JP6951260B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射弁の開閉を制御する燃料噴射制御装置に関する。
従来、内燃機関においては、燃焼効率を向上させる一手段として、燃料噴射を1燃焼サイクル中の燃料噴射期間内に複数回に分けて行う多段噴射の手法が知られている。このような多段噴射の一例として、例えば特許文献1には、ディーゼル機関において燃料加圧室の圧力を昇降させる電磁スピル弁を燃料噴射期間中に開閉することにより多段噴射を行うことが開示されている。この場合、燃料噴射期間中に電磁スピル弁を、一瞬、全開弁状態として燃料加圧室の圧力を十分低下させることで、その瞬間だけ燃料噴射を停止させて多段噴射が行われる。
この電子制御式燃料噴射システムでは、無通電時に開弁となり通電時に閉弁となる電磁スピル弁が用いられ、燃料噴射期間中に電磁スピル弁を無通電状態として開弁することにより、燃料噴射が一瞬停止される。そして、その後に電磁スピル弁への通電をオンにして当該電磁スピル弁を開弁状態から閉弁状態へ移行させて燃料噴射を再開する際に、当該電磁スピル弁に流れる電流のピーク値又は上昇速度がそれぞれ所定値未満であるか否かが判断される。これにより、上記ピーク値又は上昇速度がそれぞれ所定値以上であったときは、上記閉弁状態への移行の前に全開弁状態が確立されていなかったものとして、上記無通電状態の時間が電磁スピル弁を全開弁状態とするのに適正な時間の範囲外であったものと判断される。
特許文献1に記載された電子制御式燃料噴射システムによれば、燃料噴射期間における電磁スピル弁の上記全開状態への確実な移行を検知しつつ、多段噴射を実行することができる。しかしながら、上記従来の燃料噴射システムは、燃料加圧室に電磁スピル弁が設けられている構成を前提としており、燃料噴射弁を直接制御して多段噴射を行う構成に比べて複雑且つ高価となり得る。また、電磁スピル弁の特性は型式の違いや製造ばらつき等に起因して必ずしも一定ではないことから、電磁スピル弁に流れる電流のピーク値又は上昇速度との比較に用いる上記所定値は、個々の電磁スピル弁の特性に応じた適正な値に調整する必要があり、製造コストの上昇を招き得る。
特開2004−90502号公報
上記背景より、燃料噴射弁を直接的に制御して多段噴射を行う内燃機関において、当該多段噴射の際の噴射動作間における燃料噴射弁の全閉状態(すなわち、燃料噴射停止状態)の確立の有無を安価且つ効果的に検知することが求められている。
本発明の一の態様は、内燃機関の気筒に設けられた燃料噴射弁により前記気筒への燃料噴射期間に前記気筒へ複数回の燃料噴射を行う多段噴射動作を制御する燃料噴射制御装置であって、前記燃料噴射弁への通電電流を検出する電流検出部と、前記燃料噴射弁に流れる通電電流から前記燃料噴射弁の開閉動作の状態を判定する状態判断部と、を備え、前記状態判断部は、前記燃料噴射期間における前記複数回の燃料噴射のうち、1回目の前記燃料噴射である先頭燃料噴射と、前記先頭燃料噴射の後に行われる燃料噴射である少なくとも1回の後続燃料噴射とにおいて、前記先頭燃料噴射における前記通電電流である第1通電電流と、前記後続燃料噴射おける前記通電電流である第2通電電流と、を検出し、前記第1通電電流の時間変化曲線に対する、前記第2通電電流の時間変化曲線の偏差から、前記後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていたか否かを判断する、よう構成されている。
本発明の他の態様によると、前記状態判断部は、前記先頭燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から前記第1通電電流の増加速度の変化時刻までの時間に対し、前記後続燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から、対応する前記第2通電電流の増加速度の変化時刻までの時間が、第1所定時間以上短いとき、当該後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する。
本発明の他の態様によると、前記状態判断部は、前記第1通電電流の最大値に対し、前記第2通電電流の最大値が第1所定値以上大きいとき、当該第2通電電流に対応する前記後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する。
本発明の他の態様によると、前記状態判断部は、前記先頭燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から前記第1通電電流が第2所定値に達するまでの時間に対し、前記後続燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から、対応する前記第2通電電流が前記第2所定値に達するまでの時間が第2所定時間以上短いとき、当該後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する。
本発明の他の態様によると、前記状態判断部は、時間と電流値とで構成される座標平面において、前記第1通電電流が最大となる直前の所定時間内における当該第1通電電流の近似直線と電流値0の軸とが交差する第1交点と、前記第2通電電流が最大となる直前の所定時間内における当該第2通電電流の近似直線と電流値0の軸とが交差する第2交点と、を算出し、前記先頭燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から前記第1交点までの時間に対し、前記後続燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から、対応する前記第2通電電流の前記第2交点までの時間が、第3所定時間以上短いとき、当該後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する。
