以下の説明において、適宜、図1などに示すXYZ直交座標系を参照する。このXYZ直交座標系において、X方向およびY方向は、それぞれ、移動体の移動方向(例、移動面に平行な方向)である。また、このXYZ直交座標系において、Z方向は、移動体の移動方向に垂直な方向である。また、各方向において、適宜、矢印の先端と同じ側を+側(例、+Z側)、矢印の先端と反対側を−側(例、−Z側)と称す。例えば、鉛直方向(Z方向)において、上方が+Z側であり、下方が−Z側である。なお、各図面においては、適宜、縮尺が変更され、一部または全部が模式的に記載される。
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。このエンコーダ装置ECは、移動体2(移動部、移動部材)の位置情報(移動位置情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、例えばロータリエンコーダである。移動体2は、例えばモータM(動力供給部)の回転軸SFであり、移動体2の移動は、例えば所定の軸まわりの回転である。また、移動体2の位置情報は、例えば、回転軸SFの回転位置情報である。
なお、移動体2(回転体)は、回転軸SF以外の部材でもよい。例えば、移動体2は、後に説明するスケール3でもよい。また、移動体2は、移動面上を直線的または曲線的に移動(例、平行移動)する物体でもよい。移動体2の移動は、移動体2の重心移動を伴う移動でもよい。
回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転体、回転部材)である。回転軸SFは、作用軸(出力軸)であってもよい。作用軸は、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続され、かつ負荷に接続される軸である。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、所定の回転方向に回転する回転軸SFの回転を制御する。なお、エンコーダ装置ECは、例えばリニアエンコーダでもよく、リニアモータ、平面モータなどの動力駆動部における移動体の位置情報を検出してもよい。
エンコーダ装置ECは、例えば、多回転アブソリュートエンコーダである。エンコーダ装置ECは、回転軸SFの回転の数を示す情報(例、多回転情報)、及び1回転未満の角度位置(回転角)を示す情報(例、角度位置情報)を含む回転位置情報を検出可能である。エンコーダ装置ECは、多回転情報と角度位置情報との一方のみを含む回転位置情報を検出してもよい。
エンコーダ装置ECは、スケール(円板)3、検出部4、位置検出部(回転位置検出部)6、誤差検出部7、及び補正部8を備える。エンコーダ装置ECは、回転軸SFの回転位置情報を、パターンPと検出部4との相対位置の誤差情報(位置誤差)を用いて補正する。例えば、補正部8は、上記の誤差情報を用いて回転軸SFの回転位置情報を補正する補正回路を備える。なお、エンコーダ装置ECは、誤差検出部7と補正部8とにおける複数機能の回路を1つに実装した集積回路(例、特定用途向け集積回路、FPGA)を備える構成でもよい。図2は、パターンPと検出部4との互いの理想的な位置関係、及び理想的な位置関係に対する誤差を説明する図である。なお、図2には、検出部4(受光センサ)が、その外周が中心をP(o)とする円Co上にあり、その内周が円Coよりも半径が小さく中心をP(i)とする円Ci上にある例を示した。パターンPと検出部4との相対位置の誤差情報は、スケール3のパターンPに対応して検出部4をエンコーダ装置ECの本体部B(図24参照)に取り付ける場合などに生じる、パターンPと検出部4との互いの理想的な位置関係(理想状態、基準状態)に対する誤差を含む。また、上記のパターンPと検出部4との互いの理想的な位置関係に対する誤差は、エンコーダ装置ECの製造後においても、エンコーダ装置ECの経年劣化などにより生じることもある。上記の理想的な位置関係は、検出部4(受光センサ)の円弧の中心点C(S)(各受光センサセルの境界線(分割線)LB(S)の交点)と、検出部4上に結像したスケール3のパターンPの像ImPの円弧の中心点C(Im)(各パターンPの像ImPの境界線(分割線)LB(Im)の交点)とが一致する位置関係(相対位置)を含む。なお、パターンPと検出部4との相対位置の誤差情報は、例えば、回転軸SFに対して同心に固定されたスケール3(又は回転軸SF)の中心点(又は回転軸点)を絶対座標の原点とした場合、その原点とスケール3のパターンPの像ImPの円弧の中心点C(Im)とのずれ(原点に対する絶対位置の誤差)を含む。また、検出部4の各受光センサセルが受光する光量(強度)のばらつきを補正するために光源(照射部9)から遠い位置にある受光センサセルの受光面積を広くして、検出部4(受光センサ)の中心点C(S)と、検出部4上に結像したスケール3のパターンPの像ImPの中心点C(Im)とが一致していないエンコーダ装置ECの場合であっても、パターンPと検出部4との互いの理想的な位置関係は、検出部4における各受光センサセルの境界線LB(S)の交点C(S)とスケール3のパターンPの像ImPの円弧の中心点C(Im)とが一致する位置関係(相対位置)を含む。そして、この場合、上記相対位置の誤差情報は、検出部4における各受光センサセルの境界線LB(S)の交点とスケール3のパターンPの像ImPの円弧の中心点C(Im)とが一致する位置関係(相対位置)に対する誤差を含む。
スケール3は、例えば、モータMの回転軸SFに対して固定される。スケール3は、例えば、回転軸SFにおいて負荷に接続される側の反対側(反出力軸側)に設けられる。スケール3が反出力軸側に設けられる場合、負荷などからの汚れ(例、油)がスケール3に付着することが抑制される。スケール3は、例えば、円板状の部材であり、+Z方向の上面及び−Z方向の下面がXY平面に平行である。スケール3は、回転軸SFに対して垂直(XY平面に平行)であり、且つ軸AX1(回転軸SFの回転中心軸)がスケール3の中心C1を通るように、配置される。ここでは、スケール3は、スケール3を透過した光が回転位置情報の取得に利用される透過型であるが、スケール3で反射した光が回転位置情報の取得に利用される反射型でもよい。
スケール3は、所定のパターンPを有する。パターンPは、例えば、回転軸SFを中心とする円の周方向に配列される複数の図形(例、スリットパターン、明暗パターン)を含む。パターンPは、例えば、インクリメンタルパターンINC(第2パターン)およびアブソリュートパターンABS(第1パターン)を含む。インクリメンタルパターンINCおよびアブソリュートパターンABSは、それぞれ、スケール3の上面に円環状(リング状)に設けられる。アブソリュートパターンABSとインクリメンタルパターンINCとは、回転軸SFに関する放射方向において、回転軸SFからの距離(回転軸SFに関する径方向の位置)が互いに異なる。回転軸SFに関する放射方向は、回転体(例、スケール3)の径方向に相当する。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、同心円状に設けられ、それぞれの中心がスケール3の中心C1(図1参照)とほぼ一致する。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、スケール3の計方向に対して、2列に配置される。本実施形態では、インクリメンタルパターンINCは、アブソリュートパターンABSに対して外側に設けられている。インクリメンタルパターンINCは、アブソリュートパターンABSに対して内側に設けられてもよい。
スケール3の上方には、例えば、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSに光を照射する照射部9が設けられる。照射部9は、例えば、発光ダイオード(LED)等の固体光源を含む。照射部9は、発光ダイオード以外の固体光源(例、レーザダイオード)を含んでもよいし、ランプ光源を含んでもよい。
スケール3の下方(スケール3に対して照射部9と反対側)には、検出部4(光学センサ)が設けられる。検出部4は、回転軸SFの回転によってスケール3のパターンPと相対的に移動し、パターンPを検出する。検出部4は、回転軸SFの回転に伴ってインクリメンタルパターンINCに対する相対位置およびアブソリュートパターンABSに対する相対位置が変化する。検出部4は、インクリメンタルパターンINCおよびアブソリュートパターンABSを検出する。透過型の場合、検出部4は、照射部9から照射された光のうち、インクリメンタルパターンINCを透過した光と、アブソリュートパターンABSを透過した光とを検出する。検出部4は、インクリメンタルパターンINCの像を検出し、また、アブソリュートパターンABSの像を検出してもよい。
なお、エンコーダ装置ECは、検出部4が回転軸SFに対して固定され、インクリメンタルパターンINCおよびアブソリュートパターンABSが回転軸SFの外部に対して固定される構成でもよい。この構成においても、検出部4は、回転軸SFの回転に伴ってインクリメンタルパターンINCに対する相対位置およびアブソリュートパターンABSに対する相対位置が変化する。
図3は、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一例を示す図である。インクリメンタルパターンINCは、複数のスリット12aを含む。複数のスリット12aは、例えばスケール3の周方向に一定の角度間隔で配列される。複数のスリット12aの各々は、例えば、扇状あるいは矩形状の図形である。扇状の図形は、例えばその中心角が小さい場合に、矩形状の図形に近似可能である。
アブソリュートパターンABSは、例えば、M系列によって定まったパターンである。アブソリュートパターンABSは、複数のスリット12bを含む。複数のスリット12bは、例えばスケール3の周方向に配列される。複数のスリット12bは、例えば、それぞれ扇状あるいは矩形状の図形である。複数のスリット12bは、それぞれ、スケール3上の回転位置と対応付けられている。エンコーダ装置ECは、例えば連続するスリット12bの配列パターンを検出することにより、スケール3の回転位置(絶対位置)を特定することができる。例えば、エンコーダ装置ECは、アブソリュートパターンABSがM系列によって定まったパターンである場合、N個の連続するスリット12bの配列パターンを検出することにより、スケール3の回転位置(絶対位置)を特定する。なお、スケール3が反射型スケールである場合、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、それぞれ、光を反射する明部と光を吸収する暗部とを有する明暗パターンである。
図4は、検出部を示す図である。図4(A)は、+Z方向から見た検出部4を示す図であり、図4(B)は、検出部4上のインクリメンタルパターンINCの像Im1及びアブソリュートパターンABSの像Im2を示す図である。
検出部4は、インクリメンタルパターンINCからの光と、アブソリュートパターンABSからの光とを個別に検出する。図4(A)に示すように、検出部4は、第1検出部4A(第1受光センサ)と、第2検出部4B(第2受光センサ)とを備える。第1検出部(例、インクリメンタルパターン用受光センサ)4Aは、インクリメンタルパターンINCからの光を検出する。第2検出部(例、アブソリュートパターン用受光センサ)4Bは、アブソリュートパターンABSからの光を検出する。第1検出部4Aと第2検出部4Bとは、例えば、1つの基板に設けられる。
第1検出部4Aは、扇状の領域に配列される複数の検出領域Raを有する。例えば、第1検出部4Aは、所定方向(例、回転軸SFの回転方向)にアレイ状に配置された複数の受光センサセルを有する受光センサアレイである。各受光センサセルは、例えば、フォトダイオードなどの受光素子(光電変換素子)を含む。各検出領域Raは、1または2以上の受光センサセルを含む。ここでは、各検出領域Raに含まれる受光センサセルの数が1つであるとする。各検出領域Raは、例えば、扇状または矩形状(短冊状)である。受光センサアレイの場合、出力信号を大きくすることができ、その結果、出力信号の安定性を増すことができる。各検出領域Raは、それぞれ、光を検出する。複数の検出領域Raは、回転軸SFを中心とする円の周方向(例、回転軸SFの回転方向)に配列される。複数の検出領域Raは、インクリメンタルパターンINCに対応して配列される。複数の検出領域Raは、インクリメンタルパターンINCと対応する円環の一部の領域に配列される。複数の検出領域Raは、インクリメンタルパターンINCに対応する円環の周方向(例、回転軸SFの回転方向)に配列される。複数の検出領域Raは、インクリメンタルパターンINCに対向して配列(配置)される。
