JP6951527B2 - 精密分子質量を用いた免疫グロブリンのアイソタイピング - Google Patents

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Description

相互参照
本出願は、2014年4月4日に出願された米国特許仮出願第61/975,524号の恩典を主張し、該仮出願は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
技術分野
本文書は、質量分析技法を用いて免疫グロブリンの重鎖および軽鎖を検出および定量するための方法に関する。
背景
ヒト免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって一つに結合している、2つの同一の重鎖ポリペプチド(MWがそれぞれ約54キロダルトン)および2つの同一の軽鎖ポリペプチド(分子量がそれぞれ約24キロダルトン)を含む。各軽鎖および各重鎖は、定常領域および可変領域を含む。可変領域は、各鎖のN末端部分に位置し、定常領域は、各鎖のC末端部分に位置する。軽鎖および重鎖の定常領域は、異なるアミノ酸配列を有し、重鎖または軽鎖のアイソタイプを同定するために使用することができる。ヒトには、カッパまたはラムダと呼ばれる軽鎖ポリペプチドの2つの異なるアイソタイプ;ならびにガンマ(IgG)、アルファ(IgA)、ミュー(IgM)、イプシロン(IgE)、およびデルタ(IgD)と呼ばれる重鎖ポリペプチドの異なる5つのアイソタイプがある。
現在、臨床検査室は、タンパク質ゲル電気泳動法(PEL)および免疫固定法(imunogixation)(IFE)の組み合わせを用いて血清免疫グロブリンを定量およびアイソタイピングしている。健常個体について、観察される電気泳動パターンは、一様に分散した染色パターンである。このパターンは、体細胞超変異に応じて発生した多数の免疫グロブリン重鎖および軽鎖(約6.3×106本の重鎖および3.5×105本の軽鎖)によって産生されたポリクローナルバックグラウンドを反映している。多クローン性高ガンマグロブリン血症のような特定の疾患では、健康な個体と比較して血流または尿中の免疫グロブリンの総量が増加する。多発性骨髄腫のような他の疾患では、免疫グロブリン量におけるこの増加は、血流中のモノクローナル免疫グロブリンに起因する。高レベルのモノクローナル免疫グロブリンが検出される場合、モノクローナル免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のアイソタイプを決定するために追加的な検査が行われる。
同様に、臨床検査室は、今日、等電点ゲル電気泳動法に続くIgG免疫ブロット法(IgG IEF)を用いて脳脊髄液(CSF)を評価して、血清中と比較してCSF中のIgGクローンを検出する。例えば、Fortini AS, Sanders EL, Weinshenker BG, Katzmann JA. Am J Clin Pathol. 2003 Nov;120(5):672-5(非特許文献1)を参照されたい。血清中に1つまたは複数のCSFバンド(すなわちオリゴクローナルバンド;OCB)が存在しないことにより、B細胞クローンがCNSにおける炎症応答の一部としてIgGを活発に産生していることが示唆される。OCBの検出は、CSF炎症性疾患のための高感度な方法であり、MSでは患者の95%がIgGのCSF特異的OCBを有する。Awad A, Hemmer B, Hartung HP, Kieseier B, Bennett JL, Stuve O. J Neuroimmunol. 2010 Feb 26;219(1-2):1-7(非特許文献2)。
Fortini AS, Sanders EL, Weinshenker BG, Katzmann JA. Am J Clin Pathol. 2003 Nov;120(5):672-5 Awad A, Hemmer B, Hartung HP, Kieseier B, Bennett JL, Stuve O. J Neuroimmunol. 2010 Feb 26;219(1-2):1-7
概要
試料中の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を検出する方法が、本明細書において提供される。該方法は、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料を提供する段階;試料を免疫精製、希釈、および/または濃縮する段階;ならびに試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階を含む。
一部の態様では、免疫精製する段階は、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、抗ヒトIgE抗体、抗ヒトカッパ抗体、抗ヒトラムダ抗体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗体の使用を含む。抗体は、非ヒト抗体であり得る。一部の態様では、非ヒト抗体は、ラクダ抗体、軟骨魚類抗体、ラマ、ヒツジ、ヤギ、またはマウス抗体のうちの少なくとも1つである。
一部の態様では、免疫精製用の抗体は、単一ドメイン抗体フラグメントである。単一ドメイン抗体フラグメント(SDAF)は、抗ヒトIgG SDAF、抗ヒトIgA SDAF、抗ヒトIgM SDAF、抗ヒトIgD SDAF、抗ヒトIgE SDAF、抗ヒトカッパSDAF、抗ヒトラムダSDAF、およびそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。一部の態様では、単一ドメイン抗体フラグメントは、ラクダ抗体、軟骨魚類抗体、ラマ、マウス抗体、ヒツジ、ヤギ、またはヒト抗体に由来する。
単一ドメイン抗体フラグメントについて段階(c)で生成されたマススペクトルが、免疫グロブリン軽鎖または免疫グロブリン重鎖について段階(c)で生成されたマススペクトルと重複しないように、単一ドメイン抗体フラグメントを選択することができる。一部の態様では、単一ドメイン抗体フラグメントが、段階(c)において単一電荷を有する約12,500〜約15,000m/zのシグナルを生成するように、単一ドメイン抗体フラグメントを選択する。
一部の態様では、免疫グロブリン軽鎖は、試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る前に、免疫グロブリン重鎖から切り離される(decoupled)。免疫グロブリン軽鎖は、軽鎖と重鎖との間のジスルフィド結合の切断によって切り離され得る。例えば、ジスルフィド結合は、ジスルフィド結合を還元する能力がある還元剤を使用して切断することができる。一部の態様では、還元剤は、DTT(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、DTE(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、チオグリコレート、システイン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硫化物、二硫化物、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、およびそれらの塩形態からなる群より選択される。
一部の態様では、該方法は、試料を質量分析技法に供して試料のマススペクトルを得る段階の後に、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階をさらに含む。
一部の態様では、軽鎖は、質量分析技法の間にフラグメント化されない。
試料は、生物学的試料であり得る。例えば、生物学的試料は、全血試料、血清試料、血漿試料、尿試料、または脳脊髄液試料であり得る。生物学的試料は、哺乳類の生物学的試料であり得る。一部の態様では、哺乳類の生物学的試料はヒトの生物学的試料であり得る。
一部の態様では、質量分析技法は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)技法を含む。例えば、質量分析技法は、マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MS)技法を含むことができる。一部の態様では、LC-MS技法は、正イオンモードの使用を含む。
一部の態様では、質量分析技法は、マトリックス支援レーザー吸着イオン化-飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)技法を含む。
一部の態様では、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料は、単一分析で単一画分として分析される。
該方法は、試料中での免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との対形成を決定する段階をさらに含むことができる。一部の態様では、該方法は、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む。一部の態様では、該方法は、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン重鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む。一部の態様では、該方法は、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む。一部の態様では、該方法は、1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖を同定する段階をさらに含む。一部の態様では、該方法は、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖の量を定量する段階をさらに含む。
一部の態様では、該方法は、試料中のMタンパク質を同定する段階をさらに含む。該方法は、試料中のMタンパク質を定量する段階をさらに含むことができる。一部の態様では、該方法は、試料中のMタンパク質における免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリンとの対形成を同定する、決定する段階をさらに含む。
一部の態様では、カッパ軽鎖とラムダ軽鎖の比は、各鎖に対応する1つまたは複数の多価イオンピークのピーク面積を測定することによって求められる。カッパおよびラムダ軽鎖は、多価イオンピークのピーク面積を分子質量に変換することによって定量することができる。一部の態様では、内部標準の質量が定量化されるタンパク質の質量と重ならないようにサロゲート物質内部標準を使用することができる。
したがって、本明細書において、試料中の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を検出するための方法が提供される。該方法は、(a)免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料を提供する段階;(b)単一ドメイン抗体フラグメントを利用して試料を免疫精製する段階;(c)軽鎖免疫グロブリンを重鎖免疫グロブリンから切り離す段階;(d)免疫精製された試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;(e)試料中の(i)カッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比;(ii)免疫グロブリン軽鎖のアイソタイプ;(iii)免疫グロブリン重鎖のアイソタイプ;(iv)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖のアイソタイプ;ならびに(v)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖の定量的な量、の1つまたは複数を明らかにする段階を含む。質量分析技法は、(i)液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-質量分析器(四重極、飛行時間型またはオービトラップ)、(ii)マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MSまたはMS/MS)技法、および(iii)マトリックス支援レーザー吸着イオン化-飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MSまたはMS/MS)技法からなる群より選択される。
また、本明細書において、試料中の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を分析するための方法も提供される。該方法は、(a)免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料を提供する段階;(b)単一ドメイン抗体フラグメントを利用して試料を免疫精製する段階;(c)任意で、軽鎖免疫グロブリンを重鎖免疫グロブリンから切り離す段階であって、1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖または免疫グロブリン重鎖がMタンパク質に由来する、段階;(d)免疫精製された試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;ならびに(e)試料中の(i)Mタンパク質の同一性;(ii)Mタンパク質の量;(iii)Mタンパク質の免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との対形成;ならびに(iv)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、およびMタンパク質の定量的な量、の1つまたは複数を明らかにする段階を含む。質量分析技法は、(i)液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-質量分析器(四重極、飛行時間型またはオービトラップ)、(ii)マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MSまたはMS/MS)技法、および(iii)マトリックス支援レーザー吸着イオン化-飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MSまたはMS/MS)技法からなる群より選択される。さらに、本明細書において、対象における障害を診断するための方法が提供される。該方法は、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む、対象由来の試料を提供する段階;試料を免疫精製する段階;免疫精製された試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;および該比を参照値と比較する段階を含む。
障害は、自己免疫性障害、炎症性障害、感染性障害、および多クローン性高ガンマグロブリン血症からなる群より選択することができる。一部の態様では、障害は、形質細胞異常増殖症、高ガンマグロブリン血症、多発性硬化症、視神経脊髄炎、神経サルコイドーシス、亜急性硬化性全脳炎、ANCA関連血管炎、腫瘍随伴症候群、セリアック病、シェーグレン症候群、関節リウマチ、およびギラン・バレー症候群からなる群より選択される。ANCA関連血管炎は、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)に関連する3種の全身自己免疫性小血管性血管炎症候群を含む。ANCA関連血管炎は、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、以前はウェゲナー肉芽腫症として公知であった多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、および以前はチャーグ・ストラウス症候群として公知であった好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)を含む。障害が高ガンマグロブリン血症の場合、カッパとラムダの比に加えて、異なるモノクローナル軽鎖が、ポリクローナルバックグラウンドを超えて同定され得る。タンパク質電気泳動(PEL)または免疫固定検査の結果を確認するために、該方法を実施することができる。
加えて、対象におけるカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の異常な比に関連する障害の処置をモニタリングする方法が提供される。該方法は、(a)対象由来の最初の試料を提供する段階;(b)処置の間、処置の後、またはその両方における対象由来の1つまたは複数の第2の試料を提供する段階;(c)試料を免疫精製する段階;(d)試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;(e)試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;ならびに(f)最初の試料および1つまたは複数の第2の試料からの比を比較する段階を含む。