本発明の一実施形態に係る燃料噴射制御装置の構成を示す図である。 正常動作の場合の、INJ電圧、INJ電流、及び燃料噴射弁の時間変化の例を示す図である。 異常動作の場合の、INJ電圧、INJ電流、及び燃料噴射弁の時間変化の例を示す図である。 図1に示す燃料噴射制御装置の処理の手順を示すフロー図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料噴射制御装置の構成を示す図である。
この燃料噴射制御装置100は、例えば内燃機関102を用いる車両(不図示)に搭載され、当該内燃機関102の気筒(不図示)に設けられた燃料噴射弁104を制御して多段噴射動作を制御すると共に、多段噴射動作における燃料噴射弁104の開閉動作の状態を判定する。燃料噴射制御装置100は、昇圧回路110と、駆動電圧出力部112と、電流検出部114と、通信インタフェース(I/F)部116と、記憶部118と、処理装置120と、を備える。
昇圧回路110は、外部から供給されるバッテリ電圧Vを昇圧して、昇圧電圧Vを駆動電圧出力部112に供給する。駆動電圧出力部112は、例えば、電磁弁である燃料噴射弁104を駆動するための電圧を出力する駆動回路である。駆動電圧出力部112は、バッテリ電圧V及び昇圧電圧Vにより動作し、処理装置120からの指令に基づいて燃料噴射弁104へ駆動電圧を出力する。
電流検出部114は、燃料噴射弁104に流れる電流の大きさを示す信号を処理装置120に出力する。電流検出部114は、例えば分圧抵抗により燃料噴射弁104に流れる電流に比例した電圧を出力する電流検出回路である。通信I/F部116は、燃料噴射制御装置100が、車両内ネットワークを構成するバスを介して他の制御装置と通信するための通信インタフェースである。通信I/F部116は、例えば、車両内ネットワークを構成するCAN(Controller Area Network)バスに接続された、CAN通信規格に準拠する送受信器で構成される。
記憶部118は、揮発性及び不揮発性の半導体メモリ等で構成され、処理装置120における動作に必要なデータ及び又はソフトウェアプログラムを記憶する。
処理装置120は、内燃機関102に設けられたクランク角センサ106からの信号及び電流検出部114からの信号等に基づいて、燃料噴射弁104を駆動する駆動電圧出力部112の出力電圧を制御して、燃料噴射弁104の動作を制御する。また、処理装置120は、電流検出部114により検知される燃料噴射弁104に流れる電流から、燃料噴射弁104の動作の状態を判断する。
処理装置120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを備えるコンピューターである。処理装置120は、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有する構成であってもよい。そして、処理装置120は、機能要素(又は機能ユニット)として、通電制御部122と、状態判断部124とを有する。判断状態部は、機能要素である電流波形検出部130と波形比較部132とで構成される。また、波形比較部132は、機能要素として、速度変化点比較部140と、最大電流比較部142と、到達時間比較部144と、外挿点比較部146と、を有する。
処理装置120が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピューターである処理装置120がプログラムを実行することにより実現される。なお、上記コンピューター・プログラムは、コンピューター読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、処理装置120が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
通電制御部122は、クランク角センサ106及びアクセルセンサ108からの信号に基づき、駆動電圧出力部112の出力電圧、すなわち燃料噴射弁104へ通電する駆動電圧を制御して、内燃機関102の1燃焼サイクルにおける燃料噴射期間中に燃料噴射弁104を複数回開閉して複数回の燃料噴射を行う多段噴射を実行する。具体的には、通電制御部122は、クランク角センサ106からの信号に基づいて燃料噴射弁104の開閉タイミングを制御すると共に、1燃焼サイクル中の多段噴射における総燃料噴射量がアクセルセンサ108からの信号に応じた目標燃料噴射量となるように、燃料噴射弁104の開弁時間を制御する。
状態判断部124は、燃料噴射弁104に流れる通電電流(以下、INJ電流(インジェクション電流)ともいう)から燃料噴射弁104の開閉動作の状態を判定する。具体的には、状態判断部124は、電流波形検出部130により、電流検出部114からの信号に基づき、1燃焼サイクルにおける燃料噴射期間中において燃料噴射弁104に流れるINJ電流を所定の時間間隔で検知して記憶する。これにより、燃料噴射期間中におけるINJ電流の時間変化曲線が記憶される。
また、状態判断部124は、波形比較部132により、1燃焼サイクル中の燃料噴射期間における複数回の燃料噴射のうち、1回目の燃料噴射である先頭燃料噴射(いわゆる、パイロット噴射)と、先頭燃料噴射の後に行われる燃料噴射である少なくとも1回の後続燃料噴射とにおいて、先頭燃料噴射におけるINJ電流である第1通電電流と、後続燃料噴射おけるINJ電流である第2通電電流と、を検出する。そして、状態判断部124は、第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差を算出し、当該算出した偏差から、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていたか否かを判断する。
図2は、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉状態になる正常動作の場合の、先頭燃料噴射とその後続燃料噴射におけるINJ電圧、INJ電流、及び燃料噴射弁104の時間変化の例を示す図である。図2の上段はINJ電圧、中断はINJ電流、下段は燃料噴射弁104の状態を、それぞれ示している。INJ電圧曲線200は、駆動電圧出力部112から燃料噴射弁104に印加された駆動電圧(以下、INJ電圧(インジェクション電圧)ともいう)の時間変化を示す。INJ電流曲線202は、印加されたINJ電圧に起因して燃料噴射弁104に流れるINJ電流の時間変化を示す。また、弁体位置曲線204は、燃料噴射弁104の弁体(不図示)の位置の時間変化を示す。