第2検出部4Bは、扇状の領域に配列される複数の検出領域Rbを有する。例えば、第2検出部4Bは、所定方向(例、回転軸SFの回転方向)にアレイ状に配置された複数の受光センサセルを有する受光センサアレイである。各受光センサセルは、例えば、フォトダイオードなどの受光素子(光電変換素子)を含む。各検出領域Rbは、1または2以上の受光センサセルを含む。ここでは、各検出領域Rbに含まれる受光センサセルの数が1つであるとする。各検出領域Rbは、例えば、扇状または矩形状(短冊状)である。第2検出部4Bは、アブソリュートパターンABSがN次のM系列のパターンである場合、一列に並ぶN個の受光センサセルを含む。各検出領域Rbは、それぞれ、光を検出する。複数の検出領域Rbは、回転軸SFを中心とする円の周方向(例、回転軸SFの回転方向)に配列される。複数の検出領域Rbは、複数のRaの同心円上に設けられている。複数の検出領域Rbは、アブソリュートパターンABSに対応して配列される。複数の検出領域Rbは、アブソリュートパターンABSと対応する円環の一部の領域に配列される。複数の検出領域Rbは、アブソリュートパターンABSに対応する円環の周方向(例、回転軸SFの回転方向)に配列される。複数の検出領域Rbは、アブソリュートパターンABSに対向して配列(配置)される。
なお、上記したスケール3(パターンP(インクリメンタルパターンINC、アブソリュートパターンABS)、及び検出部4(第1検出部4A、第2検出部4B)は、一例であり、他の構成でもよい。例えば、第1検出部4A及び第2検出部4Bの一方または双方は、図2の検出部4の形状でもよいし、また、検出部4の中心点C(S)(図2参照)と、検出部4上に結像したスケール3のパターンPの像ImPの中心点C(Im)(図2参照)とが一致しない構成でもよい。
図4(B)に示すように、複数の検出領域Raには、インクリメンタルパターンINCを透過した光により、インクリメンタルパターンINCの像Im1が形成される。複数の検出領域Raは、それぞれ、受光した光の量に応じた電圧(以下、出力電圧という)を出力する。第1検出部4Aは、例えば、信号処理回路を含む。第1検出部4Aは、その検出結果として、複数の検出領域Raが出力した出力電圧をもとに生成した検出信号(第1検出部4Aの検出結果を示す信号)を位置検出部6に出力する。例えば、第1検出部4Aは、その検出結果として、複数の検出領域Raが出力した出力電圧に基づいた1つの検出信号を位置検出部6に出力する。
また、第1検出部4Aは、所定の検出領域Raが出力した出力電圧を変換した信号を誤差検出部7に出力する。上記の所定の検出領域Raは、誤差検出部7における処理に用いられる信号を出力する検出領域Raである。第1検出部4Aは、例えば、出力電圧を増幅、AD変換すること等により、デジタル形式の信号を生成し、各部に出力する。例えば、各検出領域Raは、移動方向(例、パターンPに対応する周方向、回転軸SFの回転方向)に等間隔で配置されるインクリメンタルパターンINCからの周期的な透過光を検出し、第1検出部4Aは、その検出結果として、疑似的な正弦波を出力する。
また、複数の検出領域Rbには、アブソリュートパターンABSを透過した光により、アブソリュートパターンABSの像Im2が形成される。複数の検出領域Rbは、それぞれ、受光した光の量に応じた出力電圧を出力する。第2検出部4Bは、例えば、信号処理回路を含む。第2検出部4Bは、その検出結果として、複数の検出領域Rbが出力した出力電圧をもとに生成した検出信号(第2検出部4Bの検出結果を示す信号)を位置検出部6に出力する。第2検出部4Bは、例えば、複数の検出領域Rbの出力電圧を増幅、AD変換すること等により、デジタル形式のアブソリュート信号を生成して、位置検出部6に出力する。
図1の説明に戻り、位置検出部6は、検出部4の検出結果を用いて、回転軸SFの回転位置情報を算出する。位置検出部6は、例えば、信号処理回路を含む。位置検出部6は、例えば、第1検出部4Aから出力された検出信号、及び第2検出部4Bから出力された検出信号に基づいて、回転軸SFの回転位置情報を算出する。
位置検出部6は、第1検出部4Aから出力された検出信号(例、アブソリュート信号)と、参照テーブルとを用いて、回転軸SFの回転位置情報を算出する。参照テーブルは、例えば、アブソリュート信号の「0」、「1」の配列パターンと、回転軸SFの回転位置とを関連付けた情報である。位置検出部6は、アブソリュート信号を参照テーブルと照合することにより、回転軸SFの回転位置を第1の分解能で表した第1の回転位置を算出する。
また、位置検出部6は、例えば、第2検出部4Bから出力された検出信号を用いて、所定の内挿処理を行い、第1の分解能よりも高い第2の分解能で表した回転角(回転位置の変化量)を算出する。位置検出部6は、例えば、第1の分解能で表した第1の回転位置と、第2の分解能で表した回転角とを合成し、第1の回転位置よりも分解能が高い第2の回転位置を算出する。
なお、回転軸SFの回転位置情報は、回転軸SFの回転に関する情報であり、回転軸SFの回転位置を含む。回転位置情報は、例えば、回転軸SFの回転位置(角度位置)、回転角(回転位置の変化量)、角速度、及び角加速度の少なくとも1つを含む。回転軸SFの回転位置は、例えば、基準の位置からの回転角である。回転位置情報は、回転数を区別しない情報でもよいし、回転数を区別する情報でもよい。回転位置情報は、例えば所定のビット数の2進数で表され、度(deg)に換算される値でもよいし、ラジアン(rad)に換算される値でもよい。
ところで、スケール3(パターンP)と検出部(検出領域)4とは、例えば、検出部4をエンコーダ装置ECの本体部B(図24参照)へ取り付ける際に生じた取り付け誤差により、相対位置が設定値からずれている場合がある。パターンPと検出部4との相対位置の設定値は、図2に示した理想的な位置関係であり、検出部4における各受光センサセルの境界線LB(S)の交点C(S)とスケール3のパターンPの像ImPの円弧の中心点C(Im)とが一致する位置関係となる、パターンPと検出部4との相対位置である。例えば、この設定値は、回転軸SFに対して同心に固定されたスケール3(又は回転軸SF)の中心点(又は回転軸点)を絶対座標の原点とした場合、その原点とスケール3のパターンPの像ImPの円弧の中心点C(Im)とが一致する位置である。例えば、この設定値は、スケール3(パターンP)の位置が、回転軸SFに対して同心に固定されたスケール3(又は回転軸SF)に対して、偏心がなく、特定の距離であり、且つスケール3(パターンP)の中心点とスケール3(又は回転軸SF)の中心点とが一致する位置である。例えば、この設定値は、設計値である。パターンPと検出部4との相対位置の誤差(位置誤差)があると、検出部4の検出結果から得られる回転位置情報に誤差が生じる。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、上記のようなパターンPと検出部4との相対位置の誤差によって生じる回転軸SFの回転位置情報の誤差を補正することができる。
図1に示す誤差検出部7は、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を検出する。例えば、誤差検出部7は、パターンPと検出部4との相対位置の設定値(例、設計値)に対して、エンコーダ装置ECに取り付けられたパターンPと検出部4との相対位置の誤差を求める。誤差検出部7は、位相差算出部10と、誤差算出部11と、を備える。位相差算出部10は、検出部4(図4の複数の検出領域Ra、複数の検出領域Rb)のうち位置(例、受光位置、配置位置)が互いに異なる3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号(例、第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3)間の位相差を算出する。上記の互いに異なる3以上の検出領域は、それぞれ、上記のようにアレイ状に配置された複数の受光センサセル(受光素子)から選択される。誤差算出部11は、位相差算出部10が算出した信号間の1回転内の所定周期(例、1周期、2周期)における位相差(例、第1信号S1と第2信号S2との信号の位相差(第1位相差)(例、第1信号S1に対する第2信号S2の位相遅れ度合い)と、第2信号S2と第3信号S3との信号の位相差(第2位相差)(例、第2信号S2に対する第3信号S3の位相遅れ度合い)との2つの位相差)を使って、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を算出する。後述するが、例えば、位相差算出部10は、複数の検出領域(検出領域Ra、検出領域Rb)から選択した少なくとも3つの出力信号間の2以上の位相差を算出する。そして、誤差算出部11は、位相差算出部10が算出した2以上の位相差を用いて、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を算出する。また、例えば、誤差算出部11は、互いに異なる3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号間の位相差(例、上記第1位相差、第2位相差など)のうち少なくとも2つの位相差を用いて、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を求めることを含む。
誤差検出部7によるパターンPと検出部4との相対位置の誤差の検出の例を説明する。図5(A)は、誤差検出に用いられる検出領域を示す図である。図5(B)は、検出領域とパターンとの位置関係を示す図である。図5(A)には、第1検出領域R1、第2検出領域R2及び第3検出領域R3が、それぞれ、検出領域Ra0、検出領域Ra1、検出領域Ra2である例を示した。図5(A)に示した検出領域Ra0、検出領域Ra1、及び検出領域Ra2は、それぞれ、同一の寸法および形状の受光センサセルである。図5(A)に示した第1検出部4Aは、扇状であり、第1検出部4Aの円弧状の外周の曲率中心と円弧状の内周の曲率中心とはほぼ一致する。以下の説明において、第1検出部4Aの外周の曲率中心と第1検出部4Aの内周の曲率中心とを単に第1検出部4Aの曲率中心という。
図5(A)の符号θ1は、検出領域Ra0の回転位置と、検出領域Ra1の回転位置との差(回転角、回転位置の差分)である。検出領域Ra0の回転位置は、第1検出部4Aの曲率中心から放射状に延びて検出領域Ra0の中心を通る線L0(検出領域Ra0の二等分線)の回転位置である。検出領域Ra1の回転位置は、第1検出部4Aの曲率中心から放射状に延びて検出領域Ra1の中心を通る線L1(検出領域Ra1の二等分線)の回転位置である。図5(A)の符号θ2は、検出領域Ra0の回転位置と、検出領域Ra2の回転位置との差(回転角、回転位置の差分)である。検出領域Ra2の回転位置は、第1検出部4Aの曲率中心から放射状に延びて検出領域Ra2の中心を通る線L2(検出領域Ra2の二等分線)の回転位置である。
図5(B)の符号r1は、第1検出部4Aの曲率中心と第1検出部4Aの内周との距離(第1検出部4Aの内周の曲率半径)である。図5(B)の符号r2は、第1検出部4Aの曲率中心と第1検出部4Aの外周との距離(第1検出部4Aの外周の曲率半径)である。図5(B)の符号R1は、パターンPの像Im1の曲率中心と像Im1の内周との距離(像Im1の内周の曲率半径)である。図4(B)の符号R2は、像Im1の曲率中心と像Im1の外周との距離(第1検出部4Aの外周の曲率半径)である。図5(B)の符号φは、検出領域Raが回転方向に配列される周期(回転角)、及び像Im1が配列される周期(回転角)である。図5(B)の符号φ/2は、像Im1の中心角である。図5(B)の符号ψは、検出領域Raの中心角である。
次に、検出部4とパターンPとの相対位置が設定値である状態について説明する。図6(A)から(C)は、それぞれ、検出部とパターンとの相対位置が設定値であるときの検出領域の出力信号を示す図である。図6(A)から(C)は、それぞれ、第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3を示す図である。図5(A)の第1検出領域R1(検出領域Ra0)、第2検出領域R2(検出領域Ra1)、及び第3検出領域R3(検出領域Ra2)は、それぞれ、検出結果として、第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3を出力する。例えば、第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3は、それぞれ、移動方向(例、パターンPに対応する周方向、回転軸SFの回転方向)に等間隔に配置されたインクリメンタルパターンINCからの周期的な透過光(又は反射光)により、正弦波状の信号となる。各検出領域において所定の時間間隔(例、サンプリング周波数)で位置検出が実行される場合、時間に対する信号レベルは、例えば離散的な分布である。図6などでは、信号の波形(時間に対する信号レベルの分布)を、離散的な分布を結んだ平滑線で表す。
