「一斉送信処理」の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ステップ200で、同じ機種名(特徴)を有する複数のプリンタの宛先情報を取得する。次に、ステップ202で、取得された複数の宛先の各々に印刷データを送信する。HMD30は、対象プリンタの宛先が、複数の宛先の中に含まれるものとして、複数の宛先の各々に印刷データを一斉に送信する。
蓄積機能を備えるプリンタは、利用者がプリンタにより認証されるまで、印刷データを記憶部(図示せず)に蓄積しておく。そして、利用者がプリンタにより認証されると、印刷データに基づいて出力を行い、用紙上に画像を形成する。これに対して、蓄積機能を備えないプリンタは、プリンタが印刷データを受信すると、印刷データに基づいて出力を行い、用紙上に画像を形成する。
したがって、複数の宛先のうち、蓄積機能を備えるプリンタを表す宛先にだけ、印刷データを送信するようにしてもよい。また、蓄積機能を使用した印刷処理(蓄積プリント)の指定が必要な場合は、蓄積プリントを指定して印刷データを送信する。
宛先に対応するプリンタが蓄積機能を備えるか否かは、通信可能な機器から収集する予め定めた情報に、蓄積機能を備えるプリンタを表す情報を含めておいて、各機器から受信した情報から判断すればよい。
次に、ステップ204で、印刷処理が実行されたか否かを判断する。利用者がID入力を行う等して、利用者がプリンタにより認証されると、印刷データに基づいて印刷処理が行われる。対象プリンタにも印刷データが送信されて、対象プリンタにより印刷処理が行われる。印刷処理が実行された場合は、ステップ206に進み、印刷処理が実行されていない場合は、ステップ204で判断を繰り返す。
CPU41は、印刷処理の実行状況を管理している。図11は印刷処理の実行状況を管理する管理テーブルの一例を示す図表である。図11に示すように、テーブル78では、例えば、印刷データを送信した宛先毎に、印刷処理の実行状況が管理されている。印刷処理の実行が終了していない宛先のフラグは「0」とされ、印刷処理の実行が終了した宛先のフラグは「1」とされている。
次に、ステップ206で、印刷処理を実行したプリンタ以外に、蓄積機能を有する他のプリンタがあるか否かを判断する。他のプリンタがある場合は、ステップ208に進み、他のプリンタがない場合は、ステップ208を飛ばしてルーチンを終了する。
次に、ステップ208で、他のプリンタに蓄積された不要な印刷データを削除して、ルーチンを終了する。例えば、CPU41が、他のプリンタに印刷データを削除する指示を送信することにより、他のプリンタから印刷データが削除される。
図11に示した例では、既に、宛先「AAA.AAA.AAA」のプリンタにより印刷処理が実行されている。宛先「BBB.BBB.BBB」のプリンタ及び宛先「CCC.CCC.CCC」のプリンタに蓄積された印刷データは不要である。したがって、これらの不要な印刷データを削除する。
なお、本実施の形態では、HMD30からプリンタに対し不要な印刷データを削除するように指示を出すが、不要な印刷データの削除方法はこれには限定されない。例えば、プリンタ側で、受信から予め定めた時間が経過した印刷データを削除するようにしてもよい。
対象プリンタでの印刷処理を行わず、ステップ132に進んだ場合は、ステップ132で、利用者にプリンタ選択画面(図示せず)を表示する。プリンタ選択画面は、プリンタの選択肢を一覧表示する。例えば、「使用するプリンタを選択してください。」等のメッセージと共に、使用可能なプリンタの画像を一覧表示する。利用者は、画像の選択により、いずれか1つのプリンタを選択する。
次に、ステップ134で、プリンタが選択されたか否かを判断する。プリンタが選択された場合は、ステップ136に進み、プリンタが選択されていない場合は、ステップ134で判断を繰り返す。次に、ステップ136で、利用者により選択されたプリンタの宛先情報を取得し、続くステップ138で、取得された宛先に印刷データを送信してルーチンを終了する。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、複数の宛先に印刷データを一斉送信する「一斉送信処理」において、認証設定を行ってから印刷データを送信する以外は、第1の実施の形態と同様であるため、同じ構成部分については説明を省略し、相違点について説明する。
図12は第2の実施の形態に係る「一斉送信処理」の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップ300で、「認証設定確認処理」を実行する。印刷処理の認証設定には、利用者の個人認証を行う認証プリントと、印刷データ毎にパスワードの設定を求めるセキュリティプリントとがある。
認証プリントが設定されている場合は、利用者を識別する識別情報(ID)をプリンタに提示することにより、利用者がプリンタにより認証されて、印刷処理が実行される。セキュリティプリントが設定されている場合は、印刷データを指定し、印刷データに対し予め設定しておいたパスワードとIDとをプリンタに提示することにより、印刷データへのアクセスがプリンタにより認証されて、印刷処理が実行される。