図2に示す例では、時刻t1から時刻t4において先頭燃料噴射のためのINJ電圧が印加され、時刻t5からt8において後続燃料噴射のためのINJ電圧が印加されて、2段階の多段噴射が行われている。時刻t1からt4までの、INJ電圧に応答して流れるINJ電流が第1通電電流に対応し、INJ電流曲線202のうち時刻t1からt4までの部分が第1通電電流の時間変化曲線に対応する。また、時刻t5からt8までのINJ電流が第2通電電流に対応し、INJ電流曲線202のうち時刻t5からt8までの部分が第2通電電流の時間変化曲線に対応する。
図2において、時刻t1に、先頭燃料噴射を開始すべくINJ電圧が昇圧電圧Vに設定され、燃料噴射弁104への電圧印加が開始される。燃料噴射弁104は、時刻t1よりやや遅れて、INJ電流が弁体移動に必要な力を発生させる程度にまで増加したときに、全閉状態から全開弁状態への移行動作を開始する。その後、INJ電圧は、燃料噴射弁104が全閉状態から全開状態へ移行するのに十分な所定の時間だけVに維持された後、時刻t3において、全開弁状態を維持できる程度の電圧Vまで低減される。そして、時刻t3の後、先頭燃料噴射における燃料噴射量を所定量とするために全開弁状態を維持しておくべき所定の時間が経過した時刻t4において、燃料噴射弁104への印加電圧は遮断され、INJ電圧はゼロまで低下する。これにより、燃料噴射弁104は全開状態から全閉状態へ移行し、先頭燃料噴射が終了する。
これに対し、燃料噴射弁104に流れるINJ電流は、時刻t1から、電磁弁である燃料噴射弁104の閉弁状態におけるインダクタンスL1と直流抵抗値とで定まる増加速度s1で、時間と共に上昇する。その後、燃料噴射弁104の弁体移動の開始と共に、燃料噴射弁104のインダクタンスが開弁状態のインダクタンスL2へ変化することにより、INJ電流は、その増加速度が時刻t2においてs1からs2へと増加し、さらに上昇していく。その後、INJ電流は、INJ電圧が昇圧電圧VからVへ移行する時刻t3において最大値Imとなったあと、急減して定常状態に達し、INJ電圧の値Vと燃料噴射弁104の直流抵抗値とで定まる値Isとなる。そして、時刻t4においてINJ電圧がゼロに設定されると、INJ電流はゼロとなる。
時刻t4において燃料噴射弁104への先頭燃料噴射のための電圧印加が終了した後、燃料噴射弁104が全開状態から全閉状態へ移行するのに必要且つ十分な時間として予め定められた所定時間が経過する時刻t5において、後続燃料噴射を開始すべく、INJ電圧が再び昇圧電圧Vに設定される。
燃料噴射弁104は、時刻t5よりやや遅れて全閉状態から全開弁状態への移行動作を開始する。その後、INJ電圧は、燃料噴射弁104が全閉状態から全開状態へ移行するのに十分な所定の時間だけVに維持された後、時刻t7において、全開弁状態を維持できる程度の電圧Vまで低減される。そして、時刻t7の後、後続燃料噴射における燃料噴射量を所定量とするために全開弁状態を維持しておくべき所定の時間が経過した時刻t8において、燃料噴射弁104への印加電圧は遮断され、INJ電圧はゼロまで低下する。これにより、燃料噴射弁104は全開状態から全閉状態へ移行し、後続燃料噴射が終了する。
これに対し、燃料噴射弁104に流れるINJ電流は、まず、増加速度s1で時間と共に上昇する。そして燃料噴射弁104のインダクタンスが開弁状態のインダクタンスL2へ変化することにより、INJ電流の増加速度は、時刻t6においてs1からs2へ増加する。その後、INJ電流は、INJ電圧が昇圧電圧VからVへ移行する時刻t7において最大値となったあと、定常状態に達し、INJ電圧の値Vと燃料噴射弁104の直流抵抗値とで定まる値Isとなる。そして、時刻t8においてINJ電圧がゼロに設定されると、INJ電流はゼロとなる。
ここで、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉状態となる正常動作においては、先頭燃料噴射及び後続燃料噴射は、共に燃料噴射弁104が全閉である状態から動作を開始する。従って、先頭燃料噴射及び後続燃料噴射の開始時点における燃料噴射弁104の状態が同じであることから、先頭燃料噴射における第1通電電流の時間変化曲線と、後続燃料噴射における第2通電電流の時間変化曲線とは、INJ電流が定常値Isとなっている期間の長さを除き、図2に示す如く近似した形となり、互いの間に偏差はほとんどない。すなわち、一般に、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉状態となる正常動作においては、第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の有意な偏差は認められない。
例えば、図2において、後続燃料噴射における時刻t5の燃料噴射弁104への電圧印加の開始から時刻t6のINJ電流の増加速度の変化までの時間は、先頭燃料噴射における時刻t1の燃料噴射弁104への電圧印加の開始から時刻t2のINJ電流の増加速度の変化までの時間とほぼ等しい。また、後続燃料噴射における時刻t7でのINJ電流の最大値は、先頭燃料噴射における時刻t3でのINJ電流の最大値Imにほぼ等しい。
これに対し、先頭燃料噴射とその直後の後続燃料噴射との間において燃料噴射弁104が全閉状態にならない異常動作においては、第2通電電流の時間変化曲線は、第1通電電流の時間変化曲線に対して偏差を生じ得る。
図3は、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉状態にならない異常動作の場合の、先頭燃料噴射とその後続燃料噴射におけるINJ電圧、INJ電流、及び燃料噴射弁104の時間変化の例を示す図である。図2と同様に、図3の上段はINJ電圧、中断はINJ電流、下段は燃料噴射弁104の状態を、それぞれ示している。INJ電圧曲線300は、INJ電圧の時間変化を示しており、図2に示すINJ電圧曲線200と同一である。INJ電流曲線302は、印加されたINJ電圧に起因して燃料噴射弁104に流れるINJ電流の時間変化を示す。また、弁体位置曲線304は、燃料噴射弁104の弁体位置の時間変化を示している。