第1検出部4Aと像Im1との相対位置が設定値である状態(以下、理想状態という)では、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、例えば信号の位相が互いに一致する。検出部4とパターンPとの相対位置の設定値は、例えば、設計値などの予め定められた値である。第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3の振幅は、それぞれ、検出領域(受光センサセル)の受光量に比例する。第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3の位相が互いに一致するとき、検出領域Ra0、検出領域Ra1、検出領域Ra2は、領域上に形成される像Im1との重なり具合が一致する。検出領域Ra0、検出領域Ra1、検出領域Ra2が、それぞれ、像Im1との重なり具合が互いに一致するのは、例えば、第1検出部4Aの曲率の中心と像Im1の曲率の中心とが、互いに一致するときである。上記の理想状態は、例えば、第1検出部4Aの曲率の中心と像Im1の曲率の中心とが一致する状態である。上記の理想状態は、例えば、検出部4とパターンPとの相対位置に誤差がない状態である。
図7は、検出部4とパターンPとの相対位置が図中の矢印方向に設定値からずれている状態の例を示す図である。図7に示す例では、第1検出部4Aと像Im1との相対位置が設定値である状態(例、理想状態)を点線で示す。また、第1検出部4Aと像Im1との相対位置が設定値からずれている状態(以下、誤差状態という)を実線で示した。誤差状態は、例えば、スケール3と検出部4との一方または双方に取り付け誤差が存在する状態である。図8(A)から(C)は、それぞれ、誤差状態における検出領域の出力信号(第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3)を示す図である。
誤差状態のとき、図8(A)から(C)に示すように、第1信号S1、第2信号S2及び第3信号S3は、位相が互いにずれて出力される。このずれた状態では、検出領域Ra0、検出領域Ra1、及び検出領域Ra2は、それぞれ、領域上に形成される像Im1との重なり具合が、理想状態に対してずれている(図7参照)。その結果、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、位相が互いにずれる。例えば、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3の位相は、それぞれ、検出領域と像Im1との検出部4の受光面における重なり具合に基づき、上記の位相が互いに一致した状態からずれる。
図9(A)は、第1検出部4A及びインクリメンタルパターンINCの位置を示す図である。図9(B)は、スケール3の移動に伴うインクリメンタルパターンINCの移動を示す図である。図9(A)において、Y方向は、図5(A)の線L0と同じ方向である。図9(A)の符号θは、反時計回りを正とするスケール3の回転角を示す。
図9(B)の符号Rは、第1検出部4Aの曲率中心と第1検出部4Aの外周と内周との中間との距離である。すなわち、Rは(r1+r2)/2である。図9(B)の符号Δxは、スケール3(像Im1)のX方向の変位量である。図9(B)の符号Δθは、変位量Δxを第1検出部4Aの曲率中心に対する回転角で近似した値である。図9(B)には、理想状態のインクリメンタルパターンINCを実線で示し、スケール3がX方向にΔx移動した状態(例、誤差状態)のインクリメンタルパターンINCを点線で示した。
第1検出部4A(検出部4)に対してスケール3が相対的にXY平面内で動いたときの検出領域Raの出力信号の位相について説明する。ここでは、検出部4及びスケール3の初期状態を、第1検出部4AとパターンPとの相対位置が理想状態であり、検出領域Ra0の受光量が最大(第1信号S1がピークの状態)となるスケール3(図1参照)の回転位置とする。初期状態のとき、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、それぞれ、図6(A)から(C)の極大ピークとなる。
初期状態からスケール3の回転がなく、且つスケール3が図9(A)のX方向にのみΔxで平行移動していると、像Im1(図7参照)はaΔxの量で移動する。上記aは、スケール3がΔxだけ移動した後の像Im1の初期状態の像Im1に対する倍率である。スケール3が初期状態から移動している場合、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、それぞれ、図6(A)から(C)中の極大ピーク状態ではなくなる。スケール3がΔx移動した場合、検出領域Ra0を受光量が最大となる位置に移動させるには、例えば図9(A)の+θ方向にスケール3を回転させる。スケール3のΔxの移動は、上記したaΔxが検出領域Ra0の曲率半径r1およびr2に対して十分小さい場合、図9(B)に示すように、スケール3の回転移動と近似できる。したがって、スケール3がΔx移動した場合、受光量が最大となる位置に検出領域Ra0を回転移動させる角度は、Δθに近似できる。Δθは、例えば、下記の式(1)で近似される。
スケール3がΔx移動する前後における検出領域Ra0の第1信号S1の位相のずれをP0とすると、P0は上記の式(1)を使って、下記の式(2)で表される。式中φは、検出領域Raが回転方向に配列される周期(回転角)、及び像Im1が配列される周期(回転角)である。(図4(B)参照)
検出領域Ra1及び検出領域Ra2は、それぞれ、検出領域Ra0に対してθ1、θ2傾いている。したがって、像Im1の移動量aΔxの2等分線に垂直な成分は、コサインをかけた値となる。したがって、上記したスケール3のΔx平行移動の前後における、検出領域Ra1の第2信号S2の位相のずれ、及び検出領域Ra2の第3信号S3の位相のずれを、それぞれ、P1、P2とすると、P1は下記の式(3)で表され、P2は下記の式(4)で表される。
また、例えば、検出領域(検出部4)が出力する信号は、上記のような位相のずれを含んでいる。このため、検出領域が出力する信号単体から位相のずれを求めることは、処理の複雑化を招く。そこで、本実施形態のエンコーダ装置ECは、上記の3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号間の差を使って、位相のずれを検出する。例えば、下記のように、エンコーダ装置ECは、P0に対するP1およびP2の差分を取ることで、位相のずれを検出できる。P0に対するP1の差分をΔPx1とし、P0に対するP2の差分をΔPx2とすると、ΔPx1は下記の式(5)で表され、ΔPx2は下記の式(6)で表される。
上記のΔPx1及びΔPx2は、それぞれ、第1信号S1と第2信号S2との位相差(第1位相差)、第1信号S1と第3信号S3との位相差(第2位相差)を表す。ΔPx1及びΔPx2は、それぞれ、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3を使って求めることが可能であるので、ΔPx1及びΔPx2は、測定(検出)可能な数値である。ΔPx1及びΔPx2は、例えば、位相差算出部10により算出される。
また、上記の式(5)及び式(6)において、ΔPx1及びΔPx2は、それぞれ、像Im1の移動量aΔxに比例する。したがって、ΔPx1及びΔPx2を求めることで、像Im1の移動量aΔxを求めることができる。そして、像Im1の移動量aΔxを倍率aで割ることで、スケール3の移動量Δxを求めることができる。Δxは、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対するパターンPのX方向のずれ量(誤差)を示している。したがって、Δxを求めることにより、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対するX方向(例、第1方向)の誤差を求めることができる。Δxは、例えば、誤差算出部11により算出される。
次に、第1検出部4Aに対してスケール3が相対的にY方向に移動しているときの第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3の位相への影響を説明する。なお、以下の説明において、各条件及び各パラメータは、それぞれ、上記した第1検出部4Aに対してスケール3が相対的にX方向に移動しているときと同様であるとする。
上記した初期状態からスケール3の回転がなく、且つ、スケール3が図9(A)のY方向にのみ変位量Δyで移動しているとき、像Im1(図7参照)は、aΔyの量で移動する。スケール3がΔy移動した場合、検出領域Ra0を受光量が最大となる位置に移動させる検出領域Ra0のY方向への移動距離は0である。したがって、スケール3がΔy移動する前後における検出領域Ra0の第1信号S1の位相のずれP0は、下記の式(7)で表される。
スケール3がΔy移動した場合、の検出領域Ra1を受光量が最大となる位置に移動させるには、例えば、スケール3を図9(A)の時計回りにΔθだけ移動(回転)させる。スケール3をΔθだけ回転したときの位相のずれは、Δθにサインをかけた値となる。したがって、上記スケール3がΔy移動する前後における検出領域Ra0の第1信号S1の位相のずれをP1とすると、検出領域Ra1の第2信号S2の位相のずれをP2とすると、P1は下記の式(8)で表され、P2は下記の式(9)で表される。
上記したΔx移動したときと同様に、P0に対するP1の差分をΔPy1とし、P0に対するP2の差分をΔPy2とすると、ΔPy1は下記の式(10)で表され、ΔPy2は下記の式(11)で表される。
上記ΔPy1及びΔPy2は、それぞれ、第1信号S1と第2信号S2との位相差(第1位相差)、第1信号S1と第3信号S3との位相差(第2位相差)を表す。ΔPy1及びΔPy2は、それぞれ、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3信号を使って求めることが可能であるので、ΔPy1及びΔPy2は、測定(検出)可能な数値である。ΔPy1及びΔPy2は、例えば、位相差算出部10により算出される。
また、上記の式(10)及び式(11)において、ΔPy1及びΔPy2は、それぞれ、像Im1の移動量aΔyに比例する。したがって、ΔPy1及びΔPy2を求めることで、像Im1の移動量aΔyを求めることができる。そして、像Im1の移動量aΔyを倍率aで割ることで、スケール3の移動量Δyを求めることができる。Δyは、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対する、パターンPのY方向のずれ量(誤差)を示す。したがって、Δyを求めることにより、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対するY方向(例、第2方向)の誤差を求めることができる。Δyは、例えば、誤差算出部11により算出される。
次に、Δx及びΔyの求め方について説明する。上記した第1位相差(ΔPx1、ΔPy1)、第2位相差(ΔPx2、ΔPy2)は、それぞれ、X方向の位相差とY方向の位相差とが直交するので、1つの式で表すことができる。例えば、ΔP1(第1位相差)は、ΔPx1+ΔPy1で表すことができ、下記の式(12)で表すことができる。また、ΔP2(第2位相差)は、ΔPx2+ΔPy2で表すことができ、下記の式(13)で表すことができる。
ΔP1(第1位相差)及びΔP2(第2位相差)は、それぞれ、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対する誤差の関係を含む。例えば、ΔP1及びΔP2は、それぞれ、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対する、X方向の誤差を示すΔx及びY方向の誤差を示すΔyを含む。また、ΔP1及びΔP2は、それぞれ、第1信号S1、第2信号S2及び第3信号S3から算出した第1位相差(ΔPx1、ΔPy1)及び第2位相差(ΔPx2、ΔPy2)により求められるので、測定可能な値である。また、ΔP1及びΔP2は、それぞれ、スケール3及び検出部4が任意の取り付け状態のときに、エンコーダ装置ECによって測定可能である。また、式(12)及び式(13)において、Δxの係数(倍率aを含む)及びΔyの係数(倍率aを含む)は、それぞれ、検出部4及びパターンPの幾何学的な形状で決定される値である。例えば、Δxの係数及びΔyの係数に含まれるr1、r2、φ、a、θ1、θ2は、それぞれ、設計値から得られる値である。
