[0005] 本発明の態様によれば、液浸リソグラフィ装置の投影システムのアポディゼーションの測定に対する光検出器寄与を決定する方法が提供され、方法は、放射ビームを提供すること、放射ビームを用いてオブジェクトを照明すること、液体層を介して光検出器上へとオブジェクトのイメージを投影するために投影システムを使用すること、第1の液体層厚みにおいて、投影システムの瞳面にわたる放射強度の第1の測定セットを実行すること、異なる液体層厚みにおいて、投影システムの瞳面にわたる放射強度の第2の測定セットを実行すること、第1の測定セット及び第2の測定セットから強度差のセットを決定すること、決定された強度差のセットを予想される強度差のセットと比較すること、及び、アポディゼーションの測定に対する光検出器寄与を決定するために比較の結果を使用すること、を含む。
[0006] アポディゼーションは、投影システムのイメージング性能に悪影響を及ぼし、それによって、リソグラフィ装置の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。リソグラフィ装置のアポディゼーション特性は、リソグラフィ装置内の光検出器を使用して決定することができる。光検出器を使用して行われた測定は、アポディゼーション測定の確度に悪影響を与える光検出器自体の角度依存特性を含むことができる。2つの異なる液体層厚みにおいてアポディゼーション測定を実行することで、アポディゼーションにおける既知の変化を投影システムに適用できるようになる。結果を予測される結果と比較することで、有利なことに、既知の液浸リソグラフィ装置を設計し直す必要なしに、単純なやり方で光検出器寄与を決定できるようになる。一旦決定されると、アポディゼーション測定に対する光検出器寄与を、投影システムの今後のアポディゼーション測定から除去することが可能になり、したがって、投影システムのアポディゼーション特性のより正確な決定が可能になる。その後、投影システムの決定されたアポディゼーション特性は、リソグラフィ露光を実行するときに考慮可能であり、したがって、より正確なリソグラフィ露光を達成することが可能になる。
[0007] 比較は、決定された強度差のセットと、予想される強度差のセットを計算するために使用される数学関数と、の間の差異を決定することを含むことができる。
[0008] 決定された強度差のセットと数学関数との間の差異を決定することは、カーブフィッティングを使用することを含むことができ、数学関数は指数項を含む。
[0009] 指数項は、以下とすることが可能である。
上式でαは液体層の吸収係数であり、dは液体層の厚みであり、θは投影システムの瞳面内の位置に対応する放射ビームの入射角である。
[0010] 第1の液体層厚みと第2の液体層厚みとの間の差異は、100マイクロメートルより大きいものとすることができる。
[0011] 第1の液体層厚みと第2の液体層厚みとの間の差異は、最大1000マイクロメートルまでとすることができる。
[0012] 方法は、リソグラフィ装置の照明設定を変更すること、及び、第1の測定セット及び第2の測定セットを繰り返すこと、を更に含むことができる。
[0013] 基板テーブルは光検出器を備えることができ、第1の測定セットと第2の測定セットとの間の液体層厚みの差異は、基板テーブルの移動によって達成することができる。
[0014] 方法は、第1の測定セットの間に投影システムからの第1の距離においてオブジェクトを提供すること、及び、第2の測定セットの間に投影システムからの異なる距離においてオブジェクトを提供すること、を更に含むことができる。
[0015] 方法は、レチクルの表面上にオブジェクトを提供すること、及び、オブジェクトと投影システムとの間の距離が第2の測定セットの前に変更されるように、第1の測定セットの後にレチクルを反転させること、を更に含むことができる。
[0016] 方法は、吸収層を伴うレチクルの対向表面を提供することを更に含むことができる。
[0017] オブジェクトは、吸収層のうちの1つ内に提供されたマークとすることができる。
[0018] 方法は、マークの真向かいの吸収層内にマークよりも大きい開口を提供することを更に含むことができる。
[0019] 第2の実質的に同一のマークは、第2のマークが第1のマークと整合しないように他方の吸収層内に形成可能であり、第1の測定セットの間、第1のマークが照明され、レチクルは、第2の測定セットの間、第2のマークが照明されるように、第1の測定セット後に移動される。
[0020] マークはピンホールとすることができる。
[0021] マークは格子とすることができる。
[0022] 投影システムの瞳面にわたる放射強度の測定セットは、2つより多くの液体層厚みにおいて実行可能である。測定の結果を使用して、予想される強度差のセットを計算するために使用される数学関数の確度を向上させることができる。
[0023] 本発明の第2の態様によれば、液浸リソグラフィ装置の投影システムのアポディゼーションの測定に対する光検出器寄与を決定する方法が提供され、方法は、放射ビームを提供すること、放射ビームを用いてオブジェクトを照明すること、液体層を介して光検出器上へとオブジェクトのイメージを投影するために投影システムを使用すること、第1の液体を使用して、投影システムの瞳面にわたる放射強度の第1の測定セットを実行すること、第1の液体を、異なる吸収係数を有する第2の液体に置き換えること、第2の液体を使用して、投影システムの瞳面にわたる放射強度の第2の測定セットを実行すること、第1の測定セット及び第2の測定セットから強度差のセットを決定すること、決定された強度差のセットを予想される強度差のセットと比較すること、及び、アポディゼーションの測定に対する光検出器寄与を決定するために比較の結果を使用すること、を含む。
[0024] 異なる吸収係数を有する2つの異なる液体層を使用してアポディゼーション測定を実行することで、アポディゼーションにおける既知の変化を投影システムに適用できるようになる。結果を予想される結果と比較することで、有利には、既知の液浸リソグラフィ装置の再設計を必要とすることなく、単純なやり方で光検出器寄与が決定できるようになる。異なる吸収係数を有する2つの異なる液体層を使用することで、有利には、リソグラフィ装置の一部(例えば、基板テーブル)を移動させる必要なしに、既知のアポディゼーションを投影システムに適用できるようになる。アポディゼーション測定に対する光検出器寄与は、一旦決定されると、投影システムの将来のアポディゼーション測定から除去することが可能であり、したがって、投影システムのアポディゼーション特性のより正確な決定が可能となる。決定された投影システムのアポディゼーション特性は、その後、リソグラフィ露光を実行するときに考慮され得、したがって、より正確なリソグラフィ露光が達成可能となる。
[0025] 第1の液体及び第2の液体は、実質的に同じ屈折率を有することができる。