さらに、本明細書において、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量するための方法が提供される。該方法は、(a)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;(b)試料を免疫精製する段階;(c)免疫精製された試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;(d)スペクトルからカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖に対応する多価イオンピークを同定する段階;ならびに(e)同定されたピークのピーク面積を分子質量に変換して、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量する段階を含む。
本明細書において、対象における中枢神経系中の炎症応答に関連する障害を診断する方法が提供される。該方法は、(a)1種または複数種の免疫グロブリンを含む脳脊髄液(CSF)試料を提供する段階;(b)CSF試料を質量分析技法に供して、CSF試料のマススペクトルを得る段階;および(c)CSF試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階を含む。
一部の態様では、免疫グロブリン軽鎖は、軽鎖と重鎖との間のジスルフィド結合の切断によって切り離される。ジスルフィド結合は、ジスルフィド結合を還元する能力のある還元剤を使用して切断することができる。例えば、還元剤は、DTT(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、DTE(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、チオグリコレート、システイン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硫化物、二硫化物、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、およびそれらの塩形態からなる群より選択することができる。
一部の態様では、CSF試料を質量分析技法に供してCSF試料のマススペクトルを得る前に、CSF試料は希釈される。例えば、CSF試料は、緩衝液で希釈することができる。
一部の態様では、質量分析技法は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)技法を含む。質量分析技法は、マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MS/MS)技法を含むことができる。LC-MS技法は、正イオンモードの使用を含むことができる。
一部の態様では、障害は、形質細胞異常増殖症、高ガンマグロブリン血症、多発性硬化症、視神経脊髄炎、神経サルコイドーシス、亜急性硬化性全脳炎、ANCA関連血管炎、腫瘍随伴症候群、セリアック病、シェーグレン症候群、関節リウマチ、およびギラン・バレー症候群からなる群より選択される。該方法は、さらに、1種または複数種の免疫グロブリンを含む血清試料を提供する段階、血清試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階;および(i)CSF試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを、(ii)血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークと比較する段階を含むことができる。
一部の態様では、血清試料は、試料を質量分析技法に供する前に濃縮される。
血清試料中に存在しない1つまたは複数のピークがCSF試料中に存在することは、中枢神経系中の炎症応答を示し得る。例えば、血清試料中に存在しない、CSF試料中の1つまたは複数のピークは、オリゴクローナルバンド(OCB)を含むことができる。
したがって、本明細書において、対象における中枢神経系中の炎症応答に関連する障害を診断する方法が提供される。該方法は、(a)1種または複数種の免疫グロブリンを含むCSF試料および1種または複数種の免疫グロブリンを含む血清試料を提供する段階;(b)CSF試料および血清試料を質量分析技法に供して、CSF試料および血清試料のマススペクトルを得る段階;(c)CSF試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階;(e)血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階;ならびに(f)(i)CSF試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを、(ii)血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークと比較する段階を含む。
また、本明細書において、処置に対する応答をモニタリングするための方法も提供される。該方法は、(a)対象由来の最初のCSF試料を提供する段階;(b)処置の間、処置の後、またはその両方における、対象由来の1つまたは複数の第2のCSF試料を提供する段階;(c)CSF試料を免疫精製する段階;(d)免疫精製されたCSF試料を質量分析技法に供して、CSF試料のマススペクトルを得る段階;(e)(i)最初のCSF試料における質量ピークを、(ii)1つまたは複数の第2の試料における質量ピークと比較する段階を含む。最初の試料は、ベースライン試料もしくは対照試料、または例えば処置の開始前に対象から採取された試料であり得る。
また、本明細書において、生物学的試料中の免疫グロブリンの重鎖および軽鎖を同定および定量するために質量分析法(例えば、microLC-ESI-Q-TOF MS)を使用する方法も提供される。これは、一部には、重鎖および軽鎖の両方の様々なアイソタイプの定常領域の質量差により、各アイソタイプについての異なる分子質量プロファイルが観測されるという事実に起因する。免疫グロブリンが濃縮され、DTT還元された参照としての正常ヒトプール血清を使用して、各アイソタイプについての分子質量プロファイルが確立され、正規分布に適合することが見出された。そのうえ、免疫グロブリン軽鎖の場合、カッパ/ラムダピーク面積比は、他の公表された方法を用いて観測されたカッパ/ラムダ比に類似している。加えて、本明細書において提供される方法は、(例えば、様々な哺乳動物種において)血清中のカッパおよびラムダ軽鎖レパートリーをモニタリングするために使用することができる。高ガンマグロブリン血症および他の障害を有する対象について示された結果は、さらに、異常な免疫グロブリンレベルを有する対象におけるカッパおよびラムダ軽鎖レパートリーの相対的存在量を評価するために、本明細書において提供される方法が有用であることを強調している。この結果は、血清中のポリクローナルなカッパ/ラムダの異常な比が、本明細書記載の分子質量プロファイリング方法を用いて、速やかで安価に特定できることを実証しているので、有意義である。加えて、免疫グロブリン重鎖の検出およびアイソタイピングは、多発性骨髄腫のような障害の特定および処置に意味を有することができる。
したがって、本明細書において、以下の段階を含む、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求めるための方法が提供される:1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;および試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階。
一部の態様では、試料を質量分析技法に供する前に、免疫グロブリン軽鎖は、免疫グロブリン重鎖から切り離される。例えば、免疫グロブリン軽鎖は、軽鎖と重鎖との間のジスルフィド結合の切断(例えば還元)によって切り離され得る。任意の適切な還元剤を使用することができ、例えば、還元剤は、DTT(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、DTE(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、チオグリコレート、システイン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硫化物、二硫化物、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、およびそれらの塩形態からなる群より選択することができる。一部の態様では、試料を質量分析技法に供する前に、試料中の免疫グロブリンは試料中で濃縮される。
一部の態様では、軽鎖は、質量分析技法の間にフラグメント化されない。
試料は、全血試料、血清試料、血漿試料、または尿試料のような生物学的試料を含むことができる。一部の態様では、生物学的試料は、哺乳類の生物学的試料(例えば、ヒトの生物学的試料)である。
本明細書において使用される質量分析技法は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)技法を含むことができる。一部の態様では、質量分析技法は、マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MS)技法を含む。一部の態様では、LC-MS技法は、正イオンモードの使用を含む。
一部の例では、カッパ軽鎖とラムダ軽鎖の比は、各鎖に対応する1つまたは複数の多価イオンピークのピーク面積を測定することによって求められる。多価イオンピークのピーク面積は、分子質量に変換することができる。一部の態様では、分子質量の測定は、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖を定量するために使用することができる。
一部の態様では、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求めるための方法は、1種または複数種の免疫グロブリンが濃縮された試料を提供する段階;試料中の免疫グロブリンにおける軽鎖免疫グロブリンを重鎖免疫グロブリンから切り離して、切り離した免疫グロブリン試料を作製する段階;試料をマイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;および試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階を含む。
また、本明細書において、以下の段階を含む、対象における障害を診断するための方法も提供される:対象由来の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;および該比を参照値と比較する段階。これらの方法を用いて診断できる例示的な障害は、自己免疫性障害、炎症性障害、感染性障害、および多クローン性高ガンマグロブリン血症を含む。一部の態様では、障害は高ガンマグロブリン血症であり、カッパとラムダの比に加えて、異なるモノクローナル軽鎖が、ポリクローナルバックグラウンドを超えて同定され得る。一部の態様では、本明細書記載の方法は、タンパク質電気泳動(PEL)または免疫固定検査の結果を確認するために行われる。
さらに、対象におけるカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の異常な比に関連する障害の処置をモニタリングする方法であって、処置の前における対象の第1の試料を提供する段階;処置の間または後における対象の第2の試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;ならびに第1および第2の試料からの比を比較する段階を含む方法が、提供される。
本明細書提供の方法は、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量するためにも使用することができる。一部の態様では、該方法は、1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;スペクトルからカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖に対応する多価イオンピークを同定する段階;ならびに同定されたピークのピーク面積を分子質量に変換して、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量する段階を含む。
本明細書において、以下の段階を含む、対象における高ガンマグロブリン血症を診断するための方法が提供される:対象由来の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖の総量を求める段階;ならびに試料中の量を参照値と比較する段階であって、参照よりも高い総量が、対象が高ガンマグロブリン血症を有することを示す、段階。一部の態様では、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖の総量は、参照値よりも少なくとも2倍多い。
本明細書記載の方法は、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン重鎖のアイソタイプを決定するためにも有用である。一部の態様では、該方法は、1種または複数種の免疫グロブリン重鎖を含む試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;および試料中の免疫グロブリン重鎖の1種または複数種のアイソタイプに対応する質量ピークを同定する段階を含む。
また、本明細書において、以下の段階を含む、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖のアイソタイプを決定するための方法も提供される:1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;および試料中の免疫グロブリン軽鎖の1種または複数種のアイソタイプに対応する質量ピークを同定する段階。
本明細書提供の方法は、対象における1種または複数種の重鎖免疫グロブリンアイソタイプに関連する障害を診断するために使用することができ、該方法は、1種または複数種の免疫グロブリン重鎖を含む試料を提供する段階;試料を質量分析技法に供して、試料のマススペクトルを得る段階;および試料中の免疫グロブリン重鎖の1種または複数種のアイソタイプに対応する質量ピークを同定する段階を含む。例示的な障害は、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、軽鎖沈着症、アミロイドーシス、多発性骨髄腫、重鎖沈着症、およびPOEMS症候群を含む。
[本発明1001]
以下の段階を含む、試料中の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を検出するための方法:
(a)免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を免疫精製する段階;および
(c)該免疫精製された試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階。
[本発明1002]
免疫精製する段階が、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、抗ヒトIgE抗体、抗ヒトカッパ抗体、抗ヒトラムダ抗体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗体の使用を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
抗体が非ヒト抗体である、本発明1001〜1002のいずれかの方法。
[本発明1004]
非ヒト抗体が、ラクダ抗体、軟骨魚類抗体、ラマ、ヒツジ、ヤギ、またはマウス抗体のうちの少なくとも1つである、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
抗体が単一ドメイン抗体フラグメントである、本発明1001〜1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
単一ドメイン抗体フラグメント(SDAF)が、抗ヒトIgG SDAF、抗ヒトIgA SDAF、抗ヒトIgM SDAF、抗ヒトIgD SDAF、抗ヒトIgE SDAF、抗ヒトカッパSDAF、抗ヒトラムダSDAF、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1001〜1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
