JP6951507B1 - バーインコイルの制御冷却方法 - Google Patents
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Abstract
Description
節(又はねじ節側面)が曲げの内外にくると曲げモーメントはリブ方向よりも小さく、曲げ易く、曲がり易い。
異形バーコイルインコイルの使用に当たっては、先端がコイルから引き延ばされ伸直と曲げ加工がなされる。
バーに捻れがあると曲げ加工の際の方向と角度がばらつき、加工精度が低下する。そのため熱間圧延後のコイル形成の巻取には捻りが導入されないポーリング式巻取機(別称ガレット式、図3A参照)により巻き取られる。
即ち垂直軸の回りに回転する巻枠に水平走行してきたバーを送り込んで巻き付け、リングを形成し、乱雑に積み上げてコイルとする。
当巻取方法の問題点は、密に巻き上げられていくので個々のリングに制御冷却を適用することできず、バーは徐冷されることになり抗張力は低位安定になる。
落下点を水平走行のコンベア上とすると、垂直リング列から水平平行リング列が形成され、開かれたリング列に衝風冷却を適用することが可能になる。当該制御冷却はステルモア・プロセスと通称される。
本巻取・冷却方法の特徴は、棒線の全長に渡ってほぼ均等な強度向上がなされることである。
他方問題点は、螺旋誘導管の回転により棒線の軸方向に1リング当たり1回転の捻りが導入される。線材では問題とされないが異形バーへの適用は許容されていない。即ち、捻り無しと制御冷却は両立しない。
レイング式巻取によって形成された螺旋リング列を水平走行コンベア上に落下させて水平平行リング列を形成し、加熱又は冷却を適用すると記されている。
第1の問題は、水平平行リング列が冷却されるとその形状が自然形であって、集積枠においてコイルに集束され、結束されるが棒径が大きいと弾性抵抗が大きい。
使用に際して結束を切断すると反発するように元の水平状態に復元しようとする。横に飛び出すびっくり箱のようである。 一般にバーは線材よりも太いのでその反発力は極めて大きく取扱いが大変である。これがポーリング式巻取コイルが喜ばれる第2の所以である。
それによると圧延後の線材に制御冷却を適用するに際して、従来の水平平行リング列に展開するのに対して巻取機から落下する垂直リング列を冷却槽中でリング列軸と偏心して低速で回転する集積台に偏心集積しつつ冷却する。リング列の形成・冷却・コイル形成の3工程が併行して処理される。綾巻きのように幾何的に正確な重層リング列(図5B参照)から成るコイルが形成される。
コイル形成についても熱間においてリングを少しづつ旋回配置するので安定した円筒状に積み重ね、水平平行リング列のような変な水平飛び出しの弾性癖は生じない。ただし捻りは残存する。
特許文献3,4,5には、当該方法の種々の改良事例が開示されている。
先行例1の捻り解消方法を丁寧に検討すると、当該方法には重大なメカニズム上の過誤があることに気付いた。
バーは捻りにより捻り装置から下流には常時逆向き自転が発現する。バーの先端が螺旋導入管を通過しリングが形成される過程で自転が拘束され停止する。バーの上流側が逆向き自転し、下流側が停止するとせっかく導入した捻りが順次解消される。『相殺』が発現しない。自転の発現は捻りの解消に関係するがその記載が無い。
第1は、水平平行リング列の状態で冷却した場合、コイルに結束後も当該状態が自然形であって、使用に際して解束すると棒径が大きいので水平ばねのように弾き出し、取扱困難である。
第1の発明は、仕上げ圧延機から走行してきた赤熱の異形バーを巻取枠によって巻取りつつ制御冷却を適用する方法であって、
1)走行バーを摺動式の螺旋ガイドに押しつけて直線状から回転するリング列に成形し、
2)該螺旋ガイドの直下に設けた該リング列と同期して回転する巻取枠中の昇降円板上に該リング列を落下距離一定で順次着地させ、
3)前記螺旋ガイドを該巻取枠の中心軸の回りに自転せず公転させて落下するリング列を巻取枠の中で偏心集積することにより幾何的ルーズコイルを形成し、
4)併行して該コイルに流体冷媒を吹き付けて強制冷却することを特徴とする異形バーインコイルの制御冷却方法である。
1)螺旋ガイドの旋回数が、巻取枠の回転数の1/10以下1/30以上であり、
2)螺旋ガイドの中心軸の偏心距離が、リング径と比例し、リング径1mに対して50mm以上150mm以下であり、
3)昇降円板を内装する巻取枠の構造が、底面の円板上に垂直櫛を2重円筒状に配置して外周櫛・内周櫛とし、
4)個々のリングを該外周櫛には内接させ、又は該内周櫛には外接させるように円筒径を設定し、
5)冷媒の吹き付け方法が、外周櫛の外から又は内周櫛の内から又は両方からの気水スプレイによること、又は内周櫛の内側から吹き出す衝風によること、のうちどれか一つを組み込んだことを特徴とする第1発明に記載した異形バーインコイルの制御冷却方法である。
『螺旋ガイド』の螺旋はレイング式巻取ではスパイラル型(巻き貝型)であるが、本発明ではソレノイド型である。
『幾何的ルーズコイル』とは、従来の密巻きしたタイトコイルに対して、図5Bに示すようにリング列の集積に際して、リング列の低速旋回によりリング軸中心が円を描くように移動し、幾何的に正確な間隙を持って集積した花びら状コイルである。
螺旋ガイド5の内面には所定径Dのソレノイド型の螺旋溝8が形成されており、異形バー1は該螺旋ガイド5に付設された導入管7により望ましい角度で該螺旋溝8に衝突し、摺動しつつ直径Dのリング列4に成形され、回転しつつ落下する。