[0026] 本発明の第3の態様によれば、放射ビームを提供するための照明システムと、オブジェクトを含むレチクルを支持するための支持構造と、基板を保持するための基板テーブルであって、光検出器を備える基板テーブルと、放射ビームを光検出器上に投影するための投影システムと、投影システムと光検出器との間に液体層を提供するための液浸フードと、液体層の厚みの調整を可能にするように基板テーブルを移動させるように構成された位置決めデバイスと、プロセッサであって、第1の液体層厚みにおいて光検出器から第1の測定セットを受信すること、異なる液体層厚みにおいて光検出器から第2の測定セットを受信すること、第1の測定セット及び第2の測定セットから強度差のセットを決定すること、決定された強度差のセットを予想される強度差のセットと比較すること、及び、測定に対する光検出器寄与を決定するために比較の結果を使用すること、を実行するように構成された、プロセッサと、を備える、液浸リソグラフィ装置が提供される。
[0027] 2つの異なる液体層厚みにおいてアポディゼーション測定を実行することで、アポディゼーションにおける既知の変化を投影システムに適用できるようになる。結果を予想される結果と比較することで、有利には、既知の液浸リソグラフィ装置の再設計を必要とすることなく、単純なやり方で光検出器寄与が決定できるようになる。アポディゼーション測定に対する光検出器寄与は、一旦決定されると、投影システムの将来のアポディゼーション測定から除去することが可能であり、したがって、投影システムのアポディゼーション特性のより正確な決定が可能となる。決定された投影システムのアポディゼーション特性は、その後、リソグラフィ露光を実行するときに考慮され得、したがって、より正確なリソグラフィ露光が達成可能となる。
[0028] 第1の液体層厚みと第2の液体層厚みとの間の差異は、約100マイクロメートルから約1000マイクロメートルの間であり得る。
[0029] オブジェクトは、第1の測定セットの間、投影システムから第1の距離にあり得、オブジェクトは、第2の測定セットの間、投影システムから異なる距離にあり得る。
[0030] 装置は、吸収層を伴うレチクルの対向表面を提供することを更に備えることができる。
[0031] オブジェクトは、吸収層のうちの1つに提供されたマークとすることができる。
[0032] レチクルは、マークの真向かいの吸収層内のマークよりも大きい開口を備えることができる。
[0033] 本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様に従った方法又はその関連付けられたオプションのうちのいずれかを、コンピュータに実施させるように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
[0034] 本発明の第5の態様によれば、本発明の第4の態様に従ったコンピュータプログラムを実施するコンピュータ可読媒体が提供される。
[0035] 本発明の第6の態様によれば、液浸リソグラフィ装置の投影システムのアポディゼーションの測定に対する光検出器寄与を決定するためのコンピュータ装置が提供され、コンピュータ装置は、プロセッサ可読命令を記憶するメモリと、メモリ内に記憶された命令を読み取って実行するように配置されたプロセッサと、を備え、プロセッサ可読命令は、本発明の第1の態様又はその関連付けられたオプションのうちのいずれかに従った方法を実施するためにコンピュータを制御するように配置された命令を含む。
[0036] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものにすぎない。
[0037] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0038] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0039] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0040] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリクス構成を使用し、ミラーの各々は、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾けることができる。このようにして、反射ビームがパターニングされる。
[0041] 支持構造はパターニングデバイスを保持する。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。支持構造は、機械式クランプ、真空、又は他のクランプ技術、例えば真空条件下での静電クランプを使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0042] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、適宜、例えば露光放射の使用、あるいは浸漬液の使用又は真空の使用などの他の要因に対する、屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折システムを含む、様々なタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0043] また、照明システムは、放射ビームを誘導し、整形し、又は制御する屈折、反射、及び反射屈折光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントを含んでよく、そのようなコンポーネントも以下においては集合的に又は単独で「レンズ」とも呼ばれることがある。
[0044] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上の支持構造)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0045] リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を充填するように、基板が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水などに液浸されるタイプであってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
[0046] 図1は、光検出器と、本発明の実施形態においてアポディゼーションを測定するために使用可能なプロセッサと、を備える液浸リソグラフィ装置を概略的に示す。装置は、
放射(例えばUV放射)のビームPBを調節するための照明システム(イルミネータ)IL、
パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持し、アイテムPLに関してパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1の位置決めデバイスPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MT、
基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持し、アイテムPLに関して基板Wを正確に位置決めするように構成された第2の位置決めデバイスPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT、及び、
パターニングデバイスMAによって放射ビームPBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)にイメージングするように構成された、投影システム(例えば、屈折投影レンズ)PL、
を備える。