式(12)及び式(13)を簡単にするため、Δxの係数部分及びΔyの係数部分を、それぞれ、係数Cx1、Cx2、Cy1、Cy2に置き換えると、式(12)は下記の式(14)で表され、式(13)は下記の式(15)で表される。
上記の式(14)と式(15)を連立方程式として解くことにより、Δx及びΔyは、それぞれ、式(16)、式(17)のように表される。Δx及びΔyは、それぞれ、位相差(ΔP1、ΔP2)、及び係数(係数Cx1、Cx2、Cy1、Cy2)を用いて表すことができる。
以上のように、Δx及びΔyは、それぞれ、受光する位置が互いに異なる3つの検出領域(第1検出領域R1、第2検出領域R2、第3検出領域R3)から出力される3つの信号(第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3)間の位相差(第1位相差(ΔP1)、第2位相差(ΔP2))、及び上記した幾何学的な形状で決定される値(係数Cx1、Cx2、Cy1、Cy2(r1、r2、φ、a、θ1、θ2))を使って求めることができる。上記Δx及びΔyは、例えば、誤差算出部11により求められる。
図1の位相差算出部10は、上記した信号間の位相差を算出する。位相差算出部10に用いられる信号を出力する検出領域は、例えば、図5(A)に示すように、インクリメンタルパターンINCを検出する複数の検出領域Raから選択される。例えば、位相差算出部10に用いられる検出領域は、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3である。第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3は、例えば、同一の寸法および形状の検出領域が設定される。第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3は、例えば、互いに移動方向(例、パターンPに対応する周方向、回転軸SFの回転方向)に対して等間隔に配置される。例えば、図5(A)のθ1は、θ1=θ2に設定される。例えば、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3は、互いに重複しない検出領域である。例えば、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3は、それぞれ、1つの受光センサセル(受光素子、撮像素子)である。
位相差算出部10は、例えば、第1信号S1と第2信号S2との間の第1位相差(位相差情報)と、第1信号S1と第3信号S3と間の第2位相差(位相差情報)とを算出する。第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、例えば、正弦波状の信号である。正弦波状の信号は、例えば、正弦波に類似する(正弦波に近似可能な)強度分布(波形)を有する信号であり、完全な正弦波の信号でなくてもよいし、矩形波の信号でもよい。なお、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、それぞれ、1つの受光センサセルが出力する信号でもよいし、2以上の受光センサセルが出力する信号でもよい。例えば、複数の受光センサセルを含む検出領域である場合、その出力信号は、複数の受光センサセルからの信号を処理(例、積算、平均)した信号でもよい。
位相差算出部10は、例えば、第1位相差及び第2位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、上記した式(1)から式(13)を使って、第1位相差と上記のX方向の誤差及びY方向の誤差との関係を示すΔP1(式12)、及び、第2位相差と上記したX方向の誤差及びY方向の誤差との関係を示すΔP2(式13)を算出する。また、例えば、位相差算出部10は、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の形状情報(幾何学的情報)を使って、第1位相差及び第2位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、上記の形状情報として、図5(A)の第1検出部4Aの内周の曲率半径(r1)、第1検出部4Aの外周の曲率半径(r2)、及び検出領域Raが配列される周期(φ)のうち少なくとも1つを使って、第1位相差及び第2位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の位置情報(幾何学的情報)を使って、第1位相差及び第2位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、上記の位置情報として、第1検出領域R1、第2検出領域R2、第3検出領域R3の位置(例、相対位置)を示す情報(例、図5(A)のθ1、θ2)を使って、第1位相差及び第2位相差を算出する。例えば、上記の形状情報及び位置情報は、例えば、設計データ(設計値)である。例えば、上記の形状情報及び位置情報は、例えば、エンコーダ装置ECの記憶部20等に予め記憶される。位相差算出部10が算出した位相差情報(第1位相差、第2位相差)は、誤差算出部11に出力される。
なお、位相差算出部10は、検出部4のうち位置が互いに異なる4以上の検出領域のそれぞれから出力される信号間の位相差を算出してもよい。また、第1位相差と第2位相差の一方または双方の算出に用いられる検出領域は、インクリメンタルパターンINCを検出する複数の検出領域Raのみから選択されてもよいし、アブソリュートパターンABSを検出する複数の検出領域Rbのみから選択されてもよいし、複数の検出領域Ra及び複数の検出領域Rbの双方から選択されてもよい。また、本実施形態のエンコーダ装置ECは、スケール3の径方向に沿う複数の列(トラック)にそれぞれ形成されるインクリメンタルパターンINC(例、第1のインクリメンタルパターン、第2のインクリメンタルパターンなど)と、該複数のインクリメンタルパターンINCに対向して配置される複数の第1検出部4Aとを備える構成(スケール3の径方向に複数のインクリメンタルパターンINCを備える構成)であってもよい。この場合、例えば、位相差算出部10は、上記と同様に、スケール3の径方向に沿って形成された複数の列(トラック)における当該複数のインクリメンタルパターンINCから選定した位置が互いに異なる3以上の検出領域(例、複数のインクリメンタルパターンINCのうち第1のインクリメンタルパターンに基づく2つの検出領域、複数のインクリメンタルパターンINCのうち第2のインクリメンタルパターンに基づく1つの検出領域、等)のそれぞれから出力される信号間の位相差を算出する。
また、第1位相差と第2位相差との一方または双方の算出に用いられる複数の検出領域のうち、少なくとも1つの検出領域は、他の検出領域に対して寸法と形状との一方または双方が異なってもよい。例えば、第1位相差と第2位相差との一方または双方の算出に用いられる複数の検出領域は、曲率半径が互いに異なっていてもよい。また、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の位置関係(例、間隔、配置の順番)は、任意に設定可能である。
また、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の少なくとも2つは、互いに重複してもよい。例えば、第1検出領域R1は、第2検出領域R2の少なくとも一部を含んでもよい。また、第1検出領域R1は、第3検出領域R3の少なくとも一部を含んでもよい。例えば、第1検出領域R1は、第2検出領域R2を含み、かつ第2検出領域R2は第3検出領域R3を含んでもよい。第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3は、例えば、それぞれの中心位置が互いに異なるように設定(選択)される。また、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の少なくとも1つは、複数の受光センサセルを含んでもよい。
また、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の形状情報は、例えば、第1検出部4Aの内周と外周との中間の曲率半径(図9(B)に示すR((r1+R2)/2))を含む。上記の形状情報は、上記のR以外の情報(例、パラメータ)を含んでもよい。例えば、検出領域の形状情報は、上記のRに代えて、第1検出部4Aの内周の曲率半径(r1)を含んでもよいし、第1検出部4Aの外周の曲率半径(r2)を含んでもよい。
誤差算出部11は、例えば、位相差算出部10が算出した位相差情報(例、第1位相差、第2位相差)を使って、上記の誤差(誤差情報)を算出する。例えば、誤差算出部11は、第1位相差及び第2位相差を使って、パターンPに平行な平面内の互いに直交する2方向のそれぞれにおける相対位置の誤差を算出する。例えば、誤差算出部11は、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対するX方向の誤差及びY方向の誤差を算出する。例えば、誤差算出部11は、第1位相差と誤差との関係(関係情報)、及び第2位相差と誤差との関係(関係情報)を使って、誤差を算出する。例えば、上記の関係(関係情報)は、対応関係(対応関係を示す情報)(例、式、関数、テーブル)である。例えば、誤差算出部11は、第1位相差と上記のX方向の誤差及びY方向の誤差との関係を示すΔP1(式12)及び、第2位相差と上記のX方向の誤差及びY方向の誤差との関係を示すΔP2(式13)を使って、式(14)及び式(15)の連立方程式により、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対するX方向の誤差を示すΔx(式(16))、及びY方向の誤差を示すΔy(式(17))を算出する。なお、誤差算出部11は、第1位相差と上記のX方向の誤差及びY方向の誤差との関係を示す予め設定されたテーブルデータを使って、上記の誤差を算出してもよい。
例えば、誤差算出部11は、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の形状情報(幾何学的情報)を使って、上記の誤差を算出する。例えば、誤差算出部11は、上記の形状情報として、図5(A)の第1検出部4Aの内周の曲率半径(r1)、第1検出部4Aの外周の曲率半径(r2)、及び検出領域Raが配列される周期(φ)を使って、上記の誤差を算出する。例えば、誤差算出部11は、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の位置情報(幾何学的情報)を使って、上記の誤差を算出する。また、誤差算出部11は、上記の位置情報として、第1検出領域R1、第2検出領域R2、第3検出領域R3の相対位置を示す情報(例、図5(A)のθ1、θ2、式(2)等のa)を使って、上記の誤差を算出する。上記の誤差(Δx、Δy)は、上記の式(16)及び式(17)で示すように、係数(Cx1、Cx2、Cy1、Cy2)、及び位相差算出部10が算出した位相差情報(第1位相差(ΔP1)、第2位相差(ΔP1))で表される。例えば、上記の式(16)および式(17)に含まれる係数(Cx1、Cx2、Cy1、Cy2)は、上記の形状情報(r1、r2、φ)および位置情報(θ1、θ2、a)が設計値によって予め定まる値であるため、予め算出することができる。すなわち、上記の誤差(Δx、Δy)は、位相差算出部10が算出した位相差情報(第1位相差、第2位相差)と、設計値で定まる上記の形状情報及び位置情報と、を用いて算出することができる。例えば、上記の係数は、上記の形状情報(r1、r2、φ)および位置情報(θ1、θ2、a)を用いて予め算出され、記憶部20に予め記憶される。誤差算出部11は、例えば、記憶部20に記憶された上記の係数(Cx1、Cx2、Cy1、Cy2)、及び位相差算出部10が算出した位相差情報(第1位相差(ΔP1)、第2位相差(ΔP2))を用いて、上記の誤差(Δx、Δy)を算出する。誤差算出部11が算出した誤差は、例えば、補正部8に出力される。なお、誤差算出部11が算出した誤差は、例えば、記憶部20に記憶(格納、一時的に記憶)されてもよい。