図3の場合、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉状態になっていない。このため、時刻t5からt8までの後続燃料噴射におけるINJ電流曲線302の部分、すなわち第2通電電流の時間変化曲線は、図2の場合と異なり、時刻t1からt5までの先頭燃料噴射におけるINJ電流曲線302の部分、すなわち第1通電電流の時間変化曲線に対して近似形とはならず、偏差を生じている。この偏差は、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104のインダクタンスが閉弁状態のインダクタンスL1となっていないこと、あるいは、弁体が閉弁位置に向かって移動途中であって上記インダクタンスがL1へ向かう変化の途中であること、等に起因する。
ここで、一の燃焼サイクルの最初の燃料噴射である先頭燃料噴射の直前においては、一般に、燃料噴射弁104は全閉状態となっている。先頭燃料噴射の開始時期は、その直前の燃焼サイクルの最後の後続燃料噴射の終了の後、燃料噴射弁104が全閉状態に到達するのに十分な時間を経た時刻となっているからである。
本実施形態の燃料噴射制御装置100は、その開始時点において燃料噴射弁104が全閉状態となっていると考えられる先頭燃料噴射における第1通電電流の時間変化曲線に対する、第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検知することにより、後続燃料噴射の直前における燃料噴射弁104の全閉状態の有無を判断する。
具体的には、燃料噴射制御装置100は、状態判断部124により、第1通電電流の時間変化曲線と第2通電電流の時間変化曲線とにおける、以下に示す4つのパラメータのいずれかを比較することで、第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検知して、後続燃料噴射の直前における燃料噴射弁104の全閉状態の有無を判断する。なお、いずれのパラメータを用いて上記偏差を検知するかは、例えば、燃料噴射制御装置100の製造時において予め記憶部118に記憶された比較モード指示値により決定されるものとすることができる。例えば、比較モード指示値が1、2、3、又は4に設定されている場合には、状態判断部124は、それぞれ、以下に示す第1、第2、第3、又は第4のパラメータを用いて、上記偏差を検知するものとすることができる。
なお、先頭燃料噴射の開始時点において燃料噴射弁104が全閉状態となっていない場合、上記偏差から燃料噴射弁104の全閉状態の有無の判断を行うことは困難となる。ただし、1燃焼サイクルの燃料噴射期間の開始時期に相当する先頭燃料噴射の開始時点において燃料噴射弁104が全閉状態となっていない状態は、そもそも内燃機関102が故障している状態であり、そのような故障状態は、従来技術に従って容易に検知することができるので、燃料噴射制御装置100における上記全閉状態の有無の判断の対象から容易に除外され得る。
<第1のパラメータ>
第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検知するための第1のパラメータは、燃料噴射弁104への電圧印加の開始時刻(t1、t5)から、INJ電流の増加速度がs1からs2へ移行する時刻(t2、t9)までの時間Δtである。図3には、第1通電電流におけるΔtの値(即ち、t1からt2までの時間)をΔt1−1で示し、第2通電電流におけるΔtの値(即ち、t5からt9までの時間)をΔt1−2で示している。
後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていない図3のケースでは、燃料噴射弁104への電圧印加が開始されてINJ電流が増加を開始する時刻t5における燃料噴射弁104のインダクタンスは、閉弁状態のインダクタンスL1に比べて開弁状態のインダクタンスL2により近い値となっている。その結果、第2通電電流の時間変化曲線において、時刻t5の後、燃料噴射弁104のインダクタンスが開弁状態のインダクタンスL2に達してINJ電流の増加速度がs2へ向かって移行する時刻t9までの時間Δt1−2は、先頭燃料噴射の直前に燃料噴射弁104が全閉状態となっている第1通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−1よりも小さくなる。
従って、燃料噴射制御装置100の状態判断部124が備える波形比較部132の速度変化点比較部140は、電流波形検出部130が記憶した、燃焼サイクルの燃料噴射期間中におけるINJ電流の時間変化曲線に基づき、第2通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−2と、第1通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−1とを比較し、Δt1−2がΔt1−1に対して所定値Δtth1以上小さいか否かを判断する。そして、状態判断部124は、速度変化点比較部140における上記判断の結果に基づき、Δt1−2がΔt1−1に対して所定値Δtth1以上小さいときは、その第2通電電流に係る後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104は全閉状態ではなかったものと判断する。
すなわち、状態判断部124は、先頭燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始(時刻t1)から第1通電電流の増加速度の変化時刻(t2)までの時間(Δt1−1)に対し、後続燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始(時刻t5)から、対応する前記第2通電電流の増加速度の変化時刻(t9)までの時間(Δt1−2)が、第1所定時間(Δtth1)以上短いとき、当該後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていなかったものと判断する。