上記の蓄積プリントは、認証設定を前提とするものである。本実施の形態では、「認証設定確認処理」により、認証設定が行われていることを確認する。具体的には、認証プリント及びセキュリティプリントのいずれかが設定されていることを確認する。
次に、ステップ302で、確認結果に基づいて認証設定が行われているか否かを判断する。設定されていない場合は、ステップ304に進み、設定されている場合は、ステップ304及び306を飛ばしてステップ308に進む。
次に、ステップ304で、IDとパスワードを印刷データに付与する。次に、ステップ306で、付与されたIDとパスワードを利用者に表示する。図13は認証情報を表示する表示画面の一例を示す模式図である。図13に示すように、現実空間には、撮影された画像形成装置10が存在する。
利用者は、表示部31を通して、現実空間に表示画面80の画像が重畳された拡張現実空間を見ている。表示画面80には、「IDとパスワードが発行されました。」等、認証情報が付与されたことをユーザに知らせるメッセージ81、ID83、及びパスワード85が表示される。図示した例では、ID83は「ABC」であり、パスワード85は「XXXXX」である。
続くステップ308からステップ316までの手順は、図6に示す第1の実施の形態の「一斉送信処理」のステップ200からステップ208までの手順と同様であるため、以下に簡単に説明する。
次に、ステップ308で、同じ機種名(特徴)を有する複数のプリンタの宛先情報を取得する。次に、ステップ310で、取得された複数の宛先の各々に印刷データを送信する。蓄積プリントが指定できる場合は、蓄積プリントを指定して印刷データを送信する。次に、ステップ312で、印刷処理が実行されたか否かを判断する。印刷処理が実行された場合は、ステップ314に進み、印刷処理が実行されていない場合は、ステップ312で判断を繰り返す。
次に、ステップ314で、印刷処理を実行したプリンタ以外に、蓄積機能を有する他のプリンタがあるか否かを判断する。他のプリンタがある場合は、ステップ316に進み、他のプリンタがない場合は、ステップ316を飛ばしてルーチンを終了する。次に、ステップ316で、他のプリンタに蓄積された不要な印刷データを削除して、ルーチンを終了する。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、プリンタの「機種名」に代えて、プリンタの「形状」を特徴とする。抽出する特徴を変更する以外は、第1の実施の形態と同様であるため、同じ構成部分については説明を省略し、相違点について説明する。
画像認識による「特徴抽出処理」では、CPU41は、取得した画像から対象プリンタの形状を抽出する。具体的には、取得した画像から、角部等の特徴点を抽出する。形状は、対象プリンタの外部から判別される特徴である。対象プリンタの画像を撮影する際に、利用者は、対象プリンタ全体を視野に入れるようにする。これにより、対象プリンタ全体が、撮影部47の撮影範囲に含まれるようになる。
また、複数の機器各々の情報管理部には、機器自身の全体像を表す画像情報が予め登録されて保持されている。通信可能な機器からHMD30に送信される「機器情報」には、プリンタであることを表す情報、及び機種名の情報に加えて、プリンタの全体像を表す画像情報が含まれている。HMD30が、プリンタの情報を検索すると、通信可能な複数のプリンタの情報が利用者に一覧表示される。
図14は第3の実施の形態で用いる、プリンタの機種名と宛先と画像との対応関係の一例を示す図表である。図14に示すように、テーブル82では、例えば、機種名「PrinterB」には、宛先「BBB.BBB.BBB」と「PrinterB」の画像というように、プリンタの機種名と宛先と画像とが対応付けられている。この例では、宛先はIPアドレスである。
「特徴照合処理」では、CPU41は、取得したプリンタの情報の中から、対象プリンタと同じ形状を有するプリンタの宛先を検索する。プリンタが同じ形状を有するか否かは、例えば、対象プリンタの画像から抽出された特徴点と、プリンタの画像から抽出された特徴点とが一致するか否かにより判断する。例えば、特徴点が閾値以上(例えば、90%以上)の割合で一致する場合は「同一形状」とする等、同一と判定するための判定基準を設けてもよい。
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、複数の宛先に印刷データを一斉送信する「一斉送信処理」に代えて、複数の宛先から選択された1つの宛先に印刷データを送信する「選択送信処理」を実行する以外は、第1の実施の形態と同様であるため、同じ構成部分については説明を省略し、相違点について説明する。
(選択送信処理)
図5のステップ118で、抽出された機種名と同じ機種名を有するプリンタが複数存在するか否かを判断した結果、複数存在すると判断された場合、即ち、同じ機種名を有するプリンタが複数ある場合は、図15に示す「選択送信処理」を実行する。