補正部8は、誤差算出部11が算出した誤差情報を使って、位置検出部6が算出した回転位置情報を補正する。補正部8は、例えば、誤差検出部7が算出した誤差Δx(式(16))及びΔy(式(17))を使って、上記の回転位置情報を補正する。例えば、補正部8は、誤差情報に基づいて回転位置情報を補正する補正量を算出し、算出した補正量を使って回転位置情報を補正する。補正部8は、誤差検出部7が算出した誤差情報を使って、補正量を算出する。例えば、補正量は、国際出願PCT/JP2016/071006号明細書に記載される方法などで算出される。補正部8は、補正した回転位置情報をモータ制御部MCに出力する。なお、補正部8が算出した補正量は、記憶部20に記憶されてもよい。この場合、補正部8は、記憶部20に記憶されている補正量を用いて、位置検出部6が算出した回転位置情報を補正してもよい。例えば、記憶部20は、回転位置と補正量との関係を示す参照情報(例、テーブルデータ)を記憶し、補正部8は、位置検出部6が検出した回転位置に対して上記の参照情報を参照して、補正量を決定してもよい。
モータ制御部MCは、補正部8が補正した回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。モータMは、例えば、補正後の回転位置情報により制御される。
次に、エンコーダ装置ECの動作を説明する。図10は、エンコーダ装置ECのブロック図である。
照射部9は、例えば、パターンP(インクリメンタルパターンINC、アブソリュートパターンABS)に光を照射する。検出部4はパターンPを光学的に検出する。例えば、第1検出部4Aは、インクリメンタルパターンINCからの光を検出する。第1検出部4Aは、例えば、検出結果として、複数の検出領域Raから得られる検出信号を位置検出部6に出力する。また、第1検出部4Aは、例えば、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3を誤差検出部7に出力する。例えば、第2検出部4Bは、アブソリュートパターンABSからの光を検出する。第2検出部4Bは、例えば、検出結果として、複数の検出領域Rbから得られる検出信号を位置検出部6に出力する。
位置検出部6は、例えば、検出部4の検出結果を用いて、回転軸SFの回転位置情報を算出する。位置検出部6は、例えば、第1検出部4Aから出力された検出信号、及び第2検出部4Bから出力された検出信号に基づいて、回転軸SFの回転位置情報を算出する。位置検出部6は、例えば、算出した回転位置情報を補正部8に出力する。
誤差検出部7は、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を求める。例えば、位相差算出部10は、例えば、第1信号S1と第2信号S2との第1位相差(位相差情報)、及び、第1信号S1と第3信号S3との第2位相差(位相差情報)を算出する。位相差算出部10は、その算出結果(位相差情報)を誤差算出部11に出力する。誤差算出部11は、例えば、位相差算出部10が算出した位相差情報を使って、パターンPと検出部4との相対位置の誤差(誤差情報)を算出する。誤差算出部11は、算出した誤差情報を補正部8に出力する。
補正部8は、誤差情報に基づいた補正後の回転位置情報をエンコーダ装置ECの外部(例、図1のモータ制御部MC)に出力する。モータ制御部MCは、補正部8が補正した回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。これらによって、モータMは、補正後の回転位置情報により制御される。
次に、エンコーダ装置ECの動作に基づき、第1実施形態に係る誤差検出方法について説明する。図11(A)は、エンコーダ装置ECの動作を示すフローチャートである。
ステップS1において、照射部9はパターンPに光を照射する。例えば、照射部9は、インクリメンタルパターンINCおよびアブソリュートパターンABSのそれぞれに対して、光を照射する。ステップS2において、検出部4は、位置が互いに異なる3以上の検出領域を検出する。例えば、上記3以上の検出領域は、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3を含む。例えば、第1検出部4Aは、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3を検出する。ステップS3において、位相差算出部10は、基板上に配置された位置が互いに異なる3以上の検出領域から出力される信号間の位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、第1信号S1と第2信号S2との間の第1位相差と、第1信号S1と第3信号S3と間の第2位相差とを算出する。ステップS4において、誤差算出部11は、位置が互いに異なる3以上の検出領域Rから出力される信号間の位相差を使って、パターンPと検出部4と相対位置の誤差を求める。例えば、誤差算出部11は、位相差算出部10が算出した第1位相差及び第2位相差を使って、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を求める。
次に、エンコーダ装置ECの動作に基づき、第1実施形態に係る位置情報取得方法(例、回転位置情報取得方法)について説明する。図11(B)は、エンコーダ装置ECの動作を示すフローチャートである。
ステップS1からステップS4を行った後、ステップS5において、エンコーダ装置ECは、パターンPと検出部4と相対位置の誤差を使って、位置情報を補正する。例えば、補正部8は、誤差算出部11の誤差情報を使って、位置検出部6が算出した回転位置情報を補正する。例えば、補正部8は、誤差検出部7の誤差情報を使って補正量を算出し、算出した補正量により、位置検出部6が算出した回転位置情報を補正する。
エンコーダ装置ECの一部(例、誤差検出部7、補正部8)は、例えば、CPUなどの汎用演算器およびワークメモリを含むコンピュータ(例、マイクロコンピュータ)と、不揮発性メモリ(例、記憶部20)とを含んでもよい。このコンピュータは、不揮発メモリに記憶される誤差検出プログラムに従って各種の処理を実行してもよい。誤差検出プログラムは、コンピュータに、エンコーダ装置ECにおいてパターンPを検出する検出部4のうち位置が互いに異なる3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号間の位相差を求めることと、信号間の位相差を使って、誤差を求めることと、を実行させる。誤差検出プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
また、上記のコンピュータは、不揮発メモリに記憶される位置情報取得プログラム(例、回転位置情報取得プログラム)に従って各種の処理を実行してもよい。位置情報取得プログラムは、コンピュータに、エンコーダ装置ECにおいてパターンPを検出する検出部4のうち位置が互いに異なる3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号間の位相差を求めることと、信号間の位相差を使って、誤差を求めることと、誤差を使って、位置情報を補正することと、を実行させる。位置情報取得プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
本実施形態のエンコーダ装置EC、位置情報取得方法、及び位置情報取得プログラムは、例えば位置情報を精度よく取得可能である。また、本実施形態のエンコーダ装置EC、位置情報取得方法、位置情報取得プログラム、誤差検出方法、及び誤差検出プログラムは、例えばパターンPと検出部4と相対位置の誤差を簡便に取得可能である。また、本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、自装置で上記の誤差を検出し補正値を生成できるため、例えば、校正用のエンコーダがなくてもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、高精度な校正用のエンコーダを用いなくても、高精度な位置情報を簡便に取得可能である。
また、エンコーダ装置ECは、自装置で上記した誤差を算出するので、例えば、製造時の誤差(例、取り付け誤差)を減らすコスト、手間を減らすことができる、また、エンコーダ装置ECは、自装置で誤差の補正をするので、例えば製造時の誤差の許容量が高くなる。また、エンコーダ装置ECは、製造時の誤差に加えて、製造後に経年変化、衝撃等で生じる誤差も補正することができるので、高い検出精度を維持し、エンコーダ装置の寿命を長くすることができる。また、エンコーダ装置EC、位置情報取得方法、位置情報取得プログラム、誤差検出方法、及び誤差検出プログラムは、上記の誤差を位置が互いに異なる3以上の検出領域から出力される信号間の位相差を使って求めるので、例えば、誤差を検出する検出部(基準角度検出部)を別途設ける必要が無い。例えば、上記の位相差の測定は、エンコーダ装置ECを専用の工具に取り付けなくても実行可能であり、実際に使用する環境で実行可能である。また、エンコーダ装置ECは、例えば、測定対象物と固定された状態(例、最終取り付け状態)において、取り付け先の測定対象(例、回転軸)の偏心偏角等による誤差を補正することも可能である。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図12は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECのブロック図である。本実施形態のエンコーダ装置ECは、上記したスケール3のパターンPに対応して検出部4をエンコーダ装置ECの本体部B(図24参照)に取り付ける場合あるいは製造後の経年変化などに生じる、パターンPと検出部4との互いの理想的な位置関係(理想状態、基準状態)に対する誤差を算出し、誤差を補正することができる。本実施形態のエンコーダ装置ECは、上記の誤差の算出に用いられる第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3が、第1検出部4A及び第2検出部4Bの双方から選択される。本実施形態のエンコーダ装置ECは、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSを検出した結果を用いて、上記の誤差を検出し、補正することができる。パターンP(インクリメンタルパターンINC、アブソリュートパターンABS)、及び検出部4(第1検出部4A、第2検出部4B)は、それぞれ、第1実施形態と同様である。
第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3の少なくとも2つは、第1検出部4A及び第2検出部4Bのアレイ状に配置された複数の受光センサセル(受光素子)から選択される。第1検出領域R1は、例えば、第1検出部4Aの検出領域Raから選択される。第2検出領域R2、及び第3検出領域R3は、第2検出部4Bの検出領域Rbから選択される。第1信号S1は、インクリメンタルパターンINCを検出した信号(インクリメンタル信号)である。第2信号S2及び第3信号S3は、アブソリュートパターンABSを検出した信号(アブソリュート信号)である。
図13は、第1検出部の検出領域及び第2検出部の検出領域を示す図である。第1検出部4Aの複数の検出領域Raは、インクリメンタルパターンINCに対応する円環の周方向(回転方向)に並ぶN個の検出領域を含む。ここでは、複数の検出領域Raのそれぞれを、図13の右側から左側に向かう順に、符号INC−1からINC−Nで表す。例えば、検出領域INC−1から検出領域INC−Nは、それぞれ、同一の寸法および形状である。また、第2検出部4Bの複数の検出領域Rbは、アブソリュートパターンABSに対応する円環の周方向(回転方向)に並ぶM個の検出領域を含む。ここでは、複数の検出領域Rbのそれぞれを、図13の右側から左側に向かう順に、符号ABS−1からABS−Mで表す。例えば、検出領域ABS−1から検出領域ABS−Mは、それぞれ、同一の寸法および形状である。