巻取枠6は圧延速度Vを該螺旋溝8の径Dとπの積(πD)で除した値を回転数Nとしてリングの形成と同期して回転しており、落下してきたリングを該巻取枠6に内装された円盤状の集積台9で受けて集積し、コイル10を形成していく。
巻取自体はポーリング式巻取を改良したものでバーに捻りは導入されない。
公転を行うため螺旋ガイド5には螺旋ガイド旋回手段20が組み込まれている。21は公転によって最遠になった位置を点線で示したものである。
一定の内径・外径と一定の位相角を持った幾何的ルーズコイル10(1種の花捲き)が形成される。
該ルーズコイルの外径Do=D+2r
内径Di=D−2r
偏心距離=r
螺旋ガイドの旋回速度は巻取枠の回転速度の1/10以下1/30以上が望ましい。この値を超えるとリング間が開き、着地が乱れ易くなり、未満ならリング列が密になる。
図4に示すように、こうすることにより幾何的には各リングは外周櫛13に内接し、又は内周櫛14に外接することが可能になる。
以上の対策により先行例2と同様の幾何的ルーズコイルの形成がなされる。
本発明では巻取回転数が大きいので冷媒液は渦流を超え、遠心力で外部に飛び出す。浸漬冷却は不能である。他方リングは高速で回転しているので、スプレイ冷却や衝風冷却には整合性があり、且つ均等冷却からも適切である。
リング列の配置を適切に拘束するための外周壁や内周壁は、冷媒を集積リング列に作用させる際に遮蔽とならないように櫛状とした。
上記内側スプレイ装置と同様に強力な衝風ダクト19を上下出入可能に設けると線材の衝風冷却と同様の衝風冷却がなされる。
図3は二つの巻取方法の原理を示し、Aはポーリング式でバーに捻りが導入されない。
Bはレイング式で捻りが入る。
幾何的ルーズコイルでは隣接リング間に一定の間隔が構成され、空隙分布も規則的で粗密偏差が小さくそのため冷媒がリング間を均等に流れ易く且つ部分的滞留を防ぐ効果を発揮する。
図5BではAに対して粗の部分は少し密になり、密の部分は少し粗になって全体が均一化の方に移行する。コイル内の機械的性質の均一性が優れる。
図3Aのポーリング式ではリングが密接乱雑に重なり均等な強制冷却は困難である。
既述のように特許文献2には幾何的ルーズコイルの形成と各種の制御冷却を併行させる方法と期待される各種熱処理方法が詳述されている。特に溶融塩を使用することによる精密恒温変態を誘導することは飛躍的である。本願発明の制御冷却の部分は当該発明を参考にしている。
特許文献3には当該冷却方法において線材に直接焼入を適切に処理する方法が開示されている。
特許文献4には、同様に線材を2次圧延してコイル形成中にミストスプレイ冷却を適用する方法が開示されている。
特許文献5には同様に線材に疑似パテンティングを適用する沸騰冷却の望ましい要件が開示されている。
実質ポーリング式巻取であるので捻れが無く、伸直・曲げ加工を行う際、捻りによる加工精度の低下が防止される。
コイルからバーの先端を引き出す作業は、通常のポーリング式巻取コイルと同様、回転供給台に積載されたコイルから棒端をコイル接線方向に引き出す。
1) 製品径; 16mm
2) 異形形状; ねじ節
3) コイル径 外径1.2m/内径0.8m
4) リング径; 1.0m
5) 強度; 降伏力800MPa/抗張力900MPa
6) 化学成分; 0.17%C−0.8%Si−1.5%Mn−1.0%Cr
−0.05%V
7) 圧延速度; 10m/s
8) 巻取回転数; 190RPM
9) 螺旋ガイド回転数; 14RPM
10) 螺旋ガイド偏心距離; 100mm
11) 冷媒; 気水スプレイ
以上の条件により捻りの無いねじ節高抗張力のバーインコイルが製造される。
Claims (2)
- 仕上げ圧延機から走行してきた異形バーをポーリング式の巻取枠によって巻取りつつ制御冷却する方法であって、
1)摺動式の螺旋ガイドと一体となった異形バー導入管を介して走行バーを該螺旋ガイドに衝突させて該螺旋ガイド径と同等の直径の回転するリング列に成形し、
2)該螺旋ガイドの直下に設けた該リング列と同期して回転する巻取枠中の昇降円板上に該リング列を落下距離一定で順次着地させ、
3)前記螺旋ガイドを該巻取枠の中心軸の回りに自転せず所定位相角・所定偏心長さで公転させて落下するリング列を巻取枠の中で偏心集積することにより幾何的ルーズコイルを形成し、
4)集積と併行して該コイルの集積面に流体冷媒を吹き付けて強制冷却することを特徴とする異形バーインコイルの制御冷却方法。 - 下記5条件、
1)螺旋ガイドの旋回数が、巻取枠の回転数の1/10以下1/30以上であり、
2)螺旋ガイドの中心軸の偏心距離が、リング径と比例し、リング径1mに対して50mm以上150mm以下であり、
3)昇降円板を内装する巻取枠の構造が、底面の円板上に垂直櫛を2重円筒状に配置して外周櫛・内周櫛とし、
4)個々のリングを該外周櫛には内接させ、又は該内周櫛には外接させるように円筒径を設定し、
5)冷媒の吹き付け方法が、外周櫛の外から又は内周櫛の内から又は両方からの気水スプレイによること、又は内周櫛の内側から吹き出す衝風によること、のうちどれか一つを組み込んだことを特徴とする請求項1に記載した異形バーインコイルの制御冷却方法。
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