図15は第4の実施の形態に係る「選択送信処理」の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップ400で、利用者に選択画面(図示せず)を表示する。この選択画面には、例えば、「使用するプリンタを選択してください。」等のメッセージと共に、同じ機種名を有する複数のプリンタの画像を一覧表示する。利用者は、画像の選択により、いずれか1つのプリンタを選択する。
次に、ステップ402で、プリンタが選択されたか否かを判断する。プリンタが選択された場合は、ステップ404に進み、プリンタが選択されていない場合は、ステップ402で判断を繰り返す。次に、ステップ404で、利用者により選択されたプリンタの宛先情報を取得し、続くステップ406で、取得された宛先に印刷データを送信する。次に、ステップ408で、印刷処理を実行するプリンタまでの経路を表示して、ルーチンを終了する。
図16は経路表示の一例を示す模式図である。図16に示すように、現実空間には、プリンタ10が存在する。利用者は、表示部31を通して、現実空間に経路表示の画像が重畳された拡張現実空間を見ている。拡張現実空間には、利用者の位置84と、利用者の位置84からプリンタ10までの経路86とが表示されている。必要に応じて地図情報を取得し、経路86を地図に重ねて表示してもよい。
利用者の位置情報は、例えば、HMD30が備えるGPS(Global Positioning System:GPS)機能により取得される。プリンタ10の位置情報は、通信可能な機器からHMD30に送信される「機器情報」に含まれるものとする。
利用者は、同じ機種名を有する複数のプリンタの中から1つのプリンタを選択するが、対象プリンタ以外のプリンタの位置は不明である。経路86を表示することにより、利用者は、印刷データを送信したプリンタに案内される。
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態では、複数の宛先に印刷データを一斉送信する「一斉送信処理」に代えて、複数の宛先から絞り込まれた1つの宛先に印刷データを送信する「絞込み処理」を実行する以外は、第1の実施の形態と同様であるため、同じ構成部分については説明を省略し、相違点について説明する。
(絞込み処理)
図5のステップ118で、抽出された機種名と同じ機種名を有するプリンタが複数存在するか否かを判断した結果、複数存在すると判断された場合、即ち、同じ機種名を有するプリンタが複数ある場合は、図17に示す「選択送信処理」を実行する。
図17は第5の実施の形態に係る「絞込み処理」の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップ500で、対象プリンタの周辺を撮影部47に撮影させて、プリンタの周辺画像を取得する。周辺画像は、プリンタを含み、プリンタが設置された場所の周辺を表す画像である。
また、複数の機器各々の情報管理部には、機器の周辺画像を表す画像情報が予め登録されて保持されている。通信可能な機器からHMD30に送信される「機器情報」には、プリンタであることを表す情報、及び機種名の情報に加えて、プリンタの周辺画像情報が含まれている。HMD30が、プリンタの情報を検索すると、通信可能な複数のプリンタの情報が利用者に一覧表示される。
図18は第5の実施の形態で用いる、プリンタの機種名と宛先と周辺画像との対応関係の一例を示す図表である。図18に示すように、テーブル87では、例えば、機種名「PrinterA」には、宛先「AAA.AAA.AAA」と「PrinterA」の周辺画像88というように、プリンタの機種名と宛先と周辺画像とが対応付けられている。この例では、宛先はIPアドレスである。
周辺画像88では、機種名「PrinterA」のプリンタが隅に配置されている。周辺画像90では、機種名「PrinterB」のプリンタが柱の側に配置されている。周辺画像92では、同じ機種名「PrinterC」の2台のプリンタが隣り合わせに配置されている。
次に、ステップ502で、「画像比較処理」を実行する。「画像比較処理」では、撮影された画像形成装置10の周辺画像を、一覧表示された複数のプリンタの周辺画像の各々と比較して、周辺画像の類似性を求める。
周辺画像には、プリンタだけでなく、プリンタが配置された場所(現実空間)が背景として写り込んでいる。周辺画像の類似性は、プリンタの形状が類似するか否かと、背景画像が類似するか否かという2つの観点から判断される。同じ機種名を有するプリンタが複数ある場合は、プリンタの形状は同一である。したがって、本実施の形態では、背景画像の類似性から周辺画像の類似性を判定する。
図19は周辺画像の一例を示す模式図である。図19に示すように、周辺画像は、三次元形状データで表されていてもよい。三次元形状データは、立体モデルを単位要素の集合として表現するデータである。OBJフォーマットの三次元形状データでは、立体モデルは三角形のポリゴンの集合として表現される。現実空間の特徴点も、立体モデルと同様に、単位要素の集合として表現される。