図13の符号θINCは、検出領域Ra(各検出領域INC−1から検出領域INC−Nのそれぞれ)の中心角である。例えば、中心角θINCは、第1検出部4Aの曲率中心に対して、1つの検出領域Ra(例、検出領域INC−(N−1))の中心の回転位置から、その隣の検出領域Ra(例、検出領域INC−N)の中心の回転位置までの角度である。図13の符号θABSは、検出領域Rbの中心角である。例えば、中心角θABSは、第2検出部4Bの曲率中心に対して、1つの検出領域Rb(例、検出領域INC−(M−1))の中心の回転位置から、その隣の検出領域Rb(例、検出領域INC−M)の中心の回転位置までの角度である。図13の符号r1及び符号r2は、それぞれ、図5(B)の符号r1、r2と同様である。図13の符号r3は、第2検出部4Bの曲率中心と第2検出部4Bの内周との距離(第2検出部4Bの内周の曲率半径)である。図13の符号r4は、第2検出部4Bの曲率中心と第2検出部4Bの外周との距離(第2検出部4Bの外周の曲率半径)である。
第1検出部4Aの端に配置される検出領域INC−Nの回転位置は、第1検出部4Aの曲率中心から放射状に延びて検出領域INC−Nの中心を通る線L4(検出領域INC−Nの二等分線)の回転位置である。検出領域INC−Nの回転位置と第1検出部4Aの中心を通る線L6(対称線)との回転位置の差(回転角)は、下記の式(18)で表される。
第2検出部4Bの端に配置される検出領域ABS−Mの回転位置は、第2検出部4Bの曲率中心から放射状に延びて検出領域ABS−Mの中心を通る線L5(検出領域ABS−Mの二等分線)の回転位置である。検出領域ABS−Mの回転位置と第2検出部4Bの中心を通る線L6(対称線)との回転位置の差(回転角)は、下記の式(19)で表される。
本実施形態の第1検出領域R1は、例えば、検出領域INC−1から検出領域INC−Nを含む。第2検出領域R2は、例えば、検出領域ABS−1に設定される。第3検出領域R3は、例えば、検出領域ABS−Mに設定される。
図14(A)から(C)は、それぞれ、検出部とパターンとの相対位置が設定値である状態(例、理想状態)における第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3を示す図である。図15(A)から(C)は、それぞれ、検出部とパターンとの相対位置が設定値である状態(例、理想状態)からずれた状態(例、誤差状態)における第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3を示す図である。
第1信号S1は、第1検出領域R1(検出領域INC−1から検出領域INC−N)が出力する信号である。例えば、第1信号S1は、例えば、検出領域INC−1から検出領域INC−NのそれぞれがインクリメンタルパターンINCを検出した結果の平均に相当する信号である。第2信号S2は、例えば、第2検出領域R2の検出領域ABS−1が出力する信号である。第3信号S3は、例えば、第3検出領域R3の検出領域ABS−Mが出力する信号である。
アブソリュートパターンABSは、例えば、M系列によって定まったパターンである。アブソリュートパターンABSがN次のM系列の場合、N個のパターンが検出される検出ため、アブソリュートパターンABSを検出する第2検出部4Bには、少なくともN個の検出領域Rbが一列に配列される。M系列は、ある間隔の明暗パターンを一定の規則性にしたがって配列したものである。M系列において、明暗パターンを形成する最小単位となる間隔は、例えば、インクリメンタルパターンINCの間隔の整数倍となっている。したがって、検出部とパターンとの相対位置が設定値である状態では、インクリメンタルパターンINCの検出結果である第1信号S1のピークと、アブソリュートパターンABSの検出結果である第2信号S2のピーク及び第3信号S3のピークとが一致するタイミングが、スケール3が1回転する間に複数存在する。
図14(A)から(C)に示すように、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、検出部4とパターンPとの相対位置が設定値と一致する状態において、例えば、同じタイミングでピークになる。図13の第1検出領域R1、第2検出領域R2及び第3検出領域R3は、例えば、理想状態において、第1信号S1のピークと、第2信号S2のピークと、第3信号S3のピークとが現れるタイミングが一致するように設定される。
14(A)から(C)に示すように、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、それぞれ、検出部4とパターンPとの相対位置が設定値からずれた状態(誤差状態)において、信号の位相が理想状態に対してずれる。第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3が上記のように設定される場合、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3間の位相差を算出することが容易である。なお、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3において所定のタイミングで互いに一致するピークは、それぞれ、極大を示すピークでもよいし、極小を示すピークでもよいし、極大を示すピークと極小を示すピークでもよい。
誤差検出部7について説明する。誤差検出部7は、上記した第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3を使って、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を検出する。位相差算出部10は、例えば、第1信号S1と第2信号S2との第1位相差、第1信号S1と第3信号S3との第2位相差を算出する。誤差算出部11は、位相差算出部10が算出した信号間の位相差を使って、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を算出する。
誤差検出部7による誤差の検出について説明する。まず、インクリメンタルパターンINCの検出結果を示すn番目の検出領域INC−Nが出力する信号の位相のずれについて説明する。第1実施形態と同様に初期状態からスケール3をΔxで平行移動したとき、Δx平行移動の前後における、n番目の検出領域INC−Nが出力する信号の位相のずれΔPx(n)は、上記の式(3)、式(8)及び式(18)を使って、下記の式(20)で表される。また、Δyで平行移動したとき、Δy平行移動の前後における、n番目の検出領域INC−Nの信号の位相のずれΔPy(n)は、上記の式(3)、式(9)及び式(18)を使って、下記の式(21)で表される。
第1信号S1は、検出領域INC−1から検出領域INC−Nの検出結果の平均に相当する信号であるので、Δx平行移動の前後における第1信号S1の位相のずれΔPxINCは、上記の式(20)の1番目からN番目の平均となり、下記の式(22)で表される。また、Δy平行移動の前後における第1信号S1の位相のずれΔPyINCは、同様に、下記の式(23)で表される。
次に、アブソリュートパターンABSの検出結果を示すm番目の検出領域ABS−Mが出力する信号の位相のずれについて説明する。m番目の検出領域ABS−Mが出力する信号の位相のずれは、上記のインクリメンタルパターンINCを検出する信号と同様の方法で算出することができる。Δx平行移動の前後における、m番目の検出領域ABS−Mが出力する信号の位相のずれΔPx(m)は、上記の式(3)、式(8)及び式(19)を使って、下記の式(24)で表される。また、Δyで平行移動したとき、Δy平行移動の前後における、m番目の検出領域ABS−Mが出力する信号の位相のずれΔPy(m)は、上記の式(3)、式(9)及び式(19)を使って、下記の式(25)で表される。なお、式(25)及び式(26)では、インクリメンタルパターンINCを検出する第1信号S1を基準に用いて計算するため、位相差の単位を度に変換する際、θABSではなくθINCで割っている。
式(22)に示すΔx平行移動の前後における第1信号S1の位相のずれΔPxINCに対する第2信号S2の位相の差分をΔPx(ABS−1、INC)(第1位相差)とすると、上記の式(5)と同様に計算することにより、下記の式(26)で表される。また、式(23)に示すΔy平行移動の前後における第1信号S1の位相のずれΔPyINCに対する第2信号S2の位相の差分をΔPy(ABS−1、INC)(第1位相差)とすると、上記の式(6)と同様に計算することにより、下記の式(27)で表される。
式(22)に示すΔx平行移動の前後における第1信号S1の位相のずれΔPxINCに対する第3信号S3の位相の差分をΔPx(ABS−M、INC)(第2位相差)とすると、上記の式(6)と同様に計算することにより、下記の式(28)で表される。また、式(23)に示すΔy平行移動の前後における第1信号S1の位相のずれΔPyINCに対する第3信号S3の位相の差分をΔPy(ABS−M、INC)(第2位相差)とすると、上記の式(11)と同様に計算することにより、下記の式(29)で表される。
上記の式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)において、Δx及びΔyの係数部分は、それぞれ、検出部4及びパターンPの幾何学的な形状で決定される値である。したがって、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)において、Δx及びΔyの係数部分は、係数に置き換えることができる。すなわち、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)から、上記の式(14)及び式(15)と同様の第1位相差及び第2位相差を求めることができる。また、上記の式(14)及び式(15)と同様の第1位相差及び第2位相差を使って、上記の式(15)及び式(16)と同様に、パターンPと検出部4との相対位置に対するX方向の誤差(Δx)及びY方向の誤差(Δy)を算出することができる。
図12の説明に戻り、位相差算出部10は、例えば、3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号のうちアブソリュートパターンABSを検出した2つの信号(例、第2信号S2、第3信号S3)を、3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号のうちインクリメンタルパターンINCを検出した信号(例、第1信号S1)に対してそれぞれ演算して位相差を求める。位相差算出部10は、例えば、第1検出部4AがインクリメンタルパターンINCを検出した結果の平均に相当する第1信号S1と、第2検出部4BがアブソリュートパターンABSを検出した第2信号S2との第1位相差、及び第1信号S1と第3信号S3との第2位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、上記の式(20)から式(29)を使って、パターンPと検出部4との相対位置に対するX方向の誤差及びY方向の誤差に関する情報(例、Δx、Δy)を含む、第1位相差及び第2位相差を算出する。
誤差算出部11は、例えば、誤差算出部11は、位相差算出部10が算出した第1位相差及び第2位相差を使って、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を算出する。例えば、誤差算出部11は、位相差算出部10が算出した式(14)と同様のΔP1(第1位相差)と式(15)と同様のΔP2(第2位相差)と使って、式(14)から式(16)により、上記のX方向の誤差を示すΔx(式(16))、及びY方向の誤差を示すΔy(式(17))を算出する。
次に、エンコーダ装置ECの動作に基づき、第2実施形態に係る誤差検出方法について説明する。第2実施形態に係る誤差検出方法は、第1実施形態の図11(A)を参照して説明する。
ステップS1は、第1実施形態と同様である。ステップS2において、検出部4は、位置が互いに異なる3以上の検出領域で検出する。例えば、第1検出部4Aは、第1検出領域R1で検出する。例えば、第2検出部4Bは、第2検出領域R2及び第3検出領域R3で検出する。ステップS3において、位相差算出部10は、位置が互いに異なる3以上の検出領域から出力される信号間の位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号のうちアブソリュートパターンABSを検出した2つの信号(第2信号S2、第3信号S3)を、3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号のうちインクリメンタルパターンINCを検出した信号(第1信号S1)に対してそれぞれ演算して位相差を求める。位相差算出部10は、例えば、第1検出部4AがインクリメンタルパターンINCを検出した結果の平均に相当する第1信号S1と、第2検出部4BがアブソリュートパターンABSを検出した第2信号S2との第1位相差、及び第1信号S1と第3信号S3との第2位相差を算出する。ステップS4において、誤差算出部11は、位置が互いに異なる3以上の検出領域から出力される信号間の位相差を使って、パターンPと検出部4と相対位置の誤差を求める。例えば、誤差算出部11は、位相差算出部10が算出した式(14)と同様のΔP1(第1位相差)と式(15)と同様のΔP2(第2位相差)と使って、式(14)から式(16)により、パターンPと検出部4との相対位置の設定値に対するX方向の誤差を示すΔx(式(16))、及びY方向の誤差を示すΔy(式(17))を算出する。