単一ドメイン抗体フラグメントが、ラクダ抗体、軟骨魚類抗体、ラマ、マウス抗体、ヒツジ、ヤギ、またはヒト抗体に由来する、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
単一ドメイン抗体フラグメントについて段階(c)で生成されたマススペクトルが、免疫グロブリン軽鎖または免疫グロブリン重鎖について段階(c)で生成されたマススペクトルと重複しないように、該単一ドメイン抗体フラグメントが選択される、本発明1001〜1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
単一ドメイン抗体フラグメントが、段階(c)において単一電荷を有する約12,500〜約15,000m/zのシグナルを生成するように、該単一ドメイン抗体フラグメントが選択される、本発明1001〜1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
免疫グロブリン軽鎖が、段階(c)の前に免疫グロブリン重鎖から切り離される、本発明1001〜1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
免疫グロブリン軽鎖が、軽鎖と重鎖との間のジスルフィド結合の切断によって切り離される、本発明1001〜1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
ジスルフィド結合が、ジスルフィド結合を還元する能力がある還元剤を使用して切断される、本発明1001〜1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
還元剤が、DTT(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、DTE(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、チオグリコレート、システイン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硫化物、二硫化物、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、およびそれらの塩形態からなる群より選択される、本発明1001〜1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
段階(c)の後に、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階をさらに含む、本発明1001〜1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
軽鎖が、質量分析技法の間にフラグメント化されない、本発明1001〜1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
試料が生物学的試料である、本発明1001〜1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
生物学的試料が、全血試料、血清試料、血漿試料、尿試料、または脳脊髄液試料である、本発明1001〜1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
生物学的試料が、哺乳類の生物学的試料である、本発明1001〜1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
哺乳類の生物学的試料がヒトの生物学的試料である、本発明1001〜1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
質量分析技法が、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)技法を含む、本発明1001〜1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
質量分析技法が、マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MS)技法を含む、本発明1001〜1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
LC-MS技法が、正イオンモードの使用を含む、本発明1001〜1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
質量分析技法が、マトリックス支援レーザー吸着イオン化-飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)技法を含む、本発明1001〜1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料が、単一分析で単一画分として分析される、本発明1001〜1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
試料中の免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との対形成を決定する段階をさらに含む、本発明1001〜1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む、本発明1001〜1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
試料中の1種または複数種の免疫グロブリン重鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む、本発明1001〜1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む、本発明1001〜1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖を同定する段階をさらに含む、本発明1001〜1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖の量を同定する段階をさらに含む、本発明1001〜1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
試料中のMタンパク質を同定する段階をさらに含む、本発明1001〜1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
試料中のMタンパク質を定量する段階をさらに含む、本発明1001〜1031のいずれかの方法。
[本発明1033]
試料中のMタンパク質における免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との対形成を決定する段階をさらに含む、本発明1001〜1032のいずれかの方法。
[本発明1034]
カッパ軽鎖とラムダ軽鎖の比が、各鎖に対応する1つまたは複数の多価イオンピークのピーク面積を測定することによって求められる、本発明1001〜1033のいずれかの方法。
[本発明1035]
カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖が、多価イオンピークのピーク面積を分子質量に変換することによって定量される、本発明1001〜1034のいずれかの方法。
[本発明1036]
以下の段階を含む、試料中の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を検出するための方法:
(a)免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料を提供する段階;
(b)単一ドメイン抗体フラグメントを利用して該試料を免疫精製する段階;
(c)軽鎖免疫グロブリンを重鎖免疫グロブリンから切り離す段階;
(d)該免疫精製された試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階であって、質量分析技法が、(i)液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-質量分析器、(ii)マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析技法、および(iii)マトリックス支援レーザー吸着イオン化-飛行時間型質量分析技法からなる群より選択される、段階;ならびに
(e)試料中の(i)カッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比、(ii)免疫グロブリン軽鎖のアイソタイプ、(iii)免疫グロブリン重鎖のアイソタイプ、(iv)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖のアイソタイプ、ならびに(v)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖の定量的な量、の1つまたは複数を明らかにする段階。
[本発明1037]
以下の段階を含む、試料中の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を検出するための方法:
(a)免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料を提供する段階;
(b)単一ドメイン抗体フラグメントを利用して該試料を免疫精製する段階;
(c)任意で、軽鎖免疫グロブリンを重鎖免疫グロブリンから切り離す段階であって、1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖または免疫グロブリン重鎖が、Mタンパク質に由来する、段階;
(d)該免疫精製された試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階であって、質量分析技法が、(i)液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-質量分析器、(ii)マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析技法、および(iii)マトリックス支援レーザー吸着イオン化-飛行時間型質量分析技法からなる群より選択される、段階;ならびに
(e)試料中の(i)Mタンパク質の同一性、(ii)Mタンパク質の量、(iii)Mタンパク質の免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との対形成、ならびに(iv)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、およびMタンパク質の定量的な量、の1つまたは複数を明らかにする段階。
[本発明1038]
以下の段階を含む、対象における障害を診断するための方法:
(a)免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む、対象由来の試料を提供する段階;
(b)該試料を免疫精製する段階;
(c)該免疫精製された試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(d)該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;および
(e)該比を参照値と比較する段階。
[本発明1039]
障害が、自己免疫性障害、炎症性障害、感染性障害、および多クローン性高ガンマグロブリン血症からなる群より選択される、本発明1038の方法。
[本発明1040]
障害が、形質細胞性形質細胞異常増殖症、高ガンマグロブリン血症、多発性硬化症、視神経脊髄炎、神経サルコイドーシス、亜急性硬化性全脳炎、ANCA関連血管炎、腫瘍随伴症候群、セリアック病、シェーグレン症候群、関節リウマチ、およびギラン・バレー症候群からなる群より選択される、本発明1038〜1039のいずれかの方法。
[本発明1041]
障害が高ガンマグロブリン血症であり、カッパとラムダの比に加えて、異なるモノクローナル軽鎖が、ポリクローナルバックグラウンドを超えて同定される、本発明1038〜1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
タンパク質電気泳動(PEL)または免疫固定検査の結果を確認するために行われる、本発明1038〜1041のいずれかの方法。
[本発明1043]
以下の段階を含む、対象におけるカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の異常な比に関連する障害の処置をモニタリングする方法:
(a)対象由来の最初の試料を提供する段階;
(b)処置の間、処置の後、またはその両方における該対象由来の1つまたは複数の第2の試料を提供する段階;
(c)該試料を免疫精製する段階;
(d)該免疫精製された試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(e)該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;ならびに
(f)該最初の試料および該1つまたは複数の第2の試料からの比を比較する段階。
[本発明1044]
以下の段階を含む、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量するための方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を免疫精製する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(c)該スペクトルにおけるカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖に対応する多価イオンピークを同定する段階;ならびに
(d)該同定されたピークのピーク面積を分子質量に変換して、該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量する段階。
[本発明1045]
以下の段階を含む、対象における中枢神経系中の炎症応答に関連する障害を診断する方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリンを含む脳脊髄液(CSF)試料を提供する段階;
(b)該CSF試料を質量分析技法に供して、該CSF試料のマススペクトルを得る段階;および
(c)該CSF試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階。
[本発明1046]
免疫グロブリン軽鎖が、軽鎖と重鎖との間のジスルフィド結合の切断によって切り離される、本発明1045の方法。
[本発明1047]
ジスルフィド結合が、ジスルフィド結合を還元する能力のある還元剤を使用して切断される、本発明1045〜1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
還元剤が、DTT(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、DTE(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、チオグリコレート、システイン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硫化物、二硫化物、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、およびそれらの塩形態からなる群より選択される、本発明1045〜1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
段階(b)の前に、CSF試料が希釈される、本発明1045〜1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
質量分析技法が、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)技法を含む、本発明1045〜1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
質量分析技法が、マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MS)技法を含む、本発明1045〜1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
LC-MS技法が、正イオンモードの使用を含む、本発明1045〜1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