<第2のパラメータ>
第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検知するための第2のパラメータは、INJ電流の最大値Imaxである。図3には、第1通電電流におけるImaxの値をImax−1で示し、第2通電電流におけるImaxの値をImax−2で示している。
上述したように、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていない場合、第2通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−2は、第1通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−1よりも小さくなる。したがって、先頭燃料噴射と後続燃料噴射とにおいてINJ電圧を昇圧電圧Vに保持する時間が同じであれば、INJ電流がs1より大きな増加速度s2で増加する期間Δt10は、第1通電電流の時間変化曲線と比較して、第2通電電流の時間変化曲線において長くなる。その結果、第2通電電流におけるImaxの値をImax−2は、第1通電電流におけるImaxの値Imax−1よりも大きくなる。なお、図3には、第1通電電流におけるΔt10の値をΔt10−1で示し、第2通電電流におけるΔt10の値をΔt10−2で示している。
従って、燃料噴射制御装置100の状態判断部124が備える波形比較部132の最大電流比較部142は、電流波形検出部130が記憶した、燃焼サイクルの燃料噴射期間中におけるINJ電流の時間変化曲線に基づき、第2通電電流の時間変化曲線におけるINJ電流の最大値Imaxの値Imax−2と、第1通電電流の時間変化曲線におけるINJ電流の最大値Imaxの値Imax−1とを比較し、Imax−2がImax−1に対し所定値ΔIth以上大きいか否かを判断する。そして、状態判断部124は、最大電流比較部142における上記判断の結果に基づき、Imax−2がImax−1に対して所定値ΔIth以上大きいときは、その第2通電電流に係る後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104は全閉状態ではなかったものと判断する。
すなわち、状態判断部124は、第1通電電流の最大値Imax−1に対し、第2通電電流の最大値Imax−2が第1所定値ΔIth以上大きいとき、第2通電電流に対応する後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態になっていなかったものと判断する。
<第3のパラメータ>
第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検知するための第3のパラメータは、燃料噴射弁104への電圧印加が開始される時刻(t1、t5)から、INJ電流が所定値Ipに達するまでの時間Δtである。図3には、第1通電電流におけるΔtの値をΔt2−1で示し、第2通電電流におけるΔtの値をΔt2−2で示している。
上述したように、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていない場合、第2通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−2は、第1通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−1よりも小さくなる。すなわち、第1通電電流の時間変化曲線と比較し、第2通電電流の時間変化曲線においては、燃料噴射弁104への電圧印加が開始されたあと、いち早くs1より大きな増加速度s2でINJ電流が上昇を開始する。
その結果、第2通電電流の時間変化曲線において、INJ電圧がゼロからVまで立ち上がる時刻t5のあとINJ電流が増加して所定値Ipに到達するまでの時間Δt2−2は、第1通電電流の時間変化曲線における対応する時間Δt2−1よりも短くなる。
従って、燃料噴射制御装置100の状態判断部124が備える波形比較部132の到達時間比較部144は、電流波形検出部130が記憶した、燃焼サイクルの燃料噴射期間中におけるINJ電流の時間変化曲線に基づき、第2通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt2−2と、第1通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt2−1とを比較し、Δt2−2がΔt2−1に対して所定値Δtth2以上小さいか否かを判断する。そして、状態判断部124は、到達時間比較部144における上記判断の結果に基づき、Δt2−2がΔt2−1に対して所定値Δtth2以上小さいときは、その第2通電電流に係る後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104は全閉状態ではなかったものと判断する。
すなわち、状態判断部124は、先頭燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始(時刻t1)から第1通電電流が第2所定値Ipに達するまでの時間(Δt2−1)に対し、後続燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始(時刻t5)から、対応する第2通電電流が第2所定値Ipに達するまでの時間(Δt2−2)が第2所定時間(Δtth2)以上短いとき、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていなかったものと判断する。
<第4のパラメータ>