なお、本実施形態のステップS1からステップS4は、第1実施形態の位置情報取得方法、及び位置情報取得プログラムに適用することができる。
以上のように、本実施形態のエンコーダ装置EC及び誤差検出方法は、2種類のパターンP(インクリメンタルパターンINC、アブソリュートパターンABS)を検出した結果を示す信号を用いて、上記の誤差を求めることができる。
なお、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、上記の例に限定されない。例えば、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3のうちの1つの信号は、第2検出部4BがアブソリュートパターンABSを検出した検出結果を示す信号であり、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3のうちの2つの信号を除く信号は、第1検出部4AがインクリメンタルパターンINCを検出した検出結果を示す信号でもよい。また、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、いずれもアブソリュートパターンABSを検出した検出結果を示す信号でもよい。この場合、第1実施形態と同様にして誤差を検出可能である。なお、本実施形態のアブソリュートパターンABSは、スケール3上の径方向に沿って複数のアブソリュートパターンABS(例、互いに分解能の異なる複数のアブソリュートパターンABS、又はパターンの二重化のために互いに同じ複数のアブソリュートパターンABS)を備える構成としてもよい。この場合、本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、スケール3上に形成された該複数のアブソリュートパターンABSに対向するように複数の第2検出部4Bを備える。また、例えば、位相差算出部10は、上記した方法を用いて上記の位相差を算出するために、複数のアブソリュートパターンABSのうち少なくとも1つのパターンから得られる信号を選定してもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図16は、本実施形態に係る誤差検出装置1のブロック図である。本実施形態の誤差検出装置1は、第1実施形態の誤差検出部7を含み、エンコーダ装置ECと別の装置である。誤差検出装置1は、エンコーダ装置ECのパターンPと検出部4との相対位置の誤差を検出し、検出した誤差を表示する。本実施形態の誤差検出装置1は、上記したスケール3のパターンPに対応して検出部4をエンコーダ装置ECの本体部B(図24参照)に取り付ける場合などに生じる、パターンPと検出部4との互いの理想的な位置関係(理想状態、基準状態)に対する誤差を検出し、誤差を表示することができる。
誤差検出装置1は、例えば、位相差算出部10、誤差算出部11、及び表示部14を備える。位相差算出部10は、上述の実施形態と同様であり、エンコーダ装置ECから供給される検出部4のうち位置が互いに異なる3以上の検出領域のそれぞれから検出結果を示す信号を使って、上記した信号間の位相差を算出する。位相差算出部10は、例えば、エンコーダ装置ECから供給される第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3を使って上記した信号間の位相差を算出する。
誤差算出部11は、上述の実施形態と同様である。表示部14は、誤差算出部11が算出した誤差情報を表示する。表示部14は、例えば、上記の互いに直交する2方向の誤差(例、X方向、Y方向)を表示する。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、複数のセグメントで情報(例、数字)を表示する表示装置などである。誤差検出装置1は、上記の誤差が表示部14に表示されるので、ユーザは誤差を簡単に把握できる。なお、表示部14はなくてもよい。
エンコーダ装置ECは、例えば、検出部4のうち位置が互いに異なる3以上の検出領域のそれぞれから検出結果を示す信号を出力する。例えば、エンコーダ装置ECは、スケール3、検出部4、及び位置検出部6を備える。スケール3、検出部4、及び位置検出部6は、第1実施形態と同様である。エンコーダ装置ECは、例えば、第1検出部4Aに、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3を備え、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3を出力する。第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3は、誤差検出装置1の位相差算出部10に出力される。
誤差検出装置1は、エンコーダ装置ECのパターンPと検出部4との相対位置の誤差のチェックに利用可能である。例えば、上記の誤差は、スケール3のパターンPに対応して検出部4をエンコーダ装置ECの本体部B(図24参照)に取り付ける場合などに生じる。例えば、誤差検出装置1は、例えば、エンコーダ装置ECの製造段階において、パターンPと検出部4とを取り付ける際の相対位置の調整に利用可能である。
ところで、エンコーダ装置ECの製造において、パターンPを検出する受光センサ(検出部)を、回転軸に取り付けられたスケールに対して取り付ける場合、一般的に、インクリメンタルパターンの検出信号およびアブソリュートパターンの検出信号からなるリサージュ波形を確認しながら、受光センサをスケールに対して動かして、エンコーダ装置の規格を満たす位置に固定する方法が用いられる。また、エンコーダ装置本体部を回転軸及びスケールに取り付ける際のアライメントは、例えば、パターンを検出した出力信号波形を観察しながら、試行錯誤を繰り返して、SN比が最も良い位置を探す方法、あるいは測定顕微鏡などで受光センサ部およびスケール部の距離を測定することにより、これらの位置を合わせる方法が用いられている。前者の方法では、エンコーダ装置本体部、回転軸及びスケールを動かすたびに、上記の出力信号波形を確認してSN比を求める必要があり、時間がかかる。また、後者の方法では、実装される部品、あるいは、加工の精度等の影響などにより、必ずしも光学的な最適位置にならないため、やり直しが必要になることがある。本実施形態の誤差検出装置1は、例えば、スケール3と検出部4との相対位置の誤差を定量的にリアルタイムで検出する。誤差検出装置1を用いることにより、例えば、上記のようなエンコーダ装置ECの製造時のスケールと検出部との取り付けを簡単かつ高精度で行うことができる。
誤差検出装置1の動作に基づき、第3実施形態に係るエンコーダ装置の製造方法を説明する。図17は、第3実施形態に係るエンコーダ装置の製造方法を示すフローチャートである。図18(A)及び(B)並びに図19(A)及び(B)は、エンコーダ装置の製造方法を説明する図である。本実施形態のエンコーダ装置の製造方法は、上述の実施形態の誤差検出方法を含む。
例えば、図17のステップS6において、検出部4をスケール3に対して配置(例、第1の位置決め)する。例えば、図18(A)に示す搬送装置16を使って、検出部4をスケール3に配置する。搬送装置16は、例えば、支持部17、及び駆動部(図示せず)を備える。搬送装置16は、例えば、支持部17で物体を支持し、駆動部の駆動により、図18(A)に示すX方向、Y方向及びZ方向(鉛直方向及び水平方向)に、所定の量で移動可能である。搬送装置16は、例えば、自動で、所定の物体を支持し、予め設定された位置に移動する。検出部4は、例えば、エンコーダ装置ECの本体部18の内部に配置される。本体部18は、スケール3も内部に収容する。例えば、図18(B)に示すように、本体部18が、搬送装置16により、スケール3に対して所定位置に配置されることにより、検出部4はスケール3に配置される。ステップS3において、位相差算出部10は、上記の信号間の位相差を算出する。なお、ステップS3に先立ち図11(A)のステップS1及びステップS2が行われる。ステップS4において、誤差算出部11は上記の誤差を求める。誤差算出部11は、パターンPと検出部4との相対位置におけるX方向の誤差及びY方向の誤差を算出する。ステップS6において、誤差算出部11が算出した誤差情報に基づいて、検出部4をスケール3に対して移動する。例えば、搬送装置16は、上記のX方向の誤差及びY方向の誤差が減少する量で、検出部4をX方向及びY方向に移動する。ステップS7において、検出部4をスケール3に対して固定(第2の位置決め)する。検出部4は、上記の誤差が低減されて位置決めされた状態で、スケール3に対する相対位置が固定される。
以上のように、本実施形態の誤差検出装置1は、簡単かつ精度よくパターンPと検出部4との相対位置の誤差を検出することができる。また、本実施形態のエンコーダ装置の製造方法によれば、検出部4とパターンPとの相対位置の誤差が少ないエンコーダ装置を容易に製造することができる。
なお、エンコーダ装置の製造方法は、上記の例は一例であり、例えば、エンコーダ装置の製造方法は、上述の実施形態の誤差検出方法を含めばよい。例えば、エンコーダ装置の製造方法は、ステップS7及びステップS8を行わず、誤差算出部11が算出した誤差情報を記録するだけでもよい。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図19は、本実施形態に係る誤差検出装置1のブロック図である。本実施形態の誤差検出装置1は、パターンPと検出部4との相対位置を変化させた際の検出部4の検出結果に基づいて、式(14)から式(17)などに示した係数を算出する。例えば、誤差検出装置1は、上記の検出部4の検出領域の形状情報と位置情報を用いないで、上記の係数を算出し、上記の誤差を算出することができるので、上記の形状情報及び位置情報がわからない場合においても、上記の誤差を算出することができる。
誤差検出装置1は、位相差算出部10、誤差算出部11、及び表示部14を備える。誤差算出部11は、パターンPと検出部4との相対位置に対する信号間の位相差の関係情報を使って、上記の誤差を求める。例えば、関係情報は、関数で表される情報である。誤差算出部11は、例えば、所定の関係を有する複数の信号間の位相差を使って、上記の誤差を算出する。例えば、誤差算出部11は、互いに所定の関係を有する、パターンPと検出部4との相対位置が異なる3以上の信号間の位相差を使って、上記の誤差を求める。例えば、誤差算出部11は、第1位置における信号間の位相差、第1位置に対して所定の位置関係を有する第2位置における信号間の位相差、及び第2位置に対して所定の位置関係を有する第3位置における信号間の位相差を使って、上記の誤差を求める。この場合、相対位置が異なる3つの信号間の位相差は、互いに、所定の位置関係を有する。
図20は、本実施形態の誤差の算出を説明する図である。例えば、第1位置Q1における第1位相差及び第2位相差をそれぞれ、ΔP1a、ΔP2aとする。第1位置Q1からX方向(第1方向)にΔx移動した第2位置Q2における第1位相差及び第2位相差をそれぞれ、ΔP1b、ΔP2bとする。第2位置Q2からY方向(第2方向)にΔy移動した第3位置Q3における第1位相差及び第2位相差をそれぞれ、ΔP1c、ΔP2cとする。第1位置Q1と第2位置Q2との移動(Δx方向の移動の前後)による、第1位相差の変化量ΔPax1は下記の式(30)で表され、第2位相差の変化量ΔPax2は下記の式(31)で表される。第2位置Q2と第3位置Q3との移動(Δy方向の移動の前後)による、第1位相差の変化量ΔPay1は下記の式(32)で表され、第2位相差の変化量ΔPay2は下記の式(33)で表される。
上記の式(14)及び式(15)は、それぞれ、Δx及びΔyのいずれかが0のとき、1変数の1次式となる。したがって、上記のように互いに直交する方向(Δx、Δy)に移動して、その移動の前後における位相差の変化量を移動量で除することにより、式(14)及び式(15)の係数Cx1、Cx2、Cy1及びCy2を求めることができる。例えば、上記の式(30)、式(31)、式(32)、及び式(33)から、Cx1を、Cx2、Cy1、Cy2求めることができる。