[0047] 本明細書で示すように、本装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する)反射タイプでもよい。
[0048] イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0049] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整する調整手段AMを備えていてもよい。通常、照明システムの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームPBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0050] 放射ビームPBは、支持構造MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームPBは、投影システムPLを通過し、投影システムPLは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームPBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームPBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、オブジェクトテーブルMT及びWTの移動は、位置決めデバイスPM及びPWの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。しかしながら、(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、支持構造MTはショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
[0051] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームPBに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームPBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、ビームPBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0052] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0053] リソグラフィ装置は、液浸フードIHを備える。液浸フードIHは、液体の層(図示せず)を備える。液体層は、1より大きい屈折率を有する。本明細書で使用される「屈折率」という用語は、屈折に関連付けられた屈折率の実部を示すように意図されている。液体層は、例えば水を含むことができる。液体層は、投影システムPSと基板Wとの間のギャップを満たす。すなわち、投影システムを出た放射は、基板テーブル上の基板上に入射する前に液体層を介して進行する。液体層は、投影システムPSの開口数を増加させるように作用する。
[0054] アポディゼーションは、光学系の透過の角度依存性として定義することができる。アポディゼーションは、投影システムPSのイメージング性能に悪影響を及ぼし、それによって、リソグラフィ装置の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。アポディゼーションは、リソグラフィ装置のイメージング性能を制限する可能性があるリソグラフィ誤差に寄与する可能性がある。例えば、リソグラフィ装置のクリティカルディメンションの変化は、アポディゼーションに起因する効果によって悪影響が及ぼされる可能性がある。
[0055] 投影システムPSのアポディゼーション特性は、投影システムPSの光学コンポーネントが最初に製造されたときに決定することができる。しかしながら、投影システムPSのアポディゼーション特性は、経時的に変化する可能性がある。例えば、投影システムPS内に存在する汚染物質粒子は、投影システムPSを通過する何らかの放射を吸収することができる。これにより、その放射の入射の角度に関して基板上に入射する放射の強度を修正し、それによって投影システムPSのアポディゼーション特性を変更することができる。リソグラフィ装置の投影システムPSのアポディゼーション特性を決定する方法を有することが望ましい。投影システムPSのアポディゼーション特性は、一旦決定されると、リソグラフィ露光を実行するためにリソグラフィ装置を使用するときに、部分的又は全体的に補償することができる。
[0056] リソグラフィ装置のアポディゼーション特性は、リソグラフィ装置内の光検出器12を使用して決定することができる。光検出器12は、投影システムPSのイメージ面に、例えば基板Wに接近して、配置することができる。光検出器12は、例えば基板テーブルWT内、又は基板テーブルWT上に、配置することができる。光検出器12は、投影システムPSの瞳面にわたって放射の強度を測定するように構成可能である。例えば光検出器12は、Integrated lens interferometer at scanner (ILIAS)センサを備えることができる。ILIASセンサは、高次までレンズ収差に関して静的測定を実行することができる、干渉波面測定システムである。ILIASセンサは、システムの初期化及び較正に使用される統合測定システムとして実装可能である。代替として、ILIASセンサは、「オンデマンド」でのモニタリング及び再較正に使用することができる。米国特許第US7282701B2号は、投影システムPSの瞳面にわたる放射の強度プロファイルを決定するために使用可能なILIASセンサを開示し、参照により本明細書に組み込まれる。投影システムPSの瞳面にわたる放射の強度プロファイルは、投影システムPSによって透過される放射の角度分布のイメージと考えることができる。投影システムPSの瞳面内のポイントは、投影システムのフィールド面内の入射の角度に対応し得、その逆も真である。
[0057] 光検出器12を使用して行われる測定は、投影システムPSのアポディゼーション特性、照明システムILのアポディゼーション特性、及び光検出器12自体の角度依存特性からの、寄与を含むことができる。光検出器の角度依存特性は、例えば、光検出器内で発生する望ましくない内部反射から生じるゴースト効果、光検出器内の電子クロストークなどを含むことができる。前述のように、米国特許第US9261402号は、光検出器12によって行われるアポディゼーション測定から、照明システムILの寄与を除去する技法を開示する。しかしながら、光検出器12の角度依存特性からの寄与は、光検出器によって行われる測定内に依然として存在する。光検出器12の角度依存特性が既知である場合、測定から除去することが可能である。しかしながら、光検出器12の角度依存特性はしばしば既知ではなく、光検出器の寿命全体にわたって変化する可能性がある。