第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検知するための第4のパラメータは、時間とINJ電流値とで構成される座標平面において、燃料噴射弁104への電圧印加が開始された時刻(t1、t5)から、INJ電流が最大となる直前の所定時間内における当該INJ電流の近似直線Lが電流値0の軸と交差する点Pが与える時刻までの時間Δtである。図3には、第1通電電流における近似直線L及び点PをそれぞれL30及びP30で示し、第2通電電流における近似直線L及び点PをそれぞれL32及びP32で示している。また、第1通電電流におけるΔtをΔt3−1で示し、第2通電電流におけるΔtをΔt3−2で示している。
上述したように、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていない場合、第2通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−2は、第1通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt1−1よりも小さくなる。すなわち、第1通電電流の時間変化曲線と比較し、第2通電電流の時間変化曲線においては、燃料噴射弁104への電圧印加が開始されたあと、いち早くs1より大きな増加速度s2でINJ電流が上昇を開始する。
従って、後続燃料噴射において燃料噴射弁104への電圧印加が開始される時刻t5から、第2通電電流における近似曲線L32が電流ゼロの軸と交わる点P32の時刻までの時間Δt3−2は、先頭燃料噴射において燃料噴射弁104への電圧印加が開始される時刻t1から第1通電電流における近似曲線L30が電流ゼロの軸と交わる点P30の時刻までの時間Δt3−1よりも短くなる。
従って、燃料噴射制御装置100の状態判断部124が備える波形比較部132の外挿点比較部146は、電流波形検出部130が記憶した、燃焼サイクルの燃料噴射期間中におけるINJ電流の時間変化曲線に基づき、第2通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt3−2と、第1通電電流の時間変化曲線におけるΔtの値Δt3−1とを比較し、Δt3−2がΔt3−1に対して所定値Δtth3以上小さいか否かを判断する。そして、状態判断部124は、外挿点比較部146における上記判断の結果に基づき、Δt3−2がΔt3−1に対して所定値Δtth3以上小さいときは、その第2通電電流に係る後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104は全閉状態ではなかったものと判断する。
すなわち、状態判断部124は、時間と電流値とで構成される座標平面において、第1通電電流が最大となる直前の所定時間内における第1通電電流の近似直線L30と電流値0の軸とが交差する第1交点P30と、第2通電電流が最大となる直前の所定時間内における当該第2通電電流の近似直線L32と電流値0の軸とが交差する第2交点P32と、を算出する。そして、状態判断部124は、先頭燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始(時刻t1)から第1交点P30までの時間(Δt3−1)に対し、後続燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始(時刻t5)から、対応する第2通電電流の第2交点P32までの時間(Δt3−2)が、第3所定時間(Δtth3)以上短いとき、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていなかったものと判断する。
次に、燃料噴射制御装置100の状態判断部124における処理の手順について、図4に示すフロー図に従って説明する。本処理は、燃料噴射制御装置100の電源がオンされた後、通電制御部122による燃料噴射弁104への駆動電圧の制御が開始されたときに開始する。また、本処理は、例えば燃料噴射制御装置100の電源がオフされたことにより通電制御部122による燃料噴射弁104への駆動電圧の制御が終了したときに終了する。
処理を開始すると、状態判断部124は、内燃機関102の燃焼サイクルにおける燃料噴射期間が開始したか否かを判断する(S100)。この判断は、状態判断部124が、例えば、クランク角センサ106からの信号又は通電制御部122の動作状態に基づいて行うことができる。
そして、状態判断部124は、燃料噴射期間が開始していないときは(S100、NO)、ステップS100に戻って燃料噴射期間が開始するのを待機し、燃料噴射期間が開始したときは(S100、YES)、電流波形検出部130により、燃料噴射期間中における燃料噴射弁104へのINJ電流を、所定の時間間隔で検出して、記憶部118に保存する(S102)。
続いて、状態判断部124は、燃料噴射制御装置100の製造時等において記憶部118に予め記憶された比較モード指示値を参照し、比較モード指示値が1であるか否かを判断する(S104)。そして、比較モード指示値が1であれば(S104、YES)、状態判断部124は、上述した第1のパラメータを用いて第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検出する。すなわち、状態判断部124は、速度変化点比較部140により、先頭燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始時刻t1から第1通電電流の増加速度の変化時刻t2までの時間Δt1−1と、後続燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始時刻t5から、第2通電電流の増加速度の変化時刻t9までの時間Δt1−2とを算出する。そして、速度変化点比較部140は、Δt1−1−Δt1−2≧Δtth1であるか否かを判断する(S106)。
ステップS106において、Δt1−1−Δt1−2≧Δtth1であれば(S106、YES)、状態判断部124は、対応する後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104は全閉弁状態になっていなかったものと判断し、異常動作が発生した旨を、例えば通信I/F部116を介して、動作管理を行う管理装置(不図示)へ通知する(S108)。