障害が、多発性硬化症、視神経脊髄炎、神経サルコイドーシス、亜急性硬化性全脳炎、およびギラン・バレー症候群からなる群より選択される、本発明1045〜1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
(d)1種または複数種の免疫グロブリンを含む血清試料を提供する段階;
(e)該血清試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(f)該血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階;および
(g)(i)該CSF試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを、(ii)該血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークと比較する段階
をさらに含む、本発明1045〜1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
血清試料を質量分析技法に供する前に、該試料を濃縮する段階をさらに含む、本発明1045〜1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
血清試料中に存在しない1つまたは複数のピークがCSF試料中に存在することが、中枢神経系中の炎症応答を示す、本発明1045〜1055のいずれかの方法。
[本発明1057]
以下の段階を含む、処置に対する応答をモニタリングするための方法:
(a)対象由来の最初のCSF試料を提供する段階;
(b)処置の間、処置の後、またはその両方における、該対象由来の1つまたは複数の第2のCSF試料を提供する段階;
(c)該CSF試料を免疫精製する段階;
(d)該免疫精製されたCSF試料を質量分析技法に供して、該CSF試料のマススペクトルを得る段階;
(e)(i)該最初のCSF試料における質量ピークを、(ii)該1つまたは複数の第2の試料における質量ピークと比較する段階。
[本発明1058]
以下の段階を含む、対象における中枢神経系中の炎症応答と関連する障害を診断する方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリンを含むCSF試料および1種または複数種の免疫グロブリンを含む血清試料を提供する段階;
(b)該CSF試料および該血清試料を質量分析技法に供して、該CSF試料および該血清試料のマススペクトルを得る段階;
(c)該CSF試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階;
(e)該血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階;ならびに
(d)(i)該CSF試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを、(ii)該血清試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークと比較する段階。
[本発明1059]
以下の段階を含む、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求めるための方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;および
(c)該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階。
[本発明1060]
段階(b)の前に、免疫グロブリン軽鎖が、免疫グロブリン重鎖から切り離される、本発明1059の方法。
[本発明1061]
免疫グロブリン軽鎖が、軽鎖と重鎖との間のジスルフィド結合の切断によって切り離される、本発明1059〜1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
ジスルフィド結合が、ジスルフィド結合を還元する能力のある還元剤を使用して切断される、本発明1059〜1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
還元剤が、DTT(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、DTE(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、チオグリコレート、システイン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硫化物、二硫化物、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、およびそれらの塩形態からなる群より選択される、本発明1059〜1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
軽鎖が、質量分析技法の間にフラグメント化されない、本発明1059〜1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
試料が生物学的試料である、本発明1059〜1064のいずれかの方法。
[本発明1066]
生物学的試料が、全血試料、血清試料、血漿試料、または尿試料である、本発明1059〜1065のいずれかの方法。
[本発明1067]
生物学的試料が、哺乳類の生物学的試料である、本発明1059〜1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
哺乳類がヒトである、本発明1059〜1067のいずれかの方法。
[本発明1069]
試料中の免疫グロブリンが、段階(b)の前に該試料中で濃縮される、本発明1059〜1068のいずれかの方法。
[本発明1070]
質量分析技法が、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)技法を含む、本発明1059〜1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
質量分析技法が、マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析(microLC-ESI-Q-TOF MS)技法を含む、本発明1059〜1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
LC-MS技法が、正イオンモードの使用を含む、本発明1059〜1070のいずれかの方法。
[本発明1073]
カッパ軽鎖とラムダ軽鎖の比が、各鎖に対応する1つまたは複数の多価イオンピークのピーク面積を測定することによって求められる、本発明1059〜1071のいずれかの方法。
[本発明1074]
カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖が、多価イオンピークのピーク面積を分子質量に変換することによって定量される、本発明1059〜1072のいずれかの方法。
[本発明1075]
以下の段階を含む、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求めるための方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリンが濃縮された試料を提供する段階;
(b)該試料中の免疫グロブリンにおける軽鎖免疫グロブリンを重鎖免疫グロブリンから切り離して、切り離した免疫グロブリン試料を作製する段階;
(c)該試料を、マイクロフロー液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;および
(d)該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階。
[本発明1076]
以下の段階を含む、対象における障害を診断するための方法:
(a)対象由来の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(c)該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;および
(d)該比を参照値と比較する段階。
[本発明1077]
障害が、自己免疫性障害、炎症性障害、感染性障害、および多クローン性高ガンマグロブリン血症からなる群より選択される、本発明1076の方法。
[本発明1078]
障害が、高ガンマグロブリン血症であり、カッパとラムダの比に加えて、異なるモノクローナル軽鎖が、ポリクローナルバックグラウンドを超えて同定され得る、本発明1075〜1076のいずれかの方法。
[本発明1079]
タンパク質電気泳動(PEL)または免疫固定検査の結果を確認するために行われる、本発明1075〜1077のいずれかの方法。
[本発明1080]
以下の段階を含む、対象におけるカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の異常な比に関連する障害の処置をモニタリングする方法:
(a)処置の前における対象の第1の試料を提供する段階;
(b)処置の間または後における該対象の第2の試料を提供する段階;
(c)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(d)該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階;ならびに
(e)該第1の試料および該第2の試料からの比を比較する段階。
[本発明1081]
以下の段階を含む、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量するための方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(c)該スペクトルにおけるカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖に対応する多価イオンピークを同定する段階;ならびに
(d)該同定されたピークのピーク面積を分子質量に変換して、該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖を定量する段階。
[本発明1082]
以下の段階を含む、対象における高ガンマグロブリン血症を診断するための方法:
(a)対象由来の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;
(c)該試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖の総量を求める段階;ならびに
(d)該試料中の量を参照値と比較する段階であって、参照よりも多い総量が、該対象が高ガンマグロブリン血症を有することを示す、段階。
[本発明1083]
試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖の総量が、参照値よりも少なくとも2倍多い、本発明1082の方法。
[本発明1084]
以下の段階を含む、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン重鎖のアイソタイプを決定するための方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリン重鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;および
(c)該試料中の免疫グロブリン重鎖の1種または複数種のアイソタイプに対応する質量ピークを同定する段階。
[本発明1085]
以下の段階を含む、試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖のアイソタイプを決定するための方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;および
(c)該試料中の免疫グロブリン軽鎖の1種または複数種のアイソタイプに対応する質量ピークを同定する段階。
[本発明1086]
以下の段階を含む、対象における1種または複数種の重鎖免疫グロブリンアイソタイプに関連する障害を診断する方法:
(a)1種または複数種の免疫グロブリン重鎖を含む試料を提供する段階;
(b)該試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階;および
(c)該試料中の免疫グロブリン重鎖の1種または複数種のアイソタイプに対応する質量ピークを同定する段階。
[本発明1087]
障害が、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、軽鎖沈着症、アミロイドーシス、多発性骨髄腫、重鎖沈着症、およびPOEMS症候群からなる群より選択される、本発明1086の方法。
特に定義しない限り、本明細書における全ての技術用語および科学用語は、本明細書が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本発明における使用のための方法および材料は、本明細書に記載されており、当技術分野において公知の他の適切な方法および材料も使用することができる。材料、方法、および実施例は単なる例証であり、限定することを意図してしない。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体として参照により組み入れられる。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先されるものとする。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面、ならびに添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖の両方に関する3つの領域(V、J、およびC)のそれぞれについて観測されるであろう、予想される理論的分子質量プロファイルを図示する。 カッパおよびラムダ軽鎖に関する定常領域についてのアミノ酸配列を、カッパ定常領域と4つのラムダ定常領域の平均質量との間の分子質量差と共に示す。 カッパおよびラムダについてビン幅100Daで表示した計算分子質量を用いて作成したヒストグラムを示す。 メロンゲルで精製され、DTTで還元された正常プール血清2μLの注入を、microLC-ESI-Q-TOF MSによって分析したものから得られた全イオンクロマトグラムを示す。 1分のウインドウで収集されたスペクトルを合計することによって得られたマススペクトルを、強調表示された垂直線の隣に示された予想されるポリクローナルカッパ軽鎖の荷電状態とともに示す。 図5のマススペクトルをデコンボリューションし、分子質量に変換したものを提供する。スペクトルは、カッパおよびラムダのポリクローナルな分子質量プロファイルを示している。 正常プール血清(上)、IgGカッパが精製された正常プール血清(中央)、およびIgGラムダが精製された正常プール血清(下)についてデコンボリューション後の分子質量プロファイルを比較した結果を示す。 ヒツジ、ヤギ、ウシ、およびウマに由来するプール血清試料についての結果を提供する。 正常な対照血清(下の線)と比較した、高ガンマグロブリン血症を有する患者から採取された血清(上の線)から観測された+11荷電状態のカッパおよびラムダ軽鎖イオンを示す。 正常な対照血清(上)、原因不明の慢性炎症応答を有する患者(中央)、ならびに唾液腺および涙腺に関する自己免疫性障害であるシェーグレン症候群を有する患者(下)から観測された+11荷電状態のイオンを示す。 カッパ軽鎖およびIgG重鎖を有する治療用組換えモノクローナル抗体HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)が添加された血清試料について軽鎖質量領域に観測された応答を示す。 公知の遊離モノクローナルラムダ軽鎖を有し、かつカッパ軽鎖およびIgG重鎖を有する治療用組換えモノクローナル抗体REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)で処置もされた患者からの血清試料について、軽鎖質量領域で観測された応答を示す。 カッパ軽鎖およびIgG重鎖を有する治療用組換えモノクローナル抗体HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)が添加された血清試料について、重鎖質量領域で観測された応答を示す。 本明細書提供の方法の一態様のフローチャートである。 HIV感染を有する患者からの血清試料について、軽鎖質量領域で観測された応答を示す。 ゲルに基づく方法(上)および本明細書提供の質量分析に基づく方法(下)について、試料調製の段階を図示する。 本明細書提供の質量分析に基づく方法(下)によって分析された、IgG IEFによりCSF特異的モノクローナル免疫グロブリンが陰性の患者からのマススペクトルを図示する。 本明細書提供の質量分析に基づく方法によって分析された、IgG IEFによりCSFおよび血清のモノクローナル免疫グロブリンが一致した患者(すなわち陰性患者)からのマススペクトルを図示する。 本明細書提供の質量分析に基づく方法によって分析された、IgG IEFによりCSF特異的モノクローナル免疫グロブリンが陽性の患者からのマススペクトルを図示する。 本明細書提供の質量分析に基づく方法によって分析された、IgG IEFによりCSF特異的モノクローナル免疫グロブリンが陽性の患者からのマススペクトルを図示する。 カッパ軽鎖標準が添加され、次に本明細書提供の質量分析に基づく方法によって分析された、OCB陽性の患者CSF試料からの+17荷電状態のカッパ軽鎖を図示する。青色の線は1.5μg/mL添加、ピンク色の線は3μg/mL添加、オレンジ色の線は6μg/mL添加、緑色の線は12μg/mL添加である。