[0058] 液浸リソグラフィ装置内の液体層は、投影システムPSの最終光学コンポーネントと考えることができる。アポディゼーションにおける既知の変化は、液体層の厚みを変更することによって投影システムPSに適用することができる。すなわち、投影システムPSの瞳面にわたる放射強度の第1の測定セットは、第1の液体層厚みにおいて実行することができる。投影システムPSの瞳面にわたる放射強度の第2の測定セットは、異なる液体層厚みにおいて実行することができる。第1の測定セットと第2の測定セットとの間の強度差のセットを決定することができる。アポディゼーションにおける既知の変化を使用して、予想される強度差のセットを計算することができる。決定された強度差のセットは、予想される強度差のセットと比較することができる。比較の結果を使用して、アポディゼーション測定に対する光検出器寄与を決定することができる。アポディゼーション測定に対する光検出器寄与は、一旦決定されると、投影システムの将来のアポディゼーション測定から除去することが可能であり、したがって、投影システムPSのアポディゼーション特性のより正確な決定を可能にする。
[0059] 液体層の厚みにおける変化は、リソグラフィ装置の位置決めデバイスPWを使用して達成することができる。
[0060] リソグラフィ装置は、第1の液体層厚みにおいて光検出器12から第1の測定セットを受信するように、及び、異なる液体層厚みにおいて光検出器12から第2の測定セットを受信するように、構成されたプロセッサPRを備えることができる。その後、プロセッサPRは、第1の測定セット及び第2の測定セットから強度差のセットを決定し、決定された強度差のセットを予想される強度差のセットと比較することができる。プロセッサPRは、比較の結果を使用して、アポディゼーション測定に対する光検出器12寄与を決定するように構成することができる。
[0061] 図2は図2A及び図2Bからなり、本発明の実施形態に従った、調整可能な液体層厚みを有する液浸リソグラフィ装置の一部を概略的に示す。図2Aは、液浸リソグラフィ装置の投影システムPS及び基板テーブルWTを概略的に示す。液体の層10は、投影システムPSと基板テーブルWTとの間に存在する。液体の層10は、例えば水を含むことができる。放射ビーム28は、オブジェクト24を照明するために使用される。オブジェクト24は、例えば、レチクル26内のピンホール24などの、パターニングデバイス上のマークとすることができる。オブジェクト24のイメージは、その後、液体の層10を介し、投影システムPSを使用して光検出器12上へと投影される。基板テーブルWTは、光検出器12を備えることができる。
[0062] 光検出器12は、投影システムPSの瞳面にわたる放射の強度を測定するように構成することができる。例えば、光検出器12はILIASセンサとすることができる。放射14の円錐は、投影システムPSを出て液体の層10を介して進行し、光検出器12上に入射する。光検出器12は、放射14を検出し、投影システムPSの瞳面にわたる放射の強度を示す信号をプロセッサPRに出力するように構成することができる。プロセッサPRは、第1の液体層厚みdにおいて実行された第1の測定セットをメモリ内に記憶するように構成することができる。第1の液体層厚みdは、例えば約3mmとすることができる。
[0063] 液体の層10は完全に透明ではなく、液体の層10を通過する放射14のうちの一部を吸収する。液体の層10を通過する放射の光路長さが長いほど、液体の層10によって吸収される放射14の量は多くなる。液体の層10の厚みdが変化すると、光検出器12に到達するために放射の線14が進行する際に介さなければならない光路長さが変化する。光検出器12に到達するために放射の線14が進行する際に介さなければならない光路長さの変化は、少なくとも部分的に放射の入射角に依存する。液体の層10の厚みd、液体の層10の吸収特性、及び、投影システムPSを出る放射14の円錐の最大半角θの知識を有していれば、液体の層10の厚みを変更することによって、アポディゼーションにおける既知の変化を投影システムPSに適用することができる。
[0064] 図2Bは、図2Aに示されたリソグラフィコンポーネントの液体の層10の厚みが増加した状態d’を概略的に示す。位置決めデバイス(例えば、図1に示された第2の位置決めデバイスPW)を使用して、基板テーブルWTを、及びしたがって光検出器12を、リソグラフィ装置の光軸18に沿って移動させることができる。投影システムPSと光検出器12との間に存在する距離がより長くなるように基板テーブルWTを移動させることで、液体の層10の厚みd’が増加し、液体の層10によって吸収される放射14の割合が増加する。投影システムPSと光検出器12との間に存在する距離がより短くなるように基板テーブルWTを移動させることで、液体の層10の厚みが減少し、液体の層10によって吸収される放射14の割合が減少する。図2Bの例において、基板テーブルWTは、図2Aに示されたリソグラフィコンポーネントに比べて、投影システムPSと光検出器12との間の距離が増加するように移動されている。液体の層10の厚みd’が増加可能な範囲は、液浸フードの設計、例えば、液浸フードが投影システムPSと光検出器12との間に提供可能な液体14の最大量によって、制限することが可能である。投影システムPSと光検出器12との間の距離を増加し過ぎると、液体の層10を投影システムPSから少なくとも部分的に分離させてしまう可能性があり、結果として、一部の放射14が、液体の層10ではなく周囲(例えば、空気)を通過する可能性がある。液浸リソグラフィ装置において水の液体層の厚みが増加可能な範囲は、例えば、100μmより大きいものとすることができる。液浸リソグラフィ装置において水の液体層の厚みが減少可能な範囲は、例えば、1000μmまでとすることができる。液浸リソグラフィ装置において水の液体層の厚みが減少可能な範囲は、1000μmより大きいものとすることができる。投影システムのアポディゼーションにおいて検出可能な変化を誘起させるために必要な液体の層の厚みにおける最小変化は、少なくとも部分的に、光検出器の信号対雑音比及び/又は光検出器の角度依存特性に依存する可能性がある。
[0065] 図2Aの場合と同様に、オブジェクト24を照明するために放射ビーム28が使用される。オブジェクト24は、例えば、レチクル26内のピンホール24などの、パターニングデバイス上のマークとすることができる。次いで、オブジェクト24のイメージは、投影システムPSを使用して、液体の層10を介して光検出器12上に投影される。図2Aの場合と同様に、光検出器12は、入射放射14を検出し、投影システムの瞳面にわたる放射の強度を示す信号をプロセッサPRに出力するように構成可能である。プロセッサPRは、図2Bに示される第2の液体層厚みd’において実行された第2の測定セットをメモリ内に記憶するように構成可能である。プロセッサPRは、第1の測定セット及び第2の測定セットから強度差のセットを決定するように、更に構成可能である。決定された強度差のセットは、その後、予想される強度差のセットと比較され、比較の結果を使用して、光検出器12によって実行されたアポディゼーション測定に対する光検出器寄与を決定することができる。
[0066] 予想される強度差のセットは、液体の層10の吸収特性、第1の測定セット及び第2の測定セットの間の液体の層10の厚みd、d’、並びに、放射14の円錐が投影システムPSを出て光検出器12上に入射する際にわたる角度θの、知識を使用して計算することができる。液体の層10によって吸収される、投影システムPSを出る放射14の強度の一部は、以下を介して計算可能である。