一方、ステップS106において、Δt1−1−Δt1−2≧Δtth1でないときは(S106、NO)、状態判断部124は、対応する後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104は全閉弁状態になっていたものと判断し、正常動作であった旨を、管理装置へ通知する(S110)。なお、管理装置は、燃料噴射制御装置100からの正常動作又は異常動作についての上記通知を記憶して、メンテナンス時に当該通知についての情報を作業者に提供したり、所定のエラー処理を行うものとすることができる。
一方、ステップS104において比較モード指示値が1でないときは(S104、NO)、状態判断部124は、比較モード指示値が2であるか否かを判断する(S112)。そして、比較モード指示値が2であれば(S112、YES)、状態判断部124は、上述した第2のパラメータを用いて第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検出する。すなわち、状態判断部124は、最大電流比較部142により、第1通電電流の最大値Imax−1と、第2通電電流の最大値Imax−2とを算出し、Imax−2−Imax−1≧Ithであるか否かを判断する(S114)。
そして、状態判断部124は、Imax−2−Imax−1≧Ithであれば(S114、YES)、ステップS108に処理を移して異常動作が発生した旨を通知し、Imax−2−Imax−1≧Ithでないときは(S114、NO)、ステップS110に処理を移して正常動作であった旨を通知する。
一方、ステップS112において比較モード指示値が2でないときは(S112、NO)、状態判断部124は、比較モード指示値が3であるか否かを判断する(S116)。そして、比較モード指示値が3であれば(S116、YES)、状態判断部124は、上述した第3のパラメータを用いて第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検出する。すなわち、状態判断部124は、到達時間比較部144により、先頭燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始時刻t1から第1通電電流が第2所定値Ipに達するまでの時間Δt2−1と、後続燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始時刻t5から、対応する第2通電電流が第2所定値Ipに達するまでの時間Δt2−2とを算出し、Δt2−2−Δt2−1≧Δtth2であるか否かを判断する(S118)。
そして、状態判断部124は、Δt2−2−Δt2−1≧Δtth2であるときは(S118、YES)、ステップS108に処理を移して異常動作が発生した旨を通知し、Δt2−2−Δt2−1≧Δtth2でないときは(S118、NO)、ステップS110に処理を移して正常動作であった旨を通知する。
一方、ステップS1126おいて比較モード指示値が3でないときは(S116、NO)、状態判断部124は、比較モード指示値が4であったものと判断し、上述した第4のパラメータを用いて第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を検出する。すなわち、状態判断部124は、外挿点比較部146により、第1通電電流が最大となる直前の所定時間内における第1通電電流の近似直線L30と電流値0の軸とが交差する第1交点P30と、第2通電電流が最大となる直前の所定時間内における当該第2通電電流の近似直線L32と電流値0の軸とが交差する第2交点P32と、を算出する。また、外挿点比較部146は、先頭燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始時刻t1から第1交点P30までの時間Δt3−1と、後続燃料噴射における燃料噴射弁104への通電開始時刻t5から対応する第2通電電流の第2交点P32までの時間Δt3−2とを算出し、Δt3−2−Δt3−1≧Δtth3であるか否かを判断する(S120)。
そして、状態判断部124は、Δt3−2−Δt3−1≧Δtth3であるときは(S120、YES)、ステップS108に処理を移して異常動作が発生した旨を通知し、Δt3−2−Δt3−1≧Δtth3でないときは(S120、NO)、ステップS110に処理を移して正常動作であった旨を通知する。
また、状態判断部124は、ステップS108又はS110において対応する通知を行った後は、ステップS100に戻って処理を繰り返す。
以上、説明したように、本実施形態の燃料噴射制御装置100は、燃料噴射弁104を直接的に制御して多段噴射動作を行う際に、先頭燃料噴射における燃料噴射弁104へのINJ電流(第1通電電流)の時間変化曲線に対する、後続燃料噴射おけるINJ電流(第2通電電流)の時間変化曲線の偏差から、後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていたか否かを判断する。
従って、燃料噴射制御装置100では、燃料噴射弁104を直接的に制御することから電磁スピル弁を備えた燃料加圧室を設ける必要がなく、且つ、従来技術のように後続燃料噴射におけるINJ電流についてのピーク値や上昇速度についての閾値を、燃料噴射弁104毎に又は内燃機関102毎に設定する必要がない。このため、燃料噴射制御装置100では、燃料噴射弁を直接的に制御して多段噴射を行う内燃機関において、当該多段噴射の際の噴射動作間における燃料噴射弁の全閉状態の確立の有無を安価且つ効果的に検知することができる。
なお、上述した実施形態においては、先頭燃料噴射の後に1回の後続燃料噴射が行われるものとしたが、これには限られない。先頭燃料噴射の後に、複数回の後続燃料噴射が行われるものとしてもよい。この場合には、燃料噴射制御装置100は、状態判断部124により、先頭燃料噴射における第1通電電流の時間変化曲線に対する、少なくとも1回の後続燃料噴射における第2通電電流の時間変化曲線の偏差から、当該少なくとも1回の後続燃料噴射の直前において燃料噴射弁104が全閉弁状態となっていたか否かを判断するものとすることができる。