詳細な説明
ヒト免疫グロブリン軽鎖のアミノ酸配列は、3つの領域:N末端V領域(カッパについてアミノ酸約107個およびラムダについてアミノ酸110個)、J領域(アミノ酸12個)、およびC末端C領域(アミノ酸106個)からなる。各領域は、軽鎖を無傷の免疫グロブリンの一部または遊離の軽鎖のいずれかとして作製および分泌するB細胞にだけ発現される特異的なセットの遺伝子から翻訳される。B細胞はまた、体細胞超変異過程を介して軽鎖についてのVおよびJ領域遺伝子をランダムに突然変異させ、多数の異なる遺伝子組み合わせ(カッパ単独について約1.3×103個)を生じることができる(例えば、Lefranc, MP. Cold Spring Harb Protoc 2011; 2011:595-603を参照されたい)。軽鎖V領域および軽鎖J領域の遺伝子配列は、ランダムに生じるので、中心極限定理(Mukhopadhyay, N and Chattopadhyay, B. Sequential Anal 2012; 31:265-77)は、発現された軽鎖のレパートリーのアミノ酸配列が、正規分布した分子質量プロファイルを有するはずであると予測している。
図1に、カッパおよびラムダ軽鎖の両方について、3つの領域(V、J、およびC)のそれぞれで観測されるであろう、予想される理論的分子質量プロファイルの一例を提示する。VおよびJ領域の下のプロファイルは、翻訳された領域の予測される正規分布の分子質量プロファイルを示し、一方で、C領域の下のプロファイルは、単一の棒線を示す。カッパ定常領域は、1つだけの保存されたアミノ酸配列を有するので、単一の分子質量の棒線で表されるが、一方で、ラムダについてのC領域の下のプロファイルは、それぞれが4つの異なるラムダ定常領域の分子質量L1、L2、L3、およびL7を表す4つの異なる棒線を示す(McBride, OW et al. J Exp Med 1982; 155:1480-90)。図2に、カッパおよびラムダ軽鎖についての定常領域のアミノ酸配列を、カッパ定常領域と4つのラムダ定常領域の平均質量との間の分子質量差と共に示す。VおよびJ領域のアミノ酸配列の分子質量が正規分布に従うと仮定すると、それらの分子質量プロファイルからのカッパについてのμとラムダについてのμとの間の差は、定常領域の質量差(約363.55Da)だけ異なるはずである。1087個のカッパ軽鎖配列および735個のラムダ軽鎖配列についてのVおよびJ領域全体を含む軽鎖遺伝子配列データベースを使用して、カッパおよびラムダ軽鎖の分子質量を計算した。各VJ領域についてのヌクレオチド配列情報をアミノ酸配列に変換し、次に分子質量に変換した。次に、VJ領域の分子質量を、対応するカッパまたはラムダ定常領域の分子質量に加算した。図3に、ビン幅100Daで表示された計算分子質量を使用して、カッパおよびラムダについて作成されたヒストグラムを示す。カッパについての平均分子質量は、23,373.41Daであると分かり、一方で、ラムダについての平均分子質量は、22,845.24Daであると分かった(赤色の垂直破線により表示される平均)。これは、言い換えると、カッパ軽鎖とラムダ軽鎖との528.17Daの差になり、それは、カッパ定常領域とラムダ定常領域との間のみの分子質量の差363.55Daよりも大きい。この差は、V領域内の相補性決定領域(CDR)に比べて完全なランダム化を受けない、V領域内のフレームワーク領域(FR)からの質量における寄与に起因する可能性が高い。
免疫グロブリン軽鎖と同様に、重鎖は、可変および接触領域を含む。公知の配列の選択された免疫グロブリン重鎖(すなわちIgA、IgG、およびIgM)を使用して、可変領域遺伝子配列がそれらのそれぞれのアミノ酸配列に変換され、次に分子質量に変換された。次に、これらの質量は、IgA、IgG、およびIgMについての公知の定常領域の分子質量に加算された。可能な分子質量のビンのセットを増分200Daで作り、各ビンについての質量と一致するクローンの数を記録した。各ビンの分子質量(x軸)に対する各ビンにおけるクローンの数(y軸)の平滑化ヒストグラムプロットを図2に示すが、図中、赤色の線(左から1番目および3番目のピーク)=IgA、青色の線(左から2番目および4番目のピーク)=IgG、ならびに緑色の線(左から5番目および6番目のピーク)=IgMである。プロットから、カッパ軽鎖とラムダ軽鎖との間の質量差に類似して、異なる重鎖アイソタイプのそれぞれの分子質量にギャップが存在することが実証される。Igアイソタイプについての定常領域の公知の平均分子質量は:
・IgA、2つのサブクラス、平均分子質量=37,090Da
・IgG、4つのサブクラス、平均分子質量=37,308Da
・IgM、1つのクラス、分子質量=49,307Da
である。
各免疫グロブリンアイソタイプについて観測された分子質量は、N-結合型および/またはO-結合型グリコシル化の付加が原因で変化する。この翻訳後修飾は、B細胞により遂行される自然な過程であるが、細胞によって付加されるグリコシル化の程度は、各Igアイソタイプにより異なり、したがって、追加的なMS/MSフラグメント化を行わずにアイソタイプを同定する追加的な手段を与えるはずである。アイソタイプのグリコシル化パターンは:
・IgAはO-結合型およびN-結合型グリコシル化の両方を有する、
・IgGはAps297でのN-結合型グリコシル化だけを有する、
・IgMは5つのN-結合型グリコシル化部位を有する
である。
本明細書提供のデータは、本明細書記載の方法を用いて観測される分子質量の分布が、血清中に存在するポリクローナルな重鎖および軽鎖レパートリー全体を表すことを示している。免疫グロブリン分子質量分布の全体を観測できることは、本明細書提供の方法の独特な性質であり、ユーザが試料に特異的な表現型の免疫グロブリンシグネチャーを記録できるようにする。
様々な重鎖および軽鎖アイソタイプの異なる分子質量プロファイルを使用することで、質量分析を用いて試料中の免疫グロブリン重鎖および軽鎖を同定および定量するための方法が発見された。例えば本明細書において、質量分析技法を用いて、分子質量におけるこの差を使用して、試料中のカッパおよびラムダ軽鎖を同定および定量する方法が提供される(図14参照)。質量分析のスピード、感度、分解能、および頑健性により、本方法は、免疫グロブリンをアイソタイピングすることに関してPEL、比濁法、またはIFEよりも優れたものになり、それらの相対存在量の比較および定量が可能になる。そのような方法は、様々な障害を診断するため、および処置後の患者をモニタリングするために有用である。
タンパク質電気泳動は、多発性硬化症(MS)を有する患者におけるCSF免疫グロブリンを定量するために使用することができる。例えば、Kabat EA, Moore DH, Landow H. J Clin Invest. 1942 Sep;21(5):571-7を参照されたい。臨床検査室は、現在、等電点ゲル電気泳動法に続きIgG免疫ブロット法(IgG IEF)でCSFを評価して、血清中と比較してCSF中のIgGクローンを検出する。例えば、Fortini AS, Sanders EL, Weinshenker BG, Katzmann JA. Am J Clin Pathol. 2003 Nov;120(5):672-5を参照されたい。血清中に複数のCSFバンド(すなわちオリゴクローナルバンド-OCB)が存在しないことにより、B細胞クローンがCNS中の炎症応答の一部としてIgGを活発に産生していることが示唆される。OCBの検出は、CSF炎症性疾患のための高感度な方法であり、多発性硬化症では、患者の95%がIgG CSF特異的OCBを有する。例えば、Awad A, Hemmer B, Hartung HP, Kieseier B, Bennett JL, Stuve O. J Neuroimmunol. 2010 Feb 26; 219(1-2):1-7を参照されたい。IgG IEFの免疫ブロットは、1)血清およびCSF中にバンドなし(陰性);2)血清およびCSFにおいて一致するバンド(陰性);3)血清中に独特なバンド(陰性);または4)CSF中に独特なバンド(陽性)と判定される。さらに、CSF液から単離されたIgG分子は、IEFゲルにより分析され、続いてバンドが切り出され、次にMALD-TOF MSにより分析される。例えば、Obermeier et al. Nature Medicine. 2008 Jun;14(6):688-93を参照されたい。同様に、CSFは、SDS-PAGEを用いてCSFから精製され、関連するバンドが切り出され、トリプシン処理され、LC-MSで測定される。例えば、Singh et al. Cerebrospinal-fluid-derived Immunoglobulin G of Different Multiple Sclerosis Patients Shares Mutated Sequences in Complementary Determining Retions. Mol Cell Proteomics. 2013 Dec;12(12):3924-34を参照されたい。
モノクローナル免疫グロブリン迅速精密質量測定(miRAMM)とも呼ばれる、本明細書提供の質量分析方法を用いて、オリゴクローナル免疫グロブリンを、脳脊髄液(CSF)中および血清中のそれらの関連する軽鎖を評価することによって検出することができる。例えば、IgG IEFおよびmiRAMMにより分析された56対のCSFおよび血清試料についての結果を比較した。2つの方法は、合致した結果(陽性22および陰性34)を有する54個の試料で一致し、2個はIgG IEFで陽性であったがmiRAMMで陰性であった。さらに、本明細書提供の方法は、クローン性免疫グロブリンを同定することに加えて、クローン性免疫グロブリンの量を定量するために使用することができる。
様々な態様で、本明細書提供の方法は、他の公知の方法と比較して、血清とCSFとの間のクローンマッチングの精度向上を示す。様々な態様では、該方法は、免疫固定法(IFE)に基づく技法と比較して供給コストが低い。様々な態様では、該方法は、1つまたは複数のCSFクローンを有利に定量することができる。
形質細胞(PC)は、骨髄に存在し、膨大な量の高親和性抗原特異的免疫グロブリンを分泌する。形質細胞異常増殖症(PCD)では、Mタンパク質を構成する重鎖および/または軽鎖のアイソタイプによって決定される所定の質量を有する、独特なMタンパク質を分泌している特定のクローン性PCが過剰出現している。したがって、これらのMタンパク質は、PCDのバイオマーカーである。したがって、PCD障害の臨床的疑いがあるならば、通常は患者の血清および尿が、Mタンパク質(モノクローナル免疫グロブリンとしても公知である)の存在について検査される。Mタンパク質は、通常はタンパク質ゲル電気泳動法(PEL)および免疫固定法の組み合わせを用いて検出される。
試料および試料の調製
分析用の試料は、組織試料(例えば、脂肪、肝臓、腎臓、心臓、筋肉、骨、もしくは皮膚組織)または生体液試料(例えば、血液、血清、血漿、尿、涙液、唾液、または中枢髄液(central spinal fluid))のような任意の生物学的試料であり得る。生物学的試料は、哺乳類、例えばヒト、イヌ、ネコ、霊長類、齧歯類、ブタ、ヒツジ、ウシ、およびウマを含むがそれらに限定されない、免疫グロブリンを有する対象由来のものであり得る。一部の態様では、生物学的試料は、外因性モノクローナル免疫グロブリンを含む。また、試料は、公知の組成の混合物または対照試料のような人工試薬であり得る。
試料は、質量分析技法に干渉する可能性がある成分を除去するために処理することができる。試料の種類に基づき、当業者に公知の多様な技法を使用することができる。固体試料および/または組織試料を粉砕し、抽出して、関心対象の分析対象物が干渉成分を含まないようにすることができる。そのような場合、試料を遠心分離し、濾過し、かつ/またはクロマトグラフィー技法に供して、干渉成分(例えば、細胞または組織フラグメント)を除去することができる。なお他の場合には、干渉成分を沈殿させるまたはそれと結合することが公知の試薬を添加することができる。例えば、通常の凝固技法を用いて全血試料を処理して赤血球、白血球および血小板を除去することができる。試料は、除タンパクを行うことができる。例えば、血漿試料は、当業者に公知のアセトニトリル、KOH、NaOH、または他等の慣用の試薬を使用して血清タンパク質を沈殿させ、任意で続いて試料の遠心分離をすることができる。
免疫グロブリンは、当技術分野において公知の標準的な方法を用いて試料から単離または試料中で濃縮(すなわち高濃度に)することができる。そのような方法には、試料から1種または複数種の非免疫グロブリン混入物を除去する段階を含む。一部の態様では、試料は、免疫精製、遠心分離、濾過、限外濾過、透析、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、プロテインA/Gアフィニティークロマトグラフィー、親和性精製、沈殿、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、化学分画(例えば、メロンゲル(Melon Gel)精製のような抗体精製キット)、およびアプタマー技法を用いて濃縮または精製することができる。例えば、免疫グロブリンは、化学物質に基づく分画、例えば、メロンゲル樹脂が試料中の非免疫グロブリンタンパク質に結合し、免疫グロブリンを通過画分中に収集できるようにするメロンゲルクロマトグラフィー(Thermo Scientific)によって、または親和性精製によって、例えば、プロテインA、プロテインG、もしくはプロテインL精製によって精製することができ、その際、免疫グロブリンは、生理学的pHでそれらのタンパク質に結合し、次にpHを低下させることによってタンパク質から放出される。血清、血漿、または全血試料が使用される場合、試料、例えば試料10〜250μl、例えば50μlをメロンゲル、プロテインA、プロテインG、またはプロテインL精製に直接供することができる。TurboFlowカラムのようなサイズ排除原理もまた、試料から非免疫グロブリン混入物を分離するために用いることができる。尿試料が使用される場合、尿試料を緩衝化することができ、例えば、尿試料50μlを最初に50mM重炭酸アンモニウム50μlで希釈することができる。
一部の態様では、試料は、質量分析による分析前に免疫精製に供することができる。一部の態様では、試料は、免疫グロブリンが濃縮された状態であり得る。例えば、免疫精製は、1種または複数種の免疫グロブリンの濃縮をもたらし得る。一部の態様では、免疫精製は、試料中の免疫グロブリン軽鎖を分離または濃縮することができる。一部の態様では、免疫精製は、試料中の免疫グロブリン重鎖を分離または濃縮することができる。一部の態様では、免疫精製は、試料中の免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖を分離または濃縮することができる。一部の態様では、免疫精製は、試料中のIgG、IgA、IgM、IgD、またはIgEを分離または濃縮することができる。免疫精製は、所望の抗原を含有する試料を、抗原に対する抗体(例えば単一ドメイン抗体フラグメント)が固相(例えばアガロースビーズ)に共有結合されたものを含む親和性マトリックスと、接触させる段階を伴うことができる。試料中の抗原は、免疫化学結合を介して親和性マトリックスに結合した状態になる。次に、親和性マトリックスが洗浄されて、いかなる未結合種も除去される。次に、親和性マトリックスと接触している溶液の化学組成を変化させることによって、抗原が親和性マトリックスから除去される。免疫精製は、親和性マトリックスを含有するカラムで行われ得、その場合、溶液は溶離液であるか、またはバッチプロセスで行われ得、その場合、親和性マトリックスは、溶液中に懸濁して維持される。
一部の態様では、免疫グロブリンに対して親和性を有する単一ドメイン抗体フラグメント(SDAF)を免疫精製過程に使用することができる。SDAFは、非ヒト起源(例えばラクダ)の重鎖抗体、ヒト起源の重鎖抗体、およびヒトの軽鎖抗体に由来することができる。SDAFは、低分子量、高い物理化学的安定性、良好な水溶解性、および慣用の抗体にアクセス不能の抗原と結合できる能力のような独特な特徴を有する。