上式で、αは液体の層の吸収係数であり、dは液体の層の厚みであり、θは、放射14が投影システムPSを出る際の投影システムPSの光軸18に対する角度である。数式(1)を使用して、液体の層10の厚みにおける変化のみによって(すなわち、光検出器寄与を考慮せずに)生じる、予想される強度差のセットを計算することができる。予想される強度差のセットは、以下のように数学的に表すことが可能である。
上式で、A
2は第2の液体層厚みにおいて吸収される放射の部分であり、A
1は第1の液体層厚みにおいて吸収される放射の部分であり、Iは投影システムを出る放射の強度であり、I
il(θ,φ)は照明システムを出る放射の強度であり、T
ps(θ,φ)は投影システムの角度依存特性(すなわち、アポディゼーション)であり、d
2は第2の液体層厚みであり、d
1は第1の液体層厚みである。上記の項は球面座標(すなわち、アジマス成分θ及び/又はエレベーション成分φ)で表される。
[0067] 図3は、数式(1)及び(2)を使用して決定された、液体の層の厚みにおける変化のみによって生じる予想される強度差のセットのグラフを示す。図3の例において、投影システムを出る放射の円錐の角度範囲は、投影システムの光軸を中心とする0°から70°の範囲である。液体の層は水からなり、液体の層の厚みは、図3のグラフを生成するために共に使用される強度値の第1のセットと強度値の第2のセットとの間で、0.43mmだけ減少する。
[0068] 図3からわかるように、液体層の厚み変化によって生じる強度の変化は相対的に小さい(すなわち、低い入射角における約0.15%から大きな入射角における約0.45%まで)。図3は、液体の層の厚みを変化させることによって導入されるアポディゼーションの指数関数的性質を示す。図3は、照明システム寄与、投影システム寄与、及び光検出器寄与におけるいかなる変更もなしに、液体の層の厚みを変化させることによって生じるアポディゼーションにおけるシミュレートされた変化を示す。図3は、照明システムが、液体の層上に合焦される等しく分散された強度を有する完全に円形の放射ビームを提供するという仮定の下で作成された。実際には、照明システムは、ダイポール又は四極の照明モードなどの、異なる形の放射ビームを提供することができる。仮定では、投影システムはいかなる収差も放射ビームに適用しないことになるが、実際には、投影システムは放射ビームに収差を適用することになる。
[0069] 決定された強度差のグラフは、第1の液体層厚みにおいて瞳面にわたる(すなわち、光検出器上の異なるピクセルに対応するθ及びφの異なる組み合わせにおける)強度の第1の測定セットを実行すること、異なる液体層厚みにおいて瞳面にわたる強度の第2の測定セットを実行すること、及び、第1の測定セットと第2の測定セットとの間の強度差のセットを決定すること、によってプロットすることができる。しかしながら、決定された強度差のセットは、照明システム寄与、投影システム寄与、及び光検出器寄与の存在に起因して、予想される強度差のセット(例えば、図3に示されるグラフ)とは異なることになる。決定された強度差のセットは予想される強度差のセットと比較され、比較の結果を使用して、光検出器寄与を決定することができる。
[0070] 光検出器によって測定される投影システムの瞳面にわたる放射の強度は、以下の数式によって数学的に表すことが可能である。
上式で、e
(−αd/cos(θ))は液体の層による放射の吸収であり、C
pd(θ,φ)はアポディゼーション測定に対する光検出器寄与である。数式(3)における各項は、球面座標(すなわち、アジマス成分θ及び/又はエレベーション成分φ)を使用して表される。決定された強度差のセットは、以下のように表すことが可能である。
上式で、C
pd1(θ,φ)は第1の測定セットに対する光検出器寄与であり、C
pd2(θ,φ)は第2の測定セットに対する光検出器寄与であり、ΔC
pdは、第1の測定セットに対する光検出器寄与と第2の測定セットに対する光検出器寄与との間の差異である。指数項e
(−αd2/cos(θ))−e
(−αd1/cos(θ)))は、予想される強度差のセットに対応する。数式4は、イルミネータ寄与及び投影システム寄与が、2つの測定の間で一定のままであるものと仮定している。光検出器寄与は2つの測定の間で一定のままであるものと、仮定することができる。この仮定の下で、数式4は、以下のようになる。
したがって、相対的測定を実行することによって、今までのところは未知のセンサ寄与は数式4から除去される。数式5は、項I
il(θ,φ)・T
ps(θ,φ)を決定するために再配置及び解決することができる。
[0071] 光検出器の各ピクセルについて(すなわち、θ及びφの各組み合わせについて)、決定された強度差を予想される強度差と比較することができる。カーブフィッティング(すなわち、統計的回帰)を使用して、決定された強度差のセットを予想される強度差のセットと比較することができる。すなわち、カーブフィッティング(例えば、最小二乗フィッティング)を使用して、決定された強度差のセットと予想される強度差のセットとの間の差異を決定することができる。カーブフィッティングの残差は、光検出器寄与を示す。すなわち、カーブフィッティング手順の結果を使用して、指数関数的液体層厚み依存に従わない、決定された強度差のセットの部分を識別することができる。指数関数的液体層厚み依存に従わない、決定された強度差のセットの部分は、光検出器寄与を示す。光検出器寄与は、瞳面内の様々な位置について異なる可能性がある。
[0072] 指数項(すなわち、
)は、関連付けられた不確実性を有し得る。液体の層の吸収係数αは、例えば、液体の層の温度変動及び液体の他の特性に起因して、その予想される値を有さない可能性がある。液体の層の厚みの値は、例えば、基板テーブルを位置決めするセンサ及びアクチュエータによって決定することができる。基板テーブルを位置決めするセンサ及びアクチュエータは、関連付けられた誤差を有し得る。したがって液体の層の厚みの値も、関連付けられた不確実性を有し得る。液体の層の厚みの値は関連付けられた不確実性を有し得るが、基板テーブルの位置を制御するセンサ及びアクチュエータは典型的には非常に正確であるため、液体の層の吸収係数に関連付けられた不確実性よりも小さいことが予想される。
[0073] 指数項に関連付けられた不確実性は、決定された光検出器寄与の確度に悪影響を及ぼす可能性がある。カーブフィッティング手順を実行するときに達成される最良フィットは、液体の層の吸収係数の値を提供することができる。より大きな数の厚みにおいてアポディゼーション測定を実行することで、吸収係数の決定された値の確度を向上させるため、したがって光検出器寄与が決定され得る確度を向上させることができる。一般に、アポディゼーション測定が実行される厚みの数が大きいほど、予想される強度差のセットに対する決定された強度差のセットのカーブフィッティング手順はより正確になり、決定された光検出器寄与はより正確になる。
[0074] アポディゼーション測定自体がノイズの被害を受ける可能性がある。アポディゼーション測定におけるノイズの存在は、光検出器寄与を決定する際の確度に悪影響を及ぼす可能性がある。2つより多くの液体層厚みにおいてアポディゼーション測定を実行することにより、ノイズに関連付けられた悪影響を低減させ、決定された光検出器寄与の確度を向上させることができる。