また、上述した実施形態においては、燃料噴射制御装置100の製造時等において予め記憶部118に記憶された比較モード指示値に従って、上述した4つのパラメータのいずれかを用いて第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を判断するものとしたが、これには限られない。例えば、燃料噴射制御装置100は、上記4つのパラメータのうちの複数のパラメータを用いて、当該複数のパラメータのいずれか又は全てについて、上述した条件が満たされたときに、第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差が生じているものと判断してもよい。
あるいは、燃料噴射制御装置100は、速度変化点比較部140、最大電流比較部142、到達時間比較部144、及び外挿点比較部146のいずれか一つ又は複数を備えるものとし、当該一つ又は複数の比較部の動作に対応する一つ又は複数のパラメータを用いて、第1通電電流の時間変化曲線に対する第2通電電流の時間変化曲線の偏差の有無を判断するものとしてもよい。
また、上述した実施形態においては、燃料噴射弁104を開弁する際に、まず昇圧電圧Vを印加した後、電圧Vを印加するものとしたが、これには限られない。燃料噴射弁104を開弁することのできる限りにおいて、且つ、先頭燃料噴射と後続燃料噴射において燃料噴射弁104に同じ波形の電圧が印加される限りにおいて、燃料噴射弁104への印加電圧は、例えば、固定の連続電圧又はパルス電圧とすることができる。
100…燃料噴射制御装置、102…内燃機関、104…燃料噴射弁、106…クランク角センサ、108…アクセルセンサ、110…昇圧回路、112…駆動電圧出力部、114…電流検出部、116…通信インタフェース(I/F)部、118…記憶部、120…処理装置、122…通電制御部、124…状態判断部、130…電流波形検出部、132…波形比較部、140…速度変化点比較部、142…最大電流比較部、144…到達時間比較部、146…外挿点比較部。

Claims (5)

  1. 内燃機関の気筒に設けられた燃料噴射弁により前記気筒への燃料噴射期間に前記気筒へ複数回の燃料噴射を行う多段噴射動作を制御する燃料噴射制御装置であって、
    前記燃料噴射弁への通電電流を検出する電流検出部と、
    前記燃料噴射弁に流れる通電電流から前記燃料噴射弁の開閉動作の状態を判定する状態判断部と、
    を備え、
    前記状態判断部は、
    前記燃料噴射期間における前記複数回の燃料噴射のうち、1回目の前記燃料噴射である先頭燃料噴射と、前記先頭燃料噴射の後に行われる燃料噴射である少なくとも1回の後続燃料噴射とにおいて、前記先頭燃料噴射における前記通電電流である第1通電電流と、前記後続燃料噴射おける前記通電電流である第2通電電流と、を検出し、
    前記第1通電電流の時間変化曲線に対する、前記第2通電電流の時間変化曲線の偏差から、前記後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていたか否かを判断する、
    よう構成されている、
    燃料噴射制御装置。
  2. 前記状態判断部は、前記先頭燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から前記第1通電電流の増加速度の変化時刻までの時間に対し、前記後続燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から、対応する前記第2通電電流の増加速度の変化時刻までの時間が、第1所定時間以上短いとき、当該後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する、
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  3. 前記状態判断部は、前記第1通電電流の最大値に対し、前記第2通電電流の最大値が第1所定値以上大きいとき、当該第2通電電流に対応する前記後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する、
    請求項1又は2に記載の燃料噴射制御装置。
  4. 前記状態判断部は、前記先頭燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から前記第1通電電流が第2所定値に達するまでの時間に対し、前記後続燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から、対応する前記第2通電電流が前記第2所定値に達するまでの時間が第2所定時間以上短いとき、当該後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する、
    請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
  5. 前記状態判断部は、
    時間と電流値とで構成される座標平面において、前記第1通電電流が最大となる直前の所定時間内における当該第1通電電流の近似直線と電流値0の軸とが交差する第1交点と、前記第2通電電流が最大となる直前の所定時間内における当該第2通電電流の近似直線と電流値0の軸とが交差する第2交点と、を算出し、
    前記先頭燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から前記第1交点までの時間に対し、前記後続燃料噴射における前記燃料噴射弁への通電開始から、対応する前記第2通電電流の前記第2交点までの時間が、第3所定時間以上短いとき、当該後続燃料噴射の直前において前記燃料噴射弁が全閉弁状態となっていなかったものと判断する、
    請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
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