1種または複数種の異なる免疫グロブリンアイソタイプに対して親和性を有する抗体(例えば、単一ドメイン抗体フラグメント)の一群を使用する濃縮と併せて、MALDI-TOF質量分析を用いたマススペクトルの迅速生成を組み合わせて使用したところ、モノクローナルタンパク質が同定されること、Mタンパク質が定量されること、および重鎖/軽鎖アイソタイプの対形成の同定を含む、1種または複数種の重鎖免疫グロブリンまたは軽鎖免疫グロブリンが同定されることが見出された。本明細書提供の方法は、PCDを診断およびモニタリングするために現在使用されている4つの臨床アッセイである−PEL、総タンパク質定量、IFEおよびHevy Lite(HCL)アッセイが達成することができる情報と等価の臨床情報を生成することができる。
一部の態様では、免疫グロブリンの単離は、重鎖および軽鎖の両方を含む従来の抗体(例えば、IFEおよび様々な公知の臨床イムノアッセイで使用されるものなど)以外の実体を用いて行うことができる。従来の抗体は、関心対象の試料中の免疫グロブリン(例えばヒト免疫グロブリン)の質量と重なり得る質量を有する重鎖および/または軽鎖を含む。したがって、これらの抗体は、患者の免疫グロブリンのマススペクトルに干渉し得る。単一ドメイン抗体フラグメント(SDAF)は、本明細書記載の方法を用いて12,500〜15,000Daに及ぶ質量を有し得、かつ単一電荷を担持することで、12,500〜15,000m/zの範囲にシグナルを発生し得、そのシグナルは、ヒト重鎖または軽鎖により発生するシグナルと重ならない。さらに、免疫グロブリンがカッパ軽鎖アイソタイプでもラムダ軽鎖アイソタイプでもあり得るm/z領域(23,000〜23,200m/zまたは11,500〜11,600m/z)があるので、精密分子質量単独では、免疫グロブリンアイソタイプの同定において100%特異的なわけでない。したがって、一部の態様では、質量同定と併せてSDAFを利用する重鎖および/または軽鎖の特異的単離を使用することにより、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の検出のための特異的で高感度な方法がもたらされる。
様々な態様では、分析前に低濃度の免疫グロブリンを有する試料を濃縮する代わりに、単一ドメイン抗体フラグメントの使用が用いられ得る。様々ないくつかの態様では、本明細書記載の方法は、特異的モノクローナルタンパク質を定量するために尿または血清の総タンパク質の測定およびタンパク質ゲル電気泳動法を行う必要性に取って代わることができる。様々な態様では、該方法は、現行方法を超える感度で、Mタンパク質の全ての主要な種類のモノクローナルアイソタイプを同定することができる。様々な態様では、該方法は、より速く、より安価で、より労力を必要とせず、自動化可能である。様々な態様では、該方法は、ゲルとは対照的に電子的な記録を生成するので有利である。様々な態様では、該方法は、データ取得にかかるのが1試料あたり15秒未満であり得る点で、以前の方法の欠点を克服している。
一部の態様では、免疫グロブリンまたはその重鎖および/もしくは軽鎖は、実質的に単離されている。「実質的に単離されている」によって、免疫グロブリンが、それらの提供元の試料から少なくとも部分的または実質的に分離されていることを意味する。部分的分離は、例えば、免疫グロブリン(すなわち重鎖および/または軽鎖)が濃縮された試料を含むことができる。実質的な分離は、免疫グロブリンまたはその重鎖および/もしくは軽鎖を少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%含有する試料を含むことができる。上記のような免疫グロブリンを単離するための方法は、当技術分野においてルーチンである。
無傷の免疫グロブリンを、さらに処理して、総免疫グロブリン試料中の軽鎖を重鎖免疫グロブリンから切り離すことができる。切り離す段階は、総免疫グロブリンを、DTT(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、DTE(2,3ジヒドロキシブタン-1,4-ジチオール)、チオグリコレート、システイン、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硫化物、二硫化物、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、2-メルカプトエタノール、およびそれらの塩形態等の還元剤で処理することによって達成することができる。一部の態様では、還元工程は、タンパク質を変性させるために、上昇した温度、約30℃〜約65℃の範囲、例えば約55℃で行われる。一部の態様では、試料は、さらに、例えば試料のpHを変更すること、または試料を緩衝化することによって処理される。一部の態様では、試料は、酸性化することができる。一部の態様では、試料は、(例えば、重炭酸塩のような塩基の添加により)中和することができる。
質量分析方法
試料を調製した後、1種または複数種の免疫グロブリン重鎖または免疫グロブリン軽鎖を有する切り離した試料等の免疫グロブリン試料を、直接または高速液体クロマトグラフィーカラム(HPLC)での分離後のいずれかに質量分析(MS)技法に供することができる。一部の態様では、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)を使用してイオンのマススペクトルを分析することができる。例えば、方法は、試料中の重鎖または軽鎖に起因する多価イオン(例えば、+1イオン、+2イオン、+3イオン、+4イオン、+5イオン、+6イオン、+7イオン、+8イオン、+9イオン、+10イオン、+11イオン、+12イオン、+13イオン、+14イオン、+15イオン、+16イオン、+17イオン、+18イオン、+19イオン、+20イオン、+21イオン、および+22イオン)を同定するために使用することができる。一部の態様では、+11荷電イオンが同定され、さらなる分析のために使用される。一部の態様では、試料は、質量分析技法の間にフラグメント化されない。LC-MSは、液体クロマトグラフィーの物理的分離能を質量分析の質量分析能と組み合わせる分析技法であり、複合混合物中の化学物質の検出および潜在的同定に適している。任意のLC-MS機器、例えばABSciex 5600質量分析計を使用することができる。一部の態様では、マイクロフローLC-MSを利用することができる。任意の適切なマイクロフロー機器、例えばEksigent Ekspert 200 microLCを使用することができる。試料中の1種または複数種の重鎖または軽鎖に対応する1つまたは複数のピークについてイオンマススペクトルを分析することができる。例えば、カッパおよびラムダ軽鎖のそれぞれについて1つまたは複数のイオンピーク、例えば+11イオンピークを調べて、試料中の各鎖の比を求めることができる。一部の態様では、比は、選択されたイオンピークのピーク面積によって求められる。
一部の態様では、エレクトロスプレーイオン化−四重極飛行時間型質量分析(ESI-Q-TOF MS)を使用して、免疫グロブリン試料のマススペクトル、例えば試料中の重鎖および/または軽鎖の+11荷電状態のマススペクトルを分析することができる。エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI MS)は、イオン化されたときにこれらの分子がフラグメント化する傾向を克服するので、高分子からイオンを発生させるための有用な技法である。加えて、ESIは、多くの場合に多価イオンを発生するので、分析部の質量範囲を効果的に拡張してタンパク質および他の生体分子で観測される桁数に適応する。四重極質量分析部(Q)は、相互に平行に置かれた4つの円柱形ロッドからなる。四重極質量分析計において、四重極は、試料イオンをそれらの質量電荷比(m/z)に基づきフィルタリングすることを担う機器の構成要素である。飛行時間型(TOF)分析部は、電場を使用して同じ電位を通過させてイオンを加速し、次に、イオンが検出器に到達するためにかかる時間を測定する。粒子が全て同じ電荷を有するならば、運動エネルギーは同一であり、その速度は、その質量だけに依存する。より軽いイオンは検出器に最初に到達する。任意のESI-Q-TOF質量分析計、例えば、ABSciex TripleTOF 5600四重極飛行時間型質量分析計を使用することができる。マススペクトル、例えば、無傷の軽鎖または重鎖ポリペプチドの多価イオンのマススペクトルを分析して、該鎖について予想される適切な質量/電荷における1つまたは複数のピークを同定することができる。例えば軽鎖について、ピークは、約600〜2500m/zに出現し得る。一部の態様では、ピークは、約1000〜2300m/z(例えば、+11イオンについて約2000〜2200m/z)に出現し得る。フラグメントイオンのピークは、250〜2000のm/zの範囲に検出することができる。重鎖の場合、ピークは、約600〜2500m/zに出現し得る。一部の態様では、ピークは、約900〜2000m/zに出現し得る。
一部の態様では、エレクトロスプレーイオン化-四重極飛行時間型オービトラップ質量分析器を使用して、免疫グロブリン試料のマススペクトル、例えば、試料中の重鎖および/または軽鎖の+11荷電状態のマススペクトルを分析することができる。
公知の技法を用いて多価イオンピークを分子質量に変換することができる。例えば、多価イオンピークの質量中心を使用して平均分子質量を計算することができ、定量のために使用されるピーク面積値は、ソフトウェアパッケージにより供給される。具体的には、ABSCIEX Analyst TF 1.6におけるBioAnalystコンパニオンソフトウェアパッケージの中のBayesian Protein Reconstructソフトウェアパッケージを使用して、多重イオンのデコンボリューションを行うことができる。以下の設定を使用することができる:開始質量(Da)=22,000、終了質量(Da)=26,000Da、段階質量(Step mass)(Da)=1、S/N閾値=20、最小強度%=0、反復=20、付加:水素。開始m/z=1,100および終了m/z=2,500の限られた質量範囲を使用した。Analyst TFにおけるManual Integration 33スクリプトを使用して、デコンボリューションされた多価イオンを手作業で積分することもできる。試料中の免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖についての分子質量を提供することは、試料中の鎖の定量および/またはアイソタイピングを容易にする。例えば、本明細書提供の方法を使用して、試料中のカッパ軽鎖とラムダ軽鎖の比を求めることができる。カッパ/ラムダ比は、カッパ軽鎖の分子質量分布についての計算ピーク面積を、ラムダ軽鎖の分子質量分布についての計算ピーク面積で単に割ったものである。加えて、本明細書提供の方法を使用して、対照または参照試料と比較した各軽鎖の相対存在量を比較することができる。以下にさらに詳細に述べるように、正常な血清試料中のカッパ軽鎖とラムダ軽鎖の一般に認められている比は、3.20である。この比からの偏差は、様々な障害を指し示し得、したがって、そのような障害を有する患者を診断およびモニタリングするための有用なツールである。
一部の態様では、マトリックス支援レーザー吸着イオン化-飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)を使用して、免疫グロブリン試料のマススペクトルを分析することができる。MALDI-TOF MSは、タンパク質およびペプチドを質量電荷(m/z)スペクトルのピークとして同定する。さらに、MALDI-TOF MSの固有分解能は、複数のタンパク質を選択的に精製/濃縮し、次に単一のアッセイで分析するために複数の親和性リガンドを使用するアッセイを考案できるようにしている。
生物学的試料をスクリーニングするため、ならびに障害を診断およびモニタリングするための方法
本明細書提供の質量分析に基づく方法を使用して、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求めることができる。一部の態様では、1種または複数種の免疫グロブリンを有する試料(例えば生物学的試料)を質量分析アッセイに供することができる。試料を前処理して、試料中に存在する免疫グロブリンを単離または濃縮することができ、場合により、免疫グロブリン軽鎖を、質量分析の前に免疫グロブリン重鎖から切り離すことができる。次に、アッセイから得られたスペクトルを使用して、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求めることができる。一部の態様では、カッパおよびラムダ軽鎖の相対存在量は、1つまたは複数の同定されたピークのピーク面積を分子質量に変換することによって求めることができる。
免疫グロブリン軽鎖の比および相対存在量を参照値または対照試料と比較して、多クローン性高ガンマグロブリン血症(例えば、高ガンマグロブリン血症)、自己免疫性障害(例えば、シェーグレン症候群)、感染性障害(例えば、HIV)および炎症性障害(例えば、慢性炎症性障害)を含む様々な障害の診断を助けることができる。そのような障害では、カッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比は、一般に認められている正常な比(例えば、3.20という比)から外れている。例えば、シェーグレン症候群のような自己免疫性障害の場合、カッパ免疫グロブリン軽鎖の出現率は正常値から増加しており、カッパ軽鎖のラムダ軽鎖に対する比は、正常の3.20よりも高く、例えば、比は、約5(例えば、83:17)であり得る。慢性炎症性障害のような炎症性障害に関して、各軽鎖の相対存在量は逆転する可能性がある(すなわち、カッパ軽鎖と比較してラムダ軽鎖の高い出現率が観測される)。例えば、そのような障害を患う患者からの試料中のラムダ軽鎖の量は、約0.5(例えば0.54)であり得る。一部の例では、高ガンマグロブリン血症のような障害は、参照値または対照試料と比較した免疫グロブリン軽鎖の相対存在量に基づき診断することができる。例えば、正常として一般に認められている参照値と比較した軽鎖の相対存在量は、少なくとも2標準偏差高い可能性があり;場合により、少なくとも50%大きい、少なくとも75%大きい、もしくは少なくとも100%大きい、または少なくとも2倍高い、3倍高い、もしくは4倍以上高い可能性がある。相対比に加えて、ポリクローナルバックグラウンドよりも大量に出現する免疫グロブリンクローンの検出が、病状の診断に役立ち得る。例えば、細菌感染に反応している患者は、その細菌に対してオリゴクローナルな免疫グロブリン反応を生じることが知られている。オリゴクローナルな反応の観測により、次に、処置の照準を感染因子に合わせることができる。
一部の態様では、本明細書提供の方法を使用して、タンパク質電気泳動(PEL)または免疫固定(IF)検査のような現行の方法によって行われる診断を確認することができる。例えば、陰性の結果がPELおよび/またはIFから得られるならば、本方法を第2の検査として使用して、そのような結果を確認する、または結果に反対することができる。一部の態様では、本明細書提供の診断は、そのような標準方法を用いて確認することができる。
また、本明細書提供の質量分析に基づく方法は、対象における障害の処置をモニタリングするためにも使用することができる。例えば、対象が多クローン性高ガンマグロブリン血症(例えば、高グロブリン血症)を有すると診断された場合、本明細書提供の方法は、さらに、多クローン性高ガンマグロブリン血症の処置をモニタリングするために使用することができる。そのような方法は、処置の前における対象の第1の試料および処置の間または後における対象の第2の試料を提供する段階を含む。免疫グロブリンは、第1および第2の試料から単離または濃縮し、質量分析技法に供することができる。カッパ軽鎖とラムダ軽鎖の比は、処置の前および後に、求められかつ比較される。比が一般に認められている正常値寄りに推移することにより、処置が対象にとって有効であり得ることが示され、一方で比が増加する変化または比の変化がないことにより、処置が対象にとって無効であり得ることが示される。
また、本明細書提供の技法は、カッパおよびラムダ軽鎖の相対分布に基づき、ヒト試料を他の哺乳類種の試料から識別するために使用することができる。そのような方法は、例えばドーピング検査に使用される生物学的試料を予備スクリーニングするために有用であり得る。
加えて、本明細書提供の方法は、重鎖免疫グロブリンおよび/または軽鎖免疫グロブリンのアイソタイプを同定するために有用である。多発性骨髄腫のような特定の疾患では、血流中のモノクローナル免疫グロブリン量の増加がある。高レベルのモノクローナル免疫グロブリンが検出されるならば、モノクローナル免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のアイソタイプを決定するために追加的な検査が行われる。現行の方法は、アイソタイプを決定するために抗定常領域抗体を使用する。本明細書提供の方法は、現行の方法の代替を提供し、従来の検査室検査よりも優れたスピード、感度、分解能、および頑健性を示す。