[0075] 再度数式(3)を参照すると、数式(3)の第1項(すなわち、照明システム、投影システム、及び液体層からの寄与Iil(θ,φ)・Tps(θ,φ)・e(−αd/cos(θ)))は、アジマス成分θ内に指数関数的コサイン依存性を含むのに対して、数式(3)の第2項(すなわち、光検出器寄与Cpd(θ,φ))は、アジマス成分θ内にこうした依存性を含まない。第1項における指数関数的コサイン依存性の存在及び第2項における指数関数的コサイン依存性の不在によって、測定された強度差のセットを予想される強度差のセットと比較することを介して(例えば、カーブフィッティング手順を介して)、第1項及び第2項を見分けることができるようになる。
[0076] アポディゼーション測定に対する光検出器寄与は、少なくとも部分的に照明システムの照明設定に依存する可能性がある。前述のアポディゼーション測定に対する光検出器寄与を決定する方法を、照明システムの異なる照明設定を使用して繰り返し、異なる照明設定の下でのアポディゼーション測定に対する光検出器寄与を特徴付けることができる。すなわち、放射強度の第1の測定セットを第1の液体層厚みにおいて実施可能であり、放射強度の第2の測定セットを異なる液体層厚みにおいて実施可能である。強度差のセットは、第1の測定セット及び第2の測定セットから決定することができる。液体層厚みにおける既知の変化を使用して、予想される強度差のセットを計算することができる。決定された強度差のセットを、予想される強度差のセットと比較することができる。比較結果を使用して、第1の照明設定のセットの下での光検出器寄与を決定することができる。照明システムの照明設定は変更可能であり(例えば、ダイポール照明モードは四極照明モードに変更可能である)、第1の測定セット及び第2の測定セットは繰り返し可能である。強度差のセットは、第1の測定セット及び第2の測定セットから決定することができる。液体層厚みにおける既知の変化を使用して、予想される強度差のセットを計算することができる。決定された強度差のセットを、予想される強度差のセットと比較することができる。比較結果を使用して、異なる照明設定の下での光検出器寄与を特徴付けることができる。
[0077] 図2を再度参照すると、投影システムPSの光軸18に沿って(すなわち、θ=0)投影システムPSを出る放射14の線は、非ゼロ値のθにおいて投影システムPSを出る放射の線よりも短い、液体の層10を介する光検出器12までの光路長さを有する。投影システムPSを出る放射14のコーンの最大半角θは、図2A及び図2Bにおいて同じである。しかしながら、液体の層10の厚みd、d’は、図2Aに対して図2Bでは増加している。液体の層10の厚みd、d’が増加するとき、より大きな角度θにおいて投影システムPSを出る放射14の線の光路長さは、より小さな角度θにおいて投影システムPSを出る放射14の線の光路長さよりもより多く増加する。したがって、液体の層10によって吸収される放射14の部分は、投影システムPSの光軸18に沿って進行する放射の線に比べて、放射14の円錐の縁部16に沿って進行する放射の線について、より多く増加する。これは例えば、図3に示されるように、放射の円錐の中央では約0.15%の強度変化であることに比べて、放射の円錐の縁部では約0.45%の強度変化であることからわかる。したがって、液体の層の厚みの変化は液体の層を通過する放射の透過に変化を与え、この変化は放射の入射角に依存する(すなわち、投影システムのアポディゼーション特性における既知の変化は、液体の層の厚みを変化させることによって、投影システムに適用される)。
[0078] 液体の層10の吸収係数は、液体の層として使用される液体及び液体の層を通過する放射の波長に依存する。例えば、193nmの波長を有する放射が水を通過するとき、水の吸収係数は約0.036cm−1である。水(又は、同様の低い吸収係数を有する他の液体)を液体の層として使用するとき、液体の層を介する放射の透過において検出可能な変化を誘起するために、液体の層10の厚みは相対的に多量に(例えば、約100μm)変化しなければならない可能性がある。
[0079] 相対的に多量の液体の層の厚みの変化は、オブジェクトのイメージをもはや光検出器で合焦させなくなる可能性がある。イメージが合焦外れの場合、放射がもはや光検出器の感光性エリア上に入射しないため、ある入射角からの放射は失われる可能性がある。液体の層の厚みが変更されないとき、光検出器においてオブジェクトのイメージの合焦を維持するために何も実行しない場合、液体の層の厚みを変更できる範囲は、光検出器の感光性エリアのサイズに少なくとも部分的に依存することができる。投影システムのアポディゼーション特性を正確に特徴付けるために、好ましくは、光検出器によって瞳面全体(すなわち、すべての入射角にわたる放射)が検出される。液体の層の厚みを変更した後にイメージの合焦を維持する方法の1つは、オブジェクトを移動させることを含む。
[0080] 図4は、本発明の実施形態に従った、液浸リソグラフィ装置の一部を概略的に示す。図4では、液浸リソグラフィ装置の2つの構成が示されている。第1の構成において、第1のイメージ面40aは投影システムPSから第1の距離41にあり、オブジェクト48(例えば、マークを含むレチクル)は投影システムPSから第2の距離42にある。光検出器(図示せず)は、第1のイメージ面40aに配置することができる。液体層(図示せず)は、投影システムPSと第1のイメージ面40aとの間に延在する。第1の構成における液体の層の厚みは、第1の距離41に等しい。オブジェクト48を照明した放射47aは、投影システムPSの光軸49に沿ってオブジェクト48から投影システムPSの入口46へと進む。その後、投影システムPSを使用して、オブジェクト48のイメージは、液体の層を介し、第1のイメージ面40aにおいて光検出器上に投影される。光検出器を使用して、第1の液体層厚み41において、投影システムPSの瞳面にわたる放射強度の第1の測定セットを実行することができる。
[0081] 第2の構成では、液体の層の厚みは第1の構成に対して低減されている。第2の構成において、第2のイメージ面40bは投影システムPSから第3の距離43にあり、オブジェクト48は投影システムPSから第4の距離44にある。第2の構成における液体の層の厚みは第3の距離43に等しい。オブジェクト48を照明した放射47bは、オブジェクト48から投影システムPSの入口46へと進む。その後、投影システムPSを使用して、オブジェクト48のイメージは、液体の層を介し、第2のイメージ面40bにおいて光検出器(図示せず)上に投影される。光検出器を使用して、第2の液体層厚み43において、投影システムPSの瞳面にわたる放射強度の第2の測定セットを実行することができる。