次に、ステップ504で、周辺画像が類似するプリンタがあるか否かを判断する。周辺画像が類似するプリンタがある場合は、ステップ506に進み、周辺画像が類似するプリンタがない場合は、ステップ522に進む。
次に、ステップ506で、周辺画像、即ち、背景画像が尤も類似するプリンタの宛先情報を取得する。次に、ステップ508で、取得された宛先に印刷データを送信する。蓄積プリントが指定できる場合は、蓄積プリントを指定して印刷データを送信する。次に、ステップ510で、印刷処理が実行されたか否かを判断する。印刷処理が実行された場合は、ルーチンを終了し、印刷処理が実行されていない場合は、ステップ512に進む。
次に、ステップ512で、類似する他のプリンタがあるか否かを判断する。類似する他のプリンタがある場合は、ステップ514に進み、類似する他のプリンタがない場合は、ステップ520に進む。ステップ520では、「印刷処理を実行するプリンタが見つかりません。」等の、警告メッセージを表示して、ルーチンを終了する。
次に、ステップ514で、先に印刷データを送信したプリンタに蓄積された不要な印刷データを削除する。次に、ステップ516で、周辺画像が次に類似するプリンタの宛先情報を取得する。次に、ステップ518で、取得された宛先に印刷データを送信して、ルーチンを終了する。
例えば、対象プリンタの機種名が「PrinterC」である場合、図18に示すように、同じ機種名「PrinterC」の2台のプリンタが表示される。隣り合う2台のプリンタは、形状が同一であり、背景画像も類似する。したがって、一方のプリンタが、背景画像が尤も類似するプリンタとなり、他方のプリンタが、背景画像が次に類似するプリンタとなる。
一方、ステップ504で周辺画像が類似するプリンタがないと判断してステップ522に進んだ場合は、ステップ522で、上記の「認証設定確認処理」を実行する。次に、ステップ524で、確認結果に基づいて認証設定が行われているか否かを判断する。設定されていない場合は、ステップ526に進み、設定されている場合は、ステップ526及び528を飛ばしてステップ530に進む。
次に、ステップ526で、IDとパスワードを印刷データに付与する。次に、ステップ528で、付与されたIDとパスワードを利用者に表示する。次に、ステップ530で、同じ機種名(特徴)を有する複数のプリンタの宛先情報を取得する。次に、ステップ532で、取得された複数の宛先の各々に印刷データを送信する。次に、ステップ534で、印刷処理が実行されたか否かを判断する。印刷処理が実行された場合は、ステップ536に進み、印刷処理が実行されていない場合は、ステップ534で判断を繰り返す。
次に、ステップ536で、印刷処理を実行したプリンタ以外に、蓄積機能を有する他のプリンタがあるか否かを判断する。他のプリンタがある場合は、ステップ538に進み、他のプリンタがない場合は、ステップ538を飛ばしてステップ540に進む。次に、ステップ538で、他のプリンタに蓄積された不要な印刷データを削除する。
次に、ステップ540で、印刷処理を実行した対象プリンタの機種名、宛先、周辺画像をテーブル87に追加してテーブル87を更新する。更新されたテーブル87を、例えばHMD30のメモリ44等の記憶装置に記憶して、ルーチンを終了する。
なお、テーブル87は、HMD30以外の他の装置の記憶装置に記憶しておいてもよい。対象プリンタが特定された場合は、次回からはテーブル87を参照して、特定された対象プリンタの宛先を取得する。
<変形例>
なお、上記実施の形態で説明した情報処理装置、プログラム及び情報送信システムの構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
上記の実施の形態では、情報を送信する機器として「HMD」を用いる情報送信システムの例について説明したが、情報を送信する機器は、撮影装置を備える情報処理装置であればよく、HMDには限定されない。撮影装置を備える情報処理装置としては、例えば、スマートフォンやタブレット等のカメラ付き携帯端末、ビデオカメラ等が挙げられる。
図20は情報送信システムの構成の変形例を示す概略図である。図20に示すように、HMD30に代えて、カメラ付き携帯端末28を用いてもよい。この場合は、利用者20が、携帯端末28のカメラで対象プリンタ10の画像を撮影する。また、各種の操作画面は、携帯端末28の表示部に表示される。利用者は、操作画面を操作して各種の指示や設定を行う。
上記の実施の形態では、情報を受信する機器として「画像形成装置」を用いる情報送信システムの例について説明したが、情報を受信する機器は、受信した情報に応じて動作する機器であれば特に制限はなく、画像形成装置には限定されない。
例えば、受信した情報に応じて動作する機器をファクスとし、HMDからファクスに文書データを送信するシステムとしてもよい。また、撮影装置を備える情報処理装置をビデオカメラとし、受信した情報に応じて動作する機器をディスプレイとして、ビデオカメラからディスプレイに映像データを送信するシステムとしてもよい。