一部の態様では、本明細書提供の方法を用いて、中枢神経系(CNS)の炎症性疾患を診断することができる。本明細書提供の方法を用いて診断され得るCNS炎症性疾患の例は、多発性硬化症、視神経脊髄炎、神経サルコイドーシス、亜急性硬化性全脳炎、およびギラン・バレー症候群を含む。本明細書提供の方法を使用して、対象(例えば患者)の脳脊髄液(CSF)に位置する免疫グロブリンを検出することができる。一部の態様では、該方法は、(a)1種または複数種の免疫グロブリンを含む脳脊髄液(CSF)試料を提供する段階;(b)CSF試料を質量分析技法に供して、CSF試料のマススペクトルを得る段階;および(c)CSF試料中の1種または複数種の軽鎖に対応する質量ピークを同定する段階を含む。
CSF試料を質量分析技法に供してCSF試料のマススペクトルを得る前に、CSF試料を溶液(例えば緩衝液)で希釈することができる。例えば、CSF試料を緩衝液または他の溶液で約1:5、1:3、1:1、3:1、または約5:1に希釈することができる。一部の態様では、CSF試料は、緩衝液または他の溶液で約1:1に希釈される。さらに、血清試料を質量分析技法に供する前に、前記のようにメロンゲルを用いて血清中の免疫グロブリンを濃縮することができる。
一般的な方法
血清および免疫グロブリン試薬:血清は、臨床検査室から得られた廃棄試料から収集した。正常なドナーからの精製IgGカッパおよびIgGラムダをBethyl Laboratories(Montgomery, TX)から購入した。
試薬:重炭酸アンモニウム、ジチオトレイトール(DTT)、およびギ酸はSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。メロンゲルは、Thermo-Fisher Scientific(Waltham MA)から購入した。水、アセトニトリル、および2-プロパノールは、Honeywell Burdick and Jackson(Muskegon, MI)から購入した。
血清:製造業者の説明書に従い、メロンゲルを使用して体積50μLの血清の免疫グロブリンを濃縮した。免疫グロブリンの濃縮後、100mM DTT 25μLおよび50mM重炭酸アンモニウム25μLを添加することによって試料25μLを還元し、次に55℃で15分間インキュベートし、その後注入した。注入を待つ間、試料を9℃で深型96ウェルPCRプレート(容積300μL)に入れた。
LC条件:Eksigent Ekspert 200 microLC(Dublin, CA)を分離のために使用した;移動相Aは、水+0.1%ギ酸(FA)であり、移動相Bは、90%アセトニトリル+10% 2-プロパノール+0.1% FAであった。25μL/分で流している、粒子径5μmの1.0×75mm Poroshell 300SB-C3カラムに注入2μLを行い、同時にカラムを60℃で加熱した。80% A/20% Bで25分の勾配を開始し、1分間維持し、1分間かけて75% A/25% Bまで勾配をかけ、次に10分間かけて65% A/35% Bまで勾配をかけ、次に4分間かけて50% A/50% Bまで勾配をかけ、次に2分間かけて95% A/5% Bまで勾配をかけ、5分間維持し、次に1分間かけて80% A/20% Bまで勾配をかけ、次に80% A/20% Bで1分間平衡化した。
ESI-Q-TOF MS:自動キャリブラントデリバリーシステム(CDS)備えるTurbo VデュアルイオンソースをESIポジティブモードで用いてABSciex TripleTOF 5600四重極飛行時間型質量分析計(ABSciex, Vaughan ON, CA)でスペクトルを収集した。ソース条件は:IS:5500、Temp:500、CUR:45、GS1:35、GS2:30、CE:50±5であった。TOF MSスキャンは、m/z600〜2500を取得時間100msで取得した。フラグメントイオンスキャンは、m/z350〜2000を取得時間100msで取得した。製造業者によって供給された較正溶液を使用して、機器を5回の注入毎にCDSにより較正した。
MSデータ解析:Analyst TF v1.6を機器制御のために使用した。Analyst TF v1.6およびPeakView v1.2.0.3を使用してデータを見た。多価イオンピークの質量中心を使用して、Analyst TFに提供されるBioAnalystソフトウェアにより平均分子質量およびピーク面積値を計算した。以下のBioAnalyst特異的パラメーターを使用して多重イオンのデコンボリューションを行った:質量範囲20,000Da〜28,000Da、水素付加、ステップサイズ1、S/N20、および軽鎖分子質量の計算について20回の繰り返し。
生物情報学データ解析:カッパおよびラムダ軽鎖分子質量プロファイルをモデル化するために使用される正規分布は、Boston University ALBaseからのカッパおよびラムダ遺伝子配列を使用して作製した。遺伝子配列をIMGTアライメントツールV-QUEST(Brochet, X et al. Nucleic Acids Res 2008; 36:W503-8)にアップロードし、各配列を可変(V)領域フレーム1(N末端)から連結(J)領域を経て、定常(C)領域の最初までアライメントした。V領域全体からJ領域を含む遺伝子配列だけを使用した(46種のカッパおよび46種のラムダ)。次に、ExPASy Translateツールを使用して、遺伝子配列を対応するアミノ酸配列に翻訳した。次に、ExPASy Compute pI/Mwツールを使用して、このアミノ酸配列を平均分子質量に変換し、次に対応するアイソタイプの定常領域の分子質量に加算した。各分子質量をビン幅100Daで配置し、ソフトウェアパッケージJMP10.0.0を使用してヒストグラムを作成し、平均分子質量を計算し、計算分子質量の正規分布をモデル化した。
実施例1 - 質量分析を使用する血清中のカッパおよびラムダ軽鎖レパートリーのモニタリング
本発明者らは、生物学的試料中のカッパおよびラムダ軽鎖を同定および定量するために使用することができる異なるポリクローナルカッパおよびラムダ軽鎖分子質量プロファイルを発見した。図4に、メロンゲル精製されDTT還元された正常プール血清2μLの注入を、microLC-ESI-Q-TOF MSにより上記方法を用いて分析したものから得られたトータルイオンクロマトグラムを示す。強調された領域は、軽鎖がLCカラムから溶離し始める5.0〜6.0分の保持時間ウインドウを表す。図5に、この1分のウインドウにわたり収集されたスペクトルを合計することによって得られたマススペクトルを、強調された垂直線の隣に示された予想されるポリクローナルカッパ軽鎖の荷電状態とともに示す。図5に、予想されるポリクローナルカッパおよびラムダ軽鎖についての+11荷電状態の拡大図も示す。図6に、カッパおよびラムダのポリクローナルな分子質量プロファイルを示している、分子質量に変換後の、デコンボリューションされた図5のマススペクトルを示す。図6内の挿入図に、実験的に観測された分子質量プロファイルと優れた一致を示す、遺伝子配列データから計算された正規分布型分子質量プロファイルを示す。カッパポリクローナル軽鎖について計算された平均分子質量は、23,433Daであり、一方でラムダ軽鎖についての平均分子質量は、22,819Daであった。これは、言い換えると、遺伝子配列データを使用してカッパ軽鎖とラムダ軽鎖との間の計算された差よりも19Da(3%)低い614Daの差になる。
実施例2 - 軽鎖アイソタイプの標識の確認
2つの分子質量プロファイルが確かにカッパおよびラムダ軽鎖アイソタイプを表していたことを確認するために、正常プール血清から得られた市販の精製IgGカッパ調製物および精製IgGラムダ調製物を、上記方法を用いてmicroLC-ESI-Q-TOF MSにより分析した。図7に、正常プール血清(上)、IgGカッパが精製された正常プール血清(中央)、およびIgGラムダが精製された正常プール血清(下)についてのデコンボリューション後の分子質量プロファイルを比較した結果を示す。本図は、IgGカッパが精製された正常プール血清中にラムダのポリクローナルな分子質量プロファイルが不在であること、およびIgGラムダが精製された正常プール血清中にカッパのポリクローナルな分子質量プロファイルが不在であることをはっきりと示している。さらに、以前に記載されたトップダウンMSを使用して、IgGカッパが精製された血清試料のアイソタイプおよびIgGラムダが精製された血清試料のアイソタイプを確認した(Barnidge. DR et al. J Proteome Res 2014)。これらの観測は、血清中のポリクローナルカッパ軽鎖がおよそ23,200Daから23,800Daの間に分子質量プロファイルを有し、血清中のポリクローナルラムダ軽鎖がおよそ22,500Daから23,200Daの間に分子質量プロファイルを有するという結果を裏付けている。
カッパおよびラムダ軽鎖の分子質量プロファイルを提供することに加えて、本明細書提供のmicroLC-ESI-Q-TOF MS法は、免疫グロブリンが濃縮され、DTTで還元された血清からの各アイソタイプの相対存在量も提供する。図6に、カッパ軽鎖について計算されたピーク面積が2.40×105であると分かった一方で、ラムダ軽鎖についてのピーク面積は7.51×104であると分かり、その結果、公表された結果(Haraldsson, A et al. Ann Clin Biochem 1991; 28 (Pt 5):461-6)に類似のカッパ/ラムダ比3.20となった。
実施例3 - 非ヒト哺乳類試料中のカッパおよびラムダの測定
4種の他の哺乳類からの血清で追加的な実験を行って、カッパ/ラムダの発現比の差を評価した。図8に、ヒツジ、ヤギ、ウシ、およびウマ由来のプール血清試料についての結果を示す。これらの分子質量プロファイルは、ヒツジ、ヤギ、ウシ、およびウマが、ラムダの質量範囲に入るポリクローナルな免疫グロブリン軽鎖分子質量プロファイルを有することを示している。トップダウンMSをヒツジ血清試料に行って、観測された分子質量プロファイルが実際にラムダアイソタイプであったことを確認した(データは示さず)。ラムダ軽鎖が奇蹄類および偶蹄類において支配的なアイソタイプであるという観測は、以前に公表された観測と一致する(Arun, SS et al. Zentralbl Veterinarmed A 1996; 43:573-6; Sun Y, et al. J Anim Sci Biotechnol 2012; 3:18;およびButler, JE et al Dev Comp Immunol 2009; 33:321-33)。
実施例4 - 様々な障害を有する患者におけるカッパ軽鎖とラムダ軽鎖の比
上記方法を用いて、様々な障害を有する患者からの血清試料を調査した。具体的には、多くの場合に多クローン性高ガンマグロブリン血症または高ガンマグロブリン血症と呼ばれる、高レベルの総血清免疫グロブリンを有する患者の血清の軽鎖プロファイルを検査した。図9に、正常な対照血清(下の線)と比較した高ガンマグロブリン血症を有する患者から採取された血清から観測された+11荷電状態のカッパおよびラムダ軽鎖イオン(上の線)を示す。免疫グロブリン軽鎖の溶離時間からの全てのスペクトルを合計することによってマススペクトルを取得した(データは示さず)。比較すると、高ガンマグロブリン血症を有する患者からの血清中の軽鎖の全体的な存在量が、正常対照からの血清と比較して約2倍高いと見て取れる。加えて、高ガンマグロブリン血症の患者からのスペクトルは、ポリクローナルバックグラウンドを超えて存在する異なるモノクローナル軽鎖を表し、スペクトルにオリゴクローナルな外観を与えている。
外れたカッパ/ラムダ軽鎖分子質量比を示した、高ガンマグロブリン血症を有する患者からのいくつかの他の血清試料を分析した。図10に正常な対照血清(上)、原因不明の慢性炎症応答を有する患者(中央)、ならびに唾液腺および涙腺に関する自己免疫性障害であるシェーグレン症候群を有する患者(下)から観測された+11荷電状態のイオンを示す。慢性炎症を有する患者からの中央のプロファイルは、ラムダ軽鎖の全体的な存在量がカッパ軽鎖の存在量よりも大きいことを示す。カッパ軽鎖の計算されたピーク面積は、4.05×105であることが分かり、一方でラムダ軽鎖は、7.44×105であることが分かり、その結果、カッパ/ラムダ比は0.54または35:65であり、それは、正常な対照血清で観測されたカッパ/ラムダ比のほぼ正反対である。シェーグレン症候群を有する患者からのプロファイルは、カッパ軽鎖の優位を示す。計算されたカッパ軽鎖のピーク面積は、1.05×105であることが分かり、一方でラムダ軽鎖について計算されたピーク面積は2.10×104であることが分かり、その結果、カッパ/ラムダ比は5または83:17となる。
実施例5 - モノクローナル抗体を有する試料中の軽鎖の同定
カッパ軽鎖およびIgG重鎖を有する治療用組換えモノクローナル抗体HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)が添加された正常血清を使用する実験も行った。図11に、上記のように行ったLC-MS分析からの軽鎖について観測された応答を示す。図の上に、異なる荷電状態を強調して、多価軽鎖イオンをHUMIRAの多価カッパ軽鎖イオンと共に示す。図11の下に、m/zスペクトル中の多価イオンをダルトン(Da)の単位でそれらの測定精密分子質量に変換したときに見出される分子質量を示す。本結果は、正常血清に0.01g/dL(100mg/L)添加されたHUMIRAからのカッパ軽鎖が、分子質量23,407Daでポリクローナルバックグラウンドを超えて同定できることを実証している。この分子質量は、HUMIRAのカッパ軽鎖の質量と一致する。
実施例6 - モノクローナルガンモパシーを有する患者からの試料
公知のラムダモノクローナル遊離軽鎖を有する患者であり、またカッパ軽鎖およびIgG重鎖を有する治療用組換えモノクローナル抗体REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)で処置もされている患者からの血清を使用する実験も行った。図12に、上記のように行ったLC-MS分析から軽鎖について観測された応答を示す。図の上に、内因性モノクローナルラムダ軽鎖およびREMICADEからのカッパ軽鎖からの多価軽鎖イオンを示す。図12の下に、m/zスペクトルの中の多価イオンをダルトン(Da)の単位でそれらの測定精密分子質量に変換したときに見出される分子質量を示す。本結果は、内因性モノクローナルラムダ軽鎖(22,606Da)および投与されたREMICADEからのカッパ軽鎖(23,433Da)が、ポリクローナルバックグラウンドを超えて明らかに目に見えることを実証している。加えて、内因性ラムダ軽鎖は、ラムダの分子質量分布内に位置し、一方でRemicadeからのカッパ軽鎖は、正確な分子質量(24,433Da)でカッパの分子質量分布内にある。
実施例7 - モノクローナル抗体が添加された試料中の重鎖の同定
カッパ軽鎖およびIgG重鎖を有する治療用組換えモノクローナル抗体HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)が添加された正常血清を使用して実験を行った。図13に、上記のように行ったLC-MS分析から重鎖について観測された応答を示す。図の上に、重鎖多価イオンをHUMIRA重鎖の多価イオンと共に、それらの異なる荷電状態を強調して示す。図13の下に、m/zスペクトルにおける多価イオンをそれらの測定精密分子質量にダルトン(Da)単位で変換したときに見出された分子質量を示す。本結果は、正常血清に0.5g/dL(5g/L)添加されたHUMIRAからのIgG重鎖が、ポリクローナルバックグラウンドを超えて、グリコシル化を有するHUMIRA重鎖の質量に対応する分子質量50,636Daで同定できることを実証している。非グリコシル化形態も47,140Daに観測される。本方法は、モノクローナル免疫グロブリンに関連するグリコフォームがポリクローナルバックグラウンドを超えて観測される限り、ポリクローナルバックグラウンドを超えたモノクローナル免疫グロブリンを同定することに焦点を合わせており、本方法は、分子質量により重鎖をアイソタイピングすることができる。
実施例8
本明細書提供の方法を用いてHIV感染患者からの血清試料を分析し、それによりオリゴクローナルな免疫応答が実証された(図15)。この種のクローンの分布は、現行のゲルに基づく免疫グロブリンの特徴づけによるものでは不可能である。
実施例9
CSFおよび血清試料。Clinical Immunology LaboratoryのOCBアッセイから廃棄試料を収集した。
等電点ゲル電気泳動法に続くIgG免疫ブロット法(IgG IEF)OCBアッセイ。Clinical Immunology Laboratoryによって開発されたIgG IEF OCBアッセイを行うための標準的な作業手順に従い、Helena Laboratories(Beaumont, TX)からの試薬セットを使用した。