[0082] 第1の構成から第2の構成へと移動するとき(すなわち、液体の層の厚みが減少するとき)に、オブジェクト48と投影システムPSとの間の距離が変更されなかった場合、オブジェクトのイメージはもはや第1のイメージ面40aで合焦しなくなる。オブジェクトのイメージが合焦しない場合、投影システムPSを出る放射の円錐の一部は光検出器に到達しない可能性があり、投影システムPSのアポディゼーションに関連する一部の情報が失われる可能性がある(すなわち、投影システムPSの瞳面の一部が光検出器に到達しない可能性があり、したがって、アポディゼーション測定に含まれないことになる)。したがって、第1の構成から第2の構成へと変更するときに、第2のイメージ面40bにおいてオブジェクトのイメージの合焦を維持するために、オブジェクト48と投影システムPSとの間の距離42を変更することができる。オブジェクト48と投影システムPSとの間の距離が変更される場合、オブジェクトは投影システムPSに関してもはや完全に合焦しなくなるため、液体の層の厚みを変更できる範囲は、オブジェクトのイメージに影響を与える投影システムPSの収差に少なくとも部分的に依存することができる。図4の例において、投影システムPSは、オブジェクト面45a、45bにおけるオブジェクト48を、イメージ面40a、40bにおいて4倍に縮小するように構成された、ダブルテレセントリック光学系である。図4の例において、光検出器と投影システムPSとの間の距離が或る量だけ低減されるとき、オブジェクト48と投影システムPSとの間の距離は、オブジェクト48のイメージの合焦を維持するために、その量の16倍(すなわち、縮小二乗、42)増加される。光検出器と投影システムPSとの間の距離が或る量だけ増加されるとき、オブジェクト48と投影システムPSとの間の距離は、オブジェクトのイメージの合焦を維持するために、その量の16倍低減される。異なる光学配置及び/又は光学特性を有する他の光学系は、液体の層の厚みを変更するとき、オブジェクトのイメージの合焦を維持するために異なる調整を必要とする可能性がある。
[0083] 代替の手法において、光検出器は、液体の層の厚みが変更されるときに、光検出器に到達しない放射の量を減少させるように設計可能である。例えば、液体の層の厚みが変更されるとき、及び、オブジェクトのイメージが合焦する位置が変更されるとき、いかなる放射の損失も回避又は減少させるために、光検出器の感光性エリアを増加させることができる。光検出器は、合焦外れのアポディゼーション測定を実行するように、較正することができる。
[0084] 一部のリソグラフィ装置は、液体の層の厚みが変更されるとき、光検出器においてオブジェクトのイメージの合焦を維持するために必要な量だけオブジェクトを移動させるために使用可能な空間を十分に有さない場合がある。位置決めデバイスは、液浸リソグラフィ装置内のステージ(例えば、レチクルステージ)を移動させることが可能な範囲を制限することができる。オブジェクトのイメージの合焦を維持するためにオブジェクトを移動させることが必要な距離を減少させる1つの方法は、第1のマーク(すなわち、第1のオブジェクト)を第1の測定セットで(すなわち、第1の液体層厚みにおいて)使用するためにレチクルの第1の側に適用すること、及び、第2のマーク(すなわち、第2のオブジェクト)を第2の測定セットで(すなわち、第2の液体層厚みにおいて)使用するためにレチクルの反対側に適用することを含む。すなわち、レチクルの厚みを利用して、光検出器においてオブジェクトのイメージの合焦を維持するために、第1の測定セットと第2の測定セットとの間でオブジェクトを効果的に移動させることができる。
[0085] 図5は図5A及び図5Bからなり、本発明の実施形態において使用可能なレチクル50上のオブジェクト53を概略的に示す。レチクル50は、例えばクォーツを含むことができる透過レチクルである。レチクル50の第1の表面51は吸収層52を含む。吸収層52は、例えばクロムを含むことができる。レチクルは、投影システム(図示せず)を使用して光検出器(図示せず)上に投影可能なオブジェクトのイメージを形成するように、放射54を用いて照明可能なオブジェクト53を含む。図5の例において、オブジェクトはレチクル50の吸収層52内のピンホール53である。図5Aは、入射放射54がレチクル50と周囲の環境との間の境界55を介して、レチクル50に入るように配向されたレチクル50を示す。周囲の環境は、例えば空気を含むことができる。放射54の伝搬方向は、図5では矢印によって表される。入射放射54はレチクルに入り、反射せずにピンホール53から出る。非反射放射は、図5では実線を使用して表される。入射放射54の一部はレチクル50に入り、レチクル50の吸収層52から反射することができる。レチクル50から入り吸収層52によって反射される放射54は、図5では破線を使用して表される。レチクル50の吸収層52から反射する放射の一部は、レチクル50と周囲との間の境界55で反射することができる。境界55から反射する放射54の一部は、ピンホール53を介してレチクル50から出ることができる。
[0086] 第1の測定セットが実施された後、第2の測定セットが実施される前にオブジェクト53と投影システムとの間の距離が変更されるように、レチクル50を反転させることができる。代替として、第2のオブジェクトが第1のオブジェクトと整合しないように、第2のオブジェクトをレチクルの反対側に形成することが可能であり、第2の測定セットの間に第2のオブジェクトが照明されるように、第1の測定セットの後にレチクルを移動させることができる。これらの代替のいずれかは、有利には、液体の層の厚みを変更した後、光検出器においてオブジェクトのイメージの合焦を維持することができる。第2のオブジェクトをレチクルの反対側に提供することによって、有利には、第1の測定セットと第2の測定セットとの間にレチクルを反転させる必要が回避される。レチクルを反転させること(又は、レチクルの反対側の第2のオブジェクトが照明されるようにレチクルを移動させること)によって、オブジェクトのイメージを効果的に移動させる距離は、以下の数式を介して計算可能である。
上式で、n
retはレチクルの屈折率であり、n
llは液体の層の屈折率であり、d
retはレチクルの厚みであり、Mは投影システムがオブジェクトのイメージのサイズを減少させる係数である。例えば、どちらも図4に示される光学系で使用される、6.35mmの厚みを有するクォーツ(n
ret=1.56)レチクル及び水からなる液体層(n
ll=1.44)の場合(M=16)、レチクルを反転させることによってオブジェクトのイメージが効果的に移動される距離は以下である。
[0087] 図5Bは、入射放射54がピンホール53を介してレチクル50に入るように配向されたレチクル50を示す。すなわち図5Bは、レチクル50が反転された後の図5Aのレチクル50を示す。入射放射54の一部は、ピンホール53を介してレチクル50に入り、反射せずに境界55を介してレチクル50から出ることができる。入射放射54の一部は、ピンホール53を介してレチクル50に入り、レチクル50と周囲の環境との間の境界55から反射することができる。周囲の環境は、例えば空気を含むことができる。境界55から反射する放射54の一部は、レチクル50の吸収層52において更に反射される可能性がある。吸収層52から反射する放射54の一部は、境界55を介してレチクル50から出ることができる。図5Bの場合、ピンホール53から出る前にレチクル50内で内部反射した放射54は、オブジェクトのイメージ周囲のハロー効果に寄与する可能性がある。オブジェクトのイメージ周囲のハロー効果の存在は、光検出器を使用して実行される投影システムの瞳面にわたる放射強度の測定の確度に悪影響を及ぼす可能性がある。レチクル50内の内部反射を低減させる方法の1つは、レチクルの吸収層52の反対側に反射防止コーティングを提供することを含む。しかしながら、反射防止コーティングは、すべての入射角にわたって等しく反射を低減させることはできない。レチクル50内の内部反射を低減させる別の方法は、2つの対向する吸収層を有するレチクルを提供することを含み、一方の吸収層はピンホールを備え、他方の吸収層はピンホールの真向かいに開口を備える。