図19の誤差検出部7は、例えば、図20に示す第1位置Q1における信号間の第1位相差(P1a)及び第2位相差(P2a)、第2位置Q2における信号間の第1位相差(P1b)及び第2位相差(P2b)、及び第3位置Q3における信号間の第1位相差(P1c)及び第2位相差(P2c)を使って、上記の式(30)から式(33)により、上記の誤差を求める。
上記したように係数Cx1、Cx2、Cy1及びCy2は、それぞれ、検出部4及びパターンPの幾何学的な形状を示す値(r1、r2、φ、a、θ1、θ2)である。本実施形態にいては、検出部4及びパターンPの幾何学的な形状を示す値を用いなくても、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を求めることができる。本実施形態の誤差検出装置1は、検出部4及びパターンPの幾何学的な形状を示す値を用いなくても、上記の誤差を求めることができ、例えば、検出部4の形状等が異なる複数の周類のエンコーダ装置を対象に誤差を検出することができる。なお、係数Cx1、Cx2、Cy1及びCy2を算出する手法は、第1実施形態にように形状情報および位置情報の少なくとも一部を用いる手法と、本実施形態のように形状情報および位置情報の少なくとも一部を用いない手法とを組み合わせた手法でもよい。例えば、本実施形態において算出される係数と、第1実施形態において算出される係数とを比較して、係数を決定してもよい。
次に、誤差検出装置1の動作に基づき、第4実施形態に係る誤差検出方法について説明する。図21は、第4実施形態に係る誤差検出方法を示すフローチャートである。第4実施形態に係る誤差検出方法は、パターンP又は検出部(検出領域)4を第1方向へ移動させて上記の誤差を求め、パターンP又は検出部4を第1方向と異なる第2方向へ移動させて上記の誤差を求める。例えば、ステップS9において、パターンPと検出部4との相対位置に対する信号間の位相差の関係情報を取得する。例えば、図20の第1位置Q1における信号間の位相差、第2位置Q2における信号間の位相差、第3位置Q3における信号間の位相差を取得する。例えば、ステップS6において、検出部4をスケール3に対して配置する。この検出部4とスケール3との相対位置は、図20の第1位置Q1に相当する。ステップS3において、位相差算出部10は、位置が互いに異なる3以上の検出領域から出力される信号間の位相差を算出する。例えば、位相差算出部10は、第1信号S1と第2信号S2との間の第1位相差と、第1信号S1と第3信号S3と間の第2位相差とを算出する。第1位置Q1における信号間の第1位相差(ΔP1a)及び第2位相差(ΔP2a)が算出される。なお、ステップS3に先立ち、図11(A)のステップS1、ステップS2が行われる。ステップS10において、検出部4を第1方向(例、X方向)に移動し、第2位置Q2に移動する。例えば、搬送装置16で、検出部4を図20の第2位置Q2に移動する。ステップS3において、位相差算出部10は、上記の信号間の位相差を算出する。ステップS3は上記と同様である。第2位置Q2における信号間の第1位相差(ΔP1b)及び第2位相差(ΔP2b)が算出される。ステップS11において、検出部4を第1方向とは異なる第2方向(例、Y方向)に移動し、第3位置Q3に移動する。例えば、搬送装置16で、検出部4を図20の第3位置Q3に移動する。ステップS3において、位相差算出部10は、上記の信号間の位相差を算出する。ステップS3は上記と同様である。第3位置Q3における信号間の第1位相差(ΔP1c)及び第2位相差(ΔP2c))が算出される。ステップS12において、上記の信号間の位相差の関係を使ってパターンPと検出部4との相対位置の誤差を算出する。例えば、誤差算出部11は、第1位置Q1における信号間の第1位相差(ΔP1a)及び第2位相差(ΔP2a)、第2位置Q2における信号間の第1位相差(ΔP1b)及び第2位相差(ΔP2b)、及び第3位置Q3における信号間の第1位相差(ΔP1c)及び第2位相差(ΔP2c)を使って、上記の式(30)から式(33)により、上記の誤差を求める。なお、上述の例では、検出部4を移動させることにより上記の誤差を求める例を示したが、検出部4ではなくパターンPを移動させることにより上記の誤差を求めてもよい。
以上のように、本実施形態の誤差検出装置1及び誤差検出方法は、検出部4及びパターンPの幾何学的な形状を示す値を必要とせずに、上記の誤差を求めることができるので、多様なエンコーダ装置に対して用いることができる。
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図22は、本実施形態に係るエンコーダ装置EC及び誤差検出装置1のブロック図である。本実施形態に係るエンコーダ装置EC及び誤差検出装置1は、互いに独立して設けられる。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば、必要に応じて誤差検出装置1に接続され、誤差検出装置1により上記の誤差が算出される。そして、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、誤差検出装置1が算出した上記の誤差情報が入力され、入力された誤差情報を用いて、上記の誤差を補正する。本実施形態のエンコーダ装置ECは、上記したスケール3のパターンPに対応して検出部4をエンコーダ装置ECの本体部B(図24参照)に取り付ける場合あるいは製造後の経年変化などに生じる、パターンPと検出部4との互いの理想的な位置関係(理想状態、基準状態)に対する誤差を必要に応じて算出し補正することができる
エンコーダ装置ECは、スケール3、検出部4、位置検出部6、補正部8、及び記憶部20を備える。誤差検出装置1は、例えば、エンコーダ装置ECの外部に設けられる。
エンコーダ装置ECは、例えば、第1検出部4Aに、第1検出領域R1、第2検出領域R2、及び第3検出領域R3を備え、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3を、誤差検出装置1の位相差算出部10に出力する。位相差算出部10は、例えば、第1信号S1、第2信号S2、及び第3信号S3を使って、第1位相差及び第2位相差(2つ以上の位相差を含む位相差情報)を算出する。誤差算出部11は、第1実施形態と同様であり、位相差算出部10が算出した位相差情報を使って、上記の誤差(誤差情報)を算出する。誤差算出部11が算出した誤差情報は、記憶部20に出力される。記憶部20は、誤差算出部11が算出した誤差情報を記憶する。
図23は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECの動作を示す図である。エンコーダ装置ECにおける上記の誤差は、必要に応じて誤差検出装置1と接続し、誤差検出装置1により算出される。エンコーダ装置ECにおける上記の誤差は、例えば、エンコーダ装置ECの製造時等に、予め誤差検出装置1により算出される。誤差算出部11が算出した誤差情報は、エンコーダ装置ECの記憶部20に入力される。記憶部20は、例えば、誤差検出装置1が算出した誤差情報を記憶する。補正部8は、記憶部20に記憶される誤差情報を使って補正量を算出し、位置検出部6が算出した回転位置情報を補正する。
以上のように、エンコーダ装置ECは、誤差検出部7及び誤差検出装置1を備えず、誤差情報を記憶する記憶部20および補正部8を備えてもよい。なお、記憶部14は、誤差検出装置1が算出する誤差情報から得られる補正量の情報(補正量情報)を記憶してもよい。例えば、誤差検出装置1は、誤差算出部11が算出した誤差情報に基づいて補正量情報を算出する補正量算出部を備えてもよい。誤差検出装置1は、エンコーダ装置ECに対して補正量情報を出力し、エンコーダ装置ECの記憶部20に補正量情報を記憶させてもよい。この場合、補正部8は、記憶部20に記憶された補正量情報を用いて、位置検出部6が検出した回転位置情報を補正してもよい。
本実施形態において、誤差情報を算出する処理は、例えば、エンコーダ装置ECの製造過程で行われる。例えば、実施形態に係るエンコーダ装置ECの製造方法は、エンコーダ装置ECにおいてパターンPを検出する検出部4のうち位置が互いに異なる3以上の検出領域のそれぞれから出力される信号間の位相差を求めることと、信号間の位相差を使って、パターンPと検出部4との相対位置の誤差を求めることと、誤差をエンコーダ装置ECの記憶部20に記憶させることと、を含む。また、実施形態に係るエンコーダ装置ECの製造方法は、算出された誤差に基づいて補正量を算出することと、算出した補正量をエンコーダ装置ECの記憶部20に記憶させることと、を含んでもよい。
[駆動装置]
次に、駆動装置について説明する。図24は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転情報を検出するエンコーダ装置ECと、本体部BDを制御する制御部MCと、を備える。
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有する。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介して移動体(図示せず)が固定される。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態で説明したエンコーダ装置である。エンコーダ装置ECは、エンコーダ装置ECの本体部B(例、筐体、モールド)内に配置される。
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を(補正後の回転情報)使って、制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、上記の誤差が補正により低減された回転情報を用いて本体部BDを制御するので、回転軸SFの回転位置を精度よく制御することができる。駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
[ステージ装置]
次に、ステージ装置について説明する。図25は、ステージ装置STGを示す図である。このステージ装置STGは、図24に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、回転テーブル(移動物体)TBを取り付けた構成である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が回転テーブルTBに伝達される。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの回転情報(例、回転位置)等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
このようにステージ装置STGは、エンコーダ装置ECが出力する回転情報において、上記の誤差が低減されるので、回転テーブルTBの位置を精度よく制御することができる。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
次に、ロボット装置について説明する。図26は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図26には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図26に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部は、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部には、エンコーダ装置ECの移動体(図示せず)が取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SFに伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの回転情報(例、回転位置等)を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
このようにロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECが上記の誤差を低減した回転情報を出力するので、第1アームAR1と第2アームAR2との相対位置を精度よく制御することができる。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。