試薬。重炭酸アンモニウム、ジチオトレイトール(DTT)、およびギ酸は、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。メロンゲルは、Thermo-Fisher Scientific(Waltham MA)から購入した。水、アセトニトリル、および2-プロパノールは、Honeywell BurdickおよびJackson (Muskegon, MI)から購入した。ヒト尿から精製されたカッパおよびラムダモノクローナル軽鎖は、Bethyl Laboratories (Montgomery, TX)から購入した。
質量分析アッセイのためのCSFの調製。50mM重炭酸アンモニウム緩衝液、pH8.0中に溶解させた200mM DTT 20μLを添加することにより、体積20μLのCSFを還元し、次に55℃で30分間インキュベートした。注入を待つ間、試料を9℃で深型96ウェルPCRプレート(容積300μL)に入れた。
質量分析アッセイ用の血清調製。メロンゲル180μLを使用して体積20μLの血清の免疫グロブリンを濃縮し、次に前記のようにDTTを添加することによって試料20μLを還元した。Barnidge DR, Dasari S, Botz CM, et al. Using Mass Spectrometry to Monitor Monoclonal Immunoglobulins in Patients with a Monoclonal Gammopathy. J Proteome Res. 2014 Feb 11を参照されたい。
液体クロマトグラフィー。Eksigent MicroLC 200 Plus System(Foster City, CA)を使用して免疫グロブリンを分離し、その後前記のようにABSciex TripleTOF 5600四重極飛行時間型質量分析計(ABSciex, Vaughan ON, Canada)でイオン化および検出を行った。Barnidge DR, Dasari S, Botz CM, et al. Using Mass Spectrometry to Monitor Monoclonal Immunoglobulins in Patients with a Monoclonal Gammopathy. J Proteome Res. 2014 Feb 11を参照されたい。
MSデータの分析。Analyst TF v1.6を機器制御のために使用した。Analyst TF v1.6およびPeakView v1.2を使用してデータを見た。分析のために使用したマススペクトルは、軽鎖について公知のLC保持時間にわたり全てのマススペクトルを合計することによって得た。特定の荷電状態m/z値のピーク質量中心を使用して、前記のようにCSFおよび血清中の特異的モノクローナル免疫グロブリンの存在量を評価した。Barnidge DR, Dasari S, Ramirez-Alvarado M, et al. Phenotyping polyclonal kappa and lambda light chain molecular mass distributions in patient serum using mass spectrometry. J Proteome Res. 2014 Nov 7;13(11):5198-205を参照されたい。精密な分子計算は、BioAnalyst(商標)を使用してタンパク質からの全ての多価イオンをデコンボリューションすることによって行った。
結果。図16に、ゲルに基づくOCBアッセイおよび質量分析に基づくOCBアッセイにおける段階を図示する。ゲルアッセイ(図16の上)は、IEFゲル電気泳動法(1)に続いて、受動的ニトロセルロースブロット法(2)、抗IgG抗体、およびIgGを視覚化するための二次抗体(3)を使用する。工程は手作業であり、完了するのに数時間かかる。質量分析アッセイは、IgGについて血清試料を濃縮するためにメロンゲルを使用し、一方でCSF試料は1:1希釈される(1)。両方の試料はDTTで還元され、その後microLC-ESI-Q-TOF MSにより分析される(3)。全工程は自動化可能であり、1時間かかる。図17に、IgG IEFによりOCB陰性であった患者から取得された、一致したCSFおよび血清についてのmiRAMMの結果を示す。本図は、還元された軽鎖からの+11荷電状態のポリクローナルなカッパおよびラムダの分子質量分布が、正規分布していることを示す。図18に、IgG IEFによりCSFおよび血清のOCBが一致した患者からの、一致したCSFおよび血清についてのmiRAMMの結果を示す。両方の試料においてポリクローナルバックグラウンドを超えて複数のカッパおよびラムダ軽鎖が観察される。CSFのカッパ軽鎖領域に検出された大きなバンドは、計算分子質量23,529.37Daを有し、一方で血清中に見出された軽鎖は、計算分子質量23,528.75Daを有し、差は0.62Daであった。これらの結果は、CSFおよび血清における「バンド」を一致させることに対するmiRAMMの並外れた特異性を実証している。CSF特異的クローンを同定するためのmiRAMMの能力を図19および図20に示す。図19に、IgG IEFによってCSFに独特なカッパOCBバンドを有する患者由来の一致した血清およびCSFについてのmiRAMMの結果を示し、一方で図20に、IgG IEFによってCSFに独特なラムダOCBバンドを有する患者由来の一致した血清およびCSFについてのmiRAMMの結果を示す。2つの図は、血清試料には存在しない複数のクローン状軽鎖のピークがCSF試料中に存在することをはっきりと実証している。
患者56人のコホートをmiRAMMにより分析して、その性能をIgG IEFによるOCBと比較した。多数のクローン軽鎖が、3よりも大きいシグナル対ノイズ比でCSF中から独特に同定された場合、試料を陽性と呼んだ。コホートは、陽性24人および陰性32人のIgG IEFのOCBの結果を含んでいた。患者をmiRAMMにより盲検的に分析したとき、同じ患者が、陽性22人、陰性34人と記録された。不一致の2人は、miRAMMによりCSF中にはっきりしたクローン状軽鎖を実際に有したが、これらの軽鎖の存在量は、S/Nカットオフの3をわずかに下回った。
miRAMMはまた、免疫グロブリンを定量するためにも使用することができる。精製されたモノクローナルカッパおよびラムダ軽鎖標準をOCB陽性CSF中に希釈した。1〜50μg/mLの範囲のカッパまたはラムダ軽鎖を使用して希釈系列を作った。カッパおよびラムダ標準についてのピーク面積は、R2値0.999および0.992で直線的に希釈された。OCB陽性CSFを使用して日間および日内精度を計算したところ、20回の反復からの日内精度は8.1%であり、一方で10日にわたり計算した日間精度は12.8%であった。図21におけるマススペクトルに、CSF試料中に添加された4つの異なる濃度のカッパ軽鎖標準からの重ね合わせたマススペクトルを示す。緑色の線で示すカッパ軽鎖標準ピークは、12.5μg/mL標準であり、一方で青色の線は、1.5μg/mL標準を表す。各カッパ軽鎖標準の存在量における変化が、患者自身のカッパ軽鎖の一定の存在量に隣接して見られる。
実施例10
方法。日常的な臨床PEL/IFE検査により以前に分析された血清試料556個をMADLI-TOF MS(Microflex LT, Bruker Daltonics)により評価した。分析前に、Capture Select(商標)(Hu)LC-カッパおよびLC-ラムダ親和性樹脂(Life Technologies)を用いて血清から無傷の免疫グロブリンを単離し、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP-HCl, Thermo Scientific)で還元した。ドライドドロプレット法およびマトリックスとしてα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸を使用して、精製した試料をMALDI-TOF分析用に調製した。正イオンモードでレーザー500ショットを合計して質量分析を行った。
結果。スペクトル分析のために、軽鎖のMH+1およびMH+2荷電状態のイオン分布を正常血清のスペクトルと比較した。任意のモノクローナル異常が正常パターンから識別された。アッセイされた556個の試料のうち、IFEにより陽性であった試料421個中406個(96%)から異常なパターンが同定された。異常は、IFEにより陰性であった試料126個中23個(18%)でも認められた。IFEにより判定不能であった試料9個のうち異常が認められたのは2個であった。
実施例11
異なる免疫グロブリンアイソタイプに対して親和性を有する単一ドメイン抗体フラグメントから溶離したタンパク質を分析することによってマススペクトルを生成した。簡潔には、健康な成人の血清試料43個から各アイソタイプについてアイソタイプ特異的なm/z分布を引き出すために使用されるマススペクトルを生成した。試料を1×PBSで10倍希釈した(患者試料100μL+1×PBS 900μL)。各単一ドメイン抗体フラグメント(IgG、IgA、IgM、カッパおよびラムダ定常領域をターゲティングする)10μLをアガロースビーズ(50%ビーズ+50% 1×PBS)と結合させたものを希釈済み試料200μLに添加し、RTで30分間インキュベートした。上清をビーズから除去した。次にビーズを1×PBS 200μL中で2回、次に水200μL中で2回洗浄した。次に50mM TCEPを有する5%酢酸80μLをビーズに添加し、RTで5分間インキュベートした。次に、マトリックス0.6μL(α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸)をスポットした96ウェルMALDIプレート上の各ウェルに上清0.6μLをスポットした。続いて、さらなるマトリックス0.6μLを試料の上にスポットする。MALDI-TOF質量分析計を使用して正イオンモードでレーザー500ショットを合計して質量分析を行う。質量/電荷(m/z)範囲9,000〜32,000m/zを取得した。次に、各SDAFについて生成したマススペクトルを重ね合わせ、軽鎖および重鎖レパートリーによって占有されている特異的m/z領域を有する異なるピークの存在により、Mタンパク質を検出およびアイソタイピングした。
他の態様
本発明がその詳細な説明と共に記載されているが、前述の説明は、例証目的であって、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。他の局面、利点、および改変は、添付の特許請求の範囲に含まれる。

Claims (18)

  1. 以下の段階を含む、試料中の免疫グロブリン軽鎖の総量を検出するための方法:
    (a)免疫グロブリン、対形成した免疫グロブリン鎖と免疫グロブリン鎖、またはそれらの混合物を含む生物学的試料を提供する段階;
    (b)試料を免疫精製する段階であって、該免疫精製が、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、抗ヒトIgE抗体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗体の使用を含む、段階
    (c)疫グロブリン軽鎖疫グロブリン重鎖から切り離す切り離し段階に、免疫精製された試料を供する段階;
    (d)切り離された試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階であって、該マススペクトルが、試料中の1種または複数種の無傷の免疫グロブリンカッパ軽鎖およびラムダ軽鎖に対応する1つまたは複数のピークを含み、該1つまたは複数のピークが、試料中の1種または複数種の無傷の免疫グロブリン軽鎖の総量を定量化する、段階;ならびに
    (e)試料中の1種または複数種の無傷の免疫グロブリンカッパ軽鎖およびラムダ軽鎖の総量を参照値と比較する段階
  2. 参照よりも高い総量が、対象が多クローン性高ガンマグロブリン血症を有することを示す、請求項1記載の方法。
  3. 試料中の無傷の免疫グロブリンカッパ軽鎖および免疫グロブリンラムダ軽鎖の総量が、参照値よりも少なくとも2倍多い、請求項1または2記載の方法。
  4. 段階(c)の後に、試料中のカッパ免疫グロブリン軽鎖とラムダ免疫グロブリン軽鎖の比を求める段階をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 免疫精製する段階が、抗ヒトカッパ抗体、抗ヒトラムダ抗体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗体の使用をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 抗体が非ヒト抗体である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 非ヒト抗体が、ラクダ抗体、軟骨魚類抗体、ラマ、ヒツジ、ヤギ、またはマウス抗体のうちの少なくとも1つである、請求項6記載の方法。
  8. 抗体が単一ドメイン抗体フラグメントである、請求項7記載の方法。
  9. 単一ドメイン抗体フラグメントが、ラクダ抗体、軟骨魚類抗体、ラマ、マウス抗体、ヒツジ、ヤギ、またはヒト抗体に由来する、請求項8記載の方法。
  10. 単一ドメイン抗体フラグメントについて段階(d)で生成されたマススペクトルが、免疫グロブリン軽鎖または免疫グロブリン重鎖について段階(d)で生成されたマススペクトルと重複しないように、該単一ドメイン抗体フラグメントが選択される、請求項9記載の方法。
  11. 単一ドメイン抗体フラグメントが、段階(d)において単一電荷を有する約12,500〜約15,000m/zのシグナルを生成するように、該単一ドメイン抗体フラグメントが選択される、請求項10記載の方法。
  12. 免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、またはそれらの混合物を含む試料が、単一分析で単一画分として分析される、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
  13. 試料中の免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との対形成を決定する段階をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
  15. 試料中の1種または複数種の免疫グロブリン重鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. 試料中の1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖をアイソタイピングする段階をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
  17. 1種または複数種の免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖を同定する段階をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
  18. 以下の段階を含む、試料中の免疫グロブリン軽鎖の総量の検出を含む、対象における高ガンマグロブリン血症の処置をモニタリングするための方法:
    (a)処置前の対象からの第1の生物学的試料および処置中のまたは処置後の第2の生物学的試料を提供する段階であって、試料がともに、免疫グロブリン、対形成した免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖、またはそれらの混合物を含む、段階;
    (b)各試料を免疫精製する段階であって、該免疫精製が、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、抗ヒトIgE抗体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗体の使用を含む、段階;
    (c)免疫グロブリン軽鎖を免疫グロブリン重鎖から切り離す切り離し段階に、免疫精製された各試料を供する段階;
    (d)切り離された各試料を質量分析技法に供して、該試料のマススペクトルを得る段階であって、該マススペクトルが、試料中の1種または複数種の無傷の免疫グロブリンカッパ軽鎖およびラムダ軽鎖に対応する1つまたは複数のピークを含み、該1つまたは複数のピークが、試料中の1種または複数種の無傷の免疫グロブリン軽鎖の総量を定量化する、段階;ならびに
    (e)第2の試料中の1種または複数種の無傷の免疫グロブリンカッパ軽鎖およびラムダ軽鎖の総量を、第1の試料中の1種または複数種の無傷の免疫グロブリンカッパ軽鎖およびラムダ軽鎖の総量と比較する段階。
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