[0088] 図6は図6A及び図6Bからなり、本発明の実施形態において使用可能なレチクル60上のオブジェクト64を概略的に示す。レチクル60は、例えばクォーツを含むことができる透過レチクルである。レチクル60の第1の表面61は吸収層63を備える。レチクル60の第2の表面62は吸収層63を備える。第2の表面62は第1の表面61に対向する。吸収層63は、例えばクロムを含むことができる。レチクル60は、投影システム(図示せず)を使用して光検出器(図示せず)上に投影可能なオブジェクトのイメージを形成するように、放射65を用いて照明可能なオブジェクト64を含む。放射65の伝搬の方向は、図6では矢印によって表される。図6の例において、オブジェクトはレチクル60の吸収層63内のピンホール64である。図6Aは、入射放射65がレチクル60の第1の表面61上の吸収層63内の開口66を介してレチクル60に入り、レチクル60の第2の表面62上の吸収層63内のピンホール64を介してレチクル60から出るように配向された、レチクル60を示す。開口66はピンホール64よりも大きいものとすることが可能であり、ピンホール64の真向かいの吸収層63内に提供可能である。
[0089] 対向する吸収層63、ピンホール64、及び開口66の配置は、レチクル60を出て光検出器に到達する内部的に反射された放射によって生じるハロー効果を低減させるように構成される。ピンホール64の直径67及び開口66の直径68は、レチクル60に入る放射65の実質的にすべてが、レチクル60内で内部反射しないように選択することができる。この選択は、リソグラフィ装置の光軸70に対する入射放射65の最大角度69、レチクル60の厚み71、及び、レチクル60の屈折率の、3つのパラメータに少なくとも部分的に依存することができる。これらの3つのパラメータは、透過した放射がレチクル60を介してどのように進むかを記述する。例えば、放射65がレチクル60から出る際に横切る出口直径を計算するために、開口66の直径68は、上記で考察された3つのパラメータとの組み合わせで選択及び使用することが可能である。その後、ピンホール64の直径67は、計算された出口直径よりも大きいか又は等しくなるように選択可能であり、それによって、開口66を介してレチクル60に入る実質的にすべての放射65が、レチクル60内で内部反射するのではなく、ピンホール64を介してレチクルを出ることが保証される。入射放射65の最大角度69は、リソグラフィ装置の照明システムを制御することによって選択可能である。
[0090] 図6Bは、入射放射65が、レチクル60の第2の表面62上の吸収層63内のピンホール64を介してレチクル60に入り、レチクル60の第1の表面61上の吸収層63内の開口66を介してレチクル60から出るように配向された、図6Aに示されたレチクル60を概略的に示す。図6Aの場合と同様に、対向する吸収層63、ピンホール64、及び開口66の配置は、レチクル60を出て光検出器に到達する内部的に反射された放射によって生じるハロー効果を低減させるように構成される。ピンホール64の直径67及び開口66の直径68は、レチクル60に入る放射65の実質的にすべてが、レチクル60内で内部反射しないように選択することができる。この選択は、前述の3つのパラメータ、すなわち、リソグラフィ装置の光軸70に対する入射放射65の最大角度69、レチクル60の厚み71、及び、レチクル60の屈折率に、少なくとも部分的に依存することができる。例えば、放射65がレチクル60から出る際に横切る出口直径を計算するために、ピンホール64の直径67は、上記で考察された3つのパラメータとの組み合わせで選択及び使用することが可能である。その後、開口66の直径68は、計算された出口直径よりも大きいか又は等しくなるように選択可能であり、それによって、ピンホール64を介してレチクル60に入る実質的にすべての放射65が、レチクル60内で内部反射するのではなく、開口66を介してレチクル60を出ることが保証される。例えば、約6.35mmの厚み71及び約1.56の屈折率を有するレチクル60に入る、約20°の最大角度69を有する放射65の場合、ピンホール64の直径67は約0.10mmとして選択可能であり、開口の直径は約2.9mmとして選択可能である。
[0091] オブジェクトは、任意の所望の形を有することができる。例えばオブジェクトは、レチクルの吸収層内の格子パターンとすることができる。
[0092] 液体の層は、水以外の流体を含むことができる。
[0093] 吸収層は、クロム以外の吸収材料を含むことができる。透過レチクルは、クォーツ以外の材料を含むことができる。レチクルは、6.35mm以外の厚みを有することができる。
[0094] 光検出器はILIASセンサ以外のセンサを備えることができる。
[0095] 本発明の代替の実施形態において、液体の層の厚みは変更されない。代わりに、投影システムの瞳面にわたる放射強度の第1の測定セットは第1の液体を使用して実行され、その後、第1の液体は、異なる吸収係数を有する第2の液体に置き換えられる。投影システムの瞳面にわたる放射強度の第2の測定セットは、第2の液体を使用して実行される。強度差のセットは、第1の測定セット及び第2の測定セットから決定することができる。第1の液体の吸収係数、第2の液体の吸収係数、及び、液体の層の厚みの知識を使用して、予想される強度差のセットを計算することができる。決定された強度差のセットは、予想される強度差のセットと比較することができる。比較の結果を使用して、アポディゼーション測定に対する光検出器寄与を決定することができる。第1の液体は、例えばポンプシステムを使用して第2の液体に置き換えることができる。第1の液体を、異なる吸収係数を有する第2の液体に置き換えることで、有利には、光検出器を移動させる必要が回避され、それにより、光検出器の移動に関連付けられた合焦誤差(例えば、放射の円錐の一部が光検出器に到達しないこと)が低減又は回避される。第1の液体及び第2の液体は、実質的に同じ屈折率を有することができる。
[0096] 本発明の実施形態はハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はその任意の組み合わせで実施することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサで読み取り、実行することができる機械読み取り式媒体に記憶した命令として実施することもできる。機械読み取り式媒体は、機械(例えば、計算デバイス)で読み取り可能な形態で情報を記憶するか、又は伝送する任意の機構を含むことができる。例えば、機械読み取り式媒体は読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、及びその他を含むことができる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を、本明細書では特定の行為を実行するものとして記述することができる。しかし、このような記述は便宜的なものにすぎず、このような行為は実際には計算デバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスの結果であることを認識されたい。
[0097] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。説明は、本発明を限定することを意図していない。